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コンピュータ演習(Microsoft EXCEL 使用法)
コンピュータ演習(Microsoft EXCEL 使用法) 1. 当日の進行 希望者には,フロッピーディスクを貸し出す.フロッピーディスクは演習終了後返却してもら う.ただし,必要であれば(作成したファイルを持ち帰るなど)フロッピーディスクを貸し出す ので申し出ること.全体に対する講義は行わない.このプリントを見ながら下記の課題 A およ び B を各自で仕上げる.わからない点があればTAもしくは教員を呼んで質問する.課題がで きた者は,最終結果を印刷して提出すれば帰ってよい.この演習への出席は課題提出によりチェ ックする. 課題 A に関する説明はかなり丁寧にかかれているので,パソコンの基本的な使い方(Windows の基本的使用方法,文字入力方法など)がわかっていれば EXCEL を使ったことがない人でも 独力で課題をこなせるはずである.課題 B は課題 A で習得した技術を使えばできるはずである. 課題 A で学習した内容を定着させるため,課題 B はできるだけプリントを見ずに行うこと. EXCEL のようなソフトを使いこなすようになるには,ツールバーや右クリックで表示される 各種の機能(このプリントでは説明していない)を自分で試してみるのが一番である.余裕のあ る人は,いろいろな機能を使って, 遊んでみる ことを薦める. 2. 各課題の内容 課題A 液体の蒸気圧についてのデータ解析(3 年物理化学実験のテーマ) 実験により温度(t /℃)とその時の蒸気圧(p /Torr)を測定したとする.蒸気圧の温度依存性 は近似的に以下のクラウジウス-クラペイロン(Clausius- Clapeyron)式で表される. ln( p / p0 ) = − ∆vH R o ⎛ 1 ⎞ ∆vS ⎜ ⎟+ R ⎝T ⎠ R は気体定数(8.31 J K-1mol-1), ここで p0 は1気圧( = 760 Torr),∆vH は蒸発のエンタルピー変化, T は絶対温度,∆vS°は p0 における蒸発のエントロピー変化である.測定データを 1/T と ln(p/p0) になおしてプロットする(=グラフにする)と,データはほぼ直線上に並ぶ.最小自乗法により その直線の式を決定すると,傾きから∆vH,切片から∆vSº が決定できる.クラウジウス-クラペ イロン式は p0 付近で成り立つ近似式なので,p0 から離れた圧力のデータが直線からずれている 場合は,最小自乗計算から除外する必要がある.演習では水の蒸気圧の文献値を使用する.具体 的手順はこのプリントの「4.エクセルの操作方法」(p2∼)に書いてある. 提出物: p26(10)グラフの印刷結果,(11)シートの印刷結果 (すべてのページに学番,氏名を書き込むこと) 1 課題B 分配係数についてのデータ解析(2 年化学実験のテーマ) トルエンと水を共存させ,そこに安息香酸を溶かしたとき,安息香酸分子はトルエン相でのみ n 分子会合体を形成する.水相における安息香酸の濃度を cA,トルエン相における安息香酸の単 分子としての濃度を cB, 1 とすると,以下の関係が成り立つ. log c B, 1 = n log c A − log( K D / n) ここで, KD は分配係数である.log は常用対数でエクセルの関数の LOG10 で計算できる. 測定データである cA,cB, 1 から,横軸 log cA,縦軸 log cB, 1 のプロットを作ると,データはほぼ 一直線上に並ぶ.最小自乗法(原理は別紙参照)により直線の式を求めると n と KD の値が決定 できる.以下に cA,cB, 1 のサンプルデータを与えるので,実際に n と KD の値を決定してみよ. cA / mol L-1 0.112 0.172 0.25 提出物: 注: cB, 1 / mol L-1 0.343 0.788 1.632 横軸 log cA,縦軸 log cB, 1 のプロット(n,KD の値をグラフに書き込むこと) 課題 B は全てのデータ点を使って直線を引くので,課題AのF列(fit)の系列は不要. 3. 正しい表,グラフの書き方 国際度量衡会議, 日本化学会等により SI 単位系と SI 表記を使用することが推奨されている. SI 表記では物理量に対して斜体(イタリック)書体を用いる.また,それ以外の文字(単位, 物理量の注釈のための文字等)については立体(ローマン)書体を用いる.T /K,∆vH / kJ mol-1 など.文章中はもちろん,図・表中でもこの表記を使うようにする. 1000 倍を表す k(小文字)と温度の単位 K(ケルビン,大文字)を間違えないこと. 4. エクセルの操作方法(課題Aのマニュアル) 水の蒸気圧 (1)セルへの入力 まずは水の蒸気圧の文献値(右表)を入力します.後で 見て分かり易いように「水の蒸気圧」というタイトルと, 各列の数値の内容(T/℃,p/Torr)も書いておきましょう. 入力をするには,入力したいセルをクリックして選択して からキーボードをタイプします.数値を入力したら必ず見 直すようにしましょう. 2 T/℃ p/Torr 20 30 40 50 60 70 80 90 100 17.54 31.83 55.33 92.55 149.44 233.77 355.26 525.87 760.00 (2)ブックの保存 ブックの内容をフロッピーディスクに保存しておきます.エクセル使用中にエラーが起きて強 制終了されると編集していたデータが失われるので,保存はこまめに行うようにしましょう. ツールバーの「ファイル」>「名前を付けて保存」をクリックして選択します. 次にファイル名を入力し, 保存先を選択して(ドライブ A を選択),保存をクリックします. 次回からの保存は「上書き保存」を行います. 3 (3)文字のサイズとスタイルの変更 タイトルの文字のサイズを大きくして,さらに太字にしてみましょう. タイトルが入力されたセルをクリックしてアクティブにした後(セルの枠が太くなる), ツールバーの「書式」>「セル..」を選択します. すると,「セルの書式設定」ウィンドウが現れます. その中の「フォント」を選びます. スタイルの「太字」をクリック,サイズの16をクリックしてから OK をクリックする とタイトル文字のスタイルとサイズが変わります. 4 次に SI 表記に従って T の字体を斜体にしてみましょう. T/℃と入力したセルをダブルクリックしてから T の部分だけを選択します(T の部分を ドラッグして反転させればよい). その状態でツールバーの「書式」から「セル..」を選択します. 5 スタイルを斜体にしてから OK をクリックすれば,T のみ斜体に変わります. 同様にして p も斜体に変えてみましょう. (4)罫線の書き方 罫線を書きたい領域をドラッグして選択します(マウスのポインタを T/℃のセルに持っていき クリックし,クリックしたまま 760.00 のセルまでポインタを動かし,クリックを止める). ツールバーの「書式」>「セル..」を選択します.「セルの書式設定」 ウィンドウの中の「罫線」を選びます. 「外枠」,「内枠」をクリックしてから OK をクリックすると罫線が引けます. 6 (5)表計算 まず,1000/T を計算します(1/T でも良いが値が小さくなるので普通 1000 倍する).後 でわかりやすいようにD3セルに 1000/T と入力します.D4セルに =1000/(A 4+273.15) と入力します(温度が絶対温度になっていることに注意).式の入 力の際に A4 とタイプする代わりにA4セルをクリックするという方法もあります. enter key を押すとA4セルの値を自動的に参照して計算が行われ,結果が表示されます. 次に,D4セルをクリックして選択した後,ポインタをD4セルの右下に持っていきま す.すると,ポインタが白十字から黒十字に変化します.黒十字の状態でドラッグして D12セルまで持っていってマウスの左ボタンをはなすと,D5∼D12セルについて もD4セルと同様の計算が行われます.念のため D5 セルを選択して,式の内容を確かめ て下さい. 7 同様にして p から ln(p/p0)を計算して下さい.具体的には以下のとおり. E3 セルに ln(p/p0)と入力する. E4 セルに =LN(B4/760)”と入力する.( LN は自然対数) E4 セルと同様の計算を E5~E12 セルについて行う (E4 セル選択後,黒十字で E5~E12 セルをドラッグ) 対数を含めて,様々な関数はツールバーの fx をクリックすると出すことが出来ます. (説明省略) (6)セルの値のコピー(形式を選択して貼り付け) 仮に,20℃のデータは直線から外れていると判断するなら,それ以外のデータを使 って最小自乗をする必要が出てきます.このような場合は,最小自乗で使うデータだけ を別の列にコピーしておくとよいでしょう.ただのコピー+貼り付けを行うと参照する データの位置が変わってしまい,間違った値やエラーが出るので注意してください.具 体的手順は以下のとおり. セル F3 に”fit”と入力する. コピーしたい部分(E5~E12)を選択する. ツールバーの「編集」>「コピー」を選択する. F5 セルを選択する. 8 ツールバーの「編集」>「形式を選択して貼り付け」を選択する. 「形式を選択して貼り付け」ウインドウが開かれるので,「貼り付け」のチェック欄で 「値」を選択して,OK をクリックする. 9 最終的には以下のような画面になります. コピーした範囲は点滅したままで大丈夫です. 表計算としての操作は以上です. (7)グラフ作図 グラフにしたいデータ領域(ここでは D4~F12)を選択して,グラフウイザードアイコ ンをクリックして下さい. 10 すると下図のようなグラフウイザードが現れますので,その指示に従ってグラフを書い ていきます. 「グラフの種類」の中の「散布図」をクリックして下さい. するとウイザードは下図ようになります.ここでグラフの形式を折れ線等に出来ますが, 今回はただの散布図を書きます. 次に進むために「次へ>」ボタンをクリックします.するとウイザードは以下のように なります. 11 この操作をすると選択したデータ領域の一番左側の列(ここでは D 列)がX軸と認識さ れ,残り(E,F 列)は Y 軸の値(複数の系列が可能)と認識されます. 系列の名前を変えるために「系列」をクリックします. 「名前」のところに系列の名前を入力します. 「系列2」をクリックして 12 系列2の「名前」を入力します. 「次へ>」ボタンをクリックします. 「タイトルとラベル」のシートでグラフタイトルと数値軸の名前を入力します. 「目盛線」をクリックします. 13 Y数値軸の目盛線を消去するために目盛線のチェックボックスをクリックして 消します. 「次へ>」ボタンをクリックします. グラフの場所として「新しいシート」を選択します. 「完了」をクリックすると,グラフが新しいシートに書かれます. 14 印を (8)グラフの編集 グラフエリアの書式設定を変更するためグラフエリア(図の枠の外側の白い部分)をダ ブルクリックします. 「フォント」を選択すると下図のようになるので,スタイル,サイズを変更します. 「OK」ボタンをクリックするとグラフエリア全体の設定が変わります. 15 次にプロットエリア(グラフ枠内の灰色の部分)をダブルクリックします. 輪郭の色は自動(黒),太さを太くする(選択肢の上から3番目) 領域の色は「なし」にします. 「OK」ボタンをクリックするとプロットエリアの設定が変わります. 16 X 数値軸をダブルクリックして書式を変えます. パターンのシートで軸の太さを太くします. 「目盛」を選択します. 17 X 数値軸目盛の最小値,最大値を適当な値に変えます. 「OK」ボタンをクリックすると X 数値軸の書式が変わります. Y 数値軸の最小値∼X 数値軸との交点までの数値を入力する. 「パターン」を選択して, 18 軸の太さを変えます. また,補助目盛線の種類を「なし」から「内向き」に変えます. 「OK」ボタンをクリックすると Y 数値軸の書式が変わります. X 数値軸ラベルをクリックして選択します. 19 その後 T のみを指定します(Tのあたりをドラッグすれば反転する). 「書式」>「選択した軸ラベル」をクリックします. 20 スタイルを「太字 斜体」に変えて OK をクリックします. 文字飾りの上付き,下付き等を使うこともできます. T と同じ要領で軸ラベルの他の文字も正しい SI 表記に直しましょう. 次にデータ系列の書式設定を行います.「全データ」のマーカー(青)をダブルクリック します. 21 パターンのマーカーのスタイル,サイズを変更して OK をクリック. 前景の色は黒 注: マーカーは○でなくてもよい. 同じ要領で「最小自乗採用データ」系列のマーカーを ● にする. 「表示」>「ツールバー」>「図形描画」をクリックして図形描画ツールバーを表示さ せます. 22 テキストボックスのアイコンをクリックし,字を書きたい場所でマウスをドラッグして テキストボックスを作り,学番と名前を入力してみましょう.入力し終わったら図形描 画ツールバーは閉じておきます. テキストボックスのアイコン (9)最小自乗(近似曲線の追加) 「最小自乗採用データ」系列をクリックして選択してから,「グラフ」>「近似曲線の 追加」をクリックします. 23 種類が「線形近似」になっていることを確認し,オプションをクリックします. 「グラフに数式を表示する」をチェックして OK をクリックします. 「切片」を0にしてチェックをつければ,原点を通る直線が引けます. (今回はチェックをつけないこと) 24 直線の式の場所が悪ければ,ドラッグして動かして下さい. 次に Sheet 1 をクリックして選択します. Sheet1 の F5-F7 を選択し,del key を押し,データを削除してみて下さい. 25 Graph1 をクリックして先ほど書いたグラフを見てみると最小自乗データ系列が変更さ れ,直線の式が再計算されていることがわかります(削除を元に戻すには fit の列を作 り直せばよい).このように,直線から外れているデータは除外して最小自乗を行うよ うにして下さい. (10)グラフの印刷 グラフを表示させてからプリンターアイコンをクリックするか,「ファイル」>「印刷」 で印刷を行う. (11)シートの印刷(部分印刷) sheet1 を表示させて A,B 列を選択します(行見出しの A∼B をドラッグする).次に「フ ァイル」>「印刷」をクリックします. その後,印刷対象として「選択した部分」を選び,OK をクリックして下さい. 選択した部分のみが印刷されます. 26 グラフへのデータ追加方法(参考) 操作手順として,①と②をする事になります. ① y=x のグラフを作成する. ② y=x のグラフに y=2x+1 のグラフを重ねて表示する. ① y=x の系列をグラフにする(詳細はp38(4)からの説明を参照のこと) 1. Excel のワークシートに 2 つの系列の数値を下記のように入力します(ここでは,関数 y=x と y=2x+1 となる数値にしました.式入力でも良い.) 2. まず y=x の系列についてグラフを作ります.A3 から B13 まで選択して グラフウィザード をクリックします. グラフウィザード-1/4-グラフの種類 のウインドウが表示されます.ここ で散布図の折れ線グラフを選択し, 次へ をクリックします. 3. グラフウィザード-2/4-グラフの元のデータ のウインドウが表示されます. 次へ をクリ ックします. 4. グラフウィザード-3/4-グラフオプション のウインドウが表示されます.x/数値軸に x,y/ 数値軸に y を記入します. 次へ をクリックします. 27 5. グラフウィザード-4/4-グラフの作成場所 のウインドウが表示されます. 新しいシート にチェックを付けて, 完了 をクリックします. ② y=x のグラフに y=2x+1 のグラフを重ねて表示する. 1. 作成した y=x の Graph1 の中で右クリックして,下図のようなウインドウを表示させます. 元のデータ を選択してクリックします. 2. 下図のようなウインドウが表示されます.系列のタブをクリックします. 28 3. 下図のようになります.ここで系列の追加を行います. 追加 をクリックします. 4. これで系列 1(y=x)のグラフに系列 2 が追加できるようになります.系列 2 の x の数値を決 めるために x の値 の をクリックします. 29 5. Graph1 のシート上に 元のデータ-X の値: が,表示されます.Sheet1 をクリックします. 6. Sheet1 に移り,D3 から D11 を選択して下図のように表示します.次に て,元に戻ります. 30 をクリックし 7. これで y=2x+1 の x の値について,決定した事になります.次に y の値についても同様の操作 を行います.y の値の をクリックします. 8. Sheet1 で下図のように E3 から E11 までの y の値を選択して, 戻ります. 31 をクリックして元に 9. 下図のように系列 2 が,表示されたら OK をクリックします. 10. y=x と y=2x+1 を重ねたグラフは,下図のようになります. 32