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映像マネジメント3 (米国の映画産業)
2014/4/28 映像マネジメント 第4回:映画業界の構造 2014.4.28 立命館大学映像研究科 宿南達志郎 Part1:映画産業の基本構造 菅谷・中村・内山 『映像コンテンツ産業と フィルム政策』 第2章 映画産業の基本構造 • MPAA “Theatrical Market Statistics 2013” • – http://www.mpaa.org/policy/industry 1 2014/4/28 業界の構造 生産 • メジャーな製作 141本 • インディーズが製作 720本(469) 流通 • 系列配給会社 • 非系列配給会社 消費 • 興行(映画館) • その他(DVD、放送など) ハリウッドとは? • 狭義(元):旧7大スタジオ – Buena Vista、Universal、Warner Brothers、 Paramount、20th Century Fox、ソニー、 • 狭義(現):MGMを除く6大スタジオ • 広義: – 7大スタジオ系列の制作会社も • Touchstone、Tristar – Dream Worksも 2 2014/4/28 Big 6 Conglomer ate Studios Indie Other brands Market Share Viacom Paramount Paramount Vantage Nickelodeon, MTV 19.3% Time warner Sony Warner Bros. New Line Cinema, HBO 18.1% Walt Disney Comcast Walt disney Touchstone Universal News 20th Century Fox Searchlight Fox Columbia Sony Pictures TriStar, Triumph Classics Focus features 13.4% Pixar, Walt Disney Animation 12.2% Universal Animation 11.3% Blue Sky, New Regency 11.1% 5 mini majors • • • • • Lions Gate Entertainment The Weinstein Company MGM DreamWorks CBS Films 3 2014/4/28 TVへの対応 • 初期には敵対 • すぐに、TV番組の制作市場へ進出 – +TV番組の制作収入、映画の放映権収入 – -映画館離れを加速 • 50-60年代はマイナスが大きかったが、その 後は持ち直し • しかし、鑑賞者数は、ピーク時の30億人から 13億人に減少 – 日本や欧州は10分の1程度に減少 大作主義への転換 • 映画館に呼び込むための戦略 – 映画館の大スクリーンを活用するため、スケール が大きく、エンターテインメント性の高い大作主義 に転換 • 観客動員数に歯止めがかかった – 衰退した海外の映画市場も席巻 – テレビ(二次市場)、ビデオ(三次市場)も取り込 み • 大作主義の戦略は大成功 4 2014/4/28 TV局の番組規制(米国) • フィン・シン・ルール(Financial Interest and Syndication Rules:95年に撤廃) – 3大ネットワークが外部の製作会社の制作したコンテ ンツの所有権を確保することを禁止する。 – 自主制作番組を放送後一定期間でシンジケーション 市場に出さなければならない。 • プライムタイム・アクセス・ルール – 全米の放送市場の上位50市場において、3大ネット ワーク直営局及び加盟局は、月曜~土曜のプライム タイムの4時間のうち1時間は当該ネットワーク以外 の番組を放送しなければならない。 • フィンシンルール導入(1970)の目的 – 3大ネットワーク(TV局)の系列局への支配力を弱め る – 番組の質の向上 – 独立系番組制作会社の育成 • フィンシンルール廃止(1995)の理由 – 3大ネットワークの支配力が弱まった(CATV、衛星放 送の普及) – 独立系番組制作会社でなく、ハリウッドのメジャーの 子会社が強くなってしまった 5 2014/4/28 TV局の番組規制(英国) • ◆第三者制作番組の比率の義務づけ – 年間の放送時間の25%以上を広範かつ多様な 独立プロダクション制作の番組とすることを義務 付け。 – BBC及びチャンネル3(ITV)等。 • ◆BBC独立製作番組のための承認ガイドラ インの策定(1997年4月) – いかなる権利をどこまでBBCに譲渡するかを独 立製作会社が選択する権利があることを明確に するガイドラインの策定 MPAA (Motion Picture Association of America) • Who are your members? MPAA’s members are the six major U.S. motion picture studios – Walt Disney Studios Motion Pictures – Paramount Pictures Corporation – Sony Pictures Entertainment, Inc. – Twentieth Century Fox Film Corporation – Universal City Studios LLC – Warner Bros. Entertainment Inc. 6 2014/4/28 • What are the key functions of the MPAA? – We are the voice and advocate of the American motion picture, home video and television industries, domestically and, through our subsidiaries and affiliates, internationally. – We champion a healthy, thriving film and television industry by engaging in a variety of legislative, policy, education, technology and law enforcement initiatives. – These efforts range from safeguarding intellectual property rights to using technology to expand consumer entertainment choices, to championing fair trade agreements and a secure future for artistic freedom of expression. MPAA統計2013 7 2014/4/28 2013 Top 10 Int’l Box Office Markets Rank 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 Country China Japan U.K. France India South Korea Russia Germany Austraria Mexico $ Billiom 3.6 2.4 1.7 1.6 1.5 1.4 1.4 1.3 1.1 0.9 Digital Cinema Screen比率 USは93%、Asiaは77% 8 2014/4/28 US映画市場規模 興行収入の16%が3D 2002 2007 2013 13/12 9.6 10.9 +1% 興行収入 9.1 ($ Billion) 観客動員 数(Billion) 鑑賞回数 1.57 1.4 1.34 ‐1% 5.2 4.4 4.0 ‐3% 6.88 8.13 +2% (回・人) 入場料金($) 5.81 他の娯楽との競合 入場者数: 入場料(家族4名) • 映画:13.4億、 • テーマパーク:3.7億 • スポーツ:1.3億 • 映画:31.8ドル • テーマパーク:199ド ル • スポーツ – NFL:326ドル – NHL:246ドル – NBA:210ドル – MLB:110ドル 9 2014/4/28 チケット販売 鑑賞回数分布 • • • • 各層別販売枚数 月に1回以上:11% • 月に1回以上:50% 月に1回未満:47% • 月に1回未満:48% 年に1回程度:10% • 年に1回程度:2% 全く行かない:32% 映画ファンの年齢層 2‐11 40‐49 12‐17 50‐59 18‐24 60+ 25‐39 映画ファン 人口 0% 20% 40% 60% 80% 100% しかし、若年層の年間鑑賞回数は大きく減少: 12‐17歳 6.2→6.4、18‐24歳 7.8→6.9(2012→2013) 10 2014/4/28 各国の映画市場 米国<国産は日本のみ 国産 米国 その他 米 独 英 仏 日 0% 20% 40% 60% 80% 100% Source: CNC Results 2010 映画の製作プロセス 1. 2. 3. 4. プリプロダクション プロダクション ポストプロダクション ウィンドウ戦略 11 2014/4/28 ターミネーター3 • Underlying Rights取得に1600万ドル • 脚本の完成までに1年間 • 主演男優、監督の決定に2年以上 1.プリプロダクション • アイデアの発掘: – トリートメント(粗筋) • 脚本開発: – 複数の脚本家が分業、頻繁な手直し • キャスティング: – キャスティングエージェント、俳優のエージェント、 弁護士、プロデューサーの間で契約 • 映像化のための準備作業 – 優秀なクルー(含むSFX)、ロケハン、 12 2014/4/28 • 制作費予算化と資金調達 – ネガティブピックアップ • メジャーが資金を提供し、完成後の権利を取得 – プリセール • 海外での権利を先売りし、それを担保に銀行から – 完成保証保険 • 撮影日数が延びた場合の保険 • 2007年度の平均製作費は7080万ドル 2.プロダクション • スタジオのExecutive: – Green Light Power(企画承認の権限) • プロデューサー – キャスティング、制作費用管理、宣伝、権利運用 • 監督 – 創作活動の中心。出資者やクルーの意見を捌く。 • スター – トップスターの採用には費用もかかる(25百万ドル以上) が、製作資金集めを容易にする。 • エージェント • 弁護士 13 2014/4/28 3.ポストプロダクション • 編集:20~30週(撮影は標準が15週) – 効果音、特殊効果も • 最終編集権: – プロデューサーが普通だが、監督の場合もある • 何度か試写を行い、再編集 – 複数のエンディングを用意する場合もある 4.ウィンドウ戦略 • • • • 劇場上映権(劇場公開) ビデオ権 放送権 海外 14 2014/4/28 劇場上映権 • 劇場公開のコスト、収入、配分(2007) – 平均興行収入:4570万ドル • 劇場と配給で折半 – 平均経費:3587万ドル • 宣伝費:3217万ドル、プリント費:370万ドル • 宣伝費、興行成績が二次・三次の利用収入 に大きく影響する ビデオ権 • 劇場公開後6か月でDVD化 • レンタル – 買い取り方式、貸与方式(PPT:Pay Per Transaction) • セル – セルスルー:ビデオメーカーが直接販売 – 店舗が買い取り販売 15 2014/4/28 放送権 • 無料放送権 – 地上波 • 劇場公開から18‐24か月後 • 有料放送権 – BS、CS、CATV(含む) • 劇場公開から12‐18か月後 – PPV:Pay Per View • 劇場公開から3か月後 Part2: 映画産業の発達 • 菅谷・中村・内山 『映像コンテンツ産業とフィ ルム政策』 第3章 映画産業の発達 16 2014/4/28 1. 2. 3. 4. ハリウッド前史 ハリウッドの勃興と全盛 スタジオシステムの崩壊 ハリウッドの復権 1.ハリウッド前史 • 1893:キネトスコープ・・・のぞき穴(ひとり) – エジソン • • • • • 1896:ヴィタスコープ・・・多数が同時に 1903:列車大強盗・・・最初の劇映画 1905:nickelodeon・・・映画館の原型 最初はカタログ販売 無声映画(15分x4‐5) 17 2014/4/28 • エジソンは中産階級向けの室内娯楽と考え ていたが、実際は貧しい工場労働者向けの 娯楽として発展 – 完全な自由競争の頂点で、小規模の制作者・配 給業者、興行者の濫立 • ヨーロッパは映画を芸術として捉え、米国は 政府の補助を受けない娯楽として捉えた。 • 配給業とトラスト – 販売→リースへ – 興行ごとに制作者に支払 – 中間業者である配給業者が誕生 • 1908年に250以上 – 1908年:映画特許会社 • フランチャイズの管理、生フィルムはKodakが提供 – 1910年:ゼネラルフィルム設立 • 9400の劇場の過半(5281)を傘下に 18 2014/4/28 • 反トラスト訴訟 – 1913:司法省が提訴 – 1915:地裁判決、1918年:最高裁が上告棄却 – 映画特許会社による独占の崩壊 2.ハリウッドの勃興と全盛 • 映画制作の拠点が西海岸へ移動 • William Foxは、制作会社と興行主との長期契 約を模索 • Adolph Zuckerは、長編作品を企画 – パラマウントを支配し、ブロックブッキング手法を 導入・・・A級とB級の抱き合わせ • 新な配給組織(First National) – 多くの興行者と映画館が加入 19 2014/4/28 • 寡占化 – ビッグ3:First National、Paramount、MGM – リトル5:Universal, Fox, Warner Bros., Film Booking Office, United Artist • トーキー映画 – 特許を保有していたWestern Electricと独占契約 • 1935年:8大メジャーの誕生 – MPPDA(全米映画配給社連盟)を設立 – 映画の80%、興行収入の88%を独占 • スターシステム – 俳優に着目したマーケティング手法 – 1920年ごろ発達(チャップリンなど) • スタジオシステム – 分業による大量生産の仕組み – 「風と共に去りぬ」。「駅馬車」など 20 2014/4/28 • 業界の構造 – ビッグ5:制作・配給・興行を垂直統合 – リトル3:制作と配給を統合 – 独立系 – 競合もあるが、作品の供給で相互依存 • 映画館 – 第一次封切り、第二次封切り、旧作館 – 第一次封切り館を優遇し、利益を上げさせた 3.スタジオシステムの崩壊 • パラマウント同意審決 – 1938年:司法省がパラマウントを訴追(垂直統合は独 禁法違反) – 1946年:最高裁が地裁に差し戻し – ?年:地裁が制作・配給と興行の分離を命じた – 1949年:パラマウントとRKOが承認 – 1951年:ワーナー、Foxが承認 – 1952年:MGMも承認 • 1954年までに劇場は売却された – Paramount→AC Paramaunt – MGM→Loews 21 2014/4/28 • 同意審決による変化 – 新たな映画館チェーン、小さな映画製作会社の 出現余地 • メジャーの支配力低下 – 制作の競争は激化し、独立プロデューサーが力 • 最高裁は、ブロックブッキングも不当取引とした – 劇場に常に映画を供給する義務がなくなった • テレビドラマを作る自由を得た • 観客動員数の激減 – 1946年がピーク、1957年までに7割減少 – red purge、McCarthyism(1947‐1954) • メジャーがIndependent Productionを作り、そ の作品を購入・配給する傾向に • スタジオシステムの崩壊 – スタジオの余剰、監督・脚本家・スターのメジャー 離れ – 1979年には7割の制作は独立系に 22 2014/4/28 • リトル3が競争力を強めた – 配給ビジネスへの参入は少なかった • 第三次封切り館以下の消滅 – B級映画のニーズはTVがカバー • ワイドスクリーン化 – – – – – TVへの対抗戦略 1952年:シネラマ・・・3台の映写機で2.5:1の画面 シネスコープ(20th Century Fox) パナビジョンの定着・・・2.35:1 3D映画の試み(赤・青の眼鏡)→失敗 • ドライブインシアター • テレビとの関係修復 – 1955年:ワーナーがテレビ番組を供給 • ディズニーも追随 – 古い映画の放映権販売 • ワーナー、コロンビア、MGM • テレビ番組はハリウッドで、映画は欧州で – 半数以上のアメリカ映画の制作が海外で 23 2014/4/28 4.ハリウッドの復権 • 映画作品の二極化 – 文化の創造 vs 利益の追求 – 大作:クレオパトラ、ドリトル先生の不思議な旅 – ニューシネマ:卒業、イージーライダー、2001年宇 宙の旅 • 新人監督や俳優の発掘にも注力 • 映画業界のリストラ – RKO→Universal→デッカレコード→MCA • 1970年代の復活 – 独立プロデューサーや新人監督が牽引 • コッポラ、ルーカス、スピルバーグ • プロデューサーが監督を雇用(陰の功労者) • マーケティング手法の導入 – 視聴者が求めるものを制作 – 大規模な広告宣伝と全国一斉公開 – ジョーズ(‘75)、スターウォーズ(‘77)、ET(‘82) 24 2014/4/28 • ブロックバスター狙いへ – スターに金をかけるより、特殊効果で惹きつける – 10代の若い観客が受け入れ – 周到に計画され、綿密に計算された大作映画へ • 映画に愛着を持ってもらう – ルーカス・・・「スターウォーズ」の映画公開に先 立って小説化 – 地域最大の映画館(巨大スクリーン、最高の音 響)に絞って公開し、満足度を高め、話題を呼ぶ • 何度も同じ映画を見に来てもらう – キャラクターグッズ、サウンドトラック、ゲーム、ラ イセンス供与などによって、ファンを作り出す – 弱小プロダクションが著作権で利益を得る • R2D2、C3POなどのキャラクター商品が興行の3倍の収 入となった – シリーズ化 • スピルバーグとクリクトンの「ジュラシックパー ク」 25 2014/4/28 • 劇場の変化 – 街中から郊外のショッピングモールへ – マルチスクリーンのシネコンへ(平均14:1980) – 複数スクリーンで客席の利用効率をアップ – 開始時間をずらして売店の効率アップ – 映画館のチェーン化 • Carmike(1600館)、Cinemark、Cineplex‐Odeon – 垂直統合の復活(80年代後半) • MCA、パラマウント、ワーナーが映画館を買収 • メガプレックスと寡占化 – 1985年:大手12社が25%のシェア – 1998年:61%にアップ • Carmike:2367(1996)、Loews:2881(1999) – 2001年のランキング • Regal、AMC、Carmike、Loews、Cinemark・・・ • 収入構造の変化 – 1999年:テレビ41%、ビデオ38%、劇場21% – 製作費を劇場で賄えるのは5本に1本 26 2014/4/28 今週の課題 • 米国の映画産業の特徴などにつ いて、400字程度でコメントして下 さい。 27