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NEC、天候の影響を受けずに、地上のあらゆる場所で 生態観測や資源
NEC、天候の影響を受けずに、地上のあらゆる場所で 生態観測や資源探索を可能にする光解析技術を開発 ~災害救助、大規模農業、生物多様性へ応用~ NEC 情報・メディアプロセッシング研究所 背景 ▐ 広大な洋上の遭難者や船舶を高精度に発見する災害救助 ▐ 大規模農業における農作物の生育状況の把握 ▐ 森林奥地における希少な動植物、資源の発見や生態系保全 など地球規模の生態観測や資源調査 広大な地上や洋上の情報をリアルタイム、 高精度に把握する技術が必要 災害救助 生態観測・資源調査 大規模農業 By alfonso Benayas Page 2 実現イメージ ▐ 広大な領域に対応するため、航空機などに搭載したセンサを利用し て高所から地上を観測 ▐ 植物や資源の種類や状態を把握するため、多くの情報を含む物理量 である分光スペクトルを観測 センサ 遭難者 赤潮 植物の生育状況 鉱物資源 Page 3 分光スペクトルとは 強度 微妙な組成が判別できない 不可視光の情報なし 強度 人間や 一般カメラ 波長 B G R 本来の光の組成 人間やカメラにとっての「色」 波長 不可視 分光 スペクトルカメラ 分光スペクトル: 目に見えない波長まで含めた光の組成 Page 4 強度 可視 微妙な組成を判別可能 不可視光の情報あり 波長 「分光スペクトル」 分光スペクトルを利用した物体識別の例 見かけの色では判別できない物体の種類や状態が把握可能 タイサン ボク タイサンボクの葉 観測された葉の 分光スペクトル 類似度低 樫 樫の葉 類似度高 人工葉 見た目(RGB値)は同じでも、 分光スペクトルは大きな差 Page 5 樫の葉! データベース 観測される分光スペクトルの正体 太陽 雲 昼光 物体 屋外で観測される分光スペクトルは、太陽 からの光(昼光)が、物体表面で反射した 光をとらえたもの 観測される分光スペクトル =昼光の組成×物体の表面反射率 カメラ 表面反射率:物体が光を反射する際の反射の仕方を表す情報で、 物体の材質や状態により異なる Page 6 分光スペクトルを扱う上での課題 ▐ 昼光の組成は時間や天候に影響を受けて変動 観測される 分光スペクトル 夕方 × = 強度 曇 輝度 波長 変動 晴 反射率 変動 物体の表面反射率 波長 昼光の組成 観測される分光スペクトルも変動 そのまま利用すると正しい情報が把握できない Page 7 波長 課題解決のためのソリューション 解決手法 内容 昼光の条件限定 特定の昼光の条件の みに限定 (例)晴天のみ 基準物体の利用 光の組成が既知である 基準物体を観測場所 に設置 NEC手法 観測スペクトルから昼 光と物体の光の組成を 推定 Page 8 観測場所 (どこでも) 観測機会 (いつでも) 本技術の特長 1. どんな天候下でも観測が可能 ▐ 晴天から曇天までの昼光の組成(300nm~4000nm)を 近似する方法(昼光モデル)を、世界で初めて実現 ▐ 従来法と比較して昼光の組成および物体の表面反射率の 推定誤差を7割削減 2. 地上のあらゆる場所で観測が可能 ▐ 分光スペクトルのみから物体の表面反射率を推定 ▐ 表面反射率が既知である基準物体が不要 Page 9 特長1:天候変動に対応可能な昼光モデル ▐ 従来モデルは晴天時のみに対応 ▐ 晴天から曇天まで対応可能な昼光モデルを実現 提案モデル 従来モデル 減衰 拡散 太陽 大気 大気 太陽 減衰 直達成分 拡散成分 直達成分 拡散成分 雲 昼光 物体 Page 10 拡散 複雑な散乱 昼光 晴天のみ対応 物体 曇天にも対応 特長1:雲による光散乱の近似 ▐ 雲粒の光散乱特性に着目、雲通過時の複雑な光の振る舞いを近似 「雲粒の光散乱特性」 雲粒の大きさ(30.0μm)≧光の波長(4.0μm)の場合 波長は変化せず強度が単純に減衰 直達成分 拡散成分 拡散 雲 昼光 物体 Page 11 拡散 減衰 直達成分 近似 ×α 拡散成分 ×(1-α) 昼光∝ α 直達成分+(1-α)拡散成分 従来モデル(晴天のみ)による結果 曇天下で観測された葉の分光スペクトルから 植物の種類を識別する問題 観測対象 タイサンボク 観測された分光スペクトル タイサンボクの葉 推定誤差 10.4° 樫の葉 推定誤差 13.6° 樫 曇天下では植物の種類を誤判定 Page 12 タイサンボク データベース 本技術の結果 曇天下で観測された葉 の分光スペクトル 観測対象 タイサンボクの葉 タイサンボク 本技術適用 推定誤差 7.78° 樫の葉 推定誤差 4.37° 樫 曇天下でも植物の種類を正しく判定 Page 13 データベース 樫 正解 特長2:物体の表面反射率の推定技術 昼光の分光分布モデルと、カラーコンスタンシ計算理論(注)を 組み合わせることで、観測スペクトルから物体の表面反射率を推定 従来技術 観測 対象 基準物体 を設置 本技術 観測 対象 本技術のメリット 基準物体の設置が不要 観測スペクトル 基準物体の 表面反射率 観測対象の表面反射率 地上のあらゆる場所を リアルタイムで観測可能 観測スペクトル 観測対象の表面反射率 (注)補足資料p.18参照 Page 14 まとめ ▐ 地上のあらゆる場所で、晴天から曇天までの天候下での 観測を実現 生態観測:曇天下では識別できなかった植物の種類を正しく識別 海難救助:曇天下では発見できなかった人や船舶を高精度に発見 人間が容易に立ち入れない場所の観測が可能 ▐ パブリックセーフティ事業への活用、大規模農業、 生態観測・資源探索など新事業の応用へ Page 15 Page 16 (補足)物体の表面反射率復元における課題 ▐ 観測された分光スペクトルから物体の表面反射率 を復元する際の課題 照明の分光分布 照度 6= 輝度 解が無限に存在 Page 17 波長 反射率 波長 2×3 ? 1×6 ? 観測値 物体の表面反射率 波長 (補足)カラーコンスタンシ計算理論 ▐ 照明の光の組成と物体の表面反射率を少数のパラメータ でモデル化し、観測スペクトルからそれぞれを推定 照明のモデル a1× 観測値 = モデル +a2× 係数 基底関数 観測スペクトル b1× × +b × 2 +b3× 推定パラメタ パラメータ 推定 Page 18 物体のモデル a,b 照明の光の組成 物体の表面反射率 (補足)提案モデルの効果 ▐ 曇天下の昼光の推定誤差を他機関比で72%削減 ▐ 目標精度(推定誤差5°以下)を達成 曇天下 推定誤差 2.02˚ 推定誤差 7.20˚ Page 19 ー実測値 ー提案モデル ー従来モデル (補足)提案モデルによる復元結果 他社機関 ▐ 誤差を他機関比7割削減 ▐ 目標精度を達成 (誤差5°以下) ⇒物体情報を安定に取得可能 提案モデルによる復元結果 物体の表面反射率 約10° 照明の光の組成 ー実測 ー復元 400 波長[nm] 700 照明の光の組成 3.0° 2.9° ---実測 ー 復元 波長[nm] Page 20 ---実測 ー 復元 波長[nm]