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ユニット3(東アジア地域班)が中国山西省を調査しました

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ユニット3(東アジア地域班)が中国山西省を調査しました
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龍谷大学アジア仏教文化研究センター ニューズレター
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A
2011年度
2号
第
通巻第3号
sia
ユニット3(東アジア地域班)が中国山西省を調査しました
2011 年 8 月 18 日∼ 8 月 31 日(14 日間)、佐
藤智水・市川良文・長谷川岳史・倉本尚徳・赤羽
奈津子を中心に、大学院生数名を伴って中国山西
省に残る仏教造像銘の調査を実施した。山西省に
残る仏教造像銘の調査は、数年来、継続して行っ
てきた。調査の目的は仏教造像銘の調査・移録と、
中国仏教界の現状について直接僧侶から聞き取り
調査を行うことにあった。
今回の調査は、山西省太原市から和順県・楡社
県・高平市・沁水県へと南下し、そこから沁源県
を経由し、汾水沿いに平遙県・文水県・交城県・
太谷県へと北上して太原市へ戻るルートを取り、
楡社県円子山石窟にて
北朝から隋代の仏教造像銘を中心に調査・移録を行った。29 日には文水県博物館館長の高秀平氏の案内により、武
則天廟や近年の県の調査で提示された曇鸞の墓などを見学し、その後、交城県の玄中寺に向った。
玄中寺は 2008 年にも一度訪れているが、今回は僧侶からの直接の聞き取り調査が訪問の主要な目的であった。そ
こで、玄中寺住職の悟征法師から寺院生活や運営の概要などを紹介していただくと共に、現代中国における仏教の
役割とその意義や将来性について、質疑応答の形で意見の交換を行った。その中で、中国の仏教は寺院中心の仏教
布教が主であること、寺院を訪れる人々の相談や依頼の大半が家内安全・身体健康などの要望ということが現状で
あって、社会に対して釈迦の教えの本質を投げかける機会が少ないことが課題である、との話を伺った。また若手
僧侶の育成については、伝統的なやり方のみでは現代社会にあわないとよく言われるが、現代に適応する相応しい
方法が見つからず、一方で完全に現代社会に従うと仏教の伝統文化の良いところがなくなってしまうことが問題で
あるという話を伺った。
その後、31 日に太原から北京を経由して帰国し、今回の調査は終了した。
今回の調査では北朝仏教石刻の調査・移録と同時に、玄中寺において住職から直接聞き取り調査を行ったことに
より、中国仏教界の現状の一端を垣間見ることができた。本プロジェクトの重要な課題である仏教の持つ現代的意
義と可能性を追求するためにも、今回の調査で得られた成果は大きな意味を持つと考える。
トユク石窟
2011 年度 全体研究会「エンゲイジド・ブディズム Ⅲ」 第3回 全体研究会
エンゲイジド・ブディズム(Ⅲ)
報告題目:アメリカ仏教におけるエンゲイジド・ブディ
ズム(社会参加仏教)―その宗教的動機
開催日時:2011 年 10 月 13 日
(金)17:00 ∼ 19:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室
報 告 者:ケネス田中(武蔵野大学教授)
コメンテーター:佐藤智水(龍谷大学文学部特任教授)
参加人数:33 人
レスの体験をしながら座禅を行うなど、日本では見られない活動
について紹介がなされた。
概して、アメリカ社会には宗教への期待感が多く見られるが、
その背景にはユダヤ・キリスト教社会に共通して見られる「正義
観(平等・博愛主義)」がある。そのようなアメリカ社会に、人間能
力の可能性や、批判精神を重視する仏教の考え方が受け容れられ
たのではないかと、田中氏はアメリカ社会で仏教へ改宗した人々
に見られる特徴から指摘した。
以上、アメリカ社会に溶け込んでいる仏教について説明した上
で、さらに修行の実践をかねた社会体験や、社会問題への提言な
2011 年度の全体研究会として「エンゲイジド・ブディズム」をテー
マに 4 回にわたる講演会を開催いたしました。そのうち第 3 回の
概要をご紹介いたします。
ど、社会へ参加する仏教徒の現状が報告された。インドのダリッ
トの仏教改宗運動、タイの宗教間対立問題などとは、異なる様相
をみせるアメリカのエンゲイジド・ブディズムの姿を確認でき、
日系人の仏教が先細りになる一方でアメリカ社会に吸収されつ
【報告の概要】
最初に、アメリカ仏教に偉大な影響をもつティク・ナット・ハン
師は、エンゲイジド・ブッディズムは特別なものではなく、仏教
そのままであると見ていることを紹介し、その後、仏教団体やそ
の活動内容を取り上げた。超宗派で約 4000 人 の会員を抱えアメ
リ カ 国 内 に 39 支 部、世 界 に 12 支 部 を も つ Buddhist Peace
Fellowship の存在や、機関雑誌『Turning Wheel』
が、アメリカの社
会問題、世界情勢などとならんで、仏教をテーマとして取り上げ
るなど、アメリカ社会の中で仏教は定着しつつある。
さらに、リチャード・ギアやジョアナ・メイシー、バーナード・
グラスマン、アルフレッド・ブルームなどアメリカ社会で活動す
る人の理解や、社会参加の方法が取り上げられた。たとえば、バー
ナード・グラスマンの活動では、一人 5000 ドルを払ってホーム
つあるアメリカ仏教の様子は、今後の日本仏教を考える上で参考
になる。
2011 年度 活動報告
第 1 回 研究総会
東アジアの国家と仏教 Ⅲ
開催日時:2011 年 4 月 23 日(土)14:00 ∼ 17:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎清風館 3 階 301 室
参 加 者:22 人
本号に概要を掲載しています。
■ユニット 1(南アジア地域班)
第 2 回 研究総会
第 1 回研究会
開催日時:2012 年 2 月 23 日(木)13:30 ∼ 15:15
開催場所:龍谷大学大宮学舎清風館 3 階 301 室
参 加 者:20 人
報告題目:A Study on the Causes of the Reformation of
Theravāda Buddhism in Bangladesh
(バングラデシュにおける上座部仏教復興の背景)
開催日時:2011 年 4 月 26 日(火)16:45 ∼ 18:15
開催場所:龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室
報 告 者:ディリップ・クマル・バルア(バングラデシュ
■全体研究会
第 1 回 エンゲイジド・ブディズム(Ⅰ)
報告題目:ベトナム戦争下におけるエンゲイジド・
ブディズム(社会を作る仏教)
−国民国家の形成と仏教−
開催日時:2011 年 7 月 13 日(水)13:00 ∼ 14:45
開催場所:龍谷大学大宮学舎本館講堂
報 告 者:阿満利麿(明治学院大学名誉教授)
参加人数:95 人
参加人数:14 人
第 2 回 エンゲイジド・ブディズム(Ⅱ)
報告題目:Retrospect and Prospect of the Engaged
Buddhism
(エンゲイジド・ブディズムの経験と展望)
開催日時:2011 年 7 月 25 日(金)15:30 ∼ 17:00
開催場所:龍谷大学 大宮学舎 清和館 3 階ホール
報 告 者:スラック・シワラック(Sulak Sivaraksa)
参加人数:62 人
第 3 回 エンゲイジド・ブディズム(Ⅲ)
本号に概要を掲載しています。
第 4 回 エンゲイジド・ブディズム(Ⅳ)
報告題目:エンゲイジド・ブディズムの課題
開催日時:2011 年 12 月 15 日(木)10:45 ∼ 12:45
開催場所:龍谷大学大宮学舎清和館 3F ホール
報 告 者:阿満利麿(明治学院大学名誉教授)
参加人数:195 人
■オムニバス講義
国立ダッカ大学人文学部パーリ学仏教学科長・教授)
第 2 回研究会
報告題目:Dhāran.īs, Domestic Rites and Folk Rituals: A
Nāga Rain Rite in 6th century India
(陀羅尼・家庭祭・民俗儀礼:六世紀インド
のナーガ祭)
開催日時:2011 年 4 月 29 日(金)17:00 ∼ 19:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎 西黌 2 階 大会議室
報 告 者:ロナルド・デイヴィッドソン
(フェアフィールド大学宗教学教授)
参加人数:19 人
第 3 回研究会
報告題目:第 2 回バングラデシュ調査報告
バングラデシュ国内に保存されるサンスク
リット写本、他
開催日時:2011 年 6 月 2 日(木)16:45 ∼ 18:15
開催場所:龍谷大学大宮学舎清風館共同研究室 302
報 告 者:若原雄昭(龍谷大学理工学部教授)
参加人数:15 人
第 4 回研究会
報告題目:ヴェーダ文献における「輪廻と業」
開催日時:2011 年 7 月 21 日(木)17:00 ∼ 19:00
開催場所:龍谷大学 大宮学舎 西黌 2 階 大会議室
報 告 者:後藤敏文(東北大学文学部教授)
参加人数:42 人
東アジアの国家と仏教 Ⅰ
第 5 回研究会
報告題目:高麗大蔵経開版の背景とその意味
開催日時:2011 年 11 月 29 日(火)9:00 ∼ 10:30
開催場所:龍谷大学深草学舎 21 号館 201 教室
報 告 者:馬場久幸(佛教大学非常勤講師)
参 加 者:67 人
東アジアの国家と仏教 Ⅱ
報告題目:インド東部・オリッサ州の仏教徒コミュニ
ティについて
−ヒンドゥーとの関わりを中心として−
開催日時:2011 年 7 月 22 日(金)13:15 ∼ 14:45
開催場所:龍谷大学大宮学舎清風館共同研究室 302
報 告 者:ダシュ・ショバ・ラニ(大谷大学文学部専任講師)
参加人数:21 人
報告題目:古代アジアの仏教と王権と対外交渉
−日本と中国を中心に−
開催日時:2011 年 12 月 7 日(水)10:45 ∼ 12:45
開催場所:龍谷大学大宮学舎清和館 3 階ホール
報 告 者:河上麻由子(日本学術振興会特別研究員)
参 加 者:105 人
報告題目:スリランカにおけるアナガーリカ・ダルマ
パーラの 活 動 と 後 世 の エ ン ゲ イ ジ ド・ブ
ディズム
開催日時:2011 年 10 月 17 日(月)17:00 ∼ 19:00
第 6 回研究会
開催場所:龍谷大学 大宮学舎 清風館 3 階 共同研究室 1,2
報 告 者:中村尚司(龍谷大学人間・科学・宗教研究センター
報 告 者:上山大峻(龍谷大学名誉教授)、郭富純(旅順博物館館長)他
参加人数:90 人
研究フェロー)
参加人数:8 人
第 7 回研究会
報告題目:国際エンゲイジド•ブディズム•ネットワーク
開催日時:2011 年 11 月 29 日(火)17:00 ∼ 19:00
開催場所:龍谷大学 大宮学舎 清風館 3 階 共同研究室 1,2
報 告 者:ジョナサン•ワッツ(龍谷大学アジア仏教文化研究
第 4 回研究会
報告題目:法鼓仏教学院開発 TimeMap
開催日時:2011 年 11 月 18 日(金)13:15 ∼ 14:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎 白亜館 2F 共同研究室 1
報 告 者:杜 正民( 法鼓佛教学院専任教授級専業技術人員)
釋 法源(法鼓佛教学院)
参加人数:17 人
センター 2011年度公募研究員、慶応大学非常勤講師、浄
土宗総合研究所研究員)
参加人数:10 人
第 5 回研究会
本号に概要を掲載しています。
第 8 回研究会
第 6 回研究会
報告題目:ガーンディーとアンベードカル
−その対立と共通点−
開催日時:2011 年 12 月 8 日(木)13:15 ∼ 14:45
開催場所:龍谷大学 大宮学舎 西黌 2 階 大会議室
報 告 者:長崎暢子(龍谷大学人間・科学・宗教総合研究センター
開催日時:2012 年 1 月 23 日(月) 14:00 ∼ 17:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室
報告題目
報 告 1:敦煌出土文献にみる草創期のチベット仏教
報告者:上山大峻(龍谷大学名誉教授)
報 告 2:2000 年以來中國敦煌藏文文獻研究概覧
報告者:黄 維忠(『中国蔵学』編集部副編審)
参 加 者:39 人
研究フェロー、
RINDAS センター長)
参加人数:40 人
第 9 回研究会
報告題目:Hardships and Downfall of Buddhism in India
(インド仏教の受難と衰亡)
開催日時:2011 年 12 月 14 日(水)17:00 ∼ 19:00
開催場所:龍谷大学 大宮学舎 西黌 2 階 大会議室
報 告 者:ジョバンニ•ヴェラルディ(ナポリ大学名誉教授)
参加人数:38 人
■ユニット 3(東アジア地域班)
第 1 回研究会
第 1 回研究会
報告題目:インド仏教碑銘にみられる定型表現
−中国北朝期造像銘にみられる定型表現と
の関連をめぐって−
開催日時:2011 年 5 月 7 日(土)13:15 ∼ 14:45
開催場所:龍谷大学大宮学舎北黌 106 教室
報 告 者:市川良文(龍谷大学文学部准教授)
参 加 者:15 人
報告題目:Bronzes of the Ancient Buddhist Kingdom of
Gilgit and Royal Patronage in Early North Western
India and Pakistan
開催日時:2011 年 9 月 29 日(木)17:00 ∼ 19:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室
報 告 者:オスカー・フォン・ヒニューバー
報告題目:天皇制国家と「精神主義」−戦中から戦後へ−
開催日時:2011 年 5 月 12 日(木)10:45 ∼ 12:15
開催場所:龍谷大学大宮学舎清和館 3 階ホール
報 告 者:近藤俊太郎(龍谷大学アジア仏教文化研究センター
■ユニット 2(中央アジア地域班)
(フライブルグ大学名誉教授)
参加人数:29 人
第 2 回研究会
2010 年度公募研究員・龍谷大学非常勤講師)
参 加 者:182 人
第 2 回研究会
第 3 回研究会
報告題目:ガンデンティパとその活仏系統
開催日時:2011 年 10 月 6 日(木)15:00 ∼ 16:30
開催場所:龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室
報 告 者:王 維強(中国蔵学研究中心歴史研究所研究員)
参加人数:41 人
第 3 回研究会
報告題目:中国山東省に残る仏教造像銘の調査
開催日時:2011 年 5 月 24 日(木)16:45 ∼ 18:15
開催場所:龍谷大学大宮学舎清風館 3 階共同研究室 1・2
報 告 者:佐藤智水(龍谷大学文学部特任教授)
長谷川岳史(龍谷大学経営学部准教授)
市川良文(龍谷大学文学部准教授)
参 加 者:18 人
報告題目:中央アジア出土の仏教写本
開催日時:2011 年 10 月 10 日(月)10:00 ∼ 17:30、
11 日
(火)10:00 ∼ 17:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎 清和館3 階ホール・西黌2 階
大会議室
報告題目:仏教と日本の芸道
開催日時:2011 年 9 月 22 日
(木)17:00 ∼ 18:30
開催場所:龍谷大学大宮学舎白亜館 2 階共同研究室
第 4 回研究会
2011 年度 国内シンポジウム
報 告 者:岩本明美(龍谷大学アジア仏教文化研究センター
2010 年度公募研究員・鈴木大拙館主任研究員)
参 加 者:6 人
第 5 回研究会
報告題目:覚如の親鸞像
開催日時:2011 年 10 月 20 日(木)18:30 ∼ 20:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎本館 2 階会議室
報 告 者:斎藤信行(龍谷大学非常勤講師)
参 加 者:9 人
第 6 回研究会
報告題目:近十年中国台湾仏教史研究の回顧と展望
欧米仏教学の近年の展望
開催日時:2011 年 11 月 11 日(金)15:00 ∼ 17:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室
報 告 者:林 韻柔(台湾東海大学歴史学系兼任助理教授)
ジェイソン・プロタス(スタンフォード大学)
参 加 者:37 人
第 7 回研究会
報告題目:韓国仏教の現況に学ぶ
開催日時:2011 年 11 月 24 日(木)10:45 ∼ 12:15
開催場所:龍谷大学大宮学舎東黌 101 教室
報 告 者:藤 能成(龍谷大学文学部特任教授)
参 加 者:62 人
第 8 回研究会
報告題目:龍蔵の経版について
開催日時:2011 年 11 月 28 日(月)16:45 ∼ 18:15
開催場所:龍谷大学大宮学舎清風館 102 教室
報 告 者:木田知生(龍谷大学文学部教授)
参 加 者:12 人
第 1 回 国内シンポジウム
「大谷探検隊をめぐる新研究」
開催日時:2011 年 9 月 8(木)13:30 ∼ 16:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎北黌 2 階 204 教室
報告者・報告題目
報告Ⅰ:入澤崇(龍谷大学文学部教授・龍谷ミュージアム副館長)
「大谷探検隊の目指したこと」
報告Ⅱ:三谷真澄(龍谷大学国際文化学部准教授)
「大谷探検隊収集の漢字仏典」
報告Ⅲ:橘堂晃一(龍谷大学アジア仏教文化研究センター博士研究員)
「大谷探検隊収集のウイグル語仏典」
報告Ⅳ:吉田豊(京都大学文学研究科教授)
「大谷探検隊収集のソグド語文献」
報告Ⅴ:村岡倫(龍谷大学文学部教授)
「大谷探検隊のエルデニ・ゾー寺院調査」
報告Ⅵ:宮治昭(龍谷大学文学部教授・龍谷ミュージアム館長)
「キジル石窟の壁画をめぐって」
パネルディスカッション:
ファシリテータ:入澤崇
パネリスト:三谷真澄、橘堂晃一、吉田豊、村岡倫、宮治昭
参 加 者:75 名
第 2 回 国内シンポジウム
「アジア仏教の現在 Ⅱ」
開催日時:2011 年 10 月 22 日(土)
開催場所:龍谷大学大宮学舎清和館 3 階ホール
報告者・報告題目
李 学竹(中国蔵学研究中心宗教研究所副研究員、龍谷大学仏教文化
研究所客員研究員)
「中国仏教の現状について−福建省仏教を中心に−」
林 韻柔(台湾東海大学歴史学系兼任助理教授、龍谷大学仏教文化研
究所客員研究員)
第 9 回研究会
報告題目:中国山西省に残る仏教造像銘の調査
開催日時:2011 年 12 月 24 日(土)15:00 ∼ 16:30
開催場所:龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室
報 告 者:倉本尚徳(龍谷大学アジア仏教文化研究センター博士
研究員)
赤羽奈津子(龍谷大学アジア仏教文化研究センター
リサーチアシスタント)
参 加 者:17 人
第 10 回研究会
報告題目:「最澄と徳一を中心とした日本における一三
権実論争」
開催日時:2012 年 2 月 24 日(金)13:15 ∼ 15:00
開催場所:龍谷大学大宮学舎西黌 2 階大会議室
報 告 者:淺田正博(龍谷大学文学部教授)
参 加 者:23 人
以上に加え、ユニット 3 では「中国仏教石刻研究会」
(10 回)、
「僧尼令研究会」
(8 回)
「近代仏教研究会」
、
(4 回)を開催した。
「台湾仏教の現状について−五大道場を中心に−」
黄 維忠(中国蔵学研究中心『中国蔵学』編集部副編審、龍谷大学仏
教文化研究所客員研究員)
「中国におけるチベット仏教の現状とその特徴について」
パネルディスカッション:
ファシリテーター:若原雄昭(龍谷大学理工学部教授)
パネリスト:李学竹、林韻柔、黄維忠
佐藤智水(龍谷大学文学部特任教授)
木田知生(龍谷大学文学部教授)
三谷真澄(龍谷大学国際文化学部准教授)
参 加 者:55 人
2011 年度 国際シンポジウム
第 1 回 国際シンポジウム
Special International Symposium on Pure Land
2011 年度 海外調査一覧 2011 年度 海外調査一覧
(調査内容/出張者およびユニット)
Buddhism
(浄土教に関する特別国際シンポジウム)
開催日時:2011 年 8 月 4 日(木)16:00 ∼ 19:00
8/9 ∼ 8/19:
モンゴル開催の第 10 回国際モンゴル学者会議へ報告者として
開催場所:大谷大学メディアホール
出席、およびモハリィンアム銘文・ドート碑文等調査、エルデニ
報告者・報告題目
ゾー博物館訪問
報告Ⅰ:ルイス・ゴメス(ミシガン大学名誉教授)
村岡倫(ユニット 2)
"On Reading Literature Literally
−Concrete Imagery before Doctrine−"
(文字通り文献を読解することに関して―教理
の前にある具体的イメージ―)
報告Ⅱ:ポール・ハリソン(スタンフォード大学)&
8/18 ∼ 8/31
中国山西省を中心とする仏教遺跡・文物の現状調査
佐藤智水・長谷川岳史・市川良文(ユニット 3)
クリスチャン・ルクザニッツ(ニューヨーク・ルー
ビン美術館)
8/24 ∼ 8/30
"New Light on (and from) the Mohammad
韓国仏教の現状、及び高麗時代の仏教に関する調査
Nari Stele"
藤能成(ユニット 3)
(モハマッド・ナリー浮彫石板に関する新解釈)
パネルディスカッション:
ファシリテーター:桂 紹隆( 龍谷大学文学部教授)
コメンテーター:デニス・ヒロタ(龍谷大学文学部教授)
10/25 ∼ 11/6
インド・ボードガヤ開催、国際エンゲイジド・ブディズム世界
荒牧典俊(京都大学名誉教授)
大会での報告
肥塚 隆(大阪大学名誉教授)
中村尚司(ユニット 1)
宮治 昭(龍谷大学文学部教授)文書にて参加
参加人数:51 人
1/5 ∼ 1/13
インド・ナグプールでの不可触民生活実態調査
長崎暢子(ユニット 1)
1/10 ∼ 1/16
タイ東北地方における「森の寺」調査
林行夫(ユニット 1)
2/9 ∼ 2/16
スリランカにおけるスリランカ仏教の特質についての現地調査
中村尚司(ユニット 1)
3/17 ∼ 22
ベルリン・ブランデンブルグ科学アカデミーにおける仏典写本
調査
三谷真澄(ユニット 2)
沁県南泉郷摩崖
2011 年度 オムニバス講義「東アジアの国家と仏教 Ⅲ」 2011 年度オムニバス講義
東アジアの国家と仏教 Ⅲ
報告題目:古代の国家と仏教の二段階
開催日時:2011 年 12 月 9 日
(金)15:00 ∼ 16:30
開催場所:龍谷大学大宮学舎 西黌 2 階 大会議室
報 告 者:吉田一彦(名古屋市立大学大学院人間文化研究科教授)
ファシリテーター:中川修(龍谷大学文学部教授)
コメンテーター:佐藤文子(関西大学・佛教大学非常勤講師)
参加人数:33 人
社や僧侶が主体となって実施する行為である。
2. 鎮護国家は、国家から出た要請ではなく、寺院・神社側か
ら国家に対して援助要求を目的として唱えたものである。
したがって「四天王寺御朱印縁起」
(1007 年)を初出とす
る「王法仏法相依論」も寺院側からの要請とみることがで
きる。
3.「鎮護国家」概念は、延暦寺や金剛峯寺といった新しいタイ
プの寺院が成立したことが契機となって出現した。以後、
「鎮護国家」を目的とする法会の実施、それにともなう年分
度者の増員に対して、寺院は国家からの援助を要請し、そ
れを経済基盤とする寺院が出現する。吉田氏はこれを「援
当研究センターは、
「東アジアの国家と仏教」をテーマとして、オ
助要求の理論」と呼ぶ。
ムニバス講義を 3 回開催いたしました。そのうちの第 3 回の概要
これに対し奈良時代の「護国」仏教は、国家が創建した官寺が、国
をご紹介いたします。
家の意向に従って唱えた概念であり、寺院建立や経常経費も国家
からの付与によってまかなわれており、平安時代における新しい
【報告の概要】
タイプの寺院の存在形態とは大きく異なっている。
「鎮護国家」は、歴史の教科書では奈良時代の仏教の特徴として
最後に吉田氏は、
「鎮護国家」について、国家から相対的に独立し
説明される。しかしながら奈良時代に「鎮護国家」が用いられた例
た仏教団体が、国家と連携しつつ推し進める仏教においてしばし
はなく、平安時代になって用いられるようになる用語である。
ば唱えられた、平安仏教にふさわしい新概念であったと結論する。
まず「鎮護国家」概念の研究史が概観された.奈良仏教を指して
以上、吉田氏の報告は日本仏教史の時代区分に新しい視座を与
「鎮護国家」概念を用いたのは、三上参次『国史概説』
(1943 年)を嚆
矢とする.それは当時の皇国史観と密接な関係がある。以後、奈良
仏教の特徴としての「鎮護国家」概念は、松本彦次郎、萩野仲三郎、
藤木邦彦、家永三郎らによって踏襲され定着して行く。これに対
して吉田氏は、奈良時代の「護国」の仏教と平安時代の「鎮護国家」
の仏教は大きく異なるものであり、截然と区別して理解すべきで
あるとする。その上で、学術用語としての「鎮護国家」概念の有効
性を認めつつ、それは平安以降について用いられるべきであると
述べる。
次に吉田氏は『平安遺文』と『鎌倉遺文』にみえる「鎮護国家」の
用例を検討し、以下のような特色を指摘した。
1.「国家」を鎮護するのは、仏・菩薩・天ではなく、寺院・神
えるものであった。
2011 年度 アフガニスタン報告 2011 年度 第 5 回 ユニット 2
(中央アジア地域班)研究会
世紀前半仏塔が建
立されたこと、さ
らにブッダへの帰
報告題目:大仏破壊から10年 世界遺産バーミヤーン遺跡の現状と未来
依 を 記 し て い た。
開催日時:2011 年 12 月 11 日
(日)13:00 ∼ 17:10
バーミヤーン以西
開催場所:龍谷大学アバンティ響都ホール
での仏教信仰を示
参加人数:120 人
す 資 料 で あ り、8
世紀という年代か
ら、バーミヤーン
【報告者・報告題目】
との関連をうかが
「日本によるアフガニスタン仏教遺跡の調査」
わせる。そしてこの碑文には「アラブの支配者」という文言があ
入澤 崇(龍谷大学文学部教授)
る。この点、イスラーム勢力の支配のなかで仏教がなお信仰さ
「アフガニスタンにおける文化遺産保存の現状」
オマール・サイード・スルターン(アフガニスタン情報文化省)
「バーミヤーンにおけるユネスコ遺跡保護事業の 10 年を振り返って」
ローランド・リン(ユネスコ)
れていたことを示し、碑文は「イスラームと仏教の出会い」につ
いて再考を促す貴重な史料である。これらの仏教遺跡・仏教文
物はバンデ・アミール川流域に存在していた。
そこで龍谷大学では 2004 年の予備調査を経て、2005 年 2
「バーミヤーンの 10 年と今後の課題」
月にアフガニスタン国立考古研究所、ユネスコと協定を締結
ハビバ・サラビー(バーミヤーン州知事)
「バーミヤーン遺跡の保護にむけた日本の取り組み」
山内和也(東京文化財研究所)
し、バーミヤーン以西の当地域の調査を実施した。
ケリガンに現存する仏塔はアフガニスタン東部で 19 世紀に
発見された仏塔のスタイルと同様のものである、仏塔の他に注
「バーミヤーン大仏−破片の保存と公開にむけて」
M. ペツェット(ドイツ・イコモス)
目されるのは石窟寺院である。ケリガン遺跡西北 7km 地点の
チル・ボルジは、イスラーム期の城塞遺跡であるが、城塞跡の
「世界遺産の運営と計画−バーミヤーンの10年間の
西南部に 9 つの石窟が確認された。中央の石窟には龕があり明
開発から生じる機会と懸念」
らかに礼拝像を安置していたと思われる構造を示す。チル・ボ
G. トゥベキス
(ドイツ・アーヘン大学)
ルジには壁画が残存していた。注目されるのは、バーミヤーン
の弥勒菩薩像にもみられる独特なサーサーン朝風の冠飾が描
【報告の概要】
かれている点である。2005 年の調査では、ケリガンとチル・ボ
日本はアフガニスタン考古学の進展に大きく寄与している。
ルジ間に未報告の石窟を確認した。サレスム石窟である。4 層
とりわけ名古屋大学、京都大学のバーミヤーン遺跡調査の貢献
構造で、7 つの石窟が存在していた。龕の形状やケリガン仏塔
は計り知れない。2005 年からは龍谷大学がアフガニスタンで
との距離から、仏教石窟であったとみるのが妥当である。2006
仏教伝播の調査に乗り出した。従来、アフガニスタン中央部で
年の調査では、ヤッカウラン南、ダライ・アリ渓谷にさらに石
はバーミヤーンが仏教の西限とみなされていたために、仏教の
窟を発見した。クシャ・ゴラ石窟とムシュタック石窟である。
拡がりを再検証する必要が生じたのである。契機は 2003 年に
ムシュタック石窟の1つはボールト天井をした主窟と側室か
バーミヤーン以西
ら成り、奥に龕が設けられていた。類似の構造はやはりバーミ
150 キロ地点のケリ
ヤーンに見出すことが出来、仏龕の可能性が高い。
ガンに仏塔が発見
最後に入澤氏は、かつてアフガニスタンでは異なる文化が衝
されたことであっ
突せずに交流、融合したことが文化財によって証明されている
た。ま た、同 じ く
点を強調し、アフガニスタンの文化財保存の重要性を訴えた。
2003 年 に バ ー ミ
以上、本報告は、バーミヤーン仏教文化がこれまで考えられて
ヤーン以西 120 キロ
いた以上に、はるかに広域的なものであったことを如実に示す
地 点 の タ ン ギ・サ
ものであった。また、シンポジウムにおける各々の専門家によ
フェーダックから
る報告により、調査と保存事業の現状と意義が発信されたのみ
出 土 し た 碑 文 は、8
ならず、今後の活動にむけた課題や展望も明らかにされた。
龍谷大学アジア仏教文化研究センター
発 行 2012 年 3 月 14 日
発行者 龍谷大学アジア仏教文化研究センター
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