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リブ付き射出成形平板のそり発生メカニズムと繊維配向 Warpage

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リブ付き射出成形平板のそり発生メカニズムと繊維配向 Warpage
リブ付き射出成形平板のそり発生メカニズムと繊維配向
Warpage mechanism due to Fiber Orientation in ribbed plate
(金沢工大) ○ (学) 道井 貴幸 (正) 山部 昌
(ポリプラスチックス(株)) (賛) 大塚 弘己 (賛) 青木 現
Fiber orientation is an important factor to explain mechanical properties in FRTP Injection molding
products. Moreover, fiber orientation often causes warpage deformation. In this research, a ribbed plate was
used to make clear warpage behavior (direction and amount), and the mechanism of warping was examined
on the basis of observation results.
Key Words: Fiber orientation/Warpage deformation/Injection molding
1.緒 言
射出成形品におけるそり変形は,成形品形状や
材料によって影響を受け,それぞれの場合でそり発
生メカニズムが異なる.特に,繊維強化した材料を
用いる場合では,繊維配向状態が収縮異方性の原
因となってそりが助長されてしまうことが少なくない.
これまで,リブ付き平板を用いてゲートの違いや繊
維の有無によってそり変形挙動を明らかにし,その
発生メカニズムについて検討してきた.成形品各所
での繊維配向観察から,成形品平板部とリブ部で繊
維配向状態が異なることによる成形収縮量の差が変
形の主要因であることがわかった1).これらの結果か
ら,リブ部での繊維配向状態を決定付ける因子を明
らかにすることがその発生メカニズムの解明における
もっとも重要な課題であると考えている.
本報告では,リブ付き平板内での繊維配向状態
がそり発生メカニズムに与えている影響について,
成形品各所における繊維配向観察や成形品を逐次
除去したときの変形量測定から検討した.
2.供試材料および成形品形状
2.1 供試材料
本研究では,ポリブチレンテレフタレート(ポリプラ
スチックス(株))の DURANEX®2002(以下 PBT と略
記)と繊維強化グレードの DURANEX®3300(以下
PBT-GF と略記)を用いた.PBT-GF の繊維含有率は
30wt%である.
Takayuki MICHII*, Masashi YAMABE
Department of Material Design Engineering,
Kanazawa Institute of Technology.
Hiroki OHTSUKA,Gen AOKI: Polyplastics Co. Ltd.
*3-1 Yatsukaho, mattou, 924-0838, Japan,
Te l . 0 7 6 - 2 7 4 - 9 2 5 0 , F a x . 0 7 6 - 2 7 4 - 9 2 5 1
E-mail: [email protected]
2.2 成形品形状
成形品は,200×50mm の平板の成形品長手部
分に高さ 4mm のリブを設けたリブ付き平板(Fig.1)を
用いた.リブ厚みは平板部と同様 2mm である.
また,ゲートはサイド(短辺側),ピンの2種類を選
択できる.
Fig.1 Shape of Test piece (ribbed plate)
3.成形品一部除去時の変形量測定
3.1 そり量の測定方法
Fig.2 に示すように成形品長手方向に等間隔に 10
分割し,端点を含む 11 点について変位量の測定を
行った.成形品長手方向の一辺(中心部)をそり量
評価位置とし,サイドゲート側を測定位置1とした.
また,Fig.3 に示すように成形品から2mmずつ分
割し,各番号を示した位置を両側から除去した際の
変形の変化量を測定した.測定はレーザー変位計
(KEYENCE 製)を用いた.
Fig.2 Measurement position of warpage
Fig.3 Method of removed
3.2 変形量測定結果
Fig.4 に,ピンゲートの場合の成形品逐次除去時
の変形量測定結果(#5 部分まで逐次除去時)を示
す.リブ凸の変形をマイナス・平板凸の変形をプラス
とそり方向を定義し,リブ付き平板(除去前)のそり変
形量を図中に示した.グラフ横軸に除去個所,縦軸
に成形品除去時の相対変形量を示す.相対変形量
とは成形品の初期変形量を−1.0 として逐次除去後
の変形量を除したもので,値が小さくなるほど変形が
取り除かれた(緩和)と考える.
測定結果から PBT では#1・#2 除去時にそれぞれ
ほぼ同等量の変形量が大きく緩和された.#3 除去
時には#1・#2 と異なり変形量が増大する結果となり,
#4・#5 を除去しても大きな変化が見られなかった.
これに対し,PBT-GF では#1 を除去してもほとんど
変形量は変わらなかったが,#2 除去時に変形量は
大きく減少した.また,#3 除去時は#2 の時とほぼ同
等の値にとどまり PBT の場合に見られたような変形
量の増加は見られなかった.さらに除去を繰り返して
(#4・#5 除去)も変形量は大きく変化しなかった.
これらの傾向はサイドゲートでも同様であり,結果
から形状因子による繊維配向状態や冷却速度分布
への影響を検討することができると考えた.
4.2 PBT-GF での変形メカニズムについて
PBT-GF では,#2 除去時に変形量が大きく減少し
たことから変形要因にもっとも影響を与えている部分
はコーナー通過直後のリブ部であると考えられる.
Fig.6 に示すように中心層付近(表層から 0.7mm 程
度)での繊維配向状態はは平板部の無配向に比べ,
リブ部では成形品長手方向に強く配向している.ま
た,Fig.7 に示す断面観察結果から,中心層にみら
れる成形品長手方向への配向層部分がコーナー通
過により増大している.これにより,コーナー通過前
後で成形収縮差が発生し,リブ凸のそりが発生した
ものと考えられる.
Fig.5 Difference in Fiber orientation between plate
and ribs (PBT-GF Pin gate)
Fig.4 Relaxation of warpage deformation by removed
(Pin gate)
4.そり発生メカニズムと繊維配向
4.1 PBT での変形メカニズムについて
PBT では,リブ部端部(#1)で板厚方向からの冷
却を含む 3 面からの冷却を受けており,その他のリブ
部分との間に冷却速度差による成形収縮差が生じ
ていることが推測できる.#1・#2 除去時にほぼ同等
の量の変形が緩和されていることから,変形要因はリ
ブ端部から平板部にかけてのリブ部全体に存在する
と考えている.また,#3 の位置ではコーナー内側・
外側で熱だまりによる特有の温度分布が生じており,
他部分と異なる冷却速度分布を生じていたため除去
時に変形量が増大したと考えられる.#4,#5 除去時
に変形量が変化しなかったのは,変形要因になるよ
うな温度分布が無かったためと考えている.
Fig.6 Fiber orientation in corner (PBT-GF Pin gate)
・
・
1)
5.結 言
PBT と PBT-GF でリブ部分から逐次除去を行っ
た際の変形量の緩和パターンが違うことから,繊
維の有無によって変形要因が存在する部分が
異なるといえる.
PBT-GF で#2 部分除去時に変形量が大きく減
少したことから平板部・リブ部の繊維配向状態差,
特にコーナー通過直後の部分(リブ部#2 部分)
と平板部との繊維配向状態差によってそりが発
生しているといえる.
参考文献
道井 貴幸他:成形加工年次大会‘02 予稿集,
Ⅱ203, P.89(2002)
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