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隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動 パターンの動的推定

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隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動 パターンの動的推定
隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動
パターンの動的推定
福岡市都心部での大名・国体道路・今泉地区への適用
斎
藤
参
郎 ,山
城
興
介 ,中
嶋
貴
昭
1
. 研究のねらいと目的
わが国の多くの商業地では,歩行者通行量調査が,しばしば実施されている。これらの歩行者
通行量調査は,商業地内の主な街路に計測地点を設け,その地点を通過する歩行者を,方向別に,
時間帯ごとの歩行者数を計測する調査である。歩行者通行量調査の主なねらいは,商業地での歩
行者の流動パターンを知ることである。しかし,通常の歩行者通行量調査では,歩行者の商業地
での流動パターンは把握できず,計測地点となった街路をどのくらいの人数の歩行者が通過した
かが
かるのみである。もしも,歩行者通行量調査が,定期的に実施されるのであれば,それで
も計測地点となった街路での歩行者通行量が経年的にどのように変化したのかが比較でき,有用
ともいえるが,必ずしも定期的に歩行者通行量調査が実施されているわけではない。しかも,こ
れらの歩行者通行量データは,計測すること自体が主となっており,計測結果が出れば,それで
用済となり,これらの計測データを,さらに深く,商業地での歩行者の流動パターンを把握する
ためのモデル
析に活用する,といった試みは全くといってなされていないのが現状である。
本研究のねらいは,従来の歩行者通行量調査にちょっとした工夫を加えた新しい歩行者通行量
調査を実施するだけで,そこから得られる計測データを,商業地での歩行者流動パターンを時間
帯別に推定できる隠れマルコフモデルの構築に活用できることを,その具体的な適用例とともに
示すことであり,これによって今後の歩行者通行量調査の新しい方向を提案することである。
新しい歩行者通行量調査の工夫とは,計測対象となる商業地区を 1つのブロックと考え,そこ
への出入り口となる街路をすべて押さえ,これらの街路を通って,ブロック内へ入る流入人口と
ブロックから出て行く流出人口を時間帯別に計測し,ブロック内での滞留人口の計測もおこなえ
るようにした調査方法のことである。
すでに,筆者らは,別の機会に,このような工夫を加えた新しい歩行者通行量調査を,回遊行
動調査と組み合わせれば,1つのブロックをなす商業地内の歩行者の流動を回遊パターンとして
本論文は,第 40回日本地域学会年次大会 (於,琉球大学)において発表した論文を加筆修正したものであ
る。討論者の労をとって頂いた東京工業大学の樋口洋一郎先生,名古屋大学の森杉雅 先生から有益なコメ
ントを頂いた。ここに記して,厚く感謝の意を表したい。
福岡大学都市空間情報行動研究所所長,福岡大学経済学部教授
福岡大学都市空間情報行動研究所ポストドクター
69
70
斎
藤・山
城・中
嶋
推定できることを,その理論を実際の適用例とともに示した。
[斎藤・中嶋・栫井(
[1
)
],斎
2
00
1
3
藤・中嶋(
[1
)
]]
2
0
03
1
本研究が取り上げる新たな状況は,回遊行動調査データの存在を想定せず,計測対象となる地
区が,複数の商業地をふくんだ広い範囲にわたり,これを複数の連担するブロックに区
し,そ
れぞれのブロックへの流入・流出人口を計測する,連担する複数ブロックで歩行者通行量調査を
同時におこなう状況である。ここでの新たな課題は,隣接する 2つのブロック間での歩行者の移
動は計測できるが,3つ以上のブロックにまたがったブロック間の流動パターン,すなわち,後述
するパスフローは,計測できないことである。そこで本研究では,計測できないパスフローを,観
測されない状態変数の状態遷移として捉え,このような状況をモデル化できる隠れマルコフモデ
ルをもちいて推定することを試みる。
以上のことから,本研究の目的は,
(1)複数の連担するブロックで,同時に,それぞれのブロッ
クへの流入・流出人口を計測する,新たな歩行者通行量調査を提案し,
(2
)これらの計測データ
から,3つ以上にまたがったブロック間でのパスフローを隠れマルコフモデルをもちいて推定で
きることを,
(3
)実際に,福岡市都心部の大名地区,国体道路,今泉地区の連担する 3ブロック
に,適用することによって,示すことである。
より具体的には,まず,大名地区,国体道路,今泉地区の隣接する 3ブロックで同時に歩行者
通行量調査を実施し,これらの計測データをもちいて隠れマルコフモデルを構築し,時間帯ごと
に,国体道路を経由して,今泉から大名へ,あるいは,大名から今泉へ,どのくらいの人数の歩
行者が流動しているか,の時間帯別パスフローを推定することである。
さて,本研究の契機となった福岡市都心部の大名地区,今泉地区について述べておこう。福岡
市都心部では,19
9
6年から 1
9
9
8年にかけて,相次いだ商業施設の大規模再開発を契機に,都心に
隣接する地区におおきな変化が起こった。とくに,現在大きな注目を集めているのが,都心であ
る天神地区に隣接する大名地区と今泉地区である。
大名地区は,1
99
6年に大規模再開発の嚆矢として岩田屋 Zサイドという若者向けの百貨店が開
店したことにより,
これが百貨店や大型店が立地し天神の中心部ともいうべき渡辺通り地区と,
そ
れまで徐々に飲食店や様々なショップが立地し注目を集めつつあった天神西通り地区とを結ぶ通
路の役割を果たすことになり,1
9
96年以降,天神西通り地区をこえて,大名地区内に飲食店やセ
レクトショップの立地が急増し,九州全域から若者を集める注目スポットとなった。
一方,今泉地区は,地下鉄 3号線の開業を 20
0
5年にひかえ,天神南駅が,博多大丸の国体道路
側に設置されることもあって,大名の南側に位置する今泉地区にも飲食系やファッション系の立
地が相次いでおり,その動向が注目されている。実際,2
0
02年度,2
00
3年度の路線価では,商業
地としては全国的にみても珍しく,地区内にあるほとんどの街路の路線価が上昇している。
福岡大学都市空間情報行動研究所 (
FQBI
C)では,すでに,20
0
0年に 2日間,大名地区を 1つ
のブロックとし,そこへの流入・流出人口を時間帯別に計測する歩行者通行量調査を実施してい
るが,今回,2
土)に,今泉地区の動向を探るため,大名地区,国体道路,およ
0
01年 1
0月 13日(
隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動パターンの動的推定
71
び,今泉地区の隣接する 3つの地区で,上述の複数ブロックでの同時歩行者通行量調査を実施し
た。
本調査は,大名地区と今泉地区を隔てる国体道路を 1つのブロックととらえ,大名地区,国体
道路,今泉地区の 3つのブロック間で,どのように歩行者の流入・流出があるのかを計測できる
ようにした調査であり,その目的は,今泉地区にどのくらいの人数の
流入人口があるのか,さ
らには,大名地区と,行き来する歩行者数からみて,どの程度の結びつきがあるのか,を探るこ
とであった。しかし,隣接する 2つのブロック間で流入・流出する歩行者数は計測できても,隣
接する 2つのブロックを越えて,たとえば,大名地区から国体道路を越え,今泉地区へ,といっ
た歩行者の流れは計測できない。これを隠れマルコフモデルによって可能にしよう,というのが,
本研究の動機である。
以下の本論文の構成は,つぎの通りである。次章では,本論文の主題である隠れマルコフモデ
ルの一般的,標準的な定義を述べる。第 3章では,大名地区,国体道路,今泉地区の隣接する 3つ
の地区での同時歩行者通行量調査と計測結果の概要である。第 4章では,歩行者通行量調査の計
測データにもとづいた,隠れマルコフモデルによる地区間歩行者通行量の動的推定モデルの定式
化とその推定方法について述べる。第 5章では,隠れマルコフモデルによる地区間歩行者パスフ
ローの推定結果を示す。第 6章は結論である。
2
. 隠れマルコフモデルとは
通常,標準的な隠れマルコフモデルは次のように定義される。(
[6]
)
,Bi
Cf
.北(
19
9
9
l
mes
(
[5]
)
19
9
8)
確率変数の列
,
…,
; ,
…,
が,以下の条件を満たすとき,隠れマルコフモデル (
Hi
d-
)という。
de
nMar
kovMode
l
)
1
は,観測される離散 (
連続でもよい,以下同様)
確率変数,
は観測されない潜在離散
確率変数
) 条件付き独立の仮定
2
a)
期の潜在確率変数は, −1期の潜在確率変数が与えられたもとで,それ以前の変数と独
立である。
,
b)
,
…, , =
期の観測確率変数は, 期の潜在確率変数が与えられたもとで,すべての他の変数と独立
である。
, ,
,
,
…,
,
, ,
) 隠れマルコフ連鎖の定常性の仮定 :潜在確率変数
3
移確率
は時不変である。
,
,
…, , =
のとる値を
=1
,
…,
とする。推
72
斎
=
藤・山
城・中
= =
嶋
,∈
∀
以上が,標準的な隠れマルコフモデルの定義である。
「隠れ」
といわれるのは,状態変数が観測
できず,したがって,また,状態変数の遷移も直接観測できないことによっている。隠れマルコ
フモデルの標準的な定義からのバリエーションとしては,潜在確率変数間に 1次のマルコフ性で
はなく,高次のマルコフ性を導入するもの,また,隠れマルコフ連鎖の定常性の仮定をはずすも
のなどがある。
隠れマルコフモデルが応用されている
れた発話の音声認識の
知能
野は膨大である。隠れマルコフモデルが初めて応用さ
野[Cf
[9
)
]]
,また,パターン認識などの人工
.Rabi
ne
r& J
uang(
19
9
3
野,そして,バイオインフォマティクス
野での遺伝子配列
析などまで,応用
野は多
岐にわたっている。とくに近年,隠れマルコフモデルが,ベイジアンネットワークの一種として
特徴づけられたことから,さまざまな拡張がなされている。
[Cf
)
[2
]]ここ
.Ghahr
amani(
20
0
1
では,標準的な定義にしたがっておく。
さて,ここで,出力の列を
布を π= π,∈
=
= ,…,
と表わそう。また,潜在確率変数の初期
で表わす。すなわち,π=
状態の列を =
,
…,
と,すなわち,
=
を得る確率を
=
と表わす。 ∈ 1,
…,
である。また,潜在確率変数が各期でとる
であり, 期の潜在変数が状態
であることを意味している。また, 期で潜在状態が, のとき,出力
と表わす。すなわち,
=
=
=
である。
以上のもとで,隠れマルコフモデルのすべてのパラメータは, =
∈1
,…,
をとったこ
,および,π= π ∈ 1
,…,
である。これを λ=
,∈ 1
,…,
, =
, ,π で表わすこと
にする。
通常,隠れマルコフモデルでは,次の 3つの問題を扱うとされている。
) 評価問題 :出力
1
を得る確率
) 復号化問題 :出力
2
=
,
…,
λ を求める問題
とパラメータ λが与えられたとき,出力
を生み出す最適な状態の列
を求める問題
) 推定問題 :出力
3
を生み出す最尤推定値 λ を求める問題,i
gmax
.
e
.λ =ar
λ
本研究では,以上の標準的な隠れマルコフモデルとは,若干異なった定式化によるモデル化を
おこなう。
3. 対象地域と複数ブロックでの同時歩行者通行量調査
3
.
1 大名地区および今泉地区の概要
図3
1は本研究で取り上げる福岡市大名地区と今泉地区の位置を示した図である。
大名地区は,福岡市都心部の中心商業地である天神地区の西側にあり,国体道路の北側に位置
する 5
0
0m 四方のエリアである。大名地区の特徴は,江戸時代の城下町の名残を残す複雑な街路
に個店レベルのセレクトショップや飲食店が多く立ち並んでいる点であり,若者に人気のスポッ
隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動パターンの動的推定
73
図 31 福岡都心部地図
トである。
一方,今泉地区は,国体道路を挟んだ,天神と大名地区の南側の区画にある。今泉地区は,先
に開発の進んだ天神地区,大名地区への来街者向けの 1
0
0円パーキングや立体駐車場が多い点を
特徴のひとつにあげることができる。また,今泉地区は,大名地区に比べると後発にはなるが,近
年,福岡市の中でも著しくセレクトショップ等の出店が多い地域である。その背景のひとつとし
て,大名地区ではテナント賃料が上昇し,出店しにくくなった経営者が大名地区に近接する今泉
地区に出店するようになったからだ,といわれている。
3
.
2 大名・今泉地区通行量調査の概要
本研究では,20
0
1年 10月 1
3日(土)に,福岡大学都市空間情報行動研究所などが実施した第 3
回大名・今泉地区歩行者通行量調査のデータを
用する。調査概要を表 31に示しておく。
これまで,福岡大学都市空間情報行動研究所では,福岡をはじめ,九州全域から注目を集めて
いる大名地区に具体的にどの程度の人々が集まっているのか,を明らかにするため,2
0
00年 5月
日)
,20
水)の計 2回,大名地区歩行者通行量調査を実施した。
2
8日(
0
0年 12月 6日(
今回の本調査では,過去 2回,歩行者通行量調査を行ってきた大名地区に加えて,現在大名地
区とならんで,注目を集めている今泉地区の歩行者通行量調査も同時に実施した。さらに,大名
地区と今泉地区間の歩行者の行き来からみた結びつきを明らかにするため,大名地区と今泉地区
74
斎
藤・山
城・中
嶋
表 31 大名・今泉地区歩行者通行量調査の概要
調査名
第 3回大名・今泉地区通行量調査
調査日時 2
,1
0
0
1年 1
0月 13日(土)1
0時∼19時(大名地区,国体道路地区)
1時∼1
9時(今泉地区)
調査地点 4
8ケ所
(内訳)
大名地区の出入口の街路 :1
∼6
,8
∼1
)
5ケ所(調査地点 :1
6
大名地区の店前の街路 :2ケ所(調査地点 :1
)
7,18
大名地区の外縁にある店舗出入口 :1ケ所(調査地点 :7)
大名地区と今泉地区を結ぶ国体道路の出入口となる歩道 :6ケ所(調査地点 :19
∼2
)
4
大名地区と今泉地区を結ぶ国体道路の横断歩道の両側 :6ケ所(調査地点 :2
∼3
5
0)
今泉地区の出入口となる街路 :1
ケ所(調査地点
∼
)
4
:31 4
4
今泉地区の店前の街路 :3ケ所(調査地点 :4
)
6∼48
今泉地区の縁にある街路 :1ケ所(調査地点 :4
)
5
調査方法
調査員が数取り器で通行している歩行者・自転車を方向別に計測する。ただし,歩行者・自転車を区別しない。
調査地点により計測方法を下記のようにしている
調査地点 1∼1
6:どの方向に何人通過したかを男女別に計測
調査地点 19
∼48:どの方向に何人通過したかを男女区別せずに計測
計測時間と計測間隔は下記の通りである
調査地点 1∼8
,1
,3
∼4
3∼24
7
4:全時間を 1
5 間隔で計測
調査地点 9∼1
∼1
2:全時間毎時 0
5 の 15 のみ計測
調査地点 25
∼30:1
∼1
∼1
0
1時,14
5時,1
8時∼1
9時の 3時間を 15 間隔で計測
調査地点 31
∼36:毎時 0
∼1
5 と毎時 3
0∼4
5 の 30 間のみ計測
調査地点 45
∼48:1
2時 30 ∼1
3時 30 ,1
5時 30 ∼1
7時 30 の 3時間を 1
5 間隔で計測
図 3-2 大名・今泉地区歩行者通行量調査 調査地点
を隔てた国体道路も一区画として設定し,同時に歩行者通行量調査を実施している。
今回本研究で用いる大名・今泉地区歩行者通行量調査は,当該地区を 1つのブロックととらえ,
地区の出入口となっているすべての街路をおさえることで,それらすべての出入口でのフローを
隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動パターンの動的推定
75
時間帯別に計測する調査である。前述したように,従来の歩行者通行量調査では,調査地点となっ
た街路を通った人の数しか計測できなかったものが,この方法によって,当該地区への流入人口,
流出人口,滞留人口が,時間帯別に把握できる。さらに,今回の大名・今泉地区歩行者通行量調
査では,大名地区,今泉地区,国体道路地区という 3つの地区間で同時に歩行者通行量調査を行
うことによって,大名地区,今泉地区,国体道路地区の各地区自体への入込み
来街者数や滞留
人口が把握できると同時に,
国体道路に隣接する 2地区間の歩行者の流出入人口が計測できる。
本
調査の調査地点を図 3
2に示す。
調査地点は,合計 48
ヶ所設定している。具体的には,大名地区,国体道路地区,今泉地区の出
入口となる街路に 3
ヶ所,大名地区
6ヶ所,大名地区,今泉地区にある主要な商業施設,通りに 6
と今泉地区を結ぶ国体道路地区の横断歩道の両側に 6
ヶ所である。また,調査時間は,大名地区,
国体道路地区が 1
0時から 19時の 9時間,今泉地区が 1
1時から 1
9時の 8時間である。
3
.
3 大名・今泉地区歩行者通行量調査による計測結果
歩行者通行量調査の計測結果から,大名地区,今泉地区,国体道路の特徴をみていくことにし
よう。
まず,大名地区と今泉地区の時間帯別の入込み来街者数 (
流入人口)の累積を図 3
-3に示す。
大
名地区は,出入り口となる 1
ヶ所の調査地点における 1
6
5 間隔の流入人口データを加えたもの
の累積グラフである。同様に,今泉地区は,1
ヵ所における 1
4
5 間隔の流入人口データを加えた
ものの累積グラフである。
大名地区の入込み来街者数は,1
∼1
1:0
0
9:
0
0の 8時間で,47
,
1
02人であった。これは,福岡ドー
ムの収容者数 4
8,
0
0
0人に匹敵する大きさである。このことから,大名地区は,地区全体で大きな
集客力を持っていることがわかる。一方,今泉地区は 1
3
,
9
49人と大名地区よりも約 3
0
,
0
00人少な
く,現段階では,大名地区に比べて集客数はそれほど大きくはないといえる。
次に,各地区ごとに時間帯別の流入人口,流出人口,滞留人口をみていこう。まず,大名地区
である。図 34は,大名地区の時間帯別の流入人口,流出人口,滞留人口を示している。
図3
-3 大名地区,今泉地区の入込み者数(累積)
図 3-4 大名地区の時間帯別滞留人口
76
斎
藤・山
図3
-5 今泉地区の時間帯別滞留人口
城・中
嶋
図 3-6 国体道路の時間帯別滞留人口
滞留人口は,一旦 1
4:1
5の 1,
6
6
1人でピークをむかえ,徐々に減少していくが,再び,16:
30
から増加し始め,ついには 19:
00の時点の 3
6
37人で最大のピークをむかえる。これが,大名地区
の大きな特徴となっている。一般的には,滞留人口は,昼 14:
00前後にピークをむかえて,後は
減少の一途をたどるものである。しかし,大名地区では,昼間とともに,夕方にもピークがある。
これは,夕方から営業を始める飲食店に来店する来街者が多いことを示している。飲食店が多い
大名地区ならではの特徴的な結果といえる。
同様に,図 3
-5に,今泉地区の時間帯別の流入人口,流出人口,滞留人口を示す。
滞留人口のピークは,1
4:0
0の 14人である。しかし,この時間を除いて,滞留人口がマイナス
になっている。今泉地区には,10
0円パーキングなどたくさんの駐車場があり,車に乗って今泉地
区に入ってくる人は多い。しかし,今回の計測方法では,車での流入は計測せず,車の乗車人数
も,計測されない。そのため,流入人口として計測されなかった,車への搭乗者が,駐車後,流
出人口として計測され,滞留人口がほとんどの時間でマイナスになったものと考えられる 。滞留
人口が昼に一度ピークをむかえた後,減少し,夕方に再び増加している傾向は,大名地区と同様
である。これは,今泉地区も飲食店が多く,夕方から飲食・飲酒目的の来街者が増えることが理
由として考えられる。
最後に,国体道路をみよう。図 36は,国体道路の時間帯別の流入人口,流出人口,滞留人口
である。
滞留人口のピークは,19:
00で,2
,
40
1人である。これまでみてきた大名地区や今泉地区とは違
い,遅くなるほど,滞留人口が増えていることがわかる。
4
. 隠れマルコフによる歩行者通行量の動的推計モデルの定式化
4
.
1 地区の
割とパスフローの定義
本研究では,大名・今泉地区歩行者通行量調査による計測データを
用する。
見増ら[8
]は,今泉地区の駐車場の駐車台数と乗車人数を考慮した滞留人口の予測を行ったところ,滞留
人口は,すべて正になった。
隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動パターンの動的推定
77
図 41 4地区間での流入流出観測歩行者通行量
まず,ここでは,単純化のため,対象地域を,大名地区,国体道路,今泉地区,その他の地区
の 4地区に区
し,隣接する 2地区間での歩行者の流入・流出数を,大名・今泉地区歩行者通行
量調査によって計測したと考える。その模式図が図 4
,国体道路
1である。大名地区ノードを 1
ノードを 2
,今泉地区ノードを 3
,その他の地区ノードを 4とする。
これらの 4地区において,隣接する 2地区間の歩行者の流入・流出数を計測する調査地点は全
部で 1
ヵ所ある。そのうち,6
ヵ所(調査地点 1
)での計測結果の合計が,国体
1
9
,
20
,
2
1
,
22
,
2
3,
2
4
道路地区とその他の地区との歩行者の流入・流出数の計測データ
,
となる。同様に,国体
道路に面する大名地区の 2
ヵ所(調査地点 7,
)での計測結果の合計が,大名地区と国体道路との
8
歩行者の流入・流出数の計測データ
,
である。
また,今泉地区の 2ヵ所 (
調査地点 42
,
4
3,
4
4)
での計測結果の合計は,今泉地区と国体道路との歩行者の流入・流出数の計測データ
,
と
なる。
なお,
以下では,
3地区のデータがそろっている 11時から 1
9時までの 8時間 のデータ (1
5
時間帯 3
を
2期 )
って,
析を行うことにする。
次に,ルート (
パス)の設定とそこでのフローを定義しよう。本研究の目的は,連坦する複数
の地区での同時歩行者通行量調査から,3つ以上のブロックにまたがるパスフローを推定する方
法を開発することであった。より具体的には,国体道路を隔てた大名地区と今泉地区との間を行
き来する歩行者の人数を推計することが目的である。そこで,国体道路の地区 2のみ,隣接する
全ての地区(ノード 1
)との歩行者の流入・流出数を計測することとし,国体道路を経由する
,
3,
4
ルートのみをすべて取り上げ,各ルート上での歩行者通行量,すなわち,パスフローを考えるこ
ととしている。国体道路を経由するすべてのルート 9個を列挙したものが,表 41である。表中
の
=1
,
…,
9 は,対応する各ルート上での歩行者通行量,パスフローである。
さて,ここでは,国体道路での滞留を考慮していないので,滞留を考慮したすべてのルート 9個
を同様に列挙し,そこでのパスフロー,すなわち,滞留歩行者数を
にする。
=1
,…,
9 で表わすこと
78
斎
藤・山
表 4-1 各地区間のパスフローとルート
城・中
嶋
表 4-2 滞留を
慮した各地区間のパスフローとルート
パスフロー
ルート
パスフロー
ルート
パスフロー
ルート
n
n
n
n
n
n
n
n
n
121
123
124
321
323
324
421
423
424
n
n
n
n
n
n
n
n
n
12
1
12
3
12
4
32
1
32
3
32
4
42
1
4
2
3
42
4
n
n
n
n
n
n
n
n
n
1
22
1
1
22
3
1
22
4
3
22
1
3
22
3
3
22
4
4
22
1
4
22
3
4
22
4
ここで注意すべきは,
はパスフローの表現となっているが,実際は,国体道路上の滞留であ
り,必ずしも 2回,国体道路内を渡り歩いたという意味ではないことである。たとえば,
は,
ルート 1
22
3に対応するパスフローとなっているが,これは,大名地区 1から入って,現在,国体
道路に留まっているが,
いずれ,
今泉地区 3に出て行く歩行者数を表わしている。
したがって,
1
2
23
と書いたのは, 宜のためであって,国体道路内での滞留は,2回以上の引き続く期間にわたって
もよい。
以上のことをまとめたものが,表 4
-2である。
4
.
2 時間帯の導入と時間帯別歩行者通行量の計測結果
歩行者通行量は,15 間隔で,1
1:
0
0から 1
9:0
0まで計測している。時間帯は,全部で,32期
間である。これらの時間帯を右肩の添字 で表現する。一般的に, =1
,
…, とする。時間帯別
の流入・流出歩行者通行量は,全部で 6種類である。すなわち,国体道路への流入
=1
,…, ,国体道路からの流出
,=1
,3
,
4;
,=1
,
3
,4
,=1
,
…, の 6種類である。例えば,
間帯 での大名地区 1から国体道路 2への流入歩行者数である。同様に,
は,時間帯
は,時
での国
体道路 2から今泉地区 3への流出歩行者数である。
さて,表 43に,大名・今泉地区歩行者通行量調査による,これら 6種類の時間帯別の流入・
流出歩行者通行量の計測結果を示しておく。
で,時間帯
でのすべての地区から国体道路への流入歩行者数を表わそう。
は,次の式
で表される。
=
+
+
(
)
4.
1
同様に,時間帯 での国体道路からすべての地区への流出歩行者数
=
+
+
ここで,時間帯 での国体道路の滞留歩行者数
=∑
は,次となる。
(
)
4.
2
を,次で定義する。
−
(
)
4.
3
隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動パターンの動的推定
79
表4
-3 時間帯別歩行者通行量の計測結果
1
1:
00∼1
1:1
5
1
1:
15∼1
1:3
0
1
1:
30∼1
1:4
5
1
1:
45∼1
2:0
0
1
2:
00∼1
2:1
5
1
2:
15∼1
2:3
0
1
2:
30∼1
2:4
5
1
2:
45∼1
3:0
0
1
3:
00∼1
3:1
5
1
3:
15∼1
3:3
0
1
3:
30∼1
3:4
5
1
3:
45∼1
4:0
0
1
4:
00∼1
4:1
5
1
4:
15∼1
4:3
0
1
4:
30∼1
4:4
5
1
4:
45∼1
5:0
0
1
5:
00∼1
5:1
5
1
5:
15∼1
5:3
0
1
5:
30∼1
5:4
5
1
5:
45∼1
6:0
0
1
6:
00∼1
6:1
5
1
6:
15∼1
6:3
0
1
6:
30∼1
6:4
5
1
6:
45∼1
7:0
0
1
7:
00∼1
7:1
5
1
7:
15∼1
7:3
0
1
7:
30∼1
7:4
5
1
7:
45∼1
8:0
0
1
8:
00∼1
8:1
5
1
8:
15∼1
8:3
0
1
8:
30∼1
8:4
5
1
8:
45∼1
9:0
0
合計
X
X
91
80
100
88
99
158
126
157
178
122
225
139
244
169
228
219
248
190
179
204
215
192
209
192
140
202
178
191
167
181
160
201
5,
4
72
3
0
43
6
6
1
39
1
6
4
49
3
8
7
52
5
7
5
64
8
5
1
49
8
11
0
5
7
1
11
9
67
4
10
4
56
5
9
5
64
0
8
0
69
0
7
6
78
7
10
9
80
2
10
2
69
3
14
3
87
7
13
0
7
8
3
11
9
64
8
15
5
69
7
9
4
75
0
14
9
80
8
18
3
7
9
2
18
8
81
4
18
9
77
8
15
7
7
7
0
14
4
93
9
21
2
8
5
9
13
3
90
8
17
8
84
6
14
9
9
1
1
15
6
89
3
12
9
8
5
6
16
4
86
7
3,
93
5 23
,
20
9
X
X
X
6
0
3
5
6
1
7
2
7
0
8
9
11
6
10
1
13
2
13
0
15
7
13
9
18
5
19
3
15
2
15
3
20
5
16
9
21
7
20
9
26
1
20
1
19
3
19
7
25
9
17
0
22
0
21
8
17
3
19
8
12
2
17
3
5
,
03
0
70
355
7
2
85
408
76
99
403
170
91
518
189
151
591
199
85
412
320
120
443
448
154
501
642
140
518
699
105
560
761
118
530
951
126
635 1,
053
165
703 1,
155
133
651 1,
142
145
589 1,
504
140
649 1,
694
152
643 1,
709
151
577 1,
854
146
646 1
,
868
178
750 1,
892
164
742 1,
915
182
821 1,
905
180
710 1,
998
164
775 1
,
981
145
777 2,
023
163
794 2,
169
193
802 2,
173
177
889 2,
104
184
808 2
,
166
177
879 2
,
142
125
834 2,
206
119
745 2,
401
4
,
527 20,
658 43,
581
X
X
滞留歩行者数を非負とするため,本論文では,次の仮定をおいておく。
∑
∑
=1,
…,
4
.
3 歩行者流動パターンのモデル化の考え方
まず,図 42をみてほしい。この図は,本研究がモデル化しようとする第 期の歩行者の流動
状況を模式的に表わしたものである。左側の状態
から
は,大名地区 1
,今泉地区 3,その他
の地区 4から国体道路 2への流入を表わしている。また,右側の状態 , , は,逆に,国体道
路 2から大名地区 1
,今泉地区 3,その他の地区 4への流出を表わしている。国体道路での滞留を
表現するのが, −1期の滞留に対応する状態
と今期
期の滞留に対応する状態
である。今
期,大名地区 1
,今泉地区 3
,その他の地区 4から国体道路 2に流入した歩行者には,直接,滞留
せずにこれら 3つの地区に流出する, , , から
, , へと状態推移する場合と国体道路 2
合計は,1日 (
∼1
11:
00
9:
00)の国体道路への累積の流入人口・流出人口・滞留人口である。滞留人口の合
計には意味がないが,これらの値は,第 5章の推定結果と計測値との誤差をみるために利用する。
80
斎
藤・山
城・中
嶋
図 42 歩行者流動パターンの模式図
への滞留にまわる, , , から
への状態推移がある。
一方,注意しなければならないのは,国体道路 2から大名地区 1
,今泉地区 3
,その他の地区 4
への流出には,
国体道路 2に留まっていた滞留歩行者が流出した場合が含まれていることである。
これを表現するために,1期前の −1期の国体道路上での滞留歩行者が,今期,大名地区 1,今
泉地区 3
,その他の地区 4へ流出する場合と,今期も国体道路 2内に滞留する場合とを明確に表現
するため,新たに状態
表現し,後者の場合を
, , を導入し,前者の場合を,
,
から
から
, , への状態推移として
への状態推移として表現している。
さらに, 期に観測される,国体道路 2から,大名地区 1
,今泉地区 3
,その他の地区 4への流
出人口を,
, ,
で表わし,また, 期の滞留人口を
る流出人口には,たとえば,
t
2
2
で表わしている。実際に観測され
には,大名地区 1
,今泉地区 3
,その他の地区 4から直接大名地
区 1へ流出した歩行者のほかに,
前期 −1の国体道路 2の滞留歩行者から大名地区 1への流出し
た歩行者が含まれていることに注意が必要である。
ここで,π,=1
,2
,
3,
1
0とあるのは,各期の初期
初期
布である。観測される
布を推定するために用いられる。また, =1のとき,
0
22
=
, , ,
−1
2
2
は
0
2
2
=0として扱う。
4
.
4 歩行者流動パターンの変動プロセスのモデル化
本研究では,隠れマルコフモデルもその一種である不完全データモデルの考え方にまでさかも
どって定式化をおこなうが,そのために,歩行者流動パターンの変動プロセスをどのように定式
化したかの説明をおこなっておく。
まず,観測される流入人口を
,滞留人口を
,観測される流出人口を
で表わそう。すな
隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動パターンの動的推定
81
図4
-3 歩行者流動パターン変動プロセスのモデル化
わち,
=
, ,
, =
,
2
2
=
, , ,
ターンのモデル化の考え方は,次のプロセス
=
2
2
,である。上で述べた歩行者流動パ
,=1
,
…, として,表現できる。
,
=1
,
…,
これを模式的に図式化したものが,図 4
-3である。
後で明らかになるが,本モデル化の考え方は,標準的な隠れマルコフモデル (
HMM)との以下
の点で異なっているといえる。1
)推移確率に定常性を仮定しない。2
)出力のほかに入力
と
がある。また,3
)個々のサンプルの経時的なシークエンスデータではなく,各期ごとに得ら
れた複数のオブサベーションのシークエンスデータになっていることである。しかし,潜在的な
状態の推移確率を想定しているという意味では,隠れマルコフモデルといってよい。
4
.
5 不完全データモデルとして尤度関数の導出
一般に,不完全データとは次のように定義される。まず,完全データの標本空間 Ω の標本を
とする。不完全データとは,標本空間 Ω から Ω への多対 1の写像
されるとき,この
があって, =
と表わ
を不完全データという。
その典型的な例は,混合データの例であり,ここでは観測される出力
述したように,実際,たとえば,
がこれに相当する。先
には,大名地区 1,今泉地区 3,その他の地区 4から,国体
道路 2を経由して,直接大名地区 1へ流出した歩行者のほかに,前期 −1の国体道路 2の滞留歩
行者から大名地区 1へ流出した歩行者が含まれているが,これらを識別できないからである。
この場合,不完全データ
ルート 1
21のパスフロー
留からの流出
に対応する完全データは,
2
1
,ルート 3
2
1のパスフロー
,
,
,
2
21
となる。すなわち,
,ルート 4
2
1のパスフロー
と滞
である。
2
2̄1
さて,入力となる
と
は,誤差なく観測され,各期の初期 布 π を特定するために
わ
れると考えたので,パラメータである状態推移確率を推定するのに用いるデータは,出力のみで
ある。
したがって,ここでの歩行者流動パターンの完全データと不完全データを書き下すと,次とな
82
斎
藤・山
城・中
嶋
る。
不完全データ
完全データ
:
:
, , ,
,
,
,
,
22
,
,
,=1,
…,
2
2
1
2
24
,
,
,
,
1
22
以上の準備の下で, 期での不完全データ
=π
,
32
2
,
,
42
2
+π
+π
+π
+π
×π
+π
+π
+π
+π
布,
記号が煩雑になるのを避けるため,初期
,=1
,
…,
2
2
2
+π
×π
ここで,π,=1
,
2,
3
,
10は初期
,
の尤度は次となる。
+π
×π
22
3
+π
は状態
(
)
4.
4
+π
から状態
への推移確率である。ここでは,
布,推移確率には, 期を表わす肩の添字を省略してい
る。
不完全データの尤度関数の意味は,第 1の項で説明すると,相互に識別されない事象
が観測される確率は,π
2
1
+π
+π
+π
,であり,それが
と
回観測される確率であ
る。第 2項以降も同様である。π,=1,
2
,3
,
1
0は既知であるので,この尤度関数を最大にする推
移確率
を推定値として求めることになる。以下で述べるように,その解法として EM アルゴ
リズムを用いる。
一方,完全データ の尤度は次である。
=π
π
π
π
×π
π
π
π
×π
π
π
π
×π
π
π
(
)
4.
5
π
4
.
6 EM アルゴリズムによる最尤推定値の求解
) EM アルゴリズムとは
1
[1
)
]による EM アルゴリズムは次のように定義される。
(Cf
Demps
t
e
r
,Lai
r
d,Rubi
n(
1
97
7
.
-2
)
[1
])まず,尤度の単調性を保証する関数
Sai
t
o (1
9
98
,pp.
20
7
1
4
0
θ,θ を次のように定義
する。
θ,θ =
関数
θ,θ は,不完全データ
l
o
g
θ
,θ
とパラメータ θ が与えられたもとでの条件付き密度を用い
て計算した完全データの対数尤度の期待値である。EM アルゴリズムは,次の 2つのステップから
隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動パターンの動的推定
83
なる逐次収束計算のアルゴリズムである。
a) Eステップ
θ,
θ
第
=
l
o
g
θ
,
θ
(
)
4.
6
回目計算ステップでのパラメータ推定値 θ を用いて,
θ,
θ
を計算する。Eは期待
値,Expe
c
t
at
i
onの略である。
b) M ステップ
θ
M ステップは,関数
定値 θ
θ,θ
=a
r
gmax θ,
θ
(
)
4.
7
を最大にする θを第 +1回目の計算ステップのパラメータ推
として採択する。M は Maxi
mi
z
at
i
onの略である。
EM アルゴリズムは,a),b)のステップをパラメータ推定値が収束するまで繰り返す収束計算
アルゴリズムである。
) EM アルゴリズムの適用
2
期において,不完全データ
とパラメータの既存推定値 θ= π,
の対数尤度の期待値をとった関数
θ,θ =
l
o
gπ
+…+
+
l
o
gπ
=
θ,θ を計算しよう。
l
ogπ
+
12
2
,θ l
o
gπ
+
2
21
,θ l
o
gπ
+
4
22
,θ l
o
gπ
のもとで,完全データ
+
l
o
gπ
l
o
gπ
+
32
2
+
+
2
2
1
l
o
gπ
+
4
22
,θ l
o
gπ
+…+
l
ogπ
+
1
2
2
l
o
gπ
,θ
2
22
+
,θ l
ogπ
,θ l
o
gπ
+
3
2
2
(
)
4.
8
,θ l
ogπ
,θ l
o
gπ
2
22
a)Eステップ
まず,第 期における Eステップである。ここでは,パラメータ θ が,第 期の第
目の推定値であることを明示するために,θ
タθ
= π,
= π,
と書く。不完全データ
ステップ
とパラメー
が与えられたもとでの完全データの期待値は以下となることに注意しよ
う。
=
,
θ
=
=
,
θ
=
=
,
θ
=
,θ
=
=
2
21
22
1
π
+π
π
+π
+π
π
+π
π
+π
+π
π
+π
π
+π
+π
π
+π
π
+π
+π
⋮
=
1
22
(
)
4.
9
12
2
,θ
=
π
π
+π
+π
+π
84
斎
藤・山
32
2
,θ
=
2
2
π
+π
=
42
2
,θ
=
2
2
π
+π
=
22
2
,θ
=
2
2
π
+π
4
22
2
22
ここで,
嶋
π
=
3
22
城・中
+π
+π
+π
+π
+π
+π
π
π
は記号が複雑になるのを避けるため,第
,θ
ステップ目の完全データの期待値
を略記したものである。
第 期の初期
布 π を決めなければならないが,上述したように 期の流入人口と −1期の
滞留人口から,次のように決める。
π=
+
π=
ただし,滞留人口
22
0
22
, =1
,
2
,
3
−1
2
2
+
(
)
4
.
10
−1
2
2
+
+
−1
2
2
+
は,次のように定義される。
2
2
=
2
2
=
=
0
2
2
=0
また,パラメータ
+
+
+
−
−
−
を求めるため,第 期の初期値
+
−1
22
, =1
,
…,
(
)
4
.
11
を決める必要がある。第 1期は,一様
布を仮定するが,第 2期以降は,前期の推定値を初期値とする。すなわち,
=
。
b) M ステップ
以上のもとで,
θ,θ
を最大化する θ
=
=
=
を求めると,次となることがわかる。
+
+
+
12
2
+
+
+
12
2
+
+
+
12
2
+
+
+
12
2
12
2
=
⋮
=
(
)
4
.
12
2
2
1
+
2
2
3
+
2
23
+
2
23
22
1
=
2
22
2
23
2
2
1
=
+224+
+
+
222
+
222
2
2
4
2
24
2
2
1
+
2
2
4
隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動パターンの動的推定
85
表 4-4 行列形式での表現
s
s
s
s
s
s
s
s
X p
X p
X p
X p
X p
X p
X p
X p
N
N
s
s
s
X p
X p
X p
X
X p
X p
X p
p
X
X
X
X
p
X
N
2
22
=
+
2
2
1
+
2
23
+
2
2
4
222
) EM アルゴリズムと I
3
PFP (I
t
er
at
i
vePr
opor
t
i
onalFi
t
t
i
ng)との一致
M ステップでの解は,推移確率を個別に求めているので,非常に見通しが悪いが,ここで,大
変興味深いことに,実は,上述した EM アルゴリズムの Eステップと M ステップは,2次元の
[1
)
])
I
PFP法の列和調整と行和調整に一致するのである。(
Cf
.
I
PFP法については,Sai
t
o(
1
99
8
0
それは,以下のようにして
この行列形式は,初期
で,入力
路へ配
, , ,
かる。表 4
-4の行列形式を考えよう。
布 π,=1
,
2
,3
,
1
0は,式 (4
)から
.
10
かるように,入力の正規化なの
−1
2
2
をそのまま用い,これらが推移確率
にしたがって 4つ出力の経
された状況を表わしている。この段階では,行和は一致しているが,列和は一致してい
ない。Eステップの式 (
)は,列和を出力
4.
9
, , ,
に一致させるように調整した結果と
2
2
なっている。
実際,その第 1行 1列要素
は,次の式と同一である。
=
+
+
+
22
さて,M ステップであるが,列和を一致させたことによって,今度は,行和が一致しないので,
これを一致させたものが,
であることが
かる。実際,行和調整の結果は,例えば,第 1行
)の左辺となるが,これは,
1列要素では,式 (
4.
1
3
を求めていることに他ならないからで
ある。
+
+
+
=
1
22
(
)
4
.
13
以上の説明によって,隠れマルコフモデルによる歩行者流動パターンの EM アルゴリズムによ
る推定は,2次元表の I
PFP法に帰着することがわかった。
5. 歩行者流動パターンの動的推計結果
5
.
1 歩行者流動パターンの動的推計の結果
初期
布に一様を仮定したときの推移確率の推定結果は,状態 , , から状態 , , , へ
86
斎
藤・山
城・中
嶋
表 5-1 隠れマルコフモデルによるパスフローの推定結果
大名地区
今泉地区
12
1 1
2
3 1
24 1
22̄ 3
2
1
∼1
1
1:
00
1:
1
5
∼1
1
1:
15
1:
3
0
∼1
1
1:
30
1:
4
5
∼1
1
1:
45
2:
0
0
∼1
1
2:
00
2:
1
5
∼1
1
2:
15
2:
3
0
∼1
1
2:
30
2:
4
5
∼1
1
2:
45
3:
0
0
∼1
1
3:
00
3:
1
5
∼1
1
3:
15
3:
3
0
∼1
1
3:
30
3:
4
5
∼1
1
3:
45
4:
0
0
∼1
1
4:
00
4:
1
5
∼1
1
4:
15
4:
3
0
∼1
1
4:
30
4:
4
5
∼1
1
4:
45
5:
0
0
∼1
1
5:
00
5:
1
5
∼1
1
5:
15
5:
3
0
∼1
1
5:
30
5:
4
5
∼1
1
5:
45
6:
0
0
∼1
1
6:
00
6:
1
5
∼1
1
6:
15
6:
3
0
∼1
1
6:
30
6:
4
5
∼1
1
6:
45
7:
0
0
∼1
1
7:
00
7:
1
5
∼1
1
7:
15
7:
3
0
∼1
1
7:
30
7:
4
5
∼1
1
7:
45
8:
0
0
∼1
1
8:
00
8:
1
5
∼1
1
8:
15
8:
3
0
∼1
1
8:
30
8:
4
5
∼1
1
8:
45
9:
0
0
1
9:
00以降
合計
1
0
4
7
6
5
1
3
1
0
9
1
1
7
1
5
7
1
4
1
0
1
1
9
1
3
8
9
9
1
2
8
9
8
8
7
8
8
6
7
4
7
1
1 5
8
1
0 5
8
1
2 5
9
8 5
9
1
2 6
5
1
3 8
4
1
1 6
1
1
5 7
2
1
3 8
7
6 6
3
1
2 9
7
7 6
7
1
4 1
1
5
8 82
1
1 8
5
9 9
0
1
0 1
0
5
8 7
2
7 7
4
9 8
8
9 91
8 8
8
9 8
5
7 8
6
5 6
0
8 8
5
8 7
6
7 8
9
7 7
2
7 8
3
4 7
3
5 8
0
12
9
21
16
16
49
43
61
66
46
1
00
58
1
00
69
1
20
1
11
1
20
1
02
90
97
1
03
88
1
05
91
68
1
02
87
87
82
84
79
1
09
その他
3
2
2 3
2
3 32
2̄ 4
21 4
23 4
2
4
3
3
5
6
4
4
9
7
7
5
5
4
6
6
7
5
6
7
5
7
11
8
8
6
8
7
6
7
5
6
3
6
4
7
8
7
9
4
1
0
1
1
8
5
4
4
6
5
7
5
5
7
4
7
7
8
8
6
5
8
6
7
6
6
4
4
1
9
4
4
4
7
3
8 14
5
8 16
4
9 12
2
7 16
54 37
5
5 47
5
1 39
4
9 36
3
5 36
3
7 32
5
1 45
5
0 41
5
4 75
5
3 66
5
0 58
58 83
3
9 47
6
5 71
7
7 88
8
6 86
7
7 95
7
0 75
61 70
8
9 10
7
5
7 65
8
3 81
64 73
7
2 73
5
9 63
6
5 89
47
19
3
7
3
4
3
5
4
0
4
7
3
8
3
6
3
7
4
6
3
9
4
7
4
2
4
2
3
2
3
3
3
0
3
8
3
7
4
5
3
4
3
3
3
2
5
1
3
0
3
9
3
5
3
1
3
4
2
0
3
0
55
47
61
45
80
40
52
62
42
33
38
39
46
32
44
32
27
30
29
36
32
35
35
30
32
32
38
32
37
34
23
23
27
8
28
2
29
0
35
2
42
5
26
5
27
8
31
0
27
7
32
8
29
8
38
1
37
8
33
7
32
8
32
2
27
3
26
3
30
8
35
0
33
4
37
2
31
7
34
3
40
1
36
2
38
8
39
5
39
4
41
0
39
2
34
4
滞留
4
2
2̄
56
4
3
10
5
9
4
10
7
15
3
19
5
26
4
21
0
24
2
30
8
32
8
33
0
28
2
46
3
39
7
31
4
37
4
37
5
38
5
38
0
37
3
39
3
36
5
45
5
43
5
44
2
38
5
44
9
41
6
42
1
47
1
2
2̄
1 22̄3 2
2̄4 2
2̄2̄
9
12
27
25
32
50
47
78
80
91
90
1
17
1
34
92
1
07
1
53
1
24
1
65
1
55
1
93
1
51
1
43
1
51
1
92
1
26
1
68
1
68
1
31
1
52
95
1
31
1
43
21
18
31
49
28
47
66
78
61
64
77
98
88
83
93
1
09
1
06
1
07
1
27
1
16
1
31
1
28
1
21
1
03
1
16
1
41
1
31
1
34
1
31
94
87
94
2
4 18
1
7 30
4
8 63
5
1 63
3
6 1
0
3
5
0 1
7
3
6
4 2
7
0
1
0
2 3
8
3
1
2
0 4
3
7
1
0
0 5
0
7
1
5
0 6
3
5
1
5
8 6
8
0
1
8
2 7
5
0
1
2
2 8
4
6
1
8
4 1,
1
2
0
2
1
5 1,
2
1
7
1
8
41
,
2
9
4
2
2
6 1,
3
5
6
2
4
7 1,
3
3
9
2
4
0 1,
3
4
4
2
7
51
,
3
5
8
2
3
0 1,
4
0
4
2
7
6 1,
4
5
0
2
5
5 1,
4
3
0
2
5
7 1,
5
2
4
2
8
1 1,
5
7
9
3
2
2 1,
5
5
1
2
7
8 1,
5
6
2
3
1
41
,
5
6
9
3
1
0 1,
6
4
3
2
5
7 1,
7
3
2
2
7
9 1,
8
8
5
27
9 2
9
12
,
5
0
92
,
3
93 1
92 20
21
,
79
61
,
7
4
6 1,
16
91
,
2
521
0,
77
71
0,
01
03
,
5
33 2
,
8
76 5
,
8
5
531
,
3
1
7
推定値合計
5
,
4
7
2
3,
9
35
23
,
2
09
4
3,
58
1
観測値
5
,
4
7
2
3
,
9
35
23
,
2
09
4
3,
58
1
の推移確率は,同一の期では,すべて同じ結果となった。各期のパスフローの推定結果を表 5-1に
示しておく 。隠れマルコフモデルでは,滞留の状態を加えているので,各期に大名地区,今泉地
区,その他の地区から流入した歩行者のうち滞留へ流れた歩行者のフロー,また,各期に滞留か
らこれら 3地区へ流出した歩行者のフローが推定値としてえられている。
5
.
2 経路別歩行者流動パターンの推計
隠れマルコフモデルでは,状態間の確率は推定できるが,実際,どのようなルートにどれくら
いの歩行者流があったのか,のパスフローは推定されていない。
そこで,次のようにして,隠れマルコフモデルによる推移確率の推定結果から,歩行者のパス
フローの推定を行った。
各期,各地区の推定結果は,表 4
-3の各地区から国体道路への流入人口,国体道路から各地区への流出人口
と必ず一致する。例えば 11:
は,91であ
0
0∼11:15で見てみると,大名地区から国体道路への流入人口
るが,推定結果の 12
1,1
23,
124
,12
2の合計 91と一致する。同様に,国体道路から大名地区への流出人口
と,推定結果の 12
1,3
21,42
1,4
23の合計が,6
0で一致する。
隠れマルコフモデルによる地区間歩行者流動パターンの動的推定
87
表 5-2 隠れマルコフモデルによる歩行者パスフローの推定結果
大名地区
s
X
大名地区
今泉地区
その他
s X
s X
s X
今泉地区
s
X
その他
s
X
滞留
s
8
69
6
04
3,
5
57
77
2
53
9
3
,
21
6
3,
4
67
2
,
4
84
1
4,
7
07
36
4
30
9
1
,
72
9
地区合計
5,
0
30
4
,
52
7
2
0,
6
58
2
,
40
1
流出人口観測値
5,
0
30
4
,
52
6
2
0,
6
58
2
,
40
1
まず,第 期の状態推移確率
視し,また,状態
と状態
別するため,新たに
地区
合計
5
,
47
2
3
,
93
5
23
,
20
9
流入人口
観測値
5,
472
3,
935
23,
209
を,次のように定義する。状態 , , は状態
, , と同一
も同一視する。さらに,国体道路からどこへ抜けたかの違いを区
, , の吸収 (帰宅)状態をもうけ,それぞれ国体道路から,大名地区,今
泉地区,その他の地区へ抜けてから吸収状態へ推移したことを表わすことにする。
以上にくわえ,大名地区,今泉地区,その他の地区から国体道路への流入を表わす 3つの状態
, , をふくめた,1
×1
0個の状態を想定し,10
0の状態推移確率として
を定義する。先述し
た歩行者流動パターンの変動プロセスをモデル化した考え方にしたがえば,状態 , , は入力
,状態 , , は出力
に,状態
は滞留
に到達すると自動的に次期に吸収状態 =
に対応する。また,暗黙のうちに,出力の状態
, ,
に移動すると想定している。
=
また,
を第 期の入力
を用いて,次のように定義する。
=
ただし,
は
, ,
を対角要素とする対角行列,i
.
e
.
,
=di
ag
, ,
次の行列 H を作成する。
H=∑
この行列 H の部 行列 H
が, への滞留を経由したフローを含んだ,パスフローの推定値と
なる。そのパスフローの推定結果が,表 5
-2である。例えば,この表の第 1行 2列は,大名地区
から国体道路をへて,今泉地区へ抜けたパスフローを表わしている。とくに,注意すべきは,国
88
斎
藤・山
城・中
嶋
体道路での期間を定めない滞留を経たフローも含んでいることである。つまり,
や
,
などの合計である。
6
. 結論と今後の課題
今回,歩行者通行量のデータを用いて,小規模ではあるが,隠れマルコフモデルを歩行者流動
パターンの動的推定に適用できることを示した。これまで,伝統的な歩行者通行量調査は,多く
の商業地域で実施されているが,それらは,当該商業地域内にある選択された街路の方向別歩行
者数を,ある 1時点で計測したものに過ぎず,定点観測をしている商業地域では,経年比較をお
こなっているものの,ほとんど利用されていないのが,現状である。
本研究の実用上の意義は,小地域に限れば,旧来の通行量調査を,滞留歩行者数を計測できる
ものに変
し,これと隠れマルコフモデルを組み合わせることで,歩行者流動パターンの動的推
定といった魅力的な目的に,歩行者通行量調査を活用できることを示したことにあると考える。
一方,本研究は,隠れマルコフモデルの適用の第一歩であるが,理論的な側面においても,入
力をともなう場合のモデル化,あるいは,不完全データモデルとしての最尤推定に EM アルゴリ
ズムを適用すると,これが I
PFP法に一致するなど,興味深い論点が出てきた。
今後の課題としては,対象地域数が多くなった場合への本モデルの適用や,回遊行動データが
えられた場合への隠れマルコフモデルの拡張,また,潜在変数を含んだ場合の I
PFPと EM アル
ゴリズムとの対応関係の理論的考察等がある。
参
文
献
[ 1] De
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P.
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