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神戸ビエンナーレ2011 検証報告書
神戸ビエンナーレ2011 検証報告書 2012 年 4 月 神戸ビエンナーレ 2011 企画委員会 目 次 Ⅰ 開催結果概要・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1 Ⅱ 総括(まとめ) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3 Ⅲ 基本方針~アートを活かしたまちづくり(文化創生都市の実現)~の検証・・・・・ 4 Ⅳ 実施事業の検証 1.神戸ハーバーランド会場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 7 (1)コンペティション (2)企画展示・コンペティション (3)企画展示 (4)イベント 2.ポーアイしおさい公園会場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16 3.兵庫県立美術館会場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・17 4.元町高架下(JR 神戸駅~元町駅間)会場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 5.市内での展開・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 6.連携・交流・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 Ⅴ 管理・運営事項の検証 1.来場者数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 2.広報・宣伝・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 3.組織体制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・29 4.会場の設営と運営・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・30 5.事業費の確保・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 Ⅵ 検証委員名簿・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・34 ~港で出合う芸術祭~ 神戸ビエンナーレ2011 Ⅰ 開催概要 (1)名称 ~港で出合う芸術祭~ 神戸ビエンナーレ2011 (2)開催趣旨 神戸ビエンナーレは、神戸の芸術文化の更なる振興を図るとともに、まちの賑わいと 活性化につなげることを目的とし、 「まちづくり」とそれを担う「人づくり」を目標に、 2007 年から2年に1度開催している。 神戸ビエンナーレ2011では、 アートの力で様々 なまちの資源の再認識・再評価と魅力発信、創造的人材の集積、多様な市民参画と芸術 文化の交流、芸術文化活動の連携を行い、いきいきとしたまちの賑わいや活力を市民や アーティストと共に創り出していくことを目指す。なお、開催にあたっては、神戸ビエ ンナーレの開催経緯を踏まえ、アートの力で東日本大震災で被災された皆様への最大限 の支援を行う。 (3)会期 2011 年 10 月1日(土)~11 月 23 日(水・祝) (54 日間) 無休 (4)会場 ○神戸ハーバーランド ファミリオ(有料) キャナルガーデン(無料) 10:00~18:00 ○ポーアイしおさい公園(無料) 公園内にて野外設置 ○兵庫県立美術館 ギャラリー棟 3 階(有料)10:00~18:00 ○元町高架下(JR神戸駅~元町駅間) (無料) 11:00~19:00 (5)テーマ きら kira 多様な世界の人々が『出合い』(2007)、互いの『わ』(2009)を育み、そしてそれぞ れの輝き(魅力)に期待を込める『きら kira』(2011)は、キラキラと光り輝くさまを象 徴的に言語音で表した擬態語である。 『きら kira』は目に見えるものをこえて、現在の 地球社会や市民の生活環境、さらには歴史を経た芸術観の中に潜在する、 「課題」や新 たな「魅力」を引き出し、それぞれが多様に輝く姿をイメージしている。神戸ビエン ナーレ2011では、時代や世界が求める一つ一つの輝き『きら』と、それぞれの輝 きとが『きら kira』と連呼し始め、人やまちやアートに新たなパラダイム(根本的な 変化)が生まれることを願い、神戸のまちに展開する。 (6)来場者 242,766人(目標 20万人) ○神戸ハーバーランド会場 103,277人 ・ファミリオ会場 49,258人 ・キャナルガーデン会場 54,019人 ○ポーアイしおさい公園会場 32,370人 ○兵庫県立美術館会場 16,106人 ○元町高架下会場 55,240人 ○その他会場 35,773人 1 (7)主催 神戸ビエンナーレ組織委員会 神戸市 (8)共催 兵庫県 (9)後援 文化庁、兵庫県教育委員会、神戸市教育委員会、朝日新聞社、朝日放送、NHK 神戸放送局、関西テレビ放送、Kiss FM KOBE、神戸新聞社、産経新聞神戸総局、 サンテレビジョン、日本経済新聞社、毎日新聞社、毎日放送、読売新聞神戸総局、 読売テレビ、ラジオ関西 (10)協賛 ○神戸市市民文化振興基金への寄付 ○助成 69社・団体等 2団体 58,721千円 750千円 (11)総事業費(見込み) 285百万円 財源内訳 神戸市補助金 235百万円 ※ チケット収入 38百万円 コンペ収入 6百万円 その他 6百万円 ※補助金の原資に寄付金(58,721千円)を含む 2 Ⅱ 総括(まとめ) 神戸ビエンナーレは、3 回目となる今回、テーマを「きら kira」とした。多様な世界の人々 が「出合い」 (第 1 回目テーマ) 、互いの「わ」 (第2回目テーマ)を育み、そしてそれぞれの輝 き(魅力)に期待を込めたものである。 過去の2回の経験や課題を踏まえ次のような取り組みを行った。 ①会場を新たにポーアイしおさい公園と元町高架下(JR神戸駅~元町駅)を加えた ②コンペ方式による作品募集のバリエーションを増やした。 ③ボランティアの参画やワークショップによる作家との交流に努めた ④六甲ミーツアート等の様々な芸術文化事業と相互PR等の連携をした ⑤ホームページの充実やツイッター、フェイスブックを活用した さらに東日本大震災の復興支援への取り組みを行った。 入場者数は前回の 16.4 万人から 24.3 万人と増加した。来場者アンケートでは、 「次回も是非 来たい、機会があれば来たい」が9割を超えた。無料会場があったこともその要因だが、体験・ 参加型の作品が多く、現代アートに馴染みがない人が現代アートに親近感を覚えたことが窺え る。美術館の鑑賞に慣れている人にとっては驚きや新鮮さを感じたのではないか。地元大学の 学生が授業の一環で書いた感想レポートでも、概ね現代アートを楽しんでもらえたことが窺え るが、現代アートに特化せず多様な作品展示や楽しませることに重きを置きすぎているとの意 見も寄せられている。 神戸ビエンナーレは、 「神戸の芸術文化の多彩性、多様な価値の受容性」という神戸らしい都 市イメージの魅力の象徴として、様々な芸術文化を対象とした芸術祭である。この多様性、多 彩性により、来場者の多くは現代アートも含めた様々なアートを楽しみ満足している。すなわ ち、誰もがアートを楽しめる祭典になっている。また、様々な実施主体と連携・協賛しながら 文化芸術の裾野を広げる取り組みでもある。このためビエンナーレが現代アートの美術展覧会 というイメージを持つ一部の芸術関係者などからは、 「テーマ性がない」 「総花的」 「市民文化祭」 といった意見も聞く。 確かに単に楽しめるだけのものでは通常のイベントと変わらない。芸術祭としての質を高め ていくことも追い求めるべきである。そのためには、国内外の美術展との連携をさらに展開し ていく必要がある。また、コンペ応募者のモチベーションを高める工夫、例えば受賞作家がそ の後も神戸で活動できる機会を設けたり、国内外での活躍を各方面に紹介することなども必要 である。その他コンペ主体とはいえ、招待作家の作品を展示することで質を高めることも検討 してはどうか。 まだまだ認知度は高いといえないが、過去3回の実施で、神戸ビエンナーレに対する一定の 評価は得られた。多くの人にアートの楽しさを伝える「拡がり」と、ビエンナーレとしての「質 の高さ」の両方を兼ね備えた進化した神戸ビエンナーレを目指してほしい。 最後に、神戸ビエンナーレが、神戸らしい多彩な芸術文化に出会い感動や喜びを体感できる 芸術祭として世界に発信していくことを期待する。 以下、個別に検証する。 3 Ⅲ 基本方針~アートを活かしたまちづくり(文化創生都市の実現)~の検証 神戸ビエンナーレ2009では、5 つの基本理念(①神戸らしい都市イメージの発信、②新進 アーティストの発掘・育成、③多種多様な芸術文化の交流・融合、④芸術文化を活かした都市 づくり、⑤芸術文化活動の連携)を掲げた。今回は、この基本理念を踏襲しつつ、アートの持 つ豊かな感性や想像力を活かして、まちの資源の再発見や活用へと繋げていくため「~アート を活かしたまちづくり(文化創生都市の実現)~」を基本方針として、個々具体的に4つの基 本理念を設定した。 (1)まちの資源の再認識・再評価と魅力発信 アートを活かしてまちの資源を再認識・再評価し、再生・活用につなげることで、神戸 の魅力発信、賑わいの創出を目指す。また、神戸のまちの歴史の蓄積・デザインの豊かさ・ コンパクトな都市空間を最大限に生かし、世界から様々な芸術文化を受け入れ、多様な芸 術・文化を集積してきた港町・神戸の都市イメージを発信する。 (2)創造的人材の集積 コンペティション形式による作品展示により新進アーティストの発掘・育成を行うとと もに、国際的なアーティストの招待展示によりビエンナーレ全体として質の高い作品展示 を行い、デザイン都市にもつながる多様な創造的人材の集積を図る。 (3)多様な市民参画と芸術文化の交流 神戸で日常的に活動する芸術文化関係団体との協働やビエンナーレの前後を通してボ ランティア活動への参加を呼びかけるなど、多様な市民参画につなげるとともに、国内外 から集まったアーティスト、デザイナー、クリエイター達との交流の機会を提供していく。 (4)芸術文化活動の連携 ビエンナーレを通じて芸術文化の連携を拡げ、神戸から兵庫、そして、瀬戸内海、ア ジア、世界へと繋がるパートナーシップの形成を目指す。 以下、4つの基本理念に沿って検証していく。 (1)まちの資源の再認識・再評価と魅力発信 過去2回の神戸ビエンナーレでは「神戸らしい都市イメージの発信」を掲げ、日本有数 の異文化交流の歴史をもつ神戸の芸術文化の多彩性、多様な価値の受容性という、神戸ら しい都市イメージの魅力を発信してきた。今回は、イメージだけではなく、より具体的に 地域アイデンティティーの所在を発信し、神戸のまちの賑わい、活性化に繋げていこうと する意図が感じられた。 例えば新たに、ポーアイしおさい公園と元町高架下(JR神戸駅~元町駅)を会場に加 えたことである。ポーアイしおさい公園では、来場者は設置された作品を鑑賞をしながら、 神戸のもつ資源である「海」 「六甲山」 「街並み」といった神戸のまちの景観を楽しんでい た。また、高架下の風情を大切にしつつ、まちの魅力を発信し、人の流れを創設する高架 下アートプロジェクトでは、多くの人が会場に足を運び、今なお昭和の頃の雰囲気を留め、 おしゃれや洗練されたイメージとは違う元町高架下の魅力を見せることができた。 過去 2 回メイン会場としていたメリケンパークは、昨年 3 月 11 日の東日本大震災の影響 で神戸ハーバーランドに移すことになったが、地元の神戸ハーバーランド運営協議会と連 携しながら神戸ハーバーランド全体の魅力をアピールしていた。 神戸の地場産業である真珠を使った作品(第1回神戸マラソン入賞賞品)や工芸菓子の展 4 示、神戸ワインなどの販売、スイーツスタンプラリーを行ない、神戸の生活文化の魅力を 発信していた。 (2)創造的人材の集積 神戸ビエンナーレは、すべての人に可能性を求め出来るだけ開かれたものとするため、コ ンペティション方式を採用している。今回は、新進アーティストの発掘・育成という点から 「アートインコンテナ国際展」だけでなく、ポーアイしおさい公園会場で実施した「しつら いアート国際展」や元町高架下(JR神戸駅~元町駅)の空き店舗を会場にした「高架下ア ートプロジェクト」 、会場変更のため実物展示が出来なかったが入場ゲートをアート作品と して募集する「ゲートアート」を加えて、コンペにバリエーションを持たせた。その結果、 応募作品数は「アートインコンテナ国際展」では前回の 398 作品から 289 作品と減少したも のの、作家の関心が重複したと思われる 4 つのコンペ合計では 405 作品の応募があった。ま た、いけばな・書の展示においても、今回新たにコンペ方式を採用し、新たな分野での人材 の発掘・育成にも取り組んだ。 また、神戸ハーバーランド・ファミリオ会場内に、 「アートインコンテナ国際展」等のコ ンペ作品の展示に加え、中国の天津と韓国の光州からの招待作家の作品を展示し、展示全体 を幅広いものとし、質的な高さも提供できたことで、コンペに参加したアーティストにも刺 激となったと評価できる。 会期終了後、 「アートインコンテナ国際展」の入賞 2 作品がホテルオークラ神戸の新春イ ベント(1月 1 日~3 日)で展示され、 「しつらいアート国際展」の入賞作品が王子動物園 に常設展示されている。今後も、このようにコンペ応募者のモチベーションを高める工夫が 必要である。さらに、アーティストの育成という観点から、大賞など受賞作家が活動できる ような機会づくりに努力されたい。そして、神戸ビエンナーレが芸術文化関係者に、日本や 世界で活躍するための登竜門として認知されることが望まれる。 (3)多様な市民参画と芸術文化の交流 神戸ビエンナーレは、 「神戸の芸術文化の多彩性、多様な価値の受容性」という神戸らし い都市イメージの魅力の象徴として、市内で活動している様々な芸術文化関係団体が参画し ている。現代アートだけでなく陶芸や工芸、書、いけばな、日本画といった「日本の伝統芸 術」 、 「音楽」 、 「大道芸」 、 「メディア芸術」 、 「障がい者アート」 、生きた植物とアートを融合 した「グリーンアート」 、 「地元の生活文化産業」など様々なジャンルを取り上げていること により、多様な分野のアーティストの参加を実現できた。この多種多様性は、アーティスト をはじめ多くの鑑賞者にとって、新たな出合いや発見により新たな価値観や文化が創造され ていく。 神戸ビエンナーレ事務局では、アートにかかわるボランティアとして「神戸ARTサポー ターズ」を常時募集している。延べ1,026人という多くの方に参加していただき、活動 は会期中だけではなくプレイベントや作品制作の補助、自主事業の実施など多岐に渡り、多 様な市民参画につなげるという点で大いに意義のあることであった。 入賞作家によるワークショップやギャラリートーク、製作過程をオープンにした高架下ア ートプロジェクトなど、多様な市民とアーティストとの交流は、デザイン都市・神戸の基本 方針の一つである「くらしのデザイン」に関する方針の「市民が優れたデザインや芸術に触 れる機会を増やし創造性や感性を育むこと」に繋がったのではないか。 5 (4)芸術文化活動の連携 神戸ビエンナーレ2011では、 天津作家展は中国天津匯泰芸術センターと天津人民対外 友好協会、光州作家展は韓国光州ビエンナーレ財団の協力のもと実施した。このような海外 の関係機関との連携は、アートを接点として形成されていくネットワークの輪を神戸から世 界に広げていき、芸術文化活動の裾野が拡大していくものである。 国内の連携では、神戸ビエンナーレ2011の開催に合わせて、神戸市内・兵庫県内で アートプロジェクトを実施している10団体が一堂に会するシンポジウムを行い、芸術文 化を通した交流を推進し、相互連携と相互協力のためのパートナーシップを構築した。さ らに、文化庁と連携して文化庁メディア芸術祭での優秀作品の展示や、六甲ミーツ・アー ト芸術散歩2011と連携し、閉幕日の統一や神戸ビエンナーレ2011と両方行った人 へのプレゼントキャンペーン、共同PR、相互PRなど積極的に展開した。その他、神戸 芸術工科大学やBBプラザ美術館等ともビエンナーレを通じて芸術文化の連携を実施して おり、今後さらにパートナーシップの形成のため連携を拡大していくことが期待される。 6 Ⅳ 実施事業の検証 1.神戸ハーバーランド(ファミリオ、キャナルガーデン)会場 (1)コンペティション ①アートインコンテナ国際展 検 証 「アートインコンテナ国際展」は、 神戸港とつながりの深い国内外を回遊する輸送 用コンテナ[長さ(奥行き)12m×幅 2.4m×高さ 2.5mの 40ft]空間を展示スペースと して屋内会場に再現し、コンテナという限られた空間内にアーティストの自由な発想と 手法でアートの力と可能性を表現した作品を公募し、展示を行なった。アートと建築、 デザイン、メディア、ITなど多様なジャンルを融合することにより、21 世紀の新し い表現を神戸から発信することを目指す神戸ビエンナーレのメイン展示である。出展作 品は、アート系の作家のみならずデザインや建築系、さらには理工学系の研究機関から の応募も増えており、参加と表現の多様化が神戸ビエンナーレの特徴として定着してき たことが窺える。また、海外からの入賞作品が前回に比べて大幅に増加し、今回は国際 コンペの名にふさわしい結果となった。 新聞では「テーマパークのような感覚で楽しめる」 「体験型の芸術を楽しめる」との 来場者の声が掲載され、来場者アンケートやブログ・ツイッターでも同様の声が寄せら れるなど、普段現代アートに縁の無い人にとっても芸術文化に触れその魅力に気付くき っかけになったことは評価できる。 会場が屋外から屋内に変更になった点については来場者アンケートでは賛否両論あ る。作品も光や映像を使う作品がどうしても多くなる傾向があるなどの課題もあり、神 戸ビエンナーレのメイン事業として更なる進化を目指すため、屋内外に囚われず、また コンテナという画一的な空間に拘泥することなくさまざまな視点から検討していくべ きである。 ■応募状況 ・応募総数 289 作品(280 名) 前回:398 作品(384 名) ・海外からの応募 16 カ国(31 作品) 5:アメリカ 4:イタリア、ドイツ、 3:台湾、フランス、2:イギリス 1:オーストラリア、オランダ、カナダ、韓国、スウェーデン、スロバキア、タイ、 チェコ、ニュージーランド、フィンランド (前回)16 カ国(42 作品) 8:オーストラリア 6:ドイツ 4:アメリカ 3:イギリス、オランダ、 シンガポール 2:オーストリア、カナダ、韓国、中国、 1:台湾、イスラエル、 ニュージーランド、フィリピン、フィンランド、ポーランド ■授賞 神戸ビエンナーレ大賞 1 作品 特別賞 3 作品 奨励賞 7 作品 入賞 25 作品(大賞等を含む) ■展示作品数 25 作品 ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場地下 2 階及び 2 階 7 ②ゲートアート 検 証 当初予定していたメリケンパーク会場の東西入場ゲートを、先例にこだわらない斬新 な発想と方法で、アートの力と可能性を表現した作品を公募した。展示については会場 が変更になったため、2 作品については実物ではなく模型を展示した。 前回は招待作家による作品だったが、コンペティション方式に変更し 22 作品の応募 があり 2 作品を選考した。その後、東日本大震災の影響で屋内に会場変更した結果、模 型展示となった。一方、震災で被災された皆さんと神戸での来場者を結ぶアートプロジ ェクト案を加味した作品『Hand Tree Project』を審査員特別賞とし、ワークショップ の開催等を通して、被災された方々からのメッセージと神戸からのメッセージを一つに して発信したことは、震災からの復興支援の取り組みとなった。 ■応募総数 22 作品 ■授賞 最優秀賞 2 作品 審査員特別賞 1 作品 ■展示作品数 3 作品 ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場地下 2 階及び 3 階 ③大道芸 検 証 神戸ビエンナーレでは、大道芸を身体表現のアートとしていち早く取り入れてきた。 応募組数は前回の 61 組から 42 組に減ったものの、入賞した 8 組が実際にパフォーマン スを披露し、神戸ビエンナーレ2011エグゼクティブディレクターと一般公募による 審査員による審査結果は、大賞を 2 組にするなどレベルの高いものであった。 本選や実演でパフォーマンスが始まると、多くの人が足を止め子どもから大人まで楽 しんだ。ただ、会場管理の制約があったとはいえ、ハーバーランド会場内で大道芸を実 施出来なかったことは来場促進という点で残念であった。 ■応募総数 42 組 前回 61 組 ■授賞 神戸ビエンナーレ大賞 2 組 奨励賞 2 組 入賞 8 組(大賞等を含む) ■パフォーマンス披露 (本選出場) 8組 前回 8 組 ■本選 2011 年 10 月1日(土)~2(日) 2 日はエキシビジョン ■実演 11 月 19 日(土) SHINOBI-TRY、こんばらさん 11 月 20 日(日) SHINOBI-TRY、PUPPETION 11 月 23 日(水・祝) さくら組、ミスターバード、to R mansion ■場所 神戸ハーバーランド・デュオドーム 8 ④グリーンアート展 検 証 根付の生きた植物をメディアとしたグリーンアート展は、直前にコンテナ内展示から オープンな空間展示(L:2.5m×W:2.5m×H:2.5m)へと募集条件を変更したが、多様 な提案作がそろい作品のバリエーションも豊かであり、入賞作品数が予定よりも 1 つ上 回るなど、前回に比べ作品レベルも向上している。 空間と植物との関係については一定の成果を得たように思えたが、植物という生命あ るメディアの特質を生かした時間軸での対応を目指す作品や人の心を映すメディアと しての作品など、さらなる進化を期待したい。 ■応募総数 33 作品 前回 39 作品 ■授賞 神戸ビエンナーレ大賞 1 作品 特別賞 1 作品 奨励賞1作品 入賞 7 作品(大賞等を含む) ■展示作品数 7 作品 ■展示場所 神戸ハーバーランド・キャナルガーデン1F ストリート(アトリウム) ⑤現代陶芸展 検 証 伝統・前衛を問わない「きら」と輝く現代の陶磁作品を公募し、展示を行なった。過 去 2 回の応募作品は、造形性の強い作品が多かったが、神戸ビエンナーレ2011は、 全体的におとなしい作品が多く、落ち着いてきている。しかし、いろいろな種類の作品 があり、作品のレベルは上がってきている。近年、伝統的な器物と現代的な造形性の強 いものとがミックスされた完成度の高いものが日本の陶芸界の主流をなしているが、今 回の応募作品にもその流れが反映されており、来場者に陶芸の表現の幅広さ、面白さを 感じてもらえたのではないか。 ■応募総数 214 作品 前回 254 作品 ■授賞 神戸ビエンナーレ大賞 1 作品 神戸ビエンナーレ準大賞 1 作品 特別賞 3 作品 兵庫県陶芸美術館賞 1 作品 奨励賞 8 作品 入賞 44 作品(大賞等を含む) ■展示作品数 44 作品 ■プレ展示 兵庫陶芸美術館 8 月 20 日(土)~ 9 月 19 日(月・祝) ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 3 階 9 ⑥フォトコンテスト 検 証 神戸ビエンナーレ2011では、過去2回の「アーティスティックフォトコンペティ ション」から、テーマを自由とし、新たに「シニア部門」 (60 歳以上) 、 「ジュニア部門」 (18 歳以下)を設け、 「フォトコンテスト(写真公募展) 」として募集した結果、アー トからフォトまで幅広いジャンルの力作が多く寄せられ、前回と比較して応募作品数は 2割増、応募者数は6割増となった。今後、コンテストとして作品を募集していくにあ たり、主として作者の「自由な発想」 「自己表現」といったアート性を求めるのか、或 いは構図・構成やシャッターチャンスの良さといったフォト本来の表現力を求めるのか 整理する必要がある。 ■応募総数 ■授賞 660 作品(334 人) 前回 548 作品(205 人) 一般 517 点(272 人) シニア 127 点(54 人) ジュニア 16 点(8 人) 一般:神戸ビエンナーレ大賞 1 作品 銀賞 1 作品 銅賞 1 作品 優秀賞 10 作品 入選 61 作品(大賞等を含む) シニア:特別賞 1 作品 奨励賞 9 作品 入選 10 作品(特別賞等を含む) ジュニア:奨励賞 4 作品 入選 4 作品(奨励賞等を含む) ■展示作品数 75 作品 前回 73 作品 ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 3 階 ⑦こども絵画コンクール 検 証 次代を担う子どもたちが、絵画を通じて世代を超えた交流をはかり、芸術とのふれあ いから豊かな感性をはぐくむことを願って公募し、展示を行なった。さらに、神戸ビエ ンナーレにあわせて、中国天津市で公募した375点の応募作品から選ばれた 30 作品 も展示した。 応募作品数は、前回が前々回の約 4 割程度と大幅に減少し、今回は募集期間を 1 ヶ月 遅らせたが前回の 8 割程度に止まり応募数の減少が課題として残った。コンペの広報が 他のコンペと同時にしたことや時期が前年の 12 月と早すぎたことが原因として考えら れる。さらに、テーマを自由にしたことも影響した可能性がある。作品は全体的に、子 どもたちの夏休みの様々な生活をのぞき見ることができるような楽しい絵が集まった。 子どもたちが次代を担うアーティストとして神戸ビエンナーレに参加し、子どもたちの 個性や可能性を引き出し、育成する機会となったことは意義があった。 ■応募総数 823 作品 前回 1,252 作品(幼児・小学生 987 作品) 幼児 222 作品 ■授賞 小学生 601 作品 幼 児:優秀賞 1 作品 佳作 15 作品 入選 49 作品(優秀賞等を含む) 小学生:最優秀賞 2 作品 優秀賞 6 作品 佳作 40 作品 入選 143 作品(最優秀賞等 を含む) ■展示作品数 192 作品 ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 3 階 10 (2)企画展示・コンペティション ①いけばな未来展 ②書道展 検 証 神戸ビエンナーレ2011では、いけばな未来展、書道展は従来の企画展示に加えて、 新たにコンペで公募した作品も展示し、作品展示にバリエーションを持たせていた。た だ、初めての取り組みであり、今後、募集・広報の充実を図る必要がある。 コンテナの空間だけでなく壁面や天井を活かし、日本の伝統文化と現代の感性が融合 したいけばな未来展は、前回と同様に来場者アンケートで多くの人が印象に残った作品 としている。また、期間中 14 回の活け替えを行ない各展示作品を写真パネルで紹介し ており、多くの鑑賞者がいけばな芸術の多様性、可能性に深い感銘を受けたと思われる。 書で神戸ビエンナーレ2011のテーマ「きら kira」のイメージを書き出した書道 展は、漢字、かな、篆刻、前衛など様々な領域の作品を鑑賞することができた。 いけばな未来展 日本の伝統文化である「いけばな」の魅力を披露し次世代へもつなげていけるよう、いけばな未来展 実行委員会による作品と伝統・現代に拘らない作品を公募し展示を行なった。 ■展示作品数 168 作品(12 ブース×14 期) 前回 156 作品 招待作家 161 作品 公募作家 7 作品(応募 7 作品) ■授賞 神戸ビエンナーレ大賞 1 作品 神戸市教育委員会賞 1 作品 ■展示場所 兵庫県教育委員会賞 1 作品 特別賞 2 作品 奨励賞 2 作品 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 2 階 書道展 兵庫県書作家協会による作品展示と「きら kira」をイメージした作品を公募し展示を行なった。 ■展示作品数 123 作品 前回 64 作品 (招待作家 119 作品 公募作家 4 作品(応募 6 作品) ) ■授賞 神戸ビエンナーレ大賞 1 作品 入選 3 作品 ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 3 階 (3)企画展示 ①工芸展 ②日本画展 ③ハートでアートこうべ(障がい者公募作品展) ④中国・天津招待作家展 ⑤韓国・光州招待作家展 ⑥東北から「祈りを紡ぐ」写真展 ⑦文化庁メディア芸術祭ネットワークス ⑧パールジュエリー 11 検 証 地元で活動する芸術文化関係団体との連携による様々な日本の伝統的文化作品、さら に、関係機関と連携し障がい者アートや中国や韓国の海外作家の作品、メディアアート、 こうしたアートの垣根を越えた多種多様な芸術文化の展示は、基本方針の「芸術文化の 交流」 「芸術文化活動の連携」に合致しており評価できる。 工芸や日本画等の地元作家が中心となった多様な展示は、作家同士の交流の機会とな り神戸の芸術文化活動の振興に繋がる。 障がいのある人たちのアート作品を展示したハートでアートこうべでは、既成の芸術の 流派や傾向にとらわれることなく自然に表現した作品に、鑑賞者は驚きや感動を受けて いた。 海外招待作家の作品展示は、鑑賞者が質の高い国際的な芸術文化に接することにより 世界を感じられることができたのではないか。 実際に触れたり体験する作品を多数展示した文化庁メディア芸術祭ネットワークス は、子どもから大人まで楽しむことができて、来場者アンケートで多くの人が印象に残 ったとしており、会場に賑わいの雰囲気をもたらしていた。 工芸展 工芸とは、日常の生活に不可欠な道具をつくることや、それらを装飾する技。陶芸、木工、染色、彫 金など人間の手によって生み出された美と、現代の芸術表現への意識が結ばれた中で生まれてきた作品 の展示を行なった。 ■展示作品数 19 作品 ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 3 階 日本画展 日本独自の伝統的な技法や様式をふまえつつ、金潜紙、銀潜紙を統一画材に使うなど、伝統と新しさ の融合を目指した、日本画の世界で新たな挑戦をしている作品の展示を行なった。 ■展示作品数 52 作品 ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 3 階 ハートでアートこうべ(障がい者公募作品展) 障がいのある人たちのアート作品の展示を通して、人と社会の新しいコミュニケーションの場を創出 した。 ■展示作品数 ■展示場所 48 作品(中央区社会福祉協議会主催「ハートでアートこうべ 2011」入賞作品) 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 3 階 中国・天津招待作家展 中国北方の貿易港、神戸と友好都市である天津市。この天津のコンテンポラリー・アートセンター「匯 泰(フゥェイタイ)芸術センター」の推薦による 5 名のアーティストの作品の展示を行なった。 ■展示作品数 30 作品 ■招待作家(アルファベット順) 白鵬(BAI PENG) 、劉巍然(LIU WEIRAN) 、曲建雄(QU JIANXIONG)徐香林(XU XIANGLIN) 、 張錳(ZHANG MENG) 12 ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 2 階 韓国・光州招待作家展 アジア最大級の美術展を実施している韓国の光州市からの招待作家による作品の展示を行なった。 ■展示作品数 2 作品 ■招待作家 Lee lee Nam ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 2 階 東北から「祈りを紡ぐ」写真展 韓国人写真作家 LEE Byung Yong が、編集デザイナーSUN Jisu・東北大学准教授片岡龍と、東北沿岸の 避難所で被災者と寝食を共にしながら、被災地の様子を撮影した写真の展示を行なった。あわせて、2 人の映像作家が被災地で撮影した作品を上映した。 ■展示作品数 40 作品 ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 2 階 文化庁メディア芸術祭ネットワークス 今年で 15 回目を迎えるアート、エンターテインメント、アニメーション、マンガなどを対象にしたフ ェスティバルである文化庁メディア芸術祭のエンターテインメント部門を中心に前年(第 14 回)の受賞 作品の展示を行なった。 ■展示作品数 22 作品 『eスポーツグラウンド』犬飼博士 『エスパードミノ』須木じゃらし 『紙のからくりカミカラ恐竜編』中村開己 アニメ上映 16 作品他 ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 2 階 パールジュエリー 神戸の生活文化を発信するため地場産業である真珠を使った作品(第 1 回神戸マラソン入賞賞品など) の展示・販売を行なった。 ■展示作品数 6 作品 ■展示場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 2 階 (4)イベント ①ボディジュエリー ②ワークショップ ③ミニコンサート ④ギャラリートーク ⑥Hand Tree Art Project ⑤アーティストトーク&サイン会 13 検 証 来場者がアートに触れ体験する機会を提供するとともに、会場内の賑わい演出、来場 促進のために様々なイベントが行なわれた。ワークショップや Hand Tree Art Project は、アーティストと交流しながら様々な創造的な表現活動を通してアートの楽しさを実 感できる機会となった。コンサートやトークは、来場者が生演奏やアーティスト本人か ら発せられる言葉に触れる等、芸術文化を身近に感じる機会となったことは評価でき る。 来場促進については、イベント当日の集客状況等からPR不足が否めず十分な効果が あったとは言えない。イベントが市内だけでなく遠方からも来場するきっかけになるよ う、十分な周知期間を確保するとともに、イベントの内容を広く露出するための手段や 方法を検討していく必要がある。 ボディジュエリー ■実姉期間 10 月 1 日(土)~11 月 23 日(水・祝)の土日祝 10 時~18 時 ■展示場所 神戸ハーバーランド・モザイク及びファミリオ会場 2 階 ※ボディジュエリーとは、ボディー用に開発された特殊なグルー(粘着糊)を使用して、約 70 色のダイヤモンドパウダーで、 「デコルテ」 「腕」 「背中」等の好きな部分にアートする施術法 ■主催 兵庫県美容業生活衛生同業組合青年部 ワークショップ ○アートワークショップ ■内容 11 月 5 日(土) 「昼の夜メガネを作る」 石上 和弘(アートインコンテナ国際展入賞作家) 11 月 6 日(日) 「神戸のカタチを作ろう!」 小原 典子(アートインコンテナ国際展入賞作家) 11 月 12 日(土) 「キラメキヘノサンカ -コマを作って作品に参加しよう-」 ピオリオ(高橋綾×下山肇)(アートインコンテナ国際展奨励賞作家) 11 月 13 日(日) 「つくろう!えとふうせん。とどけよう!メッセージ。 」 曽和 具之(神戸芸術工科大学 デザイン学部プロダクトデザイン学科准教 授) ■実施場所・時間 神戸ハーバーランド・採光ドーム 13 時~16 時 ○子どもいけばな体験教室 ■実施日時 11 月 12 日(土) 13 時~ 15 時~ ■対象 小・中・高校生 20 名×2 ■実施場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 2 階 ○Artists’Action for JAPAN in 神戸ビエンナーレ ■開催日時 11 月 12 日(土)~13 日(日) 10:00~18:00 ■開催場所 神戸ハーバーランド キャナルガーデン会場 ■主催 Artists’Action for JAPAN 関西実行委員会 14 ミニコンサート ■実施日・出演者 10 月 22 日(土) 出演者:宮本慶子、山本葉菜子、小松加奈(マリンバ) 10 月 23 日(日) 出演者:植木美帆、角南麻里子(チェロデュオ) 10 月 29 日(土) 出演者:神戸山手女子高等学校音楽科 10 月 30 日(日) 出演者:増田みのり(フルート)、沢田真智子(ピアノ) 11 月 3 日(木・祝) 出演者:宮本慶子、山本葉菜子、小松加奈(マリンバ) 11 月 5 日(土) 出演者:水澤節子(声楽)、大木有子(声楽)、神吉佐智恵(ピアノ) 11 月 6 日(日) 出演者:狩谷春樹 久保春吉(筝) 11 月 19 日(土) 出演者:神戸山手女子高等学校音楽科 11 月 20 日(日) 出演者:小川哲生とクラルネッティッシモ ■実施場所・時間 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 2 階 13 時~、15 時~ ギャラリートーク ■実施日・出演者 10 月 23 日(日) ※聞き手:大森正夫(神戸ビエンナーレ 2011 エグゼクティブディレクター) 出演者:大森エグゼクティブディレクター 10 月 29 日(土) 出演者:ti/si[多田弘、佐藤知子、岡田敦] (グリーンアート展特別賞) 10 月 30 日(日) 出演者:大森エグゼクティブディレクター 11 月 3 日(木・祝) 出演者:三浦真琴 (高架下アートプロジェクト特別賞) 11 月 5 日(土) 出演者:酒井 正 (ゲートアート審査員特別賞) 11 月 6 日( 日 ) 出演者 : 藤 本 雄 作 ・ 緋田 雅 之 ・大阪 電 気 通信大 学 高 見研究 室 (アートインコンテナ国際展入賞) 11 月 12 日(土) ■実施場所・時間 出演者:関口恒男(しつらいアート国際展ビエンナーレ大賞) 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 2 階 14 時~ アーティストトーク&サイン会 アニメーション美術監督山本二三が語る「創り続ける裏舞台」 ■実施日時 11 月 13 日(日) 13 時~15 時 ■出演者 アニメーション美術監督 山本二三 聞き手:大森正夫(神戸ビエンナーレ 2011 エグゼクティブディレクター) ■実施場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 2 階 Hand Tree Art Project ■実施日時 10 月 8 日(土) 10 時~17 時 一般来場者 27 日(土) 10 時~12 時 神戸市立明親小学校 5 年生 11 月 5 日(土) 10 時~17 時 一般来場者 ■担当アーティスト 酒井 正(ゲートアートコンペティション審査員特別賞作家) ■内容 自分の手の形に切り取ったカラーシールに東日本大震災で被災された方々へのメッセ ージを書いて、幹と枝だけの画面に貼り付けて多くの人の力と想いが集まった大きな樹 を作り上げる。 ■実施場所 神戸ハーバーランド・ファミリオ会場 3 階 15 2.ポーアイしおさい公園会場 (1)コンペティション ①しつらいアート国際展 (2)企画展示 ①いけばな野外展 ②ENEOS 太陽光発電オブジェ 検 証 今回、新たに設けられた会場であるポーアイしおさい公園を、単に夜景の名所として だけではなく、昼間も含めた海側から見た港町・神戸の都市イメージ・魅力の発信がで きたことは評価できる。この公園には隣接したオープンキャンパスの大学があるのだか ら、神戸学院大学と神戸女子短期大学の学生によるお茶の提供「茶所 和束」の開設と いった連携はあったものの、施設管理上の課題はあるがキャンパス内での展示やシンポ ジウム・大学祭等のイベント共催など連携すれば良かったのではないか。 会場には駐車場が無く、シャトルバスの周知不足や民間運航船の欠航が多く、公共交 通機関であるポートライナーと徒歩での来場が大半を占めた。このような状況で来場者 数が約 3 万人を超えたことは、屋外展示という企画・運営については良好であったと評 価できる。 また、出展者からの申し出により展示した太陽光発電オブジェは、当会場における来 場者の写真撮影ポイントになるなど好評を得た。このように企業からの申し出による作 品展示については、その作品展示にとどまるだけではなく、そのような企業と連携を図 り、広報・PR面で活用することも必要である。 しつらいアート国際展 “しつらい”とは、祭礼時などに場を設えたり、もてなしのために飾り付けたりする日本の伝統的な 空間手法。神戸の街と海を見渡せる広大な「しおさい公園」で場所性と仮設性を最大限に生かした空間 創造を提案し表現した作品を公募し、野外展示を行なった。 ■応募状況 ・応募総数 43 作品(43 名) ・海外からの応募 2 カ国(2 作品)イギリス、デンマーク ■授賞 神戸ビエンナーレ大賞 1 作品 特別賞 2 作品 奨励賞 7 作品 入賞 21 作品(大賞等を含む) ■展示作品数 21 作品 いけばな野外展 日本の伝統文化である「いけばな」が神戸が持つ最大の資源である港を舞台にし、招待作家(8つの 流派から各1名)によるいけばなの野外展示を行なった。 ■展示作品数 ■出瓶者 8 作品 石渡 正華(池坊) 小原 宏貴(小原流) 粕谷 尚弘(一葉式いけ花) 佐伯 浩甫(未生流(庵家) ) 中山 高昌(未生流中山文甫会) 西阪 専慶 専慶流) 肥原 慶(未生流) 吉田 泰巳 (嵯峨御流) ENEOS 太陽光発電オブジェ 従来、デザイン性を追求した事例が多くない太陽光発電システムを用い、「アート性」と「エネルギ 16 ー性能」が調和したパブリックアート作品として「SOLAR-OUTLET」を神戸ビエンナーレ 2011 の会場に展 示したい旨の申し出がJX日鉱日石エネルギー(株)よりあり、作品の野外展示を行う当会場に展示し た。この作品は実際に太陽光発電をおこない、会場の日中の電源の一部として活用された。 ■展示作品数 1 作品 ■出展者 作者:毛塚順次(大成建設㈱ 設計本部) 設計・製作・展示:JX 日鉱日石エネルギー(株) 3.兵庫県立美術館会場 (1)企画展示 ①REFLEXIONEN ひかり いろ かたち 検 証 神戸ビエンナーレ2009より兵庫県との連携の一環として、兵庫県立美術館を会場 にして現代アートの展示を行なっている。日本・ドイツ交流 150 周年を記念し、両国で 活動した前衛芸術グループを中心とした前衛の先駆から次世代への展開は見応えがあ り、鑑賞者は表現の多様性を体験することが出来たが、来場者数は前回に比べ 25%減少 した。 要因としては、会場間を結ぶ船の乗り場がハーバーランド側で会場から遠くになった ことやメイン会場が無料会場2ヶ所を含む4ヶ所になったことが考えられる。来場者ア ンケートでも、今回のビエンナーレは会場が離れすぎ・広がりすぎとの意見が寄せられ ており、今後、兵庫県立美術館との連携については、会場の設置に拘らず兵庫県立美術 館の持つ強みを活かした様々な可能性を検討していくべきである。 REFLEXIONEN ひかり いろ かたち 日本・ドイツ交流 150 周年を記念し、両国の前衛美術の気鋭「具体美術協会」と「ZERO(ゼロ)」で 活動した作家による作品およびその次世代の作家各 1 名の展示を行なった。 ■展示作品数 ■招待作家 94 作品 オットー・ピーネ、元永定正、ZERO(ギュンター・ユッカー、ハインツ・マック)、具 体美術協会(吉原治良、嶋本昭三、田中敦子)ユリウス・シュミーデル、松井紫朗 ■展示場所 兵庫県立美術館ギャラリー棟 3 階 17 4.元町高架下(JR 神戸駅~元町駅間)会場 (1)コンペティション ①高架下アートプロジェクト 検 証 今回、新たに設けられた会場である元町高架下(JR神戸駅~元町駅)は、来場者ア ンケートでは会場の特性上の不満をあげる声も一部あったが、「普通の商店街よりもア ートとの親和性があって優れた作品を生み出す良い土壌」「他に無い魅力的なスペース として期待される場所」との評価も得ている。マスコミや芸術関係者からも元町高架下 (JR神戸駅~元町駅)は、会場が持つ独特の雰囲気と作品が一体となっているなど好 評であった。さらに約 6 ヶ月の制作期間は、作家にとっても大変魅力的で制作意欲に刺 激を与えた。各作品とも完成度も高く、また、制作過程をオープンにしたプロジェクト は商店街にも活力を与え、基本方針の「まちの資源の再認識・再評価と魅力発信」「創 造的人材の集積」によるアートを活かしたまちづくりの具体的実践例になったことは大 変評価できる。 来場者の特徴をみると、元町高架下(JR神戸駅~元町駅)へ初めて来た人が42% と比率が高く、街の賑わいづくりや、従来の暗い・怖い・活気が無いといったイメージ の払拭にも貢献したと思われる。多くの来場者が展示作品をもっと増やすよう望んでい ることがアンケートより窺えるが、「増えた客足が売上げアップになっていない」との 商店主の声もある。 なお、今回の高架下アートプロジェクトに呼応する形で、高架通商店街、アーティス ト、学識経験者等で構成された実行委員会による「まちのにぎわいづくり事業」も時を 同じくして進められ、アートパフォーマンスや壁画作成などの企画は、ビエンナーレと の相乗効果により元町高架下(JR神戸駅~元町駅)の魅力をより高めるものとなった。 また、ビエンナーレ終了後、地域主体で元町高架下と新開地で、ビエンナーレ入賞作家 の作品展示が行なわれるなど神戸ビエンナーレを契機として、地域主体のまちづくりプ ロジェクトが起こり、根付くことが望まれる。 高架下アートプロジェクト 元町高架下(JR 神戸駅~元町駅間)の空き店舗等を活用して、開催の半年以上前から空き店舗等でア ートワークし作品を展示することで、創造的人材の活動拠点を創り、高架下の風情を大切にしつつ、人 の流れを創出し、まちの魅力として発信していくプロジェクト。 ■応募総数 51 作品 ■授賞 神戸ビエンナーレ大賞該当なし 特別賞 4 作品 奨励賞 3 作品 入賞 13 作品(特別賞等を含む) ■展示作品数 13 作品 18 5.市内での展開 (1)企画展示 ①まちなかグリーンアート 「くつの記憶」イメージ ③いけばな神戸展 ②『関根伸夫「位相―大地」再制作プロジェクト 2011』 検 証 神戸ビエンナーレ組織委員会が大学や芸術文化関係団体と共催で、メイン会場以外の 場所でもアート作品を展示した。多くの人に鑑賞してもらうとともに、神戸ビエンナー レが神戸市全体での取り組みとして広がることは、まちの魅力を再認識・再発見しても らえることに繋がる。 来場者アンケートでは、 「会場が多すぎる・遠すぎる」といった意見が寄せられてい るが、一方で「もっとアートを増やして欲しい」という意見もある。メイン会場を増や すことは経費や体制面から制約があるが、例えば市内のギャラリーや美術館などと連携 し所蔵作品を展示するなど市内各所にサテライト会場を設置するなど、市民だけでなく 観光客にも自由にアートを楽しみながら市内を散策できる仕掛けを検討していく必要 がある。 まちなかグリーンアート 「くつの記憶」イメージ 市内の幼稚園等を対象に使わなくなったくつを持ってきてもらい、ワークショップ形式で靴を植木鉢 に見立て草花の植栽を行い、広場を彩るインスタレーションとして展示した。 ■さんきたアモーレ広場 10 月 12 日(木)~16 日(日)10:00~17:00 ■兵庫県立美術館 10 月 18 日(火)~23 日(日) ■主催 神戸ビエンナーレ2011まちなかグリーンアート実行委員会 (兵庫県立大学大学院緑環境景観マネジメント研究科、神戸芸術工科大学デザイン学部、神戸ビ エンナーレ組織委員会) 『関根伸夫「位相―大地」再制作プロジェクト 2011』 1968 年に第1回神戸須磨離宮公園現代彫刻展に発表された、関根伸夫氏による「位相―大地」を 43 年ぶりに再制作し展示した。 ■展示期間 9 月 22 日(木)~10 月 14 日(金) ■展示場所 神戸芸術工科大学キャンパス扇形広場 ■主催 神戸芸術工科大学、神戸ビエンナーレ組織委員会、神戸市 いけばな神戸展 兵庫県いけばな協会の役員、会員が「想いを、咲かせる」をテーマに、いけばな展を開催した。 ■開催期間 10 月 13 日(木)~18 日(火) ■開催場所 大丸ミュージアム KOBE(大丸神戸店9階) ■主催 兵庫県いけばな協会、神戸ビエンナーレ組織委員会、神戸市 19 (2)イベント ①特別シンポジウム きらめく日本の文化力 ②きら kira コンサート ③スイーツスタンプラリー ③ヘア・アートコレクション A.T.I 神戸ビエンナーレ 2011 IN クラブイベント CIRCUS(サーカス) ④神戸ビエンナーレ沖縄の日-遠い声遥かな潮風- ⑤日タイ アートパフォーマンス ⑦まちとARTとetc・・・(神戸ARTサポーターズ企画) ⑥モトコーファッションショー 検 証 多くの人にアートに触れ体験する機会を提供するとともに、ビエンナーレ期間中のP Rや賑わい演出のために市内の各地で様々なイベントが行われた。実施主体は、芸術文 化関係団体だけでなく業界団体やボランティアが主体的に、シンポジウムやコンサー ト、ファッションショー、スタンプラリー等のイベントを展開し、PRや賑わい演出に なった。 神戸ビエンナーレをさらに盛り上げていくため、市内各地で実施する企画展示との一 体感を出すことにより、神戸ビエンナーレが市全域で開催しているように演出をするこ とが望まれる。そのためにも、来場者がよく見ているチラシやポスター、ホームページ 等の広報宣伝アイテムの効果的な活用を検討していく必要がある。 特別シンポジウム きらめく日本の文化力 ■開催日時 10 月 4 日(火)10:30~12:50 ■開催場所 ホテルオークラ神戸(チャペル) ■基調講演 近藤誠一(文化庁長官) ■プレゼンテーション ・池田政治(東京藝術大学美術学部長) ・高木美香(経済産業省クール・ジャパン海外戦略室室長補佐) ・中谷日出(NHK解説主幹) ・涌井史郎(東京都市大学環境情報学部教授) ☆コーディネーター 大森正夫 (京都嵯峨芸術大学大学院教授・神戸ビエンナーレ 2011 エグゼクティブディレクター) ■来場者数 105 人 きら kira コンサート 市内の様々な文化資源を使ったクラシック、邦楽等のコンサートを実施した。 ■来場者数 6,683 人 ■コンサート回数 21 回 ■コンサート内容 兵庫県立美術館(アトリエ2) 10 月 9 日(日) 15:00~ 坂本恵子ピアノリサイタル“ブラームスをあなたと” 10 月 23 日(日) 15:00~ 伊藤勝ピアノコンサート ホットなひととき 20 10 月 30 日(日) 15:00~ Musique a la mode ~珠玉のピアノ リストからオペラまで~ 11 月 6 日(日) 15:00~ Luccichio della musica ~音楽のきらめき~ シマブン BB プラザホール 10 月 8 日(土) 15:00~ うたのファンタジー“秋” 10 月 23 日(日) 15:00~ 夢絃奇譚 ~ピアノ、箏、二胡で描く華麗なる歴史絵巻~ 兵庫県公館 10 月 8 日(土) 14:00~ 芹澤佳司ピアノリサイタル 作曲家シリーズ vol.7 F.シューベルト 11 月 5 日(土) 14:00~ こうべびえんなあれ 2011 神戸毘縁奈阿礼 貮阡拾壱 須磨琴演奏会 11 月 6 日(日) 13:00~ みちのく・兵庫を踊る 11 月 20 日(日) 14:00~ 秋に謳う ホテルオークラ神戸(チャペル) 10 月 5 日(水) 18:30~ 関西マンドリン合奏団と飯田美奈子のシャンソン・カンツォーネと映画音楽 10 月 12 日(水) 19:00~ 音楽でたどる「神戸の歴史」 10 月 19 日(水) 18:30~ 神戸波の会~日本のうたスターライトコンサート~ 10 月 21 日(金) 19:00~ 秋のバロック in チャペル 11 月 8 日(火) 18:30~ “クラリネッティッシモ” in チャペル 11 月 11 日(金) 18:30~ 濱﨑加代子と櫻井文恵のコンサート 絵のような音・二人展 オペラ『シ グナルとシグナレス』 11 月 17 日(木) 17:00~、18:45~ ~歌は人生の花~ 11 月 21 日(月) 19:00~ 安藝榮子ソプラノリサイタル~あきうた・ひばりうた~ 11 月 22 日(火) 18:30~ デザイン都市・神戸 音楽シリーズ ハーバーランドスペースシアター 11 月 19 日(土) 10:30~ キッズフェスティバル in ハーバーランド―キラキラ輝くこどもたち― 11 月 20 日(日) 14:00~ 神戸山手女子高等学校音楽科「きら kira」フレッシュコンサート スイーツスタンプラリー ■参加店舗数 ■参加方法 41 店舗 参加店舗でスタンプラリー専用はがきと参加店が記載されたスイーツマップを受け取り、 期間中に 3 店舗分のスタンプと神戸ビエンナーレ2011ファミリオ会場 2 階の物販コ ーナーに設置されたスタンプ、計 4 個を押して応募すると抽選でプレゼントを贈呈 ■主催 兵庫県菓子工業組合 ■応募者 334 人 ヘア・アートコレクション A.T.I 神戸ビエンナーレ 2011 IN クラブイベント CIRCUS(サーカス) 単なるヘアショー、ファッションショーではなく、よりエンターテイメント性を高くしたヘア・アー トショーを展開した。 ■開催日時 10 月 17 日(月) 昼の部:14:00~17:00 夜の部:19:00~22:00 ■開催場所 クラブ「月世界」 ■主催 兵庫県美容業生活衛生同業組合青年部 ■来場者数 470 人 21 神戸ビエンナーレ沖縄の日-遠い声遥かな潮風- 沖縄で継承されている伝統舞踊「琉球舞踊」と阮(グエン)王朝時代の王宮音楽を今に伝えるベトナ ム音楽団とのコラボレーション。 ■開催日時 10 月 10 日(月・祝) 13:30~ ■開催場所 神戸文化ホール大ホール ■主催 関西琉球舞踊研究所、神戸ビエンナーレ沖縄の日公演実行委員会、 ■共催 JAVIP CLUB(ジャパン・ベトナムパートナーシップ) ■来場者数 1,760 人 日タイ アートパフォーマンス ■開催日時 10 月 22 日(土)~23 日(日) 14:00~ 15:00 ■開催場所 モトコー1~7(元町高架下商店街1~7) ■主催 元町高架下(モトコー)にぎわいまちづくり実行委員会 ■来場者数 165 人 モトコーファッションショー ■開催日時 10 月 29 日(土) 19:00~21:00 30 日(日) 15:00~18:00 ■開催場所 ■主催 ■来場者数 モトコー1~7(元町高架下商店街1~7) 元町高架下商店街振興組合、元町高架下(モトコー)にぎわいまちづくり実行委員会 287 人 まちとARTとetc・・・(神戸ARTサポーターズ企画) ■スーパーキッズアンサンブルコンサート 10 月 8 日(土) 14:00~ 兵庫県学校厚生会館 1 階 アートホール神戸 11 月 23 日(水・祝) 15:30~ 神戸ハーバーランド・デュオドーム 編 成 バイオリン4、ビオラ2、チェロ 1、コントラバス1(11/23 のみ) ■ギャラリーコンサート 10 月 9 日(日)15:00~ ギャラリー301・301due(乙仲通) 演奏:植木美帆、筧有子(チェロ Duo) 10 月 23 日(日)15:00~ ギャラリー301(乙仲通) 演奏:山崎小夜子(唄) ■来場者数 427 人 22 6.連携・交流 (1)連携事業 ①六甲ミーツ・アート芸術散歩2011 ②有馬温泉路地裏アートプロジェクト2011 ③榎忠展 美術館を野生化する ④鉄に挑む熱き男たち植松奎二+塚脇淳+榎忠 ⑤天津からの贈り物-EYE- 阪神観写真展越境する文学への旅 検 証 様々な芸術文化関係施設及び団体が実施する事業と連携または事業協賛を行い、相互 に発信することで、県下全体の芸術文化活動がさらに活性化することを目指した。 文化芸術関係団体や施設が実施した5つの事業と連携することで、ビエンナーレを機 に、神戸の様々な場所で様々な芸術文化に触れ楽しむ機会となった。 具体的な連携として、互いに広報PRを実施したほか、 「六甲ミーツ・アート芸術散 歩2011」 「榎忠展 美術館を野生化する」 「天津からの贈り物-EYE- 阪神観写 真展越境する文学への旅」といった有料事業とはチケットの相互割引、 「六甲ミーツ・ アート芸術散歩2011」とはプレゼントキャンペーンなどを実施し、相互集客を図っ たが、今後更なる効果的な連携手法を検討する必要がある。 六甲ミーツ・アート芸術散歩2011 ■開催日時 9 月 17 日(土)~11 月 23 日(水・祝) 10:00~17:00 ■開催場所 六甲ガーデンテラス、六甲山カンツリーハウス、自然体感展望台六甲枝垂れ、六甲高山植 物園、オルゴールミュージアムホール・オブ・ホールズ六甲、六甲ケーブル六甲山上駅付 近(駅舎、六甲山上駅付近) 等 ■主催 阪神総合レジャー株式会社、阪神電気鉄道株式会社 有馬温泉路地裏アートプロジェクト2011 ■開催日時 3 月 25 日(金)~11 月 23 日(水・祝) 10:00~17:00 ■主催 (社)有馬温泉観光協会 榎忠展 美術館を野生化する ■開催日時 10 月 12 日(水)~11 月 27 日(日) 会期中無休 10:00~18:00(金・土は~20:00) ■開催場所 兵庫県立美術館企画棟 3 階 ■主催 兵庫県立美術館・朝日新聞社 鉄に挑む熱き男たち植松奎二+塚脇淳+榎忠 ■開催日時 10 月 1 日(土)~11 月 23 日(水・祝) 会期中無休 9:00~21:00 ■開催場所 シマブンビル 1F 玄関ホール及び BB プラザ 2F アトリウム ■主催 BB プラザ美術館・シマブンコーポレーション 23 天津からの贈り物-EYE- 阪神観写真展越境する文学への旅 ■開催日時 11 月 5 日(土)~12 月 11 日(日) ■開催場所 BB プラザ美術館 ■主催 BBプラザ美術館、株式会社シマブンコーポレーション ■協賛 阪神電気鉄道株式会社 (2)協賛事業 検 証 平成 23 年 4 月1日から会期終了の 11 月 23 日の期間中に兵庫県内で開催される芸術 文化活動と連携して広報などを相互に協力するために協賛事業を募集し、その数は前回 に比べて 84 増の 229 事業となり、過去2回の実施で神戸ビエンナーレの知名度が浸透 してきたことが窺える。協賛事業はホームページでの発信など、ビエンナーレを通じて 様々な事業と主に広報面での相互に連携協力したことは評価される。 今後、各会場近隣の地域団体や学校、幼稚園等からも重点的に協賛事業を募集し、開 催に向けた機運醸成に取り組む必要がある。 ■対象 兵庫県内で実施され神戸ビエンナーレの趣旨に賛同する芸術文化活動 ■協賛事業数 229 事業 (神戸ビエンナーレ 2009:145 事業) 24 Ⅴ 管理・運営事項の検証 1.来場者数 目標入場者数を20万人(前回15万人)としていたが、結果は、242,766人(前回 は164,434人)と目標を上回った。内訳は、ハーバーランド会場は約10万3千人、兵 庫県立美術館会場 約1万6千人、ポーアイしおさい公園会場 約3万2千人、高架下会場 約5 万5千人、その他 約3万6千人であった。 開幕当初ははっきりしない天候の日が多く、土日祝日など来場者数が多く見込まれる日に天 候に恵まれない日があった。その後、テレビ放映などをきっかけに来場者数が増加し、最終的 には目標入場者数を上回る結果となった。 【参考:各芸術祭の来場者数】 ・神戸ビエンナーレ2011(54 日間) 24 万 3 千人(4,500 人/日) ・横浜トリエンナーレ2011(83 日間) 33 万 4 千人(4,024 人/日) ・愛知トリエンナーレ2010(72 日間) 57 万 2 千人(7,944 人/日) ■入場者数が増えた要因 ・神戸ビエンナーレ2011では作品を常設している会場がハーバーランド会場、兵庫県 立美術館会場、ポーアイしおさい公園会場及び元町高架下(JR神戸駅~元町駅)会場 の4会場となり、前回の3会場(メリケンパーク、兵庫県立美術館、神戸港)より1会 場増えた。そして各会場がそれぞれ神戸のもつ資源を楽しみ、再発見する機会を提供し たことでアート鑑賞の幅が広がった。 ・有料会場だけでなく無料会場を設けることにより、気軽にアート鑑賞が出来る場を提供 した。また、前回と同様に現代アートだけでなく、いけばな、工芸、日本画、書道等の 伝統的な芸術、さらには文化庁メディア芸術祭受賞作品などのメディアアート、生命現 象とアートとの融合を図るグリーンアート等、様々な芸術・文化を取り上げたことで、 鑑賞者の幅が広がった。 ・ホームページのリニューアルに取り組み、ブログや動画配信など展示内容をできるだけ 詳細に発信することやツイッター、フェイスブックなどを通じてリアルタイムに情報を 発信することに努めた。 ・テレビの情報番組等で取り上げられることにより、神戸ビエンナーレ2011の魅力が より広範囲な層に伝わった。 2.広報・宣伝 前回の検証では広報面が不十分であったと指摘されたことから、来場者アンケートの結果を 踏まえ、ターゲットを絞った広報を実施していた。 まず、前回の来場者は性別では女性が、年代では 30 代以下の来場者がそれぞれ6割強を占め たことを踏まえて、ピンク色を基調としたデザインを採用した。これについては、色使いが目 立つということもあり、来場者アンケートからも非常に好評であったと窺える。また、来場者 の居住地が、近畿2府4県が9割を超えていたことから、限られた財源を有効に活用するため、 同地域に絞った広報展開を実施した。 今回の来場者アンケートでも、来場者の属性に大きな変化は見られないことから、引き続き 25 ターゲットを絞った取り組みを実施すべきであるが、また、一方でコアターゲット以外からの 集客をどのように図っていくかは引き続きの課題といえる。 また、来場者アンケート等では、 「ビエンナーレの意味が分からない」 、 「何をやっているか内 容がわからない」などPR内容についての意見、 「あまり目にしなかった」など量に対する意見 も多数寄せられている。市政アドバイザーへのアンケートでは実際に会場へ行ったと回答した のは3割を下回っており、今後ともわかりやすく効果的なPRのあり方について検討していく 必要がある。 なお今回、会期中に TV の情報番組等マスコミでも多く取り上げられ、来場者数の増につなが ったことも踏まえ、コンテンツの充実はもちろんのこと、コンセプトの明確化や今まで以上に 個別にマスコミの参画を促すことが重要である。そして、開催期間が長期であるから節目節目 に情報を発信したり、セレモニーやイベントが盛り上るような演出をするなど、マスコミが取 り上げやすい工夫を検討する必要がある。 (1)コンペ募集 コンペ等への参加を呼びかける広報としては、準備年となった 2010 年度から 2011 開催時期 にかけて全国の主な美術館・ギャラリー・アート系学校・芸術系 NPO 等への開催概要の送付な どを行った。開催案内については英文も併記したビエンナーレ2009の記録集とともに海外 の美術館関係者、国内の外国大使館等に情報提供を行い、結果としてアートインコンテナ国際 展を含むコンペ全体への応募者数は増加した。海外からの応募者数は、前回に比べ若干減少し ているが入賞作品数は逆に増えている (2)チラシ・ポスター 市内に関しては、市所管施設や会場近隣はもちろんのこと、自治会看板への掲示依頼、市 内商店街や三宮~神戸駅周辺の商業店舗等に個別に設置を依頼した。 また、日帰り圏内の比較的近隣に対しては、県内各市町や協賛事業先にポスター・チラシ設 置を依頼したほか、スルッとKANSAI加盟各社やJR西日本とタイアップし、ポスターの 車内吊りや駅貼り、チラシの配布を実施し、沿線住民へのPRを行なった。 なお、宿泊を伴う遠方については、全国の美術館・美術系大学等アートへの関心が高いと思 われるところへPR資料を送付したほか、市観光セクションが全国に出向き各地の旅行担当者 等に神戸の魅力を紹介する際に、神戸の観光資源のひとつとして積極的に広報をした。 来場者アンケートの結果、 デザインに関しては 「良い」 と答えた方が9割以上を占めた一方、 その内容については、 「分かりやすい」 と答えた方がかろうじて半数を超える程度にとどまり、 「抽象的」 「コンセプトが伝わらない」 「展示内容が分からない」 などの意見をいただいている。 これまで、目にしたビエンナーレの広報アイテムとして、チラシ・ポスターを上げた人が 6 割に達している。ウェブなどペーパーレス化が進む昨今においても重要なアイテムであり、鉄 道など公共交通機関をはじめ積極的に活用していくべきである。 総花的になるのではなく、見た人にインパクトを与えられるよう伝えたいメッセージに特化 したり、ビエンナーレの具体的イメージを伝える工夫、時期に適ったデザインに変更するなど を今後検討する必要がある。 26 (3)雑誌媒体等 限られた事業費の中で露出を増やすため、有料広告は極力抑え無料で広告が実施できるよ う、県市広報物に加え、各種マスコミ・タウン誌・情報誌等の出版関係にチケットプレゼン トの案内を送付し、掲載機会を増やすための工夫を行った。今後とも無料広告や読者チケッ トプレゼントを積極的に活用していくとともに、有料広告についてもエリア、年代、性別な どターゲットを絞った効果的な広報を検討すべきである。 (4)街頭宣伝物 花時計へのデザイン、主要幹線へのバナーの掲出、市役所庁舎への横断幕、三宮交差点への 大看板の設置、神戸空港へPRオブジェの設置、花時計ギャラリーやまちづくり会館での展示 等を行った。 これらは、まち全体の機運醸成と来場者へのおもてなしムード醸成になっており、期間中 も絶え間なく実施することが望まれる。 (5)ホームページ等 神戸ビエンナーレ2011の公式ホームページを基本方針発表時の平成 22 年7月に開設し、 その後 4 ヶ国語(日・英・中・韓)対応、携帯電話対応、動画配信など、適宜改良を加えつつ、 広報PRを実施した。また、より手軽な形で情報を発信すべく神戸ビエンナーレ2009に引 き続きブログを活用したほか、平成 22 年 12 月にはツイッター、平成 23 年 8 月にはフェイス ブックを開始し、よりリアルタイムの情報をコンパクトな形で発信した。 これらの結果、ホームページへのアクセス件数は、開幕前 3 ヶ月間は前回の 1.24 倍、会期 中は 1.15 倍と、前回以上のユーザーにご利用いただいた。一方、ブログについては前回より アクセス数が減少しているが、これはブログ利用者の多くが、ツイッター、フェイスブック に流れたものと思われる。 今回の来場者アンケートでは、 「アクセスMAP」が分かりづらいという声が多く聞かれた。 印刷物と異なり動画や即時に情報提供ができるという優位性を活かしつつ、作品解説、作家 プロフィールなどコンテンツの充実、携帯端末への対応、さらには、会期外においても、参 加アーティストの近況報告を行うなど、ビエンナーレで創り上げた多様な人のネットワーク を継続して発信することを検討するべきである。 また、双方向でリアルタイムに情報を伝えることが出来るイッターやフェイスブックを、 情報収集・発信源として積極的に活用し、参加意識や臨場感を高めていくべきである。 【HP訪問回数】 ■ 開幕前3ヶ月 ■ 会期中 ・2009→約6万2千回 ・2009→約11万9千回 ・2011→約7万7千回 ・2011→約13万7千回 【ブログアクセス数】 ■ 開幕前3ヶ月 ■ 会期中 ・2009→約1万9千回 ・2009→約4万6千回 ・2011→約1万3千回 ・2011→約1万8千回 27 【ツイッター フォロワー数】 ■ 開幕前(9月30日時点) ・2,617人 ■ 会期中(11月23日時点) ・3,147人 (6)公式ガイドブック 前回と同じく美術手帖(主に 20~30 代をターゲットにした美術専門の月刊誌)と提携して 神戸ビエンナーレ2011公式ガイドブックを美術手帖臨時増刊号して 10 月に全国の主要書 店で販売した(定価 1,260 円)。内容はビエンナーレのみならず神戸の観光や歴史が紹介され ており、販売数も前回の 3,000 部から 11,000 部と大幅に増え、神戸ビエンナーレを通して神 戸を全国に発信できたことは評価できる。 公式ガイドブックは、神戸ビエンナーレの総合パンフレットとしてだけでなく、公式記録 集とともに資料としても有用である。 (7)協力店舗 メイン会場であるハーバーランド会場に繋がる三宮~神戸エリアで営業する店舗 101 店の 協力を得て、ビエンナーレのチケット提示で割引やドリンク付きなどの各種サービスを受ける ことができるようにした。期間中はビエンナーレのポスター、チラシを店舗に置いてもらうな ど地域からもビエンナーレを応援する取り組みに繋がったと考える。 8割以上の店舗が次回も協力したいと回答しており、協力店へのアンケートでも半数近い店 舗が期間中の賑わいを感じていた。しかし、各種のサービスの利用については「全くない」 「ほ とんどない」が8割となっており、双方にもっとメリットがあるような仕掛けづくりが必要で ある。 (8)シンボルマーク、オリジナルグッズ 神戸ビエンナーレのシンボルマークは第1回開催に際して 2006 年に公募を行い、応募のあ った 1,108 作品のなかから選ばれた作品を継続して使用している。 また、会場及びインターネット上でオリジナルグッズ(クリアファイル、缶バッジ、マグカ ップ、マグネット、ストラップ、手ぬぐい)の販売を実施した。デザインの統一はビエンナー レの周知に役立っている。 (9)スタンプラリー 六甲ミーツ・アート、神戸アートウォーク、兵庫県菓子工業組合(スイーツスタンプラリ ー) 、神戸ふれあいフェスティバルなどとの連携により、スタンプラリーを実施し、相互集客 を図った。 この種の取り組みは、神戸のまち全体を巻き込み盛り上げる効果を期待できることから、 他実施主体と更なる連携を図るとともに、種類が増えることで来場者の混乱を招かないよう 工夫が必要である。 (10)プレイベント等 神戸ビエンナーレ2011開催の 1 年前より時宜を捉えた様々なプレイベントを実施し、神 戸ビエンナーレ2011の開催気運を醸成した。 28 【実施プレイベント】 ・2010.10.4~10 ぶらっと!乙仲通 ・2011.5.22 コス☆キラ 2011~コスプレで海賊船に乗ろう~ ・2011.7.16~9.25 山本二三展 ・2011.9.11 コス☆キラ 2011~チャイナ娘まつり!~ ・2011.9.15 アートでつながろう 兵庫☆神戸のつどい また、昨年の2~3月にかけて、三宮・元町をはじめとした商業施設等や京都駅で通行客が 触れて体感することができるオブジェを配置したり、折り紙型(ポートタワー、船、かもめ) のフライヤを配布することで、アートイベントとしても「ビエンナーレ」に関心をもってもら えるよう取り組んだほか、インフィオラータへの参加、神戸まつり、兵庫運河祭、ハーバーラ ンドの日など市内イベント実施時にPRブースを設置し、来場者へ開催PRを行った。 前回や今回のビエンナーレでつながった様々なアーティストや街の様々な事業主体と連携 するなど、今後も会期前に効果的なイベントやPRを行うことで、神戸ビエンナーレの具体的 イメージの浸透に努める必要がある。 3.組織体制 神戸ビエンナーレ2011では、 「きら kira」のテーマのもと、ポーアイしおさい公園や元町 高架下、神戸ハーバーランドを新たに会場とするなど、さらなる事業の広がりを目指したため、 組織体制についても拡充を図る必要があった。 そのため、事業全体について総合的なアドバイスを行う「特別アドバイザー」及び「参与」 を置くとともに、各部門の事業執行の責任者として「エグゼクティブディレクター」を新設し、 それらを統括する責任者として「総合プロデューサー」を置くこととした。この事業遂行体制 により会場変更という事態に迅速に対応でき、効果的な事業展開ができたと考える。 今後、様々な芸術文化活動と連携しパートナーシップを形成していくためにも、組織体制の 継続性が求められる。 29 4.会場の設営と運営 (1) 会場の設営 神戸ビエンナーレ2011の会場設営は 3 月 11 日発生の東日本大震災の影響により、開幕ま で 6 ヶ月をきった段階で、メイン会場を前回までの「メリケンパーク」から神戸ハーバーラン ド内の商業施設「ファミリオ」へ急遽変更し、グリーンアート展を行う「キャナルガーデン」 、 しつらいアート国際展及びいけばな野外展等を行う「ポーアイしおさい公園」 、高架下アートプ ロジェクトを行う「元町高架下(JR神戸駅~元町駅) 」及び HAT 神戸の「船着場」とあわせて、 計 5 ヶ所で会場設営を行った。 【ハーバーランド会場】 メイン会場となるファミリオ会場は「屋外でコンテナを使用した作品展示」から「屋内展示」 に変更となったことにより、作品展示方法を以下のように変更した。 変更点 ・アートインコンテナ国際展及びいけばな未来展については、従来からの鋼鉄製コンテナから内装用軽量 鉄骨下地に石膏ボードを貼り、ビニールクロスで仕上げた「コンテナ擬似空間」を展示スペースとした。 ・ゲートアートについては作品の大きさゆえにそのまま屋内に展示できなかったため、 「模型展示」という 方法を採った。 ・その他の作品展示については、既存の店舗区画を最大限活用し、展示パネル、展示台を設置し作品の展 示を行った。 展示は、建物のB2F、2F、3Fと3層のフロアを使用し、陶芸、書道、日本画、工芸、 フォト、障がい者アート及びこども絵画の各作品を展示する3Fは、照明を多く点灯した「明 るい」空間とした。コンテナを使用した作品展示をするB2F、2Fは、基本照明を消灯し、 不足する照度を多可町及び杉原紙研究所の協力により兵庫県重要無形文化財の「杉原紙」を使 用し製作した、 「行灯」を会場内の各所に配することにより補った。また、会場が3フロアに分 かれるため、各階に休憩スペースを設けゆったりと作品鑑賞を行ってもらえるようにした。 ただ、ファミリオ会場については展示コンテナを建築内装工事用の資材を使用し製作をおこ なった。これらはリース品である輸送用のコンテナと違い、会期が終了後は廃棄処分となるも のが大半を占める。その中で鉄製部材の一部はリサイクルすることが出来たが、多量の廃棄物 が発生した。会場が屋外から屋内へ、リース品中心から購入品中心に変わったとはいえ相当な 廃棄物の量であることは間違いなく、環境にやさしいビエンナーレを目指していくべきである。 次にハーバーランド会場を構成するもうひとつの会場の「キャナルガーデン会場」ではグリー ンアートの作品展示を行ったが、稼動している商業施設のため、作品設置上の制約が多く存在 した。 まず、施設管理者と消防との間でキャナルガーデン内は「可燃物」の設置禁止という取り決 めがなされており、コンペ当選作品の中でもその規定を遵守すべく「防炎加工」を施工した作 品があった。また、作品の設置、撤去作業についてもキャナルガーデンが「公共通路」でもあ るため、施設閉館後から開館までの深夜作業とならざるを得なかったため、各作家、スタッフ に大きな負担となった。 30 【ポーアイしおさい公園会場】 しつらいアート国際展及びいけばな野外展等を行うポーアイしおさい公園会場は無料会場で あり、今回新たに加わった会場である。この会場では事務所及び倉庫としてコンテナを使用し、 来場者の休憩所及び案内コーナーとしてテントの設置を行った。 この公園は元来、イベント開催をあまり想定していない施設であるため、電気設備、給排水 設備の整備が少ない。そのため、ビエンナーレ期間中限定で会場に設置された太陽光発電をお こなうコンセント型のオブジェから、また企業より無償で借り受けた高性能なリチウムイオン 蓄電池を夜間に充電し、日中の使用電力の一部とした。また、給排水管が公園内にほとんど敷 設されていないため、多くの集客が見込まれるイベント会場では通常設置される仮設トイレが 設置が出来なかったが、隣接する大学の施設を活用させてもらうことにより、来場者へのサー ビス向上を図ることが出来た。 なお、当会場は第 1 回神戸マラソンのコースに当っており、岸壁沿いを通るマラソンコース 上には移動が困難な作品を配置することは出来なかった。そのため、マラソンコース上に容易 に移動可能な FRP 製のオブジェを配することにより、会場全体の設営を行った。 【元町高架下(JR神戸駅~元町駅)会場】 高架下アートプロジェクトの会場となった元町高架下(JR神戸駅~元町駅)会場は JR 神戸 駅から元町駅間の高架下の商店街の空き店舗等を使用しており、店舗として建物が残っている 区画と、建物が撤去され高架躯体のみとなった部分で構成されている。会場整備の基本方針と して、現状の姿をそのまま生かすこととしたため、会場内に段差などが生じ、バリアフリー対 策が十分行えなかったこと、また、作品設置方法に工夫が必要となった区画も生じた。 この会場は他の会場と異なり、 3 月に開催のプレイベントに合わせ第 1 期整備として建物付区 画の整備を行った。その後、引き続き第2期整備として建物無区画の整備を行う予定としてい たが、東日本大震災の影響により工事資材の調達が困難となり、その影響が少なくなった 6 月 に行った。その結果、作品制作・設置期間が短くなり、作品のコンセプト等に影響を与えた可 能性も否定できない。 31 (2)会場運営 運営全般としては、大きな事故は発生せず無事に会期を終えることができた。また、メイ ン会場が屋内となったことにより、コンテナの暑さ、風雨対策及び段差解消のためのスロー プの設置の必要がなくなった。しかし、来場者アンケートや実際の運営から次のような課題 もあった。 課 題 ・作品展示会場が 5 箇所、船着場が 2 箇所となり各々が離れた場所となったことから、各会場等の状況把 握が困難な場合があった。 ・ハーバーランドとポーアイしおさい公園とのアクセス手段として既存の定期航路があったが、その運航 が船会社の都合により不定期となったため、運航状況の把握、告知に苦慮し、結果として来場者に迷惑 また、会場間を結ぶ連絡船、シャトルバスの利用者数が伸び悩んだ。この原因としては、① を掛けることとなった。 ハーバーランド会場と船着場・バス乗場が離れていること、②連絡船に関しては、2009 の時 ・コンピュータ、映像機器を使った作品についてはその機器の耐久性不足により、繰り返し故障を起こす のように船内パフォーマンス、海上アート作品がなく単なる移動手段となってしまったこと、 事例があった ③PR不足により来場者への浸透が図れなかったことが考えられる。 ・海外あるいは遠方の作家の作品に故障が起きると、すぐに連絡がとれない、部品が入手できない等によ ・会場間連絡船 7,412 人(137.3 人/日) り完全に復旧できなかったり時間を要した。 ・シャトルバス 5,697 人(107.5 人/日) ・ポーアイしおさい公園は野外展示であるため自然条件、特に海辺の強風については作家の理解の未熟さ 今後、船については、神戸ビエンナーレ全体のテーマやコンセプトから必要性を検討した が見られた。 うえで、実施するのであれば早い段階からのPRに努めると共に、単なる移動手段だけでは ・ファミリオ会場については、要所に誘導サイン等を設置しているが、入場ゲートの場所がわからないと なく前回のような付加価値をつけることを検討していくべきである。 いった問い合わせを多くいただいた。 ・キャナルガーデン会場は高温と乾燥のため、生きた植物を使った作品の維持管理にスタッフの負担が多 大であった。 ・ポーアイしおさい公園会場は、夜間警備や海辺の強風対策のため、毎日のメインテナンスによりスタッ フの負担が多大であった。 ・元町高架下(JR神戸駅~元町駅)会場は、点在する展示場所の作品管理に、スタッフは多忙を極めた。 (3)神戸アートサポーターズ 現在のアートプロジェクトは市民参加を促し、イベント運営を支えるボランティアの活動な くしては成り立たない。神戸ビエンナーレ事務局でも会期の前後を問わず、プレイベントなど 関連事業の運営サポートといったアートにかかわるボランティア「神戸ARTサポーターズ」 を募集しており、登録サポーターによって神戸ビエンナーレの運営サポートが行われた。 運営ボランティアによって作品制作補助、会場運営補助、作品撤去補助などのサポートがな され、多くのボランティアの参加によってビエンナーレの運営が維持されたことは大きな意義 がある。 またアートサポーターズの自主的な取り組みとして、ビエンナーレ関連企画として「まちと ART と etc. . . 」と題してギャラリーコンサートや市内の芸術施設を巡る企画等実施し、ギャラ リー等との連携を深め、アートに対する理解を深めてもらうきっかけとなった。 このように神戸ビエンナーレでは、神戸ARTサポーターズが直接・間接的に運営面やP R面で非常に積極的に参画していただいたため、市民とともに創り上げる機会を実現するこ とができたと考えている。今後もビエンナーレを基点として生まれた人的ネットワークを継 続、発展させていくことで、神戸ビエンナーレの大きな力になるとともに、ひいては文化創 生都市の実現につながるものと考えられる。 32 ただ、ボランティアという性格上、参加動機・頻度が一様でなく自主性を前提としているの で継続的な参加の確保が難しい。また、無償ということで有償スタッフとのローテーションが 組みにくいという面もあった。 ボランティアとして達成感や充足感が得られるよう神戸ART サポーターズと有償スタッフとの役割の違いをわかりやすくするとともに、人材確保について は芸術系大学などとの連携を一層強めていくことなどが今後の対応策として考えられる。 ■ 神戸アートサポーターズ登録人数 ■ 神戸アートサポーターズ延べ参加人数 ・自主企画サポート 65人 ・会場運営サポート 595人 ・作品制作サポート 109人 ・プレイベント、シンポジューム等 257人 162人 1,026人 (4)サイン 【誘導サイン】 今回は会場がハーバーランド、元町高架下(JR神戸駅~元町駅) 、ポーアイしおさい公 園、兵庫県立美術館と分散し、会場間連絡船の船着場及びシャトルバス発着場所と距離があ る会場もあった。会場周辺には今回のイメージカラーのピンク色を使用した横断幕、立て看 板、ポスター、バナー等設置し、最寄駅から会場、会場から船及びシャトルバス乗り場への 誘導を行った。 これら会場の中でハーバーランド会場は屋内会場ということもあり、目的地が目視できな い、また、会場までの導線、会場間の導線の中で上下方向への移動があり、会場がどこにあ るのかわかりにくいといった意見が多かった。 今後も分かりやすい誘導サインの設置に心がけるとともに、誘導サインが一方向だけで なく、多方向へ誘導することにより、来場者に目的場所の選択が可能になるようなサイン にする必要がある。 また、誘導・案内という点から、タクシーやバスといった公共交通機 関に対して展示内容や会場等の広報を心掛けていくべきである。 【会場内のサイン】 会場内のサインについては、デザインを統一しわかりやすいように配慮した。また、各 会場では全会場が掲載された会場マップを配布し、入場者に対し必要な情報を提供し会場 内及び他会場へのスムーズな移動が出来るようにした。 各作品毎の紹介をおこなうキャプションボードについてもデザインを統一し、会場全体 の統一感を出すよう心がけた。文字が小さかったこと、また、ファミリオ会場は場内が暗 い場所が多かったこともあり少し見づらいという意見、あるいは作品や作家のことがもっ と知りたいとの意見があった。 今後は、全体のバランスも考慮しつつ、見やすさ、作品や作家の解説の内容等を考慮して キャプションの設置に心がける必要がある。 33 5.事業収入の確保 厳しい経済情勢のなか、組織委員会委員の企業をはじめ多くの企業・団体にご理解、ご協力 をいただき、67 社・団体等から寄付金が集った。引き続き、市民・企業・行政の協働による神 戸文化の支援について理解していただき協力をお願いしていく必要がある。 入場券については、PR効果も期待し前売り券の販売を会期の 3 ヶ月前の7月から実施した が、展示作品などの具体的な情報をPRするまでには至らなかったこと、連絡船の乗船客数の 減などもあってチケット収入は予算を下回った。入場券の券種が 2 会場共通・2 日間有効のもの のみであることや、料金設定などについて、来場者からご意見もいただいている。 今後、販売促進に向けてPR手法、料金設定、券種などについて検討を重ねる必要がある。 Ⅵ 検証委員名簿 (五十音順) 大谷幸正(神戸市市民参画推進局長兼広報官) 齊木崇人(神戸芸術工科大学長、神戸市統括監) 武田政義(財団法人兵庫県芸術文化協会副会長) 中川幾郎(帝塚山大学教授) 長﨑泰裕(NHK 神戸放送局長) 服部孝司(神戸新聞社取締役) 藤野一夫(神戸大学教授) 松原一郎(関西大学教授) 34