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03.農業水利施設(中小水力・太陽光)

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03.農業水利施設(中小水力・太陽光)
農業水利施設に関する調査
3
小水力発電の導入可能性
3.1
北海道内の農業用既設ダム施設、既設水路施設における、発電容量及び年間発電量を
算出する。
調査の実施方法
3.1.1
(1)
データの収集・試算方針
試算対象の考え方、有効落差や発電容量等の算出方法は、原則、「平成 20 年度未利
用落差発電包蔵水力調査報告書(財団法人 新エネルギー財団、以降、「平成 20 年度包
蔵水力調査」という)」に準じるものとし、本調査での導入可能地点リストは、最新の
既往文献、公表資料、関係機関への聞き取りによって、平成 20 年度包蔵水力調査で得
られた対象地点リストを更新する形で作成することとする。
リストを更新する上での各種条件を以下に整理する。
表 3-1
各種条件
項目
内容
平成 20 年度包
蔵水力調査定
義
農業用水利用発電:農業用水専用ダムで、農業用水を利用する発電方式
農業用水路利用発電:農業用施設のうち、落差工、急流工及びパイプライン
等の水路系の遊休落差(余剰水圧)を利用する発電方式(年間通水期間 185
日以下、有効落差 1.5m 未満のものは除外)
ダム年鑑に記載のある農業用ダム及び農業関連ダムで、ダムの目的に発電が
含まれておらず、かつかんがい量が記載されているダム 建設中のダムは除
外
「平成 20 年度包蔵水力調査」、ダム年鑑 2010
(「平成 20 年度包蔵水力調査」においてはダム年鑑 1999 及び 2008)
抽出条件
参照文献
なお、「平成 20 年度包蔵水力調査」において、「農業用水路利用発電」については、
年間通水期間 185 日以上、有効落差 1.5m 以上を対象の条件としている。この条件に従
うと、北海道の農業用水路施設の年間通水日数は 185 日に満たないため、未開発包蔵
水力は 0 地点という結果となる。
これは、農業用水路の特徴である、かんがい期/非かんがい期での通水量が大きく
異なることと、北海道の気候条件を反映した結果であり、本調査でもこの結果に従う
ものとする。
3-1
(2)
発電容量・年間発電量の算定方法
発電容量及び年間発電量の算出に当たっては、以下の式に従うものとする。
P  9.8  Q  He   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(1)
E  24(h /日)  365(日/ 年)  P   ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
P:発電容量(kW) Q:最大使用水量(m3/s) He:有効落差(m) η:水車・発電
機の総合効率(%)
E:年間電力量(kWh) ξ:設備利用率(%)
水車・発電機の総合効率ついては以下の表の通りとし、設備利用率は「平成 20 年度
包蔵水力調査」に従い 55%※とした。
ただし、北海道の農業水利施設についてはかんがい期が 4 ヶ月程度と短いことがあ
るため、設備利用率については 33%(=4 ヶ月/12 ヶ月)の場合の年間発電量を併記し
た。
表 3-2
P:出力
水車・発電機の総合効率※
η:総合効率
100kW 以下
~300kW
~1,000kW
~2,500kW
P:出力
72%
75%
78%
80%
η:総合効率
~5,000kW
~10,000kW
~20,000kW
20,000kW 以上
82%
83%
84%
80%
また、有効落差 He、最大使用水量 Q はそれぞれ以下の通りとした。
He
Q
:治水目的のあるダム
堤高の 65%※
:治水目的の無いダム
堤高の 80%※
:かんがい流量
※(出典)未利用落差発電包蔵水力調査報告書(平成 20 年度)
3-2
(3)
発電容量及び年間発電量の算出
前項の条件に従って試算した、発電容量と年間発電量の結果を表 3-3~表 3-5 に、
それぞれの分布を図 3-1~図 3-2 に示す。
全 70 箇所中 64% が 500kW 以下という結果となった。
頻度
頻度
累積%
50
100%
40
80%
30
60%
47
20
40%
10
20%
12
7
4
0
500
1000
1500
試算出力[kW]
図 3-1
0%
1500~
発電容量と年間発電量の分布(500kW 区切り)
頻度
累積%
30
100%
25
80%
20
頻度
60%
10
40%
8
6
3
5
6
3
1
1
1
2
2
4
3
0
0
10
0
20
0
30
0
40
0
50
0
60
0
70
0
80
0
90
0
10
00
11
00
12
00
13
00
14
00
15
15 00
00
~
0
試算出力[kW]
図 3-2
発電容量と年間発電量の分布(100kW 区切り)
3-3
20%
0%
3-4
西和
炭山川
炭山川
志文三の沢川
福井谷川
真木の沢川
西和川
4 石狩川
5 石狩川
6 石狩川
7 石狩川
8 石狩川
恵岱別川
厚真川
ニタチパウマナイ川
22 石狩川
23 厚真川
24 石狩川
三毛別川
19 築別川
尾白利加川
当別川
18 石狩川
当麻川
マルシメ沢川
17 古丹別川
21 石狩川
ルークシュベツ川
16 石狩川
20 石狩川
イパノマップ川
小野の沢川
13 石狩川
多度志川
忠烈布川
12 天塩川
15 石狩川
タヨロマ川
11 天塩川
14 天塩川
前田の沢川
9 天塩川
和歌
千代谷川
3 石狩川
新区画
厚真
恵岱別
当麻
尾白利加
羽幌
青山
三渓
新十津川
上湯内
中の沢
小野の沢
忠烈布
武徳
前田の沢
福井谷川
三の沢第一
日進乙
日進甲
千代谷
藤沢
藤の沢川
2 石狩川
東郷
ダム名
西達布川
河川名
1 石狩川
水系名
10 石狩川
番号
32.3
38.2
35.5
21.3
31.8
27.8
35.5
17.0
29.2
15.5
15.2
16.8
18.5
21.5
16.5
15.8
25.5
20.2
20.0
18.2
26.5
17.9
17.5
47.5
堤高(m)
表 3-3
25.8
30.6
28.4
17.0
25.4
22.2
28.4
13.6
23.4
12.4
12.2
13.4
14.8
17.2
13.2
12.6
20.4
16.2
16.0
14.6
21.2
14.3
14.0
38.0
有効落差
(m)
3.08
4.34
3.38
0.81
5.50
1.03
5.52
0.20
2.86
0.96
0.55
0.08
0.86
0.88
0.23
0.39
0.23
0.15
0.28
0.27
0.35
0.17
0.17
2.38
かんがい
流量(m3/s)
608
1,040
734
101
1,097
168
1,229
19
511
87
47
8
94
111
21
35
33
17
32
28
52
17
17
691
2,931
5,010
3,535
489
5,285
811
5,922
92
2,461
422
227
37
451
536
103
168
160
82
152
134
252
83
81
3,331
ダム所在地
1,759
北海道上川郡美瑛町新区画1424番の6地先・北海道上川郡美瑛町新区
画753番の738地先
3,006 北海道勇払郡厚真町幌内
2,121 北海道雨竜郡北竜町竜西空知森林管理所
293 北海道上川郡当麻町3287番1地先・北海道上川郡当麻町3374番地先
487
北海道苫前郡羽幌町国有林142林班・北海道苫前郡羽幌町国有林150
林班
北海道雨竜郡雨竜町字尾白利加251・北海道雨竜郡新十津川町字美沢
3,171
149
3,553 北海道石狩郡当別町字青山5477・北海道石狩郡当別町字青山5478
55 北海道苫前郡苫前町字三渓国有林内
1,476 北海道樺戸郡新十津川字吉野308・北海道樺戸郡新十津川字吉野495
253 北海道深川市湯内2230・北海道深川市湯内2185
136 北海道士別市西士別町中の沢
22 北海道三笠市大里
270 北海道名寄市風連町字池の上
322 北海道士別市武徳町43線12号
62 北海道三笠市大里
101 北海道上川郡和寒町字西和
96 北海道樺戸郡新十津川町吉野242番1地先
49 北海道樺戸郡新十津川町字大和
91 北海道岩見沢市上志文町
80 北海道樺戸郡新十津川町下徳富
151 北海道樺戸郡新十津川町下徳富
50 北海道岩見沢市栗沢字上幌
49 北海道雨竜郡沼田町真布
1,998 北海道富良野市西達布つつじ
試算出力 年間発電量 年間発電量
(kW)
(MWh) 55% (MWh) 33%
発電容量及び年間発電量の算出(1)
3-5
雨煙内(再)
野花南
温根別
風連
支線の沢川
須部都川
デト二股川
雨煙内川
野花南川
九号沢川
常呂川
鳥崎川
穂別川
犬牛別川
風連別川
長根川
真駒内川
鰔川
仁頃川
ヌッチ川
ペーペナイ川
戸切地川
マップ川
三石川
幌新太刀別川
小平薬川
27 石狩川
28 石狩川
29 羽幌川
30 石狩川
31 石狩川
32 石狩川
33 常呂川
34 鳥崎川
35 鵡川
36 天塩川
37 天塩川
38 天塩川
39 後志利別川
40 厚沢部川
41 常呂川
42 ヌッチ川
43 尻別川
44 戸切地川
45 石狩川
46 三石川
47 石狩川
48 小平薬川
小平
沼田
三石
幌向
上磯
双葉
余市
富里
鰔川
真駒内
御料
穂別
駒ヶ岳
鹿ノ子
日の出
羽幌二股
月形
幌新
日新
下幌加内
ピリカ富良野川
ダム名
幌加内川
河川名
26 石狩川
水系名
25 石狩川
番号
42.4
44.9
35.0
44.4
32.0
61.4
36.8
44.3
21.1
34.3
23.9
33.6
33.7
38.2
43.6
55.5
26.8
41.5
26.8
33.6
28.8
27.0
29.5
20.7
堤高(m)
表 3-4
33.9
35.9
28.0
35.5
25.6
49.1
29.4
35.4
16.9
27.4
19.1
26.9
27.0
30.6
34.9
44.4
21.4
33.2
21.4
26.9
23.0
21.6
23.6
16.6
有効落差
(m)
1.80
8.05
4.24
4.56
3.53
3.00
0.30
0.73
0.07
5.80
2.75
2.73
2.63
9.38
1.53
0.64
0.11
1.74
2.23
2.76
1.96
2.35
1.84
0.38
かんがい
流量(m3/s)
467
2,324
931
1,270
691
1,155
62
190
8
1,248
402
561
542
2,304
408
209
17
442
365
567
345
388
332
44
2,249
11,195
4,484
6,118
3,328
5,566
300
916
40
6,012
1,936
2,703
2,611
11,098
1,965
1,006
80
2,128
1,761
2,732
1,663
1,869
1,599
214
ダム所在地
北海道空知郡上富良野町字上富良野1587番535・北海道空知郡上富良
野町1948番586
北海道士別市温根別町伊文国有林士別事業区81林班地先・北海道士
別市温根別町3520番の1地先
北海道名寄市風連町字日進2265番1・北海道名寄市風連町字日進2252
番1
北海道雨竜郡沼田町字浅野空知森林管理署北空知482林班
北海道雨竜郡沼田町字浅野空知森林管理署北空知481林班
1,349 北海道留萌郡小平町字滝下
6,717
2,691 北海道新ひだか町三石字美河
3,671 北海道岩見沢市毛陽町474・北海道岩見沢市奈良町38
1,997 北海道北斗市野崎
180
北海道余市郡余市町豊丘1877番地先・北海道余市郡余市町豊丘1909
番地先
北海道虻田郡京極町字春日685-6番地先・北海道虻田郡京極町春日
3,340
685-3番地先
550 北海道北見市字富里
24 北海道桧山郡江差町鰔川
3,607 北海道久遠郡せたな町松岡
1,162
1,622 北海道名寄市風連町字日進2480番
1,567
6,659 北海道勇払郡むかわ町穂別字長和
1,179 北海道芽部郡森町字栗ヶ原
604 北海道常呂置戸町字常元
48 北海道空知郡上富良野町字上富良野原野
1,277 北海道芦別市野花南町423林班・北海道芦別市野花南町403林班
998
北海道樺戸郡月形町ポンスベツ892・北海道樺戸郡月形町ポンスベツ
1518
北海道苫前郡羽幌町字上羽幌国有林106林班・北海道苫前郡羽幌町字
1,639
上羽幌国有林120林班
北海道雨竜郡幌加内町字雨煙内6537番・北海道雨竜郡幌加内町字雨
1,056
煙内1421番
1,122 北海道雨竜郡沼田町字幌新172
960
128 北海道雨竜郡幌加内町下幌加内
試算出力 年間発電量 年間発電量
(MWh) 55% (MWh) 33%
(kW)
発電容量及び年間発電量の算出(2)
3-6
リヤムナイ川
石切川
望来川
ペーパン川
赤間の沢川
オイチャヌンベ川
支安平川
美生川
三毛別川
卯原内川
サラキシ14号川
小樽川
鶉川
中二股沢川
アタクチャ川
大椴子川
稲士別川
地蔵沢川
イソサム川
杵臼川
51 堀株川
52 網走川
53 望来川
54 石狩川
55 石狩川
56 石狩川
57 勇払川
58 十勝川
59 古丹別川
60 卯原内川
61 サラキタナイ川
62 余市川
63 厚沢部川
64 大野川
65 斜里川
66 大椴子川
67 十勝川
68 石狩川
69 雄武川
70 石狩川
沖内川
50 小平薬川
河川名
ミナゴヤ川
水系名
49 知内川
番号
杵臼(再)
雄武
高富(再)
幕別
大椴
緑
大野
鶉
落合
民安
卯原内
苫前
美生
瑞穂
神居
エルム
ペーパン
望来
古梅
共和
沖内
知内
ダム名
27.2
53.6
17.9
26.9
34.0
73.0
47.5
52.2
35.3
24.0
40.5
34.8
47.2
25.9
40.4
53.7
49.2
29.6
48.0
56.0
29.6
40.5
堤高(m)
表 3-5
21.8
42.9
14.3
21.5
27.2
58.4
38.0
41.8
28.2
19.2
32.4
27.8
37.8
20.7
32.3
43.0
39.4
23.7
38.4
44.8
23.7
32.4
有効落差
(m)
0.19
1.62
0.44
0.34
0.51
5.65
0.29
5.80
0.25
0.27
1.05
1.81
3.93
1.07
1.52
0.49
2.64
1.15
1.48
0.38
0.11
2.29
かんがい
流量(m3/s)
29
531
44
52
102
2,652
81
1,899
50
37
260
385
1,163
163
376
155
815
200
434
125
18
567
141
2,558
214
249
491
12,775
390
9,149
240
176
1,253
1,856
5,605
785
1,809
745
3,925
964
2,093
603
89
2,733
ダム所在地
北海道旭川市東旭川町瑞穂742番7・北海道旭川市東旭川町瑞穂741番
11
北海道旭川市新開国有林旭川事業区224林班か小班地先
北海道上川郡美瑛町五稜国有林旭川事業区203林班む小班地先
北海道苫前郡苫前町国有林37林班・北海道苫前郡苫前町国有林74林
班
北海道余市郡赤井川村字落合355番地先・北海道余市郡赤井川村字落
合358番地先
84 北海道夕張郡栗山町字桜山347・北海道夕張郡栗山町字桜山380
1,535 北海道紋別郡雄武町道有林内
129 北海道石狩市八幡町高岡302・北海道石狩市八幡町高岡301
149 北海道中川郡幕別町字日新
295 北海道留萌郡小平町字大椴
7,665 北海道斜里郡清里町国有林地内
234 北海道北斗市中山国有林
5,489 北海道桧山郡厚沢部町字峠下
144
106 北海道天塩郡天塩町南更岸
752 北海道網走市字卯原内
1,113
3,363 北海道河西郡芽室町
471 北海道勇払郡安平町早来字瑞穂
1,086
447 北海道赤平市百戸町北520・北海道赤平市幌岡町507
2,355
579 北海道石狩市厚田区望来1054・北海道石狩市厚田区望来1136-1
1,256 北海道網走郡美幌町
53
北海道留萌郡小平町字沖内244-3・北海道留萌郡小平町字沖内241-
7
北海道岩内郡共和町字発足980番地先・北海道岩内郡共和町字発足
362
973番地先
1,640 北海道上磯郡知内町字湯の里
試算出力 年間発電量 年間発電量
(MWh) 55% (MWh) 33%
(kW)
発電容量及び年間発電量の算出(3)
(4)
流量・落差と発電出力の関係
流量及び落差と出力の関係を以下に示す。今回対象とした施設では、落差よりも流
量による相関が強い結果となった。
3,000
2
R = 0.8904
2,500
出力[kW]
2,000
1,500
1,000
500
0
0
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
3
流量[m /s]
図 3-3
流量と出力の比較
3,000
2,500
出力[kW]
2,000
1,500
1,000
500
0
0
10
20
30
40
有効落差[m]
図 3-4
落差と出力の比較
3-7
50
60
70
また、以下に、各未利用発電施設を Google Earth 形式(拡張子.kml)でマップ化し
たものを示す。
図 3-5
全体図
(出典)Google Earth
3-8
(5)
モデル検討
発電出力規模ごとにモデルを設定し、発電設備導入・管理コストの算出を行い、導入
に向けての課題の整理を行う。
農業ダムにおいてはかんがい期間の発電となる場合、水力発電設備の年間稼働率が
低下するため、採算性の面で不利になることが予想される。
ある一定のモデルに基づいて推計した場合に、ここでは発電期間別・出力規模別に
採算性がどのように変化するかを把握する。
①
モデル検討条件の整理
モデル検討を行う際の具体的な条件設定・検討方法を以下に整理する。
1)モデル区分
再生可能エネルギー固定価格買取制度では、発電出力ごとに買取価格が区分され
ており、本検討におけるモデルも以下の表の区分を参考として出力ごとに 3 パター
ン設定する。
ケースⅠ:分布の最も多い 100kW 以下でも、分布の多い 20kW
ケースⅡ:200kW~1000kW で最も多い 200kW
ケースⅢ:1000kW 以上の中から分布の多い 1300kW
表 3-6
再生可能エネルギー固定価格買取制度
買取価格(税込)及び期間
発電出力
1,000kW~30,000kW
200kW~1,000kW
200kW 未満
買取価格
25.2 円/kWh
30.45 円/kWh
35.7 円/kWh
調達期間
20 年間
20 年間
20 年間
(出典)再生可能エネルギーの固定買取制度(資源エネルギー庁)
(平成 24 年度)
2)流量及び落差
北海道の農業水利施設を整理した結果、出力と流量の相関が高くなったことから、
出力ごとに流量を設定し、それに合致するような落差を設定した。発電期間での流
量は一定とした。
3-9
3)発電出力
発電出力については前述と同様、以下の式で推計する。
P  9.8  Q  He  
P:発電容量(kW) Q:最大使用水量(m3/s) He:有効落差(m) η:水車・発電
機の総合効率(%)
4)設置方式
水力発電設備は、既存の放流設備への設置を想定する。導入方法は既存管への水
車発電機の分岐設置が考えられるが、既存の機械室内での設置はスペースの面から
困難と考えられるため、隣接して機械室を新設するものとした。
また、圧力管による放流を行っていることを前提とし、開放型(無圧)の場合は、
有効落差の取得が困難であり、取水塔更新時の検討など個別に検討が必要である。
5)年間発電量
「平成 20 年度包蔵水力調査」における年間発電量の算定方法は、以下の式であり、
設備利用率を 55%に設定している。
E  24(h /日)  365(日/ 年)  P  
E:年間電力量(kWh) ξ:設備利用率(%)
北海道におけるかんがい流量の放流期間はこれよりも短いことも考えられるため、
ここでは発電期間を 1 ヶ月間~12 ヶ月間の 1 ヶ月ごとに分け、それぞれの期間での
年間発電量を推計し、この値を使用して売電収入及び採算性を算出するものとした
(簡略化のため 1 ヶ月=30 日計算とした)。
ここで「発電期間」とは水車発電機が発電可能な水量及び落差を維持している期
間であり、例えば水車の設定流量から 70%以上低下するなどした場合、発電が行わ
れないことも考えられる。
なお、発電期間が何ヶ月であっても、その期間の設備停止率は 5%とした。これは
計画的な点検による停止や、補修による停止を想定したものである※。
※(出典)ハイドロバレー計画ガイドブック(資源エネルギー庁)
3-10
6)イニシャルコスト
農業水利施設における中小水力発電設備のイニシャルコストとしては、以下を想
定した。
表 3-7
建設費検討項目
工事区分
建設費に計上した項目
条件
水車・発電機
水車本体、基礎
発電機
制御盤(系統連系用制
御含む)
送電線(全量売電の場
合、敷地外近隣北電柱
を想定)
メーカーヒアリング値参照
電気設備
土木建築
発電用建屋の設置
管分岐
バルブ類の設置
その他
一般管理費
未計上のもの
メーカーヒアリング値参照
1 回線あたりの送電コスト
0.12 億円/km(国家戦略室)
ここでは仮に 1 施設 500m と
する。
1.42×出力 0.523(百万円)
管径を推計し、「ハイドロバ
レー計画ガイドブック」によ
り、径ごとに区分して算定
上記の 10%
電力会社への接続
検討依頼の費用
電力会社負担金
工事期間の主任技術
者費
バイパス管及び弁
分岐時の管及び弁の
関連土木工事費
解体工事
施設調査設計費用
7)ランニングコスト
ランニングコストは以下の項目を計上する。
ただし、事業主体や財源によって、各種税や利息が発生するがここでは見込まな
いものとした。
表 3-8
維持管理費検討項目
項目
備考
※
人件費
維持費
諸費
一般管理費
建設費×0.17%
電気機械費用×1%(修繕、点検など、10 年後のオーバーホール含む
メーカーヒアリングなど参照)
建設費×0.31%(水利使用量、その他諸費など)
上記の 12%※
※(出典)ハイドロバレー計画ガイドブック(資源エネルギー庁)
8)収益及び算定期間
年間発電量に、H24 年度時点での固定価格買取制度の買取価格を乗じたものを売
電収入として見込む。
また、水車発電機の法定耐用年数は 22 年程度とされているが、ここでは固定価格
買取制度の調達期間である 20 年に合わせて試算を行うものとする。
3-11
②
モデル検討結果
上記の方法によって、推計したモデル検討結果を整理する。モデルは発電出力区分
別に以下の 3 ケースとした。
表 3-9
項目
各ケースのモデル設定条件
単位
ケースⅠ
3
使用水量
有効落差
出力
効率
買取価格
m /s
m
kW
円/kWh
ケースⅡ
0.29
9.7
20
0.72
35.7
0.95
28.6
200
0.75
30.45
ケースⅢ
4.97
33.4
1,300
0.8
25.2
前述の方法で推計した、各ケースのイニシャルコスト及びランニングコストを表
3-10 に、発電期間ごとの年間収益の比較を図 3-6 に示す。
ケースⅠでは、発電期間が 1~2 ヶ月の場合、維持管理費が売電料を上回り、収益が
出ない結果となった。年間収益は発電期間が 4 ヶ月の場合で約 450 千円/年、6 ヶ月の
場合で約 1,390 千円/年となった。概算イニシャルコストは約 135,940 千円であった。
ケースⅡでは、年間収益は発電期間が 4 ヶ月の場合で約 14,220 千円/年、6 ヶ月の
場合で約 22,490 千円/年となった。
概算イニシャルコストは約 224,030 千円であった。
ケースⅢでは、年間収益は発電期間が 4 ヶ月の場合で約 80,420 千円/年、6 ヶ月の
場合で約 125,010 千円/年となり、概算イニシャルコストは約 770,520 千円であった。
どのケースにおいても発電期間の長さが収益に大きく影響する結果となった。
表 3-10
イニシャルコスト・ランニングコスト推計結果
項目
イニシャル
ランニング
水車発電機
電気設備
土木建築
その他
建設費合計(税込)
点検修繕費
人件費
水利使用量
一般管理費
維持管理費合計
単位
ケースⅠ
千円
千円
千円
千円
千円
千円/年
千円/年
千円/年
千円/年
千円/年
34,912
58,500
24,285
11,770
135,940
874
231
421
133
1,659
3-12
ケースⅡ
73,178
73,500
47,283
19,396
224,025
1,407
381
694
215
2,697
ケースⅢ
481,592
81,000
104,522
66,711
770,517
5,566
1,310
2,389
825
10,090
ケースⅠ
ケースⅡ
ケースⅢ
収益(収入-支出)[千円/年]
250,000
200,000
150,000
100,000
50,000
0
1ヶ月
2ヶ月
3ヶ月
ケースⅠ
4ヶ月
5ヶ月
6ヶ月
7ヶ月
8ヶ月
9ヶ月
10ヶ月
11ヶ月
449
917
1,386
1,856
2,325
2,793
3,263
3,732
12ヶ月
4,202
ケースⅡ
1,818
5,951
10,085
14,219
18,353
22,486
26,620
30,754
34,888
39,022
43,155
47,290
ケースⅢ
13,519
35,818
58,117
80,415
102,714
125,012
147,311
169,610
191,909
214,207
236,506
258,804
発電期間 及び 収益
図 3-6
発電期間ごとの年間収益の比較
ケースⅠ
ケースⅡ
ケースⅢ
収益(収入-支出)[千円/年]
300,000
258,804
250,000
200,000
150,000
80,415
100,000
47,290
50,000
14,219
4,202
449
0
0ヶ月
2ヶ月
図 3-7
4ヶ月
6ヶ月
発電期間
8ヶ月
発電期間ごとの採算性の比較
3-13
10ヶ月
12ヶ月
導入にあたっての課題整理
農業水利施設への中小水力発電の導入に当たっての課題を以下に整理する。なお、
課題の整理に当たっては、再生可能エネルギーに関する検討を行っている自治体(清
里町、富良野市等)や水土里ネット北海道の意見を一部参考としている。
1)発電期間(設備稼働率)
モデル試算の結果からも分かるように、水車の発電期間によって採算性は大きく
変動する。かんがい流量を対象として、発電目的に流量を使用する場合、水利権協
議上の課題が発生すると考えられる。
また、本検討は、計画上のかんがい流量を使用しているが、年間を通した流量・
水位変動の実績値を踏まえると、発電出力の本推計結果との差が比較的大きく出る
ことも考えられる。場合によっては、期間全体を通した流量の実績値が今回活用し
た流量の半分程度以下であることもあり、その場合出力も半分程度以下まで低下す
ることとなる。
こういった意味でも、本検討結果は具体的な検討の前段で活用することが有効と
考えられる。
2)水車使用水量及び落差
本検討では、流量及び総合効率を一定として試算を行ったが、個別検討の際には
長期の流量データから流況曲線を設定し、水車使用水量を数パターン設定し、年間
発電量を推計することが重要である。
流況から年間発電量を推計し、個別に概算建設費を算出することで、年間発電量
あたり単価が最も安くなる位置に水車使用水量を設定し、施設規模を設定する(下
図参照)。
発電量あたり建設単価[円/kWh]
③
平水流量
0.18
0.23
0.28
0.33
図 3-8
0.38
0.43
流量[m3/s]
0.48
水車使用水量の設定方法例
3-14
0.53
0.58
0.63
ここで、例として、年間の総流量が同値で、流量の変動差が大きいパターンと小
さいパターンにおける、年間発電量の差を以下に示す※。
期間の流量が同様であっても、流量の最大と最小の差が小さいほうが、期間を通
した総合効率が向上し、水力発電の導入としては有利となる。
このように、計画段階においては、流況を整理した結果によって、水力発電の導
入の優位性を検討することも重要である。
※具体的計算方法の結果は後述の【参考】を参照
0.7
0.6
0.5
豊水
0.50
0.42
平水
0.40
0.40
低水
0.30
0.38
渇水
0.21
0.35
流量差大
0.4
流量差小
3
流量[m /s]
35日
0.56
0.44
流量(流量差大)
流量(流量差小)
0.3
0.2
0.1
0
0
50
100
150
200
250
300
350
日数
図 3-9
流況の整理例(本来は曲線になるが試算上直線とした)
流量差 大
流量差 小
800,000
700,000
年間発電量[kWh/年]
600,000
500,000
400,000
300,000
200,000
100,000
0
渇水
低水
図 3-10
平水
豊水
流況の違いによる年間発電量の比較
3-15
35日
3)導電距離及び系統連系可能容量
農業水利施設の立地状況は、系統連系先である電力会社の配電線から距離があり、
かつ地形の厳しい地点が多いと考えられる。これらは送配電線の設備コストが増加
する要因となる。
また、既存の送配電線の連系可能電気容量に対して、発電出力が大きい場合、大
幅な設備コスト増または連系が困難となる可能性があるため、計画段階の初期段階
で個別に連系容量の簡易検討を行うことが重要である。
4)水車の選定
水車の選定は、使用する流量と落差によってある程度機種が絞られてくる。ただ
し、小(大)流量かつ大(小)落差など、そのバランスによっては水車の直列や並
列設置が必要となることもあり、その場合設備コスト増の要因となる。
また、一般的には同じ出力の場合、流量と落差では流量が水車の費用に大きく影
響することが多いため、損失を極力小さくし、落差を減少させない工夫が重要と考
えられる。
5)水路への水力発電設備の導入
本検討では、
「農業用水路利用発電」の導入地点を 0 としているが、近年、既存の
水路への設置を想定した 1.5m 以下にも対応する低落差対応型の水車なども開発・導
入がされている。また、自治体管理の普通河川への導入意向を持っている自治体も
ある。
今後の水車発電機の開発状況によっては通水日数が短く、出力が小さいと想定さ
れる水路での導入も期待される。
このような設備に該当するような地点を、文献などから抽出するのは困難である
ため、個別の地点ごとに検討を行う必要がある。
水路・普通河川への水力発電の導入については、有効落差を大きくとることがで
きず、出力が小さくなる傾向にあるため、採算性の面で厳しくなる可能性が高い。
ただし、防災・緊急時の自立電源確保や自治体・団体のイメージアップや普及啓発・
環境教育への効果も期待されるため、賦存量の大小の検討と併せて、水力発電の利
用目的を明確にしていくことが重要と考えられる。
3-16
【参考
概算法による年間発電量の推計】
渇水→
0.2121
32
設定総合効率
0.7
①区分
②日数
③使用水量④負荷率 ⑤補正総合⑥発電出力平均出力 ⑦発電電力量
使用水量/最大使用水量
m3/s
kW
kW
kWh
1-35
35 0.2121
1.00
0.692
46
46
38,640
36-95
60 0.2121
1.00
0.692
46
46
66,240
96-185
90 0.2121
1.00
0.692
46
46
99,360
186-275
90 0.2121
1.00
0.692
46
46
99,360
276-355
80 0.2121
1.00
0.692
46
46
88,320
356-365
10
0.20
0.94
0.698
44
45
10,800
年間可能発電量
402,720
最大使用水量
有効落差
1
35
95
185
275
355
365
低水→
0.2997
32
設定総合効率
0.7
①区分
②日数
③使用水量④負荷率 ⑤補正総合⑥発電出力平均出力 ⑦発電電力量
使用水量/最大使用水量
m3/s
kW
kW
kWh
1-35
35 0.2997
1.00
0.692
65
65
54,600
36-95
60 0.2997
1.00
0.692
65
65
93,600
96-185
90 0.2997
1.00
0.692
65
65
140,400
186-275
90 0.2997
1.00
0.692
65
65
140,400
276-355
80 0.2121
0.71
0.536
36
50.5
96,960
356-365
10
0.20
0.67
0.441
28
32
7,680
年間可能発電量
533,640
最大使用水量
有効落差
1
35
95
185
275
355
365
平水→
0.3984
32
設定総合効率
0.7
①区分
②日数
③使用水量④負荷率 ⑤補正総合⑥発電出力平均出力 ⑦発電電力量
使用水量/最大使用水量
m3/s
kW
kW
kWh
1-35
35 0.3984
1.00
0.692
86
86
72,240
36-95
60 0.3984
1.00
0.692
86
86
96-185
90 0.3984
1.00
0.692
86
86
185,760
186-275
90 0.2997
0.75
0.605
57
71.5
154,440
276-355
80 0.2121
0.53
0.000
0
28.5
54,720
356-365
10
0.20
0.50
0.000
0
0
0
年間可能発電量
467,160
最大使用水量
有効落差
1
35
95
185
275
355
365
豊水→
0.4970
32
設定総合効率
0.7
①区分
②日数
③使用水量④負荷率 ⑤補正総合⑥発電出力平均出力 ⑦発電電力量
使用水量/最大使用水量
m3/s
kW
kW
kWh
1-35
35 0.4970
1.00
0.692
108
108
90,720
36-95
60 0.4970
1.00
0.692
108
108
155,520
96-185
90 0.3984
0.80
0.660
83
95.5
206,280
186-275
90 0.2997
0.60
0.201
19
51
110,160
276-355
80 0.2121
0.43
0.000
0
9.5
18,240
356-365
10
0.20
0.40
0.000
0
0
0
年間可能発電量
580,920
最大使用水量
有効落差
1
35
95
185
275
355
365
35日→
0.5627
32
設定総合効率
0.7
①区分
②日数
③使用水量④負荷率 ⑤補正総合⑥発電出力平均出力 ⑦発電電力量
使用水量/最大使用水量
m3/s
kW
kW
kWh
1-35
35 0.5627
1.00
0.692
122
122
102,480
36-95
60 0.4970
0.88
0.697
109
115.5
166,320
96-185
90 0.3984
0.71
0.536
67
88
190,080
186-275
90 0.2997
0.53
0.000
0
33.5
72,360
276-355
80 0.2121
0.38
0.000
0
0
0
356-365
10
0.20
0.36
0.000
0
0
0
年間可能発電量
531,240
最大使用水量
有効落差
1
35
95
185
275
355
365
図 3-11
概算法推計結果(流量差大)
3-17
渇水→
0.3534
32
設定総合効率
0.7
①区分
②日数
③使用水量④負荷率 ⑤補正総合⑥発電出力平均出力 ⑦発電電力量
使用水量/最大使用水量
m3/s
kW
kW
kWh
1-35
35 0.3534
1.00
0.692
77
77
64,680
36-95
60 0.3534
1.00
0.692
77
77
110,880
96-185
90 0.3534
1.00
0.692
77
77
166,320
186-275
90 0.3534
1.00
0.692
77
77
166,320
276-355
80 0.3534
1.00
0.692
77
77
147,840
356-365
10
0.35
0.99
0.693
76
76.5
18,360
年間可能発電量
674,400
最大使用水量
有効落差
1
35
95
185
275
355
365
低水→
0.3753
32
設定総合効率
0.7
①区分
②日数
③使用水量④負荷率 ⑤補正総合⑥発電出力平均出力 ⑦発電電力量
使用水量/最大使用水量
m3/s
kW
kW
kWh
1-35
35 0.3753
1.00
0.692
81
81
68,040
36-95
60 0.3753
1.00
0.692
81
81
116,640
96-185
90 0.3753
1.00
0.692
81
81
174,960
186-275
90 0.3753
1.00
0.692
81
81
174,960
276-355
80 0.3534
0.94
0.698
77
79
151,680
356-365
10
0.35
0.93
0.699
77
77
18,480
年間可能発電量
704,760
最大使用水量
有効落差
1
35
95
185
275
355
365
平水→
0.4000
32
設定総合効率
0.7
①区分
②日数
③使用水量④負荷率 ⑤補正総合⑥発電出力平均出力 ⑦発電電力量
使用水量/最大使用水量
m3/s
kW
kW
kWh
1-35
35 0.4000
1.00
0.692
87
87
73,080
36-95
60 0.4000
1.00
0.692
87
87
125,280
96-185
90 0.4000
1.00
0.692
87
87
187,920
186-275
90 0.3753
0.94
0.698
82
84.5
182,520
276-355
80 0.3534
0.88
0.697
77
79.5
152,640
356-365
10
0.35
0.88
0.697
77
77
18,480
年間可能発電量
739,920
最大使用水量
有効落差
1
35
95
185
275
355
365
豊水→
0.4247
32
設定総合効率
0.7
①区分
②日数
③使用水量④負荷率 ⑤補正総合⑥発電出力平均出力 ⑦発電電力量
使用水量/最大使用水量
m3/s
kW
kW
kWh
1-35
35 0.4247
1.00
0.692
92
92
77,280
36-95
60 0.4247
1.00
0.692
92
92
132,480
96-185
90 0.4000
0.94
0.698
88
90
194,400
186-275
90 0.3753
0.88
0.697
82
85
183,600
276-355
80 0.3534
0.83
0.680
75
78.5
150,720
356-365
10
0.35
0.83
0.680
75
75
18,000
年間可能発電量
756,480
最大使用水量
有効落差
1
35
95
185
275
355
365
35日→
0.4411
32
設定総合効率
0.7
①区分
②日数
③使用水量④負荷率 ⑤補正総合⑥発電出力平均出力 ⑦発電電力量
使用水量/最大使用水量
m3/s
kW
kW
kWh
1-35
35 0.4411
1.00
0.692
96
96
80,640
36-95
60 0.4247
0.96
0.696
93
94.5
136,080
96-185
90 0.4000
0.91
0.699
88
90.5
195,480
186-275
90 0.3753
0.85
0.689
81
84.5
182,520
276-355
80 0.3534
0.80
0.660
73
77
147,840
356-365
10
0.35
0.79
0.652
72
72.5
17,400
年間可能発電量
759,960
最大使用水量
有効落差
1
35
95
185
275
355
365
図 3-12
概算法推計結果(流量差小)
3-18
3.2
太陽光発電の導入可能性
敷地内・管理施設への設置を想定し、1 箇所あたり 10kW の太陽光パネルを設置(120m2
の面積)することを想定する。
農業水利施設には管理棟が設置されていることが多いが、建築面積としては大きなも
のでは無く、100m2~200m2 程度と考えられる。
また、施設全体の敷地は比較的広い場合が多いが、堤体や道路などがほとんどを占め
ており、太陽光発電の設置に適した、まとまった広さの敷地の確保は困難と考えられる。
従って、農業水利施設については各施設 10kW の設置を想定し、年間発電量については、
地域の日射条件に合わせて推計するものとする。
太陽光発電の年間発電量を評価するため、市町村別の日射量データを整理した。
(整理
手法は耕作放棄地に関する調査と同様である。
)
(独)新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の日射量データベースより、方
位角 0°(=真南向き)における最適傾斜角における月平均斜面日射量を用いて、月間
発電量の算出を行った。観測地点が市町村内に複数地点がある場合および市町村内にな
い場合は、当該市町村に最も最寄りと判断される観測地点データを採用した。年間発電
量は、月間発電量の合計として算出した。
算出に当たっては、以下の式に従うものとする。
発電容量(kW)=10kW/箇所
パネル必要面積(㎡)=発電容量(kW)× 7.2(㎡/kW)※1
月間発電量(kWh)=パネル必要面積(㎡)×月平均斜面日射量(kWh/㎡・日)
×日数(日)×0.14※2×総合設計係数※3
※1
1kW あたりのパネル必要面積(出典:太陽光発電システム共通基盤技術研究開発
太陽光発電システムのラ
イフサイク評価に関する調査研究(H21 年 3 月みずほ情報総研)
)
※2
標準状態変換効率(出典:太陽光発電システム共通基盤技術研究開発
太陽光発電システムのライフサイク
評価に関する調査研究(H21 年 3 月みずほ情報総研))
※3
総合設計係数=機器損失係数×温度補正係数
機器損失係数=0.76(年変動、経時変化、アレイ負荷、アレイ回路、インバータの負荷による損失補正)
温度補正係数=1-0.5×(モジュール温度-25)/100、モジュール温度=月平均気温+18.4℃
(出典)太陽光発電システムの発電電力量推計方法(JIS C8907)
3-19
前述の推計方法に従って、出力と年間発電量を試算した結果について、以下に示す。
年間発電量の推計結果を見ると日照条件のよい道東や道央などで比較的良い値となっ
ている。
また、年間の設備利用率は 10~14%程度の範囲となった。
表 3-11 発電容量及び年間発電量の算出
番
号
試算
ダム名
年間
出力 発電量
ダム所在地
(kW) (kWh)
1 東郷
2 藤沢
3 千代谷
4 日進甲
5 日進乙
6 三の沢第一
7 福井谷川
8 和歌
9 西和
10 前田の沢
11 武徳
12 忠烈布
13 小野の沢
14 中の沢
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
10
15 上湯内
10
16 新十津川
10
17 三渓
18 青山
10
10
19 羽幌
10
20 尾白利加
10
21 当麻
10
22 恵岱別
23 厚真
10
10
24 新区画
10
25 下幌加内
10
26 日新
10
27 幌新
10
28 月形
10
29 羽幌二股
10
9,805 北海道富良野市西達布つつじ
9,933 北海道雨竜郡沼田町真布
10,145 北海道岩見沢市栗沢字上幌
9,415 北海道樺戸郡新十津川町下徳富
9,415 北海道樺戸郡新十津川町下徳富
10,145 北海道岩見沢市上志文町
9,415 北海道樺戸郡新十津川町字大和
9,415 北海道樺戸郡新十津川町吉野 242 番 1 地先
9,353 北海道上川郡和寒町字西和
10,145 北海道三笠市大里
9,755 北海道士別市武徳町 43 線 12 号
9,570 北海道名寄市風連町字池の上
10,145 北海道三笠市大里
9,755 北海道士別市西士別町中の沢
北海道深川市湯内 2230
10,010
北海道深川市湯内 2185
北海道樺戸郡新十津川字吉野 308・北海道樺戸郡新十津川字吉野
9,415
495
9,542 北海道苫前郡苫前町字三渓国有林内
9,515 北海道石狩郡当別町字青山 5477・北海道石狩郡当別町字青山 5478
北海道苫前郡羽幌町国有林 142 林班・北海道苫前郡羽幌町国有林
9,542
150 林班
北海道雨竜郡雨竜町字尾白利加 251・北海道雨竜郡新十津川町字美
9,419
沢 149
北海道上川郡当麻町 3287 番 1 地先・北海道上川郡当麻町 3374 番
9,884
地先
9,933 北海道雨竜郡北竜町竜西空知森林管理所
9,718 北海道勇払郡厚真町幌内
北海道上川郡美瑛町新区画 1424 番の 6 地先・北海道上川郡美瑛町
9,857
新区画 753 番の 738 地先
9,283 北海道雨竜郡幌加内町下幌加内
北海道空知郡上富良野町字上富良野 1587 番 535・北海道空知郡上
9,498
富良野町 1948 番 586
9,933 北海道雨竜郡沼田町字幌新 172
北海道樺戸郡月形町ポンスベツ 892・北海道樺戸郡月形町ポンスベ
9,640
ツ 1518
北海道苫前郡羽幌町字上羽幌国有林 106 林班・北海道苫前郡羽幌
9,542
町字上羽幌国有林 120 林班
3-20
番
号
試算
ダム名
年間
出力 発電量
ダム所在地
(kW) (kWh)
30 雨煙内(再)
10
31 野花南
32 日の出
33 鹿ノ子
34 駒ヶ岳
35 穂別
10
10
10
10
10
36 温根別
10
37 風連
10
38 御料
10
39 真駒内
40 鰔川
41 富里
10
10
10
42 余市
10
43 双葉
10
44 上磯
45 幌向
46 三石
10
10
10
47 沼田
10
48 小平
49 知内
10
10
50 沖内
10
51 共和
10
52 古梅
53 望来
10
10
54 ペーパン
10
55 エルム
10
56 神居
10
57 瑞穂
58 美生
10
10
59 苫前
10
60 卯原内
61 民安
10
10
62 落合
10
63 鶉
64 大野
10
10
北海道雨竜郡幌加内町字雨煙内 6537 番・北海道雨竜郡幌加内町字
雨煙内 1421 番
9,560 北海道芦別市野花南町 423 林班・北海道芦別市野花南町 403 林班
9,498 北海道空知郡上富良野町字上富良野原野
11,124 北海道常呂置戸町字常元
10,034 北海道芽部郡森町字栗ヶ原
10,328 北海道勇払郡むかわ町穂別字長和
北海道士別市温根別町伊文国有林士別事業区 81 林班地先・北海道
9,755
士別市温根別町 3520 番の 1 地先
9,570 北海道名寄市風連町字日進 2480 番
北海道名寄市風連町字日進 2265 番 1・北海道名寄市風連町字日進
9,570
2252 番 1
9,169 北海道久遠郡せたな町松岡
8,966 北海道桧山郡江差町鰔川
10,754 北海道北見市字富里
北海道余市郡余市町豊丘 1877 番地先・北海道余市郡余市町豊丘
9,684
1909 番地先
北海道虻田郡京極町字春日 685-6 番地先・北海道虻田郡京極町春
9,215
日 685-3 番地先
9,698 北海道北斗市野崎
10,145 北海道岩見沢市毛陽町 474・北海道岩見沢市奈良町 38
10,212 北海道新ひだか町三石字美河
北海道雨竜郡沼田町字浅野空知森林管理署北空知 482 林班・北海
9,933
道雨竜郡沼田町字浅野空知森林管理署北空知 481 林班
9,135 北海道留萌郡小平町字滝下
9,554 北海道上磯郡知内町字湯の里
北海道留萌郡小平町字沖内 244-3・北海道留萌郡小平町字沖内
9,135
241-7
北海道岩内郡共和町字発足 980 番地先・北海道岩内郡共和町字発
9,267
足 973 番地先
11,001 北海道網走郡美幌町
9,502 北海道石狩市厚田区望来 1054・北海道石狩市厚田区望来 1136-1
北海道旭川市東旭川町瑞穂 742 番 7・北海道旭川市東旭川町瑞穂
10,047
741 番 11
北海道赤平市百戸町北 520
9,772
北海道赤平市幌岡町 507
北海道旭川市新開国有林旭川事業区 224 林班か小班地先・北海道
10,047
上川郡美瑛町五稜国有林旭川事業区 203 林班む小班地先
10,534 北海道勇払郡安平町早来字瑞穂
11,577 北海道河西郡芽室町
北海道苫前郡苫前町国有林 37 林班・北海道苫前郡苫前町国有林 74
9,542
林班
11,266 北海道網走市字卯原内
9,671 北海道天塩郡天塩町南更岸
北海道余市郡赤井川村字落合 355 番地先・北海道余市郡赤井川村
9,707
字落合 358 番地先
8,920 北海道桧山郡厚沢部町字峠下
9,698 北海道北斗市中山国有林
9,283
3-21
番
号
試算
ダム名
65 緑
66 大椴
67 幕別
68 高富(再)
69 雄武
70 杵臼(再)
年間
出力 発電量
ダム所在地
(kW) (kWh)
10 10,590 北海道斜里郡清里町国有林地内
10 9,135 北海道留萌郡小平町字大椴
10 11,832 北海道中川郡幕別町字日新
10 9,502 北海道石狩市八幡町高岡 302・北海道石狩市八幡町高岡 301
10 10,244 北海道紋別郡雄武町道有林内
10 9,701 北海道夕張郡栗山町字桜山 347・北海道夕張郡栗山町字桜山 380
3-22
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