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B-4 能動型と受動型リモートセンサーの複合利用による大気汚染
B-19-i 課題名 B-4 能動型と受動型リモートセンサーの複合利用による大気汚染エアロゾル と雲の気候影響研究 課題代表者名 中島映至(東京大学気候システム研究センター) 研究期間 平 成 14- 18年 度 合計予算額 355,150千 円 ( う ち 18年 度 65,936千 円 ) 研究体制 (1)雲レーダによる雲観測手法高度化とシナジーアルゴリズムの研究 ・雲レーダ観測手法の高度化の研究(独立行政法人情報通信研究機構) ・雲レーダ・ライダーシナジーアルゴリズムに関する研究(東北大学) ・雲レーダ地上観測システムの高度化の研究(千葉大学) (2)高スペクトル分解ライダー等による雲・エアロゾル観測技術の研究 ・ライダーによる雲・エアロゾル観測技術の研究(独立行政法人国立環境研究所) ・近紫外線高スペクトル分解能ライダーに関する研究(福井大学) (3)衛星データとモデルによる雲・エアロゾルの研究(東京大学) 1) 可 視 ・ 赤 外 イ メ ー ジ ャ ー 及 び フ ー リ エ 型 分 光 放 射 計 に よ る 雲 ・ 大 気 推 定 の 研 究 ( 東 京 大 学 ) 2) 可 視 ・ 赤 外 イ メ ー ジ ャ ー に よ る エ ア ロ ゾ ル の 推 定 の 研 究 ( 独 立 行 政 法 人 国 立 環 境 研 究 所 ) 3) 気 候 モ デ ル に よ る 雲 ・ エ ア ロ ゾ ル 相 互 作 用 と 雲 形 成 の 研 究 ( 東 京 大 学 ) 研究概要 1.序(研究背景等) 気 候 変 動 に 関 す る 政 府 間 パ ネ ル ( IPCC) の 第 3 次 レ ポ ー ト で も 結 論 さ れ た よ う に 、 過 去 150年 間 の 気 候 変 動 要 因 が 作 り 出 す 大 気 上 端 で の 放 射 強 制 力 の う ち 、大 き な 不 確 定 性 を 持 つ も の は 人 為 起 源 エ ア ロ ゾ ル に よ る 直 接 お よ び 間 接 効 果 に よ る も の で あ る 。特 に エ ア ロ ゾ ル が 雲 場 を 変 化 さ せ る 間 接 効 果 の 評 価 に は 全 く 手 が つ い て い な い の が 現 状 で あ る 。 一 次 の 間 接 効 果 の 大 き さ で さ え 0~ -2W/m 2 の 範 囲 で し か 明 ら か に な っ て い な い 。 人 為 起 源 温 室 効 果 ガ ス に よ る 放 射 強 制 は +2.5W/m 2 程 度 で あ る こ と か ら 、上 の 事 実 は 、人 為 起 源 エ ア ロ ゾ ル の 気 候 影 響 は ほ と ん ど 無 視 で き る の か 、あ る い は 温 室 効果をほとんど相殺するほどの効果があるのかもわかっていないことを意味する。どちらの場合 も 、我 々 の 地 球 温 暖 化 モ デ ル を 大 き く 変 え る 必 要 が あ る 。一 方 、 モ デ ル に よ る 雲 自 体 の 再 現 能 力 も 現 時 点 で は 十 分 で は な く 、 IPCCの 第 2 次 レ ポ ー ト( 1996)の 時 点 か ら 温 暖 化 に 伴 う 雲 変 化 が 作 る 放 射 強 制 力 の 評 価 に お け る 不 確 定 性 は 縮 ま っ て い な い 。地 球 温 暖 化 研 究 に お い て 既 に 多 く の 研 究 投 資 が 行 わ れ て き た に も 拘 わ ら ず こ の よ う な 状 況 に あ る と 言 う こ と は 、従 来 の 延 長 で は な く 、ブ レ ー ク ス ル ー を も た ら す 研 究 が 必 要 で あ る こ と を 意 味 す る 。 ACECAP (Aerosol and Cloud Environmental studies with Combined Active and Passive sensors) と 名 付 け ら れ た 本 研 究 で は 、 こ の よ う な 事 態 を 打 開 す る た め に 、従 来 用 い ら れ て き た 受 動 型 セ ン サ ー に 加 え 、画 期 的 な 能 動 型 セ ン サ ー を 用 い る大気環境監視に関する研究を提案する。 2.研究目的 本 研 究 の 最 終 目 的 は 、雲 自 体 が 作 り 出 す 放 射 強 制 お よ び 、人 為 起 源 エ ア ロ ゾ ル が 間 接 ・ 直 接 に 引 き 起 こ す 放 射 強 制 の 大 き さ を よ り 正 確 に 評 価 す る こ と で あ る 。そ の た め に 、能 動 型 セ ン サ ー で あ る 高 感 度 ド ッ プ ラ ー 雲 レ ー ダ ー と 近 紫 外 波 長 の 高 分 解 能 ス ペ ク ト ル ラ イ ダ ー を 、受 動 セ ン サ ー で あ る 可 視 ・ 赤 外 イ メ ジ ャ ー と フ ー リ エ 型 分 光 放 射 計 に 組 み 合 わ せ た 新 し い 環 境 監 視 手 法 を 確 立 す る 。こ の よ う な 新 し い 監 視 シ ス テ ム の 地 上 設 置 型 お よ び 航 空 機 搭 載 型 を 開 発 し て 、雲 と エ ア ロ ゾ ル 層 の 三 次 元 構 造 と 微 物 理 構 造 の 観 測 を 行 う 。さ ら に そ の 知 見 を 利 用 し て 衛 星 搭 載 シ ス テ ム の 設 計 ・ 評 価 を 行 う 。こ こ で 提 案 す る 雲 レ ー ダ ー は 波 長 3 ミ リ の ミ リ 波 を 利 用 す る も の で あ り 、高 分 解 能 ス ペ ク ト ル ラ イ ダ ー は 近 紫 外 波 長 で の ミ ー 散 乱 と 分 子 散 乱 を 個 別 に 測 定 す る こ と が で き る 。こ れ ら の セ ン サ ー の 投 入 は 、雲 研 究 と エ ア ロ ゾ ル の 直 接 、間 接 効 果 の 研 究 に 画 期 的 な 知 見 を も た ら す こ と が 期 待 さ れる。 こ の よ う な 新 し い 手 法 に よ っ て 、雲 と エ ア ロ ゾ ル 層 の 微 物 理 特 性 を 水 平 方 向 お よ び 鉛 直 方 向 に 詳 B-19-ii 細 に 測 定 す る 。 こ の デ ー タ を 気 候 モ デ ル と 組 み 合 わ せ る こ と に よ っ て 、 0.2W/m2程 度 の 精 度 で 人 為 起源エアロゾルが引き起こす放射強制を推定する。 B-19-iii 3.研究の方法及び結果 (1)雲レーダーによる雲観測手法高度化とシナジーアルゴリズムの研究 (独立行政法人情報通信研究機構、東北大学、千葉大学) 地球放射収支を通して気候変動に大きな影響を与えるとして雲およびエアロゾルは近年非常に 注 目 さ れ て い る 。こ の 気 候 変 動 予 測 の キ ー と な る 雲 を 、そ の 高 さ 構 造 も 含 め て 精 度 よ く 観 測 で き る 手法の開発が本サブテーマの目的である。そこで本研究では、ミリ波を使った雲レーダを開発し、 さ ら に そ の 観 測 手 法 や 解 析 手 法 も 併 せ て 開 発 し た 。ミ リ 波 雲 レ ー ダ に つ い て は 、パ ル ス 方 式 の 航 空 機 搭 載 型 雲 レ ー ダ (SPIDER)と 本 プ ロ ジ ェ ク ト で 開 発 し た FMCW方 式 雲 レ ー ダ (FALCON)を 用 い た 。特 に FMCW方 式 雲 レ ー ダ は 、2ア ン テ ナ 方 式 の FALCON- Iお よ び 1ア ン テ ナ 方 式 の FALCON-Ⅱ を 独 自 に 低 コ ス ト で 開 発 し た こ と か ら 、マ ス コ ミ な ど に 大 い に 注 目 さ れ た 。ま た 、雲 レ ー ダ を 使 っ た デ ー タ 取 得 も 進 め 、 SPIDERに お い て は 、 2003年 春 季 や 2006年 2月 の 直 下 ラ イ ダ ー を 同 時 搭 載 し た 航 空 機 観 測 や 、 2003,2004,2005,2006年 に 地 上 で の 長 期 観 測 、 ま た 、 イ ン ド ネ シ ア 赤 道 レ ー ダ サ イ ト に お け る キ ャ ン ペ ー ン 観 測 を 実 施 し た 。 ま た 、 FALCONは 観 測 船 み ら い に 搭 載 し て 長 期 観 測 を 行 い 、 北 極 海 、 赤 道 太 平 洋 、 イ ン ド 洋 な ど 広 い 地 域 を 観 測 し て 、 多 く の デ ー タ を 取 得 し た 。 そ し て 、 SPIDER、 FALCONな どの雲レーダで取得されたデータを用いてレーダ単独による雲の微物理量解析手法やライダーと 組 み 合 わ せ た シ ナ ジ ー に よ る 微 物 理 量 解 析 手 法 の 開 発 も 進 め て き た 。こ れ ら の 結 果 を 気 候 数 値 モ デ ル な ど と 比 較 す る こ と で 、モ デ ル で 得 ら れ た 上 層 の 巻 雲 が 観 測 よ り 多 す ぎ る な ど 気 候 モ デ ル の 検 証 や 改 良 に 結 び つ く 結 果 を 得 る こ と が で き た 。ま た 、エ ア ロ ゾ ル 数 密 度 と 有 効 半 径 、氷 水 量 と 比 較 す る こ と で 雲 エ ア ロ ゾ ル 相 互 作 用 に 関 し て の 検 討 材 料 を 収 集 す る こ と が で き た 。日 本 と 欧 州 宇 宙 機 関 は、雲とエアロゾルの全球放射に対する役割を解明するために雲レーダとライダーを搭載した EarthCARE衛 星 の 開 発 を 2012年 度 の 打 ち 上 げ を 目 指 し て 進 め て い る 。 こ の 衛 星 の 高 次 デ ー タ 処 理 で 必 要 と な る レ ー ダ・ラ イ ダ ー の シ ナ ジ ー 解 析 手 法 は 本 手 法 を 基 に し て 今 後 詳 細 化 を 図 り な が ら 活 用 していく。 (2)高スペクトル分解ライダー等による雲・エアロゾル観測技術の研究 (独立行政法人国立環境研究所、福井大学) 将 来 の 衛 星 観 測 を 念 頭 に 置 い て 、高 ス ペ ク ト ル 分 解 ラ イ ダ ー 等 に よ る エ ア ロ ゾ ル 、雲 の 光 学 特 性 の 観 測 手 法 を 開 発 す る と と も に 、ラ イ ダ ー と 雲 レ ー ダ ー 、放 射 計 等 と の 複 合 利 用 に よ り 雲 の 微 物 理 量、エアロゾルの光学特性を導出するための手法の開発を行った。 高 ス ペ ク ト ル 分 解 ラ イ ダ ー (HSRL)は エ ア ロ ゾ ル の 後 方 散 乱 係 数 と 消 散 係 数 が 独 立 に 得 ら れ る 手 法で、消散係数対後方散乱係数比(ライダー比)を観測から求めることができる。ライダー比は、 ミ ー 散 乱 ラ イ ダ ー ラ イ ダ ー ( 例 え ば CALIPSO衛 星 な ど ) の 解 析 に お い て 重 要 な パ ラ メ ー タ で あ る だ け で な く 、 エ ア ロ ゾ ル の 特 性 を 評 価 す る た め の 有 効 な 指 標 と な る 。 国 立 環 境 研 で は 、 532nmの HSRL 技 術 に 関 す る 研 究 を 行 う と と も に 、 国 際 交 流 課 題 に お い て 、 532nm HSRLに よ る 継 続 的 な 観 測 を つ く ばにおいて2年間以上にわたって実施した。これによって、球形エアロゾル、非球形エアロゾル、 氷 雲 の 532nmに お け る ラ イ ダ ー 比 を 統 計 的 に 解 析 し 、 そ れ ぞ れ の 気 候 値 を 求 め た 。 ま た 、 NASAの 衛 星 搭 載 ラ イ ダ ー 、GLASSお よ び CALIPSOの 検 証 実 験 に 参 加 し 、ア ル ゴ リ ズ ム 検 証 の た め の ラ イ ダ ー 比 の デ ー タ 等 を 提 供 し た 。 一 方 、 HSRLで 得 ら れ る 532nmの ラ イ ダ ー 比 を 、 国 立 環 境 研 で 従 来 展 開 し て い る 2 波 長 ミ ー 散 乱 ラ イ ダ ー ( 1064nm,532nmの 後 方 散 乱 と 532nmの 偏 光 解 消 度 を 測 定 ) の 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム に 加 え る こ と に よ っ て 、ダ ス ト 、海 塩 、人 為 起 源 水 溶 性 エ ア ロ ゾ ル に 加 え て 光 吸 吸 収 性 の ブ ラ ッ ク カ ー ボ ン (soot)の 分 布 を 分 離 し て 推 定 で き る 可 能 性 が 示 さ れ た 。 こ の 他 、 532nmの HSRLシ ス テ ム に 二 酸 化 ケ イ 素( シ リ カ )の ラ マ ン 散 乱 測 定 用 の 検 出 チ ャ ン ネ ル を 追 加 し 、大 気 中 の 黄 砂 に 含まれるシリカの濃度測定を行うことに初めて成功した。 宇 宙 航 空 研 究 開 発 機 構 (JAXA)と 欧 州 宇 宙 機 関 (ESA)が 共 同 で 開 発 中 の EarthCARE衛 星 に YAGレ ー ザ ー の 第 三 高 調 波 を 用 い た 355nmの HSRLで あ る ATLIDの 搭 載 が 計 画 さ れ て い る 。 本 研 究 で は ATLIDの 技 術 お よ び ア ル ゴ リ ズ ム 検 証 を 目 的 と し て 、 355nmの HSRLの 開 発 研 究 を 福 井 大 学 に お い て 行 っ た 。 355nmの HSRLは 世 界 的 に も 新 し い も の で あ っ た が 、 フ ァ ブ リ ペ ロ ・ エ タ ロ ン を 分 光 素 子 と す る HSRL シ ス テ ム の 開 発 に 成 功 し た 。さ ら に 、こ の HSRLを 用 い て い ろ い ろ な 気 象 条 件 下 に お け る エ ア ロ ゾ ル お よ び 雲 の 355nmに お け る ラ イ ダ ー 比 を 測 定 し た 。 雲 レ ー ダ ー と ラ イ ダ ー の 複 合 利 用 に よ る 雲 の 微 物 理 量 の 導 出 に 関 し て は 、航 空 機 搭 載 ミ ー 散 乱 ラ イ ダ ー ( 波 長 355nm偏 光 測 定 機 能 付 き 、 ま た は 2 波 長 ( 532nm, 1064nm) 偏 光 測 定 (532nm)機 能 付 き ) を 製 作 し 、ガ ル フ ス ト リ ー ム Ⅱ 型 機 を 用 い て 観 測 実 験 を 行 っ た 。ま た 、海 洋 研 究 開 発 機 構 の 研 究 船 「 み ら い 」 に 2 波 長 ( 532nm, 1064nm) 偏 光 (532nm)ラ イ ダ ー を 雲 レ ー ダ ー と 同 時 に 搭 載 し 、 長 期 間 B-19-iv に わ た っ て 海 洋 上 の 雲 の 観 測 を 実 施 し た 。レ ー ダ ー 、ラ イ ダ ー に よ る 雲 の 微 物 理 量 の 導 出 の 研 究 は サ ブ テ ー マ 1 で 実 施 さ れ た 。本 サ ブ テ ー マ で は 、ラ イ ダ ー デ ー タ の み を 用 い て エ ア ロ ゾ ル の 解 析 を 行った。2波長のライダーデータ解析アルゴリズムを用いて、海塩、ダスト、水溶性エアロゾルの 分 布 を 導 出 す る と と も に 、 エ ア ロ ゾ ル 気 候 モ デ ル SPRINTARSと の 比 較 な ど の 解 析 を 行 っ た 。 本 研 究 に よ り 、532nm、355nmの 両 波 長 に お け る 高 ス ペ ク ト ル 分 解 ラ イ ダ ー に 関 す る 技 術 が 開 発 さ れ 、両 波 長 の ラ イ ダ ー 比 の 気 候 値 が 得 ら れ た 。一 方 、 雲 レ ー ダ ー と の 複 合 観 測 を 航 空 機 お よ び 船 舶 で 行 い 、雲 の 微 物 理 量 導 出 ア ル ゴ リ ズ ム 検 証 の た め の デ ー タ セ ッ ト が 得 ら れ た 。ま た 、 海 洋 上 の 広 範 囲 に わ た る 長 期 間 の エ ア ロ ゾ ル 、雲 の 観 測 デ ー タ が 蓄 積 さ れ た 。さ ら に 、HSRLデ ー タ を 含 め た エ ア ロ ゾ ル 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム の 検 討 を 行 い 、今 後 の 衛 星 搭 載 ラ イ ダ ー の デ ー タ 解 析 手 法 や 次 世 代 の エ アロゾル観測システム構築の方向性が示された。 (3)衛星データとモデルによる雲・エアロゾルの研究(東京大学) 1) 可 視 ・ 赤 外 イ メ ー ジ ャ ー 及 び フ ー リ エ 型 分 光 放 射 計 に よ る 雲 ・ 大 気 推 定 の 研 究 ( 東 京 大 学 ) 本 サ ブ サ ブ テ ー マ の 研 究 目 的 は 、エ ア ロ ゾ ル に よ る 雲 微 物 理 特 性 の 変 化 を 検 出 す る た め に 必 要 な リ モ ー ト セ ン シ ン グ デ ー タ の 解 析 手 法 を 開 発 し 、実 際 の 観 測 デ ー タ の 解 析 に よ り エ ア ロ ゾ ル の 間 接 効果量を推定するために必要となる統合データセットを作成することにある。 人 工 衛 星 搭 載 の 可 視 ・ 赤 外 イ メ ー ジ ャ ー に よ る 観 測 に つ い て は 、ま ず 雲 微 物 理 量 を 抽 出 す る た め の 自 動 処 理 シ ス テ ム の 開 発 を 行 っ た 。こ の と き 、雲 レ ー ダ ー や ラ イ ダ ー な ど の 能 動 型 セ ン サ ー デ ー タ を 組 み 合 わ せ て 用 い る こ と で 衛 星 観 測 デ ー タ の 検 証 を 行 い 、よ り 高 精 度 な 解 析 技 術 を 確 立 す る こ と が で き た 。そ の 技 術 を 用 い て 、雲 微 物 理 量 の 全 球 的 な 空 間 分 布 を 得 る こ と が で き た 。特 に 東 ア ジ ア を 中 心 と し た 地 域 に つ い て は 雲 物 理 量 デ ー タ セ ッ ト の 集 中 的 な 蓄 積 を 行 っ た 。さ ら に は 非 静 力 学 大 気 モ デ ル と の 比 較 が 行 え る よ う シ ス テ ム を 改 良 し た 。衛 星 デ ー タ 利 用 の 最 終 段 階 と し て は 、受 動 型と能動型のセンサーの複合利用による雲の特性の理解に役立つ低コストな領域規模の衛星デー タ の 整 備 を 実 施 し た 。こ れ ら の デ ー タ を 用 い た 解 析 か ら は 、水 雲 の 光 学 的 厚 さ と 有 効 半 径 に つ い て 、 イ ン ド 洋 や 北 半 球 北 部 の 大 陸 沿 岸 、大 陸 東 岸 な ど に お い て 、エ ア ロ ゾ ル 量 と 雲 粒 粒 径 と の 関 係 に 顕 著 な 特 徴 み ら れ る と い う 結 果 が 得 ら れ 、本 研 究 で 得 ら れ た デ ー タ セ ッ ト の 有 用 性 を 示 す も の で あ っ た。 一 方 、赤 外 放 射 場 の 直 接 観 測 の 重 要 性 を 示 す 目 的 で フ ー リ エ 型 赤 外 分 光 放 射 計 に よ る 大 気 観 測 手 法を導入した。まず、放射環境場の計算に重要な気温等の鉛直分布、および、窓領域における雲の 赤 外 放 射 特 性 を 求 め る 手 法 を 開 発 し た 。実 際 の 地 上 観 測 結 果 か ら は 、雲 レ ー ダ ー で 見 え な い 雲 で も 赤 外 放 射 場 に は 大 き な 影 響 を 与 え る こ と や 、気 温 場 の 直 接 測 定 の 重 要 性 、ま た 雲 物 理 量 解 析 手 法 と しての有効性が示された。 2) 可 視 ・ 赤 外 イ メ ー ジ ャ ー に よ る エ ア ロ ゾ ル の 推 定 の 研 究 ( 独 立 行 政 法 人 国 立 環 境 研 究 所 ) エ ア ロ ゾ ル の 気 候 影 響 評 価 に 資 す る 、よ り 高 精 度 の 全 球 エ ア ロ ゾ ル 特 性 把 握 を 行 う 為 に 、衛 星 搭 載 受 動 型 セ ン サ ー に よ る エ ア ロ ゾ ル 特 性 推 定 ア ル ゴ リ ズ ム の 開 発 ・ 改 良 を 行 い 、開 発 ア ル ゴ リ ズ ム を 用 い た エ ア ロ ゾ ル 解 析 シ ス テ ム の 構 築 を 行 っ た 。こ れ に よ り 、東 ア ジ ア 域 の エ ア ロ ゾ ル の 光 学 的 厚 さ 、オ ン グ ス ト ロ ー ム 指 数 、エ ア ロ ゾ ル タ イ プ が 準 リ ア ル タ イ ム で 得 ら れ る よ う に な っ た 。地 上 観 測 と 衛 星 観 測 と の マ ッ チ ア ッ プ を 図 り 、解 析 シ ス テ ム に よ り 推 定 さ れ た エ ア ロ ゾ ル 特 性 の 検 証 を 行 っ た 。フ ィ ル タ ー サ ン プ リ ン グ に よ る 化 学 成 分 分 析 の 結 果 と の 比 較 に お い て 、衛 星 か ら 推 定 さ れ たエアロゾル種別光学的厚さの割合が化学成分分析による各成分の濃度比と非常によく整合する ことが示された。 更 に 、 開 発 ア ル ゴ リ ズ ム を MODIS/Terra お よ び GLI/ADEOS-II の 全 球 デ ー タ に 適 用 し 、 MODIS に つ い て は 2000年 2月 か ら 2005年 12月 ま で 、 ま た GLI に つ い て は 2003年 2月 か ら 10月 ま で の 、 エ アロゾルの光学的厚さ、オングストローム指数、エアロゾル種別の光学的厚さの全球分布を得た。 得 ら れ た エ ア ロ ゾ ル 特 性 分 布 は 、全 球 エ ア ロ ゾ ル 輸 送 モ デ ル の 結 果 と 比 較 さ れ た 。衛 星 解 析 は 、 清 浄 な 領 域 で の 過 大 評 価 は あ る も の の 、主 要 な エ ア ロ ゾ ル 層 に つ い て は モ デ ル シ ミ ュ レ ー シ ョ ン と よ い 一 致 を み た 。 衛 星 解 析 の 過 大 評 価 は 、 全 球 平 均 で お よ そ +0.03 で 、 既 存 研 究 に よ り 示 さ れ て い る 衛 星 —モ デ ル 間 の バ イ ア ス +0.05 に 較 べ 、 改 善 が 示 さ れ た 。 エ ア ロ ゾ ル 種 別 の 光 学 的 厚 さ に つ い て は 、あ る タ イ プ が 卓 越 す る 地 域 で は 整 合 す る も の の 、多 種 類 の タ イ プ が 混 在 す る 地 域 に お い て 一 致 し な い 部 分 も 多 く 見 ら れ た 。衛 星 解 析 に お け る 全 エ ア ロ ゾ ル の 光 学 的 厚 さ か ら 種 別 値 を 求 め る 過 程 、特 に 多 種 類 の エ ア ロ ゾ ル が 混 在 し た 状 態 に つ い て 、今 後 よ り 詳 細 に 検 討 し て い く 必 要 性 が 示 された。 B-19-v 3) 気 候 モ デ ル に よ る 雲 ・ エ ア ロ ゾ ル 相 互 作 用 と 雲 形 成 の 研 究 ( 東 京 大 学 ) 本 サ ブ サ ブ テ ー マ で は 、大 気 大 循 環 モ デ ル と 衛 星 デ ー タ 解 析 等 か ら 得 ら れ た 雲 ・ エ ア ロ ゾ ル 微 物 理 量 デ ー タ セ ッ ト を 利 用 し て 、エ ア ロ ゾ ル が 気 候 に 及 ぼ す 間 接 効 果 量 の 推 定 を 行 う 。本 年 度 は 最 終 年 度として、これまでに得た大循環モデルの改良、非静力学雲・エアロゾルモデルを利用して、他班 か ら 出 て く る 衛 星 ・ 地 上 デ ー タ の よ り 多 く の 解 析 を 他 班 と 協 力 し て お こ な っ た 。そ の 結 果 次 の 成 果 を得た。 ・ SPRINTARS+GCMお よ び 、 NHM+HUCMビ ン 型 エ ア ロ ゾ ル 雲 モ デ ル を 開 発 し た 。 ・米 国 製 を 含 む 現 在 の GCMで は 、エ ア ロ ゾ ル と 雲 層 の 成 層 状 態 を う ま く 表 現 で き て い な い 。シ ミ ュ レ ーションされた層高が高すぎることが示された。 ・そのため、大気上端直接効果が過小評価気味である可能性があることが示唆された。 ・全球平均では、間接効果が大きく、直接効果は小さいことが示された。 ・東シナ海領域では全球平均の6倍以上の放射強制がかかっており、直接効果が大きいことがわか った。 ・その結果、日傘効果による海面温度の減少と温室効果ガスの温暖化が引き起こす2次大循環が間 接効果による雲量の増加よりも優勢になり、中国域で雲量減少を引き起こすメカニズムが見いだ された。 ・さらにエアロゾルが引き起こす降雨量変化は人為起原温室効果ガスが引き起こす変化と同等の大 きさを持っており、しかも地域的に非常に複雑であることがわかった。 ・ビン型雲エアロゾルモデルによって、衛星が観測するエアロゾル量と雲微物理パラメター(光学 的厚さ、有効粒子半径)との間の特徴的な相関を再現することができた。 4.考察と結論 本 研 究 で は 、受 動 型 リ モ ー ト セ ン シ ン グ 測 器 と 能 動 型 測 器 を 組 み 合 わ せ る こ と に よ っ て 、エ ア ロ ゾルの気候影響に関する画期的な観測システムを構築することを主たる目的に掲げて研究を遂行 し た 。 そ の 結 果 、 パ ル ス 型 と FMCW型 の 2 つ の タ イ プ の 94Ghzの 雲 レ ー ダ ー シ ス テ ム 、 連 続 観 測 型 と 高 波 長 分 解 型 の 2 つ の タ イ プ の ラ イ ダ ー シ ス テ ム を 開 発・改 良 す る こ と が で き た 。ま た 、ラ イ ダ ー 、 雲 レ ー ダ ー 、衛 星 イ メ ジ ャ ー 、フ ー リ エ 分 校 器 を 単 独 、あ る い は 複 合 的 に 使 用 し た 解 析 シ ス テ ム も 開 発 す る こ と が で き た 。現 在 、 こ れ ら の シ ス テ ム は 本 研 究 に と ど ま ら ず 、国 内 外 の 様 々 な プ ロ ジ ェ クトにひっぱりだこの状態である。従って、本研究の先見性と波及効果が証明されたと思う。 こ れ ら の 原 理 を 利 用 し た 衛 星 シ ス テ ム で あ る 日 欧 共 同 の Earth Explorer3/EarthCAREも 打 ち 上 げ が 決 定 さ れ る こ と に な っ た 。こ の 共 同 研 究 に も 本 研 究 成 果 が 中 心 的 に 活 か さ れ て い る 。ま た 環 境 省 の GOSAT衛 星 の CAIイ メ ジ ャ ー の 解 析 ア ル ゴ リ ズ ム に は 、 本 研 究 で 開 発 さ れ た 4波 長 ア ル ゴ リ ズ ム が 使 用 さ れ る 予 定 で あ る 。現 在 、雲 レ ー ダ ー と 2 波 長 偏 光 ラ イ ダ ー を そ れ ぞ れ 搭 載 し た ESSP/CLOUDSAT と CALIPSO衛 星 が 打 ち 上 げ ら れ 、 エ ア ロ ゾ ル と 雲 の 成 層 状 態 に 関 す る 画 期 的 な デ ー タ を 送 っ て き て い る 。そ の 解 析 に お い て も 早 速 、本 研 究 の 成 果 が 活 か さ れ つ つ あ る 。本 研 究 が 実 施 さ れ な か っ た 場 合にはこのような発展は期待できなかったと思われる。 こ の よ う に し て 開 発 さ れ た 観 測 測 器 と 解 析 シ ス テ ム か ら は 、エ ア ロ ゾ ル と 雲 パ ラ メ ー タ ー と エ ア ロ ゾ ル 種 の 分 布 、ラ イ ダ ー 比 の 統 計 、巻 雲 の 成 層 構 造 な ど 、従 来 型 の 手 法 で は 得 ら れ な い デ ー タ が 得 ら れ た 。現 在 、着 々 と モ デ ル と 観 測 結 果 の 比 較 が 行 わ れ て い る 。本 研 究 で は 大 循 環 用 の 放 射 エ ア ロ ゾ ル モ デ ル で あ る SPRINTARSモ デ ル の 改 良 と 、 非 静 力 学 / ビ ン 型 雲 ・ エ ア ロ ゾ ル モ デ ル を 開 発 す ることができた。 モ デ ル 結 果 と 観 測 結 果 の 比 較 に よ る と 、エ ア ロ ゾ ル の 空 間 分 布 と 成 層 状 態 は モ デ ル に よ っ て 比 較 的 よ く 再 現 さ れ る こ と が わ か っ た 。た だ し 、同 時 に 、大 循 環 モ デ ル で は エ ア ロ ゾ ル の 層 高 と 上 層 雲 量 を 過 大 評 価 し て い る 可 能 性 が あ る こ と が 示 さ れ た 。そ の た め に 、大 気 上 端 で の 放 射 強 制 力 の 評 価 に 最 大 0.5 W/m 2 程 度 の 誤 差 を 生 ん で い る 可 能 性 が あ る 。 こ の 0.5 W/m 2 と 言 う 不 確 定 性 は 、 本 研 究 の 目 標 と し て 掲 げ た 0.2 W/m 2 と 言 う 値 に 比 べ て 大 き い が 、 こ れ ま で 言 わ れ て い た 誤 差 の 軽 減 で き た と 思 う 。 モ デ ル に よ る と 全 球 平 均 の 大 気 上 端 で の 放 射 強 制 力 は 間 接 効 果 が 大 き く 、 温 暖 化 を 30%程 度 相殺していると思われる。一方、大気下端、および大気汚染地域では直接効果が大きく、そのため に 海 面 が 冷 え て 、複 雑 な 二 次 大 循 環 が 形 成 さ れ る こ と が わ か っ た 。そ の た め に 降 雨 量 の 変 化 が 複 雑 な 地 域 分 布 で 引 き 起 こ さ れ る 。こ の こ と は 、ア ジ ア 域 に お け る 降 水 量 の 変 化 は 、 10年 以 下 の 早 さ で 変化する経済活動によって顕著に変化する可能性を示唆しており、それをモニタリングするため に、本研究で提案したシステムをいよいよ実用化する必要があると思っている。 B-19-vi 本 研 究 で は 、観 測 で 得 ら れ た 様 々 な 興 味 あ る 現 象 を 、未 だ に 十 分 に 気 候 モ デ ル と 領 域 モ デ ル の 改 良 に 活 か し き れ て い な い 反 省 点 も あ る 。し か し 、そ れ に は モ デ ル コ ミ ュ ニ テ ィ ー の 助 け も 必 要 で あ り 、本 研 究 チ ー ム の み で は 達 成 す る こ と の で き な い 課 題 で あ る の で 、今 後 、 粘 り 強 い 共 同 研 究 を 続 ける必要があると考えている。 5.本研究により得られた結果 (1)科学的意義 ・地上、衛星、モデルによって、東アジア域におけるエアロゾルの成層状態を把握できた。それに よると、この地域では、特に春先、土壌粒子と人為起原粒子が複雑な混合状態を作っており、そ の放射強制力は、混合状態に強く依存することがわかった。一次散乱アルベドは土壌粒子お増加 で、増加することも減少することもある。 ・東シナ海領域では全球平均の6倍以上の放射強制がかかっており、直接効果が大きいことがわか った。 ・全球平均では、間接効果が大きく、直接効果は小さいことが示された。 ・米 国 製 を 含 む 現 在 の GCMで は 、エ ア ロ ゾ ル と 雲 層 の 成 層 状 態 を う ま く 表 現 で き て お ら ず 、シ ミ ュ レ ーションされた層高が高すぎることが示された。そのため、大気上端直接効果が過小評価気味で ある可能性があることが示唆された。 ・地表面でのエアロゾルの直接効果によって、東アジア域で陸面と海面の著しい温度減少が誘発さ れることがわかった。この効果と温室効果ガスの温暖化が引き起こす2次大循環が間接効果によ る雲量の増加よりも優勢になり、中国域で雲量減少を引き起こすメカニズムが見いだされた。 ・さらにエアロゾルが引き起こす降雨量変化は人為起原温室効果ガスが引き起こす変化と同等の大 きさを持っており、しかも地域的に非常に複雑であることがわかった。中国北東部と南部ではそ れぞれ、温暖化シグナルとエアロゾル間接効果が卓越するために、異なる雲量変化が起っている ことが示唆された。 (2)地球環境政策への貢献 ・ 本 研 究 で 得 ら れ た エ ア ロ ゾ ル の 放 射 伝 達 計 算 の モ デ リ ン グ は 、現 在 、国 立 環 境 研 究 所 の 温 暖 化 モ デ ル に 反 映 さ れ て い る 。ま た 、IPCC第 4 次 報 告 書 へ の 日 本 か ら の シ ミ ュ レ ー ソ ン 結 果 に も 反 映 さ れている。 ・放射計、ライダー、雲レーダーを用いた新しい観測手法と解析アルゴリズムを確立した。現在、 国 立 環 境 研 究 所 の 沖 縄 辺 戸 岬 観 測 所 に 設 置 し て あ る こ れ ら の 測 器 か ら 得 ら れ る デ ー タ は 、本 手 法 で 解 析 さ れ て い る 。 デ ー タ の 一 部 は UNEP/ABCプ ロ ジ ェ ク ト の 成 果 と し て バ ン コ ッ ク の UNEP Regional Office for Asia and the Pacific に 送 ら れ て い る 。 ・ ラ イ ダ ー と 雲 レ ー ダ ー 解 析 シ ス テ ム は 、 日 欧 共 同 の EarthExplorer/EarthCare人 工 衛 星 ミ ッ シ ョ ン の 概 念 設 計 に 利 用 さ れ た 。 Phase-B研 究 で も 利 用 さ れ る 予 定 で あ る 。 B-19-vii 6.研究者略歴 課題代表者:中島映至 1950年 生 ま れ 、 東 北 大 学 大 学 院 理 学 研 究 科 博 士 課 程 単 位 修 得 退 学 、 理 学 博 士 現在、東京大学気候システム研究センター教授、センター長 国 際 放 射 委 員 会 会 長 、 IPCC第 3 次 報 告 書 執 筆 委 員 、 第 4 次 報 告 書 レ ビ ュ ー エ デ ィ タ ー EarthCARE衛 星 ミ ッ シ ョ ン 日 本 側 代 表 研 究 者 、 UNEP/ABC/EAREX2005観 測 実 験 代 表 研 究 者 、 環 境 省 GOSAT衛 星 / 雲 エ ア ロ ゾ ル イ メ ジ ャ ー グ ル ー プ 代 表 研 究 者 主要参画研究者 (1):熊谷 博 1952年 生 ま れ 、 京 都 大 学 大 学 院 工 学 研 究 科 修 士 課 程 卒 、 工 学 博 士 現在 独立行政法人情報通信研究機構電磁波計測部門研究主管 (2):杉本伸夫 1954年 生 ま れ 、 大 阪 大 学 大 学 院 基 礎 工 学 研 究 科 修 士 課 程 修 了 、 理 学 博 士 ( 東 京 大 学 ) (3) 1) 今 須 良 一 略 歴 : 1962年 生 ま れ 、 名 古 屋 大 学 理 学 研 究 科 博 士 課 程 後 期 中 退 、 理 学 博 士 現在 東京大学気候システム研究センター助教授 2) 日 暮 明 子 略 歴 : 東 京 大 学 大 学 院 理 学 系 研 究 科 博 士 課 程 修 了 ( 1998年 ) 現在、独立行政法人国立環境研究所大気圏環境研究領域主任研究員 3) 高 橋 正 明 1950年 生 ま れ 、 九 州 大 学 大 学 院 理 学 研 究 科 博 士 課 程 単 位 修 得 退 学 、 理 学 博 士 現在 東京大学気候システム研究センター教授 7.成果発表状況(本研究課題に係る論文発表状況。) (1) 査 読 付 き 論 文 1) H. Okamoto : J.Geophys. Res.、 107 (D22、 4628)、 doi: 10.1029/2001JD001386 (2002)、 “Information content of the 95GHz cloud radar signals: Theoretical assessment of non-sphericity and error evaluation of the discrete dipole approximation” 2) H. Okamoto、 S. Iwasaki、 M. Yasui、 H. Horie、 H. Kuroiwa and H. Kumagai: J.Geophys. Res.、 108、 D7、 4226、 doi:10.1029/2001JD0001225 (2003)、 “An algorithm for retrieval of cloud microphysics using 95-GHz cloud radar and lidar” 3) S. Iwasaki、 R. Shirooka、 Y. Tsushima、 I. Matsui、 A. Shimizu、 N. Sugimoto、 A. Kamei、 H. Kumagai、 H. Kuroiwa、 M. Katsumata、 K. Yoneyama、 H. Okamoto: Geophys. Res. Lett.、 31、 L09103、 doi:10.1029/2003GL019377 (2004)、 “Subvisual cirrus clouds observation with the 1064-nm lidar、 the 95-GHz cloud radar、 and radiosondes on the warm pool” 4) S. Iwasaki、 H. Okamoto、 H. Hanado、 K. K. Reddy、 H. Horie、 H. Kuroiwa、 and H. Kumagai: J. Meteor. Soc. Japan、 83、 771-782(2005)、 “Retrieval of Raindrop and Cloud Particle Size Distributions with 14 GHz and 95 GHz Radars” 5) K. Yasunaga、 K、 Yoneyama、 K、 H. Kubota、 H. Okamoto、 A. Shimizu、 H. Kumagai、 M. Katsumata: J. Atmos. Sci.、 63、 11、 3020-3032(2006)、 “Melting layer cloud observed during R/V Mirai cruise MR01-K05” 6) R. Nagasawa、 T. Iwasaki、 S. Asano、 K. Saito、 and H. Okamoto: J. Meteor. Soc. Japan.、 84、 969-987(2006)、 “ Resolution Dependence of Nonhydrostatic Models in Simulating the Formation and Evolution of Low-Level Clouds during a Yamase Event” 7) K. Sato and H. Okamoto: J. Geophys. Res.、 111、 D22213、 doi:10.1029/2005JD006959 (2006)、 “Characterization of Ze and LDR of nonspherical and inhomogeneous ice particles for 95-GHz cloud radar: Its implication to microphysical retrievals” B-19-viii 8) H. Okamoto、 T. Nishizawa、 T. Takemura、 H. Kumagai、 H. Kuroiwa、 N. Sugimoto、 I. Matsui、 A. Shimizu、 A. Kamei、 S. Emori、 and T. Nakajima: J. Geophys. Res、 112、 D08216、 doi:10.1029/ 2006JD007628 (2007)、“ Vertical cloud structure observed from shipborne radar and lidar、 Part (I) : mid-latitude case study during the MR01/K02 cruise of the R/V Mirai” 9) T. Nishizawa、 H. Okamoto、 N. Sugimoto、 I. Matsui、 A. Shimizu 、 K. Aoki: J. Geophys. Res.、 112、 D06212、 doi:10.1029/2006JD007435 (2007)、 “An algorithm that retrieves aerosol properties from dual-wavelength polarized lidar measurements” 10) A. Heymsfield、 A. Protat、 R. Austin、 D. Bouniol、 R. Hogan、 J. Delaoe、 H. Okamoto、 K. Sato、 G. Zadelhoff、 D. Donovan、 Z. Wang: Accepted J. Appl. Meteor.(2007)、 “Testing and Evaluation of Ice Water Content Retrieval Methods using Radar and Ancillary Measurements” 11) N. A. J. Schutgens: Accepted J. Atmos. Oceanic Technol. (2007)、 ”Simulated Doppler radar observations of inhomogeneous clouds; Application to the EarthCARE space mission” 12) Sugimoto, Nobuo and Choo Hie Lee, Characteristics of dust aerosols inferred from lidar depolarization measurements at two wavelengths, Applied Optics, Vol. 45, No. 28, 7468-7474, 2006. 13) Kamei, A., N. Sugimoto, I. Matsui, A. Shimizu, and T. Shibata, Volcanic Aerosol Layer Observed by Shipboard Lidar over the Tropical Western Pacific, SOLA, Vol. 2, 001-004, doi:10.2151/sola.2006-001, 2006. 14) Tatarov, B., and N. Sugimoto, Estimation of quartz concentration in the tropospheric mineral aerosols using combined Raman and high-spectral- resolution lidars, Optics Letters, Vol. 30, N0. 24, 3407-3409, 2005. 15) Imaki, M., Y. Takegoshi, T. Kobayashi, “Ultraviolet high-spectral-resolution lidar using Fabry-Perot filter for the accurate measurement of extinction and lidar ratio”, Jpn. J. Appl. Phy., Vol. 44, No. 4, 2005. 16) Hua, D., T. Kobayashi, “UV Rayleigh-Mie Raman Lidar for Simultaneous Measurement of Atmospheric Temperature and Relative Humidity Profiles in the Troposphere”, Jpn. J. Appl. Phy., Vol. 44, No. 3, 2005. 17) Hua, D., M. Uchida, T. Kobayashi, “Ultraviolet Rayleigh-Mie lidar for daytime-temperature profiling of the troposphere”, Appl. Opt., 44, pp.1315-1322, 2005. 18) Hua, D., T. Kobayashi, “Ultraviolet Rayleigh-Mie lidar with Mie-scattering correction by Fabry-Perot etalons for temperature profiling of the troposphere”, Appl. Opt., 44, pp.1305-1314, 2005. 19) Voelger, P., A.Y.S. Cheng and N. Sugimoto, Influence of atmospheric and systematic parameters on multiple scattering in spaceborne backscatter lidar measurements, Applied Optics Vol. 44, No. 6, 1051-1065, 2005. 20) Hua, D., M. Uchida, T. Kobayashi, “UV high-spectral-resolution Rayleigh - Mie lidar with dual-pass Fabry - Perot etalon for measuring atmospheric temperature profiles of the troposphere”, Opt. Let., vol. 29, 2004. 21) Sugimoto, N., I. Matsui, A. Shimizu, I. Uno, K. Asai, T. Endoh, T. Nakajima: Observation of dust and anthropogenic aerosol plumes in the Northwest Pacific with a two-wavelength polarization lidar on board the research vessel Mirai, Geophys. Res. Lett. 29, 10,1029/2002GL015112, 2002. 22) R. Imasu and Y. Ota: SPIE 4897, 57-64 (2003) “Ozone retrieval from high-resolution spectrum data observed by IMG/ADEOS sensor” 23) V.I. Zakharov, R. Imasu, and K.G. Gribanov: SPIE 4897, 65-71 (2003) “D/H latitudinal distribution in the atmosphere retrieved from IMG spectra” 24) K. Kondo, R. Imasu, T. Kimura, M. Suzuki, A. Kuze, and T. Ogawa: SPIE 4897, 91-98 (2003) “Mission objectives and instrument design concept of EarthCARE FTS” 25) K. Kondo, R. Imasu, T. Kimura, J. Tanii, T. Nakajima: SPIE, 5152, 32-41 (2003) “Objectives and instrument design of EarthCARE FTS” 26) R. Imasu and Y. Ota: SPIE, 5655, 106-113 (2004) “CO2 columnar amount retrieved from thermal infrared spectra observed by IMG/ADEOS” 27) Y. Ota and R. Imasu: SPIE, 5655, 437-444 (2004) “Temperature and water vapor retrieval from IMG/ADEOS spectrum data” 28) A. Toptygin, K. G. Gribanov, R. Imasu, W. Bleuten, and V. I. Zakharov: SPIE, 5655, 508-514, (2004) “Seasonal methane content in atmosphere of the permafrost boundary zone in Western Siberia determined from IMG/ADEOS and AIRS/AQUA data” 29) K.G. Gribanov, R. Imasu, G. Schmidt, A. Toptygin, and V. I. Zakharov: SPIE, 5655, 515-521, (2004) “Neural network retrieval of deuterium to hydrogen ratio in atmosphere from IMG/ADEOS spectra” 30) V.I. Zakharov, R. Imasu, and K. G. Gribanov: SPIE, 5655, 540-547 (2004) “Regarding free energy net of the earth and its monitoring from space concept” 31) T.Y.Nakajima, A. Sumi, K. Imaoka, and N. Kikuchi: SPIE, Sensors, Systems, and Next-Generation Satellites XI,5978, 597802 (2005) “On the sciences obtained from ADEOS-II mission” 32) Imasu, R., N. Saitoh, Y. Ota, and S. Taguchi: SPIE, doi:10.1117/12.724963 (2006) “CO2 retrieval performance of TANSO-FTS(TIR) sensor aboard Japanese greenhouse gases observing satellite (GOSAT). 33) Toptygin, A. Yu, K. G. Gribanov and V. I. Zakharov, Y. Kasai, A. Kagawa, Y. Murayama, R. Imasu, B-19-ix G.A. Schmidt, G. Hoffmann, and J. Jouzel: SPIE, doi:10.1117/12.724949 (2006) “Method and results of retrieval of HDO/H2O in atmosphere from IMG/ADEOS and FTIR data” 34) Saitoh, N., Y. Ota, S. Taguchi, R. Imasu: SPIE 6405, doi:10.1117/12.693803 (2006) “Assessment of uncertainty in CO2 concentrations retrieved from thermal infrared spectra of GOSAT satellite” 35) A. Higurashi and T. Nakajima: Geophys. Res. Lett., 29(17), 1836, doi: 10.1029/ 2002GL015357 (2002). “Detection of aerosol types over the East China Sea near Japan from four-channel satellite data” 36) T. Takemura, I. Uno, T. Nakajima, A. Higurashi, and I. Sano: Geophys. Res. Lett., 29, 2158, doi:10.1029/2002GL016251 (2002). “Modeling study of long-range transport of Asian dust and anthropogenic aerosols from East Asia” 37) T. Takemura, T. Nakajima, A. Higurashi, S. Ohta, and N. Sugimoto: J. Geophys. Res, 108(D23), 8659, doi: 10.1029/2002JD003210 (2003). “Aerosol distributions and radiative forcing over the Asian-Pacific region simulated by SPRINTARS” 38) T. Nakajima, M. Sekiguchi, T. Takemura, I. Uno, A. Higurashi, D. Kim, B. J. Sohn, S. N. Oh, T. Y. Nakajima, S. Ohta, I. Okada, T. Takamura, and K. Kawamoto: J. Geophys. Res., 108(D23), 8658, doi: 10.1029/2002JD003261 (2003). “Significance of direct and indirect radiative forcings of aerosols in the East China Sea region” 39) M. Sekiguchi, T. Nakajima, K. Suzuki, K. Kawamoto, A. Higurashi, D. Rosenfeld, I. Sano, and S. Mukai: J. Geophys. Res., 108(D23), 4699, doi:10.1029/2002JD003359 (2003). “A study of the direct and indirect effects of aerosols using global satellite datasets of aerosol and cloud parameters” 40) K. Suzuki, T. Nakajima, A. Numaguti, T. Takemura, K. Kawamoto, and A. Higurashi: J. Atmos. Sci., 61, 179-194 (2004). “A study of the aerosol effect on a cloud field with simultaneous use of GCM modeling and satellite observation” 41) G. Myhre, F. Stordal, M. Johnstrud, A. Ignatov, M. I. Mishchenko, I. V. Geogdzhayev, D. Tanré, J. L. Deuzé, P. Goloub, T. Nakajima, A. Higurashi, O. Torres, B. N. Holben: J. Atmos. Sci., 61, 499-513 (2004). “Intercomparison of satellite retrieved aerosol optical depth over ocean” 42) R. W. Bergstrom, R. W., P. Pilewskie, J. Pommier, M. Rabbette, P. B. Russell, B. Schmid, J. Redemann, A. Higurashi, T. Nakajima, P. K. Quinn: J. Geophys. Res., 109, D19S15, doi:10.1029/2003JD004467 (2004). “Spectral absorption of solar radiation by aerosols during ACE-Asia” 43) V. N. Kapustin, A. D. Clarke, Y. Shinozuka, S. Howell, V. Brekhovskikh, T. Nakajima, and A. Higurashi: J. Geophys. Res., 111, D04202, doi:10.1029/2004JD005527 (2006). “On the determination of a cloud condensation nuclei from satellite: Challenges and possibilities” 44) Takemura, T., Y.J. Kaufman, L.A. Remer, and T. Nakajima, 2007: Two competing pathways of aerosol effects on cloud and precipitation formation. Geophys. Res. Lett., 34, L04802, 45) Suzuki, K., T. Nakajima, T.Y. Nakajima, and A. Khain, 2006: Correlation pattern between effective radius and optical thickness of water clouds simulated by a spectral bin microphysics cloud model. SOLA, 2, 116-119, doi:10.2151/sola.2006-030. 46) Takemura, T., Y. Tsushima, T. Yokohata, T. Nozawa, T. Nagashima, and T. Nakajima, 2006: Time evolutions of various radiative forcings for the past 150 years estimated by a general circulation model. Geophys. Res. Lett., 33, LI9705, doi: 10.1029/2006GL026666, 2006. 47) Nakajima, TY., A. Uchiyama, T. Takamura, N. Tsujioka, T. Takemura, and T. Nakajima, 2005: Comparisons of warm cloud properties obtained from satellite, ground, and aircraft measurements during APEX Intensive observation period in 2000 and 2001. J. Meteor. Soc. Japan, 83, 1085-1-95. 48) Kikuchi, N., T. Nakajima, H. Kumagai, H. Kuroiwa, A. Kamei, R. Nakamura, and T.Y. Nakajima, 2006: Cloud optical thickness and effective particle radius derived from transmitted solar radiation measurements: Comparison with cloud radar observations. J. Geophys. Res., 111, D07205, doi:10.1029/2005JD006363. 49) Carmine, C. Di, M. Campanelli, T. Nakajima, C. Tomasi, and V. Vitale, 2005: Retrievals of Antarctic aerosol characteristics using a sun-sky radiometer during the 2001-2002 austral summer campaign. J. Geophys. Res., 110, D13202, doi:10.1029/2004JD005280, 2005. 50) Kapustin, V.N., A.D. Clarke, Y. Shinozuka, S. Howell, V. Brekhovskikh, T. Nakajima, and A. Higurashi, 2006: On the determination of a cloud condensation nuclei from satellite: Challenges and possibility. J. Geophys. Res., J. Geophys. Res., 111, D04202, doi:10.1029/2004JD005527. 51) Adhikari, M., Y. Ishizaka, H. Minda, R. Kazaoka, J.B. Jensen, J. L. Gras, and T. Nakajima, 2005: Vertical distribution of cloud condensation nuclei concentrations and their effect on microphysical properties of clouds over the sea near the southwest islands of Japan. J. Geophys. Res., 110, D10203, doi:10.1029/2004JD004758. 52) Takemura, T., T. Nozawa, S. Emori, T.Y. Nakajima, and T. Nakajima, 2005: Simulation of climate response to aerosol direct and indirect effects with aerosol transport-radiation model. J. Geophys. Res., doi:10.1029/2004JD005029. 53) Kim, D.-H., B.-J. Sohn, T. Nakajima, and T. Takamura, 2005: Aerosol radiative forcing over East Asia determined from ground-based solar radiation measurements. J. Geophys. Res., 110, D10S22, doi:10.1029/2004JD004678. 54) Mukai, M. , T. Nakajima, and T. Takemura, 2004: A study of the long-term trend of mineral dust B-19-x aerosol distributions in Asia using a general circulation model. J. Geophys. Res., 109, D19204, doi: 10.1029/2003JD004270, 2004. 55) Katagiri, S., and T. Nakajima, 2004: Radiative characteristics of cirrus clouds as retrieved from AVHRR. J. Meteor. Soc. Japan, 82, 81-99. 56) Kahn, R., J. Anderson, T.L. Anderson, T. Bates, F. Brechtel, A. Clarke, E. Dutton, R. Flagan, R. Frouin, H. Fukushima, B. Holben, S. Howell, B. Huebert, A. Jefferson, H. Jonsson, K. Carrico, O. Kalashnikova, J. Kim 1 4 , S.-W. Kim, P. Kus, W.-H. Li, J.M. Livingston, S. Masonis, C. McNaughton, J. Merrill, S. Mukai, T. Murayama, T. Nakajima, P. Quinn, J. Redemann, M. Rood, P. Russell, I. Sano, B. Schmid, J. Seinfeld, N. Sugimoto, J. Wang, E.J. Welton, J.-G. Won, S.-C. Yoon, 2004: Environmental Snapshots for Satellite Multi-Angle Aerosol Retrieval Validation During the ACE-Asia Field Campaign, J. Geophys. Res., 109, D19S14, doi:10.1029/2003JD004339. 57) Kawamoto, K., T. Hayasaka, T. Nakajima, D. Streets, and J.-H. Woo, 2004: Examining the aerosol indirect effect using SO2 emission inventory over China using SO2 emission inventory. Atmos. Res.,72, 353-363. 58) Kim, D.-H., B.-J. Sohn, T. Nakajima, T. Takamura, T. Takemura, B.-C. Choi, and S.-C. Yoon, 2004: Aerosol optical properties over East Asia determined from ground-based sky radiation measurements. J. Geophys. Res., 109, No. D2, D02209, 10.1029/2003JD003387. 59) Campanelli, M., T. Nakajima, and B. Olivieri, 2003: Determination of the solar calibration constant a sun-sky radiometer: Proposal of an in situ procedure. Appl. Opt., 43, 651-659. 60) Kawamoto, K., and T. Nakajima, 2003: Seasonal variation of cloud particle size as derived from AVHRR remote sensing. Geophys. Res. Lett., 30, No. 15, 1810, doi: 10.1029/2003GL017437.