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2014 年度 法政大学修士論文 国営武蔵丘陵森林公園における植物病害

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2014 年度 法政大学修士論文 国営武蔵丘陵森林公園における植物病害
2014 年 度
法政大学修士論文
国営武蔵丘陵森林公園における植物病害相
理工学研究科
生命機能学専攻
学籍番号
13R7201
笹井
指導教員
植物医科学領域
裕里
石川成寿 教授
1
目次
第 1 章
国営武蔵丘陵森林公園における植物病害相
1. 1 緒 言
1. 2 材 料 と 方 法
1. 3 結 果
1. 3.1
調査園全体における病害発生状況
1. 3.2
病害ごとの病原菌の特定および発生状況
( 1)
C e rc o s p o r a 関 連 属 群
・ ピラカンサ褐斑病
・ ハコネウツギ灰斑病
( 2)
うどんこ病菌群
・ ヤグルマハッカ類うどんこ病
・ ハグマノキうどんこ病
( 3)
さび病菌群
・ ハマナスさび病
( 4)
その他の病害
・ モチノキ黒紋病
・ イチョウすす斑病
2
第 2 章
白絹病新病害について
2. 1 緒 言
2. 2 材 料 と 方 法
2. 2.1
発生症状および病徴
2. 2.2
病原菌の分離
2. 2.3
病原性の確認
2. 2.4
形態的特徴
2. 2.5
温度別菌叢生育試験
2. 2.6
遺伝子解析
2. 3 結 果
2. 3.1
発生症状および病徴
2. 3.2
病原菌の分離
2. 3.3
病原性の確認
2. 3.4
形態的特徴
2. 3.5
温度別菌叢生育試験
2. 3.6
遺伝子解析
2. 4 考 察
2. 4.1
同定の根拠
2. 4.2
植物病名目録の所属について
3
引用文献
参考文献
修士研究発表会講演内容
1. 講 演 要 旨
2. 講 演 原 稿
3. 発 表 ス ラ イ ド
公表
謝辞
4
第 1章
国営武蔵丘陵森林公園における
植物病害相
1. 1
諸言
植 物 は 私 た ち に 様 々 な 恩 恵 を 与 え て い る 。食 料 と し て は 毎 日 生
産され,生きる上ではなくてはならないものである。
ま た ,近 年 で は 環 境 問 題 が 深 刻 化 し 環 境 保 護 が 見 直 さ れ て い る 。
温室効果ガスの削減のため街の緑化活動が国や県などの公共団
体 に よ っ て 推 進 さ れ て い る ( 環 境 省 , 2 0 1 4 )。
さ ら に ,日 本 で は ス ト レ ス 社 会 化 が 問 題 と な り ,鬱 病 な ど の 精
神 疾 患 患 者 が 2 0 11 年 度 に は 3 2 0 万 人 を 上 っ た( 厚 生 労 働 省 ,2 0 11 )。
内閣府が行ったストレス調査では日々の生活でストレスを感じ
て い る 人 は 半 数 を 占 め る と 言 う 結 果 と な っ た ( 内 閣 府 , 2 0 0 8 )。
こ の よ う な 環 境 の 中 趣 味 と し て の 園 芸 に 留 ま ら ず ,園 芸 療 法 と い
った癒しの効果が植物にあると期待されている(国土交通省,
2 0 1 4 )。 植 物 は 私 た ち と 密 接 に 関 わ り よ り 多 面 的 な 価 値 を 持 っ た
と 言 え る で あ ろ う 。し か し な が ら ,植 物 病 の 調 査 研 究 は 農 作 物 が
中 心 で 緑 化・観 賞 用 植 物 の 病 害 の 調 査 研 究 は 農 作 物 等 に 比 較 す る
と 非 常 に 遅 れ て お り ,一 般 に 知 ら れ て い る 病 害 で あ っ て も ,そ の
発生生態や病原菌の動態の詳細が解明されている種類は多くな
い ( 堀 江 , 1 9 8 9 )。
こ の よ う な 背 景 か ら 関 東 地 域 に お け る 主 要 な 緑 化・観 賞 用 植 物
を植栽する国営武蔵丘陵森林公園を調査地として植物病害研究
5
を行った。
国 営 武 蔵 丘 陵 森 林 公 園 は 埼 玉 県 北 部 の 滑 川 町 に 位 置 し ,明 治 百
年 の 記 念 行 事 の 一 環 と し て 1974 年 に 全 国 初 の 国 営 公 園 の ひ と つ
と し て 設 立 さ れ ,武 蔵 野 自 然 林 を 内 包 し て 広 さ 3 0 4 h a と 日 本 に あ
る 国 営 公 園 の 中 で 最 も 広 い 面 積 を 誇 る 。こ の 中 の 都 市 緑 化 植 物 園
で は 45 ㎡ あ り , 紅 黄 葉 樹 見 本 園 , 公 園 ・ 庭 園 樹 園 , 花 木 園 , 生
垣 園 ,ハ ー ブ ガ ー デ ン ,ボ ー ダ ー 花 壇 お よ び 地 性 植 物 園 の エ リ ア
で 構 成 さ れ て い る 。公 園 ・ 庭 園 で 使 用 さ れ る 木 々 ,生 垣 に 使 用 さ
れ る 木 々 ,ガ ー デ ニ ン グ や 食 用 と し て 使 用 さ れ る ハ ー ブ や 花 卉 等 。
ま た ,ヤ マ ユ リ や ヤ マ ツ ツ ジ な ど こ の 地 に 自 生 す る 希 少 種 も 多 い 。
こ こ で の 病 害 の 種 類 と そ の 病 原 菌 を 診 断 ・ 同 定 し ,植 物 病 害 の
発 生 生 態 を 把 握 す る 。そ し て ,緑 地 管 理 お よ び ,緑 化 ・観 賞 用 植
物の安定生産の基礎知見とすることを目的として行った。
6
第 1 図
国 営 武 蔵 丘 陵 森 林 公 園 園 内 図( 出 典 : 森 林 公 園 ホ ー ム ペ
ージ
7
第 2 図
都 市 緑 化 植 物 園 園 内 図( 出 典:森 林 公 園 ホ ー ム ペ ー ジ ),
園内風景
8
1. 2
材料と方法
国 営 武 蔵 丘 陵 森 林 公 園 に お い て 月 に 1 回 調 査 を 行 っ た 。調 査 は
2 0 1 2 年 4 月 か ら 2 0 1 4 年 11 月 の 計 2 2 回 実 施 し た 。 罹 病 植 物 は 樹
木 で 主 に 葉 に 病 害 の 見 ら れ る も の ,草 本 は 主 に 土 壌 病 害 を 中 心 に
調査した。
園 内 に 植 栽 さ れ て い る 各 種 植 物 に つ い て ,病 害 と 推 定 さ れ た 個
体 の 被 害 部 を ,ま ず 肉 眼 ま た は ル ー ペ を 用 い て 観 察 し ,病 斑 上 に
標 徴 と し て の 菌 体 が 確 認 さ れ た ,標 準 的 な 罹 病 個 体 に つ い て 発 生
程 度 と 場 所 ,写 真 撮 影 等 の 記 録 を 行 い ,罹 病 サ ン プ ル を 採 取 し た 。
発 生 程 度 は 指 数 1~ 5 で 表 し , 以 下 の 基 準 に よ っ て 達 観 調 査 を
行った。
指 数 1: ご く 一 部 の 葉 に 軽 度 の 発 病 が 見 ら れ る 。
指 数 2: 一 部 の 葉 に 中 程 度 の 発 病 が 見 ら れ る 。
指 数 3: 全 体 の 半 分 程 度 の 葉 に 中 程 度 の 発 病 が 見 ら れ る 。
指 数 4: ほ ぼ 全 体 の 葉 に 中 ~ 重 度 の 発 病 が 見 ら れ る 。
指 数 5: 全 体 の 葉 に 重 度 の 発 病 が あ り , 激 し い 落 葉 や 枯 死 な ど が
見られる。
採 集 し た サ ン プ ル は 研 究 室 に 持 ち 帰 り ,病 徴 写 真 を 撮 影 後 ,新
聞 紙 に は さ み ,さ く 葉 標 本 を 作 成 し た 。さ く 葉 サ ン プ ル は 1 ヶ 月
程 度 新 聞 紙 に は さ ん だ の ち , B4 の コ ピ ー 用 紙 を 追 っ て 作 成 し た
ポ ケ ッ ト に 標 本 番 号 ,植 物 名 ,病 原 菌 名 ,採 集 者 お よ び 採 集 場 所
を 記 入 し た ラ ベ ル を 添 付 し ,標 本 箱 に 入 れ て 標 本 室 で 保 存 し て お
9
り ,必 要 な 場 合 に 取 出 し ,観 察 に 用 い た 。同 時 に ,採 集 し た 新 鮮
な 罹 病 サ ン プ ル は ,実 体 顕 微 鏡 を 用 い て 病 徴 の 特 徴 を と ら え た の
ち ,正 立 顕 微 鏡 使 用 し て ,形 成 形 態 の 観 察 を 行 っ た 。封 入 液 に は
シ ェ ア ー 液( 第 1 表 )も し く は 蒸 留 水 を 使 用 し た 。葉 に 形 成 し た
標 徴 は 徒 手 切 片 法 を 用 い た 。標 徴 の 見 ら れ な い 罹 病 サ ン プ ル は 罹
病 部 と 健 全 部 の 境 目 か ら 切 り 出 し た 5 ㎜ 角 の 切 片 を 0.25%次 亜 塩
素 酸 ナ ト リ ウ ム ( 20%次 亜 塩 素 酸 ナ ト リ ウ ム 和 光 純 薬 工 業 株 式 会
社 製 1 m l ,蒸 留 水 1 9 m l )に 2 0 ~ 4 0 秒 浸 漬 し ,WA 培 地( Wa t e r A g a r:
WA 1 8 g 和 光 純 薬 工 業 株 式 会 社 製 , 蒸 留 水 1 l ) に 置 床 し , 単 菌 糸
分 離 を 行 い ,菌 株 を 得 た 。培 養 に は P D A 平 板 培 地( P o t a t o D e e x t r o s e
A g a r : P D A 3 9 g B e c i o n , D i c k i n s o n a n d C o m p a n y 製 , 蒸 留 水 1 l ,)
を 使 用 し ,保 存 に は P S A 斜 面 培 地( P o t a t o S u c r o s e a A g a r: ジ ャ ガ
イ モ 2 0 0 g ,寒 天 1 8 g ,シ ョ 糖 2 0 g ,水 1 l )を 使 用 し た 。そ し て ,
得られた菌株を観察し同定した。
10
第 1 表
シェアー液
第 3 表
酢酸ナトリウム
1.8%PDA
10g
PDA
39g
グリセリン
200ml
Agar
3g
エチルアルコール
300ml
milliQ 水
milliQ 水
第 2 表
1000ml
1000ml
コットンブルー
フ ェ ノ ー ル( 結 晶 )
第 4 表
20g
1.8%PSA
Potato
200g
乳酸
20g(16ml)
Agar
18g
グリセリン
40g(31ml)
Saccarose
20g
20ml
milliQ 水
1000ml
milliQ 水
第 5 表
Agar
milliQ 水
11
1 . 8 % WA
18g
1000ml
1. 3
結果
1.3.1
調査園全体における病害発生状況
採 集 し た 罹 病 サ ン プ ル は 78 科 202 属 293 種 合 計 869 サ ン プ ル で
あ り , 39 属 に 及 ん だ 。 主 要 な 発 生 病 害 は 10 科 13 属 15 種 の 植 物
に C e rc o s p o r a 属 関 連 菌( C e rc o s p o r a 属 ,P s e d o C e rc o s p o r a 属 ),1 6
科 1 7 属 2 5 種 の 植 物 に う ど ん こ 病 菌( C y s t o t h e c a 属 ,E r y s i p h e 属 ,
M i c ro s p h a e r a 属 , O i d i u m 属 , P h y l l a c t i n i a 属 , S a w a d a e a 属 ,
S p h a e ro t h e c a 属 , U n c i n u l a 属 ), 1 5 科 2 6 属 3 1 種 の 植 物 に 白 絹 病
菌( S c l e ro t i u m 属 ),1 4 科 1 6 属 2 4 種 の 植 物 に さ び 病 菌( A e c i d i u m
属 , Coleosporium 属 , Gymnosporangium 属 , Nyssopsora 属 ,
M e l a m p s o r a 属 ,P h r a g m i d i u m 属 ,P u c c i n i a 属 ,U ro m y c e s 属 )で あ
っ た 。 そ の 他 の 病 原 菌 は Botrytis 属 , Cladosporium 属 ,
C o l l e t o t r i c h u m 属 ,C y s t o t h e c a 属 ,D i p l o c a r p o n 属 ,E n t o m o s p o r i u m
属 ,E x o b a s i d i u m 属 ,G l o m e re l l a 属 ,G o n a t o b o t r y u m 属 ,M o n o s t i c h e l l a
属 ,M y c o s p h a e re l l a 属 ,P e s t a l o t i a 属 ,P h y l l o s t i c t a 属 ,P y r i c u l a r i a
属 , R h i z o c t o n i a 属 , R h y t i s m a 属 , S t i g m i n a 属 , Tu b a k i a 属 で あ っ
た 。特 に 病 害 の 多 発 し た 白 絹 病 は ボ ー ダ ー 花 壇 を 中 心 に 確 認 さ れ ,
感 染 が 拡 大 し て い る 傾 向 に あ っ た 。白 絹 病 に つ い て は 第 2 章 に 記
す。
12
1.3.2 病 害 ご と の 病 原 菌 の 特 定 お よ び 発 生 状 況
( 1)
C e rc o s p o r a 関 連 属 群
ピラカンサ褐斑病
宿 主 植 物 : ト キ ワ サ ン ザ シ ( Pyracantha coccinea M.Roem.)
病 原 菌 : P s e u d o c e rc o s p o r a p y r a c a n t h a e ( K a t s u k i ) C . N a k a s h i m a &
Ta k . K o b a ya s h i
7 月に葉に微小の黒点が見られ,9 月には次第に拡大し肉眼で
明 瞭 に 観 察 で き る 程 と な り ,分 生 子 殻 を 形 成 し ル ー ペ で 観 察 で き
る 。1 0 月 に は 広 が り 0 . 5 c m ~ 1 c m 程 の 長 楕 円 形 病 斑 を 形 成 し 植 物
体 全 体 に 広 が っ た 。11 月 で は 抜 け た よ う な 病 斑 と な っ た 。症 状 は
2012 年 か ら 2014 年 に お い て も 症 状 を 確 認 し た 。
第 6表
国営武蔵丘陵森林公園におけるピラカンサ褐斑病の発生
消長
2012 年
4.21
5.19
6.30
7.21
9.8
10.6
11 . 2 3
2
2013 年
4.27
5.25
6.15
6.29
7.20
9.14
10.19
11 . 2 3
0
1
3
3
3
7.16
9.27
10.25
11 . 2 2
3
2
4
2014 年
4.20
5.17
6.28
1
13
ハコネウツギ灰斑病
宿 主 植 物 : ハ コ ネ ウ ツ ギ ( We i g e l a c o r a e e n s i s T h u n b . )
病 原 菌 : P s e u d o c e rc o s p o r a w e i g e l i a e ( E l l i s & E v e r h a r t ) D e i g h t o n
初 期 発 生 は 7 月 。一 部 の 葉 に 白 色 ,不 整 形 の 斑 点 が 見 受 け ら れ
た 。周 囲 は 黄 褐 色 。9 月 に は ほ と ん ど の 葉 に 1 ~ 2 個 の 病 斑 が 生 じ ,
7 月 よ り も 斑 点 の 大 き さ が 拡 大 し た 。1 0 月 で は 白 色 部 分 が 黒 色 へ
と 変 化 し さ ら に 進 行 し た 。 11 月 で は 1 0 月 か ら あ ま り 進 行 は 見 ら
れ な か っ た が ,古 く な っ た 病 斑 は 抜 け 落 ち た 。毎 年 同 様 の 症 状 が
見られた。
第 7表
国営武蔵丘陵森林公園におけるハコネウツギ灰斑病の発
生消長
2012 年
4.21
5.19
6.30
7.21
9.8
10.6
11 . 2 3
3
2013 年
4.27
5.25
6.15
6.29
7.20
9.14
10.19
11 . 2 3
2.5
3
3
9.27
10.25
11 . 2 2
3
2
2014 年
4.20
5.17
6.28
7.16
1
14
( 2) う ど ん こ 病 菌 群
ヤグルマハッカ類うどんこ病
宿 主 植 物 : タ イ マ ツ バ ナ ( M o n a rd a d i d y m a L. )
病 原 菌:E r y s i p h e b i o c e l l a t a E h r e n b e rg v a r. m o n a rd a e ( G . S . N a g y) U .
Braun
初 発 生 は 5 月 下 旬 。葉 に 薄 い 白 色 菌 叢 を ス ポ ッ ト 的 に 形 成 し た 。
6 月に進行し,葉全体に菌叢が広がり,植物体の萎凋症状が見ら
れ た 。7 月 に は 病 徴 は お さ ま っ た が 1 0 月 に 濃 い 菌 叢 が 再 び 広 が っ
た。菌叢はやや黒色したが子のう殻は形成が認められなかった。
第 8表
国営武蔵丘陵森林公園におけるヤグルマハッカ類うどん
こ病の発生消長
2013 年
4.27
5.25
6.15
2.5
4.25
6.29
7.20
9.14
4
10.19
11 . 2 3
3.5
2014 年
4.20
5.17
6.28
3
15
7.16
9.27
3
1
10.25
11 . 2 2
ハグマノキうどんこ病
宿 主 植 物 : ス モ ー ク ツ リ ー ‘グ レ ー ス ’( Cotinus coggugria Scop.)
病 原 菌 : Uncinula veniciferae Hennings
7 月に一部の樹木に発生を確認し,9 月には激発した。葉両面
に 白 色 菌 叢 を 生 じ た 。菌 叢 部 分 の 葉 は や や 黄 色 み が か る 。そ の 後
さ ら に 進 行 し 11 月 に 完 全 世 代 を 形 成 し た 。
第 9表
国営武蔵丘陵森林公園におけるハグマノキうどんこ病の
発生消長
2013 年
4.27
5.25
6.15
6.29
7.20
9.14
10.19
11 . 2 3
1
4
2
4
7.16
9.27
10.25
11 . 2 2
2014 年
4.20
5.17
6.28
3
16
3
( 3) さ び 病 菌 群
ハマナスさび病
宿 主 植 物 : ハ マ ナ ス ( Rosa rugosa Thunb.)
病 原 菌 : Phragmidium montivagum Arthur
初発生は 5 月。葉の一部に黄変が見られ,6 月には葉表が黄色
に 盛 り 上 が り 夏 胞 子 堆 を 形 成 し た 。初 期 の 病 斑 は 葉 の 周 囲 に で き
ることが多い。葉の裏には夏胞子を生じた。7 月には葉全体がや
や 退 緑 し ,9 月 に は 薄 く 黄 色 が か っ た 。1 0 月 に は 葉 の 裏 面 に 夏 胞
子 と 冬 胞 子 が 混 在 し た 。11 月 に は 黄 褐 色 を 呈 し ,植 栽 全 体 に 被 害
をもたらした。葉の裏面には黒色の冬胞子が密生した。
毎 年 同 様 の 症 状 が 確 認 さ れ ,冬 胞 子 形 成 時 期 は 1 0 月 で あ っ た 。
第 10 表
国営武蔵丘陵森林公園におけるハマナスさび病の発生
消長
2012 年
4.21
5.19
6.30
7.21
9.8
10.6
2
11 . 2 3
1
2013 年
4.27
5.25
6.15
2
6.29
7.20
9.14
10.19
11 . 2 3
2
2
2
2
4
7.16
9.27
10.25
11 . 2 2
2014 年
4.20
5.17
6.28
1
3
17
1
4
( 4) そ の 他
イチョウすす斑病
宿 主 植 物 : イ チ ョ ウ ( G i n k g o b i l o b a L. )
病 原 菌 : Gonatobotryum apiculatum (Peck) S. Hughes
7 月 に 初 発 生 を 確 認 し た 。 0.5mm 程 の 円 形 病 斑 を 生 じ 内 部 か ら 褐
色,茶褐色,黄色であり,植栽からはさほど目立たなかった。9
月 に は 激 発 し ,病 斑 同 士 が 融 合 し 不 整 形 病 斑 が 生 じ る 。こ の 時 か
ら 落 葉 が 見 ら れ ,1 0 月 に は 約 半 分 の 葉 が 落 ち ,葉 の 病 斑 が 縮 れ た 。
11 月 に は ほ と ん ど の 葉 が 紅 葉 す る 前 に 落 葉 し た 。
毎 年 同 様 の 経 過 で 症 状 が 見 ら れ た 。春 の 新 芽 の 時 期 に は 症 状 は 認
められない。
第 11 表
国営武蔵丘陵森林公園におけるイチョウすす斑病の発
生消長
2012 年
4.21
5.19
6.30
7.21
9.8
10.6
11 . 2 3
7.20
9.14
10.19
11 . 2 3
7.16
9.27
10.25
11 . 2 2
2013 年
4.27
5.25
6.15
6.29
2014 年
4.20
5.17
6.28
18
アオハダ黒紋病
宿 主 植 物 : ア オ ハ ダ ( I l e x m a c ro p o d a M i q . )
病 原 菌 : Rhytisma prini Schweinitz
6 月葉に葉脈で区切られた黒色病斑を生じる。葉裏は黄色でく
ぼ む 。 7 月 拡 大 し 葉 表 が 盛 り 上 が る 。 9 月 周 囲 が 褐 変 し , 10 月 葉
の 落 葉 と と も に 消 失 し た 。2 0 1 2 年 で 発 生 が 顕 著 に 見 ら れ ,樹 木 全
体 に 同 様 の 症 状 が 多 数 見 ら れ た 。し か し ,2 0 1 3 年 で の 症 状 は 確 認
さ れ な か っ た 。2 0 1 4 年 9 月 に 同 様 の 症 状 を 確 認 し 徒 手 切 片 法 よ り
同 病 害 で あ る こ と を 確 認 し た 。だ が ,2 0 1 2 年 ほ ど の 発 病 に は 至 ら
な か っ た 。 各 年 度 の 調 査 で の 発 生 消 長 は 第 12 表 に 示 す 。
第 12 表
国営武蔵丘陵森林公園におけるアオハダ黒紋病の発生
消長
2 0 11 年
4.
5.14
6.25
7.16
ー
9 . 11
10.29
11 . 1 2
2
3
3
2012 年
4.21
5.19
6.30
7.21
9.8
10.6
11 . 2 3
3
4
4
4
ー
2013 年
4.27
5.25
6.15
6.29
7.20
9.14
10.19
11 . 2 3
0
0
0
0
0
0
0
0
2014 年
4.20
5.17
6.28
7.16
9.27
10.25
11 . 2 2
0
0
0
0
2
1
1
19
第 3図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたピラカ
ン サ 褐 斑 病( 宿 主 植 物:ト キ ワ サ ン ザ シ ,病 原 菌:P s e u d o c e rc o s p o r a
p y r a c a n t h a e ( K a t s u k i ) C . N a k a s h i m a & Ta k . K o b a ya s h i )
① 2014 年 7 月 16 日 の 病 徴
② 同 年 9 月 27 日 の 病 徴
③ 同 年 10 月 25 日 の 病 徴
④ 同 年 11 月 2 2 日 の 病 徴
20
第 4図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたハコネ
ウ ツ ギ 灰 斑 病( 宿 主 植 物:ハ コ ネ ウ ツ ギ ,病 原 菌:P s e u d o c e rc o s p o r a
weigeliae (Ellis & Everhart) Deighton )
① 2014 年 7 月 16 日 の 病 徴
② 同 年 9 月 27 日 の 病 徴
③ 同 年 10 月 25 日 の 病 徴
④ 同 年 11 月 2 2 日 の 病 徴
21
第 5図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたヤグル
マ ハ ッ カ 類 う ど ん こ 病( 宿 主 植 物:タ イ マ ツ バ ナ ,病 原 菌:E r y s i p h e
b i o c e l l a t a E h r e n b e rg v a r. m o n a rd a e ( G . S . N a g y) U . B r a u n )
① 2013 年 5 月 25 日 の 病 徴
② 同 年 6 月 15 日 の 病 徴
③ 同 年 7 月 20 日 の 病 徴
④ 同 年 10 月 19 日 の 病 徴
22
第 6図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたハグマ
ノ キ う ど ん こ 病( 宿 主 植 物:ス モ ー ク ツ リ ー ‘ グ レ ー ス ’ ,病 原 菌 :
Uncinula veniciferae Hennings)
① 2013 年 7 月 20 日 の 病 徴
② 同 年 9 月 14 日 の 病 徴
③ 同 年 10 月 19 日 の 病 徴
④ 同 年 11 月 2 3 日 の 病 徴
23
第 7図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたハマナ
ス さ び 病( 宿 主 植 物:ハ マ ナ ス ,病 原 菌:P h r a g m i d i u m m o n t i v a g u m
Arthur)
① 2014 年 5 月 17 日 の 病 徴
② 同 年 6 月 28 日 の 病 徴
③ 同 年 7 月 16 日 の 病 徴
④ 同 年 9 月 23 日 の 病 徴
⑤ ⑥ 同 年 11 月 2 2 日 の 病 徴
24
第 8図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたモチノ
キ 黒 紋 病( 宿 主 植 物:ア オ ハ ダ ,病 原 菌:R h y t i s m a p r i n i S c h w e i n i t z )
① ② 2012 年 6 月 30 日 の 病 徴
③ ④ 同 年 7 月 21 日 の 病 徴
⑤同年 9 月 8 日の病徴
⑥ 同 年 10 月 6 日 の 病 徴
25
第 9図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたイチョ
ウ す す 斑 病 ( 宿 主 植 物 : イ チ ョ ウ , 病 原 菌 : Gonatobotryum
apiculatum (Peck) S. Hughes )
① 2014 年 7 月 16 日 の 病 徴
② ③ 同 年 9 月 27 日 の 病 徴
④ ⑤ 同 年 10 月 24 日 の 病 徴
⑥ ⑦ 同 年 9 月 23 日 の 病 徴
26
第 2章
2. 1
白絹病新病害について
諸言
2012 年 7 月 か ら 2013 年 9 月 , 国 営 武 蔵 丘 陵 森 林 公 園 内 の ボ ー
ダ ー 花 壇・ハ ー ブ ガ ー デ ン に お い て 多 数 の 植 物 に 地 際 部 の 軟 化 腐
敗や褐変枯死が認められ株枯れ症状が発生した。2 年間で同様の
症 状 が 見 ら れ た 植 物 は 31 種 で , 植 物 病 名 目 録 に 記 載 の な い 植 物
は 2 0 1 2 年 に は 5 種 。2 0 1 3 年 に は 1 5 種 に 及 ん だ 。同 園 内 の ボ ー ダ
ー 花 壇 は 日 本 最 大 級 の 大 き さ を 誇 り , 全 長 300m, 園 路 を は さ み
両 側 に 面 積 2,320 ㎡ あ る 。 こ の 地 域 で 育 て ら れ て い る 宿 根 草 や 低
木 を 中 心 に 1~2 ㎡ 間 隔 で 植 え ら れ , 1 年 を 通 し て 楽 し む こ と が で
き る 。 ハ ー ブ ガ ー デ ン は 広 さ 約 2,460 ㎡ あ り , 用 途 ご と に 植 栽 さ
れ ,発 生 は「 銀 色 の 庭 」の 地 域 で 確 認 し た 。罹 病 し た 花 卉 類 は 春
か ら 夏 に か け て 開 花 し ,近 年 ,花 壇 に お け る 植 栽 が 増 加 し ,匍 匐
性 の 植 物 は グ ラ ン ド カ バ ー プ ラ ン ツ と し て も 利 用 さ れ て い る 。利
用価値は高く,ここでの病害研究は極めて重要と考える。
こ れ ら の 花 卉 類 に 発 生 し た 病 害 の 原 因 を 究 明 し ,植 物 ご と に 発
生 状 況 ,病 徴 ・標 徴 ,分 離 菌 の 接 種 に よ る 病 徴 再 現 ,分 離 菌 の 所
属等を検討し今後の緑地管理に貢献することを目的に研究を行
った。
27
2. 2
材料と方法
2.2.1
発生症状および病徴
2 0 種 花 卉 類 の 花 壇 植 栽 に お け る 被 害 の 発 生 状 況 ,病 徴 お よ び 標
徴を観察,記録した。
2.2.2
病原菌の分離
各 植 物 の 罹 病 茎 葉 の 新 鮮 な 水 浸 状 病 斑 周 縁 の 組 織 片 を 約 5mm
角 に 切 り 取 っ た 切 片 も し く は 植 物 体 上 の 菌 核 を ,次 亜 塩 素 酸 ナ ト
リ ウ ム ( 塩 素 濃 度 5% ) の 20 倍 希 釈 液 で 表 面 殺 菌 し た 。 そ の 後 ,
た だ ち に 素 寒 天 平 板 培 地 に 置 床 し , 20℃ ,暗 黒 下 で 培 養 し ,2~ 3
日後に置床した組織片から伸長した菌糸の先端部を単菌糸分離
し , PDA 培 地 に 移 植 し て 供 試 菌 株 を 得 た 。 保 存 に は PSA 斜 面 培
地を用いた。
2.2.3
病原性の確認
供 試 し た 20 種 花 卉 類 か ら の 分 離 菌 の 病 原 性 を 確 認 す る た め に ,
各 分 離 源 植 物 の 健 全 株 に 対 す る 接 種 試 験 を 行 っ た 。パ イ ナ ッ プ ル
リ リ ー ( Eucomis autumnalis (Mill.) Chitt) は 直 径 30cm , タ マ ノ
カ ン ザ シ ( H o s t a p l a n t a g i n e a ( La m . ) A s c h . ) は 直 径 1 5 c m の ポ リ ポ
ッ ト に 滅 菌 土 壌 を 充 填 し ,1 株 植 え と し た 。他 の 1 8 種 植 物 は 直 径
1 0 c m の ポ リ ポ ッ ト を 供 し ,ヤ マ ヤ グ ル マ ギ ク( C e n t a u re a m o n t a n a
L. ),リ ュ ウ ノ ウ ギ ク( C h r y s a n t h e m u m m a k i n o i M a t s u m . & N a k a i ),
コ ウ リ ン タ ン ポ ポ ( H i e r a c i u m a u r a n t i a c u m L. ), ス イ セ ン ノ ウ
( Ly c h n i s c o ro n a r i a ( L. ) C l a i r v. ), コ ー カ サ ス マ ツ ム シ ソ ウ
28
( S c a b i o s a c a u c a s i c a M . B i e b . ), ゲ ン ノ シ ョ ウ コ ( G e r a n i u m
t h u n b e rg i i S i e b o l d e x Li n d l . & P a x t . ), ア ケ ボ ノ フ ウ ロ ( G e r a n i u m
s a n g u i n e u m L. ), ド イ ツ ス ズ ラ ン ( C o n v a l l a r i a m a j a l i s L. v a r.
I i m a j a l i s ), ポ ピ ー マ ロ ー ( C a l l i rh o e i n v o l u c r a t a ( To r r. & A . G r a y )
A . G r a y ), ク リ ー ピ ン グ フ ロ ッ ク ス ( P h l o x s t o l o n i f e r a S i m s ), オ
イ ラ ン ソ ウ ( P h l o x p a n i c u l a t a L. ), ポ テ ン テ ィ ラ ・ ネ パ レ ン シ ス
( P o t e n t i l l a n e p a l e n s i s H o o k . ), ア ス チ ル ベ ( A s t i l b e × a re n d s i i
A r e n d s . ),レ ー マ ニ ア エ ラ ー タ( R e h m a n n i a e l a t a N . E . B r. e x P r a i n ),
ベ ロ ニ カ ・ プ ロ ス ト ラ ー タ ( Ve ro n i c a p ro s t r a t a L. ) お よ び バ ー ベ
ナ ( Ve r b e n a × h y b r i d a Vo s s ) は 1 株 植 え と し , セ ル ピ ル ム ソ ウ
( T h y m u s s e r p y l l u m L. )お よ び ギ ン パ イ ソ ウ( N i e re m b e rg i a re p e n s
L. ) は 密 生 し た マ ッ ト 状 の 苗 を 5 c m 四 方 に 区 切 り , そ の ま ま 植
え 付 け た 。各 分 離 菌 は 9 c m シ ャ ー レ に 分 注 し た P D A 培 地 で 2 0 ℃ ,
7 日間,暗黒条件で培養し,シャーレの全面に生育した菌叢の約
半 分 量 を , ス パ チ ュ ラ を 用 い て 約 5mm 角 に 切 り 刻 み , 供 試 植 物
1 ポットあたりの接種量とした。この接種源を,パイナップルリ
リ ー ,タ マ ノ カ ン ザ シ で は 接 種 植 物 周 辺 直 径 約 1 5 c m の 範 囲 の 表
層 土 壌 ( 深 さ 約 2~ 3cm) に , そ の 他 の 植 物 で は , ポ ッ ト の 表 層
土 壌 深 さ 約 1 c m に 土 壌 混 和 し た 。接 種 区 は パ イ ナ ッ プ ル リ リ ー ,
ア ス チ ル ベ で は 1 ポ ッ ト , 他 の 18 種 の 植 物 は 2 ポ ッ ト と し , 同
様 に 無 菌 の PDA 培 地 の み を 土 壌 混 和 し た 1 ポ ッ ト を 対 照 区 と し
た 。接 種 後 は パ イ ナ ッ プ ル リ リ ー を 除 く 4 種 植 物 に つ い て は ,乾
燥 を 防 ぐ た め , ビ ニ ル 袋 で ポ ッ ト ご と 株 全 体 を 覆 い , 27.5℃ ,
12 時 間 光 照 射 の イ ン キ ュ ベ ー タ ー に 入 れ 経 過 を 観 察 し た 。 な お ,
コ ウ リ ン タ ン ポ ポ ,コ ー カ サ ス マ ツ ム シ ソ ウ ,ポ テ ン テ ィ ラ ・ ネ
29
パ レ ン シ ス ,ア ス チ ル ベ ,ベ ロ ニ カ ・プ ロ ス ト ラ ー タ ,パ イ ナ ッ
プルリリー,タマノカンザシは自然条件下で経過観察を行った。
2.2.4
形態的特徴
各 分 離 菌 を PDA 平 板 培 地 で 20℃ , 7 日 間 , 暗 黒 条 件 下 で 培 養
し た の ち , 菌 糸 30 本 に つ い て 菌 糸 幅 を 計 測 し , 菌 糸 隔 壁 部 の か
すがい連結の有無をコットンブルー染色(第 2 表)により観察,
記 録 し た 。 ま た , 植 物 体 上 の 菌 核 , PDA 平 板 培 地 に て 20℃ で 40
日間培養したのち,形成されている菌核の大きさを計測した。
2.2.5
温度別菌叢生育試験
菌 糸 生 育 と 温 度 の 関 係 を 明 ら か に す る た め , 各 分 離 菌 を PDA 平
板 培 地 上 , 暗 黒 条 件 下 , 5, 10, 15, 20, 25, 27.5, 30, 32.5, 35
お よ び 4 0 ℃ の 1 0 温 度 区 で 3 日 間 培 養 し ,菌 叢 の 直 径 を 計 測 し た 。
1 温 度 区 3~ 5 シ ャ ー レ を 供 試 し た 。
2.2.6 遺 伝 子 解 析
DNA 抽 出
各 分 離 菌 を PDA 平 板 培 地 で 培 養 し , PrepMan® Ultra Sample
Preparation Reagent ( ラ イ フ テ ク ノ ロ ジ ー ズ ジ ャ パ ン ) を 50μl と
り ,エ ッ ペ ン チ ュ ー ブ に 入 れ た 。エ ッ ペ ン チ ュ ー ブ に 新 鮮 な 菌 糸
塊 を 適 量 入 れ ,ボ ル テ ッ ク ス ミ キ サ ー に よ り 3 0 秒 程 度 混 合 し た 。
1 0 0 ℃ に 設 定 し た ヒ ー ト ブ ロ ッ ク で 1 0 分 加 熱 し た 後 ,室 温 で 2 分
間 , 静 置 し た 。 こ れ を 16,000×g (12.000~15,000rpm)で 2 分 間 遠 心
し た の ち , 上 清 を 30μl 程 度 , 別 の チ ュ ー ブ に 移 し 取 っ た 。
30
エタノール沈殿
DNA 抽 出 液 に 対 し て 3M 酢 酸 ナ ト リ ウ ム 10 分 の 1 量 , 99% エ
タ ノ ー ル 2.5 倍 量 を エ ッ ペ ン チ ュ ー ブ に 入 れ 混 合 し , -80℃ で 1
時 間 静 置 し た 。 15,000rpm, 4℃ で 30 分 遠 心 後 , 上 清 を 捨 て 70%
エ タ ノ ー ル を 1ml 加 え た 。 さ ら に 15,000rpm, 4℃ で 5 分 遠 心 後 ,
上 清 を 丁 寧 に 除 去 し , 真 空 遠 心 機 で 30 分 風 乾 さ せ た 。 乾 燥 サ ン
プ ル に 2 0 µ l の 1 × T E を 加 え 溶 出 し た 。そ の 後 n a n o d r o p( T h e r o m o
S C IE N T I F IC 製 ) を 行 い , 抽 出 液 中 の D N A 濃 度 を 計 測 し た 。
P o l ym e r a s e c h a i n r e a c t i o n ( P C R ) 法 に よ る r D N A 内 の IT S 領 域 の 検
出
抽 出 し た DNA を 約 80ng/µl に な る よ う に 1.5 倍 ~ 5 倍 希 釈 し ,
t e m p l a t e D N A と し て 使 用 し た 。I T S 1 お よ び IT S 4 の ユ ニ バ ー サ ル
プ ラ イ マ ー セ ッ ト ( Whiteet al., 1990) を 用 い て 第 13 表 と の 分 量
で PCR チ ュ ー ブ に と り , サ ー マ ル サ イ ク ラ ー を 以 下 の よ う に 設
定 し PCR 反 応 を 行 っ た 。
第 13 表
PCR 反 応 試 薬 組 成
18.7μl
DDW
2.5mMdNTPmix
2.5μl
1 0 × P C R B u ff e r
2.5μl
2 0 μ M IT S 1 p r i m e r
0.25μl
2 0 μ M IT S 4 p r i m e r
0.25μl
0.2μl
Extaq
1μl
templateDNA
25μl( 1sample)
total
31
96℃
5:00
96℃
0:40
52℃
0:40
72℃
1:00
72℃
10:00
4℃
×40~ 45
∞
電気泳動による増幅バンドの確認
ア ガ ロ ー ス ゲ ル 電 気 泳 動 を 行 う に あ た り ,0 . 7 % ア ガ ロ ー ス ゲ ル
( 第 21 表 ) を 作 製 し た 。 作 製 し た 0.7%ア ガ ロ ー ス ゲ ル を 泳 動 槽
に セ ッ ト し て , ゲ ル が 浸 る ま で 1 × TA E b u ff e r ( 第 2 0 表 ) を 注 い
だ 。 6 × Lo a d i n g d y e を 2 μ l と P C R 反 応 産 物 1 0 μ l を 混 合 し て , ウ ェ
ル に ロ ー ド し た 。 マ ー カ ー と し て , λHindⅢ (0.5µg/µl)を TE で 5
倍 希 釈 し 6 × l o a d i n g d ye を 2 倍 量 混 合 し た も の 8 µ l と 蒸 留 水 4 µ l
を 混 合 し た も の を ロ ー ド し , 85V で 30 分 間 泳 動 し た 。 泳 動 後 は
1 5 0 m l の 1 × TA E に エ チ ジ ウ ム ブ ロ マ イ ド 溶 液 を 1 0 μ l 加 え 混 ぜ た
も の を 染 色 バ ッ フ ァ ー と し , こ れ に 10 分 間 浸 し て お き , ゲ ル 撮
影 装 置( AT TO 製 品 )で 抽 出 さ れ た D N A が 増 幅 さ れ て い る か を 確
認した。
精製処理
PCR 産 物 2.5μl, Exo-star1.0μl, milliQ 水 0.5μl を 混 合 し , サ ー マ
ルサイクラーを以下のように設定し反応させた。
37℃
15:00
80℃
15:00
4℃
∞
32
シーケンスリアクション
P C R チ ュ ー ブ に 以 下 の 通 り 混 合 し ,サ ー マ ル サ イ ク ラ ー で 反 応 さ
せた。
第 14 表
シーケンスリアクション反応試薬組成
0.5μl
B i g D ye t e r m i n a t o r v 3 . 1
1.75μl
5 × s e q u e n c e b u ff e r
3 . 2 μ M IT S 1 p r i m e r o r IT S 4 p r i m e r
0.5μl
5.25μl
DDW
2μl
templateDNA
10μl( 1sample)
total
96℃
3:00
96℃
0:15
50℃
0:05
60℃
4:00
4℃
×25
∞
カラム精製,サンプル溶解,シーケンス
S e p h a d o x G - 5 0 S u p e r F i n e を 鋳 型 の ウ ェ ル に 入 れ ,D D W を 3 0 0 μ l
加 え ,室 温 で 2 時 間 静 置 し た 。そ の 後 9 1 0 x g ,5 分 遠 心 機 に か け ,
排 水 を 行 っ た 。シ ー ケ ン ス リ ア ク シ ョ ン 後 の サ ン プ ル に D D W 1 0 μ l
を 加 え ,全 量 カ ラ ム に 載 せ た 。P C R プ レ ー ト を カ ラ ム に セ ッ ト し
910xg, 5 分 遠 心 し , 真 空 乾 燥 機 で 30 分 dry up し た 。 乾 燥 後 の ウ
ェ ル に 15μl ホ ル ム ア ミ ド を 入 れ て ボ ル テ ク ス で よ く 溶 解 し た 後 ,
9 5 ℃ 4 分 処 理 し 氷 水 で 急 冷 し た 。 3 1 3 0 x / G e n e t i c A n a yz e r ( Li f e
Te c h n o l o g i e s 製 ) を 用 い て シ ー ケ ン ス 解 析 を 行 っ た 。 得 ら れ た 分
離 菌 の 塩 基 配 列 と 登 録 さ れ て い る 既 知 菌 株 の 相 同 性 を NCBI
33
( National Center for Biotechnology Information ) の ホ モ ロ ジ ー 検
索 プ ロ グ ラ ム ( BLAST) に よ り 検 討 し た 。
切断産物のゲル精製
目 的 と す る 断 片 の み を 得 る た め に 電 気 泳 動 し DNA 断 片 の サ イ
ズ の 違 い に よ り 分 離 し 目 的 の DNA を 切 り 出 し て 精 製 し た 。
(ゲン
ノ シ ョ ウ コ ,パ イ ナ ッ プ ル リ リ ー ,ポ ピ ー マ ロ ー ,ギ ン パ イ ソ ウ ,
クリーピングフロックス分離菌では行っていない)
太 い コ ー ム の ゲ ル で 電 気 泳 動 を 行 う 。 制 限 酵 素 切 断 産 物 10μl
に
2μl の
6 × l o a d i n g d ye を 加 え て 泳 動 サ ン プ ル と し た 。
Mupid-ScopeVD(ADVANCE 製 )に て ゲ ル を 観 察 し , ラ テ ッ ク ス 手
袋 を 着 用 し メ ス で ゲ ル を 切 り 出 し た 。 1.5ml チ ュ ー ブ に 入 れ , 重
量 を 秤 量 し , ゲ ル 重 量 の
3 倍 量 の
U LT R A S A LT ( M O B IO
L a b o r a t o r i e s , In c . 製 ) を 加 え , よ く 混 合 し た 。 5 5 ° C に 保 温 し た ヒ
ートブロックにチューブを入れて適宜攪拌しゲルを溶解させ,
U LT R A B IN D を 6 μ l 加 え , 手 で 攪 拌 し た 。 5 分 間 室 温 で 静 置 。 遠
心 1 2 , 0 0 0 r p m , 5 秒 , 室 温 後 , 上 清 を 除 き , 1 m l の U LT R A WA S H I
に 再 懸 濁 し て 5 〜 1 0 s e c . ボ ル テ ク ス し た 。さ ら に ,遠 心 1 2 , 0 0 0 r p m ,
5 秒 , 室 温 の 後 , 上 清 を 除 き , 遠 心 12,000rpm, 5 秒 , 室 温 の 後 ,
上 清 を ピ ペ ッ ト で 丁 寧 に 除 い た 。 18μl の milliQ 水 を 加 え , ピ ペ
ッ テ ィ ン グ で 再 懸 濁 し 5 分 間 室 温 で 静 置 し た 。遠 心 1 2 , 0 0 0 r p m ,1
分,室温の後,上清を別チューブに回収し精製 したサンブルを
電 気 泳 動 で 確 認 し , temple
DNA と し た 。
クローニング
D yn a E x p r e s s TA P C R C l o n i n g K i(
t p TA C - 1 )と p G E M - T a n d p G E M - T
E a s y Ve c t o r S ys t e m s を 使 用 し た 。
34
D yn a E x p r e s s TA P C R C l o n i n g K i t ( p TA C - 1 )
ライゲーション反応
氷 上 に て 以 下 の 10μl ラ イ ゲ ー シ ョ ン 反 応 溶 液 を 調 整 し , 16℃
で 30 分 反 応 さ せ た 。 な お , 溶 液 中 の PCR 断 片 が 50~ 100ng に な
るよう調整した。
第 15 表
ライゲーション反応試薬組成
p TA C - 1 v e c t o r ( 5 0 n g / μ l )
1μl
PCR 産 物
Xμl
2 × Li g a t i o n B u ff e r
5μl
Li g a s e M i x t u r e
1μl
DDW
Up to 10μl
To t a l
10μl( 1sample)
形質転換
LB / a m p プ レ ー ト ( ア ン ピ シ リ ン 添 加 L ys o g e n y B r o t h : 溶 原 培
地 , 第 2 3 表 ) に 2 5 μ l の X - G a l( 5 - ブ ロ モ - 4 - ク ロ ロ - 3 - イ ン ド リ ル
- β - D - ガ ラ ク ト ピ ラ ノ シ ド , 第 2 6 表 ) と IP T G ( イ ソ プ ロ ピ ル - β チ オ ガ ラ ク ト ピ ラ ノ シ ド , 第 27 表 ) を そ れ ぞ れ 塗 布 し , 十 分 吸
収 さ れ る ま で 置 い た 。 Jet コ ン ピ テ ン ト セ ル を 50μl を 氷 上 で 溶 解
さ せ た 。 10μl ラ イ ゲ ー シ ョ ン 反 応 液 を 直 接 Jet コ ン ピ テ ン ト セ ル
に 混 和 し た 。 氷 上 で 20 分 , 42℃ で 1 分 , 氷 上 で 3 分 イ ン キ ュ ベ
ー ト し た 。そ の 後 あ ら か じ め 1 m l の S O C 培 地( S u p e r O p t i m a l b r o t h
with Catabolite repression , 第 24 表 ) を 1.5ml チ ュ ー ブ へ 分 注 し
室 温 に お い た も の に 全 量 を 加 え た 。 37℃ 20 分 イ ン キ ュ ベ ー ト し
LB/amp プ レ ー ト に 100μl と 1000μl ず つ 塗 布 , 37℃ 一 晩 お い た 。
クローンの取得
35
コ ロ ニ ー を 滅 菌 爪 楊 枝 で ピ ッ ク ア ッ プ し ,1 0 0 μ g / m l ア ン ビ シ リ ン
を 含 む 2ml の
LB 培 地 で 一 晩 培 養 後 , DNA 自 動 分 離 装 置
P I- 8 0 X ( K U R A B O ) で プ ラ ス ミ ド を 抽 出 し て , 1 × T E 5 0 μ l で 溶 解 し
ク ロ ー ン 株 と し た 。制 限 酵 素 処 理 を 行 い ,形 質 転 換 さ れ た か 確 認
し た 。 そ の 後 , nano drop を 用 い て DNA 濃 度 を 算 出 し , シ ー ケ ン
ス 反 応 産 物 10μl に 75~ 150ng と な る よ う 調 整 し , 上 述 の シ ー ケ
ン ス リ ア ク シ ョ ン を 行 っ た 。 プ ラ イ マ ー は M13 BD Fw Primer と
M13 BD Rev Primer を 用 い た 。
M13 BD Fw Primer; 5'-CAGGGTTTTCCCAGTCACGAC -3"
M 1 3 B D R e v P r i m e r ; 5 ' C G G ATA A C A AT T T C A C A C A G G - 3 "
p G E M - T a n d p G E M - T E a s y Ve c t o r S ys t e m s
ライゲーション
氷 上 に て 以 下 の 10μl ラ イ ゲ ー シ ョ ン 反 応 溶 液 を 調 整 し ,4℃ で
一 晩 反 応 さ せ た 。 な お , 溶 液 中 の PCR 断 片 が 3.88~ 35ng に な る
よう調整した。
第 16 表
ライゲーション反応試薬組成
2 × R a p i d Li g a t i o n B u ff e r, T 4 D N A Li g a s e
5μl
p G E M - T E a s y Ve c t e r
1μl
PCR 産 物
Xμl
T 4 D N A Li g a s e ( 3 We i s s u n i t s / μ l
1μl
DDW
Up to 10μl
To t a l
10μl( 1sample)
形質転換
LB / a m p プ レ ー ト( 第 2 3 表 )に 2 5 μ l の X - G a l と IP T G を そ れ ぞ
れ塗布し,十分吸収されるまで置いた。
36
コ ン ピ テ ン ト セ ル J M 1 0 9 1 0 0 μ l を 氷 上 で 溶 解 さ せ ,1 0 μ l ラ イ ゲ ー
シ ョ ン 反 応 液 を 直 接 混 和 し た 。 氷 上 で 30 分 , 42℃ で 1 分 , 氷 上
で 3 分 イ ン キ ュ ベ ー ト し た 。 そ の 後 あ ら か じ め 1ml の SOC 培 地
( 第 24 表 ) を 1.5ml チ ュ ー ブ へ 分 注 し 室 温 に お い た も の に 全 量
を 加 え た 。 37℃ 30 分 イ ン キ ュ ベ ー ト し LB/amp プ レ ー ト に 100μl
と 1000μl ず つ 塗 布 , 37℃ 一 晩 お い た 。
コ ロ ニ ー PCR
ユ ニ バ ー サ ル プ ラ イ マ ー セ ッ ト ( Whiteet al., 1990) を 用 い て 第
17 表 の 分 量 で PCR チ ュ ー ブ に と り , 滅 菌 爪 楊 枝 で ピ ッ ク ア ッ プ
し た コ ロ ニ ー を 溶 液 に つ け た 。サ ー マ ル サ イ ク ラ ー を 以 下 の よ う
に 設 定 し PCR 反 応 を 行 っ た 。
M13-M4 Primer; 5'-GTTTTCCCAGTCACGAC -3"
M 1 3 R e v P r i m e r ; 5 ' - C A G G A A A C A G C TAT G A C - 3 "
第 17 表
PCR 反 応 試 薬 組 成
19.3μl
DDW
2.5mMdNTPmix
2.5μl
1 0 × P C R B u ff e r
2.5μl
20μM M13-M4 primer
0.25μl
20μM M13-Rev primer
0.25μl
0.2μl
Extaq
25μl( 1sample)
total
37
96℃
0:50
96℃
0:40
55℃
0:40
72℃
1:00
72℃
7:00
4℃
×30
∞
シーケンスリアクション
上 述 の シ ー ケ ン ス リ ア ク シ ョ ン を 行 っ た 。 プ ラ イ マ ー は M13-M4
Primer と M13 Rev Primer を 用 い た 。
38
第 18 表
0 . 5 M E D TA ( p H 8 . 0 )
NaOH
約 5g
E D TA
48.5g
milliQ 水
第 19 表
Up to 250ml
5 0 × TA E
Tr i s
60.5g
酢酸
14.28ml
0 . 5 M E D TA
25ml
milliQ 水
第 20 表
Up to 250ml
1 × TA E
1 M Tr i s 塩 酸 B u ff e r
5ml
0 . 5 M E D TA
1ml
milliQ 水
第 21 表
Up to 500ml
0.7%ア ガ ロ ー ス ゲ ル
Agarose
0.14g
1 × TA E
第 22 表
20ml
ゲ ル 用 EtBr 染 色 液
10μg/ml EtBr
10μl
1 × TA E
150ml
39
第 23 表
LB/amp
B a c t o Tr yt o n e
1g
B a c t o Ye a s t e x t r a c t
0.5g
NaCl
1g
Agar
1.67g
milliQ 水
90ml
Up to 100ml
三 角 フ ラ ス コ に 下 記 の 分 量 で 入 れ ,オ ー ト ク レ ー ブ 滅 菌 ( 1 2 0 ℃ 2 0
分 )を す る 。 冷 え て か ら ア ン ピ シ リ ン 溶 液 (100 ㎎ /ml)100μl 加 え て
プレーティングした。
第 24 表
SOC 培 地
B a c t o Tr yt o n e
10g
B a c t o Ye a s t e x t r a c t
2.5g
5M NaCl
1ml
2M KCl
625μl
milliQ 水
490ml
Up to 500ml
下 記 の 分 量 で 混 合 し オ ー ト ク レ ー ブ 滅 菌 (120℃ 20 分 )す る 。 使 用
前 に 1 M M gS O 4 5 m l , 1 M グ ル コ ー ス 1 0 m l を 加 え る 。
40
第 25 表
YT/amp
B a c t o Tr yt o n e
1.6g
B a c t o Ye a s t e x t r a c t
1g
NaCl
0.5g
milliQ 水
90ml
Up to 100ml
三 角 フ ラ ス コ に 下 記 の 分 量 で 入 れ ,オ ー ト ク レ ー ブ 滅 菌 ( 1 2 0 ℃ 2 0
分 )を す る 。 冷 え て か ら ア ン ピ シ リ ン 溶 液 (100 ㎎ /ml)100μl 加 え て
使用した。
第 26 表
2% X-gal 溶 液
X-gal
0.2g
milliQ 水
10ml
下記の分量で混合し完全に溶解してからファルコンチューブに
入 れ 遮 光 し -30℃ の フ リ ー ザ ー で 保 存 。
第 27 表
0 . 1 M IP T G 溶 液
IP T G
0.24g
milliQ 水
10ml
下記の分量で混合し完全に溶解してからクリーンベンチ内で
0.22μm の フ ィ ル タ ー を 取 り 付 け た シ リ ン ジ を 用 い て フ ァ ル コ ン
チ ュ ー ブ に 保 存 。 保 存 に は -30℃ の フ リ ー ザ ー を 使 用 。
41
2. 3
結果
2.3.1
発生症状および病徴
ヤマヤグルマギク(流通名
宿 根 ヤ グ ル マ ギ ク , C e n t a u re a
m o n t a n a L.; キ ク 科 ) 2 0 1 3 年 6 月 , 植 栽 約 1 ㎡ で 立 枯 れ 症 状 を 初
確 認 し た ( 第 1 0 図 )。 茎 の 地 際 部 に 水 浸 状 の 病 斑 が 生 じ , 病 斑 よ
り 上 部 の 茎 葉 は 萎 凋 し ,の ち 立 枯 れ 症 状 を 呈 し た 。罹 病 部 に は 白
色 ,絹 糸 状 の 菌 糸 束 が 蔓 延 し ,菌 叢 上 に は ナ タ ネ 種 子 状 ,は じ め
白 色 , の ち 淡 褐 色 ~ 茶 褐 色 , 1mm 大 の 菌 核 を 多 数 形 成 し た 。
リ ュ ウ ノ ウ ギ ク ( Chrysanthemum makinoi Matsum. & Nakai ; キ
ク 科 ) 2013 年 6 月 , 植 栽 約 1 ㎡ に 立 枯 れ 症 状 を 初 確 認 し た ( 第
11 図 )。 茎 の 地 際 部 に は 水 浸 状 の 病 斑 が 形 成 さ れ , 茎 葉 が 萎 凋 枯
死 す る 症 状 が 発 生 し た 。罹 病 し た 茎 は 白 色 ,絹 糸 状 の 菌 糸 束 に 覆
わ れ ,地 際 部 や 周 辺 の 土 壌 表 面 に ナ タ ネ 種 子 状 ,白 色 ,淡 褐 色 な
いし茶褐色の菌核を多数形成した。
コ ウ リ ン タ ン ポ ポ ( H i e r a c i u m a u r a n t i a c u m L. ; キ ク 科 ) 2 0 1 3
年 7 月 ,植 栽 約 2 ㎡ で 坪 枯 れ 症 状 を 初 確 認 し た 。症 状 は は じ め 葉
の 地 際 部 に 水 浸 状 ,不 整 形 の 病 斑 を 生 じ ,表 面 に は 白 色 絹 糸 状 の
菌 糸 が 拡 が っ た 。や が て 植 物 体 を 褐 変 枯 死 さ せ た 。の ち に ,周 囲
の 別 株 に も 被 害 が 拡 が り , 坪 枯 れ を 起 こ し た ( 第 1 2 図 )。 2 0 1 2
年に株枯れ症状を確認したが病因は特定できなかった。
ス イ セ ン ノ ウ ( 別 名 フ ラ ン ネ ル ソ ウ , Ly c h n i s c o ro n a r i a ( L. )
C l a i r v. ; ナ デ シ コ 科 ) 2 0 1 3 年 6 月 , 植 栽 約 5 0 ㎠ で 葉 枯 れ 症 状 を
初 確 認 し た 。茎 の 地 際 部 と 下 位 葉 に 水 浸 状 の 病 斑 が 生 じ ,白 色 の
菌 糸 束 が 薄 く 拡 が っ て い た 。の ち ,一 部 の 葉 で は 葉 身 の 先 端 が 褐
42
変 し た が ,茎 が 萎 凋 枯 死 す る 症 状 は 認 め ら れ な か っ た 。比 較 的 発
生が著しい場合には,7 月中旬には下葉は灰褐色に枯れたが,上
位葉には目立った症状は観察されず,立枯れには至らなかった。
菌 叢 上 に は ナ タ ネ 種 子 状 , 白 色 , 淡 褐 色 な い し 茶 褐 色 , 1mm 大
の 菌 核 が 形 成 さ れ た が , 形 成 量 は 少 な か っ た ( 第 1 3 図 )。
コ ー カ サ ス マ ツ ム シ ソ ウ( 英 名 S c a b i o s a ,ス カ ビ オ サ ,S c a b i o s a
c a u c a s i c a M . B i e b .; マ ツ ム シ ソ ウ 科 ) 2 0 1 3 年 6 月 , 植 栽 約 0 . 5 ㎡
に 褐 変 枯 死 症 状 を 初 確 認 し た 。は じ め ,地 際 部 か ら 水 浸 状 の 病 斑
が 生 じ ,の ち に 腐 敗 し て 立 枯 れ 症 状 を 呈 し た 。地 際 部 に 菌 核 を 密
生 し た ( 第 1 4 図 )。 翌 年 に も 同 様 の 症 状 を 確 認 し た 。
ゲ ン ノ シ ョ ウ コ ( G e r a n i u m t h u n b e rg i i S i e b o l d e x Li n d l . &
Paxt.; フ ウ ロ ソ ウ 科 ) 2012 年 6 月 , 植 栽 約 1 ㎡ に 株 枯 れ 症 状 を
初 確 認 し た 。地 際 部 で 褐 変 腐 敗 症 状 を 呈 し た 。植 栽 で は 坪 枯 れ を
起 こ し た ( 第 1 5 図 )。 翌 年 で は 草 勢 が 衰 え , 発 生 も 顕 著 に 見 ら れ
た。
ア ケ ボ ノ フ ウ ロ( G e r a n i u m s a n g u i n e u m L.; フ ウ ロ ソ ウ 科 )2 0 1 3
年 6 月 , 植 栽 約 1 ㎡ で 腐 敗 症 状 を 初 確 認 し た ( 第 1 図 ⑧ )。 は じ
め 地 際 の 茎 葉 に 水 浸 状 の 病 斑 が 生 じ ,病 徴 の 進 展 が 速 く ,株 が 萎
凋 し て 腐 敗 枯 死 す る 症 状 を 呈 し ,落 葉 や 欠 株 が 顕 著 で あ っ た 。罹
病 部 に は 白 色 ,絹 糸 状 の 菌 糸 束 が 蔓 延 し て お り ,菌 叢 上 に は 白 色 ,
淡 褐 色 な い し 茶 褐 色 , ナ タ ネ 種 子 状 , 1mm 大 の 菌 核 を 多 数 形 成
し た ( 第 1 6 図 )。
セ ル ピ ル ム ソ ウ( 流 通 名 ク リ ー ピ ン グ タ イ ム ,T h y m u s s e r p y l l u m
L.; シ ソ 科 )2 0 1 3 年 6 月 ,植 栽 約 1 ㎡ で 株 枯 れ 症 状 を 初 確 認 し た
( 第 1 7 図 )。 は じ め 地 際 部 の 茎 葉 に 水 浸 状 の 病 斑 が 生 じ , 萎 凋 ,
43
腐敗枯死する症状が発生した。被害植栽では株枯れ症状に加え,
下 位 葉 が 枯 死 し ,落 葉 が 顕 著 で あ っ た 。地 際 部 の 茎 に は 白 色 菌 叢
が 蔓 延 し ,菌 叢 上 に は ナ タ ネ 種 子 状 ,白 色 ,淡 褐 色 な い し 茶 褐 色 ,
1mm 大 の 菌 核 を 多 数 形 成 し た 。
パ イ ナ ッ プ ル リ リ ー ( 英 名 Eucomis , ユ ー コ ミ ス , Eucomis
autumnalis (Mill.) Chitt; ユ リ 科 ) 2012 年 9 月 下 旬 , 植 栽 約 2 ㎡
に 萎 凋 ・ 倒 伏 症 状 を 確 認 し た 。は じ め 葉 の 地 際 部 に 水 浸 状 ,不 整
形 の 病 斑 を 生 じ ,表 面 に は 白 色 絹 糸 状 の 菌 糸 が 拡 が っ た 。や が て
40cm 以 上 に な る 花 茎 が 根 元 か ら 倒 伏 し , 外 側 の 葉 は 基 部 の 腐 敗
部 か ら 脱 離 し た( 第 1 8 図 )。罹 病 部 に は 白 色 絹 糸 状 の 菌 糸 束 と 淡
褐 色 ~ 茶 褐 色 , 球 形 ~ 類 球 形 , 1mm 大 , ナ タ ネ 種 子 状 の 菌 核 が
多 数 形 成 さ れ て い た 。こ の 植 栽 で は ,2 0 1 3 年 に は 7 月 下 旬 ま で は
症状が確認できなかったが,9 月中旬の調査では地際部に同様の
症状が認められ,被害を生じた。
ド イ ツ ス ズ ラ ン( C o n v a l l a r i a m a j a l i s L. v a r. Ii m a j a l i s; ユ リ 科 )
2 0 1 3 年 6 月 ,植 栽 約 1 ㎡ で 株 枯 れ 症 状 を 確 認 し た 。茎 か ら 水 浸 状
の 病 斑 が 進 行 し ,葉 が 黄 変 し 萎 凋 し た 。の ち に 茎 は 褐 変 し ,褐 色
の 菌 核 を 形 成 し た ( 第 1 9 図 )。
タ マ ノ カ ン ザ シ ( H o s t a p l a n t a g i n e a ( La m . ) A s c h .; ユ リ 科 ) 2 0 1 3
年 6 月 ,植 栽 約 1 ㎡ に 褐 変 腐 敗 症 状 を 初 確 認 し た 。症 状 は 外 側 の
葉 の 根 元 か ら 侵 さ れ 軟 化 腐 敗 し ,の ち に 葉 全 体 が 褐 変 し 倒 伏 し た 。
地 際 部 に は 褐 色 の 菌 核 を 多 数 形 成 し た ( 第 2 0 図 )。
ポ ピ ー マ ロ ー( 別 名 ケ シ バ ナ ア オ イ ,C a l l i rh o e i n v o l u c r a t a ( To r r.
& A . G r a y) A . G r a y; ア オ イ 科 )2 0 1 2 年 7 月 に 植 栽 約 2 ㎡ に お い て
開花が始まったポピーマローに激しい株枯れ症状が確認された。
44
花 や 葉・茎 が 腐 敗 し ,植 栽 は と こ ろ ど こ ろ に 集 団 で 褐 変 が 発 生 し ,
約 2 か 月 で 植 栽 全 体 が 枯 死 し た 。罹 病 株 の 地 際 部 の 茎 葉 に は 白 色
絹 糸 状 の 菌 糸 が 絡 み 付 き ,菌 叢 上 に は 白 色 ~ 褐 色 ,球 形 ~ 類 球 形 ,
1 m m 大 ,ナ タ ネ 種 子 状 の 菌 核 も 多 数 形 成 さ れ て い た( 第 2 1 図 )。
2 0 1 3 年 に 同 所 で 継 続 し て 観 察 し た と こ ろ ,茎 葉 が 発 生 し ,回 復
した植栽では開花が認められたが,5 月下旬には植栽の一部で地
際部に褐変が確認された。6 月中旬には白色絹糸状の菌糸束が地
際 部 に 進 展 し て お り ,菌 叢 上 に は ナ タ ネ 種 子 状 の 菌 核 が 多 数 形 成
され,6 月下旬には植栽全体が株枯れ症状および腐敗症状を呈し
た。
ク リ ー ピ ン グ フ ロ ッ ク ス ( 別 名 ツ ル ハ ナ シ ノ ブ , Phlox
s t o l o n i f e r a S i m s; ハ ナ シ ノ ブ 科 ) 2 0 1 2 年 7 月 に 植 栽 約 2 . 5 ㎡ に お
い て 腐 敗 症 状 の 発 生 を 確 認 し た 。罹 病 株 の 葉 は 褐 変 し ,進 行 す る
と 軟 化 ・ 腐 敗 し ,地 際 部 に は 白 色 絹 糸 状 の 菌 糸 束 が 拡 が っ た( 第
2 2 図 )。 菌 叢 上 に は , は じ め 白 色 , の ち 淡 褐 色 ~ 茶 褐 色 , 球 形 ~
類 球 形 , 1mm 大 の ナ タ ネ 種 子 状 の 菌 核 が 多 数 形 成 さ れ た 。 2013
年には 6 月中旬から地際部の茎の褐変と葉の腐敗が認められ,7
月下旬には植栽全体に被害が拡がった。
オ イ ラ ン ソ ウ( 別 名 ク サ キ ョ ウ チ ク ト ウ ,P h l o x p a n i c u l a t a L . ;
ハ ナ シ ノ ブ 科 )2 0 1 3 年 6 月 ,植 栽 約 5 ㎠ で 株 枯 れ 症 状 を 初 確 認 し
た ( 第 2 3 図 )。 地 際 の 茎 に 水 浸 状 の 病 斑 が 生 じ , 病 斑 か ら 上 部 の
茎 葉 が 萎 凋 枯 死 し た 。罹 病 株 は や が て 株 全 体 が 黄 化 し ,株 枯 れ を
起こした。茎の地際の罹病部には白色絹糸状の菌糸束が蔓延し,
菌 叢 上 に は ナ タ ネ 種 子 状 , 白 色 , 淡 褐 色 な い し 茶 褐 色 , 1mm 大
の 菌 核 が 多 数 形 成 さ れ た ( 第 2 4 図 )。
45
ポ テ ン テ ィ ラ ・ ネ パ レ ン シ ス( 和 名 ベ ニ バ ナ ロ ウ ゲ ,P o t e n t i l l a
nepalensis Hook.; バ ラ 科 ) 2013 年 9 月 , 植 栽 約 1 ㎡ に 株 枯 れ 症
状 を 呈 し た 。植 栽 全 体 で は と こ ろ ど こ ろ 欠 株 が 見 ら れ ,罹 病 植 物
は褐変枯死し,菌核を形成した。
ア ス チ ル ベ ( 別 名 ア ス チ ル ベ ・ ア レ ン ジ ー , A s t i l b e × a re n d s i i
Arends.; ユ キ ノ シ タ 科 ) 2013 年 6 月 , 植 栽 約 2 ㎡ に 褐 変 腐 敗 症
状 を 初 確 認 し た 。は じ め 地 際 部 か ら 褐 変 を 起 こ し 症 状 が 進 行 し 株
全 体 が 枯 死 , 菌 糸 塊 を 形 成 し た 後 倒 伏 し た ( 第 2 5 図 )。 そ の 後 は
周囲へ広がることはなかった。
レ ー マ ニ ア エ ラ ー タ ( R e h m a n n i a e l a t a N . E . B r. e x P r a i n ; ゴ マ
ノ ハ グ サ 科 )2 0 1 3 年 7 月 ,植 栽 約 1 ㎡ で 腐 敗 症 状 を 初 確 認 し た( 第
2 6 図 )。 地 際 部 に 水 浸 状 の 病 斑 が 生 じ , 茎 葉 が 萎 凋 , 腐 敗 枯 死 す
る 症 状 が 多 発 し た 。茎 の 地 際 部 や 茎 葉 の 腐 敗 部 に は 白 色 菌 叢 が 拡
が り ,菌 叢 上 お よ び 土 壌 表 面 に は ナ タ ネ 種 子 状 ,白 色 ,淡 褐 色 な
い し 茶 褐 色 , 1mm 大 の 菌 核 を 多 数 形 成 し た 。
ベ ロ ニ カ ・ プ ロ ス ト ラ ー タ ( Ve ro n i c a p ro s t r a t a L. ; ゴ マ ノ ハ グ
サ 科 ) 2013 年 7 月 , 植 栽 約 1 ㎡ に お い て 坪 枯 れ 症 状 を 確 認 し た 。
罹 病 株 は 褐 変 腐 敗 し 菌 核 を 形 成 し ,周 囲 へ 拡 大 し て い っ た 。植 栽
に は 欠 株 や 立 ち 枯 れ が 見 ら れ た ( 第 2 7 図 )。
ギ ン パ イ ソ ウ ( N i e re m b e rg i a re p e n s L. ; ナ ス 科 ) 2 0 1 2 年 7 月 ,
植 栽 約 2 ㎡ に お い て ,茎 葉 の 腐 敗 症 状 が 発 生 し た 。 は じ め 茎 葉 に
水 浸 状 の 病 斑 が 拡 が り , す ぐ に 萎 凋 腐 敗 , 枯 死 し た ( 第 2 8 図 )。
茎の地際部や匍匐茎の罹病部には白色絹糸状の菌糸束が蔓延し,
淡 褐 色 ~ 褐 色 , 球 形 ~ 類 球 形 , 1mm 大 , ナ タ ネ 種 子 状 の 菌 核 が
多 数 形 成 さ れ た 。2 0 1 3 年 に 同 所 で 観 察 し た 結 果 ,5 月 中 旬 に は 葉
46
や匍匐茎が展開し,開花も認められたが,6 月中旬には葉の黄化
や軟化腐敗が発生しはじめ,6 月下旬には前年同様に集団的な腐
敗症状が植栽全面に発生した。
バ ー ベ ナ ( 和 名 ビ ジ ョ ザ ク ラ , Ve r b e n a × h y b r i d a Vo s s ; ク マ ツ
ヅ ラ 科 ) 2013 年 6 月 , 植 栽 1 ㎡ で 腐 敗 症 状 を 初 確 認 し た ( 第 29
図 )。 茎 の 地 際 部 に 水 浸 状 の 病 斑 が 生 じ , 病 斑 部 よ り 上 部 の 茎 葉
は 萎 凋 し ,激 し い 場 合 に は 茎 葉 が 腐 敗 し ,植 栽 が 部 分 的 に 欠 株 と
な っ た 。罹 病 し た 茎 や 腐 敗 株 全 体 に は 白 色 絹 糸 状 の 菌 糸 束 が 蔓 延
し , 菌 叢 上 に は ナ タ ネ 種 子 状 , 白 色 , 淡 褐 色 な い し 茶 褐 色 , 1mm
大の菌核を多数形成した。
47
第 10 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたヤマ
ヤグルマギクの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 15 日 の 現 地 症 状
第 11 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたリュ
ウノウギクの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 15 日 の 現 地 症 状
48
第 12 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたコウ
リンタンポポの腐敗症状
① ② 2013 年 7 月 20 日 の 現 地 症 状
第 13 図
③茎表面の菌叢
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたスイ
センノウの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 29 日 の 現 地 症 状
49
第 14 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたコー
カサスマツムシソウの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 20 日 の 現 地 症 状
第 15 図
③茎表面の菌叢
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたゲン
ノショウコの腐敗症状
① ② 2012 年 7 月 21 日 の 現 地 症 状
50
第 16 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたアケ
ボノフウロの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 15 日 の 現 地 症 状
第 17 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたセル
ピルムソウの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 29 日 の 現 地 症 状
51
第 18 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたパイ
ナップルリリーの腐敗症状
① 罹 病 前 ( 2012 年 7 月 21 日 )
③茎表面の菌叢
第 19 図
②同年 9 月 8 日の現地症状
④植物体上の菌核
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたドイ
ツスズランの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 29 日 の 現 地 症 状
52
第 20 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたタマ
ノカンザシの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 15 日 の 現 地 症 状
53
③茎表面の菌叢
第 21 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたポピ
ーマローの腐敗症状
① 罹 病 前 ( 2012 年 5 月 19 日 )
② 2012 年 6 月 30 日 の 現 地 症 状
③ 茎 表 面 の 菌 叢 ( 2012 年 6 月 30 日 )
54
第 22 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたクリ
ーピングフロックスの腐敗症状
① 罹 病 前 ( 2012 年 6 月 30 日 )
② 同 年 7 月 21 日 の 現 地 症 状
③ 茎 表 面 の 菌 叢 ( 同 年 7 月 21 日 )
月 21 日 )
55
④植物体上の菌核(同年 7
第 23 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたオイ
ランソウの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 15 日 の 現 地 症 状
第 24 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたポテ
ンティラ・ネパレンシスの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 15 日 の 現 地 症 状
56
③茎表面の菌叢
第 25 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたアス
チルベの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 29 日 の 現 地 症 状
第 26 図
③茎表面の菌叢
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたレー
マニアエラータの腐敗症状
① ② 2013 年 7 月 20 日 の 現 地 症 状
57
③茎表面の菌叢
第 27 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたベロ
ニカ・プロストラータの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 29 日 の 現 地 症 状
58
③茎表面の菌叢
第 28 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたギン
パイソウの腐敗症状
① 罹 病 前 ( 2012 年 6 月 30 日 )
② 同 年 7 月 21 日 の 現 地 症 状
③ 茎 表 面 の 菌 叢 ( 同 年 7 月 21 日 )
月 21 日 )
59
④植物体上の菌核(同年 7
第 29 図
国営武蔵丘陵森林公園において発生が観察されたバー
ベナの腐敗症状
① ② 2013 年 6 月 15 日 の 現 地 症 状
60
2.3.2
病原菌の分離
第 28 表 に 示 し た 分 離 菌 名 を つ け た 。
第 28 表
各 分 離 原 植 物 と 分 離 菌 名 ( 森 林 公 園 , 2012~ 2013 年 )
分離原植物
分離菌名
各分離原植物
分離菌名
ヤマヤグルマギク
13-G0218
タマノカンザシ
13-G0206
リュウノウギク
13-G0131
ポピーマロー
12-G0166
コウリンタンポポ
13-G0262
クリーピングフロックス
12-G0156
スイセンノウ
13-G0185
オイランソウ
1 3 - G 0 11 5
コ ー カ サ ス マ ツ ム シ
13-G0264
ポ テ ン テ ィ ラ・ネ パ レ ン シ
13-G0127
ソウ
ス
ゲンノショウコ
12-G0165
アスチルベ
13-G0195
アケボノフウロ
1 3 - G 0 11 6
レーマニアエラータ
13-G0265
セルピルムソウ
13-G0184
ベ ロ ニ カ・プ ロ ス ト ラ ー タ
13-G0199
パイナップルリリー
12-G0180
ギンパイソウ
12-G0162
ドイツスズラン
13-G0306
バーベナ
13-G0137
2.3.3
病原性の確認
分 離 菌 を 各 分 離 源 の 健 全 植 物 に 接 種 し ,2 ,3 日 お き に 観 察 を 行
っ た 。 各 植 物 と も 接 種 2~ 3 日 後 か ら 白 色 菌 糸 が 植 物 体 の 基 部 お
よ び 周 辺 土 壌 表 面 を 這 い ,そ の 後 ,茎 の 地 際 部 あ る い は 土 壌 に 接
す る 葉 に 菌 糸 束 が 絡 み 付 い た 。や が て ,は じ め 白 色 の ち 淡 褐 色 ~
茶 褐 色 と な る ナ タ ネ 種 子 状 の 菌 核 を 多 数 形 成 し た 。個 別 の 症 状 は
以下に記す。
61
ヤ マ ヤ グ ル マ ギ ク 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 13-G0218)
接種 3 日後,菌糸が這い,水浸状の腐敗を呈した。5 日後には
地 際 部 に 多 数 の 白 色 ~ 褐 色 の 菌 核 を 形 成 し ,1 0 日 後 に 株 全 体 が 褐
変枯死した。
リ ュ ウ ノ ウ ギ ク 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 13-G0131)
接種 4 日後土壌と接する葉が腐敗し,9 日後には菌糸で覆われ
菌 核 を 形 成 し た 。菌 糸 は 植 物 体 の 上 部 ま で 進 行 し な か っ た が ,萎
凋を起こした。
コ ウ リ ン タ ン ポ ポ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 13-G0262)
接種 1 日後に地際部に菌糸が這い,2 日後には葉を褐変,軟化
腐敗させ,7 日後には植物体全体が枯死,菌核を形成した。
ス イ セ ン ノ ウ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 13-G0185)
接種 3 日後,地際部に少量の菌糸が這い,5 日後に水浸状病斑
を 形 成 し た 。2 1 日 後 一 部 の 葉 が 褐 変 し ,茶 褐 色 の 菌 核 を 形 成 し た 。
その後も経過観察を行ったが株全体が枯死する症状は見られな
かった。
コ ー カ サ ス マ ツ ム シ ソ ウ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 13-G0264)
接 種 2 日 後 に 根 元 に 菌 糸 が 伸 長 し ,4 日 後 地 際 部 を 軟 化 さ せ た 。
軟化症状は次第に上昇し,8 日後褐変枯死した。
ゲ ン ノ シ ョ ウ コ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 12-G0165)
接種 2 日後,少量の菌糸が地際部を這い,5 日後には地際部を
覆った。7 日後には白色~褐色の菌核を形成し,萎凋した。
ア ケ ボ ノ フ ウ ロ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 1 3 - G 0 11 6 )
病 徴 が 現 れ な か っ た た め ,追 加 し て シ ャ ー レ の 半 量 の 菌 叢 を 加
えた。1 日後には株の外側の葉をおかし,5 日後には菌糸塊を形
62
成し。7 日後には株全体が萎凋する症状を確認した。
セ ル ピ ル ム ソ ウ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 13-G0184)
接 種 2 日 後 ,地 際 部 に 菌 糸 が 這 い ,下 位 葉 が 覆 わ れ た 。1 0 日 後
落 葉 症 状 が 見 ら れ ,1 3 日 後 で は 中 位 ~ 下 位 葉 ま で な く な り 褐 色 菌
核を形成した。
パ イ ナ ッ プ ル リ リ ー 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 12-G0180)
接 種 2 日 後 に 土 壌 表 層 に 菌 糸 が 現 れ ,地 際 部 の 茎 に 菌 糸 が 這 い ,
5 日 後 に は 黄 化 し た 。 9 日 後 に は 土 壌 と 接 す る 葉 が 軟 化 し た 。 14
日 後 に は そ の 葉 が 水 浸 状 に 褐 変 腐 敗 し ,菌 核 を 散 生 さ れ た 。さ ら
に 腐 敗 が 進 み ,2 1 日 後 に は 中 央 の 葉 も 軟 化 し ,株 全 体 が 倒 伏 し た 。
ド イ ツ ス ズ ラ ン 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 13-G0306)
接種 2 日後に菌糸が這い地際から約 1 ㎝菌糸が覆った。6 日後
葉 ま で 進 行 し 黄 化 し ,茎 は 褐 変 し た 。1 4 日 後 全 体 が 枯 死 。葉 に 菌
核を形成した。茎には形成を観察されなかった。
タ マ ノ カ ン ザ シ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 13-G0206)
接種 2 日後菌糸が地際部を這い,5 日後に菌糸塊を形成した。
17 日 後 に 褐 変 , 植 物 体 が 倒 伏 し た
ポ ピ ー マ ロ ー 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 12-G0166)
接種 4 日後に地際部の茎に菌糸が這い水浸状の病斑を呈した。
6 日 後 菌 糸 は 上 部 に 伸 長 し ,菌 核 を 散 生 し た 。 11 日 後 に は 植 物 体
を覆い株全体が萎凋,枯死した。
ク リ ー ピ ン グ フ ロ ッ ク ス 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 12-G0156)
接 種 4 日 後 に 地 際 部 の 茎 に 菌 糸 が 這 い ,軟 化 し 褐 変 を お こ し た 。
8 日 後 に 菌 糸 は 上 部 に 伸 長 し ,菌 核 を 集 団 で 形 成 さ れ た 。1 4 日 後
には上部が枯死し立枯れ症状を示した。
63
オ イ ラ ン ソ ウ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 1 3 - G 0 11 5 )
接 種 10 日 後 下 位 葉 に 菌 糸 が 這 い , 25 日 後 に 菌 糸 が 伸 長 し 白 色
の 菌 核 を 形 成 。3 5 日 後 に は 株 全 体 が 侵 さ れ 倒 伏 し た 。病 徴 の 進 展
は,他の種と比べ進行は遅かった。
ポ テ ン テ ィ ラ・ネ パ レ ン シ ス 原 病 徴 再 現 試 験( 接 種 菌:1 3 - G 0 1 2 7 )
接種 2 日後,土壌と接する葉が褐変をおこし,4 日後菌糸が地
際部を這った。6 日後下位葉が全て褐変した。その後褐変した葉
に 褐 色 の 菌 核 を 形 成 し た 。 腐 敗 が 進 行 し 15 日 後 に 枯 死 し た 。
ア ス チ ル ベ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 13-G0195)
接種 2 日後,地際部が確認できないほど菌糸が覆い,3 日後に
植物体上に菌糸塊を形成した。4 日後には小型の白色菌核を地際
部 に 多 数 形 成 し た 。7 日 後 に 褐 色 菌 核 を 作 り ,株 枯 れ を 起 こ し た ,
レ ー マ ニ ア エ ラ ー タ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 13-G0265)
接種 2 日後,地際部に菌糸が纏い,5 日後には白色,小型の菌
核を形成し,水浸状の不整形病斑が進行した。7 日後には葉全体
の軟化や萎凋症状が見られた。
ベ ロ ニ カ・プ ロ ス ト ラ ー タ 原 病 徴 再 現 試 験( 接 種 菌:1 3 - G 0 1 9 9 )
接種 2 日後,土壌と新芽を菌糸が覆い,6 日後に白色の菌核を
形成し,9 日後に褐色になった。親株が枯死した後に新たに生え
た芽が再生するがすぐに侵された。
ギ ン パ イ ソ ウ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 12-G0162)
土 壌 に 接 す る 茎 や 葉 に 水 浸 状 の 不 整 形 病 斑 が で き ,菌 糸 を 伸 長
させ,地上部も軟化させた。その際に菌核を植物体に散生した。
12 日 後 に は 株 全 体 が 萎 凋 枯 死 。
バ ー ベ ナ 原 病 徴 再 現 試 験 ( 接 種 菌 : 13-G0137)
64
接 種 4 日 後 ,土 壌 と 接 す る 葉 が 軟 化 し た 。そ の 葉 と 接 す る 葉 へ
と 進 行 し , 11 日 後 に は 地 際 部 に 菌 核 を 形 成 , 1 3 日 後 に は 全 体 が
腐敗し上位の茎や葉にも菌核を形成した。
す べ て に 各 分 離 菌 接 種 に よ り 原 病 徴 が 再 現 さ れ ,供 試 菌 株 は 病 原
菌であることが確認された。
65
第 30 図
ヤマヤグルマギク病原再現試験
①無接種区
② 接 種 10 日 後
③接種 3 日後
④接種 5 日後
66
⑤ 接 種 10 日 後
第 31 図
リュウノウギク病原再現試験
①無接種区
②接種 9 日後
③接種 4 日後
67
④接種 9 日後
第 32 図
コウリンタンポポ病原再現試験
①無接種区
②接種 7 日後
③接種 1 日後
④接種 2 日後
68
⑤接種 7 日後
第 33 図
スイセンノウ病原再現試験
①無接種区
② 接 種 21 日 後
③接種 3 日後
④接種 9 日後
69
⑤ 接 種 21 日 後
第 34 図
コーカサスマツムシソウ病原再現試験
①無接種区
②接種 8 日後
③接種 2 日後
④接種 3 日後
70
⑤接種 8 日後
第 35 図
ゲンノショウコ病原再現試験
①無接種区
②接種 7 日後
③接種 2 日後
④接種 5 日後
71
⑤接種 7 日後
第 36 図
アケボノフウロ病原再現試験
①無接種区
②接種 7 日後
③接種 1 日後
④接種 5 日後
72
⑤接種 7 日後
第 37 図
セルピルムソウ病原再現試験
①無接種区
② 接 種 13 日 後
③接種 2 日後
④ 接 種 10 日 後
73
⑤ 接 種 13 日 後
第 38 図
①接種日
パイナップルリリー病原再現試験
②接種 2 日後
⑤ 接 種 14 日 後
③接種 5 日後
⑥ ⑦ 接 種 21 日 後
74
④接種 9 日後
第 39 図
ドイツスズラン病原再現試験
①無接種区
② 接 種 14 日 後
③接種 2 日後
④接種 6 日後
75
⑤ 接 種 14 日 後
第 40 図
タマノカンザシ病原再現試験
①無接種区
② 接 種 17 日 後
③接種 2 日後
④接種 5 日後
76
⑤ 接 種 17 日 後
第 41 図
ポピーマロー病原再現試験
①無接種区
② 接 種 11 日 後
③接種 4 日後
④接種 6 日後
第 42 図
⑤ 接 種 11 日 後
クリーピングフロックス病原再現試
①無接種区
② 接 種 14 日 後
③接種 4 日後
④接種 8 日後
77
⑤ 接 種 14 日 後
第 43 図
オイランソウ病原再現試験
①無接種区
② 接 種 35 日 後
③ 接 種 10 日 後
④ 接 種 25 日 後
78
⑤ 接 種 35 日 後
第 44 図
ポテンティラ・ネパレンシス病原再現試験
①無接種区
②接種 6 日後
③接種 2 日後
④接種 4 日後
79
⑤接種 6 日後
第 45 図
アスチルベ病原再現試験
①無接種区
②接種 4 日後
③接種 2 日後
④接種 3 日後
80
⑤接種 4 日後
第 46 図
レーマニアエラータ病原再現試験
①無接種区
②接種 7 日後
③接種 2 日後
④接種 5 日後
81
⑤接種 7 日後
第 47 図
ベロニカ・プロストラータ病原再現試験
①無接種区
②接種 9 日後
③接種 2 日後
④接種 6 日後
第 48 図
⑤接種 9 日後
ギンパイソウ病原再現試験
①無接種区
② 接 種 12 日 後
③接種 5 日後
④接種 7 日後
82
⑤ 接 種 12 日 後
第 49 図
バーベナ病原再現試験
①無接種区
② 接 種 13 日 後
③接種 4 日後
④ 接 種 11 日 後
83
⑤ 接 種 13 日 後
2.3.4
形態的特徴
各 分 離 菌 の 形 態 的 特 徴 を 第 29 表 お よ び 第 50 図 ~ 第 53 図 に 示
し た 。概 括 す る と ,分 離 菌 の 菌 糸 は 無 色 ,隔 壁 を 有 し ,平 均 の 菌
糸 幅 3.6~ 6.3μm, た 。 菌 核 は 茶 褐 色 , 主 に 球 形 ~ 類 球 形 で あ り ,
植 物 体 上 で は 大 き さ 0.4~ 1.4mm, PDA 平 板 培 地 上 の 大 き さ 1.6
~ 3.7mm で あ っ た 。 以 上 の 形 態 的 特 徴 か ら 各 分 離 菌 を Domsch et
a l . ( 2 0 0 7 ) に よ る A t h e l i a ro l f s i i ( C u r z i ) C . C . Tu & K i m b r o u g h
( S c l e ro t i u m ro l f s i i S a c c a r d o の 不 完 全 世 代 ), O k a b e e t a l . ( 1 9 9 8 )
お よ び 岡 部 ( 2 0 0 2 a , 2 0 0 2 b ) に お け る S . ro l f s i i の 記 載 と 比 較 検 討
し た 。各 分 離 菌 の 菌 核 の 大 き さ を 植 物 体 上 と 培 養 上 で 比 較 す る と
植 物 体 上 で や や 小 型 で あ る が ,球 形 ~ 類 球 形 で あ る こ と が 共 通 し
て お り , 大 き さ , 形 状 と も , D o m s c h e t a l . ( 2 0 0 7 ), O k a b e e t a l .
( 1998) お よ び 岡 部 ( 2002b) の 記 載 の 範 囲 と 重 な る と 判 断 さ れ
る ( 第 2 9 表 )。
84
第 50 図
形態的特徴
① 7 日 培 養 菌 叢 ② 40 日 培 養 菌 叢 ③ 40 日 生 育 菌 核 ④ か す が い 連 結
( 上 か ら ヤ マ ヤ グ ル マ ギ ク ,リ ュ ウ ノ ウ ギ ク ,コ ウ リ ン タ ン ポ ポ
スイセンノウ,コーカサスマツムシソウ分離菌)
85
第 51 図
形態的特徴
① 7 日 培 養 菌 叢 ② 40 日 培 養 菌 叢 ③ 40 日 生 育 菌 核 ④ か す が い 連 結
( 上 か ら ゲ ン ノ シ ョ ウ コ ,ア ケ ボ ノ フ ウ ロ ,セ ル ピ ル ム ソ ウ ,パ
イナップルリリー,ドイツスズラン分離菌)
86
第 52 図
形態的特徴
① 7 日 培 養 菌 叢 ② 40 日 培 養 菌 叢 ③ 40 日 生 育 菌 核 ④ か す が い 連 結
( 上 か ら タ マ ノ カ ン ザ シ ,ポ ピ ー マ ロ ー ,ク リ ー ピ ン グ フ ロ ッ ク
ス,オイランソウ,ポテンティラ・ネパレンシス,分離菌)
87
第 53 図
形態的特徴
① 7 日 培 養 菌 叢 ② 40 日 培 養 菌 叢 ③ 40 日 生 育 菌 核 ④ か す が い 連 結
( 上 か ら ア ス チ ル ベ ,レ ー マ ニ ア エ ラ ー タ ,ベ ロ ニ カ ・ プ ロ ス ト
ラータ,ギンパイソウ,バーベナ分離菌)
88
2.3.5
温度別菌叢生育試験
菌 糸 生 育 温 度 の 範 囲 は ヤ マ ヤ グ ル マ ギ ク ,ポ ピ ー マ ロ ー ,オ イ
ラ ン ソ ウ ,ポ テ ン テ ィ ラ ・ ネ パ レ ン シ ス 分 離 菌 は 1 0 ~ 3 5 ℃ ,ア ケ
ボ ノ フ ウ ロ 分 離 菌 は 1 0 ~ 4 0 ℃ ,ス イ セ ン ノ ウ ,レ ー マ ニ ア エ ラ ー
タ ,バ ー ベ ナ 分 離 菌 は 1 5 ℃ ~ 4 0 ℃ ,そ の 他 の 分 離 菌 は 1 5 ~ 3 5 ℃
で あ っ た 。生 育 適 温 は ヤ マ ヤ グ ル マ ギ ク ,ア ケ ボ ノ フ ウ ロ ,レ ー
マ ニ ア エ ラ ー タ 分 離 菌 は 32.5℃ , そ の 他 17 分 離 菌 は 30 ℃ で あ
っ た( 第 2 9 表 )。こ れ ら の 温 度 特 性 は D o m s c h e t a l .( 2 0 0 7 ),O k a b e
e t a l .( 1 9 9 8 ) お よ び 岡 部 ( 2 0 0 2 ) に よ る S . ro l f s i i の 温 度 反 応 の
記 載 と ほ ぼ 一 致 し た 。S . ro l f s i i の 近 縁 種 と し て ,S . d e l p h i n i i We l c h
が 記 載 さ れ た が , こ の 種 は , 生 育 温 度 範 囲 が 10~ 33℃ ( と き に
3 6 ℃ ま で 生 育 ),生 育 適 温 も 2 8 ℃ と 低 め で あ る こ と が ,S . ro l f s i i と
の 区 別 点 と さ れ る ( 岡 部 , 2 0 0 2 )。
89
第 54 図
ヤマヤグルマギク分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 55 図
リュウノウギク分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 56 図
コウリンタンポポ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
90
第 57 図
スイセンノウ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 58 図
コーカサスマツムシソウ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 59 図
ゲンノショウコ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
91
第 60 図
アケボノフウロ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 61 図
セルピルムソウ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 62 図
パイナップルリリー分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
92
第 63 図
ドイツスズラン分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 64 図
タマノカンザシ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 65 図
ポピーマロー分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
93
第 66 図
クリーピングフロックス分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 67 図
オイランソウ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 68 図
ポテンティラ・ネパレンシス分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
94
第 69 図
アスチルベ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 70 図
レーマニアエラータ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 71 図
ベロニカ・プロストラータ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
95
第 72 図
ギンパイソウ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
第 73 図
バーベナ分離菌の温度別生育試験
( 5℃ ~ 40℃ , 2 日 間 培 養 )
96
第 29 表
花卉類立枯れ・腐敗症状株からの分離菌と既知白絹病
菌 と の 形 態 的 特 徴 お よ び 生 育 温 度 特 性 の 比 較 ( 森 林 公 園 , 2012
年 ~ 2013 年 )
菌糸
科名
キク
植物名
ナ デ シ
PDA 培 地
がい
温度
µm)
上
上
連結
(適 温 ,℃ )
2.3-7.6
0.7-1.2
1.5-3.3
(4.0)
(0.8)
(2.2)
5.0-7.5
0.3-0.9
1.4-4.0
(5.9)
(0.4)
(2.2)
コウリン
1.7-7.2
0.4-1.3
1.2-2.8
タンポポ
(3.6)
(0.7)
(1.8)
5.0-7.5
0.5-1.3
1.2-4.3
(5.9)
(0.8)
(2.3)
3.8-7.6
0.4-2.1
1.2-4.0
(5.9)
(1.0)
(2.0)
2.2-7.5
0.5-1.4
2.3-3.0
(4.6)
(0.8)
(2.6)
2.8-10.8
0.3-1.2
1.1-3.0
(5.1)
(0.6)
(2.1)
5.0-7.5
0.4-1.4
1.4-4.4
(5.4)
(0.7)
(2.8)
2.9-8.4
0.5-2.5
1.0-2.8
(5.6)
(1.4)
(1.8)
5.0-7.5
0.3-1.5
1.8-4.6
(6.3)
(0.9)
(2.9)
1.6-7.9
0.7-2.3
0.9-2.9
(5.0)
(1.4)
(1.8)
ヤマヤグルマ
リ ュ ウ ノ ウ ギ
スイセンノウ
コ
マ ツ ム
コーカサス
シソウ
マツムシソウ
フ ウ ロ
ゲ ン ノ シ ョ ウ
ソウ
コ
フ ウ ロ
ア ケ ボ ノ フ ウ
ソウ
ロ
セ ル ピ ル ム ソ
シソ
ウ
パイナップル
ユリ
リリー
ド イ ツ ス ズ ラ
ユリ
ン
タ マ ノ カ ン ザ
ユリ
菌糸生育
植物体
ク
キク
かす
(平 均 ,
ギク
キク
菌 核 (平 均 , mm)
シ
97
有
10-35
(32.5)
有
15-35(30)
有
15-35(30)
有
15-40(30)
有
15-35(30)
有
15-35(30)
有
10-40
(32.5)
有
15-35(30)
有
15-35(30)
有
15-35(30)
有
15-35(30)
科名
アオイ
菌 核 (平 均 , mm)
菌 糸 (平
植物名
ポピーマロー
ハ ナ シ
クリーピング
ノブ
フロックス
ハ ナ シ
オイランソウ
ノブ
かす
菌糸生育
PDA 培 地
がい
温度
上
連結
(適 温 ,℃ )
有
10-35(30)
有
15-35(30)
有
10-35(30)
有
10-35(30)
有
15-35(30)
均 , µm)
植物体上
2.8-7.0
0.4-1.6
1.4-2.1
(4.9)
(1.0)
(1.7)
2.5-7.9
0.8-1.5
1.3-3.1
(4.8)
(1.1)
(2.0)
2 . 8 - 11 . 7
0.4-1.4
1.4-2.6
(5.4)
(0.9)
(1.9)
2.5-7.1
0.7-1.9
1.5-3.3
(4.5)
(1.3)
(2.3)
2.3-6.3
0.7-1.4
1.0-3.0
(3.7)
(1.0)
(2.0)
5.0-7.5
0.4-1.3
2.0-5.3
(5.8)
(0.7)
(3.7)
1.7-8.7
0.8-1.9
1.0-2.5
(4.2)
(1.3)
(1.6)
3.4-10.0(5
0.2-0.9
1.4-2.6
.8)
(0.5)
(2.1)
3.8-7.5
0.8-1.7
1.3-6.6
(5.3)
(1.0)
(2.9)
3.6-6.3
0.4-1.4
1.6-3.7
有
1-2(1.2)
有
8-37(30)
0.5-1
有
10-36(30)
2-3
有
10-33(28)
ポ テ ン テ ィ
バラ
ラ・ネパレン シ
ス
ユ キ ノ
シタ
ゴ マ ノ
ハグサ
アスチルベ
レーマニア
エラータ
有
15-40
(32.5)
ベロニカ・
ゴ マ ノ
プ ロ ス ト ラ ー
ハグサ
タ
ナス
ク マ ツ
ギンパイソウ
バーベナ
ヅラ
1~ 20 の 平 均 の 範 囲
有
15-35(30)
有
15-35(30)
有
15-40(30)
無色有隔
A t h e l i a ro l f s i i
小 型・球 形
a)
S c l e ro t i u m ro l f s i i
Scl e roti um d elph ini i
壁 4.5-9
b)
b)
―
小型・球形
―
大型・不定形
98
遺伝子解析
2.3.6
ゲ ン ノ シ ョ ウ コ ,パ イ ナ ッ プ ル リ リ ー ,ポ ピ ー マ ロ ー ,ク リ ー
ピ ン ク フ ロ ッ ク ス , ギ ン パ イ ソ ウ の 5 種 で S c l e ro t i u m ro l f s i i の 完
全 世 代 で あ る A t h e l i a ro l f s i i と 9 9 ~ 1 0 0 % の 相 同 性 を 示 し た 。
第 30 表 遺 伝 子 解 析 結 果
相同性
分離植物名
ゲンノショウコ
菌名
Athelia rolfsii ( Curzi)
Accession no.
(%)
HM355751.1 な ど
100
HM355751.1 な ど
100
HM355751.1 な ど
99
HM355751.1 な ど
100
HM355751.1 な ど
100
Tu & Kimbrough
パイナップルリリー
Athelia rolfsii ( Curzi)
Tu & Kimbrough
ポピーマロー
Athelia rolfsii ( Curzi)
Tu & Kimbrough
クリーピングフロックス
Athelia rolfsii ( Curzi)
Tu & Kimbrough
ギンパイソウ
Athelia rolfsii ( Curzi)
Tu & Kimbrough
上 述 の 5 種 以 外 の 15 種 は 波 形 が 乱 れ た た め ク ロ ー ニ ン グ を 行 っ
た。リュウノウギク,スイセンノウ,コーカサスマツムシソウ,
タマノカンザシおよびオイランソウのクローン株はどれも
A t h e l i a ro l f s i i と 9 9 ~ 1 0 0 % の 相 同 性 を 示 し た 。 ま た , レ ー マ ニ ア
エ ラ ー タ で は S c l e ro t i u m d e l p h i n i i と 9 9 ~ 1 0 0 % の 相 同 性 を 示 し ,
そ の 他 は A t h e l i a ro l f s i i ,S c l e ro t i u m d e l p h i n i i と そ れ ぞ れ 9 9 ~ 1 0 0 %
の相同性を示しクローン株によって異なる種と高い相同性を示
した。
99
第 31 表 ク ロ ー ニ ン グ 後 の 遺 伝 子 解 析 結 果
分離植物名
菌名
Accession no.
相同性
株
(%)
数
Athelia rolfsii
HM355751.1 な ど
99
1
Sclerotium delphinii
AB076318.1 な ど
99
1
Athelia rolfsii
HM355751.1 な ど
99
3
-
-
-
-
Athelia rolfsii
KJ552090.1 な ど
100
1
Sclerotium delphinii
KJ145328.1 な ど
100
2
Athelia rolfsii
HM355751.1 な ど
99
1
-
-
-
-
コーカサスマツム
Athelia rolfsii
JN543691.1 な ど
99~ 100
4
シソウ
-
-
-
-
Athelia rolfsii
GU080230.1 な ど
99
2
-
-
-
-
Athelia rolfsii
HM355751.1 な ど
99~ 100
3
Sclerotium delphinii
AB075314.1 な ど
99
2
Athelia rolfsii
HM355751.1 な ど
99
6
Sclerotium delphinii
AB075318.1 な ど
99
1
Athelia rolfsii
HM355751.1 な ど
99~ 100
2
-
-
-
-
Athelia rolfsii
HM355751.1 な ど
99
1
-
-
-
-
ポテンティラ・ネ
Athelia rolfsii
JN543691.1 な ど
99
2
パレンシス
Sclerotium delphinii
KJ145328.1 な ど
99
1
Athelia rolfsii
AB042626.1 な ど
99~ 100
2
Sclerotium delphinii
AB075314.1 な ど
99~ 100
3
-
-
-
AB075315.1 な ど
99~ 100
2
ヤマヤグルマギク
リュウノウギク
コウリンタンポポ
スイセンノウ
アケボノフウロ
セルピルムソウ
ドイツスズラン
タマノカンザシ
オイランソウ
アスチルベ
レーマニアエラー
-
タ
Sclerotium delphinii
ベロニカ・プロス
Athelia rolfsii
JN543691.1 な ど
99
2
トラータ
Sclerotium delphinii
AB075314.1 な ど
99
2
100
2. 4
考察
2.4.1
同定の根拠
白 絹 病 菌 は 菌 糸 融 合 し ,同 一 の 細 胞 内 に 複 数 の 核 を 有 す る こ と の
で き る ヘ テ ロ カ リ オ ン 菌 株 を 作 る こ と が 知 ら れ て い る 。ク ロ ー ン
株によって異なる 2種と高い相同性を示した菌株はヘテロカリオ
ン 菌 株 で あ る こ と が 考 え ら れ る( 岡 部 ,2 0 0 2 )。な お ,S . d e l p h i n i i
は B o e r e m a a n d H a m e r s ( 1 9 8 8 ) に よ り S . ro l f s i i v a r. d e l p h i n i i の 異
名 と さ れ て い る 。形 態 的 特 徴 よ り 菌 核 が 小 型 ・ 球 形 か ら 類 球 形 で
あ る こ と , 菌 糸 生 育 最 適 温 度 が 30℃ も し く は 32. 5℃ で あ り ,
S c l e ro t i u m ro l f s i i と 一 致 し て い る こ と か ら こ れ ら 2 0 種 す べ て を
S c l e ro t i u m ro l f s i i S a c c a r d o と 同 定 し た 。
2.4.2
植物病名目録の所属について
日 本 病 名 目 録 で は ヤ マ ヤ グ ル マ ギ ク は ヤ グ ル マ ギ ク の 項( 瀧 元
清 透 ,1 9 3 9 )で タ マ ノ カ ン ザ シ は ギ ボ ウ シ 類 の 項( 森 田 儔 ら ,1 9 8 5 )
で す で に 白 絹 病 の 報 告 が あ る が ,こ れ ら の 種 で の 報 告 は な い た め ,
新 た な 宿 主 範 囲 と し て 提 案 し た 。ま た ,リ ュ ウ ノ ウ ギ ク は 同 属 の
キ ク の 項 で ク リ ー ピ ン グ フ ロ ッ ク ス・オ イ ラ ン ソ ウ は 同 属 の シ バ
ザ ク ラ の 項 で そ れ ぞ れ 白 絹 病 の 記 載 は あ る が ,リ ュ ウ ノ ウ ギ ク は
キ ク 類 の 項 に 所 属 す る こ と が 妥 当 で あ り ,ま た ク リ ー ピ ン グ フ ロ
ッ ク ス は 該 当 す る 項 目 が な く ,オ イ ラ ン ソ ウ は フ ロ ッ ク ス の 項 に
所 属 す る こ と が 妥 当 で あ る た め ,白 絹 病 を 追 加 提 案 致 し た 。さ ら
に,コウリンタンポポ,セルピルムソウ,パイナップルリリー,
ポ ピ ー マ ロ ー ,ギ ン パ イ ソ ウ は 項 目 が な い の で 新 た に 項 目 を 設 け ,
101
その他の種については以下の項目で白絹病を新たに提案致した。
第 32 表
植物名
項目
植物名
項目
ヤマヤグルマギク
ヤグルマギク
タマノカンザシ
ギボウシ類
リュウノウギク
キク類
ポピーマロー
項目なし
コウリンタンポポ
項目なし
クリーピングフロックス
項目なし
スイセンノウ
スイセンノウ
オイランソウ
フロックス
コ ー カ サ ス マ ツ ム シ
スカビオサ
ポテンティラ・ネパレン
ポ テ ン テ ィ
シス
ラ
ソウ
ゲンノショウコ
フウロソウ類
アスチルベ
アスチルベ
アケボノフウロ
フウロソウ類
レーマニアエラータ
項目なし
セルピルムソウ
項目なし
ベロニカ・プロストラー
ベロニカ
タ
パイナップルリリー
項目なし
ギンパイソウ
項目なし
ドイツスズラン
ド イ ツ ス ズ ラ
バーベナ
バーベナ
ン
102
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107
修士研究発表会講演内容
1. 講 演 要 旨
2. 講 演 原 稿
3. 発 表 ス ラ イ ド
108
総 合 診 療 研 究 室 の 笹 井 で す 。そ れ で は 発 表 を 始 め さ せ て い た だ き
ます。
こ の 研 究 の 背 景 と 目 的 で す 。緑 化 ・ 観 賞 用 植 物 の 病 害 の 調 査 研 究
は ,農 作 物 等 に 比 較 す る と 非 常 に 遅 れ て お り ,一 般 に 知 ら れ て い
る 病 害 で あ っ て も ,そ の 発 生 生 態 や 病 原 菌 の 動 態 の 詳 細 が 解 明 さ
れ て い る 種 類 は 多 く あ り ま せ ん 。そ こ で ,関 東 地 域 に お け る 主 要
な 緑 化 ・ 観 賞 用 植 物 を 植 栽 す る ,国 営 武 蔵 丘 陵 森 林 公 園 を 調 査 地
と し て ,病 害 の 種 類 と そ の 病 原 菌 を 診 断 ・ 同 定 し ,植 物 病 害 の 発
生 生 態 を 把 握 し ,緑 地 管 理 お よ び ,緑 化・観 賞 用 植 物 の 安 定 生 産
に貢献することを目的に行いました。
私が調査地とした国営武蔵丘陵森林公園は埼玉県の滑川町に位
置 し ,広 さ 304ha あ り ま す 。そ の 中 の 都 市 緑 化 植 物 園 を 調 査 致 し
ました。
都 市 緑 化 植 物 園 は エ リ ア ご と に 植 栽 が 異 な り ,紅 黄 葉 樹 園 ,公 園
庭 園 樹 園 ,ハ ー ブ 園 ,生 け 垣 園 ,花 卉 園 ,ロ ッ ク ガ ー デ ン ,湿 地
性 植 物 園 ,ボ ー ダ ー 花 壇 を 調 査 し ま し た 。調 査 方 法 は 月 1 回 程 度
現 地 で 病 害 相 調 査 を 行 い ま す 。発 生 状 況 を 確 認 し 0 か ら 5 の 段 階
に 分 け 記 録 し ま す 。そ し て ,病 害 サ ン プ ル を 採 集 し 研 究 室 に 持 ち
帰 り ま す 。持 ち 帰 っ た サ ン プ ル は 写 真 撮 影 を 行 い 病 徴 の 特 徴 を と
ら え ,さ く 葉 標 本 に し ま す 。そ し て 実 体 ,正 立 顕 微 鏡 で 病 原 体 の
形態を観察し既報の文献と比較検討し病名を決定します。
109
病 害 相 調 査 の 結 果 で す 。 は 2012 年 か ら 2014 年 の 調 査 に お い て ,
53 科 101 属 120 種 計 410 サ ン プ ル か ら 40 属 150 病 害 が 検 出 さ れ
ま し た 。と く に ,サ ー コ ス ポ ラ 属 群 ,う ど ん こ 病 菌 群 ,さ び 病 菌
群 ,白 絹 病 菌 が 多 く 検 出 さ れ ま し た 。こ れ ら に つ い て 調 査 結 果 を
報告します。
サ ー コ ス ポ ラ 属 群 は こ ち ら の 表 の 10 科 13 属 15 種 の 植 物 に 発 生
しました。発生地区は紅黄葉樹園,公園・庭園樹園,ハーブ園,
生垣園,ボーダー花壇,花卉園,ロックガーデンです。
こ れ ら の 病 徴 の 特 徴 は 葉 に は じ め 褐 色 や 黒 色 の 小 斑 点 を 生 じ ,や
が て 拡 大 し ,葉 に よ っ て は 1 c m ほ ど に 拡 大 す る も の も あ り ま す 。
病 斑 に は 分 生 子 塊 を 生 じ ,褐 色 か ら オ リ ー ブ 色 の 子 座 ,オ リ ー ブ
色 の 分 生 子 が 確 認 で き ま す 。園 内 で の 初 期 発 生 は 6 月 に 一 部 の 樹
木に発生を確認し 9 月ごろ植物体全体に被害が広がりました。
つ ぎ に う ど ん こ 病 で す 。 発 生 が 見 ら れ た 植 物 は 16 科 17 属 25 種
の植物で,これらになります。発生地区は全地区になります。
葉 や 茎 に 白 色 菌 叢 を 形 成 し ,ひ ど い 場 合 に は 奇 形 や 葉 の 黒 変 が 見
られました。
次 に 白 絹 病 で す 。1 5 科 2 6 属 3 1 種 の 植 物 に 被 害 を も た ら し ま し た 。
発生地区はボーダー花壇とハーブ園で草本植物を中心にこれら
の植物に感染を確認しました。
現 地 で は 罹 病 前 と 比 較 す る と 植 物 体 の 倒 伏 や 褐 変 枯 死 な ど ,植 栽
全 体 に 激 し い 被 害 を も た ら し ま し た 。症 状 は は じ め ,地 際 部 の 葉
110
や 茎 に 軟 化 が 見 ら れ ,や が て 褐 変 枯 死 し ま す 。地 際 部 に は 白 色 絹
糸状の菌糸と褐色の菌核を形成します。
ポ ピ ー マ ロ ー で の 初 期 発 生 は 6 月 上 旬 ,地 際 部 の 褐 変 腐 敗 が 見 ら
れ,梅雨の降雨により発生が助長され,6 月下旬わずか 2 週間ほ
ど で 植 栽 全 体 に 著 し い 被 害 を も た ら し ま し た 。そ の 後 ,気 温 の 低
下 と と も に 植 栽 の 一 部 に 回 復 が 見 ら れ ま し た 。ま た ,翌 年 の 初 発
生 は 5 月 下 旬 に 認 め ら れ ,土 壌 中 の 菌 密 度 が 高 く な っ て い る と 考
え ら れ ま す 。ま た ,病 害 が 確 認 さ れ た 植 物 に お い て ,日 本 植 物 病
名 目 録 に 記 載 の な い 植 物 20 種 で の 発 生 が 確 認 さ れ た た め , そ れ
ら の 病 原 特 定 の た め に さ ら に 詳 細 な 試 験 を 行 い ま し た 。こ れ ら の
花 き 植 物 は 春 か ら 夏 に か け て 花 を 咲 か せ る た め ,近 年 花 壇 用 と し
て需要が高まっています。
実 験 方 法 は こ ち ら に な り ま す 。ま ず ,罹 病 植 物 か ら 病 原 体 の 分 離
を 行 い ま す 。 5m m 角 の 組 織 片 も し く は 植 物 体 上 菌 核 を , 0.25%
次 亜 塩 素 酸 ナ ト リ ウ ム に 2 0 秒 か ら 4 0 秒 間 浸 漬 し WA 培 地 に 置 床
し ま す 。2 0 ℃ の 条 件 下 で 培 養 し ,単 菌 糸 分 離 を 行 い 供 試 菌 株 を 得
ま す 。供 試 菌 株 を 用 い て 原 病 徴 の 再 現 試 験 を 行 い ま す 。接 種 区 に
は 20℃ 7 日 間 分 離 菌 を 培 養 し た PDA 培 地 を コ ン ト ロ ー ル に は 無
菌 の PDA 培 地 を 用 い , 滅 菌 土 壌 と と も に 表 層 2~ 3c m に 混 和 し
経 過 観 察 を 行 い ま す 。そ し て 病 原 体 の 形 態 的 特 徴 と 温 度 特 性 を 調
査 し ま す 。 PDA 培 地 に 20℃ の 暗 黒 化 で 培 養 し 分 離 菌 の 形 態 観 察
を行います。温度特性は培養した菌叢をコルクボーラーで直径 5
㎜ の 円 に く り ぬ き ,P D A 培 地 の 中 央 に 置 き ,5 ~ 4 0 ℃ 計 1 0 区 間 に
111
置 き , 菌 糸 の 生 育 を 確 認 し ま す 。 最 後 に r D N A - IT S 領 域 に つ い て
遺 伝 子 解 析 を 行 い ま す 。シ ー ケ ン ス を 行 い 特 定 で き な か っ た サ ン
プルに関してはクローニングを行いクローン株について遺伝子
解析を行います。
ま ず ,原 病 徴 再 現 試 験 の 結 果 で す 。コ ウ リ ン タ ン ポ ポ か ら 分 離 し
た分離菌を接種すると 1 日後は地際部に菌糸が這い,2 日後には
褐変腐敗しました。7 日後には植物体全体が枯死し菌核を形成し
ま し た 。ま た ,接 種 植 物 か ら は 接 種 菌 と 同 様 の 形 態 の 菌 を 再 分 離
することができました。
さらに,これらの 7 種についても原病徴の再現がされました。
これら 6 種についても原病徴の再現がされ,
2 0 種 全 て に お い て も 原 病 徴 の 再 現 な ら び に ,接 種 植 物 か ら の 接 種
菌の再分離を致しました。
次 に 形 態 的 な 特 徴 に つ い て で す 。培 養 菌 叢 か ら 光 沢 の あ る 白 色 絹
糸状の菌糸が見られ,無色,有隔壁,かすがい連結を有します。
胞 子 は 形 成 さ れ ま せ ん 。菌 核 は 褐 色 か ら 茶 褐 色 ,小 型 ,球 形 か ら
類球形。表皮は薄く茶褐色,内部は白色で表皮と剥離しません。
こ の 形 態 は 白 絹 病 の 病 原 菌 で あ る S c l e ro t i u m ro l f s i i の 形 態 と き わ
めて一致します。
112
こ れ ら 10 種 に お い て も 同 様 の 形 態 の 菌 糸 と 菌 核 が 確 認 さ れ ,
こ れ ら 20 種 全 て に お い て 同 様 の 形 態 の 菌 糸 と 菌 核 が 確 認 さ れ ま
した。
温度別菌叢生育試験ではコウリンタンポポ分離菌では生育可能
温 度 は 15~ 35℃ , 生 育 適 温 は 30℃ で し た 。
他 の 19 種 で は 10℃ も し く は 15℃ か ら 35℃ も し く は 40℃ で 生 育
し,
ヤ マ ヤ グ ル マ ギ ク ,ア ケ ボ ノ フ ウ ロ ,レ ー マ ニ ア エ ラ ー タ の 生 育
最 適 温 度 は 32.5℃ , そ の 他 は 30℃ で し た 。
形態的特徴と温度特性の結果をまとめました。平均の菌糸幅は
3.6-6.3µm と 太 く , 菌 核 は 植 物 上 で は 0.4~ 1.4 ㎜ と 小 型 , PDA 平
板 培 地 上 で は 1 . 6 ~ 3 . 7 ㎜ と ば ら つ き が あ り ,菌 糸 に は か す が い 連
結 を 有 し ま し た 。 そ し て 菌 糸 生 育 適 温 は す べ て 30 ℃ も し く は
3 2 . 5 ℃ で し た 。 S c l e ro t i u m ro l f s i i の 特 徴 は 菌 核 が 小 型 ・ 類 球 形 ,
菌 糸 生 育 適 温 は 3 0 ℃ で あ り ,6 種 の 分 離 菌 の 形 態 と 極 め て 一 致 し
ま す 。一 方 , d e l p h n i i で は 菌 核 が 2 ~ 3 ㎜ ,大 き く て 5 ㎜ と 大 型 ・
不 定 形 で 生 育 適 温 は 2 8 ℃ と ro l f s i i と 比 べ や や 低 温 を 好 み ま す 。
以 上 よ り 形 態 的 特 長 は 2 0 種 全 て S c l e ro t i u m ro l f s i i の 記 載 と 一 致
す る た め S c l e ro t i u m ro l f s i i と 同 定 し ま し た 。
113
ま た 遺 伝 子 解 析 の 結 果 で は ,ゲ ン ノ シ ョ ウ コ ,パ イ ナ ッ プ ル リ リ
ー,ポピーマロー,クリーピンクフロックス,ギンパイソウの 5
種 で S c l e ro t i u m ro l f s i i の 完 全 世 代 で あ る A t h e l i a ro l f s i i と 9 9 ~
100% の 相 同 性 を 示 し ま し た 。
特 定 で き な か っ た 15 種 に つ い て は ク ロ ー ニ ン グ を 行 い ま し た 。
リ ュ ウ ノ ウ ギ ク ,ス イ セ ン ノ ウ ,コ ー カ サ ス マ ツ ム シ ソ ウ ,タ マ
ノ カ ン ザ シ お よ び オ イ ラ ン ソ ウ の ク ロ ー ン 株 は ど れ も Athelia
ro l f s i i と 9 9 ~ 1 0 0 % の 相 同 性 を し ま し た 。 ま た , レ ー マ ニ ア エ ラ
ー タ で は S c l e ro t i u m d e l p h i n i i と 9 9 ~ 1 0 0 % の 相 同 性 を 示 し
そ の 以 外 は A t h e l i a ro l f s i i と S c l e ro t i u m d e l p h i n i i と 9 9 ~ 1 0 0 % の 相
同性を示しクローン株によって異なる種と高い相同性を示しま
し た 。白 絹 病 菌 は 菌 糸 融 合 し 同 一 の 細 胞 内 に 複 数 の 核 を 有 す る こ
と が で き る ヘ テ ロ カ リ オ ン 菌 株 を 作 る こ と が 知 ら れ て い ま す 。こ
れらについてはヘテロカリオン菌株であることが考えられます。
S c l e ro t i u m d e l p h i n i i は 現 在
S c l e ro t i u m ro l f s i i の 変 種 で あ る
S c l e ro t i u m ro l f s i i v a r. d e l p h i n i i と さ れ て い ま す 。 形 態 的 特 徴 よ り
S c l e ro t i u m ro l f s i i と 一 致 し て い る こ と か ら こ れ ら 2 0 種 す べ て を
S c l e ro t i u m ro l f s i i と 同 定 し ま し た 。
日本病名目録ではヤマヤグルマギクはヤグルマギクの項でタマ
ノカンザシはギボウシ類の項ですでに白絹病の報告があります
が ,こ れ ら の 種 で の 報 告 は な い た め ,新 た な 宿 主 範 囲 と し て 提 案
致しました。
ま た ,リ ュ ウ ノ ウ ギ ク は 同 属 の キ ク の 項 で ク リ ー ピ ン グ フ ロ ッ ク
ス・オ イ ラ ン ソ ウ は 同 属 の シ バ ザ ク ラ の 項 で そ れ ぞ れ 白 絹 病 の 記
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録 は あ り ま す が ,リ ュ ウ ノ ウ ギ ク は キ ク 類 の 項 に 所 属 す る こ と が
妥 当 で あ り ,ま た ク リ ー ピ ン グ フ ロ ッ ク ス は 該 当 す る 項 目 が な く ,
オイランソウはフロックスの項に所属することが妥当であるた
め,白絹病を追加提案致しました。
また,ほかの種において,コウリンタンポポ,セルピルムソウ,
パ イ ナ ッ プ ル リ リ ー ,ポ ピ ー マ ロ ー ,ギ ン パ イ ソ ウ は 項 目 が な い
の で 新 た に 項 目 を 設 け ,そ の 他 の 種 に つ い て は こ れ ら の 項 目 で 白
絹病を新たに提案致しました。
ま と め で す 。森 林 公 園 で は 5 3 科 1 0 1 属 1 2 0 種 の 植 物 か ら 4 0 属 1 5 0
病 害 検 出 さ れ ま し た 。 特 に Cercospora 病 , う ど ん こ 病 , 白 絹 病 ,
さ び 病 が 多 く 検 出 さ れ ま し た 。 Cercospora 属 群 は 10 科 13 属 15
種 の 植 物 に 確 認 さ れ , う ど ん こ 病 菌 群 は 16 科 17 属 25 種 の 植 物
に 確 認 さ れ , さ び 病 菌 群 は 14 科 16 属 24 種 の 植 物 に 確 認 さ れ ま
し た 。 白 絹 病 菌 群 は 15 科 26 種 31 種 の 植 物 に 確 認 さ れ , そ の う
ち 2 0 種 が 日 本 病 名 目 録 に 記 載 の な い 植 物 で し た 。こ れ ら 2 0 種 に
お い て は 新 病 害 で あ り , 平 成 25 年 度 , 26 年 度 日 本 植 物 病 理 学 会
関 東 部 会 と 平 成 25 年 度 関 東 東 山 病 虫 害 研 究 会 に て 卒 業 生 の 舘 と
ともに報告いたしました。
最 後 に 卒 業 研 究 を 行 う に あ た り ,ご 指 導 ご 援 助 頂 い た 多 く の 方 に
厚く御礼申し上げます。ご清聴ありがとうございました。
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公表
1)
笹井裕里・舘 彩香・志村美彩子・小沢 彩・吉澤祐太朗・
小西 紀・鍵和田聡・堀江博道
花壇用花き類パイナップルリリー,ポピーマロー,クリーピ
ングフロックス,ギンパイソウおよびメランポジウムに新発
生した白絹病
平 成 25 年 度 植 物 病 理 学 会 関 東 部 会
2)
笹井裕里・舘 彩香・小沢 彩・吉澤祐太朗・小野文夫・鍵
和田聡・石川成寿・堀江博道
花壇植栽の花き類 6 種に発生した白絹病
平 成 26 年 度 植 物 病 理 学 会 関 東 部 会
3)
花卉類パイナ ップ ルリリー,ポピ ー マロー,クリー ピ ング
フロックス,ギンパイソウおよびメランポジウムに発生した
白絹病
笹井裕里・舘 彩香・志村美彩子・坂口 萌・小沢 彩・吉澤祐
太朗・小西 紀・鍵和田聡・石川成寿・堀江博道
平 成 26 年 度 関 東 東 山 病 害 虫 研 究 会 報 第 61 集
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謝辞
卒 業 研 究 を 行 う に あ た り ,研 究 場 を 提 供 し て 下 さ っ た 国 営 武 蔵
丘陵森林公園のスタッフの方々に厚く御礼申し上げます。また,
本 研 究 を 進 め る に あ た り 終 始 暖 か い ご 指 導 賜 わ り ま し た ,石 川 成
寿 教 授 ,学 部 生 の 頃 か ら 親 身 に 指 導 し て 下 さ い ま し た ,堀 江 博 道
教 授 に は 深 く 感 謝 申 し 上 げ ま す 。鍵 和 田 聡 先 生 に は 遺 伝 子 解 析 に
つ い て ご 助 言 を 頂 き ま し て 誠 に あ り が と う ご ざ い ま す 。特 任 技 術
員 の 吉 澤 佑 太 朗 先 生 ,矢 羽 田 達 朗 先 生 に は 貴 重 な 時 間 を 割 い て 森
林 公 園 の 調 査 へ の ご 協 力 ,多 く の ご 指 摘 を 下 さ い ま し て 深 く 感 謝
申 し 上 げ ま す 。太 田 智 子 先 生 ,前 野 絵 里 子 先 生 に は 機 器 の 使 用 方
法から実験方法まで丁寧にご指導頂きまして大変感謝しており
ま す 。そ し て ,森 田 琴 子 さ ん ,前 野 早 衣 子 さ ん ,市 之 瀬 玲 美 さ ん
と 共 に 研 究 生 活 を 送 る こ と が で き ,研 究 を 進 め て い く 上 で 大 変 励
み と な り ま し た 。深 く 感 謝 致 し ま す 。森 林 公 園 を 担 当 し た 志 村 美
彩 子 さ ん ,中 村 拓 也 さ ん ,舘 彩 香 さ ん ,稲 垣 亜 蘭 さ ん ,岡 部 廣 之
進 さ ん に は 毎 月 の 調 査 に ご 協 力 い た だ き ま し た 。小 沢 彩 さ ん に は
卒 業 後 も 調 査 に ご 協 力 し て 下 さ り ,ご 指 導 い た だ き 心 よ り 感 謝 を
申 し 上 げ ま す 。ま た ,総 合 診 療 研 究 室 の 皆 様 に も 多 く の ご 協 力 を
頂きまして感謝の意を表します。
最 後 に ,こ れ ま で 自 分 の 思 う 道 を 進 む こ と に 対 し ,温 か く 見 守 り
支援してくださった両 親 に 対 し て 深 い 感 謝 の 意 を 表 し て 謝 辞 と 致
します。
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