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第3章 人材育成の取組み
第3章 人材育成の取組み 1 職場で育てる (1) 職場内における研修(OJT)を推進します。 ・管理職に対するOJT推進のための研修を実施します。 ・OJTに関する情報提供、マニュアルの作成などにより、職員への啓発と職場の合意形成を図 ります。 ※グループ制、内部講師の養成、管理職研修などと連携します。 ■ 職場において職務を通して行われる指導・訓練=OJT(On The Job Training)は、職員一 人ひとりの状況に応じて、きめ細かな指導が可能であることから、計画的・継続的に必要な知識、 技術、態度のレベルアップが図られ、効果が日常業務に直接反映されるという点において、人材 育成の中心的役割を担うものです。 また、指導する職員にとっても、自らの役割を再認識し、指導を通してあらためて業務への理解 が深まり、幅広い分野の知識の習得ができるという効果があることから、職場内におけるOJT を推進します。 OJTは部や課単位で実施する研修会・勉強会だけを指すものと誤解されたり、「仕事が忙し く時間がない、人手が足りない」といった受け止め方もされがちですが、OJTの機会は業務の あらゆる場面に及んでおり、仕事を進める過程そのものがOJTであると言えます。 たとえば、これまでより少し難度の高い業務を担当させたり、その業務に精通した先輩職員とメ ンバーを組ませる、会議に同席させる、進捗状況を説明させるなど、実務を通じて、または関連 させながら実施することが可能です。 また管理職は、日常の業務の中で課題を発見し、解決する能力を高めるような仕事の与え方を 工夫したり、職場内で議論の機会を増やす、勉強会を開催するなど、OJTの考え方や技術を学 び、部下職員の指導育成につとめる役割を認識する必要があり、そのための研修も実施します。 ■職員アンケートから 【現在、あなたの職場で職場内研修は行われていますか。】 ① 行われている。・・・56.4% ② 行われていない。・・39.1% 【職場内研修は必要だと思いますか。】 ① そう思う・どちらかといえばそう思う。・・・89.1% ② 思わない・どちらかといえばそう思わない。・・・5.5% 15 第3章 人材育成の取組み (2) ジョブ・コーチ制による新任職員研修制度を導入します。 ・新採用職員に対して、職場の上司がジョブ・コーチとして、計画的、継続的に具体的な知識・技 能や接遇等職場生活全般における指導・助言を行います。 ・グループ制、ジョブローテーション・新採用職員研修などと連携します。 ■ 職員定数の削減に伴い、新採用職員も即戦力と期待されますが、十分な業務の知識がないまま 配属されるため、職場において実際の業務を通じた実践的な指導、助言が不可欠となります。 新採用職員にとっては、最初に配属された職場での仕事の進め方、上司や先輩に対する印象が将 来的にどのような人材に育つかに大きく影響します。 直属の上司がマンツーマンで指導・助言を与える「ジョブ・コーチ制」などにより、新採用職員 の資質を高め、意欲に結びつくよう、適切な育成・支援を行います。 (3) 全庁で、係制を廃止し、グループ制を導入します。 ・グループ制に関する研修を実施します。 ・管理職のマネジメント研修を実施します。 ・一定期間経過後は、制度を検証します。 ・OJT、ジョブ・コーチ制、目標管理制度、管理職研修、職員の健康管理の充実などと連携します。 ■ 本市では、係制に代わる新たな体制として平成 19 年度からグループ制を導入します。 グループ制では、業務に最も適した体制を臨機応変にとることで、限られた人員を有効活用す ることができ、繁閑の調整や業務量の平準化が図られ、適切な事務配分や職員の流動化が可能と なります。 また、業務を大くくりにすることで職員間の情報共有の促進が図られるほか、様々な業務に携わ ることができ、幅広い知識を得ることができる、職員全員が何らかの業務の主担当となることで、 業務の責任者としての自覚が生まれるといったことが期待できます。 逆に、主査職の部下を育成、指導するという意識が希薄になるとも言われていますが、OJT の活用や「ジョブ・コーチ制」の導入などで、そのような課題も克服していきたいと考えていま す。 16 第3章 人材育成の取組み グループ制においては、所属長のリーダーシップ、マネジメント能力が重要視されることから、 管理職研修の充実・強化も併せて実施していきます。 また、新たな制度に対する不安を解消するために、職員に対する支援・相談体制を整えます。 ■職員アンケートから (複数回答あり。) 【グループ制のメリットについて】 ① 情報の共有化が進み、担当者がいないからわからないという弊害がなくなる。・・・45.5% ② 複数のグループに属することで、より広い視野にたって仕事ができる。・・・37.2% ③ 流動的にグループを編成することで、業務の繁閑の差が解消できる。・・・27.9% 【グループ制のデメリットについて】 ① 指揮命令系統や責任の所在が曖昧になる。・・・48.4% ② 複数のグループに所属することで業務の範囲が広くなりすぎ、対応できなくなる。・・・35.7% ③ 所属長のリーダーシップに左右される部分が大きい。・・・32.8% ■職員特別研修の意見から 【業務の分担・連携について】 ・ 同じ課の中でも、各係や担当がどのような業務を行っているか分からない。 ・ 事務の分担が明確でないので、自分の本当の仕事が分からない。 ・ 自分の担当の業務以外はやらなくても(知らなくても)いいという雰囲気がある。 ・ 特定の職員に仕事が偏る。 ・ 業務の分担がはっきりしているので、逆に負担がかかることがある。 ・ 課長は課内の業務をしっかり把握して、適切な業務分担をしてほしい。 ・ 係の垣根を越えて仕事をするべきだ。 ・ グループ制をある意味先取りしていて、横のつながりがいい。 ・ お互いの仕事量(状況)を把握し、助け合い仕事を進めている。 ・ 余裕があるところと、ないところの差が大きくなったように感じる。 17 第3章 人材育成の取組み (4) 目標管理制度を導入します。 ・組織の目標とリンクした個人の目標を設定し、その達成度を確認、評価します。 ・目標達成の過程において必要な能力開発を行い、意欲やチャレンジ精神を引き出します。 (5) 育成面談制度を導入します。 ・上司は目標設定や達成に向けたフォローをするため、部下の職員と定期的に面接を行います。 ※OJT、人事評価制度、自己申告制度、キャリア形成支援などと連携します。 ■ 組織目標とそれにリンクさせた職員一人ひとりの個人目標を明確に設定し、それぞれがその達 成に向けて主体的に取り組む「目標管理制度」は、職員の成長段階に応じた能力開発を促し、施 策や事務事業を進める役割を担うという意欲やチャレンジ精神の向上が図られることから、導入 する自治体が増えています。 「PDCA」のマネジメントサイクルを着実に繰り返すことで、より効率的・効果的な事務事業 の推進が期待できるほか、職員自ら目標設定することで、自身の能力や適性を客観的に把握する ことが可能となるため、キャリア形成に役立てることもできます。 また上司は、部下と定期的に面談を行うなど目標設定をリードし、達成に向けてフォローするこ とにより、部下の信頼を築きリーダーシップを発揮した効果的な組織運営が可能になります。 職員が相互に目標を認識することで、職場における円滑なコミュニケーションの醸成と良好なチ ームワークの形成にもつながります。 ■職員特別研修の意見から 【組織の目標について】 ・ 市全体が一つの目標に向かっていない。一つになれていない。 ・ 何のために今の仕事をしているのかはっきりと把握することが大事。 ・ 組織として同じ目標を持つことが大事。 ・ 課長、係長はリーダーシップを発揮して、何をやるべきか、方向性を示してほしい。 ・ 業務の方針を明確にして、職員が共通の認識を持って業務にあたるべき。 ・ 目標を達成する達成感を持てるようにしたい。 ・ 課全体が同じ目標・目的に向かって進んでいると感じる。 18 第3章 人材育成の取組み (6) 業務マニュアルの整備や IT の活用など、業務に関する知識・情報の共有化を進めます。 ※OJT、グループ制、ジョブ・コーチ制、職場内ミーティング、目標管理制度などと連携します。 ■ 「人事異動の際に、業務のノウハウや情報が後任者に十分に引き継がれないため仕事の質が一 時的に低下する」、 「同じ課や係の中であっても担当業務以外のことはよく分からない」 、という 声がよく聞かれます。 職場の目標を職員が共通認識しながら、業務の知識や技術を継承し、共有できるような学習的職 場環境づくりに努めることが必要です。 また、業務マニュアルの整備を一層推進することで、担当する業務を十分に把握できる、担当者 が業務で得た知識、情報を担当者以外の職員も共有することができる、事務効率の改善や業務の 質が向上するといった効果が期待できます。 庁内イントラネットで過去の事例や知識・情報を蓄積、データベース化したり、インターネット 上で、業務に関わりのある知識・情報を取得し、活用することも重要です。 (7) 職場ミーティングを励行します。 ・各職場で定期的なミーティングを実施し、情報交換を行い、課題を共有しあい、コミュニケーション とチームワークの向上を図ります。 ※OJT、ジョブ・コーチ制、目標管理制度、育成面談制度などと連携します。 ■ 職員が働きがい、やりがいを感じるためには、良好な人間関係やお互いの役割を認識して信頼 関係を築いていくことが重要であり、報告・連絡や相談を習慣づけるなど職場内の円滑なコミュ ニケーションが求められます。また、業務における課題や問題意識について自由に意見交換がで きる雰囲気が、職員一人ひとりが考え行動する積極性を生み出し、職場全体で業務に取り組む環 境づくりにつながるものと考えます。 19 第3章 人材育成の取組み ■職員アンケートから 【あなたの職場は自由に発言したり、議論できる雰囲気がありますか】 ① そう思う・どちらかといえばそう思う。・・・75.2% ② 思わない・どちらかといえばそう思わない。・・・23.3% 【職場では職務に関する情報や知識が共有されていると思いますか。】 ① そう思う・どちらかといえばそう思う。・・・69.0% ② 思わない・どちらかといえばそう思わない。・・・29.0% ■職員特別研修の意見から 【コミュニケーションについて】 ・ 課内のコミュニケーションが一番大事(忙しくて課内会議が減り、コミュニケーション不足) ・ ホウ(報告)・レン(連絡)・ソウ(相談)がとれる体制が必要。 ・ 課・係内のミーティングで業務を共有するべき。 ・ 職員全員が自由で活発な意見交換ができるような状況を作る。 ・ 定期的なミーティングを開催し、情報の共有化を図る。 ・ お互いの思いを素直に伝え合って、よい人間関係ができている。 ・ コミュニケーションが取れる反面、馴れ合いになったり、不満を言い出せない。 ・ 課長は部下に対し進んで声をかけ、コミュニケーションをとってほしい。 ・ 部下の意見、現場の意見も聞いてほしい。 ・ 日常の会話や飲み会も、コミュニケーションとしては大事。 (8) 職員提案制度を再開・拡充します。 ・各職場から積極的に改善案が提案されるよう優れた取り組みを評価するなど、多様な事務改善運 動を再開します。 ・職員提案を「事務改善」から「施策提言」へ拡大します。 ・業務に直結するよう、改善事例を提案させる「実績提案」を実施します。 ※OJT、目標管理制度、情報の共有化などと連携します。 ■ 職員が担当する業務の課題を発見し研究や検討を重ね、最良の解決方法を見つけ出す「事務改 善」は人材育成に欠かせない要素であり、職員の主体的に取り組む意欲を高め、意識改革、職場 の活性化にもつながるものです。 職場における事務改善に限らず、職員の多彩な発想を引き出し、市民の視点に立った政策形成 20 第3章 人材育成の取組み 能力を高めるために、職員による「施策提案」を積極的に受け業務に反映させることや、「改 善事例」を職員で共有し、実践することも必要です。 ■職員アンケートから 【あなたの職場は事務事業の改善や効率化に積極的に取り組んでいますか。】 ① そう思う・どちらかといえばそう思う。・・・69.0% ② 思わない・どちらかといえばそう思わない。・・・26.7% (9) 仕事と生活の両立を支援します。 ・次世代育成支援対策推進法に基づき、職員を雇用する事業主の立場から、職員の子育てと仕事 の両立のための環境整備などを推進する「行動計画」を策定します。 ・子育てや介護する職員に対し、職場内の理解や助け合いが促進するよう、職員の意識を啓発し ます。 ・地域の活動への参加を促進します。 ■ 職員がその能力や意欲を十分に発揮していくには、家庭や地域での生活が充実していることや、 心身の健康が保たれていることが前提となります。 市役所は地域で最大の企業であると考えれば、事業主の立場から育児休業や介護休暇を取得しや すく、職場復帰しやすい環境の整備など、民間企業に先駆けて子育てや介護などを行う職員の仕 事と家庭生活の両立を支援する取組みを推進する必要があります。 また、地域の活動には、このまちに住むものとして、また市民感覚や仕事のモチベーションを高 めるためにも積極的に参加することが望まれています。 (10) 職員の健康管理を充実します。 ・メンタルへルスに問題を抱える職員や上司が、気軽に相談できるような体制を作ります。 ・メンタルへルスに関する正しい知識と、ストレスへの対処能力を向上させる研修を充実します。 ・長期に休業した職員が円滑に職場に復帰できるよう支援するとともに、再発防止に努めます。 ・健康診断後のフォローアップや健康相談を実施します。 ・過重労働対策を充実します。 21 第3章 人材育成の取組み ■ 職員の健康管理については、特にメンタルへルスへの対応が求められる傾向にあり、本市にお いても相談窓口の充実やストレスへの対処能力の向上、職場復帰後の支援、再発の防止策などを 講じていく必要があります。 また、職員の削減により一人の職員にかかる責任と業務は年々増していることから、組織体制を 見直し、業務の平準化を図るとともに、長時間、時間外勤務を行った職員に対し心身の健康につ いて配慮する必要があります。 ■職員アンケートから 【あなたは職場内でストレスを感じることがありますか。】 ① ある・どちらかといえばある。・・・75.0% その理由 (複数回答あり) →職場環境が悪いから。・・・35.9% →仕事量が多い。・・・34.0% →仕事が自分の適正にあっていない。・・・15.3% ② ない・どちらかといえばない。・・・24.1% 【ストレスを感じることがある人は、そのストレスを発散できていますか】 ① できている・どちらかと言えばできている。・・・58.4% ② できていない・どちらかと言えばできていない・・・38.4% 【あなたは何か市民活動に参加していますが。】 ① 参加している・・・41.2% →町内会活動・・・59.4% それはどのような活動ですか。 (複数回答あり) →スポーツ団体などの活動・・・44.4% →ボランティア活動・・・30.1% ② 参加していない・・・56.0% 【市民活動に参加している理由はなんですか。】 複数回答あり ① 参加者との交流や活動そのものが面白いので・・・47.3% ② 当然のことだから・・・44.4% ③ 周囲の人から頼まれたので・・・37.7% 22 第3章 人材育成の取組み 2 人事制度で育てる (1) 採用試験制度の充実 ・稚内市が求める職員となりうる人材を確保するため、採用基準を徹底します。 ・試験科目、面接方法などを見直します。 ・採用後 6 ヶ月間の条件付採用期間において、適性を適切に評価します。 ■ 職員の採用にあたっては、今後の職員全体の年齢別・職種別構成の推移を見極めて、本市が求 める職員となり得る、高い資質と意欲にあふれる優秀な人材を確保するために、採用基準の徹底や、 面接・論文の重視など採用試験制度を一層充実します。 (2) 多様な人材を確保します。 ・特定の専門的知識・技能などを要する職に、外部からの人材登用、任期付職員、再任用職員の 活用を図ります。 ・意欲のある人材を広く募集するため、ホームページの充実など採用情報を積極的に提供しま す。 ■ 多様化する行政課題に的確に対応するためには、特定の専門的知識・技能を要する職について 外部から人材を登用したり、任期付職員の活用が効果的です。 長期的に知識・能力を蓄積する必要のある職には、再任用を進め、そのノウハウを継承します。 また、意欲のある人材を確保するために、ホームページの充実など採用情報を積極的に提供しま す。 ■職員アンケートから 【職員採用について、どのようなことを望みますか。】 複数回答あり ① 面接による人物重視・・・64.1% ② 年齢制限の緩和・・・43.6% ③ 係長・若手職員による面接・・・26.6% ④ 集団討議・・・24.7% 23 第3章 人材育成の取組み (3) 「新採用職員ジョブローテーション」を導入します ・新採用職員に対して、採用後の一定期間、「窓口部門」→「管理部門」→「事業部門」をそれぞれ まんべんなく経験させ、バランスの取れた育成を行います。 ・3 部門を経験後、職員自身と上司により適正、能力を判断し、今後進むべき方向性を決定しま す。 ※OJT、ジョブ・コーチ制、育成面談制度、キャリア形成支援などと連携します。 ■ 無限の可能性を秘めた新採用職員については、早い時期から様々な職務を経験し、業務の基礎 知識や市職員として幅広い見識を身につけさせることが必要です。 それには、採用後の一定期間は「能力・適正等の評価期間」と捉え、「窓口部門」、「管理部門」、「事業 部門」など多様な職場で経験させる、バランスの取れた育成を行う「ジョブローテーション」が非常に効果 的です。その時々に応じて適切な研修を提供しスキルアップを図るとともに、3 部門を経験後、職 員自身と上司により、その適正、能力を評価・判断し、今後進むべき方向性を決定するなど、キャリア形 成にも役立ちます。 (4) 自己申告制度の充実と活用を図ります。 ・「自己申告制度」により、やりたい仕事や自信のある職務への異動希望を把握し、配置することで 意欲の増進と能力の有効活用を図ります。 ※ジョブローテーション、庁内公募制、キャリア形成支援、複線型人事制度などと連携します。 ■ 本市では、職員の自己啓発、組織の活性化、優れた人材の登用、人材育成のニーズの把握など を目的として、平成 10 年度から「人事異動希望調査(自己申告制度) 」を導入しています。 今後も、本人の意向やこれまでの職務経験、適性を踏まえた適材適所の職員配置を実施します。 ■職員アンケートから 【自己申告制度は効果があると思いますか。】 ① とても効果があると思う・ある程度効果があると思う。・・51.9% ② 効果はない・あまり効果はない。思わない。・・・31.9% 【自己申告制度は必要だと思いますか。】 ① 思う・どちらかと言えばそう思う。・・79.8% ② 思わない・どちらかと言えばそう思わない。・・・11.4% 24 第3章 人材育成の取組み (5) キャリア形成を支援します。 ・ 職員が自らの能力や適性を踏まえ、希望する将来像を考える「キャリア形成」の機会を確保し ます。 ・ 特定の年齢の職員に対し、キャリア形成研修を実施します。 ・ キャリア形成に関する悩みや相談に応じる窓口の設置、必要な情報の提供を行います。 (6) 「複線型人事制度」を導入します。 ・ゼネラリストとスペシャリストのコースを構築し、自己選択による適材適所の配置と計画的育成 に努めます。 (7) 異動基準の明確化を図ります。 ・原則的な異動ルールを明らかにするなど、職員が信頼できる人事異動のシステムを構築しま す。 ※育成面談制度、自己申告制度、庁内公募制、人事評価制度、自己啓発支援などと連携します。 ■ 職員の自己成長のためには、異動などによる多様な職場や業務を経験することで、職員自らが 自身の能力、適性を自己分析し、キャリア形成(将来的にどのような分野で、どのような知識を 積んで、どのように能力を発揮したいか、そのためには今後どのような異動ルートをたどってみ たいのかなど)を考える機会が必要です。 組織としても、研修や面談など職員がキャリア形成を考える機会を確保し、その実現のために必 要な情報の提供やアドバイスや相談に応じる体制を整備します。 ■ 本格的な分権化に向けて、福祉や税、法務といった特定の部門・分野の業務に精通・習熟し、専門 的スタッフとして業務を遂行するスペシャリストを計画的に育成することが不可欠となっています。 職員の個性や能力を活かした自己責任による進路の選択を可能とし、人材の効果的活用を図るため、 組織の運営や業務の進行管理などにあたるゼネラリスト(総合職)か、スペシャリスト(専任職)のいずれ かを本人の希望により選択できる「複線型」の人事システムを導入します。 ■ 人事異動に関しては、 「異動希望が反映されない」 、 「異動の期間が長すぎる(短すぎる)」 、 「現場 の状況が考慮されていない」など、人事異動に対する不満がやる気につながらないという職員も 25 第3章 人材育成の取組み 少なからずおり、異動基準の明確化を望む声が多くなっています。 施策の実現のためには必ずしも本人の希望どおりにはならないとしても、キャリア形成支援、複 線型人事制度などと併せて、原則的な異動ルールを明らかにしたり、異動希望の不採用理由、新 所属への異動理由、期待される役割などを本人に説明するなど、職員がより信頼できる人事異動のシス テムを構築します。 (8) 庁内公募制を導入します。 ・特定のポストや職場、職務に関し、職員から希望を募り、応募者の中から適材者を配置します。 ※目標管理制度、キャリア形成支援、人事評価制度などと連携します。 ■ 意欲ある職員の発掘、登用は、チャレンジ意欲の喚起をはかり、職場の活性化にもつながりま す。特定のポストや職務について職員から希望を募り、応募があった職員の中からそのポスト等 に配置する「庁内公募制」を導入するなどして、積極的に自身の能力をPRできる環境を整えま す。 ■職員アンケートから 【現在の人事異動に満足していますか。】 ① 満足している・どちらかと言えば満足している。・・33.4% ② 満足していない・どちらかと言えば満足していない。・・・53.4% →職場の状況が考慮されていない。・・・73.5% →職員により異動期間にムラがある。・・・61.0% その理由 →(ほかの職員が)適正な配置がされていない・・・40.3% (複数回答あり) →次の異動までが長すぎる。・・・21.3% →(自分が)適正な配置がされていない。・・19.0% 【人事異動・配置についてどのようなことを望みますか。】 複数回答あり ① 異動基準を明確にするべき・・・60.9% ② 新採用職員のジョブローテーションの導入・・・42.6% ③ 自己申告制度・・・36.7% ④ 特定の部署やポストを公募で決める庁内公募制の導入・・・15.5% 26 第3章 人材育成の取組み ■職員特別研修の意見から 【人事異動・職員配置について】 ・ 異動のサイクルが不明瞭 ・ 人事異動の基準がない。 ・ 人事異動が少ないので、視野が広がることが望めない。 ・ 係員全員の経験年数が浅い。 ・ 同じ職場に長くいるので、専門的な知識が身につけられる。 ・ 専門的な職場なので異動の期間が短いと業務を覚えることができない。 ・ 仕事量に応じた適正な人員配置がされていないため、サービス残業が多い。 ・ 仕事量が多いのに人員は不足している。 ・ 若い人が多く、係長の次に立てるような主任層がいないため、係長の負担も多く、主事層も不安 を抱えている。 ・ 自分以外の職員があまりにも年上過ぎて、連携が取りづらい。 ■職員アンケートから 【複線型人事制度は必要だと思いますか。】 ① 思う・どちらかといえば思う。・・・68.3% ② 思わない・どちらかといえば思わない。・・・15.2% (9) 希望降任制度を導入します。 ・職員の心身の負担軽減、能力の発揮、組織の活性化を図るため、本人の希望により、下位の 職位へ降任させることができます。 ※職員の健康管理、キャリア形成支援などと連携します。 ■ 職員本人の病気や家族の介護など家庭の事情で職責を全うすることが困難になったり、多忙で 精神的なプレッシャーの大きい職責に耐えきれず、思い悩んだり体を壊したりしたため、やむに やまれず退職するケースに配慮して、本人の希望により降任できる制度が全国的にますます広が る傾向を見せいています。 本市においても、職員の心身の負担軽減、能力の発揮、組織の活性化を図る目的で、本人が降任 を申し出て認められれば希望する職位(課長であれば上席主査、主査など)に降任させる「希望 降任制度を導入します。 27 第3章 人材育成の取組み (10) 庁内プロジェクトチームに、若手職員や公募による委員を選任します。 ※目標管理制度、キャリア形成システムなどと連携します。 ■ 各部にまたがる重要課題を調査・研究し、その解決策を提言する目的で設置される「庁内プロ ジェクトチーム」は、メンバーの市政への参画意識を高め、政策立案能力や企画調整能力を育成 する機会にもなります。 より広い視野で現状を把握し、先輩職員の知識を吸収しながら、新しい視点や発想で課題に取り組むこ とができるため、若手職員や公募による参加を積極的に進めます。 ■職員アンケートから 【降任・降格制度は必要だと思いますか。】 ① 思う・どちらかといえば思う。・・・66.7% ② 思わない・どちらかといえば思わない。・・・22.9% (11) 女性職員の職域・業務の拡大を推進します。 (12) 技術職員・業務技師(業務補)の職域・業務の拡大を推進します。 (13) 職種間交流を推進します。 ・性別や職種に限定されない、職員個々の意欲や能力、適正に合わせた職員配置を行います。 ※自己申告制度、庁内公募制、キャリア形成支援などと連携します。 ■ これまで女性職員の配置や担当業務は固定的・限定的に捉えられがちでした。 しかし、男女共同参画社会の実現に向けた取組みや、まちづくりを進めるうえでは女性の視点を 生かすことも重要であるといった観点から、女性職員の職域や業務を拡大し、その能力の一層の 活用を図ります。 ■ 技術職員、業務技師(補)についても、より広い視野や経験を持った人材を育成するため、能力 や適正に応じて、職種転換など採用時の職種にとらわれない柔軟な配置や、職種間交流を進めま す。 28 第3章 人材育成の取組み ■職員アンケートから 【女性職員の昇任・昇格は適正だと思いますか。】 ① 思う・どちらかといえば思う。・・・49.0% ② 思わない・どちらかといえば思わない。・・・30.5% 【本人の希望による職種転換(技師→主事など)は必要だと思いますか。】 ① 思う・どちらかといえば思う。・・・65.2% ② 思わない・どちらかといえば思わない。・・・21.9% ■職員特別研修の意見から 【職種の違いについて】 ・ 事務と現場との間に壁がある。 ・ 現場と本庁との人事交流が必要である。 (14) 人事評価制度を導入します。 ・職員の適正や実績、意欲を多面的・客観的に評価し、その結果をさまざまな人事制度に適切に 反映していきます。 ・評価基準の明確化や評価結果の本人への開示など、評価者・被評価者が互いに信頼・納得で きるシステムを構築します。 ・上司による面談や苦情対応、メンタルへルスなど組織的なサポート体制を整えます。 ※目標管理制度、育成面談制度、キャリア形成支援などと連携します。 ■ 人事評価制度は、それぞれの職位に応じた役割や能力、個人目標などに基づき、公正に評価・検証 された結果を、今後の職員個々の能力開発や自己啓発意欲の喚起につなげ、効率的な行政運営に役 立てるという人材育成の重要な手段となります。 目標管理制度を始めとするさまざまな場面を利用して評価した結果を、配置・昇任、キャリア システムの形成などの人事制度や、給与制度に適切に反映することで、職員の意欲と実績に応え られる、透明性の高い人事管理を行うことが可能となります。 人事評価の導入にあたっては、公平・公正で客観的な評価基準の作成や評価者への研修の実施、 多面的な評価(自己評価・部下が上司を評価など)の採用、評価結果の本人への開示、更にチャレ ンジする意欲が評価されていることが分かるような仕組みなども取り入れ、職員が納得・信頼できるシ 29 第3章 人材育成の取組み ステムを確立します。 また、上司による定期的な面接による支援、苦情対応、メンタルへルスなど組織的なサポート体 制も欠かせない要素です。 ■職員アンケートから 【人事評価は必要だと思いますか。】 ① 思う・どちらかといえば思う。・・・49.7% ② 思わない・どちらかといえば思わない。・・・40.3% 【人事評価について、どのようなことを望みますか。】 複数回答あり ① 評価の基準を明確にするべき。・・・72.1% ② 評価の結果を本人に開示するべき。・・・58.6% ③ 部下が上司を評価する制度も設けるべき。・・・42.4% ④ 評価結果を処遇(給与、昇格など)に反映させるべき。・・・37.1% ⑤ 評価者の研修、トレーニング・・・36.0% ⑥ フォロー体制(苦情処理機関、メンタルへルスなど)の整備・・・31.4% 【自分は適正に評価されていると思いますか。】 ① 思う・どちらかといえば思う。・・・53.1% ② 思わない・どちらかといえば思わない。・・・26.9% 【給与は自分の能力や仕事量に見合っていると思いますか。】 ① 思う・どちらかといえば思う。・・・50.9% ② 思わない・どちらかといえば思わない。・・・39.1% 【給与は何を重視して決めるべきと思いますか。】 ① 能力や実績・・35.9% ② 年齢や勤続年数・・・30.5% ③ 職位や職責(責任の重軽)・・・23.4% 30