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第 12 号 - 京都学園大学

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第 12 号 - 京都学園大学
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ではありません。どんどん利用してください。)
ヒューマン・ネットワーク
しかし初めての自然系学部で資料整備もまだ
上 田 準
まだ十分ではなく、自前の資料だけでは利用者
の求めに応えられない場合もあるでしょう。そ
バイオ環境学部が誕生しました。本学として
れを補うのが、司書課程を学ぶ皆さんよくご存
は初めての自然科学系学部で、京都学園大学も
知の、図書館ネットワークです。文献複写・貸
これで名実ともに総合大学になりました。
借の相互協力サービスは、インターネットの
バイオ環境館と名付けられた新学部棟1階に
発達と NACSIS-CAT・-ILL の充実とでずいぶ
は図書館の分室が設けられています。学部関連
ん便利になりました。いま図書館職員にとっ
図書6,
600冊、雑誌92タイトルでオープン
て IT 機器を操作して、ネットから情報・資料
します。
を収集することは当然のスキルと言えるでしょ
これまで本学の図書館が扱う資料は図書が中
う。 心でしたが、自然科学系の学部では雑誌、それ
しかし一方で、どんなに機器・技術が発達し
も冊子体よりはオンライン・ジャーナルやデー
ても、人のネットワークをつくり、そこへアン
タベースの比重が大きくなると思われます。そ
テナをはりめぐらすことの大切さはかわりませ
こで分室には PC 26台を備えるほか、キャレ
ん。
ル(個人席)18席を全席 LAN 対応とし、ノ
図書館員を志すみなさん
ートパソコンでの Web からの情報の検索・閲
「ひろげよう、友達の輪!」
覧もできるよう、ネットワーク時代の図書館と
しての配慮がされてます。(分室は新学部専用
(うえだ・じゅん 本学図書館事務長)
〈第 12 号 目次〉
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ニューヨーク風景 撮影、速水暁子
ニューズレター第12号
(2006.3)
する。入試広報にも益する。
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શங‫ݻ‬าɈ
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メディアウィンドゥ
朋文館メディアセンター化の象徴として、機
能し始めている。
メディア《つくる》工房
朋文館メディアセンター化計画第二期
ワークショップの拠点になってる。
●スタジオデジタル化予算が 2005 年度も
http://milch.cocolog-nifty.com/slshock_top/
つき、その具体的執行の中で、朋文館メディア
学校図書館メーリングリストにもワークショッ
センター化計画を進める。
プが取上げられ注目された。以下の添付資料参
スタジオ映像デジタル化 テレビカメラ等
照。亀岡高校からの高大連携の申し出にも H21
ノンリニア ・ 編集環境の整備
の整備で、1 クラス分受け入れが可能になる。
昨年から進めているように、現在ノンリニア編
ア メ リ カ で は 学 校 図 書 館 が メ デ ィ ア セ
集については Apple 社の Macintosh を採用する
ン ターとして発展している。京都精華大学
のが、
操作性の簡便さ、
価格の安さで最適と考える。
が、図書館とメディアセンターをあわせて、
H21 教室 現在、司書課程の情報検索実習、
情報館と呼び、また奈良県立図書館が、奈良
演習のプレゼンテーションなどに用いられてい
県立図書情報館として再構築されるように、
るが WindowsNT でハードも古く、度々不具
流れは文字情報と映像情報の統合である。入
合を起こす。
試広報の観点からいえば、高校図書館を進路
情報検索実習はブラウザでインターネットか
指導部とはまた違った広報チャンネルとする
ら情報を検索できる条件、演習などはパワーポ
試みでもある。
イントを使える条件が整えば、機器は何でもか
まわない。
・ H23 メディア《つくる》工房で、Mac
高校生向けメディアのワークショップ
によるノンリニア編集が可能になったが、
京都学園大学人間文化学部が、さまざまな
絶対数が不足している。
" メディア " を自分の手で作るワークショップ
・ スタジオデジタル化の一環として H21 教
に高校生を募集しています。4 月に開設された
室を、H23 につづいてノンリニア編集室
“メディア《つくる》工房”で、アナログから
として整備することを提言する。
デジタルまで、形態を問わずさまざまなメディ
・ H23 メディア《つくる》工房に比して、
アを用いて作品を作り、その経験を通じてコミ
これまでの使用実績も加味し、今後も情報
ュニケーション能力(メディア・リテラシー)
検索実習、プレゼンテーションなどにも使
を身につけよう、という内容です。
用できる機能を持たす。
・ H21 メディア編集ラボ media editing
■日時:5/28(土)、6/11(土)、7/30(土)、
lab として Mac に十分な映像データを蓄
7/31(日)の 13 ~ 17 時
積できる環境を整え、MS Office も使え
■ワークショップ内容
るようにする。
文字や画像を " 平面 " に並べる、製本をする
● 第一期の評価と展開
→名刺をつくる/ T シャツをつくる/写
・ スタジオ音声デジタル化 Pro Tools を導入
真集をつくる
・ 学内音楽バンドなどへの使用公開実現に
画像/映像を " 時間軸 " で並べる、音楽を
努める
加える、CD / DVD にする
・ 使用規定を整備し、オペレーティングな
ども問題も考慮しながら、使用公開を公表
→映像作品をつくる
(学校図書館 ML ブログ 2005・4・17 の記事から)
絵本との再会
中山七重
はこんなにも魅力のあるものだっただろうか?
こんなに心惹かれるものだっただろうか?誰だ
ろう、「絵本は子どものためのものだ」なんて
言ったのは。・・・ただの私の思い込みだった
のかもしれないけれど。それでも、ただ純粋に
今となってはあまり記憶にないけれど、小さ
面白いと思った。素晴らしいと思った。まだま
な頃は絵本をたくさん読んでいた。幼稚園で配
だ世界を知らないとはいえ、こんなに面白いも
布されていた『かがくのとも』然り、母親に買っ
のが隠されていたなんて。なんて魅力的なんだ
てもらった『おさるのジョージ』然り。内容な
ろう。これがきっかけで、私は再び絵本に歩み
んてほとんど覚えていないけれど、それでも読
寄ることができた。
んだことは覚えている。そして、そのどれもが
絵本にだって短いものがあれば、長いもの
色とりどりで面白くて、一つ一つの内容にドキ
だってある。カラフルなものもあれば、白黒な
ドキワクワクした。どんなことが起こるのだろ
ものも。ごちゃごちゃしているものもあれば、
う、きっとこうなるんじゃないか、と。
至ってシンプルなものだってある。それは作者
の表現方法なんだろうけれど、その短い中にも
隠されたメッセージ。伝えたいもの。感動や驚
き、時には笑ったり涙するものまで。様々なも
のが隠されている。あんな中に、だ。それらは
私の中で、とても魅力的に映っていった。
でもそれはいつの間にかなくなっていき、小
学生向けの本になり、教科書になり、マンガに
なり、小説になり。本は好きだけど、マンガや
小説は読むけれど、絵本は遠い存在になってい
た。絵本なんて子どもの読むものだ、と。それ
読み聞かせのために私がまず手始めに取った
でも、何歳になっても綺麗だったり可愛かった
絵本は、
『なにをかこうかな』
(マーグレット・レ
りする絵柄に惹かれることもあって、でも手を
イ/著、文化出版局)だった。これはウサギの
出すことはなかった。
ビリーが絵を描いていく話で、たくさんの動物
けれどそれは、大学に入ったことで一変した。
が出てくる。その動物たちがビリーの絵に、次々
「子どもが好き、絵本が好き」、そんなフレーズ
と自分が思うままに付け足していくのだ。子ど
に惹かれ、エディテクに興味を持った私。そし
もへの読み聞かせということで、絵に好感が持
て活動紹介と称して先輩や先生方が演じてくれ
て、話もシンプルで、小さな子どもでも大丈夫
た、絵本の読み聞かせや紙芝居の数々。・・・
そう、そんな気持ちで手に取った。けれど驚い
信じられないと、我が目と耳を疑った。これら
たことに、作者は先ほど挙げた『おさるのジョ
ニューズレター第12号
(2006.3)
ージ』作者と同じ、マーグレット・レイだった
のだ。すごい偶然だと思った。こんなところで、
懐かしい再会だった。
私にとっての
「くまのコールテンくん」とは
大 原 佳 美
それから何冊か手に取って読み聞かせなんか
もしてきたけれど、その中で運命とも言えるの
ではないかという出会いがあった。それは『よ
私は、この 4 年間で、「エディターズテクノ
るくま』(酒井駒子/著、偕成社)という本で、
ロジー(エディテク)」に入ったことにより、色々
絵柄に惹かれて手に取ったのだが読んでみる
な絵本に出会えた。
と、なんと心温まる話なんだろうか。ぱっと読
4 年前、私はフレッシュマンキャンプでクラ
んでみると、なかなか良い話だなぁ、と。今度
はゆっくりじっくり読んでみる。本当に良い話
だと思った。眠ろうとしていた男の子の下に現
れたのは、お母さんとはぐれてしまったよるく
ま。一緒にお母さんを捜しに行くのだけれど
も・・・。よるくまのビジュアルもさることな
がら、私的にはよるくまのお母さんの口調がな
んとも印象深い。よるくまを温かく見守ってく
れる、包み込んでくれる、まさに理想のお母さ
んといった感じだった。とにもかくにも、これ
がきっかけで酒井駒子さんに興味を抱き、ファ
ンになってしまった。いつか全作品を集めよう、
そんな目的ができた。
ブ紹介のビデオを見て、エディテクという読み
聞かせクラブに興味を持ち、新龍祭をしている
時に小さなクラブテントに入ってみた。それが、
エディテクの部員となる第一歩であったのだ。
そして、クラブ見学で先輩の本の読み方が素晴
らしくって感動をし、その時は同好会?サーク
ル?だった、エディテクに入った。本の読み方
の練習の本として選んだのが、表紙もボロボロ
で中もシミになっている「くまのコールテンく
ん」だった。私が、そんな本を選んだ理由は、
好きなくまのぬいぐるみが主人公だったからで
ある。
私は練習をする前に、一通り声を出さずに読
んでみた。すると、勝手に声が浮かび上がりス
ルスルと読めた。この絵本の内容は、デパート
の中のおもちゃ売り場で、どこかの家に連れて
行ってもらえることをひたすら待っているの
が、コールテン生地のくまのぬいぐるみである、
コールテンくんである。ある日、コールテンく
そんなこんなで好きな作家ができたり、お気
に入りの作品ができたり。今では書店に行くと、
マンガコーナー、小説コーナーというルートに、
絵本コーナーがプラスされた。どれを取ってみ
ても、やはりそれぞれの魅力があって、私は時々
叫びたくなる。「絵本はいいぞ!」と。
(なかやま・ななえ 4回生)
酒井駒子(さかい・こまこ)
1966年4月1日、兵庫県生まれ。東京芸術
大学美術学部卒業。着物などのテキスタイルデ
ザインを経て、現在、フリーのイラストレー
ター。
(子どもの本 Who’s Who による
http://www.ehon.info/whoswho/ )
んを気に入ってくれた、小さな女の子のお母さ
んの「ズボンのボタンがない」という一言で、
コールテンくんがボタン探しに閉店したデパー
トの中を探しに行くという話である。この話の
中で、コールテンくんが、まだ見たことないも
のを体験する言葉がすごく可愛いのである。例
えばエスカレーターに乗った時に「これが、や
まっていうものだな」「いっかい、やまにのぼっ
てみたいとおもってたんだ」というような事を
いう。読んでいる私は山とエスカレーターの物
を知っているのだから、「違う」と正しく教え
てあげたくなる。しかし、最後ある女の子が自
分の貯金をはたいてコールテンくんを買って家
に連れて帰ってくれる。その時にコールテンく
んは「これが、ともだちっていうものだな」と
いう。これで、何か心がポカポカするのだった。
始めた。そのアルバイト先は保育園。保育園と
いっても託児所みたいな所なのだが。そこで、
掃除している時に本棚に並ばれている、絵本を
見つけた。大学にあった絵本と同じ所がボロボ
ロであった。最近は、見てなかったので懐かし
く思った。そして、この本はよく見かけていた
ので、皆から愛され読まれている本なんだなぁ
と思った。そこで、これは、私にこの絵本につ
いて書いていうメッセージだと思い、原稿に書
次に導かれたその声に沿って読んでみると、
こうと思った。私はまだ、そこで絵本の読み聞
気持ちが弾んだ。早く、「人前で発表したい!」
かせはした事がないのであるが、機会があれば
と思った。しかし、読み方はまだ初心者であっ
やってみようと思う。せっかく、その場所に思
たので、先生や先輩に色々注意されてしまっ
い出の絵本があるのだから。この本と一緒に、
た。でも、その内練習していると、この本が自
1 人でも私がその保育園で先生をしていたと
分の物になっていくことを実感でき、先生や先
いう事を覚えてもらいたい。というのも、この
輩からも誉めてもらえるようになり自信がつい
保育園は 3 月いっぱいで閉園することになる。
ていった。それから、クラブ以外の発表まで時
そこの子どもたちは、それぞれ別の保育園に転
間がかからなかった。日にちは 2002 年 5 月
校する。私と一緒にその子どもたちもその保育
5 日亀岡子育て支援センターがオープンする日
園からは卒業するのである。終わりではなく卒
であった。それが支援センターの誕生でもあり、
業だから、また始まりがある。保育園自体もま
私たち 1 回生の読み聞かせデビューでもあっ
た新しいものに生まれ変わる。私は、コールテ
た。それまで一生懸命に色んなところで絵本の
ンくんのように真新しいものを見つけていっ
読む練習をした。先生や先輩の他にも、友達に
て、前向きに進んで行こうと思う。
聞いてもらったり、家族に聞いてもらったり、
(おおはら・よしみ 4回生)
病院の待合室や電車の中でも小さい声で読んで
みた。とにかく、緊張をしていたが楽しみもいっ
『くまのコールテンくん』
ぱいであった。
ドン=フリーマン/作
当日は、亀岡市の子育て支援センターという
松岡享子/訳
ことで子どもたちの他にも市長さんなどの偉い
偕成社
方々や報道陣も来ていらっしゃったらしい。私
1975
たちは、お互い聞き役になり緊張をしながら、
最後の練習を隅っこの方でしていた。
そして、本番!小さいイスに座り子どもの目
他にも
『ダンデライオン』
線に合わせ、導入もし、絵本を読んだ。すご
ドン・フリーマン/作
く、緊張もしたが子どもたちが聞いてくれて嬉
アーサー・ビナード/訳
しかった。練習した甲斐があり達成感があった。
福音館書店
それから、2 年間くらいは練習をするわけでも
なく、キープし自宅に持って帰っていた。私は
2005
『とんでとんでサンフランシスコ』
急に絵本を読み聞かせをするとなるとまずはこ
ドン・フリーマン/作
の本を読む。
山下明生/訳
この原稿を書くのに、どの絵本の事を書こう
BL出版
か悩んだ。最近になって初めてアルバイトをし
2005
ニューズレター第12号
(2006.3)
になっていたわけではありません。絵本に再びは
絵 本 は 癒し
山 本 陽 子
まりだしたのは、大学に入って、2回生で入部し
たクラブ(その頃はサークル)がきっかけでした。
絵本が好きだし、子どもも好きだという理由で
入部したこのクラブ『エディターズテクノロジー
(以下、エディテク)
』で、久しぶりに絵本を手に
絵本と聞くと、子どもの読む本という印象を
したことによって、絵本好きに火がついたわけ
持っている人が多いでしょう。確かに、子ども
です。このクラブは、子どもたちに読み聞かせ
のために作られているものがほとんどだと思い
を行なっているボランティアクラブです。なの
ます。だからといって、子どもだけが読むもの
で、
絵本や紙芝居がたくさんあります。それでも、
というのも違うと思います。むしろ、大人になっ
まだ十分に揃っているとはいえないので、少しず
たからこそ、絵本を読んでみるということが大
つ買い足しています。絵本や紙芝居は、本屋さん
切なのではないでしょうか。大人になっていく
に行って、自分たちで選びます。趣味で買うとき
過程で忘れてきたものを、取り戻すことができ
とは違って、対象のことを考えて選ぶようにし
るように思います。
ています。とはいえ、自分の好みで選んでしま
まあ、そんな細かいことは抜きにして、私は
うこともありました。内容が良かったから、よ
昔から絵本が大好きでした。もちろん今でも大
しということで…。エディテク用を選びながら、
好きです。私にとっての絵本は癒しです。
「絵本
自分用にも買おうなんて考えたりもしました(あ
は癒しだ」なんていうと、大げさすぎると思わ
あ、幸せです)
。とにかく、エディテクに入って
れる人も多いでしょう。ですが、私はそれくら
良かったです(決して絵本のことだけではない
い絵本が好きなのです。本屋さんの絵本コーナー
です)
。司書についての情報などを聞くことがで
に行って、たくさんある本の中から自分のお気
きたし、子どもたちと触れ合うことができたし、
に入りを探す楽しさ、そして見つかった瞬間の
いろいろな絵本も読めたし(結局それ !?)
。興味
喜び、もう幸せです !!(周りの人からすると怪し
のある方は是非一度見学に来てください(せっ
い人、極まりないでしょうが…)ともかく、絵
かくなので宣伝しておこう)
。
本は良いですね。
お薦めの絵本はと聞かれることがありますが、
まり頼りになる先輩にはなれなくて、後輩たち
答えるのが難しいです。好きな本はたくさんあ
にはなんだか申し訳ない気がします。この場を
るし、どれもお気に入りなので迷ってしまいま
お借りして一言。楽しい時間をありがとうござ
す。
“お薦め”を基準にして選ぶというのは、よ
いました。みんなで協力して、エディテクを創っ
くあることで、それも1つの選び方です。私の選
ていってください。
び方は、ほとんど直感のようなものです。目に
さてさて、よく分からない、私の絵本好き話に
留まったものを手にとってみる、そんな感じで
なってしまいましたが、皆さんに絵本を読めと
す。なんとも抽象的で分かりにくいですが、
案外、
いっているわけではありません。たまたま、私
良い方法かもしれませんよ。是非お試しあれ(買
は絵本が好きなので、そのことについて長々と
うならば、十分にご検討ください)
。
語ってしまったわけです。何か自分に好きなも
そもそも、何故こんなにも絵本が好きなのかと
のがあるということはとても良いことです。きっ
いうと、子どもの頃、よく寝る前に絵本を読んで
と、プラスになるものがあるはずです。嫌なこと
もらっていたことがきっかけだと思います。毎日
もたくさんあると思いますが、頑張りましょう。
いろんなお話を聞けるのが楽しくて、楽しくて
好きなものがない人は、絵本なんてどうですか?
仕方がありませんでした。そんな、思い出があっ
(まるで、何かの勧誘のようだ…)では、この辺
て、今に至るというわけです。とはいえ、別に中
学生や高校生のときにも本屋さんで、
“怪しい人”
エディテクの3年間。あっという間でした。あ
で失礼します。
(やまもと・ようこ 4回生)
一瞬美の使徒
上 村 倫 行
人がこの世において獲得しうるものは、すべ
ていずれかは失われるものについてだけであ
る。――高橋和巳『悲の器』
高橋和巳が39歳と云う若さでこの世を去っ
てから今年でちょうど35年が経つ。高橋和巳
は京都大学で中国文学を専攻し、後に京大文学
部助教授となるのだが、27歳の時に長篇小説
『捨子物語』を自費出版して以来、その後は小
説(とりわけ長篇小説)、エッセイ、評論等を
精力的に発表していった。同じ京都大学出身の
北川荘平が高橋和巳を「長篇小説の鬼」(註『高
橋和巳の青春とその時代』<編>小松左京、構想社)と
言う程である。私が今までに読んだ高橋和巳の
長篇小説は『悲の器』『捨子物語』『憂鬱なる党
派』『我が心は石にあらず』の4作品しかない
のだが、中でも私が面白いと思った小説が『悲
の器』である。
『悲の器』は某国立大学教授で法曹界の権威で
もある主人公・正木典膳(55歳)が、家政婦・
米山みき(45歳)に、不法行為による損害賠
償請求が提起され、逆に正木典膳が名誉毀損で
告訴すると云う小説である。内容は勿論、私は
高橋和巳の重厚で息の長い文章に惹かれた。高
橋和巳の文体は迫力があるのだが、やはりどこ
か彩りを感じる。例えば先に書いたエピグラム
のような、そんな“一瞬美”が魅力ではないだ
ろうか。また『悲の器』の驚くべき点が、高橋
和巳が27歳の時に執筆された小説なのだが、
それはつまり、27歳の青年が55歳の人生の
折り返しを迎えた初老の男性を描いたのである。
『悲の器』を一読したら高橋和巳の文学的才能が
如何に優れていたかを窺い知る事が出来る。
『悲の器』は昭和37年、第1回河出書房文
芸賞・長篇部門を受賞し、高橋和巳の出世作に
なったと同時に「1960年安保闘争以後の日
本思想社会の転成期に一つの時代を画する長篇
小説として、同時代の知識人・学生に深い文学
的感動を与えた」(註『日本文芸鑑賞事典』<編>
石本隆一、ぎょうせい) 作品でもある。確かに高
橋和巳は政治的事象を題材にした小説(『憂鬱
なる党派』や『我が心は石にあらず』など)を
書いたが、時代そのものを書いたかと云うとそ
うではない。高橋和巳の妻である高橋たか子
は「主人は、本質的に、政治的な小説家では
(註『高橋和巳の思い出』高橋たか子、
ないのである。」
構想社) と語り、また同じ京都大学出身で親交
の深かった小松左京も「彼こそは、徹底的な「内
部の人」であり、「内面型人間」であった。<
中略>私は彼が、もっとも「非政治的」人間
だと思って」(註『高橋和巳の青春とその時代』<編
>小松左京、構想社) いると語る。私も、高橋和
巳の小説は政治や時代ではなく、もっと奥底
の“人間”が描かれているのではないかと思う。
高橋和巳は『悲の器』で、正木典膳と云う脆
くも崩れ去ってゆく人間を見つめ、瑕を抉り、
恕しもせず叱りもせず、ただ、破滅を描いた。
『悲の器』の最後は、このように締めくくられ
ている。
「さようなら、米山みきよ、栗谷清子よ。
さようなら、優しき生者たちよ。私はしょ
せん、あなたがたとは無縁な存在であっ
た。」(第三十二章) この正木典膳の自殺を暗示させるような最後
は、あまりにも悲愴に満ちている。しかし高橋
和巳にとって人間の破滅はごく自然なものだっ
たのかも知れない。高橋和巳は「もう一つの劇」
というエッセイで「人間の存在は回帰的なも
のではない。/始めと終りがありながら、多
くは結構のととのわぬままに中断される未完
の劇である。」(註『高橋和巳作品集8エッセイ集2
(文学篇)』高橋和巳、河出書房新社)と述べている。
そして高橋和巳にとって小説は「人間は有るほ
うがよいのか無いほうがよいのかという、最も
ラジカル(根本的――註・上村)な問いを究明
する場所」(註『高橋和巳論』真継伸彦、文和書房)
であった。高橋文学の核は“人間”ではないの
だろうか。
* * *
高橋和巳は生前「……いつか現代版“ユート
ピア”が書きたいのです。プラトンの理想国を
日本におきかえるのです。敗戦後の日本のあり
ニューズレター第12号
(2006.3)
方をたんねんに分析し、その進行にしたがった
2 月 14 日 学外講習 in 京都教育大学
理想国日本を書いてみたいのです……」(註『高
( 参加者 )
橋和巳論』<編>埴谷雄高、河出書房新社)と語って
清水真由美・上村倫行・中嶋伸
いた。そして遺稿となった『遙かなる美の国』
は完成されぬまま、昭和46年5月3日、高橋
<送る言葉>
和巳は癌に侵され死んでしまった。今はきっと、
4 回生の皆さんには、大変お世話になりまし
自身が“遙かなる美の国”へと逝ってしまった
た。私が部長になり、しっかりしなければと思っ
のだろう。
ていたのに、結局、散々心配をおかけする形に
(かみむら・のりゆき 人間文化学部
なってしまいました。特に、前部長の大原さん
文化コミュニケーション学科 3 回生)
には注意していただいてばかりでしたね。私が
めちゃくちゃながらも部長としていられたのは
皆さんのお蔭でした。これから、卒業して就職
されることと思いますが、皆さんがんばってく
ʀʟɻʗĜʒĆʞʇʦ˅ʐĜॸ࢞‫ޏ‬
਱༃๱ষ཰Ɉߤ຦໲૛
ださい。そして、暇があれば私たちの部に顔を
出してくださいね。今までありがとうございま
した。
清水真由美
<活動報告>
秋学期の練習
水・木曜の 16:30 ~
10 月 29 日・30 日 龍尾祭
お菓子入りパンプキン作り
( 参加者 )
大原佳美・中山七重・山本陽子・清水真由美・
上村倫行・白石若子・栗山浩司・岩口公平・
尾崎暢俊・加賀 原由佳
後 記
◆ 本 号 に は 登 場 し な い が、大 原、中 山、
山本の、絵本三人娘以外にも、上野達也、
安房直輝両君が卒業する。おめでとう。
◆ この頃の面接では、学生時代どんなこ
とをやったのかが、よく聞かれるとい
う。エディテクでの活動は、そんな時
に胸を張って答えられるものなのだ。 どんどん地域に出て行き、子どもの前
で絵本を読んだり、紙芝居を演じたり、
お話を語ったりしていってほしい。新
10 月 16 日 子育て子育ち広場 in 東大阪大学
年度からは人形芝居にも挑戦するつも
大原佳美・上村倫行・白石若子
りらしいので、ますます楽しくなるは
ずだ。
12 月 17 日 京のわくわく子育てフォーラム
不思議なカード作り
(参加者)
清水真由美・上村倫行・白石若子・栗山浩司・
尾崎暢俊・加賀原由佳・中嶋伸・安房直輝
京都学園大学司書課程 第12号 2006年3月30日
(年2回発行)
編集・発行 京都学園大学司書課程
〒621- 8555 2 月 9 日・10 日 卒業生追い出し合宿
( 参加者 )
大原佳美・中山七重・山本陽子・清水真由美・
白石若子・加賀原由佳・中嶋伸
京都府亀岡市曽我部町南条大谷 1 番
TEL0771-29-2470/Fax0771-29-2239
印刷 和光印刷 用紙 クリーム書籍
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