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2015 - in
戸田建設コーポレートレポート
2015
戸田建設の企業理念
当社の経営、役員・社員一人ひとりの行動の原点として、
「経営方針」「企業行動憲章」「社長現場訓」の3つを定めています。
経営理念
経営方針
1.
当社は建設を通じて社会福祉の増進に貢献する。
2.
社会の信用を基として社業の発展を図る。
3.
堅実な経営を行い、適正利益の確保を基として社業の安定を図る。
行動理念
企業行動憲章
私たち戸田建設グループは、建設を通じて社会福祉の増進に貢献することが自らの存在理由であるとの
認識のもと、多くの皆様との信頼関係の構築と健全で継続的な社業の発展を推進すべく、
ここに
『戸田建設
グループ 企業行動憲章』
を制定し、広く社会に宣言いたします。
1.
良質な建設物およびサービスの提供
6.
地球環境への配慮
2.
法令の遵守等
7.
社会への貢献
3.
公正かつ適正な取引
8.
反社会的勢力との関係遮断
4.
情報の開示と管理
9.
国際社会への貢献
5.
働きやすい職場環境の実現
10.
率先垂範
社長現場訓
社長現場訓は、昭和30年代半ばにつくられた、当社の行動理念です。ここに示されている仕事への誠実な
姿勢は、社員共有の価値観として、現在に至るまで着実に受け継がれてきています。
一、今日一日無駄をはぶき親切を旨としよい仕事を致しましょう
一、今日一日期限には絶対遅れない様心掛けましょう
一、今日一日誓って事故を起さ無い様注意致しましょう
以上遂行の為常に研鑽怠らず吾人の技術を最高度に導く様努力致しましょう
1
戸田建設コーポレートレポート 2015
0626
編集方針
戸田建設は、各年度における戸田建設グループの事業活動全体を
ステークホルダーの皆さまに、簡潔に分かりやすくご理解いただく
ことを目的として
「戸田建設コーポレートレポート」
を毎年発行して
います。
本レポートは、2013年度から財務・非財務の主要情報を統合した報
告形式に変更し、ステークホルダーの皆さまにとって重要性、簡潔
性、明瞭性ある情報の編集に配慮しました。本レポートを当社ウェブ
Index
戸田建設の企業理念
1
編集方針・目次
2
価値創造ストーリー
サイトに掲載しているCSRレポート
(PDF)
、財務情報
(IR資料)
ととも
戸田建設グループグローバルビジョン
3
に、
ステークホルダーの皆さまとの重要なコミュニケーションツール
価値創造の歴史
5
のひとつに位置づけ、
さらなる充実に努めてまいります。
価値創造プロセス
7
財務・非財務ハイライト
9
コミュニケーションツールのご紹介
コーポレートレポート
当社グループの価値創造のストーリーや取り組みな
冊子
どのうち、
ステークホルダーの皆さまにとって関心の
トップメッセージ
11
高い項目を掲載しています。
事業戦略
17
研究開発活動
19
CSRレポート
(PDF)
(非財務情報)
コーポレートレポートで記載されているCSR活動の
詳細
(CSR活動の計画と結果、重点テーマごとの取り
組みなど)
を掲載しています。
http://www.toda.co.jp/csr/index.html
WEB
価値創造のための戦略
IRサイト
(財務情報)
IRサイトでは、決算短信や有価証券報告書、株主向け
報告書など株主・投資家の皆さまに向けて詳細な財
務情報を掲載しています。
価値創造活動
“喜び”
を実現する企業グループを目指して
1 地球温暖化の緩和に向けて
21
2 震災復興への貢献
23
3 未来へつなぐ最先端の建物づくり
25
4 女性が活躍できる建設業を目指して
27
http://www.toda.co.jp/ir/index.html
※WEBでは、冊子版の情報を補完する詳細な情報を掲載しています。
参考にしたガイドライン
環境省
「環境報告ガイドライン
(2012年版)
」
日本規格協会
「ISO26000:2010 社会的責任に関する手引」
GRI
「サステナビリティ・レポーティング・ガイドライン第4版」
の内容を一部
参考にしています。
対象期間
2014年度
(2014年4月1日~2015年3月31日)
※一部対象期間以前・以降の情報を含んでいます。
対象範囲
戸田建設の活動を中心に、
グループ会社や海外の取り組みを含んで報告して
います。
表紙について
価値創造のための基盤
コーポレート・ガバナンス
29
役員紹介
30
CSRマネジメント
31
堅実・公正
32
ものづくり
(品質/安全・安心)
33
ものづくり
(環境)
34
働きがい
35
コミュニケーション
36
会社概要・主な情報開示について
38
早稲田キャンパス3号館
(東京都新宿区)
早稲田キャンパス内のメインストリートである大隈モールに面し、政治経済
学部を中心とした講義室、研究室を有し、旧3号館の意匠を色濃く継承した
建物です。
2015_TODA Corporate Report
2
戸田建設グループグローバルビジョン
戸田建設グループは、創業140周年を迎える2021年に向けて、
これからの戸田建設グループのあるべき姿を表すもの
として
「戸田建設グループグローバルビジョン」
を策定しました。ビジョン実現のための具体的なアクションプランとして経
営計画があり、
ビジョン実現に向けた想いを端的に示したのが、
ブランドスローガン
「人がつくる。人でつくる。」
です。
これらは、戸田建設グループの歴史の中で培われた価値観である企業理念を土台としています。
戦略
経営計画
フェーズⅠ(2015∼2017年度)
フェーズⅡ
(2018∼2020年度)
中期経営計画2017
−既成概念の破壊と新価値・システムの創造−
生産性No.1
ゼネコン業界トップの
高い生産性の確立
−改革の継続と深化−
成長への基盤
強靭性No.1
事業領域の拡大と
建設とのシナジーの追求
新ビジネスモデル
の確立
ビジョン実現を
支える取り組み
生産システムや業務フローを再構築し、
生産性向上を追求する。
将来を見据えた事業領域の拡大を
推進する。
人財や価値観の多様化を図り、
新しい企業風土を構築する。
ビジョン実現のための
●
●
●
具体的アクションプラン
戦略
姿勢
企業理念
●
経営方針
●
企業行動憲章
●
社長現場訓
●
CSR方針
ビジョン実現に
向けた想いを
端的に示したスローガン
「人がつくる。
人でつくる。」
歴史の中で
培われた価値観
3
戸田建設コーポレートレポート 2015
ブランドスローガン
価値創造ストーリー
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
実現したい姿
グローバルビジョン
これからの戸田建設グループのあるべき姿、存在価値
“喜び”を実現する企業グループ
お客様の満足のために
私たちは、確かな技術力と多彩な人財力で、
お客様との最良のパートナーシップをつくります。
誇りある仕事のために
私たちは、社員をはじめ現場に携わる一人ひとりが、
強い責任感と情熱をもって仕事に取り組める職場をつくります。
人と地球の未来のために
私たちは、時代の変化と社会の課題に真摯に向き合い、
環境に配慮した安心・安全な社会をつくります。
ビジョンに込められた想い
ビジョンの策定に当たっては、20∼50代の各年代がチームをつくり、
それぞれの案を作成しました。その案をもとに、
ビジョン策
定プロジェクト事務局や経営会議で検討を重ねた上で決定したのが、
「
“喜び”
を実現する企業グループ」
です。
お客様や協力会社、社員をはじめとした戸田建設グループにとって重要なステークホル
ダーの
“喜び”
を定義し、
その実現を通じて真に価値ある会社を目指そう、
という想いが込
められています。
戸田建設グループは、あるべき姿の実現に向けた新たな歩みを始めています。グローバ
ルビジョンは、戸田建設の現在と未来をつなぐ架け橋であり、
それを達成した先には、
すべ
てのステークホルダーが喜びを分かち合える未来が見えてきます。
ビジョン策定プロジェクトの様子
2015_TODA Corporate Report
4
価値創造の歴史
私たちが社会に提供する価値である建物やインフラは、何十年にもわたり、
その地域で暮らす人々の一部となります。
1958年 龍ヶ崎カントリー倶楽部
私たちはこれからも、
お客さまのニーズはもちろん、
時代の要請、
さらには次世代の要請をも汲み取りながら、
安全で快適な社会基盤づくりに貢献し続けます。
1912年
慶應義塾大学創立50周年記念図書館
■ 戸田建設の代表作
1927年 早稲田大学大隈講堂
1961年 箱根バイパス天狗橋
1933年 朝香宮邸
(東京都庭園美術館)
1964年 駒沢陸上競技場
1933年 帝都電鉄新線
(京王線神泉駅)
1970年 大阪万博 スイス館
1921年 仙台鉄道登米線第一工区
1910年 日英博覧会工事
(ロンドン)
1881
1921年 東京府商工奨励館
1957年 東京都第一庁舎
1923年 大井ダム
1958年 旭川市庁舎
1928年 学士会館
1961年 新八重洲ビル
1936年 大崎跨線橋
1964年 日本経済新聞本社ビル
1939年 日本製鉄釜石港突堤工事
1964年 東海道新幹線多摩工区
1939年 栃木県庁舎
1979年 福岡市美術館
1900
1920
1940
1960
戸田方
戸田組
株式会社戸田組
1881年 請負業を開始
1908年 戸田方を戸田組と改称
1936年 株式会社戸田組に組織変更
1924年 横浜営業所開設
1940年 社報を創刊
1924年 名古屋・大阪・福岡・仙台に営業拠点開設
1946年 戸田組職員組合設立
■ 戸田建設の沿革
(主な取り組み)
1949年 建設業法上の建設業者登録
戸田建設株式会社
1963年 社名を戸田建設株式会社へ改称
1965年 戸田建設災害防止協力会発足
1967年 経営方針策定
1969年 株式公開
1972年 本格的に海外進出開始
5
戸田建設コーポレートレポート 2015
価値創造プロセス
当社グループは、以下のような価値創造プロセスを通じて、
ステークホルダーの皆さまと企業価値の持続的成長を目指してまいります。
事業リスクと社会課題
さまざまな事業リスクや
社会課題の適確な把握に努め、
これらを踏まえて
事業活動を行っています。
●
主な事業リスク
建設投資、物価などの動向
工事施工などのリスク
取引先信用リスク
法務・コンプライアンスリスク
災害リスク
カントリーリスク
主な社会課題
地球環境問題
(工事にともなう廃棄物の処理や埃・騒音・振動など)
施工段階や運用段階の省エネルギー・省CO₂
防災
(免震・制振・耐震技術や被災地の復興支援など)
人々が安心して利用できる社会インフラ構築
●
主な投入資本
多様な資本
(資源)
を活用して事業活動を行っています。
財務資本
株主・投資家からの資金、金融機関から
の融資など
● 製造資本※1
製造設備やさまざまなインフラ、拠点など
● 知的資本
安全で快適な社会基盤づくりのもとにな
る知的財産、
ノウハウ、関連技術など
● 人的資本
企業理念を根幹とした役員・社員の高い
モチベーションや専門性・スキルなど
● 社会・関係資本
お客さまからの信頼や、協力会社をはじめ
としたステークホルダーとの強い関係性
● 自然資本
水、大気、土壌などの自然資源、生産
活動で活用するエネルギー資源など
130余年の歴史の中で積み重ねてきた信頼
(P5-6:価値創造の歴史)
戸田建設の企業理念
経営方針
企業行動憲章・社長現場訓
(P1)
価値創造のための戦略(P11-20)
価値創造活動[事業活動]
(取り組み事例:P21-28)
・施設診断/設計/施工
リニューアル ・環境配慮施工
・公正かつ
適正な取引
・要求品質の把握
・環境配慮提案
・品質管理活動
・環境配慮設計
・最適構工法提案
企画・提案
トータル
維持・管理
ソリューション/
グループ一体となった
「ものづくり」
設計
施工
●
※1 生産やサービス提供に利用する製造物
7
戸田建設コーポレートレポート 2015
価値創造のための基盤
・お客さまの
満足度の向上
・ファシリティー
マネジメント
・品質管理活動
・環境配慮施工
・安全管理活動
・協力会社との協働
・近隣地域での
社会貢献
コーポレート・ガバナンス、CSRマネジメント、
コンプライアンスなど
(P29-37)
ステークホルダーとの対話
価値創造ストーリー
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
建設を通じて社会に貢献する
ステークホルダーへの価値提供
お客さまへ
・良質な建設物、
サービスの提供
・災害時の事業継続支援
・安全・安心なインフラの整備
事業活動の
成果
協力会社へ
・公正かつ適正な取引
・パートナーシップの醸成
・安全衛生管理の徹底
地球環境へ
・地球温暖化防止、
資源・生態系の保全
社員へ
・雇用、能力開発
・やりがいのある仕事
連結売上高、利益
連結売上高
連結営業利益
“喜び”の実現
=
株主・投資家へ
・適切な情報の開示
・利益の適正な還元
・企業価値の維持・向上
地域社会へ
・地域社会への貢献
・周辺地域での災害時支援
2015年度予想
2017年度目標
4,510億円
4,800億円
100億円
170億円
グローバルビジョン
の達成
当社グループの企業価値増大
事業への
再投資
2015_TODA Corporate Report
8
財務・非財務ハイライト 〜主要業績指標〜
経済的側面データ
(連結)
単位
2010年度
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
受注高
(個別)
(百万円)
452,122
411,691
346,775
462,626
455,516
売上高
(百万円)
452,499
489,385
497,048
448,987
420,324
経常利益又は経常損失
(△)
(百万円)
7,265
△6,690
△45,581
6,584
14,813
当期純利益又は当期純損失
(△)
(百万円)
3,567
△19,872
△65,285
10,228
14,026
包括利益
(百万円)
△2,586
△17,167
△41,516
16,874
46,192
純資産額
(百万円)
189,581
171,537
128,095
141,880
182,988
総資産額
(百万円)
499,111
487,160
500,199
473,510
495,442
1株当たり純資産額
(円)
602.35
537.53
397.18
443.32
587.83
1株当たり当期純利益又は当期純損失
(△)
(円)
11.53
△64.28
△209.70
32.87
45.42
1株当たりの年間配当金
(円)
7.0
6.0
5.0
5.0
7.0
自己資本比率
(%)
37.29
34.36
24.71
29.13
36.4
自己資本利益率
(ROE)
(%)
1.89
-
-
7.82
8.79
株価収益率
(倍)
28.53
-
-
10.31
11.16
営業活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
10,379
△48
△17,757
12,171
△947
投資活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
△5,278
△7,837
△445
11,441
1,982
財務活動によるキャッシュ・フロー
(百万円)
△3,754
△1,557
13,834
△10,248
△4,576
現金および現金同等物の期末残高
(百万円)
61,654
52,024
48,015
62,061
59,245
2010年度
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
社会的・環境側面データ
(個別)
単位
従業員数
(連結)
(人)
5,034
5,101
5,091
4,912
4,817
従業員数
(個別)
(人)
4,110
4,072
4,028
3,918
3,861
男性
(人)
3,659
3,617
3,570
3,468
3,397
女性
(人)
451
455
458
450
464
平均年齢
(歳)
44.9
44.8
44.9
44.6
44.9
(年)
17.8
20.3
20.4
20.1
20.1
(度数率)
0.64
0.92
1.02
1.17
1.26
(件)
28
43
52
46
43
(t-CO2)
88,094
87,862
89,249
73,185
76,709
SCOPE 1
(t-CO2)
-
66,701
70,302
55,366
57,292
※3
SCOPE 2
(t-CO2)
-
23,798
21,146
20,877
19,417
SCOPE 3※4
(t-CO2)
-
-
9,615,865
7,921,923
13,860,683
(t-CO2/億円)
20.9
19.6
19.7
18.3
20.3
(万t)
74.0
66.3
77.1
78.8
70.8
(%)
7.0
4.2
6.9
5.1
6.7
平均勤続年数
労働災害発生度数率
※1
休業4日以上の災害発生件数
CO2排出量
(作業所)
※2
CO2排出量/原単位
(作業所)
建設廃棄物総排出量
建設廃棄物/最終処分率
※1
※2
※3
※4
9
度数率:延べ100万労働時間当たりの労働災害の発生頻度を示す指数。
SCOPE1:企業活動によって直接排出する温室効果ガス。
SCOPE2:企業活動のエネルギー利用によって間接的に排出する温室効果ガス。
‌SCOPE3:SCOPE1・SCOPE2を除く、その他間接的に排出する温室効果ガス。
なお、2013年度までは、
カテゴリ2,3,5,6,7,11を算出していましたが、2014年度より対象を追加しカテゴリ1,2,3,4,5,6,7,11,12を算出。
戸田建設コーポレートレポート 2015
価値創造ストーリー
受注高
(個別)
価値創造活動
売上高
(百万円)
不動産事業
600,000
452,122
450,000
462,626 455,516
411,691
452,499
300,000
300,000
150,000
150,000
2010
2011
2012
2013
489,385 497,048
448,987
建築受注高は前年度に大型民間工事の受注があり、前年
度比7.0%減となりました。他方土木受注高は前年度比
21.0%増となりましたが、全体の受注高は1.5%減と、ほぼ
前年度並みの水準となりました。
10億円
(3.1%)
420,324
(0.2%)
土木事業
建築事業
(22.6%)
(74.1%)
957億円
0
2014 (年度)
その他
130億円
450,000
346,775
価値創造のための基盤
売上高
(事業別)
と売上高比率
(百万円)
600,000
0
価値創造のための戦略
2010
2011
2012
2014 (年度)
2013
売上の大部分を占める建設事業※売上高が前年度比6.3%
減となったことから、全体としても6.4%減となりました。建
設売上高の減少は、過年度に採算重視の観点から建築工
事の受注を抑制したことによるものです。
3,143億円
当社グループは従来より建築事業を主体としており、事業
別の売上構成に大きな変動はありません。
※建設事業:建築事業+土木事業。
当期純利益又は当期純損失
(△)
経常利益又は経常損失
(△)
純資産額/総資産額
純資産
(百万円)
20,000
14,813
10,000 7,265
20,000
10,000
0
△6,690
2010
2011
300,000
2012
2013
2014 (年度)
建設事業における利益の大幅な回復により、経常利益は前
年度比125.0%増となりました。
労働災害発生度数率
189,581 171,537
△19,872
△40,000
△45,581
150,000
△65,285
△80,000
2010
2011
2012
前年度は、投資有価証券売却益約41億円が特別利益に計
上されており、その反動で当期純利益は、経常利益段階よ
り増加率が低下し、前年度比37.1%増となりました。
1.17
0.92
1.0
1.26
1.02
0.64
60,000
0.5
(t-CO2/億円)
60
88,094 87,862 89,249
19.6
19.7
2010
2011
2012
2013
2014 (年度)
休業4日以上の災害件数は減少傾向ですが、延労働時間数
が大きく減少しており度数率が悪化しています。2015年
度は、度数率0.7未満に目標を設定し、災害防止に取り組ん
でいます。
0
2010
2011
2012
76,709
18.3
30,000
0.0
2011
2012
2013
2013
2014 (年度)
純資産額については、
当期純利益の計上および保有株式の
時価上昇にともない、前年度末比29.0%増となりました。
総資産額については、有価証券、未成工事支出金などが減
少したものの、保有株式の時価上昇にともない投資有価証
券が大幅に増加し、前年度末比4.6%増となりました。
建設廃棄物総排出量
最終処分率
(万t)
80
(%)
74.0
20.3
45
60
30
40
15
20
0
0
2014(年度)
CO 2原単位の内訳をみると、土木工事では前年度より減
少していますが、建築工事では増加しています。全体工事
量の7割を建築工事が占めているため、建築工事における
CO2原単位の増加が全社の原単位の増加につながってい
ます。建築工事で原単位が増加した理由は、大規模な工事
においてCO2の発生量が多い土の掘削工事が多数あった
ことによります。
2015年度においては、大規模な掘削工事が少なくなるた
め、CO2原単位は2014年度より減少する見込みとなって
います。
7.0
70.8
12
6.9
2011
8
6.7
5.1
4.2
2010
16
78.8
77.1
66.3
73,185
20.9
2010
原単位
120,000
90,000
182,988
建設廃棄物総排出量/最終処分率
CO2排出量
(t-CO2)
128,095 141,880
0
2014 (年度)
2013
CO2排出量/原単位
(作業所)
1.5
499,111 487,160 500,199
473,510 495,442
450,000
3,567
0
△10,000
△50,000
600,000
14,026
10,228
6,584
総資産
(百万円)
(百万円)
4
2012
2013
2014(年度)
0
前年度に比べコンクリート塊の発生量が20%減少し、廃棄
物の総量では11%減少しています。最終処分率の低下は、
ほぼ100%リサイクルされるコンクリート塊の量が減少し
たこと、建設汚泥の最終処分量が増えたことに起因してい
ます。
最終処分率の数値は、その年度のコンクリート塊の発生量
(解体工事の量)
に左右されますが、2015年度の最終処
分率については、2014年度より改善できるよう、引き続き
発生抑制および分別の徹底に努めていきます。
2015_TODA Corporate Report
10
トップメッセージ
“
喜び ” を実現する
企業グループを
目指して
ごあいさつ
当社は1881年の創業以来、
「品質・工期・安全に最
どにあると考えています。
善を尽くす」
ことを社是とし、
「建設を通じた社会福祉
そして、
これらの価値の源泉を継続・発展させること
の増進への貢献」
「 社会の信用を基とした社業の発
こそが当社グループの企業価値を最大限に引き出す
展」
「堅実な経営による適正利益確保を基とした社業
ことにつながっていくものと考えています。
の安定」
を経営方針に掲げ、お客さまに対する幅広い
2015年1月、2021年の当社の創業140周年を見
サービスの提供と長年の実績に裏打ちされたステー
据え、
戸田建設グループグローバルビジョン
「
“喜び”
を
クホルダーの皆さまとの信頼関係の構築により、
高い
実現する企業グループ」
を策定しました。私たちはこれ
評価を得てきました。
からも、安全で快適な社会基盤づくりに貢献していき
当社グループの企業価値の主な源泉は、
技術力とノ
ます。
ウハウに培われた品質の高い建設物の提供や、
ステー
クホルダーの皆さまとの信頼関係、そしてこれら当社
グループの企業文化を支える社員、
さらには長年とも
に歩んできた協力会社との良好なパートナーシップな
11
戸田建設コーポレートレポート 2015
代表取締役社長
価値創造ストーリー
0615
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
2014年度の業績および2015年度の見通しについて
2015年度を最終年度とする中期経営計画の業績目標
「営業利益率2%以上」
を1年前倒しで達成
2014年度の国内の事業環境を振り返りますと、消
経常損益については、
受取利息および保有する投資
費税率引き上げにともなう駆け込み需要により個人消
有価証券の受取配当金などにより、
148億円の経常利
費の反動減がみられたものの、
円安や原油安などを背
益
(前期比125.0%増)
となりました。
景に企業収益が改善するなど、
全体としては緩やかな
また、
当期純損益については、
特別利益において、
投
回復基調が続きました。建設業界においては、官公庁
資有価証券売却益10億円および負ののれん発生益4
工事を中心に受注が堅調に推移した一方で、
労務逼迫
億円を計上した結果、140億円の当期純利益
(前期比
などの懸念が払拭されず、
不透明な要因を併せ持つ環
37.1%増)
となりました。
境が続いています。
今後の経済情勢については、
雇用・所得環境の改善
このような状況の中で、当社グループの連結業績
傾向が続く中で、緩やかな回復が続くと思われます。
は、売上高は、主に当社における完成工事高が減少
しかし、建設業界においては、住宅や民間設備投資の
したことにより4,203億円
(前期比6.4%減)
となりま
回復が期待される一方で、
労務逼迫などにより建設コ
した。
ストの上昇が懸念されています。
営業損益は、採算重視の受注方針の徹底などによ
こうした状況を踏まえ、
当社グループでは、
2015年
り、完成工事総利益率が向上した結果、売上総利益率
度業績を連結売上高4,510億円
(前期比7.3%増)
、
営
が8.6%と前期比2.9ポイント上昇し、売上総利益は
業利益100億円
(同23.0%減)
、
経常利益116億円
(同
361億円
(同42.0%増)
となりました。一方、販売費お
21.7%減)
、
親会社株主に帰属する当期純利益101億
よび一般管理費については、
231億円と同12.0%増加
円
(同28.0%減)
と見込んでいます。
したため、営業利益は129億円
(同171.4%増)
、営業
利益率3.1%となりました。
前
・中期経営計画の総括 ①
前・中期経営計画の総括 ②
業績目標を1年前倒しで達成、財務健全性も回復
営業利益率(%)
直面する課題の解決に向けた責任・推進体制
自己資本比率(%)
前・中計期間
(∼15年度)
前・中計期間
(∼15年度)
3.1
中期目標:2%以上
価値創造推進室
36.4
34.4
1.1
△1.6
24.7
改善
2013
年度
29.1
回復
2014
年度
△9.5
2011
2012
2013
2014 (年度)
2011
2012
2013
グループ統括室
●
●
●
戸田建設独自の価値創造
業務改革とICT再構築
建設ライフサイクルを通じた
お客さまへの価値提供
海外事業部
●
成長を続ける海外市場への挑戦
投資開発事業部
●
将来を見据えた事業領域の拡大
首都圏土木支店
●
●
大型土木工事への挑戦
土木部門のさらなる飛躍
2014 (年度)
2015_TODA Corporate Report
12
新中期経営計画の策定
堅調な建設投資が見込まれる今こそ、
戸田建設グループが魅力ある企業へと生まれ変わるスタートライン
今後の建設市場は、
中期的には2020年の東京オリ
引き続き、2015年度についても達成の見通しが立
ンピック・パラリンピック開催に向けて、都市部を中心
ち、
成長戦略を推進するための機構改革についても完
に堅調な投資が予想されます。
しかし一方では、人口
了したことなどを踏まえ、
2015年度を新たなスタート
減少や財政上の制約などにより、
長期的な投資の拡大
ラインとして、
2017年度を最終年度とする
「中期経営
は見込み難い状況にあります。また、
こうした社会的背
計画2017」
を策定することとしました。
景の中で、
労働集約型産業である建設業では、
生産性
の向上が喫緊の重要課題であると認識しています。
なお、
本計画は戸田建設グループグローバルビジョ
ンの実現に向けたフェーズⅠと位置づけ、創業140周
そうした中、
当社グループでは2012年度から2015
年を迎える2021年に向け、
本計画を完遂し、
取り組み
年度までの4年間で、安定した利益を生みだす体制へ
をさらに強化していくことで
「
“喜び”
を実現する企業グ
と生まれ変わることを目指し、2012年5月に策定、同
ループ」
を目指します。
年11月に見直しを行った中期経営計画のもと、
「工事
堅調な建設投資が見込まれる今の経営環境は、当
収益の改善」
と
「グループ一体となった成長戦略」
を2
社グループが魅力ある企業へと生まれ変わる最後の
本柱に事業構造改革を推進してきました。その結果、
チャンスという認識をもって、
既成概念を打ち破り、
新
さまざまな改善施策が実を結び、
最終年度の業績目標
価値・システムの創造を通じて、
「生産性No.1」
「成長へ
「営業利益率2%以上」
を1年前倒しで達成することが
の基盤」
の実現に向けた中期重点施策にグループ一丸
できました。
となって挑みます。
計画の位置づけと方向性
グローバルビジョンの具体化に向けた「フェーズⅠ」
フェーズⅠ
(2015∼2017年度)
中期経営計画2017
−既成概念の破壊と新価値・システムの創造−
生産性No.1
ゼネコン業界トップの
高い生産性の確立
●
●
●
13
成長への基盤
事業領域の拡大と
建設とのシナジーの追求
フェーズⅡ
(2018∼2020年度)
−改革の継続と深化−
強靭性No.1
新ビジネスモデル
の確立
生産システムや業務フローを再構築し、生産性向上を追求する。
将来を見据えた事業領域の拡大を推進する。
人財や価値観の多様化を図り、新しい企業風土を構築する。
戸田建設コーポレートレポート 2015
グローバルビジョン
“喜び”
を実現する
企業グループ
価値創造ストーリー
0615
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
中期重点施策の概要と業績目標
生産性No.1 ゼネコン業界トップの高い生産性の確立
まず、
「生産性No.1」
への取り組みについてご説明
します。建設業全般の問題でもありますが、
当社では、
1991年をピークとして、
社員一人当たりの売上高と比
較して、
一人当たり付加価値額は低下する傾向が見ら
れました。そこで、あらゆる業務プロセスの見直し・改
善を実施し、
ICTによってさらなる合理化を目指すプロ
ジェクトを2014年度からICT戦略ユニットを中心に始
動させました。
このような取り組みを引き続き推進し、
ゼネコン業界トップの高い生産性の確立を目指します。
その上で具体的な施策としては、特命・設計施工の
拡大、
差別化技術の開発・適用、
購買手法の改善などに
より、価値創造力とコスト競争力の強化を図っていき
業務改革とICT
ます。また、
省力化施工、
BIM※の推進、
再構築、協力会社との協働拡大などにより、消化能力
と業務スピードの向上を図っていきます。
※BIM : Building Information Modelingの略。コンピューターで
作成した建物の三次元モデルをもとに、設計・施工においてさまざ
まな情報を統合、管理する手法のこと。
生産性No.1
生産性No.1
価値創造力・コスト競争力
2017年度 目標
連結売上高
売上高
現状
2014年度 実績
連結売上高
労働生産性
4,203億円
1,154万円
4,800億円
(+14.2%)
利益ある
持続的成長
労働生産性
1,300万円
(+12.6%)
消化能力・業務スピード
(時短)
生産性
2015_TODA Corporate Report
14
成長への基盤 事業領域の拡大と建設とのシナジーの追求
「成長への基盤」
については、投資開発、海外、国内
施設を建設ライフサイクル全般にわたり当社グループ
グループ会社を戦略分野に位置づけ、事業領域の拡
にお任せいただけるよう取り組んでいきます。
こうした
大と建設とのシナジーの追求を目指します。
取り組みにより、
売上高目標を2017年度に400億円、
まず、
投資開発については、
医療、
農業、
環境・エネル
2020年度には450億円としています。
ギーなどの新規事業への投資や、
工作所などの社有不
なお、2021年以降を見据えた長期目標について
動産の有効活用、
本社ビル建替えプロジェクトの推進
は、営業利益全体に占める戦略分野の構成比率を
を見据えています。
35%
(2014年度9.5%)
とし、収益の向上を図ってい
海外については、
これまでとおりブラジルと東南アジ
アを2本柱としつつ、
現地法人の見直しと進出地域のさ
きます。
成長への基盤
(戦略3分野)
らなる拡大を図っていきます。また、
環境事業やスマー
トシティなどの開発事業にも積極的に取り組むことで、
売上高目標を2017年度に250億円、2020年度には
投資開発
●
社有不動産(工作所等)の有効活用
●
本社ビル建替えプロジェクトの推進
●
新規事業投資(医療、農業、環境・エネルギー等)
●
現地法人の見直し、進出地域の拡大
●
開発事業(環境事業、スマートシティ等)への取り組み
●
グループ連携の強化によるコア顧客の確保
●
リニューアル需要に対する体制整備
400億円としています。
海外
国内グループ会社については、
2014年1月に設置し
た
「グループ統括室」
を中心にグループ連携の強化に
よるコア顧客の確保を図ります。また、
リニューアル需
要に対する体制もさらに整備することで、お客さまの
国内グループ会社
業績目標
このような施策を通じ、
最終年度
(2017年度)
の業
万円
(2014年度1,154万円)
の達成を目指します。
績目標を連結売上高4,800億円程度、
営業利益170
配当金については、配当性向20%~30%を念頭
億円
(営業利益率3.5%)
以上と定めています。
また、
新
に、継続性および安定性を勘案の上で決定させてい
を管理指標として採用し、
1,300
たに
「労働生産性※」
ただきます。
2017年度グループ業績目標
株主還元
連結売上高・営業利益等
連結売上高
営業利益
営業利益率
労働生産性
(個別)
2014年度実績
2017年度目標
4,203億円
4,800億円 程度
129億円
170億円 以上
3.1%
3.5% 以上
1,154万円
1,300万円 以上
※労働生産性=1人当たりの付加価値額:
(営業利益+総額人件費)
÷
社員数
(期中平均、派遣社員等を含む)
15
戸田建設コーポレートレポート 2015
配当性向
2014年度実績
2017年度目標
15.4%
20%~30%
価値創造ストーリー
0615
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
グローバルビジョンの達成に向けて
“喜び”
を実現する企業グループを目指す挑戦
前述のとおり、近年の建設業を取り巻く経営環境は
当社グループはCSR活動を通じてステークホルダー
厳しさを増し、地球規模で解決が求められる社会課題
の皆さまとの対話を行い、
持続可能な社会づくりの実
が山積する中で、
社会とともに当社グループが利益あ
現に向けた期待や課題などの把握に努めています。近
る持続的な成長を果たすための新たな取り組みがス
年は、地球環境問題や防災、社会インフラなどの社会
タートしました。
課題に対して、
どのような取り組みを進めていくべき
われわれが目指すのは、グループの成長だけでな
なのかが問われています。さらに、そのような社会課
く、
お客さまや、株主・投資家、協力会社、地域社会、地
題の解決に必要不可欠な建設労働者が不足するとい
球環境、
社員などのステークホルダー全体の豊かさの
う業界特有の課題も顕在化しています。
この課題につ
追求です。
フェーズⅠに当たる
「中期経営計画2017」
で
いては、当社だけでなく業界全体で、若手建設技能労
は、
大きく二つの方向性を打ち出しています。
働者や技術者の入職促進・定着や、
女性・外国人などが
ひとつは、
生産性の向上であり、
同じ時間・労力で、
よ
り多くの仕事に取り組み、
消化能力
(完成工事高水準)
を向上させていくことです。
活躍できる労働環境の整備に向けた活動に取り組ん
でいます。
CSRの概念は、
いまやマネジメントの枠を超え、
事業
もうひとつは、
こうした取り組みを通じて生じた余力
における競争力を担う非常に重要な要素となりつつあ
を、早期に成長分野に投入することで、将来を見据え
ります。中長期的な成長を実現するための技術開発や
た新たな収益源を確保していくことです。
人財育成など、
事業と一体となった取り組みを展開し、
このような取り組みにより、一層魅力ある企業グ
ループとなることを目指してまいります。
CSR
(企業の社会的責任)
活動としましては、持続可
ステークホルダーの皆さまに提供する価値を最大化す
ることを念頭に置き、
“喜び”
を実現する企業グループを
目指し、
挑戦し続けます。
能な社会の構築に向けて、
さまざまな連携が進む中、
2015_TODA Corporate Report
16
事業戦略
建築事業
事業概況
建築事業の中心となる国内建設投資は、公共・民間投資とも底堅
い推移が続いており、当社グループとしては消化能力に見合った適
正価格での受注を継続していきます。
しかしこの一方で、資材価格・人件費上昇、労務逼迫というリスク
要因も残されており、引き続き受注段階における慎重な検討に努め
収益の拡大を図っていきます。
2014年度の業績と次期の見通し
セグメントの状況
2014年度の建築事業セグメントの売上高は3,143億円
(前期比
9.3%減)
となり、営業利益は完成工事利益が向上した結果、90億
円
(2013年度は営業利益7億円)
となりました。
早稲田キャンパス3号館
当社個別の状況
当社個別の受注高については、2013年度に国内民間大型工事
を受注した影響から3,320億円
(前期比7.0%減)
となりました。
2015年度の当社個別の業績見通しについては、受注高3,100
億円
(前期比6.7%減)
、売上高3,200億円
(同11.6%増)
、完成工
事利益218億円
(同3.4%減)
、完成工事利益率6.8%を見込んで
います。
2014年度の主な実績
主な完成工事
●日本郵便(株)
大宮桜木町一丁目計画
(仮称)
新築工事
●(学)
早稲田大学 早稲田キャンパスD棟
(仮称)
新築工事
(3号館)▶上記写真
●
(株)
島津製作所 E1号館建設計画
●
(学)
聖マリア学園 聖光学院新校舎整備計画
主な受注工事
●国家公務員共済組合連合会 KK
R虎の門病院整備事業
●
(学)
北里研究所 (仮称)
北里研究所白金キャンパス
薬学部校舎・北里本館建替新築工事
●糀谷駅前地区市街地再開発組合 糀谷駅前地区第一種市街地再開発事業
新中期経営計画の実現に向けた取り組み
今後の競争環境の変化に機敏に対応できるよう、引き続き生産
性の向上と事業基盤の拡充に努めてまいります。
具体的には、真の顧客ニーズを捉えたソリューション営業の実践、
保有技術の活用・進化による特命受注の拡大、購買手法の改善な
施設建築物新築工事
●高崎市 新体育館建設工事
財務情報
売上高推移
(億円)
3,465
営業利益
(億円)
3,143 90
営業利益率
(%)
2.9
どにより価値創造力・コスト競争力を強化するとともに、作業所生産
システムの改善、
ICTの効果的活用、協力会社との協働拡大などに
より消化能力・業務スピードの向上を図ってまいります。さらに、今
後の建築事業の基盤となる人財価値の創造に向け、育成・活用のた
めの施策を推進してまいります。
17
戸田建設コーポレートレポート 2015
7
2013 2014(年度)
2013 2014(年度)
0.2
2013 2014(年度)
(注)
セグメント別売上高・営業利益には、
セグメント間取引を含んでいます。
0630
価値創造ストーリー
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
土木事業
事業概況
国内経済情勢の緩やかな回復基調を背景に、受注環境について
も堅調な推移がみられました。
こうした中、2014年度は3期連続の受注増となりましたが、今後
も消化能力との均衡を十分に勘案しつつ、収益確保を第一に受注
2014年度の主な実績
主な完成工事
●中日本高速道路
(株)
第二東名高速道路
額田トンネル他1トンネル工事 ▶下記写真
●東京都水道局 朝霞浄水場高度浄水施設
(二期)
築造工事
●三郷インター南部土地区画整理組合
三郷インター南部土地区画整理事業
造成工事
(第1期、第2期、第2期その2、第3期)
他
活動を行っていきます。
●京王電鉄(株)
2014年度の業績と次期の見通し
セグメントの状況
2014年度の土木事業セグメントの売上高は957億円
(前期比
調布駅付近連続立体交差工事(土木)第6工区その4の2 他
主な受注工事
●中日本高速道路
(株)
東京外かく環状道路
●スリランカ民主社会主義共和国 コロンボ市北部無収水縮減
プロジェクト建設工事
5.6%増)
、
また営業利益は30億円
(同20.3%増)
となりました。
当社個別の状況
当社個別の受注高については、国内大型官公庁工事の受注など
財務情報
売上高推移
(億円)
を要因に、1,176億円
(前期比21.0%増)
となっています。
2015年度の当社個別の業績見通しについては、受注高900億
円
(前期比23.5%減)
、売上高900億円
(同1.3%減)
、完成工事利
本線トンネル
(北行)
東名北工事
●東日本高速道路
(株)
上信越自動車道 天神堂トンネル工事
906
営業利益
営業利益率
(億円)
957
(%)
30
3.2
25
益72億円
(同3.9%減)
、完成工事利益率8.0%を見込んでいます。
2.8
新中期経営計画の実現に向けた取り組み
首都圏における今後の市場性を鑑み、土木部門の営業・施工の経
2013 2014(年度)
2013 2014(年度)
2013 2014(年度)
(注)
セグメント別売上高・営業利益には、
セグメント間取引を含んでいます。
営資源を結集し受注・施工体制の強化を図るべく、2015年4月に
「首都圏土木支店」
を開設しました。併せて土木部門の核となる人財
の育成も推進していきます。
今後につきましては、引き続き技術開発
第二東名高速道路 額田トンネル
による対顧客価値の提供や作業所におけ
る生産性向上に努めるとともに、将来を見
据えた事業領域・収益基盤の拡大への取り
組みとして、農業分野、環境・再生可能エネ
ルギー分野などへの積極的な事業展開を
図ります。
2015_TODA Corporate Report
18
研究開発活動
「価値ある技術」
の提供を目指した研究開発
当社は、社会およびお客さまの期待を超え、驚きに満ちた新た
変化する時代や社会に呼応して
「建設」
の新たな可能性を掘り
な価値を創出するため、2014年1月に
「価値創造推進室」
を設置
起こし、お客さまに新時代を切り拓く
「価値ある技術」
を提供して
しました。
いきます。
※1 Blue Ocean領域:競争のない未開拓市場。
技術開発センターは価値創造推進室の一部門として、対顧客
■組織構成
(2015年3月末現在)
価値の創造を目指して社会構造の変化を捉えた研究開発、生産
価値創造推進室
システムの合理化に寄与する研究開発、Blue Ocean領域※1で
の新規事業の研究開発など、基礎的研究から新製品開発までの
技術開発センター
管理運営ユニット
幅広い研究開発活動を行っています。
価値創造戦略ユニット
社会基盤ユニット
企画ユニット
エネルギーユニット
ICT戦略ユニット
技術創造ユニット
さらに、公的機関、大学、異業種企業、同業他社との技術交流、
共同研究も積極的に推進し、多様な分野での研究開発を行って
います。
環境創造ユニット
ビルメディカルシステム®
( 建物モニタリング診断システム)
南海トラフにおける連動型巨大地震や首都直下型地震、
日本海
本システム導入のメリット
溝・千島海溝周辺海溝型地震など、
マグニチュード7を超える巨大
1.
ITスマートセンサ ※2が地震の揺れを感知すると、診断サーバ
地震が今後30年以内に発生する確率は、非常に高いといわれて
が自動的に分析して建物の健全性を判定するため、初動体制
おり、防災・減災対策が急がれています。
を整える手助けとなります。
ビルメディカルシステムは、地震によって建物が大きな揺れを
2.
建物震度※3や健全性など防災に必要な情報をモニタ画面に
受けた際に、地震の数分後に建物の健全性に関する診断結果を、
分かり易く
「見える化」
するシステムです。建物管理者・オーナーの
リアルタイムに分かり易く表示します。
3.
さまざまな配信手段を有しているため、社内外から情報の取
的確な初動対応と早期復旧への意思決定を可能にし、BCP
(事業
得が可能です。
継続計画)
・LCP
(生活継続計画)
対策を強力に支援します。
今後、当社は超高層建築物をはじめ、災害時に重要な拠点と
※2 ITスマートセンサ:コンピュータを搭載した地震センサ。
‌
※3 建物震度:建物の特定場所の揺れの大きさを、気象庁の定める震度と同様な計算
方法により震度相当値に換算した値。
なる病院や公共施設などのBCP・LCP対策支援ツールとして、
こ
のシステムを積極的に展開していく予定です。
BCP対策
ビルメディカルシステム概要
お客さま
メール配信
会社内外からアクセス
インターネット
ウェブカメラ
記録部
イントラサーバ
ITスマートセンサ
モニタ画面例
イントラ
PoEHUB
データ・
画面サーバ
UPS
19
戸田建設コーポレートレポート 2015
自席PC
HUB
自席PC
ウェブカメラ画像配信例
モバイル画面例
価値創造ストーリー
価値創造のための戦略
高性能防音壁「エッジサイレンサー®」
価値創造活動
価値創造のための基盤
エッジサイレンサー
防音壁
建設現場や工場、
屋外の設備機器置場などに利用されている防音壁には、
高い防音性能
が求められます。また一方で、
景観、
日照、
安全性や設置コストの観点から、
高さを抑えるこ
とが望まれています。
当社は関西大学との共同研究により、
防音壁先端に集中する騒音のエネルギーを吸収す
設備機器置場に適用した事例
るパネル
「エッジサイレンサー」
を開発し、
従来よりも低くて高性能の防音壁を実現しました。
本技術のメリット
1.
最新の理論を実用化し、
従来よりも高さを抑えながら騒音低減効果を向上します。
2.
高さを抑えることができるため、
防音壁が周囲に与える圧迫感を低減します。
3
「エッジサイレンサー」
.
は薄くて軽いため、
既存の防音壁にも設置することが可能です。
エッジサイレンサー
仮囲い
建設現場で発生する騒音の低減に加え、屋外に設置される設備機器などから発生する
騒音の低減対策にも利用し、
周辺環境にやさしい技術として積極的に展開していきます。
建設現場仮囲いに適用した事例
山岳トンネル 変位予測システム
「4D-Super NATM 」
※4
山岳トンネルの品質確保において、計測管理は重要な役割を果たします。
しかし、既存の方法は、計測機でトンネル内の限られた断面
の計測点を測定するものであったため、局所的な変位を把握できず、
変位量や変形挙動を予測することは困難でした。
そこで、
変位を3次元で面的に把握する手法に時間的概念を加え、4次元で変位を管理するシステム
「4D-Super NATM」
を開発しま
した。このシステムは、掘削完了後の初期段階から3Dレーザースキャナを用いてトンネル断面の3次元の変位を面的に測定し、掘削初
期の変位分布を把握することで、最終的な変位収束値を自動予測するとともに、予測値を3次元分布図として表示することのできる新
規性のある変位予測システムです。
※4 NATM:New Austrian Tunneling Method:主に山岳部におけるトンネル掘削工法のひとつ。
本システムのメリット
1.
トンネル挙動を可視的に捉えることにより、補強対策や支保工の変更などの要否、対策
の規模、対策の区間を経済的、合理的に判断できます。
2.
チューブ構造全体の挙動を把握でき、補強工の規模・範囲を必要最小限に抑えることが
でき、経済的な対策を行うことができます。
3.
最終変位量を自動予測するため、迅速な補強工などの判断や切羽へのフィードバックが
でき、長期的に安定したトンネルを速やかに構築できます。
壁面変位の3D表示
掘削方向
切羽
本システムは、近年急速に開発が進んでいるCIM(Construction Information
Modeling)
との統合を念頭に、今後は属性データ
(切羽進行記録・切羽写真・ 支保構造の
3Dレーザースキャナ
品質管理データetc)
の取り込みを行い、全般的な施工管理と供用後の維持管理資料の
ツールとして発展させていく予定です。
掘削時の3次元測定状況図
2015_TODA Corporate Report
20
地球温暖化の緩 和に向けて
当社は、地球温暖化の緩和に向けて風
力・太陽光・バイオマスといった再生可
能エネルギーの活用に積極的に取り組
むことで、温室効果ガスの排出削減に
貢献しています。
再生可能
エネルギー
への取り組み
環境省浮体式洋上風力発電実証事業
21
戸田建設コーポレートレポート 2015
価値創造ストーリー
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
浮体式洋上風力発電による
水素利活用の実証を開始
環境省による浮体式洋上風力発電実証事業において、当社を代表とする受託者グループは、長崎県五島市で、
2013年10月に国内初となる2,000kWの浮体式洋上風力発電施設
「はえんかぜ」
の発電を開始しました。
この実証
事業では、
環境影響、
気象・海象条件への適応、
安全性などに関する検証を行うとともに、
事業性の評価も行っていま
す。2014年には浮体式洋上風力発電による電力を利用して水素を製造し、
最先端の水素貯蔵・運搬技術を利用した
再生可能エネルギーの利活用に関する実証を行っています。
さらに水素を燃料とする燃料電池を利用した低炭素型
小型船舶を開発し、
実海域での実証実験を2015年8月に開始しました。
浮体式洋上風力発電施設 環境大臣賞を受賞
当社を代表とする受託者グループが取り組んでいる本プロジェクトは、2014年
の第12回産学官連携功労者表彰において、
環境大臣賞を受賞しました。
今回受賞したハイブリッドスパー型浮体式洋上風力発電施設は
「海洋国であ
る日本にとって、
その意義は高く、困難とされていた浮体式洋上風力発電の技術
を産学官の連携で実用化に導いた。
また、経済的に最も優れた方法として、世界
的に注目されており、市場規模も大きく、今後の展開が期待される優れた事例」
と高く評価されました。
表彰式の様子
1
メガソーラー発電事業を展開
当社が初めて発電事業者として取り組んだ
「長崎田手原メガ
ソーラー発電所プロジェクト」
が、2015年4月に竣工し、発電を
始めました。
この発電所はモジュール容量が13.2MWという大
規模なものです。
この発電所のほかに、
「長崎さくらの里メガパ
ワー計画」
と
「宮崎国富メガソーラー計画」
の建設に着手し発電
事業を行います。
メガソーラー発電において、
発電事業者として
長崎田手原メガソーラー発電所 全景写真
計4物件
(合計21.6MW)
を運用することになります。
“喜び”を実現する
企業グループを目指して
2015_TODA Corporate Report
22
震災復興への貢献
2011年3月11日に発生した東日本大震災は、大津波と原発
事故を併発し、わが国にかつてない大災害をもたらしました。そ
の被害は甚大かつ広範囲にわたり、
被災地の多くでは今なお、
復
興に向けた努力が続けられています。
一方、東北地方の沿岸地域を中心に襲った災害は、高齢化や
都市と地方の格差をはじめ、
日本社会全体が抱える社会構造的
な課題を浮き彫りにしました。今後の復興計画においては、
日本
が抱える根源的な課題の解決につながる、総合的で長期的な戦
略が求められています。
下甫嶺地先海岸災害復旧工事
(岩手県大船渡市)
23
戸田建設コーポレートレポート 2015
価値創造ストーリー
災害に強く、
持続可能な
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
戸田建設のまちづくり支援
絶対に忘れてはならない東日本大震災。持続的な復興支援はもちろん、震災で受
けた教訓を活かし、
日本の未来に託す必要があります。
当社は、被災地域が抱えるさまざまな課題の解決に向けて、災害に強いまちづくり
活力あるまちづくり
はもちろん、自然エネルギーなどを活用した環境配慮施設の整備や、新たな産業の
への挑戦
しています。
2
“喜び”を実現する
企業グループを目指して
創出や雇用の確保などにもつながる方策を組み合わせた復興プランを検討し、提案
『川俣町山木屋地区復興まちづくり』基本計画策定
福島県川俣町の山木屋地区では、原子力災害のほか、少子高齢化の進展や、地
域コミュニティの再編、農林業の再生など、多くの課題を抱えています。そうした課
題に対し、
「 脱原発」
の考えのもと必要なエネルギーネットワークの確保を基盤とし
つつ、復興および発展の基礎となるまちづくり基本計画を当社と川俣町は共同で
策定しました。この計画には、基幹
産業である農業を中心とした主要
産業の復興、安全・安心な生活の
維持、新たな産業の創出や雇用の
確保に向けた方策が盛り込まれて
います。
古川町長に平成25年度成果報告書を手渡す今井社長
駅舎再建により女川の復興まちづくりを支援
東日本大震災により甚大な被害を受けた宮城県女川町では、
JR石巻線が不通と
なっていましたが、2015年3月21日、女川駅の再建と駅周辺の基盤整備が完了し、
全線復旧しました。当社が施工した駅舎は温泉温浴施設
「女川温泉ゆぽっぽ」
を兼
ね、町民や観光客に憩いの場を提供するものとなっています。同施設は、町のシンボ
ルであるうみねこが羽ばたく姿をイ
メージした大屋根が特徴的で、女
川の復興まちづくりを象徴する役
割を担っています。
JR石巻線 女川駅
2015_TODA Corporate Report
24
未来へつなぐ
最先端の建物づくり
3
“喜び”を実現する
企業グループを目指して
建設業界の潮流と、
戸田建設グループの挑戦
近年、建設業界では、複雑化する社会のニーズに対応しスピーディ
かつ高品質な建造物を実現するため、
最先端のICT技術を駆使した高
度な総合力の獲得に大きな期待が集まっています。
建築分野ではBIM
(Building Information Modeling)
などのソフ
トウェア開発が、
コンピュータ上で統合された三次元情報により、
難易
度の高い工事を緻密な計画のもとに実行する手法を可能なものとし、
活用が活発化しています。
また、複雑な造形をもった建築作品を正確
に形にしていくためには、情報技術の進化とともに柔軟な発想力がこ
れまで以上に重要となっています。
当社グループは長年にわたり培ってきた創造力とノウハウをベー
スに、最新の技術を取り入れ綿密に活用することで、建設業界の潮
流をリードし、社会にとって有用なソリューションの提供に挑み続け
ます。
みんなの森 ぎふメディアコスモスは岐阜市立中央図書館を中心に、
市民活動交流センター、
展示ギャラ
リーなどからなる複合施設です。屋根を構成する木は、
すべて岐阜県産のヒノキが使用されています。
なお本施設は、木材利用推進中央協議会が実施する平成27年度木材利用優良施設表彰において林
野庁長官賞を受賞しました。
みんなの森 ぎふメディアコスモス
屋根の曲面
(施工中の状況)
25
戸田建設コーポレートレポート 2015
価値創造ストーリー
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
木架構建築の
新時代を
切り拓く
過去に類を見ない木架構建築への挑戦
「みんなの森 ぎふメディアコスモス」
当社は、岐阜県岐阜市の中心部で、世界で最も有名な建築
家の一人である伊東豊雄氏が手がける最先端の建物づくり
に挑みました。
伊東氏の作品の特徴は、
その時代における最先端の技術を
活かしたデザインの先進性にあります。当社は過去にも、岐阜
県各務原市の
「瞑想の森 市営斎場」
(2006年竣工/2008年
度BCS賞ほか受賞)
において、
その施工を担当しました。
今回の
「みんなの森 ぎふメディアコスモス」
は、
曲面の屋根を
木で組み上げるという、
過去に類を見ない難易度の高い建物で
したが、綿密な計画と慎重な試行を幾度も繰り返しながら、文
字とおり
「一品生産」
の体制でつくり上げました。
大型木造建築の新たな可能性
「南陽市文化会館」
当社は、山形県南陽市の中心部に、国内初の大型木造耐火
ホールとなる
「南陽市文化会館」
を建設しました。
火に弱いという木造建築の弱点を克服し、
さらに建物に使用
する森林資源を地域産にすることで、地域産業の再生・復興を
担うなど、木造建築の新たな可能性を見出した取り組みとして
注目されています。
南陽市文化会館 大ホール
2015_TODA Corporate Report
26
多様な人財が
個々の能力を
最大限に発揮できる
職場環境づくり
女性が活躍できる
建設業を目指して
少子高齢化の進展により日本の総労働人口の減少が懸念される
中、活力ある経済社会を維持するためには女性の能力発揮が不可欠
であるとの観点から、女性の活躍促進に向けた取り組みが官民問わ
ず広く進められています。
建設業界においても、2014年8月に国土交通省および建設業5団
体により
「もっと女性が活躍できる建設業行動計画」
が策定され、
これ
まで以上にいきいきと女性が活躍できる環境づくりに向けて、官民一
体となった取り組みがスタートしました。
ダイバーシティの推進
当社は、
多様な人財が個々の能力を最大限に発揮できる環境をさらに整備するため
に、
2014年9月にダイバーシティ推進室を設置しました。
多様な働き方を可能にするしくみづくりとして、
在宅勤務や配偶者同行異動、
ジョブ
リターンといった新たな制度導入を行い、女性、障がい者、外国人、高齢者の4つを軸
に、
職場風土改革に取り組んでいます。
特に女性活躍推進については、
これまで男性中心であった建設業の建設生産方式
を、
女性がもてる力を十分に発揮できるものに変えていくことが不可欠であると考え、
現場環境の整備を進めていきます。
27
戸田建設コーポレートレポート 2015
価値創造ストーリー
調布駅付近連続立体交差工事
(土木)
第6工区工事
(東京都調布市)
なでしこ工事チームの発足
価値創造のための戦略
価値創造活動
4
価値創造のための基盤
“喜び”を実現する
企業グループを目指して
(一社)
日本建設業連合会
(以下、日建連)
では、
「建設業における女性の活躍の姿を広く発信す
る」
という取り組みの一環として、
「なでしこ工事チーム」
の登録・紹介や、女子小中学生とその保護
者を対象とした
「けんせつ小町活躍現場親子見学会」
を全国で実施する活動を行っています。
※1
※2
※3
当社も、本取り組みに積極的に参加すべく、
「O3会」
「
、T-g
i
r
l
s」
「
、チーム同女」
、の3チーム
(2015年7月末現在)
を発足・登録し、建設現場への女性用更衣室や専用トイレの設置、意見交換
けんせつ小町活躍現場親子見学会の様子
会や交流会の実施などにより女性の働きやすい環境の整備を進めるほか、女性目線での環境改善
に取り組んでいます。
また、上記見学会の開催に協力して、女性社員が主体的に働く建設現場の紹
介も行っています。
※1「O3会
(オーサンカイ)
」
:大手町一丁目第3地区第一種市街地再開発事業新築工事におけるチーム
※2「T-girls」
:大正製薬株式会社大宮新物流倉庫建設工事におけるチーム
※3「チーム同女」
:同志社女子大学新新心館
(仮称)
他関連工事および同志社女子中学校・高等学校新校舎建設工事におけるチーム
2015_TODA Corporate Report
28
コーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンスへの積極的な取り組みを通じて、継続的な企業価値の向上を果たすことが経営上の重要課題
であると認識し、効率的な業務執行および監督体制の構築、経営の透明性・健全性の確保、
コンプライアンスの強化に
向けて、経営上の組織・しくみを整備し、必要な施策を実施しています。
取締役会および業務執行機能の強化 監査体制の充実 当社では、執行役員制度を採用し、経営の意思決定(取締役)
当社では、監査役制度を採用し、監査役は取締役会への出席な
と、業務執行
(執行役員)
を分離しています。このことで、役割と責
どを通じて、適法性、妥当性の監査を行っています。2008年6月か
任の範囲を明確にし、それぞれの機能の強化に努めています。
らは、社外監査役を1名増員し、社内監査役2名、社外監査役3名
取締役11名(2015年6月26日現在)
で構成される取締役会
となり、経営に対する監視機能をより一層充実させました。
は、原則月1回開催され、経営の重要事項の決議、業務執行状況
監査役の職務を補助する部門である監査役室の人事、組織変
の監督を行っています。2014年度より、社外取締役2名を選任し、
更については、あらかじめ監査役会、
または監査役会が指名する
取締役会の透明性、客観的妥当性、説明責任のさらなる強化を
監査役の意見を求めることを規定しており、取締役および執行役
図っています。併せて、取締役会および執行部門の重要役員人事
員からの独立性を保っています。
については、社外取締役が委員長となる新設の人事委員会にて
内部統制の充実 適性などを審議し、取締役会に答申することと定めました。
執行役員は、取締役会が決定した経営の基本方針にもとづき、
当社では、2014年3月に全社のリスクに対する意識・風土改
当社業務を執行しています。また、経営会議、戦略会議、執行役員
革、管理の高度化を目的として設立した、本社リスクマネジメント
会を定期的に開催し、経営および業務執行に関する重要事項の審
室により、内部統制および危機管理体制の再整備などを推進して
議、周知を行っています。なお、業務執行に当たっては、職制規程、
いきます。また、内部監査部門として監査室を設置し、定期的に社
業務分掌規程、職務権限規程、稟議規程において、それぞれの責
内各部門の業務状況の監査を実施しています。監査結果は社長
任者およびその責任、執行手続きなどを定めています。
へ報告するほか、監査役にも報告し、会計監査人とも内部監査の
あり方などについて定期的に意見交換を実施するなど、相互連携
を図っています。なお、グループ会社に対する内部監査について
も関係会社管理規程にもとづき、適宜実施しています。
コーポレート・ガバナンス体制
(2015年6月26日現在)
株
主
総
会
選任
取締役会
選任・監督
選任
監査
執行役員社長
(代表取締役)
監査役会
報告
報告
報告
報告
会計監査
指示
執行役員
(本部長・統轄部長・支店長等)
執行役員会
報告
各部門
29
会計監査人
連携
戦略会議
報告
各種委員会
指示
選任
監査役室
連携
経営会議
選任・監督
連携
戸田建設コーポレートレポート 2015
連携
内部監査
リスク
マネジメント室
啓発
グループ統括室
コンプライアンス 内部監査
委員会
啓発
報告
(内部通報)
報告
指示
監査室
報告
監視
支援
報告
(内部通報)
関係会社
報告
価値創造ストーリー
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
役員紹介(2015年6月26日現在)
取締役
代表取締役社長
代表取締役
代表取締役
代表取締役
取締役
取締役
取締役
取締役
取締役
社外取締役
社外取締役
社外監査役
社外監査役
社外監査役
今井 雅則
鞠谷 祐士
戸田 守道
早川 誠
下村 節宏
秋場 俊一
西澤 豊
宮﨑 博之
大友 敏弘
植草 弘
網谷 駿介
監査役
常勤監査役
常勤監査役
野々口 悦生
西牧 武志
鈴木 勝利
秋草 史幸
神谷 和彦
執行役員
執行役員社長
今井 雅則
専務執行役員
鞠谷 祐士
秋場 俊一
宮﨑 博之
戸田 守道
常務執行役員
早川 誠
西澤 豊
大友 敏弘
植草 弘
福島 克彰
光用 薫
執行役員
山田 裕之
佐橋 輝男
横溝 祐次
平田 俊男
岡部 健一
深代 尚夫
山本 嘉彦
郡司 敏明
縣 俊明
高橋 浩一
三宅 正人
若林 英実
松島 孝悟
窪田 浩一
山嵜 俊博
澁谷 由規
浅野 均
大内 仁
長田 眞一
伊勢本 昇昭
藤田 謙
2015_TODA Corporate Report
30
CSRマネジメント
戸田建設グループグローバルビジョン
「
“喜び”
を実現する企業グループ」
の実現に向けて、
『4つのCSR方針』のもと、CSR
を推進しています。当社は、
この一つひとつに真摯に取り組んでいくことで、本業を通じて社会課題の解決に取り組み、安
全・安心、
快適で持続可能な社会づくりに貢献していきます。
CSR推進体制 CSR方針とKPIの設定 CSR
(企業の社会的責任)
の概念は、事業における競争力を担う
非常に重要な要素となりつつあります。当社グループでは、
グルー
近年、環境問題や社会インフラの整備など、建設業に関連し、解
決が期待される社会課題は多岐にわたっています。
プ全体で事業と一体となったCSRを推進するために、
社長のもとに
当社グループでは、事業活動にかかわるさまざまな課題の中か
CSR担当執行役員およびCSR連絡会議を置き、CSRに関する方針
ら、
社会的関心が高く、
かつ当社グループが社会とともに持続的成
の策定や活動の承認および進捗管理などを行っています。
長を目指すために取り組むべきテーマとして、
「堅実・公正」
「ものづ
また、CSR活動の浸透促進のため社員への意識調査アンケート
(グループ向けも別途実施)
を実施しており、実施した調査から比
くり」
「働きがい」
「コミュニケーション」
を4つのCSR方針としていま
す。4つのCSR方針には、それぞれ重点活動項目や重点目標
(KPI)
較分析などをとおして抽出された課題を含め、CSR活動の改善、
を設定し、
進捗状況の管理と継続的な改善を図り、
PDCAサイクル
促進を図っています。
を回しています。
CSR推進体制
なお、
重点活動項目やKPIの設定に際しては、
CSRの国際的なガ
社 長
イドライン・規格のGRI※1第4版やISO26000※2、
また社内外のス
グループ各社社長
テークホルダーとの対話や意見なども踏まえて設定しています。
連携
CSR担当執行役員
※1 GRI
‌ (Global Reporting Initiative)
:持続可能性報告のための国際的なガイドライン
づくりを使命とする非営利団体。オランダに本部を置く、UNEP
(国連環境計画)
の公認
団体。
※2 ‌ISO26000:ISO
(国際標準化機構)
が2010年11月に発行した組織の社会的責任に関す
る国際的なガイドライン。
CSR連絡会議
構成:本社20部門 事務局:広報・CSR部
4つのCSR方針
CSR方針
堅実・公正
堅実・公正な活動を支える経営基盤
を充実させる
ISO26000中核主題
組織統治
● 公正な事業慣行
●
重点活動項目
コーポレート・ガバナンス/内部統制
コンプライアンス
● リスク管理
●
●
環境
品質/安全・安心
● EMSの推進
品質管理
(コンクリートの品質向上など) ● 建設副産物・一般廃棄物の削減
● ‌安全
● 有害物質リスク管理の徹底
・安心への取り組み
● 温室効果ガスの発生抑制
(技術とソリューション)
● お客さま満足の追求
● 生物多様性への対応
● グリーン調達の推進
● 環境関連技術の研究
・開発、プロジェクトの推進と展開
● 環境配慮事項の推進
● ‌
ものづくり
ものづくりをとおして社会の発展に
貢献する
働きがい
働きがいのある
「場」
をつくり出す
コミュニケーション
元気で明るい対応、コミュニケー
ションを促進する
●
●
環境
消費者課題
人権
● 労働慣行
●
●
コミュニティ参画
および開発
詳しい内容はWEBサイトに掲載しています。
戸田建設 → CSRへの取り組み → 2014年度CSR活動の計画と結果一覧
31
戸田建設コーポレートレポート 2015
人事面での取り組み
安全衛生管理
● 協力会社との協働
●
●
●
●
地域社会貢献
IR/広報活動
価値創造ストーリー
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
堅実・公正
コーポレート・ガバナンスへの積極的な取り組みを通じて、企業経営の透明性を高め、ステークホルダーの皆さまから
信頼されることで、継続的に企業価値を向上させることを目指しています。中でも、
コンプライアンスの徹底とBCPへの
取り組みに注力して取り組んでいます。
コンプライアンス研修の実施 10回目となる2014年度の訓練では、朝5時30分に各地で複
当社は、
コンプライアンスを社内に周知徹底するため、グルー
数の大規模地震が発生したと想定し、地震発生後48時間以内に
プ各社の役員・社員にコンプライアンス小冊子の配付および受
おける役員・社員の行動および役割を確認しました。今回の新た
領書の回収や、
イントラネット上での情報発信、
コンプライアンス
な取り組みとして、当社では初めて全社一斉による訓練を実施し、
研修を実施しています。
全社規模で災害対応力のレベル合わせと底上げを図りました。ま
2014年度は、
「コンプライアンス体制の理解」
「
、コンプライアン
た、発災後2時間を通信途絶、公共交通機関不通の過酷条件とし、
スに関する最近の課題」
「
、人権について(ハラスメントの防止ほか)」
拠点の被災調査要員が交通機関を使用せずに参集し、限られた人
を中心テーマにして、当社において延べ31回、
グループ会社の役
員で被災調査と衛星電話による連絡、報告のもと、災害対策本部
員・社員を対象に延べ7回、
コンプライアンス研修を実施しました。
を立ち上げる訓練を行いました。今後も定期的に訓練を実施して
受講者は戸田建設グループ全体で1,392名となりました。
BCPを検証し、実効性を高めるとともに事業継続能力の継続的な
維持・改善を図っていきます。
「ステークホルダーダイアログ 大規模地震災害に際して果たすべき役割」
については、
P.37を参照。
災害対策統括本部
コンプライアンス研修の様子
調達方針 「所要の品質に対して最も価値のある製品やサービスを国内外
を問わず調達する。」
当社は
「戸田建設グループグローバルビジョン」
をもとに、お客
さまの満足のため、誇りある仕事のため、人と地球の未来のため
に、多彩な人財力で、責任感と情熱をもって、時代の変化や社会の
地域貢献を主眼とした
近隣被災調査訓練の様子
課題に真摯に向き合い、
環境に配慮した公正な調達を目指します。
ISO27001の認証 また、同じ趣旨から2015年4月に
「調達の基本的な考え方」
を
制定しました。
2013年2月にISO27001 ※の認証を価値創造推進室企画ユ
ニットの範囲で認証取得しました。
BCP
(事業継続計画)
への取り組み 2015年1月に
(一財)
日本科学技術連盟による第2回サーベ
早急に復旧させるといった役割が求められています。
当社では、2006年7月に大規模地震災害におけるBCPを策定
し、総合震災訓練を通じて、実効性の検証に当たってきました。
イランス、新規格への移行審査を受審し、不適合なく、再認証さ
れました。
※ ISO27001:情報セキュリティシステムに関する国際標準規格。正式名称は、JIS Q
27001:2014
(ISO/IEC 27001:2013)
。
‌
大規模地震災害時、建設会社には、被害を受けた建物や道路を
2015_TODA Corporate Report
32
ものづくり
(品質/安全・安心)
安全・安心で高品質な建設物の提供こそが、当社グループの最大の使命であり、存在意義です。そのため、建設ライフサ
イクル全体を通じて、品質や安全、環境に配慮したものづくりを推進するとともに、社会やお客さまが抱える課題を自らが
解決すべき課題と位置づけ、
新技術と新工法の開発に積極的に取り組んでいます。
地震災害への備え 高遮音乾式二重床
「プレフロアー Quiet+ ®
(クワイエットプラス)
」
を開発
戸田式
「高強度SuperCFT工法」
が構造評定を取得
当社は、一般的なCFT※工法の約2.1倍の強度を有する
「高強度
当社は、
淡路技建
(株)
、
日本ゲッツナー
(株)
と共同で乾式二重床
SuperCFT工法」
を開発し、
(株)都市居住評価センターにおいて構造
「プレフロアー Quiet+」
を開発しました。本工法は、特殊防振支持
評定を取得しました。2006年に当社が
「SuperCFT工法」
として業界
脚を採用することにより重量床衝撃音レベル遮断性能を従来の乾
で初めて構造評定を取得した工法を発展させたもので、
鋼材、
コン
式二重床より1ランク向上させ、床面の振動も小さく抑えることが
クリート、
鉄筋のすべてに高強度材料を用いることにより超高強度
できる乾式二重床です。
柱を実現したものです。超高層建築物の大空間や吹抜けを有する
魅力ある空間の構成が可能となり、
さらに、
第三者機関による構造
評価を取得したことにより、
本工法のスムーズな展開が図れます。
※CFT:円形あるいは角形鋼管の中に高強度コンクリートを充填し、柱として用いる構造のこ
と。鋼管とコンクリートを一体とすることで高い強度と粘り強さとを併せ持ち、耐震性や施
工性に優れる。
590
60
90
150
490
高強度SuperCFT工法イメージ
1.5倍
780
鋼材
2.1倍
特殊防振支持脚
建築安全性の向上とコスト低減が可能な杭工法
「Me-A工法」
の開発
最大軸耐力(鋼管幅厚比25の場合)
コンクリートFc
プレフロアー Quiet+
一般的な
CFT
従来の
SuperCFT
高強度
SuperCFT
CFT柱の軸耐力比較
当社と(株)熊谷組ほか7社は、建物の安全性向上と施工時のコ
スト低減が可能な杭工法であるMe-A工法(Multi EnlargedNodes Ace pile)
を開発し、
このたび
(一財)
ベターリビングより
技術評定を取得しました。
このMe-A工法は、
アースドリル工法を用いて、杭軸部の中間お
よび先端に節状の拡径部
(節)
を設けて、建物を支える力を増大さ
新素材繊維補強プレートを活用した
「BFP※修繕工法」
を共同開発
せた場所打ちコンクリート杭を造成する工法です。杭の中間にも
当社と
(公財)
鉄道総合技術研究所は、新素材
「バサルト繊維」
を
拡径部として抵抗要素を設けることで、従来の拡底杭のように建
活用した
「BFP修繕工法」
を共同開発しました。バサルト繊維を帯状
物の自重を支える支持性能を先端だけで増大させず、先端と中間
に押し抜き成形した
「バサルト繊維プレート」
をアーチ方向に接着す
に分散して増大させることができます。
ることで、
古いトンネルの耐荷性や変形性能などが大幅に向上しま
す。また、薄肉・軽量で人力施
工が可能であり、特殊な施工
機械を必要とせず、
工事にとも
なう既存設備の移設を最小限
に抑えることができます。
※BFP:バサルト繊維プレートの意味。
33
バサルト繊維メッシュ
(中央)
とバサルト繊維
プレートを設置したトンネル内面
戸田建設コーポレートレポート 2015
Me-A工法の原理と適用のメリット
拡径部は地震の時に建物を転倒させようとする力に抵抗するため、杭の引抜き抵抗として
も有効に働きます。
価値創造ストーリー
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
ものづくり
(環境)
建設業は、製造時や施工時など大量のCO₂や廃棄物を排出しています。また、建物の供用時には、機能を果たすために
長期間エネルギーを消費しており、私たちにはCO₂排出量削減に向けた技術開発や環境配慮活動に取り組む責務があ
ります。戸田建設グループは、健やかな地球を未来に託すために、地球環境問題や省エネ・省資源を常に意識して事業活
動を営んでいます。
「AWARD-Sapl
i
(アワードサプリ)工法」構造物基礎杭の品質向上と環境負荷低減
場所打ち杭などの安定液掘削工事は、近年の耐震性能の向上
再生可能エネルギー
(太陽光発電など)
のさらなる有効利用が可能
となり、
既存システムと比較して約10%の省エネを実現できます。
※ZEB
(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)
:建物で使うエネルギーを限りなくゼロにする考え方の
こと。
建設廃棄物を削減する技術や工法 にともなう大規模・大深度化によって安定液の使用量および産廃
処分となる廃棄液量が増加の傾向にあります。
都市の中の緑
京橋トラストタワー(東京都中央区)は、
メイン通りに面し周辺の
施工時に掘削土砂に混入した安定液は、
分離剤を添加することで、
ポリマー成分と浮遊土砂が凝集沈降し、
水と泥土に分離でき、
施工終
歴史的建物と調和した外観をもつ超高層複合用途ビルとして当
了後の廃棄安定液の減量化が図れる環境配慮型の安定液です。
社が施工しました。
すでに各場所打ち杭工法での現場適用を通じて、
安定液の基本
敷地全体で大規模な緑地を確保することで
「都市の緑の拠点づく
性能および廃棄安定液量の減量化
(20~30%低減)
を実証しまし
り」
というテーマに取り組み、
中でも豊かな樹木と緩やかな起伏をも
た。今後も安定液掘削工法にかかわる工事案件で積極的に計画・
つ
『グリーンコモンズ※』
には小路やベンチなどを設置することで、
都
提案し、
震災に強い国土づくりに貢献していきます。
(本工法は、
早
心の人々にとって貴
稲田大学、
㈲マグマとの共同開発技術です。)
重な緑と憩いの場を
吸水前
実現しました。
吸水後
※グリーンコモンズ:
「 誰もが
自由に利用できるまとまっ
た緑地」
を意味する当計画
における造語。
特殊吸水性ポリマー
分離剤添加後
グリーンコモンズ
生物多様性への対応 分離剤添加前
メイン通り側外観
アワビ、ウニ、ワカメにやさしい生息環境の提供
下甫嶺地先海岸災害復旧
(23災540号)
工事
(岩手県大船渡市
廃棄安定液
分離・減量化
三陸町)
では、東日本大震災により倒壊した防潮堤および水門の
特殊吸水性ポリマー安定液の性状
復旧工事を行っています。
温室効果ガス発生を抑制する技術 ZEB化に向けた直流給電システムを導入
当社は、興和
(株)
および東京整流器
(株)
と共同で、当社の筑波
建設現場に接する海は、古くからアワビやウニ、
品質の良いワカ
メの採れる海の幸豊かな海域です。豊かな海を再生させ未来に誇
れる防潮堤にしたいという地元関係者や漁協関係者の強い意向を
技術研究所
(茨城県つくば市)
に直流給電システムを導入しました。
汲み、
防潮堤の基礎被覆部
ZEB 化に向けた技術のひ
をコンクリートブロックか
とつである直流給電システ
ら自然石に変更することで
ムは、交流と直流の変換時
ウニなどにやさしい生息環
※
のロスを少なくできるため、
DC:直流 AC:交流
境を実現させました。
自然石を採用した防潮堤の基礎部
2015_TODA Corporate Report
34
働きがい
ものづくりを力強く支えているのは、働く社員、そして協力会社の方々です。社員をはじめ、現場に携わる一人ひとり
が、自らの資質、能力を最大限に発揮し、強い責任感と情熱をもって仕事に臨める職場環境づくりに取り組んでいます。
また、若手技術者の育成や女性の活躍推進など、将来の事業成長に向けた取り組みも積極的に推進しています。
優良技能者※手当支給制度の推進 業務改善の取り組み 業務の効率化を目的に、2014年5月から本社・支店合計8部
当社では2010年4月に
“優良技能者手当支給制度”
を創設し
門、2015年2月からはさらに8部門を加えた全店16部門を対象
ました。また、翌2011年4月には
「優良技能者就労管理システム
に、
業務改善活動をスタートしました。
(T-PARTNER)
」
を構築することで、全国の優良技能者の管理お
活動部門は管理者を中心に全員参加で業務の総点検を実施
よび就労実績の集計を可能としています。当社は職長会の会合な
し、業務の中にある無駄取りを行っています。部門管理者には、業
どを通じて、優良技能者手当支給制度への加入を建設技能者へ
務改善に必要な知識とスキルを提供するための研修と情報共有
働きかけており、2014年12月末現在、全国で375名の方を、優良
の場を提供し、活動を活発化させるためのしくみを整えました。
技能者として認定し、手当を支給しています。
また、
業務プロセスの見直しやシステム化の検討作業にも着手し、
生産性の向上と、
無駄のない効率的な組織づくりを図っています。
技能者の処遇向上によって、
技能者が仕事に誇りや希望を持てるよ
うにする」
という制度創設の目的実現に向けて取り組んでいきます。
作業時間の削減と業務の廃止件数
【2014年度の活動成果】
12.3 %
389 件
※優良技能者の資格要件:戸田建設の
「職長会」
に所属し、
かつ登録基幹技能者の資格を保有
する者。
の作業時間を削減 職長会活動 作業時間
今後も優良技能者手当支給制度の普及・利用を推進し、
「優秀な
建設工事では、
さまざまな職種が共同して作業を行います。円
の業務を廃止
滑に作業を進めるためには、職長間のコミュニケーションを通じた
相互理解と一体感の創出が不可欠です。
社員の健康の維持・向上 当社では、作業所単位で活動している職長同士のつながりを進
当社は、社員が健康でメリハリのある働きかたを持続できるよ
化させ、支店単位での職長会を設置し、会員相互の情報・意見交
う、健康経営を推進しています。その一環として、法定実施回数を
換などを行うことで活動の幅を拡げています。2008年5月に東京
超える年2回の定期健康診断を実施し、疾病の早期発見に努める
支店管轄の東京職長会が発足したのを契機に、2015年3月現在
とともに、外部機関と連携して社内健康教室を開催するなど、会
では国内11支店で総勢895名の会員数となりました。
社が社員の健康管理により深く関与し、健康維持と意識向上に努
めています。
(健康診断受診率:2014年度 98.0%)
。
12.3 %
389 件
また、精神科産業医による少人数のメンタルヘルス講習会を
作業時間
職長会では、定時総会、役員会・ミニ役員会、意見交換会、新規・
既会員・優良技能者研修会、職長交流会、会報誌発行などを実施
の作業時間
しています。活動を通じて発見された課題については、
当社支店
を削減 本社・支店にて定期的に実施し、管理者による
「気づき」
とラインケ
幹部や協力会社組織である利
ア、社員のセルフケアの両方がメンタル不全の早期発見と早期治
友会の幹部との意見交換を行
療に重要であることを指導しています。さらに希望者に対して精
い、対策については作業所の運
神科産業医との個別面談を実施するなど、社員の心の悩みに対し
営に反映しています。
てさまざまな側面からサポート体制を整えています。
35
戸田建設コーポレートレポート 2015
の業務を
廃止 職長会での意見交換の様子
価値創造ストーリー
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
コミュニケーション
ステークホルダーの皆さまと積極的に対話を図ることで、信頼と共感を深める双方向のコミュニケーションが何よりも
重要と考えています。当社グループは
「良き企業市民」
として、事業の特性に応じた社会貢献活動を実施するとともに、
ものづくりの魅力や喜びを次世代につないでいくための取り組みを推進します。
グループ会社の取り組み 学習機会の提供 「教員の民間企業研修」
に協力
戸田道路 広島土砂災害における土砂運搬作業
2014年8月、
(一財)
経済広報センターが実施している
「2014
2014年8月20日に広島市内で発生した豪雨災害により、
広島市
年度教員の民間企業研修」
に協力し、東京都私学財団の教員10名
安佐北区可部、
安佐南区八木などの住宅地後背の山が崩れ、
同時多
と東京都町田市にある小学校の教員4名、計14名を受け入れまし
発的に大規模な土石流が発生しました。戸田道路では、
国土交通省
た。当研修は、教員に民間企業で研修を受けて学んだことを授業
からの災害支援要請にもとづ
や学級活動をとおして子どもたちに伝え、今後の学校経営に活か
き、
土砂運搬を実施しました。
してもらうことを目的としています。
建築作業所、筑波技術研究所などを見学していただき、建設会
社ならではのスケール感や最先端技術を体感してもらいました。
グループ会社の東和観光
開発の社員4名もボランティ
ア活動に参加しました。
土砂運搬の様子
ほかの参加者とさまざまな伝
え方を共有し、教育現場で役
東和観光開発 地域の救急ステーション機能維持のため講習会を実施
立つ方法を話し合うグループ
ホテル&リゾート サンシャイン サザンセトを経営する東和観光
ワークを行い貴重な意見交換
開発
(山口県周防大島町)
は、2006年3月に山口県より地域の
「救
の場となりました。
技術研究所
(屋上ビオトープ)
見学の様子
急ステーション」
として認定をされて以来、地域の消防署の指導の
もと、
新しい救急救命の考え方の講習やAEDの使用訓練を重ねて
なごや☆子どもCity2014に参加
います。万が一の時、
ホテル宿
2014年11月、
名古屋市が主催する
「なごや☆子どもCity2014」
泊のお客さまや社員の安全を
が日本ガイシフォーラム
(愛知県名古屋市)
にて開催されました。
確保するとともに、
地域の皆さ
この企画は名古屋市が保有するイベント施設内に子どもたちが主
まの避難ステーションとして
体となって仮想社会をつくり、
日常の社会生活を再現し
「働く」
「学
の役割を果たしています。
AED使用訓練の様子
ぶ」
「遊ぶ」
を疑似体験するというものです。当社は
「学ぶ場」
を提供
し、地球環境にやさしい自然エネルギーとは何なのか?といった話
を浮体式風車の模型工作などの体験
ブラジル戸田建設 フェスタで家族ぐるみの交流会を開催
ブラジルでは多くの会社でフェスタ
(懇親会)
が行われますが、
を通じて学習してもらいました。2日
社員とその配偶者、
子ども、
両親まで招待するのがブラジル戸田建
間で110名の子どもたちが当社の
設の特徴です。年1回のフェス
ブースを訪れ、子どもたちに環境への
タは、普段会社では見せない
かかわりを身近に感じてもらうことが
社員の顔も見ることができ、
できました。 社員間の団結力を強めるのに
子どもたちに
模型づくりを教える様子
役に立っています。
フェスタの様子
2015_TODA Corporate Report
36
ステークホルダーエンゲージメント 決算説明会の開催 通期決算および第2四半期決算について、決算発表後に証券
当社グループでは、社会の環境変化に的確に対応するために、
アナリスト※や機関投資家向けの説明会を開催しています。決算
社内外のステークホルダーとの対話を促進しています。なお、
概要および事業環境についての説明を実施しており、毎回約50
2012年度からは、社外有識者とのステークホルダーダイアログ
名の方にご参加いただいています。また、説明会後のフォロー
を定期的に開催し、CSRマネジメントのさらなる改善につなげて
アップとしてOne-on-Oneミーティングなどを開催しています。
います。
※証券アナリスト:株式を発行している企業の財務内容や収益力を調査し、投資価値を判断す
る専門家のこと。
ステークホルダーダイアログ
大 規 模 地 震 災 害 に 際し て
果たすべき役 割
大規模地震災害時、建設会社には被害を受けた建物や、道路
や鉄道などのインフラを早急に復旧させるといった重要な社
会的役割が求められています。首都直下地震や南海トラフ巨
大地震の発生が懸念される昨今、当社のBCPに対する取り組
みに対して評価・ご指摘いただき、事業継続能力の継続的な
維持・改善につなげるべく、外部有識者をお招きし、ダイアロ
(開催日:2015年3月16日)
グを実施しました。
(中)
東京海上日動リスクコンサルティング株式会社
ビジネスリスク事業部 主席研究員
川原場 正義氏
(左)
常務執行役員 総務部長
大友 敏弘
(右)
総務部次長 BCP-WGリーダー
白井 光一
川原場:建物やインフラを担う建設業は、実際に災害が起きた場
果たすためにも、BCPの実効性を高める必要があります。今後、
さ
合の復旧作業などの対応に関しては、現場が自主的に有機的に
らにBCPをブラッシュアップしていく上で、重要なことはどのよう
動き、平常時の延長線上で動ける機動力やノウハウをもっている
なことでしょうか。
と思いますので、問題ないかと思います。一方で、本社機能の役
川原場:考え方の基本としては生産や業務を
「止めない」
のではな
割や対応が問われ、仮に首都直下を想定した場合、情報は断片的
く、
「 止まる」
ことを前提にいかに早く原状回復を果たすかといっ
にしか入ってこない。恐らく指揮命令系統が十分に機能しない状
た視点がポイントだと思います。生産工程や業務手順、サプライ
況の中で経営層は意思決定せざるを得ない。そうした過酷な状
ヤーとのやりとりなど、
日常レベルで業務効率を徹底することが、
況下における意思決定や課題の把握など、今後検証する必要が
BCPの維持・向上につながります。
あると思います。
大友:今後訓練自体を継続的に改善しBCPのブラッシュアップを
白井:過酷な状況下を想定した訓練の必要性についても課題があ
図っていくと同時に、常日頃の業務改善の徹底がBCPの維持・向
ると認識しており、
2014年度の訓練から部分的に過酷条件を付け
上にもつながるという考えを社内に浸透させることでも強化して
加えて実施しましたが、
まだまだ踏み込みは甘いと感じています。
いきたいと思います。
大友:災害時における建設業界に対するお客さまの期待や要請は
川原場:重要なことは訓練の失敗にどれだけ学べるかであり、それ
大きく、その責任と使命の重さも十分に認識しています。災害発
こそが危機管理を成功させるための決定的なポイントです。戸田建
生時にはまずわれわれが瓦礫を取り除き、道路を通行できるよう
設の事業継続能力の継続的な維持・改善に今後も期待しています。
にするというように、建設業でなければできない責任をしっかり
37
戸田建設コーポレートレポート 2015
詳しい内容はWEBサイトに掲載しています。
戸田建設 → CSRへの取り組み → ステークホルダーダイアログ
価値創造ストーリー
価値創造のための戦略
価値創造活動
価値創造のための基盤
会社概要・主な情報開示について
会社概要 (2015年3月31日現在)
会社名
戸田建設株式会社
(英訳名TODA CORPORATION)
本社
〒104-8388東京都中央区京橋一丁目7番1号
創業
1881年(明治14年)1月5日
設立
1936年(昭和11年)7月10日
資本金
230億円
従業員数
4,817名
(連結)
主な情報開示
●
①建築一式工事、土木一式工事等に関する調査、企
画、設計、監理、施工、その総合的エンジニアリン
グおよびコンサルティング業務
事業内容
主なコミュニケーションツールのご紹介
会社案内
会社概要
開発技術紹介
TODA COMMUNICATION
②地域開発、都市開発等に関する調査、企画、設計、
監理、
施工、
その総合的エンジニアリングおよびコ
ンサルティング業務
③不動産の売買、賃貸、仲介、管理および鑑定 等
支店(国内)
東京支店
(東京都中央区)
、首都圏土木支店
(東京都中央区)
、千葉支店、
関東支店
(さいたま市)
、横浜支店、大阪支店、名古屋支店、札幌支店、
東北支店
(仙台市)
、広島支店、四国支店
(高松市)
、九州支店
(福岡市)
、
筑波技術研究所
(つくば市)
主要国内グループ会社
〜 建設事業・不動産事業 〜
戸田ビルパートナーズ株式会社
(総合ビル管理業、
建設業、不動産業、保険代理業等)
戸田道路株式会社
(道路舗装工事、土木工事等)
千代田建工株式会社
(建設資材販売、土木・建築工事等)
株式会社アペックエンジニアリング
(空調・衛生設備工事等)
●
技術・環境に関するウェブサイトのご紹介
●
●
●
●
〜 その他の事業 〜
戸田ファイナンス株式会社
(グループ内金融、OA機器リース等)
東和観光開発株式会社
(ホテル&リゾート サンシャイン サザンセトの経営)
千代田スタッフサービス株式会社
(人材派遣、有料職業紹介)
株式会社八イドロパワー
(環境・エネルギー施設および設備の企画・設計・コンサル等)
●
建築設計コンテンツ
技術情報
コミュニケートするデザイン
技術とソリューション
http://www.toda.co.jp/arch/index.html
http://www.toda.co.jp/solution/index.html
●
●
●
主要海外拠点
東南アジア統括事務所
(タイ)
、
ジャカルタ駐在員事務所
(インドネシア)
、
ヤンゴン営業所
(ミャンマー)
主要海外グループ会社
●
●
●
●
ブラジル戸田建設株式会社
(建築工事等)
タイ戸田建設株式会社
(建築工事等)
ベトナム戸田建設有限会社
(建築工事等)
アメリカ戸田建設株式会社
(不動産業)
環境ソリューション
地球の明日を考える
http://www.toda.co.jp/solution/ecology/
2015_TODA Corporate Report
38
広報・CSR部
〒104-8388 東京都中央区京橋一丁目7番1号
TEL.(03)
3535-2235 FAX.(03)
3564-6713
http://www.toda.co.jp/
戸田建設は
「Fun to Share」
に参加しています。
戸田建設はグリーン購入ネット
ワークの会員です。
687
廃液の出ない
「水なし印刷」
を採用。
製造過程で出たCO2を、削減活動
への投資で埋め合わせました。
適切に管理された森林の木材
を原料にしている紙を使用
しました。
見やすいユニバーサルデザイン
フォントを採用しています。
VOC
(揮発性有機化合物)
成分
ゼロの環境に配慮した100%
植物油インキを使用しました。
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