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VOC対策事例集 - 関東経済産業局
平成22年度中小企業等産業公害防止対策調査 関東経済産業局管内における揮発性有機化合物(VOC) の排出抑制のためのネットワーク形成に関する調査報告書 [ 抜 粋 ] 【VOC対策事例集】 平成24年1月 関東経済産業局 「VOC対策事例集」は、平成22年度「関東経済産業局管内における揮発性 有機化合物(VOC)の排出抑制のためのネットワーク形成に関する調査報告書」 の中の第5章として、 「VOC対策現場アドバイザー派遣サービス」において現場 アドバイザーを派遣した事業所におけるVOC対策事例をまとめたものです。 今回の冊子は本報告書から抜粋したものとなっております。 本報告書については、関東経済産業局のホームページでご覧いただくことがで きます。また、PDF形式のファイルでダウンロードすることが可能です。 ※関東経済産業局ホームページURL http://www.kanto.meti.go.jp/seisaku/kankyo/recycle/22fy_voc_nw_investigation.html 5.3 VOC 対策事例集 (1)対策事例集について 『VOC 対策現場アドバイザー派遣サービス』において現場アドバイザーを派遣した事業所に おける VOC 対策事例を纏めたものである。 本事例集の目的は、多くの事業者が具体的な対策を検討するために、参考資料とすることで あり、昨年度は別冊としたが、今年度は報告書の第 5 章の中に収録した。 なお、アドバイス事項の実施状況を、実施済を●、未実施を○で示したが、設備が未完成で も既に発注している等近日中に実行される場合には●とした。 以下に、(2)収録事例と(3)アドバイス対策種類別一覧表を示す。 (2)収録事例 事例番号 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 事業所 業 種 A社 自動車板金 (埼玉県) 塗装 B社 自動車板金 (埼玉県) 塗装 C社 照明器具 (千葉県) 塗装 D社 セラミック部品 (千葉県) 製造 アドバイス要望事項 アドバイザーからの 対策提案事項例示 水性塗料使用時と従来の溶剤型 VOC 排出削減効果の大 塗料使用時での VOC 排出量の違 きい水性塗料の使用比率 いの確認 を高めること 低溶剤型塗料と水性塗料の VOC 排気フィルターの定期的メ 排出量の違いの確認 ンテナンス 具体的な VOC 対策の助言と対策 塗装作業の適正化と VOC 装置の紹介 含有物容器の密閉化 洗浄剤(塩化メチレン)の排出抑制 対策の助言 冷却水量の増量と部品配 列フレームに同伴する洗 浄剤の削減対策 E社 金属製品 洗浄剤(トリクロロエチレン及びジク 排気風量の低下及び一 (埼玉県) 製造 ロロメタン)の排出抑制対策の助言 部室内空気の屋外排気 F社 めっき及び 洗浄剤(トリクロロエチレン)の排出 各洗浄槽の 洗 浄方法最 (群馬県) 金属洗浄 抑制対策の助言 適化と洗浄物の事前脱脂 G社 樹脂凸版 洗浄剤(ジクロルメタン含有)の排 低 VOC 洗浄剤への変更 (埼玉県) 印刷 出抑制対策及び作業環境改善対 及び工場の給排気バラン 策の助言 スの改善 H社 樹脂部品 ホルムアルデヒドの室内環境濃度 発生源周辺の空隙縮小と (静岡県) 製造 を効果的に低減する対策の助言 空調送風向きの変更 I社 オフセット VOC排出源の特定とVOC排出抑 塗料、湿し水、洗浄剤の 制対策の助言 更なる低 VOC 化推進 有機溶剤取扱工程での VOC 排出 ローリー充填時の VOC 回 抑制対策の助言 収強化対策 (長野県) 印刷 J社 炭化水素系 (埼玉県) 溶剤製造 43 (3)VOC 対策種類別一覧表 区分 対策内容 特徴 風の 遮断 使用量 削減 排出量 削減 分野 適正 管理 事例 番号 作業 1.容器の密閉化 ● ● 塗装、溶剤 3,10 改善 2.塗料調合場所の塗料容器等の密閉化 ● ● 塗装 2,3 3.工程順序の変更 ● 4.廃ウェス容器等の密閉化 6 塗装、印刷 3,9 5 廃缶保管袋の密閉化 ● 塗装、印刷 3,9 6.発生源の密閉化 ● 洗浄、接着 4,8 7 装置接合部の密閉化 接着 8 8.装置の密閉化促進 接着 8 9.作業中断時の排気ファンの一時停止 洗浄 5 10.廃油置場の整理整頓 装置 11.塗装ブース排気フィルターのメンテナンス チ ェ 12.作業場の排気量の適正化 ック 洗浄 ● ● 13.効果の少ない洗浄工程の変更 ● ● ● ● 14.冷却コイル表面の錆、汚れ清掃 ● 15.過大なファン容量の低減 ● 印刷 7 ● 塗装 1,2 ● 塗装、接着 3,8 洗浄 6 ● 洗浄 5,6 洗浄、溶剤 5,10 16.建屋の給気、排気バランスの是正 ● 印刷、接着 7,8 17.建屋内の作業環境改善 ● 洗浄、接着、印刷 5,8,9 18.洗浄槽のフタのパッキン交換 ● 洗浄 6 19.洗浄カゴの下降速度増加 ● ● 洗浄 6 設備 20.洗浄カゴに仕切板取り付け ● ● 洗浄 6 改造 21.冷却能力の強化 ● ● 洗浄 6 22.冷却コイルの設置 ● ● 洗浄 4 23.冷却水配管のサイズアップ ● ● 洗浄 4 24.冷却水温度の低下 ● ● 洗浄 4 塗装 2 塗装 2,3 25.塗装ブース排気ダクトの構造改善 ● 26.塗装時のオーバーミスト防止対策 ● 27.治具の液切り促進のための孔開け 28.洗浄槽の 3 面にカバー設置」 ● 29.洗浄カゴの傾斜角度変更 ● ● 洗浄 4 ● ● 洗浄 6 ● ● 洗浄 6 30.局所排気装置の設置 代替 印刷 7,9 31..低 VOC 塗料への転換 ● ● 塗装 1 32.塗料の水性化 ● 塗装 1,2 33 低 VOC 資材への代替 ● 印刷 7,9 34 代替溶剤の検討 ● 洗浄、接着 4,8 処理 35 溶剤回収装置の検討 ● 洗浄、溶剤 4,10 装置 36.溶剤蒸留装置の検討 ● 37.VOC 吸着装置の検討 そ の 38.ダスト補足ネットの交換 他 39.洗浄物付着油分の事前除去 40.空調空気の吹出し方向の変更 ● 洗浄 6 ● 接着 8 ● ● ● 44 塗装 3 ● 洗浄 6 ● 接着 8 1.事業所 A 自動車板金塗装(塗装) 【1.事業所の基礎情報】 事業所の所在地 従業員数 認証取得状況 事業・製品・工程の概要 アドバイス希望内容 埼玉県 9名 資本金 800 万円 なし 1.自動車の板金塗装 2.自動車分解整備事業 3.新・中古自動車の販売及び付属品の販売 4.上記に付帯する一切の事業 水性塗料の導入を検討しているが、従来の溶剤型塗料使用時の VOC 排 出量との違い(VOC 削減効果)を定量的に確認したい。 【2.改善前の作業内容・設備等】 塗装工程 塗装方法 ブース 方式 手吹きスプレー、静電なし、エアー圧 2.3Kgf/cm2 ブース形式 乾式、フィルター付き、幅 4.8mX 高さ 2.85m、風量 22,000m3/分 色替え回数 1 日に 2 回程度 セッティンング工程 温度:常温 時間:約 15 分/回 換気;あり 乾燥工程 方式:熱風乾燥 温度:60℃ 時間: 90 分 排ガス処理:フィルタ ワーク ワーク 自動車のボディー、鉄、アルミ、樹脂 数量 1 日に自動車のドアパネル 2~4 枚ほど 塗料の種類 有機溶剤系 塗料シンナーの使用量、廃棄量 希釈シンナー 使用量 3 缶/月程度 器具洗浄シンナー(新液) 使用量 3 缶/月程度 廃溶剤 使用量 2 缶/月程度 廃棄物の処理状況 廃ウエス 産廃業者処理 【3.アドバイスを行った箇所とアドバイス内容】 この事業所は平成 21 年度の VOC 現場対策アドバイザーの派遣を受けており、アドバイザーか ら『低 VOC 塗料の検討』のアドバイスを行った。その後数社の水性塗料の導入を検討し、平成 23 年 2 月から水性塗料の導入を行った。 写真1 採用した水性インキ 45 写真 2 塗装ブース 写真 3 給気・排気装置 【4.VOC の削減効果】 導入した水性塗料で自動車ボディーの塗装中に、塗料ブースの排気ダクトの排気口で OPS 社 製ハンディーVOC センサーを用いて VOC を測定した。その結果、VOC(トルエン換算)濃度は約 10ppm であり、溶剤型塗料使用時(約 50ppm)に比べて約 5 分の1に減少していることを確認した。 なお、測定の際に排気フィルターを点検したが、特に問題は見られなかった。 写真 4 排気フィルター 【5.アドバイザーコメント】 1) 水性塗料の選択と実用性試用を行い、検討の結果ノンアルコールタイプの水性塗料を導入 された。その理由としては、各国各車の補修塗装のスペックに対応していることやクライアン トの品質要求に応えられることにある。特に、作業現場における現場改善として、VOC のよ うな塗装作業者に有害な化学物質の雰囲気から開放することが導入理由として大きなファ クターである。また、水性の場合静電現象が起きにくいため、補修塗装の最大クレームであ るゴミがつきにくいこともある。 2) 価格的には従来の溶剤系塗料の 30%アップであり、自動車保険会社への価格交渉は続 けているが、理解されるまでにはかなり時間がかかる状況にある。しかし、水性の導入を進 46 めてきたこともあり、企業イメージの向上からも環境重視に切り替えた行動を PR できること は大きい。 3) 塗装ブースにおいては、VOC 処理装置が高コストであることが最大の難題であり、実用施設 が現場に導入されるまでには、まだ時間がかかる状況である。これに対し、工程内対策であ る排出低減のための作業改善や低 VOC 塗料への代替などは導入しやすいテーマである。 4) このたびの自主的な取り組みとしては、代替塗料による実績効果は今のところ少ないが、 VOC 削減の主目的は達成できたものと判断する。これらの成果を補修塗装現場に浸透させ、 塗装業界へのステップアップとして評価されることを期待する。 【6.この事業者で既に行われていたこと】 平成 21 年度のアドバイスに従い、下記事項が実施されていた。 1)容器の密閉化 2)塗装ブース排気フィルターの定期的メンテナンス 3)スプレーガン用フックの取り付け 4)低 VOC 塗料の採用検討 47 2.事業所 B 自動車板金塗装(塗装) 【1.事業所の基礎情報】 事業所の所在地 従業員数 認証取得状況 事業・製品・工程の概要 アドバイス希望内容 埼玉県 10 名 資本金 1,000 万円 環境にやさしい自動車等事業場(平成 20 年受賞) 1.自動車車体整備業(自動車板金塗装、自動車分解整備) 2.損害保険代理業 ハイソリッド塗料、水性塗料を採用しているが、対策効果を定量的に把 握したい。その他工場全般について VOC の排出状況を測定し、改善対 策の助言が欲しい。 【2.改善前の作業内容・設備等】 塗装工程 塗装方法 ブース 方式 ブース形式 色替え回数 手吹きスプレー、静電なし、エアー圧 2.2Kgf/cm3 乾式、長さ 6.3m×幅 4.4m×高さ 2.6m、風量 330m3/分 1 日に 4~5 回程度 セッティンング工程 温度:常温、 時間:約 30~60 分/回、 換気;あり、 場所:ブース内 乾燥工程 方式:電気ヒーター乾燥、 温度:60~80℃、 時間: 40 分、 排ガス処理:フィルター ワーク ワーク 自動車のボディー、鉄、アルミ、樹脂 数量 1 日に自動車のドアパネル 12 枚ほど(4 枚×3 台) 塗料の種類 有機溶剤系(ハイソリッド)、水性塗料 塗料シンナーの使用量、廃棄量 塗料 使用量 30 缶/月程度(水性、ハイソリッド半々) 希釈シンナー 使用量 6 缶/月程度 器具洗浄シンナー(新液) 使用量 0 缶/月程度(リサイクルシンナー使用) 廃棄物の処理状況 廃溶剤 廃棄量 5kg/月程度(塗料商社) 廃塗料缶 廃棄量 5kg/月程度(産廃業者処理) 写真 1.水性塗料 写真 2.ハイソリッド塗料 48 写真 3 シンナー回収装置 写真 4.排気ファン 【3.アドバイスを行った箇所とアドバイス内容】 表 1 アドバイス内容一覧 (●は実施、○は未実施項目) (1)塗装ブース排気方法の改善 ○対策検討中 (2)フィルター目詰まりの改善 ●フィルター交換(メッシュの細かい粘着性フィルター採用) (3)オーバーミスト防止対策 ○対策検討中 (4)塗装ブースの換気改善 ●フィルター交換によりブース内の VOC 滞留減少 ( 5 ) 調 合 場 の VOC 低 減 対 策 ●シンナー等容器にキャップ取り付け (局所排気装置の設置が望ましい) ○局排装置は設備費が高いため、窓の開放で対応 写真 5.排気フィルター 写真 6.排気フィルター (2010 年 12 月時点) (2011 年 3 月更新) 写真 7.調合場(2010 年 12 月) 写真 8 調合場(2011 年 3 月) 49 【4.VOC の削減効果】 ◆排気フィルター更新の効果 *前回、溶剤型塗料と水性塗料とで具体的に VOC 量がどの位違うのかブース内及びダクト出口 で VOC 濃度を測定したが、今回はフィルター更新(写真 6 参照)の効果も確認する目的で前回 と同じ方法で VOC を測定した。 写真 9 水性塗装の様子 写真 10 塗装中の VOC 測定 表 2.VOC 測定結果 今回測定(2011.3.11) 前回測定(2010.12.18) 排気ガスフィルター 粘着性フィルター 非粘着性フィルター フィルター使用期間 更新後 1 週間 数ヶ月使用 VOC 測定場所 1)水性塗料ブース内 MAX AV MAX AV 4.3 4.0 13.4 12.6 2)水性塗料排気ダクト出口 49.7 48.1 55.7 54.6 3)溶剤型塗料ブース内 27.3 22.8 134 96.3 4)溶剤型料排気ダクト出口 113 102 270 261 5)同上(再測定) 141 133 - - *フィルター更新によりブース内、排気ダクト出口ともに VOC 濃度が低下している。 (VOC 濃度が 1/3~1/4 に低下) *水性塗料は溶剤型塗料(ハイソリッド塗料)に比べ、VOC 排出削減効果が大きい。 (VOC 濃度が 1/2~1/3 に低下) 50 ◆ 塗料調合場の VOC 対策 *塗料調合作業台上の塗料、シンナー等の容器にはキャップが取り付けられ、ふた閉めが徹底し ていた。(写真 8 参照) 表 3 調合場の VOC 測定結果 VOC(ppm) 調合台 水性塗料調合時 溶剤型塗料調合時 今回(2011.3.11)濃度 前回(2010.12.18.)濃度 MAX MAX AV 17.2 12.8 35.3 31.1 AV 9.6 9.1 - - *VOC 測定値は表 1 の通りで、容器のふた閉め並びに調合台上の整理整頓の効果と考えられ る。 【5.アドバイザーのコメント】 1)水性塗料の採用、従前からのハイソリッド塗料の採用により VOC 排出削減を実施しているが、 さらに塗装回数の削減、乾燥時間の短縮高性能水性塗料の採用による、作業効率の大幅向 上、VOC の排出削減を検討しており、前向きな姿勢を評価する。 2)フィルターの更新によって塗料ミストの捕獲力が向上し、目詰まりも解消して、大気への VOC 排 出が大幅に減少している。今後日常的な観察に基づくフィルター交換が重要である。 3)フィルター前の除塵効果を高めるために、粗フィルターへの粘着剤の塗布あるいは軽度なシャ ワー洗浄設置を推奨する。 4)排出塗料ダストおよび乾燥時の臭気対策についての検討を進めるとよい。 【6.この事業所ですでに行われていたこと】 1)低 VOC 塗料の採用(ハイソリッド塗料、水性塗料) 2)シンナー回収装置の設置 3)環境保全活動による関東運輸局長表彰「環境にやさしい自動車等事業場」を受賞 51 3.事業所 C 照明器具塗装(塗装) 【1.事業所の基礎情報】 事業所の所在地 従業員数 認証取得状況 事業・製品・工程の概要 アドバイス希望内容 千葉県 11 名 資本金 1,000 万円 なし 照明器具等の焼付塗装 具体的な VOC 排出抑制対策についてのアドバイスが欲しい。特に効果 的な対策機器について紹介して欲しい。 【2.塗装工程・設備等】 塗装工程 塗装工程の分類 (1)全長 150m塗装無人化ロボットライン (2)全長 15m、幅 1.5m スラットコンベアー式塗装ライン (3)長さ 3m、幅 2m、高さ 2m 金庫炉ライン (4)長さ 3m、幅 1.5m、高さ 2m 金庫炉ライン (5)粉体塗装機 4 台 方式 手吹きスプレー、低圧噴霧、静電あり ブース形式 乾式、水洗式 塗装方法 ブース 塗料の種類 有機溶剤系(ハイソリッド)塗料、粉体塗料 【3.アドバイスを行った箇所とアドバイス内容】 表 1 アドバイス内容一覧 (1)ドラム缶のフタ密閉化 (●は実施、○は未実施項目) ●塗料ドラム缶にフタをかぶせてあるが隙間から VOC が漏れ ているので、フタをきちんと閉めるようにした。(写真 2 参照) VOC 濃度低下を確認した。 (2)色あわせ調合場所の容器に フタ取り付け ○調合台に多数の塗料・シンナーが置いてあるが、フタをして いないので VOC が蒸発している。容器ごとにフタやキャップ を取り付け VOC の蒸発を防止する必要がある。 (3)ブース内塗料のオーバーミ ○ブースの排気風速の調整、水ブースの水位、塗着効率のよ スと対策=塗装工程の適正 い塗装作業のマニュアル化による適正な塗装等によって、 化と統一 オーバーミストをなくすとよい。 (4)廃棄塗料缶、スラッジ等から ○廃棄物からの VOC 室内放出をなくすため、それぞれの容 の VOC 蒸発防止(フタ閉め 器にフタをする。塗料缶はフタを閉め、ポリ袋等に入れで産 等) 廃事業者に出す。 (5)撹拌棒の密閉保管 ○シンナー液に浸けて室内保管している撹拌棒を、保管箱等 に密閉保管する。 (6)ダスト補足に効果的なネット の設置 ○ネットの目が細かいと塗料ミストで目詰まりするので、目が 粗くミストを捕捉するネットに交換する。 52 写真 1 ブース前塗料ドラム缶 写真 2 改善後の塗料ドラム缶 (フタとドラムの隙間からから溶剤臭がする。) (密閉蓋できちんと密閉された。) 写真 3 調色台の塗料缶 写真 4 調色台の塗料缶 写真 5 手吹き塗装ブース 写真 6 塗装作業 写真 7 廃液缶 写真 8 スラッジ 写真 9 スラッジ 写真 10 撹拌棒 (密閉していない) (密閉していない) 53 (溶剤に漬けた状態で保管) 【4.VOC の削減効果】 ◆塗料ドラム缶のフタ閉めの効果 表 2.VOC 測定結果 VOC 測定場所 1)ブース前塗料ドラム缶置き場 2)塗料調合台 3)ウェス容器の内部(フタなし) 4)水ブース前 今回測定(2011.2.23) 前回測定(2010.12.22) MAX AV MAX AV 9.6 8.8 37.6 37.0 15.3 15.0 18.6 18.0 100.0 98.5 - - 27.0 23.0 13.6 12.0 *表 2 の 1)に示すとおり、フタを閉めて VOC 濃度は 4 分の 1 に減少した。 *塗料調合台は対策未実施のため変化なし。 *ブース前の VOC は若干増加 *ウェス容器からの VOC 蒸発が多い。フタ付き容器の設置が望まれる。 【5.アドバイザーのコメント】 1)トルエンの管理濃度は 20ppm である。管理濃度を超える作業場所もあるので、VOC を含有する 塗料、シンナー、ウェス、スラッジ等の容器にはフタ閉めを励行することが大事である。 2)フル生産で環境対応が後回しになっているが、健康保持、塗料・シンナーのロス防止効果があ るので、簡単にできる対策から着手することが望まれる。 3)ミストキャッチに有効なネットや調色用ミキサー等を紹介したが、工業塗装高度化協議会が塗 装現場に適した VOC 対策立案し、効果をモデル工場で実測し、公開しているので、参考にする とよい。 【6.この事業所ですでに行われていたこと】 1)低 VOC 塗料の採用(ハイソリッド塗料) 54 4.事業所 D セラミック部品製造(洗浄) 【1.事業所の基礎情報】 事業所の所在地 従業員数 認証取得状況 事業・製品・工程の概 要 アドバイス希望内容 千葉県 100 名 資本金 300 百万円 ISO9001、 ISO14001 各種噴霧器、ノズル及びノズル応用製品の設計、製造、組立、輸出入及び 販売 セラミックノズル生産工程で有機溶剤を使用 <平成 21 年度に引き続きアドバイスを希望> 前年度の対策で有機溶剤(VOC)の排出量が減少したが、さらに削減する 方法がないかアドバイスが欲しい。 【2.改善前の作業内容・設備等】 洗浄工程 (洗浄後に脱脂工程、焼成工程と続く) 洗浄方式・洗浄槽 半自動式浸漬洗浄槽 2 台(1 台が常時稼動) 付属設備 ヒーター、治具の昇降機構、フタ、ドラフト、冷却ボックス(新設) 洗浄槽、洗浄条件 寸法 450mm×700mm、液温 20℃(前年より 5℃低下)、240 分 ワークの流し方 専用板に部品を並べ、専用治具に固定 ワークについて ワーク・除去物 セラミック製のノズル部品に含まれる樹脂を溶解除去するための洗浄。 外形が最大 10mm 程度の各種部品を専用治具にセットし、1ロット 5,000 個 程度を洗浄する。1日 10,000 個、10kg 程度。 洗浄剤の種類 ジクロロメタン(塩化メチレン) 洗浄剤の使用量 新液補充量 50 リットル/月程度 自社リサイクル 20 リットル/月程度 排ガス処理 局所排気装置 洗浄槽、脱脂炉 2 式のベーパーを 1 台で排気。フードの風速 1.3m/s。 廃棄物の処理状況 廃液 発生量 30 リットル/月。溶剤回収装置で自社リサイクル。 写真 1 洗浄槽と洗浄物収容フレーム 写真 2 洗浄終了後は洗浄槽にカバーを取り付け 55 写真 3 洗浄槽と脱脂炉の排気ダクト 写真 4 排気ファン(屋上) 【3.アドバイスを行った箇所とアドバイス内容】 表 1 アドバイス内容一覧 (1)冷却水温の低下 (2)冷却水量の増加 (3)冷却ジャケットの改造 (4)治具の液切り促進の ための孔開け (5)ワークを槽から取り出し 後は直ちにフタをするよ う作業者に徹底 (6)溶剤回収装置の設置 検討 写真 5 浸漬中の洗浄槽 (●は実施、○は未実施項目) ●チラー装置のポンプを更新し、20℃から 15℃に低下。 ○増量方法検討中。(大口径チューブへの変更、チューブ本数増加等) ○ジャケット型から冷却管に変更し、伝熱面積を増やす。(改造のため の生産停止の影響大、改造費用もかかるため見送り) ●治具の下部平面板を開孔し、液溜りを減らす。(昨年度実施済み) ○治具の上面も開孔し、更に液溜りを減らす。(設備稼働に余裕ができ たところで改造予定) ●限定された作業員に教育し、洗浄後のフタ閉め作業は徹底されてい る。 ○排気中の溶剤ベーパーを液化回収する装置の導入を検討。 (回収方式の選定を含め相談するメーカーを検討中) 写真 6 フレームの隙間から漏れる VOC を測定 (フレームがフタになっている) 56 写真 7 チラーから冷却水ジャケットへの通水チューブ(内径 6mmφ) (コックバルブがついているチューブが洗浄槽用冷却水チューブ) 【4.VOC の削減効果】 ◆昨年度実施した対策の効果 フレーム下段の孔開け、冷却ジャケットの設置効果を、洗浄槽の液面変化から算定した結果、 年間 40kg のロス削減効果が認められた。 年間消費量 1,900kg に対して 2.1%の削減効果に止まる。 ◆今年度実施した対策の効果 昨年度に比べ洗浄温度の低下、冷却水温度の低下を行った効果を洗浄液の減少量で測定し た。 表 2 1 回の洗浄での洗浄液の消費量 洗浄温度 洗浄液消費量 昨年度対策前 25℃ 3.4 リットル 今年度対策後 15℃ 2.5 リットル 対策効果 0.9 リットル減少 温度低下による洗浄液の消費(ロス)削減量: 作業ピーク時(1 日 2 回洗浄時) 0.9L×1.336×2 回/日×200 日/年=480kg/年 480kg の消費削減は PRTR 届出排出量 1,900kg/年の 25%に相当する大きな効果である。 【5.アドバイザーコメント】 ◆液温低下(25℃→20℃)、冷却水温度低下(20℃→15℃)の効果が定量的に把握でき、25%削 減という大きな効果を確認できた。データの精度を高めるためには、もう少し長期のデータで確 認にするとよい。 ◆ワークおよびワーク配列板に浸透した塩化メチレンが脱脂炉で気化、除去されるので、洗浄槽 から脱脂炉に同伴する塩化メチレン量を減少させる対策(フレームや配列板への孔開けや液浸 透性の少ない材質への変更等)を実施することが望ましい。 57 ◆洗浄槽からだけでなく脱脂炉からの溶剤ロスも相当多いと考えられるので、回収装置検討の場 合は両装置からの排ガスを回収対象として対策を進めるとよい。 ◆塩化メチレンの代替溶剤についても検討するとよい。 【6.この事業者で既に行われていたこと】 ◆洗浄溶剤温度の低下 溶剤の蒸発ロス削減のため溶剤温度を 25℃から 20℃へ低下 ◆治具の下部平面板の開孔(昨年度アドバイス) ◆浸漬槽上部に冷却ジャケットを設置(昨年度アドバイス) ◆洗浄中、洗浄後の浸漬槽のフタ閉め励行等の教育 58 5.事業所 E 金属製品製造(洗浄) 【1.事業所の基礎情報】 事業所の所在地 従業員数 認証取得状況 事業・製品・工程の概要 アドバイス希望内容 埼玉県 48 名 資本金 1,000 万円 なし 金属製品製造(自動車部品、石油燃焼機器部品、厨房部品) 工程(プレス加工、溶接、洗浄、塗装、組立、梱包、出荷) 脱脂洗浄槽からの VOC 排出量低減対策についてアドバイスが欲しい。 【2.改善前の作業内容・設備等】 洗浄工程 (塗装工程前の洗浄) 洗浄方式・洗浄槽 ベーパー洗浄、自動式 付属設備 電気ヒーター、冷水冷却装置(7℃)、排気装置 洗浄槽、洗浄条件 1槽式ベーパー洗浄、2,750mm×1,070mm、80℃、2.5 分 ワークの流し方 トロリーコンベア方式(ハンガー式) ワークについて ワーク・除去物 金属(ステンレス、鉄、真鍮、アルミ)部品のプレス加工油の脱脂 洗浄剤の種類 トリクロロエチレン(トリクレン) 洗浄剤の使用量 新液補充量 740 リットル/月程度 自社リサイクル なし 排ガス処理 なし 廃棄物の処理状況 廃液 発生量 1,000 リットル/年 写真1 写真 2 写真 3 写真 4 洗浄槽から出るワーク 洗浄槽から出たワーク ワークが槽横に移動 洗浄槽に沿って移動 (ワークから VOC が洗浄槽の外で蒸発) 59 【3.アドバイスを行った箇所とアドバイス内容】 表 1 アドバイス内容一覧 (1)排気ファンの吸引風量 の低下 (2)作業環境改善対策 (3)洗浄作業終了後の洗 浄剤のロス防止 (4)洗浄装置一時停止中 の洗浄剤ベーパーの 大気放出防止 (5)冷却管の表面清掃 (●は実施、○は未実施項目) ○ファンのモーターへのインバーター設置による風量調節を検討し たが、見積額が高額なため実施を断念した。 ●吸引ダクト途中に遮蔽板を設置して風量調節する。(近々実施予 定)(図 1) ○吸引用スリット位置を洗浄槽出口から離す。 ○洗浄槽出口周辺を囲み、排気ファンの余力で大気へ放出する。 ●洗浄槽出口周辺の空気をフレキシブルダクトで吸引し接続箱につ ないで大気に放出する。(近々実施予定)(図 1) ○洗浄槽内の洗浄液を洗浄剤タンク(新設)に移液するシステムを 見積り検討したが、見積額が高額なため実施を断念した。 ●作業終了後はファンを停止し、洗浄槽の入口部、出口部に空気の 流れを防止する簡易カバーをつける。 ●昼休み等作業中断時には排気ファンを停止し、洗浄剤のロスを防 止する。(ファン停止テストで効果を確認済み) ○冷却管表面の錆や汚れを清掃除去して伝熱効果(冷却効果)を高 める。(次回メンテナンス時に清掃の予定) 屋外に排気 遮蔽板 モーター 排気ファン 接続箱 洗浄槽 写真 5 洗浄槽出口部 室内からの吸気 フレキシブルダクト 図 1 遮蔽板とフレキシブルダクト 写真 6 接続箱 60 写真 7 冷却管 写真 8 吸引スリット(エアーカーテン) 【4.VOC の削減効果】 ◆今年度実施した対策の効果 アドバイザー期間中には対策が完了せず効果の測定ができなかったが、対策実施により、大 幅な VOC 排出削減が達成されると期待される。 【5.アドバイザーコメント】 ◆エアーカーテンが洗浄剤ベーパーの漏洩を遮断するのでなく、外部に吸引排出している状態で あることが判明し、解決策をアドバイスした。 ◆社外業者に見積依頼した結果、洗浄剤のロス防止効果に見合わない対策内容と見積金額であ ったので、簡易な対策で効果の大きい対策を再度アドバイスし、実行計画が確定した。 ◆対策後の削減効果を定量的に評価する仕組みの継続が望まれる。 【6.この事業者で既に行われていたこと】 ◆洗浄装置は当初シャワー洗浄後にベーパー洗浄する設備であったが、シャワー洗浄を 停止し、 VOC の排出を削減した。 ◎対策実施効果を平成 23 年度に測定し、アドバイスをお願いしたいので、アドバイザー派遣制度 を継続して欲しいと事業者から強い要望があった。 61 6.事業所 F めっき及び金属洗浄(洗浄) 【1.事業所の基礎情報】 事業所の所在地 従業員数 認証取得状況 事業・製品・工程の概要 アドバイス希望内容 群馬県 20 名 資本金 500 万円 なし 各種めっき処理、金属製品の洗浄 洗浄溶剤として使用しているトリクロロエチレンおよびジクロロメタン(塩化 メチレン)の排出削減対策についてアドバイスが欲しい。 【2.改善前の作業内容・設備等】 洗浄工程 洗浄方式・槽の数 付属機器 洗浄条件 超音波 ヒーター 蒸留器 フタ 排ガス処理 チラー温度 第1槽 第2槽 第3槽 第4槽 第5槽 ワークの流し方 ワークの汚れ 洗浄剤の種類 洗浄剤の使用量 新液補充量 自社リサイクル量 廃棄物の処理状況 廃液発生量 写真 1 第1工場 第 1 工場 第 2 工場 第 3 工場 手動式 1 槽 自動式 1 槽 自動式 5 槽 自動式 1 槽 (開放型) (密閉型) (密閉型) (密閉型) ○ ○(未使用) ○ ○ ○ ○ ○ ○ - ○ -(計画中) - ○(手動) ○ ○ ○ 局所排気 河川水温 10℃ 10℃ 10℃ 蒸気 液浴 蒸気→液浴 超音波 超音波 蒸気 超音波 蒸気 煮沸 - 超音波 - - - 蒸気 - - - 乾燥 - ス テ ン レ ス 製 ス テ ン レ ス 製 ステンレス製円筒、ステンレス カゴ 円筒 製カゴ 真鍮、ステンレス、アルミ材の切削加工油 トリクロロエチレン 塩化メチレン 4,000kg/年 - 500kg/年 1,000kg/年 - - 600L/年 200L/年 1,000L/年 実績少 写真 2 第 2 工場 15,000kg/年 写真 3 第 3 工場(5 槽) 62 写真 4 第 3 工場(1 槽) 【3.アドバイスを行った箇所とアドバイス内容】 表 1 アドバイス内容一覧 (●は実施、○は未実施項目) (1)手送り洗浄装置 ①洗浄槽の 3 面にカバー設置 ○カバー設置等について検討中(図 1) ②冷却管表面の錆除去 ○設備稼働に余裕ができたら清掃実施予定 (2)トリクロロエチレン自動洗浄装置 ③洗浄カゴに仕切り板取付け ○今後検討する(図 2) ④洗浄槽フタのパッキン交換 ●次回メンテナンスサービス時にパッキン交換予定 (3)5 槽式自動洗浄装置 ⑤槽上部の霧状態の解消 ●加熱管のスケール除去によって解決 ⑥平型洗浄カゴの傾斜度変更 ○構造的な検討を要す。(図 3) ⑦平型洗浄カゴの下降速度増 ●次回メンテナンスサービス時に予定 ⑧洗浄物の油分の事前除去 ○回転除去、予備洗浄等は今後の検討課題とする(図 4) ⑨丸型回転洗浄カゴの軽量化 ○強度的に穴あけ等の改造困難(写真 5) ⑩丸型回転洗浄カゴに仕切り ●一回り大きい洗浄カゴを試作し、これからテストを行う。(写真 6) 板取付け ○仕切り板取付けについては今後検討(③と共通) ⑪第 1 槽浸漬洗浄への変更 ●液浸漬洗浄への改造を実施する。 (4)1 槽式自動洗浄装置 ⑫超音波槽を常時冷却に改造 ○今後検討(2 回目訪問時のアドバイス) ⑬蒸留装置の設置 ○5 槽式洗浄装置用蒸留装置との共用につき今後検討(同上) 図 1 洗浄槽のカバー設置案 図 2 丸型回転洗浄カゴ改造案 図 3 平型洗浄カゴ傾斜方法案 図 4 事前油分除去対策案 写真 5 丸型回転洗浄カゴ 63 写真 6 丸型回転洗浄カゴ 右:サイズアップ試作品 左:現行回転カゴ 【4.VOC の削減効果】 ◆アドバイザー訪問の 1 回目と 2 回目の間が 1 ヶ月しかなかったため、VOC 排出抑制対策はメン テナンス時に実施予定のものあるいは検討中のものがほとんどであったため削減効果の定量 的測定はできなかった。 【5.アドバイザーコメント】 ◆洗浄液の蒸留回収装置の設置は、洗浄力の向上につながり、2 回洗浄の回避、洗浄液ロスの 削減等の効果が期待できる。 装置設計として考慮すべき事項を示すので、可能な範囲で織り込むことを奨める。 図 5 蒸留装置設計に関するアドバイス 【6.この事業者で自主的に行われていたこと】 ◆アドバイザーの 1 回目訪問の後、洗浄効果を高めるために、5 槽式自動洗浄機に洗浄液の蒸 留回収設備の新設を決定していた。 ◆5 槽式自動洗浄機の洗浄物出口で洗浄物に付着した洗浄液が蒸発して室内に拡散している状 態を改善するため、付着洗浄液乾燥対策を検討中であった。 64 7.事業所 G 樹脂凸版印刷(印刷) 【1.事業所の基礎情報】 事業所の所在地 従業員数 認証取得状況 事業・製品・工程の概要 アドバイス希望内容 埼玉県 30 名 資本金 4,800 万円 なし 樹脂凸版印刷 <平成 21 年度に引き続きアドバイスを希望> 前年度の対策で洗浄剤を低 VOC タイプに変更したので、その効果を確認 したい。また、さらに削減する方法がないかアドバイスが欲しい。 【2.改善前の作業内容・設備等】 印刷工程 印刷方法 乾燥工程 方式 乾燥温度 処理方法 印刷物について 印刷対象物 稼働率 印刷用資材(洗浄剤) 有機系洗浄剤(2種類) 印刷インキ UV インキ 乾燥炉の排ガス処理 局所排気装置 廃棄物の処理状況 廃ウェス 廃インキ(残肉) 方式 ユニット数 樹脂凸版印刷 1 台で 5 ユニット 紫外線 ランプ 約 200℃ 本体 約 70℃ 一色(1ユニット)ごとに乾燥 材質 紙 形状 幅 400mm × 長さ 12m 程度まで 印刷速度 150 m/分 印刷数量 40,000 m/日 1日 5 時間程度 1 ヶ月 20 日程度 使用量 400 缶/月程度 印刷ユニットごとの乾燥炉排気をダクトで集合し屋外へ排気 発生量 2 回/月 産廃業者処理 発生量 5 kg/月 【3.アドバイスを行った箇所とアドバイス内容】 *第 2 工場、第 3 工場の印刷機及びウェス容器等の各所をチェック。 写真 1 天井からの排気確認 写真 2 印刷版洗浄時の VOC 測定 65 写真 3 UV 乾燥炉の局所排気装置 写真 4 ウェス容器と洗浄ブラシ容器 写真 5 廃インキ缶 (フタ閉止良好) (フタ密閉良好) 表 1 アドバイス内容一覧 (1)建屋の給排気バランス の是正 (2)洗浄剤の低 VOC 化 (●は実施、○は未実施項目) ○第 2 工場の是正対策の見積徴集まで実施。実施時期検討中。 (第 3 工場の給排気バランスは良好) ●2 種類の洗浄剤のうち1種類(主成分トリメチルベンゼン)は低 VOC タ イプに変更(昨年度実施) ○残る1種類の洗浄剤(主成分ジクロロメタン)の低 VOC 化は今後の課 題(今後代替品テスト実施予定) (3)第 3 工場内の廃油置場 の整理整頓清掃 ●廃油ドラム上に放置してあったウェス等が片付けられ、きちんと整理 整頓されている。(写真 7 参照) 写真 6 ドラム置場(是正前) 写真 7 ドラム置場(是正後) 第2工場のVOC濃度 【4.VOC の削減効果】 測定データを、第 2 工場の例で示す。 印刷工程の各所での VOC は低レ ベルを維持又は若干改善している。 ウェス容器のフタを開けて測定し た結果では、VOC 濃度が 2 分の 1 以下になっており、1 種類の洗浄剤 を変更した効果が現われている。 600 500 400 300 200 100 0 平成21年度 平成22年度 基 工 準点 場 印 中央 刷 イ 機 ン キ イ 横 ン ンキ グ ロ 壷 ウ ェ ウ ーラ ス ェ ー 容 ス 器 置 印 (フ 場 刷 タ 版 開 洗 ) 浄 時 ◆昨年度と今年度の工場内の VOC 図 1 第 2 工場の VOC 濃度 66 ◆洗浄剤変更によるトリメチルベンゼン排出量の削減効果 ・当該洗浄剤の年間使用量 300kg ・従来品のトリメチルベンゼン含量(50%) 150kg ・代替品のトリメチルベンゼン含量( 2%) 6kg ・トリメチルベンゼン排出削減量 144kg (96%削減) 【5.アドバイザーコメント】 ◆VOC の排出抑制管理は概ね良好である。ロールや印刷版洗浄時に一時的に VOC が高濃度に なっているので、これに対する対策実施が望まれる。 ◆低 VOC 洗浄剤を、日本印刷産業連合会のホームページで紹介しているので、該当品を選定し て、代替テストを行うことを推奨する。 ◆第 2 工場のエアバランス是正対策がまとめられているので、早期実行を期待する。 【6.この事業者で既に行われていたこと】 ◆一部洗浄剤の代替(低 VOC 化) ◆5S 活動推進(容器等の色分と表示、置場・通路の明示、廃ウェス、洗浄液、洗浄用ブラシ、イン キ残肉等の容器のフタ閉めの励行他) 67 8.事業所 H 樹脂部品製造(接着) 【1.事業所の基礎情報】 事業所の所在地 従業員数 認証取得状況 事業・製品・工程の概要 アドバイス希望内容 静岡県 200 名 資本金 200 百万円 なし 樹脂部品製造 樹脂部品製造工程から発散するホルムアルデヒドの具体的な排出抑制 対策についてのアドバイスが欲しい。 【2.改善前の作業内容・設備等】 工程・設備の概要 設備・装置 設備稼働状況 VOC排出状況 ・繊維性素材を「樹脂に浸して含浸させ、加熱炉に通して樹脂部品を製造する。 ・樹脂調合場には局所排気装置設置。 ・加熱炉は電気またはガス加熱。いずれも排気装置付き。 ・稼働時間 約 10 時間/日 ・樹脂調合作業場および生産ラインにおいて局所排気装置を設置して屋外に排気 しており、発散源の囲い込み、フタ等の発生源対策を実施しているが、室内環境 のホルムアルデヒド濃度を自社目標値まで低減させたい。 VOCの種類 用途 樹脂部品製造時の接着剤として使用 主な成分 ホルムアルデヒド、ジクロロメタン、酢酸エチル 使用量・排出量・移動量など 対象物質 ホルムアルデヒド 使用量 100 リットル/月程度 大気排出量 55kg/月程度 回収量 - 移動量 600kg/年程度 排ガス処理 全体換気、局所排気装置(フードの風速 0.3m/s) 廃棄物の処理状況 廃溶剤 発生量 2,600kg/月程度(産廃業者処理) ホルムアルデヒドを含む廃液 廃棄量 108 トン/年程度(産廃業者処理) 廃ウェス 発生量 少量(産廃業者処理) 【3.アドバイスを行った箇所とアドバイス内容】 アドバイスの対象をホルムアルデヒドの漏洩、拡散防止に絞った。アドバイス対象工程は次の とおりである。 ①樹脂調合室 ②樹脂繊維加工工程 ③樹脂繊維成型工程 ④樹脂成型工程および一時保管室 68 表 1 アドバイス内容一覧 工程 アドバイス項目 発生源の隔離と局所排気 ① 給気、排気のバランス調整 ② ③ 局所排気のフード未設置部分から の拡散防止 成型機からの漏れ防止(成型機の 局所排気(囲い式フード)の吸い込 み力増強) ④ 製品保管室からの漏れ防止(天井 排気の効力発揮) 天井からの空調吹き出し風の影響 防止(空調からの強い吹き降ろし風 で成型機付近の空気が乱れホルム アルデヒドを拡散している。) (●は実施、○は未実施項目) アドバイス詳細 ●発生源をパーティションで区切り、秤量・撹拌等 の手作業場所には局所排気フードを設置し、部 屋を負圧にして室外への漏洩も防止している。 (写真1参照) ●給気口設置により局所排気の吸い込みがよくな って室内濃度が低下した。 ○乾燥ラック部の濃度低下対策が望まれる。 ●オープンであった部分を透明シートで囲い局所 排気で排出して室内への拡散を防止した。(写 真 2~3 参照) ○排気ダクトのダンパー開度を調整し、吸い込み 風量を増す。 ○囲い式フード下部の開口面を縮小し、成型機外 からの吸い込み量を減らす。 ○製品保管室の下方から天井への空気流をつく るように引き戸上部の開口部をロールカーテン 等で遮断する。 ●ネットを張って空気の流れを弱める。(実施した が効果がなかった。網目が粗すぎたか?) ○遮蔽板で空調空気の流れ方向を変える。(フー ドやブースに直接強い風を当てないようにする) 写真 1 撹拌槽の密閉化と排気ダクト 写真 2 透明シートの囲い 写真 3 透明シートの囲い 69 【4.VOC の削減効果】 対策実施前後のホルムアルデヒド濃度の測定結果の一例を表 2 に示す。 表2 ホルムアルデヒド濃度測定結果の一例 測定場所 前回測定(2010 年 12 月) 今回測定(2011 年 3 月) 樹脂繊維加工工程 棚付近 0.8ppm 0.25ppm 樹脂繊維加工密閉作業室の室外 3.0ppm 0.12ppm 成型機と製品保管室間の通路 1.2ppm 0.3ppm また、この事業所が定期的に実施している職場環境濃度測定データを今回の対策実施前後で 比較し、表 3 に示す。 表 3 からも、今回対策によるホルムアルデヒドの作業環境漏えい防止効果が顕著であることが わかる。 表 3 ホルムアルデヒド濃度測定結果 測定場所 樹脂調合室 主な対策 撹拌時フタ取り付け、近傍に 排気ダクト設置 単位:ppm H22/7 H23/1 対策前 対策後 0.16 0.035 樹脂調合室外側近傍のフロア 調合室の密閉、外気給気 0.29 0.13 樹脂繊維加工工程 撹拌時ダクト付フタ取り付け 5.2 0.064 樹脂繊維加工工程側フロア (生産ラインからの漏れ減少) 0.25 0.11 樹脂繊維成型工程(系列間) 透明シートによるカバー強化 0.17 0.21 樹脂繊維成型工程フロア (カバー強化による漏れ減少) 0.17 0.12 (データ出典:アドバイザー訪問事業者からの提供) 【5.アドバイザーのコメント】 1)積極的な対策実施により、作業環境を著しく改善でき喜ばしい。 2)3 月時点で未実施の事項については、今後順次実施されたい。 3)法令順守を最終目的とするのでなく、さらなる職場環境の向上を目指して自主的に対策を進め ていただきたい。 4)将来的にはホルムアルデヒドより有害性の低い代替物質へ転換されることを期待する。 【6.この事業所ですでに行われていたこと】 前年度のアドバイスに基づき下記を実施 1)撹拌機の密閉化と局所排気設備の増設 2)工程途中の開口部への囲いカバー増設 3)各種容器の密閉化 70 9.事業所 I オフセット印刷(印刷) 【1.事業所の基礎情報】 事業所の所在地 従業員数 認証取得状況 事業・製品・工程の概要 アドバイス希望内容 長野県 80 名 資本金 2,000 万円 ISO9001、グリーンプリンティング認定(2009 年 12 月取得) 印刷に関する一切の業務(雑誌書籍印刷・商業美術印刷等) VOC 測定方法および VOC 削減方法についてアドバイスして欲しい。 【2.改善前の作業内容・設備等】 印刷工程 印刷方法 乾燥工程 方式 乾燥温度 処理方法 印刷物について 印刷対象物 方式 ユニット数 オフセット印刷 11 ユニット(4 色×2 機、2 色×1 機、1 色×1 機) 自然乾燥(酸化重合型) 室温 なし 材質 紙 形状 幅 880mm × 長さ 625mm 程度まで 印刷速度 10,000 枚/時 印刷数量 130,000 枚/日程度 稼働率 1日 8 時間程度 1 ヶ月 23 日程度 インキ/希釈溶剤/IPA 等の使用料 有機溶剤系インキ 使用量 300 kg/月程度 希釈溶剤(H 液) 使用量 50 リットル/月程度 湿し水用 IPA 使用量 20 リットル/月程度 洗浄液 使用量 200 リットル/月程度 廃棄物の処理状況 廃ウェス 発生量 10kg/月 (業者リサイクル) 廃溶剤 発生量 40 リットル/月 (産廃業者処理) 廃インキ(残肉) 発生量 50kg/月 【3.アドバイスを行った箇所とアドバイス内容】 ◆印刷工場内の印刷機各ユニットとその周辺及びウェス容器等の各所をチェック。 写真 1 4 色印刷機 写真 2 印刷時の VOC 測定 71 写真 3 湿し水容器の VOC 測定 ◆オフセット印刷の VOC 対策全体図に沿った改善事項アドバイス VOC 排出源と対策 作業改善 ◎ グリーン購入 ◎ ◎ インキ 大豆油インキ 実施中対策 今後の実施課題 ◎ 洗油容器 低 VOC 製品への転換 ノン VOC インキ 密封化 ◎ 植物系へ転換 廃棄物置場 ◎ 自動供給 UV インキ 廃ウェス・残肉容器 インキ粘度検討課題 手元ウェスの密閉保管 オフセット ◎ 枚葉印刷 布洗浄装置 IPA レス ダンプニング装置 ◎ 水なし印刷 含浸布 エマルジョン系炭化水素溶剤 エチレングリコール IPA 5%以下 石油系混合溶剤 低 VOC・植物系 塩素系 H液 水・植物系 湿し水 図1 洗浄剤 オフセット印刷の VOC 排出源と対策 図1を基に実施済み事項、今後の検討課題を整理した。 この工場で既に実施中の VOC 対策を図中 で示した。 低 VOC インキの採用、IPA レス湿し水の採用、廃棄物管理等については既に取り組んでいる。 また、今年から水なし印刷も開始している。 今後さらに実施することが望ましい対策を で示した。 低 VOC インキは 10~30%の VOC を含有しているので、大量印刷する場合のインキからの VOC 発生はかなりの量になる。ノン VOC インキの採用が今後の検討課題といえる。 湿し水でもノン VOC 湿し水への転換が望ましい。IPA レス湿し水は IPA の代わりにエーテル類 やアルコール類を使用しており VOC の含有率が高い。 洗浄剤では石油系混合溶剤からエマルジョン系炭化水素溶剤への転換、含浸布の採用が今 後の検討課題である。 72 ◆前回訪問時にアドバイスした改善事項(表1)の進捗状況を確認 表 1 アドバイス内容一覧 (1)室内換気の改善 全体換気および局所 (●は実施、○は未実施項目) ●室内の湿度保持見合いで換気扇 1 台常時稼動 ○局所排気システム、工場全体の調湿システムは設備投資額が大きく 排気 実施困難。 ●部分的局所排気対策を検討中 (2)洗浄剤、湿し水の 低 VOC 化 ●2色機は水なし印刷に移行し、湿し水の利用停止 ●低 VOC 湿し水を調査・検討し、nonVOC 湿し水を4色機でテスト予定 ○今後低 VOC 洗浄剤(エマルジョン洗浄剤)についても検討 (3)ウェス容器のフタ閉め の励行 (4)廃棄物倉庫内使用済み ●各印刷機のウェス容器はフタ閉実施 ○作業手元の使用ウェス保管用フタ付き容器の手配と利用徹底 ●プラスチック袋に入れ密封実施 洗浄布の密閉化 写真 4 ウェス容器(是正前) 写真 6 洗浄布からの VOC 測定 写真 5 ウェス容器(是正後) 写真 7 密封した使用済み洗浄布 73 【4.VOC の削減効果】 ◆水なし印刷による VOC 濃度の低下 水有り印刷(前回 2 月)時の印刷工程の VOC 濃度と水なし印刷(今回 3 月)時の VOC 濃度を 図 2 に示す。 インキ壷や工場入口の VOC 濃度が今回のほうが高いのは、今回は大ロット印刷が続き、長時 間連続印刷したためにインキからの VOC 発生が多かったためと考えられる。インキングローラー の VOC は前回の 460ppm に対し今回は 200ppm と 60%減少している。これは湿し水を使わない 分の VOC の使用がなくなったためであり、水なし印刷の VOC 削減効果である。 500 400 300 200 100 0 水有り 水なし 会 議 工 室 場 入 口 印 刷 イ ン 機 キ イ ン ユニ キ ッ ン ト間 グ ロ 印 刷 ーラ 機 ー デ リ バ リ VOC(ppm) 水なし印刷の効果 ◆水なし印刷による VOC 排出削減効果 当該印刷機での従来の湿し水使用量は年間約 250 リットルであり、湿し水の VOC 含量は約 80%であるから、VOC 排出削減量は年間 200 リットルになる。 なお、今後 4 色機の湿し水を nonVOC 型に変更するとさらに年間約 200 リットルの削減効果が 見込まれる。 【5.アドバイザーコメント】 ◆VOC 削減に対する意識が高く、前向きな取組を評価する。 ◆水なし印刷の VOC 削減効果が確認できた。 ◆テストを予定しているnonVOC 湿し水への転換を進めることを期待する。 ◆低 VOC 洗浄剤を、日本印刷産業連合会のホームページで紹介しているので、該当品を選定し て、代替テストを行うことを推奨する。 ◆インキも低 VOC インキに転換すると VOC 削減効果が大きい。 ◆実施可能なところは局所排気を行うとよい。 ◆容器のフタ閉めを作業手元のウェスも対象に実施するとよい。 74 【6.この事業者で既に行われていたこと】 ◆水なし印刷の採用検討 ◆VOC レス湿し水の採用検討 ◆低 IPA 湿し水の採用、ノン IPA 湿し水の採用 ◆グリーンプリンティングの認定取得 ◎事業者から、さらなる対策を実行するので 6 ヶ月後に対策効果の測定とアドバイスの実施を強く 要望された。 75 10.事業所 J 炭化水素系溶剤製造(混合、充填) 【1.事業所の基礎情報】 事業所の所在地 従業員数 認証取得状況 事業・製品・工程の概要 アドバイス希望内容 埼玉県 165 名 資本金 729 百万円 ISO9001、ISO14001 各種溶剤の製造販売 工程(有機溶剤を混合タンクに注入し、撹拌後容器に充填、品質検査後製 品として出荷) 費用対効果のある VOC の回収方法や、細かな改善についてアドバイスし て欲しい。 【2.改善前の作業内容・設備等】 工程設備の概略 設備・装置 工程 NO.1 容器 石油缶、4L 缶 NO.2 NO.3 NO.4 ローリー 石油缶、ドラム 石油缶、ドラム 1000L 容器 石油缶、ドラム NO.5 設備稼働状況 VOC の排出状況 VOC の種類 用途 主な成分 使用量、排出量、廃棄量 使用量 大気排出量 リサイクル量 廃棄量 排ガス処理 処理方法 特記事項 廃棄物の処理状況 廃溶剤 廃ウェス 充填機 自動計量配合充填機、 2 連式充填機 ローリー充填設備 6 連式&半自動充填機 3 連式&半自動充填機、 自動計量配合充填機 5,3 連式&自動充填機 連続、稼働時間 9 時間/日 ローリー出荷における、窒素パージ時の排出が全体の約 40%を占める。 平成 22 年 8 月に新出荷ラインに排ガス回収装置を設置したので大幅な改 善が見込まれる。 次いで NO.4 ラインでは窒素を使用した撹拌およびパージによる VOC 排出 が全体の 30%以上あると考えている。 シンナーの製造 トルエン、キシレン、イソプロピルアルコール、酢酸エチル 10,000 キロリットル/月程度 16 トン/月(192 トン/年)程度 40 トン/月程度 50 トン/年程度 全体換気、局所換気装置(各充填場所) ローリー充填所:排ガス冷却回収装置を設置 地下貯蔵タンク:すべてのタンクにベーパーリカバリー装置を設置 4 トン/月(約 50 トン/年)程度(産廃業者処理) 120kg/月(1.4 トン/年)程度(産廃業者処理) 76 ◆現場の状況 ・原料受入時のタンクベントとロ ーリーのベントの接続良好 ・タンクベントでのベーパー回収 良好 写真 1 地下タンクベントライン 写真 3 石油缶充填装置 写真 2 ベーパー回収装置 写真 4 石油缶充填装置 写真 5 石油缶充填装置(拡大) ・石油缶自動充填装置には充填口に局所排気設備あり。良好 写真 6 ドラム充填装置 写真 7 屋上の排気口 ・ドラム自動充填装置には充填口 ・局所排気ダクトは集合され屋上から排気 に局所排気設備あり。良好 (VOC 濃度トルエン換算 42ppm) ・ハッチ部を局所 排気しているが 周辺にも VOC が 拡散している。 写真 8 ローリー出荷場 写真 9 ローリー充填 77 写真 10 充填中のローリーハッチ付近 ベントガス冷却装置 写真 11 ローリーベントの排出口 写真 12 ベントガス冷却装置 写真 13 回収受槽 ・ローリー充填時のベーパー回収設備が完備しているが、ベントから 2,400ppm の VOC が 検出された。 【3.アドバイスを行った箇所とアドバイス内容】 現場診断の結果、VOC 排出抑制対策は概ね良好であったが、自主的取組としてさらに実施が 望ましい点を表1に示す。 表1 アドバイス内容一覧 (1)ローリー充填時のベー パー回収強化 (2)局所排気ガスからの VOC 回収 (3)石油缶充填作業切替 時の作業環境改善 (4)出荷ローリー車上での 作業環境改善 (●は実施、○は未実施項目) ○液回収後のベントの VOC は高濃度で、風量も大きいので、作業 方法の改善(風量調整、冷却強化、窒素パージ方法の見直し等) を行い、VOC の排出を削減する。 ●風量を調整することにより、ベントからの VOC が 100~300ppm に 削減された。 ○局所排気の中で高濃度 VOC を大量に排出する溶剤調合槽の排 ガスからの VOC 回収を行う。 ●平成 23 年度に自動計量配合充填機を 3 台増設する予定となって おり、これにより混合槽の使用割合が減り、VOC 排出が削減す る。 ○開口した空き石油缶利用をやめ、ペール缶等フタができる缶に洗 浄液を受け、作業後すぐにフタを閉めるようにする。 ●開口部の極力少ない石油缶を作成手配した。 ○溶剤を手作業で扱う場合には安全マスクを着用する。 ●ローリー車上でハッチを開放して作業を行うときは、安全マスクを 着用することとした。 【4.VOC の削減効果】 ◆ローリー充填設備において、排ガス回収装置の風量調整を行うことにより、調整前と後では 78 VOC が約 10 分の1に削減された。 また、将来においては混合槽の使用割合を減らすことにより、VOC の大幅な排出削減が見込 まれる。 【5.アドバイザーコメント】 ◆総じて VOC 排出削減対策および作業環境改善対策がよく実施されている。 ◆VOC の排出の多いローリー充填場と溶剤混合槽に対する排出抑制対策を優先実施しており、 自主的取組をきちっと実践している。 ◆VOC 回収装置には、吸着分離、膜分離、圧縮深冷分離等がある。対象溶剤や工程の条件に適 した回収装置を検討するとよい。 ◆タンクローリー内のベーパー回収装置は、ガソリンスタンド用が上市された。 さまざまな溶剤に適用できる回収装置は未開発であり、今後の進展が待たれるところである。 ◆VOC 対策の自主的取組においては、自社で目標設定して推進するのが基本である。 塗装、印刷、洗浄等のユーザー業界では非石油系溶剤への代替を進めているので、取り扱い 製品多様化の検討をお奨めする。 【6.この事業者で既に行われていたこと】 ◆すべての貯蔵タンクベントラインでのベーパー回収装置の設置 ◆すべての貯蔵タンクベントラインのローリーベントラインへの接続口の設置 ◆ローリー充填時に押し出されるベーパーの冷却回収装置の設置 ◆ドラム充填、石油缶充填の液注入口からのベーパー局所排気装置の設置 79 M E M O 平成22年度中小企業等産業公害防止対策調査 関東経済産業局管内における揮発性有機化合物(VOC) の排出抑制のためのネットワーク形成に関する調査報告書 [ 抜 粋 ] 【VOC対策事例集】 平成24年1月 発 行 経済産業省関東経済産業局 〒330-9715 埼玉県さいたま市中央区新都心1-1 電話:048-600-0291 FAX:048-601-1290 URL http://www.kanto.meti.go.jp/