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事業報告書 - 三重県/人材育成センター
NPO 等からの協働事業提案 農業分野における障がい者雇用推進プラン 事業報告書 平成 25 年 3 月 29 日 特定非営利活動法人 人材育成センター 目次 ・農業経営体への実態調査(ヒアリング)[古御門ライス (有限会社 田園)]松阪市.......... 3 実例(1)~(3) ................................... 4 [あかずきんちゃん農園]津市 ..................... 7 実例(1) ........................................ 8 [武田ぶどう園]名張市 ........................... 9 実例(1) ....................................... 10 [農事組合法人 尾崎畜産御浜ファーム]御浜町..... 11 実例(1) ....................................... 12 [グリーンクラフト]亀山市 ...................... 13 対談[グリーンクラフト (内田氏) ]............. 14 ・農業経営体への実態調査(アンケート)・・・・・人材育成センター・・・・・・・・・・・・17 ・事例報告会 講演「農業分野で障がい者の雇用を促進する」講師 伊藤氏................. 21 パネルディスカッション「農業分野における障がい者雇用の実情と課題」..... 25 セミナーのアンケート調査結果 .......................................... 30 セミナー後のまとめ .................................................... 32 セミナー風景 .......................................................... 40 古御門ライス( (有)田園)(松阪市) ● 経営体の概要 代表者:古御門正祐(古御門ライス 代表) 古御門侑 (有限会社田園 取締役社長) 所在地:〒515-0844 松阪市八重田 788-4 電 話:0598-58-2600 設 立:1998 年 ● 経営の概要 経営規模:350ha 事業内容:稲作、麦、大豆 年 商:1 億 8000 万円 従業員数:古御門ライス8人、(有)田園 25 人( パート含む) 障がい者雇用者:1 人(多いとき 3 人) ● 経営の特徴 経営品目:米、麦、大豆 主な販路:直接販売、精米業者(有限会社田園)への販売。 (有)田園からはインターネット販売(楽天) 特 徴 等: 古御門ライス:日々農薬を減らすための努力、有機肥料 100%で育てるため努力を行う。 その成果として「三重の安心食材」 、また農水省の「特別栽培米」として認定されている。 (有)田園 :徹底した商品管理の元、品質の低下をできる限り抑え、注文を受けてからの精米を徹底。 ● 障がい者雇用の動機 ショッピングセンター・マームにある「マーベル」さんから説明を受けた。 水耕栽培で教えてもらった「夢かさい」から紹介を「わかば」から 3 人紹介を受け、ハローワークで試用で雇用した。 ● 障がい者への指導支援方法・ポイント 労働環境の工夫・配慮: ・今日の仕事についてカードに書き込み、障がい者に持たせている。 ・ジョブコーチを呼んで対応する。社員との間に入ってもらう。 指導方法の工夫・配慮: ・水耕栽培の責任者(30 歳代女性)は成果にこだわりすぎないように話している。 ・指示内容が障がい者にうまく伝わっているか話し合いをした。 ● 障がい者雇用の評価・課題 課題: ・松阪市役所からの支援はあまりない。 ・障がい者雇用のサポート体制(関係機関)が不十分で。問題が発生した時の対応が十分でない。 ・障がい者雇用の内容について詳しく説明してくれる事務所がない。 ・補助金ばかりに目が行くと、障がい者の雇用はできない。 ・水耕栽培であまり利益は考えていない。 ● 障がい者雇用におけるアドバイス等 ・うつの人は回復の見込みはあるが知的障がいの人は難しい。 ・試用期間から補助金なしの方がどのくらい仕事ができるかわかる。 ・問題があったときどうするか、どういう制度があるのか前もって調査しておく。 ● 障がい者雇用実例(1) 1・労働者の概要 ・性別:男性 ・年令:50 歳 ・就労経験:1 年 6 か月 2・障がいの状況 精神、うつ病、採用時はいつも口をあけてよだれが出ている状態だった。 現在はよくなった。 3・労働の内容 ・採用の紹介:ハローワーク ・通 勤:自家用自動車 ・主な 作業:農産物を店頭に卸す ・労働 時間:1 週間中 午前中 4 日、1 日フル、2 日休み ・労働 単価:724 円×時間数 4・姿勢・技能の評価 ・作 業 意 欲:あまり感じられない ・持 続 力:概ね持続可 ・共同作業の対応:単独行動・周囲の影響は無 ・対 応 性:作業変更は難しい ・水耕栽培の仕事から、配達の仕事への変更はうまくいった。 ・出勤時間を守ることができる。 ・配達はきちんとできるが、他の品物を見てくるなどの観察はできない。 5・労働の難易度 ・作業 内容:生産物を販売所に配達 ・労働難易度:普通 ・道具 使用:自動車 ・単 調 性:普通 ・判 断 力:応用 ・技能の評価:①作業速度(健常者の 2 分の 1) ②作業の正確性(ややミス) 6・雇用主の評価判断 ・水耕栽培の作業をしていたのに比較して、現在の配達は十分能力を発揮している。 ・現在のところこのまま続けさせたい。 7・労働者に対して雇用主が配慮している点 ・仕事ができないと自分を責めるところがある。 ・雇用主として見てみないふりをするところも必要である。 ● 障がい者雇用実例(2) 1・労働者の概要 ・性別:男性 ・年令:18 歳 ・就労経験:1 年、すでに退社 2・障がいの状況 ・知的障がい 3・労働の内容 ・採用の紹介:若葉(?)から声かけられ ・通 勤:自動車で送り迎え ・主な 作業:水耕栽培(小松菜等)の管理 ・労働 時間:本年から正社員契約をした。 ・労働 単価:724 円×時間数 4・姿勢・技能の評価 ・作 業 意 欲:意欲が感じられない ・持 続 力:すぐに休み声掛けが必要 ・共同作業の対応:単独行動・周囲の影響は無 ・対 応 性:作業変更は難しい ・パソコンは扱うことができる。 ・実習期間の態度は大きな声で返事をして大変よかった。 ・正社員にしてから、タイムカードを押したらお金がもらえるという態度が見え悪くなった。 長靴を脱いだままで片付けない。 ・ 「はい」の返事をしておけば良い、などの態度が見られるようになった。 ・注意をすると切れるようになった。 5・労働の難易度 ・作業 内容:水耕栽培(小松菜等)の管理 ・労働難易度:普通 ・道具 使用:手作業 ・単 調 性:普通 ・判 断 力:軽度 ・技能の評価:①作業速度(健常者の 2 分の 1) ②作業の正確性(ミス多い) 6・雇用主の評価判断 問題が起こるたびに、学校の先生、市の職員に来てもらい対策会議を開催した。 1 人のために多くの時間が割かれた。最終的にやめてもらった。 ● 障がい者雇用実例(3) 1・労働者の概要 性別:男性 ・年令:20 歳 ・就労経験:6 か月(?) すでに退社、試用期間のみか 2・障がいの状況 ・引きこもり(ニート) 話していると普通の青年である 3・労働の内容 ・採用の紹介:わかば(?) ・通 勤:自動車で送り迎え ・主な 作業:水耕栽培(小松菜等)の管理 ・労働 時間:10 時~12 時 半月来て、1 か月休み、2 週間来る ・労働 単価:724 円×時間数 4・姿勢・技能の評価 ・作 業 意 欲:普通 ・持 続 力:概ね持続力は可 ・共同作業の対応:? ・対 応 性:作業変更の対応は可 仕事はできる。来て、休んでの繰り返し。 厳しいことを言うと来なくなる。 親の態度も働くことに対しての意欲を感じられなかった。 5・労働の難易度 ・作業 内容:水耕栽培(小松菜等)の管理 ・労働難易度:普通 ・道具 使用:手作業 ・単 調 性:普通 ・判 断 力:軽度 ・技能の評価:①作業速度(健常者の 3/4(?)) ②作業の正確性(ミスなし(?)) 6・雇用主の評価判断 ・朝私(雇用主)メールがあり、頭痛いの繰り返しだった。 あかずきんちゃん農園(四日市市) ● 経営体の概要 代表者:加藤秀樹 役員:1 人 所在地:〒 510-0956 四日市市貝家町 1619-3 電 話:059-321-9517 ● 経営の概要 経営規模:畑 6 反(内 2 反は炭素循環農法) 事業内容:トマト、その他野菜 従業員数:社員 2 人(トマト収穫時にはパートさんに来てもらう。) ● 経営の特徴 経営品目:トマト、野菜各種 経営状況:経営的にはまだまだ軌道に乗ってない。 主な販路:JA 四日市・四季菜(産地直売) 特 徴 等: 炭素循環農法による農業を実践している。これは本来の野菜の機能を失わさないようにする農法。土にチップを混ぜる やりかたで肥料をほとんど使わない。農薬もほとんど使わない。野菜の力を最大限にする。 ● 障がい者雇用の動機 ・正確には過去に雇用した。2011 年 7 月~2012 年 9 月(1 年 2 カ月) ・四日市障がい者就業・生活支援センター「プラウ」さんからの紹介。炭素循環農法でチップを土壌に撒かなければな らない。身体的には問題なかったので来てもらった。プラウの担当者にも支援をしてもたった。 ● 障がい者への指導支援方法ポイント 労働環境の工夫・配慮: ・耳が難聴であった為、言ったことが伝わりにくいので顔を向き合って話をする事にした。また、メールが使えたので メールでのやりとりを行った。 ・箕の先端に金網をつけて向こう側が見えるようにした。その結果作業効率が向上した。 指導方法の工夫・配慮: ・物を運ぶにあたり収穫かごを一輪車に乗せる時、フックを付け、てこの原理で乗せやすくした。 ● 障がい者雇用の評価・課題 評価: 正直負担が多い。勤務状態が不安定である為、朝仕事の段取りをしていても来れないことがある。また、思うように作 業を進められない。農業は時期が大切なので限られた期間・時間で作業しなければならない。タイミングが大事。 課題: 指示をきちんとしておかないとダメで、一つ終わると自分で次のことができない。 辞めた理由: ・経営的な問題(補助的な業務だったらいいが、炭素循環農法では負担が重い。) ・本人も長期で出てこれない。雇用の継続が難しいので一旦中止した。 ● 障がい者雇用におけるアドバイス等 ・福祉施設ときめ細やかな連携を行う。 ・大事なことを伝える時は市の手話担当者の人と連携した。 ・養護学校で独特のルールがあるようで、コミュニケーションをするおり世間とのズレがある気がする。これを理解す る必要がある。 ● 障がい者雇用実例(1) 1・労働者の概要 ・性別:男性 ・年令:42 歳 ・就労経験:養護学校卒業後建設会社で約 10 年勤務 2・障がいの状況 精神障がい 3・労働の内容 ・通 勤:原付バイク ・主な作業:チップ撒き ・労働時間:当初 4 時間/日 途中から 3 時間/日 週 1 日休み ・労働単価:500 円×時間数 4・姿勢・技能の評価 ・作 業 意 欲:指示した仕事は意欲的 ・持 続 力:概ね持続可 ・共同作業の対応:単独行動・周囲の影響は有 ・対 応 性:ほぼ作業変更の対応が可 作業への取組姿勢 ・指示をきちんとしておかないとダメで、一つ終わると自分で次のことができない。 5・労働の難易度 ・作業 内容:チップ撒き ・労働難易度:易 ・道具 使用:道具 ・単 調 性:単調 ・判 断 力:軽度 6・雇用主の評価判断 ・農業をすることで精神的に安定してきたように感じた。 ・正直負担が多い。勤務状態が不安定である為、朝仕事の段取をしていても来れないことがある。 また、思うように作業を進められない。農業は時期が大切なので限られた時期・時間で作業しな ければならない。タイミングが大事。 7・労働者に対して雇用主が配慮している点 ・耳が難聴であった為、言ったことが伝わりにくいので顔を向き合って話をするようにした。また メールが使えたのでメールでのやりとりを行った。 ・箕の先端に金網をつけて向こう側が見えるようにした。その結果作業効率が向上した。 武田ぶどう園(名張市) ● 経営体の概要 代表者: 武田省吾 所在地:〒518-0443 名張市青蓮寺 479 ● 経営の概要 経営規模:1ha (ハウスが 3 割) 事業内容:ぶどう栽培、販売 年 商:約 900 万円 従業員数:社員 4 人(家族) パート 1 人(障害者 1 人) ● 経営の特徴 経営品目:ぶどう(デラウエア、巨峰) 経営状況:厳しい 主な販路:直売のみ 特 徴 等:シーズン中は清潔感を大切にしている。 お客様と面と向かって話をする上で重要。 ● 障がい者雇用の動機 ぶどう農家も高齢化しており若い人が少なくなっている。健常者でも農業をやろうとする人が少ない。障がい者の方 でも、1 つの作業であればできるのではないかと考えていた時、市役所主催の話を聞きに行き紹介していただいた。 ● 障がい者への指導支援方法・ポイント 労働環境の工夫・配慮: ・特にしていない。 指導方法の工夫・配慮: ・市からジョブトレーナーに最初の 1 か月来ていただき、その後時々様子を見に来ていただいている。 ● 障がい者雇用の評価・課題 評価: 当初思っていたより期待が外れた感じがする。シーズン中の仕事ができない。ぶどう狩りシーズン中はお客様相手の 仕事が多くなり、対人関係のことができないのでつらいところがある。 課題: ・作業に関して言えば、もう少しペースを上げてほしいと思う。 ・自閉症なので会話がなく、あいさつ程度にしかコミュニケーションがとれない。あいさつも自分からは、なかなか できない。 ● 障がい者雇用におけるアドバイス等 その人の適性によると思う。本人のやる気がどこまであるか。あるいは、いかにやる気にさせるかも重要。 ● 障がい者雇用実例(1) 1・労働者の概要 ・性別:男性 ・年令:19 歳 ・就労経験:なし ・その他:つばさ学園卒業 2・障がいの状況 精神障がい 3・労働の内容 ・通 勤:原付二輪 ・主な作業:ぶどうのつるを針金から取る作業、草刈、ざる等の洗い物 ・労働時間:冬季 9 時~16 時(1 時間休憩) 夏季 8 時~12 時 土日祝日は休み ・労働期間:周年 ・労働単価:724 円×時間数 4・姿勢・技能の評価 ・作 業 意 欲:あまり感じられない ・持 続 力:概ね持続可 ・共同作業の対応:単独行動・周囲の影響は有 ・対 応 性:ほぼ作業変更の対応が可 6・雇用主の評価判断 ・シーズン中は特にお客様相手のサービス業なので雇用継続は難しい。 7・労働者に対して雇用主が配慮している点 ・特になし。 農事組合法人尾崎畜産御浜ファーム(御浜町) ● 経営体の概要 代表者:尾崎光弘 所在地:〒519-5711 三重県南牟婁郡紀宝町井田 2180-6 電 話:(0735)32-1900 設 立:昭和 61 年 資本金:20,000 千円 役 職:社長 ● 経営の概要 経営規模:乳牛 1,800 頭飼育、乳量 1 万 2000 トン 事業内容:牛乳生産、哺育育成、醗酵飼料製造 年 商:32 億円 従業員数:社員 70 人 ● 経営の特徴 経営品目:搾乳牛・肥育牛 経営状況:ここ 2,3 年は良好に推移。 主な販路:大内山牛乳に 100%出荷 特 徴 等: (1)乳 :牛乳生産を行い、大内山酪農組合に全量出荷。 (2)哺育育成:乳牛が出産する仔牛に加え、肥育牛の素牛として市場などに出荷。出荷頭数月 150 頭、年間 1800 頭。 (3)和牛繁殖:年間 200 頭。 (4)堆肥製造:出荷数量 年間 1 万 5000 頭。 (5)飼料販売:年間 5 千トン。 ● 障がい者雇用の動機 平成 15 年にくろしお学園(養護学校・高等部卒)からの体験学習を引き受け、学校からの推薦があった。力も強く、 無断欠席もなかったが、本人の希望で平成 24 年 4 月に退職した。28 歳。9 年間勤務。 ● 障がい者への指導支援方法・ポイント 労働環境の工夫・配慮: ・特に工夫や配慮することはなかったが説明するときには丁寧にすることを心がけた。 ・特に指導者はつけていない。自分の仕事の範囲でやる。緻密・高度なことはさせない。 指導方法の工夫・配慮: ・一部の人との人間関係がうまくいかなかったが、そんなに大きなトラブルはなかった。 ● 障がい者雇用の評価・課題 評価: ・単純作業で根気よく仕事ができる。 課題: ・人が付き添い作業する余裕がないため、安全に作業ができるかが重要。 ・障がい者という範囲があやふや。自分から言わない人がいる。 ● 障がい者雇用におけるアドバイス等 ・障がい者手帳をもったほうがいいのではないか。給与面において特に。 ・ハローワーク等からはっきり障がいの程度を聞いておく。 ・養護学校等の先生方のサポートが必要と思う。くろしお学園の先生方は卒業生が就職してからもたびたび顔を出さ れていて心強かった。 ● 障がい者雇用実例(1) 1・労働者の概要 ・性別:男性 ・年令:28 歳 ・就労経験:9 年 ・その他 平成 24 年 4 月自己都合退職 2・障がいの状況 軽度の知的障害 3・労働の内容 ・通 勤:原付二輪 ・主な作業:仔牛担当、ミルクやり、器具の洗浄、棚の移動等 ・労働時間:7 時~17 時(昼休み 1 時間半 休憩時間 午前・午後に 15 分) ・労働期間:周年 ・労働単価:158000 円×月(賞与:夏・冬 2 回) 4・姿勢・技能の評価 ・作 業 意 欲:普通だが少しむらがある ・持 続 力:概ね持続可 ・共同作業の対応:自主的に周囲に合わせた行動が可 ・対 応 性:対応に時間がかかり急な作業変更は不可 ・作業の取組姿勢:少し作業にむらがある。 ・作 業 精 度:特に問題なし。 5・労働の難易度 ・作業 内容:仔牛担当、ミルクやり、器具の洗浄 ・労働難易度:やや易 ・道具 使用:手作業 ・単 調 性:単調 ・判 断 力:軽度 ・作業 速度:健常者の 1/2 ・達 成 度:ややミス(75%) (決まったことはやる) 6・雇用主の評価判断 ・後半集中力が欠けてきて辞めたいと思うようになってきた。仕事に飽きてきたのともっと違うこ とがしたいと思ったのかもしれない。継続して働いて欲しかったが自分から辞めたいと言ってき たので仕方なかった。 7・労働者に対して雇用主が配慮している点 ・付き添いが必要になるかどうか。 グリーンクラフト(亀山市) ● 経営体の概要 代表者:内田恵介 電話:0595-85-2112 所在地:〒519-0212 亀山市能褒野町 43-3 設立:平成 2 年 役職:認定農家 ● 経営の概要 経営規模:畑 2.5 ha 年商:2,000 万円 事業内容:植木 80a、イチゴ 10a,イチジク 40a,サツマイモ 50a 他 従業員数:社員 3 人(家族) [パート 7 人(健常者 4 人、障害者 3 人)] ● 経営の特徴 経営品目:イチゴ、イチジク、サツマイモ、植木(玉竜)、加工品(ケーキ、ジャム、鳥飯) 主な販路:緑の大地、ファーマーズ大地、JA、道の駅、わくわく広場、もくもくファーム 直販(通販、レストラン、直売所) 特 徴 等: イチゴ、イチジク等の品質を落とさないよう販売するため、少しでも良くないものは加工用に回している。加工の利益 率を高めに見てあるため、思い切り選別する事により、製品の品質を維持し、価格を最初から最後まで落とさず一定に する事ができる。年間を通し仕事量が一定になるように、農作業の仕事が無くなる時期に植木を市場に出している。直 売の売上は総売上の大体(削除)半分ぐらいになっている。加工品を含め、各曜日の売り上げデータもあるので、売れ残 りの無いようにしている。他と差別化できるよう丁寧に作ることを心がけ、買ってくれる人の喜ぶ顔が見え、そこに楽 しみを見つけられる農業をやりたい。 ● 障がい者雇用の動機 亀山市の青少年育成サポート委員をやらせてもらっている時に、農業の立場でサポート出来る事があるはずと様々な若 者を積極的に受け入れてきた。農業は許容力・復元力があり少々の失敗や間違った事をしてもなんとかなるもので、や んちゃな子、不登校の子等の受入れをしているうちに障害を持つ人の受け入れも頼まれるようになった。 ● 障がい者への指導支援方法・ポイント 労働環境の工夫・配慮: ・効率よく仕事をやる人とペアで仕事をしてもらっている。一人では全然やらない子でもペアにするとひっぱられて仕 事をやるようになる。ずっと仕事を見る時間がないのでいろんな事を大目に見ているが、ベテランの人達がうまくフ ォローしてくれ人材に恵まれている。障がい者を雇用したからと単純な作業をさせているだけでは意味がなく、生き がいを持って作業ができるよう工夫する必要がある。 指導方法の工夫・配慮: ・できるかなという事をしてもらい、できたら次の段階へ、次々とできることをしてもらう。できなければできる範囲 の仕事をしてもらう。あまり細かい事まで見ないようにしている。ノルマを与えないでできる範囲でしてもらう。 ● 障がい者雇用の評価・課題 評価: ・障がいを持つ子、自閉症の子でも驚くような事ができたりする。手間暇かけ丁寧な物を作る上で、戦力になっている。 ただ経営的にもっと儲かる農業をしていかないといけない。癒される子はいい。なんとかできない子もいる。 課題: ・農業をしていると障がい者は雇えない、無理だというのが普通だが、 「うちは助かっている。」という声をどんどん出 し農家の意識を変える必要があると思う。障がい者を雇用し儲けるようになり「障がい者の人に来てもらい、すごく 助かっています。」と言えるように自分がならないといけない。ただ、すべて何とかできるのではなく、自分のとこ ろでは無理な子を何とかしてやろうと思わない事も大事。商品に付加価値をつける。障がい者に優しい環境は高齢者 にも優しくなる。当面農業経営を確立する。将来は障がい者指導専門の人を一人つけたい。 ● 障がい者雇用におけるアドバイス等 ・野菜作りをしていてもいろんな物ができる。それは個性として受け入れる事にしているが、障がいも同じでその子の 個性と考え、みんなが成長できるような職場にしていかないといけない。それには、みんなが少しずつフォローしあ える環境が必要だと思う。 ・経営者には一度やってみたらと言いたい。 グリーンクラフト【内田氏】との対談 ― ここを始められたのはいつ頃ですか? [内田] 終戦後、祖父の代から行っています。当時は、スイカ・芋などいろいろ作っていましたが、父 が養鶏その後植木に代わって行きました。 造園は現在行っている仕事の一つで、四日市農芸を出た後、東京で植木関係の仕事の修業を行 い地元に戻ってきました。 父が養鶏から植木に変わり、当時は公共事業も多く景気が良かったのですが、僕が修業した時 期から景気が悪くなっていきました。そういうこともあり農業について考え直している時、今 までやったことがないイチゴを始めたところ、お客様からダイレクトに「おいしかった」など 反応が返ってくるなど、初めてそこで「農業が面白い」と思うようなっていきました。 ― 従業員についてですが。 [内田] 学習障がいの女の子が 1 人、通勤リハビリを受けている男性が1人、健常者のパートさんが 1 人、農産物加工のパートさんが 3 人です。 ― 基本的にみなさんパートさんですか? [内田] そうです。 ― ご家族の方は? [内田] 父と母で農場の方を管理しています。妻は、加工の方を担当しています。 ― パートさんの勤務時間は? [内田] まちまちですが、障がい者雇用の 2 人は月曜日~金曜日の 9 時~15 時です。 他の方も基本そうなのですが、加工の方は週 3 日です。 ― 売り先はどこですか? [内田] 緑の大地、ファーマーズ大地、JA のから菜が 3 店舗、関の道の駅、イオンタウンにあるわくわ く広場、もくもくファーム。直売所は基本的にイチゴやサツマイモなどでサツマイモは通販に 出してもらっており、後はレストランの加工用です。 ― 作物を作るにあたりこだわりなどありますか? [内田] 作物に対し、とにかく丁寧に扱うそれだけです。技術や経験がなくても丁寧に扱うことはでき るので。マメに管理し、摘果を厳しくし大きな物を採るというぐらいですが。それを徹底的に やることで品質や味はお客様の判断ですが、見た目や大きさは他のものと差をつけることが出 来、他の人との価格差を付けることが出来ます。 ― [内田] 障がい者の雇用についてですが。 亀山市の青少年育成サポート委員をしていたときに不登校の子供たちなどのサポートをして いく中で、農業の立場でサポートできないかと思うようになり、まず子供たちを受け入れるこ とから始めました。 ― いつ頃から受け入れをはじめられたのですか? [内田] 4 年ぐらい前の、イチゴを始めた当初です。システムが出来上がっていたのではなく個人的に 依頼させることがあったので。 ― 学校が休みの日に受け入れるのですか? [内田] 子供たちは学校に行けていないので平日です。ここに来たら出席扱いとなっています。僕から すると戦力で助かります。 農業にはいろんな仕事があって、たとえ失敗してもそれで終わりではないんです。ノルマや時 間の制約もなく、できる範囲でやってということが出来ます。 ― 障がいを持つ人を雇う場合は全然違う手法ですか? [内田] 基本的には一緒です。その人にできるかなと思うことをしてもらい、出来たら次の段階へ。そ の人の出来る範囲で仕事をしてもらいます。中には、自分で気がついてびっくりすることが出 来る人もいます。 ― 障がい者を雇うのは危険だなどの理由で無理ですというところが多いのですが。 [内田] 私たちのところでは考えられないです。丁寧に仕事をすることが一番大事で早くて雑な人はダ メなのですが、遅くても丁寧にしてくれるので。本当に助かっています。 ― 経営方針があっているんでしょうね。手をかけていいものを作るというところが。変な気負い があって障がい者を雇用しないといけないというものがないからですね。 賃金についてですが。最低賃金の維持はしてくれますか? [内田] 仕事によります。2 人でやると出来るが 1 人になると仕事量が落ちるなどいろいろあり、そこ まで細かく見ている余裕がなく多めに見ている部分もあります。 ― 農家は経営的にきびしいですもんね。 [内田] 収入を得るため、高い値段で売るなど今まで考えられなかったことが考えられるようになり逆 に助かっています。 ― 彼らに仕事を与えるために高い値段で売るという発想はすごいですね。 仕事の段取りなどの面で 5 つやってほしいと思っていても 3 つしか出来ない場合などどうさて いますか? [内田] カバーできる部分は僕がやります。その部分が遅いときは違う人にやってもらってリレーでや ろうとか。 ― [内田] みんなでフォローするんですね。 僕が言わなくてもパートの人が気遣ってそっとフォローしてくれるのでいい人材に恵まれて います。 ― パートの人と障がい者の給料は一緒ですか? [内田] 一緒です。 ― パートさんからなにか言われることはありますか? [内田] 僕に対して大丈夫?という気遣いはありますが、給料のことでどうこうは何もないです。理解 してくれている人なので。 ― こういう人がきたらこうするというマニュアルなどありますか? [内田] やることは順番で、その日その日で指示を出します。現場現場で工夫という工夫になるかわか りませんが、自然にこうした方が楽なんじゃないかということはやっています。 ― いろんなことを考え工夫されているので、その技術がユニバーサルな技術になってきているよ うな気がしますね。だから、障がい者の人たちにも出来たりとか。 [内田] イチゴを作っていて、イチゴが落ちたりする時に、なんで落ちるのかわからないままこの高い 肥料を与えれば甘くなりますというのがあると、それを与えていたのですが、ある時から美味 しくなるときは美味しくなるし、これはイチゴがもっている力によるものや環境が大きいのか なあと思うようになりました。人間が出来る事はごくわずかで、収量を上げようという人間の 欲が、植物に負担をかけて疲れているんじゃないかと。自分のやるべきことは、植物が気持よ く育つ環境を作ることじゃないかと思うようになって。だからハウスに暖房をせず、冬はキン キンに冷えたハウスなので育つのに時間がかかるのですが、その分美味しいのが出来たりしま す。自然に厳しい中でじっくり大きくなった方がおいしくなるということが分かってきました。 ― [内田] 鶏なども放し飼いの方がおいしいんですもんね。 ベテランの方などで自分の作った物はこういう作り方をしているので美味しいんだという人 がいますが、僕はイチゴががんばっているだけだと思っています。もちろん名人のようなすご い技術を持っている人はいると思っています。 結局イチゴががんばっているものを人間がいただいているだけで、そういう言い方は僕はでき ないです。食べた時においしいと言ってもらったらいい状態のものだったんですね。っていう。 人に対しても同じような感覚でやっているので、こちらの思うようにもっていくとか、誘導す るようなことはやっていないんです。障がいも個性と思っているので。 ― その時期その時期の特徴なわけですね。 今後の課題などはないですか? [内田] 一番の課題は経営が農業だけでなりたっていくようにすることです。障がい者の人をみてくれ るような人を雇うことが出来ないため、この一番大変な部分を家族が負担している状態です。 人はどんどん入れたいし、障がい者も雇用したいと思っています。人を入れるだけ入れてとり あえず草取りなどの単純作業をやってもらうだけでは意味がなく、自分たちが生きがいを持っ て作業が出来るような対応をしたいと思っています。 ― [内田] みんながこんな考え方だったらいいですね。なかなかいないですね。 僕がこのやり方でまず儲ける。儲かる農業をする。僕が儲けてベンツに乗って、「障がい者に 来てもらって、僕すごく助かってます」っていう風に早くなりたいです。そしたら「お、そん なことができるのか」って。 ― 障がい者を 50 人ぐらい雇って農業で儲けている人が静岡にいるんですよ。 [内田] 福祉業種で? ― 農業です。 [内田] それはすごいですね。 ― 水耕栽培でネギなどを栽培されています。今までは作物の防除をしていたのですが、それを無 防除に変えるために掃除機のおばけみたいなものを作り虫を吸うことにしたそうです。掃除機 を動かすスピードが、障がい者の人の動かすスピードとちょうどいいらしいです。農薬をかけ なくてもよくなったので、無農薬という付加価値を付けて売ることが出来、農薬費もいらなく なったので、その人達にお金が払えるようになったそうです。その人達にお金が払えるような 仕事に自分たちが変えていかないといけないという事をおっしゃっていました。一緒のような 考え方ですね。 [内田] 僕達もイチゴの高設栽培をするときに、車いすで作業出来るように高さを下げてみるというこ とを試験的にやってみたんです。結局そこで作業がしやすいように変えることはそんなに難し いことではないんです。パイプを短く切るだけでお金もかからないので。僕達が足腰立たない ようになったときに、今度は自分たちがそこで作業が出来るじゃないですか。障がい者の方に 合うような施設は結局僕達にも合うと思っています。 【アンケート調査結果】 農業経営体における障がい者雇用についての意識調査 □目的 多くの障がい者が働ける社会づくりのための基礎資料とする 回答者の主な農業形態 □回答率 加工 2%(2) (回答数) 販売 1%(1) 無回答 1%(1) 茶 6%(8) ・回答率:25.7% 畜産 8%(11) ・513件に配布したところ 132件回答あり 水稲 39%(51) 露地野菜 8%(11) 果樹 11%(14) 花木 11%(15) ハウス野菜 14%(18) 回答者の売上高・労働力 年間売上 (回答数) 無回答 17%(23) 労働人数(回答数) 20人以上 7%(9) 1億円以 上 5%(6) 無回答 1人 6%(8) 5%(7) 1千万~5千 万円 38%(50) 5千万~1億 円 10%(13) 2~5人 36%(48) 10~20人 18%(23) 5百万円以下 11%(15) 5百万~1千 万円 19%(25) 5~10人 28%(37) 従業員としての障がい者雇用 障がい者雇用の有無 はい(2人) 2%(2) はい(3人) 2%(2) (回答数) 無回答 4%(5) ・障がい者を雇用している事業所数 12事業所 ・障がい者雇用人数 18人 はい(1人) 6%(8) ・障がいの種類 ・勤務日数 いいえ 87%(115) 精神 4人 身体 3人 知的 10人 その他 1人 200日以上 50~200日 50日以下 ・1日平均勤務時間(平均) 15人 1人 2人 6.6時間 福祉事業所に農作業委託されていますか 現在委託をしていますか。 はい 6% 8件 0% 10% いいえ85% 112 件 20% 30% 40% 50% 委託している農作業 • • • • • ミニトマト 販売 茶 除草作業・ティーパックの作業 鉢花 ハウスに出向 花(野菜)苗 ポット詰め 植木 植木コンテナの生産 • イチゴ へた入れ袋作成・イチゴジャ ム作成 柑橘 果実袋のしわ伸ばし・マーマ レードづくり • • 水稲 空箱洗浄・草取り・殺虫剤散 布・コメの袋詰め 60% 無回答 9 % 12件 70% 80% 90% 委託できそうな農作業 • 収穫・選別・揃える • シール貼り・袋詰め • 脇芽取り・ヘタ切り・棚掃除 • 草刈り・草取り・清掃 いろんな作業が考えられます。 100% 障がい者雇用に対する意向 その他 無回答 5%(7) 2%(3) 縮小したい 2%(2) 現状維持 16%(21) 拡大・開始・検討したいと回答 された方のご意見 拡大したい 2%(2) ・農産物の収穫、袋詰め、シール張 り、箱の洗浄、草刈り、清掃など人 手のいる作業を期待している。 開始したい 4%(5) 雇用できな い 52%(69) ・作業を単純化すれば出来る農作 業はあり、今後障がい者雇用が進 む可能性はある。 検討したい 17%(23) (回答数) 障がい者雇用は難しいと思われる理由 経営規模が小さい。(家族経営で労働力は十分) 20 作業が危険。 13 重労働。 10 技術的に作業が高度である。 8 障がい者の程度、作業量がわからない。 7 経済的に余裕がない。 5 無回答 16 0 5 10 (回答数) 15 20 25 「障がい者の雇用」や「福祉事業所への作業委託」をする際に、 必要な支援は何ですか。 障がい者に対する対応方法 53 障がい者への技術支援 44 労働環境の整備 42 助成制度の情報提供 41 障がい者の通勤 36 障がい者の紹介 18 障がい者への生活支援 17 分からない 1 無回答 38 0 10 20 30 40 50 60 回答数(複数回答あり) ご意見・ご要望 • • • • • • • • • • 6次産業ですので仕事の種類としては多いと思います。個の能力により出 来る仕事は必ずあると思います。 優良事例を教えてほしい。 関心はありますがアクセスするパイプがない。 双方の情報交換を。 協力できるようになればしたい。 農業で担い手確保と障がい者雇用確保は重要な取り組みと考えます。 障がいのレベルによっては十分雇用可能と考えます。 最低賃金に見合うだけの労働力が伴わないのが現状です。障がい者雇用 を推進するのであれば、雇用者側のメリットがないと継続しないと思う。 障がい者への理解が足りない為、雇用を・・・ とまでは考えられない。 障がい者=軽作業としか思えないので農業は重労働です。でも、理解が深 まるともっと雇用が増えるかも。 講演「農業分野で障がい者の雇用を促進する」 伊藤良一氏 私は 1995 年転落事故にあい頸椎を損傷し 1 級障害者となりました。1 年 8 カ月の入院生活の内、 1 年間リハビリを行いました。リハビリで知り合った障がい者の方たちの話の中に、退院後の職場 復帰が難しいということがありました。たまたま私は実家の会社を継ぎ自動車部品を作る会社の社 長をしていたので、職場復帰には問題ありませんでした。リハビリ中の経験から、私の会社でも障 がい者は十分仕事が出来、働けるのではないかということに気づき、それ以降障がい者雇用促進を ライフワークにしようと退院後、何度も県庁に足を運び、1999 年に社会福祉法人朋友、2000 年に 身体障がい者福祉工場アクティブ鈴鹿、2005 年に身体障がい者福祉ホームアクティブ、2006 年に レグルス千代崎工場のバリアフリー、2010 年に水耕栽培農場わか菜の杜を立ち上げました。 2000 年 4 月に立ち上げた社会福祉法人朋友は、その時点では福祉工場でしたが、自立支援の考え 方が変わり就労継続支援 A 型事業所アクティブ鈴鹿となりました。2005 年に立ち上げた身体障がい 者福祉ホームアクティブは千代崎かいわいに建っています。2000 年に福祉工場立ち上げ時の面接会 に南は尾鷲、北は岐阜県の方から来ていただき、働きたいが近くに住むアパートがないかなど問い 合わせがあり、市営住宅等探してみましたが、入れるところがなく、民間のアパートやマンション で入れるところはあったのですが、非常に高く手が届かないなどがあり、自分でやるしかないとい う事で国、県、市の協力を得ながらこの福祉ホームを建てました。12 名の部屋がいつも満員で障が い者の方に入ってもらっています。バリアフリーで昼間は管理人さんが見え、介護ヘルパーさんや 訪問看護を使われ充実した生活を送られています。ここに入所された方は私の会社に勤めなくては ならないというわけではなく、住みながら学校に通ったりといろんな活動をされています。施設中 はどの部屋にも車いすで入れるバス・トイレを完備しており、身体障がい害者の方には生活しやす い形で月 2 万 5 千円の家賃で入ってもらっています。2010 年にオープンしたわか菜の杜はアクティ ブ鈴鹿の農業部門です。ビニールハウスが約 500 坪で、この中で水耕栽培を行っています。建物は 県の支援をいただいて建った物で、この中で収穫された野菜の梱包などをおこなっています。 組織内容は、一般企業となるレグルスは総勢 105 名。その内 10 名が障がい者です。アクティブ 鈴鹿は総勢 75 名。その内 57 名が障がい者となっています。その障がい者の内訳は、男性 42 名、 女性 15 名と男性の比率が高く、年齢構成は 10 代 1 名、20 代 16 名、30 代 12 名、40 代 13 名、50 代 7 名、60 代 8 名。全体的にバランスがとれた形になっています。障がい別の内訳は 21 名が重度 の身体障がい者、10 名が軽度の身体障がい者、2 名が重度の知的障がい者、16 名が軽度の知的障が い者、8 名の精神障がい者となっています。身体障がい者の受け入れからスタートしているため身 体障がい者の割合が高くなっています。 農業部門わか菜の杜は 18 名の障がい者がおられます。男女比率は、男性 13 名、女性 5 名。障が い別の内訳は、アクティブ鈴鹿は身体障がい者の方が多かったのですが、わか菜の杜は 11 名が軽 度の知的障がい者、6 名が精神障がい者が、1 名が重度の身体障がい者、と身体障がい者がほとん どいない状態です。自動車部品の製造では1㎜単位の精度が求められ、クレーム等が発生すると企 業存続に大きく影響するため、身体障がい者の方に多く働いてもらっています。農業部門では、野 菜の成長が精神障がい者にいいのか、休むことがすくなくなっています。農業は精神障がい・知的 障がいの方に適した職場だと思われます。 私達が農業分野に進出したのは、2010 年にオープンしたわか菜の杜がスタートです。それまで職 場実習をしていただいた特別支援学校の生徒さんみなさんを採用したいのですが、自動車用部品製 造だけではどうしても作業が向かないような人がおられ、採用したいが出来ないとうことに悩んで いました。また、2008 年に起きたリーマンショックで半年ほど受注が半減するなど、安定した障が い者雇用が継続できない状況に陥り、一つ違う部門の柱となる事業を考えており、それが農業部門 となりました。リーマンショック後、東日本大震災、タイの洪水など自動車産業では外的要因で受 注がめまぐるしく変わり、その対策に農業部門の一つの柱が非常に有意義になっています。その中 で水耕栽培を選んだ理由は、天候に関係なく毎日作業が出来るため、1 年を通し安定した作業量が 確保できることがもっとも大きな理由でした。それ以外にも、トラクター・鎌・鍬など危険な農器 具を使わなくてよい。水耕栽培は作業を標準化しやすく分業体制がとれる。個々の作業がそれほど 難しくない。自動車部品のような細かい規格基準がなく取り組みやすい。という事で水耕栽培を選 びました。私は小さい時から植物を育てる事が大好きで、将来は農業がしたいなという思いが障が い者の雇用で農業に取り組んだというところにも繋がっています。それ以外にも環境上の理由とし て、今行政が抱えている食の安全、地産地消、農業の担い手不足解消、障がい者雇用の促進など、 さまざまな問題解決出来るという理由でわか菜の杜を立ち上げました。水耕栽培の工程ですが、種 まきはプラスチックのスリット部分に蒔いていきます。植物の種類により蒔く数が違い、深さが深 すぎるまたは浅すぎると発芽に影響するため、一定量で植える必要があり、根気がいる仕事です。 この仕事は障がい者の方が専門で行っています。芽が出た後の定植作業ですが、水耕ベットに浮か ぶ発泡スチロールに穴が空いており先ほどの苗を分割して一つずつ植えていきます。種類により深 さ、植える場所が違うためそこがポイントです。ハウスの中では、レタス、小松菜、水菜、ネギな ど 8 種類ほどの野菜を作っています。野菜を傷つけないように丁寧に収穫し、袋に詰めシールを貼 り、市内の産直コーナーやこだわりを持ったレストランなどに発送し買っていただいています。工 場内での改善活動はもちろん、アクティブ鈴鹿では障がい者をカバーする取組も行っています。利 益優先ではなく雇用の維持・規模拡大を最優先に考えており、単純な機械化による能力向上であり、 作業人数を減らす取り組みではありません。改善活動は、障がい者のみではなく健常者が使用して も能力向上となる事が多いと思います。鈴鹿市には鈴鹿市モノづくり支援センターがあり、鈴鹿市 内の中小製造企業を対象に困りごと解決のため、専門アドバイザーを派遣し問題を解決するという 制度が年 12 回まで無償で受ける事が出来ます。農業分野は支援対象外でしたが、農業といえども 農産物を作りだすという意味では同じだというところで、車を作るノウハウそのままで支援してい ただけないかお願いし、理解をいただき支援をしていただいています。これは、障がい者が働きや すい職場にするための活動であり、儲かる農業にするための活動であります。産学官いろいろな人 の違う立場からアドバイスをいただき、農業分野でも採算があう就農の場にしていくということが 重要だと思います。 これは農業部門で使用している工程表になります。各工程ごとに作成し、手順、重要事項等が記 載されており、自分で確認しながら仕事が出来るようになっています。障がいにはさまざまあり、 今日指導しても明日には忘れて出来ない事があり、何回も同じ指導をしなくてはならないことがあ り、こういう方や新しい方が働いても毎日同じ仕事が出来るように書いたものを自分で確認しなが ら仕事をすることが大切になってきます。アクティブ鈴鹿は18名の障がい者と共に平成 12 年か らスタートし、最初の数年は非常に苦しく仕事はすべてレグルスから持ってきました。5 年間で実 績を積み信用を得ると、他の企業から直接仕事を受注する事が出来、売上を伸ばす事ができました。 その後、自動車部品の海外移転が進み、平成 20 年に仕事が減り、さらに、リーマンショック、震 災、タイの洪水などで平成 21 年に売り上げが減りました。しかし、ピンチはチャンスとはよく言 いますが、困ってくるといろいろなことで大胆な改革ができます。農業分野に取り組んだのも、売 り上げが落ち、何とかしようとみんなで力を合わせて取り組んだ結果1つの方向に向かって進む事 が出来、同時に営業活動を活発にし新規受注あるいは、海外に流れた仕事を取り直した結果、平成 22 年にV字回復しました。 障がい者雇用について一番多く質問を受けるのが、採用する気持ちはあるが障がい者にどう対応 したらよいかわからず採用出来ないという質問をよく受けます。最初はわからなくて当たり前だと 思います。健常者が一番困る事は、 「障がい者の気持ちなどわからないでしょう」という言い方を される事だとよく聞きます。健常者の職場であっても気持ちが通じない時はよくあることで、解決 するには互いに話し合い気持ちがわかる容易になるしかないと思っています。障がい者の場合も不 満のある障がい者が必ず正しいとは限らず、一人一人対等な人間とし尊敬の念を持って真剣に話し 合う事が大事だと思います。時間はかかりますが、こういう事を積み重ね障がい者だからなど関係 なく理解でき遠慮なく話し合える関係になっていくと思います。 職場での関係ですが、職場には健常者の方で男性、女性、正社員、パート、外国からの研修生、 実習生がおられ、親の介護、子供の病院、など休まなければならない事情が出てきます。障がい者 においても、男性、女性、正社員、パートがおられ、定期的な通院、体調不良による短期もしくは 長期の休みが必要になるや、精神障がい方の中には 8 時間連続勤務する事が出来ず、4、5 時間しか 働けないという方が出てきます。このように、様々な事情を抱えた方がおり当たり前に存在してい ます。協力し合い一つの組織として仕事をしており、健常者と障がい者が助け合うような関係が出 来ています。健常者が急に休み仕事のフォローをするのが健常者だけでなく障がい者の方が健常者 をフォローし助ける事が多く、健常者、障がい者関係なく同じ職場で働く同僚として助け合う形と なっています。障がい者の方でも健常者を助ける事ができ、職場が自分を必要とし働きがいを感じ られるような形を作る事が重要だと思います。レグルス、アクティブ、健常者、障がい者関係なく 出来る限り個人の事情に合った就業条件で介護、育児などの休みは自由に取れるような雇用関係と なっています。例えば正社員として入社後、結婚したためパートにしてほしいや出産したため 1 年 休ませてほしいというのは OK です。 障がい者の能力評価についてですが、一般的にマイナス評価をされる企業が多く見受けられます。 ある程度出来る人を採用したいという事だと思いますが、出来ない仕事を探して、これだけの仕事 が出来ないので採用できないという形につながると思います。どんな能力があり出来る仕事を評価 していくべきだと思います。マイナス評価は採用しない理由探しであり、プラス評価は採用するた めの理由探し、つまり障がい者を本気で採用する本気度の違いではないかと私は思います。 農業分野での障がい者就労の可能性ですが、福祉施設が直接農業を実践するという形が多く見受 けられ、私達のところもこれに入ります。露地栽培だけで安定した雇用ができないというのであれ ば、繁忙期だけ農業のお手伝いをするなど農家の高齢化対策、放棄耕作地を増やさない対策にもな ると思います。先ほどあった農産物の 6 次化を進めれば、福祉農産物の共同販売所運営、福祉農産 物使用のレストランなどあらゆる可能性が考えられます。 現状の問題と今後の課題の中で、国からの補助金が減額されている現状でこれに対応できる強い 経営体質の確立が必要です。三重県の障がい者雇用率は平成 23 年度 1.51%で 46 位、昨年の平成2 4年 1.57%で 45 位。鈴鹿市では平成 23 年度 1.38%、平成 24 年 1.63%。法定雇用率の 2.0%を三 重県、鈴鹿市共に目指しています。そのためには、いろんな分野の方が知恵を出し合い協力するこ とが大事です。 個人的な見解ですが、人間というのは何もできない形で生まれ、両親や周りの人にお世話になり 成長し、やがて年を取りまた周りの人にお世話になり死んでいきます。人のために動ける時間とい うのは非常に短いと思います。私は自分の組織の中で身体的にはもっとも重度な身体障がい者です が、私自身は自分に残された能力の中で周りの健常者に比べけして劣っていないという自信があり ます。人間というのは周りの人と比べると、劣った点や優れた点があるのがあたりまえです。今の 日本において何の問題の抱えていない健常者はいないと思います。そういう意味において、みな障 がい者のようなものです。健常者、障がい者と関係なく助け合って生きていくことが必要だと思っ ています。皆さんも自分の得意なところを活用しこの支援の輪を広げていってほしいと思います。 パネルディスカッション 「農業分野における障がい者雇用の実情と課題」 日紫喜:ただいまより、パネルディスカッションを始めさせていただきます。まず、パネリストの 方々をご紹介いたします。こちらから順番に、有限会社亀井園芸代表取締役亀井輝忠様、 グリーンクラフト代表内田恵介様、株式会社鈴鹿みどりの大地代表取締役社長後藤博英様、 三重県農林水産部担い手育成課主幹中西正明様、先ほどご講演いただいた株式会社レグル ス代表取締役社長伊藤良一様です。自己紹介からよろしくお願いします。 亀 井:花・野菜の苗を作っておりホームセンターに卸しています。ホームセンターの外売り場に あるものを、私が作っていると思ってもらっていいです。40 数名おりまして、社員・役員 は 8 名、30 数名がパート、障がい者の方は 3 名ほどです。 内 田:私は三代目で、父が養鶏から植木、野菜を作っており、私が後を引き継ぎました。3 年程 前からイチゴ・イチジクなどを生産・販売しており観光農園をしています。障がい者の方 は現在 3 名です。365 日の内、300 日程度現場で作業しています。 後 藤:県の職員で約 30 年間農業関係に携わっていました。現在は、鈴鹿みどりの大地という農 産物直売所を作り、農家の方々がメンバーとなり、自分で値段を決め販売しています。障 がい者の方のところで作られた野菜も売っています。農業というのは作物を育て、命を伝 えられる。このことが、障がい者雇用には面白いのではないかと思っています。 中 西:県の担い手育成課というところで、昨年度から農福連携の担当をしています。まだ、2 年 目で教えていただく事ばかりですが、今日は現場のみなさんの意見を聴かせていただきな がら、県の立場としてこれからの行政をどのように進めていくかということを、少しお話 出来ればと思っています。私のところも農業をしているので、農家の気持ちもわかってい るつもりです。 日紫喜:皆様からいろいろなご意見を引き出せたらと思っていますので、ご協力よろしくお願いし ます。 実際に農業をされている皆様から、農業分野における障がい者雇用の実情や課題について お話していただけたらと思っています。障がい者を雇用されたきっかけなどが、あったか と思います。亀井様の方からきっかけになった事がありましたら、お話していただきたい と思います。 亀 井:もともと私の家族に障がい者がいましたので、障がい者がいるのが当たり前という観点が あります。それが私の出発点というか、障がい者がいても疑問に思いませんでした。 内 田:障がい者雇用からスタートしたのではなく、亀山市の教育サポート委員をやっていた時に、 学校ではどうしようもない子を、預かって欲しいというのが最初です。私は農業という環 境を提供しただけなのですが、仕事がよくでき短期間で表情が良くなり、学校の先生が驚 いておられました。今まで農業は、つらい・きついとばかり思っていたのが、農業にはす ごく秘めたものがあるのではと、思うようになりました。この経験から、無理せず自分に 出来る事はしていこうと思い、受け入れていく内に障がい者の方も受け入れたという形で す。雇用をしていく中で、障がい者の方から助けていただいたという思いが強くなり、さ らに雇用を増やしていきたいと思っています。その中で先ほど上がっていたような、いろ いろな問題に直面しているところです。 日紫喜:ありがとうございました。後藤さんにお聞きします。農業者の立場から、障がい者雇用に ついての持論などがありましたら、お話していただけないでしょうか。 後 藤:今までお付き合いをしていて、感性豊かな人が障がい者には割と多いのではという思いと、 基本的に農業の場合は家族経営が多いため、一番難しいのが怪我をした時の労災や雇用保 険などではないかというところです。また、スポット的に使う事が可能ですが、継続した 仕事となると難しいのではないかという思いがあります。 日紫喜:中西さんにお聞きします。 県の立場として、今の農業の客観的実情、その中での障がい者雇用の実情や現状など、お 話していただけないでしょうか。 中 西:農場の現状は、20 年程で農家数・耕作面積が年々減ってきています。障がい者雇用の現状 は、先ほど伊藤さんのご講演でもありましたが、三重県の障がい者雇用率は非常に低く、 平成 24 年度は 45 位タイと数年前はずっと最下位でした。知事はせめて平均にと申してお ります。県が把握しているところでは、福祉事業所で儲かる農業を目指しているところが 17、園芸療法的に農業を活用しているところが 21。合計で 38 事業所です。462 名の障が いをお持ちの方がご活躍されており、111 名の方が雇用契約を結ばれ最低賃金で雇用され ています。 日紫喜:ありがとうございます。ここからは細かい話でいいと思いますので、障がい者雇用をする にあたり実際どんな工夫をされているのか、というところをお話していただきたいと思い ます。特に亀井様、内田様は実際に農業の経営者として障がい者の方を雇用されており、 その中で独自の工夫などお聞かせ願えたらと思います。伊藤様にもお話にご参加していた だけたらと思います。先ほどのご講演にもありましたが、ご意見を頂ければと思います。 亀 井:現在 3 名の方に仕事をしていただいています。知的障がい者の方は、極力単純作業が長期 出来るようにしています。作業工程はというと、仕事の段取りを従業員が行い細分化し、 出来る事をしてもらっています。最後の仕上げは従業員が行います。覚えてもらうのに時 間がかかる場合は、例えば一日ではなく一週間かけてやりましょうという形をとっていま す。精神障がいの者の方の中には、安定のため薬を飲んでおられる人がいます。従業員に は前もってこの人は精神障がいがある方なので、安定のため薬を飲まれますということを 言ってあります。また、落ち込んでいる時は出勤しない事がありますが、生活のリズムを つけるということからも、朝 9 時には、出勤しなさいと言っています。調子が悪いかどう かは、第三者からはわかりにくいので、悪い場合は、本人から直接担当者へ一言いってか ら帰るという風にしています。本人・周り共に理解をしています。 内 田:作業性の改善では、イチゴの高設の高さを低くするなどです。身体・知的・精神障がい者 の方がおられます。特に工夫している事は少ないのですが、一緒に作業をしてくれている 方がつかず離れず見てくれています。今は対応出来ていますが、人数が多くなった時に出 来るかどうか不安です。 日紫喜:伊藤様も先ほどの講演の中でいろんな場面で、かなり工夫されておられました。それ以外 にもお話がございましたらよろしくお願いします。 伊 藤:健常者、障がい者関係なく人は必ずミスをするという事を前提に立ち、全ての作業の写真 等を撮りわかりやすい手順書を作成しています。また、先ほど薬を飲む方がおられるとい うお話がありましたが、私達のところでも出来る限り医師と相談し、出してもらえる情報 は出来るだけ出してもらい対応しています。また、一番仕事が出来るところを一緒に探し ます。 日紫喜:中西様にお聞きします。農福連携の中でいろいろな事を農家の方々からお聞きしていると お聞きしていますが、具体的に工夫をされている農家の方がありましたらお話していただ けないでしょうか。 中 西:伊藤さんのところなどに教えていただいた例ですが、野菜の出荷袋にレタスを入れる作業 の場合、左手で袋を開け、右手でレタスを袋に入れるという一度に二つの作業をする事が 障がい者の方は苦手です。そこで、この作業を二つに分け一人は袋を開ける、一人はレタ スを入れるという風に工夫されたり、また育苗箱に苗を植える場合、苗を植える場所に穴 が開くよう工夫した事により、どこに植えたらいいかが一目でわかり、誰にでも出来るよ うになりました。障がい者に優しい工夫とは、健常者にも優しい工夫であり、皆様に知っ ていただけるよう活動しているところです。 日紫喜:後藤様の方から何かご意見などありましたらよろしくお願いします。 後 藤:障がい者の方にいかに経験をしていただくかという事だと思います。最初、その人の特性 というのはなかなかわからないと思います。また、一番難しいのは向上的な仕事を雇用側 が作っていただく事だと思います。雇用する側も工夫していく必要があると思います。 日紫喜:ありがとうございます。最後に、障がい者雇用を行ってきてどうだったか。また、どうい う課題があるのか、皆様にお聞きしたいと思います。 亀 井:私のところでは、障がい者に対して担当者を付けます。指導能力がある方かどうかを見極 めるのが難しいと感じています。教えるという事は、噛み砕いて相手に伝える。相手目線 で話をする。相手が理解できないというのは、教える側が悪いと厳しく指導しています。 また、障がい者に対する支援は各団体により、濃淡があるのではないかと感じています。 もう少し、フラットに考えその人を応援していける方法はないかとずっと思っています。 内 田:例ですが、イチゴの葉かき作業で単純に葉を二枚取りなさいと指示したところ、小さい物 に対しては取らずに置いてあったり、大きな物に対しては、3・4 枚取ったりと教えて仕事 をされる方もいてすごく関心させられます。今は一人の方に対してマンツーマンで対応で きていますが、人数が増えた時はそれが出来るのかという課題があります。私の目標とし ては、農業で十分収入を得、経営基盤をしっかりとする。それでも難しい時は、支援をお 願いしないといけないかと思っています。 日紫喜:ありがとうございます。今回のディスカッションを通し、結論が出るという事はないと思 いますが、こんな意見がある、またこういう風にされているということを知っていただけ れば幸いです。ご質問等がありましたらよろしくお願いします。 質問者:労働時間はどれぐらいですか。 亀 井:9 時から 16 時でパート的な扱いで働いてもらっている方もいます。また、午前中の方や週 二日の方などその方によりいろんなパターンがあります。 内 田:私のところでは、9 時から 15 時が基本です。しかし、その方の調子によりますのであまり 時間が関係しているとは思いません。 日紫喜:伊藤さんのところではどうでしょうか。 伊 藤:その方の状況に応じいろいろなパターンがあります。8 時から 17 時の方もおられますし、 残業や休日出勤をして頂いている方もいます。精神障がい者の方は、本人がいくら働けま すと言われても最初は、4 時間の勤務から始めていただき様子を見ながら時間を増やして いきます。 日紫喜:時間の方が終わりに近づいています。もう一つぐらいご質問等がございましたらよろしく お願いします。 質問者:学校教育の立場からお聞きします。皆様の農場に働きに行く前に、学校から実習でお世話 になっているのでしょうか。農業分野と福祉分野、後学校が協力していった方がいいのか なあと思います。 日紫喜:実習を事前にされていますか。 亀 井:実習はご遠慮しています。しかし、生徒の受け入れをやっています。今悩んでいます。 内 田:杉の子学園などからの職場体験で生徒をあずかっています。 日紫喜:ジョブコーチについて利用されていますか。 亀 井:利用していませんが、ジョブコーチの方が来ていただければ助かります。出来れば、ジョ ブコーチの方にも農作業を覚えていただきたいと思っています。 伊 藤:実習を受け入れています。ジョブコーチに関してですが、自動車部品などに関してジョブ コーチの方から何か指導されると困りますが農業分野にはいいと思います。 日紫喜:最初に申し上げましたように、このパネルディスカッションで結論が出るというものでは なく、少しでも皆様の参考にして頂けたらという思いで開催させていただきました。お時 間が参りましたので、パネルディスカッションの方を終了させていただきます。長い時間 ありがとうございました。また、亀井様・内田様・後藤様・中西様・伊藤様、貴重なご意 見ありがとうございました。 「農業分野における障がい者雇用セミナー」アンケート セミナー参加者(職種)分類 一般, 3 事務局, 7 議員, 3 農業者, 16 福祉事業所, 10 農林, 16 健康福祉, 3 教育, 14 雇用経済, 3 参加者合計(人) 78 農業者 16 農林 16 雇用経済 3 環境生活 3 教育 14 健康福祉 3 福祉事業所 10 議員 3 一般 3 事務局 7 環境生活, 3 第一部「講演についての評価」 第二部「調査報告の評価」 不満 0% 不満 9% 普通 26% 満足 74% 普通 66% 満足 25% 第三部「パネルディスカッションの評価」 今回の会場について 不満 2% 不満 9% 普通 30% 満足 68% 満足 50% 普通 41% セミナーの総合的満足感 セミナーを知ったきっかけ 不満 0% その他 0% ホーム ページ 11% 普通 29% 満足 71% 友人/知 人の紹介 58% パンフ レット 31% ご意見・ご要望 1.第一部「農業分野で障がい者の雇用を促進する」講演についての評価を教えてください ・引き続き障がい者雇用をお願いしたい。 ・よくまとめられていて参考になった。 ・参加者の熱気で少し暑かったので、空調をしていただけたら。 ・評価方法が良い! ・農作業のマニュアルを進める事で促進可能と考えられた。 ・わかりやすかった。 ・伊藤社長の基本的な考え方にとても共感し、職場定着につながっていると感じた。 ・大変参考になりました。 2.第二部「農業経営体における障がい者雇用についての意識調査」調査報告についての評価を教え てください ・事例内容をもう少し詳しく報告してほしい。 ・もっとたくさんのヒヤリングを足を使って調べるべし。 ・回答率が低いのは今の献上で仕方がないが・・・。 ・対象が少ない。 ・受け入れる農業経営体に必要な支援内容について考える必要を感じた。 ・アンケート回収が 513 件中、132 件という事が残念。もっとたくさんの意見を集約してほしい。 ・もう少し詳しく他の時期を見てください。 3.第三部「農業分野における障がい者雇用の実情と課題」のパネルディスカッションについての 評価を教えてください ・経営者の考え方がよく理解できた。 ・具体的な実践現場での話が聞けて良かったです。 ・時間不足。 ・もう少し時間を費やしてほしかった。 ・質疑応答は聞き応えありました。 ・作業現場のリーダー育成が重要と感じた。 ・もう少し時間が欲しかったです。 ・パネリスト(亀井氏・内田氏・後藤氏)を一人に絞っても良かったのでは?現状の苦労話、解決に 至る課題についてなどを聞けると良かった。 ・会場内での意見交換もあり良かったです。 ・あらゆる課題があるなあと思った。 ・取り組まれている方々の思いが良く理解でしました。 4.今回の会場についてはご満足いただけましたか。 ・駐車場の大きい場所でお願いしたい。 ・駐車場がない。 ・もっと広い会場で周知にしてもいいのではないか。 ・会場の広さ、温度管理共に適正だと思います。 ・駐車場が少ない。 5.本セミナーの内容について総合的にご満足いただけましたか。 ・定期的にセミナーをお願いしたい。 ・有用な情報を得る事が出来、今後の推進に向けて課題がいくつかつかめた。 ・人の長所を見つける力が代表者にある事が成功のカギになるのかな?と思いました。 ・今後もよろしく。 6.本セミナーを何で知りましたが。 ・サポステ ・担い手育成課ネットワーク ・仕事関係 ・県から頂きました ・Facebook からのリンク 7.その他、ご意見・ご要望があればお聞かせください ・農業分野が障がい者にあっていると思う。 ・情報共有の為もっと情報発信してほしい。特に農業分野へ福祉の情報を流す方法を考えてほしい。 ・企画は大変良い。もっとたくさんこれらのセミナーをすべきと思う。 ・三重県における率の低さ基本的要因もお聞きしたかった。農業高校生も農業に就労出来ない現状 があります。個々の事業者の工夫もありますが、そのきっかけ作りは行政の丁寧な橋渡しが必要 と思います。農業者がハローワークへ求人に行くと、嬉野の支援センターに廻されたケースもあ り、同時に農業者への協力なバックアップが必要です。 ・健常者、障がい者の区別のないスキルアップのあり方について考えさせられました。 ・優良事例と失敗事例も考えてほしい。 ・対応が難しい。障がい者への訪問をしてあげてほしい(仕事について)進めてあげてください。 ・東紀州地域にもセミナーを開催してください(ここまで遠かったです)。施設作業が中心となって いましたが、畑(屋外)で働く実例を作る必要があるのでは? ・必要に応じて、地域ごとに関係機関の職員で検討会や文科会を通じて課題解決の場を作る必要が ある。 ・実際立ち上げ経緯も聞いてみたいです(農業と福祉の立ち上げ)。 ・北勢地域から来てるので、出来れば桑名辺りで開いていただけると嬉しいです。障がいを持って 働く人、又その家族の人の話も聞いてみたいと思います。 ・勉強になりました。県として何が出来るか!考えていきたい。 ・障がい者として認定されていない人、自分では障がいがあると気づいていない人が生きづらい働 きづらい状態にある、こんなグレーゾーンの人が居られます。こういう方々が、障がい者枠でも 働く事ができず苦しんでいます。ユニバーサル就労を拡大していく事。 ・現在行われている鈴鹿勉強会が、伊賀のようにするために何が鈴鹿にかけているのか?(市長?) このセミナーで本当に真剣に取り組んでもらっている方達の前進のために協力出来るものは何 か、宿題をもらったセミナーでした。 ・農業分野の障がい者雇用、とても大切だと思いました。三重県が先進的役割を担っていただけれ ばと期待しています。 ・以前口がきけない人を雇った事がありましたが、これは障がいの部類に入るのでしょうか。又何 人雇うと規制があるのかもう少し詳しく教えてほしい(うつの人も入るのでしょうか?)。 ・よかったです。鈴鹿でぜひ頑張ってほしいです。 ・現状を知ることが出来ありがとうざました。 ・今後、いろんなみんなで活かしあえる会を開いてほしい。 セミナー後のパネリストとの話し合い(今後の課題) ・精神の子は医師の診断書が付くが持性についても綿密な連携を図れば、もっと軽度の子以外も受 け入れられるかもしれない。 ・農業分野からの雇用は窓口を広げるのにはいい。せめて 20 事業所ぐらいにはしたい。 ・県は 45 位を本当に雇用率を上げる気があるのか?当面上げようとするなら、大きな事業所に補 助金を出してでも雇用を増やせば。 ・福祉事業所から障がい者を農業分野への貸し出しが出来たらいい。 ・障がい者を研修して出せるような制度があれば(農業に連れていく研修、農業者の障がい者雇用 研修) ・企業や障がい者の様々なニーズに的確に対応するためのジョブトレーナーの育成 ・農業分野での意識が低いので 3 年計画ぐらいで徐々に上げていく必要あり ・農業の事業所にも福祉事業所と同じ様な補助金を ・縦割り行政を初めて連携させたセミナーとして今後も続けていく為、もっと横のつながりを大事 にしたい。 ・県内 3 か所ぐらいでセミナーを開いてはどうか。 ・名張との連携を考えたら ・各市での協議会の立ち上げを! ・雇用経験のない事業所の不安は、情報がない事による場合もあるため、先進事業所の見学や活用 できる支援制度に関する情報提供、障がい者雇用に関する意識啓発を行う事が大事 ・地域における関係機関とのネットワークを構築し使い勝手の良い仕組みとする事が重要であり、 互いに相手の価値観を踏まえ相互理解を図っていくことが大事 ・障がい者特性が多様化している今、支援者の専門性の確保、質の向上が必要である ・支援者は事業所と障がい者の双方の立場に立って支援する必要あり ・農福地域連携を考える ・農業の人と福祉の人の意識の違いを感じる ・福祉事業所が障がい者を使って新事業としての農業が出来るような援助金制度 ・福祉事業所の職員の方を農業研修させて、福祉事業所が農業できるように ・今後もセミナーを通しての啓発活動を続ける事が大事 ・農業専門のジョブトレーナーの研修制度を作る セミナー感想、反省点 全体 ・会場は 50 名のところ大きな会場にしてよかった ・準備に時間がかかり駐車場整理に回るのが遅れた ・人数は集められたが農業経営体の参加者が少なかった ・会場準備で当日の変更があった。(演台の広さ)事前に決められなかった。 ・当日参加の鈴鹿市議を 1 人紹介しなかった。(後日断りの電話をいれた) ・提供資料が少なかった。(25 年度の同県の予算概要、制度など) 三重県の農業分野における障がい者雇用施策はレジメを用いしていただいた ・来賓席は横にすべき、プロジェクターは別の机に 講演 ・とても良かった。(よくまとめられていて参考になった) ・評価の仕方(プラス評価の考え方)が素晴らしい ・障がい者の立場からも話していただけたのが良かった ・事前打ち合わせでのパネルディスカッションの内容にないようなところの話も入れていただいた ・講演レジメを印刷すべきだった 調査報告 ・アンケート調査の回収率の低さ、つまり関心の薄さか? ・アンケート調査内容をもっと中身の濃いものに ・特に農業分野での障がい者雇用の対象者は県内でも限られる ・報告時間が少なくアンケート調査の一部しか発表できなかった ・障がい者特性など個人情報の制約があるものが確約をきちんと取っていなかったの も公表できなかった理由 ・聞き取り調査(尾崎ファーム、古御門ライス、グリーンクラフト、亀井園芸、あかずきんちゃん 農園、武田ぶどう園)との対談も発表出来なかった ・提供資料が少なかった(県内の障がい者雇用の実態など) パネルディスカッション ・パネラーの紹介、取組み事例報告を事前に 10~20 分程度にすればよかったか。もしくは書類で ・当日伊藤さんに急きょ入っていただいた ・自己紹介が立ったままになって時間が長かった ・進行手順どうりにいかなかった。でも、コーディネーターが「雇用と実情と課題」というテーマ だったので、機転をきかせて、 <障がい者雇用のきっかけ、いつ頃、雇用状況> <障がいにあたって特にどんな所に注意され、又どのような工夫をされていますか> <評価はどうですか、課題はありますか> というところを重点的に話が出来、時間内としては内容の濃いものになったかと思う ・聞けなかった部分 農業者の方は―どんなふうにアクセスして、障がい者とつなぐか 雇用した時のメリットは 福祉の方は― 助成制度は、メリットは 環境整備や県の今後の方向性など ・今回は農業にあてた話で福祉の立場からの話にはならなかったが ・パネラーがそれぞれの立場の方がいて違った現場の話が聞けた 総括 障がいの有無にかかわらず、国民だれもが相互に人格と個性を尊重し支え合う共生社会を築くべ く、地域の一員として共に生活できる社会を実現するために、就業による自立を進める事が重要で す。 農業での就業者の減少は農業構造の脆弱化の一つに挙げられています。耕作放棄地の発生の原因 の一つに高齢化等による、労働力不足などが挙げられています。障がい者の職域拡大に向け福祉事 業所・障がい者を新たな農業の担い手として位置づけ、農業参入、農作業委託、就農を促進する。 障がい者が担える農業、農作業の検証するとともに、農・福・地域連携を強化し、障がい者の農業 分野での雇用が進むよう、農業者への意識啓発や支援体制の充実が急がれます。農業は障がい者の 身体・精神にも良い影響があると言われています。農業が有する自然環境や癒しの効果を十分に活 用し、自立していく一つの場として提供されるべきです。ただ、障がい者特性が多様化している今、 それぞれに応じた支援の必要性、専門性の確保、ジョブトレーナー制度など、又農業分野への研修、 福祉事業所の農業技術や農業経営に関する知識の習得など、今後考えていかなければならない事が たくさんあります。 今回の「農業分野における障がい者雇用セミナー」を通して、関係機関の横のつながりを大事に し、今後も継続的な取り組みとして続けていくことが重要です。少しでも農業分野での障がい者雇 用が進むことを願っています。 セミナー風景