...

名古屋市上下水道局事業継続計画(地震対策編)3

by user

on
Category: Documents
0

views

Report

Comments

Transcript

名古屋市上下水道局事業継続計画(地震対策編)3
3
非常時対応計画
3-1 優先実施業務の選定
● 優先実施業務の考え方
上下水道一体のメリットを生かした機能回復を図るためには、水道、工
業用水道及び下水道を通した統一的な考え方のもとに優先実施業務を選定
する必要がある。そこで、発災から 30 日の期間を 4 段階に区分し、各段階
で優先すべき業務を設定した。さらに、すべての優先実施業務には「優先
度」を付与して業務の優先順位を明確にした。
発災後の
経過日数
対象期間内の
4 つの段階
業務の優先度
(着手時期)
A
お客さ まの 生命 や
発災~
健康の 維持 に必 要
3 日目まで な業務 を優 先し て
実施
B
C
お客さ まの 生活 を
4~7
支える 業務 を優 先
日目まで
して実施
D
お客さまの生活を
支える業務を優先 E
8~14
して実施しなが
日目まで
ら、社会活動を支え
る業務を再開
F
お客さ まの 生活 を
15~30
支える 業務 及び 、
日目まで 社会活 動を 支え る
業務を実施
代表的な業務
・ 指揮調整・情報収集体制の確立
・ 被害情報等受付窓口の設置
・ 基幹施設の被害状況把握と運転管理
発災後
の継続
1~6 時間
・ 運搬給水、応急給水施設の開設
・ 仮設トイレのし尿の受け入れ体制準備
・ 施設の被害情報収集
・ 重要路線 ※下の管路の被害調査
発災後
・ 他都市への応援要請
6~24 時間 ・ 広報担当の設置
・ 重要路線下の配水管、下水道マンホール
浮上・道路陥没の応急復旧
・ 他都市応援隊受け入れ体制の整備
2~3 日目 ・ ホームページでの災害情報提供
・ 工業用水道のお客さまの状況調査
・ 他都市応援隊と応急復旧に伴う調整
4~7 日目
業務
・ 屋内給水管の修繕
・ 応急給水の箇所数、1人あたりの給水
量の拡大
・ にごり水発生地域への対応
8~10 日目
・ 重要路線下以外の配水管、下水道マン
ホール浮上・道路陥没の応急復旧
・ 工業用水道応急給水、応急復旧
・ 下水道管路被害の詳細調査、応急復
11~14 日目
旧
・ 配水管の断水の解消(28 日目までに)
・ 水道の復旧状況に応じた工業用水道
G 15~30 日目
のお客さまへの災害対応(応急給水)
・ 必要な窓口業務や相談業務の再開
※重要路線とは、緊急輸送道路や幹線が布設された道路などのことをいう
23
3 非常時対応計画
● 優先実施業務の選定結果
各部署で優先実施業務を選定した結果、119 件の通常業務と、176 件の災
害対応業務を選定した。
【優先実施業務
295 件】
通 常 業 務:119 件(すべての通常業務 385 件の約 30.9%)
災害対応業務:176 件
(単位:件)
項目
優先実施業務
通常
災害
休止する
通常業務
計
全業務
(通常業務)
総務部
14
27
41
55
69
企画部
1
7
8
17
18
経理部
3
10
13
29
32
営業部
11
29
40
40
51
計画部
6
16
22
31
37
建設部
0
17
17
19
19
管路部
28
20
48
63
91
施設部
56
50
106
12
68
合計
119
176
295
266
385
優先実施業務
(通常業務)
119件
休止する業務
(通常業務)
266件
優先実施業務
(災害対応業務)
176件
24
3 非常時対応計画
3-2 優先実施業務に必要な人数の算定
● 優先実施業務の必要人数
選定した優先実施業務を実施するために必要な人数は以下のとおりである。
発災後は順次職員が参集し、約1週間で全職員の約95%が参集する。し
かし、発災後は災害対応業務を実施する一方で、災害時においても継続する
通常業務も実施しなければならない。また、時間の経過とともに災害対応業
務が減少していくものの、通常業務は徐々に回復してくることから、業務量
と人員数を総合的に比較すると人的資源が大幅に不足する。
優先実施業務の実施に必要な人数
(単位:人)
1日目
発災
初日
項目
2日目
1日
経過
3日目
2日
経過
発災後経過時間
4日目
8日目
3日
7日
経過
経過
15日目
14日
経過
30日目
29日
経過
通常
327
493
509
565
591
767
1,029
災害
2,453
2,026
1,894
2,306
2,409
2,189
1,370
計
2,780
2,519
2,403
2,871
3,000
2,956
2,399
リソース
制約時の
参集人数
1,591
2,029
2,176
2,353
2,359
2,359
2,359
● 必要人数の推移
3,500
3,000
2,000
1,500
1,000
優先実施業務の必要人数(通常)
優先実施業務の必要人数(災害)
リソース制約時の参集人数
500
経過時間
※優先実施業務とは、災害対応業務と災害時でも継続する通常業務のことをいう
25
30日目
29日目
28日目
27日目
26日目
25日目
24日目
23日目
22日目
21日目
20日目
19日目
18日目
17日目
16日目
15日目
14日目
13日目
12日目
11日目
10日目
9日目
8日目
7日目
6日目
5日目
4日目
3日目
2日目
0
1日目
人数 (人)
2,500
3 非常時対応計画
3-3 対応可能時期の算定
● 各部における対応可能時期の算定
優先実施業務を行うために必要な人数(業務量)と、震災による制限を
考慮したリソース(発災後に順次参集する職員や車両など)を比較するこ
とで、対応可能時期 ※ を算定した。
※ 対応可能時期:発災時の各部の参集職員数において、各部の優先実施業務が充足可
能となる時期のこと
【対応可能時期の整理結果】
上下水道局が保有するリソースのみで優先実施業務を対応した場合、発
災から 9 日間は応急給水に必要なリソースが不足する。また、管路部の応
急復旧においては、上下水道局BCPの対象期間である「発災から 30 日
間」において必要なリソースが不足する。施設部においては、基幹施設の
運転管理以外の業務に上下水道局BCPの対象期間である「発災から 30
日間」において必要なリソースが不足する。
各部における対応可能時期(各部間の人員融通を考慮)
(延べ人数にて評価)
部
対応可能時期
総務部
1 日目以降
他都市等への応援に関する業務
情報システムの被害調査・復旧業務
企画部
1 日目以降
上下水道部指令室の事務(指令室事務班)
広報全般に関する業務(広報班)
経理部
1 日目以降
予算や経費・契約等に関する業務
車両、資機材、燃料等の調達に関する業務
10 日目以降
応急給水に関する業務
1 日目以降
応急給水以外の業務
計画部
1 日目以降
大都市との連絡・連帯に関する業務(下水道)
技術系システムの被害調査・復旧業務
建設部
1 日目以降
建設現場の保全や復旧作業に関する業務
建物や機械、電気の復旧に関する業務
管路部
30日間では不足
管路の被害調査や応急復旧に関する業務
営業部
施設部
1 日目以降
30日間では不足
主な災害対応業務
基幹施設の運転管理
基幹施設の運転管理以外の業務
※ 上下水道局が保有するリソースで対応した場合の対応可能時期である。
※ 各部間の人員融通を行うことを前提とする。
※ リソースの制限により、予定した期日に業務が完了しなかった場合、翌日に業務
が持ち越されるものとする。
26
3 非常時対応計画
【各部の対応可能時期】
総務部
69 件の通常業務のうち 55 件の業務を一時的に休止し、優先実施業務※
に専念することで、初日からリソース制約時の参集職員で優先実施業
務の対応が可能となる。
企画部
18 件の通常業務のうち 17 件の業務を一時的に休止し、優先実施業務
に専念することで、初日からリソース制約時の参集職員で優先実施業
務の対応が可能となる。
経理部
32 件の通常業務のうち 29 件の業務を一時的に休止し、優先実施業務
に専念することで、初日からリソース制約時の参集職員で優先実施業
務の対応が可能となる。
営業部
51 件の通常業務のうち 40 件の業務を一時的に休止しても、1 日当た
り最大で約 700 人の人員不足となる。
応急給水に関する業務の対応可能時期は 10 日目以降で、発災から 9
日目までは応急給水に必要なリソースが不足する。
なお、応急給水以外の業務は初日からリソース制約時の参集職員で優
先実施業務の対応が可能となる。
計画部
37 件の通常業務のうち 31 件の業務を一時的に休止し、優先実施業務
に専念することで、初日からリソース制約時の参集職員で優先実施業
務の対応が可能となる。
建設部
19 件の通常業務のうち全業務を一時的に休止し、優先実施業務に専念
することで、初日からリソース制約時の参集職員で優先実施業務の対
応が可能となる。
管路部
91 件の通常業務のうち 63 件の業務を一時的に休止しても、1 日当た
り最大で約 750 人の人員不足となる。
管路部の応急復旧に関する優先実施業務は、発災から全ての期間(配
水管等は 28 日、下水管きょ等は 30 日)において必要なリソースが不
足する。
施設部
68 件の通常業務のうち 12 件の業務を一時的に休止しても、1 日当た
り最大で約 400 人の人員不足となる。
施設の運転管理業務(浄水場や水処理センターの運転管理等)は、業
務の特性上、災害時においても初日からリソースに制約を受けた状態
で対応しなければならない。
その他の優先実施業務は、発災から全ての期間において必要なリソー
スが不足する。
※ 上下水道局が保有するリソースで対応した場合の各部の対応可能時期
※ 優先実施業務とは、災害対応業務と災害時でも継続する通常業務のことをいう
27
3 非常時対応計画
3-4 対応策の検討
●応急給水および応急復旧における対応策の検討
各部における対応可能時期の整理結果を受け、応急給水業務と応急復旧
業務に対する対応策を検討する。
(1)応急給水
① 業務量とリソース
応急給水は、発災初期における業務量が非常に多いことが課題である。
応急給水における発災初期の主な業務は、以下のとおり。
・災害拠点病院など重要給水施設への運搬給水業務
・応急給水施設の開設業務
これらを実施するために必要な人員は、発災初日(1日目)で 856
人となっている。一方、発災初日(1日目)に応急給水業務に従事可能
な人員は 262 人と、必要人数の3割程度である。
応急給水業務においては、発災初期において最大で約 600 人の人員が
不足し、作業に伴う車両においても不足する。
② 対応策
発災後は、他の水道事業体及び災害時における応急対策の協力に関す
る協定書に基づいた業者(以下、「協定業者」という。)の応援を受け
られることが想定できる。そこで、発災初期における応急給水業務に実
施順位を付けて対応する。
【応急給水業務における対応方針】
発災初期は、以下の応急給水を最優先して実施する。
断水地域の病院(災害拠点病院や救急病院など)への運搬給水
断水していない地域における応急給水施設の開設
上記に引き続き、以下の応急給水を実施する。
断水地域の入所型福祉施設への運搬給水
断水地域の応急給水施設への運搬給水
応急給水施設への仮設給水栓設置
発災後は、他の水道事業体及び協定業者の応援を受け、応急給水業務を展
開していく。
28
3 非常時対応計画
(応急給水業務における対応策)
発災初期は、順次参集してくる上下水道局の職員で応急給水を実施する必
要があることから、断水した病院への運搬給水と応急給水施設の開設を行う。
また、応急給水業務において人員が不足する初期段階では、各部から人員融
通を行うものとし、部間で最大で約 100 名を応急給水の補助業務に充当する。
また、局職員の人員融通で対応しきれない不足分は、他の水道事業体及び協
定業者に応援を依頼するものとする。被害状況によっては臨機応変に対応し
た応急給水の展開が必要になるため、発災後 30 日間は他都市の応援隊を受け
入れる体制について整備する。
なお、発災初期における応急給水業務において、リソース(人員及び車両
等)が不足する場合の病院への運搬給水方法や、各病院における受水槽容量、
自家発電装置の整備状況を整理し、応急給水活動がより効果的に実施できる
体制を整備する。
(2)管路部の応急復旧
① 業務量とリソース
応急復旧業務は、上下水道局BCPの対象期間である発災から 30 日
間、継続して業務量が非常に多いことが課題であり、以下の業務を発災
直後から実施していかなければならない。
・重要路線(緊急輸送道路や幹線が布設された道路など)下の管路
の被害調査
・管路の応急復旧
また、応急復旧業務においては、最大で約 750 人(水道 70%、下水
道 30%)の人員が不足し、作業に伴う車両においても不足する。
② 対応策
過去の地震被災時において、他の水道事業体、下水道事業体及び協定
業者からの応援を受け入れることは、早期復旧に向けて必要不可欠であ
る。上下水道局BCPでは各種協定に基づき、他の水道事業体、下水道
事業体及び協定業者の応援を受け入れることを前提とした応急復旧の
対応を講ずる。
【応急復旧業務における対応方針】
発災後は、以下の業務を最優先して実施する。
重要路線下の管路の被害調査、応急復旧
配水管、下水管きょ、マンホール浮上、道路陥没などの応急復旧
発災後は、他の水道事業体、下水道事業体及び協定業者の応援を受け、応
急復旧業務を拡大していく。
29
3 非常時対応計画
(応急復旧業務における対応策)
人的リソースが不足する期間内において、他の部から約 40~100 名の人員
融通が可能である。ただし、人的リソースが不足する営業部及び施設部との
調整が必要である。また、局内のリソースで対応しきれない不足分は、他の
水道事業体、下水道事業体及び協定業者に応援を依頼するものとし、応援隊
を受け入れる体制について整備する。
(3)施設部の応急復旧
① 業務量とリソース
施設部の応急復旧業務は、発災初期における業務量が非常に多いこと
が課題である。
発災初期の主な業務は、基幹施設の緊急調査等の応急復旧業務におい
て、最大で約 400 人の人員が不足する。
② 対応策
施設部においては協定業者からの応援を受け入れることが、早期復旧
に向けて必要不可欠である。上下水道局BCPでは災害時における応急
対策の協力に関する協定書に基づき、協定業者の応援を受け入れること
を前提とした応急復旧の対応を講ずる。
【応急復旧業務における対応方針】
発災後は、以下の業務を最優先して実施する。
取水場、導水路、浄水場、配水場の被害調査、応急復旧
水処理センター(ポンプ所施設含む)・汚泥処理場の
被害調査、応急復旧
発災後は、協定業者の応援を受け、応急復旧業務を拡大していく。
(応急復旧業務における対応策)
人的リソースが不足する期間内において、他の部から約 40~100 名の人員
融通が可能である。ただし、人的リソースが不足する営業部及び管路部と調
整が必要である。また、局内のリソースで対応しきれない不足分は、協定業
者に依頼するものとし、応援隊を受け入れる体制について整備する。
30
3 非常時対応計画
3-5 主な優先実施業務と実施時期
● 応急給水(水道)
生命維持のために成人 1 人 1 日あたり約 3
の水が必要となる。しかし、
発災から 3 日間は、断水している地域の災害拠点病院や救急病院などの医
療施設、応急給水施設、入所型福祉施設への応急給水を優先して実施する
ことになる。そのため、お客さまには自助・共助として、日ごろから 3 日
分の飲料水を備蓄していただいたり、市立の小学校に設置された地下式給
水栓などで水を確保していただくようPRしていく。
4 日目以降は、応急給水箇所や給水量を順次拡大していく。これにより、
段階的に 1 人あたりの応急給水量を増やすとともに、各家庭から応急給水
拠点までの距離も縮めていく。
31
3 非常時対応計画
● 応急復旧(水道)
浄水場などの基幹施設は、発災後も運転管理を継続する。また、発災直
後から被害調査を実施して早期の機能回復に努める。
配水管路については、緊急物資を輸送する経路の確保や二次災害の防止、
早期の復旧を目的として、重要路線(緊急輸送道路や幹線が布設されてい
る道路など)下の管の被害調査、復旧を優先して実施する。その後、配水
管の応急復旧を実施し、28 日目までに配水管による断水の解消をめざす。
● 応急給水・復旧(工業用水道)
発災初期は、基幹施設の被害調査と、重要路線下に布設された管路の被
害調査・応急措置を実施する。
工業用水道のお客さまに対しては、水道の復旧状況に応じ、順次、応急
給水などによる災害対応を実施する。
32
3 非常時対応計画
● 応急復旧(下水道)
水処理センターなどの基幹施設は、運転・管理を継続するとともに、発
災直後から被害調査を実施する。
下水道管路については、重要路線下の管路の被害調査、緊急措置を優先
して実施する。
● 本復旧へ向けた管路の被害調査(下水道)
下水道管路は、応急復旧により暫定的に流下機能を確保するが、その後
に本復旧が必要となるため、本復旧に向けた下水道管路の詳細調査を実施
する。
33
3 非常時対応計画
● 窓口業務
地震発生時は、災害に伴う通報や問い合わせが急増すると予想されるた
め、災害情報受付窓口を開設する。また、早い時期に広報体制を確立し、
被害状況などの情報をお客さまに広報する。
● 他の事業体等への応援要請
他の事業体等に災害応援活動を要請することで、応急対策を充実させる
ことができる。また、上下水道局の人員を、休止していた通常業務に回す
ことで、上下水道サービスの機能回復時期を早めることも可能となる。そ
こで、早い段階での応援要請と応援隊の受け入れを実施する。
34
4
訓練・維持改善計画
4-1 訓練計画
発災後における対応手順の確実な実行とBCPの定着を図るため、上下水
道局BCP及び各部署別の業務継続マニュアルに基づいた訓練を定期的に実
施する。
【訓練を有効にするために】
訓練の実施にあたっては、訓練によって身につけたい能力や、点検・評価
したい事項を「訓練の目標」として明確にする。
優先実施業務に関して職員の理解度や業務の実効性・妥当性を確認する。
応急給水訓練など、各部間の応援を実施した際に従事する可能性がある業
務を訓練に取り入れていく。
訓練計画の策定にあたっては、訓練を通じてBCPの定着を図ることがで
きるよう配慮する。
訓練により得られた課題は、維持改善計画におけるPDCAサイクルに組
み込み、BCPの見直し・改善に反映させる。
35
4 訓練・維持改善計画
4-2 維持改善計画
● PDCA サイクルによる計画の見直し
上下水道局BCPの実効性を確保するとともに、定期的な計画の見直し
を実施する。見直しは、PDCA サイクルによるものとし、計画策定(PLAN)の
後、運用(DO)する中で計画の実効性を確認(CHECK)し、問題点に対する改善
(ACTION)を行うことによって、計画の継続的な向上を図る。
36
4 訓練・維持改善計画
● 上下水道局BCPの運用体制
上下水道局BCP運用(改訂)は、下図の体制で実施する。計画の定期
的な改訂は、策定委員会を開催して実施する。また、臨時の改訂が必要と
なった場合は、経営会議の構成員または策定委員の発議に基づき、策定委
員長が臨時改訂のための策定委員会を招集する。
座長・事務局会議
被害想定、全体構成、基本事項の整理、各W.G間の
調整及び進捗管理、計画(案)のとりまとめ
リソース調査W.G
大規模地震発生時における優先業務の継続や、被害調
査、応急活動等に必要となるリソース(資源:人・物・
カネ・情報等)の確保及び調整計画の検討
水道基幹施設W.G
水道(工業用水を含む)基幹施設の被害算定と影響及び
被害想定に基づく基幹施設の応急復旧や応急対策計画
などを策定
下水基幹施設W.G
下水道基幹施設の被害算定と影響及び被害想定に基づ
く基幹施設の応急復旧や応急対策計画などを策定
管路復旧・応急給水W.G
被害想定に基づく上下水道管路施設(工業用水を含む)
の応急復旧、応急対策計画及び応急給水活動計画を策
定
37
4 訓練・維持改善計画
● 計画の運用(改定)委員
委員会の役職
委員長
委
員
策定委員
企画部長
主な担当部門
責
任 者
企画部
主幹(防災・危機管理)
〃
総務部
総務課長
リソース調査
〃
総務部
労務課長
リソース調査
〃
総務部
情報システム課長
リソース調査
企画部
広報サービス課長
リソース調査
〃
経理部
経理課長
リソース調査
〃
経理部
資産活用課長
リソース調査
〃
営業部
営業課長
応急給水
〃
営業部
給排水設備課長
応急給水
〃
計画部
水道計画課長
〃
計画部
主幹(新事業推進)
下水道基幹施設
〃
建設部
工務課長
下水道基幹施設
〃
建設部
施設課長
リソース調査
〃
管路部
配水課長
水道管路
〃
管路部
保全課長
下水道管路
〃
施設部
施設管理課長
水道・下水道基幹施設
〃
施設部
施設整備課長
水道・下水道基幹施設
〃
施設部
主幹(施設運転管理)
水道・下水道基幹施設
〃
施設部
主幹(工業用水)
38
実務責任者
水道基幹施設
工業用水
4 訓練・維持改善計画
● 計画の定期的な改訂
上下水道局BCPは、計画の実効性を維持するため、定期的な改訂を実
施する。改訂の頻度は、参集人数に関連するものは毎年とし、優先実施業
務に関連するものは 2~3 年ごとに実施するものとする。
また、計画の全面改訂は、中期計画の策定及び、地域防災計画など上位
に位置する防災計画において被害想定の見直しなどが行われた場合に実施
する。
上下水道局BCPの改訂頻度
改訂
頻度
毎
年
対象となる項目
備
非常時対応計画の策定根拠
非常時対応計画策定の基本条件
・ 参集人員など
人事異動等に伴う参集人員の見
直し
非常時対応計画の策定根拠
対応可能時期の算定と対応策の検討
・ 優先実施業務の対応可能時期の算定
参集人数の変更に伴う対応可能
時期の点検
防災訓練等で抽出された課題に
基づき、必要な箇所の見直しを
実施
その他、改訂が必要な箇所
2~3 年
考
非常時対応計画
主な優先実施業務と実施時期
各部署における優先実施業務
優先実施業務の見直しを実施
非常時対応計画の策定根拠
対応可能時期の算定と対応策の検討
・ 優先実施業務の実施に必要な人数
・ 対応策の検討
優先実施業務の見直しに伴う対
応可能時期や対応策の改訂
5
年
全面改訂
随
時
全面改訂
中期計画の策定を受け、計画の
全面改訂を実施する。
地域防災計画など上位に位置す
る防災計画において、被害想定
の見直しなどがあった場合に、
計画の全面改訂を実施する。
39
4 訓練・維持改善計画
● 管路調査の一本化
発災直後は、リソース(人員及び車両等)の制約を受ける中で、重要路
線(緊急輸送道路や幹線が布設されている道路など)下の管路を水道、工
業用水道及び下水道それぞれが状況確認(初期調査)を実施することとな
る。
現在の初期調査の実施方法
調査事項
水
道
実施時期
表現漏水や陥没など
発災当日
工業用水道
表現漏水や陥没など
発災当日
下水道
陥没やマンホール浮
上など
発災から 3 日間
実施方法
重要路線下の管などを調査
水道、工業用水道及び下水道がそれぞれ行う初期調査は、重要路線下の
管路など重複する路線が多いと考えられる。そのため、水道及び工業用水
道の漏水と下水道の道路陥没、マンホール浮上等の被害調査(目視調査)
を一本化して行うことで、リソースの制約を受ける中でも作業の効率化を
図ることができる。
40
4 訓練・維持改善計画
● 総合的な復旧作業計画の策定
水道が復旧された地域では、水の使用量の増加に伴い、排水量も増加す
る。そこで、水道と下水道の復旧作業計画を調整して機能回復を図る。ま
た、工業用水道については、水道の復旧状況を勘案し、状況によっては水
道からの応急給水を行うなどによって暫定的に機能を回復させる。
各事業がそれぞれに応急復旧した場合
工業用水道
浄水場
取水
取水
工業用水道
未復旧
浄水場
配水池
水道
未復旧
水道の
復旧完了
下水道
未復旧
下水道の
復旧完了
放流
水処理
センター
各事業の応急復旧計画を調整した場合
工業用水道
浄水場
取水
取水
浄水場
配水池
水道の
復旧完了
水道・下水道とも復旧
が完了したため、○
下水道
未復旧
下水道の
復旧完了
放流
工業用水道
未復旧
水処理
センター
総合的な復旧作業の実施例
41
水道
未復旧
水道からの
応急給水
4 訓練・維持改善計画
● 災害時における状況把握や情報管理の強化
水道、工業用水道及び下水道における災害対応業務の推移に応じた適切
な人員配置や、応急活動の調整を実施するためには、状況把握や情報管理
を一元的に行うことが必要である。そこで、「災害情報システム」を開発
し、被害状況や応急活動の進捗状況を把握するとともに、災害対応に必要
な情報管理を実施することで、状況把握や情報管理体制を強化する。
(災害情報システムによる情報管理の強化)
発災直後の地震動データに基づいた被害予測を実施し、初動活動の迅
速化を図る。
各部署において、お客さまからの通報や被害調査結果、応急活動の進
捗状況などの情報を地図上に入力することで、状況把握の迅速化と情
報管理の強化を図る。
災害活動に必要な人員(参集状況等)や車両、資機材等、事業継続に
必要なリソースを適切に配置するため情報を管理する。
● お客さまへの情報発信
事前対策として、上下水道局の地震への取り組み状況や、お客さまの生
活に与える影響等について情報発信を行う。上下水道局BCPの策定によ
り、発災初期における自助、共助と公助の連携が非常に重要であることが
明らかになった。そこで、混乱が予想される発災初期においても、お客さ
まに冷静に対処していただけるよう、飲料水の備蓄や地下式給水栓などに
ついて積極的に広報していくものとする。
● 上下水道局BCPの実効性を高めるための方策の実施
上下水道局では、上下水道局BCPの策定を受け、各部署において、部
署別の具体的な職員行動計画である「各課公所
業務継続マニュアル」を
作成する。
「各課公所
業務継続マニュアル」は、今回の上下水道局BCPの内容
や、BCP策定段階において明確となった防災上の課題等を踏まえて作成
する。これにより、上下水道局BCPの実効性を向上させていく。
42
4 訓練・維持改善計画
●「災害時等における上下水道局退職者協力制度」の強化
災害時等における上下水道局退職者協力制度(以下、「協力制度」とい
う。)は、平成 9 年 6 月に発足し、現在、約 230 人の協力員が登録されて
いる。協力員は、退職者(高齢雇用職員を除く)を対象としており、上下
水道事業に携わった知識と経験を生かし、地震等の災害発生時における被
害状況の情報収集及び調査活動、応急給水活動等の協力をお願いしている。
今後は、局の防災訓練や地域が行う自主防災訓練に、より一層積極的に
参加していただき、災害時における被害を最小限に抑え、上下水道事業の
早期回復に向け、地域と行政との連携を強化していくものとする。
● その他(想定を超える規模の災害が発生した場合の対応方針)
平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災では、これまでの想定をはるかに
上回る規模の地震・津波が発生した。
今回、取りまとめた上下水道局BCPでは、「想定東海・東南海連動地
震」を対象に、現時点における事業継続上の課題とその対策方針、訓練・
維持改善計画等について、検討・整理を行った。
しかし、東日本大震災の被害規模を考えると、現時点で想定されている
「想定東海・東南海連動地震」を大きく上回る規模の地震や津波が、東海
地域において発生する可能性を否定できない。そのため、仮に想定を上回
る規模の災害が発生した場合に向け、以下の事項を今後、上下水道局内で
整理していくものとする。
①想定を上回る地震や津波が発生した場合、どのような状況となるのか
②その状況下において、今回の上下水道局BCPで定めた「非常時対応
計画」は有効であるか
③有効でない部分があるとした場合、当面、どのような対処が可能か
この確認作業を事前に行っておくことで、現時点における事業継続上の
新たな課題を認識し、想定を超える災害に直面した場合に、上下水道局が
行うべき初期対応を明らかにし、今後、地域防災計画などで地震災害規模
が見直された場合にも柔軟に対応していくものとする。
43
上下水道局BCP監修委員会資料
(参考)
委員会資料-1 監修委員会名簿
● 名 簿
上下水道局BCP監修委員会の名簿を示す。
氏
こいずみ
委員長
小泉
委員
能島
委員
柄谷
のじま
からたに
名
あきら
明
のぶ おと
暢呂
ゆ
か
友香
所
属
教授
首都大学東京
都市環境学部 都市基盤環境コース
教授
岐阜大学工学部社会基盤工学科
准教授
名城大学都市情報学部
44
上下水道局 BCP 監修委員会資料(参考)
委員会資料-2
第 1 回監修委員会 監修事項
平成 22 年 8 月 27 日に、TKP 名古屋ビジネスセンター 会議室において、
「名古屋市上下水道局 事業継続計画(地震対策編)第 1 回監修委員会」が
開催された。
事務局より、①BCP計画の概要(目的・経緯等)、②現在までの検討結
果等について説明があった。
委員会による監修事項を次に示す。
■ 上下水道局が策定する事業継続計画としてのメリットを明らかにすること
名古屋市上下水道局が作成する水道・工業用水道・下水道を一体で考え
た事業継続計画は、全国でも初めての例になる。
一体の組織で事業継続計画に取り組むことには、特有のメリットが考え
られるため、これらを明確に表現すること。
■ 社会的影響の度合いを評価すること
上下水道局の事業はライフラインであり、その機能が停止することによ
って、社会の広範囲に影響が及ぶことになる。
許容中断時間の設定や優先実施業務の選定では、この社会的影響の度合
いを適切に把握し、計画に反映する必要がある。
■ 市民にも分かり易い表現を心がけること
事業継続計画の策定・公表にあたっては、計画策定の意義・効果を市民
に分かり易く伝える必要がある。
被害想定では、機能の停止だけでなく、社会的な影響で表現することで、
より伝わり易い表現となる。
また、計画策定の意義・効果を市民に示すことにより、上下水道局の事
業への理解を深める効果も期待できる。
45
上下水道局 BCP 監修委員会資料(参考)
委員会資料-3
第2回監修委員会 監修事項
平成 23 年 3 月 25 日に、鍋屋上野浄水場 大会議室において、「名古屋市
上下水道局 事業継続計画(地震対策編)第 2 回監修委員会」が開催された。
事務局より、①BCP計画の概要(目的・経緯等)、②これまでの検討内
容と委員会からの指摘事項,③BCPの取りまとめ結果等について説明があ
った。
委員会による監修事項を次に示す。
■ BCPの実効性を高めるために、日常からBCPを「磨く」必要性がある。
BCPは実効性・対応力が重要である。本番で実行(DO)できるように日
常からBCPを「磨く」工夫や努力を行うこと。
■ 自助共助の重要性をお客さまに積極的にPRすること
自助・共助の重要性を再確認し、お客さまに分かりやすく伝えること。
■ 必要な技術力・職員数を確保できるように努めること
災害時等の安全性の維持を考慮したうえで、必要な技術力・職員数を確
保できるように努める必要がある。
■ 全国に先駆けて取り組んだ意義も大きい
現時点では机上の空論の部分も多いが、全国に先駆けて、上下水道局が
一体となってBCPの策定に取り組んだ意義は大きい。
■ 東日本大震災に関する記述を追加し、想定をはるかに上回る規模の災害につ
いても、位置付けを整理すること
平成 23 年 3 月に発生した東日本大震災に関する記述を追加すること。ま
た、想定を越える津波や地震についても、上下水道局BCPにおける位置
づけを整理しておくこと。
46
Fly UP