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Annual Report 2015
アニュアルレポート 2015(日本語版)
2015 年 3 月期
How about playing golf
under the cherry blossoms?
読者のみなさまにご理解いただけるよう、
コンパクトに編集しています。
目 次
1
社長メッセージ
2
<誌上版> 投資家向け事業所見学会
特集1
取得後の収益改善の取り組み
8
特集2 中期経営計画の進捗
12
14
17
23
24
25
30
32
37
42
43
財務ハイライト
社長インタビュー
事業セグメントの状況と見通し
ゴルフ場とゴルフ練習場のご案内
コンプライアンスの取り組み
コーポレート・ガバナンス
取締役、監査役、執行役員
経営者による財政状態および経営成績の分析
事業等のリスク
企業データ
株式情報
● 本文中の主な用語解説
• アセットライト
ゴルフ場の事業資産を譲渡すること。
• アコーディア・ゴルフ・トラスト(AGT)
シンガポール証券取引所に上場するビジネス・トラスト。AGA に匿名組合出資を行う。
• アコーディア・ゴルフ・アセット(AGA)
社長メッセージ
私が、ゴルフ業界に対する想いをお伝えします。私が
ゴルフ業界でキャリアをスタートさせたのは、ちょうど
日本が高度経済成長の後、社会が豊かになっていく時代
でした。豊かさから、余暇需要が高まり、レジャー業界、
とりわけ、まだ市民権を得ていなかったゴルフ事業の成
長性を感じて、入社しました。
以来、ゴルフ場のスタッフから3コースの支配人を経
験し、経営を担う今日まで一貫して、お客さまとの信頼
を築き上げてまいりました。
ゴルフは、私のようなシニアから、ミドル、そしてジュ
ニアと3世代が同時に楽しめるスポーツです。少子高齢
化の影響によって、緩やかな市場の縮小は否めませんが、
現役ゴルファーのプレー需要が旺盛なうちに、ジュニア
をはじめとする次世代のゴルファーを増やし、プレー需
要を喚起することはゴルフ業界全体の課題です。当社も
ジュニアを対象としたゴルフの普及活動を推進し、ゴル
フを始めやすい環境を提供しております。
「アコーディア・ゴルフの強みはなんですか?」、様々
な取材を受ける際、特に初めてお会いする方から、よく
質問いただきます。私は、ゴルフ場の運営力が一番の強
みだと考えています。現場の力、ゴルフ場の運営におい
て、あらゆるスペシャリストが育っている人材をはじめ、
アコーディア・ゴルフ・ブランドの浸透、お客さまのニー
ズを先取りするアイデアは、国内の年間延べ入場者数の
シェアを約 10%取れた原動力です。
ゴルフ場を管理・運営する合同会社。アコーディア・ゴルフは、経営管理委託契約を締結し運営管理を担う。
• 運営受託収入
AGA が保有するゴルフ場の運営管理などの対価として、固定報酬 60%・変動報酬 40%の割合で収益計上。
• 譲渡対価
2014 年8月に実施したアセットライトは、ゴルフ場 90 コースの事業資産を譲渡し、負債などを相殺した上で約
1,132 億円を受領。
<資金の使途>
自己株式の取得 AGT のユニット取得 記念配当 既存借入金の返済 約 450 億円
約 253 億円
約 3 億円
約 426 億円
見通しに関する注意事項
このアニュアルレポートに記載されている、当社の業績の見通し等、将来に関する情報
は、本アニュアルレポート発行時点における各種情報に基づいて当社の経営陣が判断した
ものであり、実際の業績は、経済情勢、市場動向、為替レートなどの変動により、これら
業績見通しとは大きく異なる可能性があることをご承知おきください。
※本資料は、会計年度(4 月 1 日から翌年 3 月 31 日まで)を表示年度としています。
表紙のイラストは、美しい桜の花が咲き誇る、
習志野カントリークラブ キング & クイーン
コース(千葉県)をモチーフとしております。
2014 年、ビジネス・トラストを活用してゴルフ場の
アセットライトを行い、ゴルフ場資産の保有パートナー
として、アコーディア・ゴルフ・トラストを設立いたし
ました。将来における国内ゴルフ市場の動向や、規模拡
大に伴い資産効率が悪化するというゴルフ場運営会社が
背負う経営課題に対して、道筋を付けました。さらに、
資産効率の改善に伴い、カジュアルで楽しい「アコーディ
ア・ゴルフ・ブランド」を、多くのゴルフ場で展開して、
新規のゴルフ場取得を加速させ、運営ゴルフ場のシェア
拡大を図る再成長の足掛かりも得ました。
2015 年 8 月
代表取締役社長
鎌田 隆介
表紙および本文のイラストは、
橋本豊氏による書き起こしです。
lo!
Hel
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
1
1
特
集
<誌上版> 投資家向け事業見学会
T ransition to the
A ccordia Golf Brand
高速道路
ジャンクション
富加関 IC
美濃関 CC
岐阜県
岐阜市
関市
愛知県
Minoseki
Country Club
2013 年 12 月、アコーディア・ゴルフが取得した「美濃関カントリークラブ」
。
取得後の収益改善の取り組み
名古屋市
名古屋駅
東海道新幹線
コース名
美濃関カントリークラブ
(以前の名称) ボゥヴェ−ルカントリー倶楽部
取得から 1 年半を経て、収益改善を図る取り組みについて、投資家の目線で取材しました。
所在地
岐阜県関市
ホール数
18
オープン
1975 年
取得年
2013 年
高速道路
ジャンクション
富加関 IC
美濃関 CC
岐阜県
岐阜市
関市
愛知県
名古屋市
名古屋駅
2
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
東海道新幹線
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
3
T ransition to the
A ccordia Golf Brand
総支配人
客さまには非常に回りにくかったです。セルフプレーで
Q. 女性スタッフは、どのくらいの比率でしょうか?
も安全で回りやすいように、カート道路をフェアウエー
また、女性スタッフの視点は、どのように
の真横に新設し、ボールのすぐ近くまで行けるように改
活かされているのか?
クラブハウス
修しました。高齢者の方々にも好評で、セルフプレーで
回る方が増加に加えて、快適にプレーができると、お客
美濃関カントリークラブは、女性スタッフが多いこと
さまからお褒めの言葉をいただいています。
が特徴で、全従業員 73 名のうち 39 名が女性です。一般
的には、男性を採用することが多いポーター職にも、も
Q. ゴルフ場を資産として捉えて、
ともとキャディをされていた女性スタッフを配置させま
コース管理の見直しなどは行いましたか?
したので、あらゆる場面で、当ゴルフ場を知り尽くした
彼女たちが、きめ細やかなサービスの視点が仕事に活か
コース管理に関しましては、一年中、グリーンを最高
されていると思います。
の状態に保つために、散水システムを見直す必要があり
ました。適切な散水システムの導入と、当社のコース管
Q. 今後、どのようなゴルフ場を描いていくのか?
藤本 達也
ゴルフコースの変革(収益改善、アコーディアブラン
ドへの移行)、投資と回収
の方々に愛され続けるためにも、女性スタッフの活用は
もちろん、これまで以上に、スタッフの育成など目に見
理ノウハウにより、暑い夏場の水不足を解消し、グリー
ンのコンディションを常に良い状態に保つことが可能に
アコーディア・ゴルフの運営以降、ビジターで来場さ
えないところに心を配り、数字では表すことのできない
なりました。
れた地元のお客さまが、ご家族と一緒に会員になってい
継続的なお客さまの満足度を向上させるように努めてま
設備投資やコース管理の見直しなど、一つひとつ丁寧
ただけるという、嬉しいケースが増えていました。地元
いります。
に行った結果、アコーディア・ブランドとしてスタート
ゴルフ場勤務歴、約 15 年。これまで、ゴルフ場 10 コー
スの支配人を務める、ゴルフ場運営のスペシャリスト。
した運営 1 年目は、約5万5千人の方々にご来場いただ
きました。取得する3年前は約3万5千人程度の規模で
したので、大幅に増加、収益実績も取得前に試算した想
Q. 取得後にどのような設備投資を実施しましたか?
取得以前は、コース管理業務を外部業者に委託してお
りましたが、委託先との契約終了に伴い、自社でのコー
ス管理に切り替えております。ゴルフコースは、ゴルフ
場にとって商品であり、品質管理は顧客満足度向上に直
結すると考えています。しかし、最適なコース管理のた
めに必要な機械が不足しており、コース管理機械を一通
り揃えることから改善活動を始めました。
次に、ゴルフカートの新規購入とカート道路の整備で
す。5人乗りの最新型カートを 60 台導入し、古いもの
をすべて入れ替えました。カート道路に関しては、もと
もとキャディつきプレーを主体としたコースセッティン
グであったため、キャディを使わないセルフプレーのお
定値を大きく上回る結果をあげました。
Q. アコーディア・ゴルフの運営によって、
フロント担当
改修後
Q. アコーディア・ゴルフ・ブランド導入後の
アコーディア・ゴルフの運営以前は、スタッフ全員が
客層の変化は?
忙しく、非効率的な仕事をしている印象がありました。
作業効率を改善し、さらにスタッフの士気を高め、モチ
当コースは、もともと地元である岐阜県の中心部の来
ベーションを持続させるため取り組んだのが、お客さま
場者が多いという特徴がありましたが、ブランド導入後
の目に触れる場所から清潔に、そして整理整頓をしてい
は、会員さまの紹介なしでインターネットを通じて予約
くことでした。約半年間かけて整理整頓のシステム作り
を開始したため、1時間から2時間程度で来場いただけ
によって、スタッフひとり一人の仕事に対する責任感も
る名古屋や飛騨高山、郡上八幡といった、遠方からのお
芽生え、スタッフの成長に繋がった結果、お客さまの満
客さまも増えています。現在、来場者の 12%程度は女
足度も向上したと思います。
柴山 広美 副主任
改修前
チェックアウトを導入して、お客さまの反応は?
会員さまは高齢者が多いこともあり、当初は戸惑う方
もいらっしゃいましたが、現在はポイントカードによる
チェックインが定着しています。お客さまにとって煩わ
しいチェックインが、「便利になった!」と多くの方が
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
性のお客さまですが、フロントまわりを明るく洗練され
た雰囲気に改修したため、女性のお客さまにも好評で、
さらに増加傾向にあります。
Q. 接客において、積極的に心がけていることは?
改修後
Q.ポイントカードによる、チェックイン&
4
ンレスの精算は、お客さまをお待たせする時間も短くな
るとともに、業務効率の改善に繋がっています。
スタッフの質や研修・教育など、どう向上しましたか?
チェックイン・チェックアウトの管理、
ゴルフ場のサービス説明
改修前
おっしゃいます。また、自動精算機の導入により、サイ
ポイントカードの導入後、スムーズなチェックインと
チェックアウトが可能になり、お客さまをお待たせして
いる間に、世間話をしながら接客するといった機会は減
少しましたが、お客さまに「また、美濃関でプレーした
い」と思っていただけるよう、明るい笑顔での接客を心
がけて親しみやすさを伝えています。
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
5
T ransition to the
A ccordia Golf Brand
ショップ担当
マスター室担当
コース管理担当
レストラン担当
横田 さやか 副主任
安田 正人 主任
可児 千治 コースマネージャー
長谷川 敬義 店長
接客(コーディネート)、
売場づくり
予約管理、
時間管理
コースの改善と科学的メンテナンスによる土壌改良、
整備方法について
フレキシブルに対応可能なセットメニューの導入、
接客
Q. 売場づくりで工夫している点は?
Q. 接客で心がけていることは?
Q. キャディを使わないセルフ率が上昇するなか、
Q. アコーディアの運営に変わってから、
プレー進行に対する取り組みは?
コースの改善とお客さまの反応は?
「golfrevo」を導入しております。また、売場にはゴルフ
現在は、プレー全体の約2割がキャディ付で、残り8
まず、取り組んだ散水システムの導入を完了して以降、
お客さまの声をメニューに反映させて、お客さまのニー
用品に留まらず、各ゴルフ場が立地している名産品もお
割がセルフプレーですので、お客さまにスムーズなプ
不必要な樹木の伐採を行っています。この作業を行うこ
ズにお応えできるよう、きめ細やかな対応を心掛けてい
土産として販売しており、美濃関では、関市の名産品で
レー進行を喚起するように心がけています。セルフプ
とで、芝のメンテナンスが行いやすくなります。ティグ
ます。特に会員さまなど、事前にお好みがわかっている
ある包丁や爪切りといった “ 刃物 ” も取り扱っています。
レーの場合も、キャディ経験者の方々にマーシャルを担
ランドまわりに不要な植栽があると、お客さまの出入り
場合は、お客さまの味覚に合わせることや、また女性向
コンペの賞品としてご利用いただくことや、ご自身やご
当してもらい、セルフプレーのお客さまを補佐していた
口が限られてしまい、一部の芝に負荷がかかり過ぎてし
けには品数を優先して、盛り付ける量を少なめにすると
家族へのお土産としても好評です。商品のレイアウトに
だくような運営をとっています。
まうため、改善しました。お客さまからは、すっきりと
いった対応もしています。
プロショップは、ゴルフ用品販売ブランドである、
地域の食文化を意識しながら、味付けや盛り付けなど、
はポップ等を使って、絶えず見やすい売場づくりを心が
けています。
Q. 売場リニューアル後の変化は?
して良くなったとのお褒めの言葉をいただいています。
Q. お客さまとの対応のなかで心がけていることは?
これからは、少し前方にレディースティを移動させ、コー
Q・アコーディア・ブランド導入後、
スマネジメントに不要なバンカーを撤去することによ
メニューに変化はありましたか?
お客さまに気持ちよくスタートしていただいて、安全
り、さらにプレーしやすい環境を提供したいと考えてい
で楽しいプレーを満喫してクラブハウスに戻ってきてい
ます。
運営開始以前は、30 品目程度あったメニューを簡素
ウェアに関しては、種類を増やすだけでなく、お買い
ただくというのが、私たちの一番大事な仕事です。お客
得な商品を随時ご用意するようにしています。ウェアは、
さまにもっとも近い、キャディ経験者がマスター室で補
Q. 科学的メンテナンスによる、
りました。お客さまから、とても選びやすくなったと好
特に女性のお客さまに人気があり、お友だちと一緒に揃
佐をするという運営方法が、とてもよく機能しています
コースコンディションの変化について
評です。また、セットメニューであっても要望があれば、
えることや、ご家族ご一緒に買い物をされる方もいらっ
ので、彼女たちが吸い上げてきたお客さまの貴重な声を
しゃるので、お気軽に利用いただける試着スペースを設
業務に活かし、より良いよい業務に向けて反映させてい
土壌分析や葉身分析といった、科学的なメンテナンス
導入後は、客単価の向上にも繋がりました。お客さま
けるなどの売り場づくりの工夫をしています。
きたいと思っています。
を取り入れることで、従来のように個人の勘や経験に頼
全体の 60 ~ 70%は、プレー料金に含まれている標準メ
るのではなく、分析結果の数値に基づいて、実際に必要
ニューを頼まれますが、プラス数百円でお好みのセット
な資材を、どの程度、どのタイミングで入れれば良いか
に変更することができますから、このサービスも多くの
が分かるため、適切なコース管理が行えるようになりま
お客さまに支持されています。
Q. 今後、目指していきたい店舗運営とは?
お客さまに値ごろ感を感じていただける価格で、お得
感をアピールしていきたいです。また、お客さまの声を
参考に、より豊富な品揃えを目指したいと思っています。
「試打会」や季節ごとのイベントも積極的に実施するな
ど、魅力的なショップ展開を行ってまいります。
Did You Know?
化し、セットメニューを導入して 10 品目程度にまで絞
単品のみの提供にもお応えしています。セットメニュー
した。その結果、無駄な作業が減り、年間を通して芝の
55.1
%
状態が安定し、ベストに近い状態を保てるようになって
きています。
アコーディア・ゴルフが運営する
ゴルフ場、ゴルフ練習場における
女性従業員の比率(2015 年 3 月期)
出所:アコーディア・ゴルフ
6
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
7
2
特
集
Chart 2
運営ゴルフ場の稼働率
中期経営計画の進捗
中期的に目指す企業像−アセットライト戦略による運営ゴルフ場のシェア拡大
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
2013
2014
2015
平日
56.4%
59.0%
61.2%
64.1%
67.1%
65.2%
68.2%
68.6%
67.9%
69.0%
休日
89.5%
89.9%
90.9%
92.7%
95.0%
94.9%
92.5%
94.6%
93.0%
95.5%
合計
67.1%
70.6%
70.8%
73.4%
76.3%
74.8%
76.1%
77.0%
75.8%
77.5%
92
92
92
92
89
87
86
82
80
80
ゴルフコース数
(注)2006 年3月末までに運営を開始していたゴルフ場
出所:アコーディア・ゴルフ
アコーディア・ゴルフは、日本のゴルフ市場の中期的
を順次、譲渡します。ゴルフ場の譲渡後も運営管理を続
要が創出されています。2000 年前後、多くのゴルフ場
な動向を踏まえ、アセットライトを活用した戦略を進め
けることで、継続的に運営受託収入を計上します。さら
が経営破たんし、需要に即したプレー価格への調整が進
ています。
に、ゴルフ場の取得と追加のアセットライトを積極的に
みました。その後、プレー人口が緩やかに減少する中、
ゴルフ人口の年齢分布から推察すれば、50 代以上の
進め、運営ゴルフ場の規模拡大と入場者数のシェア拡大
全国的にプレー料金は下落しました。一方、ゴルファー
ゴルファーが過半数に迫るなど、高齢化が進む一方で、
を図ります。
一人当たりの年間プレー回数は増加傾向にあります。運
30 代以下の若年層も 30%強存在しており、アクティブ
営年数が最も長いゴルフ場で構成したポートフォリオの
シニアゴルファーのプレー需要が続くうちに、若年層の
年間稼働率の推移においても、団塊世代が定年退職を迎
ゴルフへの関心を高め、プレー需要を増加させることが
経営目標は、アセットライト手法を活用し、運営受託
ゴルフ場を拡大し、安定的な成長を目指すことです。中
期的にゴルフ人口は緩やかに減少する見通しがあり、大
当面は、日本のゴルフ市場は安定局面に
都市圏近郊のゴルフ場を除き、ゴルフ場資産を保有し続
ゴルフ人口は緩やかに減少、若年層の増加を期待
えた 2008 年前後で、平日の稼働率の上昇が目立ってお
目下の取り組むべき課題です。2016 年リオデジャネイ
けることはリスクの増大を招きます。資産の保有機能を
2000 年以降の 15 年間を振り返ると、日本国内のゴル
り、アクティブなシニアゴルファーの旺盛なプレー需要
ロ五輪で、ゴルフは正式競技に再採用されました。2020
持つパートナーを組成し、収益が安定したゴルフ場資産
フ人口は、15 年間の平均で約9百万名と、安定した需
が背景にあると捉えています。
年東京五輪においてゴルフは、人気の高い競技の一つに
Chart 1
Chart 3
延べラウンド数・ゴルフ人口・プレー回数
年齢別ゴルフ人口の分布
9.9
10.5
9.6
7.0
9,000
10.9
10.9
10.7
10.1
9.5
21.2%
26.7%
29.0%
15.2%
14.8%
19.9%
18.1%
19.3%
18.6%
36.1%
8.0
21.0%
8,605
9,164
9,070
8,902
8,823
8,806
22.3%
8,709
8,674
8,432
30.8%
22.5%
20.6%
24.9%
19.1%
23.4%
1,290
2000
1,080
2005
890
2006
830
2007
950
2008
960
2009
810
2010
800
2011
790
2012
出所:一般社団法人日本ゴルフ場経営者協会、公益財団法人日本生産性本部 プレー回数=延べラウンド数/ゴルフ人口(当社算出)
8
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
860
2013
延べラウンド数
(万人)
ゴルフ人口
(万人)
プレー回数
(延べラウンド数 / ゴルフ人口)
23.6%
23.5%
22.6%
12.8%
0.7%
3.2%
13.2%
16.7%
0.6%
1986
4.0%
1991
48.5%
19.9%
16.3%
26.1%
17.8%
45.6%
37.3%
17.9%
11.4%
6.8%
1.4%
1996
3.3%
5.9%
9.5%
2001
2006
2011
50 代以上
20 代以下
30 代
40 代
50 代
60 代
70 代以上
出所:総務省「社会生活基本調査」
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
9
Chart 6
Chart 4
ビジネストラストの概要
都道府県別の人口動態と運営ゴルフ場数
2006
地 域
人 口
(千人)
変 化
2015
運営
ゴルフ場数
人 口
(千人)
運営
ゴルフ場数
人 口
(%)
運営
ゴルフ場数
関 東
41,642
37
42,797
54
2.8%
17
中 部
11,286
7
11,321
11
0.3%
4
近 畿
20,881
21
20,750
28
–0.6%
7
5,601
9,575
12,385
7,654
4,063
13,316
1,368
127,771
2
8
5
4
1
7
0
92
5,400
9,036
11,984
7,436
3,878
13,059
1,421
127,082
3
6
14
4
0
13
2
135
–3.6%
–5.6%
–3.2%
–2.8%
–4.6%
–1.9%
3.9%
–0.5%
1
–2
9
0
–1
6
2
43
北海道
東 北
東 海/北 陸/上信越
中 国
四 国
九 州
沖 縄
合 計
資産の投資・運用機能
ゴルフ場の資産
負債
アコーディア・ゴルフ・トラスト
(ビジネス・トラスト)
シンガポール証券取引所上場
匿名組合
出資
アコーディア・ゴルフ・アセット・マネジメント
(トラスティ・マネジャー)
アコーディア・ゴルフ・アセット 合同会社
株式保有 (49.0%)
投資 経営管理委託契約(運営受託収入)
ユニット保有 (28.9%)
(配当からの利益)
アコーディア・ゴルフ
アコ−ディア・ゴルフ・トラスト(AGT)グループ
出所:総務省統計局
なり注目度が増すと予想され、ゴルフに対する関心の高
ア拡大を目指しています。アコーディア・ゴルフでは、
さらに新規取得と続く循環モデル。
ある AGT の資金調達など条件に左右されるため、2015
まりが期待できます。
2009 年以降、立地の良さを重視した運営ゴルフ場のポー
このバリューチェーンを強固に構築することが、ゴル
年5月に公表いたしました期初計画には織り込んでいま
トフォリオの構築を進めてきました。
フ場の資産保有リスクを軽減しながら、運営ゴルフ場数
せん。今期の取得見込み、パイプラインを保守的に捉え
入場者数のシェア拡大を図るため、
ゴルフ場の新規取得は、2000 年以降続いてきた、複
の拡大を軸とした、安定成長に繋がります。
ており、取得見込み分を織り込んでいません。
国内は都市部を中心に新規取得を
数のゴルフ場を運営するゴルフ企業の経営破たんなどは
既に一巡し、都市部における単独の再生案件や大手企業
2016 年3月期の期初目標と乖離要因
Did You Know?
国内全体では、少子高齢化の影響を避けられませんが、
が保有する案件など、案件の引き合いが増加する傾向に
都道府県別の人口動態から都市部への人口流入傾向がう
あります。
新中期経営計画は、2017 年3月期を目標に定めており
かがえます。また、都道府県別の人口動態とゴルフ場の
新戦略の柱である、ゴルフ場の新規取得から、アコー
ます。その過程である、16 年3月期目標数値との主な差
年間延べ入場者の推移から判断すれば、南関東など人口
ディア・ゴルフ・トラスト(AGT)への譲渡、運営受託
異要因は、ゴルフ場の取得と売却コース数です。
が流入または維持する地域において、
運営ゴルフ場のシェ
収入の拡大、ゴルフ場資産の譲渡対価、資産効率の改善、
追加のアセットライト(売却)に関しては、取得側で
28.6%
ゴルフ用具の世帯普及率(2009 年)
「総務省統計局「2009 年 全国消費実態調査」
Chart 5
Chart 7
循環型ビジネスモデルのバリューチェーン
2016 年3月期 新中計数値との差異(百万円)
• ゴルフ場の保有から運営事業に特化し、運営ゴルフ場数の増加を進め、持続的な入場者数のシェア拡大
• 2017 年3月期までを目標に、ゴルフ場資産の簿価 400 億円程度の追加アセットライト施策を実行する準備
営業収益
償却前営業利益(EBITDA)
1 取 得
2 収益改善
3 売 却
4 譲渡対価
および譲渡益の
キャッシュ分配
5 経営管理
6 取 得
2016 年
3 月期
新中計数値
2016 年 3 月期
¥47,800
¥54,200
11,500
13,100
営業利益
7,400
8,500
EBITDA マージン
営業利益率
24.1%
15.5%
24.1%
15.8%
当期純利益
4,100
6,300
新中計最終年
2017 年 3 月期
主な差異
2015 年3月期取得遅れ
2016 年3月期取得効果
リテイルの減収
− 2,500
− 2,800
− 1,000
2015 年3月期取得遅れ
ゴルフ練習場
リテイルの減収
− 400
− 200
− 200
¥55,500
13,800
8,900
24.8%
16.1%
追加アセットライトに伴う、譲渡益 は
期初計画に織り込まず
6,400
Did You Know?
Chart 8
120 万人
年間ゴルフコンペ来場者数
出所:アコーディア・ゴルフ
アセットライトの効果(AGT の保有する 90 コース)
• アセットライト前
人件費
材料費
その他経費
10
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
• アセットライト後
マネージメント(支配人)
スタッフ
食材・資材など
Web 手数料など
当社負担
マネージメント(支配人)
出向派遣
AGT に請求
スタッフ
食材・資材など
Web 手数料など
AGT 負担
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
11
連結財務ハイライト
ゴルフ場の「月次情報」は、下記ホームページをご覧ください。
http://www.accordiagolf.co.jp/english/info/financial/monthly.php
1
株式会社アコーディア・ゴルフおよび連結子会社 3 月 31 日に終了した各会計年度 *
営業収益
63,909
営業利益
償却前営業利益(EBITDA)
EBITDA マージン
配当金
株主資本比率
百万円
百万円
%
円
%
7,331
百万円
12,863
20.1
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2015
会計年度:
営業収益 ■
営業収益
¥87,443
¥87,372
¥86,694
¥86,799
¥90,920
¥91,983
¥63,909
$532,575
営業費用
74,750
73,285
73,377
74,198
77,617
79,737
56,578
471,483
営業利益
12,693
14,087
13,317
12,601
13,303
12,246
7,331
61,092
EBITDA*
当期純利益
営業活動によるキャッシュ・フロー
19,164
21,399
20,665
20,392
21,328
20,513
12,863
107,192
8,511
10,438
8,121
11,294
6,025
4,617
6,015
50,125
12,472
14,895
14,864
14,934
14,284
11,557
(4,728)
(39,399)
投資活動によるキャッシュ・フロー
(21,134)
(17,776)
(13,981)
(10,548)
(11,753)
(5,013)
83,968
699,733
財務活動によるキャッシュ・フロー
8,295
812
(784)
(4,548)
(1,308)
(7,773)
(80,350)
(669,584)
現金及び現金同等物
5,435
4,664
4,763
4,601
5,824
4,595
3,485
29,042
設備投資
8,152
5,989
5,854
4,932
4,056
4,720
2,747
22,892
減価償却費(減価償却費 + のれん償却費)
6,471
7,313
7,348
7,791
8,025
8,267
5,532
46,100
¥228,235
¥242,304
¥249,868
¥253,494
¥265,044
¥262,961
¥157,775
$1,314,792
63,577
72,965
78,035
88,303
93,097
92,069
47,162
393,017
会計年度末:
株主資本
円
米ドル
EBITDA マージン
¥81.10
¥99.31
¥77.62
¥110.09
営業利益率
¥58.71
¥44.98
¥71.62
0.60
86,694
86,799
90,920
20,665 20,392
14.5
13,317
12,601
2012
13,303
2013
12,246
2014
7,331
2015
2011
720
延べ入場者数(万人)
9,070
9,164
8,806
8,432
8,674
8,709
8,692
2,442
2,445
2,432
2,413
2,405
2,392
2,350
37,175
37,481
36,209
34,947
36,069
36,408
—
—
1 ゴルフ場当たり延べ入場者数(人)
27.9
30.1
31.2
34.8
35.1
35.0
29.8
—
¥10,036
¥9,873
¥9,639
¥9,651
¥9,553
¥9,465
—
240
254
212
235
283
333
377
—
12.9
12.0
12.0
12.1
12.2
12.4
12.1
—
入場者数(千人)
604
1,393
1,789
2,416
2,642
2,980
3,468
—
打席回転率(回)
3.4
4.3
4.3
4.3
4.3
4.3
4.6
—
ポイントカードホルダー数(万人)
8
女性プレー比率(%)*
ゴルフ練習場関連
*1 本レポートの円表記(単位:百万円)は、単位未満を四捨五入しています。また、ドル表記は 2015 年 3 月 31 日時点の為替レートである 1$=120 円で換算しています。
*2 償却前営業利益(EBITDA)=営業利益+減価償却費+のれん償却費
*3 2013 年 10 月 1 日を効力発生日として、普通株式 1 株につき 100 株の割合をもって分割を実施しております。
*4 総資産利益率と株主資本利益率の算出には、それぞれ当期純利益を採用しています。総資産と株主資本は期首期末平均に基づいています。
*5 株主資本比率は期末時点に基づいています。
*6 保有および運営ゴルフ場を対象として集計しています。
*7 稼働率= 18 ホール当たり入場者/営業日数 × 200(名)
*8 2008 年 3 月期末保有 96 コース(除く売却コース)を対象として集計しています。
2014
1,260
8.6
¥10,516
客単価(円)
2013
860
5.0
—
2012
1,290
6.6
—
2011
790
13.6
811
2010
1,340
10.8
74.6
2009
800
15.3
785
2008
1,360
14.2
75.1
2015
810
—
788
2014
1,480
2.9
74.5
2013
960
1.7
757
2012
1,580
2.3
71.5
2011
950
4.5
746
2015
1,550
3.3
72.1
2014
3,330
4.4
740
2013
8,890
3.9
74.4
2012
3,400
ゴルフ場数
710
2011
9,010
5.54
70.8
2015
3,370
ゴルフ人口(万人)
稼働率(%)*7
2014
9,110
ゴルフ練習場(億円)
ゴルフ場入場者数(万人)*6
2013
3,340
0.34
ゴルフ場関連
2012
9,220
41.00
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
11.5
3,550
56.00
営業データ:
29.8
9,650
55.00
株主資本比率 *
31.2
3,590
12.00
5
47,162
10,000
10.00
株主資本利益率(ROE)*
4,617
4,000
10.00
4
22.3
10,550
10.00
総資産利益率(ROA)*
23.5
35.0
6,015
ゴルフ用品(億円)
配当金
4
23.5
20.1
ゴルフ場(億円)
—
財務指標(%):
35.1
34.8
6,025
日本のゴルフ場事業の市場環境
—
665.24
78,035
12,863
13.3
—
896.93
20,513
8,121
23.8
14.6
93,097 92,069
88,303
15.4
58.69
906.96
21,328
63,909
110.03
860.67
■
(%)
11,294
77.50
760.86
株主資本比率
■
91,983
99.03
693.77
(百万円)
■
80.76
604.98
株主資本 ■
当期純利益
(百万円)
(%)
当期純利益(希薄化後)
純資産
円
(%)
年度
1株当たり情報 *3:
当期純利益(基本)
9,465
万人
(百万円)
(百万円)
2011
総資産
811
償却前営業利益
(EBITDA)■
(百万円)
営業利益 ■
2
12
29.8
客単価
千米ドル *1
表示箇所以外百万円
2009
41
入場者数
2015 年度の経営環境は、年間を通して、団塊世代を中心に旺盛なプレー需要は安定して推移した一方、台風や集中豪雨
など天候不順の影響が例年に比べても生じたため、入場者数は前年度水準で推移いたしました。ゴルフ人口は、減少が続く
一方、地方を中心にゴルフ場の閉鎖や太陽光発電事業など用途変更などに伴い、ゴルフ場延べ入場者数は横ばいが続くなか、
ゴルファー1人当たりの年間プレー回数の増加傾向は、ゴルフ場の運営収益の安定性に寄与しております。
☀ 追い風
• 景気回復への期待感などを背景として、プレー需要やコンペ需要は安定した増加傾向
• 団塊世代のシニアゴルファーの平日におけるプレー需要の伸び
• ACCORDIA GOLF ポイントブラグラムの会員数の伸び
• 三大都市圏内に立地するゴルフ場における週末の客単価は上昇傾向
• 数年内に取得したゴルフ場の会員権販売に対する需要の高さ
☂ 向かい風
• 地方、都市外周部に立地するゴルフ場における客単価は下落傾向が続く
• 2014 年度をはじめ、近年は夏の台風の接近数が増加傾向や冬の大雪などが生じており、
天候不順が与える収益の下振れリスクが生じている
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
13
社長インタビュー
機関投資家との主な取材内容を掲載しています
Did You Know?
112 年
リオデジャネイロオリンピックで、
ゴルフが正式競技と復活するまでの期間
なお、1904 年セントルイスオリンピック
以来の開催
出所:国際オリンピック委員会
Q. 2014 年度は、アコーディア・ゴルフ・トラスト(AGT)
を組成するなどアセットライトを実施した変化の大きな
年でした。次の 10 年で目指す企業像とは、どのような
ものでしょうか。
鎌田 昨年は、ゴルフ場業界にとって、まったく新しい
ビジネスモデルである「循環型ビジネスモデル」の導入
など新たな挑戦をスタートさせた年でした。当社は、い
かに経営効率を高めていくかを第一に考えています。そ
れこそが企業価値を高め、株主利益を向上させることに
つながるからです。経営成果を表す指標として、昨年度
は 8.6%だった ROE(株主資本利益率)を、運営ゴルフ
場を中心とした収益構造に転換した際には、15%程度を
意識しております。
保有ゴルフ場を AGT へ売却し、売却で得た資金をゴ
ルフ場の取得資金に充当するとともに、株主還元を重視
していく基本方針には変わりはありません。
Q. 入場者数の動向に変化はあったでしょうか。業界全体
の概況も教えてください。
代表取締役社長
鎌田 隆介
14
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
鎌田 運営ゴルフ場の入場者数は、期初の予想通り、前
年度比3%増と順調に伸びました。三大都市圏(首都圏、
近畿圏、中部圏)に立地するゴルフ場は、天候不順など
の影響でキャンセルが目立つ時期もあったものの、概ね
予約は順調に推移しました。また、立地条件の良く収益
基盤が強いゴルフ場を中心に、週末や休日の単価を上げ
るなど、収益の最大化を図るレベニューマネジメントを
採用し、徐々に成果をあげ始めています。その一方で、
関東圏でいえば北関東などアクセスが悪いゴルフ場は単
価の下落も続き、地元のお客さまを取り込む戦略を進め
ています。
業界全体についていえば、2020 年にはプレー需要の
中核でもある団塊世代がゴルフからリタイアする年齢に
さしかかります。それまでに、いかに新たなゴルファー
を創造、創出するかが業界全体の大きな課題です。とは
いえ、2016 年のリオデジャネイロオリンピックからゴ
ルフが正式種目に再採用されるなど関心が高まりつつあ
り、若い世代にも、ゴルフに対する関心が高まっていく
と考えています。
Q. ここ数年、訪日外国人の旅行需要が急増しています。
ゴルフ業界、そして貴社での動向と取り組みについて教
えてください。
鎌田 東京オリンピックが開催される 2020 年に向けて
訪日外国人旅行者は増加傾向が続くとみています。それ
に伴い、当社でも海外ゴルファーへの対応を始めていま
す。昨年は自然体で、当社でも延べ1万人のプレー実績
がありました。
日本全体で見ると、韓国を中心にアジアからのゴル
ファーは増えていますが、国内全体では 8,600 万ラウン
ドの利用があるのに対し、海外からのゴルファーの利用
は1%にも満たないと推計されています。まずは、アジ
アのエージェントと提携や、旅行代理店とも協力し、力
を入れていきたいと考えています。
Q. アセットライト実施の過程で、ゴルフ場の営業上の支
障はなかったのでしょうか?
鎌田 当初はアセットライトの対象になったゴルフ場の
会員の方や従業員に戸惑いがあったようです。ですが、
各ゴルフ場で会員代表の組織である理事会の方々など
に、経営管理契約を締結しており、さらに会員の権利は
何も変わらないことを何度も説明し、ご理解いただきま
した。実際にアセットライトが実行されてからも、運営
は変わっていないため、お客さまにも従業員にも大きな
混乱は生じていません。
Q. 社長は、「循環型ビジネスの推進を実際に示していき
たい」と、良く話されています。今後の問題、課題につ
いて教えてください。
Q. 競争力の高いゴルフ場が多いこともあり、当面は景況
感の改善が追い風になりそうですが、オフシーズンであ
る夏や冬、雨など天候不順のときなどのキャンセル防止
策を実施されていますか。
鎌田 ビジネス・トラストに移行するゴルフ場は、土地
の権利関係の問題や建物の耐震性などで “ 治癒(回収)”
が必要な部分がありました。現在保有するゴルフ場につ
いても順次、計画的に治癒を進め、移行してまいります。
鎌田 ゴルフ場もインターネット予約が主流になってい
ます。当社の予約に占めるインターネット利用の割合は、
プレー全体の 42%にのぼります。予約が簡単に取れる
半面、キャンセルも簡単にできてしまいます。なかでも
多いのが、プレー日の一週間前、週間天気予報が発表さ
れた段階でのキャンセルです。今後はキャンセル防止に
ついての啓蒙活動を進めるとともに、雨天時に来場いた
だいたお客さま向けサービスを充実させるなど施策を進
めています。
Q. 2017 年3月期をメドに、簿価 240 億円規模のゴルフ
場資産のアセットライトを準備されているとのことです
が、どのようなタイプのゴルフ場をお考えでしょうか?
また、アセットライトの推進体制についても教えてくだ
さい。
Q. アセットライト戦略を実行されるうえで、もっともご
苦労されたことはどのようことでしょうか?
鎌田 ビジネスモデルをゴルフ場の保有から運営への特
化に転換すること、つまり保有と運営を切り離すことが、
いかに企業価値を高め、株主利益につながるのかを理解
してもらうまでには時間がかかりました。なかでも、ビ
ジネス・トラストのしくみを理解していただくことには、
かなりの時間を割きました。
鎌田 新たに取得するゴルフ場については、法的手続き
を取ったゴルフ場へのスポンサー候補としての入札、さ
らに、当社が実績を上げている大企業が保有するゴルフ
場の相対案件を確実に取得していく考えです。当社では
現在、ゴルフ場ポートフォリオの入れ替えを進め、三大
都市圏を中心に運営ゴルフ場を集約しています。昨年は
寄せられた案件は多かったものの、当社のポートフォリ
オに適さないゴルフ場が多かったことも事実です。事業
開発本部という取得専門部署を中心に、より精度の高い
情報収集を図っています。
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
15
Did You Know?
42.0%
年間ゴルフ場来場者数における
Web 予約比率(2015 年3月期)
なお、2010 年3月期は 24.5%。
出所:アコーディア・ゴルフ
Q. 現状では 40 コース程度を保有していますが、アセッ
トライトが完了するまでには、どの程度の期間を予定さ
れていますか?
鎌田 治癒(改修)を要する部分の手当が済みバリュー
アップできているものが 10 コース、バリューアップ中
のものが 10 コースほどあります。ゴルフ場を取得して
からバリューアップするまでに少なくとも3~4年の期
間が必要です。残りの 20 コースも、ほとんどがその過
程にあります。
Q. アセットライトのメリットとデメリットについて、改
めて教えてください。
鎌田 アセットライトのメリットは、資産の保有と運営
を切り離すことで企業価値を高め、株主利益を向上させ
ることにあります。ゴルフ場は取得から 30 ~ 40 年でリ
ニューアルが必要になるため大きな設備投資が必要にな
ることに加え、自然災害(地震など)が発生した場合に
その影響で運営が困難になる恐れもあります。これから
資産を保有し続けることのデメリットのほうが大きいと
言えるのではないでしょうか。
ROE をいかに高めるかについては、当社の創業時か
ら意識しています。一方、2,000 億円ものゴルフ場資産
を保有することで資産効率が悪化していったのです。昨
年、思い切ってアセットライト政策に舵を切り、実行し
たことで、確実に ROA や、ROE の向上につながってい
ます。特に、追加アセットライトの推進に伴い、運営受
託収入の増加を図ることで、利益率の改善を図ってまい
ります。
Q. 役員や経営陣へのインセンティブプランはありま
すか?
鎌田 今はございませんが、今後は検討していきたい
と考えています。その際、信賞必罰、メリハリのある
評価を行ない、経営効率を高めることにつながればと
思います。
Q. 配当と株主還元の考え方を、改めて説明してください。
鎌田 株主総還元率を設定し、配当ならびに自社株買い
を実施する方針に変更はありません。企業価値の向上を
念頭において、取り組んでまいります。
Q. ゴルフ場の新規取得や取得環境について教えてくださ
い。また、海外進出についてはどうお考えでしょうか。
Q. 取締役会など経営機能の強みは、数年前と比べてどの
ように変わっているのでしょうか?
鎌田 前述のとおり、昨年は将来の成長性が見えない案
件の持ち込みが多くありました。海外進出については、
ゴルフビジネスが活況である北米やアジアを中心に具体
的な案件があれば、ビジネス・トラストへの移行を前提
に取得を考えています。
鎌田 3 年前、社外取締役を過半数にしたことにより、
ガバナンスがしっかり機能しています。社外取締役は株
主目線で発言されるため、事業経営と株主目線との調整
にも一役買っています。その結果、株主、お客さま、債
権者、社員、取引先との関係を再構築し、バランスの取
れた経営判断をすることにもつながっています。企業価
値の向上にも貢献してくれるものと考えています。
Q. 財務戦略や借入規模は、いままでの規模を維持される
のでしょうか? また、ROE の向上に向けた取り組みに
ついても教えてください。
事業セグメントの状況と見通し
鎌田 財務戦略や借入規模は従来通りです。アセットラ
イト戦略の下、ビジネス・トラストに資産を売却し、余
剰が出た場合には、新たな投資を行う予定です。
16
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
17
ゴルフ場運営事業
営業収益の構成比
ゴルフ場におけるプレーフィなどプレーに関連
するゴルフ場の収益、会員収益、グループ外ゴ
ルフ場からの運営受託収入から構成されます。
特に、2015 年3月期からは、アセットライト手
法によって売却したゴルフ場を保有するアコー
ディア・ゴルフ・アセット合同会社から支払わ
れる運営受託収入が、重要な収益源となります。
営業収益
(百万円)
61,147 60,167 61,486 61,452
40,443
63.3%
2015
2011
2012
2013
2014
2015
都市部に集約するゴルフ場ポートフォリオ
当企業グループが運営するゴルフ場 134 コースは、首
都圏など三大都市圏に 71%が立地し、その他の地域で
も、広島県や福岡県などの都市部近郊に立地しています。
2015 年3月期には、収益性の向上が見込める京都府の
ゴルフ場1コース(18 ホール換算で2コース)を取得
しました。景況感の改善とともに、不動産市況に対して
遅行性が見られるゴルフ場の取得対象案件は、増加傾向
にあります。さらに、コーポレート・ガバナンスに対す
る大企業の意識の高まりに伴い、各社が保有する非主流
部門であるゴルフ場の売却打診の増加も期待され、慎重
かつ大胆にゴルフ場の取得を進めていきます。
運営受託収入
AGT に譲渡したゴルフ場をはじめ、今後、追加で譲渡
するゴルフ場に関しても、基本的には当社が運営管理を
担い、この対価として運営受託収入を計上します。固定
報酬が 6 割、変動報酬が4割で構成されており、粗利益
率は約 80%程度です。収入に対する、主な費用は、運
営管理を担う本部マネジャーおよび経理業務や労務管理
などバックオフィス部門の人件費です。
会員収益
2014 年4月の消費増税の影響に伴う、駆け込み需要
の反動が見られたものの、ここ数年間に取得したゴルフ
場の会員権に対する需要は高く推移したため、入会金収
入は想定通りの収益を計上しました。一方、会員さまの
高齢化を背景として、退会に伴う年会費収入が、ここ数
年弱含んでいるため、会員さまの新規募集を進め、一定
の収益規模を維持する方針です。
営業収益(百万円)
2014
2015
2016(計画)
ゴルフ場運営
¥61,452
¥40,443
¥28,600
コース売上
¥52,330
¥31,427
¥19,100
会員収益
¥ 9,121
¥ 5,111
¥ 3,400
ゴルフ場のアセットライトに伴う収益構造の変化
2014 年 8 月、ゴルフ場 90 コースを売却したため、8
月以降の8ヶ月分のコース売上と会員収益の一部が減
少、一方、8 ヶ月分の運営受託収入が増加しています。
天候要因の影響を受けながらも、入場者数は強含み
お客様にリーズナブルな価格で価値のある商品・サー
ビスを気軽に楽しんでいただける仕組みの構築を進めて
います。ゴルフ場ブランドの構築や当社独自のポイント
プログラムの実施などのお客様集客策に取り組んで進め
ており、景況感の改善を追い風に、プレー需要は堅調に
推移しました。都市部近郊を中心に立地する当社の運営
ゴルフ場に対するプレー需要の高さを実証しています。
18
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
一方で、屋外スポーツであるゴルフは、天候要因による
影響を受けやすく、主に昨年8月および 10 月の台風は、
プレーのキャンセルや営業日数の減少に伴う収益機会の
損失を招きました。運営ゴルフ場におけるゴルフ場の入
場者数は、811 万人(前連結会計年度比、3.3%増・26
万人増加)となりました。
運営の取り組み
当企業グループが運営するゴルフ場の 88%を占める
アコーディア・ゴルフ・ブランドのもと、「サービス 4
原則」の徹底をはかり、サービスレベルの向上に努めま
した。スループレー、乗用カートのフェアウエー走行な
ど、新しいゴルフサービスを提案してきました。また、
お客さまの特性、ゴルフ場施設の特性などを基にゴルフ
場をグループ分けして、運営標準モデルを設定し、サー
ビスの最適化を図っています。さらに、過去の稼働率や
客単価など運営実績を基に、需要予測の概念を取り入れ、
適正かつ最適な価格設定とプレー枠の販売を管理し、収
益性の強化に繋げ、実績を上げ始めています。
主な取り組みと今後の展開
経営環境
震災に伴うプレーの自粛が生じた 2011 年をボトムと
して、国内の年間延べ入場者数は回復傾向が続いてお
り、当面は安定したプレー需要が推移すると想定してい
ます。
また、レジャー白書による、国内ゴルフ人口の推計値、
2013 年は 860 万名であり、これを基に、当社が算出し
たゴルファー1名当たりの年間プレー回数は、約 11 回
程度と、2000 年前半の7回に比べて増加傾向であり、
シニア層を中心とした需要を維持しています。
ゴルフ場のアセットライトに伴う、収益構造の変化
AGA が保有するゴルフ場 90 コースのスタッフなど人
件費、食材など材料費など運営に帰属する費用は、AGA
が負担しています。
さらに、当社は、ゴルフ場 90 コースの運営管理を担
うため、支配人など管理者を出向派遣しており、これら
人件費も AGA が負担しています。
Did You Know?
157.1コース
運営ゴルフ場を1コース 18 ホール
換算したコース数
(2015 年3月期末)
出所:アコーディア・ゴルフ
基本的な運営方針
立地が良く、プレー需要が豊富な大都市圏のゴルフ場
に関して、空き枠への新規顧客の獲得をテーマとして、
週末は最適な単価設定と稼働のバランスを図り、売上の
最大化を図ります。また、平日は競争力ある単価設定で
稼働重視を図りつつ、平日の需要を喚起するためのキャ
ンペーンなど施策を進め、リピート率の向上を意識して
います。
一方、首都圏でも北関東など都市外周部や地方に立地
するゴルフ場は、引き続き競争が厳しい状況です。平日
の北関東は、東京から捉えて、立地条件では有利な埼玉
県など南関東に立地するゴルフ場と価格競争が生じてお
り、ネット予約を活用したオープン型マーケティングか
ら、地元のお客さまを重視していく、クローズド型マー
ケティングを進めており、収益の維持を図っています。
ポイントカードが繋ぐゴルフ総合サービス、
ゴルフ場 Web 予約の強化
推計の国内ゴルフ人口 860 万人に対して、377 万人の
カードホルダーの規模を持つ「ACCORDIA GOLF ポイン
トプログラム」。お客さまの利便性を高めるだけでなく、
ゴルフ場の来場実績などビッグデーターを活用した集客
戦略の根幹を担っています。さらに、ゴルフ場を中心と
して、ゴルフ練習場、レッスン、プロショップを連携さ
せるツールとして、ワンストップのゴルフサービスを提
供し、幅広いゴルフ関連の需要を取り込んでいます。
また、年々、予約チャネルとして利用が増加し続ける、
Web 予約。2015 年3月期には、年間入場者数の 42%を
占めています。当社では、自社の予約サイト「アコーディ
ア Web」の利用促進を強化し、ベストレート保証制度
を導入、Web 経由のコンペ予約でのポイント付与キャ
ンペーンなど、ポイントカードと自社予約サイトの結び
つきを強めています。
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
19
レストラン
ゴルフ用品販売
営業収益の構成比
営業収益の構成比
営業収益
営業収益
(百万円)
(百万円)
19,585 19,847
16,900 17,645
ゴルフ場内のレストランとコース売上収益(レス
トラン運営子会社のグループ外ゴルフ場レストラ
ンの運営受託収入を含む)で構成されます。
12,638
19.8%
2015
営業収益(百万円)
2014
2015
¥19,847
¥12,638
2016(計画)
¥8,400
ゴルフ場のアセットライトに伴う収益構造の変化
2014 年8月、ゴルフ場 90 コースを売却したため、8
月以降の8ヶ月分のレストラン売上の一部が減少してい
ます。一方、8ヶ月分の運営受託収入が増加しています。
コンペの増加に伴う、パーティ需要の増加
景況感の改善、さらに 2014 年 11 月から 2015 年3月
まで実施した、コンペ予約時における幹事さまへのイン
センティブ施策を行い、コンペ需要が堅調に推移したた
め、パーティ需要が増加しました。
20
2011
2012
2013
食品衛生のさらなる安全性の向上
衛生マニュアルや衛生マネジメントによる管理を進め
るなか、衛生に関する外部機関の立ち入り確認や、衛生
マニュアルの改訂を図るなど安全性の向上に取り組んで
います。
Did You Know?
670 t
約
食材仕入れコストの上昇傾向に対する対応
円安の進行などに伴う、仕入れコストの上昇が懸念
される中、各店舗が共通利用する食材の取引には集約
ゴルフ場レストランにおける
米の年間消費量(2015 年3月期)
出所:アコーディア・ゴルフ
3,575
2011
2012
4,408
2014
2015
6.9%
ゴルフ場やゴルフ練習場に併設するプロショップ
における、ゴルフ用品販売収益で構成されます。
2015
2015
余地があるため、2015 年3月期は仕入れコストの上昇
分を吸収。今後、需要に基づくメニュー価格の最適化や、
取引の集約を進めさらなる仕入れコストの低下を進め
ます。
主な取り組みと今後の展開
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
2014
3,502
4,363
3,985
2013
主な取り組みと今後の展開
営業収益(百万円)
2014
2015
¥4,363
¥4,408
2016(計画)
¥4,500
ゴルフ場のアセットライトに伴う収益構造の変化
2014 年8月、ゴルフ場 90 コースを売却いたしました
が、リテイル事業はアセットライトの対象外であるため、
収益に大きな変更は生じていません。ゴルフ用品販売子
会社は、アコーディア・ゴルフ・アセット合同会社(AGA)
と、ゴルフ用品販売に関する業務委託契約を締結してお
り、売り場面積に応じて、賃料を支払っています。
消費増税の影響
2014 年4月の消費増税前に、高額品であるゴルフク
ラブなどに駆け込み需要に伴う反動が、通年にわたって
消費の減退に繋がるなか、ゴルフ場に出店する強みを生
かして、ボールなど消耗品を中心に、需要の積み上げを
図りました。
リテイル・ブランドの展開による需要の喚起
ゴルフ場やゴルフ練習場における、本格的なゴルフ用
品の販売店として、競合するゴルフ用品専門店や量販店
にそん色のない品揃えなど、
年々、
売上を伸ばしています。
お客さまに対して、ゴルフ用品専門店としてのブランド
イメージを確立し、豊富な商品知識に基づく接客サービ
スやクラブやシューズのフィッティングなど、ブランド
に基づくサービスの充実を進め、販売スタッフの品質向
上とお客さまの購買意欲の喚起を図っていきます。
Did You Know?
23,000 本
アコーディア・ゴルフ・グループにおける、
ゴルフクラブの年間販売本数(2015 年3月期)
出所:アコーディア・ゴルフ
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
21
その他
ゴルフ場とゴルフ練習場のご案内 (135コース + 28練習場)
(2015年7月31日現在)
= アセットライト施策によりビジネス・トラスト(アコーディア・ゴルフ・アセット合同会社)に譲渡した当社運営ゴルフ場
営業収益の構成比
営業収益
10.0%
ゴルフ練習場収益、ゴルフ場に併設するホテル収
益などで構成されます。
北海道・東北エリア
(百万円)
5,144
5,412
5,864
6,320
6,418
北海道
千歳カントリークラブ
大沼レイクゴルフクラブ
樽前カントリークラブ
宮城県
宮城野ゴルフクラブ
花の杜ゴルフクラブ
おおさとゴルフ倶楽部
2015
2011
2012
2013
2014
2015
山形県
山形南カントリークラブ
福島県
小名浜オーシャンホテル&ゴルフクラブ
リベラルヒルズゴルフクラブ
関東エリア
茨城県
水府ゴルフクラブ
石岡ゴルフ倶楽部
霞台カントリークラブ
取手桜が丘ゴルフクラブ
石岡ゴルフ倶楽部
ウエストコース
セントラルゴルフクラブ
NEW コース
セントラルゴルフクラブ
水戸・ゴルフ・クラブ
土浦カントリー倶楽部
ワイルドダックカントリークラブ
栃木県
営業収益(百万円)
2014
2015
¥6,320
¥6,418
2016(計画)
¥6,300
ゴルフ場のアセットライトに伴う収益構造の変化
2014 年8月、ゴルフ場 90 コースを売却いたしました
が、当初は、ゴルフ練習場はアセットライトの対象外で
す。ゴルフ場に併設されたホテル収益の一部が減少して
います。
ゴルフ練習場の既存店収益が堅調
快適な練習環境の提供をコンセプトとして、最新の打
席システムやボール、マットを揃えるとともに、スタッ
フのサービス向上などに伴い、出店する地域でお客さま
に支持され、既存店の入場者の増加に繋がりました。
ゴルフ場とゴルフ練習場間での相互利用を促す施策も
効果が出ています。
主な取り組みと今後の展開
グレンオークスカントリークラブ
青島ゴルフ倶楽部
双鈴ゴルフクラブ
土山コース
レインボースポーツランド
ゴルフクラブ
大津カントリークラブ
東コース
鹿児島県
大津カントリークラブ
西コース
沖縄県
オーク・ヒルズカントリークラブ
成田ゴルフ倶楽部
ニュー南総ゴルフ倶楽部
南市原ゴルフクラブ
ラ・ヴィスタゴルフリゾート
かずさカントリークラブ
鴨川カントリークラブ
成田東カントリークラブ
千葉桜の里ゴルフクラブ
佐原カントリークラブ
東京湾カントリークラブ
アクアラインゴルフクラブ
花生カントリークラブ
東京都
相武カントリー倶楽部
神奈川県
大厚木カントリークラブ
本コース
大新潟カントリークラブ
三条コース
金沢セントラルカントリー倶楽部
喜連川カントリー倶楽部
福井県
群馬県
フクイカントリークラブ
妙義カントリークラブ
越前カントリークラブ
ノーザンカントリークラブ
上毛ゴルフ場
山梨県
ノーザンカントリークラブ
赤城ゴルフ場
岐阜県
関越ハイランドゴルフクラブ
埼玉県
さいたまゴルフクラブ
おおむらさきゴルフ倶楽部
こだま神川カントリークラブ
彩の森カントリークラブ
玉川カントリークラブ
ノーザンカントリークラブ
錦ヶ原ゴルフ場
千葉県
房州カントリークラブ
レイクフォレストリゾート
大阪府
堺カントリークラブ
きさいちカントリークラブ
泉佐野カントリークラブ
岬カントリークラブ
兵庫県
山の原ゴルフクラブ
東条パインバレーゴルフクラブ
広陵カントリークラブ
藤岡ゴルフクラブ
加茂カントリークラブ
北陸・東海・甲信越エリア
石川ゴルフ倶楽部
甘楽カントリークラブ
亀岡ゴルフクラブ
神戸パインウッズゴルフクラブ
新潟県
大月ガーデンゴルフクラブ
美濃関カントリークラブ
新陽カントリー倶楽部
フォレストみずなみカントリークラブ
サンクラシックゴルフクラブ
静岡県
三島カントリークラブ
伊豆国際カントリークラブ
愛鷹シックスハンドレッドクラブ
十里木カントリークラブ
愛知県
キャッスルヒルカントリークラブ
つくでゴルフクラブ
三重県
鈴鹿の森ゴルフクラブ
名松・ゴルフクラブ
藤原ゴルフクラブ
双鈴ゴルフクラブ 関コース
ルート 25 ゴルフクラブ
アコーディア・ゴルフガーデン
霞ゴルフクラブ
習志野カントリークラブ
空港コース
四日市の里ゴルフクラブ
フォレスト芸濃ゴルフクラブ
湯の浦カントリー倶楽部
ザ・サザンリンクスゴルフクラブ
パームヒルズゴルフリゾートクラブ
協和ゴルフクラブ
小田原ゴルフ倶楽部
松田コース
皆川城カントリークラブ
ツインレイクスカントリー倶楽部
グランベール京都ゴルフ倶楽部
猪名川グリーンカントリークラブ
石川県
緑野カントリークラブ
京都府
大厚木カントリークラブ
桜コース
大平台カントリークラブ
寄居カントリークラブ
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
宮崎県
滋賀県
関東国際カントリークラブ
秩父国際カントリークラブ
22
近畿エリア
大新潟カントリークラブ
出雲崎コース
ヴィレッジ東軽井沢ゴルフクラブ
スクール事業の拡大
アクティブゴルファーを創出および、次世代のゴル
ファーを育成するため、統一されたプログラムに基づく
レッスンと、ゴルフ場におけるコースレッスンが支持さ
れているスクール事業。スクール生の増加による積み上
げと、スクール在籍者向けレッスン会やコンペ開催など
魅力的なイベントを展開していきます。
習志野カントリークラブ
キング・クイーンコース
猪名川国際カントリークラブ
やしろ東条ゴルフクラブ
加西カントリークラブ
播磨カントリークラブ
愛宕原ゴルフ倶楽部
白鷺ゴルフクラブ
タカガワオーセントゴルフ倶楽部 *
奈良県
万壽ゴルフクラブ
奈良万葉カンツリー倶楽部
奈良の杜ゴルフクラブ
大和高原カントリークラブ
和歌山県
ラビーム白浜ゴルフクラブ
中国エリア
広島県
広島安佐ゴルフクラブ
竹原カントリークラブ
本郷カントリー倶楽部
山口県
山陽国際ゴルフクラブ
九州・沖縄エリア
福岡県
かほゴルフクラブ
福岡フェザントカントリークラブ
セントラル福岡ゴルフ倶楽部
二丈カントリークラブ
長崎県
長崎パークカントリークラブ
佐世保国際カントリー倶楽部
ゴルフ練習場・インドアゴルフ練習場
宮城県
アコーディア・ガーデン仙台泉
茨城県
アコーディア・ガーデン水戸
埼玉県
アコーディア・ガーデン春日部
アコーディア・ガーデン鶴ヶ島
群馬県
アコーディア・ガーデン藤岡
千葉県
アコーディア・ガーデン柏
アコーディア・ガーデン四街道
サンビック
アコーディア・ガーデン千葉東金
アコーディア・ガーデン千葉北
アコーディア・ガーデン船橋
小田急志津ゴルフクラブ
東京都
アコーディア・ガーデン南青山
アコーディア・ガーデン東京ベイ
アコーディア・ガーデン調布
神奈川県
アコーディア・ガーデン茅ヶ崎
愛知県
アコーディア・ガーデン瀬戸
アコーディア・ガーデン名古屋
福井県
アコーディア・ガーデンフクイ
大阪府
アコーディア・ガーデン柏原
兵庫県
アコーディア・ガーデン神戸北町
アコーディア・ガーデン加古川
アコーディア・ガーデン甲子園浜
アコーディア・ガーデン西神
奈良県
アコーディア・ガーデン帝塚山
広島県
アコーディア・ガーデン広島中央
福岡県
アコーディア・ガーデン福岡
ハウステンボスカントリークラブ
熊本県
菊池カントリークラブ
大分県
天瀬温泉カントリークラブ
ゴルフ場のご案内サイト
別府の森ゴルフ倶楽部
http://www.accordiagolf.com/guide/
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
23
コンプライアンスの実践的な取り組み
コンプライアンス ハンドブック
アコーディア・ゴルフ・グループは、2012 年 5 月に
コンプライアンス体制を抜本的に見直すとともに、ゴル
フ場運営事業の実態に即した継続的かつ実践的なコンプ
ライアンスに取り組み、働きやすい職場環境の整備に取
り組んでいます。
問題に関しては、内部通報先に指
定した当社顧問弁護士、役員のコ
ンプライアンス問題に関しては
特別コンプライアンス委員会の
外部の法律事務所の弁護士に対
して行うことができます。なお、
通報者の保護には充分努めてい
ます。
通報内容における最近の特徴
は、従業員間におけるパワー・ハ
ラスメントなどハラスメント行
為が発生しており、職場間におけるコミュニケーション
の充実を図る環境づくりに努めるなど、内部通報制度の
強化によって、働きやすい職場環境の整備に取り組んで
います。
基本方針
アコーディア・ゴルフ・グループに適用されるコンプ
ライアンス・ポリシーにおいて、企業行動憲章および行
動規範を定め、法令の遵守にとどまらず社会の構成員と
して、企業人に求められる価値観や倫理観に即した企業
活動を行うことを社会的責任と考えております。
コンプライアンスシステム
(1)特別コンプライアンス委員会の常時設置
当社の取締役のコンプライアンス調査を主目的とする
取締役会の諮問機関として、常設の特別コンプライアン
ス委員会を設置しています。
特別コンプライアンス委員会の委員長は、当社社外取
締役が務め、重大なコンプライアンス違反がある場合は、
一定の要件の下で、当該行為の緊急停止命令権を有しま
す。また、委員には 1 名以上の社外者(外部の有識者)
を登用して調査方法および調査結果について助言を受け
るほか、特別コンプライアンス委員会の顧問として外部
の法律事務所の弁護士を指定し、当該弁護士は内部通報
先の一つとなります。
(2)内部通報制度(ホットライン)の充実
役員および従業員は、コンプライアンス・ポリシー上
の問題および問題を引き起こす可能性のある全ての行為
を報告する義務があります。報告は、上司または各コン
プライアンス委員会のほか、従業員のコンプライアンス
(3)コンプライアンスの推進
コンプライアンス委員会および特別コンプライアンス
委員会は、法、定款、社規則にのみ従うこととし、判断
基準の拡散を防ぎます。また、両委員会は、コンプライ
アンス体制の維持、ならびに役職員によるコンプライア
ンス意識の浸透およびルールの遵守を徹底し、両委員会
により自主的に、または内部通報制度を通じて発見され
たコンプライアンスに関する問題の調査および必要な対
応策を実行しています。
毎年「コンプライアンスハンドブック」を活用した、
新入社員を対象とした研修会を実施、また 2013 年 11 月
には、コンプライアンスに関する従業員アンケートを実
施し募ったアンケート結果を基に、健全な労務管理の徹
底やハラスメント行為の禁止に関する通達を発するなど、
従業員一人一人のモラルの向上を図りました。さらに、
個人情報漏えいと防止をテーマとした研修会を行うなど、
継続的なコンプライアンスの推進活動を行っています。
コーポレート・ガバナンス
コンプライアンス体制
代表取締役社長執行役員
• 任命
取締役会
• 報告
• 任命
• 報告
コンプライアンス委員会
特別コンプライアンス委員会
委員長:社外取締役
委 員:1 名以上の独立した社外の有識者を含む
顧 問:外部法律事務所の弁護士
(役員に関するコンプライアンス問題を対象とする)
委員長、副委員長、委員で構成
(アコーディア・ゴルフ・グループのコンプライアンス問題
を対象とする)
• 教育
• 点検
• 指揮
• 命令
• 再発防止
• 報告
• 報告
上司
• 相談
• 通報
• 報告
• 報告
社外相談・報告窓口(弁護士)
• 相談
• 通報
• 相談
• 報告
• 役員に関する
通報
• 緊急停止
命令権
社内・社外相談・報告制度
役員・従業員(グループ会社含む)
• 啓発研修活動
• 違反の予防
• 委員会決定事項等の周知徹底
コンプライアンンス推進室の設置(グループ全体を網羅する)
(各本部の総括本部長および事業部長クラス)
24
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
25
所定限度額内のゴルフ場・ゴルフ練習場の取得などにつ
いては、特別取締役の決議によることができるものとし
ております。なお、取締役会には監査役が出席し、必要
に応じて意見を述べております。
2014 年 8 月に実施いたしました「ビジネス・トラス
トによるアセットライト」の実施に際しましては、業務
執行側の取締役と多様なキャリアを持つ社外取締役が、
定時および臨時取締役会の開催が 30 回を数え、さらに
情報の共有や知識の習熟を目的とした取締役による勉強
会を別途、開催するなど活発な議論を展開し、企業価値
の向上や株主利益の追求、さらに企業の永続性などの観
点から真摯に行動いたしました。
企業価値の最大化の基盤として
アコーディア・ゴルフは、株主さま、お客さま、従業
員等のステークホルダーの信頼にお応えするとともに、
健全で透明性が高く効率的な経営による企業価値の最大
化を図っております。これら経営に対して、独立した社
外取締役の選任と監査役会との連携による監督機能の強
化を図り、その手段として内部統制システムを運営する
ことにより、コーポレート・ガバナンスコーポレート・
ガバナンス体制を構築しております。
現状のコーポレート・ガバナンス体制を選択している理由
当社は、大会社、公開会社としてステークホルダーの
信頼に応えるとともに健全で透明性が高く効率的な経営
による企業価値の最大化を図るために次の企業統治の体
制を採用しました。なお、当該企業統治の体制を採用す
る理由は、当社の業容および特性に合わせて、これまで
とおり、社外取締役および社外監査役を継続的に選任す
ることに加え、特別コンプライアンス委員会およびコン
プライアンス委員会のチェック機能の独立性を含めた強
化により当該体制が機能すると認識しているためであり
ます。
業務執行のあり方
当社は、執行役員制度を導入しており、経営の意思決
定・監督機能と業務執行機能を分離・強化することで迅
速な意思決定と事業遂行を実現し、経営の健全性と効率
性の向上を図っております。
なお、当企業グループは、様々な組織再編を通じて、
グループの経営管理・運営を担う当社とゴルフ場・ゴル
フ練習場を所有・経営する子会社群から構成されており、
グループ全体の経営監督機能の強化のため、原則として
子会社の取締役は当社取締役が兼務しております。
また、経営の機動性と透明性を確保するため、役付執
行役員を構成員とする経営会議を設置し、取締役会付議
事項の予備協議および重要な会社の業務執行に関する事
項を社長決裁するための諮問機関とし、重要事項の調査、
立案、検討、実施結果の把握を行っております。一方、
執行役員で構成される執行役員会議は、社長の業務執行
方針を受け、経営上の業務執行に関する重要事項の協議
と報告を行っております。
なお、経営会議と執行役員会議には常勤監査役が出席
し、必要に応じて意見を述べております。
独立性の高い社外取締役が 6 割で構成される取締役会
当社の取締役会は、取締役 10 名のうち監督機能を強
化するため、独立性を確保している社外取締役は 6 名と
過半数を占め、また男性 9 名・女性 1 名で構成されるな
ど、取締役のダイバーシティを確保し、当社以外でのキャ
リアを持つ人材の登用および女性の登用に配慮すると共
に、会社の職務執行を決定および取締役の職務の執行を
監督しております。
また、投資に関する迅速な意思決定を行う目的で、特
別取締役制度を導入し特別取締役 4 名を置き、会社法第
362 条第 4 項第 1 号および第 2 号に掲げる事項のうち、
取締役会の構成
各会議の開催状況
取締役会の開催時間(年間)
(回)
(時間)
26
86.8
23
21
67.6
14
60%
■ 社外取締役
0
16
33
5
6
16
16
2011
2012
■ 取締役会
2013
0
30
2014
49.9
2
25
2015
15.7
17.0
2011
2012
2013
2014
2015
コーポレート・ガバナンス体制
株主総会
取締役の選任・解任
監査役の選任・解任
会計監査人の
選任・解任
監査役会(監査役)
監査
取締役会
連携
報告
会計監査人(監査法人)
委員の選任・解任
選定
解職
監督
特別コンプライアンス委員会
指名委員会
監査
連携
会計監査
ガバナンス委員会
代表取締役社長執行役員
内部監査室
経営会議(役付執行役員)
執行役員会議(執行役員)
コンプライアンス委員会
人事委員会
危機管理委員会
CSR 委員会
情報管理委員会
サービス向上品質管理委員会
企業価値向上委員会
投資委員会
指揮
命令
内部監査
アコーディア・ゴルフ各本部・各部門・グループ会社
指名委員会
厳正なプロセスに基づき、役員改選期における取締役
および監査役の候補者を指名すること等を目的として、
一部の外部有識者も参画した指名委員会を 2013 年5月
に設置しています。
ガバナンス委員会
コーポレート・ガバナンスコーポレート・ガバナンス
コーポレート・ガバナンス・コードへの対応状況や企業
統治体制や方針に係る事項を審議し、当社のコーポレー
ト・ガバナンスコーポレート・ガバナンス体制の充実を
図ることを目的として、ガバナンス委員会を 2015 年6
月に設置しています。
経営全般に対する監査機能を発揮する
監査役、監査役会
2014 年 3 月期末の監査役の員数は、常勤監査役 1 名・
非常勤監査役 3 名、また男性 4 名の社外監査役 4 名で、
補助するスタッフは 1 名です。
監査役会は、監査の方針、方法、職務分担を決定し、
各監査役から監査状況の報告を受け協議のうえ監査報告
書を作成します。監査役は、取締役会・経営会議・執行
役員会議他の重要会議に出席し、代表取締役と定期的(隔
月)に連絡会を持ち、取締役等から業務の報告を聴取し、
ゴルフ場・ゴルフ練習場の往査を行うなど、経営全般に
対する監査機能を発揮しています。
■ 特別取締役会
■ 監査役会
26
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
27
監査役インタビュー
對田恒雄(たいだ
つねお)
常勤社外監査役
ソニー株式会社、テルモ株式会社などにおいてマネジメントを経験するなど、
長年の企業経営のキャリアを持つ
日本企業を取り巻く環境は、2014 年から 2015 年にかけて、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の改革、コー
ポレート・ガバナンス・コードの導入に代表されるガバナンス改革が急速に進みました。そうした環境の変化への対
応を含めてお聞かせください。
Q. そもそも日本の監査役制度の利点と制度の限界について、どうお考えでしょうか。
日本では形式重視の誤ったコーポレート・ガバナンスの強化が進んでいますが、監査役制度は非常に考えられた
制度で、監査役制度を維持することが、日本でコーポレート・ガバンナンスを正しく機能させるのには最適な制度
だと考えています。監査役の仕事はまじめにやればやるほど大変な仕事であり、監査役のみなさまに期待するとこ
ろ大です。
Q. ゴルフ場を収益構造とする企業の監査役として、職務上最も重視していることは。
ゴルフ場の業務は広範囲に及んでいるため、内部監査室との連携を重視している。当社の内部監査室は 100 を超
えるチェック項目を監査し、5段階での評価を実施しています。また、毎月監査役会へ出席し監査結果を報告してい
ます。
内部監査および監査役監査の組織、人員および手続
内部監査の担当部門である内部監査室は、独立性を確
保するため社長直轄とし、専任のスタッフは 2015 年 3
月期末 5 名で構成されています。内部監査室は、子会社
を含む事業所および本社各部署を対象に、内部監査計画
に基づき業務監査を実施しております。内部監査終了後
は速やかに監査報告書を作成して社長に報告し、被監査
部門に対して問題点の改善指導を行っています。
会計監査の状況
当社は、有限責任監査法人トーマツと監査契約を締結
し、会計監査を受けております。会計監査人からは毎期
監査計画と監査体制について説明を受け、各四半期監査、
期末監査終了後に監査実施状況や監査上の重要事項につ
いて説明を受けています。これら定期的な会合以外に重
要事項については随時協議し連携をとっています。
• 業務を執行した公認会計士の氏名、
所属する監査法人名
板垣 雄士(有限責任監査法人トーマツ)
小口 誠司(有限責任監査法人トーマツ)
• 監査業務に係る補助者の構成
公認会計士 4 名、その他3名
取締役会に必ず出席すること、審議事項や報告事項の内容に少しでも疑問があれば必ず質問、確認を行うこと。重
要な決議事項の場合、十分な審議が尽くされたかどうか見極めることです。
取締役
4名
118,343 千円
社外取締役
7名
44,215 千円
社外監査役
4名
33,517 千円
株主総会と議決権行使の状況
当社では、招集通知の発送を株主総会日の約 3 週間前
とするほか、要約版招集通知の英文版を作成いたしてお
ります。また、株式会社 ICJ が運営する機関投資家向け
議決権行使プラットフォームへの参加や電磁的方法(イ
ンターネット)による議決権の行使を採用しています。
また、適宜、招集通知補足資料の作成や、議決行使助
言会社および国内外の機関投資家向けに、議案の説明を
行っています。さらに、通常の IR 活動における投資家
とのコミュニケーション、さらに株主さまとのコミュニ
ケーションを強化しております。
2011
2012
2013
2014
2015
6 月 28 日および
6 月 29 日
6 月 29 日
6 月 27 日
6 月 27 日
6 月 29 日
株主総会
6 月 25 日
開催時間
2 時間 00 分
1 時間 45 分
4 時間 6 分
1 時間 54 分
2 時間 35 分
1 時間 40 分
参加人数
500
291
532
329
402
272
質問人数
Q. 長年に渡り、企業経営に携わってこられたご経験から、企業とステークホルダー、主に投資家に対して、メッセー
ジをお聞かせください。
取締役報酬
2015 年 3 月期の取締役および社外役員に対する報酬
などの額は、下記のとおりです。
株主総会の開催状況(暦年)
2010
Q. ステークホルダーに代わり、取締役会の機能を補完する上で重視していることは。
社外取締役のサポート体制
各業務担当部署より必要な情報を伝達するとともに、
取締役会・経営会議ほかの重要会議等の開催に際しては、
資料の事前説明を行っています。
議決権行使率
招集通知発送日
19
16
23
30
15
10
82.0
63.2
74.8
58.4
67.0
64.8
6月4日
(21 日前)
6月6日
(23 日前)
6月5日
(23 日前)
6月5日
(22 日前)
6月5日
(22 日前)
6月8日
(21 日前)
アコーディア・ゴルフの監査役の業務は幅広く、自分でもあきれるくらい体も頭も働かせています。監査役は取締
役の法令違反や定款違反の有無を監視するとともに、全国で展開するゴルフ場の現場一つひとつを分担して監査する
ことで、会社全体の内部統制からサービスレベルの実態まできめ細かく監視、監査をしております。今までの取締役
としての業務執行の立場から、それを監査する立場に変わっても、変わらない信条は企業価値の向上です。
Did You Know?
60%
アコーディア・ゴルフの取締役に占める
社外取締役の比率
出所:アコーディア・ゴルフ
28
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
29
取締役、監査役、執行役員
(2015年6月29日現在)
取締役
社外取締役
監査役
執行役員
(2015年6月1日現在)
道田 基生(みちだ もとお)
鎌田 隆介
澤田 勲 *1 *2
(かまた りゅうすけ)
(さわだ いさお)
代表取締役社長
執行役員
社外取締役
公認会計士澤田勲事務所の所長
生年月日:1947 年 12 月 22 日
2003 年 4 月:取締役
2005 年3月:代表取締役
2012 年 5 月:代表取締役社長 就任
● 取締役在任期間:12 年
生年月日:1941 年 2 月 9 日
2006 年 9 月:取締役
● 取締役在任期間:9 年
田代 祐子 *1 *2
對田 恒雄 *2 *3
(たしろ ゆうこ)
社外取締役
㈱ GI 地域開発研究所の代表取締役社長
特定非営利活動法人未来開発研究所の理事長
生年月日:1954 年3月 14 日
2012 年 6 月:取締役
● 取締役在任期間:3 年
常務執行役員
経営企画本部長
(たいだ つねお)
野中 貞徳(のなか さだのり)
社外常勤監査役
常務執行役員
ゴルフ場事業本部長
生年月日:1941 年 11 月 2 日
2005 年 6 月:監査役
● 監査役在任期間:10 年
仙波 正樹(せんば まさき)
執行役員
総務人事本部長
大澤 道雄(おおさわ みちお)
執行役員
経理財務本部長 兼 財務部長
鈴木 隆文
(すずき たかぶみ)
取締役常務執行役員
コーポレート部門管掌
(経理財務本部、総務人事本部)
生年月日:1969 年8月9日
2010 年 6 月:取締役
● 取締役在任期間:5 年
大西 又裕 *1 *2
前川 充留 *1 *2
(だいさい またひろ)
(まえかわ みつる)
社外取締役
特別コンプライアンス委員会委員長
横浜市立大学の客員教授
ライフネット生命保険㈱の顧問
生年月日:1950 年9月 25 日
2008 年 6 月:監査役
2012 年 6 月:取締役
● 取締役在任期間:3 年
藏口 勝 *2 *3
(くらぐち まさる)
社外取締役
特定非営利法人障がい者就業・雇用支援センターの理事
社外監査役
アサヒビール㈱の社友
生年月日:1948 年 1 月 10 日
2014 年 6 月:取締役
● 取締役在任期間:2 年
生年月日:1945 年 3 月 21 日
2010 年 6 月:監査役
● 監査役在任期間:5 年
小幡 正浩(おばた まさひろ)
執行役員
練習場事業本部長
遠藤 一博(えんどう かずひろ)
執行役員
コース管理本部長
渡邊 真司(わたなべ しんじ)
執行役員
営業本部長
新野 孝
(にいの たかし)
取締役常務執行役員
関連サービス部門管掌
(練習場事業本部、コース管理本部、
㈱ゴルフ・アライアンス、㈱ハーツリー)
生年月日:1948 年 10 月 31 日
2003 年 3 月:取締役
2007 年 6 月:常務執行役員
2012 年 6 月:取締役常務執行役員
● 取締役在任期間:3 年
須藤 修 *1 *2
(すどうおさむ)
社外取締役
楽天銀行㈱の社外取締役
三井倉庫㈱の社外監査役
須藤・髙井法律事務所の開設パートナー弁護士
㈱バンダイナムコホールディングスの社外監査役
生年月日:1952 年1月 24 日
2012 年 6 月:取締役
● 取締役在任期間:3 年
田淵 智久 *1 *2
(たぶち ともひさ)
社外取締役
弁護士
潮見坂綜合法律事務所の創設・パートナー
㈱バンダイナムコホールディングスの社外取締役
楽天銀行㈱の社外監査役
廣渡 義紀 *2 *3
(ひろわたり よしき)
社外監査役
社会福祉法人日本国際社会事業団の監事
生年月日:1947 年3月 23 日
2012 年 6 月:監査役
● 監査役在任期間:3 年
生年月日:1957 年 12 月 9 日
2014 年 6 月:取締役
● 取締役在任期間:2 年
服部 文雄
(はっとり ふみお)
取締役常務執行役員
事業推進部門管掌
(営業本部、事業開発本部、㈱アコーディア・リテール)
生年月日:1952 年1月1日
2012 年 6 月:取締役常務執行役員 / 営業本部長
● 取締役在任期間:3 年
30
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
中村 徹(なかむら とおる)
執行役員
事業開発本部長
初川 浩司 *2 *3
(はつかわ こうじ)
社外監査役
公認会計士初川公認会計士事務所の所長
農林中央金庫の非常勤監事
富士通㈱の社外監査役
㈱スマート・リソースの社外監査役
生年月日:1951 年 9 月 25 日
2012 年 6 月 監査役
● 監査役在任期間:3 年
*1 会社法第 2 条第 15 号に定める社外取締役
*2 6名の社外取締役および 4 名の社外監査役は、
東京証券取引所上場規定第 436 条の 2 にいう
独立役員です。
*3 会社法第 2 条第 16 号に定める社外監査役
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
31
経営者による財政状態および経営成績の分析
(財務情報につきましては、2015 年6月 29 日に提出した有価証券報告書をご参照ください。)
アコーディア・ゴルフ・グループは、株式会社アコーディ
ア・ゴルフおよび子会社 24 社および持分法適用会社 2
社の計 27 社で構成しており、主にゴルフ場、ゴルフ練習
場の運営事業を行っています。当企業グループの連結財
務諸表に基づいて分析を行い、文中の将来に関する事項
は、2015 年 3 月期末現在において判断した内容を記載し
ています。
財務報告に係る内部統制の基本的枠組みに関する事項
当社代表取締役社長鎌田隆介および最高財務責任者鈴
木隆文は、アコーディア・ゴルフ・グループの財務報告
に係る内部統制の整備および運用に責任を有しており、
企業会計審議会が公表した「財務報告に係る内部統制の
評価および監査の基準並びに財務報告に係る内部統制の
評価及び監査に関する実施基準の設定について(意見
書)」に示されている内部統制の基本的枠組みに準拠し
て、財務報告に係る内部統制を整備および運用しており
ます。
なお、内部統制は、内部統制の各基本的要素が有機的
に結びつき、一体となって機能することで、その目的を
合理的な範囲で達成しようとするものであります。この
ため、財務報告に係る内部統制により財務報告の虚偽の
記載を完全には防止または発見することができない可能
性があります。
営業収益
評価の範囲、基準日および評価手続に関する事項
財務報告に係る内部統制の評価は、当期末の 2015 年
3 月 31 日を基準日として行われており、評価に当たっ
ては、一般に公正妥当と認められる財務報告に係る内部
統制の評価の基準に準拠しております。
財務報告に係る内部統制の評価手続の概要は、連結
ベースでの財務報告全体に重要な影響を及ぼす内部統制
(以下「全社的な内部統制」)の評価を行った上で、その
結果を踏まえて、評価対象とする業務プロセスを選定し
ております。当該業務プロセスの評価においては、選定
された業務プロセスを分析した上で、財務報告の信頼性
に重要な影響を及ぼす統制上の要点を識別し、当該統制
上の要点について整備および運用状況を評価することに
よって、内部統制の有効性に関する評価を行いました。
財務報告に係る内部統制の評価の範囲は、当企業グ
ループについて、財務報告の信頼性に及ぼす影響の重要
性の観点から必要な評価範囲を決定いたしました。財務
報告の信頼性に及ぼす影響の重要性は、金額的および質
的影響の重要性を考慮して決定しており、当企業グルー
プ全社を対象として行った全社的な内部統制の評価結果
を踏まえ、業務プロセスに係る内部統制の評価範囲を合
理的に決定いたしました。
業務プロセスに係る内部統制の評価範囲については、
当企業グループの事業拠点においては、共通の管理体制
がとられており、かつ、主要な業務について共通の業務
営業収益(内訳)
(百万円)
(百万円)
2011
ゴルフ場運営
86,694 86,799
90,920 91,983
レストラン
63,909
ゴルフ用品販売
2012
2013
2014
2015
前年対比 (%)
評価結果に関する事項
上記の評価の結果、当連結会計年度末日時点において、
当企業グループの財務報告に係る内部統制は有効である
と判断いたしました。
「アベノミクス」と呼ばれる金融緩和や景気対策など
によって、景気は緩やかな回復基調を続けるなか、ゴル
フ業界は、景気回復に対する期待感の高まりを背景とし
て、団塊世代の旺盛なプレー需要を中心に、プレー需要
は総じて安定して推移した一方、台風や集中豪雨などに
よる営業日数の減少に伴い、入場者数は前年水準で推移
いたしました。
アコーディア・ゴルフは、主力のゴルフ場運営事業に
おいて、お客さまにリーズナブルな価格で価値のある商
品・サービスを気軽に楽しんでいただける仕組みの構築
営業利益 ■
営業利益率
¥60,167
¥61,486
¥61,452
¥40,443
–34.2
16,900
17,645
19,585
19,847
12,638
–36.3
13,317
3,502
3,575
3,985
4,363
4,408
+1.0
5,412
5,864
6,320
6,418
+1.6
合 計
¥86,694
¥86,799
¥90,920
¥91,983
¥63,909
–30.5
当期純利益 ■
(百万円)
¥61,147
5,144
営業収益
営業収益は 639 億 9 百万円(前期比 30.5%減)となり
ました。なお、アセットライトに伴い、ゴルフ場 90 コー
スの8か月分の営業収益が、352 億 14 百万円が減少した
一方、経営管理委託契約に基づく、運営受託収益は 37 億
75 百万円が増加しました。なお、管理会計ベースにおけ
る、前期と比較可能な保有ゴルフ場 43 コースの営業収益
は 293 億 69 百万円(同 3.3%増)と、入場者数の増加を
背景として増収いたしました。その他、当初のアセット
ライト対象外である、ゴルフ用品販売は、44 億 8 百万円
(同 1.0%増)
。消費増税の駆け込み需要増の反動が高額品
であるゴルフクラブを中心に生じたなか、ゴルフ場入場
1. 事業環境
(%)
その他
を進めるとともに、ゴルフ場ブランドの構築や当社独自
のポイントプログラムの実施、直営・提携ゴルフ練習場
との連携強化などお客さまの集客策を進めました。当連
結会計年度におけるゴルフ場入場者数(当社グループの
保有コース及び運営受託契約を締結しているゴルフ場の
入場者数)は、天候不順が影響したなか、811 万人(前
期比 26 万人増加)となりました。
なお、2014 年8月 1 日に、ゴルフ場 90 コースをアコー
デ ィ ア・ ゴ ル フ・ ト ラ ス ト(AGT) に 譲 渡 し た た め、
2014 年8月から 2015 年3月までの8か月間分の収益
が、前年同期間比において減少した一方、運営受託収益
が増加いたしました。
プロセスが行われていることから、全事業拠点をまとめ
て一つの事業拠点として捉え「重要な事業拠点」といた
しました。重要な事業拠点においては、企業の事業目的
に大きく関わる勘定科目としてゴルフ場運営およびレス
トランに係る営業収益、営業未収入金、給与手当および
入会保証金に至る業務プロセスを評価の対象といたしま
した。
12,601
1 株当たり配当金 ■
(百万円)
法人税等の負担率
■
(円)
連結配当性向
■
(%)
13,303
11,294
12,246
56.4
8,121
42.5
14.6
13.3
55
48.3
6,025
7,331
6,015
10
11.5
2012
2013
2014
2015
2011
2012
2013
2014
2015
12.9
–10.3
2011
41
93.7
4,617
3.5
2011
56
124.5
15.4
14.5
■
(%)
2012
2013
2014
2015
2011
57.2
12
10.9
2012
2013
2014
2015
(注)法人税等の負担率 = 法人税 ÷
(税金等調整前当期純利益 + 少数株主持分)
日本語版アニュアルレポートの作成の位置付けについて
当社は、海外読者の便宜のために当社の事業概況および連結財務諸表を含む財務内容を中心としたアニュアルレポートを英文で作成 しておりますが、アニュ
アルレポートの開示上の公平性の観点から、英文アニュアルレポートを和訳した日本語版アニュアルレポートを作成しています。(なお、日本語版アニュアル
レポートは簡易版とし、連結財務諸表は掲載しておりません。また監査法人の監査対象とはなっておりません。)財務情報につきましては、2015 年 6 月 29 日
に提出した有価証券報告書をご参照ください。
●「有価証券報告書」掲載ホームページ http://www.accordiagolf.co.jp/data/yuukasyouken.php
● EDINET http://info.edinet-fsa.go.jp/(コード:E04749)
32
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
33
者数の増加を背景として、前期の収益水準を維持いたし
ました。ゴルフ練習場は、46 億 77 百万円(同 23.7%増)
。
福岡県で1カ所の新規出店および既存店において適正な
単価設定が寄与したため、増収いたしました。
場 90 コースを保有する当社子会社の株式を匿名組合出
資として現物出資し、その匿名組合出資持分を譲渡した
ことなどにより発生した関係会社株式売却益 61 億 80
百万円が影響いたしました。なお、当期純利益は 60 億
15 百万円(同 30.3%増)となりました。
営業利益
営業利益は 73 億 31 百万円(前期比 40.1%減)とな
りました。アセットライトに伴い、営業収益が減収した
影響した一方、粗利益率が高い運営受託収入が寄与いた
しました。また、ゴルフ場 90 コースの譲渡に伴い営業
費用が減少した一方、アセットライト実施に係る、登録
免許税や支払報酬などの組成準備関連費用が一過性の要
因として増加したため、営業利益率は 11.5%(同 1.8 ポ
イント減)となりました。
なお、管理会計ベースにおける、前期と比較可能な保
有ゴルフ場 43 コースの営業費用は 228 億 7 百万円(同
2.6%増)と増加いたしましたが、営業収益の増加に伴う、
労務費が増加 28 百万円(3.6%増)、Web 誘客手数料の
増加 53 百万円(同 12.7% 増)が主な要因です。
2. 財政状態の分析
流動資産
流動資産は、171 億 78 百万円(前期比 11.6%減)と
なりました。アセットライトに伴い、営業未収金や原材
料および貯蔵品が減少したことが主な要因です。
有形固定資産
有形固定資産は、962 億 87 百万円(前期比 55.2%減)
となりました。ゴルフ場1コースを保有する子会社株式
の取得した一方、アセットライトに伴い、建物及び構築
物、ゴルフコース、土地などが減少したことが主な要因
です。
当期純利益
税金等調整前当期純利益は、104 億 82 百万円(前期
比 1.1%増)となりました。ゴルフ場1コースを保有す
る子会社株式の取得に伴う負ののれん発生益 5 億 27
百万円が発生したこと、アセットライトに伴う、ゴルフ
営業活動によるキャッシュ・フロー ■
投資活動によるキャッシュ・フロー ■
財務活動によるキャッシュ・フロー ■
(百万円)
投資その他の資産
投 資 そ の 他 の 資 産 は、443 億 10 百 万 円( 前 期 比
54.0%増)となりました。AGT に対する一定の影響力を
保持するため、28.9%のユニットを取得したため、投資
有価証券 216 億 35 百万円が新たに増加しております。
(百万円)
4,820
83,968
7,912
5,854
4,932
14,934
–784
14,284
–4,548
11,557
–1,308
5,240
–7,773
2,528
2,551
5,485
5,705
4,720
4,056
4,506
3,832
2,747
2,540 2,562
1,700
–13,981
–10,548
–11,753
2011
2012
2013
–5,013 –4,728
860
-36
–80,350
2014
2015
2011
2012
2013
2014
2015
(注)買収費用は、投資活動によるキャッシュ・フ
ローより、「子会社株式の取得」「投資有価証
券の取得」「長期貸し付けによる支出」「スポ
ンサー出資中間金」「スポンサー拠出金」を
合算算出しています。
34
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
2011
2012
投資活動によるキャッシュ・フロー
投資活動によるキャッシュ・フローの増加は、839 億
68 百万円と前期の 50 億 13 百万円から増加しました。
主な増加内容は、有形固定資産の取得による支出が 27
億 47 百万円。さらに、アセットライト実施により連結
の範囲の変更を伴う子会社株式の売却による収入が 876
億 48 百万円などによるものです。
純資産
純資産は、471 億 63 百万円(前期比 48.8%減)とな
りました。資本効率の改善を目的として、アセットライ
トに伴い、匿名組合出資持分の譲渡対価の一部を用いて、
32,142,900 株の自己株式の取得を行い、取得した自己株
式のうち 20,659,700 株を消却いたしました。
財務活動によるキャッシュ・フロー
財務活動によるキャッシュ・フローの増加は、前期の
77 億 73 百万円に対して 803 億 50 百万円となりました。
主な増加内容は、アセットライト実施に伴うリファイナ
ンスを主因として短期借入金の純増減額が 102 億 35
百万円減少したこと、長期借入れによる収入が 610 億
73 百万円、長期借入金の返済による支出が 801 億 80
3. キャッシュ・フローの状況
当期末の現金及び現金同等物は、34 億 85 百万円(前
期比 24.2%減)となりました。
2011
2012
2013
2014
2015
自己資本比率
31.2%
34.8%
35.1%
35.0%
29.8%
時価ベースの自己資本比率
24.7%
26.1%
34.4%
45.3%
51.5%
キャッシュ・フロー対有利子負債比率
7.4 倍
7.1 倍
7.6 倍
9.3 倍
–
インタレスト・カバレッジ・レシオ
8.5 倍
8.9 倍
10.1 倍
7.4 倍
–
(百万円)
7,821
14,864
固定負債
固定負債は、798 億 48 百万円(前期比 26.7%減)と
なりました。アセットライトに伴い、繰延税金負債や入
会保証金が減少。長期借入金は、アセットライトに伴い
期限前弁済およびリファイナンスを実施いたしました。
キャッシュ・フロー関連指標の推移
設備投資 ■
減価償却費 ■
買収費用 ■
のれん償却額 ■
営業活動によるキャッシュ・フロー
営業活動によるキャッシュ・フローの増加は、47 億
28 百万円マイナスとなりました。前期の営業活動によ
り得られた資金増加が 115 億 57 百万あったためです。
主な増加内容は、前期にはなかった持分法による投資損
失 11 億 63 百万円の発生があったものの、アセットライ
ト実施に伴い子会社株式を売却したことにより関係会社
株式売却益が 61 億 81 百万円、および法人税等の支払額
が 135 億 80 百円増加したことなどによるものです。
流動負債
流動負債は、307 億 65 百万円(前期比 50.3%減)と
なりました。アセットライトに伴い、未払金や前受収益
が減少しました。1年内返済予定の長期借入金は子会社
からの配当に伴い源泉徴収税の支払資金に充てるために
調達しております。なお、2016 年 3 月期において、源泉
徴収税の還付が予定されているため返済する予定です。
2013
2014
2015
(注)1. 自己資本比率:株主資本合計/総資産 時価ベースの自己資本比率:株式時価総額
/総資産 キャッシュ・フロー対有利子負債比率:有利子負債
/キャッシュ・フロー インタレスト・カバレッジ・レシオ:キャッシュ・フロー/利払い
2. いずれも連結ベースの財務諸表により計算しています。
3. 株式時価総額は、自己株式を除く発行済株式数をベースに計算しています。
4. キャッシュ・フローは、営業キャッシュ・フローを使用しています。
5. 有利子負債は、連結貸借対照表に計上されている負債のうち利子を支払っている全ての負債を対象としております。
6. 営業キャッシュ・フローがマイナスのため表示していません。
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
35
事業等のリスク
百万円、さらに自己株式の取得による支出が 450 億円発
生したことなどによるものです。
(2)格付
当社グループは、多様な資金調達手段を確保していく
ために、一定水準の格付を維持する必要があると考えて
おります。格付については、現在、株式会社日本格付研
究所より、長期発行体格の格付「BBB」見通し/「ネガティ
ブ」、コマーシャル・ペーパーの格付「J − 2」をそれぞ
れ取得しております。
今後につきましても、営業収益の拡大や財務体質の強化
等の経営活動を通じて、格付の向上を図ってまいります。
4. 資本の財源および資金の流動性に関する分析
当社グループは、円滑な事業活動のための資金確保、
流動性の維持、健全な財政状態を維持・向上させるため、
安定的な営業キャッシュ・フローの創出や多様な資金調
達手段の確保に努めております。また、当社グループの
成長を支えるための設備投資やゴルフ場取得のための資
金は、主に営業活動により得られた資金に加え、金融機
関からの借入れや社債発行により調達しております。
手元流動性資金については、円滑な事業活動のための
資金確保と臨時の資金需要等に備えるため連結営業収益
の 0.5 から1ヶ月分程度の現金及び預金を保有すること
を目処としております。
(3)手元流動性
当期末における現金及び預金は 34 億 85 百万円となり、
連結営業収益の 0.7 ヶ月分となりました。概ね適切な水
準と考えております。
(1)有利子負債
当期末における有利子負債(借入金、コマーシャル・
ペーパー、リース債務)の合計は、前期末と比較し 279
億 90 百万円減少し 797 億 97 百万円となりました。こ
の資金調達方法は、金融機関からの間接金融およびリー
ス取引等により行っております。今後も事業活動を支え
る資金調達については、低コストかつ安定的・機動的な
資金の確保を主眼にして多様な資金調達方法に取り組ん
でまいります。
インタレスト・カバレッジ・レシオ
(倍)
有利子負債 ■
ネット有利子負債 ■
自己資本 ■
(百万円)
自己資本比率
(百万円)
(%)
10.1
8.5
109,355 106,716 108,223 107,787
99,934 97,913 96,488 96,226
88,303
93,097 92,069
78,035
34.8
79,797
8.9
■
35.1
35.0
47,162
60,555
31.2
7.4
2011
2012
2013
2014
2015
(注)営業キャッシュ・フローがマイナスのため
表示していません。
36
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
2011
2012
2013
2014
2015
(注)有利子負債=短期借入金 +
1 年内返済予定の長期借入金 +
長期借入金 + 社債 + リース債務
2011
29.8
2012
2013
2014
2015
本冊子に記載した事業の状況、当企業グループの経営
成績および財政状況などに重要な影響を及ぼす可能性の
ある事項には、以下のようなものがあります。なお、文
中の将来に関する事項は、2015 年 3 月 31 日現在におい
て当企業グループが判断したものであります。
1. 当企業グループの事業及び財務の構造的な変更について
当社は、2014 年 8 月 1 日、ビジネス・トラストによ
るアセットライト、新株予約権付ローンによる資金調達
及び自己株式の公開買付けを含む一連の施策(以下「本
施策」と総称します。)のうち、ビジネス・トラストに
よるアセットライト、新株予約権付ローンによる資金調
達を実施し、また、公開買付期間を 2014 年 8 月 5 日か
ら同年 9 月 1 日とする、自己株式の公開買付けを実施し
同年 9 月 29 日をもってその決済を完了いたしました。
当社は、現時点においては、本施策の実施後には、主と
して以下のリスクが存するものと考えています。
(1)事業の構造的変更について
本施策が実施され、当企業グループが保有していた合
計 133 コースのうち 90 コース(以下「当初 BT 対象ゴ
ルフ場」といいます。)が、アコーディア・ゴルフ・アセッ
ト合同会社(以下「AGA」といいます。)に移管され、
当社の財務諸表からオフバランス化された一方、当社は
AGA との間で締結した経営管理委託契約に基づき、当
初 BT 対象ゴルフ場の運営委託を受けております。当社
は、従前の事業をゴルフ場運営事業と資産保有事業とに
分離したうえで、ゴルフ場運営事業に注力していくこと
によって、当社の資産の効率化が実現され、また、ゴル
フ場運営事業の価値を顕在化させることができるものと
考えております。
しかしながら、その反面、本施策の実施後には、不動
産の使用の対価や価値上昇等の資産保有事業に係る経
済的利益を享受することができなくなります。さらに、
市場環境その他の状況から、ビジネス・トラストによる
アセットライトによって当社の企図したゴルフ場運営
事業に注力することによる利益が得られないおそれも
あります。
また、当社は、本施策の実施後には、シンガポール証
券取引所に上場されたシンガポールのビジネス・トラス
ト法に基づくビジネス・トラストであるアコーディア・
ゴルフ・トラスト(以下「AGT」といいます。)のユニッ
トの発行済総数の 25%超を継続して保有する方針であ
るため、当該保有ユニットについて、国内のゴルフ場資
産の保有とは異なり、ユニットの価格変動リスクおよび
為替リスク等に晒されることとなります。
(2)循環型ビジネスについて
当社は、ビジネス・トラストによるアセットライトの
実施後、当初 BT 対象ゴルフ場以外の当企業グループが
保有するゴルフ場等および新規に取得するゴルフ場につ
き、当社のゴルフ場運営ノウハウによるバリューアップ
を経て収益力を向上・安定化させた上で、これを主に
AGA に売却し、さらに当社において積極的なゴルフ場
の新規取得を行うという循環型ビジネスを展開すること
を予定しております。これにより、当社は、AGA に売
却したゴルフ場の運営業務を受託することによって、当
該ゴルフ場の運営業務に関する報酬を継続的に収受する
ことができるほか、AGA へのゴルフ場の売却益も目指
すことができると考えています。当社は、この循環型ビ
ジネスを展開し、運営受託に注力したビジネスモデルを
目指します。しかしながら、当初 BT 対象ゴルフ場以外
の当企業グループが保有するゴルフ場等のバリューアッ
プが想定どおりに進まないために当社の企図する利回り
でのゴルフ場の売却が実現できない、ゴルフ場の M&A
市況等の要因により当社においてゴルフ場等の新規取得
が想定どおりに実施できない、または市場環境等により
AGT において資金調達が困難なためゴルフ場等の当社か
らの移管ができないといった事態が生じ、当社が企図し
ている循環型ビジネスによる成長性や収益性を確保でき
ない可能性があります。
(3)AGA への収益の依存について
当社は、本施策の実施により、AGA からゴルフ場の運
営業務を受託する対価として報酬を得ることとなります。
上記のとおり、本施策実施直後においても、当社の収益
の重要な部分を AGA に依存することとなります。また、
本施策の実施後も継続的に AGA へのゴルフ場の移管を進
める場合、当社の AGA への依存はより高くなります。し
たがって、
将来において、
AGT のトラスティー・マネジャー
としてのアコーディア・ゴルフ・トラスト・マネジメント・
ピーティーイー・エルティーディー(Accordia Golf Trust
Management Pte. Ltd.)
(以下「トラスティー・マネジャー」
といいます。
)
、AGT、AGA との関係が悪化し、または
AGA との間の経営管理委託契約が当社に不利益に変更さ
れる若しくは更新拒絶、解除、解約等により終了する等
の事態が生じたときは、当企業グループの経営成績等に
重大な影響を及ぼす可能性があります。
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
37
(4)AGA またはトラスティー・マネジャーとの間の合
意等について
当 社 は、AGA に 対 す る ゴ ル フ 場 の 移 管 に 際 し て、
AGA およびトラスティー・マネジャーに対し、当初 BT
対象ゴルフ場を保有する当社子会社や当初 BT 対象ゴル
フ場等に関する一定の表明保証を行っているため、当初
BT 対象ゴルフ場の移管後に当該表明保証事項の違反が
生じた場合は、当社は、補償または当初 BT 対象ゴルフ
場の買戻しの義務を負う可能性があります。また、当社
は、AGA およびトラスティー・マネジャーに対して、
当初 BT 対象ゴルフ場の移管後に、当企業グループが新
たにゴルフ場等を取得しようとする場合の先買権、なら
びに当企業グループによる当初 BT 対象ゴルフ場以外の
ゴルフ場等の売却に関する協議開始権および先買権を
付与しております。これらによって、当社が企図する循
環型ビジネスの実施のための新規ゴルフ場等の取得ま
たは AGA 以外の者に対する当企業グループの機動的な
資産の売却が阻害される可能性があります。さらに、当
社は、AGA およびトラスティー・マネジャーに対して、
移管時点において当企業グループが保有するゴルフ場
のうち当初 BT 対象ゴルフ場以外のゴルフ場等について、
一定の条件の下で、当企業グループから取得する権利を
付与し、また、一定の場合には当社が保有するゴルフ場
等を第三者に売却する義務を負っています。これによっ
て、当社にとって望ましくない時期に望ましくない条件
でゴルフ場等の資産を AGA に移管せざるを得なくなり、
または第三者に売却せざるを得なくなる可能性があり
ます。
(5)財務の構造的変更について
当社は、買付代金の総額を約 450 億円とする自己株式
の公開買付け(1株当たりの買付価格は 1,400 円)(以
下「本自己株式公開買付け」といいます。)を実施し、
2014 年 9 月 29 日をもってその決済を完了いたしました。
当社は、本自己株式公開買付けは、当社株式1株当た
り利益及び資本効率の向上に資するものと判断しており
ますが、本自己株式公開買付けが実施された結果、当社
の自己資本は大きく圧縮されております。このような財
務の構造的変更に対する金融機関及び資本市場からの評
価によっては、当社グループが必要な時期に希望する条
件で資金調達を行うことができなくなる可能性や、資金
調達金利が増大する可能性があります。その結果、将来
の当社グループの財政状態や業績に影響を及ぼす可能性
があります。
38
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
(6)その他
本施策の実施に伴うリスクは以上に限定されるもので
はなく、本施策の実施後に AGT の成長または存続、当
企業グループと AGT との関係に影響する想定外のリス
クが顕在化する可能性もあります。これには、我が国、
シンガポールの法令、ガイドライン、税制、会計基準等
の制定、改正等が含まれます。かかる事態が生じた場合
には、本施策の実施後の当社の計画や前提に変更が生じ
る可能性があります。さらに、本施策の実施の過程にお
いて想定外の問題やコストが生じる可能性もあります。
これらの事態が生じた場合には、当企業グループの経営
成績等に影響を及ぼす可能性があります。
2. ゴルフ場運営事業への依存について
(1)客単価の変動について
当企業グループは、収益のほとんどをゴルフ場運営事
業に依存しています。また、ゴルフ場運営事業は、レ
ジャー産業として位置づけられ、景気動向の影響を受け
やすい事業であると考えています。特に、昨今のデフレ
傾向により客単価が下落傾向にあります。さらに、競合
ゴルフ場間での来場者数獲得のためのプレー単価引き下
げによっても、客単価の下落傾向は続いております。今
後、経済状況が改善しない場合、もしくは競合ゴルフ場
間での価格競争が継続、またはより厳しくなった場合、
当企業グループの経営成績等に影響を与える可能性があ
ります。
(2)入場者数の変動について
日本の構造的な問題ともいえる少子高齢化や人口減少
は、ゴルフ市場においても影響しております。これまで
頻繁にゴルフを楽しんでいた世代が高齢化しており、20
歳~ 30 歳代の世代やジュニア・レディスなどの新たな
ゴルファー層の構築が必要となっております。また、従
来活発に行われていた企業接待などを目的とした社用ゴ
ルフの減少、経済状況の悪化、スポーツやレジャーに対
する価値観の多様化などを背景に、1990 年代前半では
入場者数の減少が起こりました。今後、ゴルフ市場の構
造変化や大衆化が進展しない場合、東日本大震災の影響
によるゴルフプレーに対する意識の冷え込みや経済状況
が改善しない場合、入場者数が減少し、当企業グループ
の経営成績等に影響を与える可能性があります。
3. M&A 等による事業拡大について
(1)ゴルフ場、ゴルフ練習場等の買収について
当企業グループは、主に破綻したゴルフ場の買収によ
る事業規模拡大を経営戦略の柱の一つと位置づけて、急
速に事業拡大を遂げてきました。ゴルフ場の経営交代件
数(コース数ベース)は、ピーク時の 2005 年には 170 コー
スに上りましたが、その後、経営交代案件の中心が、多
数のゴルフ場を保有する企業から 1 コース程度のゴルフ
場を保有する企業にシフトしております。
最近では、いわゆるアベノミクスによる金融緩和や不
動産市況の回復等に伴う経済環境の好転により、ゴルフ
場M&A市場をはじめとする投資環境にも回復基調が見
られております。
当企業グループは、ゴルフ場等に対する投資環境が回
復している状況を踏まえ、アセットライトによる資本効
率の改善によって、より積極的なゴルフ場等の買収と、
そのバリューアップ後の BT への移管と BT からの運営
受託による外部成長を目指すため、対象となる個々のゴ
ルフ場の収益性を勘案しながら当企業グループが適正
と判断する価格により買収を行うことを予定しており
ます。
そのような買収において、買収後のゴルフ場収益や収
益率が、買収時における想定と異なる場合等には、当企
業グループの経営成績等に影響を与える可能性がありま
す。また、当企業グループは、収益性向上の観点でのポー
トフォリオの入れ替えのため、収益性の低いゴルフ場を
適時売却する方針ですが、かかる売却が実施できる保証
はなく、また、ゴルフ場売買市場や取引価格の動向の変
化によっては、売却による損失が発生する可能性があり
ます。
(2)「のれん」の評価
当企業グループは、「のれん」を規則的に償却してい
ます。また、買収時点に見積もった将来キャッシュ・フ
ローと実績のキャッシュ・フローを比較検討して回収可
能性の判断を行っています。将来キャッシュ・フローの
見積もりでは合理性を確保することに努めていますが、
実績のキャッシュ・フローが買収時点に見積もった将来
キュッシュ・フローを大きく下回り、回収可能性がない
と判断された場合、「のれん」の減損処理を行う可能性
があります。
4. 天候要因、季節変動性の影響について
ゴルフは屋外スポーツであり、天候要因による影響を
受けます。具体的には、事前に来場予約後、プレー当日
に雨天や降雪が生じた場合、当日キャンセルが発生した
場合、収益機会を喪失します。
また、梅雨時の長雨や冬季における想定外の降雪によ
り、ゴルフ場の営業日数や入場者数が影響を受ける可能
性があります。
当企業グループの収益は、気候が穏やかな春・秋に該
当する第 1 四半期および第 3 四半期に高く、気候の厳し
い夏・冬に該当する第 2 四半期および第 4 四半期に低く
なる傾向があります。
5. 自然災害、テロ・感染症などの影響について
当企業グループの事業所(ゴルフ場および隣接するホ
テル等の施設。運営受託先等を含む。)は、北海道から
沖縄まで日本全国に分散しているため、一定地域におけ
る地震、台風、津波などの自然災害が当企業グループ全
体の事業継続性に影響を与えるリスクは低いと考えてい
ます。しかし、自然災害発生後は、一定の災害発生地域
における当企業グループ事業所の運営を一定期間休止す
ることを余儀なくされ、また東日本大震災など大規模な
災害発生の場合、ゴルフプレーに対する意識の冷え込み
などが予想され、一時的な来場者数の減少により当企業
グループの業績に影響を及ぼす可能性があります。
また、国内外においてテロ事件などが発生した場合、
また、新型インフルエンザの世界的大流行(パンデミッ
ク)が発生するなど治療方法が確立されていない感染症
が流行した場合、ゴルフプレーに対する意識の冷え込み
などが想定されることから、一時的な来場者数の減少に
より当企業グループの業績に影響を及ぼす可能性があり
ます。
6. アコーディア・ブランドに対する評価について
当企業グループは、ブランド・コンセプトをゴルフ場・
ゴルフ練習場運営に導入し、アコーディア・ブランドの
下、統一された高水準のサービスを提供することによる
顧客満足度の向上を目的として、ブランドイメージの維
持・向上および浸透に努めております。従いまして、当
企業グループの事業所の多くを、アコーディア・ブラン
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
39
ドの下で運営しております。そして、さまざまな施策の
実施によりブランドに対して高い評価を持続することが
業績の支えになっていると判断しております。一方、不
祥事の発生などによりブランドイメージに対する社会的
評価が低下した場合には、当企業グループの経営成績等
に影響を与える可能性があります。
ガバナンス体制およびコンプライアンス体制の抜本的
な見直しおよび強化ならびに経費処理プロセスの厳格化
等を目的として、コンプライアンス・ポリシーの改定(特
別コンプライアンス委員会の常設化、コンプライアンス
委員会の機能強化、各機関の連携の強化、取締役会への
報告の充実および社内通報制度の充実)、会議費・接待
交際費を中心とした社内経費使用制度の改定(会議費・
接待交際費予算の審議手続および会議費・接待交際費の
使用手続の厳格化)、およびゴルフ場利用者の意見集約
制度における透明性の確保といった再発防止策を決定し
ており、今後、これらの諸施策を鋭意実施してまいる所
存です。しかしながら、かかる取り組みが十分な評価を
得られない場合、当企業グループの信用またはブランド
イメージの回復ができず、当企業グループの経営成績等
に悪影響が生じる可能性があります。
つ 692 億円以上に維持すること。
(b) 本自己株式公開買付け実施直後の決算期または第
2四半期を判定期とする場合 375 億円以上に維持す
ること。
(c) 本自己株式公開買付け実施直後の決算期および第
2四半期より後に到来する決算期または第2四半期
を判定期とする場合本自己株式公開買付け実施直後
の決算期または第 2 四半期比 75%以上かつ 375 億円
以上に維持すること。
(2)2014 年9月第2四半期以降、各計算基準日におけ
る連結損益計算書または四半期連結損益計算書に示され
る経常損益および営業損益が損失とならないようにする
こと。
(3)2014 年9月第2四半期以降、各計算基準日におけ
る連結貸借対照表または四半期連結貸借対照表上の自己
資本比率(純資産額 / 総資産額× 100)を 20%以上に維
持すること。
(4)2014 年9月第2四半期以降、各計算基準日におい
てレバレッジ・レシオ(純有利子負債(有利子負債−現
預金)÷ EBITDA(利払前、税引前、償却前の営業利益))
の比率が下記を超えないこと。
7. 借入金による資金調達について
(注)格付とは、借入人が R&I または JCR のいずれかより取得している発行体格付(も
しくは長期発行体格付)または貸付債権に係る格付のいずれかの一番高い格付
をいう。
当社は、2014 年 7 月 8 日付で、当社の既存借入金の
返済等を目的として、株式会社みずほ銀行、株式会社三
井住友銀行および株式会社三菱東京 UFJ 銀行を中心とす
る 13 金融機関との間で、総額 320 億円のシンジケート
ローン契約(以下「新 AG ローン契約」といいます。)
を締結しており、同年8月1日までに新 AG ローン契約
に基づく融資は 170 億円(トランシェ A およびトラン
シェ C)が実行されており、残額の 150 億円(トランシェ
B)は同月 27 日に実行が予定されております。
新 AG ローン契約においては、以下の財務制限条項を
はじめ、当社の事業活動を制約する条項が含まれており
ます。財務制限条項に抵触した場合には、金融機関から
の通知により期限の利益を喪失する可能性があります。
(1)2014 年9月第2四半期以降、各計算基準日(当社
の各決算期および各第2四半期の末日を意味します。)
における連結貸借対照表、または四半期連結貸借対照表
における純資産の部の金額を以下の水準以上に維持する
こと。
(a) 本自己株式公開買付け実施以前の決算期または第
2四半期を判定期とする場合前年同期比 75%以上か
40
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
(5)新 AG ローン契約の締結日の属する月の末日以降、
各月末における連結貸借対照表または四半期連結貸借対
照表上の現預金残高が3ヶ月連続して 30 億円を下回ら
ず、かつ2ヶ月連続して 20 億円を下回らないこと。
(6)R&I の発行体格付または JCR の長期発行体格付を
BBB −以上に維持すること。
また、新 AG ローン契約においては、不適格先((i) 反
社会的勢力、(ii) 会社法・金融商品取引法等の違反によ
り取締役の欠格事由に現在若しくは過去に該当する者、
(iii) 金融商品取引法の趣旨に重大な違反をするなど、資
本市場の健全性・公正性を重大な点で阻害する態様によ
り権利の主張を行い、当社の利益を著しく侵害する者、
または (iv) これらの者と実質的に同一もしくは一体の者
と認められる者が含まれます。)が当社の株式を5%を
超えて保有することとなった場合(既に5%を超えて株
式を保有する者が追加取得を行う場合を含みます。)に
は、当社は、その対応方針について、金融機関と誠実に
協議を行う旨が定められており、かかる協議の結果、合
意に至らなかった場合には、金融機関は期限の利益の喪
失の請求を行うことができます。但し、金融機関は、当
社の利益を踏まえた上で、不合理な理由(かかる不合理
性の判断に際しては、債権保全への悪影響を勘案するこ
とを要します。)により、合意を留保または拒絶して、
期限の利益喪失の請求をしてはならないものとされてい
ます。
本書提出日現在において、上記の誠実協議の開始事由
が生じており、株式会社みずほ銀行、株式会社三井住友
銀行および株式会社三菱東京 UFJ 銀行を中心とする 13
金融機関との間で、対応方針について協議を行っており
ます。当社としては、金融機関との対応方針の合意に向
けて誠実に協議を行ってまいります。
格付 ( 注 ) レバレッジ・レシオ
BBB +以上 6.5 倍
BBB 6.0 倍
BBB − 5.75 倍
当社は、本書提出日現在において、期限の利益を喪失
する可能性は低いと判断しておりますが、何らかの要因
から、上記の財務制限条項等に抵触することにより当企
業グループ保有の一定の不動産に対し抵当権の設定登記
が行われ、または期限の利益を喪失する可能性があり、
その結果、当企業グループの財政状態等に影響を与える
可能性があります。また、借入金の利息は変動金利によ
るものであり、金利が変動した場合には、当企業グルー
プの経営成績等に影響を与える可能性があります。
8. 将来的な税負担の発生について
当企業グループは、主に過去に破綻し会社更生法や民
事再生法の適用を受けた会社を買収し子会社としてきま
した。そのため、多くの子会社は多額の税務上の繰越欠
損金を有しており、利益に課税される税負担が軽微なも
のとなっています。当期においては、当該繰越欠損金残
高は減少傾向にあり、今後の当該繰越欠損金の解消状況
によっては、実効税率に基づく法人税を負担することが
予想されます。
9. 法的規制および法令遵守について
の各種法令による規制を受けているほか、農薬取締法、
廃棄物の処理および清掃に関する法律および環境影響評
価法等の環境に関連する各種法令による規制を受けてい
ます。また、今後これらの法令に重大な改廃があった場
合、または、新たに当企業グループの事業を規制する法
令が制定・施行された場合には、当企業グループは新た
な対応を余儀なくされ、事業運営や経営成績などに影響
を与える可能性があります。当企業グループは、本アニュ
アルレポート発行日現在、対処未了の重要な法令違反は
認識していませんが、主に過去に破綻し会社更生法や民
事再生法の適用を受けた会社を子会社としているため、
過去の法令遵守が不十分であった事項が新たに顕在化す
る可能性があります。行政当局や監督官庁などから、法
令遵守の不十分さに起因する改善指導を受けた場合など
には、当企業グループの経営成績および事業運営などに
影響を与える可能性があります。また、役員・従業員の
法令違反に対しては、法令遵守を重要な経営事項の一つ
として位置づけ、アコーディア・ゴルフ企業行動憲章を
定め、全役員・従業員にコンプライアンスを徹底してい
ます。さらに、内部通報制度を導入し、社内のコンプラ
イアンス違反の発生について、従業員による監視制度を
導入しています。しかしながら、役員・従業員の重大な
不正が発生した場合には、当企業グループの事業運営に
影響を与える可能性があります。
10. 個人情報の管理
当企業グループは、2015 年 3 月 31 日現在、約 17 万
名の会員を有し、会員情報のデータベースを構築・集積
しております。
また、ポイントカードプログラムにより会員および会
員以外の一般のお客さまをあわせて、2015 年 3 月 31 日
現在、ポイントカードを約 377 万名に発行、またインター
ネットを活用したゴルフ場予約サイトの登録者が約 47
万名に達するなどお客さまの情報のデータベースを構
築・集積しております。これらの個人情報が外部に漏洩
した場合には、当企業グループの社会的評価等の低下を
通じて、経営成績等に影響を与える可能性があります。
当企業グループは、各ゴルフ場の開発および利用に際
して国土利用計画法、都市計画法、森林法、河川法およ
び農地法等の土地利用および開発に関連する各種法令の
規制を受けています。 また、各ゴルフ場の運営におい
ては、施設の営業に関して食品衛生法、公衆浴場法など
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
41
企業データ
株式情報
(2015 年 3 月 31 日現在)
(2015 年 3 月 31 日現在)
本店所在地
〒150-0002 東京都渋谷区渋谷二丁目15 番1 号 渋谷クロスタワー
発行可能株式総数
399,000,000 株
ADR(米国預託証券)
設立年月日
1981 年(昭和 56 年)9 月
発行済株式総数
84,739,000 株
比率
100ADR =原株 100 株
決算月
3月
株主数
51,401 名(前期比 16 名減)
上場市場
米国 OTC(店頭取引)
資本金
10,941 百万円
上場証券取引所
東京証券取引所市場第一部
Symbol
ACGFY
00436B 109
Deutsche Bank Trust
Company Americas
主な事業内容
ゴルフ場・ゴルフ練習場の運営
証券コード
2131
CUSIP 番号
管理 運営ゴルフ場(2015 年 8 月 1 日現在)
138 コース(保有:44 コース、その他:94 コース)
売買単位
100 株
2,879 名(3,105 名)*
定時株主総会
毎年 6 月
ADR
名義書換代理人
*パートタイマーおよびアルバイトは、
( )内に年間の平均人員を外数で記載しております。
株式名義書換代理人
三菱 UFJ 信託銀行株式会社
従業員数(グループ全体)
主なグループ会社(2015 年 3 月 31 日現在)
(注)新株予約権の概要
資本金
(百万円)
主な事業内容
出資比率
(%)
株式会社アコーディア AH01
10
ゴルフ場経営
100.0
株式会社アコーディア AH02
10
ゴルフ場経営
100.0
株式会社ゴルフプロスタッフ
10
ゴルフ場経営
100.0
株式会社ゴルフ・アライアンス
10
ゴルフ場・ゴルフ練習場の運営受託等
100.0
アコーディア・ゴルフは、2014 年 8 月 1 日、大和 PI パートナーズ株式会社に
対して、新株予約権 141,843 個を発行いたしました。
発行数
発行価格
当該発行による潜在株式数
行使価額(2015 年 6 月 1 日現在)
大株主
141,843 個
990 円
14,184,300 株
1,361 円
所有株数(株)
持株比率(%)
1 株式会社南青山不動産
4,530,300
6.4
株式会社アコーディア・ガーデン
490
ゴルフ練習場経営
100.0
2 株式会社 C & I Holdings
4,147,700
5.9
株式会社ハーツリー
115
ゴルフ場レストランの運営等
100.0
3 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口)
3,760,000
5.3
ゴルフ用品等の販売
100.0
4 株式会社レノ
2,962,000
4.2
株式会社アコーディア・リテール
50
株式会社アスクゴルフクラブ
3
ゴルフ練習場経営
100.0
5 株式会社シティインデックホールディングス
2,693,600
3.8
有限会社柏原ジャンボゴルフ
3
ゴルフ練習場経営
100.0
6 日本マスタートラスト信託銀行株式会社(投信口)
1,889,700
2.7
合同会社アコーディア・ガーデン甲子園浜
3
ゴルフ練習場経営
66.7
7 株式会社シティインデックスホスピタリティ
1,648,000
2.3
100
ゴルフ練習場経営
81.0
8 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口 1)
844,400
1.2
9 三菱 UFJ モルガンスタンレー証券
837,800
1.2
817,600
1.2
東京ベイゴルフ株式会社
株式会社不二商事
20
ゴルフ用品等の販売
100.0
株式会社岐阜関スポーツランド
50
ゴルフ場経営
100.0
ウッドランド産業株式会社
10
ゴルフ練習場経営
100.0
株式会社成田ゴルフ倶楽部
10
ゴルフ場経営
100.0
株式会社アコーディア AH36
50
ゴルフ場経営
100.0
株式会社アコーディア AH37
50
ゴルフ場経営
100.0
株式会社アコーディア AH38
50
ゴルフ場経営
100.0
組織体制(2015 年 6 月 1 日現在)
株主総会
監査役(会)
内部監査室
経営企画部門
取締役会
社 長
コーポレート部門
特別コンプライアンス委員会
コンプライアンス委員会
ゴルフ場運営部門
指名委員会
危機管理委員会
ガバナンス委員会
情報管理委員会
企業価値向上委員会
経営企画本部
経理財務本部
総務人事本部
ゴルフ場事業本部
株式所有者別分布状況
時価総額の推移(億円)
自己株式 ‒%
株主数 1名
持株数 14,234,378
金融機関 18.1%
株主数 31名
持株数 12,755,200
個人その他 39.2%
株主数 50,625名
持株数 27,643,273
金融商品取引業者 3.0%
株主数 28名
持株数 2,136,635
外国法人等 13.6%
株主数 172名
持株数 9,576,914
その他法人 26.1%
株主数 544名
持株数 18,392,600
1,222
977
935
618
2011
661
2012
2013
2014
2015
( 注 ) 持株比率は、2015 年 3 月 31 日時点の自己株式を控除して算出しております。
㈱ハーツリー
関連サービス部門
練習場事業本部
コース管理本部
人事委員会
㈱ゴルフ・アライアンス
CSR 委員会
営業本部
サービス向上品質管理委員会
10 日本トラスティ・サービス信託銀行株式会社(信託口 5)
( 注 ) 持株比率は、2015 年 3 月 31 日時点の自己株式を控除して算出しております。
事業推進部門
事業開発本部
㈱アコーディア・リテール
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Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
Accordia Golf Co., Ltd.
Annual Report 2015
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I
n v e s t o r
R
e l a t i o n s
株主、投資家のみなさま、
2015 年版のアニュアルレポートをご覧いただき、
ありがとうございます。
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2015 年 8 月発行
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