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地域包括ケアとまちづくり
労働政策研究・研修機構 研究員 堀田聰子
[email protected]
1
なぜいま地域包括ケアシステムか

複数の慢性疾患を抱えながら地域で暮らす人の増加


急性期医療を中心として構築されてきたヘルスケアシステムにおける
長期ケアにかかわるサービスの断片化、医療的ケアと社会的ケアの
連続性の欠如が 「患者にと てのサ ビ の質 「資金や資源の無
連続性の欠如が、「患者にとってのサービスの質」、「資金や資源の無
駄遣い」の両面から大きな問題に
健康概念の変化 支援観の変化
健康概念の変化、支援観の変化


「病気と認められないこと」から「心身の状態に応じて生活の質(QOL)
が最大限に確保された状態」を中心とするものに
「治す」から「支える」へ
「住み慣れた地域での尊厳ある暮らしの継続
住み慣れた地域での尊厳ある暮らしの継続(Aging in Place)
Place)」
「生活の質の向上
生活の質の向上」をサービスのアクセス・質・利用者満足度
生活の質の向上」をサ
ビスのアクセス・質・利用者満足度
・効率性を改善しながら実現するかもしれないシステムへの「期待
期待」
2
(参考)生活モデル
出所:一橋大学猪飼周平教授作成資料
出所
橋大学猪飼周平教授作成資料
特徴



21世紀におけるケアのあり方は20世紀のそれとは違うということを示す言葉
目標が生活の質(QOL)の改善に置かれる
生活の質が広範な環境的要因の連鎖によって規定されるという因果観
国際障害分類(ICIDH)における障害モデル
disease or disorder
病気/変調
impairment
機能障害
disability
handicap
能力障害
社会的不利
国際生活機能分類(ICF)2001
3
地域包括ケアとは 2 の ンセプト
地域包括ケアとは:2つのコンセプト
地域を基盤とするケア(community
(community-based
based care)
公衆衛生アプローチに立脚し、地域の健康上のニーズ、健康に関する
信念や社会的価値観にあわせ、地域社会による参画を保証しながら
構築されるケア〔Plochg and Klazinga(2002)〕
統合ケア(integrated care)
診断・治療・ケア・リハビリテーション・健康増進に関連するサービスの
投入・分配・管理と組織をまとめる概念〔Gröne and Garcia-Barbero(2001)〕
地域における最適を地域が自ら選ぶことが重要
※諸外国における統合ケアをめぐる動向及び我が国への示唆については筒井孝子(2012)「地域包括ケアシステムに関する
国際的な研究動向」高橋紘士編『地域包括ケアシステム』オーム社等を参照のこと。
4
Wagnerらの慢性疾患ケアモデル(CCM)
:変わる患者−専門職関係
変わる患者 専門職関係
コミュニティ
医療システム
資源と政策
ヘルスケア組織
ルスケア組織
セルフマネジメント
(自己管理)支援
情報 スキルを得て
情報・スキルを得て
活性化された患者
供給システム
デザイン
生産的
相互関係
意思決定
支援
臨床情報
システム
先を見越して準備が
できた多職種チーム
自らの生活を自ら支える
「自助」の主体
本人・家族の選択と心構え
本人
家族の選択と心構え
(地域包括ケア研究会2012)
機能・臨床的アウトカムの向上
機能
臨床的アウトカムの向上
出所:Wagner et al.(1999、2001)
5
(参考)慢性疾患ケアのための
コアコンピタンス
ピ
患者中心ケア
1.




効果的なコミュニケーション
健康行動変容のサポート
健康行動変容のサポ
ト
セルフマネジメント支援
プロアクティブアプローチ
協働(P t i )
協働(Partnering)
2.



患者と
他の提供者と
コミュニティと
質向上
3.



プロセス・成果の測定
学習→変化
エビデンスを実践に反映
ICT
4
4.



患者の登録
パートナーとのコミュニケーション
コンピュータ技術の活用
公衆衛生視点
5.



Population-based care
予防重視とケアの連続を横断する働き
プライマリケア主導のシステム
出所:WHO(2005) Nolte and McKee(2008)
出所:WHO(2005)、Nolte
6
(参考)NHS改革とセルフケア


ケアを必要とする多くの人にとってセルフケアが重要、セルフケアは
Qol及び患者満足度↑医療資源節減につながる→セルフケア振興が
不可欠〔イギリス保健省(2005)『セルフケア白書』〕
「self-care
self care continumm」という概念を用いて、セルフケアと専門職
ケアの配分や焦点が心身状況に応じて変化していくことを示すとと
もに、セルフケアサポートのあり方を整理する。
7
出所:Department of Health (2006) Our health, our care,
our say: a new direction for community services
出所: http://www.selfcareforum.org/
3つのチャレンジ

長期ケアを「地域ケア」として再編・充実



共生のまちづくり:自立と支えあい



5つの構成要素を通じた地域マネジメント
構成要素を通じた地域 ネジメ ト
多職種協働の深化・促進
多主体連携による<私たちの>まちづくり
地域に根ざす学び
労働政策との連動


ジョブ型労働市場の形成
多様な無期雇用形態の整備
8
1 「地域ケア」の再編・充実
1-1 5つの構成要素を通じた地域マネジメント

自治体における地域マネジメントの充実





統合的アプローチ(住民の多様な課題を一元的に把握、地域の経済・文化・
社会資本にあわせて再構成、課題と資源を結びつけて解決)
地域包括支援センターの機能強化
地域ケア会議の活用
自治体職員の育成やロ テ ションのあり方の検討
自治体職員の育成やローテーションのあり方の検討
市町村の客観的評価



5つの構成要素を通じた「海図」の必要性



都道府県による後方支援
介護政策評価支援システムや介護保険給付分析ソフト等の活用
「地域包括ケア計画」…
「地域包括ケ
計画
「地域包括ケ 課
「地域包括ケア課」へ?
圏域単位でのサービスの質、パフォーマンス評価の枠組みの検討
当事者主体の政策形成

患者・利用者・消費者・居住者、介護者、専門職…の参加、対話
9
1-2 多職種協働の深化・促進

我が国の文脈に即した多職種地域ケアの機能強化

保健・福祉・介護・医療政策部局を横断した長期的な展望
保健
福祉 介護 医療政策部局を横断した長期的な展望
~領域別・対象別に専門分化する保健・福祉・介護・医療をこえて

市町村が主体的に構想
~地域包括支援センター、在宅医療連携拠点、地区医師会や関係職種の専門職団体、
事業者団体、住民を巻き込んで地域包括ケアの基盤として

地域住民の伴走者、地域社会を強化しつつ連携を促す人材とは





健康増進・自己管理推進、疾病予防・早期発見
End of life careに至る意思決定支援
ゲートオープナー×患者の代理人×コーディネーター
保健・福祉・介護・医療連携のハブ
ブ
地域住民同士の関係強化
~地域看護(Social
地域看護(S i l Community
C
it Nursing)機能
N
i )機能
×家庭医療機能
10
1-2 多職種協働の深化・促進

多職種協働と多職種教育
:質が高いケアの効率的提供の基盤


顔が見える関係づくり×ICTの活用
多職種協働アセスメント



自らの専門性の振り返り、他の職種の専門性を知る、
実践
実践コミュニティにおけるナレッジマネジメント
ィ おけ ナ ッ


生活行為への着目
先を見越したケアに向けた医療の視点
<領域を通じた><専門職自身による>専門性の<継続的発展>へ
地域包括ケアチームの構想へ?


<ライフステージや疾病・障害の別にかかわらず><患者中心の
全人的ケア>を<継続的に>実現する多職種チームの多様なデザイン
病院や施設内資源の地域展開 地域支援機能の強化
病院や施設内資源の地域展開・地域支援機能の強化
11
(事業者や専門職が持つ機能提供の柔軟性を高める)
例:暮らしの保健室(東京都新宿区)
出所:暮らしの保健室 秋山正子氏作成資料
http://www.mhlw.go.jp/bunya/iryou/zaitaku/dl/48.pdf
12
例:岐阜県居宅介護支援事業協議会における多職種連携アセスメント研修
○多職種協働ア
○多職種協働アセスメントの共通言語として「介護ラ・針盤」を開発
ントの共通言語として 介護ラ 針盤」を開発
○チームエントリーによる多職種連携アセスメント研修の実施(県内全域)
第1回:事業導入(8∼9月)~「介護ラ・針盤」を用いたアセスメントすりあわせ、チームとして
第
回 事業導入(
月) 「介護 針盤 を用 た
メ トすりあわ
ムと
共有する具体的な目標設定等
第2回:事例検討(11~12月)~医療と介護職種間の連携強化(主治医からの提案等)、
中間総括を踏まえたケア計画
第3回:事例報告(1~2月)~各地域での取り組み報告、今後のチームケアに向けた課題解決、
次年度へのステップアップ
13
例:生活行為向上マネジメント(日本作業療法士協会)
生活行為向上マネジメント
介護支援専門員と作業療法士が
共通で持つとよいアセスメント項目
出所:日本作業療法士協会平成24年度老人保健健康増進等事業
「生活行為向上の支援における介護支援専門員と作業療法士との
連携効果の検証事業 報告書」
14
例:岐阜版IPE
出所:http://fukushimura.jp/gakkou/inform/index.html
15
例:急成長するオランダの在宅ケア組織Buurtzorg:地域看護師等によるトータルケア
出所 htt //www.igaku-shoin.co.jp/paperDetail.do?id=PA02986_04
出所:http://
www igaku shoin co jp/paperDetail do?id PA02986 04
<事業者概要−BuurtzorgNederland> <特徴:ジェネラリスト地域看護師よるトータルケア>
 地域看護師が2006年に起業した
 約40%が学士レ
約40%が学士レベル以上の地域看護師
ル以上の地域看護師
在宅ケア組織(財団)
 あらゆるタイプの利用者に対して
①
看護師によるニーズアセスメント・ケアプラン作成
 2007年に1チーム4人でスタートし、
②
インフォーマルネットワークのマッピングと活性化
インフォ
マルネットワ クのマッピングと活性化
募集活動をすることなく約540チーム、
募集活動をすることなく約540チ
ム、
③
専門職ネットワークのマッピング(家庭医・パラメディカ
ナース(看護・介護・リハ職)約5,700人
ル・福祉・病院等)と連携・調整
、利用者約5万人に(2013年2月)
④
QOL向上に向けたケア提供(介護・看護・ガイダンス)
 管理部門約35人
※家事援助は関連組織Buurtdienstenと連携も
⑤
共感的・社会関係支援の提供
 売上高約2.3億€、利益率約8%、 間
⑥
セルフケアの支援
を実施
接費8%(他の在宅ケア組織の平均は
 地域看護師が全プロセスに責任を持つ
25%) (2013年)

ケースマネジメントとケア・支援提供の分業はしない
 クライアントあたりのコストは他の在宅
(ジェネラリスト)
ケア組織の半分

細切れの機能別分業ではない包括的ケア提供
 全国の在宅ケア組織のなかで利用者
 セルフケア・インフォーマルネットワークと協働
満足度第1位、従業員満足度高く 最
を重視。専門職によるケアを次第にセルフケ
優秀雇用者賞、オランダで最も成長す
ア・インフォーマルケアに置き換えていく。
る事業者
 家庭医等とともに地域の予防プロジェクトにも
16
 スウェーデン、ベルギー、アメリカ…へ
多く取り組む
<組織の特徴:セルフマネジメントチーム>
<ICTの活用:Health 2.0(Buurtzorgweb)>
 1チーム最大12人のナースが約40∼60
1チ ム最大12人のナ スが約40 60 1. ERP∼アカウンタビリティ
ERP アカウンタビリティ
人の利用者をサポート

従業員・利用者データ、勤務時間・シフト管理、文書
共有、各チームのケア提供状況の把握(透明性)
 利用者、看護・介護職の採用・教育、財
2
OMAHAシステムに基づくEHR∼品質管理
務 イノベ シ ン等全てに裁量と責任 2.
務、イノベーション等全てに裁量と責任。
3. コミュニティ∼ナレッジマネジメント
 リーダーはいない、毎週ミーティングで

ミッション共有と連帯感醸成
役割と責任の確認とリフレクション。

事例やイノベーションの相互学習
事例やイノベ
ションの相互学習
 継続的な学習は利用者との対話、チー

看護・介護職と管理部門のコミュニケーション
ムにおけるリフレクションと

組織の意思決定
Buurtzorgwebが基本。
 高等職業教育機関と独自の訓練コース
も設けている。
 40~45チームに1人のコーチ。
。
 バックオフィスは業務管理(ヘルプデスク
、介護料請求、労働契約・給与等)、イノ
ション、品質と戦略立案。各チ ム
ベーション、品質と戦略立案。各チーム
に事務職はいない。
17
2 共生のまちづくり:自立と支えあい
2-1 多主体連携による<私たちの>まちづくり

地域における多様な主体の関心 活動のマッピング
地域における多様な主体の関心・活動のマッピング




理念・目的を同じくする多様な主体あるいは複数法人の連携
によるイニシアティブを促す枠組みの検討、規制緩和
、規
社会福祉法人や医療法人等が都市再開発に参画する仕組み



<ケアに限定せず>さまざまな活動グループのキーマンがつながる
エリアネットワーク×テーマネットワーク
エリアネットワ
ク×テ マネットワ ク
実行領域の設定と評価
地域におけるQOL、コミュニティソーシャルワーク
支えあいの場と仕掛けのデザイン



自分たちが送りたい暮らしを自分たちで実現する(使いたいサービスなのか、
実現したいケアの形なのか)
住民発生活支援
18
住まいとして、第2の居間として、カフェとして…
2-2 地域に根ざす学び
ざ
び

幼少から学校教育を通じて自立・自律・地域への
コミットメントをキーワードとする地域プログラムが
す
域
組めないか

地域 学校 事業所等
地域の学校・事業所等との協働
協働

健康教育
社会保障教育 …

19
例:東近江 魅知普請曼荼羅(滋賀県東近江市)
20
製作・資料提供:魅知普請の創寄り(東近江市内のキーパーソンが集う会)
あいとうふくしモール構想図
http://fukushi-mall
http://fukushi
mall.com/wp/
com/wp/
資料提供:あいとうふくしモール運営委員会
資料提供
あ
うふくし
ル運営委員会
拡大版福祉モール
連携・協力・助言
運営:あいとうふるさと工房
運営:あいとう和楽
東近江市
マーガレットステーション
自治会 ・大字福祉委員会
愛東地区まちづくり協議会
運営:NPO結の家
三方よし研究会
地域から医療福祉を考える東近江
懇話会
例:目黒区認知症家族会「たけのこ」の活動
出所:たけのこ世話人竹内弘道氏作成資料
http://takenoko.kazekusa.jp/
22
例:地域の縁がわ(熊本県)
例:あったかふれあいセンター(高知県)
23
例: Community Development Corporation(アメリカ)
出所:平成19年度中心市街地商業等活性化支援業務 地域商業活動等海外実態調査
「米国のまちなかにおける多様な主体の連携によるまちづくりに関する調査」報告書
例: 住宅協会の実行領域(オランダ)
①低所得者層等のターゲットグループへの適切な住宅供給
①低所得者層等のタ
ゲ トグル プへの適切な住宅供給
②社会賃貸住宅のメンテナンス、リノベーション、新規建設等による質の維持
③事業計画作成や住宅管理にあたっての居住者との協議
④財政的な持続性確保
⑤近隣・コミュニティにおけるQOL向上 ※1997年に追加
⑥ケアを必要とする人々への住宅の供給(ケアとの連携) ※2001年に追加
24
(参考)地域に開かれた事業所づくりと人材確保


職種別人材過不足状況:訪問介護員の不足感が高い
職種別人材過不足状況
訪問介護員の不足感が高い
人材不足の理由(従業員全体でみて不足の事業所、MA):
①採用困難(66.0%)、②事業拡大したいが人材確保できない(26.2%)、
③離職率が高い(19.8%)

離職率分布:訪問介護員・介護職員の離職率は0%の事業所が多くを占め、10%未満まで
あわせると約5~7割 (離職率30%以上の事業所も約2~3割)

訪問介護員を人数・量とも採用できている事業所
の特徴(訪問介護員がいる事業所全体との比較)

法人規模、事業展開、事業所規模の特徴見られず
法人規模
事業展開 事業所規模の特徴見られず
民間少なく社協以外の社福やや多い、地域区分「その他
」が多い、事業所開設・介護事業開始が約1年早い
人材育成の取組み充実度(自己評価)が高い
•
研修計画立案等高い

稼働日毎に一度事務所立寄りが多い
地域に開かれた事業所づくり



•
出所:堀田聰子「介護労働市場の現状と課題
−採用・離職と過不足感をめぐって」労働政策
フォーラム(2012年9月)資料
事業所の設備や建物等を地域に開放、祭りなど地域行事に事業
所として参加、民生委員・関係機関等とともに地域の見守りのネ
ットワークに参加、他の事業所等と連携した利用者の支援につい
て手順やマニ アルを整備(連携パス等) 地域や学校において
て手順やマニュアルを整備(連携パス等)、地域や学校において
介護や健康づくり等に関するセミナー・教室を開催・支援、職員派
25
遣、介護者の集いを開催・支援、職場見学・職場体験や実習の受
け入れ、ボランティアの受け入れ
3 労働政策との連動
3 1 ジョブ型労働市場の形成
3-1
ジ ブ型労働市場の形成

専門能力活用型の労働市場の整備
労
場




雇用形態に関わらず職業能力を軸として円滑に労働移動できるようにす
る⇒生涯を通じた主体的なキャリア形成
手がかりとしての「介護プロフ シ ナルのキ リア段位制度
手がかりとしての「介護プロフェッショナルのキャリア段位制度」
<関係領域横断>の<関係者の対話に基づく><継続的な>職業
プロファイルと資格プロファイル見直し、発展のプラットフォームの必要性
展
働きながら継続的・段階的に職業能力を高められる職業教育
訓練・職業教育のあり方の見直し


地域における良質な教育訓練機会の確保
部分資格制度(モジ
部分資格制度(モジュール認定)、既得職業経験の認定等
ル認定) 既得職業経験の認定等
26
3-2 多様な無期雇用形態の整備


我が国では無期雇用は労働時間、職務内容や勤務場所
無限定が一般的
ワークライフバランスを重視した働き方の普及



職場外での継続教育をつうじたキャリア形成の促進
就労とケ
就労とケアの両立推進
両立推進
地域社会への参画促進
(参考)オランダの例
1990年代 パートタイム労働をベースとして性別役割分担見直し
1996年
年 労働時間差別禁止法
労働時 差 禁
2000年 労働時間調整法
2001年 就労とケア法
27
(参考)オランダの職業資格整備・発展の仕組み

1996年職業教育訓練法






背景:労働市場の急速な変化・グローバリゼーション進行
目的:労働市場ニーズと職業教育の結びつき強化、労働者の柔軟性とエンプロイアビリティ向上
国レベルの資格枠組みと全国統一の職業資格の整備
中等職業教育の 貫性改善、中等職業教育と成人教育の 本化(地域職業教育センタ 設置
中等職業教育の一貫性改善、中等職業教育と成人教育の一本化(地域職業教育センター設置・・
・介護福祉、技術、経済、農業)
セクター別の職業教育訓練労働市場知識センターが中等職業教育レベルの全国統一職業資格の整備・
発展の基盤
中等職業教育のレベルと教育訓練ルート




コンピテンシーベースの職業教育訓練(EU)
部分資格制度(モジュール認定)
レベル1 アシスタント教育 半年~1年
レベル2 基礎職業教育 2~3年
レベル3 専門職教育 3
3~4年
4年
レベル4 ミドルマネジメント教育 4年
スペシャリスト教育 1~2年
職業教育ルート 実地訓練20~60%
見習い訓練ルート 実地訓練60%以上
28

職業教育訓練労働市場知識センターの機能
産業界(使用者団体・専門職団体・労働組合)、 教育界(中等職業教育評議会・
教育訓練機関)のステークホルダー協働による資格構成整備・発展

実地訓練受入機関認定・質モニタリング
※ケアに関連するセンターはヘルスケア、福祉、スポーツセクターを横断するもの

教育文化科学省における認定
ステップ2 資格
資格プロファイル整理
センターをプラットフォームとする産業界教育界の対話による
(2∼3個のコアタスク、ワークプロセス、その定義と望ましい成果、
求められる知識・スキル・コンピテンシー、パフォーマンス指標)
全国に適用
ステップ3 各教育訓練機関
におけるカリキュラム作成
ステップ1
ステ
プ1 職業プロファイル整理
職業プロフ イル整理
産業界が中心(専門的実践者により遂行されるべきタスク)
出所:堀田聰子「オランダのケア提供体制とケア従事者をめぐる方策」JILPT Discussion Paper Series 12-07
http://www.jil.go.jp/institute/discussion/2012/12-07.htm
29
(参考)Eurocarersにおける
ケアラー支援にかかる10の原則
①
②
③
④
⑤
⑥
⑦
⑧
⑨
⑩
ケアラ 認識 ミ
ケアラー認識:コミュニティケアにおける中心的役割を果たすという認識、
ティケアにおける中心的役割を果たすと う認識、
この認識がケアラーに影響を及ぼす全ての政策に反映
社会的包摂:ケアラーが社会生活を享受する権利
機会平等 ケアラ は生活の全側面において平等な機会を持 べき
機会平等:ケアラーは生活の全側面において平等な機会を持つべき
選択:ケアラーになりたいか/負担の程度を選択、介護を必要とする人は
ケアラ を選択する権利を持
ケアラーを選択する権利を持つべき
き
情報:ケアラーの経験・局面に応じた情報、助言、アドボカシー、訓練
支援:経済、実践、精神的支援と活用可能で手頃なフォーマルケアへの
アクセス
介護から離れる:ケアラー・要介護者双方にニーズに応じたレスパイトケア等
ケアと仕事の両立:ケアと有給雇用両立の可能性(労働政策の前提)
ケアラーの健康増進
経済保障:介護の結果としての貧困化を避ける
出所:http://www.eurocarers.org/index.php
30
Fly UP