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第4章 教育のプロとしての教職員の資質能力の向上

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第4章 教育のプロとしての教職員の資質能力の向上
第4章
教育のプロとしての教職員の資質能力の向上
◎ 「一人の優れた教員は百の施策に勝る」と言
われます。学校教育の充実は、直接の担い手
である教員の資質能力に負うところが極めて
大きいことから、魅力ある優れた教員を確保
していくため、教員の養成・採用・研修の改
善、心身の健康づくり、生き生きとした職場
づくりなどを通して、教職員の資質能力の向
上を図ります。
- 49 -
基本的な考え方
学校教育の充実は、直接の担い手である教員の資質能力に負うところが
極めて大きく、意向調査の結果でも、高校教育の改善・充実のために取り
組むべき課題として、「広く豊かな教養と実践的指導力に富んだ教員の採
用 」、「生徒の生きる力を育むための教員の資質向上」を指摘した回答が
多く寄せられたところです。
魅力ある優れた教員を確保し、大きく変化する時代に的確に対応できる
能力を育成するよう、「学校パワーアッププラン」を基本に、教職員の資
質能力向上のための各種施策を推進します。
1
教員の養成・採用・研修を通じた資質能力の向上
(1) 教員の養成及び採用
大学との連携に
よる養成
使命感や子どもへの愛情を持ちながら、現場の課題に適切に対応できる
力量ある教員を養成するとともに、専門的な知識や技術を高めるよう、大
学との連携の強化を図ります。
採用における人
物評価の重視
教員の採用において、使命感や子どもへの愛情、体験に裏付けられた指
導力など、人物評価を一層重視する観点に立って、受検者の資質能力をよ
り適正に評価する方策を検討します。
(2) 教員研修の充実
教えるプロとし
教員には、日々の教育実践や教員自身の研鑽などにより、絶えず自らの
ての力量の向上
力量の向上に努めることが求められており、新しい指導内容や指導方法を
身に付けることができるよう、実践的な研修を積極的に取り入れ、教える
プロとしての力量の向上を図ります。
経験年数や職能に応じた基本研修や、教科・領域等にかかわる専門研修、
今日的課題の解決を図るための課題研修など、道教委が計画する各種研修
の一層の充実に努めます。
ア
優れた授業実践の支援
授業実践の研究
組織の導入
教科指導において優れた実践を持ち、教材や学習プログラムの開発に取
り組み、積極的に公開授業を実施したり、初任者などの研修等に協力する
複数の教員の組織をつくるなどして、その実践を支援します。
- 50 -
道立教育研究所、道立理科教育センター等は、授業実践の研究組織の活
動を支援します。
各地域において、授業実践の研究組織が中心となって、地域の高校の当
該教科の教員を対象とする研修会等を実施するとともに、授業実践の研究
組織の実践の成果を情報交換する場等を設け、その実践の全道への普及を
図ります。
教科研修(授業
研究)の推進
教科指導力の向上のため、道教委が主催する教育課程にかかわる全道規
模の協議会等において情報交流を推進します。
地域においては、学力向上にかかわる事業の推進校等が授業研究の中心
的役割を担い、授業実践の研究組織を活用するなどして、教科指導力の向
上を図ります。
授業研究の中心的役割を担う高校は、研修の会場校となって積極的に公
開授業を実施したり、教員を各種研修会の講師に派遣するなどして、本道
の高校の授業実践の水準の向上を図ります。
優れた授業実践の奨励のため、道立教育研究所や道立理科教育センター
がカリキュラムセンターとしての機能を生かして、優れた授業の指導案等
を集約し、「ほっかいどうスクールネット」等において検索できるような
体制を整備します。
イ
ライフステージに応じた研修の充実
各種研修の体系
化
教員のライフステージに応じた研修の充実を図ることが求められること
から、初任者、5年経過の教員、10年経過の教員を対象とする経験年数に
応じた研修や、新任の校長・教頭・教務主任等を対象とする研修など、道
教委の実施する研修事業の体系化を図り、研修内容の一層の充実を図る必
要があります。
このため、道立教育研究所が中心となって研修の企画・立案を行うこと
や、研修事業に係る組織体制の見直しを図ることなど、実施機関の一元化
等の検討を進めます。
10年経験者研修
の充実
10年経験者研修*1については、大学等との連携を図り、教員の個々の能
力、適性等に応じ、得意分野を伸ばす研修の充実を図ります。
また、研修の成果が教員の力量向上につながるよう、事前・事後の評価
の活用を図ります。
*1
教育公務員特例法第24条による研修で、在職期間が10年に達した教員等に対し、個々の能力・適性等に応
じた研修を実施することにより、教科指導、生徒指導等に関する指導力の向上を図ることを目的とする。
- 51 -
北海道高等学校
職業教育については、産業技術の高度化や学習指導要領に対応した知識
産業教育実技講
・技術を習得させる研修の充実を図るため、北海道高等学校産業教育実技
座等の充実
講座等の充実を図ります。
芸術教科の研修
の充実
芸術教科・科目担当の教員については、全道規模での研修の機会を設け
るとともに、大学等と連携することなどにより、研修の機会の充実を図り
ます。
ウ
様々な研修機会の充実
特別支援教育の
研修の充実
高校における特別支援教育の体制を整備するため、道教委主催の各種研
修等において、特別支援教育にかかわる研修の充実を図ります。
校内研修において、地域の盲・聾・養護学校等と連携を図るなどして、
特別支援教育にかかわる研修の充実を図ります。
管内での研究会
教員の専門性を高めるためには、全道規模での研修の充実とともに、管
の充実への支援
内等において、日々の実践に即した研修の充実を図ることが求められます。
これまで管内ごとに実施されている、教科ごとの研修や、教務、生徒指
導、進路指導にかかわる研究協議会等の成果を踏まえ、管内等ごとの教科
や領域にかかわり高校長協会が組織している研究活動等への支援を図りま
す。
なお、管内での研究会においては、全道規模の研修等に参加した教員が、
積極的に提言者等を担当するなど、全道を視野に置いた研究の充実を図る
よう取り組みます。
企業や研究機関
等との連携
社会に対する視野を広げ、教育の専門家としての信頼を高めるため、道
内大学及び産業に関する研究機関等への派遣や民間企業等における社会体
験による研修の充実を図ります。
校内研修の充実
日々の教育実践の中で、絶えず自らの力量の向上に努めている教員にと
って、校内研修は教員としての資質能力向上を図る重要な機会であるとと
もに、教員の専門的力量の向上が学校の組織力の向上に大きな意義がある
ことから、校内研修の学校経営上の位置付けを再確認し、バランスのとれ
た研修体制が実現するよう支援を図ります。
(3) 管理職研修の充実
人材の確保と研
修の充実
管理職には、自らの教育理念に基づき経営実践する力、幅広い教養や体
験に基づく豊かな人間性、教育に対する愛情や情熱を基盤とした使命感な
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どが求められるため、校長、教頭の任用に当たっては人材を確保し、任用
後の研修の充実を図るよう努めます。
また、新たに採用・昇任となる管理職は、校長・教頭としての心構えを
はじめ、学校経営の在り方、地域とのかかわり等について勤務校の校長か
ら十分な指導を受けるなど、採用・昇任前に研鑽を積むよう努めることが
必要です。
管理職の研修については、様々な教育課題に対応し、生徒や保護者、教
職員、地域社会から信頼される学校運営を推進するため、校長、教頭が、
マネジメント能力やリーダーシップを発揮して、経営感覚を一層磨くこと
ができるよう、民間の経営の発想やノウハウを学ぶ機会を積極的に取り入
れ、新任校長研修会、新任教頭研修会、組織マネジメント研修等の充実を
図ります。
2
学校の活性化を図る評価制度、人事異動
評価制度の導入
学校職員の評価制度を導入し、職員の能力や実績等を適正に評価するこ
とにより、その意欲を高め、学校における教育活動の活性化を図ります。
評価に当たっては、目標管理手法を導入し、自己評価に加え、校長等の
評価者による評価を組み合わせた評価システムを構築します。
人事異動の推進
各学校の活性化や全道的な教育水準の維持・向上を図る観点から、教員
の都市部と郡部間の異動を促進し、適切な教員の配置に努めるとともに、
教員に多様な学校での経験を積ませることにより、資質能力の向上につな
がる人事を推進します。
教員の「公募制」
の導入
校長の教育理念や学校経営方針等に基づき、一定数の教員を公募して配
置する「公募制」の導入を検討します。
教員の「公募制」により、校長がリーダーシップを発揮した学校経営や
特色ある学校づくりを進めるとともに、教員の適材適所の配置や意欲の向
上を図ることなどが期待されます。
表彰制度の見直
し
指導力に優れ、熱心な取組を行っている教員の努力や成果について、適
正に評価することにより、教員の意欲を高め、学校における教育活動の活
性化を図ることが大切であることから、教職員の表彰制度の見直しを図り
ます。
- 53 -
3
教職員の心身の健康づくりと生き生きとした職場づくり
メンタルヘルス
対策の充実
教職員は、生徒指導や学習指導上の課題、学校教育への過度の期待、職
場の人間関係などでストレスを感じることも多いことから、心身ともに充
実した健康状態を目指すメンタルヘルス対策の充実を図り、明るく活力に
満ちた働きやすい職場づくりに努めます。
また、教職員は、日常的に生徒と接する立場にあり、その人格の形成に
大きな影響を与えることから、学校教育を円滑に実施するという観点から
も教職員の心身の健康の保持・増進に努めます。
さらに、メンタルヘルス対策をより体系的・組織的に推進することによ
り、一層の充実を図ることとし、
「道立学校職員等のメンタルヘルス計画」
に基づき、継続的・計画的に対策を実施します。
学校・職場におけるメンタルヘルス対策では、管理監督者の役割が重要
であり、職員の健康を守り、健康障害を未然に防止するための正しい理解
と適切な対応に資するため、全学校に配付した「管理監督者のためのメン
タルヘルスハンドブック」の活用によりメンタルヘルス対策の強化を図り
ます。
4
信頼される教員としての自覚
服務規律の保持
信用失墜行為などの教職員の不祥事は、道民の教育に対する信頼を著し
く損なうものであり、不祥事を未然に防止するという視点に立ち、常日頃
から校内研修などを通して、教育公務員としての自覚を促し、服務規律の
保持に努めます。
「教職員の服務
道教委が平成16年度に作成し、道立学校の全教職員に配付した「北海道
ハンドブック」
公立学校教職員の服務ハンドブック」を有効に活用し、不祥事の防止に向
の活用
けて、各学校で具体的な取組を推進します。
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