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学会抄録
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SLE 坂本政棺(岩手医大) 討 論 24才,女.約3年前より顔面に蝶型紅斑を発生,時々 嶋 多門(郡山市):蝋径部の乳児寄生性紅斑様の皮 高熱と関節痛を訴えていた.皮疹は典型的,検査上,貧 疹も本症の皮疹と考えるのか. 血,白血球減少,赤沈値充進,LE現象陽性. 佐藤雅子:症例2の陰股部のものも本症の皮疹と考え 低下,胃機能障害か認められた.組織学的に表皮の萎縮 ている.カンジダは鏡検,培養とも陰性. と変性,真皮浅居における結合織の変性,中層における 伊崎正勝(岩手医大):兵庫県小児病院前田氏による 周管性細胞浸潤か認められた.ステロイドホルモンと抗 と本症にDDSか有効とされる.本例でもDDSにより 生物質にて治療観察中. エマホルムの減量にある程度成功したと思う. 討 論 顔面播種状粟粒性狼痘 野下秋恵(岩手医大) 福士 尭(青森県立中央):発症時妊娠等の誘因はな 26才,男子.既往歴,10才胸膜炎,初診は47年6月30 かったか.ステロイド治療の減量時,臨床的に何を目安 日で1ヵ月前より上下眼険,両頬部に紅色丘疹を発現, にするか. 次第に瀾慢性潮紅,下顎リンパ節腫張も認められてきた 坂本政拉:妊娠その他誘発因子はない.ステロイドの ので受診,臨床検査成績では異常は認めずツ反は陽性, 減量は肝腎機能,赤沈,発熱,皮疹の寛快を目安にす 組織では真皮に結核結節を認め,類上皮細胞,リyパ球, る. 巨細胞及び乾酪壊死を認めた. 伊崎正勝(岩手医大):(福士先生に)SLEの治療の際 SM, INAH,リファンピ A/G比の シンにて治療,現在経過観察中・ のステロイドの減量の目安について,私どもは次のよう 討 論 にしている.この症例に基いて説明すると,ステロイ 飯島 進(福島医大):リンパ節の生検は・ ドとしてリソデロソ1日量8昭を朝4曙夕4mgの2回に 野下秋恵:行なっていない. 分割筋注し,皮疹と全身症状(発熱など)の両者の鎮 伊崎正勝(岩手医大):初診時顔面に可成りの発赤腫 静を得た後に減量し,リソデロソ1日量6曙とし,朝4 脹かあったことが興味深い. これを結節癩に見られる癩 mg,夕2mgとする.減量して発熱を見るとか,皮疹の再 反応に類似のものと考えてよいか. 燃を見ると,本症例におけるように直ちに最初の昂:にも 佐藤三郎(青森県病):癩性結節性紅斑の或るものに どす.以降鎮静のまま順次減扁:しリソデロソ1日量3昭 似た所見があるように思う. となると経口投与とする.以降1日宛3昭を減量するこ 伊崎正勝(岩手医大):こり症例で患者の血液線溶系 となしに投与間隔を隔日投与,週3日投与と,順次間隔 活性度と血沈の関係が興味深い.この点を昆助教授に. をあけて行く. 272 学 会 抄 録 Aagヌobeh^et's Disease? 坂本政椿(岩手医大), 森県立中央) 管野成弘(同瀬田外科) 61才,男.約6ヵ月前より左乳房の硬結を認める.表 26才,男.既往歴:扁桃腺炎に罹患し易い.2年前よ 面は軽くビラソし,痴皮を附着する.左脱腸リンパ節に り結節性紅斑,アフタ,陰嚢部の潰瘍を出没,その後頚 指頭大3個ふれた.組織学的に,乳輪上皮のPage 部より腹部にかけて静脈の怒張を認めていた.赤沈値の 胞の存在と,下部乳腺内にduct A細 carcinoma存在.左乳房 完進, CRPは6(十),針反応(十),眼科的所見(-)・血 切断術,左脱高リンパ節郭清術,術後放射線照射施行・ 管撮影で上外頚静脈の閉鎖,それにともなう胸腹壁静脈 Colloid の怒張か認められた.糖尿病治療薬,プロゲステロソ, 央) ‥‥‥‥‥‥‥‥ ウロキナーゼにて治療,小康を保っている. 40才,農夫. 2年程前から顔面にほぼ対称性に淡黄色 MlUum 花田勝美,福士 尭(青森県立中 討 論 光沢を有する丘疹か集族性に発生,自覚症状なし.組織 大川容根(盛岡市):神経症状はなかったか. 学的に真皮浅層にHE染色でエオジンに淡染する無構造 坂本政椿:ない, Dermatofibrosarcoma 物質がほぼ円形に集塊し, Protuberans の1例 境 PAS陽性,ムチカルミン染色 で軽度の染色性を示し,トルイジンブルーで異染性を示 繁雄,帷子康雄(弘前大) さず.周囲の線維はbasophilicで,太く捻れを有する線 20才,女子.1年前より右側胸部に赤褐色の丘疹を生 維が不規則に配列する. ニ じ,増大,示指頭大となる.組織像は,真皮に比較的境 討 論 ト ▽ 界明瞭な紡錘型の腫瘍細胞塊があり,核は梢犬型明染 嶋 多門(郡山市):本症とsenile する類円形核と小型濃染する2種をみる.腫瘍細胞は束 が論ぜられているが,弾力線維はどうか. 状,波状,渦状に走り,中心密,辺縁疎となり膠原線維 花田勝美:組織学的ぱは老人性の変化はあるが,臨床 elastosisとの関係 中へ浸潤.中心部では膠原線維・弾性線維に極めて乏し 的には明瞭な所見はないノ いが,一部に銀線維増殖をみる. プルヌビーユ・プリングル母斑症 中村 洋(岩手医 熱傷廠痕癌 野口 允,桜井 学(弘前大) 大) :52才,男子の練細胞癌.約15年前両背部に熱傷.痘痕 12才,女.5∼6才頃より,癩滴発作あり,同時に顔 と難治性潰瘍が残った.同部に,典型的花野菜状の腫瘍 面,特に鼻部を中心に両頬部,口囲,下顎部に紅色∼暗 形成,BLM/oCo照射並びに5-FU軟膏,線維素溶解 紅色の小結節を多発.蝶翼状かつ桑実状の外観を呈する 酵素軟膏等の外用で,組織学的に腫瘍細胞の高度の変性 にいたったレ組織で脂腺ならびに毛嚢の増殖を認め,=脳 をみた. 波では一般に低電位で,癩廊発作を確認している. Eccrlne Hldrocystoma 境 繁雄,石河知之(弘 前大) 54才,主婦.3年前より頚, 討 論 ご 藤山忠昭(仙台市立):治療はどうか. mm,前胸部に皮下腫瘤 中村 洋:形成外科的な検討が必要と思う. を認め,次第に増加す.腫瘤は米粒∼小豆大,境界鮮 皮膚筋炎 杉山正気(岩手医大) ト…… 明,易動性,表面皮膚は黄色で,一見黄色腫様.検査で 56才,女.9ヵ月前,顔面特に眼険周辺と両手背に浮 は血清脂質等にも異常をみないよ組織所見は,真皮中∼ 腫性潮紅を呈し,同時に全身倦怠感と四肢め運動障害を 下層に扁平化した2層の細胞壁よりなる嚢腔があり,‥ きたした.組織学的には,筋線維の変性,壊死並びに真 PAS陽性物質を充す.周囲に汗腺および拡張した汗管が 皮における結合織の変性が目立ち定型的.う検査でぱ特に 多数みられる. GOT,血中尿中クレアチンの高値, 討 論 ステロイド,抗生剤等の投与でかなり症状は改善した・ 真宗興隆(東北大):皮疹に季節差はなかったか.治 討 論 / し 犬 療は・ 加藤泰三(東北大)-:減量の場合のyルクマールは. \境 繁雄:季節による消長は患者の言によるとない. 小さいうちは電気凝固もあるが,このように大きくなる と切除しかない.本例では放置している. 男子乳房Paget病の1例 石倉一夫,福士 尭(青 CPKの陽性.治療は ‥長尾貞紀(福島医大):レイノー現象は. 杉山正気:筋力ならびにGOT,クレアチソ, CPKに よった.ヶレイノー現象はない. 十 ぺ………… 飯島∇進((福島医大):いわゆるステi=・イドミオ,片 273 東北地方会第199回例会 チーとの関係はどうか. 性型は若年性,偽黒色表皮腫は肥満体に見られるところ 田郷敏昭(岩手医大光井内科):初診時,生検時ステ からどちらともいえずacanthosis ロイドは投与されず,この段階の筋生検所見はステロイ した. ドミオパチーとは言えない.その後の筋の萎縮について Angiolipomaの2例 大角 毅(東北大) はステi=・イドミオパチーを否定出来ない. 第1例,36才男.第2例,56才男.既往等に特記事項 佐藤昭彦(東北大):Steroid剤を注射で用いる場合, なし.第1例は2年前から両前腕屈側に碗豆大結節,第 疾患の種類によってSteroidの種類を考慮するか・ 2例は10年前から腰部を主として両前腕にもくるみ大迄 :真家興隆(東北大):伊崎先生はDexamethason投与 の場合レ3曙/日までは経口, 4 nig以上は注射すると云わ nigricans 様皮疹と の淡黄色結節が次第に夫々多数生じた.両側共表皮とは frei,下床とはゆるく癒着し,組織は軽度線維細胞に囲 れたが,その理由は・ まれた毛細血管が多数認められた.摘出或いは組織診で 伊崎正勝(岩手医大):(佐藤・真宗先生に)ステロ 脂肪腫と鑑別. イドの副作用については,筋注を行なった場合と経口投 急速に大きくなった石灰化上皮腫 斎藤信也(東北 与とでは,筋注の場合の副作用の発現は遥かに少ないと 大) いえると思y従ってステロイドをリソデロソとして4 女児.生後5ヵ月,前額の左まゆ毛上方に半米粒大の 曙以上を投与するときは筋注で行なうようにしている. 紅色丘疹発生.次第に大きくなり7ヵ月目15×15圓,高j ライネル氏紅皮症 菊池 滋(岩手県立磐井) さ7㎜.10ヵ月目21×22 nun,高さ13mの硬い半球状の腫 1ヵ月,男子.生下時体重は2,650gで栄養は母乳. 瘤となる.摘出.組織像は典型的. 生後20日頃から頭部に始り全身に及ぶ.頭部,顔面を含 膿庖形成を主症状とする浅在性白癖 笠井達也(国立 む全身の潮紅と小葉性∼大葉性鱗屑.眉毛部,鼻唇部で 仙台) は黄色痴皮を認む.両掌疏は非薄化しコロジオン膜様を 18才,女.左下腿の皮疹にステロイド含有軟膏を2日 呈す.総合ビタ…ミソ剤十ビタミソB訥服とステロイド軟 間塗布したところ塗布部に膿庖多発,痰庫あり.初診時 膏により,約3ヵ月で治癒・ 左下腿外側から後面に紅示を有する米粒大までの膿庖多 フ}く庖性類天庖症 菊池 滋(岩手県立磐井) 数あり,環状配列の傾向を示す.浸潤,硬結なく,圧痛 64才,女.口腔粘膜,臍周囲に初発.初診時,口腔粘 なし.鱗屑および膿汁より狸紅色菌を分離,組織学的に 膜,頭,顔に発疹なし.主として四肢に対称性に母指頭 は毛嚢とは無関係な表皮内膿庖で汗庖状白癖の水庖に酷 大までの緊満性水庖∼小水庖が,多くは紅斑上に認めら 似.一部に角質下海綿状膿庖をみた. れ,ビラソ,痴皮を混ず.経過中に鶏卵大の水庖が3 膿庖を形成せる表在性白詔の2例 境 繁雄(弘前 1,左上肢に発生.組織学的にはアカソトリーゼのない 大) 表皮下水庖. ヨードカリ貼布試験陰性. 63才,16才の男子. 3∼4年前より癈探性皮疹をくり Acanthosis かえす.両者ともステロイド軟膏の使用により多発性の Nigricans nital Lipodystrophic 様皮疹を合併したConge- Diabetes 五十嵐 稔(東北大) 膿庖を形成.直接鏡検,培養にてそれぞれT. rubrutn, 25才,女.両親はおじ,めいの間柄である.生下時よ T.raentagrophytesを得た.組織学的に角層下∼表皮内膿 り.全身の皮下脂肪発育が悪く,12才頃より肢高等に色素 庖の形成と角層中に真菰要素を認めるが,毛根の破損は 沈着増強すに顔面は頬部かこけ,特有な顔貌を呈し,右 ない,ナフチオメートTの外用により,2週および4週 張高では褐色色素沈着,乳頭状角質増殖,両下腿では多 後に治癒● ‥ づ 毛を認む.一般検査にて尿糖が指摘され,略種検査でも 討 論 / 内科的にcongenital 清寺 真(東北大):ステロイド外用前にも水庖があ lipodystrophicdiabetes と診断され た.組織像はacanthosisとpapillomatosisを認む. 討 論 伊崎正勝(岩手医大):Acanthosis 型的と思うが, り,それが膿庖化したものか,直接膿庖形成であったの か.生成機転を考える上で違うようにも思えるが, nigricansとして典 acanthosis nigricans様皮疹としたのは何 笠井達也:膿庖発生前に水庖があったかは明瞭でない が,初診時の発疹はすべて膿庖である,ただこの膿庖の 故か. 出来方か汗庖状白癖の水庖に組織学的に似ていると考え 五十嵐 稔:内臓癌はなく悪性型は否定されるが,良 られる. 学 会 抄 録 274 胃癌皮膚転移 笠井達也(国立仙台) 犬 討 論 ∧ ‥‥‥ 65才,女子.昭和46年7月21日胃癌手術.手術時リン 関口直男:内服持続中,就労で一部に再発した・ パ節転移像を認めず.昭和47年6月初旬上胸部から左肩 昆 宰市(岩手医大):血小板,線溶系,IGは. に厩摩感の強い浸潤局面を生ず.7月14日初診時,胸骨 春山秀城:血小板,免疫泳動は正常,線溶系は調べて 上半から鎖骨部,更に左側扁部に暗紅色,扁平に隆起せ いない. る板状硬の浸潤局面乃至結節を認めた.組織学的には真 伊崎正勝(岩手医大):単純性紫斑との異同はどう 皮全層に亘る腺癌転移像. 8月末視力障害,眼球突出等 か. の脳転移症状を来し死亡. く飯島 進(福島医大):組織学的には慢性色素性紫斑 l限局性リンパ管腫の2例,笠井達也(国立仙台) に,臨床的にはSchonlein-Henoch紫斑に似ている点に .第1例は13才女.小学4年生の頃より右側腹部に列序 興味がある・ 性に小水庖様皮疹を生じ,最近水泳中出血をみたため来 ・無穎粒細胞症 松塚敦子(福島医大) 院.第;2例は19才女.2年前より腹部,臍寫左上方に集 5ヵ月,男児.家族に血液疾患なし,生来感染症を反 族性に小水庖様小結節を生ず.ともに自覚症状はない. 復.中耳炎のためリソコyン筋注部に膿瘍,その他にも 組織学的には定型的で,第1例の変化がより高度. 数ケの膿瘍を生じ,回盲部膿瘍による直腸周囲炎,腸閑 >黒色表皮腫 藤山忠昭(仙台市立) 塞で死亡,末梢血好中球O∼1%.骨髄に好中球の低形 30才,女, 昭和47年1月頃より項∼頚部,眼寫,肘 成,成熟抑制.原因不明なるも先天性のものも否定出来 寓,手背,臍囲,陰部,膝高,足背の皮膚がザラザラと ない. 粗粗化し,黒褐色をおびてきた.現症:上記部に色素沈 討 論 着,角質増生,乳頭状増殖がみられ,皮疹,組織ともに 清寺 真(東北大):抗生剤の乱用により発生し,治 典型的.胃癌(腺癌)が発見され全摘出術をうけるも皮 療困難な例がある・ 疹は軽快せず. 上 .耳a耳d-Schuller-Chrlstlan病菅原久栄(福島医大), ,Su万perficial Basal Cell Epithelioma 藤山忠昭 伊勢重男,土屋敦雄(同第2外科) 2才10ヵ月,男児.家族に同症なし.生後1年半頃後 (仙台市立) 46才,男.昭和44年右乳房下部に大豆大の黒い色素斑 頭部に腫瘤形成,躯幹,耳周辺に脂漏性皮膚炎様皮疹が に気づく,昭和46年中に急速に増大レ現症:上記部に10 反覆色素脱失を残す.X線像で頭蓋骨(数回),恥骨(1 ×7 on,卵円形の赤褐色局面あり,鱗屑,痴皮を附着し コ)の骨欠損を証明.尿崩症・眼球突出・全身症状はな わずかに浸潤をふれる.辺縁部では粟粒大以下の黒色丘 い.組織に組織球性細胞のびまん性浸潤あり,一部細胞 疹が一列に並び細い隆起縁を形成する.組織:表皮は萎 質に脂質陽性,又Langerhans穎粒を証明.好酸球,リ 縮,扁平化しその下面より好塩基性の卵形∼細長い核を ンパ球の浸潤は軽度. 有する細胞よりなる腫瘍巣か管状∼花野菜状に真皮に入 討 論 り込む. 伊崎正勝(岩手医大):腹部の白斑は一見澱風様であ 討論 ▽ < る. ニ ‥大川容根(盛岡市):Jadassohnのintraepidermal basal 佐藤昭彦(東北大):本症のトリアスに欠けている. cell epithelioma とはどんなに異なるのか.卜 菅原久栄:白斑は発疹後色素脱失と思われる,トリア 藤山忠昭:JadassohnのRumpfhautepithellomと同一 スは必ずしも揃わなくともよい.骨腫瘍の組織はxant- である.ト I● hogranulomであった. 診断例’春山秀城(福島医大),関日直男(米沢市立) 29才,男.2ヵ月前から眼険に始まり,ほぼ全身に3 四大ま.での点状紫斑を反復.一部丘疹状.腹部,関節症 診断例(Eoslnophllic PannicuUtIs ?) 鳥羽 靖 (福島日赤) 41才,農夫. 3年前より主として四肢の臓摩性皮疹と 状なし,扁桃誘発試験陰性.組織:真皮上層の毛細血管 降ぼ全身の淋巴節腫脹を見る.刺虫は否定.現在下腿に 周の小円形細胞浸潤と赤血球の溢出.ヘモジテリン,核 神経皮膚炎様皮疹を見るが,主たる皮疹は四肢の碗豆大 崩壊,類線維素変性なし.ダルチコイドに抵抗,イツド までの小結節で,組織学的にまとして皮下組織の好酸球 メサシソで軽快. 浸潤が著明である.淋巴濾胞構造はない.淋巴節は淋巴 275 東北地方会第199回例会 濾胞か拡大, sinusの好酸球浸潤か著明である.末梢血 り躯幹,両上肢に小白斑あり.13才のとき右眼の有煉細 で好酸球40%前後,骨髄像で好酸球系の増加を見る・ 胞癌のため右眼摘出,27才のとき左眼の腫瘍のため,=左 討 論 眼球摘出をうけた.13才頃より顔面に色素斑が増加.4 嶋 多門(郡山市):リンパ節性琢疹としたい., 年前より顔面に崩壊し,自然に治癒する腫瘍が相次いで 飯島 進(福島医大):経過及びリンパ節組織からリ 発生した.しかし本年1月と4月に下口唇に発生した2 ソパ節性岸疹には賛同出来ない.レ 個の腫瘍は自然治癒せず,増大.初診時,顔面には多数 Condyloma の褐色,黒褐色の大小不規則な色素斑と同様な色調の洗 Aciuninatum 関り直男(米沢市立), 富樫良吉(米沢市) , 贅が散布.また数個の深く扶れた癩痕もみられた.下口 24才,男.3月前より肛囲に無自覚性皮疹を生じる・ 唇には茸状腫瘍と中心に噴火口状潰瘍を持つ腫瘍が並 しだいに赤褐色,乳頭状やや軟いクルミ大腫瘍形成. 列,後者の組織所見はkeratoacanthomaに一致.これ 腎部にも碗豆大までの扁平丘疹散在.検査成績はIgG ら皮疹を欠く皮膚,特に顔面皮膚には乾皮症の所見がな 2,600iiig/dl, T PHA (-)その他正常範囲.定型的組織 像を示し,細胞診では悪性像なし.治療は5≒FU軟(単 純塗擦, ODT) Bleo液局注,電気凝固併用.電気凝固 く,また病歴で日光過敏性を欠く点,本症を色素性乾皮 症と断定するのに疑問がある. 討 論 が最も有効であった. し 山田 匡(青森労災):本例と同症の弟(27才)を供覧 討 論 するi兄の下口唇腫瘍はブレオマイシン225iiigで縮小し 伊崎正勝(岩手医大),:ブレオ局注時の疼痛はどう た,前額等の弧状のものは反応せず,組織はbasalioma か. であった.色素性乾皮症の診断には紫外線過敏性が必須 大川容根(盛岡市):局注は病巣の一部にか,又は全 であるか. .. 体にしたか. 清寺 真(東北大):光線過敏性の程度の差は, 関口直男:ブレオ液( 0.5rag/ml) 0.2mlに1%塩酸 DNA 修復の検査をすると量的にわかるのではないかと思う. プロカインを混じて腫瘍内に局注した.軽度に疼痛はあ 又木例の癩痕はFerguson-Smithがmultiple る.同じ部位に7日間間隔で3回行なったが効果はなか epithelJomaとして供覧した例のものによく似ている. self-healing った・ 伊崎正勝(岩手医大):弟の例は典型的な色素性乾皮 胃癌の皮膚転移 山内 哲(由利組合) 症で,兄の例もますます同症が疑われる.兄の色素斑が老 47才,農夫,胃癌の術後6ヵ月頃より顔面,頚部,側 人性大色素斑に類似したもりが多く,又躯幹に老人性脱 腹部,上腕に母指頭大の紅色結節および手掌大の浸潤性 色素斑と思われる白斑が多発していることが興味深い. 紅斑が生じた.組織:真皮下層より脂肪織にかけ大型で プレオマイシン局注による疵贅の治療 笠井達也(国 核が濃染し,又,核小体が大きいもの,核分裂像を示す 立仙台) もの等異型性に富んだ細胞か印環細胞を混じえて節高状 使用濃度は尋常性疵贅には全例0.5mg/mI,青年性扁 に増殖し,リンパ管腔中にも同様細胞を認む. 平弧贅では一部にこれを更に2∼3倍希釈して用いた. Infantile Digital Fibromatosis 溶解液は生食水を用い,バイアル瓶に分割し冷蔵庫に保 渡辺秀子,長尾 貞紀(福島医大) 存.治療対象は尋常性篤贅24例55個,青年性扁平篤贅2 第36回東部連合地方会参照, 例31個,診断不確定の角化性結節2例2個である.治療 討 論 清寺 真:Golgi領域はどうか.分泌物の小胞体内蓄 積か・ 長尾貞紀:層状構造をかこむ小胞体はリボソームを僅 かにつける部分もあるが,全体としては殆どなく滑面小 成績は尋常性疵贅では1回注で治癒せるもの22個,2回 注で11個,以下3回注8個,4回注3個,8回注1個. なお1回注後来院せぬ10個の大半は治癒したものと推定 される.青年性扁平弧贅は3個を除きすべて1回征にて 胞体と考える. 脱落.3倍希釈液(0.17mg/ral)使用にても有効であっ 色素性乾皮症(?)に発症したKecatoacanthoma た.顔面では軽度の色素沈着をみた.診断不確定例も1 佐藤昭彦,五十嵐 稔(東北大) 回及び3回注にて治癒局注による副作用発現なく,銀 31才,男.両親は血族結婚,弟に同症あり.小児期よ 痕形成もみない, 276 学 会尚抄 録 討 論 討 論 ト で 福士 尭(青森県立中央):吾々も10数例の榎贅患者 渡辺秀子(福島医大):標準線が直線にならない場合 で比較的よい成績を得ている.ブレオ稀釈液の有効期間 が多いがどうか. は. 見方公子:大体は直線になるようだ. 皆川禎子(福島医大):局注を数回に亘って施行する 慢性炎症性皮膚疾患に対する消炎蛋白分解酵素剤と抗 場合の注射間隔は. プラスミン剤の併用療法についてーその理論と治験成績 大川容根(盛岡市):青年性扁平氏贅には個々0皮疹 伊崎正勝,昆 宰市,杉山正気,北村英彦,中村 洋 全部にする・のか. 一部のもののみにして効果があるめ (岩手医大) か. ト各種慢性炎症性皮膚疾患23例の病巣組織を対象とし 笠井達也:3月に作製したものを8月まで使用したが て,その組織antiplasmin量を加熱フィブリン平板法を 効果に差はなかった.注射後2週目に来院させ√変化の 用いて定量し,その値を正常人10例の正常皮膚組織の ない時追加している.顔の青年性扁平氏贅の1例は1コ 成績と比較検討し,慢性多形日光疹,貨幣状湿疹(苔孵 ずっに注射した.成人では注射せぬものまでとれた例は 期),結節癩および癩痕ヶロイドの病巣組織では,組織 ない. antiplasmin量が正常組織のそれと比較して2倍以上の 皮膚疾患と免疫グロブリン 見坊公子(弘前大) 高値を示すことが認められた.一方,消炎蛋白分解酵素 皮膚科領域におけるアレルギー性疾患,先天性疾患, 剤を経口的に,点滴静注し,あるいは局所注射として投 自己免疫性疾患患者等192名および健常人30名について 与し,いずれの場合も病巣組織antiplasmin量が著明に 一元平板免疫拡散法を用い,血清IgG, 減量することが認められた.また,プロナーゼによる癩 IgA, IgMを測定 した.全患者の各分画の平均は健常人に比べ高値を示し 性結節性紅斑誘発成功例では,プロナーゼの投与により た.異常値出現頻度50%以上は次の疾患であった. IgG 病巣組織のactivatorが活性化されるとともにplasmin 高値:SLE,円形脱毛症,汎発性翠皮症,同低値:悪性 脱毛症. IgA高値:自家感作性湿疹,中毒疹, Behget病,同低値:悪性脱毛症. 皮氷庖症,同低値:アルピュズム. が軽度に活性化されることが認められた.以上の知見か SLE, IgM高値:先天性表 SLEの経過中に帯 状庖疹を合併した4例では,免疫グロブリソの変動に一 定の傾向は認められず,またSLE, Beh^et病,尋常性乾 ら,慢性炎症を治療するについて消炎蛋白分解酵素剤の 使用によって病巣組織に増量しているantiplasminを減 少させるとともにplasminを活性化して炎症の急性化を 図り,急性化された炎症を抗プラスミシ剤で吸収するこ とが立案された.この考えに従って治療し,かつステロ 癖では,旺盛期と寛解期とで免疫グロブリン値に著明な イド軟膏の外用を併用し,今日まで十分に観察し得た症 変化はなかった.免疫グロブリンの質的,量的異常をス 例は44例に達した.その治験成績は,著効19例,有効15 クリーニングする各種臨床検査の中では,赤沈とlgG・ 例,やや有効7例および無効3例で,本療法か一般の慢 igA, rグロブリソとlgGの間に平行関係が認められ 性炎症性皮膚疾患の治療法として試みる価値あるものと た, 結論された. 犬 十 東北地方会第200回記念大会(1972年12月100.仙台市) 乳房外ページェット病 平田 忍(岩手医大) 清寺 真(東北大):照射範囲は. プ 87才,女,初診:昭47, 平田 忍:総線量3,500Radで,1回目l,500Rad, 2 紅斑発現,漸次拡大するも放置,一部廳爛,潰瘍形成を認 2 , 8. 5年前より外陰部に 回目,3回目は共にl.OOORad.範囲は病巣の周辺部5 cm む.組織所見:表皮内に定型的ページjツト細胞を認む. 位を含めて照射した・ 治療:ライナック照射でかなりの病巣の改善を示す. Subcornea万I Fustlar j討 論 二 親(岩手医大) 高橋伸也(東北大):Linacの照射量は, 54才,女.15年前より躯幹,頚部,眼路,蝋径部に環 Dermatosis の1例玉田嗣 東北地方会第200回記念大会 277 状配列の傾向ある膿庖性皮疹が出没. ヨードカリ貼布試 討 論 験陰性,膿庖内容無菌.検査所見に異常なく,組織は角 吉田良夫(山形市):本症の分類上の位置をどう考え 層下膿庖である.ステgイドにより著効. るか. 副腎皮質ホルモン剤軟膏副作用 野口順一(岩手県立 棚偽善郎:反応性の変化と考える. 中央) ユ ト 下口唇癌のCervical 11才,男児.4∼5才までアトピー性皮膚炎(?)で 藤山忠昭(仙台市立),真宗興隆(東北大) 某皮膚科医により副腎皮質ホルモン剤軟膏によるODT 62才,男.昭和46年4月下口辱に小指頭大のピラフに 療法を反復したという.その後より現在まで両頬は著し 気づく.下口唇からその下部にかけて,くるみ大の硬結 く萎縮し,血管透視し得て,その外観水母頭によく似てい あり,紅唇部には潰瘍を形成する,組織学的には有煉 る.組織学的に表皮の萎縮と真皮結合織の変性を認めた. 細胞癌.ブレオマイシソ全量450liigを筋注するも効果な 肉芽腫を生じた白癖 野口順一(岩手県立中央) く,仝摘出後,頚部に作成したtransverse 45才,女.初診の5ヵ月以前から顔面,頚囲,両前腕 napにて修復し好成績を得た・ に発疹,副腎皮質ホルモソ剤の内服,外用でも難治とい 膠様稗粒腫 笠井達也(国立仙台) う.組織学的に表皮および真皮に菌糸ならびに胞子を証 60才,男,タクシー運転手.約1年前より糖尿病にて 明,眉毛根より石膏状菌を培養し得た,サルチリ酸ワセ 加療中.同じ頃より手背次いで指背に小結節を生じて来 Tubed Flap による修復例 cervical tubed リン,硫酸添加硫化水素泉浴で加療したが,治癒過程で たため来院,自覚症なし.両側手背から手指基節背に半 米粒大小結節を多発.組織学的に肉芽様炎症. 米粒大乃至小豆大,おおむね米粒大黄褐色半球状小結節 Sebaceous 密に集族し光沢あり.顔面に皮疹なし.血糖高値.血清 Carcinoma五十嵐 稔(東北大) 61才,男.初診の2ヵ月前より左上口唇に黄色の碗豆 トランスアミナーゼ値上昇.組織学的には定型的. 大の硬い小結節発生.自覚症状欠如.形状は噴火口状外 晩発性皮膚ポルフィリン症 笠井達也(国立仙台) 観を呈し,圧痛はない.真皮上中層に腺葉構造をなす細 31才,男.会社員,約1年前より軽度の外傷にて手背 胞浸潤かあり,拡大像では,異型性が強く,基底細胞上 に水庖形成あり.晩酌4合.初診時両手背に小豆大まで 皮腫類似の細胞か少ない.所々細胞分裂像著呪一部に の水庖,びらん,痴皮形成あり.顔面に褐色小癩痕多 明るい胞体を有する細胞も見られ,ズダンでⅢ並びにスタ 数を認める.尿中ウロー並びにコプロポルフィリン強陽 ンプラック染色陽性. 性.血清トランスアミナーゼ値軽度上昇のほかは諸検査 討 論 成績正常.組織学的には表皮下水庖・ 道部 秉(弘前大):ズダンⅢの染色が不明瞭である し, clear cell hidradenoma 等は考えられないか. 清寺 真(東北大):Sebaceous 分分化した脂腺構造に乏しく, adenomaとしては充 epitheliomaとしては matrix cell のみでなく有輸細胞に似た細胞の増殖も見 られ,核の大小不同,多くの細胞分裂像,各個細胞も見 られ,分葉化腫瘍の辺縁で僅か乍ら周囲へのinvasionを 示すので脂腺癌とした,なお検討したい. 木村氏病 棚橋善郎(東北大),鈴木 博(同第2外 小児結節性紅斑 宮沢偵二,熊坂鉄郎(仙台逓信) 8才,女児.悪寒,発熱および全身倦怠の前駆症につ づいて,両下腿伸側に有痛性紅色結節多数発生.血沈高 度冗進.ツ反応陰転.組織学的に皮下上層の毛細管壁腫 脹およびその周囲の小円形細胞浸潤あり.皮疹は約2週 間の経過で消腿.初診1ヵ月後ツ反応中等度陽性. リール黒皮症 宮沢偵二,熊坂鉄郎(仙台逓信) 52才,女.鮮魚商.初診約半年前より反復性痰犀性発 赤が顔面に発生,漸次色素沈着を来す.軽度萎縮性網状 スレート色色素沈着あり.発赤,落屑なし.一見poikilo- 科) derma reticulorisof Civatte を想わす.2種類の化粧品 44才,男.14年前,左耳前部に療滓ある皮下腫瘤を生 じ摘除するも,2年前に再発.初診時,左耳前下部に鶏 卵大,平滑な皮下腫瘤あり.下床とわずかに癒着す.好 貼布,光貼布試験陰性.組織学的に色素失禁と真皮上層 細胞浸潤を認む. 討 論 酸球は末梢血に31%,骨髄に20%.他に特変なし.組織 伊藤 実(葉山町):副腎,脳下垂体系の内分泌異常 学的に好酸球の密な浸潤像を認む. が優位に立てばリール黒皮症の素地となるべく,性腺系 にて腫瘤は縮小消失. Linac 2,200R照射 機能異常が優位に立てば肝斑となると私は考えている. 278 学パ会 抄 録 本例は一見の蒔きたなさ乃至ほのか紫色調がなく,新鮮 山で右頬に損傷を受ける.数自後発熱,疼痛を伴い損傷 なものとは思いにくいか,第一次大戦後ウイーソ,ライ 部位が潰瘍化す.臨床所見:右頬部にくるみ大の紅斑が ン地方の戦争黒皮症か後にパリーで顔及び頚に現われた あり,その中に潰瘍を形成.易出血性,局所より黄色 色素異常症をmelanose ブ菌をみる,組織学的所見:定形的,抗酸菌はみられな visage et cou と いったものか, 恐らく皮疹の新旧或いは前述内分泌異常参加の多寡など い.SM局注7回で殆ど治癒した. がからみあったために,色々な表現型となるものと考え 討 論 ている. 犬 \道部 秉(弘前大):外傷後すぐに出現したようだ 朝田康夫(関医大):リール黒皮症としては,犬皮膚萎 が,非定型抗酸菌感染は考えられぬか. 縮が著明である点か本症例では目立つ点であるか,リー 苔癖状類乾御 小川俊一(山形県立中央) ル黒皮症も終末期ではこのような所見があっても好いも .50才,主婦.家族歴,既往歴に特別なことなし.約30 めか否か,或いはこのような状態になればpoikiloderma 才頃から20年間にわたり皮疹あり,種々の治療に措抗. vascularis atrophicans 頭部,掌紋を除く略全身に,暗赤色斑色素沈着,網状形 といってもよいのか,この辺りは 意見が分れる所と思う.但し本症例では毛細血管の拡張 成,萎縮,部分的に浸潤あり.組織学的所見;軽度不全角 が見られないので,典型的なpoikilodermaとは少し異 化,表皮は非薄扁平化,有縁層にspongio なるかと思う. aireを,真皮上層では密なリンパ球を主とする細胞浸潤 吉田良夫(山形市):多数の顔,頚の炎症後の色素沈 をみる.治療:フルロート十〇DT療法やや有効. 着を見ていると,そのあるものはリール黒皮症に類似の 討論 臨床所見を示し,またその一部はCivatteの記載に一致 斎藤文雄(東邦大分院):Premycotic した所見を示すことがある. これらに対し,かつての如 かparapsoriasis lichenoides(PL)とするか,長い経過 くシャープな規準をあてはめることか可能かどうかを伺 を見ないと困難である. 自験では1例20才0時P!J様だ micro alveol- stadiumとする いたい.● 六 ったらしく,30年位してmycosis 卜Weber-Chrlstian病増子和枝,渡辺秀子(福島医 亡. 他の1例は10年位経過を見ているがMFの徴候は fungoides( MF)で死 大)゛ j △ ない.演者の例でPautrierのabscessはなかったか. ’26才,女.両親いとこ同志.本年4月,腹部,大腿部 吉田良夫(山形市):この例は数年前私がparakera- の皮下硬結に気付く.約5ヵ月後,発熱出現.組織は典 tosisvariegata と診断し,その後東北大で類乾癖と診断 型像を呈す. レソヒン1日500iiig,タソデリール3T投 されている.一般にはこのような例は菌状息肉腫の前段 与約1ヵ月後,漸次硬結か消失し色素沈着と陥凹を呈す. 階と考えられ,私もその考えに賛成だが,この例はきわ レソヒソ300ii!g減量で皮疹新生, めて経過が長いので皆さんのお考えを伺いたいに 500iiig増量で軽快,3 ヵ月経過するも再発なし. ご 小川俊一;組織は紅斑と浸潤の強い所,萎縮の強い う乳房外Paget病 関口直男(米沢市立),長尾貞紀(福 所,網工形成の強い所と3個所採取したが所見は略同様 島医大) ⊃ であった. レ 63才,男.約5ヵ月前より外陰部に痕斤性皮疹を生 Lichen じ,中心部廳爛を繰返す.定型的病理組織像を示す.電顕 Amyloidosls の1例 佐藤壮彦(秋大) 78才,男.6年前より両下肢,左前腕に半米粒大の褐 像は,分泌穎粒の多いもの,少いものと2種類のPaget 色の丘疹および小結節が密生集族し.落屑,肥厚,苔 細胞を認め,分泌順粒は円形ないし楕円形で一層の膜に 癖化が著明となる.皮膚組織所見として表皮に角質の増 かこまれ,内部は細点状,細線維状を示す.仝病巣切除 殖,表皮突起の延長,真皮では上層に皺裂を有する類澱 し中間層植皮施行.経過良好.‥ ‥ 粉質の集塊が認められた, 討論 ニ ・・.・・・・ .・ ・・. Dermatomyositisの1例 佐藤壮彦(秋大) 清寺 真(東北大):切除は病巣縁より何cm懲か. 関口直男:肉眼的に正常と見られる所までの辺縁1 位で行なった. 十 尋常性狼唐 小川俊一(山形県立中央) 56才,農婦.既往歴に肺結核,鼻結核.初診10日前; cm J 60才,女.半年前より顔面,躯幹,四肢に紅斑,丘 疹,落屑および色素沈着の発生あり,また上肢の挙上, 階段の昇降の困難に気付いた.胸部皮膚HE標本では真 皮上層の浮腫,中層より下層の膠原線維の膨化,断裂が 279 東北地方会第200回記念大会 あり,左上腕筋肉では軽度に硝子様変化を来し,横紋の 最上 晋:血管基底膜の鍍銀染色上の発育過程に因る 消失が多少あるのが認められた. …… 相違については諸説があるが,‥一般にはHemangioen・ Pseudoxanthoma dotheliomとHemangiopericytomの鑑別は血管基底膜 El^ticumの2例 山内 哲(由 利組合) 症例1 に対する腫瘍の位置的関係によりなされている. :38才,女.25才頃頚部に始まる.現症:両側 ケラトアカントーマの1例 鹿野宏子(弘前大) 頚部,胸腹部,両上腕内側,蝋径部に小豆大迄の淡黄色 65才,女.初診約1ヵ月前,鼻背に腫瘤を生じ,急速 丘疹か不規則に融合し,網目状の局面を形成する.症例 に増大したため来院.腫瘤は辺縁赤色に隆起し,中心臍 2:49才,女. 兄に類症あり. 40才頃より視力障煮を 高を有し, 1.2×l.Ocmの大きさで,下部組織との癒着 訴える.18才頃発症.現症:症例1と同様皮疹が胸部, は認められない.組織学的には一部有綜細胞癌の構造を 限諾,両上肢屈側に認める. 両症例共眼症にはangioid 混在するケラトアカソトーマの像.前額正中有茎皮弁に streaksを認め,後者では縦隔腫瘍を合併,組織:両者と よる植皮術を施行に ‥ も真皮中層より深層にかけ結合織線維の膨化,断裂,弾 汎発性単純性庖疹の2例 道部 秉(弘前大) 力線維の膨化,変性像を示し,石灰沈着を認む. 症例1 マンソン孤虫症 最上 晋(仙北組合総合),吉村裕之 寒戦慄と共に全身に米粒大の小水庖出現,膿庖痴皮形成 (秋大奇生虫) し1週間程で治癒症例2 38才,男.教員.大曲仙北地方出身. 2,3年前から で戻って後,同様の皮疹が全身にひろがる.組織はいず 左上腹部に栂指頭大の炎症性硬結が出没,表面に粟粒 れも表皮内ウイルス性水庖.皮疹から水痘と異なる.ウ 大灰白色小結節2個を伴う.9ヵ月前より痕岸を認めた が,腿行性はなかった.生来下痢しやすく,十二指腸潰 :45才,男.アトピー性皮膚炎で入院中発熱悪 :50才,=男.東京から出稼ぎ イルス学的検索は施行できず. ニ 討 論 瘍と痔の既往あり,生魚,鶏を好むが,蛙,蛇を食し 野口義圀(帝京大):皮疹の形状から単純性庖疹と断 たことはない.血中好酸球1%,肝機能,胸部XPは 定することは危険で,むしろ水痘一帯状庖疹を考えるべ 正常.便中に横川吸虫のみ陽性.組織学的に真皮∼脂肪 きだと思う.少なくともウイルス学的に同定する前は, 織内に寄生虫断面と思われる異物2個(大きさ:1.51× Kaposi's varicelliformeruptionという名称が便利だと考 1.02IIII11, 1.10×0.78niiii)認められ,その構造は内に多数 の石灰小体(Fツサ銀法で陽性)の散在と共にマソソy える. 笠井達也(国立仙台):やはり水痘との鑑別が問題と 孤虫に一致した, ‥ 思う. ウイルス分離が出来ない場合でも,急性期と恢復 Hemanglopericytoma最上晋(仙北組合総合) 期のペア血清を用いれば確認出来る.臨床像では区別出 49才,女.1ヵ月前に左大腿外側に小豆大褐青色浸潤 局面を認めた.時折り疼痛発作を伴う.組織学的に真皮 内腫瘍細胞巣は卵円形と紡錘形の細胞からなり,巣中心 には赤血球を入れた血管腔,出血巣,ヘモジデリソ沈着 を認める.巣外縁は鮮明とはいい難く,膠原線銀閣に腫 来ない, 朝田康夫(関医大):アトピー皮膚炎患者に発生した 場合,もし湿疹の部に一致して庖疹形成があればeczema herpeticuraとすべきかと思う. j= 犬 道部 秉:ペア血清はとっていない.本症を水痘とす 瘍細胞の侵入像ヽな認めるが,ミトーゼは見られずバ るには皮疹が異なるようで,汎発性単純庖疹とし,初感 性は弱い.鍍銀染色上血管腔は定かではないが,血管腔 染と考えた.第1例はアトピー性皮膚炎の皮疹部とは関 外周に増殖している如く観察され,鍍銀線維の網目の中 に腫瘍細胞を認める・ 討 論 ∧ 皆川禎子(福島医大):内被細胞との鑑別を細網鞘と の位置的関係のみで決定しうるか.細血管形成過程の時 係なく出現している. ?ityriasis Llchenoldes et VarloHformls Acuta の2例 花田勝美,福士 尭(青森県立中央) 症例1 :13才,女. 多様な皮疹の形態を示しており ・(丘疹,膿庖,潰瘍,癩痕)難治性,組織学的に真皮浅 期的な差であるとの説をどう考えるか. 層に血管周囲性の密な細胞浸潤,赤血球の遊出あり表皮 伊藤 実(葉山町):Pericytomaならもっと典型的な にも及んでいる. 組織像があると思う. 清寺 真(東北大):Kaposiとの鑑別は. DDS剤50昭投与で軽快.症例2:11 才,男.組織学的に症例1類似の所見を呈したが,更に 表皮に壊死性変化がみられている. DDS剤50昭投与に 280 学………会・抄・録 より軽快観察中である.・・・ ・・. ・・・・ しLichen Nitidus 査をしていない. ニ ゾ ノダ レ l・山田 匡(青森労災) : 31才,男.昭47年3月より肺結核にてPAS, 仮性黒色表皮腫に合併した融合性細網状乳嘴腫症の1 SM, INH で加療中,同年6月両側手背,大腿に発疹を認める.受 例 薗田紀江子,我妻亜喜雄(福島医大) ヽ 18才,男.宗族に同症なし.祖父が腎臓基肥満体. 診時亀頭にも粟粒大白色丘疹を認める.組織学的に定形 皮膚浅黒く毛深い.黒髪.丿前胸より上腹にかけ対称性の 的・ 菱形皮膚肥厚粗毬面かあり下方ほど暗褐色調強い.辺縁 Fyodermla Chronica ?apillaris et Exulcerans ? 山田 匡(青森労災),野沢 忍(八戸市) は不整地図状ないし島状.下方は網状.脹脛√陰股, 項,肘脛は暗灰褐色で皮溝は粗,乳嘴状.上腕より脹寫 38才,男子,糖尿病・肝障害で治療中,昭46年9月会 にかけstriae distensae がある. ロ内掌脈は犯されず. 陰部の湿疹様発疹を認め,医治を受けるも漸次陰嚢・肛 上腹部の真菌検査陰性. 囲にも拡大,増殖性に増大,組織学的に表皮内膿庖なく mg/day,尿17-KS Acanthose, 胃炎かある,腹部の生検組織像は過角化,パピロマトー Papillomatose著明と真皮のつよい細胞浸潤. 討ヅ論● \ …… ASL 250T.U・,尿5 HI AMI. ゼ,一部の有練細胞内に核側空胞があり,真皮上層に担 清寺 真(東北大):治療は・ 色細胞が散見される.電顕で有煉細胞,基底細胞に細胞 祖父尼 哲(弘前大):現在糖尿病の治療に重点をお 間隙の拡大及び後者でトノフィラメソトの東状形成か目 いている.根治的には外科的療法を行なう予定. 十 立つ.服路生検では過角化少なくパピロマトーゼより著 尖圭コンジローマの央婦例 林 患(国立弘前) 呪 タラニソは表皮肥厚部の基底細胞で多いがDOPA 37才,30才の夫婦.夫の陰茎に皮疹を認めてから,約 反応陽性細胞は散見される程度.腹部の皮疹は0.1%VA 7週後に妻の腔口に発生した症例,陰茎遠位ほぽ1/3より 酸軟膏で軽貼 ‥ 冠状溝にかけて,現状乃至乳嘴状小腫瘍集族.腔口に表 多発性骨髄腫に合併した全身性類澱粉症の1例 真宗 面穎粒状,半球状隆起した小腫瘍.両者とも摘除,電気 興隆,佐藤昭彦(東北大),成川弘治(脳研内科) 凝固術を行ない治癒した.典型的組織像. 69才,女.初診:昭和47年7月27日.家族歴:特記事 尋常性天庖盾 林 忽(国立弘前) 項なし.既往歴:35才時,甲状腺腫手術.67才時,胃潰 53才,女.昭45年10月,口腔粘膜に原発,約1年9ヵ .瘍手術.現病歴:初診の半年前から両下肢に色素沈着と 月間口腔粘膜に限局し,内科医で治療,その後躯幹及び 筋肉の硬化が出現,次第に全身に拡大.現症:全身の皮 四肢に水庖,=びらんを生じたニー般検査で軽度の貧血, 膚は乾燥し,狽漫性,淡褐色の色素沈着と,魚鱗癖様落 組織は定型的.現在β−メサゾソl.Omgを維持量として 屑形成がみられる.躯幹,四肢の筋肉は硬化し,ゴム粘 投与,発疹の出没を繰返しているが,増悪の傾向なく, 土様ないし硬質ゴム様に触れる.検査成績:骨髄血に形 経過観察中・ Anglom万es万Multiples 52 4. Omg/day,基礎代謝率−H%,慢性 質細胞増多(有核細胞の45.5%).血清蛋白所見,総蛋白 Frogressifs (Darler)の2 例 三浦 修(日大) 7.8E/dl, r-Gl. 35. 1%,尿中Bence-Jonse蛋白(-). 末梢血に著変なし. 第1例 34才,男.20才頃から右足の諸所に軟かい結 Congo red 試験陽性.組織所見:皮 膚;血管壁の肥厚,膨化.真皮結合織間にEosinに淡染 節発生し,次第に増大すると共に同側下肢から蝋径部ま する物質あり,これらはCongo で波及し,1,2ケは紫紅色.第2例 41才,男.10年 色いずれにも陰性, thioflavinT蛍光染色陽性.筋肉;血 前舌根部に初発(?),5−3年来右腰高とその周辺,亀 管壁の肥厚,膨化,筋線維京間に高度の線維化とeosin 頭に軟かい結節多発し,1,2ケは紫紅色.両例ともに に淡染する物質の沈着あり.染色態度は皮膚におけるそ 大小の血管腔の形成と第2例では平滑筋増殖を伴う. れと同じ.電顕所見:真皮,筋組織の結合織間に細線維 討 論 清寺 真(東北大):Blue-rupber-bled red, PAS, alcian blue 染 状のアミロイドを認めた. nevus syndro- し討論 ‥ meとの鑑別は.組織でangioleiomyoma様の所見があ 道部 秉(弘前大):アミロイド苔解の場合コソゴー ったということが特異なのか. 赤染色か染まらない場合かあるように思う.本染色のア 三浦 修:消化管症状はなく,第2例は消化管のX線 検査では異常を証明出来なかった.第1例は消化管の検 ミロイド症に対する診断価値はどうか. = 真宗興隆:系統性のアミロイドーシスではコンゴ・・赤 東北地方会第200回記念大会 281 のみならず他の組織化学的染色もあまりあてにならない −ル内服,皮膚科でベタメサソソ軟膏,ピ々フシソ軟膏 とされている.しかし限局性のものではコンゴー赤に一 で加療とのこと.培養で石膏状菌証明.1%サリチル酸 般によく染まるものと理解している. ワセリン,太陽灯照射,硫酸添加硫化水素泉浴で加療 Xrichophyton し,比較にならないほど低廉な治療費で治癒した. Verrucosumによる白癖の6例 牧 野好夫(山形県立新庄) 疵贅のヨード・イオントフォレーゼおよび館林膏に拠 昭和47年1月から半年間に山形県最上地方において頑 る治療(再検討)野口順一(岩手県立中央) 辨4例(40才,女,左右前腕,右大腿:28才,女,右前 従来犯贅の治療には局所注射等残酷な方法が横行して 腕屈側,擁側:49才,女T,左手背,前腕,肩肝部:28 いた. これに対し私は無痛の方法をとりたいと考えた. 才,男,左前腕)とケルスス禿療(2才,男,後頭,頭 第189回,第190回に発表した如く館林膏(融点40∼55 頂部),汗庖状自癖と生毛部急性深在性白癖合併(44才, °C)により大きな成果を得た.また一部の疵贅ではヨー 男,右手掌,手背,前腕)各1例からT. ド・イオソトフォレーゼのみでも軽快することを知った verrucosumを 分離した. 6例とも飼牛に白癖様皮疹を有し,ケリオソ ので,上記両治療法を併用して治療を促進せんとした, の小児以外は牛との接触機会が多く,初発部位はいずれ 治療成績は意思強固の患者においては殆ど100%の治癒 も手か前腕であった.皮疹は炎症が高度で水庖形成傾向 率を示した.しかも無痛で,治療費用は非常に低廉であ が強く,中心治癒傾向を欠くか乏しいのが特徴的.組織 った.3∼4年の経過を見ているが再燃を見ない,一般 所見は典型的.頑癖の2例において有斡層上層に菌の侵 に現贅を生ずる個体はその局所の温度が低温に過ぎ,ま 入を認めた.サブロー葡萄糖寒天上の発育は遅く(6ヶ た低温からの回復の悪い人が多い,平素保温に努力する 月で直径5∼lOnm) ことは況贅を速やかに治療するためには是非とも必要な Brain Heart Infusion 寒天上に発育 良好.B1強化BHI寒天上の懸滴培養で分節胞子が多 条件である.また,同時に難治の結節性疹疹での比贅に 数,厚膜胞子,梶棒状大分生子,小分生子の発生も稀に ついても同様の治療を行ない大きな成果を得た.組織学 認められたT. 的に検討すると結節性謬疹の表皮は2∼3ヵ月で大いに verrucosumによる汗庖状白癖は文献上 未だ報告を見ない. 改善されるが,その真皮の神経の異常は5ヵ月以上蛎回 小児,特に乳幼児の頑癖について 笠井達也(国立仙 するようである. 台) らい患者の熱傷調査 昆 宰市,中村 洋,玉田嗣親 19叩年1月より1972年10月末の約5年間の当科外来に (岩手医大),松田サダ(東北新生園) おける頑癖例中,特に乳幼児の頑癖に近年増加傾向を認 めた. 満6才未満の頑辨は1968年以降各4.,ニ5, 7, 東北新生園らい患者における昭和17年より昭和46年迄 3, 11の計30名で,男18,女12.年令別にはO才6,1 才及び2才各7√3才及び↓才各4,5才2で, の30年間にわたる熱傷について面接アソケートによる調 査を試み,以下の知見をえた.1)し調査を実施した数は 1971年 307例,うち熱傷経験者は270名,87.9%の高率に達し 以降0∼2才までに例数の増加が著しい.病巣単発19 た.2)熱傷受傷件数は494件,1人あたり平均1.8回 例,∇多発11例,病型別には定型的発疹21,非定型疹9 に相当する.3)年度別熱傷分布では昭和27年から31年 で,これは発症後初診まで1∼4週と径過の短いことと にかけて最も多く,昭和32年から36年は急激に減少,最 関係している.罹患部位は2才半未満では腎,腰,下腹 近また増加の傾向にある.4)受傷年令は30才代,40才 等の搦裸部に集中し,陰股部は2才以上に,顔面は3才 代,20才代に多い.5)月別発生頻度は,12月が最も多 以上にみられた.成人に比し躯幹,四肢は稀.小水庖性 く,ついで1月,11月の順で6月と7月は最も少ない. 斑状自癖の型をとるものはなかった.原因菌別にはT・ 6)受傷部位は知覚麻庫部に多く,ほとんどがⅢ度の熱 rubrura 22, T. mentagrophytes 2, T. verrucosutn 1, 分離 傷で,うち手,下肢,足,上肢が高率であるが,面積で 不成功1,培養せぬもの4,尚6∼15才小児の頑癖は例 は4%以下の範囲が多い.7)原因では熱湯が最も多 数も少なく,年次別変動をみない. く,その他火ばち,コタツ,イロリ,アソカの順になっ 副腎皮質ホルモン剤に因る乳児頑癖とその経済的な治 ている. 療法 野口順一(岩手県立中央)ご し 皮膚癈摩症の臨床的観察 帷子康雄,亀田忠孝,石河 10ヵ月,乳児.陰股,下腹,両下肢に生後7ヵ月頃よ 知之,桜井 学,佐藤静生,土井三乙(弘前大) り頑癖様の発疹あり.今迄小児科で喘息治療にベトネソ 昭和41∼46年間の本症患者は249例で患者総数の2.1 学・会,抄ダ録 282 %比当り,男137例中60才代が,一女no例中40才代が夫 reduction test)を行なりと成人に比し,その値は著明に yA最多を占めている.コ病型yは汎発性116に対し局所性 低い.これは好中球内pentose :j31であるド皮膚科的合併症・継発症としては,掻破に 低下のあるためと理解されている.このshuntはH202 よると考えられる湿疹状態,出血,色素沈着・脱失が最 の産生を行なうといわれ,それとmyeloperoxidaseとの phosphate shunt に機能 も多く,老人性変化も多数認められる.なおxerosis, 協力により殺菌が行なわれると考えられている.即ち アトピー皮膚の合併例は診断上多少問題があろ=引全身 NBT試験値の低いことは,その好中球の殺菌力に欠陥 性疾患として肝疾患,糖尿病,内分泌障害の合併は必ず めあることを意味する. NBT試験を各種の状態に行な しも多くなかった.発症め季節的差異は特になく,増悪 った奥田(横浜市大)の成績によると,白血病,長期 の条件では「あたたまる」ことが最も多い,検査成績で ステロイド剤使用者,放射線大量被照射患者,重症糖尿 は, MMPIによりNeurotic 病などに低く,これらの場合感染を起こしやすいのに符 Triad とパDiphasic Curves が明らかに多い点か注目される.治療では抗ヒ剤(持続 号する.既に小児科領域では白血球貪食能に先天的欠陥 性)の有効率67%に対してプベli−ゲシ注のそれは84% のあるchronic granulomatous disease of childhoodが問 であり,後者は10回以上の継続使用が必要と思われる,. 題となっているが,前述のケー只も後天的ではあるが貪 ン討……論/ 犬 白 ∇ 食異常の面で一致する. 即ち免疫不全には従来考えら 吉田良夫(山形市)i皮膚癌痙症の種類にようて,そ れぞれ特異的に有効な治療法はなかづたか. れていた体液免疫系(B-cellの関与),細胞性免疫系(Tcell系の関与)の他に貪食系(microphageおよびmacro- 振 患(国立弘前)::臨床的に痘痕以外の皮膚症状 phage)め破綻を考える必要がある. しかも抗原(微生 がない場合,哉痙の訴しかないものでも皮膚癈痙症とし 物を含む)および抗体の処理ないしは制御の役割を果た てよいか. し す可能性もあり,この方面の検討は免疫学上極めて重要 亀田忠孝:抗ヒ剤の種類とタイプの関係は特に調べて である. いない.我々は皮疹のない部位に哉痙を訴えた場合を皮 特別講演:皮膚常在菌と感染 朝田康夫(関医大) 膚哉痙症と診断している. 皮膚常在菌と生体との関係を考えると,常在菌相互の Melanosis Becker の知覚 三浦 修(日大) 間のハーモニーと,個々の常在菌と生体(皮膚)との間 : Melanosis Becker47例中37例に,古典的方法による知 のハーモニーの二つのハーモニーが両々相侯っているよ 覚検査法によって,・知覚の異常を証しえた.37例の内訳 りに思える,常在菌とは即ち皮膚に定着性の強い菌であ ぽ次めよう懲あった. 4知覚ともに鈍麻15例(他に不明 るが,とれも生体や菌相互のンヽこモニーの変化につれて 確1例),充進と鈍麻混在4例に3知覚ともに鈍麻6例, 年令的,皮膚の部位的に多少その構成メンバーに変動が 完進1例√完進と鈍麻混在1例.2知覚鈍麻4例.1知 みられることは当然め現象と考えられる,一般に成人皮 覚鈍麻4例,充進1例. 膚ではMicrococcacaeに属するStaphy lococ cus epider- 特別講演:貪食異常と免疫不全 野口義圀(帝京大) midis (Baird-Parker分類によるSIIないしSV)と, 免疫不全の概念は古くからanergyとして理解はされ Diphtheroidに属するCorynebacterium acnesが常在菌と 七いたが/今日のごとく注目されるようになったのは 考えられるがその他脂漏部ではPityrosporon Bruton (1952)による先天性無フグl=・ブリツ血症の発 orbiculareもそのメンバーに入る.これら常在菌が皮膚 ovale 及び 見にもとづく.その後Swiss型無フグ血症の発見によ に定着し易い理由としてS. epidermidisを除く他の菌で り,/感染症では細胞性免疫が大きな役割を演ずることが は何れも好脂質性が強いためであろうとも考えられてい 判った. ところで種痘疹は重篤なるウイルス感染症であ る. S. epidermidis については理由がよく分らないが, り,乳児にとって危険な疾患であるととが認識されるよ Staphylococcus aureusに比してその生産する外毒素や代 うになった.患児はこめ場合必ずしも体液性免疫および 謝産物の活性が著しく弱いか或いは欠除するため,こ 細胞性免疫機構に破綻はなく,むしろ白血球を主とする のことはS. 貪食系に異常がうかがわれた.乳児は生理的に著明な好 aureusよりは弱いということに関連するようにも思え, epiderraidisに対する生体の免疫反応もS・ 中球の減少とリソμ球の増加とを示すが,好中球ぱ数の る,事実,S. 少いばかり恣なく貪食機能に異常(dysphagocytosis)が 接種しても定着せず自然に消失することが多い.皮膚常 認められた.即ちNBT試験(nitroblue 在菌の意義としてはbacterial tetrazolium dye epidermidis に比してS. aureusぱ皮膚に interferenceの面で,殊に 283 東海地方会第102回例会 他の病原菌に対する枯抗作用の面で,注目される.更に による感染は多いとはいえないが,その発生機序には生 bacteriallipase activityの面で,皮脂中のtriglycerides 体側の免疫機構の乱れと共に,常在菌相互のハーモニー を加水分解して遊離脂酸に迄分解する作用も注目され, の乱れ(Dysbacterie)も注目され,更には或種ファージ これは皮膚表面脂質膜による自浄作用として意味があ の感染による病原菌の増強ということも,近年注目され るし,また遊離脂酸によるacnegenicな作用の一因とし る. 尋常性痙痕の発症機転においても注目されよう.常在菌 東海地方会第102回例会(昭和47年12月10日,名古屋市) 庖疹状膿痴疹の1例 佐々田健四郎,安江 隆,阿久 月前より鼻背,両側頬部に正常皮膚との境界比較的明瞭 津 順(名古屋国立) の,軽徴の腫脹,浸潤をともなう紅斑が生じ,落屑,萎 23才,女.妊娠中に発症し,分娩後にも再発を来し, 縮,色素沈着,毛細血管拡張は明瞭でない.一般検査所 妊娠中にのみCa低下を認め,それ以外は認められなか 見正常,組織学的所見等より不全型(北村)が考えられ った. コルチコイド大量投与により解熟し,皮疹も軽快 る.症例2 したが,通常量ではほとんど効果が認められなかった, 形の黄色落屑と軽度の紅斑を伴う脱毛斑を生ず.組織学 :36才,女.約1年前より前頭被髪部に楕円 Zジトレキセートが著効を示したが,中止により再発が 的に角質増生,毛包の角栓形成,基底細胞の液状変性が 認められた.コルチコイド含有軟膏はほとんど効果なし. かなり強く,真皮上層の毛細血管拡張と周囲の細胞浸澗 討 論 をみる. 水野信行(名市大):(1) Psoriasispustulosa(Zum- 討 論 busch)とどう区別するか.区別するとすればモの鑑別点 水野信行(名市大):RosaceaとDLEとの臨床的区 は. 別は,後者が癩痕萎縮傾向をもち,脱毛などをおこすの (2)メトトレキセートが有効であった理由は・ 安江 隆:妊娠中であること, psoriasisの所見がない こと,低Ca血症を認めること,好発部位が大腿そけい 部にあることなど, psoriasisp ustulosa とImpetigo に対し,前者にはないことであるレ組織学的には前者は 真皮中層上部のparavascular her・ 診断例Lupus infiltration である. Erythematodes Dlsseminatus petiformisとの鑑別は困難である.メソトレキセートに scoldes Chronlcus ついてはLeukocytoseがあったこと.免疫抑制の意味は 64才,男.約3ヵ月前より両手背鼻背部より発症し, ない, Dl- ? 園部勝也(三重大) 全身に拡大.一部の爪に変化を認めたが,口腔粘膜疹は 水野信行(名市大):われわれも Psoriasis pustulosa (Zumbusch)を2例観察しているが,治療にイムランを 用いた.白血球の消長と皮疹の経過とはよく平行した. メトトレキセートは肝硬変をおこしやすいので,むしろ 認めず,手背部では大豆大までの褐色扁平角化丘疹で, 一部癒合し,前腕から上腕,躯幹下肢にかけては米粒大 小水庖様丘疹,褐色角化丘疹を播種状,癒合性に認め た. 新生丘疹では組織学的に毛嚢周囲細胞浸潤をみた イムランの方がよいであろう・ が,手背部病巣ではみられず,表皮は鋸歯状萎縮性で, 新生児皮下脂肪壊死症 平松三芳,青山 久,井沢洋 乳頭層にPAS陽性物質の沈着を認めた. 平(中京) 50日の女児.出生時,仮死V度.嘔吐,チアノーゼが 討 論 水野信行(名市大):DLEと考える論拠をHyaline あり小児科入院,生後38日目に胸部の皮下硬結に気付 く.その後経過観察をするも生後5ヶ月目に自然消初を bodyにおいたようである.しかしHE標本でLichen planusにも同様なものがみられるので,このものを鑑別 みた. 紅斑性狼唐(皮膚型)が考えられる2例 矢崎喜朔, 根拠にするにはLichen 筧秀夫,田中隆義(名古屋第一赤十字) ト 化学を行なった上で用うべきであろう.その他の点では 症例1 どちらかといえばLichen :53才,男, 昭和46年6月初診,初診の2ヵ planusのHyaline bodyの組織 planusを考えたい. 284 学<会y抄 録二 :輦皮症の腎病変 星野臣平,加藤雍子(名大)J 8-MOP光毒性反応は細胞増殖の抑制,核酸とくに 46才,主婦.2年前発症,胸部不快感√浮腫のため入 DNA合成の阻害をおこさせる.そこで尋常性乾癖で=も 院.透視にて食道の運動低下,レノグラムにて両腎の機 表皮細胞のturnoverをおさえるであろうと期待して応用 能低下が認められた,腎生検で糸球体メサンギウムの増 した.方法:尋常性乾癖の患者4人の病巣皮膚に0.3% 加,基底膜の肥厚,腎血管壁の肥厚と内腔狭小を認めた. 8-MOPアルコール溶液を外用2時間後に長波長紫外線 案皮症のステロイド治療は議論のある問題であるが,本 (東芝FL20S-BLB)照射を行なった.結果:1例は外 症では,自覚的にも他覚的にも改善が認められた. 用に1/2BLB-MED照射を毎日行ない7日で軽快した・ Forphyria 1例は外用に1 Hepatlca Varlegataの1例 清水正之 BLB-MED 照射を毎日行ない10日で軽央 (三重大) した.他2人は外用に3 27才,女.ロウソク加工業.約2年前,第2児出産直 行なった.そのうち1例は1回照射後に,他は11回治療 BLB-MED照射を週1回ずつ 後より顔面,手背の米粒大小水庖,びらん,節皮,褐色 後に軽快した・ 色素沈着および多毛を認め,組織学的に小水庖は表皮下 乾癖の治療 河村幸郎,園部勝也,松村 徹(三重 に存在し,水庖底真皮乳頭層は破壊されず,そのまま水 大) 尚 庖内に突出する皮膚ポリプ4リソ症の所見を認めた.さ ステロイ濯以外の外用療法として,ゲッケルマン療法 らに本患者の兄,母に同様の症状を有するところから (変法),メソト・レキセート, porphyriahepatica variegata と診断した. ソA酸の外用剤の乾癖に対する効果を検討した.また, 6-MP, 5-FUおよびビタ\ミ 討 論 犬 ▽ 16例の尋常性乾癖,1例の膿庖性乾癖にジソトレキセー 安積輝夫(名城):本症例をporphyria トを経口投与し,14例に著効をみた.副作用として軽度 cutanea tarda (hepatica)と診断した根拠は薄弱であるように思う.少 の肝機能障害,白血球減少などを認めた症例があった なくとも現段階ではPCTとはDiagしにくいと思うが か,いずれも休薬によりすみやかに正常値を示し,重篤 如何か・ な副作用をしめしたものはなかった. 水野信行(名市大):示された検査所見だけでPCT 討’論 へ とするには不十分である.ポルフィリンの定量が必要で 佐々田健四郎(国立名古屋):メシトレキセートの全 ある,肝性かどうかを決めるには肝生検でALA合成酸 身投与は肝硬変の発生,発癌の問題があり慎重を要する 素活性が高まっていることを証明するのが最もよいとい と思うが,使用規準を病型としてきめているか.: われる.臨床的に作用波長が400nmにあることを証明 河村幸郎:慎重に行なう.犬 すれば可能性は高くなる.したがってUV-39位で長時間 佐々田健四郎(国立名古屋):有効のタイプは・ 河村幸郎:Psoriasis 照射するがよい, guttata 以外は有効と思われる, 小谷宜丸(上野市):肝障害は診断上欠くべからざる 尋常性乾癖治療のための病態 大城戸宗男(名市大) ものであるが,一般血液生化学検査の異常を認めない症 1970年9月1日より1972年8月31日までの2年間に, 例もかなり報告されている. しかしそのような症例でも 当科を受診した乾癖患者68例の治療法を紹介した.つい BSPの排泄遅延は認めるので検査の必要がある, で,それらの治療が,乾癖発症のいかなる病態を改善さ Naevus すのが目的かを述べた.この疾患の本体はいかなるもの Achromlque en Bande Zoniforme≪et icomedons≫浜り次生,日高義子(三重大) と考えられるかについても議論した. 15才,男.生来左胸腹部に帯状の白斑あり,2年前よ 討 論 い り,ほぼその部に一致して,毛包性丘疹を散在性,帯状 浜口次生(三重大):薬物の刺激という点で,刺激か に生じた.病理組織学的に,丘疹は角質嚢腫で外部に開 あった方が有効というととと,K6bnerか起ることとは 口し,毛包由来のものと考えられる.表皮基底層にはわ どういう点で区別されますか. I ・・ ・・ ずかなから色素が認められる,かかるものを或るminus 尋常性乾癖の治療 大谷道広,和泉秀彦,常田順子, nevusとすると,共通要素のplus 松浦喜代(岐大) ニ nevus はpigmented hairyepidermal nevus (Becker)であろうと考えた.ぷ 乾癖の病因が未だ解明されていない現状ではいその治 尋常性乾癖の8-inethoxypsoralen(8-MOP)光線療 療は多岐にわたっている.われわれの行なっている治療 法 大野盛秀,木村鈴代,水野信行(名市大) 法は> (1) Psychosomatic therapy, (2)汎発性:や 認5 東海地方会第102回例会 むを得ないcase以外corticosteroidsの内服連用をさけ と共に・,間擦部,顔面等にも湿潤性m庖性皮疹を生じ, tranquilizer,抗ヒ剤,抗脂血剤の内服, Goeckerman療 熱発,全身倦怠を訴えて当科入院.末梢血にて異型白血 (3)限局性:Corticoste- 球の著明な増殖及び肺炎様症状あり.皮疹及び気管支よ 法, Ingrain療法を行なう, raids,抗腫瘍剤,ビタミソA酸の外用, Goeckerraan療 りの培養でC. albicans を証明. アンフォテリシンBに 法, Ingram療法などを行なう.乾癖の治療には表皮の て治療するも副作用強く,死亡. 上 turnover rate を正常に戻す点に注目した薬剤の発展に 討論 期待したい・ 高田一雄(安城更生):Candida 討論 Candida check を使ったのか. 水野信行(名市大):Goeckerman療法に紫外線照射 桜井久美子:Slide ということは注意を要する. Taar光中毒作用の作用波 使わない. 上 長は400∼500nmである.勿論sunburn 阿部貞夫(大垣市民):(1)グリテールパスタ十ピ spectrum の作 albicans の同定は culture のみでCandida check は 用もありうるだろう.これらは夫々区別して評価すべき ?フタソ,(2)オキタドール十ピマフシン, であろう. し ト betes合併例ではマイコスタチソ十ピマフミンにて軽快 尋常性乾廓の局所療法 小林敏夫(名大) した,難治性の例が多い.良い治療法はあるか. 再発を繰り返す可能性が多い尋常性乾癖の治療におい 高田一雄(安城更生):Seborrheic (3) Dia- dermatitis十Can- て,全身療法に比し副作用が少い局所療法の価値につい didaがBAY-bで軽快した・ て私見を述べた. C原子5,6個の有機性をもつコルチ 横田徳久(蒲郡市民):2年間steroidを外用し不治, コイドクリームのODTにより皮疹を速効的に抑制した 拡大例(全身汎発)リンパ節,肝腫大を伴った例. Candida 後,ビタミソA酸及び尿素クリーム塗擦による維持療法 albicansをslide cultureにて同定,1年間ファンギソ によって,全身療法を併用しなくても,長期間にわたる ソ,マイコスタチンにて一時軽快したが,再増悪,汎発 寛解効果を続けている30数例の自己経験例を紹介した. 化し, BAY-bにて軽快した.内服は3ヵ月間で,以後外 使用する外用薬剤が無色,無臭で患者の日常生活におい 用のみを行なった. て苦痛がない点を強調した・ 浅在性白癖に対するコンスタソール含有軟膏(NZ-237 討 論 軟膏)の治験 田中隆義,筧 秀夫,矢崎喜朔(名古屋 大城戸宗男(名市大):(1) dithranolのごとき人工 tarは, DNA合成を阻害することが知られている.紫外 線と関係のない効果も, う. Goeckerman療法にあるのだろ (2)不全角化を完全角化にかえる試みはあるが, 第一日赤) 汗庖状白房16名,頑郷9名およびその両者を併発した 者2名の計27名にコンス,タソール含有軟膏(NZ.237軟 膏)を1日数回患部へ単純塗布させたところ,汗庖状白 これとKobner現象との関係は不明・ 癖18例中,著効0例,有効10例,梢有効7例,無効1 佐々田健四郎(国立名古屋):アロブリノールは自験 例,頑癖11例中,著効1例,有効3例,梢有効5例,無 では約30%有効,血中尿酸値にあまり影響はない. 効2例で全体として29例中90%にあたる26例が梢有効以 分芽菌性間擦疹 高間弘道(名大) 上という成績であった.全例において副作用はみられな 59才,男,会社員.既往歴,糖尿病,心筋障害,高血 かった. 圧,肝機能障害として内科にて治療中(いずれも軽症)・ 討 論 体型は肥満型.2年前より両服高,陰股部に掻徐性皮疹 を生じ,ステロイド外用.初診時,暗紅色紅斑,浸軟 清水正之(三重大):三重大での使用経験では治療率 は低かったが,本剤と他剤との比較検討をしたか. 佐々田健四郎(国立名古屋):約50例の汗庖状白癖, (十),落屑性丘疹.PASにて角層に豊冨に菌要素を認め た. BAY外用にて,色素沈着を残すのみとなった. 汎発性深在性皮膚カンジダ症 安積輝夫,桜井久美子 頑癖に対し使用し,有効率約60%弱で,従来の薬剤より 治るようであった・ 接触性皮膚炎症状を呈した顔面白癖 高間弘道,野崎 (名城),大橋 勝,高間弘道(名大) 憲久(名大) 47才,女.5,6年前より掌耽,爪,後に口腔内の角 6才,男. 2ヵ月,顔面に,境界明瞭な頑癖と思われ 化,肥厚,亀裂,白苔等あり.今夏特に皮疹が悪化する る皮疹が生じ,ステロイド外用し一旦軽快したがまもな 286 学,会二抄.録 く再発,浮腫状潮紅,浸潤を触れるが,中心治癒傾向は 困難である.また,汗庖状白癖の予後については爪白癖 みられない.KOH法にて膿庖に菌陽性,組織像は真皮 合併の有無が極めて重要な相関を示す.これらの点につ 上∼深層に白血球,リンパ球,組織球の強い浸潤,毛嚢 いて長期観察の結果を図示1だ.爪白癖のグリセオフル 破壊像を認めた.角層,真皮に菌陰性,毛嚢内に菌糸を ビン内服療法難治例には,他の真菌,たとえばCandida 認めた.培養:T. albicans, Aspergillusなどへの菌交代を示すものもある・ mentagrophytes. ト 討 論 また,当初より爪自癖類似の臨床症状を示すもので, 水野信行(名市大):(1)トリコフィチン反応は如 Fusarium, 何.(2)真皮に炎症反応が強いということはjステロ などによる爪真菌症の存在にも注意を要することを実際 イド軟膏外用の直接的結果ではないと思う.むしろ菌が 例について述べた.ほかに, 毛包深くにまで侵入するなどの理由によるのでほない 療法,とくに乾熱による治療法,爪カンジダ症に対する か. BAY-b 野崎憲久:本症例の炎症の強さは臨床的にも組織学的 討 論 にも認められるが,果してステl=zイドの外用が直接原因 大谷道広(岐大):顔面に発生したSporotrichosisに か否か断定し難い.本症例では真皮全層に毛嚢の破壊像 は局所温熱療法は困難と思いJod-kaliを用いているが なく,又菌要素も発見出来ないため,菌要素による影響 如何. とも思えない.I 渡辺昌平:部位的に不可能な例もあるが,両者併用が Aspergillus, Scopulariopsis, Candida albicans Sporotrichosisの局所温熱 5097療法などにもふれた. . ‥ 異所性白癖 阿部貞夫(大垣市民) よい.単独KIでは長期にわたる. 手の自癖罹患頻度は比較的低いとされている.演者は, 田中清隆(名古屋市):ステロイド軟膏が自癖を増悪 昭和46年度に受診せる患者中に786例め白癖症例を得た させる理由,コルチコステロイドと白癖菌との関係につ が,足,誼,趾部症例(58.6%),股,愕部症例(19.2 いて. %)についで106例(13,4%)の手,掌,指,指爪白癖 浜口次生/(三重大):Granuloma 症例かみられたことに興味を感じた.これらの症例のい について, ずれもは菌検索により診断されたものである.今回は, BAY-b5097による広汎な皮膚及び粘膜カンジダ症の glutaeale infantile Candidaの病原性を考えるべきか. 手部白癖症例を主として,その他興味ある4例の症例に 1治験例 横田徳久(蒲郡市民),酒井勝彦(名大) ついて供覧した. 2才7ヵ月,女児.生後8ヵ月頃,背部に栂指頭大の 討 論 ダ 境界鮮明な発疹が生じ,生後11ヵ月頃にはほぼ全身に皮 渡辺昌平(京大):手の自辨の罹患部位の両側性,偏 疹が増大.入院時所見,目,口腔,外陰部の発赤,自 側性の比率は如何. 苔,爪の変形.皮疹は腰部,腹部のニ・部を除いて全身 小林敏夫(名大):中性洗剤の影響はないか. に辺縁隆起性境界明瞭な落屑性皮疹である.培養より 渡辺昌平:手の白癖例は多い.手では片側例が多い・ Candida 特別講演:真菌症の治療 渡辺昌平(京大) 外用いずれ祠無効であったが, 汗庖状白辨においては,手白癖と足白癖の間に治癒率 用により口腔内の自苔は2日目より消失しはじめ,皮疹 および再発率に明らかな差が存し,足白鮮は手白癖に比 は1週日より紅斑,落屑をところどころ残し;2週目に し治癒し難く,また一旦治癒後も再発し易い.同様の傾 は,硬い丘疹を残すのみとなった.現在外用剤で経過観 向は指爪自癖と趾爪自癖の間にも見られ,後者は治療が 察中. albicansを確認.入院し種々抗真菌剤の内服, BAY-b 5097の内服,外 北陸地方会第252回例会(昭和47年6月18日,金沢大学) 類乾癖の2例 仲村洋一,近 小弥太(石川県中),福 り,瞥部に鳩卵大までの紅斑を数個生じたン皮疹は類円 田繁(金大)エ ニ : ■■■ 形,境界鮮明,軽い浸潤と鱗屑(十),組織像:局面性類 症例1;7才,女児.昭45年3月初診.初診時頃よ 乾癖に定型的.症例2:8才,男児.同45年2月初診. 287 北陸地方会第252回例会 4才頃より顔・頚・四肢り 竹田公彰:本例が私のところに入院中はゲルマニソ療 色斑を10数個生じた.辰諦軽度.組織像は局面性類乾癖 法を行なったが,無効だった・ に定型的. 松本位一(富山市民):爪の変化はなかったか.抗生 レ討 論 剤の使用は. 福代良¬(金大)=局面性類乾柳の小児例は文献にあ 北村清隆:爪甲変化(十),抗生剤は使用せず,また乾 るか.単純性枇糠疹との鑑別が問題になる. 柳様の皮疹の先行も続発もなかった. 松本鍍一(富山市民):顔の皮疹はむしろ単純性枇糠 Lipogranulomaの併発をみたBeh^et病の1例 松 疹に近いように思われる, 本位一,舘 憚二(富山市民) 仲村洋一:治療に抵抗し,表面に赤味を持つこともあ 21才,男.6年前よりアフタ,4年前より高熱と共に ったので,類乾柳と考えたが,単純性枇糠疹も念頭にお 下肢に有痛性原紅性皮下硬結と浮腫.針反応(丑).臨床 いて経過を観察したい. 像と組織像よりBehget病と診断.当初内科で長期のス 診断例(Pltyriasis Lichenoides et Varloriformis テロイド療法を受けたため,離脱に3年を要した.今も Acuta?)福井米正(黒部厚生) 時々発熱をみSchubを反復.この間,左側背にlipogr- 24才,男. 1週間前より顔・頭・手足・外陰を除くほ anuloma (Rothman-Makai型)出現.ステロイドとの関 ぼ全身に自覚症状のない紅斑を生じ,徐々に増数・拡 係も考えられるが,このものとBehcet病との関連につ 大.皮疹は粟粒大前後の淡紅色斑,小豆大前後の紫紅色 いても言及. 斑(若干に痴皮あり),胡桃大の環状紅斑(中心に軽度の 討 論 鱗屑,辺縁に紅色斑が環状配列)より成る.組織像:表 近 小弥太(石川県立):私のみた症例でも前にステ 皮扁平,ケラトヒアリン穎粒粗大,異常角化様の赤い塊 ロイドを使用したBe≒et病で,下肢のしこりは最初の (十),基底層に液状変性(十).真皮上層に血管拡張,周 生検では血管炎の像であったが,1年後のしこりの生検 囲に小円形細胞浸潤.約3ヵ月半で癩痕を残さず治癒. ではlipogranulomaの像であった,侵される血管の位置 討 論 福代良一(金大):本例では, なく, によってこのような差異が出るのではないか・ (1)皮疹の癩痕治癒 (2)血管炎も無いから,むしろ類乾柳(?)と 松本位一:この例のlipogranulomaはステlコイド使用 中に発生したのでpoststeroid panniculitisとの区別が いう話であるが,上述の2点にこだわる必要はなく,本 問題になる.しかし前にも,メテロイドを全く使用して 例はMucha-Habermannの定型例と思う., いないBehcet病で典型的なlipogranulomaをみ,経過 国吉光雄(金大):Mucha-Habermannでは,滴状類 中に血栓性静脈炎と考えられる索状硬結も出た.従って 乾癖では見られない,赤血球の血管外への浸出がある. lipogranulomaとBeh?et病と全く無関係とはいえない 池田真康(福井県立):皮疹のあとが不完全脱色斑の ように思う. 状態にならなかったか. 福代良一(金大):われわれの処で扱ったBehget病 福井米正:皮疹の消槌後に不完全脱色斑のみられた処 ではlipogranulomaを合併した例は一つもない.本例で もあらたと思う. は偶然の合併で,それもコルチコイド内服と関係がある 庖疹状膿痴疹 北村清隆,飛見昭子(国立金沢),赤羽 と思う. 紀子(金大),竹田公彰(市立輪島) 35才,男.(第25回北陸医学会総会皮膚分科会での報 告例と同一例).臨床像と組織像は定型的.治療と経過: Mondor病 北村清隆(国立金沢).・・.・・ ・・ 52才,男.1週間前発病.打撲・外傷(−).現症:下 腹中央左寄りの皮下に長さ約3Cmの縦に走る索状のしこ コルチコイド内服によっても皮疹の再燃が止まらなか ったので,これを漸減,ビタミソB12注(始めの10日間 は5007/日,あと1ヵ月間1,0007/日)により著明に軽 りがあり,下端は指頭大の硬結となっている.生検所 見:索状物は皮下脂肪織の最深部にあり,太さは約3 快,最近の8ヵ月間は皮疹の再燃がない. で断面は類円形で乳白色.組織像:皮下脂肪織内に脈管 討 論 が1個ある.壁は著明に肥厚し,そこに線維芽細胞と結 福代良一(金大):乾癖皮疹の先行または続発はなか 合織の増生がある.弾力線維染色では内膜に切れ切れの ったか, 細い線維がごく少数認められる.経過:不明. mm 288 学 会ゲ抄 録 討論 すものかある. 二 福代良一(金大):組織像は本病でよくみられる所見 寺田 稔:外傷や巌痕の病歴はない. イ’ と同じだか,脈管を何と考えるか. \ 種痘疹 熊谷武夫(高岡市民),伊藤牧子(金天ン 北村清隆:静脈由来かリンパ管由来か,わからない. 1才9ヵ月,男児.種痘の翌日,種痘部位を含めだ躯 !松本錬一(富山市民):私はリンパ管と考える. 幹・四肢に約60∼70%の広範囲熱傷を受けた.受傷後10 皮膚筋炎(2例) 飛見昭子,北村清隆(国立金沢) 症例1:3才,女児. 5ヵ月前発病.顔に紫紅色斑と 日目から主として熟傷潰瘍の辺縁に膿庖を多発.発熱, 食欲不振あり.7−グロブリン筋注と抗生物質投与により 浮腫,上胸と背部に紅斑,四肢関節背面に紅斑性丘疹. 約10日で下熱,治癒に向った.掻把のためり自己接種と 筋症状(-) 思われる. ト . GOT, GPT, LDHは正常値.症例2:3 才,男児. 1ヵ月前発病.額・鼻肯・頬に紫紅色斑,手 Paraffinoma池田真康(福井県立)√佐野勉(金 指背・膝・足背に紅斑性丘疹.易疲労性(十) 大) 十 GPT 19, LDH . GOT 48, 615, 尿クレアチュン186nig/日,=クレア 58才,女.3∼4年来,左上眼険外側に皮下硬結を発 チュン201lllg/日.組織像:2例共軽度の角質増殖,真 生.10年以上前,美容整形の目的で該部に注入療法をう 皮乳頭層の著明な浮腫と血管拡張,血管周囲性小円形細 けたレ現症:左上眼険外側に蚕豆大,境界鮮明,不規則 胞浸潤,治療:症例1はコルチコイド外用で症状不変, 形の硬い皮下硬結あり,圧痛(十).組織像:本症に定型 症例2はコルチ●イド内服で軽快・ 的で,異物巨細胞内にasteroid 討 論 上 討 論 し 川島愛雄(金大):第1例は全身症状,筋症状ともな 福代良一(金大):(1)異物注入睦両側ではなかっ いが診断の根拠は. たか.反対側に類似のしこりはなかったか. 飛見昭子:症例1の皮疹ぱ本症に定型的と思う. 術を受けた患者に生じたParaffinomaを見たことがあ レ福代良一(金大):症例1の顔(特に上眼険)の紅斑 る.その例でも多数の巨細胞から成る肉芽腫あり,内部 と上胸部の皮疹は本症に定型的と思う.筋の生検は・ に星芒体を含んだ巨細胞もあった. 飛見昭子:していない. 池田真康:右側にも極く僅かな皮下硬結があった. 紫斑を伴ったSjogren症候群の1例 鍛冶友昭,白 井家久雄(福井日赤):そのうちに自潰して内容がで 崎幸雄(農協高岡),加藤正義,永井忠之(同第2内科), てくるのか.- 東福要平(金大第2内科) 池田真康:肉芽腫から線維化へと変って行くのが普通 38才,家婦.数年前から年に1∼2回発熱.耳下腺腫 で,融解・自浪するとは思えない. 脹あり,両下肢に紫斑が出没した.その他,乾燥性角結 壊疸性丘疹状結核疹 舘 憚二,松本錬一(富山市 膜炎;口内乾燥;関節痛; 民)尚 沈究進,血清蛋白8.5 Raynaud現象などがある.赤 g/dl, r-グロブリン38%,lgG増 body(十)・ (2)隆鼻 26才,女.約1ヵ月前より両下肢にも毛嚢炎様丘疹が 加,クリオダロブリン(−),LE細胞(−),抗核抗体 出現.ツ反(併);血沈中等度充進.組織像:定型的√な (―), Schirraer試験o∼1 お,左下腿に皮下結節1個あり,組織像は結節性紅斑. mm, 出血性素因(−).プレ ドユソ.ロン内服は有効. 卜討 論 ‥ Sclerodermia 福代良一(金大):ヅ反は, …… Clrcum芦criptu:・・・: 寺田 稔(富山 市) =‥ ユ 舘 憚二:ツ反は小学生時代に強陽性,角膜フリクテ 35才,女.1年前より軽度の痰滓感を伴って発病.前 ソがおこったりしたため,禁止されており√施行しなか 頚部に褐色斑あり,一部脱色,硬い局面を形成.組織学 った, 的に真皮中下層に著明な結合織の均質膨化,弾力線維の 断裂変性,血管壁の浮腫性膨化,内腔の狭小化をみる. 環状肉芽腫 福井米正(黒部厚生) 10才,少年,約半年前より右手背に2個,左第II指内 表皮と真皮浅層の変化は少ない, 側に1個の丘疹を生じ,徐々に拡大.個疹は淡紅色斑 討論 を囲む数個の栗粒大丘疹からなる.白血球10,700,好酸 福代良一(金大);結合織の変化が真皮中層にあるこ 球4%.j組織像:定型的で,変性巣はアルシアン青, と,そこに弾力線維が減少しているごとなど癩痕を思わ PASムチこ/,コロイド鉄,それぞれ陽性,トルイジ 289 北陸地方会第252回例会 ソ青メタタp 第1例:3ヵ月半,女児.生後50日より左下眼陰部皮 -マジー陽性, 皮膚カンジダ症(2例)池田真康(福井県立),佐野 下に小腫瘤を生じ,次第に発育.犬現症:直径ICm半球 勉(金大) 状,表面皮膚に青味(十),硬く,下床とは可動.第2 殆ど同じ病像を呈する,幼児の頭部カンジダ症の2例 例:8才,女児.左眉毛上部に小結節.組織像は共に を供覧した・第1例は1才1ヵ月男児で,生後6ヵ月発 shadow cell を認め,定型的・ 病,第2例は9ヵ月女児で,生後4∼5ヵ月で発病.2 白板症 福井米正(黒部厚生) 例とも前頭部左側の髪際部に栂指爪甲大の類円形の脂漏 68才,男,2ヵ月半前より下口唇中央に大豆大の胴爛 性痴皮が付着,下は淡紅色発赤局面.痴皮のKOH検査 面を生じ,徐々に白っぼい粗穏面となった. で第1例では仮性菌糸と胞子,第2例ではしばしば末端 の他著変なし.組織像:表皮は不規則に増殖,表面に不 の膨れた仮性菌糸のみが豊富.2例ともCandida 仝角化(十),錬細胞は配列が乱れ,核の大小不同,2核 albicans STS (十) を分離・ や不整形の大型核もあり,核分裂像かなり顕著,個々の 討 論 角化も僅かに(十),真皮に小円形細胞と形質細胞から成 福代良一(金大):(1)われわれの処でも以前,類 る強い細胞浸潤(十).切除,半年後再発(−)・ 似例を見たレこれがCandida Bowen病(2例) 貝原弘章,江竜喜史,伊藤牧子 granulomaに発展するので はないかと思ったが,簡単に治った. (金大),石倉多美子(金沢逓信) 久保善一(松山市):両親の職業と治療法について聞 症例1 きたい. :48才,女.2年前に腹に結痴性皮疹.共に砥素剤摂取 :72才,女.1年前に背に結痴性皮疹.症例2 松本諒一(冨山市民):両親にカンジダ症はなかった の既往(−)・内臓悪性腫瘍の検索は末施行,組織像は共 か. に本症に定型的. 症例1は全切除,同2は5-FU軟膏 池田真康:(松本博士に)家族の検索はしていない, ODT療法で治癒・ 親の職業は第1例は機業,第2例は商店勤務.2例とも ・討 論 .I ピマフシソ軟膏外用で治療したが,第1例は経過不明, 長井 忠(富山県中):症例2で切除は考えていない 第2例は7日後発赤が著明に軽快. ‥ か. 福代良一(金大):原因菌の出所として必ずしも母親’ 貝原弘章:経過を見たい. を考える要はなく,患児の大便に菌のいる可能性は十分 久保善一(松山市):Bowen病は5-FUで完全に治 にある. るか, 副 乳 石倉多美子(金沢逓信) 貝原弘章:もう少し経過をみないと分らない. 20才,未婚女性.策臭症根治手術のため両策応を剃毛 福代良一(金大):Bowen病は表皮内癌であるから, したところ,両肢応とも上腕側がわずかに隆起してい 抗癌剤による外用療法にむしろ適していると思う.再発 た.手術時左脱嵩より小児手拳大,白黄色の結合織塊を した場合でも,直ず目につくから.その時点で次の処置 摘出.組織像;結合織塊の中に点々と腺組織か存在する を考えても遅くない. が,正常の乳腺組織のような小葉形成はない.腺上皮 表在性基底細胞腫の2例 江竜喜史,川島愛収,松原 細胞は1∼2層の明るい細胞で,腺腔にPAS陽性物質 為明(金大) ご (+), ご ’卜 ’) 犬 ヶ 症例I 乳腺症(2例) 石倉多美子(金沢逓信) …… 日,淡紅色局面.組織像は定型的,なお間質にコンゴー 症例’1:38才,主婦.半年前より左乳房内に鳩郎大の 赤陽性.全切除.症例2 しこり.組織像:腫瘤は大小種々の大きさの仮腫よりな 5年前より拡大.恥丘部右側に48×30mの褐紅色局面・ り,壁細胞の大部分は扁平,一部に好酸性円柱状のアポ 組織像は定型的,なお胞巣周辺の問質に帯状のアルシア クリン上皮が残存,症例2 :45才,主婦.1年前より右 :73才ド男. 10年前に発病に右上腕に12×8 :47才,家婦.20年前発病, ソ青陽性部(菌性ヒアルロニダーゼ消化性)あり,これ 乳房内に鳩卵大のしこり.組織像:結合縁増殖,小葉萎 らの間にコソゴー赤陽性.電顕でアミl=・イド線維を示す 縮,小輸出管増殖など本症の定型像(十)・ 物質(十). 5-FU軟膏ODT療法(23日間)で略治. 石灰化上皮腫(2例)井家久雄(福井日赤),家城 討 論 晃(福井市) 福代良一(金大):5-FU軟膏外用療法の続きである 290 学 会\抄・録 が, BCEの場合は,表在性であってもBowen病より病 河崎屋三郎(金沢市),福田 繁,畷 真澄(金大) 変が深いから,治療後の再発については警戒を要する. 19才,男. 1年前に発病.陰茎根部背面に小指頭大の 一種の血管腫 北村清隆(国立金沢) 腫瘍あり,中央に痩孔を有し,黄白色の粘液を出す.腫 6才,女児.2年前発病,次第に拡大.現症:左肩関 瘍の割面は結合織に囲まれ,硬く,中に直径2∼3加の 節部に手掌大,レース状の病巣があり,色調は淡褐紅 腺腔様構造を示し,黄白色の粘液を容れる.組織像:表 色ないし暗紫紅色,表面は平滑ないし細穎粒状.庫み 皮下淋巴濾胞の増加肥大,平滑筋線維の増加あり,腺腔 (十),組織像:真皮乳頭に著しく拡張した1層の内被 と思われる部分は胃腸肺上皮よりなる.内胚葉を主体と 細胞よりなる血管腔あり,表皮は萎縮,軽度の不全角化 した迷入腫と診断.切除後再発(−). (十).放置.その後,色調の変化が著しく,増悪軽快を Juven万11e 反復,しかし外方への拡大傾向は殆どない. 沢) 討論 1ヵ月,女児.生後14日日に気付いた.現症:左肩に 福代良一(金大):私はangioma serpiginosum を, Xanthogranulo・・・:a北村清隆(国立金 紅褐色,半球状に隆起したしこりが4個集族,全体とし 臨床的にSchamberg病に似,かつ蛇行状に拡大して行 て梅干大の硬結を形成,弾性硬,圧痛(−).頭・顔に皮 くものと解している. 疹はない.組織像:表皮は非薄化,表皮直下より皮下に 松本諒一(富山市民):i(1)50X 非局注部とで差があったか. T.Z の局注部と (2)本例における増悪に のものは泡沫化し, Touton型巨細胞も散在.放置して 経過観察,8ヶ月後には赤味消失,かなり扁平化. 外因は考えられないか. 北村清隆:診断をAngioma かけて著明な細胞浸潤があり,細胞は胞体に富み,多く serpiginosuraから「一種 討 論 のAngiom」に変更したい.皮疹増悪の誘因は不明だが, 福代良一(金大):組織像は定型的であるが,臨床像 掻破が関与しているかもしれない. ト がかなり変っている.文献に類似例があるか. 診断例(2例) 井家久雄(福井日赤),家城 晃(福 北村清隆:初めは,臨床的に悪性0ものかと思った. 井市) こ こういう臨床像はあまりないと思う. 第1例は30才の男の左眉毛菰に生じたアポクリン混合 眼瞼のリンパ腫(2例)松原為明,金原武司,佐野 腫瘍.第2例は33才の女.3年前に左鼻孔下部に小腫瘤 勉(金大),藤田幸雄(藤田),四日剛太郎(金大眼科) を生じ,摘出したがまもなく再発.初診時,蚕豆大で半 症例1 球状,表面平滑で正常色,下床と可動.組織像は第1例 の眼険腫脹,同皮下に板状硬結.表在リンパ節腫脹(−)・ に似るが,管腔形成がほとんどなく,骨,軟骨の形成が 末梢血と骨髄像に異常はない.組織像:皮下に密なリン 著明で,血管に似た管腔内に円∼楕円形の核をもち,明 パ球浸潤巣点在,濾胞形成(−),核の異型(−).ブレオ るい胞体の細胞の集塊が認められる.一種めchondroid マイシンで消失,症例2 syringomaと考えたい. 発熱(−)・両側眼険腫脹,眼路内腫瘍/右上眼険・右耳 討 論 後・右項・左肩皮下に硬い腫瘤.末梢血と骨髄像正常. 松本諒一(富山市民):第1例の明るい胞体の細胞は 組織像:密なリンパ球浸潤,一部に濾胞形成(十),核の 我々が前回onchocytoma(?)として報告した例に類似し 異型(-)■プレドユソロンで軽毘 ト ている. しかしその後の検討で我々の例はonchocytoma Hodglkl・・大病 福田 繁,川島愛雅(金大),土屋和弘 とはいい難く,現在apocrjne (同第1外科)/ myoepithelioma の線で検 :15才,少女.8ヵ月前に発病.発熱(−).右 : 84才,男.18ヵ月前に発病. 討をすすめている.第1例の腫瘍細胞の起源は何か. 56才,男.昨年暮より発熱,全身の皮膚乾燥・鱗屑, 井家久雄:第1例でclear 本年1月下旬よりリンパ節腫脹,4月右上腕屈側に大豆 cellに似た細胞といったの は,円∼楕円形の核をもった胞体の明るい細胞という意 味である・ 福代良一(金大):症例1は混合腫瘍ではなく,腫瘍 大・半球状・淡紅色の小結節,皮膚結節り捺印標本とリ ン゛節穿刺液塗抹標本に定型的なSternberg-Reed巨細胞 (十).頚部リンノパ節と皮膚結節り組織像に異型細胞多数. の一部がmucoid変性をしたのに過ぎないと思う.第2 討 論 例は真正の混合腫瘍と解釈したい. 竹田公彰(市立輪島):私がこの患者をみたとき(46 原腸性原肺性迷入腫の1例 近 小弥太(石川県中), 年12月)にはリンパ節腫脹はなかった. 北陸地方会第253・254回例会 291 北陸地方会第253回例会(第26回北陸医学会総会,皮膚科分科会)(昭和47年9月10日,富山市) 尋常性天mm (2例)松本錬一,国吉光雄(富山市 明,金原武司(金大) 民),山本 巌(富山市) 乳児寄生性紅斑の増加について 熊谷武夫,伊藤牧子 水庖性類天庖痙(2例)松本錬一,国吉光雄(富山 (高岡市民) 市民),斎藤勘四郎(富山市) 梅毒血清反応におけるFTA-ABSの意義 舘 憚二, 庖疹状皮膚炎(Duhring)福井米正(黒部厚生),佐 福田 繁,飛見昭子,川島愛雄(金大),川岸幸造(同 野 勉(金大) 中検) 薬疹後の白斑黒皮症 江竜喜史,福田 繁(金大),長 ?aget病を伴った男性乳癌の1例 封1村洋一,近 小 井 忠,五嶋亜男(富山県中) 弥太(石川県中);相野田芳教(同外科) 塩酸ピリチオキシンによる薬疹(扁平苔癖型)3例 長井 忠,五嶋亜男(富山県中) 脳卒中患者にみられた扁平苔后(4例) 銀冶友昭, 顔面領域の基底細胞腫の外科的治療について 塚田貞 夫,畷 真澄,柳下邦男,赤羽紀子,山本正樹(金大皮 白崎幸雄(農協高岡) 側頭動脈炎 北村清隆,飛見昭子,井上久美子(国立 金沢) ・形成外科診療班),松本諒一(富山市民),北村清隆(国 立金沢) Nodular Colloid MIMum 福井米正(黒部厚生) Melkersson-Rosenthal症候群の1例 大槻典男, 藤田幸雄(藤田),松原為明,金原武司(金大),斎藤 馨 (大野市) Hereditarer Naevus 基底細胞腫 河崎屋三郎(金沢市),近 小弥太(石川 県中),畷 真澄(金大) Subepldermal Fibrosis 池田真康(福 井県立) Angiolipomaの1例 松本諒一,国吉光雄(富山市 民) Bournevllle-Pringle母斑症 松本諒一,国吉光雄 Sy”ametrischer Systematislcrter Aplastlcus (父子例)松原為明,石崎宏 (富山市民) 穎粒細胞性筋母細胞腫の1例 井家久雄(福井日赤) (金大) (注)抄録は十全医会誌82巻, 皮膚疵状結核大槻典男,藤田幸雄(藤田),松原為 年に掲礼 3, 4合併号,昭和48 北陸地方会第254回例会(昭和47年12月10日,金沢大学) 播種状汗子L角化症(2例)舘 憚二,広根孝衛(金 合併例は文献にあるか. 大) 舘 憚二:調べた範囲では合併例はなかった. 症例1 :60才,男.母,兄,子に同病(十).体の各所 に貨幣大玄での類円形褐色局面が多数播種状にある.な 落葉状天庖唐 伊予 進(長野日赤) 53才,男.4ヵ月前より躯幹に紅斑を生じ,漸次増大. お肩や四肢伸側に点状の色素沈着または小丘疹が集族, 1ヵ月前より発熱,鱗屑・痴皮・副爛を生じた.現症: 一部は上述の局面と共存.組織像:局面は本症,他はア 手足を除く全身の皮膚が暗紅色で,葉状の鱗屑痴皮と副 ミロイド苔癖に一致.本例は本症とアミロイド苔癖の合 爛あり,一部に弛緩性水庖混在,粘膜疹なし. 併例である.症例2:61才,男.家系内発生の有無は不 現象強陽性.組織像:表皮上層に水庖形成, 明.躯幹と四肢に貨幣大までの定型疹が多数播種状にあ (十)・ る.組織像は定型的.2例共,0.1%ビタミソA酸軟膏 討 論 によって皮疹は扁平化・ 福代良一(金大):治療はどうしたか. 討 論 伊予 進:ステロイド内服によって軽快した. 福代良一(金大):汗孔角化症とアミロイド苔癖との 類乾癖 松本踪一,国吉光雄(富山市民) Nicolsky acantholysis 292 学 会 抄 録 47才,男.3ヵ月前発病,各種治療に抵抗. Kobner ような気がする. 現象(十),臨床像と組織所見より一応表記と診断. 持久隆起性紅斑 伊予 進(長野日赤) 討 論 10才,少女.2ヵ月前から,笹部に始まり手足・肘頭 米沢郁雄(福井赤十字):細菌疹の可能性はないか. ・膝頭・前腕の順に小指頭大の隆起性紅斑を生じた.痰 松本館一;経過中にたまたま癌を併発したので,抗生 謬(−).対側性で,背部と前腕の皮疹は扁平隆起,円∼ 剤を使用したが,反応はなかった・ 楕円形,やや硬い紅斑,他の部位の皮疹は賠紅褐色∼淡 池田真康(福井県立):Eczematides pityriasiforme 福代良一(金大):類乾癖とした場合, 褐色,半球状に隆起したやや硬い小結節で,一部は融合 して環状配列を示す,瞥部は色素沈着のみ,組織像(左 は,このような臨床像をいうのではないか. guttataとen 前腕の皮疹):真皮上層より深層まで,主に多核白血球 plaquesのどちらと思うか.両者は移行しうると考える から成り,リンパ球や,組織球のまじった溺漫性細胞浸 か. 潤あり,核破片(十),血管の内皮細胞膨化(十). (2)本例はむしろ脂漏性湿疹ではないかと思う. Eosinophilic Pustral FollicuUtis (太藤)飛見 討 論 昭子,貝原弘章(金大) 山崎泰助(金沢市):血管壁にfibrinoid 症例:24才,男.九谷焼絵付け.初診(昭46年4月) 等の変化はなかったか. degeneration の6ヵ月前顔に初発,その後上肢・肩・背腰部へ拡大. 福代良一(金大):本例は臨床的にも組織学的にも定 現症:顔では粟粒大丘疹が密集しm庖も混在,上肢伸側 型例と思われる.示された組織像には血管壁の膨化があ と背部では粟粒大紅色丘疹と膿庖が集族して局面形成, ったように思う. 中心治癒傾向あり,辺縁に新しい丘疹が環状に配列,足 伊予 進:真皮の乳頭層や上層の血管は拡張し,内皮 には環状り小水庖と鱗屑.検査成績:末梢血に好酸球増 細胞の膨化を認めた・ 多(24%まで).組織像:拡大した毛嚢に好酸球多数.ス 閉塞性動脈硬化症による壊疸の2例 近 小弥太,仲 テロイド内服で皮疹は略治,しかし中止後再発・ 村洋一(石川県中),福田 繁(金大) 討 論 症例1は77才の男で,腹部大動脈と左下肢動脈のアテ 福代良一(金大):類似例を経験した方はないか.米 ローム硬化症による閉塞性栓塞がある.症例2は54才の 沢博士,何かコメントはないか・ 女で,左大腿動脈の同上栓塞(十).いずれも下肢の壊疸 北村清隆(国立金沢):類似例を4例みた.いずれも 例で,壊疸発病後7∼12日で死亡.解剖により前者に糖 男子例で,足に水虫様変化を伴った例はなかった. 飛見昭子:本例の職業は初診の1年前までは国鉄職 員,その後は九谷焼絵付け.本症で足に皮疹のあった例 は鍛冶の報告例と本例のみである・ 扁平苔癖の1例 家城 晃(福井市),米沢郁雄(福井 日赤),山本政次(京大) 52才,男. 8ヵ月来,下腿と下腹部に癈嫁性の丘疹を 尿病と敗血症を認めた. 討 論 松本錬一(富山市民):第2例の閉塞部位に癌性変化 はなかったか. 近 小弥太:なかった. Necrobiosis Iipoidica万Diabeticorum池田真康 (福井県立),宮永章一(金大) 生じ,徐々に増悪.現症:直径数m∼2Cmの中央が軽く 77才,男.5ヵ月前,糖尿病を発見,皮疹の初発は10 萎縮性に陥凹して環状を呈する扁平な褐色丘疹が散在性 年前(右内腿部),その後四肢に徐々に増加.皮疹は胸と にあり,一部に中心臍高を有する円形ないし多角形の丘 背に最も多く,四肢外側がこれに次ぐ.大豆大∼超手掌 疹も混在.下口唇粘膜に数個の環状白色斑あり.組織像 大の褐紅色浸潤局面で,背では広汎に融合.小さい皮疹 :丘疹中央部にも毛孔性角栓をみるほか定型的.薬過: は環状肉芽腫様,大きいものは辺縁蛇行状で中心部は硬 アジア丸内服約20日間にて軽快.なお,発症前ペルサソ 化して萎縮顕著,光沢と毛細血管拡張(十).組織像: チンとアタラックスを約3ヵ月間内服, palisading granulomaでlipid(桝),PAS(朴),Fe 討 論 ムチソ(−),アルシアソ青(−),血管内皮細胞増生と膨 福代良一(金大):薬剤との関係は考えられぬか. 化(十)溺!力線維は破壊∼消失.・ 松本館一(富山市民):アプラクタソやエソボール以 外に,ペルサソチソで扁平苔癖様皮疹を生じた例を見た 討 論 福代良一(金大):本例のように躯幹に広汎な皮疹が (十), 北陸地方会第254回例会 293 見られるのは非常に珍しいと思う.文献に類似例がある 新産児脂肪壊死症 松本鍍一,国吉光雄(富山市民) か. 生後28日目の男児.生下時体重2,650g.分娩予定日 山崎泰助(金沢市):(1)糖尿病の重症度と皮疹の に生れたが,骨盤位分娩で難産.仮死状態で臍帯巻絡が 出現の間に関連性かあるか. 見られた.生下時より左上腕伸側に1個の類円形,直径 (2)眼底変化を伴った例 が多いかどうか. 2Cm程の皮下硬結あり,表面に黄褐色の痴皮をつけ,や 近 小弥太(石川県中):本症の原因は何か. や陥凹し,皮膚と癒着,皮下とは可動. 組織像は定型 池田真康:下肢以外に皮疹を認める率は,低いもので 8∼9% (Gaethe),高いものでは25∼26%(Grotz 的.約1ヵ月後,自然に消失した・ et スポロトリクム症 石崎 宏,金原武司,塚田貞夫 al・)の統計的報告かある. 本邦例にはこのように広汎 (金大) に多発した報告はまだない.糖尿病の程度と本症発生と 34才,家婦.富山県砺波市在住.昭和47年2月上旬, は無関係とされている. 自験例でも眼底には変化がな 左前腕伸側の結節に気付いたが,放置.同4月上旬,潰 かった.血管変化がprimaryか, 瘍化.同中旬,その上方に結節1個新生.5月10日,当 secondaryかについて はまだ定説かないが,脂質代謝異常ではないとされてい 科初診.スポロトリキソ反応陽性.培養陽性.組織内菌 る. 要素(十). Granuloma十Glutaeale lnh:・l:turn 長井 忠(富 BAY-B 5097を3ヵ月間(1日3g)内服で 治癒・ 山市) 討 論 6ヵ月,男児.昭和47年10月初診,2ヵ月前から強度 近 小弥太(石川県中):本症の2例を追加. で)オムツカブレを生じた.初診時の糸状菌検査陰性.硝 アミロイド苔癖 川島愛雄,福田 繁,小西喜朗(金 酸軟膏1週間でカプレは略治したが,陰嚢・陰股部・会 天) 陰部にそら豆大までの扁平隆起した紫紅色紅斑が10数個 27才,女.2年前より四肢に丘疹,滓みは軽度.上腕 ほぼ環状に配列,弾性軟.組織像:表皮肥厚,真皮上∼ では粟粒大の白っぽい丘疹が散在,下腿では褐色の色素 中層に好中球と好酸球からなる小膿瘍あり,周囲にリン 沈着だけのところと丘疹りところが線状に並んでいる・ パ球・組織球・形質細胞からなる浸潤の囲みがある. リ 一般検査成績に異常(-)・上腕の丘疹の組織像は定型 ンデgソVG軟膏塗擦により1ヵ月で略治. 的,下腿の色素沈着だけのところでは,アミロイド塊・は 討 論 真皮乳頭層に少なく,乳頭下層にみられた.チオクラビ 熊谷武夫(高岡市民):1例を追加する.9ヵ月,女 ソT染色でアミロイドの小塊も明瞭に認められた. 児.生後1ヵ月頃より陰股部から瞥部にかけて皮疹を生 討 論 じ,おしめかぶれとして医治をうけていたが,1ヵ月前 池田真康(福井県立):アミロイドの沈着部位が,ふ から発赤か強くなった.2週間前から暗紫紅色の小結節 つうの場合よりもやや深めに思えるか,如何・ が陰部から大腿内側にかけて多発した.蝋径部から両大 几島愛雄:御指摘のごとく,下腿の線状の色素沈着 腿内側にかけて小豆大∼蚕豆大の暗紅色の小結節が約10 だけのところの組織像ではアミロイド塊は乳頭層にご 個ある.表面の鱗屑のKOH(−),組織片からの真菌培 くわずかで,殆どは乳頭下層の血管の深さに認められ 養(-)■組織像:表皮肥厚,真皮のほぼ仝層に強い炎症 る. したがって,アミロイド苔癖という病名より払 性細胞浸潤あり,真皮上層に強い出血,浸潤細胞は好中 森嶋や露木などのいうmacular 球と好酸球が多く,組織球や形質細胞も混在. れる. 福代良一(金大):(I)最近のDermatologicaにカ 診断例 大槻典男,藤田幸雄(藤田),柳下邦男,松原 ンジダ性の本症という症例が出ており,真皮の浸潤内に 為明,金原武司,広根孝衛(金大) 見られたという菌要素の写真もついている.他方,先般 50才,女.約20年前より,側胸と四肢に粟粒大まで の東京地方会で河村博士(武蔵野日赤)が1例を報告, の白っぽい扁平丘疹がある.組織像:表皮は一部で非薄 それでは本例と同様, 化,基底層に液状変化と扁平な小水庖,その下の結合織 PASで菌要素(−).カソジダ性と いうのは怪しいように思われる. (2)上出博士は本症 type に近い所見と思わ は浮腫状,真皮上層にエオジンで淡紅色に染まった小塊 をよく見るといわれたが,いつ頃のことか.紙オムツが が集合状にありvan 原因らしいといり話もあるが. 性,ムチカルミソ染色陽性,メチル紫とクレジル紫染色 Gieson 染色で黄色, PAS染色陽 学 会:抄 録 294 ではj・タクロマジー(-), Congo赤染色でも殆ど染まら Atrophodermia Pasini一Pieri皿1佐野勉,川島愛 ず,チオフラビンT染色で黄色蛍光(−)・ 雄(金大) 討 論 犬 7ダ才,女児. 2才頃より,右頚部・右乳房部・下腹部 松本諒一(富山市民):Lichen ないしwhite sclerosus et atrophicus sp(?tdisease は考えられないか.丘疹はふ に萎縮性局面を認めた.体の成長と比例して拡大.現症 :右頚部・右乳房部・下放部に境界鮮明な萎縮性局面あ り,正常皮膚面よ丿陥凹,青味があり.表面平滑,静脈 えないか.自覚症状は・ ・ 大槻典男:丘疹はすこしずつふえている.時に蝉みか の走行がよくみえ,皮膚も皮下脂肪織もうすい.一般検 ある.御指摘の疾患とは組織像が合わないと思う. 査成績は正常.皮膚知覚,発汗,皮膚生理機能検査.自 福代良一(金大):(1)組織像からはlichen scle- 律神経機能検査のいずれも正常.組織像=病変部では真 rosus et afrophicus と は異なると思う.基底層の液状変性 皮結合織の厚さの減少がみられる.真皮の弾力線維には はlichen 著変はない. planus の所見に一致する.ただし真皮上層の 赤い小塊の部位と液状変性の部位とがすこしずれていた ように思う. (2)皮疹は初めから白っぽいのか.写真 討 論 米沢郁雄(福井赤十字):小児腹壁遠心性脂肪萎縮症 で見ると萎縮斑のように見えるが,実際はどうか. (lipodystrophia abdominalis 大槻典男:皮疹は初めから白い. , の鑑別,異同は如何か. 成年性浮腫性硬化症 貝原弘章,福田 繁(金大) 42才,女.昭和47年6月22日初診.家族歴に特記すべ centrifugalis infantilis)と 佐野 勉:本例は発病年令からみると,典型的な Pasini-Piermiではないようである.しかし,本例の組 きことはない.既往歴に甲状腺疾患(?),糖尿病,尋常 織像では皮下脂肪織に異常はなかった. 性乾癖などがある.現病歴:39才の時に背中の皮膚の異 有斡細胞癌を併発した白板症の1例 米沢郁雄,井家 常を指摘されたが,自覚症状かないため放置.現症:背 久雄(福井日赤) 部中央で肩甲骨上縁から下縁の辺りまで皮膚か浮腫性に 45才,男.現症:舌背の右半側,右頬粘膜に広範囲に 硬い.皮膚色は正常,指圧痕は残さない.他の部位の皮 表面粗粒な白色斑を,左頬粘膜に同様変化とその一部に 膚の硬化はない.検査成績:軽度貧血と尿糖がある.組 辺縁隆起性小豆大の潰瘍を認める,組織像:潰瘍部は分 織像:真皮中層から下層にかけて結合織線維東の膨化と 化した辣細胞癌(第1度),他部は角質増殖と隷細胞層肥 断裂,線維東間に空隙形成,弾力線維の減少と断裂. 厚のみ.経過:ブレオマイシソ450liigにて効果なく,広 討 論 範囲に切除.ブレオ使用中10日日(90曙)より躯幹に掻 近 小弥太(石川県中):本症は治りうるか. 痕様の線状浮腫性紅斑,下腿・手指に浮腫状硬化と色素 松本諒一(富山市民):背部に慢性の刺激を受けたこ 沈着を生じたが,ブレオ終了後約2週間で軽快. とはないか,皮膚表面に何か変化はなかったか. 乳房Paget病と基底細胞癌の合併例 大槻典男,藤 貝原弘章:刺激を受けたことはない. 田幸雄(藤田),柳下邦男,松原為明,金原武司,広根孝 福代良一(金大):(1)本例は発病時の事情には特 衛(金大) 別のことはないようだが,臨床的ならびに組織学的には 87才,女.1年前より,左側頭部に3 本症としかいいようかない.(2)本症には自然治癒が 潰瘍化,表面に血涵をつけた,辺縁黒色で堤防状に隆起 ありうる.(3)学童の背部で椅子の当るところに見ら した局面がある.所属リンパ節の腫脹はない,なお,右 れうるムチソ沈着との関連を考えての発言と思うか,学 の乳頭から乳伝に鱗屑をつけた淡紅色浸潤局面がある・ 童の場合モこに皮膚硬化があるのか・ 乳房内に腫瘤は触れない.堕高や鎖骨高のリンパ節の腫 悪性黒色表皮腫 伊予 進(長野日赤),沢田久雄(同 脹はない.組織像:左側頭部のものは一部色素性,一部 外科),青木 猛(同放射線科) 腺腫様,一部充実型の基底細胞癌,右乳頭部のものでは 40才,男.1ヵ月前より背部の痰椋感と色素沈着を認 表皮内にPaget細胞の個々,または群集をみる.真皮 め,受診.項頚部・胱高・臍部・陰股・背部・腰部の皮 cm X 4 eraの中央 内,管腔内にPaget細胞はない. 膚は汚い灰黒褐色を呈し,皮溝著明,皮膚肥厚.精査に 石灰化上皮腫 井上久美子,北村清隆(国立金沢) より胃癌を見つけ,胃切除術を受けたが,術後71日目に 約5年間に本症の8例を観察した.初診年令は5∼23 死亡.項部皮膚の組織像は黒色表皮腫に一致. 才.性別は男4例,女4例.発生個数は単発6例,2個 295 北陸地方会第254回例会 発生2例.部位は顔4,頚1,肩2,上肢3(個).大き 討 論 さは米粒∼小鶏卵大.組織像では好塩基性細胞十陰影細 松本館一(富山市民):紅斑のみの部位でも浸潤隆起 胞十通常の移行型細胞十squamoid 部位でも,組織像は同じであったか. 胞のみが7個. cell が3個,陰影細 Squamoid cell 内にはトリコヒアジソお よびケラトヒアリン穎粒類似の穎粒がよく認められた. 福田 繁:単なる紅斑部の生倹は行なってないが,経 過から見ると程度の差と考えたい. 骨化は4個にみられた. 悪性リンパ腫 福田 繁,佐野 勉,川島愛雄(金 皮膚白血病 福田 繁,川島愛雄(金大) 大) 男,30才.7ヵ月前から歯肉出血を認め,末梢血像よ 24才,男.初診の3ヵ月前より左頚部リンパ節腫脹に りAMLの疑いで内科入院検索中の症例,・5ヵ月前より 気付く.その後次第に全身のリンパ節が鶏卵大まで多数 躯幹と上肢に雀卵大までの紅斑出現.某皮膚科で多型紅 腫脹.検査成績では,末梢血に異常なく,骨髄像ではリ 斑型中毒疹の疑いと診断された.次第に顔や下肢にも新 ンパ球系の細胞が増加し,穎粒球減少.ツ反陽性.組織 生を認めた.皮疹は小鶏卵大まで,円形ないし楕円形, 像:リンパ芽球性リンパ腫の定型像.リンパ節穿刺像お 扁平にすこし隆起,色は淡紅色で中心部暗灰色,境界は よび後腹膜リンパ管造影の追跡所見を示した. 比較的鮮明,一部は融合性,浸潤あるものが多い.表在 療法約10週間で寛解,現在BEMP療法で寛解強化実施 リンパ節腫脹著明.組織像:真皮各所に大型の濃染核か 中. ら或る血管中心性の細胞浸潤が見られる. VEMP