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新年のご挨拶 - 日経TEST
新年のご挨拶と全国一斉試験日程のお知らせ ~2017 年経済ニュースの読み方~ 2017 年 1 月 1 日 新年おめでとうございます。 日経TESTは本年、2008 年秋の第 1 回全国一斉試験から数えて「10 年目」を迎えました。 2016 年に実施した全国一斉試験のほか、企業団体試験、テストセンター試験などを受験いただい た人数は、お蔭様で前年を大きく上回りました。ビジネスに必要な「経済知力スコア」を客観的 に測るテストとして評価・活用いただいていることに、改めて感謝申し上げます。 2017 年の全国一斉試験の日程は、6 月 11 日(日)と、11 月 12 日(日)に決定しました。本年 も企業団体試験、テストセンター試験も含め、皆様のチャレンジをお待ちします。 新年のタイミングですので、2017 年の主な経済関連予定を紹介しながら、日経TESTのスコ アアップを目指して経済・産業ニュースを追う際の「勘どころ」を解説します。16 年 12 月 12 日 付で掲載した「次回チャレンジのポイント」の続編ともなりますので、あわせてお読みください。 2017 年も「騒ぐ」年、欧州の選挙日程などにアンテナを 年始の挨拶では干支にちなんで「相場格言」がよく引用されます。2016 年は「申(さる)年は 騒ぐ(相場が大きく動く)」。その通りの年になりました。年初にさっそく中国株ショック、マ イナス金利、6 月には Brexit(英国のEU離脱)、11 月にはトランプ・ショック後の日米の思わ ぬ株価上昇と大きく揺れ動いたのは、「次回チャレンジのポイント」でも触れた通りです。 酉(とり)年の 2017 年はどうかというと、格言では申年とセットで「申酉(さるとり)騒ぐ」 といいます。つまり、「酉年も騒ぐ」。格言で改めて身構えるまでもなく、波乱要因が満載です。 次のページに「2017 年の注目日程」の表を掲載しましたので、ご覧ください。 最も波乱含みである欧州の選挙日程を赤字で強調しました。4~5 月のフランス大統領選挙、9 月のドイツ連邦議会選挙で、「反グローバル化」と「ポピュリズム(大衆迎合主義)」勝利の流 れが続くかどうかは、今後の世界経済にも大きく影響します。それぞれの情勢は日本経済新聞の 年末年始の紙面で既にわかりやすく解説されていると思いますので省きますが、節目となるこの 日程を頭に入れておくと、関連するニュースが頭に入りやすくなるはずです。 1 月 20 日、トランプ米大統領が正式に就任します。法人税の巨額減税やインフラ投資を柱とす る経済再生策を 100 日間で断行するという「100 日計画」が既に発表されています。「就任初日 に実行する」としているTPP(環太平洋経済連携協定)脱退、北米自由貿易協定(NAFTA) 1 ©日本経済新聞社 2017 年 再交渉なども気になりますが、法人減税が実行に移されるかなど、節目の 100 日(4 月 30 日)も 注目されるタイミングです。このほか中国では 5 年ごとに開かれる共産党大会で習近平体制が 2 期目(~2022 年)に入ります。韓国・朴槿恵大統領の退陣時期は流動的。アジアのサプライチェ ーンの要として 4500 社以上の日本企業が集積するタイでは、プミポン前国王死去後の喪が明け、 ワチラロンコン新国王が即位しました。年末には総選挙が予定されています。 2017 年の注目日程 国内 海外 内外イベント・話題 1月 ・通常国会召集 ・JAXAが人工衛星を載せる世 界最小ロケット1号機打ち上げ ・改正男女雇用機会均等法と改正 育児・介護休業法が施行 ・個人型確定拠出年金(iDeCo) の対象者拡大 2月 ・がん免疫薬「オプジーボ」の薬 価 50%引き下げ ・マイナス金利導入から 1 年 3月 ・春季労使交渉(集中回答日) ・三越伊勢丹が三越千葉店閉店 ・ファミレス最大手すかいらーく が 4 月までに 24 時間営業店舗 を 7 割減 ・オランダ議会選挙 ・任天堂が新型ゲーム機「スイ ・香港行政長官選挙 ッチ」発売 ・米FOMC(年 8 回開催の 2 回 ・ハウステンボスがロボットホ 目で、次回利上げの可能性) テル「変なホテル」を千葉・ ・英国のEU脱退通告期限 舞浜に開業 4月 ・コカ・コーラ東西が経営統合 ・JXホールディングスと東燃ゼ ネラル石油が経営統合 ・都市ガス小売り自由化 ・フランス大統領選挙(5 月に第 2 回投票) ・トランプ米大統領就任から「最 初の 100 日」 ・東京海上が「自動運転」を対 象にした補償を開始 ・テーマパーク「レゴランド・ ジャパン」が名古屋に開業 ・G7サミット(伊シチリア) ・JR 東が豪華寝台列車「トラ ンスイート四季島」運行開始 ・JR 西が「トワイライトエク スプレス瑞風」運行開始 5月 ・トランプ米大統領就任(20 日) ・米アップルの「iPhone」発表 ・米国の新議会 から 10 年 ・世界経済フォーラム(ダボス会 議、習中国主席が初出席) ・「プレミアムフライデー」の 取り組み開始(政府・経団連) ・夏目漱石生誕 150 年 6月 ・骨太の方針(経済財政運営の基 本方針) ・フランス国民議会選 7月 ・ビットコインなど仮想通貨を購 入の際の消費税が非課税に ・日本郵船、商船三井、川崎汽船 の3社がコンテナ事業統合 ・G20 サミット(独ハンブルク) ・日本最高階数のタワーマンシ ョン「ザ・パークハウス西新 宿タワー60」竣工 9月 時期 未定 ・東京都議選(7 月 22 日が議員 任期満了) ・ドイツ連邦議会選挙 ・2024 年夏季五輪開催地決定 ・韓国・朴大統領が退陣 ・中国共産党大会(秋) ・タイ総選挙(年末) ・シャープが会話ロボット「ホ ームアシスタント」発売 ・米グーグルが民間月面探査レ ース、日本チームも参加 *2016 年 12 月 22 日までに日本経済新聞に掲載された情報に基づき作成。 2 ©日本経済新聞社 2017 年 トランプ政策、米金利引き上げ……日本経済への「追い風」は続くか 「日本の株価上昇は当面続く」というのが大方の見方です。米国の年金基金など海外の投資家 がまとまった資金を再び日本株に投資し始めていることが、その根拠です。日本株見直しの背景 にあるのは、他の先進国に比べた政治の安定です。安倍晋三首相の在職日数は戦後第 4 位の長期 政権となり、自民党は総裁任期を「連続 3 期 9 年」に延長することも決めています。 日本の輸出産業に追い風の「円安」も続く基調です。FRB(米連邦準備理事会)が 12 月 13 ~14 日に開いたFOMC(米連邦公開市場委員会)で 1 年ぶりに利上げ(短期金利の誘導目標を 年 0.25~0.50%から 0.50~0.75%に)を決めました。2017 年も「年 3 回」の利上げが想定されて います。米国は金利を上げ、日本は短期金利をマイナス・長期金利(10 年物の国債の金利)を「ゼ ロ%」に誘導する金融政策をとっているため、日米の金利差が開き、円安になる構図です。 トランプ・ショックで円高・株安になると思いきや、トランプ政策による当面の米経済浮揚効 果への期待に加え、原油価格上昇による新興国経済の安定、自動車への減税など政策効果が支え た中国経済の回復、といった追い風が吹いているのが、2016 年末の日本経済の現状です。 とはいえ、「米国の製造業の競争力」も重視するのがトランプ次期大統領の政策であれば、「ド ル高」でなく「ドル安」を目指すはずです。実際、人民元安が続く中国に対しては「就任初日に 為替操作国に認定する」とも述べています。選挙期間中に発言していたような過激な保護主義の 面が政策に反映されるようになると、追い風が向かい風に一転するリスクをはらんでいます。 米金利の引き上げが続けば、当面は落ち着いている新興国からの資金流出の懸念も高まります。 景気が低迷するインドネシアの中央銀行は 2016 年に入って 6 回も金利を下げていましたが、米金 利上げ後の 12 月は利下げを見送りました。同国へ投資された海外の資金が、金利の高いドルに向 かうのを警戒する動きです。欧州の選挙結果も、「リスク回避で円高」に向かう要因になります。 以上の海外経済の動きは、日経TESTの出題ジャンルでは「経営環境」に分類されるもので す。TESTでは目先の動きを出題するのでなく、為替、株価、資源価格などを巡る条件が変わ ったとき、それぞれの価格がどう動くか、業界や個別企業がどのような影響を受けるのかの「原 則」を理解しているかどうかを問います。 「当面は円安・株高」といった見通しは、経済知力から導かれる、標準的な筋書きです。実際 の経済がこの筋書き通り動かない場合、なぜそうならなかったのか、どの条件が変わったのかの 理由をつかんでおけば、次に起きる事態への「想定の範囲」が広がってくるはずです。 日本経済新聞に掲載される経営環境を巡る様々なニュースは、「進むはずの針路とのずれがな ぜ生じた」のかという視点の記事を最もわかりやすく、正確に提供しています。以上の点を頭に 入れて、2017 年に起きるニュースを追っていただければと思います。 3 ©日本経済新聞社 2017 年 政治ニュースは「スケジュール」、産業ニュースは「背景」に注目 「注目日程」の表の「国内」の項をご覧ください。1月の最初に「通常国会召集」とあります。 政治の動きが直接、日経TESTの出題対象になることは少ないのですが、基本的に「通常国会」 「臨時国会」「特別国会」の 3 種類がある国会について、この機会に知識を整理しておきます。 通常国会は 1 月に召集され、会期は 150 日。政府が例年、年末に決定する予算案などを審議し ます。臨時国会は通常国会で成立しなかった法案や補正予算案などを審議する場で、最近は 9~ 10 月ごろ召集されています。直近では事業規模 28 兆円の補正予算やカジノを含む統合型リゾー ト(IR)整備推進法(カジノ法)などが成立し、12 月 17 日閉幕したのが臨時国会です。特別 国会は衆院解散による総選挙から 30 日以内に、首相を指名するために開くものです。 以上の知識を整理しておくと、年内に行われる可能性がある「衆議院の解散・総選挙」のニュ ースも頭に入りやすいと思います。衆議院を「解散」できるのは原則、国会を開いている間なの で、例えば 1 月の通常国会を何日から開くかの日程設定は重要な情報です。ここで解散がなけれ ば、「秋の臨時国会」が次のタイミングです。また、与野党が対立する法案がある場合は、最近 の「カジノ法案」のように「会期延長」を巡る駆け引きがあります。政治はこうした「スケジュ ール」を軸に動いているものだと頭に入れておくと、日々のニュースがのみこみやすくなります。 1 月の改正男女雇用機会均等法・育児・介護休業法については既に、就業規則の改定などの対 応が始まっているはずです。所得控除を受けられる配偶者(妻)の年収の上限を 103 万円から 150 万円に引き上げる配偶者控除の見直しは、18 年 1 月からです。これらは日経TESTの出題ジャ ンルでは主に「法務・人事」にあたる知識です。 税制改正で、7 月からビットコインなどインターネット上で流通する仮想通貨を購入する際に かかる消費税がなくなります。これまで仮想通貨には法的な規定がありませんでしたが、プリペ イドカードや商品券と同じ「支払い手段」として位置づけました。国際送金などで利用が広がっ ており、フィンテック(金融とITの融合)の重要な動きです。 4 月のコカ・コーラウエストとコカ・コーライーストジャパンの統合、石油元売り最大手のJ Xホールディングスと同 3 位の東燃ゼネラルの経営統合は、国内人口縮小を背景とした動きです。 海運大手 3 社のコンテナ事業統合は、世界経済の成長鈍化のほか、各国の企業が消費地の近くで 生産する立地戦略を進めたことによる「貿易の構造変化」も映すものです。 「人手不足」を背景にした企業の対応にも引き続き、要注目です。ファミリーレストラン最大 手のすかいらーくが、「ガスト」など 24 時間営業をしている店舗の約 7 割にあたる約 310 店の営 業時間を 17 年 4 月までに原則、午前 2 時閉店に変更すると発表しました。若年層の人口減少に加 え、「働き方改革」も影響しています。「人手不足」という制約が強まると、低いと指摘される 日本のサービス産業の労働生産性の向上に工夫を凝らす動きも活発になるはずです。 4 ©日本経済新聞社 2017 年 「iPhone10 年」とポスト・スマホ、先端テクノロジーは「宇宙」も話題に 「注目日程」の表に、「内外イベント・話題」という欄を加えました。冒頭にあるのが「iPhone 発表から 10 年」。2007 年 1 月 9 日に開催された「マックワールド 2007」で故スティーブ・ジョ ブス氏が「アップルが電話を再発明する」とプレゼンテーションし、同年 6 月に米国で発売され た「iPhone」は、最近の「シェアリングエコノミー」や「フィンテック」など新しい経済の起点 として、大きな役割を果たしました。 iPhone をはじめとするスマートフォンはこの 10 年、世界のIT産業を牽引しましたが、普及 が一巡し、ポスト・スマホとして 15 年はウエアラブル端末など、16 年は仮想現実(VR)、拡 張現実(AR)製品が脚光を浴びてきました。昨年大ヒットしたスマホ向けゲーム、「ポケモン GO」は入り口で、これからVR、ARの大きな市場が生まれるという予測があります。 17 年に話題になりそうな「モノ・コト」をピックアップして日程表に掲載しましたが、ロボッ トに関連するものが目立ちます。16 年に話題となった製品に、シャープのロボット型携帯電話「ロ ボホン」がありました。同社は、話しかけると家電製品の調節など「執事」機能を果たす会話ロ ボット「ホームアシスタント」を 17 年前半、発売します。 予定表にはありませんが、AI(人工知能)の開発は一層進みます。また、先端テクノロジー では「宇宙」をテーマにした企業の動きも目立ってきます。米国では電気自動車テスラ・モータ ーズの創業者、イーロン・マスク氏の「スペースX」が宇宙ビジネスを展開していますが、日本 でも「宇宙ビジネス」に関連する動きが出てきました。 1 月に宇宙航空研究開発機構(JAXA)が人工衛星を載せる世界最小の「ミニロケット」を 打ち上げます。この計画にキヤノングループが制御機器の開発に初めて参画することは、16 年 12 月 2 日付の日本経済新聞の 1 面トップ記事で報じられました。米グーグルがスポンサーとなり実 施している月面探査の賞金レース「Google Lunar XPRIZE」は 17 年末が期限で、日本の民間チ ーム「HAKUTO」が参加するプロジェクトが進んでおり、KDDIが支援しています。 5 月~6 月にJR東日本、JR西日本が相次いで豪華寝台列車を運行することは、「コト消費」 や「シニア消費」にかかわる定番の話題です。また、2 月からは政府や経団連など経済連が旗を 振って、月末の最終金曜日を午後 3 時終業にするキャンペーン「プレミアムフライデー」の取り 組みも始まります。 「周年」などのきっかけにも注目 「iPhone10 年」もそうですが、「周年」は、モノ・コトの消費につながるきっかけにもなり ます。たとえば 2016 年は「モーツァルト生誕 260 周年(没後 225 年)」でしたが、ヒット チャートで有名な米ビルボードのランキングのウェブサイトによると、「2016 年に米国で最も 売れたCD」は、現在活躍するアーティストの作品でなく、モーツァルトの没後 225 年にちな 5 ©日本経済新聞社 2017 年 んだボックスセット「モーツァルト 225」でした。CDの売り上げが大幅に減少していることも ありますが、興味深い動きです。 2017 年2月は夏目漱石の生誕 150 周年、秋には東京・新宿区に記念館がオープンします。 2016 年の「没後 100 年」でも既にブームとなり、16 年 12 月には漱石の姿を再現した人型ロ ボット(アンドロイド)を二松学舎大学・大阪大学が開発した話題もありました。ちなみに新潮 文庫の中で最も売れているのは漱石の「こころ」で700万部超、漱石作品 17 冊で計 3000 万 部を超えるそうです。やや脱線しましたが、ビジネスに結びつくこうした動きにアンテナを高く しておくことは、日経TESTの評価軸の1つである「視野の広さ」にも通じます。 ※ ※ ※ たびたびの繰り返しになりますが、日経TESTが測る能力は、単なる時事的な経済知識では なく、経済の仕組みや流れを理解し、新しいビジネスを生み出すための基礎力です。仕組みや流 れを理解していると、それぞれのイベントの意味・背景・影響が分かり、予定されていない出来 事(ニュース)に接したとき、その意味を的確に理解しやすくなります。 経済ニュースの主要なテーマに興味を持って追っていくと、その力が鍛えられます。今回の解 説が、そのためのナビゲートとしてお役に立てば幸いです。 また、皆様の日経TEST受験に向けた「問題集・テキスト」として 16 年 4 月に「日経TE ST公式練習問題集 2016-17 年版」を発売しましたが、今年も「2017-18 年版」を日本経済 新聞出版社から発売する予定です。「読み物としても面白くわかりやすい」と好評だった解説部 分を拡充するほか、実際の出題形式にあわせた例題も引き続き収録しますので、ぜひご活用くだ さい。発売日などは改めてお知らせします。 2017 年も日経TESTをどうぞよろしくお願いします。 2017 年の全国一斉試験日程が決まり、お申し込み受け付けを開始します。 ◆ 春の全国一斉試験 ◆ 秋の全国一斉試験 2017 年 6 月 11 日(日) 2017 年 11 月 12 日(日) 実施会場:全国の主要 14 都市 受験料:5,400 円(税込) 企業・団体試験、テストセンター試験は随時、申し込み受け付け中です。 6 ©日本経済新聞社 2017 年