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【特別支援学校:肢体不自由】 自立活動学習指導案 広島県立広島特別

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【特別支援学校:肢体不自由】 自立活動学習指導案 広島県立広島特別
【特別支援学校:肢体不自由】
自立活動学習指導案
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広島県立広島特別支援学校
指導者
篠原 浩美
○○○○教室
日時,場所
平成19年5月30日(水) 9:00~9:40
学年
高等部3年生3組
題材名
「朝の活動」
題材設定の理由
○ 生徒観
本生徒は,自立活動を主とする教育課程に属しており,移動・食事等生活面は,全面介助である。
左側に軽い側彎が見られる。顔が左右どちらか向きっぱなしになることがあったり,円背気味で
もあるため,同じ姿勢のままにならないように配慮が必要である。車椅子の乗車姿勢も後傾位の時
は,座り直しが必要である。手首の関節が柔らかいので,介助歩行時等,あまり負担をかけすぎな
い方がよい。全体的に低緊張である。運動や水分が不足すると便秘がちになる。
座位,立位とも取れる。ただし,椅子座位やつかまり立ちの際には安全面への自意識が希薄であ
り,活動中の転倒事故に気を付ける必要がある。介助しての膝立ちも安定してきている。場面や介
助のされ方が分かると,立位等その場に応じた行動をし,協力的である。座位で上半身や下半身を
リズミカルによく揺らす。体調不良な時や落ち着かない時は,仰向けに不安な様子を強く見せる。
介助歩行では,立位の様子がしっかりするとともに,歩行の距離が伸びてきている。立位・歩行
の際に右足に体重がかかりにくい。SRCウォーカーや馬蹄型の歩行器で,前ないしは後ろに移動
する。長距離を歩くこともある。
口唇が開いていることが多いが,ストローやコップの使用時等,食事の際には閉じる。また,歯
ぎしりが見られることがある。食事の仕方など舌の柔軟性の向上を意図した活動や顔のマッサージ
に継続して取り組んでおり,口唇をほぼ閉じた状態の口遊び等が見られるようになってきている。
それにつれて,発音の様子がより豊かになってきた。
手を使うことは,興味のある事(近くにいる身近な人や好きな食べ物等)には手が伸びたり,短
時間把持する。手に触れるものをつまむことが多くなってきており,活動が広がっている。指遊び
や指吸いにこだわることがある。手遊び等やりとり遊びは好きである。上半身を支える際には,肘
への荷重が主であり,手の平には荷重しにくい。
周囲の様子に敏感であり,好きなこと(音楽,体を大きく揺らすこと,歩行,声かけ等)には,
声を出して笑ったり,動きが活発になったり,体を揺らして喜びを表現する。嫌いなことや長い話
等には,居眠りのような様子になる。新しい人や環境に慣れるのに少し時間がかかり,これまで体
験したことが無いことには,怖がりがちである。様々な場面で正面からのかかわりに重点的に取り
組み,興味ある物をじっくりと見る様子が見られる場面が多くなってきた。
○ 題材観
「朝の活動」では,毎朝個別の指導計画に沿った姿勢・運動にかかわる活動に取り組むなかで,
健康状態の把握,一日の学習活動への準備及び身体の変形・関節の拘縮の予防,呼吸状態の維持・
向上,筋力の維持・強化につながる身体作りを行っている。
こうした日々の取組みの積み重ねは「健康の保持」や「身体の動き」の課題に直結しており運動
障害のある生徒には欠かすことは出来ない。例えば,骨盤周辺の柔軟性を保つことによって,車椅
子の乗車姿勢が改善されやすくなり,これにより呼吸状態の改善,上肢や頭部のコントロールのし
やすさによる操作性や認知面の向上,食事のしやすさ,発声のしやすさ,褥瘡の予防等の「生活の
しやすさ」がもたらされる。また,その指導内容から必然的に生徒と指導者の身体接触が生じるこ
とになる。これは,生徒の継続的な身体状態の把握につながり,延いては教育活動全体の組み立て
に影響すると考える。
身体を動かす活動は,まさしく体感的であり見通しを持ちやすく,生徒が学習に主体的に取り組
みやすいと考える。しかし,この主体性を十分に発揮させるためには,指導者の身体接触の様子や
環境設定,つまりはコミュニケーションの在り方が大きく影響を与える。指導者自身のかかわりの
内容や様子を厳しく問うていくことが,生徒との十分なコミュニケーション活動の充実につながる
と考える。
○
指導観
指導にあたっては,
「歩行→立位→ストレッチ→膝立ちやボールでの活動→歩行」と毎回同じよ
うな流れで活動に取り組み,繰り返し学習を重ねる。繰り返しの学習に取り組むことにより,活動
に対する生徒の理解を深め,学習に対する主体性を活発に促したい。また,学習活動にメリハリを
付けたり,見通しを持ちやすくするため音楽の導入や活動内容ごとに場の移動を設定する。
生徒の自発性を引き出すにあたっては,楽しい活動であることが重要である。覚醒が向上するよ
うな姿勢・運動面の配慮に取り組むとともに,生徒とのやりとりを大切にし,生徒自身の活発な動
きを促進させたい。
また,この活動は登校時の長時間のバス乗車で疲れた身体の調子を整える意味合いも持っており,
そうしたことから身体の中心部(腰・肩・背骨周辺)に重点を置いた柔軟体操にもしっかりと取り
組みたい。
5 単元の目標
○ 生活のリズムを整え,健康に過ごす。
○ 身体の柔軟性を維持し,変形を予防する。
○ 自ら身体を支えられるようになる。
○ 目的的で主体的な行動を増やす。
6 指導計画 [ 全 175 時間 ]
毎時 介助歩行,下半身(特に右足)及び手の平の荷重に重点を置いたバランス運動,身体の中心部に
重点を置いたストレッチ,膝立ち又は四つ這い姿勢 (本時 33/175)
7 本時の目標
これまでの様子
○ 車椅子の乗降では立位や体幹の回旋,仰臥位から座位への姿勢変換では
上体の引き起こし,座位から立位への姿勢変換では下半身の伸展を意識し
て行い,介助動作に協力する。
○ 歩行は,前方介助では指導者の指を握り身体を支える。後方介助では介
助者の身体に寄りかかることが多い。歩幅が大きいとバランスを崩しやす
いが,狭いと歩行の様子が安定する。歩行中の腰の自動回旋はまだ身に付
けていない。
○ 右足への荷重が十分でなく,立位や歩行で足底の外側がよく浮いている。
手の平への荷重する経験が少なく,身体を支える際に手の平が床面に向き
難い。
○ 膝立ち(後方介助)の際,自発的に股関節の伸展をすることがある。
○ 立位や歩行では右側へ,ストレッチの活動では左側に顔が向きっぱなし
になることが多い。
○ 調子が良いときは,ストレッチの活動でスムーズに仰向けになり,活動
中よく笑う。
○ ボール類を活用した活動や振動は好きであり,よく笑い自らよく運動す
る。
○ 活動中の声かけをよく喜び,活動が活発になる。
○ 活動中指吸いをすることがある。
目
標
○ 声かけや動作への導入の
合図を頼りに,自ら介助動
作に安定して協力する。
○ 歩幅や腰の回旋に気を付
けながら歩行する経験を積
み重ねる。
○ 上肢や下肢にバランスよ
く体重をかけ,自ら姿勢を
保つ。
○ 対称姿勢をなるべくとる
ようにする。
○ ストレッチの活動にリラ
ックスして取り組み,身体
の中心部の柔軟体操を十分
にする。
○ 活動を楽しみ,活動内容
や指導者に自分からかかわ
る。
8 準備物
エアレックスマット,カセットデッキ,ストレッチ用音楽テープ,ボール
9 指導過程
学習活動・学習課題(・・・)
○支援事項・留意点
☆評価
1 車椅子から自ら降りて立ち,前方 ○ 前方に足が出やすく又歩幅が一定になるよう歩行介助をする。
足の動きがよく分かるように,靴下を脱がせ,ズボンの裾を捲る。
介助に従って自ら足を出しエアレ
ックスマットの近くまで狭い歩幅 ☆ 姿勢変換,歩行で自ら動いたか。歩行の前半は,狭い歩幅であ
ったか。
で歩いて移動する。
(5分)
2 指導者の指や上半身を支えにし ○ 指導者の指を把持したり上半身に手をつくよう促す。立位を介
助しながら,背筋伸ばし,下半身の屈伸運動を促す。生徒の活動
て姿勢を保つ。背筋を伸ばした姿勢や
が活発になるよう,声かけや固有覚・前庭覚への刺激の入力をす
下半身にバランスよく荷重した姿勢
る。右足への荷重や両足間や多方向への荷重の移動を体感できる
で立位をとる。自ら下半身の屈伸運動
ようにする。指導者と対面するよう促し,やりとり遊びをする。
を行う。両足間や多方向への荷重の移
エアレックスマット上に移動し,座位をとるよう促す。
動に対して,バランスを保ちながら立
位をとる。指導者と対面したまま指導 ☆ 指導者の指の把持,背筋伸ばし,下半身の屈伸運動,姿勢変換
で自ら動いたか。手の平や右足への荷重を十分体感したか。バラ
者を見て,やりとりを楽しむ。ストレ
ンスを保ちながら立位をとったか。活動を楽しみ,指導者に自ら
ッチに向けて,立位から座位に自ら姿
かかわったか。
勢を変える。
(10 分)
3 促しに応じて,座位や臥位に自ら ○ 活動中,対称姿勢を保つように姿勢を整える。臥位でのストレ
ッチでは,上肢を下げる姿勢を促し,リラックスするようにする。
姿勢を変える。ストレッチの活動にリ
身体の中心部の柔軟体操になるように,ゆっくりとした動きで骨
ラックスして取り組み,身体の中心部
の動きを意識しながら,ストレッチを促す。手の平への荷重の場
の柔軟体操を十分にする。対称姿勢を
面では,床面に手の平をしっかりとつけるよう促す。
とったり,手の平に荷重しながら,ス
☆ 姿勢変換で自ら動いたか。リラックスしてストレッチに取り組
トレッチの活動をする。
(10 分)
めたか。身体の中心部の柔軟体操に終始取り組めたか。手の平へ
の荷重を十分体感したか。活動中,概ね対称姿勢をとれたか。
4 ボールを用いたバランス運動で ○ 活動中,対称姿勢を保つように姿勢を整える。ボールを用いた
バランス運動を介助しながら,背筋伸ばしを促したり,右足への
下肢にバランスよく荷重したり,背筋
荷重や両足間への荷重の移動を体感できるようにする。生徒の活
を伸ばしたりする。ボールを用いたバ
動が活発になるよう,声かけや固有覚・前庭覚への刺激の入力を
ランス運動で活動を楽しみ,自ら身体
する。後方から膝立ちの介助をし,太腿の裏側を軽く押し出し,
を動かす。膝立ちをする時に,自ら股
自ら膝立ちするよう促す。
関節を伸展させる。対称姿勢をとりな
☆ 背筋が伸びたか。右足への荷重を十分体感したか。活動を楽し
がら,膝立ちをする。
(10 分)
み,活動内容に自らかかわったか。自ら股関節を伸展させて膝立
ちをしたか,又膝立ちの最中対称姿勢を保ったか。
5 後方介助に従って,座位から立位 ○ 後方から,腰の回旋を促しながら歩行介助をする。車椅子に着
席したら,靴下と靴を履く。骨盤が中間位になるよう乗車姿勢を
に自ら姿勢を変える。後方介助に従っ
整える。
て,腰の回旋をしながら,車椅子の近
くまで歩いて移動する。車椅子に自ら ☆ 姿勢変換で自ら動いたか。腰の回旋をしながら終始歩行したか。
朝の活動終了後の姿勢に背筋が伸びた様子が見られたか。
座る。車椅子の姿勢が背筋が伸びた様
子になる。
(5分)
※ 全体を通して,活動内容や介助動作に対する声かけや動作の導入をする。事故につながらないように,表
情や身体状況に気を付けて活動に取り組むとともに,動きに固さが感じられたら決して無理に運動を促さず,
そこで運動をやめて待つようにする。活動中の転倒や骨折事故に注意する。
10 評価の観点
〔生徒の活動に関する評価〕
○ 健康状態や学習課題に応じた姿勢・運動の学習に取り組めたか。
○ 活動に対して主体的に取り組み,授業を楽しめたか。
〔指導状況に関する評価〕
○ 生徒が活動しやすいように,活動内容や健康面に対する姿勢・運動面への適切な支援をしたか。
○ 活動に対して,自発的な動作や応答を十分待つ等生徒の主体性が引き出せるようなかかわりをした
か。
○ 活動内容が生徒に分かりやすくなるよう教材・教具を適切に提示したか。
○ 生徒の活動への取り組みに対して,生徒の意欲が高まるような評価を速やかに表現したか。
11 年間指導計画
○ ねらい
・ 安定した状態で一日の流れに入れるように準備する。
・ 身体の変形・関節の拘縮の予防,呼吸状態の維持・向上,筋力の維持・強化につながる身体作
りをする。
・ 支援を受けながら,自発的に身体を動かす。
○
計画
年間を通して,個別の指導計画に沿った姿勢・運動にかかわる活動を行う。
12 教室内配置図
略
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