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第 6 章 主要設備方式

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第 6 章 主要設備方式
第6章
主要設備方式
第 6 章
主要設備方式
6.1 ごみ焼却施設
6.1.1 処理方式
焼却処理方式は、歴史が古く安定した技術であり、一般廃棄物の焼却では、ストーカ式と
流動床式が広く採用されている。焼却処理方式の特徴を表 6-1 に示す。
表 6-1
焼却処理方式(ストーカ式、流動床式)の特徴
流動床式
・約 850℃∼950℃の高温雰囲気の中でごみに十分
・ごみの燃焼熱によって、約 550℃程度に灼熱さ
な空気を供給し、乾燥帯・燃焼帯・後燃焼帯の 3
れた沸騰状態の流動層の中で、ごみの乾燥・ガ
工程で燃焼する。
ス化・燃焼を行う。
イメージ
ストーカ式
・国内に多くの建設・運転実績があり、安全、安
技術概要と特徴
定性の面で処理技術としての信頼性が高い。既
存施設もストーカ式である。
・国内に多くの建設・運転実績があり、安全、安
定性の面で処理技術としての信頼性が高い。
・水分を多く含んだ低発熱量ごみ及びプラスチッ
・著しい低質ごみ(1,300kcal 以下)の場合を除き、
助燃材を使用せず焼却できる。
クごみ等の高発熱量ごみの処理を容易にでき
る。
・数多くのメーカーが参入しており、競争性や事
・ストーカ式に比べ飛灰が多く発生する。
業の継続性が確保されている
主灰:75%⇒セメント原料
主灰:30%⇒セメント原料
飛灰:25%⇒最終処分
飛灰:70%⇒最終処分
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第6章
主要設備方式
【焼却処理方式の選定】
広く採用されている焼却処理方式には、ストーカ式と流動床式の 2 つの方式が存在するが、
両方式ともに建設・運転実績は数多くあり、安全、安定性の面で特に問題はない。
既存施設がストーカ式を採用していることや本市が将来的に想定しているセメント原料化
を考慮すると、飛灰の発生量が低減されるストーカ式を採用することが望ましいと考えられ
る。
よって、焼却処理方式はストーカ式を採用する。
【焼却処理方式】
最終処分量が少ない『ストーカ式』とする。
6.1.2 稼働時間
ごみ焼却施設の稼働時間には、1 日 24 時間連続稼働するごみ焼却施設(連続運転式)と 1
日に 24 時間連続稼働をしないごみ焼却施設(間欠運転式)がある。
一炉あたり 40tを下回る場合には、
連続運転のための人件費等経済性に問題が出てくる他、
技術面でも小規模になることによる燃焼の不安定性が問題となることが懸念される。また、
既存施設においても間欠運転式を採用していることも踏まえ、本施設における運転方式つい
ても間欠運転式とし、稼働時間は 16 時間とする。
6.1.3 系列数
「廃棄物処理施設整備費国庫補助金交付要綱の取扱いについて(平成 15 年 12 月 15 日環廃
対発第 031215002 号)」によると、ごみ焼却施設の焼却炉の数について『原則として 2 炉又
は 3 炉とし、炉の補修点検時の対応、経済性等に関する検討を十分に行い決定する』とされ
ている。2 炉 2 系列とした場合、施設の点検及び補修等のときにも、収集したごみの全量焼
却を継続することが可能となることから、ごみ焼却施設の系列数は、2 系列とする。
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第6章
主要設備方式
6.1.4 ごみ焼却施設の計画諸条件
これまでに設定したごみ焼却施設の計画諸条件を整理すると以下に示すとおりとなる。
なお、計画処理量および施設規模については、今後の基本設計等(ごみ排出量の将来推計
の見直しを行った)の段階で見直しを行うものとする。
表 6-2 ごみ焼却施設の計画諸条件
処理方式
焼却処理−ストーカ式
稼働時間
間欠運転式(16h/日)
炉数
2炉
計画処理量
14,620t/年
施設規模
50t/日
6.1.5 性能条件
(1) 燃焼条件
燃焼条件は、表 6-3 に示すとおりである。
表 6-3 燃焼条件
条
燃焼室出口温度
850℃以上
上記燃焼温度での
2 秒以上
ガス滞留時間
煙突出口排ガスの
一酸化炭素濃度
安定燃焼
件
30ppm 以下(O2 12%換算値の 4 時間平均値)
100ppm を超える CO 濃度瞬時値のピークを
極力発生させないこと。
(2) 焼却残渣の熱しゃく減量
焼却残渣(集じん灰を除く)の熱しゃく減量は、ごみ処理施設性能指針に準じ 7%以下
とする。
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第6章
主要設備方式
6.1.6 施設の構成と処理の流れ
焼却施設の主要設備の構成および処理フローは、図 6-1 に示すとおりである。
主要設備として、受入れ・供給設備、燃焼設備、燃焼ガス冷却設備、排ガス処理設備、余
熱利用設備、通風設備、灰出し設備、給水設備、排水処理設備がある。
図 6-1 焼却施設の主要設備の構成および処理フロー
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第6章
主要設備方式
6.1.7 主要設備方式
(1) 受入れ・供給設備
安定燃焼にはごみの均質化と炉内に定量供給することが重要になる。受入れ・供給設備の
方式にはピットアンドクレーン方式と受入ホッパ定量切出し方式があるが、ピットアンドク
レーン方式は、ピット内でごみを撹拌することでごみの均質化が図れるので、望ましいごみ
供給方法とされている。
よって、本施設の受入れ・供給設備の方式はピットアンドクレーン方式とする。
① 計量機
本設備は、搬入されるごみの量及び場外へ搬出される処理されたごみの量を管理すること
を目的とし設置する。
計量機の形式は、一般的に広く使用されているロードセル方式(電気式)とする。
図 6-2
ロードセル式計量機の例
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
② プラットホーム
本設備は、投入作業が安全かつ容易なスペース、構造を持つものとし、臭気対策の観点か
ら屋内式(一方通行、通り抜け式)とする。また、有効幅は 20m 以上を確保する。
床面に落ちこぼれたごみを容易にごみピットに投入できるように、車止めの一部に掃出し
口をつけるなどの配慮を行うとともに、床洗浄のために要所ごとに水栓を設け、洗浄水の水
はけを容易にするため適正な床勾配をとり、要部には排水溝を設けるものとする。
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第6章
主要設備方式
③ プラットホーム出入口扉
本設備は、臭気の遮断等を目的とし設置する。設置数は入口が 1 基、出口が 1 基とし、扉
と連動で動作するエアーカーテンを設置する。
④ 投入扉
本設備は、プラットホームとごみピット室を遮断してピット室内の粉じんや臭気の拡散を
防止することを目的とし設置する。
設置数は、2 基以上とする。また、投入扉の例は図 6-3 に示すとおりであり、気密性の観
点から中折ヒンジ式または観音開き式とする。
図 6-3 投入扉の例
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
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第6章
主要設備方式
⑤ ダンピングボックス
本設備は、市民がごみを持ち込み、ごみピットへごみを投入する際のピット転落防止を目
的として設置する。設置数は、1 基とする。
図 6-4
ダンピングボックスの例
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
⑥ ごみピット
本設備は、焼却施設に搬入されたごみを一時貯留し、焼却能力との調整をとるために設け
る。ごみ質を均一化し、安定燃焼を容易にするというダイオキシン類対策上重要な役目を持
っている。
ごみピット容量は、炉の全停止期間を考慮し、3 日分以上を確保するものとする。
ピット容量は、収集と処理のマスバランス検討を行い、ごみ貯留量のピーク時においても
貯留が可能となる容量を確保する。
⑦ ごみクレーン
本設備は、ごみピット内のごみを受入ホッパへ供給、混合攪拌、積替えを行うことを目的
とし設置する。
ごみクレーンは、故障や設備点検等によるクレーン停止時においても炉の稼働を確保する
ため、2 基(うち、予備 1 基)設置する。また、ごみピット内での撹拌・積替えによるごみ
質の均質化及び燃焼設備への定量的な供給を目的に、半自動・遠隔手動併用方式または全自
動方式を採用する。
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第6章
主要設備方式
(2) 燃焼設備
燃焼方式はストーカ式とする。燃焼設備に要求される性能を発揮するため高温燃焼を安定
して維持するには、外気の漏洩がなく、供給されたごみに対し燃焼空気量を適正に調節でき
る燃焼室が必要となる。また、毎日の立上げ、立下げの不安定燃焼時間帯を短時間で通過し、
ごみの燃やし切りを行うには適切な助燃装置を設置することが必要である。なお、燃焼装置
は少ない空気比で燃焼が完結できる構造とする。
燃焼設備は、ごみホッパ、給じん装置、燃焼装置、助燃装置等で構成される。
① ごみホッパ
ごみホッパはごみクレーンから投入されたごみを一時貯留しながら連続して炉内に送り込
むためのものであり、ごみクレーンにより投入されたごみをブリッジすることがないよう、
円滑に炉内へ供給できるものとする。
また、間欠運転式では燃し切り操作を行うとごみシールが切れる時間帯が生じ、燃し切り
休止後、燃焼室内の余熱によって燃焼ガスが逆流することがないようホッパ蓋等のシール性
能に留意する。
図 6-5 ストーカ炉投入ホッパの例
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
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第6章
主要設備方式
② 給じん装置
給じん装置は、ごみホッパのごみを炉内へ安定して連続的に供給し、かつ、その量を調整
する機能を有するものとする。
本施設における給じん装置はプッシャ式あるいはストーカ併用式とする。
図 6-6
ごみの挿入方法
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
③ 燃焼装置
燃焼装置は、乾燥・燃焼・後燃焼ストーカ又はゾーンによって構成される。それぞれの目
的に応じて、その運動を調整し、かつ、送りと撹拌の作用を的確に行える機能を有するもの
とする。
また、火格子の損傷は少なく、アルミ、ガラス等の落下を防止するよう考慮するとともに、
耐熱・耐摩耗性の良好な材料を使用する。
【ストーカ式燃焼装置において重視する性能】
◆ごみの撹拌、移送が一様に行われること。
◆ごみの送り速度が調節でき、乾燥・燃焼・後燃焼ゾーンで、それぞれに適切なごみ層が
形成できること。
◆燃焼空気が燃焼装置全面にわたり、均一に分散、供給できること。
◆燃焼空気が乾燥・燃焼・後燃焼ゾーンに適切に配分・居球できること。
◆所定のごみ質の範囲にわたり、安定した性能を維持できること。
◆耐熱性、耐食性、耐摩耗性があり、所定の耐久性があること。
◆リドリング(灰の落下、プラスチック類等の溶融滴下)が少なく、目詰まりが起こりに
くいこと。
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第6章
主要設備方式
④ 助燃装置
助燃装置は、炉の起動・停止時における炉内温度の制御、昇温又は降温操作、ごみ質悪化
に起因する炉温度低下に対し、所定の温度を保持すること、築炉工事完了後又はれんが補修
後の乾燥焚き等を目的に設置する。
特に、本施設のような間欠運転式施設においては、毎日炉の立上げ、立下げを行うことか
ら、助燃装置に求められる性能としては、立上げ作業は出来るだけ高温で短時間とすること、
立下げ作業は、燃焼室を高温に保ったままごみを燃し切ることが重要となる。
⑤ 再燃焼室
燃焼ガスの燃焼を完結させるために設ける 2 秒以上の滞留部分(二次燃焼ゾーン)を燃焼
室と分離して配置する場合があり、これを再燃焼室と呼ぶ。再燃焼室は必要に応じて設置す
るものとする。
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第6章
主要設備方式
(3) 燃焼ガス冷却設備
燃焼ガス冷却設備は、ごみ焼却後の燃焼ガスを排ガス処理装置が安全に効率よく運転でき
る温度まで冷却する目的で設置する。
燃焼ガスの冷却方法としては、廃熱ボイラ式と水噴射式等があるが、間欠運転式施設にお
いては水噴射式が採用されるケースが多い。
基本的に水噴射式を想定するが、本施設の焼却に伴う熱利用の需要を踏まえ、燃焼ガス冷
却設備の方式について決定するものとする。
(4) 排ガス処理設備
排ガス処理設備は高度なばいじん除去性能を有し、排ガス中の処理対象物質を指定された
濃度以下とするものとする。また、腐食・閉塞が起こらないように配慮する。
排ガス処理の方式は、余熱の利用や排水処理の観点から乾式有害ガス除去装置とろ過式集
じん器の組み合わせによる処理とするが、最終的には本施設の建設候補地の状況を踏まえて
決定することとする。
なお、主な規制物質は、表 6-4 に示すとおりである。
表 6-4 排ガス中に含まれる代表的な規制物質の種類と特徴
項目
ばいじん
塩化水素
硫黄酸化物
特徴
-
ごみ焼却によって飛散する粒子状物質のこと
をいう。ばいじんの濃度や性状は、ごみ質、
炉形式、燃焼条件(焼却負荷、空気比など)
およびガス冷却方式によって変動する。
塩化ビニル系プラスチック
紙類、タンパク質系厨芥類、
加硫ゴム
窒素酸化物
ダイオキシン類
主な発生源
ごみ焼却施設から排出される塩化水素濃度
は、ごみ質により変化する。発生原因物質は
主として塩化ビニル系プラスチックである
が、高温域で食塩などの無機塩化物は水分と
二酸化硫黄の反応によっても塩化水素を発生
する。
ごみ中の含有量は、全硫黄として 0.05∼
0.2%、うち揮発性硫黄は 0.03%程度である。
排ガス中の窒素酸化物濃度は、通常 100∼
150ppm 程度である。燃焼によって生成する窒
素酸化物は、燃料中窒素分の酸化によるフェ
ーエル NOx と、空気中窒素の酸化によるサー
マル NOx とに大別される。
-
塩化ビニル系プラスチック
資料:廃棄物ハンドブック
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ポリ塩化ビニルなどの有機塩素系のごみを
800 度以下の低温で焼却した場合、不完全燃
焼を生じ発生する。
第6章
主要設備方式
≪各規制物質の処理方法≫
① ばいじん
ばいじん処理の集じん設備の種類は、表 6-5 及び表 6-6 のとおりである。
ばいじんの主な除去方法は、機械式集じん器、電気集じん器、ろ過式集じん器の 3 種に分
類される。ごみ焼却施設のばいじんの性状は、下記のとおりであり、下記の性状に適合する
集じん器としては、ろ過式集じん器、電気集じん器等であるが、ダイオキシン類削減という
観点から、ろ過式集じん器が主流となっている。
①吸湿性が大きく、湿気を吸って冷えると固着しやすい。
②かさ比重が 0.3∼0.5 と小さく軽い。
③粗いばいじんは煙道やガス反転部でさきに沈降するので、集じん器の平均粒径が小さい。
④HCl・SOx 等がガス中に含まれるため、機器の防食上、十分に注意を要する。
表 6-5
主要集じん器の特性
取扱われる粒度
圧力損失
集じん率
μm
kPa
%
サイクロン型
100∼3
0.5∼1.5
電気集じん器
-
20∼0.05
ろ過式集じん器
バグフィルタ
20∼0.1
分類名
機械式集じん器
(遠心力集じん器)
型式
設備費
運転費
75∼85
中程度
中程度
0.1∼0.2
90∼99.5
大程度
小∼中程度
1∼2
90∼99
中程度
中程度以上
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領(2006 改訂版)
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第6章
主要設備方式
表 6-6 主要集じん器の特徴及び能力
分類名
特徴及び能力
機械式集じん器
比較的大きな粒径に対応するが、集塵能力は低いた
(遠心力集じん器)
め、単独での採用はない。
集塵能力は高く、圧力損失も低い、また、ランニン
グコストも低いといった利点があるが、運転温度域
電気集じん器
がダイオキシン類の再合成温度域となるといった
欠点がある。かつては連続運転式焼却施設で広く採
用されていた。
集塵能力は高いが、圧力損失が大きい。運転温度域
ろ過式集じん器
がダイオキシン類の再合成温度域よりも低いため、
現在主流の方式となっている。
② 塩化水素・硫黄酸化物
塩化水素(HCl)・硫黄酸化物(SOx)の主な除去方法は、表 6-7 のとおりである。
一般的に、除去性能のよい設備は、設備費・ランニングコストが高価なものとなるため、
適切な機種の選定が必要となる。
HCl・ SOx の主な除去方法は、乾式法と湿式法の 2 つに区分され、乾式法はさらに全乾式
法と半乾式法の 2 つに分類される。いずれの除去方法も HCl・ SOx をアルカリ剤と反応させ
て除去する。
乾式法とは、反応生成物が乾燥状態で排出されるもの、湿式法とは、水溶液にて排出され
るものをいう。また、乾式法に分類される全乾式法は、反応剤として乾燥個体のものが使用
されるものをいい、半乾式法は、反応剤として水溶液又はスラリー状のものが使用されるも
ののことを言う。
なお、これらの方法によって HCl を除去する場合には、HCl の除去に伴って SOx も除去さ
れ、SOx の除去率は一般的に HCl に比べ低いことが多いため SOx を除去する計画の際には注
意が必要となる。
-56-
第6章
表 6-7
区分
方式
主要設備方式
HCl・SOx の主な除去方法
生成物、排出物
概要
長所及び短所
炭酸カルシウム(CaCO3)、 【長所】
消石灰(Ca(OH)2)や炭酸
・排水処理が不要である。
全乾式法
水素ナトリウム(NaHCO3) ・装置出口の排ガスの温度
粉体噴射法
移動層法
乾式法
フィルタ法
生成塩、未反応
薬品の乾燥粉対
等のアルカリ粉体をろ過
を高温に維持できるので、
式集じん器や電気集じん
白煙防止装置を設置しなく
器の前の煙道あるいは炉
ても、煙突から白煙が生じ
内に吹き込み、
反応生成物
にくい。
を乾燥状態で回収する方
・腐食対策が容易である。
法が主である。
半乾式法
スラリー噴霧法
生成塩、未反応
移動層法
薬品の乾燥粉体
湿式 法
スプレー塔方式
トレイ塔方式
充填塔方式
ベンチュリー方式
消石灰等のアルカリスラ
【短所】
リーを反応塔や移動層に
・供給した薬剤のうち一部
噴霧して反応生成物を乾
は未反応のまま排出される
燥状態で回収する方法で
ことから薬剤の使用量が多
ある。
い。
水や苛性ソーダ(NaOH)等
【長所】
のアルカリ水溶液を吸収
・除去率が高い。
塔に噴霧し、反応生成物を
生成塩溶液
NaCl、Na2SO4 等の溶液で回
【短所】
収する方法である。
・排水処理設備や塩乾固設
備等プロセスが複雑にな
る。
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領(2006 改訂版)
-57-
第6章
主要設備方式
乾式法(ろ過式集じん器)
湿式法
半乾式法(反応塔方式)
図 6-7
HCl・SOx の処理フロー例
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
-58-
第6章
主要設備方式
③ 窒素酸化物
窒素酸化物は、燃焼方法の改善により抑制することが可能であるが、総量規制や地域の上
乗せ基準等により、更に窒素酸化物の排出を抑える技術が必要とされている。
ごみ焼却施設における窒素酸化物の主な除去方法は、燃焼制御法、乾式法の 2 通りがあり、
各除去方法の概要を表 6-8 に示す。
除去方法の方式中には、すでに実用化中のものや開発中のものがあり、除去性能、コスト、
他の有害成分の同時除去の有無等の違いがある。
表 6-8 窒素酸化物の主な除去方法
区分
除去率
排出濃度
(%)
(ppm)
-
排ガス再循環法
方式
設備費
運転費
採用例
80∼150
小
小
多
-
80 程度
中
小
少
無触媒脱硝法
30∼40
70∼100
小-中
小-中
多
触媒脱硝法
60∼80
20∼60
大
大
多
60∼80
20∼60
中
大
少
活性コークス法
60∼80
20∼60
大
大
少
電子ビーム法
70∼90
10∼40
大
大
無
天然ガス再燃法
50∼70
50∼80
中
中
少
低酸素法
燃焼制御法
水噴射法
脱硝ろ過式
乾式法
集じん器法
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領(2006 改訂版)
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第6章
主要設備方式
④ ダイオキシン類
ダイオキシン類の主な除去方法は、表 6-9 に示すとおりである。
ダイオキシン類は、本質的に CO や各種炭化水素(HC)と同様に未燃焼の一種であることか
ら、完全燃焼を安定的に維持することにより抑制することができる。
しかし、排ガスの冷却過程でダイオキシン類が再合成することがある。これは集じん器の
運転温度と密接な関係にあって、集じん器の運転温度が低い程、ダイオキシン類の除去率は
高くなる傾向にある。
排ガス中のダイオキシン類は飛灰に吸着された状態やミスト状のほか、ガス相として存在
している。
表 6-9 ダイオキシン類の主な除去方法
区分
乾式吸着法
方式
設備費
運転費
採用例
ろ過式集じん器
中
小
多
活性炭、活性コークス吹込ろ過式集じん器
中
中
多
活性炭、活性コークス充填塔方式
大
大
少
触媒方式
大
大
中
分解法
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領(2006 改訂版)
≪排ガス処理フロー≫
排ガス処理フローの具体例と概要は表 6-10 のとおりである。
排ガスに含まれる有害物質の除去の程度により、設備費、維持経費が異なる。
-60-
表 6-10
フロー
排ガス処理フローと概要
概
要
メリット
デメリット
○燃焼制御法により NOx の発生量を低減する。
・排ガス処理システムが簡素化 ・バグフィルタのみで HClと
○バグフィルタ前の煙道にアルカリ剤、活性炭を
される。
SOxの除去を行うことから
吹込むことにより、バグフィルタで、ばいじん、
・排水処理が不要
吹込み剤の量が多くなる。
HCl、SOx、DXN を除去する。
○燃焼制御法により NOx の発生量を低減する。
・バグフィルタのみで HClと
○バグフィルタ前の煙道にアルカリ剤、活性炭を
SOxの除去を行うことから
・排水処理が不要
吹込むことにより、バグフィルタで、ばいじん、
吹込み剤の量が多くなる。
・触媒反応塔における脱硝によ
HCl、SOx、DXN を除去する。
・再加熱器を設置することに
って、NOx の除去率が高まる。
○再加熱器により排ガス温度を 210℃程度とする。
より蒸気消費量が増し、発
○触媒反応塔により、脱硝する。
電効率の低下に繋がる。
-61-
○燃焼制御法により NOx の発生量を低減する。
○前段・後段の 2 段バグフィルタを用いてばいじ
ん、HCl、SOx、DXN を除去する。
(前段:ばいじん、後段:有害物質)
・排ガス処理システムは比較的
簡素化される。
・建築面積が多少大きくなる。
・排水処理が不要
・飛灰量が増える。
・HCl、SOx の除去性能が高まる。
・④に比べ維持管理は容易
○①の方式に湿式洗煙設備を加えたもの。燃焼制
御法により NOx の発生量を低減し、バグフィル
・排水処理が必要となる。
タで、ばいじん、HCl、SOx、DXN を除去する。 ・HCl、SOx の除去性能が高まる。 ・③に比べ維持管理に手間が
○苛性ソーダを用いて、湿式洗煙設備で HCl、SOx
かかる。
を除去する。
○②と④を併せたもの。燃焼制御法により NOx の
発生量を低減し、バグフィルタで、ばいじん、
HCl、SOx、DXN を除去、湿式洗煙設備で HCl、SOx ・高度な有害物質除去が可能と
を除去する。
なる。
○再加熱器により排ガス温度を 210℃程度とする。
○触媒反応塔により、脱硝する。
・排水処理が必要となる。
・維持管理に手間がかかる。
・設備費・維持管理費ともに
大。
・再加熱器を設置することに
より、発電効率は低下。
第6章
主要設備方式
(5) 通風設備
本設備は、燃焼に必要な空気を必要な条件に整えて燃焼設備に送り、また燃焼設備からの
排ガスを、煙突を通して大気に排出するまでの関連設備である。
通風方式は、押込通風方式、誘引通風方式及び平衡通風方式の 3 方式がある。このうち、
一般的に広く採用されている平衡通風方式を採用するものとする。
なお、煙突は、近年採用が多いコンクリート製または鉄骨製+ALC 板の外筒と鋼板製の内
筒で構成されるものとする。
(6) 灰出し設備
本設備は、焼却灰及び各部で補修された飛灰を取り集め搬送、もしくは飛灰処理し、場外
へ搬出するための設備である。
灰出し設備は、つまり・腐食に対する対策や内部とのシール性を十分に考慮し、雰囲気・
灰の性状にあった構造・材質とする。
焼却灰貯留設備には、灰ピット方式と灰バンカ方式があり、いずれかの方式とする。
① 灰ピット方式
灰ピットの容量は、灰の搬出計画に合わせて決定し、灰クレーンの故障等を考慮した日数
分の容量を確保するものとする。また、灰ピットは灰クレーンと組合わせて設置されるため、
底部の形状をバケットでつかみやすいような形状にする。
② 灰バンカ方式
灰バンカの容量は、焼却灰の量及び搬出頻度等を考慮し決定する。また、1 基あたりの容
量は 10∼12m3 が限度とされ、それ以上の貯留が必要な場合には複数基設置するものとする。
-62-
第6章
スライド式開閉装置を有する灰バンカ
両開き式開閉装置を有する灰バンカ
図 6-8
主要設備方式
灰バンカ開閉装置の分類
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
≪焼却灰の有効利用計画および飛灰の処理≫
ごみの焼却によって発生する残渣のうち、主灰についてはセメントの原料として有効利用
を図るものとする。
また、飛灰については、セメント原料としての利用が不可能であることから飛灰処理方法
として多く採用されている薬剤処理法によって処理し、最終処分場へ搬出する。
焼却残さの種類と処理・資源化方法を図 6-9、代表的な飛灰処理方式の分類を表 6-11 に示
す。
図 6-9
焼却残さの種類と処理・資源化方法
-63-
表 6-11
代表的な飛灰処理方式の分類
セメント固化
処理フロー図
原理
セメント成分であるケイ酸カルシウムなどの組成鉱物が水和反応を起こして降下する過程で重金属等の有害物質の吸着・固溶化やアル
カリ成分による難溶性化合物を形成して、重金属が溶出しない化学安定化物を生成する方式である。薬剤との併用方式も多く用いられ
る。
-64-
薬剤処理
酸その他の溶媒による抽出・安定化処理
キレート剤・無期刑薬剤等により、飛灰中の重金属類とこれら薬剤
飛灰に含まれる重金属を酸性溶液中に抽出し、抽出した重金属を
の反応による難溶性化合物を形成して、重金属が溶出しない化学的
キレート剤・水酸化剤・硫化剤等により、安定化した沈殿物とし
安定化物を生成する方式である。
て除去する方式である。
処理フロー図
原理
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
第6章
主要設備方式
(7) 余熱利用設備
焼却に伴い発生する熱の利用は、可能な限り有効利用することを前提に、利用先の有無、
用途、経済性を踏まえて検討するものとする。
間欠運転式施設における熱回収は、排ガスあるいは排ガスにより過熱した高温空気を熱源
とした温水発生器による温水回収方式が一般的である。回収温水は場内給湯、場内暖房熱源
として利用される。
温水供給のフロー(例)を図 6-10 に示す。
図 6-10 温水供給フロー(例)
-65-
第6章
主要設備方式
また、近年の技術として、廃熱を利用した発電技術およびトランスヒートコンテナを参考
として示す。
これらの技術は、ごみ処理の本質にかかる部分ではなく、ごみ処理の安定性・安全性に支
障を与えるものではない。本施設を計画していく中で、これらの新しい技術についても熱の
有効利用を図るための選択肢の 1 つとして位置付け、活用の可能性について検討を進めるも
のとする。
≪廃熱を利用した発電技術≫
廃熱を利用した発電は、新しい技術により大規模な設備以外でも発電が可能となってきた
が、発電量と施設整備費および維持管理費等のコストバランスを充分検討したうえで設置の
可否を判断することが重要と考える。廃熱を利用した発電には、以下に示す方法がある。
表 6-12 廃熱を利用した発電方法
利用方式
発電方法
発電サイクル
廃熱回収ボイラで水を沸騰させ、水蒸気
高温廃熱
水蒸気
廃熱
廃熱回収
ボイラ
でタービンを回転し発電する。
高温で安定した熱供給が必要。
水
蒸気
タービン
発電機
蒸気
タービン
発電機
復水器
温水により、沸点の低い媒体を蒸発気化
させ、気化媒体でタービンを回転し発電
低温廃熱
する。比較的低温の熱源でも利用可能。
高温廃熱利用に比べて、発電出力は小さ
温水
気化媒 体
蒸発器
気化媒体
冷却器
い。
70∼95℃程度の温水で発電する「マイクロバイナリー」システム
資料:日本経済新聞HP
-66-
第6章
主要設備方式
≪廃熱利用事例(トランスヒートコンテナ)≫
トランスヒートコンテナは工場などから出る低温(200℃以下)の廃熱を潜熱蓄熱材(英:
Phase Change Material)に回収して蓄熱し、遠く離れた場所に搬送して熱エネルギーを利用
する技術である。
廃熱を利用することにより二酸化炭素(CO2)の削減や省エネルギーが図れ、パイプライン
などのインフラを整備する必要がないため導入コストも低くできるメリットがある。
≪従来の熱供給事業≫
・導管によるオンライン方式
・熱供給区域が、熱源施設の近距離に限られる。
・中・低温排熱の活用が難しい。
・インフラ整備のコスト高
≪トランスヒートコンテナ≫
・トラック輸送によるオフライン方式
・熱供給区域が熱源施設より約 20km と広範囲
・中・低温排熱を有効活用できる。
・設備コストが安価。
資料:三機工業HP
-67-
第6章
主要設備方式
6.2 リサイクルセンター
6.2.1 リサイクルセンターの計画諸条件
リサイクルセンターの計画諸条件は表 6-13 に示すとおりである。
なお、計画処理量および施設規模については、今後の基本設計等(ごみ排出量の将来推計
の見直しを行った)の段階で見直しを行うものとする。
表 6-13 リサイクルセンターの計画諸条件
処理方式
破砕・選別資源化処理方式
稼働時間
5h/日
計画処理量
2,280t/年
(直接保管対象物:495t/年)
施設規模
11t/日
6.2.2 破砕設備の性能条件
(1) 破砕寸法
破砕物の最大寸法は、おおむね 150mm 以下とする。なお、最大寸法とは、150mm 目のふる
いを通過する重量が 85%以上であることをいう。
(2) 選別物の純度及び回収率
選別物の純度及び回収率は、表 6-14 に示すとおりとする。
表 6-14
選別物の純度及び回収率
純度
回収率
鉄
95%以上
90%以上
アルミ
85%以上
60%以上
-68-
第6章
主要設備方式
6.2.3 施設の構成と処理の流れ
リサイクルセンターにおける設備構成と処理フローを図 6-11 に示す。不燃ごみラインでは、
粗大ごみ、不燃ごみを破砕し、資源を回収する。粗大ごみは、受入ヤードへ搬入し、粗大ご
みを選別後、受入ホッパに投入する。不燃ごみは受入ヤード内での処理不適物選別後、受入
ホッパに投入する。その後、破砕・選別処理を行い、回収した資源はストックヤード保管、
選別残渣はごみ焼却施設にて処理する。
また、処理対象資源ごみ処理ラインでは、収集または直接搬入された資源ごみ(空き缶、
空きびん・ガラス類、ペットボトル、プラスチック製容器包装)の選別・圧縮等の処理を行
う。ストックヤードでは、不燃ごみ処理ライン及び処理対象資源ごみ処理ラインで回収した
資源物及び直接保管資源ごみ(金属類、古紙類、古着、食用油、有害ごみ)の保管を行う。
なお、資源ごみ処理ラインについては、建設用地の広さや処理の効率化、整備費の低廉化
を図るため、処理ラインの統合について検討を行うものとする。
図 6-11 設備構成と処理フロー
-69-
第6章
主要設備方式
6.2.4 主要設備方式
(1) 受入れ・供給設備
① ごみ計量機
本設備は、ごみ焼却施設との兼用とする。
② プラットホーム
本設備は、投入作業が安全かつ容易なスペース、構造を持つものとし、臭気対策の観点か
ら屋内式(一方通行、通り抜け式)とする。また、有効幅は 20m を確保する。
床面に落ちこぼれたごみを容易に受入ホッパに投入できるように配慮を行うとともに、床
洗浄のために要所ごとに水栓を設け、洗浄水の水はけを容易にするため適正な床勾配をとり、
必要箇所に排水溝を設ける。
③ プラットホーム出入口扉
本設備は、臭気の遮断等を目的とし設置する。設置数は入口が 1 基、出口が 1 基とし、扉
と連動で動作するエアーカーテンを設置する。
④ 受入ヤード
本設備では、粗大ごみ、不燃ごみ、空き缶、空きびん・ガラス類、ペットボトル及びプラ
スチック製容器包装を一時保管することを目的とし設置する。
受入ヤードは、ごみ収集車が安全かつ容易に搬出入及び荷下ろしでき、ショベルローダ等
が単純な動線でごみの一時貯留と受入ホッパへの投入が行うことができる面積を確保すると
ともに、ごみの飛散対策を講ずる。
-70-
第6章
主要設備方式
(2) 破砕設備
本設備は、所定量のごみを目的に適した寸法に破砕することを目的とし設置する。
粗大ごみ及び不燃ごみ用破砕機の適合機種選定表は、表 6-15 及び図 6-12 に示すとおりで
ある。
表 6-15 適合機種選定表
処理対象ごみ
機種
型式
可燃性
不燃性
粗大ごみ
粗大ごみ
不燃物
プラス
○
△
×
×
横型
○
△
×
×
横
スイングハンマ式
○
○
○
△
型
リンググラインダ式
○
○
○
△
竪
スイングハンマ式
○
○
○
△
リンググラインダ式
○
○
○
△
低速回転
単軸式
○
△
△
○
破砕機
多軸式
○
△
△
○
切断機
高速回転破砕機
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
-71-
記 事
項
チック類
竪型
型
特
バッチ運転のため大量
処理には複数系列の設
置が望ましい。
スプリング入りマット
レス、スチール入りタ
イヤ、金属塊、コンク
リート塊等は処理が困
難。
じゅうたん、マットレ
ス、タイヤ等の軟性物
やプラスチック、フィ
ルム等の延性物は処理
が困難。
軟性物、延性物の処理
に適している。
可燃性粗大の処理に適
している。
第6章
主要設備方式
【竪型切断機】
【横型切断機】
【低速回転破砕機】
【横型高速回転破砕機】
【竪型高速回転破砕機】
図 6-12
破砕機の例
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
-72-
第6章
主要設備方式
(3) 搬送設備
本設備は、ごみを円滑に搬送することを目的とし設置する。代表的な形式は、図 6-13 に示
すとおりである。
搬送設備はコンベア上での火災を防止する観点から、難燃性の素材を採用する。
図 6-13 代表的なコンベヤ
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
(4) 選別設備
選別機の分類は表 6-16、各選別機の概要は以下に示すとおりであり、使用目的によって、
型式が異なる。
表 6-16
型
選別機の分類
式
原理
使用目的
磁気型
吊下げ式、ドラム式、プーリ式
磁力
鉄分の分離
ふるい分け型
振動式、回転式、ローラ式
粒度
破砕物の粒度別分離と整粒
渦電流型
永久磁石式、リニアモータ式
渦電流
非鉄金属の分離
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
-73-
第6章
主要設備方式
① 磁気型選別機
磁気型選別機の一例は、図 6-14 に示すとおりである。
図 6-14
磁気型選別機
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
-74-
第6章
主要設備方式
② ふるい分け型選別機
ふるい分け型選別機の一例は、図 6-15 に示すとおりである。
【振動式】
【回転式】
【ローラー式】
図 6-15
ふるい分け型選別機の例
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
-75-
第6章
主要設備方式
③ 渦電流型選別機
渦電流型選別機の一例は、図 6-16 に示すとおりである。
図 6-16
渦電流型選別機(永久磁石式)の例
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
-76-
第6章
主要設備方式
(5) 再生設備
再生設備は、選別した有価物を必要に応じて加工し輸送や再利用を容易にすることを目的
とし設置する。設備概要は以下に示すとおりである。
① 金属圧縮機
金属圧縮機は、図 6-17 に示すようにスチール缶、アルミ缶、破砕鉄、破砕アルミ等を圧
縮成形し減容化するものである。
油圧一方締め金属圧縮機
油圧二方締め金属圧縮機
油圧三方締め金属圧縮機
図 6-17
金属圧縮機
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
-77-
第6章
主要設備方式
② ペットボトル圧縮減容機
収集したペットボトルを圧縮梱包するためのペットボトル圧縮減容機を図 6-18 に示す。
ペットボトルの圧縮梱包品の寸法は容器包装リサイクル協会が推奨する寸法とする。梱包
方法はppバンドによる結束方法とする。
表 6-17 ペットボトル・廃プラスチック圧縮梱包品の推奨寸法
処理対象物
圧縮梱包品寸法
①600mm×400mm×300mm
ペットボトル
廃プラスチック類
図 6-18
②600mm×400mm×600mm
③1,000mm×1,000mm×1,000mm
ペットボトル圧縮減容機
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
③ プラスチック類圧縮梱包機
プラスチック製容器包装を圧縮梱包するプラスチック類圧縮梱包機を図 6-19 に示す。梱
包方法は pp バンド+袋詰め方法とする。
図 6-19
プラスチック類圧縮梱包機
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
-78-
第6章
主要設備方式
(6) 貯留・搬出設備
本設備は、回収した有価物等を場外搬出するまでの間、一時貯留することを目的とし設置
する。
可燃残渣および不燃残渣は貯留ホッパ方式を採用し、搬出車に直接積み込むことが可能な
方式とする。なお、貯留ホッパはブリッジが発生しないよう留意する。
回収した有価物は最大 10t 車で場外搬出する計画であることから、10t 車による搬出作業
に支障がないストックヤードを設置するものとする。
図 6-20
貯留ホッパ方式
資料:ごみ処理施設整備の計画・設計要領 2006 改訂版
-79-
第6章
主要設備方式
【ストックヤード】
≪保管対象物≫
ストックヤードでの保管対象物は、表 6-18 に示すとおりである。
表 6-18
ストックヤードでの保管対象物
非破砕物
金属類
古紙類
直接保管
古着
食用油
有害ごみ
草木類(一時貯留)
鉄缶
アルミ缶
透明びん
処理後保管
茶色びん
その他びん
ペットボトル
プラスチック製容器包装
≪ストックヤードの規格の基本的な考え方≫
ストックヤードの施設規模は、「容器包装廃棄物の分別収集に関する省令」(厚生省令第
61 号、平成 7 年 12 月 14 日)に準拠した施設とするため、10t 車 1 台分の積載量以上の分量
を保管する必要がある。作業性を考慮すると 10t 車 1 台分以上のスペースが必要となる。
直接保管するもの及びびん類は、片押し・山積み保管、圧縮成形・梱包するものはパレッ
ト保管とする。
-80-
第6章
主要設備方式
6.3 最終処分場
6.3.1 埋立構造
最終処分場に求められる機能は、所要量の廃棄物が埋め立てられることや、生活環境及び
周辺環境の保全上、埋め立てられた廃棄物が安全に貯留でき、かつ確実な遮水工による公共
用水域への汚染防止が可能であるということである。
また、廃棄物の早期安定化及び浸出水の減量化が図れるとともに、埋立て終了後において
は、地域還元機能を有する施設とすることが要求される。
最終処分場の構造形式には、オープン型(従来型)とクローズド型(覆蓋型)に区分され、埋
立容量、周辺環境の保全、景観、跡地利用性、経済性等を考慮する必要がある。
表 6-19 にオープン型(従来型)とクローズド型(覆蓋型)の特徴についての比較表を、表 6-20
に経済比較を示す。
コストの比較では、オープン型が優位となる。しかし、クローズド型は閉鎖空間内で人工
的に廃棄物の飛散等の制御が可能となるため、住民の同意が得られやすい上、生活環境への
影響は大幅に軽減できるといったメリットがある。
また、最終処分場の施設整備基本方針では、『最終処分場は埋立対象物を将来的に再生・
資源化を図るための一時的なストックヤードとしての機能を併せ持った施設とする』を掲げ
ており、一時保管という観点から考えると、気象条件等に左右されない閉鎖的空間によって
保管し、管理することが望ましいものと考えられる。
以上の理由から、本市が整備する最終処分場の構造形式はクローズド型とする。
【最終処分場の構造形式】
クローズド型
-81-
第6章
表 6-19
オープン型(従来型)とクローズド型(覆蓋型)の特徴比較
オープン型(従来型)
概要
クローズド型(覆蓋型)
地形を最大限活かした計画することが可能なことから、大規模な最終処分
最終処分場の上部に掛ける被覆施設(屋根)により、外部環境からの影響を
場を設置する場合に適している
受けないことや、周辺環境や景観との調和が可能な施設である
一方で、埋立作業や維持管理等が天候に左右されるため、廃棄物の飛散やゲ
被覆施設(屋根)が高額なことから、小規模な最終処分場や埋立作業の支障
リラ豪雨等による浸出水発生量の増加が課題となっている
となる降水量や積雪の多い地域への設置に適している
写真:名護市一般廃棄物最終処分場
写真(イメージ):屋久島クリーンサポート最終処分場
竣
工:平成 7 年
埋立面積: 20,000 ㎡
埋立容量:185,000 ㎥
写真
特徴比較
主要設備方式
自然環境の制御
生活環境への影響
内部環境
降水など
気象条件に左右されるため、最終処分場のコントロールに技術と経験が必要
となる
公共用水域水質、埋立ガス、臭気、 気象条件のコントロールが困難なため、生活環境へ影響が生じる可能性があ
廃棄物の飛散、害虫・獣など
る
被覆施設により、最終処分場を降水などの気象条件からコントロールするこ
とが可能となる
閉鎖空間内で人工的に制御できるため、生活環境への影響は大幅に軽減でき
る
埋立ガス、臭気、廃棄物の飛散、
害虫・獣、温度など
中間覆土、最終覆土により対処する
閉鎖空間のため、内部作業環境維持のため換気などの対策を必要とする
人工的に安定化促進を行う
人工散水、好気埋立(または準好気性埋立)による安定化促進が可能である
オープン型(従来型)に比べ廃止までの期間は短くなると予想される
被覆施設面積を抑えるために小規模な最終処分場に適する
埋立地の安定化と
廃止時期
即日覆土、中間覆土、最終覆土などにより対処する
基本的に、自然的に安定化される
自然降雨、準好気性埋立により、安定化は自然まかせである
埋立地の主要
最終処分場
地形を活用することで大規模な最終処分場容量の確保が可能
施設の特徴
貯留構造物
(被覆施設を含む)
山間地ではダムタイプ、平地では掘り込みタイプ主体
掘り込みタイプが主体である
被覆施設の種類は数種類ある
遮水工
遮水工へ日射対策等の外部要因に留意する必要がある
遮水工へ与える外部要因が少ない
浸出水処理施設
施設規模が最大降水量により決定されるため大規模になる
被覆施設により降水の影響を受けないため、浸出水の発生量は散水程度の少
量となり、施設規模が小さくなる
浸出水調整槽
豪雨時に対応する調整槽が必要なため、大規模となる
人工散水量に対する調整槽となるため小規模となる
跡地利用
埋立終了後からの跡地利用が可能
埋立終了後からの跡地利用が可能
被覆施設(屋根)があるため、屋内施設として利用可能
埋立作業
天候に左右される
埋立作業が容易である
天候に大きく左右されるため維持管理がクローズド型(覆蓋型)に比べ困難で
ある
天候に左右されない
閉鎖空間のため作業環境に留意する必要がある
場内環境がコントロールできるため維持管理も容易である
埋立地の悪いイメージが強い
住民同意が得られにくいことがある
外見からはクリーンなイメージの施設である
オープン型(従来型)に比べ、住民の同意が得られやすい
維持管理
合意形成
-83-
第6章
主要設備方式
表 6-20 オープン型(従来型)とクローズド型(覆蓋型)の 経済比較表
オープン型(従来型)
概略図
廃棄物容量=8,000 ㎥
(800t/年÷1.5t/㎥×15 年)
※体積換算係数は、廃棄物が飛灰の固化物となることから、廃棄
物ハンドブック P-635 より、スラグと焼却残渣の平均値程度と
設定し 1.5t/㎥ とした。
区分 埋立材の種類
埋立材の工学的性質
良質土砂
ガレキ類
金属類
ガラス類
スラグ
良質土砂を主体とした
これらの混合物は一般
に単位体積重量が大き
く、締固め、かみ合い
状態、透水性良好であ
る。
灰
焼却残渣
石炭がら
各工場より排出される
灰類および焼却場から
の焼却残渣である。粒
度は細砂∼れき(礫)
を考える。単位体積重
量が小さく、一部浮遊
することも考えられる
が、透水性、締固めは
良好である。
①
②
単位体積重量
(水中)
(tf/m 3)
1.8
(1.0)
1.2
(0.4)
地 盤 性 状
沈下、強度に関し
ても十分安定な地
盤を造成すること
ができる。
十分に締固めを行
うことによって、
安定な地盤を造成
することができ
る。十分な締固め
を行わなければ流
動化するなど、不
安定な地盤とな
る。
貯留施設
浸出水集排水施設
投入設備
被覆施設
照明設備
換気設備
散水設備
ガス検知装置
熱回収施設の工事範囲とし、項目から除外
熱回収施設と兼用とし、項目から除外
二重遮水
一重遮水
(突起付遮水シート:クローズド型の壁面)
コンクリート擁壁
底面積
スライダー式
鉄骨造(システム建築)
セラミックメタルハライドランプ
ルーフファン
スプリンクラー
吸引式
水処理施設
浸出水調整槽
処理能力
コンクリート造
計画規模
埋立容量:12,000 ㎥ (8,000(廃棄物容量)×1.5(覆土量))
埋立地[土羽構造]:30m(幅)×50m(長さ)×5m(高さ)
70m
50m
5m
50m
30m
数量
金額(億円)
15,000
―
―
3,000 ㎡
20,000
備考
数量
金額(億円)
―
―
0.5 億円
―
―
2,100 ㎡
―
―
0.4 億円
―
―
1,000 ㎡
0.2 億円
500,000
5,000
10,000,000
70,000
10,000,000
20,000,000
10,000,000
20,000,000
―
1,500 ㎡
―
―
―
―
―
―
―
0.1 億円
―
―
―
―
―
―
200m
2,100 ㎡
1式
2,100 ㎡
1式
1式
1式
1式
1.0 億円
0.2 億円
0.1 億円
1.5 億円
0.1 億円
0.2 億円
0.1 億円
0.2 億円
20,000
30 ㎥/日
1,500 ㎥
4.0 億円
0.3 億円
10 ㎥/日
―
2.0 億
―
4.9 億円
直接工事費×1.5
電気、水道、薬品費
30 年間
7.4 億円
3 億円
水処理量:5,200m3/年÷365 日=14.3m3/日
年間の維持管理費:10,000 千円/年×30 年=3 億円
合
計
70m
5m
30m
直接工事費 計
工事費 計
維持管理費
計画規模
埋立容量:10,000 ㎥ (8,000(廃棄物容量)×1.25(覆土量))
埋立地[コンクリート造]:30m(幅)×70m(長さ)×5m(高さ)
被覆施設[鉄骨造]: 〃
問 題 点
1. 安定な地盤を造成でき
るので、構造物の建設
にあたっては、特に問
題はない。ただし、粗
大がれき類の埋立ては
場所を定めて行う必要
がある。
1. 締固め程度により基礎
地盤としての判定を行
うことが必要である。
2. 焼却残渣による水質汚
濁がある。
概略単価
(円)
造成工事費
管理棟・計量機
遮水工事
クローズド型(覆蓋型)
10.4 億円
備考
6.0 億円
30 年間
9.0 億円
2.1 億円
水処理比率:10.0m3/日÷14.3m3/日=0.7
年間の維持管理費:10,000 千円/年×0.7×30 年=2.1 億円
11.1 億円
※単価は他事例の実績より設定。
-85-
第6章
主要設備方式
6.3.2 最終処分場の計画諸条件
最終処分場の計画諸条件は表 6-21 に示すとおりである。
最終処分場の計画諸条件のうち、埋立面積は建設用地の形状等を踏まえ、最適な面積を決
定する。また、浸出水処理施設の規模は、計画流入水量と蒸発散量、埋立容量等によって決
定される。最終処分場の計画諸条件については、基本設計段階において、建設用地の状況を
踏まえた見直しを行うものとする。
表 6-21
最終処分場の計画諸条件
埋立構造
クローズド型準好気性埋立構造
埋立面積
2,100m2 程度
埋立容量
10,000m3/15 年間
埋立対象物
浸出水処理施設
施設規模
被覆施設構造
焼却残渣(飛灰)
不燃性廃棄物(セメント原料不適物等)
10m3/日程度
鉄骨造
6.3.3 遮水方式
遮水工は、浸出水による公共用水域や地下水の汚染、ならびにこれらに起因する周辺環境
への悪影響を防止することや、周辺の地下水の流入によって浸出水量が増加することを防止
するために設置するものである。
(1) 遮水工の必要性
最終処分場に遮水工が必要かどうかの判断は、現地の地質、地下水条件によって判断され
る。
一般廃棄物の最終処分場及び産業廃棄物の最終処分場に係る技術上の基準を定める省令
(以下、基準省令という。) においては、「5m 以上、かつ透水係数が 100nm/s(1×10-5)以下
である連続した地層があること」が、遮水工が不必要な条件となっているため、この条件を
満たさない場合には「遮水工」を設置する必要がある。
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第6章
主要設備方式
(2) 遮水工の種類
遮水工の種類には、「表面遮水工」と「鉛直遮水工」とに大別されるが、多くの最終処分
場が「表面遮水工(以下、遮水シートという。)」を採用している。
図 6-21
表面遮水工の種類
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第6章
主要設備方式
(3) 遮水シートの材質
遮水シートには図 6-21 に示すとおり多くの材質があるが、遮水シートの選定については、
日本遮水工協会が定める基準(自主基準)を参考に、現地に適した材質を選定する必要がある。
表 6-22
日本遮水工協会 自主基準
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第6章
主要設備方式
(4) 遮水構造
遮水シートを使用した場合の遮水構造は、基準省令では図 6-22 に示す構造となっており、
遮水シートの上部に 50cm 以上の保護土を行う必要がある。
また、壁面部では、法面勾配が 50%以上で、浸出水の貯水のおそれがない場合に限り、例
外規定である「一重遮水シート」の設置が可能となっている。
≪底面部≫
【 粘土 + 遮水シート 】
【 アスファルト・コンクリート + 遮水シート 】
【 二重遮水シート 】
≪壁面部≫
図 6-22 遮水構造
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第6章
主要設備方式
6.3.4 発生ガス処理方式
本最終処分場で埋立てられる廃棄物の種類が不燃系主体のものであることから、埋立ガス
の発生量は少ないものと考えられる。
オープン型(従来型)の場合は、埋立ガスが自然に大気拡散されるが、クローズド型(覆蓋型)
の場合は閉鎖空間による埋立処分となるため、埋立ガスによる作業環境の悪化や中毒・爆発
などの危険が生じないように、ガス抜き施設及び埋立ガス濃度の監視が必要となる。
(1) ガス抜き施設の構造
最終処分場内で発生する埋立ガスは、埋立地内の浸出水集排水管から竪型集排水管や法面
上の排水管を経由して大気拡散させる構造が多く採用されている。
廃棄物最終処分場の性能に関する指針について(通知)には「竪型保有水等集排水管を兼用
する場合にあっては管径 200mm 以上であること」また「2,000 ㎡に 1 箇所以上設置されてい
ること」とある。
図 6-23 ガス抜き施設イメージ図
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第6章
主要設備方式
(2) 埋立ガスの監視
クローズド型(覆蓋型)の場合は、最終処分場内へセンサーを設置する「ガス検知システ
ム」の導入やガス検知器を作業員に携帯させる等により、作業員の安全性を図る必要がある。
また、その他に作業環境の保全として「温湿度」「臭気」「照度」などにも留意する必要
がある。
≪ 監視する埋立ガスの種類≫
場内環境で維持すべきガスの種類及び濃度を表 6-23 に示す。
表 6-23
監視する埋立ガスの種類及び維持すべき基準
目的
作業者の安全を確保する観点か
ら監視する項目
良好な作業環境を確保する観点
(臭気)から監視する項目
埋立ガス種
維持すべき基準
水素ガス
1.2%以下
メタンガス
1.5%以下
窒素酸化物
25ppm 以下
一酸化炭素
50ppm 以下
二酸化炭素
1.5%以下
酸素
18%以上
硫化水素
1ppm 以下
アンモニア
1ppm 以下
硫化水素
0.02ppm 以下
資料:はじめてのクローズトシステム処分場、クローズドシステム処分場開発研究会
を一部加筆修正
-92-
第6章
主要設備方式
6.3.5 被覆施設
被覆施設は降水を排除するために埋立地の全面積または一部を覆うことで、浸出水の発生
量を抑え浸出水処理量施設の縮小化を行うとともに、公共用水域の汚染リスクの回避を行う
ものである。
その他に、廃棄物の飛散や悪臭の拡散を防止するとともに、周辺環境からの景観にも配慮
された施設となる。
(1) 被覆施設の躯体構造
一般的な被覆施設の躯体構造の種類を表 6-24 に示す。このうち、ラーメン構造から平面ト
ラス構造までの種類が最終処分場に多用されている。
表 6-24
躯体構造の種類
資料:廃棄物最終処分場整備の計画・設計要領 2010 改訂版
-93-
第6章
主要設備方式
(2) 被覆施設の屋根・壁面部材
屋根・壁面部材の材料に要求される機能は、維持管理が容易で、自然採光が得られること
である。
また、施工面では躯体構造との相性や工期の短縮化、多目的空間としての利用性等も考慮
して材質を設定する必要がある。
一般的には、折板材料や膜材料が最終処分場に多用されている。
6.3.6 浸出水処理施設
被覆施設を設けた最終処分場は、閉鎖された空間内で浸出水処理を管理制御できるのが特
徴であり、原則として、安定化のための人工散水を行うことが基本である。
(1) 浸出水処理方式
本施設における浸出水処理は、廃棄物の安定化のための人工散水や焼却施設の冷却水とし
ての利用を考慮した無放流循環式、または放流式とし、建設用地における下水道の活用を含
めて検討する。
無放流循環式の際には、塩類の濃縮が生じる可能性があり、脱塩処理を考慮した処理方式
とする。また、散水用の補給水源を確保する。
なお、被覆施設を設けた最終処分場における処理水水質の設定例を表 6-25 に示す。
表 6-25 処理水水質設定(例)
項目
単位
処理水水質
pH
−
5.8∼8.6
BOD
mg/L
10∼20
COD
mg/L
10∼20
全窒素(T-N)
mg/L
10∼20
浮遊物質(SS)
mg/L
10∼20
蒸発残留物(TS)
mg/L
<500
塩化物イオン(Cl )
mg/L
<200
カルシウムイオン(Ca2+)
mg/L
<10
ダイオキシン類(DXNs)
pg-TEQ/L
<10
-
資料:廃棄物最終処分場整備の計画・設計要領 2010 改訂版
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第6章
主要設備方式
(2) 浸出水処理フロー
本施設においては、焼却残渣と不燃性廃棄物が埋め立てられる。
一般的に、浸出水処理は複数の処理プロセスにより成り立っている。浸出水処理の基本処
理フローを図 6-24 に示す。
建設用地の状況により、下水道への排水が可能であれば処理設備の簡素化が図れ、維持管
理も比較的容易となる。一方、無放流循環式を採用する場合は、Ca対策、脱塩を考慮した
処理プロセスを構成する可能性があることから、維持管理も複雑となる。
図 6-24
浸出水処理の基本処理フロー
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第6章
主要設備方式
6.3.7 埋立作業
埋立作業は、埋立工法、埋立順序などを勘案して適切に行う必要があり、廃棄物が最終処
分場へ搬入されてから埋め立てられるまでの作業、また即日覆土や埋立の進捗に伴う竪型集
排水管の延伸などの付帯的な作業が相互に関連して計画的に進められている。
これらの一連の作業をフローにすると図 6-25 に示すとおりとなる。
図 6-25 埋立作業フロー
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第6章
主要設備方式
6.3.8 モニタリング計画
埋め立てられる廃棄物、浸出水および埋立ガス等によって、周辺環境に影響を及ぼすこと
のないように、モニタリング計画を定め、定期的な測定を行う必要がある。
最終処分場のモニタリングでは、埋め立て開始前後のモニタリングが重要であり、モニタ
リングに関しては、基準省令の維持管理基準にその実施が義務付けられている。
また、義務付けされていない項目についても併せてモニタリングを行うことにより、浸出
水処理施設の適正な維持管理や、埋立地の安定化の評価としての活用も可能であるとともに、
将来の最終処分場の計画を行ううえでの重要な情報源にもなる。
基準省令で義務付けされている項目も含めたモニタリング計画(例)を表 6-26 に示す。
表 6-26
分類
搬入廃棄物
埋立地内
浸出水処理施設
内 容
搬入廃棄物
焼却残渣
(焼却灰、ばいじん)
気象
埋立地内浸出水水位
浸出水量
埋立ガス量
埋立ガス量組成
埋立ガス量温度
廃棄物埋立層沈下
放流水量
脱水汚泥
浸出水(原水)、放流水
水質
地下水(地下水モニタリ
ング井戸、地下水集排水
ピットなど)
地下水(その他周辺井戸
など)
河川水
河川水(農業用水)
地下水
地下水位
悪臭
最終処分場敷地境界
底質
浸出水処理水流入地点
土壌
埋立地周辺
騒音・振動
大気質
機械稼働騒音・振動
道路交通騒音・振動
埋立地下流
モニタリング計画(例)
項 目
物理組成(直接搬入家庭系、事業系不燃ごみ)
熱灼減量
溶出試験、ダイオキシン類含有量
降雨量、風向・風速
水位計設置
流量計設置
メタンガスと炭酸ガス量の含有量 ○か所
CH4、 CO、 CO2、 N 2、 O2、 NH3、 H2S ○か所
廃棄物層内温度 ○か所
沈下計設置 ○か所
流量計設置
含水率
2+
溶出試験(溶出基準検査項目、 Ca 、 Cl− など)
2+
pH 、 BOD、 COD、 SS、 T-N、 Ca 、 Cl− など
上記以外の排出基準等項目、ダイオキシン類など
pH 、 EC
Cl− 、 BOD、 COD、 SS、 大腸菌群類
地下水環境基準項目(26項目)、ダイオキシン類など
Cl− 、地下水の水質汚濁に係る環境基準項目(26項
目)、ダイオキシン類などの必要項目
2+
pH 、 BOD、 COD、 SS、 T-N、 Ca 、 Cl− など
水質汚濁に係る環境基準項目など
2+
pH 、 BOD、 COD、 SS、 T-N、 Ca 、Cl− など
農業用水基準、上記以外の水質汚濁に係る環境基準項
目
地下水モニタリング井戸 2か所以上
地下水集排水ピットなど 1か所以上
その他周辺井戸など 必要ヵ所
悪臭22物質、臭気指数 1か所以上 土壌環境基準(27項目)、ダイオキシン類、 pH、 Cl−
1か所以上
土壌環境基準(27項目)、ダイオキシン類、 pH、 Cl−
1か所以上
周辺人民家付近 1か所
搬入道路沿道に民家付近 1か所
粉じん 1か所
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頻 度
1回/年以上
4回/年以上
1回/年以上
自動測定
自動測定
自動測定
2回/年以上
2回/年以上
2回/年以上
1回/年以上
自動測定
4回/年以上
1回/年以上
1回/月以上
1回/年以上
自動測定
1回/月以上
1回/年以上
必要に応じて
1回/月以上
1回/年以上
1回/月以上
1回/年以上
4回/年以上
1∼2回/年
1回/年
1回/年
1回/年
1回/年
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