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がん登録などテーマ
い の ち 第 回日本診療情報管理学会学術大会が9月 日から2日間、 岩手県盛岡市で 開催された。「グローバルな視点で診療情報管理のさらなる発展を目指す」 が大会 テーマ。 診療過程で得たさまざまな診療情報は、 有効活用することで医療の質の がんのステージ(進行 度)の入力も、 年には 医師と診療 どうかを検 情報管理士 の理解と協力による結果 標準化を実施していな 証。研究班 いグループ病院に関して がそれぞれ です」 (勝元係長) も今後、環境整備を推進 採録を行い、 全体の ・4%が空白の 空白が5・0%と大きく する考えを明かし、入力 ままだったが、 年には 改善、データの量だけで 診状況の網羅的な把握が がん患者さんの実数や受 プ病院を受診した全国の すべてのがん患者さんを 化を図るため、受診した いた。この状態から標準 が病院によって異なって 理部門の連携強化や、職 地域を越えた診療情報管 の 必 要 性 を 指 摘。 「今後 況は大きく改善しました。 更新や担当者教育・支援 「徳洲会のがん登録の状 も標準化を継続していき なく質の向上も実現した。 データの精度向上を図る 採録結果の は「両者の 業を要し、概算の患者数 勝元係長によると、 こ 登録の基準やタイミング 増加)。 14 41 こ う しゅん そ う 年から全国がん登録が義務化 行っているが、第6版以 ICC)第7版をもとに 在、国際対がん連合(U がん登録の病期分類は現 者のひとり。日本の院内 きる可能性が示唆されま 性の高いデータを取得で は実現可能で、かつ妥当 日本版CSのデータ収集 理士による 診療情報管 の向上を図ることができ、 「作業の効率化や安全性 テの並べ方も工夫した。 使用」などを実施。カル る」 、 「すべて固定の棚を 今までよりも効果的なフ した」などと報告した。 分類と単純比較ができな 前のUICCなどに準拠 中部徳洲会病院(沖縄県) の Collaborative Staging ァイルの保管が可能にな 上への取り組み~全国集 「院内がん登録の精度向 まとめた。 きる環境が整った。さら 台の端末で作業を完結で が可能となったほか、1 患者基本情報の自動引用 により、電子カルテから りました」と氏原職員は 計に提出可能なデータの に、項目間の整合性や入 一方、米国が採用して 作成~」と題する発表も 力漏れを簡易に確認でき いる Collaborative Stag(CS)と呼ばれる手 ing 行った。国立がん研究セ るエラーチェック用のエ 法は、腫瘍の大きさや進 ンター(旧・国立がんセ クセルシートを作成。こ 患者ファイル効果的保管 した院内がん登録の病期 いことから、 安里主任 を比較した。 両者の結果 困難だったが、より正確 登 録 対 象 と し、「 院 内 が を対象に「登録業務の標 しか把握できなかった。 ため、定期的なシステム なデータの把握が医療の 一致度が高 の登録へ統一。システム 患者受診調査~がん登 録 準化」、「登録システムの 安里主任は「院内がん いなど課題がある。 日本版CSは実現可能 ます」と結んだ。 も各病院で共通したもの 種を越えた多くの関係者 がん登録の法制化を見す を導入した。 標準化以前の2011 え、約3年前から業務の 把握などの取り組みを開 標準化などを図り、実数 質向上に寄与することや、 ん登録」に準拠した項目 向上や効率的な医療提供に貢献する。 徳洲会からは4演題の口演 (口頭発表) があ った。 概要を紹介する。 がん登録の標準化を推進 岸和田徳洲会病院(大阪府) 勝元伸二・ 診療情報管理室係長 過去のデータをさかのぼ 年のデータに関しては、 徳洲会では共通電子カ って集計し直すなどの作 始した。 情報管理部会の部会長 を ルテを導入済みの 病院 徳洲会グループの診 療 務める勝元係長は「が ん システムと業務の標準 化 しかし 登録実務者による日本版 安里邦子・ 診療情報管理室主任 病院 病 院 )。 対 象 が が可能になった(当時は 8650件と実数の把握 年については、 ~」をテーマに発表した。 整備と標準化」、「担当者 以前は「院内がん登録 支援」を実施。 を 実 施 し て い る 病 院 」、 勝元係長は全国に 人 程 度しかいない診療情報 管 ステージング ンター)は、国が指定す のほか新規発生登録デー に増えた 年は1万15 る都道府県がん診療連携 タは全症例を対象に、が ており、今年度からは 日 「 地 域 が ん 登 録 を 実 施 し 氏原職員は「効果的な 拠点病院を対象に、 年 ん登録業務従事者による 展度・深達度などを登録 患者ファイル保管の検討 度から院内がん登録の全 ダブルチェックを実施。 実施可能性に関する検 まざまな基準にもとづく ~施設増改築を契機とし 国集計を開始。 年度か 28件に増加( 年には 病期分類の比較が容易に た業務の見直し~」がテ らは都道府県が独自に指 ている病院」、「グループ できるといったメリット ーマ。岸和田病院は電子 結果、 本診療情報管理士会の 評 がある。 カルテ導入後、紙カルテ 定する準拠点病院も対象 岸和田徳洲会病院 ただしCSは項目数が を患者ファイルとして継 に加わった。 「ダブルチェックにより、 し、システム上で病期に 多く、情報の採録に時間 続保管。院内の増改築に 準拠点病院の岸和田病 多種多様な症例の情報を 討」と題し発表した。安 を要することに加え、専 よるカルテ庫の移設にと 院は、院内がん登録全国 和泉市立病院、吹田徳洲 門的知識も必要なことか もない、より効果的なフ で調査している項目のみ ら、効率化と実務者の教 ァイルの保管を検討した。 集計に提出可能なデータ 共有することができ、個 議員も務めている。 育が課題と考えられてい 登録を行うため、登録業 々の知識向上につながり、 自動変換する仕組み。C る。そこで安里主任は、 従来の棚の配置の問題 務の見直しや登録精度向 登録精度が高まりました。 里主任は全国でも数少な 国内の有識者による研究 点を洗い出し、改善策と 上の取り組みを開始。 把握している病院」など、 会病院が加わり 病院に 班が作成した「日本版C して「照明が当たらない 電子カルテに付随した がん登録システムの整備 年の S」を用い、診療録から 場所を極力つくらない」 、 を目指します」と結んだ。 今後もさらなる精度向上 出できた。 診断症例1081件を提 年度には のデータ採録が診療情報 管理士により実施可能か 「 棚 と 棚 の 距 離 を 広 く と 氏原悦子・ 診療情報管理室職員 コ ラ ボ レ ー テ ィ ブ 16 Sを採用することで、さ 39 い院内がん登録実務指導 れまで徳洲会ではグル ー 体脂肪をノックアウト 全国から多数の参加者が会場に駆け付けた 11 13 11 39 理士指導者の認定を受 け 12 13 60 54 40 奄機研の上山泰男・副理事長 (医療法人徳洲会大阪本部特任 顧問、徳之島徳洲会病院総長)は、 奄美群島固有の機能性植物資源 による地域活性化を目的に、奄 美固有の植物60~70種のなか から、食材として利用されてきた 奄美固有の植物「向春草」 アマミシマアザミに着目。 琉球大の屋宏典教授、徳之島町と共同で、機能性を解明する 研究を実施した。 その結果、同アザミはレタスやキャベツ、 ブロッコリーなどの 野菜と比べ、健康維持などに有用な成分であるポリフェノール を約6~7倍含有することを突き止めた。 さらに、同アザミの葉の凍結乾燥粉末から得た抽出物で、脂 肪細胞を培養したところ、細胞内の脂肪蓄積量が有意に減少、 脂肪酸合成酵素の発現抑制も認めた。 また、同粉末を高脂肪食とともにマウスに与えた結果、脂肪 酸の血中濃度が低下、皮下脂肪量も有意に減少し、脂肪酸合 成酵素の発現を抑えることがわかった。 さらに肝臓の脂肪量、肝障害マーカーもそれぞれ有 意に低下。肝臓での脂肪酸合成に関連する酵素系 mRNAの抑制、脂肪酸酸化系mRNAの促進も認めた。 こうした研究結果をもとに奄機研、琉球大、株式会社 アミノアップ化学は共同で昨年 8月、 「脂肪蓄積抑制剤、 脂肪肝の予防または治療剤および飲食品」 として国内 および国際特許を出願。同アザミを 「向 春 草」 と命名し、 商標登録も行った。 今年 4月には琉球大が農林水産省から新需要創造 支援事業として承認 を受け、向春草を産 地の奄美や健康食品 メーカーなどに向け ピーアール展開。今 後、向春草の有用性 が広がれば、奄美の 地域おこし、農業の活 性化が期待できる。 特許出願し機能性PR 12 29 奄機研 な ど 13 08 徳洲会から4演題 アマミシマアザミ 「向春草」 今回、 徳洲会からの発表は4演題のうち3演題が、 がん登録に関連したテーマだった。 診療情報管理 の分野では、 がん登録以外にも医療の質向上やDPC (診断群分類) データ活用など、 取り組むべきテーマ は多岐にわたる。 しかし、 喫緊の課題は2016年から 始まる“全国がん登録”への対応だ。 13年12月に 「が ん登録等の推進に関する法律」 が成立し、 16年1月 から病床規模にかかわらず、 全国がん登録がすべ ての病院に義務付けられる。 「現時点で国内の徳洲会グループ病院68施設のう ち、 すでに標準システムで院内がん登録を行ってい る41施設は、 全国がん登録への対応が可能です。 こ こ2~3年で徳洲会はがん登録の体制がだいぶ整っ てきましたが、 全病院で対応できるよう実施体制を さらに推進していきたい」 と勝元伸二・診療情報管 理部会部会長。 徳洲会ではエビデンス (科学的根拠) に基づいた 質の高いがん診断・治療を行っていくため、 「オンコ ロジー (腫瘍学) プロジェクト」 として、 がん化学療法 の標準レジメン (実施計画書) の整備や臨床研究に 積極的に取り組んでいる。 同プロジェクトを推進し、 がん医療をさらに強化していくうえでも、 精度の高 いがん登録は欠かすことができない。 勝元部会長は研修会や学術集会の開催など、 グループ 内部会活動の活性化にも意欲を見せている。 12 日本診療情報管理学会 がん登録などテーマ 長寿の島、 奄美から機能性植物の情報を発信―。 NPO法人奄美機能性食品開発研究会 (奄機研) 、 琉 球大学熱帯生物圏研究センター、 徳之島町は共同 で、 鹿児島県の奄美群島固有の植物、 アマミシマア ザミの有効成分を特定、 機能性植物として情報発信 を開始した。 平成 26 年 9 月 22 日 月曜日│No.947 ❹ 聞 新 洲 徳 生 命だけは平等だ