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議事録 (PDF:218KB)
それでは、時間の方が25分ぐらい遅れております。引き続きで恐縮ですが、2つ目の潜 水艦の事業について、まず、担当課の方から御説明をお願いいたします。 説明者:資料の11ページのレビューシートの方で説明させていただきます。 事業名は「潜水艦(SS)」でございまして、「事業開始・終了(予定)年度」とござい ますけれども、潜水艦は5年間の継続費で製造いたしますので、開始年度にそれぞれ製造 を開始いたしました4隻の潜水艦の経費が、23年度の執行額に含まれておるということで ございます。 事業の目的でございますけれども、潜水艦は、その隠密性等を活用いたしまして、常時 継続的に情報収集・警戒監視を行いまして、主要な海域の哨戒・防護に当たるということ で、防衛大綱に基づく態勢を構築するため、所要の整備を行うものでございます。 事業の概要でございますけれども、これら4隻の潜水艦は事業概要の2行目に書いてご ざいますとおり、「そうりゅう」型と言われる同型の潜水艦でございまして、この特徴と いたしましては、蓄電池・ディーゼル機関にスターリング機関という新たな機関、発電機 を加えまして、水中持続力を向上させております。 スターリング機関と申しますのは、ヘリウムガスが熱膨張したり冷ますと縮むといった 性格を利用いたしまして、シリンダーを動かして発電機を回していくといったシステムで ございます。 真ん中の「予算額・執行額」は記載のとおりでございますけれども、23年度がほかの年 度と比べまして低くなっております。これは21年度から建造を開始する潜水艦がございま せんでしたものですから、その分の歳出化分が減っているというのが、23年度が減ってお る要因でございます。 アウトカム・アウトプットでございますけれども、潜水艦の進水とか引渡の年月という ことで示させていただいております。 19年度に建造を開始いたしました19SSにつきましては、22年11月に進水をいたしており ます。進水後、艤装いたしまして23年度に引渡をされております。 あと、「単位当たりコスト」でございますけれども、約529億でございまして、これは19 ~23年度までに建造を開始した潜水艦4隻の予算の単純平均でございます。 次の12ページにお進みいただきまして、「事業所管部局による点検」でございます。 「目的・予算の状況」でございますけれども、国民のニーズ、国の実施の可否等につき ましては、水中で警戒監視をするのは潜水艦だけでございますので、まさに国が実施をす べき事業である。 次の「資金の流れ、費目・使途」でございますけれども、コスト削減についての説明をし ております。これは前のセッションでもございましたが、官給品を適切な範囲に設定する ことによって、GC.I.Pがダブルでかかることを防いでおるわけでございます。具体的には 機関とか魚雷、潜望鏡といった搭載武器でございますとかボート、こういった機材を国が 直接メーカーと契約いたしまして、建造メーカーに官給をするという形でございます。 1 あと「点検結果」でございます。重複する部分は省かせていただきますけれども、点検 結果の「2 効率性」の後段で、「装備品の調達方法の見直し」と書いてございます。22 ページの論点ペーパーの方でもちょっと説明しておりますけれども、これはスターリング 発電機。これはスウェーデンの会社から技術導入して国産しております。当初は部品とか を輸入して、全部国内で組み立てるという形式をとっておったのですけれども、順次国産 の比率を高めまして、国産化するという効率化を図ることによって価格の低減を図ったも のでございます。 その他でございますけれども、潜水艦を調達するための支出先、使途及び契約方法につ いて民間会社等への資金の流れを調査いたしまして、問題ないことを確認しております。 19年度潜水艦の建造等の契約につきましては、契約履行後に原価監査を行いまして確認 をしております。20年度、22年度以降については契約履行後に原価監査を行う予定でござ います。 13ページ目は、資金の流れでございます。23年度の執行額を割り振ったものでございま して、例えばAとかJとかQとありますのは潜水艦本体の建造でございます。 19年度潜水艦のBとかCがございますけれども、Bにつきましては艦艇系の官給機材、 ボートでございますとか、そういったものの契約をまとめてございます。Cにつきまして は武器系。潜望鏡とか、レーダーとか、そういったものの契約をまとめてございます。 14~16ページまでにつきましては、費目、使途の流れということで、A、B、Cごとに 最大の金額が支出されているものについて記載をいたしております。 17ページをごらんいただきたいと思いますけれども、A、B、Cといったことの支出先 上位10者リストでございます。17ページの下半分を見ていただきますと、衛生器材とか厚 生機材とか需品器材がございますけれども、こういったものの多くは一般競争でやってお ります。 おめくりいただきまして18ページ、例えば「K.機関部の製造」の蓄電池でございます とか「M.搭載武器等の製造」、こういったものについても一般競争でやっておるという ことでございます。 説明は以上でございます。 小村:ありがとうございました。 そうしましたら、論点の説明を渡辺副大臣からお願いいたします。 渡辺副大臣:「そうりゅう」型の潜水艦でございますが、これは世界最大のディーゼル潜 水艦、日本の技術の粋を集めたものでございます。 この建造費については、今、見ていただいたとおり、調達に当たって受注する企業が極 めて限定をされておりますので、先ほど論点となりました競争性の導入とか、まとめ買い という価格低減は非常に難しいものでございまして、それ以外の方法での低減努力は、こ の後に説明があると思いますが、調達方法で構成品単位の仕様でありますとか、そういっ たもので低減努力を行ってきておりますけれども、その取組みが十分であったかどうかに 2 ついて御指摘をいただきたいと思いますし、同様の手法によるコストダウンの余地はない かにつきましても、御議論をいただきたいと思います。 説明者の方にお願いしたいのは、防衛の議論になりますとどうしても専門的な用語が出 てきますので、できるだけインターネットで見ている方、あるいはギャラリーで傍聴して くださっている方にわかりやすいように、なるべく平易な言葉を使うようにお願いをした いと思います。 以上です。 小村:ありがとうございました。 正しく言葉遣いの点は、私からも注意してお願いしたいと思います。 シートのつくりとの関係で非常にわかりにくいかと思いますので、少し最初に私の方か ら一般の方向けにお話しますと、潜水艦1隻の値段は11ページの「単位当たりコスト」と いうところに書いてある金額になります。ざっぱくに言えばです。これは単純に全部の平 均で出されていると思いますけれども、1そうをつくるのに530億円ぐらいがかかるという ことです。 では、その数字がそのまま21年とか、22年とか、23年の数字欄に出てきてないではない かと思われると思いますが、1枚めくってもらった13ページの表をごらんいただくと、 「装 備品A(19SS)」と書いてあるものが、19年度からつくって23年度までつくっている潜水 艦の、23年度の工事の発注額ということでよろしいわけですね。 ですから、この前に19年度からの数字、同じ隔年の表をつくって19年の装備品への部分 だけを足していくと、全部で五百何十億になる。だから、見せ方というのもなかなか難し いのですが、国の金というのはそれぞれ動いているものを輪切りにしてお見せしています ので、全体の中のこの1年の工事のお金を、それぞれの潜水艦ごとに装備品A、B、C、 Dという形でお書きいただいているということであります。 済みません、今、潜水艦は日本に何台あるのですか。 説明者:16隻ございます。 小村:これが4台加わる。 説明者:そうでございます。今、「そうりゅう」型が4隻ございまして、その前の代が11 隻ございまして、1隻はその前の代のもの。 小村:最終的には、これを4台加えて20隻にするということですか。 説明者:これは16隻を維持するためでございまして、老朽化の対応でございます。 小村:老朽化への対応ということですね。ですから、防衛大綱の新しい方にある22隻の話 とはまた別のものという理解でいいわけですか。 説明者:はい。 小村:わかりました。では、議論を始めたいと思います。 蒲谷さん、どうぞ。 蒲谷:この潜水艦の建造もそうですけれども、競争力という意味では働きにくい構造にな 3 っているようで、要するに、つくる方の能力がないから、もし毎年1隻ずつ発注していく とすると、ある年度に決まった次の年度はもう1者、次の年度はもう1者となっています ね。ですから、どうしようもない。それはもう仕方がないのかなという感じもするのです けれども、2者あるのだから、そこに競争性も働くのではないかと私どもは思ってしまう んですね。 資料の19ページに、22年度分の22SS、Qのところは入札者数が2となっているから、2 者が入札しているんですね。多分これは21年度につくってないから、1年あいているから 2者のどちらがとっても余力があるというか、態勢が整っているから2になっていると思 うのですけれども、その割に落札率が100%。この落札率という意味はよくわかりませんけ れども、結局、落札率は100%で余り競争が働いていた雰囲気はないですね。これはたまた ま初年度だから金額は小さいようで2億。我々から見ると、この辺のところはどうもよく わからない。2者が入札したら当然そこで競争が働いて、より価格の低い方の会社がとっ てほしいなと思うとどうも100%だし、順番も変わってないし、この辺は非常にわかりにく いわけです。素人で申し訳ないのですが、どうしてこうなるのか教えていただければあり がたいです。 説明者:予算の執行額は潜水艦全体の金額で申しますけれども、減っております。16年度 の計画化につきましては全体で600億でございましたが、これが徐々に減っていきまして、 19年度の計画の潜水艦の執行額については530億ということで、一定の価格の低減は見てお るところでございます。 競争性の確保ということにつきましては、確かに1者交代で受注している場合が多いわ けでございますけれども、今まさに先生の御指摘がありましたように、どこかがあいてお るときにおいては指名競争とかで競争がなされる環境でもございますし、あと、私どもは 競争性の1つの考え方といたしまして、やはり官給品を適切に設定して、そういった構成 部材で一般競争できるものは一般競争をして、価格競争力を働かせていって全体のコスト を下げるということもあると思います。 あとは、もとよりでございますけれども、私どもは予定価格を算定したり、あるいは原 価監査をやりますときに工数とかの部分をしっかり見ていく。こういったことで、全体の 取組みとしてコスト削減とか競争力の確保を図っていきたいと思っております。 小村:潜水艦の建造について言えば、22年の段階で下がってないわけですね。要するに、 潜水艦をつくれる人たちが2者しかいなくて、それぞれがつくればどうしてもあいている のが片一方で、たまたま5年間で4台をつくっていますから、1台があいたときだけ2者 で出てきていますけれども、もともと原価低減に対するインセンティブも、競争性も基本 的には余り働かない世界で、そこについての効果というのはなかなかないですねという話 から蒲谷さんの話が始まっているわけですね。 蒲谷:先ほど4隻で平均すると1隻当たり530億という数字が出ていますけれども、これは 平均ですから会社によって、毎年大分違うのでしょうか。要するに20年度は幾ら、次の21 4 年度は幾らと会社が違うから、どっちがつくった方が安いのか、いいのかは知りませんけ れども、変動するものであればそこで差が出てきますね。 説明者:重ねてお答えいたしますけれども、16年度の計画艦につきましては、今、申しま したとおり600億でございます。17年度の計画艦が587億でございます。18年度の計画艦が 562億でございます。19年度の計画艦が、先ほど述べましたとおり530億ということでござ います。会社によって若干製造のつくり方とかは違いますけれども、全体の傾向で見た場 合、低減しておるということでございます。 小村:今、まだ契約途上のものというか、今、動いているものが残りの年度だということ ですね。多分、そういう資料を出してもらう方がわかりやすいと思います。民間の方だと、 同じ仕事をするとしたら間違いなく対前年度比幾ら下げられますかという話で、おそらく コストをたたくという概念でされていますので、それをいかにわかりやすい形でお示しに なるかは非常に重要なことだと思います。ほかの事業でも、是非そうしてくださいと言っ ていてなかなかそうしていただけないのですが、逆にお示しいただけるのであれば、今の ような数字を示していただくのが非常に有意義かと思います。 高橋さん、どうぞ。 高橋:今のお話に関連してですが、あるタイプの潜水艦をつくるだけではなくて、歴代ず っといろいろなタイプの潜水艦を継続的につくられてきているわけですから、それに伴う 技術の習熟もあるわけですね。1つのタイプの潜水艦をつくるだけでも習熟はあると思い ますが、潜水艦をずっとつくり続けているわけですから、その間のいろいろな工夫だとか があるわけですね。 そうすると、例えばラーニングカーブだけではなくて工数の問題、あるいは資材価格の 下落、習熟度の問題、その他技術革新による問題、いろいろな要素が入って値段が決まっ てくると思うので、そういうことに対して一種のベンチマークみたいなものがあって、そ れに対して、今、安いとか高いとかという判断があって、初めて調達コストの適正性が本 当にわかると思うのですが、民間というのはある程度そういうメルクマールをつくってお いて、そこに向けてコストを削減していくわけですね。そういう取組みは、今までされて いるのでしょうか。 説明者:例えば直近の「そうりゅう」型について申しますと、それぞれ2者ございますけ れども、各社にとっての1番艦と2番艦を比べてみますと、その工数は十数パーセントぐ らい落ちております。 では、それ以前の形の潜水艦と比べてどうなんだという話でございますけれども、潜水 艦につきましては形が違うと性能は変わってくるわけですが、基本的に変わらない加工の 要素がございます。例えば鋼材1トン当たりを溶接するのにどれぐらいの工数が要るのか とか、艦内で配線とか配管の取り回しをしますときに、単位当たりどれぐらいの工数がか かっているのかというベンチマークはございます。そういったものについては、特に装備 施設本部において昭和50年度以降ぐらいのデータをずっと蓄積しておりますので、そうい 5 った過去の傾向値と比べてどうなんだということを見てまいります。 あと、ほかの防衛装備品の価格の動向とか、そういったものも参考にしながら見ていく ということだろうと思います。 高橋:今、参考にしているというお話がありましたが、それを具体的にデータで見ると本 当に下がっているのでしょうか。 例えば先ほど配線のお話がありましたけれども、つくり込んでいってそこで無理やり配 線をしていくのではなくて、逆にパネルに配線してしまっておいて後からパネルだけをは め込むとか、民間企業はいろいろな工数削減のための工夫をやっているわけですね。だか ら、そういうものが本当に行われて、下がっていっているのかというところについての評 価というのが私どもにはわかりようがないので、下がっていますとおっしゃっても本当に 下がっているのが妥当なのか、その辺が全く判断しようがないんです。システム的にやら れているということであれば、それを信頼申し上げるしかないですが。 説明者:今のことに少し補足するというか、繰り返しになるかもしれませんが、例えばあ る作業についてトン当たりの工数ですとか、もしくは配管ですとメーター当たりの工数で すとか、そういった管理をすることによりまして、また、潜水艦ということになりますと、 同じ溶接と申しましても通常の民間の溶接とはやり方が全く違うこともございますので、 我々としても工数自身、絶対値として比較するときに頼りになる指標はなかなかないので すけれども、仮に型が変わった場合に、排出量が増えた場合に総工数は増えるのですが、 単位当たりの工数という観点では継承されていくということで、古い理論かもしれません が、例えばラーニングカーブのような方法で低減しているところをしっかりと把握してお りまして、現実的にも溶接作業でありますとか艤装の作業につきましては、この数十年間 にわたって、当然そのやり方が変わるとか指標が変わるということのアップダウンはある のですけれども、大きく見た場合には順調に低減している、そういった管理をしていると 御理解いただきたいと思います。 説明者:ただ、1点だけ補足いたしますと、同じ型の潜水艦であっても、例えば通信機器 が何年度版から向上されているとか、魚雷防御装置がついているとか、そういった性能向 上はあるものですから、全体として見た場合の価格の低減効果が見えにくい面はございま す。 小村:郷原さん、どうぞ。 郷原:競争性が期待できない調達におけるコストが適切かどうかの検証というのは、本当 に難しい問題だと思いますけれども、競争性を前提とした、例えば公共工事の場合の予定 価格の積算などとは全然違った意味があるわけですね。それでほぼ決まりということにな るわけですから、適正さの確保のために、そこには相当コストをかけてもいいのだろうと 思うのです。 ですから、質問をすればちゃんとやっています、少し下がっていますという答えしかな いのですけれども、高橋さんも、それが本当に客観的に言えるのかどうかということを先 6 ほどから言われているのだと思うのです。そのためのシステムをつくる必要があるのでは ないか。これだけ大きな金額の調達ですから、担当部局で最大の努力はされていると思い ますけれども、今までの業者と、今までの発注者の関係では気が付かない無駄があるかし れませんし、そこに第三者的な、民間的な目を入れて、新たな観点からチェックをしてみ る必要があるのではないかという感じがするのです。これは全体的なシステムの問題です。 佐藤:私も郷原さんに賛成で、これは競争原理が働いているようで全く働いてないと思い ますので、やはり外部で技術的に見て、評価できるコンサルタントならコンサルタントを 雇って、1回費用をかけて検証をされるのも経費節減に役立つのではないかと思うのです。 潜水艦にそういうことを適用しているかどうかはわかりませんけれども、アメリカでは SETAというコンサルタント会社ですね。Systems Engineering and Technical Assistance をやっている会社ですけれども、国防総省に知見がない場合にはそういう会社をコンサル タントとして雇って、技術評価、価格見積もりの評価をさせているところもありますので、 将来はそういうことも御検討されてはと思います。 小村:松村さん、どうぞ。 松村:ニーズのところと調達方法に関して1つずつ質問をしたいのですが、渡辺副大臣が おっしゃったように、この潜水艦は世界最大の通常型の潜水艦で、非常に優秀で盛りだく さんのものがどんどん入っていく。したがって、普通に考えるとどんどん高くなっていく だろうと予測できるわけですけれども、ずっと一貫して大きくなっている。前の潜水艦か らでもそうですが、それは結局、運用発想とかが一定である。 だから、私の1つの疑問は、悪い意味で伝統墨守になっていないだろうかと思うのです。 つまり、冷戦時代にソ連を相手にしたときに必要だった潜水艦の運用と、今は果たして同 じなのか。そういう検討はされたのだろうか。今や対象は若干違うのであって、より浅い 海で運用することになるならば、言ってみれば小は大を兼ねるという発想もある。他国で もそうですけれども、潜水艦は何も1種類の同じサイズの潜水艦ではなくて、複数ミック スのベストミックスはどうなのかという発想を考えると、中型のものもあってよければ、 工期とかコストとか単価とかが変わってくる。そういう検討はされたのか。つまり、国際 的な戦略的な安全保障の環境の変化があった中で、そういう根本的な検討はなされたのか という質問が1つ。 小村:もう一回振りますから、まず1個ずついきましょうか。今のニーズの面。 説明者:ニーズについての検討ですけれども、海上自衛隊といたしましては、潜水艦はで きるだけターゲッティングのされにくい潜水艦であるべきだと考えておりまして、ターゲ ッティングされない潜水艦というのは、できるだけ小型の方がターゲッティングされにく いということで、小型化について常に追求しております。今回、挙がっております16SSに つきましても潜水して行動できる期間を長くとるということで、前の型から追加で新たに AIPを搭載いたしました。このときも、前回の潜水艦に対してAIP区画のブロックを追加し ておるんです。 7 渡辺副大臣:そういうAIPとかブロックとか言ってもわからないので、専門用語はできるだ け使わないで。 説明者:失礼いたしました。 今までの電池とディーゼルに加えて、先ほど出ておりましたスターリングエンジンとい うものを追加で16SSに積み込みました。これについては、当然スターリングエンジンの発 電機部分のスペースが確保されなければいけないので、その分、6メーターほど長くなる。 このときにいろいろなところを詰めて、全体として大きくならないように、設計の中でい ろいろな工夫をして小型化を追及した結果、今回のサイズが限界であるということで16SS 型のサイズとなっております。 小型化というのは、運用する我々にとって最も求めるところですので、それを追求して やっております。 小村:わかりました。 松村先生、続けて。 松村:そういう努力はされているのですけれども、それは運用発想が一緒だからそうなる ので、同じようにスターリングエンジンを積んでいる、スウェーデンとかスカンジナビア の潜水艦はこれの半分の大きさですね。もちろん、運用発想が違って、浅い海で運用する からそうなるわけです。むしろ、小さくして隻数を増やすことも考えられるわけですね。 攻撃型原潜のように高速で動けないわけですから、隻数があった方が戦術的にはいいのだ という考え方も成り立ち得るわけで、そういう根本になる運用発想を再検討されていない のではないかという印象を強く持つわけですけれども、強化するにしても、今のまま大型 化路線でいいのかということも検討していただきたいと思います。 小村:それは御意見としてちょっと、お答えは要りますか。 松村:余り詳しいことは。 小村:そうですね。であれば、調達の御質問の方。 松村:調達の方の話は、確かにまとめ買いが難しいということはわかるわけですが、ある 種のスパイラル的な調達の方というか、同じ部分があって、違うところは出てくるんだけ れども、その異なる部分はもちろん変わるのだけれども、変わらないところに関しては2 隻分とか3隻分とか、まとめて買うことができないのか。そういうのはいかがでしょうか。 説明者:まとめ買いについては2つぐらいの課題があると思っています。 1つは、船全体をまとめ買いすることは多分できないので、官給品をまとめ買いするの かという話になると思うのですけれども、まず予算上の話でございますが、基本的に何年 度計画間の継続費の中で買っていますので、その中で先取り的に次年度以降の官給品を買 えるのか検討しなければいけないところがあると思います。 あと、実際問題としてそれより難しいかもしれないなと思っておりますのは、官給品を 買う場合、建造メーカーに渡すまでは官側で保管をして、品質保持をしなければいけない わけですけれども、一定期間が経ってしまうことになりますので、その間の品質管理とか 8 品質保証をどうすればいいのか、そういう課題はあろうかと思います。 ただ、私ども、まとめ買いということにつきましては、装備としては小さいのですけれ ども、例えば消防用の機材でございますとか、防火服とか消火器といったたぐいのものに ついては、潜水艦とそれ以外の船のものをまとめて調達するという試みもしてございます。 小村:わかりました。 では、短くお願いできますか。 松村:これは潜水艦だけではなくて、一般に海上自衛隊の艦船の調達に関することですけ れども、同じ型の艦船でも受注したものが違うと、先ほどの通信のように陳腐している部 分は仕方ないとして、個別も官で買うと具体的に中身が異なってくるということになると 思うのですが、そういうことに関して疑問は感じてらっしゃらないですか。そういう細か いところのばらつきはあってもよいのか。それほど大きな差がなければいいのでしょうけ れども、何かそういうばらつきがないような調達方法を工夫しないと、運用の方から言っ ても、入った船によっては、同じ型なのに、こことここが違うぞみたいな話が出てくるの ではないかと思うのです。 説明者:まず、今、どうしているのかという実態から申しますと、御案内かもしれません けれども、潜水艦についての基本設計は官側でやっております。技術研究本部でやってお ります。会社の方で詳細設計をやっておりますけれども、それはまさに製造図面に近いよ うな世界でございまして、ブロックをどう切ってどう溶接するとか、そういったことを決 めてまいります。 今、先生がおっしゃるとおり、そういったものまで標準化・画一化するというアイデア を理解できないわけではないのですけれども、実際問題といたしまして2者ございますが、 それぞれの製造設備とか、例えばクレーンの数とか大きさとかも違っているわけでござい ますし、余り細かく決め過ぎると、また参入機会が減ってしまうことにもなりかねない。 もう一つは、各社におきましても官から与えられた範囲の中で合理化経営努力をしてお ります。例えば溶接についても、当然細かい手作業の溶接は残るのですけれども、なるべ く自動化して省人化しようとか、あるいはブロックの組み立て方を工夫してコストダウン しようとか、そういった努力をしていますので、余り細かく決めてしまうと企業の方の合 理化努力と申しますか、経営努力を阻害することにもなりかねないと思っております。 小村:シートを書きながらで、書ければ出していただければと思います。 佐藤さん、どうぞ。 佐藤:この潜水艦は、もちろん経費節減のためにいろいろな御努力はされていると思うの です。まとめ買いが、予算制度上難しいところもあるというお話だったと思うのですけれ ども、後で議論しますF-15の改良計画ですと、残りの全部を買ってしまっていることもあ るわけですから、私はやろうと思えばできるのではないかと理解をしております。 その中で、型が違ってしまうと違うシステムになってしまうのですけれども、同じ型の 潜水艦であれば、例えば魚雷の発射管も何年かに一度は技術的な変更があるのかもしれま 9 せんが、例えば2~3年分をまとめて買って官給するとか、輸入品が何アイテムかあると 思うんです。FMSも含めてあると思うのですけれども、コスト削減のためにはそういうもの も何年か分のまとめ買いをするとか、細かいかもしれませんが、そういう御努力をやるこ とが必要ではないかと思うのですけれども、その辺はいかがでしょうか。 もう一つは、川崎重工さんと三菱重工さんで同じ部品、同じ材料で別のベンダーから買 ってくるところがあると思うのですけれども、これは余りに小額であれば意味がないので すが、もしそれが高額のアイテムであれば、まさにそのベンダーの中で競争入札をさせて、 安いところを採用していくという努力も必要になってくるのではないかと思うのです。こ れも難しいとは思いますけれども、やはりあらゆる努力をすべきではないかと思います。 最後に、6月6日に防衛生産・技術基盤研究会の方が報告書を出しているのですけれど も、そこで見ますと、潜水艦の装備品は例外を除いてほとんどが国産品になっているのだ と理解します。もちろん、大変秘密度の高い潜水艦ですから国産品は大変重要だと思うの ですけれども、次の世代の潜水艦を開発されるときには、やはり国産は高くなりますので、 もし、いいものが諸外国にあれば、輸入品を使っていかれることを検討されるのも1つの 手ではないかと思います。その辺はいかがでございましょうか。 説明者:まず、ベンダーの話でございます。今の私どもの資料のつくりが余りよくなくて、 全体像がわかりにくいという御指摘もいただいておりますけれども、19年度艦を例にとり ますと全体で530億でございまして、そのうち建造が300億ぐらいでございます。その中で、 建造メーカーが下請なりを使いながらつくっていくわけですが、潜水艦の材料とか部品に つきましては、材料費が、今、申しました建造費300億の5割ぐらいでございます。 その中で申しますと8~9割ぐらいが潜水艦の専用品でございまして、産業組織論みた いな話ですけれども、建造メーカーが2者あって、それぞれの系列会社があるということ ではなくて、建造メーカーがどちらに落ちても、その会社がつくるといったものが多ござ います。例えば特殊鋼板でもそうでございますし、特殊なバルブでもそうでございますし、 潜水艦の専用部品について言うと、物については1者が頑張ってつくっておるといったも のが現状でございます。 輸入品につきまして現状で申しますと、やはり導入をしました後にどうしても整備の問 題が出てくるものですから、例えば整備のために輸入の部品費がいっぱいかかるとか、そ ういうのはまたライフ・サイクル・コストが高くなりますので、現状で私どもが輸入して おりますのは、技術的ノウハウが全然なくてつくれないものでありますとか、あるいはち ょっと細かい例ですけれども、水中の検知みたいなものとか、あるいはアンテナでござい ます。そういったものは数も少ないです。1艦当たり1個しかないということでございま すし、定期的にメーカーに整備を入れなければいけないものもないものですから、やはり 数が少なくて整備に余り手がかからないものについては、輸入品を使っているのが現状で ございます。 ただ、ケース・バイ・ケースで、どちらの性能がよくて、どちらが高いのかといったも 10 のをLCC的に見て選んでいくというのは、先生のおっしゃるとおりでございます。 小村:続けて、佐藤さん。 シートの方を出していただければありがたく思います。 佐藤:今、輸入品のまとめ買いというのをお答えいただいてないように思われるんですけ れども、その辺はいかがですか。 説明者:輸入品につきましても、まず基本的には予算の制約がございますということと、 先ほど先生がおっしゃっていたとおり、ものすごく大量の品目数があるわけでございませ んということで、今のところそういう方がコスト削減に非常に有効だとは考えていないと ころでございます。 小村:梶川さん、どうぞ。 梶川:ちょっと細かい話に戻ってしまうのかもしれませんけれども、原価低減の御努力を されているのはわかるのですが、その中でGC.I.Pの二重計算をされるのを防ぐために官給 品にされているということでいらっしゃるんですが、これはある種、企業維持費用を見積 もられるというのは非常によくわかるのですけれども、民間的に考えますと、そもそも二 重計算になってしまうコスト構造自身に非常に不思議な感じがしてしまうというか、物流 を変えるとコスト削減ができる。これは多分、どうしても策定ルールに縛られてこういう 形になられると思うのですけれども、先ほど総論的に郷原先生、佐藤先生がおっしゃられ た、原価計算過程の見積もり方法とか審査機関のようなもので、もう少しより充実したも のにしていただくことができないかというのが感想です。 GC.I.Pについては国家的に決まっているルールなのか、防衛省さんの原価積算の中のル ールとして決められていることでいらっしゃるのでしょうか。こっちは質問です。 説明者:製造原価に加えて、その物の価格の中に含まれる会社の一般的な管理費、本社の 費用ですとか営業費でありますとか、また、資金調達の利子でありますとか利益でありま すとか、こういったものについてもお支払いする価格には含まれるということでありまし て、ダブルGC.I.Pと申しますのは、我々がプライム企業と契約をしてプライム企業が物を 調達する。その調達の価格の中にも、こういったものが含まれるということを意味してお りまして、買った場合はメーカーに対して我々が支払うのですけれども、仮に造船所がそ れを買った場合はその調達価格の中に。 梶川:それはすごくわかります。原価計算方式の中の一定程度妥当性のある形だというの はわるのですが、そのルールというのは、より的確な原価を見積もるという話を詰めてい った場合に、もうちょっと応用的に扱えるルールではないかと思うのです。商流的な機能 が1つ入られてしまえば、一般管理費とか利益が購買価格に全部かかるわけですから、そ もそも論として調達が多重化すればするほど全部かかるわけですね。 それを防ぐという御努力をされているのですけれども、そもそもルール自身が、例えば 付加価値に対して一定の御努力を認められるとか、原価計算方法をもう少し的確にと言う と失礼な言い方になってしまうのかもしれませんが、より経済合理性を反映できるルール 11 化という御検討をしていただく余地もあるのではないかという気がするのです。 ちょっと持って回った言い方で恐縮です。 説明者:直接のお答えになっているかどうかはあれですけれども、今でも官給品の額は相 当多ございまして、潜水艦1隻丸々で530億と申しました。建造自体にかかる費用が300億 でございまして、残りの230億は官給品でございますので、潜水艦丸々で見ると私どもは相 当官給品でやっておる。 官給の件数は1隻当たり130件でございますので、実はこの全部を官が契約して、入札し て、検品をしてやっておるということでございますので、相当の努力をしているというこ とは御理解をいただきたいと思います。 梶川:皆さんが努力されていることは十分にわかるのですが、積算の方法論でその形自身 をむしろプライムの方にやっていただきながら、二重にならない方法論も事によっては成 立するのではないか。特に利子プロフィットで、販売費、一般管理費まである係数でお掛 けになるというのは、妥当なときもあるとは思うのですけれども、今、御努力されている ようなことをしないとこういうことになるということを、より楽に原価計算ができる方法 はないかなという意味でございます。 小村:多分、資材調達原価と一般管理費の考え方をもう少し整理されたらどうかというこ とだと思います。 説明者:物を買う場合には、市場価格で予定価格をつくって買っているものもございます し、全部GC.I.Pが掛かるという話ではなくて、今、特に大物、やはり請負契約でつくって いただく場合、こういった原価計算をするのが適切だと考えているものについてGCIP、こ れはダブルにならないようにということを申し上げているものでありまして、市場価格が あるものにつきまして調達する場合は市場価格で決まってまいりますので、別に我々が GC.I.Pというものを払っているわけではないということは御理解いただきたいと思います。 小村:蒲谷さん、どうぞ。 蒲谷:ちょっと変なことをお伺いするというか、2者で共同してやることはできないので すか。今、2者ありますね。隔年1隻ずつという体制になっているけれども、これから何 年、毎年1隻ずつということになるのかわかりませんが、潜水艦の発注能力のある2者が 共同して、いいところをくっつける。そうすると1年に2隻、その代わり隔年になるかも しれませんけれども、スケールメリットも出るわけでしょう。2隻をつくるのだから材料 も一遍にやるし、すべてよくなるし、2者のいい点がそれぞれいっぱいあるのではないで すか。思い付きでもないのだけれども、こっちはこれが優れている、こっちはこれが優れ ている、そういうのを合体して、潜水艦はその共同体に任せるという体制はできないもん でしょうか。 小村:松村さん、どうぞ。 松村:全く同じ視点ですけれども、要するに、事ここに至っては潜水艦の製造の産業構造 をどうするかということで、先ほど16隻と言われたけれども、練習艦を入れて18隻なのに、 12 アメリカはその何倍かを持っているにもかかわらず、つくっているのは1か所ですね。つ まり、2者体制ということが問題なのであって、アメリカはかつて、最後の、ペリーのと きにありましたように、産業構造を大きく変えるということで国防省が大きく働きかけた のですが、そういうことをやっていかないと、ミクロのレベルでいろいろやっていくこと は可能ですけれども、これ以上の合理化は難しいのかなと思います。それには先ほど先生 がおっしゃったみたいに、ジョイントベンチャーという形もあり得るかと思うのですけれ ども、その辺りはどうでしょうか。 官給品をたくさん買っている。A社、B社、どちらがとっても結局部品のレベルでは同 じところが出すのだと。それだったら何でA社とB社と2つあるのかという合理的な説明 はないわけですね。競争状態が働かないにもかかわらずそうなっているということは、む しろ防衛産業政策としてリードするという視点がなければ、ミクロで幾らやっても余り効 果は上がらないと私には思えるんです。 事務方もそうですけれども、防衛副大臣もいかがでしょうか。 小村:どうですか。 説明者:産業政策論ということでございますけれども、現状におきましても2者それぞれ 設備とか製造ノウハウが違う中で、競争がないという前提でお話をされているわけですが、 指名競争でやった年もございますし、将来永久に1隻ずつをつくり続けるというわけでも ない中で、少なくとも現状を前提とすれば、一定の競争関係とか緊張感を持って2者が競 争していくことが適切ではないかと考えるところでございます。 小村:そうしましたら、とりまとめの方ができておりますので、2つ目の事業についての とりまとめを渡辺副大臣からいただきます。 渡辺副大臣:松村先生の御意見にもお答えする形で、とりまとめシート報告をしたいと思 います。 第2番目の潜水艦の関係について、①の答えは、おおむね取り組んでいるというのが5 人の方から、取組みが不十分であるという方が1人でございました。 また、議論の結果、本事業については抜本的改善が1人の方から、一部改善を5人の方 からいただきました。 今、いろいろ御意見をいただいた中で、やはりこの点については多くの方がコメントを 寄せていただいて、ほぼ共通していると思います。競争性の確保が困難であるという点に ついて、いかにしてコストの削減を行うかということに知恵を絞って工夫せよ、そしてま た、そういう仕組みを導入せよという御意見でございました。 私も装備品の問題について、三役の1人として取り組んでおりますけれども、防衛装備 品の発注あるいは契約というものが、どの分野にわたってもほぼ独占・寡占の状態でござ いまして、まさに市場原理が働かない、市場価格が存在しないという中で、いかにコスト の低減を図るかについては先ほどから御指摘がありますような、例えばコンサルタント、 外部の方に入ってもらってこうした工数が適正かどうかということによって、単価が適切 13 であるかどうかという積算の根拠をしっかりとやるべきだろうと、防衛省の方でも取組み を始めました。 よくありますのが余りいい例ではありませんが、やはり過去から現在にわたって、いろ いろな形で工程の過剰な水増しといいましょうか、そういうものが過去にあって、よく水 増し請求があったということが何度となく繰り返されてきたわけでございます。これにつ いてもどうしたらいいんだということで、性善説か性悪説かと、ちょっと神学論争みたい になってきてしまうわけですが。 ただ、600億から530億に減ったとはいえ、530億円というと人口15万人ぐらいの市の年間 予算が大体それぐらいの額ですね。潜水艦1つが、実は人口15万人ぐらいの市の自治体の 年間予算に匹敵するぐらいの大変高額なものであるということに立てば、我々は工数の適 正化であるとか、当然外部の方にも入っていただいて、シビアな目で見ていただくような 御指摘もございましたけれども、とにかく国民の税金が少しでも効率的になる形で取り組 んでいただきたい。今、御議論いただいた御指摘についてしっかりと受け止めて、また、 お知恵を借りながら必ず取り組んでいきたいと考えております。 以上、一部改善ということで取り組んでいくことをお約束させていただきたいと思いま す。 小村:どうもありがとうございました。 2つ目の事業のとりまとめをしていただきました。 3つ目の事業に入る前に5分ほど休憩をしたいと思います。 15時5分から「戦闘機(F-15)近代化改修」の事業に入りたいと思います。 一旦、休憩させていただきます。 14