Comments
Description
Transcript
禁忌(次の患者には投与しないこと)
日本標準商品分類番号 874224 総合製品情報概要 ※注意−医師等の処方箋により使用すること 禁忌(次の患者には投与しないこと) 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者 CONTENTS 開発の経緯 2 製剤学的事項 21 特性 2 1. 製剤の安定性 21 ドラッグ・インフォメーション 3 2. 溶解後の保存安定性 21 臨床成績 7 3. 溶解後の加熱安定性 21 臨床成績 7 取扱い上の注意/包装 22 ・第Ⅱ相試験:単独療法における臨床成績 7 関連情報 23 副作用 8 その他 24 重大な副作用 9 注射液の調製方法 24 薬物動態 12 主要文献 25 血中濃度(対象:急性白血病患者) 12 分布〈参考:動物データ〉 製造販売業者の氏名又は名称及び住所 26 13 1. 組織内分布(ラット) 13 2. L1210 マウス白血病細胞内分布(in vitro) 13 代謝および排泄(対象:急性白血病患者) 14 薬効薬理 15 非臨床試験 15 1. 作用メカニズム 15 2. DNA 合成阻害作用(ヒト白血病細胞:in vitro) 16 3. 抗腫瘍効果 16 (L1210 マウス白血病細胞、ヒトリンパ性白血病細胞) 4. 抗腫瘍作用の持続性 18 1)シチジンデアミネースに対する抵抗性(in vitro) 18 2)赤血球のリザーバー機能(in vitro) 18 一般薬理試験及び毒性試験 19 一般薬理試験 19 毒性試験 19 1. 単回投与試験 19 2. 反復投与試験 19 3. 生殖に及ぼす影響 20 4. 抗原性 20 5. 変異原性 20 6. 溶血性 20 1 開発の経緯/特性 開発の経緯 エノシタビン (BH-AC)は本剤の有効成分で、シタラビン (Ara-C)の誘導体です。 エノシタビンはシタラビンのN4位にベヘノイル基を結合させた化合物で、 生体内で徐々に分解を受け活性物質のシタラビンへと変換されます。 シタラビンは急性白血病の治療において重要な薬剤として使用されています。 一方でシタラビンは体内でシチジンデアミネースにより容易に失活し、作用時間が短い性質があります。 エノシタビンはシチジンデアミネースに対する抵抗性を有しており、 また脂質親和性が高く血球および組織内に高濃度で長時間分布します。 そのため体内組織中で活性物質シタラビンへ徐々に変換され抗腫瘍作用の持続性は高められると考えらます。 エノシタビンは1973年旭化成工業株式会社(現旭化成ファーマ株式会社)で合成され、 1982年に注射用サンラビンとして承認、2009年に販売名を変更し現在に至っています。 特性 1. シタラビンのN4位にベヘノイル基を結合させた代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤です。 (3頁) 2. L1210等の実験腫瘍に対し優れた抗腫瘍作用を示します。 また、治療係数(至適投与量/最小有効投与量)が大きい薬剤です(マウス)。 (16頁) 3. 白血病細胞に、主としてエノシタビンの形で取り込まれ、徐々にシタラビンに変換し、 長時間にわたり抗腫瘍作用を示します。 (18頁) 4. 脂質親和性が高く、血球、骨髄、脾臓、心臓、肺、肝臓等に高濃度に分布し、かつ長時間持続します(ラット)。 (13頁) 5. シチジンデアミネースに抵抗性を示します。 (18頁) 6. 急性白血病では、1日量を1日1∼2回、2∼4時間点滴静注する*ことにより優れた効果を示します。 (7頁) *用量及び投与期間については患者の末 血及び骨髄の状態により適宜増減する。 7. 総症例 3,007 例中、1,893 例( 63.0 %)に副作用が認められ、主な副作用は、悪心 28.5%( 857 例)、嘔吐 19.4%( 584例)、食欲不振 20.9%( 627例)、肝機能障害 15.6%( 468例)、貧血 13.9%( 418例)、発熱 [承認時及び使用成績調査] 13.5%(407例)等でした。 また、重大な副作用として、ショック(0.4%)、重篤な過敏症(0.1%)、血液障害(頻度不明)が 報告されています。 2 ドラッグ・インフォメーション 「禁忌を含む使用上の注意」の改訂に十分ご留意ください。 禁忌 【禁忌(次の患者には投与しないこと)】 本剤の成分に対し重篤な過敏症の既往歴のある患者 組成・性状 本剤は、白色の多孔性の固体又は粉末で用時溶解して用いる凍結乾燥製剤である。 販売名 * サンラビン点滴静注用150mg サンラビン点滴静注用200mg サンラビン点滴静注用250mg 有効成分・含量 (1バイアル中) エノシタビン150mg 色・剤形 エノシタビン200mg エノシタビン250mg 無色澄明な注射剤※ 添加物 (1バイアル中) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ 油60 1050mg、 デヒドロコール 酸14.25mg、 サリチル酸ナトリ ウム15.0mg、 チオ硫酸ナトリウ ム水和物0.075mg、 ブドウ糖 750mg、 pH調節剤 ポリオキシエチレン硬化ヒマシ 油60 1400mg、 デヒドロコール 酸19.00mg、 サリチル酸ナトリ ウム20.0mg、 チオ硫酸ナトリウ ム水和物0.100mg、 ブドウ糖 1000mg、 pH調節剤 pH 5.5∼7.0※ 浸透圧比 (生理食塩液に対する比) 約1※ ポリオキシエチレン硬化ヒマシ 油60 1750mg、 デヒドロコール 酸23.75mg、 サリチル酸ナトリ ウム25.0mg、 チオ硫酸ナトリウ ム水和物0.125mg、 ブドウ糖 1250mg、 pH調節剤 ※本剤を 「注射液の調整方法」に従って溶解した場合 (注射液の調製方法については24頁をご参照ください) 有効成分に関する理化学的知見 一般名: 化学名: 略 号: 分子式: 構造式: エノシタビン (Enocitabine) N4 - behenoyl - 1 -β- D - arabinofuranosylcytosine BH - AC C31H55N3O6 NHCO (CH2) 20CH3 N O HOH2C N O H HO H HO H H 分子量: 565.78 融 点: 145 〜 150℃(分解) 3 ドラッグ・インフォメーション **2014年4月改訂 (第8版 再評価結果に基づく改訂) *2009年9月改訂 (第7版 販売名変更等) 効能・効果 急性白血病(慢性白血病の急性転化を含む) 用法・用量 通常、1日量、体重1kg当り3.5〜6.0mgを5%ブドウ糖注射液、5%果糖注射液、5%キシリット注射液、生理食塩液、 リンゲル液又 は糖電解質注射液に混合し、静脈内に2〜4時間で1日1回又は2回に分割し点滴注射する。通常10〜14日間連続投与を行 うか、又は6〜10日間連続投与後休薬期間をおいて同様の投与をくり返す。 用量及び投与期間については患者の末梢血及び骨髄の状態により適宜増減する。 [注射液の調製・保存方法] 本剤は、可溶化剤としてポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60を使用しており、下記の調製・保存方法を必ず守ること。 1. 調製方法 (1) エノシタビン10mgに対し、 日局注射用水を1mLの割合で加える。 (2)バイアルを溶解ラックに入れ、 あらかじめ沸騰させた水浴中で約10分間加熱する。 その間、3回沸騰水浴中から 取り出し、強く振り混ぜる (各回10秒間に10〜15回程度)。 注意:本 剤溶解操作時に溶解鍋の空焚きをしないこと。 [空焚きによりバイアルが破裂し、内容液とガラス片が飛 散するおそれがある。] (3)沸騰水浴中から取り出し、小さな塊あるいは透明なゲル状物のない均一な乳白色の液が得られたことを確認 する。 注意:乳白色の液が得られない場合は、再度上記(2) の操作を行う。 (4)バイアルを熱い溶解ラックごと、好ましくは氷水中(流水中でも可)で約3分間振り混ぜながら急冷すると無色澄 明な液が得られる。 この溶液1.1mLには約10mgのエノシタビンが含まれる。 注意:無 色澄明な液を得るためには、急冷することが最も重要なポイントであるため、放置しないこと。 (急冷操作前にバイアルを放置する等により冷ましたような場合には、再度沸騰水浴中で加熱後、 ただち に急冷操作を行う。) (5)本 剤の水溶液を輸液で希釈する際には、泡立ちを極力抑え、注入後の撹拌は穏やかに行う。 ( 輸液容器の液中 に本剤の水溶液を注入する針を浸けて注入するか、 または壁を伝わせてゆっくり注入する。) 〈詳細は別添「サンラビン点滴静注用の調製方法」 を参照#〉 2. 保存方法 本剤の水溶液(輸液希釈前) をやむを得ず保存する場合は、5℃以下で保存し、48時間以内に使用すること。 注意:輸 液希釈前に、無色澄明であることを確認する。無色澄明でない場合は「1.調製方法(2)〜(4)」に準じて再 度調製すること。 #「サンラビン点滴静注用の調製方法」については24頁をご参照ください 使用上の注意 1. 慎重投与(次の患者には慎重に投与すること) (1)骨髄機能抑制のある患者[骨髄機能抑制を増悪させるおそれがある。] (2)感染症を合併している患者[骨髄機能抑制により、感染を増悪させるおそれがある。] (3)本人又は両親、兄弟に気管支喘息、発疹、蕁麻疹等のアレルギーを起こしやすい体質を持つ患者 (4)薬物過敏症の既往歴のある患者 (5)肝障害のある患者[肝障害を悪化させるおそれがある。] 4 ドラッグ・インフォメーション 2. 重要な基本的注意 (1)骨髄機能抑制等の重篤な副作用が起こることがあるので、頻回に臨床検査(血液検査、肝機能・腎機能検査等)を行 うなど、患者の状態を十分に観察すること。異常が認められた場合には減量・休薬等の適切な処置を行うこと。また これらの副作用は、遷延性に推移することがあるので、投与は慎重に行うこと。 (2)感染症・出血傾向の発現又は増悪に十分注意すること。 (3)本剤の投与により、ときにショック等の重篤な過敏反応の発現がみられるので、使用に際しては少量注入後患者の状 態をよく観察し、異常が認められた場合には、速やかに投与を中止し、適切な処置を行うこと。 (4)ショック等を予測するため、投与に際してはアレルギー既往歴、薬物過敏症等について十分な問診を行うこと。 (5)小児及び生殖可能な年齢の患者に投与する必要がある場合には、性腺に対する影響を考慮すること。 (6)本剤の使用に際しては、 「注射液の調製・保存方法」に従い、調製すること。 (7)本剤の添加物であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有する医薬品でショックの発現が報告されているので、上 記注意事項に留意すること。また、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油を含有する他の製剤で高脂血症がみられたとの 報告がある。 3. 相互作用 併用注意(併用に注意すること) 薬剤名等 臨床症状・措置方法 機序・危険因子 他の抗悪性腫瘍剤 骨髄機能抑制等の副作用が増強することがある。 副作用が相互に増強される。 4. 副作用 承認時及び使用成績調査における総症例 3,007 例中 1,893 例(63.0%)に副作用がみられた。主な副作用は悪心 857 例(28.5%) 、嘔吐 584 例(19.4%) 、食欲不振 627 例(20.9%) 、肝機能障害 468 例(15.6%) 、貧血 418 例(13.9%) 、発熱 407 例(13.5%)等であった。 (1)重大な副作用 1) ショック(0.4%) ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を 中止し、適切な処置を行うこと。 2)重篤な過敏症(0.1%) 胸部圧迫感、発疹、皮膚の潮紅等の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、このよ うな症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。 3)血液障害(頻度不明) 汎血球減少、白血球減少、血小板減少、貧血、また、骨髄に巨赤芽球様細胞を認めることが あるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処 置を行うこと。 (2)その他の副作用 頻度 分類 消化器 10%以上 1∼10%未満 食欲不振、悪心・嘔吐 下痢、腹痛、腹部膨満感、口内炎 精神神経系 肝臓 腰痛、眩暈、 しびれ感 ビリルビン、AST( GOT) 、 ALT( GPT) 、Al-Pの上昇 泌尿器 BUN、 クレアチニンの上昇 蛋白尿、頻尿 皮膚 脱毛 紅斑、瘙痒 その他 5 怠感、頭痛 1%未満 発熱 浮腫、心悸亢進 ドラッグ・インフォメーション **2014年4月改訂 (第8版 再評価結果に基づく改訂) *2009年9月改訂 (第7版 販売名変更等) 5. 高齢者への投与 高齢者では、一般に生理機能(造血機能、肝機能、腎機能等)が低下しているので、用量並びに投与間隔に留意するなど 患者の状態を観察しながら慎重に投与すること。 6. 妊婦、産婦、授乳婦等への投与 (1)妊婦又は妊娠している可能性のある婦人には、治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する こと。 [動物実験(ラット、ウサギ)で催奇形作用(胎児の骨格異常・外形異常)が報告されている。] (2)授乳中の婦人に投与することを避け、やむを得ず投与する場合には授乳を中止させること。 [動物実験(ウサギ)で母 乳中へ移行することが報告されている。] 7. 小児等への投与 低出生体重児、新生児、乳児、幼児又は小児に対する安全性は確立していないので、慎重に投与すること。 8. 適用上の注意 (1)調製及び保存方法 「注射液の調製・保存方法」の項参照。 (2)投与時 1)静脈内投与により、ときに静脈炎等を起こすことがあるので注射部位、注射方法等に十分注意すること。 2)静脈内投与に際し、薬液が血管外に漏れると、注射部位に疼痛、発赤、腫脹等の炎症を起こすことがあるので、慎 重に投与すること。 (3) その他 ポリ塩化ビニール製の点滴セット、カテーテル等から、可塑剤であるDEHP〔di -(2 -ethylhexyl) phthalate:フタル酸ジ(2 - エチルヘキシル)〕が溶出するので、ポリ塩化ビニール製の点滴セット、カテーテル等の使用を避けること。 9. その他の注意 (1)本剤と他の抗悪性腫瘍剤を併用した患者に、急性白血病(前白血病相を伴う場合もある) 、骨髄異形成症候群(MDS) が発生したとの報告がある。 (2)マウスに静脈内投与した小核試験において、変異原性が認められている。 2014年4月現在の製品添付文書に基づいて作成しました。 6 臨床成績 「禁忌を含む使用上の注意」等は3〜6頁をご参照ください。 臨床成績 第Ⅱ相試験:単独療法における臨床成績 1) 対象:急性骨髄性白血病、急性前骨髄球性白血病、急性単球性白血病、急性リンパ性白血病、慢性骨髄性白血病の急性転化などの患者 計78例(判定不能:未治療症例にて1症例) 方法:本剤2.0〜8.0mg/kgを6〜35日間単独で点滴静注注)。 急性白血病患者に本剤を単独で点滴静注したところ、未治療症例では50例中、完全寛解17例(34.0%) 、部分寛解13例 (26.0%) であった。既治療症例では27例中、完全寛解4例 (14.8%) 、部分寛解7例 (25.9%) であった。 病型別にみると、急性骨髄性白血病(AML) の未治療症例34例において、完全寛解15例(44.1%) 、部分寛解7例(20.6%) で あった。 ●総合成績 臨床効果 0 20 未治療 (n=50) 既治療 (n=27) 40 17例 4例 (%) 60 80 13例 100 完全寛解率 20例 7例 有効率 完全寛解率 16例 有効率 34.0% 60.0% 14.8% 40.7% ●未治療の急性骨髄性白血病(AML)に対する成績 臨床効果 0 急性骨髄性白血病 (未治療) (n=34) 20 (%) 40 60 15例 7例 80 100 12例 完全寛解率 有効率 完全寛解 有効率 (%)= 44.1% 64.7% 部分寛解 完全寛解例数+部分寛解例数 総症例数 不変 ×100 ●安全性 第Ⅱ相試験における副作用発現率は未治療症例で51.0% (21/51) (判定不能1例を含む) 、既治療症例で29.6% (8/27) であっ た。個々の副作用は以下の通りである。 未治療症例では、軽度の食欲不振9例 (17.6%) 、 中程度の食欲不振3例 (5.9%) 、悪心7例 (13.7%) 、一時的な軽度の下痢2例 (3.9%) 、38℃以下の軽度の発熱4例 (7.8%) 、 中程度の発熱 (38.5℃) 2例 (3.9%) 、掻痒感1例(2.0%) 、全身の倦怠感、 アレル ギー (浮腫) 、口内炎が各1例 (2.0%) であり、既治療症例では、悪心5例 (18.7%) 、食欲不振2例 (7.4%) 、口内炎、発熱各1例 であった。 1) 承認時評価資料, Kimura, K. et al. Current Chemotherapy & Immunotherapy, Proc.12th Internat'l Congr. of Chemotherapy. 1982; 1306. 【用法・用量】通常、1日量、体重1kg当り3.5〜6.0mgを5%ブドウ糖注射液、5%果糖注射液、5%キシリット注射液、生理食塩液、 リンゲル液又は糖電解質 注射液に混合し、静脈内に2〜4時間で1日1回又は2回に分割し点滴注射する。通常10〜14日間連続投与を行うか、又は6〜10日間連続投与後休 薬期間をおいて同様の投与をくり返す。用量及び投与期間については患者の末梢血及び骨髄の状態により適宜増減する。 7 臨床成績 副作用 承認時および使用成績調査における総症例3,007例中1,893例(63.0%) に副作用がみられた。主な副作用は悪心857件 (28.5%) 、嘔吐584件 (19.4%) 、食欲不振627件 (20.9%) 、肝機能障害468件 (15.6%) 、貧血418件 (13.9%) 、発熱407件 (13.5%) 等であった。 なお、3,007例中ショック12件(0.4%)、重篤な過敏症3件(0.1%) が報告された。承認時および使用成績調査以外に、血液 障害(頻度不明) も報告された。 調査症例数 副作用発現症例数 副作用発現件数 承認時迄の調査 397 158 (39.8%) 323 使用成績調査* 2,610 1,735 (66.5%) 5,268 副作用発現件数 (%) 承認時迄の調査 使用成績調査* 計 血液 606 606 (23.22) (20.15) 貧血 418 418 (16.02) (13.90) 溶血 1 (0.04) 1 (0.03) 出血傾向 392 392 (15.02) (13.04) 下血 73 (2.80) 73 (2.43) 出血斑 1 (0.04) 1 (0.03) 鼻出血 3 (0.11) 3 (0.10) 血尿 2 (0.08) 2 (0.07) 吐血 1 (0.04) 1 (0.03) 血便 1 (0.04) 1 (0.03) 脳出血 2 (0.08) 2 (0.07) 消化器 86 (21.66) 1,233 (47.24) 1,319 (43.86) 食欲不振 60 567 627 (15.11) (21.72) (20.85) 悪心 57 800 857 (14.36) (30.65) (28.50) 嘔吐 20 (5.04) 564 584 (21.61) (19.42) 下痢 8 (2.02) 171 (6.55) 179 (5.95) 口内炎・口角炎 2 (0.50) 158 (6.05) 160 (5.32) 腹痛 91 (3.49) 91 (3.03) 胃痛 38 (1.46) 38 (1.26) 心窩部痛 33 (1.26) 33 (1.10) 腹部膨満感 47 (1.80) 47 (1.56) 腹部不快感 1 (0.25) 3 (0.11) 4 (0.13) 潰瘍性出血 10 (0.38) 10 (0.33) 流涎 4 (0.15) 4 (0.13) (急性) 膵炎 3 (0.11) 3 (0.10) 耳下腺腫脹 2 (0.08) 2 (0.07) 肛門痛 1 (0.04) 1 (0.03) 歯肉炎 1 (0.04) 1 (0.03) 精神神経系 13 (3.27) 252 (9.66) 265 (8.81) 全身惓 10 (2.52) 165 (6.32) 175 (5.82) 倦怠感 頭痛 56 (2.15) 56 (1.86) 眩暈 2 (0.50) 12 (0.46) 14 (0.47) しびれ感 1 (0.25) 18 (0.69) 19 (0.63) 麻痺 4 (0.15) 4 (0.13) けいれん 1 (0.04) 1 (0.03) 意識障害 2 (0.08) 2 (0.07) 意識喪失 1 (0.04) 1 (0.03) 嗄声 1 (0.04) 1 (0.03) 視力障害 1 (0.04) 1 (0.03) まぶしさ 1 (0.04) 1 (0.03) 調節異常 1 (0.04) 1 (0.03) 結膜充血 2 (0.08) 2 (0.07) 耳鳴 2 (0.08) 2 (0.07) 抑うつ 5 (0.19) 5 (0.17) 不眠 1 (0.04) 1 (0.03) 不穏 1 (0.04) 1 (0.03) いらいら感 1 (0.04) 1 (0.03) 副作用の種類 器官別の小計は副作用発現件数の合計ではなく、器官別副作用発現症例数 (%) とした。 計 3,007 1,893 (63.0%) 5,591 *1982年12月15日∼1988年12月14日 副作用発現件数 (%) 承認時迄の調査 使用成績調査* 肝臓 85(21.41) 385(14.75) 肝機能障害 85(21.41) 383(14.67) 間接ビリルビン上昇 1 (0.04) 高ビリルビン血症 1 (0.04) 泌尿器 43 (1.65) 腎機能障害 33 (1.26) 頻尿 9 (0.34) 蛋白尿 1 (0.04) 尿閉 1 (0.04) 皮膚 18 (4.53) 260 (9.96) 脱毛 4 (1.01) 211 (8.08) 発疹 13 (3.27) 44 (1.69) 蚤痒感 1 (0.25) 21 (0.80) 瘻 色素沈着 1 (0.04) 口唇ヘルペス 1 (0.04) 単純性ヘルペス 1 (0.04) 紅斑 1 (0.25) 腫脹 1 (0.25) 循環器 1 (0.25) 23 (0.88) 血圧上昇 2 (0.08) 血圧低下 3 (0.11) 心悸亢進 18 (0.69) 動悸 1 (0.25) 心筋梗塞 1 (0.04) その他 56(14.11) 874(33.49) ショック (アナフィラキシー (様) ) 1 (0.25) 5 (0.19) (その他) 6 (0.23) 過敏症 3 (0.76) 顔面紅潮 2 (0.08) 悪寒 1 (0.04) 静脈炎 1 (0.25) 24 (0.92) 血管痛 1 (0.04) 発赤 1 (0.25) 息切れ 4 (0.15) 咽頭痛 2 (0.08) 咽頭異和感 1 (0.04) 耐糖能障害 1 (0.04) 脾腫 2 (0.08) 浮腫 8 (0.31) 胸痛 2 (0.08) 前胸部痛 2 (0.08) 胸内苦悶 3 (0.11) 熱感 2 (0.08) 関節痛 1 (0.04) 疼痛 6 (1.51) 発熱 44(11.08) 363(13.91) 感染 375(14.37) 肺炎 69 (2.64) 副作用の種類 計 470(15.63) 468(15.56) 1 (0.03) 1 (0.03) 43 (1.43) 33 (1.10) 9 (0.30) 1 (0.03) 1 (0.03) 278 (9.25) 215 (7.15) 57 (1.90) 22 (0.73) 1 (0.03) 1 (0.03) 1 (0.03) 1 (0.03) 1 (0.03) 24 (0.80) 2 (0.07) 3 (0.10) 18 (0.60) 1 (0.03) 1 (0.03) 930(30.93) 6 (0.20) 6 (0.20) 3 (0.10) 2 (0.07) 1 (0.03) 25 (0.83) 1 (0.03) 1 (0.03) 4 (0.13) 2 (0.07) 1 (0.03) 1 (0.03) 2 (0.07) 8 (0.27) 2 (0.07) 2 (0.07) 3 (0.10) 2 (0.07) 1 (0.03) 6 (0.20) 407(13.54) 375(12.47) 69 (2.29) 8 臨床成績 重大な副作用 [ショックおよび重篤な過敏症] 承認時および使用成績調査における総症例3,007例において、 ショック12件 (0.4%) 、重篤な過敏症3件 (0.1%) が報告されている。 発症原因としては、本剤の添加物であるポリオキシエチレン硬化ヒマシ油によるアレルギー反応によるものと推察されている。 また、本 剤の代謝物であるシタラビンでもショックの発現が報告されていることから、 エノシタビンによる可能性も否定できない。 ショック発症時の処置方法としては、症状に応じてエピネフリン、塩酸ドパミン、 ステロイ ド (ヒドロコルチゾンなど) 投与、補液、酸素吸入 などを行う。 ショック発症例のうち申請時までに出現した1例の詳細を示す。 症例 年齢 性別 30歳代 男 診断名 耳下腺癌 サンラビン 投与量 予定投与量 150mg 使用輸液 (種類・量) 5%ブドウ糖注射液 250mL 併用薬剤 マイ トマイシンC 4mg フルオロウラシル 500mg 経過 (発生状況、 処置、 転帰など) 備考 投与開始5分後、 全身皮膚が鳥 蚤痒感、 肌状、強い全身の瘻 嘔吐 のため投与中止( 点滴時間約 10分間) 。 口唇、手指のチアノー シスの増悪、 最高値40∼50の血 圧低下のため、 酸素吸入、 コハ ク酸ヒドロコルチゾンNa注を投与 するが回復せず、麻酔科医によ る救急蘇生 (コハク酸ヒドロコル チゾンNa、 ノルエピネフリン、 グル コン酸Ca、 グリチルリチン酸配合 注などの投与) により1日後に正 常に復す。 過敏症発症時の処置方法としては、本剤の投与中止、また、ステロイド、グリチルリチン製剤、酸素吸入、抗ヒスタミン剤など の投与により回復している症例の報告がある。 過敏症発症例3例の詳細を示す。 症例 年齢 性別 診断名 40歳代 男 上口唇原発 悪性黒色腫 サンラビン 投与量 予定投与量 250mg 使用輸液 (種類・量) 5%ブドウ糖注射液 250mL ─ 副作用発作時 点滴量 約3mL 60歳代 男 急性骨髄性 白血病 予定投与量 300mg 併用薬剤 糖電解質輸液 500mL アロプリノール (100mg) 3錠 副作用発作時 点滴量 約20mL 30歳代 男 急性単球性 白血病 予定投与量 200mg 副作用発作時 点滴量 5mL以内 9 糖電解質輸液 500mL グリチルリチン酸 配合注射剤 リン酸 ピリ ドキサール 経過 (発生状況、 処置、 転帰など) 備考 投与開始3∼5分後、発赤が眉 BCG-CWS3年間投与 間 部から全身に広がり投 与中 後、 DNCB Skin Test 止。 約20分で正常に復す。 平常 で陽性。 時133であった血圧が中止時に は166となる。 投与開始5分後、 全身皮膚の紅 潮、 前胸部不快感を訴える。 さら に5∼10分間投与後、前胸部不 快感持続のため投与中止。 ヒド ロコルチゾン注、 グリチルリチン酸 配合注射剤投与。全身の皮膚 紅潮は1時間後完全に消失し、 正常に復す。 投与開始5分以内、胸苦しさ、腰 のだるさ、発汗、のぼせ感、顔面 紅潮著明のため投与中止。酸 素吸入により1時間30分後正常 に復す。 VEMP療法による両 下肢先端末 神経障 害。 メソトレキセート髄 注 時けいれん、意 識 障害の既往あり。特に 薬 剤に対 するアレル ギー体質はなし。 臨床成績 [血液障害] 承認時および使用成績調査時にはみられなかった副作用として、重篤な血液障害が3例報告されたため、1999年11月に「使 用上の注意」 を改訂し、 「その他の副作用」から 「重大な副作用」へ移動した。 血液障害発症例2例の詳細を示す。 症例 年齢 性別 診断名 40歳代 急性 女 リンパ性 白血病 サンラビン 投与量 使用輸液 (種類・量) 塩酸ミ トキサントロン 5mg/m2/日 200mg/m2/日 10日間 経過 (発生状況、 処置、 転帰など) 併用薬剤 エトポシド 100mg/m2/日 正常値 注) 備考 本剤、塩酸ミ トキサントロン、エトポシドを投与 開始したところ、 全身 怠、食欲不振、頭痛 が発現。投与3日目に汎血球減少が発現、 投与終了33日後まで赤血球MAP、PCを輸 血。投与5日後に悪心発現。投与10日後の 本剤投与終了日に下痢が発現した。 終了1日 後にフィルグラスチム投与開始。終了3日後に 下痢は回復し脱毛発現、終了9日後には悪 心は軽快した。終了33日後にAra - C大量+ ピラルビシンの投与を開始。終了53日後に全 怠、食欲不振、頭痛、汎血球減少、脱水 未回復のまま、敗血症により死亡。 投与前 投与3日目 3,500∼9,300 11,240 2,750 250 140 1,210 − 67 19 0 0 71 0 30∼70 11 17 6 17 12 46 380∼490 302 245 252 183 269 148 血小板数 (×10 /mm ) 13.0∼36.9 11.2 4.4 1.0 0.7 2.2 1.4 白血球数 (/mm ) 3 白血病細胞 (%) 好中球 (%) 赤血球数 (×10 /mm ) 4 4 3 3 投与終了日 終了14日後 終了33日後 終了52日後 40 注) 正常値は 「臨床検査ガイド (文光堂) 」 より引用 他製品の販売名および主成分名は、報告当時の販売名と主成分名を記載した。 「使用上の注意」 4. 副作用 (1)重大な副作用 1)ショック(0.4%) ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を 中止し、適切な処置を行うこと。 2)重篤な過敏症(0.1%) 胸部圧迫感、発疹、皮膚の潮紅等の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、このよう な症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。 3)血液障害(頻度不明) 汎血球減少、白血球減少、血小板減少、貧血、また、骨髄に巨赤芽球様細胞を認めることが あるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処 置を行うこと。 10 臨床成績 症例 年齢 性別 診断名 60歳代 急性骨髄性 男 白血病 サンラビン 投与量 使用輸液 (種類・量) 経過 (発生状況、 処置、 転帰など) 併用薬剤 初回寛解導入療法を施行し、 完全寛解とな る。 その後地固め療法を3コース施行。 本剤を含む多剤併用化学療法 (強化化学 療法) を開始。 終了1日後に敗血症の疑いを 。 終了2日後には 合併 (CRP∼35.0mg/dL) 骨髄抑制に対しrhG-CSFを投与。 終了21日 後には骨髄無形成状態を呈し、 高熱が持続 して緑膿菌性肺炎も併発。 終了23日後に好 中球輸血し、 終了26∼27日後には末 血幹 細胞を移植したところ、 移植後速やかに解熱 傾向が認められ、 終了34日後には肺炎が回 復し、 終了44日後に骨髄抑制回復した。 塩酸アクラルビシン 40mg/日 250∼300mg/日 9日間 備考 塩酸イダルビシン 15∼20mg/日 硫酸ビンクリスチン 0.5∼1.0mg/日 メルカプトプリン 90mg/日 塩酸ラモセトロン 0.3mg/日 イミペネム・シラスタチン 2g/日 硫酸イセパマイシン 400mg/日 フルコナゾール 400mg/日 末 血 施設正常値 投与開始日 終了2日後 4,000∼9,000 1,200 100 0 血小板数 (×10 /mm ) 13.0∼40.0 10.5 3.1 1.4 10.6 ヘモグロビン (g/dL) 13.0∼18.0 8.7 7.7 7.9 9.1 10∼25 8.4 0.2 芽球 (%) 1.3 1.2 0 前骨髄球 (%) 4.4 0.7 0 0.6 骨髄球 (%) 7.0 7.1 0 15.0 白血球数 (/mm ) 3 4 3 有核細胞数 (×10 /mm ) 4 骨 髄 注) 3 終了21日後 終了44日後 終了62日後 4,400 12.9 0.4 後骨髄球 (%) 10.0 0 0 9.8 桿状核球 (%) 13.6 0.4 0 12.4 分葉核球 (%) 13.6 0.2 0 2.6 3.7 0.9 0 4.4 0 0.2 好酸球 (%) 好塩基球 (%) リンパ球 (%) 単球 (%) 0.2 0.2 19.1 6.2 3.3 3.1 0 93.0 5.0 2.4 形質球 (%) 1.2 0.5 6.0 1.0 赤芽球 (%) 20.6 79.4 1.0 45.2 巨核球数 (/mm ) 3 50∼150 0 0 0.2 注) 「骨髄」 の正常値は 「臨床検査ガイド (文光堂) 」 より引用 他製品の販売名および主成分名は、報告当時の販売名と主成分名を記載した。 「使用上の注意」 4. 副作用 (1)重大な副作用 1)ショック(0.4%) ショックを起こすことがあるので、観察を十分に行い、異常が認められた場合には、直ちに投与を 中止し、適切な処置を行うこと。 2)重篤な過敏症(0.1%) 胸部圧迫感、発疹、皮膚の潮紅等の重篤な過敏症状があらわれることがあるので、このよう な症状があらわれた場合には、直ちに投与を中止し、適切な処置を行うこと。 3)血液障害(頻度不明) 汎血球減少、白血球減少、血小板減少、貧血、また、骨髄に巨赤芽球様細胞を認めることが あるので、定期的に血液検査を行うなど観察を十分に行い、異常が認められた場合には減量、休薬等の適切な処 置を行うこと。 11 薬物動態 血中濃度(対象:急性白血病患者)2) 急性白血病患者に本剤200mgを1.5時間点滴静注 したところ、血漿中エノシタビン (BH - AC) 濃度は二相性に減少し、半減期は 第一相で0.37±0.25時間、第二相で5.3±4.8時間であった。 血球中のBH - AC濃度は点滴静注中は血漿中濃度と同じであったが、投与開始24時間後には血漿中の約10倍量を示した。 ※ ●血漿・血球中BH - AC濃度の推移(対象:急性白血病患者、投与量:200mg) (μg/mL) 血漿中BH-AC (n=7) 血球中BH-AC (n=5) Mean±S.D. 10.0 BH A-C濃度 1.0 薬物動態学的パラメータ t1/2β t1/2α (hr) (hr) 0.1 0 6 18 12 24(時間) 0.37±0.25 5.3±4.8 Vd AUC (L/kg) (mg/hr/L) 0.316±0.220 85.5±31.2 本剤点滴静注後の骨髄中のBH - AC濃度は、投与4時間後では約5.5μg/mLと血漿中濃度とほぼ同濃度であったが、12時間後 には約2.0μg/mLとなり血漿中濃度より有意に高値であった。 ●血漿・全血・骨髄中BH-AC濃度の比較(対象:急性白血病患者、投与量:200mg) 血漿中濃度 全血中濃度 骨髄中濃度 Mean±S.D. * :p<0.01 (Student's t test) (μg/mL) 8.0 BH A-C濃度 6.0 * 4.0 2.0 0 4時間(n=6) 12時間(n=4) サンラビン投与後の時間 【用法・用量】通常、1日量、体重1kg当り3.5〜6.0mgを5%ブドウ糖注射液、5%果糖注射液、5%キシリット注射液、生理食塩液、 リンゲル液又は糖電解質 注射液に混合し、静脈内に2〜4時間で1日1回又は2回に分割し点滴注射する。通常10〜14日間連続投与を行うか、又は6〜10日間連続投与後休 薬期間をおいて同様の投与をくり返す。用量及び投与期間については患者の末梢血及び骨髄の状態により適宜増減する。 12 薬物動態 分布〈参考:動物データ〉 1. 組織内分布 (ラット) エノシタビン (BH-AC) は、血漿、骨髄、脾臓、心臓、肺、肝臓に高濃度に分布して長時間にわたり濃度が維持されたが、脳への 分布はほとんどみられなかった。 3) ●BH-ACの臓器内濃度(ラット、静脈内投与) 濃度 μg/g - 組織 (血漿: μg/mL) 時間 組織 0.5 1.0 2.0 4.0 8.0 24 実験 I 骨髄 血漿 130.0 691.0 109.0 304.0 75.0 49.8 64.0 16.0 34.0 4.0 5.0 1.5 実験 II 脳 肺 心臓 肝臓 胃 小腸 脾臓 腎臓 骨格筋 精巣 5.9 82.6 63.6 50.7 15.6 22.4 163.0 33.9 13.5 6.5 5.5 54.2 85.1 74.3 15.3 19.5 214.0 32.8 12.0 4.4 N.D. 58.2 56.1 50.8 31.2 19.7 172.9 27.9 15.3 4.3 N.D. 40.6 39.8 20.2 9.7 12.4 80.6 18.7 12.0 3.6 N.D. 30.1 30.8 11.1 8.3 9.4 37.7 10.0 12.2 N.D. N.D. 8.7 10.5 1.7 N.D. N.D. 9.1 N.D. 13.3 N.D. N.D.:検出限界以下 方法) Wistar系ラットにBH-AC50mg/kgを静脈内投与し、BH - ACの臓器内濃度を高速液体クロマトグラフィーにて測定した。 2. L1210マウス白血病細胞内分布 (in vitro) 14 C - BH - AC存在下でL1210白血病細胞を培養したところ、脂質親和性が高いBH - ACは、細胞膜、 ミ トコンドリア、 ミクロソーム、 14 14 核の順に高濃度の分布がみられた。一方、 C -シタラビン ( C - Ara - C) 存在下での培養においては大部分のAra - Cが上清に 存在した。 4) ●14C-BH-ACおよび14C -Ara - CのL1210白血病細胞内分布 C-BH-AC C-Ara-C Mean±S.D. 14 14 核区分 ミ トコンドリア区分 細胞膜区分 ミクロソーム区分 上清区分 0 1.0 2.0 放射活性薬物濃度 3.0(nM/mg蛋白質) 方法) L1210白血病細胞2.5×107個/mLを14C-BH-ACまたは14C-Ara-C 20nM/mg存在下で37℃、60分間培養した後、Dounceのホモジナイザーに て磨砕し、高速遠沈により各細胞を分画して放射活性を測定した。 13 薬物動態 代謝および排泄(対象:急性白血病患者)2, 5) 急性白血病患者 (n=7) に本剤200mgを1.5時間で点滴静注 したところ、血液中にはエノシタビン (BH-AC) の他に活性体のシタラ ビン (Ara - C) および不活性体のウラシルアラビノシド (Ara - U) が検出された。尿中にはBH - ACとしては排泄されず、投与開始24 時間後までに0.5%がAra - Cとして、72%がAra - Uとして排泄された。 急性白血病患者における代謝産物の検討から、BH - ACの下記のような代謝経路が推定された。 ※ ●代謝経路〈推定〉 NH2 NHCO (CH2) 20CH3 N O HOH2C O N N O O acylase HO N O HO OH BH- AC(非活性体) HN O deaminase HO N O HO HO OH Ara -C(活性体) OH Ara -U(不活性体) 【用法・用量】通常、1日量、体重1kg当り3.5〜6.0mgを5%ブドウ糖注射液、5%果糖注射液、5%キシリット注射液、生理食塩液、 リンゲル液又は糖電解質 注射液に混合し、静脈内に2〜4時間で1日1回又は2回に分割し点滴注射する。通常10〜14日間連続投与を行うか、又は6〜10日間連続投与後休 薬期間をおいて同様の投与をくり返す。用量及び投与期間については患者の末梢血及び骨髄の状態により適宜増減する。 14 薬効薬理 非臨床試験 1. 作用メカニズム エノシタビン (BH-AC) は、DNA合成阻害作用により抗腫瘍作用を発揮する代謝拮抗性抗悪性腫瘍剤である。 BH-ACの活性体であるシタラビン (Ara-C) は、従来より急性白血病治療において重要な位置を占めてきた薬剤であるが、体 内で容易に脱アミノ作用(deamination) を受け失活することから、半減期が短く、頻回の投与が必要であることが、常に治療 上の課題とされてきた。 BH-ACは、 シチジンデアミネースに抵抗性であることから、長時間体内組織中にとどまり、徐々に活性物質Ara-Cへと変換さ れる。 このため、 より持続的に抗腫瘍効果を維持することが可能となった。 また、長鎖脂肪酸であるベヘノイル基を有する BH-ACは脂質親和性が高く、赤血球がリザーバー (貯蔵庫) として機能し、血漿中BH-AC濃度が持続的に維持されること で、作用の持続性はより高められているものと考えられている。 本剤は、 これらメカニズムによるBH-ACの持続的な抗腫瘍作用により、急性白血病(慢性白血病の急性転化を含む) に対し 改善効果が期待できる。 6, 7) 生体外 生体内 腫瘍細胞膜 外 内 BH - AC *1) サンラビン (BH-AC) BH - AC ω&β酸化 Ara-C 脱アシル化酵素 (活性化物) Ara-C Ara-CTP シチジンデアミネース DNAポリメラーゼ (DNA合成阻害) Ara-U* Ara-U DNA (Ara-C一部転入) (不活化物) (不活化物) (DNA障害) *1) 一部の細胞で確認されている。 (尿中排泄) 代謝 転送 阻害作用 酵素反応 Ara-U ウラシルアラビノシド * 福井大学医学部第1内科 上田孝典より 15 薬効薬理 2. DNA合成阻害作用(ヒト白血病細胞:in vitro) エノシタビン (BH - AC) は0.1μg/mL以上の濃度において、DNA合成 (3H - チミジンの取り込み) を有意に阻害したが、RNA合成 3 ( H -ウリジンの取り込み) 阻害作用は20μg/mLまで認められなかった。 7) ●核酸合成におけるBH - ACの影響(ヒト白血病細胞) DNA (3H-チミジンの取り込み) (%) 100 50 0 (BH -AC) RNA (3H-ウリジンの取り込み) 0 50 100 (%) Control 0.1μg/mL 1.0μg/mL 10μg/mL 20μg/mL 方法) BH - AC存在下において、 ヒト慢性骨髄性白血病細胞浮遊液 (1×107個/mL) を37℃、 60分間で前培養した後、3H - チミジンまたは3H -ウリジンを添加 し、 さらに30分間培養した。 これら放射活性物質の酸不溶性分画への取り込みを測定し、核酸合成の阻害効果を検討した。 3. 抗腫瘍効果 8〜10) L1210マウス白血病細胞に対する抗腫瘍効果 (マウス) * L1210白血病細胞を腹腔内移植したマウスにエノシタビン (BH-AC) を腹腔内投与したところ、 9日間連日投与では抗腫瘍効果 は1mg/kg/日の投与量から発現し、T/C(%) は145であった。一方、至適投与量100mg/kg/日ではT/C(%) が369以上で5 例中全例が生存した。 このことより、BH - ACは最小有効投与量と至適投与量の幅 (治療係数) が大きい薬剤であることが示唆 された。 また、 いずれの投与群においても抗腫瘍効果は総投与量3〜10mg/kgからあらわれ、200〜1,000mg/kgで最大を示したことか ら、BH - ACの抗腫瘍効果は総投与量に依存し、投与スケジュールには依存しないことが示唆された。 *抗腫瘍効果:対照群と治療群の平均生存日数の比率 (T/C%) ≧125 ●BH-ACの総投与量と抗腫瘍効果(マウス、腹腔内投与) 1日後から9日間連続 2および6日後 1日後 (%) 400 ●L1210白血病細胞に対する抗腫瘍効果 投与 投与量 平均生存日数の比 スケジュール (mg/kg, i.p.) T/C (%) 抗腫瘍効果 ︵T /C︶ 1日後 300 2および 6日後 200 125 100 0 1日後から 9日間連日 3 10 30 100 300 1000 3000(mg/kg) 800 400 200 100 30 10 3 400 200 100 30 10 3 200 100 30 10 3 1 0.3 353 364 378 286 184 145 118 370 365 365 279 178 131 131 369 331 324 200 145 112 30日間 生存匹数 2/3 4/5 3/5 0/5 0/5 0/5 0/5 4/5 4/5 4/5 0/5 0/5 0/5 0/5 5/5 3/5 3/5 0/5 0/5 0/5 方法) L1210白血病細胞1×105個をCDF1マウス腹腔内に移植し、1日後、2および6日後、1日後から9日間連日の3種類のスケジュールによりBH - ACを腹腔 内に投与した。細胞移植後30日間の生存状況を観察し、対照群と治療群の平均生存日数の比率 (T/C%) を求めて抗腫瘍効果を検討した。 16 薬効薬理 ヒトリンパ性白血病細胞 (市川株) に対する抗腫瘍効果 (マウス) T - cell型小児急性リンパ性白血病細胞 (市川株) を移植したマウスにエノシタビン (BH - AC) を投与したところ、100mg/kg投与 群では7例中2例が100日間以上生存し、400mg/kg投与群では6例中全例が100日間生存した。一方、 シタラビン (Ara - C) を投 与した群では400mg/kg投与でも生存例は認められなかった。 このことから、BH - ACの優れた抗腫瘍効果が示された。 11) ●ヒト急性白血病細胞の腹腔内移植系に対する抗腫瘍効果 BH- AC投与群 Ara-C投与群 生存日数 20 40 60 80 20 40 60 80 100(日) 細胞 (1×108) ↓ Ara - C (i.p.) ↓ 細胞 (1×108) ↓ BH-AC (i.p.) ↓ 対 照 生存日数 100(日) 対 照 BH- AC 20mg/kg/日 Ara -C 100mg/kg/日 100mg/kg/日 400mg/kg/日 400mg/kg/日 方法) T - cell型小児急性リンパ性白血病細胞 (市川株) 1×108個をヌードマウス腹腔内に移植し、腫瘍細胞移植24時間後、BH - ACまたはAra - Cを腹腔 内に1回投与し、100日間の生存状況を観察した。 17 薬効薬理 4. 抗腫瘍作用の持続性 10) 1) シチジンデアミネースに対する抵抗性 (マウス肝臓由来シチジンデアミネース、in vitro) エノシタビン (BH-AC) は、 マウス肝由来のシチジンデアミネースとの37℃、40分間の反応でも分解を受けず、 シチジンデアミネース に対する抵抗性を示した。一方、Ara-Cは20分間の反応で約50%が分解された。 ●マウス シチジンデアミネースに対する抵抗性 BH - AC Ara - C (%) 0 脱アミノ化率 50 100 5 10 40(分) 20 反応時間 方法) ddN系マウス肝臓から調製したシチジンデアミネースとBH - ACまたはAra - Cを反応させ、 それぞれの脱アミノ化率を測定し、 シチジンデアミネースに対す る抵抗性を検討した。 2) 赤血球のリザーバー機能 (in vitro) エノシタビン (BH - AC) を血液に添加して培養したところ、BH-ACは脂肪含有量の高い赤血球膜および白血球膜などに高率に 取り込まれ、特に赤血球へは24%の分布が認められた。 BH - ACを取り込ませた赤血球を新鮮血漿中に浮遊させたところ、赤血球から血漿中へBH - ACの容易な移行が認められた。 BH-ACは赤血球に取り込まれ、 その赤血球がリザーバーとして働き、血中濃度の低下速度を抑える可能性が示唆された。 12) ●血球および血漿におけるBH-ACおよびAra-Cの分布 BH-AC分布 Ara-C分布 全 血 100% ●B H-ACを取り込ませた赤血球を血漿に浮遊させた 場合の薬剤の移行 赤血球中濃度 血漿中濃度 (μg/mL・g) 40 35 血 球 73.7% 57.6% 26.3% 42.4% 血球洗浄液 0.5% 洗浄後血球 25.8% 38.1% 4.3% BH A-C濃度 血 漿 30 25 20 15 10 白血球 1.6% 0.4% 赤血球 24.2% 3.8% 正常血球 (ヘマトクリット45%、 白血球数8,000/mm3) にて算出 5 0 0 60 120 180(時間) 方法) 14C-BH-AC100μgを血液(全血) に10mL添加して37℃、60分間培養し、血球血漿画分に遠心分離し、薬剤の取り込みを検討した。 さらに、 14 C-BH-ACを取り込ませた赤血球を新鮮血漿中に浮遊させ、経時的に血球と血漿を分離して、 それぞれのBH-AC濃度をHPLC法にて測定した。 18 一般薬理試験及び毒性試験 一般薬理試験(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、イヌ)13) マウス、 ラット、 ウサギ、 モルモット、 イヌ (ビーグル犬を含む) およびそれら動物の摘出臓器を用いて、本剤の中枢・末梢神経系、呼 吸・循環器系、消化器系、生殖器系等に対する影響を検討した。 * ビーグル犬に1mg/kg、 ウサギに1、10mg/kgを静脈内投与したところ、皮質・辺縁系脳波の高振幅徐波化 が、 ビーグル犬に 25mg/kg静脈内投与したところ悪心・嘔吐が認められた。 また、 マウスに40、140mg/kg腹腔内投与したところ、 ペンテトラゾール * 痙攣の軽度の延長作用が認められた。 イヌに1mg/kg静脈内投与したところ、血圧下降、呼吸数・心拍数の増大 が認められ * た。 ウサギに10、30mg/kgを静脈内投与したところ、生体位腸運動の自動能抑制 が認められ、100mg/kgを静脈内投与したと ころ、投与3時間後から体温が徐々に上昇し投与4時間後には約1.2℃の上昇が認められた。in vitro試験では、4×10 −5g/mL * * の作用濃度でモルモット摘出回腸の弛緩 およびウサギ摘出回腸自動能の減弱 が、10−5〜10−4g/mLの作用濃度でラット摘出 子宮の自動運動抑制が認められた。 *:基剤(HCO-60を含む)投与においても同一作用が発現した。 毒性試験 1. 単回投与試験(マウス、 ラット) LD50値(mg/kg) 14) 動物種 投与経路 マウス (ICR系、5週令) 性 雄 ラット (Wistar系、4週令) 雌 雄 雌 静脈内 500(420∼595) 650(546∼774) 380(333∼433) 400(344∼464) 腹腔内 525(430∼640) 690(575∼828) 1,150(920∼1,430) 1,100(918∼1,318) 皮 下 820(695∼968) 810(686∼956) >1,352 経 口 >1,500 >1,500 >1,000 >1,352 >1,000 2. 反復投与試験(マウス、 ラット、 イヌ) ICR系マウスおよびWistar系ラットに3〜60mg/kgを1ヶ月間腹腔内投与した結果、15mg/kgまたは30mg/kg投与群で体 重増加抑制、脱毛(軽度)、顎下腺・精巣・子宮・卵巣の萎縮、骨髄造血細胞の減少・幼若化、脾臓・肝臓の髄外造血の活 発化等が認められた。 また、3mg/kg以上で胸腺の萎縮、赤血球および白血球の減少が認められた。 ビーグル犬に1.5〜45mg/kgを1ヶ月間静脈内投与した結果、5mg/kg以上で体重増加抑制(軽度)、白血球および血小板 の減少、骨髄造血細胞の減少(軽度)、胸腺皮質リンパ性細胞の減少が認められた。 また1.5mg/kg以上で赤血球の減少、 15mg/kg以上でヘモジデリン沈着が認められた。 これらの所見は、回復試験でいずれも正常に回復した。 14,15) Wistar系ラットに0.1〜20mg/kgを6ヶ月間腹腔内投与した結果、20mg/kgの高投与量群で精巣・卵巣の萎縮、脾臓肥大 および髄外造血の活発化、肝臓・腎臓へのヘモジデリン沈着、骨髄造血細胞の未熟大型化が、10mg/kg以上で白血球お よび赤血球の減少、胸腺の萎縮が認められた。 また、0.1mg/kg以上で脱毛(軽度) が認められた。 ビーグル犬に0.5〜5mg/kgを6ヶ月間静脈内投与した結果、5mg/kgで白血球および赤血球の減少、骨髄造血組織の増生 が、1.5mg/kg以上で胸腺皮質リンパ性細胞の減少、GOT低下、LDH上昇等が認められた。 19 一般薬理試験及び毒性試験 3. 生殖に及ぼす影響 ●受胎能、一般生殖機能試験(ラット) SD系ラットを用いた検討において、受胎能、一般生殖機能に対する影響は認められなかった。 ●器官形成期投与試験(ラット、ウサギ) SD系ラットに10mg/kgを静脈内投与した結果、胎児に骨格異常(第14肋骨、腰椎の出現) が、30mg/kg投与群において 母動物に体重増加抑制、胎児に外形異常(眼瞼開存、内反足、浮腫、腹壁ヘルニア、無尾、欠指、口蓋裂) が認められた。 ニュージーランド白色家兎に3mg/kgを静脈注射した結果、未熟児数増加、外形異常(眼瞼開存、欠指) および骨格異常 (胸骨骨格癒着、欠手足指) が認められた。 ●周産期および授乳期投与試験(ラット) SD系ラットを用いた検討において、母動物および出生児に対する影響は認められなかった。 15,16) 4. 抗原性(モルモット、 ウサギ) モルモットを用いた全身アナフィラキシー誘発、Schultz-Dale反応、沈降反応、同種PCA反応、 およびウサギを用いた異種 PCA反応では、 いずれも抗原性は認められなかった。 17) 5. 変異原性(マウス、in vitro) 18) Ames変法では異常が認められなかったが、 マウスを用いた小核試験において、エノシタビン8mg/kg以上、5日間静脈内投 与で、微小核細胞生成の増加が認められた。 6. 溶血性(マウス、 ラット) 急性毒性試験の高投与量(100mg/kg以上) で血尿(赤血球膜の脆弱化に起因したヘモグロビン尿) が認められた。 14,19) 20 製剤学的事項 1. 製剤の安定性 本剤の温度、湿度および光に対する安定性を外観、溶状、pHおよび含量について観察した。 保存条件 遮光下 遮光下、20℃ 室温 保存期間 温度 結果 0∼5℃ 60ヶ月 60ヶ月間の保存で変化を認めない。 15±1℃ 60ヶ月 60ヶ月間の保存で変化を認めない。 室温 24ヶ月 18ヶ月間の保存で変化を認めないが、 21ヶ月目以降外観および溶状の色調、副生成物含量が規格外となる。 40℃ 9ヶ月 4ヶ月間の保存で変化を認めないが、 6ヶ月目以降外観および溶状の色調、副生成物含量が規格外となる。 RH60% 6ヶ月 6ヶ月間の保存で変化を認めない。 RH85% 6ヶ月 6ヶ月間の保存で変化を認めない。 室内 散光下 21ヶ月 15ヶ月間の保存で変化を認めないが、 18ヶ月目以降外観の色調および副生成物含量が規格外となる。 紫外線照射下 48時間 48時間の保存で変化を認めない。 湿度 光 2. 溶解後の保存安定性 本剤に規定量の日局注射用水を加えて沸騰水浴中で約10分間加熱溶解し、ついで冷却して得られた無色澄明な水溶液 を、0〜5℃で保存し、溶状、主薬の残存率(%)、副生成物の生成率(%) およびpHについて調べた結果、14日間の保存で変 化を認めない。 本剤に規定量の日局注射用水を加えて沸騰水浴中で約10分間加熱溶解し、ついで冷却して得られた無色澄明な水溶液 を、室温で7日間保存し、溶状、主薬の残存率(%)、副生成物の生成率(%) およびpHについて調べた結果、2日間の保存で 変化を認めず、3日目以降溶状の色調が規格外となる。 3. 溶解後の加熱安定性 本剤溶解後の水溶液を98〜100℃で4時間加熱した時の溶状、主薬の残存率(%)、副生成物の生成率およびpHについて 調べた結果、1時間の加熱で変化を認めず、2時間以降副生成物生成率が規格外となる。 21 取扱い上の注意/包装 取扱い上の注意 規制区分:劇薬、処方箋医薬品※ ※注意−医師等の処方箋により使用すること 貯 法:冷所保存 使用期限:外箱等に表示(4年) 包装 サンラビン点滴静注用150mg:1バイアル中、エノシタビン150mg:10バイアル サンラビン点滴静注用200mg:1バイアル中、エノシタビン200mg:10バイアル サンラビン点滴静注用250mg:1バイアル中、エノシタビン250mg:10バイアル 22 関連情報 関連情報 1. 承認番号、承認年月 承認番号 サンラビン点滴静注用 150mg:22100AMX00510000 200mg:22100AMX00511000 250mg:22100AMX00512000 承認年月 2009年3月 (旧販売名:注射用サンラビン 承認番号:15700AMZ01299000 承認年月:1982年12月) 2. 販売開始年月 2009年9月 3. 再審査期間満了年月 1988年12月 4. 再審査公表年月 1990年9月 23 その他 注射液の調製方法 専用の『溶解鍋』 と 『溶解ラック』 を用意しております。弊社医薬情報担当者へお申し付けください。 日局注射用水の注入 加熱、振り混ぜ 注射針はゴム栓の中央にゆっくり垂直に刺し、 バイアルを溶解ラックに入れ、 日局注射用水 あらかじめ沸騰させた水浴中で 約10分間加熱する。その間、3 150バイアル→15mL 回沸騰水浴中から取り出し、右 200バイアル→20mL 図のように強く振り混ぜる (各 250バイアル→25mL 回10秒間に10∼15回程度) 。 を加える。 【注意】 加熱中は、沸騰水がなくならな 【注意】 いように注意してください。 このとき、振り混ぜないでください。 溶状の確認 急冷、振り混ぜ 沸騰水浴中から取り出し、小さ 熱い溶解ラックごと、好ましくは氷水中(流 な塊あるいは透明なゲル状物 水中でも可)で約3分間振り混ぜながら急 のない均一な乳白色の液が得 冷すると、乳白色の溶液は無色澄明にな られたことを確認する。 る。この溶液1.1mLには約10mgのエノシ 氷水中でない 場 合 は 、必 ず 流水中で行う 氷水 タビンが含まれる。 【注意】 流水 【注意】 乳白色の液が得られない場合 無色澄明な液を得るためには、急冷する は、再度上記2の操作を行って ことが最も重要なポイントですので放 ください。 写真のような乳白色 ならOK 置しないでください。 (急冷操作前にバイ アルを放置する等により冷ましたような 溜めた水 場合には、再度沸騰水浴中で加熱後、 ただちに急冷操作を行ってください。) 輸液ボトルに入れる前の確認 輸液ボトルへの注入 無色澄明な状態であることを 本剤の水溶液を輸液で希釈する際 確かめる。 には、泡立ちを極力抑え、注入後の このような注 入は泡立ちの 原因となるの で避ける 輸液 ボトル 攪拌は穏やかに行う。 (輸液容器の 【注意】 液中に本剤の水溶液を注入する針 無色澄明な状態でない場合は、 を浸けて注入するか、または壁を 再度上記2の沸騰水浴中での 伝わせてゆっくり注入する。) 加熱からやり直してください。 液中にゆっくり 注入 【注意】 本剤の水溶液注入後の輸液は泡 無 色 澄 明になって いるか確認 (4の写真を参照) 立ちやすく、 また立った泡は消えに くく、白濁と見間違える原因ともな りますので、調製後も泡立ちを避 けるように静かに扱ってください。 輸液 ボトル 容器の壁を伝 わせて注入 輸液 ボトル ●日局注射用水を注入する前に加熱しないでください。 注意 ●本剤の溶解操作には、沸騰水を使用しますので、やけどに十分注意してください。 ●本剤は空焚きすると、破瓶するおそれがありますので、注意してください。 ●加熱を繰り返す場合、加熱は計30分間以内にとどめてください。 ●本剤を溶解した後、やむを得ず保存する場合は、5℃以下で保存し、48時間以内に使用してください。 24 主要文献 主要文献 1) 承認時評価資料, Kimura, K. et al. Current Chemotherapy & Immunotherapy, Proc.12th Internat'l Congr. of Chemotherapy. 1982; 1306. 2) Ueda, T. et al. Cancer Res. 1983; 43: 3412-3416. 3) 社内資料: 「注射用サンラビン」 (BH-AC) の概要 -基礎編- 10・2・3 ラット臓器内分布 4) Ueda, T. et al. Gann. 1983; 74: 445-451. 5) 上田孝典他. 第42回癌学会総会記事. 1983; No.790: 227. 6) 藤田浩他. CHEMOTHERAPY. 1983; 31 (7) : 723-732. 7) 中村徹他. 日本血液学会雑誌. 1979; 42 (2) : 131. 8) Aoshima, M. et al. Cancer Res. 1976; 36: 2726-2732. 9) Sakurai, Y. Recent Results in Cancer Research. 1978; 63: 272-281. 10) Aoshima, M. et al. Cancer Res. 1977; 37: 2481-2486. 11) 北原武志他. 癌と化学療法. 1980; 7 (6) : 957-965. 12) 中村徹他. 癌と化学療法. 1992; 19 (2) : 265-276. 13) 社内資料: 「注射用サンラビン」 (BH-AC) の概要 -基礎編- 9 一般薬理作用 14) 金林輝彦他. 抗酸菌病研究所雑誌. 1987; 39 (2) : 339-353. 15) 社内資料: 「注射用サンラビン」 (BH-AC) の概要 -基礎編- 6・1 催奇形性試験 16) 社内資料: 「注射用サンラビン」 (BH-AC) の概要 -基礎編- 6・2 BH-ACの妊娠家兎器官形成期に投与時の母体及び胎 仔に及ぼす影響 17) 社内資料: 「注射用サンラビン」 (BH-AC) の概要 -基礎編- 6・7 抗原性試験 18) 社内資料: 「注射用サンラビン」 (BH-AC) の概要 -基礎編- 6・4 BH-ACおよびHCO-60の変異原性 19) 森口寿徳他. 臨床血液. 1987; 28 (9) : 1568-1575. 25 製造販売業者の氏名又は名称及び住所 製造販売業者の氏名又は名称及び住所 旭化成ファーマ株式会社 東京都千代田区神田神保町一丁目105番地 【文献請求先】 旭化成ファーマ株式会社 医薬情報部くすり相談窓口 〒101-8101 東京都千代田区神田神保町一丁目105番地 0120-114-936 (9:00〜17:45/土日祝、休業日を除く) 本資料は『医療用医薬品製品情報概要等に関する作成要領』に則り作成しています。 26 製造販売元 〒101-8101 東京都千代田区神田神保町一丁目105番地 URL:http://www.asahikasei-pharma.co.jp GASB-200100002004 2016年12月作成 (AH)