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ミクロデータを用いた職業別死亡統計比較の方法
SURE: Shizuoka University REpository http://ir.lib.shizuoka.ac.jp/ Title Author(s) Citation Issue Date URL Version ミクロデータを用いた職業別死亡統計比較の方法 藤岡, 光夫 静岡大学経済研究. 3(4), p. 1-16 1999-02-28 http://doi.org/10.14945/00004984 publisher Rights This document is downloaded at: 2017-03-28T20:32:56Z ミク ロデ ー タを用 い た職業別死亡 統 議比 雫罪 論 説 ミクロデ ー タを用 いた 職業別死 亡統計比較 の方法 藤 1、 岡 光 夫 は じめ に 過労死や ス トレス性疾患 、過労 自殺 な ど、労働 と健康破壊 の 問題 につい て社会的関心が高 まる中で、 職業別死亡統計 は もっ とも重 要 な統計 として注 目され る。 この統計 は、北欧や西欧諸 国 を中心 に整 備 が進 んでお り、 わが 国 で も作成 されて い る。 しか し、 日本 の統計 は、死亡者 の職業が死亡時点 の もの で表章 も職 業 や産業大分類別 の指標 であるな ど利用上 の制約が大 き く、国際比較 へ の利用 が 非常 にむ ず か しい状況 にある。 一 方、 コンピュー タ利用環境 の飛躍 的 な向上 を背景 に、近 年、統計 の電子媒体情報 の利用 が急速 に すす んで い る。電子媒体統計情報 には、印刷物 の報告書 では掲載 されない非収録統計、過去 のデ ー タ を蓄積 したデ ー タベース、SSDS(社 会人口統計体系 )の よ うな膨 大 な情 報量 の総合デ ー タな どが あ り、 そ の利用 は統計解析 や統計 的研究 の水準 を大 き く引 き上 げ ることになる と考 え られ る。 さらに、欧米 では、統計 の ミクロデ ー タ (個 人情報保護 のため に一 定 の加 工 を した個票 デ ー タ)利 用がすす んで き て い る。 日本 の職業別死亡統計 にお いて も、 ミクロデ ー タを用 い て分析 に必要 な統計 表 を作成す るこ とがで きれば、国際比較 の可能性 が高 まる ことになる。 ミク ロデ ー タの利用 に関 しては、 イギ リス にお いて、 エ セ ックス大学や マ ンチ ェス ター大学 (1)を 拠 点 として、そ の利用環境 が整備 されてお り、北欧 で も、個人情報 の保護 に関す る厳 しい監視 の一方 で 、 高度利用がすす んで い る。米 国 では、学術研 究 レベ ルのみな らず、様 々 な分野 で早 くか らミク ロデ ー タの利用 がすすめ られて きてお り、一般 向けのデ ー タ提供 のために 5%抽 出 のセ ンサ ス標本 ミクロデ ー タ ② な ども販売 されてい る。 わが 国 にお い て も、 1996年 以降文部省 の科学研 究費補助 金重点領域研 究 「統計情報活用 の フ ロ ンテ イアの拡大一一 ミク ロデ ー タに よる社会構造解析」 にお い て 、 この分野 の研究 が取 りあげ られ、 一橋 大学 の松 田芳郎氏 を中心 に、全 国各地 の研 究者 に よる共 同研 究 がすす め られて きて い る 。)。 しか し、 経済研究 3巻 4号 日本 では、一般 の学術研究 において、その利用がほとんど認め られてお らず、国際的 に大 きな遅れを とっているといわざるをえない。 このようなわが国 にお ける厳 しい利用環境 の中で、1997∼ 98年 度 の厚生科学研究 「統計情報高度利 用総合研究事業」 プロジェク トの一環 として、職業別死亡統計 の ミクロデー タを利用 した国際比較研 究が、認 め られることになった。同研究 は、研究課題名が「職業 ・産業別人口動態 ミクロデー タによ る死因の社会 ・経済的要因 についての統計的国際比較分析」 とされ、森博美 (法 政大学経済学部)を 研究代表者 として、以下、金子治平 (神 戸大学農学部)、 良永康平 (関 西大学経済学部)と 筆者 の計4 人のメンバーか らなる共同研究である141。 国際比較や地域比較研究における ミクロデー タ利用 の総合的な共同研究結果 については本研究プロ ジェク トの報告書 (法 政大学 日本統計研究所、1999年 3月 )を 参照 されたい。 ここでは、共同研究の一 部 であ る職業別死亡統計 の北欧四 カ国比較表 と日本 のデー タの比較調整作業において、筆者が担当 し た方法論的、技術的恨l面 についてのみ整理 ・紹介す るものである。 い うまで もな く本稿 は、それ以上の意味 をもつ ものではな く、国際比較研究の結果その ものは、上記 4名 の共同の成果である。 2、 職 業 別死 亡 統 計 の 国際比 較 上 の 問題 点 と比 較 可 能 性 職業別死亡統計 は、労働 と健康 の関連 を把握する上で、きわめて重要 なデー タであるが、その他 に、 労働 と傷害、疾病 に関す る統計 としては、労働災害・職業病統計がある。 しか し、労災・職業病統計は 国 によって労働災害補償制度 の相違や労災 ・職業病の定義、対象範囲の違 いがあ り、国際比較 はきわめ て難 しい。対象範囲や制度 に共通性がある西欧諸国間では比較 の試 みはあるが、西欧 と日本や米国 と の比較 については現状 では有効な方法がみあた らない 僣)。 また、一般死亡統計 につい ては、 wHoに よ って各国の男女、年齢別、死因別死亡 を収録 した 7oFfJ巌 刻山 S″ r」 isゴ csが 毎年発表 されているが、職業 との関連把握ができる情報 は含 まれていない。 職業別死亡統計 は、英国のウイリアム・ ファー )に よつて19世 紀後半 には じめて作成 され、以後、 “ 英国においてはこの統計が系統的 に作成 されてきてい る0。 また、北欧諸国においては、登録統計制 度 181の 利点 を活用 して、死亡デー タと人ロセンサスデー タ等 をリンクした詳細 な統計が作成 されてい る 0)。 なお、国連 において も、各国か ら幸風 告 された職業別死亡 に関す る統計デー タが蓄積 されてい る が、公表 はされてお らず、 しか も、死因別指標 のない簡単 なものである(10。 「職業 日本 では、古 くは、1951年 7月 ∼1952年 6月 の 1年 間、お よび1954年 ∼1956年 の3年 間について、 男U・ 産業別死亡統計」が作成 され、1960年 、1965年 には「主要死因別訂正死亡率一人 口動態統計特殊報 告―」 の中で、職業別死亡統計が掲載 されている。その後、1970年 以降は、5年 毎 のセンサス年 に合 わ -2- ミクロデータを用いた職業別死亡統計比較の方法 せ て、人 口動態 の各事象 につい て、職業別 の人 口動態統計が作成 される よ うにな り、現在 にい たって い る。 ただ し、本統計 は調査 か ら公 表 にい たる期 間が長 く、最新版 は、 「 人 口動態職業 ・産業別統計」 (厚 生省統計情報部、厚生統計協会 )1990年 版 で あ る。 職業別死亡統計 の 国際比較 に関 しては、デ ー タの質的共通性 があ る北欧諸 国間 の詳細 な比 較研 究 が あ るが 、国 に よ り調査 方法 や階層分類 、指標 が異 な リー般 的 に比 較 は難 しい 。 しか し、 この数年 間、 マ ッケ ンバ ッハ らを中心 に 日本 を除 く欧米諸 国 における職業別死亡 の比較研 究 が すす め られ、最近相 次 いで研究成果が発表 されてい る (11)。 これに対 して、 日本 の職業別死亡統計 に関す る国際比較研究 は きわめて少 な く、最近発表 された公 表統計不U用 の 日英比較 (レ )が特記 される程度 で ある。 しか し、 日本の職業別死亡統計 の場合、公表 された統計表では職業 または産業 の大分類 で しか表章 されていないため、階層間の格差が平均化 され、詳細 な比較がで きない とい う基本的制約がある。そ こで、今回の共同研究 の課題 の一つ として、 ミクロデー タの利用 により、詳細 な比較表が作成 されて い る北欧表 と日本表 との比較可能性 を検討 し、国際比較 を試 みる ことに した。用 い る資料 は、The Central Staistica1 0ffice of the Nordic Countries,OccIIPa″ o12″ ルわ蜂Jfヶ m ttc NoFd」 iC G〕 IIn"es 1971-19θ Q Copenhagen,1988で ある。最新年度 のデー タについては、直接担当者 には確認ができていないが、関係 情報では主 として財政的理由か ら作成が遅れているようである とのことであった。なお、 フィンラン ドに関 しては、1981∼ 1990年 表 と、1971∼ 1991年 表が作成 されてい る。まず、 ここで上記 の北欧表 と の比較 を試み ることによ り、各国の個別表や、最新年次 の北欧四 カ国表 との比較可能性 を検討す る材 料が得 られることになると考 えられる。 北欧表 と日本表 を比較す る上で、具体的な問題点は以下の通 りである。 第一 に、調査方法が異なる点である。前述 のように北欧の統計 は登録統計であるため、死亡統計 と セ ンサスデー タが リンクされ、詳細 な職業や過去 の職業な どとのクロスが可能 となっている。 これに 対 して、 日本の場合はセンサスの調査年 に合 わせた死亡時点 の職業、産業 (届 け出者が申告)を 調査 する方法によっている。そのため、死亡時点ですでに離職 ・退職 していたものは各職業分野 には含 ま れないことにな り、 日本 の職業別死亡統計 は在職死亡のみ しかカバー しない限界 をもつ。 この統計 で は、男女総数で死亡者の約 2割 、男性 のみで も約 3割 しかカバー していない。 第二に、職業分類が異なる点である。北欧比較表 を作成す る場合 には北欧表 の職業分類 は共通 であ るが、北欧各国の独 自表 では必ず しも統一 されているわけではない。 む しろ、利用 目的に対応 して職 業分類が調整 されている。 これ らの国では、上述のようにセンサスデー タとリンクして死亡統計が作 成 されるため、詳細 な職業分類が可能 となってい る。 しか し、 日本表 の場合、職業や産業大分類で し か調査がなされていない (1つ ため、そのままでは比較対象国の詳細 な職業分類に調整す ることがで きな い とい う問題′ 点がある。 第三に、グループ化 されてい る死因分類 の組み合 わせが異なる点である。たとえば、循環器系疾患 経済研究 3巻 4号 につい てみれば、北欧表 では、「循環器系疾患及 び突然死」 となって い るが 、 日本表 では、「心疾患」、 「高 血圧 性疾患」、剛図血管疾患」 となってい る。 しか も、北欧表 に含 まれる急性死亡 に関連す る死 因部 分 は、 日本表で は含 まれてい ない (1の 。 第四 に、比 較指標 が異 なる点である。 日本表 の場合 は、調査期 間 1年 間 の年齢別死 亡 率 と、 これ を 基礎 に年齢構成 の違 い を調整 した標準化死 亡 率 (年 齢調整死 亡 率 )が 用 い られてい る。 これに対 して、 北欧表 で は、調査期 間の期首年 における職業別人 口につい てその後 10年 間 の年齢別 コー ホ ー ト死亡率 か ら計算 した標準化死亡比 (Mr Star2d面 Zedmヶ Raあ )と い う指標 が示 されてい る。 以上の四点の うちで、第一の調査方法 の違 い は調整不可能 な問題 で あ る と考 え られ る。 したが って、 10年 前 の職業 に もとづ く離職 ・退職者 も含 めた死亡統計 (北 欧表 )と 調査 時点 の在職死亡 に関す る統 計 (日 本表 )と い う根本 的な相違 は前提 とせ ざるをえない。 しか し、第三 の死 因 グルー プの違 い につ い ては、詳細 な死 因 の組 み合 わせ による ミク ロデ ー タの再集計 によつて調整が可能 で ある と判 断 され る。 また、 第四 の指標 の違 い につい ては、 一 年 間 の死亡率 とコー ホ ー ト死亡率 とい う根本 的 な部分 の 調整 は不可能 で あ るが 、それ をふ まえた上で標準化死 亡比 (M)へ の死亡指標 の調整 は可能性があ る。第 二の職業分類 の違 い につい ては、 日本 の場合、職業大 分類 で しか調査 されて い ないの で 、北欧 表 と同 じ分類 へ の調整 は不可能 で ある。 しか し、ミク ロ デ ー タを用 い て職業 と産業 の分類 を組 み合 わ せ るこ とがで きれば、近似 的 な調整 へ の道 が ひ らけるのではない か と考 え られ る。そ こで 、比較準備 のための調整作業 は、死 因分類、職業分類、及 び指標 の調整 とい う三 点 にお い て行 な うことになる。 3、 ミク ロ デ ー タ利 用 の比 較 作 業 手 順 職業別死亡統計 の北欧、 日本 の比較研究 は、死因分類、職業分類、指標 の三点 を調整す ることによ つて可能性がひらかれることが分かった。そ こで、 これ らの調整 による比較作業手順 を整理す ると以 下のようになる。 第一の死因分類 の調整 に関 しては、北欧表 の死因グループに含 まれる詳細 な死因について、 これに 対応す る日本 の死因分類組み替え表 を作成する。第二の職業分類 に関 しては、北欧表 の職業分類 をも とに、比較可能性 を検討 しなが ら日本 の産業分類 と職業分類 を組み合わせた近似的な比較調整表 を作 成する。調整上、必要なものについては、北欧表 に関 しても組み替えを行 なう。第三の指標 の調整 に関 しては、北欧表 の死亡指標 である釧石:を 日本 のデー タか ら計算す る。上記 の北欧表 で職業分類 の組み 替 えがなされた場合 は、北欧表についても、その新分類 でMを 再計算す る。 以上の作業が可能な ように集計計画 を作成 し、 ミクロデー タ利用 のための申請手続 きをとる。 さら に、申請が受理 されて ミクロデー タの提供 を受けた場合、地域比較デー タも合 わせて1975∼ 1995年 ま で5年 毎 の約400万 件分 の膨大なデータを処理す るためのデー タ処理計画が必要 となる。 -4- ミクロデータを用いた職業別死亡統計比較の方法 具体的 な作業 の流れを図示すれば、図 1の ようになる。実際 には、 この作業過程 の中で北欧比較表だ けではな く、 フィンラン ド表や ノルウェー表、 さらに国内の都道府県別比較や市町村類型別比較、世 帯 の階層別比較、外国人デー タなど、本共同研究 における様 々な分析 目的に対応 した膨大な作業が並 行 して行 われた。 ② の死因分類 の詳細 な調整作業は、森博美 と筆者が共同で行 い、④ 目的外利用申請 は森 と金子が 中 心に行 った (19。 さらに⑤、⑥ のプログラ ミング作業 と再集計 に関わるデー タ処理、 ミクロデー タ利用 の一連 の作業 の整理 は金子が担当 した。良永 は、 この間、都道府県 デー タの地域比較分析 を行 なって きた。 この過程 の中で、筆者が担当 した部分 は、③ の職業 ・階層分類 の組み替 え調整一覧表の作成 と、 ③ ∼⑪ の過程 で、男女年齢別、産業 ・職業 の組み替 え階層分類毎 の標準化死亡比 (SMR)を 算出 し、 北欧 と日本 の近似的な比較表 を作成す る部分である。 北欧表の死因分類 に対応 させた日本 の死因分類 の組み替 え調整結果 は、表 1に 示す。 図 1ミ ク ロデー タ利用 による職業別死亡統計 の比較作業手順 (北 欧 0日 本 ) ⊃北欧及び日本の職業別死亡統計の入手 ② 北欧表の死因分類 と日本の死因分類の比較調整表作成 ③ 職業・階層分類の組み替え調整一覧表の作成 ④ ミクロデータの詳細な利用計画書の作成と利用申請 ⑤ データ処理の準備 とプログラムの作成 ⑥ ミクロデータの入手と再集計作業 ⑦ 男女年齢別、産業・職業クロス分類別、死因別死亡数クロス表作成 ③ 男女年齢別、産業・職業クロス分類別の就業者数の一覧表作成 )組 み替 え階層分類毎 の年齢別 人口 と死亡数 を算 出 組 み替 え階層分類毎 の標準化死 亡比 北欧 と日本 の近似 的な比較表作成 -5- (M)を 算出 経済研究 3巻 4号 1北 欧表 と日本 表 との死 因分類調整 表 1975年 :ICD8 <>内 がICD8に 1980、 北欧比較表がないので、 ()内 はICD8の 分類に合わせて調整 よる北欧表の分類、下が日本の対応死因 内容 140-149=口 腔および口 因頭の悪性新生物 150‐ 159=消 化器および腹膜の悪性新生物 160‐ 163=呼 吸器系の悪性新生物 170‐ 174=骨 、結合織、皮膚および孝L房 の悪性新生物 180‐ 189=性 尿器の悪性新生物 140‐ 150‐ 160‐ (範 囲内に含まれる中途の欠番記号は該当なし ) 149=口 蓋、日腔及び]因 頭の悪性新生物 159=消 化器及び腹膜の悪性新生物 165=呼 吸器及び胸腔内蔵器の悪性新生物 170¨ 175=骨 、結合織、皮膚及び乳房の悪性新生物 179‐ 189=泌 尿生殖器の悪性新生物 190‐ 199=そ の他及び部位不明の悪性新生物 190-199=そ の他および部位不明の悪性新生物 200‐ 209)=悪 性新 生物 (140… <140‐ 209>〓 悪性新 生物 90年 :ICD9 85、 209=リ ンパ組織および造血組織の新生物 ンパ組織及び造血組織の悪性新生物 200‐ 208=リ <390‐ 458,782.4,795>〓 循環 器系疾患 お よび突然死 459,798)〓 循環器系疾患 お よび突然 死 (390‐ 390… 392=急 性 リウマチ熱 393… 398=慢 性 リウマチ性心疾患 401… 405=高 血圧性疾患 410‐ 414=虚 血性心疾患 417=肺 循環疾患 415… 420‐ 429=そ の他の心疾患 392=活 動性 リウマチ熱 393¨ 398=慢 性 リウマチ性心疾患 400‐ 404=高 血圧性疾患 410‐ 414=虚 血性心疾患 390‐ 420‐ 429=そ の他の心疾患 438=脳 血管疾患 448=動 脈、小動脈および毛細管の疾患 450‐ 458=静 脈お よびリンパ系 の疾患ならびにその他 の循環器 430‐ 440… 430‐ 438=脳 血管疾患 448=動 脈、細動脈及び毛細 (血 )管 の疾患 440‐ 459=静 脈及びリンパ管の疾患並びに循環器系のその他の 系の疾患 451‐ 782.4=心 臓麻痺 795=頓 死 (原 疾患 798=原 因不明の突然死<頓 死 > 因不明) <460‐ 519>〓 呼吸器系疾患 460‐ 470‐ 466=急 性呼吸器系感染 (イ (460‐ 519)〓 ンフルエンザを除 く) 474=イ ンフルエンザ 480-486=肺 炎 490‐ 493=気 管支炎、肺気腫および喘息 500‐ 508=そ の他の上気道の疾患 510‐ 519=そ の他の呼吸器系の疾患 460‐ 470… 480‐ 490‐ 500‐ 510… 呼吸器系 の疾患 466=急 性呼吸器系感染 478=上 気道その他の疾患 487=肺 炎及びインフルエンザ 496=慢 性閉塞性肺疾患及び類似病体 508=じ ん (塵 )肺 症及びその他の外的因子 による肺疾患 519=呼 吸系のその他の疾患 <000‐ 796>=疾 病 計 (000,799)=ヴ む商計 <E800-E827,E940,E941>=交 通事故 お よび後遺症 E800‐ E807=鉄 道事故 E810‐ E819=自 動車交通事故 E820LE823=自 動車非交通事故 E825‐ E827=そ の他の交通機関事故 E940=自 動車事故の後遺症 E941=そ の他の交通機関事故の後遺症 E829,E929。 0,E929。 1)=交 通事故及 び後遺症 (E800‐ E807=鉄 道事故 E800‐ E810… E819=自 動車交通事故 E820‐ E825=自 動車非交通事故 E826-E829=そ の他の道路交通機関事故 E929。 0=自 動車事故の後遺症 E929。 1=そ の他の交通機関事故の後遺症 <E950‐ E959>=自 殺 お よび 自傷 (E950‐ 959)=自 -6- 殺及 び 自傷 ミクロデー タを用 いた職業別死亡統計比較の方法 4、 職 業分 類 の組 み替 え さて、北欧表 は表2の ような形式で表章 されてお り、職業分類 は、小分類 に対応す るもの となってい る。これに対 して、日本 の職業別死亡統計 の職業分類 は大分類 で しか調査がなされていないため、職業 分類 のみでは、北欧表に対応 した組み替え調整 は不可能である。日本 の「人口動態調査」では、職業の 他 に産業 (大 分類)と 世帯の階層 を調査 している。 しか し、世帯 の階層 は、世帯主の階層 で集計 されて い るため、核家族世帯 においては近似的に利用 しうるものの、複合家族世帯 では死亡者 と世帯主 の階 層 に差異が生ず る可能性が高 くなる。そ こで、第一次接近 として、日本表の産業 と職業のクロス による 組み替 え分類 と、北欧表 自体 の組み替 えによる職業分類 の調整 を行なうことに した。その結果 を図2に 示す。ただ し、 この比較調整表 は、職業大分類、産業大分類 とい う制約 の大 きな情報 をもとに組 み替 え を行 なったものであ り、当然、両者の比較可能性が低 い もの も含 んでいるとい う限界 をもつ。 表 2 Jヒ 欧四 カ国SMR比 較表 (全 死因、男子 ) Table A 4ao SMR by∝ cupational groupso Males。 1971-80 Denmark Finland Occupational group 00 101.Technical work 1O2.Medical and nursing work l03.Paedagogical work 104.Religious and juridical work 1O5.Artistic and literarv work lO6.Administrative work 107.Clerical work lO8.Wholesale and retail work work from office/shop 1l0.Farmers and farm managers 11l.Farm work 109.Sales 112.Fishing work 113.Forestry work 1l4.Mining and quarrying 1l5.Ship officers and pilots 116.Deck and engine room crew 1 lT.Transport work(excl.1 18) 1l8.Road transport work 1l9.Post and telecom. work 120.Textile work l2l.Smelting and foundry work IZZ.Iron and metalware work l23.Electrical work 124.Wood work l25.Painting and lacquering work 126.Building work(other group) l27.Graphic work 128.Chemical work 129.Food and tabacco industries l3O.Glass work 13l.Packing, dock work l32.Machine and motor power work l33.Public safety and prot. work 134.Hotel, rest. and waiting work l35.Building caret. and cleaners l36.Rest(unknown included) 137.Military wrok l99.All economically active males (出 所 jん 滋θ肋 〃 ′ εの 4″ jθ s197f一 f98θ “ the Nordic Statistical Secretariat,Copenhagen,1988. )Oε θη α′jο れαJ ν OttJj″ -7- , Norway Sweden Total 経済研究 3巻 4号 図2 職業分類の比較調整組 み替え表 (北 欧、 日本 ) 日本表の分類組み替え 北欧比較表の元分類 と組み替え ― 101.技 術職 ―――――― │ 1102.医 療 ・看護職 11旦 3,教 育職 __ l旦 多.泰 教家及び法律家 ]__一 一引 サー ビス業 を墜三く全産業 *専 門 ・技術職従事者 J サー ビス業 *専 門 ・技術職従事者 105。 芸術家及び著述家、広告制作者 全産業 *管 理的職業 L⊇ ⊆篇理的職業従事者 Lttz.事 務的職業従事者 ― ― ■ __― 一月 全産業 *事 務従事者 0型 1旦 旦 :主 I蒙 り L壼 ⊇百、営菱l外棄員 /fr事 │ 者 │ 全産業 *販 売従事者 109.販 売従事者 農業 *管 理職、事務職、販売職以外の職業従事者 110.農 民及び農業経営者 111.農 業作業者 114.採 鉱 ・砕石作業従事者 1115,船 員及び 盤堕操縦士 11lo.甲 板及び 壁嬰昇琴組員 ) l17.運 輸従事者 (118を 除く 118.道 路運輸従事者 J J 運輸 ・通信業 *運 輸 ・通信従事者 119.郵 便、電信その他通信業務従事者 120.繊維関連及び靴 ・皮革作業従事者 121.精 錬、鋳造作業従事者 122.鉄 ・金属製品加工作業従事者 123.電 気作業者 製造業 *技 能・製造 ・建設 ・労務作業者 124.木 材関連作業従事者 125.塗 装 ・表具作業者 127.製 図・写図工 128.化 学工業労働者 129.食 品 ・たばこ産業労働者 130.ガ ラス関連作業従事者 126.建 築 ・建設作業従事者 132.定 置機関及び電動機作業従事者 131.梱 包、包装、荷役、倉庫作業従事者 133.公 的保安職業従事者 1134.ホ テル、2丞 Lラ ン、塞菱作業従事者 135。 ビル管理△丞至漬曇作塞笙事者 136.そ の他 _J _ 137.軍 人 199.全 経済活動男子 -8- ミクロデー タを用 いた職業別死亡統計比較 の方法 5、 比 較 指 標 SMR(標 準 化 死 亡 比 )の 算 出方 法 北欧表 と日本表 を比較す るためには、北欧表 の表章指標 であるS豚 (標 準化死亡比 または年齢調整 死亡比 とい う)に 日本側 の指標 を対応 させることとす る。 ここで用 いる職業別SMRは 、各職業 グループについて、標準人ログループの死亡率 をあてはめて算 出 した期待死亡数 に対す る各職業 グループで実際に観察 された死亡数 の比率 をもとめ、各職業 グルー プの死亡水準が標準人口に対 してどの程度 の水準 であるかを示す相対指標 である6 SMRは 以下の計算 式 によって算出される。 階層別人口集団 ごの年齢階級 χ(χ ∼χ+4歳 )の 人口 :R,χ 階層別人口集団 ゴの年齢階級 χ(χ ∼χ+4歳 )の 死亡数 :DJ,χ 標準人口の年齢階級 χ (χ ∼χ+4歳 )の 死亡率 :″s,χ とす ると、 Σ BMR= Σ DJ,χ (R,χ ×″s,χ ) 上述 の よ うに、北欧表 と日本表 を比較す るため に、 一 方 で 、 日本佃1の 産業 ・職業分類 の組 み替 えが な され、他 方 で 、 日本側 の表 と調整 して北欧側 の分類 も組み替 え統合 された。そ の際、 日本側 のデ ー タにお い ては、 ミク ロデ ー タの再集計 に よつて得 られた産業 ・職業別 の年齢別死 亡数 の ク ロス ・ デ ー タがあるのでそれ を組み合 わせ 、計算式 (1)を 応用 して釧懸 [を 計算す ることがで きる。 す なわち、男女 、年齢別、産業別 0職 業別 ク ロス表 における年齢 階級 χにお け る産業 と、職業 の組 み 合 わせ 階層 をい くつ か統合 した組み替 え調整階層 の釧ぼ :を 計算す る方法 は次 の よ うになる。た とえば、 階層 θと階層 力を組 み合 わせ た階層 々の死亡数 を a、 同人口 (就 業者数 )を 几 とす る と、そ の階層 の SMRた は、以下 の計算 によつて求 め られる。 SMR々 = Σ a,χ に Σ (几 ×」 ,χ Σ εしχtt Σ 2,χ ,χ ) ΣI(鳥 ,χ (2) ttR,χ )× 4,χ } 同様 の方法 で 、他 の 階層 につい て も、男女、年齢別、産業 ・職業別 の死亡数 と人 口を組み合 わせ る が計算 しうる。 ことによって、それぞれ の組 み替 え階層別 のWロマ 北欧表 の場合 にお い て も、職業分類 を統合 して新 たな階層分類 を行 な った場合、分子 の側 の観察 さ れた実際 の年齢別死 亡数 の合計 につい ては、 (2)式 と同様 の方法 によって、す なわち、元 の職業別年 齢別死 亡 数 の合計 をさらに統合す る ことによつて計算 しうる。た とえば、北欧表 における 2つ の職業 分類 α,bを 統合 した階層別人口集団 た'の 年齢別死 亡数 の合計 であ るΣ 2′ -9- ,χ は、以下 の計算式 によっ 経済研究 3巻 4号 て求 め られる。 Σ atχ =Σ 2,χ +Σ Db,χ ところが 、北欧表 には、職業別 の年齢別死 亡数 の合計 とM、 職業別人口総数 の 3つ の指標が掲載 されて い るのみで あ り、分母 の期待死亡数 の計算 に必 要 な職業別 の年齢別人 口に関 しては、表 には表 示 されて い ない。 したが って 、組 み替 え後 の新 たな階層 の年齢別人 口は求め られ ない こ とになる。そ ×4,χ )を 算 出す るこ とにす る。 2つ の職 こで、直接分母 の年齢別期待死亡数 の合計 で ある Σ (几 ′ ,χ 湯沢 を s″ Rb、 業分類 α,ら にお け る職業別人 口をそれぞれ 鳥 ,χ 、 Pb,χ 、 年齢別死 亡数 を 2,χ 、 Dら ,χ 、 遭 SMRα とす る と、(1)式 よ り、 Σ O%tχ ×4,χ )=Σ O%,χ ×4,χ )十 Σ (Pb,x× 4,χ ) = + (0 となる。 したが って、(3)式 と (4)式 よ り、北欧表 にお け る組 み替 え階層 ″の SMRた ′は、以下 の算式 によって計算 で きる ことになる。 S″IRた ′ = Σ 2,χ tt Σ a,χ + 上記 の (2)式 と (4)式 は3つ 以上の職業、階層 の組 み替 えにおいて も、同様の方法 で計算 で きるの で、 (2)式 を日本側 のデー タ、 (5)式 を北欧倶1の 出瓜:の 計算 に利用す ることにする。 6、 SMRの 比 較 表 の作 成 上記 の死因分類、 職業別死亡統計 の北欧 と日本 の比較 を行 うための作業 として、 職業分類お よび比較 指標 の調整作業が終了 した。そ こで、 これ らの調整 に基づ き実際に比較表 を作成す る作業に取 り組む ことになる。 表3は 、金子 によって作成 された ミクロデー タの再集計結果 の死因別、男女、年齢、産業、職業別 死亡数 の多重 クロスデータの一部である。 この再集計結果 をもとに、上記 の方法でmを 計算す るこ とになる。mの 計算 には、年齢男U・ 職業別の死亡数 と人口が必要であるので、センサスデー タによ り男女、年齢、産業、職業別就業者数のデー タを準備す る。死亡数のデー タは、元の固定長 ファイル形 式のままで も利用可能であるが、通常 のクロス統計表の形式 に変換 してから用 いる方力滞U用 しやすい。 -10- ミクロデータを用いた職業別死亡統計比較の方法 5551 男 5552男 5553男 5554男 5555男 5556男 5557男 5558男 5559男 5560男 5561 男 5562男 5563男 5564男 5565男 5566男 5567男 5568男 5569男 5570男 5571 男 5572男 5573男 5574男 5575男 5576男 5577男 5578男 5579男 5580男 5581 男 5582男 5583男 5584男 5585男 5586男 5587男 5588男 5589男 5590男 5591 男 5592男 5593男 5594男 5595男 5596男 者者者者者者者者者者者者者 事事 事 事事 事 事 事 事 事 事 事 事 従 従 従従 従 従 従 従 従 従 従 従 従 業 業業 業業 業 業 業 業 業 業 業 業 5546男 5547男 5548男 5549男 5550男 酬酬酬蠅酬瞬酬 難発議請書書薪発難発議発発発 酬酬酬蠅蠅鰯 歳歳歳歳歳歳歳 歳 歳 歳 歳 歳 歳歳 歳歳 歳 歳 歳 歳 歳 歳 歳 歳 歳 歳歳 歳 歳 歳歳 歳 歳歳 歳歳 歳 歳 4444444 4 4 44 44 4 4 4 44 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 4 44 4 4 4 4 4 4 4 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5一 5 5 5 5 5一 5一 ¨ 一 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5 5一 一 一 一 ﹄ ﹄ ¨ ¨ 5 5 5 5 5 5 5 ”””””” ” ” ” ”” ” ” ” ” ” ” ” ” ” ” ” ヽ ”” ” ” ” ヽ ヽ ”” ” ” 。。000 0 0000000 0 0 0 。0 0 0 0 0 。00 。0 0 0 0 0 。0 0 0 .0 .0 .5 .0 5 55 5 5 5 5 55 5 5 5 5 5 5 5 5 55 5 5 5 5 555 5 55 5 5 5 5 5 55 5 蜘 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 動 嘲 嘲 嘲 嘲 蜘 嘲 嘲 嘲 動 蜘 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 嘲 蜘 動 申 嘲 嘲 人口動態ミク ロデータの再集計結果 (一 部抜粋 ) 一一男女 、死因別、年齢 5歳 階級別 、職業別、産業別、死亡数―一 崚 崚 嶼 崚 崚 嶼 崚 崚 一 一 一 一 嶼 一 一 姜 中 一 一 一 一 一 一 嘲 表3 1610 14 2 2 4 64 22 7 2 8 160 60 19 7 1 10 9 39 77 51 21 3 37 13 43 88 15 6 5 13 11 34 79 47 43 3 74 16 68 147 39 3 4 3 12 10 18 452 16 23 (注 )本 データは金子治平作成。 これらの準備の上で、作成 されたものが、表4∼ 表8の 比較表である。 表4は 、北欧表 の全死因に関 して職業分類 を組み替え調整 した ものについて、前述 の計算方法 を用 いてmを 算出 した表である。 表 5は 、同様 に全死因に関 して、北欧表 と近似的に比較可能な ように日本側 のデー タについて階層 )分 類 を組み替え、や は り前述 の計算方法 を用 いてSMRを 計算 した ものである。 (産 業 ・職業 クロス この表 における標準人 口の死亡率は、北欧表 と同 じく北欧四 カ国の年齢階級別死亡率 を用 いてい る。 各職業 におけるSMRの 水準 が非常 に低 いのは、 日本 の職業別SMRは 在職死亡の状況 しか示 してい な いためである。北欧表 のデー タは10年 前 の職業 にもとづいてお り、離職者や退職者が含 まれてい る。 が観察 される。 そのため、日本 の場合、無職層 で非常 に高い劇Иて 表 6は 、 日本 の内部 における職業間のMの 差異 を明確 にするために、 日本 の就業者総数の死亡率 を基準 としたS豚 を計算 したものである。 この表では、それぞれの内部での階層間の相対的格差が観 察 されるだけで、北欧表 と日本表 との直接 の比較 はで きない。 一 -11-一 経済研究 3巻 4号 表 7は 、死 因別死亡 の 中で、北欧 に関 して、「循環器系疾患及 び突然死」 を取 り上 げ、死 因別 のM の比較 を行 なった ものである。 表 8は 、表 フと同 じ死 因 に関 して 日本 のSMRを 計算 した もので あ る。 この表 で は、表 6と 同様 に北 欧表 と 日本表 のMの 直接比較 はで きず、それぞれ の 内部 の 階層 間格差 を観察す るのみで ある。死 因 別死亡 に関 しては、北欧表 にお い て北欧四 カ国 デ ー タの年齢別死 因別死亡率が標準 人 口の死亡 率 とし て用 い られてい るが 、比較表 を掲載 した報告書 には、死 因別年齢別死 亡 率 は示 されて い ない。 したが って、同報告書 の情報 の範囲内で比 較作業 をす る場合、 ここ までが限界 とい うことになる。 表4 Jヒ 欧四 ヵ国における階層別 SMR(1971∼ 80年 、全死因、職 業分 類組み替え表 ) Denmark Finland 組み替え職業分類 199全経済活動男子人口 101技 術職 102医 療、 103.教 育、 104法 律、 105芸 術 104 88 106.管 理的職業従事者 107.事 務 的職 業 従事 者 108.卸 売 り 。小売 り商、 109販 売従事者 0農 民、 111.農 業作業者 3林 業 126 建築 。建設作業従事者 131 梱 包 、包 装 、荷 役 、倉 庫作 業従 事者 133 134 135 表5 106 105 133 107 94 136 94 84 120.繊 維 、 121製 錬 、 122金 属 、 123電 気 、 124.木 材 、 125塗 装 、 127.製 図、 128化 学 、 129.食 品、 130ガ ラス 関連作 業従 事 者 100 103 80 84 104 5.船 員、 116乗 組員、 117運 輸、 118道 路、 9,郵 便 80 83 106 120 4.採 鉱 ・砕石作業従事者 100 35 23 24 73 76 75 2.漁 業 Norway Sweden 33 00 00 05 89 106 109 102 88 OC 97 97 E 公的保安職業従事者 ホテル、 レス トラン、家事作業従事者 ビル管理人及び清掃作業従事者 09 107 56 93 42 1フ 12C ]30 106 138 98 日本における階層別SMR(1980年 、全死因、産業・職業分類組み替え表) 一―北欧四カ国の経済活動人口を標準人口とした死亡率を利用―― 20∼ 64歳 階層 (産 業 *職 業 ) 人 口総 数 就業者総数 サービス業を除 く全産業 *専 門・技術職従事者 サ ー ビス業 *専 門 ・ 技 術職 従 事者 全産業 *管 理的職業従事者 全産業 *事 務従事者 *販 売 従 事者 農業 *管 理、事務、販売職以外の職業従事者 漁業 *農 林漁業作業者 林業 *農 林漁業作業者 鉱業 *採 鉱 ・採掘作業者 運輸 ・通信業 *運 輸 ・通信従事者 製造業 *技 能 ・製造 。建設 ・労務作業者 建設 業 *技 能 ・製造 ・ 建設 。労務作 業 者 運輸 ・ 通 信業 *技 能 。製造 ・ 建設 ・ 労務作 業者 公務 *保 安職業従事者 全産 業 (卸 。小売業 +サ ービス業)*サ ービス職従事者 サービス業 *技 能 ・製造 ・建設 ・労務作業者 -12- 20∼ 64歳 SMR 222,063 199,890 5091 2],093 8,775 10,783 22,211 23,94フ ],373 23,817 2,392 544 337 858 285 3,532 8,878 7,956 7,552 31,783 20,765 780 549 3,42] ],202 38,944 無職 20∼ 64歳 Σ(PLX*MS,x) 12],374 82,430 3,436 2.225 2 2 2,O12 5,943 6,040 221フ 4 = ミクロデータを用いた職業別死亡統計比較の方法 表6 日本 における階層別 SMR(1980年 、全死因、産業 ・職業分類組み替え表 ) 一一 日本の就業者総数 を標準人口と した死亡率利用一一 20∼ 64歳 20∼ 64歳 Σ(Pi,X*Ms,x) SMR Σ Di,x 9],182 121,374 82,430 82,430 l,339 3.436 257 2,225 4,652 20∼ 64歳 階層 (産 業 *職 業 ) 人 口総 数 就業者総数 サー ビス業を除 く全産業 *専 門 。技術職従事者 サー ビス業 *専 門 。技術職従事者 全産業 *管 理的職業従事者 全産業 *事 務従事者 *販 売従 事 者 農業 *管 理、事務、販売職以外の職業 *農 漁業 林漁業作業者 林業 *農 林漁業作業者 鉱業 *採 鉱 ・採掘作業者 運輸 ・通信業 *運 輸 ・通信従事者 製造業 *技 能 ・製造 ・建設 ・労務作業者 建設業 *技 能 ・製造 ・建設 。労務作業者 運輸 ・通信業 *技 能 ・製造 ・建設 ・労務作業者 公務 *保 安職業従事者 全産業 5,091 8528 8,775 10,783 12.119 9,262 9,929 ],373 977 346 9382 544 337 120 3213 3,532 8,878 7,956 13,233 780 l,333 8,64] 883 。小売業 +サ ー ビス業 )*サ ー ビス職従事者 (卸 サービス業 *技 能 ・製造 ・建設 ・労務作業者 無職 3,421 2.469 1202 2481 38,944 8,752 表7 Jヒ 欧四カ国における階層別SMR(1971∼ 80年 、循環器系疾患及び突然死) 組み替え職業分類 199全 経 済 活動男 子 人 口 101技 術 職 102.医 療、 103教 育、 104法 律、 105芸 術 Denmark 94 84 106.管 理 的職業従 事 者 107.事 務 的職 業従 事 者 108.卸 売 り 。小売 り商、 109販 売従事者 110農 民、 111.農 業作業者 112.漁 業 113林 業 114採 鉱 ・砕石作業従事者 115船 員、 116乗 組員、 117.運 輸、 118道 路、 119郵 便 120繊 維 、 121製 錬 、 122.金 属 、 123,電 気 、 124.木 材 、 125.塗 装 、 127製 図、 128.化 学 、 129.食 品 、 130ガ ラス関連作 業従 事 者 126 36 55 35 09 9E 133 表8 Sweden 98 79 85 94 87 77 100 106 108 98 106 106 77 73 76 82 96 97 97 146 102 8∈ 153 97 建築 ・建設作業従事者 公的保安職業従事者 ホテル、 レス トラン、家事作業従事者 ビル管理人及び清掃作業従事者 Total Nonruay 10C 131.梱 包、包装、荷役、倉庫作業従事者 134 135 Finland 42 22 107 107 103 82 100 04 OC 09 86 04 11 95 日本における階層別SMR(1980年 、循環器系疾患及び突然死) 一一 日本の就業者総数を標準人口とした死亡率利用一一 20∼ 64歳 20∼ 64歳 Σ Di,x Σ(Pi,x*Ms,x) SMR 27,423 36,380 24,719 24,719 994 377 264 20∼ 64歳 階層 (産 業 *職 業 ) 人 口総 数 就業 者総 数 サー ビス業を除 く全産業 *専 門 。技術職従事者 サービス業 *専 門・技術職従事者 全産業 *管 理的職業従事者 全産業 *事 務従事者 全産 業 *販 売従 事 者 豊業 *管 理、事務、販売職以外の職業 漁業 *農 林漁業作業者 林業 *農 林漁業作業者 鉱業 *採 鉱 ・採掘作業者 運輸 ・通信業 *運 輸・ 通信従事者 製造業 *技 能 ・製造 ・建設 ・労務作業者 建設業 *技 能 ・製造・ 建設 ・労務作業者 運輸 ・通信業 *技 能・ 製造 ・建設 。労務作業者 公務 *保 安職業従事者 ・小売業 +サ ー ビス業)*サ ー ビス職従事者 サー ビス業 *技 能 ・製造 ・建設 。労務作業者 689 4063 2,710 21718 2,887 3,044 895 924 2,699 2,340 3,908 2,563 207 392 235 1,550 2,468 3,290 277 156 (卸 l,068 327 736 無職 11,661 2,704 -13- 経済研究3巻 4号 かな りの制約があるとはい え、 これまで国際比較へ の利用 が難 しかった日本の職業別死亡統計が、 このような利用可能な形 に整理 された意義 は否定で きないであろ う。 たとえば、表 7に よれば、循環 器系疾患及 び突然死 でみた場合、北欧では、専門職、技術職従事者や管理職のMの 低水準 と「ホテ ル、 レス トラン、家事作業従事者」 の高水準が対照的である。 さらに、その一方で各種 ブルーカラー 層 の相対的高水準が観察 される。 と くにフインラン ドではその傾 向が顕著 である。 ところが、表8の 日本の場合は、サービス業 の専門・技術職や管理職 の相対的低水準 は北欧 と共通 であるが、サ ービス 業以外 の専門・技術職 の高水準 が 目立 っている。 このデー タか らは、過労性のス トレス性疾患 との関 連が示唆 されているとも考 えられる。また、ブルーカラー層、 とくに製造業 におけるMの 相対的低 水準 も特徴的である。いずれ にしても、制約が大 きい とはい え、 この比較表が観察者 に一定 の新 しい 事実情報 を提供す ることは間違 い ないであろ う。比較結果の詳細 については、研究成果報告書 『死因 別死亡の社会経済的特性 に関す る研究』 (1999年 3月 )を 参照 されたい。 7、 むすび 本稿 では、人口動態 ミクロデー タを用 いた職業別死亡統計 の国際比較の方法 について、北欧表 と日 本表 の比較を例 に、その試みを行なった。 これまで、 日本 の、職業別死亡統計表 として公表 された報告書 のデー タでは、北欧表 との比較 は不 可能であった。 しか し、死 因分類、職業分類、比較指標 の調整 に基づ くミクロデー タの再集計 によっ て一定の制約下で近似的に比較可能な統計表が作成 されうることが示 された。 この作業 によって、 ミ クロデー タの利用 は、膨大な予算 と労力、時間 をかけて調査 された統計デー タを最大限有効 に生かす ための重要な方法であることが明確 になったと思われる。 このような有効 なデー タを一部 の限 られた 者 だけが利用するのではな く、今後国際動向 をふまえ、個人のプライバ シー保護 を前提 とした ミクロ デー タの学術利用 の道 を積極的 に検討すべ きであると考 えられる。また、その他 の分野 での利用 にお いても必要 とされるクロス集計 のサービス提供 なども検討課題 であろう。 ここでは、国際比較 を北欧表 との比較 に限定 して、 しか も既存 の報告書 を用 いたため年度 も古 い も のを利用せ ざるをえなかった。 また、死 因別 の釧瓜 tの 比較においては、北欧 と日本 の直接比較がで き ない とい う制約 もあった。 しか し、比較年度 の問題 は、個別 の国では新 しいデー タも公表 されてお り、 ここで用 いた方法 を応用することで、最新年度 についても近似的な比較の可能性があると考 えられる。 また、死因別 の出石tを 比較するために必要 な標準人口の死因別 の年齢別死亡率 については、基本的な デー タであるので、今後、報告書以外 の情報源や直接北欧表 の担当者 を通 じて入手可能性 を検討 した い と考 えている。 さらに、ここでは調整 の方法がなかった コーホー ト死亡率 と期間死亡率 の関係 について も改善の方 -14- ミクロデータを用いた職業別死亡統計比較の方法 向 を検討すべ きである と思 われる。死亡時点 の職業 を調査 す るこ との意義 は在職死亡 の状況 を把握す る上で重 要 な ことで あ る。 しか し、離職者 や退職者 に死亡者が多 く、死亡者 の7∼ 8割 が捕捉 で きない ままでは、本統計 の価値 が大 き く低下す ることになろ う。当面 の具体 的 な改 善方向 としては、 lo年 前 の職業、あ るい は5年 前 の職業 を調査 (申 告時点 で記入 )す ることで、死亡水準 に大 きな影響 を与 える 離職者 ・退職者 も含 めた死亡状況が把握 される ことになるのではない か と考 え られる。 た とえ、調査 が 困難 で部分 的 な情 報 しか得 られない場合 で も、得 られたデ ー タか ら無職 死亡者 の前職分布 を推計す る材料 が得 られ る。調査方法 の難 しさや利用 上 の 限界 はあ るが 、実現す れば現状 と比 べ てかな りの改 善 になる もの と思 われる。 さらに、将来的 には ヨーロ ッパ 諸 国 の よ うに コー ホ ー ト死亡率 を把握 す る 方向へ の検討が求 め られる。 職業 につい て も大分 類別 の死亡では、内部 の格差 が平均化 され、実態 が詳 しく把握 しえない ことにな る。 日本 の職業別死亡統計 にお い て も、か つ て職業 中分類 まで調査 して い た こと もあ り、 よ り詳細 な 調査 につい て検討 を期待 したい。 付記 本研究 は、1998年 度及び1999年 度の厚生科学研究「統計情報高度利用総合研究事業」 の研究費補助 を受けてすすめられた。 -15- 経 済研 究 3巻 4号 注 ) (1)Web Siteア (2)」 マ ンチ ェ ス ター 大 学 ド レ ス は 、 エ セ ッ ク ス 大 学 http://WWW.essex.acouk/、 G"Sus OfPopuFalJior2を "θ E)ivison,Washington 切ご肋 ■ 理 Pablic I1/se h岬 ://WWW.mcc.ac.uk/ め″StteS,UoS.Department of Commerce,Bureau ofthe Census,Dtta User Selvices И αο 。 (3)松 田芳郎「統計情報活用のフロンティアの拡大の総括的研究 ミクロ データによる社会構造解析 1996年 度報告書」 1997年 。同 「ミクロ・デー タ活用 の社会的基盤」、『統計』47巻 2号 、1996年 。特定領域研究「統計情報 のフロンテイアの拡大」A02「 ミクロデー タ利用の社会制度上の問題」計画 ・公募研究班 『ミクロ統計 データの現状 と展望』1999年 2月 、等を参照。 アメリカにおける ミクロデー タ利用 に関 しては、同重点領域研究の成果 の一つであるジェラル ド・W。 ゲーツ (セ ンサス局)、 伊藤 陽一訳 「センサス局 の ミクロデー タ」「回答 の匿名性 を保護 しなが ら有用な研究デー タを提供す る」『アメリカ合衆国センサス局 に おけるミクロ統計データの秘匿性保護措置 (翻 訳)』 法政大学 日本統計研究所、1998年 3月 を参照。 (4)本 研究 の中間報告「人口動態統計 ミクロデー タの利用」に関 して、経済統計学会第42回 全国総会 (1998年 9月 9日 、東北学院大学) 使用申請の手続 きと問題点、個票集計上の技術的特 において共同研究者である金子治平が研究チーム を代表 して報告 した。 目的タト 徴、個票利用によってもたらされる利点 と限界等については、当日配布 された資料 にそつて金子が詳 しく報告 した。 (5)藤 岡光夫 「労働 と健康 に関す る統計」経済統計学会 『統計学』第69・ 70合 併号、1996年 参照。 (6)広 岡憲造「ビク トリア朝統計改革 とウイリアム・ ファー ーー戸籍本署 における活動を中心 として――」『経済学論集』北海学園 大学、41巻 4号 、1994年 。杉森滉一「生命 。社会統計 と確率一 ケ トレー、 フアー、ベ ルテイヨン父子一」R.ク リューガー、他編、 近昭夫、他訳 『確率革命―社会認識 と確率―』梓出版、1991年 参照。 (7)OfFlce ofPopulatloll Censuses and Sulveys,Occupa″ (刀 ″MoraJJityp DecmaF suppFemer2ι 」 979-θ Q DS No.4,London:IIMSO,1986 1982-6こ (8)工 藤弘安 「レジスターベースの統計制度」『研究所報』No.16、 法政大学 日本統計研究所、1989年 。 (9)Ve巧 O Notkola,Airi Pttunen,Paivi Leino― Attas,OCCupa」 "″ Finland,IIelsinki,1997.Tapani Valkonellm,Tutta Maltelin,鋼 珈 "d1981-9a statisucs Finland,Helsinki,1993.Jens― M勧 胤ily by Cbusc h E測 "dゴ maJ節 ♭″幌 StatiSics υC m"筋 ヶ d脆 olCes h gc(刀 ο ゴ c by Occtta″ (刀 ar2d SOC」 ‐ “ 9″ -1"I“ d a Rimpela,Ve10 Notkola,Soili Savcla Soclio― msdan Borgan og Lars B.Kristfersen,幽 ″fヶ GЮ 叩 加 NopaJ/197a-198a central Bureau ofStatistics ofNolway,OSLO,1986。 Occ‐ IIPa″ ccor2ω iο (10)ニ ユーヨー クの国連続計局人口統計課には、エ ジプ ト、バハマ、キユーバ、 コス タリカ、フイリピン、香港、オース トラリア、 ニュージーラン ドなど開発途上国も含 めた各国の職業別死亡統計 のデー タが1970年 以後蓄積 されている。 (11)Kunst,AE,Groenhof F,Mackenbach,JP,EU Working Group on S∝ io― Economic lnequalides in Hcalth,Moiality by occupational class alnong cfゴ sα α lcC"dmedchQ Vol.46,Issue ll,1998. men 30 to 64 yearsin ll European counmes,sο Kunst AE,Groenhof F,Mackenbach,JP,ct al.Occupational class and ischelrllc healt disease mortality in the United States ald l l Ellropean countries, Am畿祖 」om2″ OFPattclcaftt V01.89,Issue l,1999。 なお、職業別死亡統計の国際比較に関する研究動向 については、別稿で詳 しく紹介 ・検討す る予定である。 (12)Kagamimori S,Matsubara I,Sokaima S,sekine M,Matsukura T,Nakagawa H,Naruse Y,The Comparative Study on Occupational Mortality,1980 between Japan and Great B五 tain.丘 ldus加 ″reaf働 ,No.36,Issue 3.1998. なお、 日英比較研究の先行研究には、松原勇、他 「 日英の職業別主要疾患死亡の比較研究一一職業別生命表 とSMRの 共通因子 の 検討一一」『民族衛生』 日本民族衛生学会、40巻 10号 、1989年 がある。 「職業別、産業別死亡統計」によれば、職業中分類別の死亡が調査 (13)現 在 の調査 は大分類 のみの調査 であるが、1951∼ 52年 調査、 されている。 (14)ICD9に よる死因分類 で、782.4=心 臓麻痺 と795=頓 死 (原 因不明) (15)指 定統計調査 の調査票の 目的外 申請 は、森、金子 の両名が中心 に行なったが、 この間の細かな内容 の検討、修正等で予想 をは るかに超 えるかな りのエ ネルギーを費やす ことになった。指定統計調査調査票申請要領、第一条 によると、目的外利用の場合、 申 」 と規定されている。目的外申請 の流れは、<調 査実施 請書を「調査 の実施者を経由して、総務庁長官に提出 しなければならない。 者 (厚 生省)ヘ ロ的外利用 を申請 >(再 集計 の場合には、各表 ごとに詳細 な集計項 目を明記す る必要があるので、事前 に情報や分 析 内容 を整理 しておかねばな らない)、 <調 査実施者 による審査 >、 <所 属機 関の長 による最終的申請 >、 <総 務庁 による審 査 >、 <調 査実施者を通 じた承認通知、官報公示 >、 <使 用 >、 <使 用後 の処置 >と い う流れになっている。なお、官報公示では、 1998年 3月 20日 付け、第23僻 号 に、デー タの直接利用 は、神戸大学 の金子治平が行なうことが明記 されてお り、利用デー タに関 して は厳 しい制限がある。 -16-