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平成26年6月 関西広域連合議会臨時会議案 (広域連合長提出)

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平成26年6月 関西広域連合議会臨時会議案 (広域連合長提出)
平成26年6月
関西広域連合議会臨時会議案
(広域連合長提出)
目
次
頁
第 5 号議案
監査委員の選任について同意を求める件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 1
第 6 号議案
関西防災・減災プラン風水害対策編を定める件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 3
第 7 号議案
関西防災・減災プラン感染症対策編(新型インフルエンザ等)を定める件 99
第 8 号議案
関西防災・減災プラン感染症対策編(鳥インフルエンザ・口蹄疫等)を定
める件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・145
1
第 5 号議案
第5号議案
監査委員の選任について同意を求める件
次の者を監査委員に選任したいから、地方自治法(昭和 22 年法律第 67 号)第 292 条において
準用する同法第 196 条第1項の規定により、同意を求める。
平成 26 年6月 28 日
関西広域連合長 井 戸 敏 三
広域連合議員のうちから選任する者
釜 谷 研 造
2
3
第 6 号議案
第 6 号議案
関西防災・減災プラン風水害対策編を定める件
「関西防災・減災プラン風水害対策編」を次のとおり定めることについて、関西広域連合行政
に係る基本的な計画の議決等に関する条例(平成 24 年関西広域連合条例第1号)第3条の規定
により、議決を求める。
平成 26 年6月 28 日提出
関西広域連合長 井 戸 敏 三
「関西防災・減災プラン風水害対策編」を次のように定める。
本編の構成
1
本編の構成
(1)想定される風水害と取り組むべき課題
本プランで対象とする災害の想定を示すとともに、関西圏域における近年の主な風水害の経験
と教訓を踏まえ、広域連合において取り組むべき課題を示す。
(2)災害への備え(平時からの対策)
災害の発生に備えて広域連合及び構成団体が平時から取り組むべき対策として、関係機関・団
体との連携の強化や応援・受援体制の整備など、災害発生時の円滑な対応に資する取り組みに加
え、災害の発生抑止と被害軽減のため、風水害に強い地域づくりの基本的な考え方と取り組みの
方向性を示す。
(3)災害発生時の対応
災害発生時における広域連合及び構成団体の対応方針として、災害発生直前の対応、初動対応、
応援・受援の実施の各段階における対応の枠組みや活動方針を示す。
なお、広域連合及び構成団体による災害対応の実施体制や応援・受援の活動手順等については、
本プランに基づき、別に関西広域応援・受援実施要綱に定める。
※ 現在の関西広域応援・受援実施要綱(平成 25 年 3 月作成)では、平成 24 年 3 月策定の地震・
津波災害対策編に基づき応援・受援の手順を定めているが、本編の策定に伴い、必要に応じて
同要綱を改訂する。
4
第 6 号議案
2
用語の定義
用
語
大規模広域災害
定
義
被害が複数の都道府県にまたがり、または単独の都道府県でも被害の規模が甚大で、広
域的な対応が必要とされる災害をいう。
構成府県
広域連合構成団体のうち、広域防災事務に参加する6府県(滋賀県、京都府、大阪府、
兵庫県、和歌山県、徳島県)をいう。
構成政令市
広域連合構成団体のうち、広域防災事務に参加する4政令市(京都市、大阪市、堺市、
神戸市)をいう。
構成団体
構成府県及び構成政令市をいう。
(参考)広域連合は、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、
和歌山県、鳥取県及び徳島県並びに京都市、大阪市、堺市及び神戸市の7府県4政令市
により構成されるが、広域防災事務については、鳥取県を除く6府県4政令市が参加し
ている(平成 26 年3月現在)
。
連携県
鳥取県並びに広域連合の連携団体である福井県、三重県及び奈良県の4県をいう。
関西圏域
構成府県及び連携県の区域をいう。
【参考】関西防災・減災プランの位置づけ・特徴等
防災基本計画(国)
関西広域連合規約
関西広域連合広域計画
《災害対策基本法34条》
《地方自治法284条,291条の7》
基づく
ロードマップ(取組工程表)
関西防災・減災プラン
《災害対策基本法40条》
整合を図る
整合を図る
市町村
地域防災計画
《災害対策基本法42条》
○総則編
○分野別対策編
①地震・津波災害対策編
②風水害対策編
③原子力災害対策編
④感染症対策編
(新型インフルエンザ等)
(鳥インフルエンザ・口蹄疫等)
プラン「災害への備え」に示
した取組項目の実施状況を
毎年度点検・評価
関西広域応援・受援実施要綱
プラン「災害発生時の対応」
に示した応援・受援の実施
体制や活動手順等を規定
関西広域応援訓練等
関西防災・減災プランの特徴
広域連合による災害対応の意義
①全国初の本格的な広域の防災・減災プラン
1 広域連合が司令・調整役となることで関西として
②「受援」のあり方に踏み込んだプラン
③災害対応の一連の過程をシナリオ化したプラン
④関係機関による災害対応の全体像を示したプラン
⑤幅広い主体との連携・協力を進めるプラン
⑥2つの大震災(阪神・淡路、東日本)の教訓を盛り
込んだプラン
訓練に活用して検証・
改善
府県
地域防災計画
迅速な意思決定・災害対応が可能になる。
2 構成団体の優れたノウハウを共有することで、質
の高い災害対応を行うことが可能になる。
3 関西を活動エリアとする国の機関や事業者との
連携が容易になり、円滑な災害対応が可能になる。
4 府県域を越える広域的な防災・減災事業の共同
実施が容易になる。
5
第 6 号議案
Ⅰ
1
想定される風水害と取り組むべき課題
関西圏域の地勢・気候の特性
(1)地勢
北は日本海、中央は瀬戸内海から淡路島を挟んで大阪湾、南は太平洋に面する。
日本最大の湖、琵琶湖から大阪平野にかけて中央低地と称される平野部をなし、周囲には六甲、
生駒、和泉、金剛・葛城など標高 1,000m 前後の山地が連なる。その北はなだらかな丹波高地、
西は中国山地、南は険しい紀伊山地を擁する。大阪平野を南西に流れ、大阪湾に流入する淀川は、
2 府 4 県にまたがる一大流域をなす。徳島県域は、標高 1,000m を超える急峻な四国山地を擁し、
多くの地すべり地帯を有する。
大阪湾沿岸域は、阪神工業地帯として戦前から工場等の立地が進んだが、工業用水として地下
水を大量に汲み上げたため、淀川下流域を中心に地盤沈下が進み、地表の高さが満潮時の平均海
水面よりも低い「海抜ゼロメートル地帯」が広がっている。
紀伊半島東部(特に志摩半島)や若狭湾沿岸では発達したリアス式海岸が見られる。
琵琶湖を主な水源とする淀川流域を中心に滋賀県東部から兵庫県西部、大阪府南部にかけての
京阪神都市圏は、人口・産業が高度に集積する日本第二の都市圏であり、これを取り巻く地域に
は、古来より開かれた地方都市、農山漁村集落が多数存在する。
大阪湾沿岸域の海抜ゼロメートル地帯(青い囲み)
関西圏域の地形
海抜ゼロメートル地帯=標高が T.P.(東京湾平均海面)+0.9m
(O.P.(大阪湾最低潮位)+2.2m)より低いエリア
中国山地
丹波高地
淀川
紀伊山地
(2)気候
地形の影響で、日本海側の日本海側気候、大阪湾
沿岸の瀬戸内式気候、太平洋側の太平洋側気候に分
けられる。紀伊半島南東部、徳島県南部は日本有数
の多雨地帯である。
《右図》1km メッシュ降水量平年値
※1981∼2010 年の平年値から推定
(出典:気象庁ホームページ)
6
第 6 号議案
日本海側気候・・・日本列島の日本海側にみられる、冬は雪が多く、夏は晴天が多い気候。日本海に
低気圧が発達するとフェーン現象が起こるなどの特徴がある。
瀬戸内式気候・・・瀬戸内海地方に特有な気候。山地や陸地に囲まれているため、夏・冬とも季節風
の陰になり、年間を通じて日照時間が多く、降水量が少ない。
太平洋側気候・・・日本列島の太平洋側に特徴的な気候。冬は晴天が多く乾燥して、夏は湿潤で暑く、
梅雨や台風による降水も多い。
(3)風水害のリスク
地球規模での気候変動に伴う台風の巨大化や大雨の増加傾向により、淀川等の大河川での想定
を超える洪水被害、紀伊山地や四国山地等の山間部での大規模な土砂災害、大阪湾沿岸域での海
抜ゼロメートル地帯での高潮災害等の発生が懸念される。
いったんこうした災害に見舞われると、京阪神都市圏の都市部が同時被災することで、高度に
集積する人口・産業への甚大な被害と都市機能の著しい低下が想定される。また、山間部におい
て孤立した集落が多数生じることも想定される。
また、増加傾向にある局地的大雨により、親水空間を持つ都市河川での急激な増水、地下街・
地下鉄駅等の地下空間への雨水の流入、道路アンダーパス部の冠水など、都市部特有の局所的な
災害が発生する危険性も抱えている。
2
自然環境・社会環境の変化
(1)治山・治水事業による被害の減少
戦後、毎年のように台風の来襲に伴う大雨、高潮等により大きな被害が生じていた。
しかし、昭和 34 年の伊勢湾台風による甚大な被害を踏まえ、昭和 36 年に災害対策基本法が制
定され、これと相俟って、河川・海岸・下水道整備を中心とした治水事業と土砂災害防止施設の
整備や森林保全等による治山事業が積極的に展開されたことから、風水害による死者・行方不明
者は著しく減少した。
その一方で、住民にとって風水害が身近なものでなくなってきたために、想定を超える規模の
大雨等に対する地域の対応力が低下してきていることが懸念される。
自然災害による死者・行方不明者数の推移(単位:人)
1,000 以上の死者・行方不明者が発生した災害は、その年のグラフ上に記載した。
10,000
昭和 20 年 三河地震(2,306 人),枕崎台風(3,756 人)
昭和 21 年 南海地震(1,443 人)
平成 7 年
阪神・淡路大震災
(6,437 人)
昭和 22 年 カスリーン台風(1,930 人)
7,500
昭和 23 年 福井地震(3,769 人)
昭和 26 年 大雨(1,013 人),南紀豪雨(1,124 人)
平成 23 年
東日本大震災
(19,995 人)
昭和 28 年 洞爺丸台風(1,761 人)
昭和 33 年 狩野川台風(1,269 人)
5,000
昭和 34 年 伊勢湾台風(5,098 人)
2,500
2011年
2008年
2005年
2002年
1999年
1996年
1993年
1990年
1987年
1984年
1981年
1978年
1975年
1972年
1969年
1966年
1963年
1960年
1957年
1954年
1951年
1948年
1945年
0
7
第 6 号議案
(2)大雨の増加傾向
我が国では、大雨が増加傾向にあるため、水害リスクへの更なる備えが必要である。
全国 51 地点の明治 34(1901)年以降の経年変化では、日降水量 100mm 以上の日数、同 200mm
以上の日数ともに増加傾向にある(図 1-2)
。また、全国のアメダス(地域気象観測所:約 1,300
地点)の昭和 51(1976)年以降の経年変化では、日降水量 200mm 以上の発生回数については明
瞭な増加傾向は見られないが、同 400mm 以上の発生回数は増加傾向にある(図 1-3)。中小河川
の氾濫や排水能力が不足した下水道による内水氾濫等の都市型水害につながる短時間強雨も増
加傾向にある。全国のアメダスの昭和 51(1976)年以降の経年変化では、1 時間降水量 50mm 以
上(非常に激しい雨)
、同 80mm 以上(猛烈な雨)の発生回数ともに増加傾向にある(図 1-4)
。
近年、関西圏域では、大きな風水害が続けて発生している。平成 16 年台風第 23 号、平成 21
年台風第 9 号、平成 23 年台風第 12 号、平成 24 年京都府南部豪雨、平成 25 年台風第 18 号等で
ある。平成 20 年 7 月には、局地的大雨で神戸市の都賀川が急激に増水し、親水公園で遊んでい
た子どもらが流され、うち 5 人が亡くなるなど、短時間強雨による被害も生じている。
図 1-2 日降水量 100mm 以上(左図)、同 200mm 以上(右図)の年間日数の推移
0.35
2.0
0.30
1.6
1地点あたりの年間日数
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.25
0.20
0.15
0.10
0.05
0.2
0.0
2010年
2005年
2000年
1995年
1990年
1985年
1980年
1975年
1970年
1965年
1960年
1955年
1950年
1945年
1940年
1935年
1930年
1925年
1920年
1915年
1910年
1900年
2010年
2005年
2000年
1995年
1990年
1985年
1980年
1975年
1970年
1965年
1960年
1955年
1950年
1945年
1940年
1935年
1930年
1925年
1920年
1915年
1910年
1905年
1900年
0.00
1905年
1地点あたりの年間日数
1.8
35
15
1975年
2010年
2005年
2000年
1995年
0
1990年
0
1985年
5
1980年
50
2010年
10
2005年
100
20
2000年
150
25
1995年
200
30
1990年
250
1985年
300
1980年
1,000地点あたりの観測回数
40
350
1975年
1,000地点あたりの観測回数
図 1-3 日降水量 200mm 以上(左図)、同 400mm 以上(右図)の発生回数の推移
400
図 1-4 1 時間降水量 50mm 以上(左図)
、同 80mm 以上(右図)の発生回数の推移
35
1,000地点あたりの観測回数
350
300
250
200
150
100
50
0
30
25
20
15
10
5
2010年
2005年
2000年
1995年
1990年
1985年
1980年
1975年
2010年
2005年
2000年
1995年
1990年
1985年
1980年
0
1975年
1,000地点あたりの観測回数
400
資料:気象庁提供データにより作図。
8
第 6 号議案
〔大雨の種類とその特徴〕
台 風
積乱雲が同じ場所で次々
と発生、発達を繰り返す
前 線
・前線を刺激
・台風自らがもたらす大雨 等
積乱雲が発生・発
達し移動する
ごく狭い地域に
数百ミリの雨量
一過性の大雨
集中豪雨
局地的な大雨
台風等による大雨
数日間にわたって降る大雨となる。
急な強い雨が数時間内で発生・消滅する。
数時間先の大雨の予測がある程度可能。
大雨の予測が困難。
流域の小さい中小河川だけでなく流域の大 流域の小さい中小河川の洪水氾濫や流域の大きい大
きい大河川において洪水氾濫が発生し、大 河川の内水による被害が発生する恐れがある。
規模な水害が発生する恐れがある。
中小河川において、急激な水位上昇に対応できずに
特徴
水難事故が発生する恐れがある。
中小河川において、出水時に必要な河川管理を行う
時間が取れずに浸水被害が発生する恐れがある。
雨量指標
時間雨量(1時間・3時間)
1時間雨量、3時間雨量
日雨量(24時間・72時間)、総雨量
(出典)近畿地方整備局「地球温暖化に伴う大規模水害対策検討会(H21・22)
(3)人口減少・高齢化の進展
関西圏域の人口は減少局面に入っており、今後もその傾向が続くと見られる。
国立社会保障・人口問題研究所が行った今後の人口の推移予測によれば、関西圏域の人口は
2010 年の 2,494 万人から 2040 年の 2,063 万人へと 30 年間で約 2 割減少する。また、少子・高
齢化が一層強まり、65 歳以上の人口の比率は、同じく 30 年間で 23.3%から 36.4%へと上昇す
る。
この影響で、単身も含め高齢者のみの世帯が増加し、避難行動に支援を要する高齢者が増える
一方で、その支え手となる若年世代が不足する状況が想定される。
また、単身世帯の増加、ライフスタイルの多様化、サラリーマン化の進展により、地域のつな
がりが希薄化しつつあり、消防団・水防団、自主防災組織の担い手不足により、災害時の助け合
いや要支援者への対応等に支障が生じることも想定される。
<関西圏域(連携県も加えた 2 府 8 県)の将来人口推計>
36.4%
33.5%
25,000
29.5%
20,000
35%
30%
27.4%
(
人
口
30.5%
31.7%
23.3%
25%
)
千 15,000
人
20%
10,000
5,000
六十五歳以上人口比率(
高齢化率)
30,000
65歳以上
15∼64歳
0∼14歳
0
2010年
2015年
2020年
2025年
2030年
2035年
2040年
9
第 6 号議案
(4)公共事業費の削減と行財政構造改革の進展
構成団体・連携県の公共事業費の推移を見ると、平成 15∼23 年の 9 年間で約 6 割減となって
いる。地方公共団体の財政は、人口減少・高齢化に伴い増加する社会保障関係費の影響で慢性的
にひっ迫しており、社会基盤投資についても既存施設の維持更新が求められる中で、新規投資は
ますます困難になってきている。
平成 25 年 12 月、国土強靭化基本法が施行され、災害に対する国土の脆弱性評価の結果に基づ
き、国土強靭化基本計画を定めること等により国土強靭化に関する施策を総合的かつ計画的に推
進することとされた。同法では、財政資金の効率的な使用による防災・減災施策を持続的に実施
できるよう、その重点化を図るとともに、既存の社会資本の有効活用等による費用の縮減、施設・
設備の効率的・効果的な維持管理、民間資金の積極的な活用を図ることなどを施策の基本的な方
針として掲げている。
今後とも厳しい財政状況が続くことが想定されるが、同法に基づき、防災・減災施策が一層効
率的・効果的に展開されるようになることが期待される。
<関西圏域の公共事業費(普通建設事業費)の推移>
25,000
23,120
国直轄負担金計
20,441
19,086
20,000
補助事業費計
単独事業費計
20,039
16,544
(
15,068
16,149
14,965
15,000
13,567
)
億
円
10,000
5,000
0
H15
H16
H17
H18
H19
H20
H21
H22
H23
(注)普通建設事業費は公共又は公用施設の新増設等に要する経費。関西広域連合構成団体(7
府県 4 政令市)及び連携県(3 県)の決算額合計。出典:総務省「地方財政統計年報」
また、災害対策基本法が制定された昭和 36(1961)年当時、市町村数は 3,472 で 1 市町村当
たりの面積は 108km2 であったのに対し、市町村合併の進展により、市町村が広域化し、平成 22
(2010)年には市町村数は 1,727 まで減少し、1 市町村当たりの面積は 218km2 に拡大した。
各市町村では行財政構造改革が進められる中、職員数が減少傾向にある。市町村合併により防
災体制の拡充が図られた半面、広域化により個々の現場まで目が届きにくい状況になっていると
も考えられる。
以上のような様々な要因により、地域の災害対応力が低下していく懸念があることを踏まえ、
持続可能な防災・減災対策を検討していく必要がある。
10
3
第 6 号議案
本プランで対象とする災害
本プランの対象とする災害は、洪水、土砂災害、高潮等の風水害で、被害が複数府県にまたがり、
または単独の府県でも被害の規模が甚大で、広域的な対応が必要とされる大規模広域災害とする。
なお、大規模広域災害に対する備えは、それ以下の規模の災害に対する備えにもなるため、広域連
合として、大規模広域災害に対する備えを進めることで、関西圏域全体の風水害に対する備えの底上
げを図ることができる。また、災害発生時には、中小規模の災害であっても、構成団体・連携県と連
携し、広域連合として柔軟に対応する。
(1)対象とする災害と被害想定
巨大台風等の異常な気象現象により、複数府県にまたがる記録的な大雨や高潮による潮位上昇が
もたらされ大規模広域災害に至る代表的な事例として、①淀川等の主要水系における洪水氾濫、②
記録的豪雨による大規模な土砂災害、③大規模浸水を伴う大阪湾巨大高潮災害の3つを想定する。
① 淀川等の主要水系における洪水氾濫
ア
代表的な水系
淀川等の主要水系における洪水氾濫は広範囲に被害を及ぼす可能性がある。
特に大阪平野は、淀川・大和川の洪水時の水位より低い地域に都市が発達しているため、この
地域でひとたび河川が氾濫すると、高潮災害同様、直接被害はもとより、都市機能の麻痺により
関西圏域全体に甚大な影響を与えるおそれがある。
<関西圏域に関係する主要水系(一級水系 21 水系)>
水系名
九頭竜川水系
北川水系
木曽川水系揖斐川
鈴鹿川水系
雲出川水系
櫛田川水系
宮川水系
由良川水系
円山川水系
揖保川水系
加古川水系
淀川水系
大和川水系
紀の川水系
新宮川水系
千代川水系
天神川水系
日野川水系
斐伊川水系
吉野川水系
那賀川水系
幹川流路 流域面積
延長(km) (km2)
116
2,930
30
215
121
1,840
38
323
55
550
87
436
91
920
146
1,880
68
1,300
70
810
96
1,730
75
8,240
68
1,070
136
1,750
183
2,360
52
1,190
32
490
77
870
153
2,540
194
3,750
125
874
関係府県
福井県、岐阜県
福井県、滋賀県
岐阜県、三重県、滋賀県
三重県
三重県
三重県
三重県
京都府、兵庫県
京都府、兵庫県
兵庫県
大阪府、兵庫県
三重県、滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県
奈良県、大阪府
奈良県、和歌山県
奈良県、和歌山県、三重県
鳥取県
鳥取県
鳥取県
島根県、鳥取県
徳島県、香川県、高知県、愛媛県
徳島県
※幹川とは、一つの水系の中で、流量、流域面積が最大の川、あるいは流路が最長の川。
(出典)国土交通省水管理・国土保全局ホームページ
11
第 6 号議案
イ
浸水想定
国土交通省及び府県は、水防法に基づき、主要な河川について、水害による被害の軽減を図
るため、当該河川の洪水防御に関する計画の基本となる降雨により当該河川が氾濫した場合に
浸水が想定される区域を指定し、指定区域及び浸水した場合に想定される水深を「浸水想定区
域図」として公表することとなっている。
浸水想定区域図の作成状況は、国土交通省ホームページで示されている。
以下では、一例として琵琶湖・淀川水系の浸水想定区域図を示す。
<淀川・宇治川・木津川・桂川>
○作成主体:国土交通省近畿地方整備局淀川河川事務所、木津川上流工事事務所
○指定年月日:平成 14 年 6 月 14 日
○指定の前提となる降雨:昭和 28 年 9 月(名張川流域は昭和 34 年 9 月)洪水時の 2 日間総雨量の
2倍
※概ね 200 年に 1 回程度発生する大雨が降った場合を想定
(淀川の基準地点枚方上流域の 2 日間総雨量約 500mm、名張川流
域は家野上流域の 2 日間総雨量約 720mm を想定)
○浸水面積:約 32,000ha
○浸水被害:約 182 万人
淀川水系 淀川・宇治川・木津川・桂川
浸水想定区域図
(凡例)
浸水した場合に想定さ
れる水深(ランク別)
0.5m 未満
0.5∼1.0m 未満
1.0m∼2.0m 未満
2.0∼5.0m 未満
5.0m 以上
12
第 6 号議案
<琵琶湖>
○作成主体:
国土交通省近畿地方整備局
琵琶湖河川事務所
○指定年月日:
平成 17 年 6 月 10 日
○指定の前提となる洪水:
琵琶湖ピーク 水位
B.S.L ( Biwako Surface
Level)+2.5m(明治 29 年 9 月洪水)
※明治 29 年 9 月 3∼12 日の 10 日間に滋賀県
の年間平均雨量の半分以上に当たる
1,008mm の雨が降り、特に 7 日は 1 日で
(凡例)
浸水した場合に想定さ
れる水深(ランク別)
0.5m 未満
0.5∼1.0m 未満
1.0m∼2.0m 未満
2.0∼5.0m 未満
5.0m 以上
前浜、河川等
市町村境界
597mm という大雨を記録した。
○浸水面積:約 18,000ha
○浸水被害:約 10 万 5 千人(約 3 万 1 千世帯)
○被害額:約 2,400 億円
② 記録的豪雨による大規模な土砂災害
平成 23 年台風第 12 号の通過に伴う紀伊半島における記録的大雨により、奈良、和歌山、三
重 3 県で多数の土砂災害が同時的に発生し、多数の死者・行方不明者が生じた。
「深層崩壊」に
より土砂が河川をせき止める河道閉塞も複数箇所で発生し、これらが決壊した場合に下流集落
に大きな被害が生じる可能性があるため、長期間にわたる警戒、避難が必要となった。近年、
強雨化の傾向にあることからも、今後こうした大規模土砂災害が増えていくことが想定される。
<大規模土砂災害の被害想定:国土交通省「深層崩壊推定頻度マップ」より>
(上表)深層崩壊推定頻度区分の府県別構成比
福井県
三重県
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
奈良県
和歌山県
鳥取県
徳島県
特に高い
1%
3%
1%
―
―
―
34%
―
―
23%
高い
31%
21%
36%
51%
9%
16%
20%
58%
1%
24%
低い
特に低い
58%
9%
61%
15%
43%
21%
43%
6%
37%
54%
72%
13%
45%
―
39%
3%
75%
24%
50%
3%
13
第 6 号議案
【参考】平成 23 年台風第 12 号による被害の発生状況
<平成 23 年台風第 12 号の概要>
平成 23 年 8 月 25 日に発生した台風第 12 号は、9 月 3 日に四国に上陸、中国地方を横断して 4
日には日本海へ抜けた。時速 15km 前後と自転車並みのゆっくりした進み方で、長時間の大雨と
なった。特に台風の中心から東側に位置した紀伊半島では総降水量は広い範囲で 1,000mm を超え
た。奈良県上北山村で 1,800mm 超、奈良県大台ヶ原で 2,400mm 超、和歌山県田辺市下川上(大杉
観測所)で 1,900mm 超など、統計開始以来の記録的な大雨となった。
<被害の概要>
平成 23 年台風第 12 号とその後の台風第 15 号によって紀伊半島にもたらされた大災害は、奈
良・和歌山・三重 3 県の提案により「紀伊半島大水害」と名付けられた。
両台風の被害は全国に及んだが、奈良・和歌山・三重 3 県で死者 72 人、行方不明者 16 人を数
えるなど、3 県に被害が集中した。
家屋の崩壊や浸水等の住戸被害も 3 県に集中、特に熊野川下流域では同川の氾濫等により新宮
市では約 110ha、紀宝町で約 320ha と広範囲で浸水した。
3 県内の道路は土砂崩れ等により至るところで寸断、両県の国道及び県道の通行止めは 236 箇
所を数え、それに伴い 18 箇所の集落が孤立した。
また、記録的な大雨に伴い、土砂災
害が 106 件(土石流等:59 件、地すべ
り:16 件、がけ崩れ:31 件)発生し
た。崩壊土砂量は約 1 億 m3(京セラド
ーム大阪の約 80 倍の量に相当)と推
測され、深層崩壊による大規模河道閉
塞が 17 箇所で発生し、うち 5 箇所で
は土砂災害防止法で定められた緊急
調査が初めて行われるケースとなっ
た。
水害被害額は約 5,100 億円(出典:
平成 23 年の水害被害額の暫定値/国
土交通省)で、同年の全国水害被害総
額の半分以上を占めた。県別被害額
は、同年に発生した東日本大震災を除
くと、和歌山県が全国で最も多かっ
た。また、道路や鉄道等交通アクセス
の途絶や規制等により、3 県では観光
■土砂災害:106件
客も減少、地域経済に大きな影響を与
■国道・県道の通行止め:236箇所
■孤立集落:18地区(H23.9.11時点)
■死者:72人 不明者:16人
えた。
※数字は平成 24 年 7 月 6 日現在
土石流等:59件、地すべり:16件、
がけ崩れ:31件 (H23.12末時点)
(災害関連死含む、H24.7.7時点)
凡例
×
●
●
●
通行止め(H23.9.5時点)
孤立集落(H23.9.11時点)
土砂災害箇所(人的被害あり)
土砂災害箇所
(出典)近畿地方整備局「2011 年紀伊半島大水害
国土交通省近畿地方整備局 災害対応の記録」
14
第 6 号議案
③ 大規模浸水を伴う大阪湾巨大高潮災害
ア
大阪湾の特性
台風の接近に伴う気圧低下による海面の吸い上げと強風による吹き寄せにより発生する高
潮災害を幾度となく経験してきた大阪湾では、1960 年代より、伊勢湾台風級の台風による高
潮を対象とした計画に基づきハード施設による対策が進められ、1961 年の第 2 室戸台風以降
人的被害をもたらすような高潮災害は発生していない。
一方、2005 年のハリケーン・カトリーナによる高潮災害では米国ニューオリンズ市が水没
し、壊滅的被害を受けるなど、海面上昇や台風の巨大化等、地球規模の気候変動に伴い、世界
各地で高潮による災害リスクの高まりが懸念されている。
大阪湾沿岸の海抜ゼロメートル地帯には、高度経済成長期以降、急速に人口・資産等が集積
し、一大都市圏が形成されており、ひとたび高潮災害が生じれば、直接被害はもとより、都市
機能の麻痺により関西圏域全体に甚大な影響を与えるおそれがある。
イ
被害想定
大阪湾高潮対策協議会(国土交通省)が、大阪湾沿岸の海抜ゼロメートル地帯を中心に、高
潮による大規模浸水が発生した場合の被害想定を行っている(H22.3)
。
i) 台風の想定
条件等
伊勢湾台風規模
スーパー室戸台風
台風中心気圧(上陸時)
台風コース
930hPa
室戸台風コース
(図 1 参照)
900hPa
室戸台風コースを西に 40 ㎞平
行移動(図 1 参照)
上陸時からの中心気圧の減衰
伊勢湾台風と同様
伊勢湾台風と同様
台風半径
伊勢湾台風の毎時の観測値
伊勢湾台風の毎時の観測値
台風の移動速度
基準潮位
室戸台風と同様
T.P.+0.9m
(O.P.+2.2m)
室戸台風と同様
T.P.+0.9m+0.2m=T.P.+1.1m
(O.P.+2.4m)
高潮発生確率※
1/200 年相当※
1/750 年相当※
※高潮発生確率については参考値
(図 1)想定台風コース
38°
12 h
11h
1 0h
36°
9h
8h
7h
34°
6h
5h
4h
3h
32°
室戸台風コース
室戸台風コースを西に
40 ㎞平行移動
30°
130°
132°
134°
136°
138°
140°
142°
15
第 6 号議案
ⅱ)最大潮位及び浸水被害想定
条件等
シナリオⅠ
シナリオⅡ
シナリオⅢ
台風条件
伊勢湾台風規模
スーパー室戸台風
スーパー室戸台風
(上陸時中心気圧)
(930hPa)
(900hPa)
(900hPa)
施設が船舶の衝突によっ
正常に機能
(シナリオⅠと同じ)
T.P.+2.76m
T.P.+4.11m
T.P.+4.11m
(O.P.+4.06m)
(O.P.+5.41m)
(O.P.+5.41m)
T.P.+3.78m
T.P.+5.19m
T.P.+5.17m
(O.P.+5.08m)
(O.P.+6.49m)
(O.P.+6.47m)
T.P.+3.52m
T.P.+4.71m
T.P.+4.70m
(O.P.+4.82m)
(O.P.+6.01m)
(O.P.+6.00m)
・最大浸水深は概ね 1.5m
・最大浸水深は概ね 3.0m
・最大浸水深 2.0∼4.0m
以下
以下
が広範囲にわたる。
・一部地域で 2m 以上
・一部地域で 4m 以上
て損傷した状態で高潮に
よる被害を受ける。
水門・堤防の機能
水門:5 箇所で機能不全
堤防:計画高潮位※に達し
た時点で複数箇所で破堤
※T.P.+3.9m(O.P.+5.2m)
最大潮位
和田岬
天保山
堺泉北港
浸水深
浸水面積・区域内人
−
大阪市域では淀川右岸で
大阪市域では淀川右岸は
大阪市域の淀川右岸は
新御堂筋付近まで 1m 程
浸水しないが、淀川左岸
JR 新大阪駅付近まで浸
度の浸水。淀川左岸では
の 大 正 区 鶴 町 で 4m 以
水。新御堂筋より西側は
阪神高速 11 号池田線付
上、同三軒家で 3m 以上
2m 以上の浸水。淀川左
近より西側が浸水し、北加
の浸水。南港ポートタウン
岸はなにわ筋から西側の
賀屋付近で 2m 以上の浸
及び周辺の埋立地で浸水
ほぼ全域が浸水。北区、
水。泉州地域では、南海
が拡大。泉州地域では南
中 央 区 等 に 浸 水 が 拡大
本線より西側が浸水し、泉
海本線より西側はほぼ全
し、オフィス街や地下空間
大津市や忠岡町で 1m 程
域浸水。堺市鉄砲町で
も浸水。大正区三軒家、
度の浸水。
4m 以上の浸水。堺泉北
西区九条で 4m 超の浸水
港の各埋立地でも 2m 程
となり、家屋流失等も発
度の浸水。
生。泉州地域はシナリオ
大阪府
浸水シナリオ
237.2
、164.8 万人
−
口
Ⅱと同様の浸水。
兵庫県
国道 2 号もしくは 43 号より
神戸市・芦屋市域は国道
神戸市・芦屋市域はシナ
南側で浸水。神戸市和田
2 号もしくは 43 号より南側
リオⅡとほぼ同様の浸水。
岬、西宮市鳴尾の一部で
での浸水域はほぼ変わら
西宮市域では鳴尾で 4m
浸水深が 2m を超える。
ないが、沿岸部では浸水
以上の浸水。尼崎市域で
深が 2m を超えるエリアが
は国道 2 号で 2m 以上の
拡大。西宮市・尼崎市域
浸水。浸水域は JR 神戸線
では国道 2 号付近まで浸
を越えて名神高速近くま
水域が拡大し、西宮市鳴
で拡大。
尾で 3m 以上の浸水。
16
第 6 号議案
【参考】高潮と洪水の同時生起について
台風の通過による高潮浸水の危険性を有する大阪湾岸の低平地の河川では、洪水の流下と高潮の
遡上が短い時差で発生する可能性があるものの、その確率は低い(淀川流域における高潮と洪水の
同時生起は 1/4,000 程度(4,000 年に 1 回程度))とされていること、また、室戸、ジェーン、伊
勢湾、第二室戸いずれの台風でも、高潮と洪水の同時生起による具体的被害は生じていないことか
ら、現在、特段の対策は講じられていない。
万一同時生起が生じた場合は、海岸・港湾管理者と河川管理者が連携して、適切な水門、排水機
場等の操作を行うことにより最初の対応を行うこととなる。
17
第 6 号議案
(2)過去に関西圏域で発生した主な風水害
過去に発生した主な風水害の事例を整理し、今後の風水害への備えの参考とする。
①
主な台風災害
被害数(全国計)
災害名
被害状況
1889(明治 十津川大 停滞する秋雨前線に台風が南海上から接近し、和歌山県 死者
1,496人
22)年8月 水害
から奈良県南部に大雨をもたらした。台風は19日高知県 行方不明者
―
18∼19日
に上陸し、四国、中国地方を縦断、20日に日本海に抜け
負傷者
―
た。最大雨量は田辺市で日雨量902mm、時間雨量170mm。
4,040戸
奈良県吉野地方では19日の雨量は1,000mmを超え時間雨量 流出家屋
1,724戸
は推定130mm。奈良県十津川郷(現十津川村)では大規模 全壊家屋
な山腹崩壊が1,080か所で発生し、大被害が生じた。
(和歌山県、奈良県の計)
1896(明治 琵琶湖大 非常に雨の多い年で、1∼8月に平年の1年分の雨が降って 死者
29人
29)年9月 水害
いた。そこへ台風が北上し、低気圧の通過、寒冷前線の 行方不明者
5人
12日
停滞と相まって長期間の降雨となった。特に9月7日には
負傷者
―
低気圧と南方の台風の影響で前線の活動が活発となり、
流出家屋
1,749棟
滋賀県を中心に未曾有の豪雨となった。琵琶湖水位は
全壊家屋
1,251棟
+3.76mに達し、琵琶湖周辺の稲田は全て湖水となり、村
落は水に没し、市街は舟を浮かべて航行する光景となっ 半壊家屋
6,136棟
た。浸水面積は約14,800ha、浸水日数は237日に及んだ。 浸水家屋
58,391棟
1934(昭和 室戸台風 9月21日5時頃に高知県室戸岬付近に上陸し、阪神間に8時 死者
2,702人
9)年9月21
頃再上陸。再上陸時は満潮を過ぎていたがまだ潮位は高 行方不明者
334人
日
く、最大瞬間風速60m/sという強風により、4mを超える高
負傷者
14,994人
潮が発生。大阪港の築港路上の記録で30分間に200cmを超
住家被害
92,740棟
える海水の流入があり、地盤沈下の影響もあり滞留した
401,157棟
内水と押し寄せる海水の影響で大坂城付近まで湛水。急 住家浸水
激な水位の上昇に避難が間に合わず、大阪湾一帯で溺死
した者は推定1,900名以上。暴風のため学校、寺院など比
較的大きい建築物でも被害が相次いだ。
1950(昭和 ジェーン 9月3日10時頃徳島県に上陸、12時過ぎ神戸市に再上陸
死者
398人
後、速度を上げて北上し13時半頃日本海に進んだ。降水 行方不明者
25)年9月3 台風
141人
量は少なかったが、台風の中心付近で非常に風が強く、
∼4日
負傷者
26,062人
和歌山で最大風速36.5m/s(最大瞬間風速47.2m/s)と
19,131棟
なったほか、四国、近畿、北陸、東海で風速30m/s前後の 住家全壊
101,792棟
暴風となった。強風による吹き寄せで大阪湾や北陸沿岸 住家半壊
で高潮が発生。大阪湾では満潮時より2.1m以上高くな
床上浸水
93,116棟
り、地盤沈下の影響もあって多くの家屋が浸水した。
床下浸水
308,960棟
1953(昭 台風第13 強い勢力を保ったまま北上し、25日17時に志摩半島を横 死者
393人
断し、伊勢湾を経て18時半頃知多半島に上陸。 21時に諏 行方不明者
和28)年9 号
85人
訪市、26日0時に新潟市の東を通って、6時には三陸沖に
月22∼26
負傷者
2,559人
進んだ。四国から関東地方にかけての広い範囲で20∼
日
8,604棟
30m/sの風速を観測。また、期間降水量は舞鶴市で507mm 住家全壊
17,467棟
に達したほか、四国、近畿、東海、北陸地方で200mmを超 住家半壊
えた。愛知、三重、京都、滋賀、大阪、福井各府県で甚 床上浸水
144,300棟
大な被害が発生。
床下浸水
351,575棟
1959(昭和 伊勢湾台 9月26日和歌山県潮岬の西に上陸し、上陸後6時間余りで 死者
4,697人
本州を縦断した。勢力が強く暴風域も広かったため、広 行方不明者
34)年9月 風
401人
い範囲で強風が吹き、紀伊半島沿岸一帯と伊勢湾沿岸で
26∼27日
負傷者
38,921人
は高潮、強風、河川の氾濫により甚大な被害が生じた。
40,838棟
地震・津波以外では明治以降最多の犠牲者を出した災害 住家全壊
住家半壊
113,052棟
で、この台風を契機に災害対策基本法が制定された。
床上浸水
157,858棟
床下浸水
205,753棟
1961(昭和 第二室戸 9月16日室戸岬に上陸し、兵庫県尼崎市と西宮市の間を通 死者
194人
36)年9月 台風
過した。暴風や高潮による被害が大きく、大阪市では高 行方不明者
8人
15∼17日
潮により31 が浸水した。兵庫県、和歌山県でも浸水被
負傷者
4,972人
害があった。
住家全壊
15,238棟
住家半壊
46,663棟
床上浸水
123,103棟
床下浸水
261,017棟
発生年月日
18
第 6 号議案
被害数(全国計)
災害名
被害状況
1965(昭和 台風第
台風23号は、9月10日強い勢力で高知県安芸市付近に上陸 死者
153人
40)年9月 23,24, し、近畿地方を縦断して日本海へ進んだ。兵庫県では高 行方不明者
28人
10∼18日 25号
潮による浸水も多かった。台風24号は、17日三重県大王 負傷者
1,206人
崎付近に上陸した。期間降水量は紀伊半島の山岳部では 住家全壊
1,879棟
1,000mmを超えた所もあった。
住家半壊
3,529棟
床上浸水
46,183棟
床下浸水
258,239棟
1979(昭和 台風第20 非常に強い勢力を保ったまま10月19日和歌山県白浜町付 死者
110人
54)年10月 号
近に上陸した。その後本州を縦断し東北地方から海上に 行方不明者
5人
10∼20日
出て、北海道東部に再上陸し、温帯低気圧に変わって再 負傷者
543人
び発達した。
住家全壊
139棟
住家半壊
1,287棟
床上浸水
8,157棟
床下浸水
47,943棟
2004(平成 台風第23 10月20日大型の強い勢力で高知県内に上陸後、大阪府南 死者
95人
16)年10月 号
部に再上陸して、東海地方に進んだ。期間降水量は、近 行方不明者
3人
18∼21日
畿北部で300mmを超え、兵庫県豊岡市や出石町を流れる円 負傷者
721人
山川、出石川が氾濫、京都府福知山市から舞鶴市を流れ 住家全壊
907棟
る由良川が氾濫して浸水被害が発生した。また、京都府 住家半壊
7,929棟
宮津市等、西日本を中心に土砂災害が発生した。
床上浸水
13,341棟
床下浸水
41,006棟
2009(平成 台風第9号 8月9日21時に発生した台風第9号周辺の非常に湿った空気 死者
25人
21)年8月8
の影響で、8∼11日にかけて四国、中国、近畿の一部で8 行方不明者
2人
∼11日
月の平年値の2倍を超える大雨となるなど、九州から東北 負傷者
23人
の広い範囲で大雨となった。局地的に1時間80mmを超える
183棟
猛烈な雨となった兵庫県、徳島県、高知県等で被害が拡 住家全壊
住家半壊
1,130棟
大し、特に兵庫県佐用町では死者11名となった。西日本
973棟
から東日本の広い範囲で住家の浸水が約4,400棟となるな 床上浸水
ど浸水害や土砂災害が発生した。
床下浸水
4,629棟
2011(平成 台風第12 9月3日10時前に高知県東部に上陸後、四国・中国地方を 死者
82人
縦断して日本海へ抜け、5日15時に温帯低気圧に変わっ 行方不明者
23)年8月 号
16人
た。西日本から北日本にかけ、広い範囲で記録的な大雨 負傷者
30日∼9月
113人
5日
となり、紀伊半島一部の地域では、解析雨量が2,000mmを
379棟
超えた。この降雨により斜面の大規模な崩壊が起き、奈 住家全壊
3,159棟
良県、和歌山県において河道閉塞が17箇所発生した他、 住家半壊
5,500棟
孤立集落が発生する等、紀伊半島を中心に甚大な被害が 床上浸水
発生。
床下浸水
16,594棟
2013(平成 台風第18 発達しながら日本の南海上を北上し、9月16日8時前に愛 死者
6人
25)年9月 号
知県に上陸。四国から東北にかけての広い範囲で大雨と 行方不明者
1人
15∼16日
なった。特に記録的な大雨となった福井、滋賀、京都3府 負傷者
143人
県では、16日午前5時5分に運用開始後初めての大雨特別 住家全壊
48棟
警報が発表された。3府県のアメダス観測42地点のうち、 住家半壊
208棟
最大24時間降水量で18地点、最大48時間降水量で15地点 床上浸水
3,011棟
が観測史上1位を更新した。
床下浸水
7,078棟
発生年月日
② 主な豪雨災害
被害数(全国計)
災害名
被害状況
616人
1938(昭和 阪神大水 梅雨末期の豪雨が太平洋岸及び阪神地方を襲い、特に阪 死者
24人
神地方では7月5日、未曾有の大豪雨に襲われ、神戸布 行方不明者
13)年7月3 害
1,011人
引水源地や六甲連山の各河川が決壊した。六甲山地では 負傷者
∼5日
住家全壊
2,658棟
山崩れが2,727ヶ所。
住家半壊
7,878棟
床上浸水
31,643棟
床下浸水
75,252棟
713人
1953(昭和 南紀大水 前線の活動により紀伊半島を中心に豪雨となり、期間降 死者
411人
28)年7月 害
水量が700mmを超えた所があった。この豪雨により有田川 行方不明者
5,819人
16∼24日
や日高川等が決壊し、和歌山県有田市、御坊市を始め多 負傷者
住家全壊
7,704棟
くの地域が濁流にのまれた。
住家半壊
2,125棟
床上浸水
20,277棟
床下浸水
66,202棟
発生年月日
19
第 6 号議案
災害名
被害状況
1953(昭和 南山城の 寒冷前線が停滞し、京都府南部、滋賀県南部、三重県、
28)年8月 水害
奈良県で雷を伴う豪雨となった。京都府和束町湯船で
11日∼15
400mm 以上の大雨となり、京都府では、木津川上流での
日
土石流や井手町での大正池の堤防決壊により、300人を超
える死者・行方不明者が出た。滋賀県でも多羅尾村(現
甲賀市)で山崩れにより40人を超える死者が出た。
発生年月日
1967(昭和 昭和42年7 1時間降水量は神戸で70mmを超える大雨となった。2日間
の降水量も佐世保、呉、神戸等で300mmを超え、これらの
42)年7月7 月豪雨
三市を中心に甚大な災害が発生。背後に山地がある都市
∼10日
部で大雨となったため、土砂崩れや鉄砲水が多発し、人
的被害や土木関係の被害が非常に多くなった。
被害数(全国計)
死者
290人
行方不明者
140人
負傷者
994人
住家全壊
893棟
住家半壊
765棟
床上浸水
6,222棟
床下浸水
18,894棟
死者
351人
行方不明者
18人
負傷者
618人
住家全壊
901棟
住家半壊
1,365棟
床上浸水
51,353棟
床下浸水
25,092棟
(出典)気象庁「災害をもたらした気象事例」
【参考】関西圏域の過去 10 年間の水害被害額
年変動はあるものの、関西圏域(2 府 8 県)の水害被害額は全国的にも多く(全国に占める人口
比で約 2 割の関西圏域で全国の過去 10 年間(平成 15∼24 年)の水害被害額の 3 割が発生)
、全国
的にも風水害の被害が多い地域であることがわかる。
また、2 府 8 県の過去 10 年間の水害被害額は表のとおりであり、兵庫県(平成 16、21 年)
、和歌
山県(平成 23 年)
、三重県(平成 23 年)、福井県(平成 16 年)の被害が突出している。これらの
県の風水害の経験・教訓を本プランにも適切に反映させていく必要がある。
水害被害額の推移(全国及び関西圏域)
25,000
全国
比率 46.7%
関西府県
2 府 8 県の水害被害額構成比(H15∼24 計)
41.9%
20,000
40%
15,000
24.0%
(
水
害
被
害
額
)
億
円
10,000
9.0%
4.7%
7.0% 7.9%
徳島, 846,
5.6%
20%
京都, 974,
6.4%
0
兵庫,
6,053,
40.0%
三重,
1,827,
12.1%
10%
5.9%
滋賀, 43,
0.3%
奈良, 454,
3.0%
大阪, 544,
3.6%
30%
12.4%
5,000
鳥取, 349,
2.3%
50%
45.4%
和歌山,
1,957,
12.9%
0%
福井,
2,099,
13.9%
(億円)
H15 H16 H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24
水害被害額の推移(府県別)
年
府県
福井
三重
滋賀
京都
大阪
兵庫
奈良
和歌山
鳥取
徳島
関西府県計
全国計
関西府県比率
平成
15
13
23
4
4
13
33
15
64
18
65
253
2,806
9.0%
平成
16
1,936
834
8
617
69
4,250
66
94
126
464
8,465
20,183
41.9%
平成
17
10
68
1
2
9
5
7
13
17
86
218
4,656
4.7%
平成
18
31
29
4
33
16
32
8
26
53
8
240
3,446
7.0%
平成
19
5
25
2
4
10
4
40
13
26
35
165
2,088
7.9%
平成
20
1
48
7
26
82
2
5
14
4
19
207
1,664
12.4%
単位:億円(名目額)
平成
21
1
54
0
31
1
1,074
15
98
1
61
1,337
2,861
46.7%
平成
22
2
18
2
26
7
47
3
12
4
0
121
2,075
5.9%
平成
23
35
628
5
29
2
595
262
1,557
97
101
3,311
7,287
45.4%
平成
24
64
100
12
203
334
13
31
65
2
8
830
3,465
24.0%
計
2,099
1,827
43
974
544
6,053
454
1,957
349
846
15,147
50,529
30.0%
(出典)国土交通省「水害統計調査」
20
第 6 号議案
4
取り組むべき課題と取組の方向性
近年の主な風水害の経験と教訓を踏まえ、災害への備え(平時からの対策)と災害発生時の対応
を通じて、今後取り組むべき4つの主要な課題について、それぞれの取組の方向性と広域連合の役
割を整理する。
(1)風水害に強い地域づくり
① 取り組むべき課題
近年の風水害の経験から、従来の降雨の発生確率に基づく施設整備の水準を超える風水害へ
の備えが必要になってきている。施設整備に引き続き取り組みつつ、森林・農地から市街地も
含めた流域全体で保水・遊水機能を高める取組や、災害が発生しても、その被害を軽減するた
めの減災対策など、ハード・ソフトを効果的に組み合わせた総合的な治山・治水対策に取り組
み、関西圏域全体で風水害に強い地域づくりを推進する必要がある。
② 取組の方向性
ア
社会基盤施設の一層の整備
・治水施設整備(河川改修、洪水調節施設整備等)の推進
・地すべり対策、砂防えん堤、がけ崩れ対策、山腹工等の土砂災害対策の推進
・災害に強い道路づくりや幹線道路ネットワークの整備
・既存ダムの治水機能の向上
・海岸保全施設の整備と水門、陸閘等の自動化・遠隔操作化の推進
イ
保水機能の維持・保全対策の推進
・森林の有する公益的機能を持続的に発揮させる森林の整備・保全、管理の適正化(森林所
有者の高齢化、相続・世代交代等による放置林の増加等への対応)
・ため池の改修や保水機能を有する農地の保全
・雨水の流出を抑制する施設の設置
ウ
風水害に強い土地利用の検討(中長期的課題)
・被害軽減に向けた土地利用や住まい方への誘導に向けた検討
エ
対策の総合化
・ハード・ソフトの効果的な組み合わせによる総合的な治山・治水対策の推進
・国、府県、市町村、住民等の関係者の連携による危機管理体制の構築
③ 広域連合の役割
広域連合は、流域が一体となった総合的な治山・治水の理念のもとに、構成団体・連携県が
連携して、関西圏域全体で風水害に強い地域づくりが進められるよう、先導的な事例の情報発
信を行うなどにより、地域の特性に合った多様な取組が関西圏域内で展開されるよう促してい
く。
(2)住民避難の実効性の向上
① 取り組むべき課題
避難の遅れや避難途上での事故などにより尊い人命が失われている近年の風水害の教訓を踏
まえ、ハザードマップの作成・充実、適時適切な避難勧告等の発出など、地域の特性に合わせ
て、効果的な住民避難の推進に取り組んでいく必要がある。
21
第 6 号議案
② 取組の方向性
ア
市町村への確実な情報伝達の仕組みの整備
・避難勧告等の判断に有効な情報の市町村への確実な伝達
イ
ハザードマップの作成・充実支援
・住民の身近にある潜在的な危険性に対する認識の醸成
・住民の避難行動や住まい方に資する水害リスク情報の提供
ウ
市町村による避難勧告等の実効性の向上促進
・避難勧告等の具体的な発令基準の策定
・住民等に対する効果的な情報伝達の方法の検討
・特異な気象も含めた災害の種別に応じた住民の安全確保行動の周知徹底
③ 広域連合の役割
広域連合は、構成団体・連携県と連携し、河川氾濫予測情報等の避難勧告等発令支援情報の
伝達、市町村が判断しやすく具体的な避難勧告等の発令基準の整備、住民の避難行動や住まい
方に資する水害リスク情報の整備等について、先導的な事例の情報発信を行うなどにより、住
民避難の実効性の向上に向けた多様な取組が関西圏域内で展開されるよう促すとともに、広域
連合の発信力を生かして住民の安全確保に資する統一的な情報発信を行う。
(3)災害対応体制の強化
① 取り組むべき課題
水防団の弱体化など地域の災害対応力の低下が懸念されるため、民間事業者・NPO 等多様な
主体の参画を促し、連携を強化することにより、地域において危険をいち早く察知し、迅速・
的確な災害対応を実施できる体制を確立するとともに、実践的な訓練・研修を通じて対応能力
の維持・向上を図る必要がある。
また、風水害については、事前の予測が可能であり、被害を軽減するための準備を行うこと
が可能である。特に関西圏域全体に甚大な影響を与えるおそれのある大阪湾沿岸での大規模な
高潮災害等に対しては、事前対応計画(タイムライン)の検討など、災害の発生を想定した事
前防災の検討を進める必要がある。
② 取組の方向性
ア
関係機関との連携強化
・民間事業者を含む関係機関・団体との連携の強化(協定の締結等)
‐関係機関・団体との緊急時の連絡体制、連絡調整手順の整備
‐資機材・物資に係る備蓄情報の共有と緊急時の相互融通、流通備蓄の活用
イ
被害状況・支援ニーズ等の迅速な把握
・迅速・的確な情報収集・共有の仕組みづくり(広域防災情報システムの整備)
ウ 市町村間の連携の推進
・機動的な支援が期待できる府県域を超えた市町村間の相互応援協定の締結の推進
エ 緊急物資の供給、備蓄体制の構築
・民間物流倉庫と連携した関西の広域防災拠点のネットワーク化
オ 事前対応計画(タイムライン)の検討
・大規模な高潮災害等を想定した広域避難などの事前防災対策の検討
22
第 6 号議案
カ
広域応援訓練・合同職員研修の実施
キ 地域の防災体制の整備
・住民の主体的な防災・減災の取り組みの促進
・水防団、民間事業者、NPO 等多様な主体の連携による地域の水防力の強化
・施設に応じた自衛水防体制の充実(地下街、高齢者等利用施設、大規模工場等における自
主的な避難確保・浸水防止の取組の促進等)
・避難行動要支援者に配慮した情報伝達手段、避難誘導支援体制の確保
・孤立可能性のある集落における備えの充実
③ 広域連合の役割
広域連合は、発災時に構成団体・連携県間の連携による災害対応が円滑に行われるよう、以
下のような取組を推進する。
ア
本プランや関西広域応援・受援実施要綱の策定・運用を通じて、構成団体・連携県の災害
対応業務の共通化・標準化を進め、関西圏域全体の災害対応の質の向上を図る。
イ
広域で活動する民間事業者等と災害時の協力協定の締結等により連携を強化する。
ウ
被害状況、支援ニーズ等をより迅速・的確に把握できる広域的な防災情報システムの整備
を進める。
エ
府県域を越えた市町村間の連携を促し、地域の災害対応力の底上げを図る。
オ
民間物流事業者と連携して緊急物資円滑供給システムを構築するとともに、関西全体の備
蓄計画を策定する。
カ
新たな広域課題への対応として、大阪湾沿岸での大規模な高潮災害等を想定した広域避難
等の事前対応計画(タイムライン)の検討を推進する。
キ
構成団体・連携県等と連携して広域応援訓練や合同職員研修を実施することにより、各団
体の災害対応力の向上と各団体間の連携の強化を図る。
(4)応援・受援の円滑な実施
① 取り組むべき課題
府県・市町村が連携し、被害状況、支援ニーズを迅速に把握し、機動的な対応、被災者支援
につなげる必要がある。特に風水害は、発生がある程度予測できるため、直前の対応を適切に
行うことにより、被害の軽減、早期復旧を図る必要がある。
② 取組の方向性
ア 初動体制の早期確立
・早期の体制整備、職員参集等による情報収集体制の強化
・現地への職員派遣も含めた被害状況・支援ニーズ等の迅速な把握
イ 応援・受援の円滑な実施
・給水、災害廃棄物処理、避難所運営(被災者の健康対策、心のケア、生活衛生対策等)な
ど機動的な被災者支援の実施(主に被災市町村に対する支援)
・社会基盤施設の早期復旧(特に災害査定)のための応援職員の派遣
②
広域連合の役割
広域連合は、大規模広域災害発生時には、関西広域応援・受援実施要綱に基づき、構成団体・
23
第 6 号議案
連携県と連携し、被災者の支援を行うとともに、社会基盤施設を早期に復旧し、被害の拡大及
び二次災害を防止するため、必要な職員の派遣や資機材の供給等の応援・受援調整を迅速に実
施する。また、関西圏域の窓口として、相互応援協定を締結している他ブロック(九都県市、
九州地方知事会等)や企業・ボランティア等との連絡調整を行う。
24
Ⅱ
第 6 号議案
災害への備え(平時からの対策)
広域連合は、平時から関係機関・団体等との連携により応援・受援体制を整備するほか、関西圏域
の防災力向上に資する取組を展開し、災害に備える。
1
関係機関との連携の強化
広域連合は、関係機関・団体等との連携を強化し、大規模広域災害に対して迅速・的確に対処す
るための体制整備を行う。
<広域連合と関係機関・団体との関係>
中央省庁
関西広域連合
広域連合本部、他分野局
国出先機関
広域防災局
連携県
(地方整備局、運輸局、農政局等)
(連絡体制、防災資源情報共有)
広域実動機関
(消防、警察、自衛隊、海上保安庁)
広域ブロック
(首都圏、九州等)
構成団体
(全国知事会)
専門家・研究機関
企業・ボランティア等
全国都道府県
市町村
(1)構成団体との連携
① 構成団体地域防災計画との整合性の確保
本プランの実効性の確保を図るため、構成団体地域防災計画との整合性を確保する。
② 緊急連絡体制等、複数の情報通信手段による連絡体制の構築
通信の途絶に備え、一般電話、携帯電話、防災行政無線、ファクシミリ、電子メール及び衛星
電話等、複数の情報通信手段による連絡体制を構築するほか、災害時の情報共有や災害対応に活
用できる関西広域防災情報システムを整備する。
③ 人的・物的資源の情報共有
構成団体の担当部局及び責任者、職種別人員の状況、備蓄物資等の保有及び調達可能状況、受
入拠点一覧等に関する資料を定期的に交換することにより、人的・物的資源に関する情報を共有
する。
(2)広域連合他分野局との連携
大規模広域災害発生時に、次のような事務を遂行する他分野局と連携して被災地の応急対策や
復旧・復興対策を行う体制を整える。
・ドクターヘリ派遣、救護班等派遣支援
・周遊中の観光客被害情報収集・発信
・風評被害対策、被災地への集客促進
・直接、間接の被災企業に対する支援 等
25
第 6 号議案
<広域連合(広域防災局)の組織体制>
関西広域連合
広域連合委員会
広域防災局
広域連合長
広域企画課長
(兵庫県知事)
広域研修課長
局 長
次 長
(兵庫県防災監)
(兵庫県防災企画局長)
連携
広域防災
担当委員
連携
防災課長
連携
(兵庫県知事)
災害対策課長
訓練課長
防災計画参事
(神戸市危機管理監)
(兵庫県広域防災参事)
課長(京都府担当)
課長(大阪府担当)
課長(京都市担当)
村
課長(大阪市担当)
体
(兵庫県広域防災
センター長)
団
課長(徳島県担当)
防災拠点参事
町
課長(和歌山県担当)
成
防災対策参事
(兵庫県災害対策局長)
課長(滋賀県担当)
市
防災参事
(神戸市長)
構
副担当委員
課長(堺市担当)
課長(神戸市担当)
参 与
(構成団体危機管理監)
他分野担当委員
(府県知事)
副担当委員
(政令市長)
連携
本部、他分野局
本部事務局(企
画総務、資格試
験・免許等)
(大阪市内)
広域観光・
文化振興局
(京都府)
広域産業
振興局
(大阪府)
広域医療局
(徳島県)
広域環境
保全局
(滋賀県)
広域職員
研修局
(和歌山県)
(3)連携県との連携
「近畿圏危機発生時の相互応援に関する基本協定」及び「関西広域連合と鳥取県との危機発生
時の相互応援に関する覚書」に基づき、連携県(福井県、三重県、奈良県及び鳥取県)について
も、構成団体と同様に応援・受援を行う体制を整備する。
(4)他ブロック等との連携
広域連合が中心となって、他ブロック及び全国知事会との連携体制を整備する。
① 広域ブロック
相互応援協定を締結している首都圏の九都県市及び九州地方知事会との連携を強化するとと
もに、その他の広域ブロックとの相互応援協定についても検討を進める。
② 全国知事会及び全国都道府県
全国知事会の「全国都道府県における災害時等の広域応援に関する協定」により、全国都道府
県間の相互応援体制を確保する。また、全国知事会が行う全国都道府県の災害時応援調整につい
て、カウンターパート方式等の応援方式を迅速にとれるよう働きかける。
26
第 6 号議案
<関西圏域と他ブロック等との主な相互応援協定>
協定等名称
関西広域連合と九州
地方知事会との災害
時の相互応援に関す
る協定
全国都道府県におけ
る災害時等の広域応
援に関する協定及び
同協定実施細目
関西広域連合と九都
県市との災害時の相
互応援に関する協定
締結日
H23.10.31
H24.5.18
H26.3.6
相手方
九州地方知事会(福岡県、佐賀
県、長崎県、熊本県、大分県、宮
崎県、鹿児島県、沖縄県、山口
県の 9 県)
全国都道府県
※ブロック間応援(カバー(支援)
ブロック:近畿⇔中部圏)等
九都県市(埼玉県、千葉県、東京
都、神奈川県、横浜市、川崎市、
千葉市、さいたま市、相模原市)
応援内容
職員派遣、食料・飲料水・生活必
需品の提供、資機材の提供、避
難者・傷病者の受入れ、船舶等
の輸送手段の確保、医療支援等
住民の避難、被災者等の救援・
救護及び災害応急・復旧対策に
係る人的・物的支援、施設若しく
は業務の提供又は斡旋
職員派遣、食料・飲料水・生活必
需品の提供、資機材の提供、避
難者・傷病者の受入れ、車両等
の輸送手段の確保、医療支援等
(5)国との連携
関係省庁等との緊密な連携のもと、迅速に災害対応が実施できる体制を構築するとともに、国の
予測情報や観測情報を活用しながら災害に備える。
① 関係省庁等との連携
ア
中央省庁との連携
災害発生時に中央省庁に対し、関西圏域を越えて必要となる救援物資や要員の派遣等の支援要
請が迅速かつ的確に実施できるよう情報連絡体制を整備する。
また、必要に応じて制度運用の改善や財源の確保等について中央省庁に提案する。
イ
国出先機関との連携
災害発生時に救援物資や要員の派遣等の支援要請が迅速かつ的確に実施できるよう情報連絡体
制を整備する。なお、国出先機関への派遣要請は被災自治体が行う。
ウ
広域実動機関との連携
災害発生時に迅速な災害対応を行うため、消防、警察、自衛隊及び海上保安庁の部隊等の派遣
要請が迅速かつ的確に実施できるよう情報連絡体制を整備するとともに、平時から緊密な連携を
図る。
② 予測・観測情報等の活用
気象庁による気象予測や雨量、河川管理者等による水位等の観測情報等を活用し、事前対策を実
施する。
(6)専門家・研究機関等との連携
① 専門的な知見・研究成果の活用
防災分野の大学・研究機関等とのネットワークを構築し、その知見や研究成果を災害対策に役立
てるとともに、発災時にも助言・支援を得られる体制を整備する。
また、研究者間の交流を促進するなど、関西圏域において防災分野の研究活動が活発に行われる
よう必要な支援を行う。
② 士業団体との協定の締結
阪神・淡路まちづくり支援機構との「復興まちづくりの支援に関する協定」に基づき、災害時に
建築士・弁護士等の被災府県への派遣が行われる仕組みを構築する。
27
第 6 号議案
(7)企業・ボランティア等との連携
① 民間事業者との連携
広域連合及び構成団体は、企業・業界団体等民間事業者との協定の締結等により、災害時におい
て民間事業者の協力が円滑に得られる体制を整備する。
<広域連合と企業等との協定一覧>
協定名
災害時における帰
宅困難者支援に関
する協定書
大規模広域災害時
における救援物資
の提供及び調達に
関する協定書
災害等緊急時にお
ける ヘリ コ プターの
運航に関する協定
船舶による災害時の
輸送等に関する協
定書
締結日
相手方
H23.9.22
H24.11.22
コンビニエンスストア、外食事業
者等 27 社
H25.2.25
プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン㈱
H25.3.5
朝日航洋㈱、中日本航空㈱、四
国航空㈱、アカギヘリコプター㈱、東
邦航空㈱、学校法人ヒラタ学園
H25.3.27
近畿旅客船協会、
神戸旅客船協会
復興まちづくりの支
援に関する協定
H25.3.29
阪神・淡路まちづくり支援機構
危機発生時の支援
協力に関する協定
H25.8.29
一般社団法人関西ゴルフ連盟、
徳島県ゴルフ協会
支援内容
災害時に帰宅困難者に対し
てトイレ、水道水、道路情報
を提供等
(平時)P&G から広域連合へ
救援物資の無償提供
(災害時)広域連合から P&G
へ救援物資の供給要請
災害等緊急時に協定締結府
県からの要請に基づき、物資
及び人員の輸送に協力
災害時に連合構成団体から
の要請に基づき、船舶による
輸送等の業務に協力
災害時の地域の復興に向け
たまちづくりに関する専門相
談等に協力を得る
危機発生時にクラブハウス等
のゴルフ場施設を緊急避難
地等として利用
② ボランティア・NPOとの連携
被災地における災害ボランティアのニーズに迅速に対応できるよう、構成団体は、平時から管内
の社会福祉協議会、ボランティア・NPOとの連携体制を整備する。
<構成団体が府県社会福祉協議会・NPO等と平時から連携する取組例>
取組例
災害ボランティアセンター立ち上げマニュ
アルの作成・更新等
災害ボランティアセンターに関わるネット
ワーク化の推進
ボランティアインフォメーションセンター設置に
向けた事業者との連携
内
容
発災時に迅速に災害ボランティアセンターが立ち上げられるようマニュアルの
整備を進めるとともに、立ち上げ訓練等を実施する。
構成団体の防災部局、ボランティア所管課、各府県社会福祉協議会の
災害ボランティア所管部署、NPO、企業及び生活協同組合等が平時から
定期的に意見交換できる場を設ける。
ボランティア向けの情報発信を行うボランティアインフォメーションセンターを設置でき
る場所を事前選定し、SA/PA や主要駅等に設置できるよう高速道
路会社や鉄道事業者との連携を図る。
【参考】災害ボランティアセンターの設置運営方式
災害ボランティアセンターの立ち上げ及び運営にあたっては、自治体により様々な方式で行
われているが、ここでは、3つの事例を示す。
区
分
行政主導型
社会福祉協議会主導型
協働プラットフォーム型
内
容
府県・市町村が中心となって設置・運営を行う。
社会福祉協議会が中心となって設置・運営を行う。
ボランティア団体、NPO等が協働で設置・運営を行う。
28
第 6 号議案
2
応援・受援体制の整備
広域連合は、大規模広域災害発生時に迅速・的確に応援・受援を実施するため、応援・受援体制
を整備するとともに、訓練・研修を通じてその改善を図る。
(1)関西広域応援・受援実施要綱の策定と運用
広域連合は、関西圏域として円滑に応援・受援を行うことを目的に、広域連合及び構成団体の
初動対応及び分野別の応援・受援活動の標準的な実施体制や活動の内容・手順等を定める「関西
広域応援・受援実施要綱」を平成 24 年度に策定した。
広域連合及び構成団体は、この要綱に基づき、災害対応を行うとともに、円滑に応援・受援を
行えるよう、あらかじめ体制整備や訓練・研修を行う。また、それらによる検証等を踏まえ、要
綱を逐次改訂することにより、要綱の実効性を高める。
(2)関西広域防災情報システムの整備
応援・受援活動を効果的に実施するためには、現地の被害状況、支援ニーズ、対応状況等に関
する情報を素早く収集し、構成団体・連携県、関係機関と確実に共有することが重要であり、そ
のための仕組みを整備する必要がある。
このため、平成 25 年度に開設した関西広域防災ポータルサイトについて、大規模広域災害発
生時に構成団体・連携県の最新の被害状況や対応状況等を自動的・効率的に集約して把握できる
よう機能向上を図るほか、構成団体等との間で災害時だけでなく平時の打ち合わせ等にも使用で
きる多地点テレビ会議システムを整備するなど、関西広域防災情報システムの整備を進める。
なお、広域防災情報システムの整備に当たっては、構成団体・連携県がそれぞれ独自の防災情
報システムを整備・運用している現状に鑑み、構成団体・連携県と協議し、既存システムを活用
しながら段階的にシステムの共通化を進めるよう配慮する。
また、通信の途絶等により情報システムが機能しない場合に備えて、最低限必要な情報の項目
とその収集・共有方法等についても検討する。
(3)被災市町村支援体制の整備
① 府県による支援体制の整備
大規模広域災害発生時には、被災市町村は、庁舎が被災するなどして行政機能が大幅に低下し、
膨大な災害対応事務の発生に対応しきれない場合があるため、構成府県は、管内の被災市町村の
支援体制の整備を進める。
ア) 被災市町村の被害状況に応じた支援体制の確保
府県は、被災市町村の被災程度に応じて、管内市町村の理解と協力を得て、応援する分野、
人数を確保し、管内市町村職員による支援体制を確保する。
イ)市町村レベルのカウンターパート方式による応援
東日本大震災において、市町村レベルのカウンターパート方式による応援(非被災市町村が
特定の被災市町村を応援)が有効であったことを踏まえ、構成府県は、管内市町村に同方式に
よる応援について要請する。
<応援業務例>
救援物資等の物的支援、避難所運営、がれき処理、被災者健康相談・避難所衛生対策、罹災
証明発行、被災住宅応急修理、税務、生活再建支援金、義援金、災害弔慰金、仮設住宅入居、
29
第 6 号議案
遺体安置所運営等
② 市町村間の連携の推進
府県は異なっても近隣の市町村が地の利を生かして被災市町村の応援を行うことにより初動
期に有効な機動的な応援が期待できる。
広域連合及び構成府県は、府県域を超える場合も含め、近隣市町村間等で相互応援協定の締結
を促進するなど、市町村間の連携を推進する。
なお、構成府県は、①イ)の市町村レベルのカウンターパート方式による応援を要請する場合
において、相互応援協定等による市町村間の対応が先行している場合は、それを踏まえたカウン
ターパートの設定を行うなど、柔軟に対応する必要がある。
(4)緊急物資の供給、備蓄体制の構築
広域連合は、構成団体と連携し、災害発生時に必要となる食料等緊急物資の供給、備蓄体制を
整備する。
① 緊急物資円滑供給システムの構築
広域連合では、災害発生時に物資に係る応援・受援を円滑に行うため、物資の集積・配送に係
る事務の内容・手順等を定める「大規模広域災害における物資集積・配送マニュアル」を平成
24 年度に策定した。
今後は、これを踏まえ、民間物流事業者の営業倉庫や物流ノウハウを最大限活用するとともに、
民間物流倉庫と連携した関西の広域防災拠点のネットワーク化を進めることにより、大規模広域
災害発生時における緊急物資の円滑供給システムを構築していく必要がある。
また、輸送手段の確保については、物資に加え、応援要員や避難者等の緊急輸送にも備えて、
バス・トラック事業者のほか海運・航空事業者、自衛隊、海上保安庁等の関係機関の協力を得て、
陸・海・空による多様な輸送手段を確保するよう努める。
なお、輸送経路の確保については、広域的な交通ネットワークの確立や緊急輸送道路の整備を
図る必要があり、国土交通省等にも働きかけつつ、これらの計画的な整備を推進する。
② 備蓄計画の策定
広域連合は、大規模広域災害発生時における関西圏域全体の備蓄の基本的な考え方、必要備蓄
物資の品目、備蓄量、備蓄場所等を定めた計画を策定する。
併せて、仮設シャワーや空調設備、各種燃料類や医薬品など備蓄になじまない物資について、
企業や業界団体等との協定に基づく流通備蓄の活用等を検討する。
(5)広域避難体制の整備
大規模広域災害発生時には、広域で多数の避難者が生じるため、被災市町村内、さらには被災
府県内でも避難者を収容しきれない可能性がある。また、状況によっては、避難が長期化する可
能性もあり、被災地においては、ライフラインの途絶やプライバシーが保持しにくい状態等によ
り厳しい避難生活が長引くことが想定される。
特に高潮災害や主要水系の洪水氾濫の影響を受けやすい海抜ゼロメートル地帯など、大規模な
浸水被害の発生により避難が必要になると考えられる地域においては、構成団体は、発生しうる
避難者数を具体的に推定し、その円滑な避難が可能となるよう、管内市町村及び広域連合と協力
して広域避難の実施体制を整備するよう努める。
30
第 6 号議案
広域連合及び構成団体は、避難先の確保とともに、避難先において避難者に対する情報提供や
支援が確実に行われるよう関係機関と連携して受入体制を整備する。
(6)事前対応計画(タイムライン)の検討
大阪湾沿岸の海抜ゼロメートル地帯で高潮等による甚大な被害を未然に防止するためには、今
後の気象の推移を予測し、被害が発生することを前提に、数日前から、水門等重要施設の巡視・
点検、地下鉄など交通機関の運休等の安全確保措置や事前の広域避難等の対応をあらかじめ時系
列で横断的にプログラム化する事前対応計画(タイムライン)の策定が有効である。
事前対応計画(タイムライン)を策定すれば、関係機関の連携が容易になるほか、事後の検証
にも活用でき、災害対応の改善につなげることも期待できる。
広域連合及び構成団体は、これまでの風水害への対応の経験と教訓を踏まえ、市町村及び関係
機関と連携し、大規模な高潮災害や主要水系の洪水氾濫等の具体的な被害想定に基づく事前対応
計画の導入を検討する。
【参考事例】米国におけるタイムラインによる災害対応
アメリカでは 2005 年のハリケーン・カトリーナなど巨大ハリケーンの対応の経験をもとに、
ハリケーンの襲来など事前に予測が可能な災害に対しては先を見越した対応により減災が可能
であるとの考え方から、被害の発生を前提に組織間が連携して事前の行動計画「タイムライン」
を定める動きが進んでいる。
2012 年のハリケーン・サンディの襲来
時には、予想上陸時間の 36 時間前に州知
事が避難勧告を発表するなど、ニュージ
ャージー州においてタイムライン式事前
行動計画が実行に移され、早期避難の実
施等が功を奏し、家屋被害の規模に比し
て、人的被害は大きく抑えられた。
我が国でも、平成 25 年 10 月の台風第
27 号の襲来時に、三重県紀宝町が初めて
試験的にタイムラインで台風対応を行う
など、導入の動きが見られる。
ニュージャージー州 ハリケーン用タイムライン
TIME LINE(タイムライン)
ACTIVITY(防災行動)
H-120(上陸120時間前) 各機関の防災行動レベルを2へ
H-96
避難所の計画と準備
H-96
住民避難の計画と準備
H-72
州知事による緊急事態宣言
H-48
防災行動レベルを3へ格上げ
H-48
郡と州の避難所準備
H-36
車による(一方通行)避難の準備
H-36
州知事による避難勧告の発表
H-36
郡と州の避難所開設
H-12
車による(一方通行)避難の開始
H-24
公共輸送機関の停止
H-12
緊急退避
H-0(上陸)
警察・消防団は活動停止・避難
(7)業務継続のための体制整備
広域連合及び構成団体は、大規模広域災害発生時でも主要な業務の継続を確保するため、自ら
の業務継続体制を整備する。また、重要なシステムやデータについてはバックアップも含め、万
全の安全対策を講じるとともに、災害対応の拠点となる施設や重要設備の浸水対策、停電対策を
推進する。
(8)訓練・研修の実施
① 広域応援訓練の実施
広域連合は、関西圏域が一体となって大規模広域災害に対処する体制を強化するため、近畿府
県合同防災訓練と連携して、構成団体・連携県及び関係機関等が参加する広域応援訓練を実施す
る。
31
第 6 号議案
また、訓練の実施に当たっては、風水害に特化した訓練の実施にも努めるとともに、近畿地方
整備局が実施している主要河川単位の防災訓練との連携を図る。
② 防災分野の人材育成
構成団体・連携県の災害対応能力の向上と、研修の実施を通じた構成団体・連携県間の相互理
解の醸成と連携の強化を図るため、広域連合は、構成団体・連携県と連携し、関西圏域の市町村
にも参加を呼びかけて、共通のプログラムによる専門的・実践的な職員研修を実施する。また、
人と防災未来センター(所在地:神戸市)や関西圏域の大学等とも連携し、風水害に固有の課題
に対応した研修を行うよう努める。
ア
広域連合共通研修の実施
構成団体防災部局職員等を対象に、共通の課題についての研修を、構成団体持ち回りにより
共同実施する。
《実施研修》
・防災部局職員基礎研修
・災害救助法実務担当者研修
イ
構成団体主催研修への他団体職員の参加
構成団体は、主催する研修について、他団体の職員が参加できるよう配慮する。
ウ
人と防災未来センターで実施する災害対策専門研修への積極的な参加
人と防災未来センターで実施している階層別の専門研修への積極的な参加を促し、構成団体
内市町村職員を含めた防災担当職員のスキルアップを図る。
《実施研修》
○ 災害対策専門研修(トップフォーラム)
・自治体の首長を対象とした研修
○ 災害対策専門研修(マネジメントコース)
・ベーシック :地方公共団体における防災・危機管理担当部局の職員のうち経験年数の
浅い者向け
・エキスパート:地方公共団体における防災・危機管理担当部局の職員向け
・アドバンスト:地方公共団体における防災・危機管理担当部局の職員のうち将来も当該
部局の幹部として期待される者向け
○災害対策専門研修(特設コース)
・図上訓練を用いた災害対策本部運営・広報コース
32
第 6 号議案
3
風水害に強い地域づくり
(1)基本的な考え方
地球規模の気候変動に伴い、集中豪雨の発生、大型台風の来襲等により、広範囲に及ぶ洪水災
害や深層崩壊を含む土砂災害、大規模な高潮災害の発生の危険性が高まってきており、これまで
の施設整備の水準を超える洪水や想定を超える高潮等への備えが必要となってきている。
このような中、風水害に強い地域づくりを効率的・効果的に進めていくためには、氾濫防止(流
す・止める)対策、流域全体での保水・遊水(貯める)対策、減災(備える)対策を効果的に組
み合わせ、河川管理者、下水道管理者、海岸管理者だけでなく、地域住民、市町村、府県、広域
連合、国、関係機関・団体が連携して、上下流一体となって総合的な取組を推進することが必要
である。
広域連合は、関西圏域全体で風水害に強い地域づくりが推進されるよう、構成団体及び連携県
と連携し、各団体の取組状況についての情報共有や先導的な取組の情報発信を行う。
<関西圏域における風水害に強い地域づくりの基本的な考え方>
氾濫防止
「流す・止める」
+
保水・遊水
「貯める」
+
減災
「備える」
① 氾濫防止(流す・止める)
水源地の山間部から海岸までの流域全体を通じた総合的な施設整備を計画的に推進すること
により、洪水、土砂災害等に対する安全性を高める。
② 保水・遊水(貯める)
流域での森林や田畑が有している保水力や遊水機能の維持に取り組むほか、公園・グラウンド
等における雨水貯留浸透機能の付加、宅地開発等における調整池の設置促進、透水性舗装の普及
等の対策を推進する。
③ 減災(備える)
整備水準を超える洪水、高潮や土砂災害が生じても、被害を最小限に抑えるため、住民が的確
に避難行動を行えるよう、避難勧告等の実効性の向上を図るとともに、洪水ハザードマップ等の
作成・充実支援、避難訓練や水防訓練等の実施、地下街等の防災体制の整備、避難行動要支援者
対策等に取り組む。
風水害に強い地域づくり
氾濫防止
保水・遊水
減災
●河川整備、下水道整備
●砂防施設整備、土砂災害対策
●防潮堤、水門整備等高潮対策
●流木対策
等
●森林の保全・整備
●農地・農業用施設の保全・整備
●雨水貯留施設整備
●透水性舗装・浸透枡等の整備
等
●確実な情報伝達の仕組みの整備
●避難勧告等の実効性の向上
●ハザードマップの作成・周知
●水防活動体制の整備
●地下街等の防災体制の整備
●避難行動要支援者対策の推進
●土地利用や住まい方の誘導
等
33
第 6 号議案
<関係主体の基本的な役割>
国の役割
国の役割
・国土保全上又は国民経済上特に重要な水系における
・国土保全上又は国民経済上特に重要な水系における
基本的な計画の策定、施策の実施
基本的な計画の策定、施策の実施
広域連合の役割
広域連合の役割
・関西圏域全体での風水害に強い地域づくりの推進
・関西圏域全体での風水害に強い地域づくりの推進
・構成団体間の調整、構成団体が推進する施策の支援
・構成団体間の調整、構成団体が推進する施策の支援
府県の役割
府県の役割
・風水害に強い地域づくりに係る基本的な計画の策定、
・風水害に強い地域づくりに係る基本的な計画の策定、
施策の実施
施策の実施
市町村の役割
市町村の役割
・地域特性を生かした計画の策定、施策の実施
・地域特性を生かした計画の策定、施策の実施
住民の役割
住民の役割
・雨水の流出抑制と浸水発生への備え
・雨水の流出抑制と浸水発生への備え
・行政が実施する施策への協力
・行政が実施する施策への協力
相互連携
(2)風水害に強い地域づくりの取組
流域が一体となった総合的な治山・治水の理念を関西圏域全体で共有し、各分野においてハー
ド対策、ソフト対策を総合的・計画的に実施し、風水害に強い地域づくりを推進する。
① 河川等対策
ア
河川対策
<ハード対策>
・構成団体(河川管理者(指定区間内の一級河川の管理の一部を行う場合を含む。以下同じ。))
は、河川整備基本方針及び河川整備計画に基づき、築堤、河道掘削、ダム等の洪水調節施
設、放水路等の整備及び維持管理を行うとともに、堤防の質的強化を図る。
・構成団体(河川管理者)は、ダム、堤防、床止め、堰、水門、樋門、揚水機場及び排水機
場等の河川管理施設の改良等を計画的に実施する。
・構成団体(河川管理者)は、管内の水防管理者(市町村)と連携し、広域的な水防活動や
災害復旧活動の拠点の整備に努める。また、水防活動拠点に情報機器を配備するとともに
ネットワークと接続するなど情報化の推進も図る。
・構成府県と市町村は連携し、洪水氾濫が発生した場合でも被害を最小化するため、輪中堤
や二線堤などの洪水氾濫拡大防止施設の整備を推進する。
<ソフト対策>
○浸水想定区域図の作成・周知
・構成府県は、水防法に基づき、洪水予報河川及び水位周知河川について、これら河川が氾
濫した場合に浸水が想定される区域等を示した浸水想定区域図を公表し関係市町村長に
通知する。
34
第 6 号議案
<水防法に基づく情報提供等の流れ>
項 目
洪水予報
対 象
大臣指定河川
事務の流れ
対象数
47
国土交通大臣
(水位の通報を含む)
流域面積が大きい河川で、洪水により重
大な損害を生ずるおそれがあるもの
共
同
通知
水位、流量を示して通知
※はん濫後は浸水区域、
水深も示して通知
一般にも周知
通知
都道府県知事
一般にも周知
市町村長
気象庁長官
知事指定河川
36
大臣指定以外の流域面積が大きい河川
で洪水により相当な損害を生ずるおそれ
があるもの
大臣指定河川
28
特別警戒水位(氾濫
危険水位)到達の通 洪水予報河川以外の一級河川(河川法9
知
条2項による指定区間外)で洪水により重
大な損害を生ずるおそれがあるもの
知事指定河川
気象庁長官
大臣指定河川
国土交通大臣
都道府県知事
水防管理者
量水標管理者
関係者
一般にも周知
通知
通知
都道府県知事
水位が特別警戒水位に達し
た旨を水位又は流量を示し
て通知、一般に周知
通知
水位が特別警戒水位に達し
た旨を水位又は流量を示し
て通知、一般に周知
75
通知
関係者
市町村長
必要な指示
地下街等の
所有者・管理者
※知事指定河川に同じ
都道府県知事
通知
指定区域、
想定水深を公表
上記、洪水予報知事指定河川と特別警
戒水位(氾濫危険水位)到達の通知知事
指定河川をあわせたもの
関係者
水防管理者
量水標管理者
関係市町村長
指定区域、
想定水深を公表
291
水防管理者
量水標管理者
市町村長
都道府県知事
国土交通大臣
知事指定河川
共同
通知
市町村長
255
上記、洪水予報大臣指定河川と特別警
戒水位(氾濫危険水位)到達の通知大臣
指定河川をあわせたもの
関係者
通報水位を超えるとき(自ら知っ
た場合を含む)
※警戒水位を超えるときは公表
避難勧告等の判断に資する
水位、流量を示して通知
洪水予報河川以外の一級河川(河川法9
条2項による指定区間内)、二級河川で洪
水により相当な損害を生ずるおそれがあ
るもの
浸水想定区域の指
定
水位の通報
水防管理者
量水標管理者
関係市町村長
必要な指示
地域防災計画への定め
・洪水予報等の伝達方法
・避難場所等避難確保に必要な事項
・地下街等、要配慮者利用施設、大規模工場
等の名称・所在地、自衛水防組織の構成員に
対する洪水予報等の伝達方法 等
地下街等の
所有者・管理者
避難確保・訓練の実施
計画の作成・自衛水防
組織の設置
ハザードマップの配布
水防警報
大臣指定河川、湖沼、海岸
72
洪水、津波又は高潮により重大な損害を
国土交通大臣
都道府県知事
通知
(水防活動を行う必要がある 生ずるおそれがあるもの
旨を警告して発表)
知事指定河川、湖沼、海岸
水防管理者
水防関係機関
274
大臣指定以外で洪水、津波又は高潮に
より相当な損害を生ずるおそれがあるもの
都道府県知事
通知
水防管理者
出動命令
出動準備命令
出動命令
出動準備命令
水防団
消防機関
水防団
消防機関
水防関係機関
○水防体制の強化、防災訓練等の実施
・構成団体は、浸水被害の軽減のため、水防体制の強化及び地域防災計画による防災訓練等
の実施に係る施策を講じる。
○既存ダムの治水機能の向上
・構成団体は、既存のダムの運用を見直し、利水容量や利水ダムの容量を一時的に治水機能
向上のために活用し、ダム下流域における洪水被害の低減を図る。
【先行事例】和歌山県における既存ダムの治水機能向上
平成 23 年 9 月の紀伊半島大水害を受け、異常洪水等が予測される際、県営ダムの利
水容量や関西電力㈱の利水ダムを一時的に治水機能向上のために活用。
○県営ダム(二川ダム、椿山ダム、七川ダム)
・計画の規模を超える洪水が予想されるときに、県が放流実施を判断し、あらかじめ
可能な限り水位を低下させ、治水機能の向上を図る。
○殿山ダム(関西電力㈱)
・下流で大きな被害を発生させる洪水が予想されるときに、県が放流実施の可能性を
判断し、県の要請により関西電力㈱が、あらかじめ治水上効果の期待できる最低の
水位まで可能な限り水位を低下させ、最大放流量の低減を図る。
35
第 6 号議案
<期待される効果>
・ 最大放流量の低減による下流河川の洪水被害の軽減
・ ダムで洪水調節可能な時間を延ばすことによる避難時間の確保(県営ダム)
○ライフライン施設の浸水被害軽減のための耐水化
・構成団体は、ライフライン施設の管理者に対し、施設の高床化、電気設備等重要設備の高
所への設置、地下部分への雨水の流入抑制等浸水被害の軽減を図る対策及びその機能の維
持(耐水化)等の実施に努めるよう働きかける。
イ
内水及び都市浸水対策
<ハード対策>
・構成団体は、排水機場の新設や増強を行うとともに、内水状況に応じて運搬設置できる可
搬式ポンプの整備を推進する。
・構成団体は、流域の保水・遊水機能を確保するため、地域の特性を踏まえつつ必要に応じ
て調整池の設置、透水性舗装の施工、雨水貯留・浸透施設の設置などを推進する。
・構成団体は、管路及びポンプ施設等の雨水排水施設の整備と合わせて、雨水の流出を抑制
するため、雨水貯留管等の雨水貯留施設や浸透桝等の雨水浸透施設の整備を推進するほ
か、ポンプ施設の耐水化やマンホール蓋の飛散防止等の防災機能の確保を図るなど、下水
道による浸水対策を促進する。また、地下施設等での防水ゲート、止水板及び逆流防止施
設の整備や、各戸での雨水貯留浸透施設の整備など自助対策の支援を図る。
<ソフト対策>
・構成政令市は内水ハザードマップを作成するとともに住民への周知を図る。構成府県は、
市町村の内水ハザードマップ作成に対して技術的助言を行う。
・ポンプで強制排水を行う際は、排水先の状況を見ながら、流域全体の安全度を考慮して、
ポンプの運転調整を行う必要がある。構成団体は、排水先の河川が増水し、堤防の決壊等
による浸水被害が発生するおそれが生じる場合に備え、ポンプの運転調整のルールづくり
に取り組む。
・構成府県は、特定都市河川浸水被害対策法に基づき、特定都市河川及び特定都市河川流域
を指定し、流域水害対策計画の策定、雨水浸透阻害行為許可制度の運用、都市浸水想定区
域の指定、都市浸水想定区域内における市町村の警戒避難体制整備に関する技術的助言等
の措置を講じることにより、浸水被害対策の総合的な推進を図る。[関西圏域における指
定河川(H26.1.20 時点)
:淀川水系寝屋川]
② 山の対策
ア
森林対策
森林は、洪水や渇水を緩和し、水質を浄化する水源かん養機能、土砂の流出や崩壊を防止
する山地災害防止機能など様々な公益的機能をもっている。
構成団体は、このような森林の公益的機能の維持・向上等を通じて、山地災害からの防備
を図る。
36
第 6 号議案
<ハード対策>
○森林整備事業(災害に強い森づくり)
・構成団体は、森林の多面的機能の発揮を図るため、森林所有者等の林業生産活動の一環と
して行われる造林、保育、間伐等の森林施策を促すほか、企業・NPO・ボランティア等と
連携し、上下流の連携による災害に強い森づくりを推進する。
【先行事例】琵琶湖における上下流連携による森づくり(滋賀県)
京阪神都市圏の水源である琵琶湖周辺の森林を下流域の京都、大阪等の都市部の水
源の森と位置づけ、下流域の都市部の住民との協働による森づくりを推進。
①NPO 法人自然と緑(大阪市)
・大津市北小松地域の「大阪市水道局の森」等で森林整備等の活動を行っている。
②NPO 法人日本森林ボランティア協会(大阪市)
・米原市醒ヶ井の霊仙山等で森林整備等の活動を行っている。
○治山事業
・構成団体は、山地災害のおそれのある地区(山地災害危険地区)等を対象に、治山ダムや
斜面の安定を図る土留工等の治山施設の整備を行うとともに、公益的機能が低下した森林
の整備を行う。
○地すべり等防止事業
・構成団体は、地すべり防止区域等における地すべり防止施設等の整備を行う。
<ソフト対策>
○保安林制度の運用
・構成団体は、水源のかん養、土砂の崩壊その他の災害の防備等を図るため、保安林を指定
し、立木の伐採や土地の形質の変更等の規制を行う。
○林地開発許可制度の運用
・構成団体は、地域森林計画対象民有林で土石の採掘や林地以外への転用などの土地の形質
の変更を伴う 1ha を超える開発行為の規制を行う。
○山地災害危険地区の周知
・構成団体は、山地災害が発生するおそれのある地区の調査を行い、住民や市町村へ情報提
供を行う。
イ
土砂災害対策
<ハード対策>
・構成団体は、砂防三法(砂防法、地すべり等防止法、急傾斜地の崩壊による災害の防止に
関する法律)に基づき調査の上、指定区域(砂防指定地、地すべり防止区域、急傾斜地崩
壊危険区域)において砂防設備、地すべり防止施設、急傾斜地崩壊防止施設の整備を行う。
37
第 6 号議案
【参考:砂防指定地、地すべり防止区域、急傾斜地崩壊危険区域】
指定区域名
砂防指定地
区域の意義
禁止・制限行為
治水上砂防のため砂防えん堤等の砂防設備が必要
工作物の新築,除去、土地の掘
と判断される土地、または一定の行為を禁止、若し
削,盛土,切土、土石の採取、竹
くは制限を行う必要がある土地について国土交通
木の伐採などの行為
大臣が指定する区域(砂防法第 2 条)
地すべり防
止区域
急傾斜地崩
壊危険区域
地すべりによる崩壊を防止するため、必要な施設
地下水を増加させる行為、地表
(排水施設、擁壁等)を設置するとともに、一定の
水の浸透を助長する行為、のり
行為を制限する必要がある土地について主務大臣
切、切土、工作物の設置など地
が指定する区域(地すべり等防止法第 3 条)
すべりの原因となる行為
傾斜度が 30 度以上かつ斜面の高さが 5 メートル以
水の浸透を助長する行為、耕作
上の箇所のうち、保全対象人家が 5 戸以上、または
物の設置又は改造、のり切、切
5 戸未満でも官公署、学校、病院、旅館等に危害が
土、掘削又は盛土、立木竹の伐
生じるおそれのある地区で、一定の行為を制限する
採、木竹の滑下又は地引による
必要がある地区について知事が指定する区域(急傾
搬出、土石の採取又は集積、そ
斜地の崩壊による災害の防止に関する法律第 3 条) の他崩壊を助長し又は誘発さ
せる行為など
<ソフト対策>
・構成府県は、土砂災害の発生を防ぎ、又は被害を最小限に抑えるため、土砂災害危険箇所の情
報を公開し、住民の土砂災害への備えを促す。
・構成府県は、土砂災害防止法に基づき、住民等の生命又は身体に危害が生ずるおそれがあると
認められる土地の区域を土砂災害警戒区域に指定し、警戒避難体制の整備を推進する。また、
建築物に損壊が生じ住民等の生命又は身体に著しい危害が生ずるおそれがあると認められる
土地の区域を土砂災害特別警戒区域に指定し、一定の開発行為の規制や建築物の構造規制を行
うとともに、建築物の移転等の勧告を行う。
・構成府県は、市町村が行う土砂災害ハザードマップの作成・周知を支援する。
・構成府県は、重大な土砂災害の急迫した危険が予想されるときは、緊急調査を行い、その結果
得られた土砂災害が想定される土地の区域及び時期に関する情報を市町村長に通知するとと
もに、一般に周知する。
【参考:土砂災害危険箇所の概要】
箇所名
土石流危険渓流
地すべり危険箇所
急傾斜地崩壊危険箇所
箇所の意義
土石流の発生する危険性があり、人家等に被害を及ぼすおそれのある渓
流
地形・地質・過去における発生の事実等から地すべりのおそれがあると
考えられる箇所
傾斜度 30 度以上、高さ 5m 以上の急傾斜地であり、人家等に被害を及ぼ
すおそれのある箇所
38
第 6 号議案
【参考:土砂災害防止法によるソフト対策の推進】
土砂災害防止対策基本指針の作成[国土交通大臣]
基礎調査の実施[都道府県]
①都道府県は、土砂災害により被害を受けるおそれのある区域の地形、地質、土地利用状況
について調査
②国は、都道府県に対して費用の一部を補助
土砂災害警戒区域の指定[都道府県知事]
(基礎調査に基づき、土砂災害のおそれのある区域等を指定)
土砂災害特別警戒区域の指定[都道府県知事]
(土砂災害警戒区域のうち、建築物に損壊が生じ、
住民に著しい危害が生じる恐れがある区域)
●特定開発行行為に対する許可制
対象:住宅宅地分譲、社会福祉施設等のための開発行為
●建築物の構造規制(都市計画区域外も建築確認の対象)
●土砂災害時に著しい損壊が生じる建築物に対する移転等の勧告
●勧告による移転者への融資、資金の確保
<警戒避難体制>
市町村地域防災計画に定め
・土砂災害に関する情報の収集・伝達、予報・警報の
発令・伝達
・避難行動要支援者関連施設への情報伝達の徹底
・ハザードマップの住民への配布
<建築物の構造規制>
・居室を有する建築物の構造耐力に関する基準の設定
(建築基準法)
<移転支援>
・住宅金融支援機構融資等
(出典)国土交通省「土砂災害防止法の概要」
ウ
流木対策
台風等の集中豪雨により、立木を巻き込んで土砂・土石が流出し、被害の規模拡大を助長す
ること、また、流木が河川を閉塞させ、施設の損壊や洪水等の氾濫を引き起こすことから、流
木対策に取り組む必要がある。
<ハード対策>
構成団体は、関係機関、市町村との連携を図り、治山事業、砂防事業、森林整備を効果的
に組み合わせた流木対策に取り組む。
(流木の発生抑制対策)
・渓畔林、河畔林管理の強化(間伐の実施、倒木の除去等)
・風倒木被害跡地斜面の復旧工事等治山施設の整備による荒廃地の復旧
(流木の流下抑制対策)
・渓流及び河道内での流木捕捉効果の高い砂防施設、治山施設(透過型堰堤)の整備
エ
農地・農業用施設対策
<ハード対策>
・構成団体は、農業生産の維持及び農業経営の安定を図るとともに、人家、宅地、ライフラ
イン等へ被害を防ぐため、老朽化したため池の改修、排水機や排水樋門等の新設及び改
修、地すべり防止施設整備等の農地防災事業を推進し、農地・農業用施設災害の未然防止
を図る。
<ソフト対策>
・構成府県は、市町村による危険なため池に関するハザードマップの作成を支援する。
③ 海の対策(高潮・波浪災害対策)
<ハード対策>
・構成団体は、高潮、波浪災害を防ぐため、海岸保全施設の整備を推進するとともに、水
39
第 6 号議案
門、陸閘等の安全かつ確実な操作を行うための自動化、遠隔化操作システム等の整備を
推進する。
・構成団体は、高潮災害を防ぐため、水門等の一元的な遠隔制御を行う津波・高潮防災ステ
ーションの整備を推進する。
<ソフト対策>
・構成府県は、円滑な水防活動及び避難促進に資するよう、水防法における高潮に係る水防
警報海岸の指定を一層進める。
・構成団体は、高潮浸水想定区域図を作成し、市町村ハザードマップに反映する。その際、
施設の整備水準を超える規模の高潮の発生、高潮と洪水の同時生起や大規模地震直後の高
潮等の複合災害、老朽化による施設の機能不全など、防護施設が機能しない不測の事態も
可能な範囲で想定するよう努める。
40
第 6 号議案
【参考】風水害に強い地域づくりの主な取組の一覧
分野
根拠法
河川 河川法
国(本省)
国(出先機関)
○ 一級河川の指定(知事等の ○ 一級河川の河川整備計画の策
意見聴取)
定(知事、市町村長の意見聴取)
○ 一級河川の河川整備基本方 ○ 一級河川(直轄管理区間)の管
針の策定
理・改修等(大規模改良:府県
○ 一級河川(直轄管理区間)改 3/10、改良:府県1/3、維持修
修等の箇所付け
繕:府県4.5/10)
○ 災害発生等に対する必要な ○ 一級河川(指定区間)の河川整
措置(指示)
備計画策定、ダム・水圧管路の
改良工事等を行おうとするときの
認可
○ 二級河川の河川整備計画作成、
河川工事に係る協議・同意
○ 一級河川の河川台帳の調製・保
管
砂防 砂防法
○ 砂防設備を要する土地等の ○ 複数府県に関わる行為規制
○ 複数府県に関わる砂防設備の管
指定
理・工事・維持(府県1/3)
地すべり等防止法 ○ 地すべり防止区域等の指定 ○ 国土保全上特に重要な地すべり
(知事の意見聴)
防止工事(知事の意見聴取、国
2/3、府県1/3)
急傾斜地の崩壊 ○ 災害発生時における緊急を
要する場合の区域指定、行
による災害の防止
為制限、工事等にかかる府
に関する法律
県への指示
土砂災害防止法 ○ 土砂災害防止対策基本指針 ○ 特に高度な専門的知識・技術を
の作成
要する緊急調査の実施、土砂災
害緊急情報の通知・周知
森林 森林法
治山
農地 土地改良法
(水田)
○ 全国森林計画・森林整備保 ○ 国有林の地域森林計画の策定
全事業計画の策定(知事の
(知事、市町村長の意見聴取)
○ 保安施設事業の実施(府県1/3
意見聴取)
以内)
○ 保安林の指定(国有林、重
要流域内の民有林)
○ 保安施設地区の指定
○ 土地改良長期計画の策定 ○ 国営土地改良事業の実施(農業
(知事の意見聴取)
用用排水施設等の整備・管理
【主に基幹部分】)(国2/3等)
○ 国営土地改良事業計画の策
定(府県と協議等)
下水道 下水道法
(雨水)
海岸 海岸法
○ 海岸保全基本方針の策定 ○ 海岸保全区域内の行為制限(海
○ 災害発生等に対する必要な
岸管理者の許可)
○ 重要な海岸保全施設の新設、改
措置(指示)
良、災害復旧工事(建設費:国
2/3、地方公共団体1/3等)
○ 海岸保全区域台帳の調製・保管
防災 災害対策基本法 ○ 防災基本計画の作成
その他
水防法
都市計画法
建築基準法
○ 洪水予報河川等の指定
○ 浸水想定区域の指定図
府県
市町村
○ 二級河川の指定(市町村長の意 ○ 準用河川の指定
見聴取)
○ 一級河川・二級河川の管理・改
修等(河川管理者と協議、改良:
○ 二級河川の河川整備基本方針・
河川整備計画の策定(国と協議
国1/3等)
+同意、市町村長の意見聴取) ○ 準用河川の河川台帳の調製・保
○ 一級河川(指定区間)の管理・改
管
修等(緊急河川:国2/3、再度災
害防止・大規模改良:国5.5/10、
その他改良:国1/2)
○ 二級河川の管理・改修等(改良:
国1/2以内)
○ ダム等に係る改良工事等(国と協
議)
○ 二級河川の河川台帳の調製・保
管
○ 砂防指定地の行為規制(知事の
許可)
○ 砂防設備の管理・工事・維持(緊
急砂防:国2/3、再度災害防止
等:国5.5/10、その他:国1/2)
○ 砂防台帳の調製・保管
○ 地すべり防止工事基本計画の作 ○ 関連事業計画の作成
成(市町村長の意見聴取)
○ 市町村長への関連事業計画作
成の勧告
○ 地すべり防止区域内の行為制限
(知事の許可)
○ 地すべり防止工事(国1/2、府県
1/2)
○ 地すべり防止区域台帳の調製・
保管
○ 急傾斜地崩壊危険区域の指定
(市町村長の意見聴取)
○ 急傾斜地崩壊危険区域内の行
為制限(知事の許可)
○ 急傾斜地崩壊防止工事の施行
(国1/2、府県1/2)
○ 土砂災害警戒区域、土砂災害特 ○ 土砂災害警戒区域内の警戒避
別警戒区域の指定
難体制の整備等の実施
○ 土砂災害防止対策のための基礎 ○ 土砂災害ハザードマップの作成
調査の実施
配布
○ 緊急調査の実施、土砂災害緊急
情報の通知・周知
○ 土砂災害特別警戒区域内の特
定開発行為制限(知事の許可)
○ 民有林の地域森林計画の策定 ○ 市町村森林整備計画の策定(知
(国と協議+同意)
事と協議)
○ 保安林(重要流域以外の民有
○ 無届伐採が行われた場合の造林
林)の指定
命令
○ 保安林における行為制限(知事 ○ 所有者が不明の場合を含む要間
の許可)
伐森林の施業代行者の指定
○ 地域森林計画の対象民有林に
おける開発行為の許可(市町村
長の意見聴取)
○ 保安林台帳の調整・保管(国1/2
以内)
○ 保安施設事業の実施(国2/3以
内)
○ 所有者が不明の場合を含む要間
伐森林に係る特定所有権・特定
利用権取得の裁定
○ 府県土地改良事業計画の策定 ○ 市町村土地改良事業計画の策
(市町村と協議等)
定(府県へ報告)
○ 府県土地改良事業の実施(農業 ○ 市町村土地改良事業の実施(農
用用排水施設等の整備【主に支
業用用排水施設等の整備・管理
線部分】及び管理【主にダム等】)
【主に末端部分】)(国1/2等)
(国1/2等)
○ 流域別下水道整備総合計画の ○ 公共下水道の設置、改築、修
策定(複数府県にわたる水系に
繕、維持その他の管理(建設費:
係る河川等については国と協議) 国1/2、府県1/2等)
○ 流域下水道の設置、改築、修
○ 公共下水道事業計画の策定(府
繕、維持その他の管理(建設費:
県に協議)
○ 内水ハザードマップの作成配布
国1/2、府県1/2等)
○ 流域下水道事業計画の策定(国
と協議)
○ 海岸保全基本計画の策定(市町 ○ 海岸保全区域内の行為制限(海
村長の意見聴取)
岸管理者の許可)
○ 海岸保全区域の指定
○ 知事が指定した海岸保全施設の
新設、改良、災害復旧工事(建
○ 海岸保全区域内の行為制限(海
岸管理者の許可)
設費:国1/2、市町村1/2等)
○ 海岸保全施設の新設、改良、災 ○ 海岸保全区域台帳の調製・保管
害復旧工事(建設費:国1/2、府 ○ 高潮ハザードマップの作成配布
県1/2等)
○ 海岸保全区域台帳の調製・保管
○ 府県地域防災計画の作成
○ 市町村地域防災計画の作成
○ 避難指示、勧告
○ 府県水防計画の策定
○ 水防計画の策定
○ 洪水予報河川等の指定
○ 水防活動の実施
○ 浸水想定区域の指定
○ 洪水ハザードマップの作成配布
○ 区域区分の指定(市街化区域・
市街化調整区域)
○ 災害危険区域の指定
○ 災害危険区域の指定
41
第 6 号議案
(3)風水害に強い地域づくりを推進する先導的な取組
① 風水害に強い地域づくりを推進する条例等の制定
近年多発している台風や局地的大雨等による浸水被害の軽減に向けて、市町村や住民等との連携の
もと、氾濫防止対策に加えて各地域の特性を踏まえた保水・遊水対策と減災対策を効果的に組み合わ
せた風水害に強い地域づくりを総合的に推進するため、基本となる条例等を定める動きが見られる。
構成団体は、先行事例を踏まえ、こうした条例等の制定を検討する。
【先行事例】兵庫県及び滋賀県の条例
区分
総則
地域総合治水
推進計画
河川下水道対策
流域対策
減災対策
審議会
兵庫県総合治水条例
○基本理念、県・市町・県民の責務
○計画地域ごとに総合治水推進協議会の意
見を聴いて総合治水推進計画を策定
○河川の整備、下水道の整備
○調整池の設置・保全(1ha以上の開発行為
を行う場合の技術的基準に適合する調整
池(重要調整池)の設置義務、指定調整池
の指定)
○土地等の雨水貯留浸透機能の付加・維持
(指定雨水貯留浸透施設の指定)
○貯水施設の雨水貯留容量の確保
(指定貯水施設の指定)
○ポンプ施設の適切な操作
(指定ポンプ施設の指定)
○農地等の遊水機能の維持
○森林の整備及び保全
○浸水が想定される区域と水深を公表
○浸水による被害の軽減のための情報提供
体制の整備
○訓練の実施
○建物等の耐水機能の付加・維持
(指定耐水施設の指定)
○浸水による被害からの早期の生活の再建
―
滋賀県流域治水の推進に関する条例
○基本理念、県・県民・事業者の責務
―
○河川の整備(浸水により著しい被害を生ずる
おそれがある区域では特に配慮)
○森林・農地の雨水貯留浸透機能の確保
○公園等の雨水貯留浸透機能の確保
○想定浸水深(地先の安全度マップ)を設定
○浸水警戒区域の指定、浸水警戒区域におけ
る建築規制(浸水警戒区域で住居等を建築
する場合は想定水位よりも高い位置に安全
な避難空間があることを確認、立入検査)
○区域区分に関する都市計画の決定・変更
(10年確率降雨で想定浸水深50cm以上の
区域は市街化区域へ新たに編入しない
(対策が講じられる場合を除く))
○盛土構造物の設置等に対する配慮等
○避難に必要な情報伝達体制の整備等
○市町への必要な支援
○浸水時における避難等
○宅地建物取引業者の宅地等売買時等の水
害リスクの情報提供
○調査研究の推進等
○教育、訓練等
○浸水被害の回避・軽減に関する学習等
○水害に強い地域づくり協議会(浸水被害の
回避または軽減に関する事項等を検討)
○滋賀県流域治水推進審議会(浸水警戒区域
の指定、流域治水の推進に係る調査審議)
42
第 6 号議案
雑則
罰則
施行日
○立入検査
○条例の適用除外
○委任
○重要調整池の設置等の義務違反に対する
罰則
○平成24年4月1日(重要調整池に関する規定
は平成25年4月1日)
○財政上の措置
○施策実施状況の議会への報告
○市町条例との関係
○建築規制に関する義務違反に対する罰則・
過料(当分の間適用しない)
○平成26年3月31日(浸水警戒区域における建
築規制に関する規定等は公布日から1年以
内、宅建業者の情報提供努力義務規程は6
月以内に施行)
※この他、大阪府「今後の治水対策の進め方」の策定(H22.6)等が行われている。
② 住民の避難行動や住まい方に資する水害リスク情報の提供
構成団体は、風水害の発生のおそれのある土地の区域について、地域住民の防災意識を高め、災害
発生時の迅速な避難に役立てるとともに、安全な住まい方の検討に資するため、浸水実績、浸水予想
区域及び土砂災害危険箇所、過去の避難実績等の水害リスク情報のわかりやすい提供に努める。
【先行事例】滋賀県「地先の安全度マップ」の概要
目的:自宅や勤め先等の水害リスクを住民と共有するツールとして滋賀県が開発。大河川に
加え、中小河川や身近な水路が溢れた場合の浸水状況を地域住民に示すことにより命
を守るための避難行動や住まい方につなげてもらう。
範囲:山間部を除く滋賀県全域
種類:①浸水深図…大雨が降った場合に想定される浸水深さを図示
(雨の規模は、1 回/10 年,1 回/100 年,1 回/200 年の 3 種類)
②流体力図…大雨が降った場合に想定される水の流れの強さを図示
③被害発生確率図…大雨が降った場合に生じる被害の起こりやすさを図示
③ 地域の災害履歴情報の収集・共有
風水害は同じ場所で繰り返し起こることが多いため、風水害対策を考える場合は、過去にその場所
でどのような風水害が起きたかを知ることが重要である。
このため、広域連合及び構成団体は、市町村及び住民と協力して地域の災害履歴情報を収集し、共
有する取組を検討する。検討に当たっては、昔と今の地形や土地利用の変化の状況も整理し、特に災
害経験の少ない住民に情報共有が図れるよう努める。
43
第 6 号議案
【先行事例1】滋賀県水害情報発信−水害の記録と記憶−
目的:水害体験者が減少し「過去の水害の履歴」が入手しにくい状況になっているため、
地域の水害の「記録と記憶」を収集し、WEB 上で水害情報を視覚的に提供する。
作成主体:滋賀県(水害体験者の聞き取り調査を実施するとともに、先人の知恵や水害
写真を募集し、
「みんなでつくるデータベース」として充実を図る。)
運用開始:平成 21 年度 [URL]http://www.pref.shiga.lg.jp/h/ryuiki/hanran/
【先行事例2】四国災害アーカイブス
目的:過去に四国各地で発生した主要な災害に関する情報を収集、整理し、地域防災力
の向上に向けて、多数の人々に活用してもらえるように WEB 上で情報提供する。
作成主体:一般社団法人四国クリエイト協会(四国災害アーカイブス事業検討委員会(委
員長:村上仁士徳島大学名誉教授)を設置して検討)
部分運用開始:平成 24 年 7 月、本格運用開始:平成 26 年 4 月
[URL]http://www.shikoku-saigai.com/
④ 風水害に強い土地利用の検討
水害リスクの認められる地域における被害軽減のための土地利用規制(建築規制を含む。)に
ついては、有効性、実現性、費用等について他の手段との比較考量を行うとともに、当該地域の
振興やまちづくりの観点も含めて検討を行う必要がある。
広域連合は、構成団体・連携県と連携し、中長期の課題として、被害軽減のための土地利用規
制に係る先行事例の情報収集・共有を行いながら、風水害に強い土地利用や住まい方への誘導に
向けた検討を行う。
(4)関西圏域最大の流域−琵琶湖・淀川水系における取組
① 水系の概要
淀川は、その源を滋賀県山間部に発する大小支川を琵琶湖に集め、大津市から河谷状となって
南流し、桂川と木津川を合わせて大阪平野を西南に流れ、途中神崎川と大川(旧淀川)を分派し
て大阪湾に注ぐ、幹川流路延長 75km、流域面積 8,240 ㎞
2
の一級河川である。流域は、三重、
滋賀、京都、大阪、兵庫、奈良の 2 府 4 県にまたがる。
水系は、大きく、①琵琶湖及びその流入支川、②瀬田川・宇治川、③木津川、④桂川、⑤三川
合流後の淀川、⑥神崎川、⑦猪名川から構成される。
② 水系の特徴
ア 三川合流部
宇治川・木津川・桂川という流域面積の大きい 3 つの川が合流し、その下流
部の淀川では特に人口資産が集中している。
イ
狭窄部上流
木津川・桂川・猪名川の上流には、狭窄部(岩倉峡、保津峡、銀橋周辺)が
あり、上野盆地、亀岡盆地及び多田盆地はその狭窄部により洪水が流れにく
く、下流への流量増を抑制していることから浸水が生じやすい。下流域に比
べて治水安全度が昔から低い地域である。
ウ
琵琶湖
琵琶湖は広大な湖沼であり、流入する一級河川 118 本に対し、流出する河川
が瀬田川のみであることから、一旦水位が上昇すると高い水位が長時間継続
し広範囲に浸水被害が発生する。
44
第 6 号議案
③ 流域管理の総合的検討の必要性
関西圏域最大の流域である琵琶湖・淀川水系については、上記のような流域の特徴から、上流
部の治水安全度を向上させるため狭窄部の開削等の河川改修を行うと、下流部の市街地の治水安
全度が低下することから、特に上下流のバランスに配慮した河川改修が求められるほか、治水以
外にも上下流の利害がトレードオフの関係になる問題を抱えている。
また、多様な主体が関わる流域の問題は、河川整備をはじめとする治水や防災・減災、利水、
環境保全、地域振興など多様な観点から横断的に考えていく必要がある。
このため、広域連合において、有識者による研究会を設置する等により、関係府県・市町村と
も連携し、琵琶湖総合開発事業(昭和 47∼平成 9 年)などこれまでの取組の経緯や、流域にお
ける土地利用の変化とこれに伴う地域の災害リスクの変化も考慮しつつ、流域の様々な課題と今
後の取組の方向性を改めて確認するための取組を行う。
淀川流域図
45
第 6 号議案
【参考1】淀川水系河川整備計画(計画期間:概ね 30 年間)の考え方
① 治水・防災対策の基本的な考え方
いかなる洪水に対しても氾濫被害をできる限り最小化する施策をハード、ソフトの両面にわ
たって推進する。この際、
「一部地域の犠牲を前提としてその他の地域の安全が確保されるも
のではなく、流域全体の安全度の向上を図ることが必要」との考えを基本に流域が一体となっ
て対策を講じる。
(H21.3.31 近畿地方整備局「淀川水系河川整備計画の概要」より抜粋)
② 具体的な取組
<ハード対策>
人口、資産が高度に集積している淀川流域の平野部での堤防決壊による壊滅的な被害をでき
る限り回避することを基本に、中上流部の河川改修と合わせて、下流部の流下能力増強につな
がる橋梁改築を実施し、さらに洪水調節施設の整備を行う。また、各支川の狭窄部及びその上
流の河川改修を、下流の災害リスクを増大させないよう上下流バランスを確保しながら進め
る。実施に当たっては、全川にわたって存在する脆弱な堤防箇所の強化を図るとともに、淀川
下流部においては、まちづくりと合わせて高規格堤防を整備する。これらを実施することによ
り、戦後実際に経験した全ての洪水を水系全体で川の中で安全に流下させることができるよう
にする。
(H21.3.31 近畿地方整備局「淀川水系河川整備計画」より要約して抜粋)
《上下流バランスを確保して進める「川の中」の対策》
区分
淀川本川
宇治川
桂川
木津川
神崎川
猪名川
主な事業
洪水の流下を阻害している阪神電鉄なんば線橋梁の改築事業を完成させる。また中・
上流部の河川改修の進捗と整合を取りながら洪水調節施設(川上ダム、天ヶ瀬ダム再
開発、大戸川ダム)を順次整備する。なお、大戸川ダムの本体工事については中・上
流部の河川改修の進捗状況とその影響を検証しながら実施時期を検討する。
塔の島地区における河道整備及び天ヶ瀬ダム再開発事業による天ヶ瀬ダムの放流能
力の増強を行う。
大下津地区において継続して引堤を実施するほか、淀川本川の治水安全度を低下させ
ず、段階的かつ早急に大下津地区並びにその上流区間において河道掘削を実施する。
上野遊水地と川上ダムを完成させるとともに、上野地区の河川改修及び島ヶ原地区の
築堤等を実施する。
川西・池田地区における築堤・護岸及び河道掘削を実施し、それが完了次第、下流の
治水安全度を低下させない範囲で狭窄部の開削を実施する。
(H21.3.31 近畿地方整備局「淀川水系河川整備計画の概要」より抜粋)
<ソフト対策>
・関係者の連携による危機管理体制の構築 等
「水害に強い地域づくり協議会」の概要
目的:いかなる洪水に対しても氾濫被害をできる限り最小化するため、施設能力を上回る洪
水の発生を想定し危機管理体制を構築・強化する。
構成:河川管理者、自治体、住民等
活動:関係者の連携のもと、以下の3つの観点から危機管理施策を検討・実施
1)自分で守る(情報伝達、避難体制整備)
2)みんなで守る(水防活動、河川管理施設運用)
3)地域で守る(まちづくり、地域整備)
46
第 6 号議案
【参考2】琵琶湖の防災機能について
流域面積の約 47%を占める琵琶湖は、淀川水系における利水、環境はもとより、治水におい
ても重要な役割を果たしている。
琵琶湖から流出する河川は瀬田川のみであることから、特に琵琶湖の水位と琵琶湖から下流へ
の流量を調節する瀬田川洗堰の操作は、琵琶湖周辺と下流の治水、利水に大きな役割を果たして
いるが、洪水時の全閉操作など上下流の利益が相反する課題も多く、近年は琵琶湖周辺への環境
への影響も指摘されている。
(瀬田川洗堰の操作と琵琶湖の水位管理の現状)
現在の瀬田川洗堰は、平成3年度に改
(図1)瀬田川洗堰操作規則に基づく琵琶湖の水位管理図
築されたものであり、平成4年度に策定
された操作規則に基づき、非洪水期
(10/16∼6/15)には基準水位+0.30m 以
下を維持し、洪水期(6/16∼10/15)には
琵琶湖の水位をあらかじめ基準水位
-0.20m 又は-0.30m に下げることで、洪水
時の最高水位を下げるようにしている
(図1)
。
琵琶湖・淀川水系では、洪水時には木津
(図2)琵琶湖水位と淀川流量の関係
川、桂川等の流量が先に増大し、続いて淀
時間差をもって琵琶湖水位がピークを迎え
るという特性がある。この特性を活かし、
下流部が危険な時は、下流の洪水防御のた
←水位・流量
川本川の水位がピークを迎え、その後ある
めに、瀬田川洗堰は放流制限もしくは全閉
操作を行い、その後下流部の洪水がピーク
を過ぎた後、上昇した琵琶湖水位を速やか
に低下させるために瀬田川洗堰を全開して
出典:淀川水系河川整備計画(H21.3 近畿地方整備局)
琵琶湖からの後期放流を行うこととしている
(図2)
。
(瀬田川洗堰の操作に関する議論の経緯)
しかし、下流の洪水防御のために瀬田川洗堰の放流制限もしくは全閉操作を行うことは、少な
からず琵琶湖水位に影響することから、国土交通省が策定した淀川水系河川整備基本方針におい
ては、「流域全体の治水安全度の向上を図る観点から、所要の堤防等の整備や洪水調節施設の整
備を行った後、下流に影響を及ぼさない範囲で、原則として瀬田川洗堰の全閉操作は行わないこ
ととし、洪水時においても洗堰設置前と同程度の流量を流下させる」と明記されている。
また、操作規則策定時に、滋賀県は建設省(現国土交通省)に対し、放流制限又は全閉操作に
よって上昇した琵琶湖水位を下げるために必要な後期放流時の流量を増大させるための施設整
備(天ヶ瀬ダム再開発、瀬田川及び宇治川の河川改修等)を速やかに実施するよう求めているが、
現時点においても、その整備は途上であり、早急な対応が求められる。
47
第 6 号議案
なお、琵琶湖周辺では、操作規則に基づき琵琶湖の水位操作を行うこととなったことにより、
コイ・フナ等の仔稚魚の生息の場であるヨシ帯の干出など生態系への影響や、高水位時の砂浜の
浸食や漁業への支障、低水位時の船舶航行への支障や湖辺への水草漂着等による悪臭や景観悪化
など、生活や産業面での影響も指摘されている。
こうしたことから、国土交通省では、洪水期前に、降雨による水位上昇後、湖辺のヨシ帯が冠
水する時間を増加させるなど自然の水位変動を踏まえた試行操作が行われている。
【参考3】平成 25 年台風第 18 号の対応
○平成 25 年台風第 18 号の概要
9 月 13 日に発生した台風第 18 号は、発達しながら日本の南海上を北上し、14 日には強風域
が半径 500km を超える大型の台風となった。関西圏域では、台風の接近・通過に伴って、前線
や台風周辺から流れ込む湿った空気と台風に伴う雨雲の影響から、雨域が居座り、長時間にわ
たり強い降雨をもたらした。
このため、気象庁は 16 日午前 5 時 5 分に福井、滋賀、京都 3 府県に運用開始後初めての大
雨特別警報を発表した。3 府県のアメダス観測 42 地点のうち、最大 24 時間降水量で 18 地点、
最大 48 時間降水量で 15 地点が観測史上 1 位を更新した。
関西圏域内では死者・行方不明者 5 人、家屋浸水 7,570 棟の被害が発生した。
○ダムの効果
台風第 18 号の接近・通過に際しては、河川水位の上昇に対応し、近畿地方整備局により統
合管理の行われている淀川水系の各ダムにおいて洪水調節(防災操作)が実施された。これに
よりダム下流の支川(宇治川・木津川・桂川)の水位低下、洪水被害の軽減が図られるととも
に、堤防を越流した桂川下流の水位低下が図られた。
特に天ヶ瀬ダム、日吉ダムでは、流入量が非常に大きかったことから、ダムの容量を最大限
活用して洪水を貯留する調節操作が行われ、下流への流量を低減した。これにより京都市街地
での甚大な氾濫被害の発生が防止されたものと考えられる。
瀬田川下流の宇治川では、天ヶ瀬ダム流域で洪水調節開始流量を上回る流入があったため、
16 日午前 3 時頃から約 12 時間、41 年ぶりとなる瀬田川洗堰の全閉操作が行われた。
琵琶湖では、流入河川の水位ピークから約 1 日程度遅れの 17 日午前 7 時頃、水位がピーク
となり(瀬田川洗堰の全閉による琵琶湖水位の上昇は約 10cm 程度と推定)
、沿岸部で内水被害
が発生した。下流河川の状況を見ながら、速やかに瀬田川洗堰では中間操作、次いで全開放流
に移行し、琵琶湖水位を低下させた。
○下水道の効果
宇治川・木津川・桂川・由良川等の水位上昇により多くの支川等での自然流下が困難になっ
たことから、下水道の雨水貯留施設・雨水排水ポンプも浸水被害の軽減に効果を発揮した。
特に、桂川右岸流域下水道雨水北幹線では、供用開始後初めて満管に達し、約 10.7 万 の
雨水を貯留することにより京都府向日市等における浸水被害を軽減させた。
48
第 6 号議案
4
住民避難の実効性の向上
(1)防災気象情報の改善
平成 16 年の風水害の多発等を踏まえ、気象庁において防災気象情報の改善が進められてきた。
平成 17 年には、大雨による土砂災害のおそれがある場合に市町村長が避難勧告を発令する際の
判断や住民の自主判断の参考となるよう、土砂災害警戒情報の運用が開始され、平成 20 年 3 月
までに全国展開を完了した(図1)
。
また、国土交通省又は府県が河川ごとに発表する洪水予報は、平成 19 年 4 月から、市町村や
住民がとるべき避難行動等との関連が理解しやすいように、各種の水位を氾濫の危険度にあわせ
て分かりやすい表現に改善する等の見直しが行われた。また、平成 26 年 4 月には、越水、溢水
に対する対応として、洪水予報河川等における基準水位に係る位置づけの見直しが行われた。
(図
2)
。
さらに、平成 22 年 5 月から気象に関する警報・注意報を市町村ごとに発表するとともに、警
戒が必要な災害の種類を表題に明示するよう改善を実施している(図3)
。
市町村では、これらの防災気象情報を適切に活用して、避難勧告等の防災活動を通じた災害の
予防・軽減等の推進が求められている。
(図1)気象台が発表する防災気象情報(大雨の場合)と市町村や住民の対応例
49
第 6 号議案
(図2)河川水位情報と市町村・住民に求める行動との対応関係
レベル
水位
洪水予報指定河川
水位周知河川
氾濫の発生
○○川氾濫発生情報
市町村・住民に求める行動
5
(
危
険
)
4
(
氾濫危険水位
(特別警戒水位)
○○川氾濫危険情報
・市町村は避難勧告
等の発令を判断
・住民は避難を判断
避難判断水位
○○川氾濫警戒情報
・市町村は避難準備
情報発令を判断
・住民は氾濫に関す
る情報に注意
警
戒
(
避難判断水位に達した場合、または一定時間後に
氾濫危険水位に到達することが見込まれる場合
注
意
)
2
(状況によっては
避難指示の発令)
避難勧告等の
発令
)
3
・逃げ遅れた住民の救助等
・新たに氾濫が及ぶ区域の住民の避難誘導
1
氾濫注意水位
(警戒水位)
○○川氾濫注意情報
水防団待機水位
(通報水位)
水防警報
避難準備情報の
発令
・水防団出動
水防団待機
(出典)中央防災会議「災害時の避難に関する専門調査会」(H24.3)に基づき作成
※平成 26 年度の洪水予報河川等における基準水位の位置付けの見直しでは、「避難判断水位」を市町村
長の避難勧告等の発令判断の目安から避難準備情報発表の目安に改め、「氾濫危険水位」を市町村長
の避難勧告等の発令判断の目安と位置付けることとなった。この見直しに伴い、水防法第 13 条の規定に
基づく水位周知河川における特別警戒水位(従来、避難判断水位に該当するものとされていたが、この
見直しに伴い、氾濫危険水位に該当することとなる。)について、一部の河川で見直しを行う必要が生じる
場合がある(平成 27 年度の出水期を目途に実施)。
(出典)国土交通省
(図3)気象警報等の種類と市町村・住民の対応例
気象警報等の種類
大雨
(土砂災害) (浸水害)
注意報
(災害の起こる
おそれ)
警報
(重大な災害の
起こるおそれ)
大雨注意報
大雨
警報
大雨
警報
(土砂災害)
(浸水害)
土
砂
災
害
特別警報 警
大雨
大雨
(重大な災害の 戒 特別警報 特別警報
起こるおそれが 情
(土砂災害) (浸水害)
著しく大きい) 報
洪水
暴風
高潮
波浪
洪水
高潮
波浪
強風
注意報 注意報 注意報 注意報
市町村の対応
住民の行動
・担当職員の連絡態勢確立
・気象情報や雨量の状況を収集
・注意呼びかけ
・警戒すべき区域の巡回
・気象情報に気をつける
・テレビ、ラジオ、気象庁HP等から
最新の気象情報を入手
・窓や雨戸など家の外の点検
・避難場所の確認
・非常持出品の点検
・避難の準備をする
・危険な場所に近づかない
・日頃と異なったことがあれば市役
所などへ通報
・暴風警報については、安全な場
所に退避
・早めの自主避難、又は市町村の
勧告・指示による避難
・直ちに命を守る行動をとる(避難
場所へ避難するか、外出することが
危険な場合は家の中で安全な場所
にとどまる)
洪水
警報
暴風
警報
高潮
警報
波浪
警報
・警報の住民への周知
・避難場所の準備、開設
・必要地域に避難準備情報
・応急対応態勢確立
・必要地域に避難勧告・指示
・避難の呼びかけ
―
暴風
特別
警報
高潮
特別
警報
波浪
特別
警報
・特別警報が発表され非常に危険
な状況であることの住民への周知
・直ちに最善を尽くして身を守るよう
住民に呼びかけ
50
第 6 号議案
(2)特別警報の導入と運用改善
平成 25 年度の気象業務法の改正により、警報の発表基準をはるかに超える異常な現象が予想
され重大な災害の 起こるおそれが著しく 大きい場合に特別警報が発表されることとな り
(H25.8.30 施行)
、平成 25 年 9 月 15,16 日の台風第 18 号の際に福井、滋賀、京都 3 府県に全国
で初めて特別警報(大雨特別警報)が発表された。
大雨特別警報は、府県程度の広がりで 50 年に一度の値となる降雨が予想される場合に発表さ
れる。しかし、平成 25 年 10 月 15,16 日の台風第 26 号の際は、府県程度の広がりが見られなか
ったため、記録的豪雨により大規模な土砂災害が発生した伊豆大島(東京都)には発表されなか
った。
今後、島嶼部において特別警報級の警戒が必要と判断されるときは、気象庁から市町村長に直
接電話連絡することとなり、連絡体制が整備されることとなった。
【特別警報(暴風雪及び大雪を除く。)の基準】
現象
特別警報の基準
大雨
台風や集中豪雨により数十年に一度の降雨量となる
大雨が予想され、若しくは、数十年に一度の強度の
台風や同程度の温帯低気圧により大雨になると予想
される場合
暴風
高潮
波浪
過去の対象事例
H24九州北部豪雨(死者・行方不明者32人)
H23台風12号(死者・行方不明者98人)
H21熱帯低気圧及び台風9号(死者・行方不明者27人)
H16前線及び台風23号(死者・行方不明者98人)
暴風が吹くと予想される場合 S36第二室戸台風
(死者・行方不明者202人)
数十年に一度の強度
S34台風15号(伊勢湾台風)
の台風や同程度の温 高潮になると予想される場合
(死者・行方不明者5,000人以上)
帯低気圧により
S09室戸台風
高波になると予想される場合 (死者・行方不明者3,000人以上)
【特別警報(暴風雪及び大雪を除く。)の指標】
特別警報
要因
大雨
雨
指標
以下①又は②いずれかを満たすと予想され、かつ、更に雨が降り続くと予想される場合。
①48時間降水量及び土壌雨量指数※1において、50年に一度の値以上となった5km格子が、共に
府県程度の広がりの範囲内で50格子以上出現。
②3時間降水量及び土壌雨量指数※1において、50年に一度の値以上となった5km格子が、共に
府県程度の広がりの範囲内で10格子以上出現(ただし、3時間降水量が150mm※2以上となった格
子のみをカウント対象とする)。
※1:降った雨が土壌中に貯まっている状態を表す。この値が大きいほど、土砂災害発生の危険性が高い。
※2:1時間50mmの雨(滝のようにゴーゴー降る、非常に激しい雨)が3時間続くことに相当。
大雨
暴風
高潮
波浪
「伊勢湾台風」級(中心気圧930hPa以下又は最大風速50m/s以上)の台風や同程度の温帯低気
台風等 圧が来襲する場合。ただし、沖縄地方、奄美地方及び小笠原諸島については、中心気圧910hPa
以下又は最大風速60m/s以上とする。
【警報及び特別警報の伝達の流れ】
特別警報では、府県には市町村への通知が、市町村には住民等への周知が義務付けられている。
都道府県
気
象
庁
消防庁
NTT東西
市
町
村
住
民
・
官
公
署
日本放送協会
〔摘要〕
義務
特別警報の場合は義務、警報の場合は努力義務
努力義務
51
第 6 号議案
(3)ハザードマップの作成・充実支援
ハザードマップは、住民が安全確保行動を取る上で不可欠であるため、未作成の市町村は早急に作
成を行う必要があり、作成済の市町村にあっても、河川氾濫だけでなく内水氾濫の危険性も盛り込ん
だマップに修正する等充実を図る必要がある。
構成府県は、市町村がハザードマップの作成・充実に取り組むよう働きかけるとともに、必要な支
援を行う。
【各種ハザードマップ】
種類
洪水
内水
土砂
災害
高潮
定 義
破堤、氾濫等の浸水情報及び避難に関する情報を住民に
分かりやすく提供することにより人的被害を防ぐことを主な
目的として市町村長が作成主体となって作成され、①浸水
想定区域、②避難情報が記載されているもの。
内水による浸水に関する情報及び避難に関する情報を住
民に分かりやすく提供することにより、内水による浸水被害
を最小化することを目的として作成され、住民を円滑に避
難・誘導するための機能や内水による浸水に関する情報の
共有ツールとしての機能のほか、住民の自助及び共助を促
す機能等を有するもの。
土砂災害警戒区域及び土砂災害特別警戒区域並びにこれ
らの区域における土砂災害の発生原因となる自然現象の種
類(急傾斜地の崩壊、土石流、地滑り)を表示した図面に、
①土砂災害に関する情報の伝達方法、②急傾斜地の崩壊
等のおそれがある場合の避難地に関する事項、③その他の
警戒区域における円滑な警戒避難を確保する上で必要な
事項を記載したもの。
浸水予測区域(地震や台風が発生した場合に浸水が予測
される範囲)を地図に示したものと、必要に応じて付加的な
防災関連情報を加えたもの。住民に災害の危険度・避難場
所・避難経路等の情報を提供する①住民避難用ハザードマッ
プと、災害に対する予防対策、応急対策等を行う各行政部
署がそれぞれの業務を検討するための②行政検討用ハザー
ドマップに大別して作成。
策定義務
ガイドライン
あり(水防法 洪水ハザードマップ作成
第 15 条)
の手引き(国土交通省
水管理・国土保全局)
なし
内水ハザードマップ作成
の手引き(案)(国土交
通省下水道部)
あり(土砂
災害防止
法第 7 条)
土砂災害ハザードマップ
作成のための指針と解
説(案)(国土交通省砂
防部砂防計画課・国土
技術政策総合研究所
危機管理技術研究セン
ター)
津波・高潮ハザードマップ
マニュアル(内閣府、農林
水産省、国土交通省)
なし
【先行事例】兵庫県地域の風水害対策情報(CGハザードマップ)
兵庫県では、防災意識の向上を図り、災害時に県民がより的確に行動できることを目指し、ハ
ザードマップやリアルタイム情報等の役立つ情報を、県のホームページで公開している。
《平時》
①5つの自然災害(洪水、土砂災害、津波、
高潮、ため池災害)の浸水エリアや危険
個所、避難に必要な情報を表示。
②駅や公共施設等の主要地点において、災
害危険度のイメージをコンピュータ・グ
ラフィックス等で確認。
③災害の恐ろしさや避難時の留意点等を学
ぶ「防災学習」を掲載。
④作図機能を用い、地域の防災マップの作
成が可能。
《災害時》
①災害時に役立つリアルタイム情報(雨量、
水位、カメラ画像等)や避難所情報を表示。
②気象情報に加え、各種観測情報(河川、
道路、土砂災害、潮位)を一元的に提供。
52
第 6 号議案
(4)市町村による避難勧告等の実効性の向上促進
① 避難勧告等発令支援情報の伝達
市町村は、避難勧告・指示を行う場合や屋内での待避等の安全確保措置を指示しようとする場
合は、国土交通省、気象庁、府県等に助言を求めることができる。
構成府県は、市町村から助言を求められた場合には、必要な助言を行うほか、避難が困難にな
る前に、円滑な避難が実施されるよう避難の準備段階からの段階的な警戒情報の伝達など、避難
勧告・指示等の判断に有効な情報が市町村に確実に伝達される仕組みを整備しておく。
また、避難準備情報は、流域上流の気象観測情報及び警報・予報や河川水位情報等の広域的な
情報に基づいて発令の判断をすることが多いため、それらの情報を有する構成府県は、国土交通
省、気象庁等と連携して、適切な時期に発令の判断ができるよう伝達する。
【先行事例】兵庫県河川氾濫予測情報の配信
兵庫県では、平成 21 年台風第
9 号による千種川水系での甚大な
浸水被害を契機に、市町がより的
確に避難勧告等を発令できるよう
支援するため、独自に河川氾濫予
測システムを開発。県内全 684 河
川の区間毎に氾濫のおそれの有無を
3 時間先まで予測し、その状況を
地図に表示して市町へ配信するこ
とで、地域を限定した避難勧告等
の発令を支援している。
【市町村長の避難に関する権限等】
類型
内容
警戒区域の設定
警戒区域を設定し、災害応急対策に従事する者以外の者に対して当該区域へ
の立入りを制限し、若しくは禁止し、又は当該区域からの退去を命ずる
避難指示
避難勧告
避難準備情報
根拠条文等
災害対策基本法
第63条≪罰則あり≫
被害の危険が目前に切迫している場合等発せられ、「勧告」よりも拘束力が強く、
居住者等を避難のため立ち退かせるための行為
災害対策基本法
その地域の居住者等を拘束するものではないが、居住者等がその「勧告」を尊 第60条≪罰則なし≫
重することを期待して、避難のための立退きを勧めまたは促す行為
・避難行動要支援者等、特に避難行動に時間を要する者は、計画された避難場
災害対策基本法
所への避難行動を開始(避難支援者は支援行動を開始)
第56条≪罰則なし≫
・上記以外の者は、家族等との連絡、非常用持出品の用意等、避難準備を開始
自主避難の呼びかけ (各市町村において独自に行っているもの)
地域防災計画等
② 避難勧告等の発令(解除)基準の策定・改善
既往歴を超える降雨の発生が増加していることから、発令基準未策定の市町村は、早急に基準
を策定するとともに、発令基準策定済みの市町村にあっても、住民の適切な安全確保行動のため
に有効な発令を行えるよう発令基準の改善を図る必要がある。
内閣府では、平成 26 年 4 月に、新たな制度やこれまでの災害の教訓を踏まえ、
「避難勧告等の
53
第 6 号議案
判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」の全面的な見直しを行い、新ガイドライン(案)として
公表した。
新ガイドライン(案)では、市町村が発令する避難勧告等は、空振りをおそれず、早めに出すこ
とを基本とし、避難が必要な状況が夜間・早朝となる場合に「避難準備情報」を発令することとし
た。また、避難勧告等の判断基準について、災害の種類ごとに設定の考え方をわかりやすく示すと
ともに、判断する情報を具体的に示した。あわせて、市町村の防災体制の設置・移行に関する標準
的な目安を示した(図4)
。
構成府県は、国土交通省、気象庁等と連携し、市町村の発令基準の策定・改善を支援するため、
この新ガイドライン(案)を踏まえ、市町村が判断しやすいよう、累積雨量や予測雨量等の具体的
な数値を用いた基準設定に努めるとともに、夜間になる前の早い段階での発令基準や避難行動要支
援者に係る発令基準を示すなど、地域の実情に即した具体的なモデル基準の策定に努める。また、
土砂災害は、降雨後時間を置いて発生する場合もあり、避難勧告等の解除は慎重に行う必要がある
ため、市町村は避難勧告等の解除基準も合わせて策定するよう努める。
(図4)防災気象情報等の標準的な発表の流れとこれに伴う災害時対応
防災気象
情報等
洪水
予報
河川
台風情報
〈 水害〉
府県気象情報
水防団待機水 位
はん濫注意水位
避難判断水位 〈 洪
〈水害〉
〈 洪水予報河川〉
〈 洪水予報河川〉
水予報河川〉
避難準備情報の発令判断
●第1次防災体制
●第2次防災体制
●避難場所開設の検討
●1時間ごとに河川水位、雨量、降水
短時間予報を確認
●パソコン画面表示※
被害発生 情報
〈 洪水予報河川〉
〈 洪水予報河川〉
避難準備情報
( 避難が必要な状況が夜間・ 早朝の場合)
災害時
対応
はん濫危険水位 水位天端到達
避難勧 告
避難指示
●第3次防災体制
●第4次防災体制
●避難場所開設の検討
●10分ごとに河川水位、雨量、降水短時間予報を確認
水害
防災気象
情報等
水位
周知
河川
水防団待機水位
はん濫注意水位
避難判断水位
はん濫危険水位
水位天端到達
〈 水位周知河川〉
〈 水位周知河川〉
〈 水位周知河川〉
〈 水位周知河川〉
〈 水位周知河川〉
避難準備 情報の発令判断
避難準備情報
( 避難が必要な状況が夜間・ 早朝の場合)
災害時
対応
●パソコン画面表示※
防災気象
情報等
台風情報
府県気象情報
大雨注意報
〈土砂災害〉
〈 土砂災害〉
管内の雨量観測所の累積
雨量が基準値を越えた場合
大雨警報
〈 土砂災害〉
避難準備 情報の発令判断
災害時
対応
●パソコン画面表示※
防災気象
情報等
台風情報
府県気象情報
〈高潮災害〉
〈 高潮災害〉
●第1次防災体制
●第2次防災体制
●避難場所開設の検討
●1時間ごとに雨量、降水短時間予報、
土砂災害警戒情報を補足する情報を確認
高潮注意報
土砂災害
あ
警戒情報
前兆発見 情報
〈 土砂災害〉
避難準備情報
( 避難が必要な 状況が夜間・早朝の場合)
土砂災害
記録的短時間
大雨情報
避難勧告
台風の暴風域が2 4 時間以内に
市町村にかかる( 接近する) と予
想されている場合
台風の暴風域が1 2 時間以内に
市町村にかかる( 接近する) と
予想されている場合
高潮警報
避難勧告
●第1次防災体制
●パソコン画面表示
●第2次防災体制
●1時間ごとに潮位(現況、予測)を確認
●第3次防災体制
第3次防災体制 (災害警戒体制)
第4次防災体制 (災害対策本部設置)
避難指示
被害発生情報
避難指示
●第4次防災体制
●避難場所開設の検討
●10分ごとに潮位(現況、予測)を確認
※ 前線による大雨の場合の水害、土砂災害については、府県気象情報のときにパソコン画面表示
市町村の防災体制(例示)
防災体制の呼称
第1次防災体制 (災害準備体制)
第2次防災体制 (災害注意体制)
被害発生情報
●第3次防災体制
●第4次防災体制
●避難場所開設の検討
●10分ごとに雨量、降水短時間予報、
土砂災害警戒情報を補足する情報を確認
高潮災害
災害時
対応
避難指示
●第3次防災体制
●第4次防災体制
●避難場所開設の検討
●10分ごとに河川水位、雨量、降水短時間予報を確認
●第1次防災体制
●第2次防災体制
●避難場所開設の検討
●1時間ごとに河川水位、雨量、降水
短時間予報を確認、
〈土砂災害〉
避難勧告
体制と情報分析
連絡要員を配置し、防災気象情報の把握に努める
管理職を配置し、避難準備情報の発令を判断する体制
防災気象情報を分析し、専門機関との情報交換ができる体制
首長あるいは首長代理が登庁し、避難勧告の発令を判断できる体制
専門機関とのホットラインが活用できる体制
要配慮者の避難場所受け入れ体制の整備ができる要員を確保する
あらかじめ定めた防災対応の全職員が体制に入る
54
第 6 号議案
【先行事例】和歌山県避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成のモデル基準
内閣府「避難勧告等の判断・伝達マニュアル作成ガイドライン」をさらに具体化し、市町
村が判断しやすい実用性の高いものとして和歌山県版のモデル基準を策定(H24.10)
。
<ポイント>
1)より具体的な数値を用いるとともに、判断時に活用する情報を多角化。
2)土砂災害の前兆現象を具体的に示し、住民と協同した情報収集を行う手法を追加。
3)避難すべき区域の単位をわかりすく分類。また、発令漏れの防止に配慮。
4)市町村の職員誰もが判断できるよう判断フローをわかりやすく表現。
5)必要な情報の入手・活用方法を明示。気象情報等の理解を深めるための解説を追加。
6)防災行政無線等の放送の考え方を整理し、伝達文の例文を用意。
7)危険な状態での帰宅とならないよう、避難勧告解除に関する考え方を提示。
<H25.9 改正のポイント>
1) 特別警報の導入に伴い、避難勧告等の発令判断基準を改正。
2) 災害対策基本法の一部改正に伴い、避難勧告等の発令に関して、屋内待機等の安全確保措
置を明記。
3) 避難発令支援情報の提供に伴い、早期かつ的確に避難勧告等が実施できるよう必要な事項
を改正。
4) 活用状況を踏まえた基準の見直し。
なお、地形や河川の形状から河川両岸の避難勧告の発令時期が異なることはあり得るが、避難
勧告等の発令に当たって河川両岸の住民に無用の混乱を招くことのないよう、府県が異なる場合
も含め同じ流域内の市町村は、地形や河川の形状を適切に踏まえつつ、避難勧告等の発令基準の
整合を図るよう努めるものとし、構成府県及び広域連合はその支援を行う。
③ 住民の適切な避難行動と効果的な情報伝達
従来の避難行動は公的施設への立ち退き避難が一般的であったが、避難時の周囲の状況によっ
ては、立ち退き避難は必ずしも適切ではなく、過去の災害では立退き避難する途中で被災した例
もあった。
平成 25 年の災害対策基本法の改正では、従来の立退き避難の勧告・実施に加えて、次善の策
として屋内での待避その他避難のための安全確保措置の指示が導入された。また、同改正では、
従来、切迫した災害の危険から逃れるための避難場所と、避難生活を送るための避難所が必ずし
も明確に区分されていなかったことから、両者を区分して指定することとされた。
避難行動の実施を最終的に判断し、その結果に最終的な責任を持つのは、個々の住民である。
災害発生時は、住民自らが、各人の置かれた状況を踏まえ、状況に即した適切な避難行動を選択
して行わなければならない。
このため、住民は、避難開始時点で既に道路が冠水するなど避難するとかえって危険が高くな
る場合は、指定された避難場所への移動に固執することなく、自宅等での待避や 2 階以上の安全
を確保できる高さへの移動を含めて避難行動を取る必要がある。
55
第 6 号議案
《避難行動の分類》
分類
定義
具体的な行動例
その場を立ち退いて近隣
立ち退き避難
の安全な場所に移動する
避難行動
屋内安全確保
指定避難場所への移動
(自宅等から移動しての)安全な場所への移動
(公園、親戚や友人の家等)
近隣の高い建物等への移動
屋内に留まる安全確保
自宅等の居場所や安全を確保できる場所での待避
屋内の 2 階以上の安全を確保できる高さへの移動
市町村は、住民に対し、事態が切迫した場合には状況に応じた適切な避難行動を取るよう啓発に
努めるとともに、気象情報等の動的情報とハザードマップ等の静的情報を結びつけた情報や、道路
状況(浸水、土砂流出状況等)の情報の収集に努め、入手した情報を迅速・的確に住民に伝達する
こととする。
広域連合は、構成府県及び連携県と連携し、関西圏域で広域的・統一的に普及啓発を図るべき事
項について、関西広域防災ポータルサイトでの情報発信を行う等により、関西圏域の市町村が住民
等に対し効果的な情報提供を行えるよう支援する。
【動的情報と静的情報の連携による住民の避難行動】
《
》
動
的
情
報
観 ・雨量
測
・河川水位
情
報 ・各種警報
・
警
報
観測
情報・
警報
《
》
静
的
情
報
避難勧告等の
発令の判断基準
住
民
の
判
断
・避難準備情報
・避難勧告
・避難指示
ハザードマップの活用
危 ・浸水想定
険 区域
箇
所 ・土砂災害
警戒区域等
【避難行動】
観測情報・警報
危険
箇所
・ハザードの理解
・置かれた状況の理解
・避難情報・警報等の理解
・適切な避難先の理解
・避難のタイミングの理解
・避難時の留意点の理解
・避難行動要支援者対応
住民の
判断目安
①指定避難場所へ
の移動
②安全な場所への
移動
③近隣の高い建物
等への移動
④建物内の安全な
場所での待避
※築堤河川の堤防の近傍
や土砂災害の場合には
建物に留まることがリスク
になることもあるため、ハ
ザードや建物の位置・構
造に応じた対応が必要。
④ 特異な気象に対する安全確保行動の啓発
ア
局地的大雨
局地的大雨については、気象の推移や雨の降り方に応じて、警報や注意報など防災気象情報が
発表されるほか、リアルタイムで観測・予測情報が提供されている。
構成団体や市町村は、住民への情報提供に当たり、こうした情報や独自に提供を受ける気象情報
を有効に活用するとともに、住民が段階に応じて適切な情報を入手し、効果的な安全確保行動に結
びつけるよう啓発していく必要がある。
56
第 6 号議案
【局地的大雨を対象とした防災気象情報の利用】
行動の段階
情報の入手
防災気象情報の特徴
防災気象情報
1日前
∼
数時間前
●文章情報での確認
(インターネット、テレビ、ラ
ジオ)
目的
天気分布予報
形式
発表間隔
図形式
1日3回
天気予報
気象状況
の予報
警報・注意報
文字情報
随時
特徴
広い範囲での雨
の領域や強さの
分布を予報する
使い方
行動の1日前
都道府県を数区
から数時間前
域に分割した程
に注目する
度の広さに対す
る雨の降りやすさ
を予報する
府県気象情報
数時間前
∼
行動直前
アメダス
●図情報での確認
(インターネット、携帯電話)
解析雨量
1時間ごと
気象状況
の監視
気象レーダー
図形式
行動中
●目視などによる確認
(可能であれば携帯電話)
降水ナウキャスト
市町村あるいは
それより狭い領
30分ごと 域での雨の領域
や強さの分布を
把握できる
行動の数時間
前から行動中
5分ごと
にチェックする
市町村あるいは
それより狭い領
域での雨の領域
や強さの分布を
30分ごと
予報する
10分ごと
気象状況
の予報
降水短時間予報
(出典)気象庁「防災気象情報の活用の手引き」(H21.7) 他
【局地的大雨に対する安全確保行動】
・親水空間を持つ都市河川での急激な増水
→親水空間にいる人は、増水の危険性を意識し、気象の変化に留意するとともに、雨量・水
位の情報をもとに、速やかに避難する。
・地下街・地下鉄駅等の地下空間への雨水の流入
→地下空間は、外の様子がわからないことに加え、いったん浸水が始まると、階段からの急
激な雨水の流入、停電、水圧によるドアの開閉障害等により避難が困難になることに留意
し、日頃地下施設をよく利用する人は、当該施設の浸水リスクや避難経路を知るよう努め
る。地下空間にいる人は、気象の変化に留意し、浸水が予測される場合は、施設管理者等
の指示に従い、落ち着いて避難する。
・道路アンダーパス部の冠水
→冠水情報板の表示やアンダーパス部に表示された水深表示をもとに、徐行運転を行う。水
深が 15cm を超える場合は、アンダーパス部への進入を控える。
イ
竜巻等突風
竜巻等突風予測情報は、時間経過及び竜巻等突風の発生可能性の高まりに応じて段階的に発
表される。
竜巻等突風はその発生が稀な上に、極めて小規模で発現時間も短い現象であるため、「竜巻
注意情報」は竜巻発生の有無を知らせるものではなく、県域程度の広域を対象に発生確度が高
まったことを知らせるものである。このため、竜巻等突風に対する対策は、市町村の避難勧告
等を中軸とする台風や梅雨前線等の場合と異なり、住民一人ひとりの状況の覚知、主体的な安
全確保行動が求められる。
57
第 6 号議案
【竜巻等突風予測情報とその利用】
情報の発表
情報の活用
竜巻発生確度ナウキャスト
(常時10分毎)
【半日∼1日後に竜巻等が発生する可能性がある】
・行動計画の点検、危険回避行動などを検討する。
・今後の気象情報(雷注意報など)に注意する。
気象情報
(半日∼1日前)
■「竜巻など激しい突風のおそれ」と明記
雷注意報
(数時間前)
■落雷、ひょう等とともに、「竜巻」も明記
竜巻注意情報
■今、まさに竜巻の発生しやすい気象
状況になっていることを知らせる
【数時間以内に竜巻等が発生する可能性がある】
・安全対策に時間を要する場合は、もしものときの
危険回避行動を確認する。
・周辺の気象状況の変化や今後の気象情報(竜巻
発生確度ナウキャストなど)に注意する。
【竜巻が発生しやすい気象状況になっている】
・発達した積乱雲が発生しており、積乱雲の近辺で
は竜巻等が発生しやすい気象状況である。
・竜巻発生確度ナウキャストで、竜巻等が発生する
可能性のある地域を確認する。
・安全確保に時間を要する場合には、1時間先まで
の予測も利用して早めの危険回避準備をする。
・周囲の空の変化に注意し、積乱雲が近づく兆しが
あれば、危険回避行動をとる。
竜巻発生
(出典)気象庁「竜巻等突風予測情報改善検討会」報告書(H24.7)
【竜巻等突風からの身の守り方】
屋内にいる場合
屋外にいる場合
・窓を開けない ・窓から離れる
・近くの頑丈な建物に避難する
・カーテンを引く ・雨戸・シャッターをしめる
・無い場合は、近くの水路やくぼみに身をふ
・地下室や建物の最下階に移動する
せ、両腕で頭と首を守る
・家の中心部に近い、窓のない部屋に移動する
・車庫・物置・プレハブを避難場所にしない
・部屋の隅・ドア・外壁から離れる
・橋や陸橋の下に行かない
・頑丈な机の下に入り、両腕で頭と首を守る
・飛来物に注意する
(出典)気象庁パンフレット「竜巻等突風災害とその対応」
58
第 6 号議案
5
地域の防災体制の整備
広域連合は、構成団体と連携し、住民・企業・団体等が主体となって進める防災・減災の取組を
支援し、関西圏域全体の防災力の底上げを図る。
(1)住民等の普及啓発
① 住民の普及啓発
広域連合は、発災時の情報伝達方法や住民が自ら実践できる減災の取組など、関西圏域で共通
の普及啓発を図るべき事項について、その発信力を生かした統一的な情報発信を行う等により、
構成団体や市町村が行う普及啓発の取組を支援する。
② 地域防災リーダーの育成と防災教育の推進
広域連合は構成団体と連携して、地域防災リーダーの育成に努めるとともに、学校や地域にお
ける防災教育の充実に努める。
③ 学校等の風水害対応の支援
広域連合及び構成団体は、小中学校、幼稚園、保育所等における気象警報発表時の対応がより
適切なものとなるよう、教育委員会等の関係機関と連携し、保護者への引渡しや学校での待機等
の判断基準などを示すガイドラインの作成や市町村を通じて学校長等の判断を支援する情報提
供のあり方について検討するよう努める。
(2)水防活動体制の整備
水防活動では、これまで水防団が中心的な担い手として、堤防巡視、水防工法の実施等のほか、
住民避難にも大きな役割を果たしてきた。近年、水防団員の減少や高齢化、サラリーマン化によ
り、水防団の弱体化が進む中、民間事業者、NPO 等多様な主体の参画を促し、連携を深めること
により、地域の水防力の強化を図る。
① 水防団員の活動環境の整備
・構成団体は、サラリーマンである水防団員が安心して水防活動に従事できるよう勤務先の理
解と協力を得るとともに、水防活動に資する物的な支援、団員の処遇の改善に努めるよう管
内の水防管理者(市町村)に働きかける。
・構成団体(河川管理者)は、水防団が水門、樋門や排水機場の操作等を行うよう、水防団へ
の委託の推進による支援も行う。
・構成団体は、人手不足の中、多様な人材を確保するため、水防団員や消防職員のOB活用や、
活動内容に応じた女性の加入の促進も図るよう、管内の水防管理者(市町村)に働きかける。
② 水防活動拠点の整備
・構成団体(河川管理者)は、水防活動の拠点となる水防倉庫の維持管理と水防資機材の備蓄
を進めるほか、管内の水防管理者(市町村)と連携し、広域的な水防活動や災害復旧活動の
拠点の整備に努める。また、水防活動拠点に情報機器を配備するとともにネットワークと接
続するなど情報化の推進も図る。
③ 自主的な防災組織等の活用
・構成府県は、管内の市町村と連携し、水防活動を地域全体で推進するため、行政や水防団に
加え、町内会・自治会等を基礎とする自主防災組織、昼間の働き手が多数確保できる企業内
防災組織、災害ボランティア等の活用に努める。
・構成団体は、水災時の各戸への情報伝達や避難支援、避難行動要支援者への対応等の活動を
59
第 6 号議案
担えるよう、これら自主防災組織等に対し、訓練機会を提供するほか、水防管理者(市町村)
から災害時に必要な情報を提供するよう働きかける。
<水防法に基づく水防活動の流れ>
河川管理者
国土交通大臣
都道府県知事
・河川に関する情報提供
・水防訓練への参加
・水防計画に定める協力(水防資
器材の貸与、湛水排除の実施等)
協力
水防管理者
水防協力団体
【対象】
・従来の一般社団法人、特
定非営利活動法人
・営利法人を含む民間法
人、法人格を有しない自治
会、町内会、ボランティア
等【H25拡充】
【業務】
①水防団・消防機関が
行う水防活動に協力
②水防器具・資材・設
備の保管提供【H25拡
充】
③水防情報・資料の収
集提供
④水防知識の普及・啓
発
⑤附帯業務
水防警報の
通知・指示
指定
自衛水防組織
・水位の情報の通報(国土交通省、気象庁、都道府
県等)
・警察官の出動要求
・堤防等の決壊の通報及び決壊後の処置
・水防の現場における土地、資材等の使用等
・水防計画の要旨の公表等
[H25新設]
出勤(準備)命令
協
力
協
力
水防団・消防機関
水
防
従
事
命
令
・公共の用に供しない空地・水面等の緊急通行
・警戒区域の設定及び当該区域への立入禁止
命令等
・堤防等の決壊の通報及び決壊後の処置
・水防の現場における土地、資材等の使用等
出動
立
退
き
の
指
示
【地下街等】
●避難確保計画、浸水防
止計画の作成
●自衛水防組織による利
用者等の避難誘導、浸水
防止対策の実施等
●訓練の実施
【高齢者等利用施設】
○避難確保計画の作成
○自衛水防組織による利
用者の避難誘導等
○訓練の実施
【大規模工場等】
○浸水防止計画の作成
○自衛水防組織による浸
水防止対策の実施等
○訓練の実施
(●は義務、○は努力義
務)
居住者等
・水防への従事義務
(3)地下街等の防災体制の整備
関西圏域では都市部を中心に地下空間の利用が高度に進んでいるが、地下空間の浸水は人命に
関わる深刻な被害につながるおそれがあるため、浸水対策を確実に実施する必要がある。特に高
潮災害や主要水系の洪水氾濫の影響を受けやすい海抜ゼロメートル地帯等については、ハードに
よる浸水対策には限界があり、関係機関の連携による避難体制の整備を早急に進める必要があ
る。
①
地下街等に関する情報共有
・市町村は、水防法に基づき、浸水想定区域内の地下街等(地下街その他地下に設けられた不
特定かつ多数の者が利用する施設)でその利用者の洪水時の円滑かつ迅速な避難の確保及び
洪水時の浸水の防止を図る必要があると認められるものについて、地域防災計画にその施設
の名称及び所在地を定めるとともに、当該施設の所有者又は管理者及び自衛水防組織の構成
員に対する洪水予報等の伝達方法を定める。
60
第 6 号議案
・構成団体は、市町村と連携し、浸水時の建築物地下階への雨水の急激な流入、水圧によるド
アの開閉障害等の危険性について、地下街等の利用者に周知を図る。
・広域連合は、構成団体と連携し、関西圏域における主要な地下街等の分布・配置状況や浸水
危険性など、防災体制の整備状況について情報共有を行う。
② 避難確保・浸水防止体制の確立
・地下街等の所有者又は管理者は、洪水時の避難確保・浸水防止計画を作成し、これに基づき
訓練を行うほか、自衛水防組織を置く。
・構成団体、市町村は、地下街等の所有者又は管理者による円滑な避難誘導等の検討を支援す
るとともに、地下鉄、地下街、ビル等が一体となった地下空間における組織間の連携方策に
ついて検討する。
・市町村は、必要に応じて、連続する複数の地下街等の所有者又は管理者に対し、避難確保・
浸水防止計画の共同作成を勧告するほか、計画を作成していない地下街等の所有者又は管理
者に対し、必要な指示を行う。
・広域連合及び構成団体は、地下街等を浸水被害から守るため、地下街等の所有者又は管理者
による避難確保・浸水防止計画の策定、訓練の実施、防水扉・防水板の整備等が着実に実施
されるよう、支援のための連携体制を強化する。
(4)避難行動要支援者の避難支援体制の整備
① 避難行動要支援者名簿の作成・情報共有と避難計画の策定支援
構成団体は、
「避難行動要支援者の避難行動支援に関する取組指針」(内閣府 H25.8)に基づき、
市町村における避難行動要支援者名簿の作成・更新及び情報共有を図るとともに、市町村におい
て実効性のある避難支援等が行われるよう、避難支援関係者と連携した個別計画の策定を支援
し、地域防災体制を強化する。
② 避難行動要支援者に対する的確な避難勧告等の発令・伝達
構成団体は、地域特性、避難環境、要支援者の避難に要する時間等を踏まえ、要支援者に係る
避難勧告等の発令基準の具体化に努めるとともに、要支援者の身体条件に応じた多様な情報伝達
手段の活用による確実な情報伝達体制の整備に努める。
③ 避難行動要支援者の運送体制の整備
構成団体は、管内市町村が行う要支援者の運送体制の検討を支援するとともに、要支援者の身
体条件に応じて多様な運送手段の確保がなされるよう支援する。
④ 避難行動要支援者の広域避難受入れ体制の確保
広域連合は、府県域を越えた要支援者の広域避難の受入れを的確かつ円滑に進めるため、広域
避難に関する受入ルールや受入体制等をあらかじめ構成団体間で検討する。
広域避難の受入先となる構成団体は、要支援者の人数や状態に対応した福祉避難所等の設置・
運用、その開設情報の周知・広報の体制整備について検討する。
③ 要配慮者利用施設における防災体制の整備
・市町村は、水防法に基づき、浸水想定区域内の要配慮者利用施設(主として高齢者、障害者、
乳幼児その他の特に防災上の配慮を要する者が利用する施設)の利用者の洪水時の円滑かつ
迅速な避難を確保する必要があると認められるものについて、地域防災計画にその施設の名
称及び所在地を定めるとともに、当該施設の所有者又は管理者及び自衛水防組織が置かれた
61
第 6 号議案
ときはその構成員に対する洪水予報等の伝達方法を定める。
・要配慮者利用施設の所有者又は管理者は、避難確保計画を作成し、これに基づき訓練を実施する
ほか、自衛水防組織を置くよう努める。
【先行事例】兵庫県マイ避難プラン
避難行動要支援者のうち、家族等の避難支援が得られない人については、避難行動要支援者の
避難支援に関する取組指針(内閣府)等を踏まえて、避難支援組織が本人と協議し、個別支援計
画を作成することとなるが、家族等の避難支援が得られる人についても、本人が家族等とともに
「マイ避難プラン」を作成することにより、万一の際に備えることとした。
《マイ避難プランの記載内容例》
・個人情報(氏名、住所、電話番号、健康状況等) ・非常持ち出し品のチェックリスト
・避難所、避難ルート
・避難を支援する人の続柄・氏名
※詳細は兵庫県「災害時要援護者支援指針(平成 25 年版)」、兵庫県立男女共同参画センター「母
と子の防災・減災ハンドブック」参照。
【参考】避難行動要支援対策における各主体の主な役割
区分
平時
避難行動要支 ○災害に備えた事前の話し合い
援者本人・家族 ○個別避難計画の作成
の持ち出し
○必要な情報の携帯
○当事者団体や支援者グループとの関係構築
○自主防災組織や避難支援
自治会・自主防 ○避難支援組織の設置
○本人・家族との協議の取り付け
○避難行動要支援者名簿の管理
委員
を伝達
者への連絡、避難
○避難準備情報や避難勧告 ○要支援者を発見した場合
等の情報伝達
○要支援者の避難支援
○個別避難計画の作成(避難支援者の選任) ○要支援者の安否確認
民生委員・児童 ○要支援者の状態を把握
避難後
○入手しにくい薬剤・器材 ○避難所管理者等にニーズ
○個人情報の提供(自治会等への提供)
○薬剤・器材の備蓄
災組織等
避難行動時
○情報伝達・避難支援
は避難所の管理者に通報
○避難所における要支援者
への配慮
○要支援者の状態を把握
○要支援者の相談対応、その他支援の実施
○福祉サービスを適切に利用するために必
要な情報の提供、その他の援助
○社会福祉事業者との連携・活動支援
社会福祉協議 ○小地域福祉活動、地域の見守り活動
会
の支援
○民生・児童委員との連携、要援護者
への生活支援・権利擁護
○民生委員・児童委員等 ○在宅被災者ニーズ調査
と連携した情報伝達・ ○災害ボランティアの受入れ、
避難支援の支援
コーディネート
○社会福祉事業者との連 ○被災福祉施設への支援
携・活動支援
○生活資金貸付
在宅介護事業 ○災害時の支援について市町村と協定締結
○サービス利用者の安否確認
○介護・看護サービスの継続
者・訪問介護事
○避難支援
○避難所での介護・看護サー
ビスの提供
業者
福祉施設
○施設の耐震化等事業継続に備えた対策の ○入居者の安全確保
実施
○定員外受入可能人数の確認
○福祉避難所として市町村と協定締結
○福祉避難所の運営に協力
○必要に応じて他施設等へ ○緊急入所に対応(定員外受
入居者を転送
○福祉避難所開設に協力
入等)
62
第 6 号議案
市町村
○要支援者の避難支援に係る全体計画策定
○安否情報の集約
○ローラー作戦の実施
○要支援者支援体制の整備
○施設の被害状況の確認
○被災者トリアージの実施
○情報伝達体制の整備
○避難所の開設
○必要に応じて専門家チー
○避難所・福祉避難所の指定
○関係機関による連絡会議
○避難所となる施設の環境整備
府県
の開催
ムを投入
○介護サービスの提供調整
○避難行動要支援者名簿の作成
○県等に応援要請
○市町村の計画策定支援
○食料、物資、人材支援
○自主防災組織の活動支援
−
○府県内市町村、広域連合、
国への支援調整
関西広域連合
○広域避難受入れ体制の検討
○保健師、介護スタッフ等の
−
専門人材の派遣調整を行
い、必要に応じて支援チー
ムを派遣
(5)大規模工場等における防災体制の整備
・市町村は、水防法に基づき、浸水想定区域内の大規模工場等で洪水時の浸水の防止を図る必要があ
ると認められるものについて、当該施設の所有者又は管理者から申し出があった場合には、地域防
災計画にその施設の名称及び所在地を定めるとともに、当該施設の所有者又は管理者及び自衛水防
組織が置かれたときはその構成員に対する洪水予報等の伝達方法を定める。
・大規模工場等の所有者又は管理者は、浸水防止計画を作成し、これに基づき訓練を実施するほか、
自衛水防組織を置くよう努める。
(6)帰宅困難者支援体制の整備
大規模広域災害が発生し、交通機関の運行停止等により帰宅が困難になった住民が発生した場合、
一斉帰宅によるトラブルが発生する可能性がある。
広域連合では、これらのトラブルを未然に防ぐため、構成団体及び連携県と連携して、情報提供、
一斉帰宅の抑制、徒歩帰宅者に対する支援、代替輸送の確保等の体制整備に努める。
① 交通情報・支援情報の提供体制の整備
広域連合は、主要道路・鉄道等の交通情報や徒歩帰宅者に対する支援情報を関係機関と連携して提
供する体制を整備するとともに、住民にこれらの情報入手方法の普及啓発を図る。また、交通情報・
支援情報を緊急速報メール、ホームページや携帯サイト等を活用して住民に提供する仕組みについて
検討を行う。
② 事業所等に対する一斉帰宅抑制と一時滞在施設提供の働きかけ
広域連合は、事業所に対して、災害の発生が予想される場合には、従業員を早期帰宅させるととも
に、交通機関の運行が停止した際に従業員を待機させることや備蓄などについて働きかける。
また、帰宅困難者を一時収容するため、駅周辺や路上等の民間施設等に協力を求め、協定の締結を
検討する。
③ 徒歩帰宅者に対する支援
広域連合、構成団体及び連携県は、コンビニエンスストア等と締結した「災害時の帰宅困難者支援
に関する協定」に基づき、災害時帰宅支援ステーションにおいてトイレ、水道水、交通情報を提供し
て徒歩帰宅者の支援を行う体制を整備する。
63
第 6 号議案
④ 代替輸送体制の整備検討
遠距離のため徒歩での帰宅が困難な滞留者に対しては、代替輸送の体制を整備することが有効
であることから、広域連合では、近畿旅客船協会及び神戸旅客船協会と締結した「船舶による災
害時の輸送等に関する協定」及び今後締結を検討する関西圏内のバス協会との同様の協定に基づ
き、災害時における帰宅困難者を含む被災者や緊急物資等の輸送協力を受ける体制を整備する。
⑤ 観光客等への情報発信及び支援
広域連合は、観光協会、旅行会社やホテル・旅館業者等と連携し、観光客等に災害時の的確な
行動について周知・広報に努めるとともに、観光客への情報提供や安全な場所への誘導等を円滑
に実施するため、ホテル・旅館業者及び旅行社との間で連携体制を整備する。また、広域連合は、
外国人観光客に適切な情報を提供するため、外国人支援を行う NPO や語学ボランティアの協力を
得る仕組みの構築に努める。
(7)孤立集落対策の実施
広域連合は構成団体と連携し、府県境の山間部等で孤立集落が発生した場合に備え、応援体制
を整備する。また、通信電波が届かない地域の解消に努めるとともに、衛星携帯電話の配備、民
間ヘリコプター事業者との「災害等緊急時におけるヘリコプターの運航に関する協定」に基づく
物資搬送や住民移送の体制整備に取り組む。
構成団体は、孤立集落対策として、災害発生直後の救命救助に最も必要となる、通信手段の確
保と、ヘリコプターの臨時着陸場等の確保を全孤立可能性集落において確保するよう努める。
※孤立集落:中山間地域や沿岸地域などの集落において、土砂災害等により、人の移動、物資の流
通が困難となり、住民生活が困難もしくは不可能となった集落
64
第 6 号議案
Ⅲ
災害発生時の対応
大規模広域災害の発生時には、広域連合及び構成団体は、関西広域応援・受援実施要綱に基づき、連携
県、市町村及び関係機関・団体と連携し、速やかに応援・受援体制を確立し、被災状況や支援ニーズを的
確に把握し、迅速に応援・受援を実施する。
<災害対応の流れ>
時期
被災地等の主な対応
直前
・情報の収集と共有
・避難勧告等の発令と住民の安全確保行動
広域連合の対応
・準備(情報収集)体制の確立
−対策準備室の設置
−災害警戒本部の設置
・情報の収集と共有
・緊急派遣チームの派遣
・救助・救急及び水防活動の実施
・応援・受援体制の確立
初動期
・医療活動の実施
−応援・受援調整室の設置
・避難指示等の発令及び避難誘導
−災害対策(支援)本部の設置
・広域避難の実施
−現地支援本部・現地連絡所の設置
・生活物資等の緊急輸送
・生活物資等の供給調整
・道路等社会基盤施設の緊急対策
・応援要員の派遣調整
・避難所の運営
・広域避難の受入調整
・給水、生活物資の供給
・災害ボランティアの活動促進
・被災者の健康対策の実施
・帰宅困難者の支援
・被災者の心のケアの実施
・災害廃棄物の広域処理調整
・生活衛生対策の実施
応急対応期
・防疫対策の実施
・遺体の葬送
・被災建築物等の危険度判定
・応急仮設住宅の整備・確保
・道路等社会基盤施設の復旧
・災害廃棄物の処理
・被災者の生活支援
・学校の教育機能の回復
復旧・復興期
・復興計画の策定・復興財源の確保
・インフラ施設等の復旧・復興
・恒久住宅への移行支援
・生活再建支援
・経済・雇用再生
・被災自治体の復興業務への支援
65
第 6 号議案
1
体制の確立
<状況に応じて確立する体制の一覧>
対策準備室の設置
※圏域:構成府県及び連携県の区域
・圏域内府県で災害警戒本部又は対策本部が設置された場合
・その他圏域内外(国内に限る。)で甚大な被害が推測される場合
準備(
情報収集)
体制
災害警戒本部の設置
・「対策準備室」の設置基準に加え、特別警報が発表された場合又
はその発表が予想される場合
・甚大な被害が推測 + 通信の途絶等により情報収集が困難
必要に応じて現地支援本部に移行
応援・受援調整室の設置
・被害が甚大で広域応援が必要になると認められる場合
災害対策(支援)本部の設置
・特に被害が甚大で広域連合の組織を挙げ
た広域応援が必要になると認められる場合
構成団体・
連携県間で情報共有・
連携
緊急派遣チームの派遣
連携
応援・受援体制
現地支援本部、現地連絡所の設置
・被災府県災害対策本部、被災市町村災害対策本部等との連携
・被災地の支援ニーズに係る情報収集、応援活動
政府現地対策本部が設置された場合は職員を派遣
構成団体及び連携県における応援・受援体制の確立
・府県市災害対策(支援)本部の設置等により応援体制(応援府
県)、受援体制(受援府県)を確立
・広域連合災害対策(支援)本部へ連絡要員を派遣
※これらの体制は、ここに示されている順序のとおり設置しなければならないものではなく、状
況に応じて必要な体制を設置すべきものである。
66
第 6 号議案
(1)準備体制(情報収集体制)の確立
風水害は事前の予測が可能であることから、災害発生前から情報収集体制を確立し、情報の収集・
共有を行いながら、予測情報も活用して対策の準備を行う。
① 対策準備室の設置
広域連合は、関西圏域内の府県で災害警戒本部(これに準じるものを含む。
)又は災害対策本部が
設置された場合、その他関西圏域内外(国内に限る。)で災害が発生し、又はそのおそれがある状態
で、甚大な被害が推測される場合は、速やかに対策準備室を設置し、必要な人員を確保し、関西広
域応援・受援実施要綱に基づき、災害の状況、構成団体・連携県の対応状況等の情報を収集し、構
成団体及び連携県と共有する。また、応援協定ブロック、全国知事会、国等との情報共有を図る。
② 災害警戒本部の設置
広域連合は、上記に加え、特別警報が発表された場合又はその発表が予想される場合は、速やか
に構成団体・連携県と調整の上、災害警戒本部を設置し、情報の収集・共有を行い、広域応援等の
対策を検討する。
区分
本部長等
構成員
対策準備室
災害警戒本部
室長:広域防災局長
本部長:広域防災局長
次長:広域防災局次長、防災計画参事
副本部長:広域防災局次長、防災計画参事
広域防災局関係課長
広域防災局関係課長(構成団体担当課長を
含む。)
設置基準
ア 関西圏域内の府県で災害警戒本部(これ
に準じるものを含む。)又は災害対策本部
ア 左に加え、特別警報が発表された場合又
はその発表が予想される場合
が設置された場合
イ その他関西圏域内外(国内に限る。)で災
害が発生し、又はそのおそれがある状態
で、甚大な被害が推測される場合
主な業務
○情報の収集及び共有
○情報の収集及び共有
○広域応援等の対策の検討
③ 緊急派遣チームの派遣
広域連合は、関西圏域内外で災害が発生し、甚大な被害が推測されるものの、通信の途絶等によ
り情報収集が困難な場合は、速やかに緊急派遣チームを被災府県に派遣し、被害状況、支援ニーズ
等、応援に必要な情報を収集する。
広域連合は、事態の状況を勘案し、必要に応じて被災府県の近隣の構成団体又は連携県に緊急派
遣チームの派遣を要請する。
(2)応援・受援体制の確立
広域連合は、情報収集の結果、広域応援が必要になると認められるときは、被害の規模に応じた応
援・受援体制を確立する。
① 応援・受援調整室の設置
広域連合は、被害が甚大で広域応援が必要になると認められる場合は、速やかに構成団体・連携
67
第 6 号議案
県と連携の上、対策準備室又は災害警戒本部を応援・受援調整室に改組し、応援・受援調整を行う。
② 災害対策(支援)本部の設置
広域連合は、特に被害が甚大で広域連合の組織をあげた広域応援が必要になると認められる場合
は、速やかに構成団体・連携県と連携の上、災害対策本部を設置し、応援・受援調整を行う。
また、関西圏域外での災害の場合は、災害対策支援本部を設置する。
ア 災害対策(支援)本部会議の開催
・広域連合は、災害対策(支援)本部を設置した場合には、速やかに本部会議を開催し、関西圏
域内外の災害に関する情報を収集し、災害応急対策を的確かつ迅速に実施するための方針を決
定する。
・本部長は、必要に応じ、連携県及び広域実動機関にオブザーバーとして参加を求めるとともに、
学識経験者等にアドバイザーとして参加を求め、助言を得る。
・本部員が、自府県市の災害対応又は交通途絶等のため、一堂に会することができない場合はW
EB会議システム等を活用し本部会議を開催する。
イ
災害対策(支援)本部事務局
・災害対策(支援)本部に、その事務を処理させるため、災害対策(支援)本部事務局を置く。
・災害対策(支援)本部事務局は、広域防災局が担う。
・構成団体及び連携県は、連絡員として災害対策(支援)本部事務局に関係職員を派遣する。
ただし、自府県市の災害対応が必要で派遣が困難な場合はこの限りでない。
区分
本部長等
応援・受援調整室
災害対策(支援)本部
室長:広域防災局長
本部長:広域連合長
次長:広域防災局次長、防災計画参事
副本部長:副広域連合長、広域防災担当
委員及び同副担当委員
構成員
広域防災局関係課長(構成団体担当課長を 構成団体の長
含む。)
設置基準
主な業務
被害が甚大で広域応援が必要になると認めら
特に被害が甚大で広域連合の組織をあげた
れる場合
広域応援が必要になると認められる場合
○情報の収集及び共有
○情報の収集及び共有
○広域応援等の対策の調整及び実施
○広域連合の組織を挙げた広域応援等の対
策の調整及び実施
※大阪湾沿岸での大規模な高潮災害等を想定した広域避難等の事前対応計画(タイムライン)に基
づく対応を行う場合は、被害発生前の応援・受援体制の確立が必要となるため、この場合の応援・
受援調整室及び災害対策本部の設置基準は、広域連合の事前対応計画(タイムライン)において
別に定める。
68
第 6 号議案
<広域連合災害対策(支援)本部組織図>
構成団体
災害対策
(支援)本部
広域連合災害対策(支援)本部
(広域連合委員会)
連携
本部長
(連合長)
連携県
災害対策
(支援)本部
連携
副本部長
(副連合長、
広域防災担当委員、
同副担当委員)
アドバイザー(有識者)
助言
連携
事務局(広域防災局)
基本4班
・総括班
・調整班
・企画班
・広報班
本部員
(構成団体の長)
分野グループ
・企画県民グループ
・医療グループ
・健康福祉グループ
・産業労働グループ
・農政環境グループ
・県土整備グループ
・給水グループ
・教育グループ
③ 構成団体及び連携県における応援・受援体制の確立
ア
応援体制の確立
被災していないか被災の程度が軽微で被災地を応援できる状況にある府県市は、災害対策支
援本部の設置等により応援体制を確立し、被災府県市を応援する。
イ
受援体制の確立
被害が甚大で構成団体・連携県からの応援を受ける府県市は、円滑に応援を受け入れるため
の体制を整備する。また、甚大な被害が想定される市町村に職員を派遣し、情報を収集すると
ともに、被災市町村が行う災害対応を支援する。さらに応援に入る他の自治体との連絡・調整
を図る。
ウ
応援方式
被災府県が複数の場合、原則として、被災府県に特定の応援府県を割り当てるカウンターパ
ート方式により応援する。ただし、広域連合は、応援府県の被災の有無、救援物資の保有状況
を勘案して、必要に応じてカウンターパート方式にこだわらずに柔軟に応援先を調整する。
被災府県が単数の場合は、原則として、広域連合が応援府県の具体的な応援内容、応援先を
調整する方式をとる。
④ 現地支援本部・現地連絡所の設置
広域連合及び応援府県は、災害対策(支援)本部を設置したときは、被災自治体の災害対策本
部等と連携し、支援ニーズを的確に把握して円滑な応援を行うため、必要に応じ、被災府県庁内
等に現地支援本部を、被災市町村役場内等に現地連絡所を設置する。
⑤ 政府現地対策本部への職員派遣
大規模広域災害が発生し、政府現地対策本部が設置された場合は、広域連合、構成団体及び連
携県から職員を派遣し密接に連携する。
69
第 6 号議案
2
災害発生直前の対応
風水害は事前の予測が可能であることから、災害発生前から情報の収集・共有を行い、予測情報
も活用しつつ、構成団体・連携県と連携して対策の準備を行う。
(1)気象情報の収集及び共有
現在の気象情報は、予測技術や精度の向上から台風進路など予報は 5 日先まで発表されてお
り、テレビ・ラジオ、インターネット等で最新の情報を知ることができる。
台風に関しては、各気象台は台風接近前に台風説明会を開催し、台風の概要とともに各気象台
の管内で想定される被害について関係機関に説明し対応を促している。
構成団体・連携県は各気象台の台風説明会に参加し、各団体の管内で想定される被害について
情報収集を行うなど、台風情報(台風の勢力、進行方向・速度、最大風速等の実況や進路予報)、
注意報・警報の発表状況等を収集し、必要に応じ、広域連合を通じて情報共有を図る。
また、台風以外の異常な気象現象についても、構成団体・連携県は、天気予報や府県気象情報
等の防災気象情報、各気象台による解説情報等を収集し、想定される災害に備えるとともに、必
要に応じ、広域連合を通じて情報共有を図る。
(関西圏域の気象台)
種別
管区気象台
地方気象台
名称
関係する構成団体・連携県
大阪管区気象台
大阪府・大阪市・堺市
神戸地方気象台
兵庫県・神戸市
彦根地方気象台
滋賀県
京都地方気象台
京都府・京都市
和歌山地方気象台
和歌山県
徳島地方気象台
徳島県
福井地方気象台
福井県
津地方気象台
三重県
奈良地方気象台
奈良県
鳥取地方気象台
鳥取県
(2)避難勧告等の発令に資する情報提供
構成府県は、市町村が適切な時期に避難勧告等を発令できるよう、市町村から助言を求められ
た場合には、速やかに必要な助言を行うほか、国土交通省、気象庁等と連携して、台風の強度や
進路、雨量、河川水位、潮位、堤防の状態に関する情報を収集・分析し、浸水、堤防の決壊の危
険性など、市町村が避難勧告等の判断の際に参照すべき情報を市町村に提供する。
特に洪水時においては、構成府県は、水防法に基づき、洪水予報河川及び水位周知河川につい
て、水位又は流量を示して洪水予報及び特別警戒水位到達等の水防管理者等への通知、一般への
周知を行うとともに、水防管理者等に対し水防警報の通知を行う。あわせて、河川区間ごとにリ
アルタイムで得られる情報を基に浸透・侵食による氾濫の危険性が高まったと判断される場合に
は、市町村や水防団等に対しその旨を情報提供するとともに、必要な区間について浸透・侵食に
関する監視の強化を水防団に要請する。
また、水防団による巡視による浸透・侵食の監視を強化するため、巡視箇所の重点化等の措置
を講じる等の対応を行う。
70
第 6 号議案
(3)事前対応計画(タイムライン)による対応
広域連合及び構成団体は、連携県及び市町村とも連携し、台風発生時等から災害発生までの間
に、気象や水位等の情報をもとに、避難準備、危険箇所の確認、浸水防止施設の点検など事前に
実施すべき対応をプログラム化した事前対応計画(タイムライン)の導入を検討するとともに、
タイムラインに基づく早期の災害対応を実施する。
(4)早期の避難勧告等の発令と住民の安全確保行動
市町村は、避難勧告等を適切なタイミングで適切な対象地域に発令し、住民は、発令された内
容に応じて、適切な安全確保行動を行う。市町村は、必要に応じて、国土交通省、気象庁、府県
等に助言を求めるとともに、避難勧告等を発令しようとする場合には、空振りをおそれず早めに
出すことを基本として、避難が必要な状況が夜間・早朝になると想定される場合は、避難準備情
報を発令する。
高潮災害や主要水系の洪水氾濫の影響を受けやすい海抜ゼロメートル地帯など、大規模な風水
害の発生により避難が必要になる可能性の高い地域については、予測情報に基づき、気象庁、府
県、市町村が協議して事前避難の必要性を判断する。事前に府県域を越える広域避難が必要とな
る場合は、広域連合は、構成団体、連携県の要請に基づき、広域避難の受入調整を実施する。
(5)事業者等への早期の安全確保措置の働きかけ
関西圏域は、通勤・通学等で府県域を越える人の移動が活発な地域であることから、重大な災
害が発生するおそれがある場合は、早期に休業・休校措置その他災害の発生に備えた措置が講じ
られる必要がある。広域連合及び構成団体は、事業者、学校等に対し、早期に自主的な措置を講
じるよう働きかける。
また、関西圏域は、外国人も含め、観光、ビジネス等の来訪者が多い地域であることから、広
域連合及び構成団体は、交通機関や不特定多数の人々が利用する施設等で、誰にもわかりやすい
形で、早期の注意喚起と、適切な安全確保措置を講じるよう働きかける。
3
応援・受援の実施
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村及び関係機関・団体等と連携し、関西広域応援・受援
実施要綱に基づき、迅速に応援・受援を実施する。
(1)情報の収集・共有及び公表
災害発生直後の混乱した状況下であっても、迅速・的確に現地の情報を収集し、重要な情報を
整理して関係者間にフィードバックして共有することは、適切な災害対応を行う基礎となるもの
である。特に大規模広域災害時においては、応援側も含めて災害対応に多くの機関・団体が関わ
るため、これら関係者間で状況認識の共有化を図ることは、効果的な応援・受援を行う上で必須
である。
広域連合及び構成団体は、応援・受援活動を迅速・的確に実施するため、関西広域応援・受援
実施要綱に基づき、緊急派遣チームの派遣や関西広域防災情報システムの活用など様々な手段を
用いて、被害状況、支援ニーズ、対応状況等に関する情報収集を行い、適宜有識者等の助言も得
ながら情報を分析し、関係機関・団体等と情報共有を図るとともに、住民に対応状況等を周知す
る。
71
第 6 号議案
(情報の収集・共有に当たっての留意事項)
・広域連合及び構成団体は、被災地の府県・市町村に極力負担をかけず、情報の収集・共有を簡便・
迅速に行うため、消防組織法第 40 条に基づく府県・政令市による消防庁長官への報告資料(火災・
災害等即報要領様式第4号)や府県・政令市の災害対策本部の会議資料を共有するなど、既存資
料の活用を図る。
・広域連合及び構成団体は、被害が大きくなればなるほど現地の状況の把握が困難になるというこ
れまでの経験をもとに、情報の少ない場所ほど被害が大きいとの想定を持って、各種メディアに
加え、SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)など多様な手段を活用して情報の収集・
共有を行うよう努める。
(2)輸送経路・手段の確保
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、物資・人員の緊急輸送を迅速に行うため、
関係機関の協力を得て、陸路のみならず、海路、空路も含め、多様な輸送経路・手段を確保する。
(3)応援要員の派遣
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災市町村及び被災府県において必要な
災害対策業務及び当該業務の実施に必要な応援要員の人数等を的確に把握し、市町村及び関係機
関・団体と連携して速やかに応援要員を派遣する。
<災害対応時期ごとに必要とされる応援要員>
時期
応急対応期
(短期派遣)
復旧・復興期
(中長期派遣)
必要とされる応援要員の用務例
【府県・市町村共通】
○保健・福祉・医療(被災者の健康相談・避難所の衛生対策、心のケア支援、救護所にお
ける診察・治療、死体検案支援、動物愛護支援、栄養相談、防疫・消毒)
【府県】
○環境(災害廃棄物処理計画策定支援)
○住宅対策(応急仮設住宅建設支援)
○教育(児童・生徒のこころのケア、学校再開支援、文化財レスキュー等)
【市町村】
○避難者対策(物資搬入・受入、避難所運営、ボランティア受入支援、罹災証明・住民相
談、炊き出し、家屋被害調査)
○環境・衛生(がれきの除去・運搬、し尿収集・運搬)
○ライフライン復旧(給水、上水道復旧、下水道復旧)
○被災市町村行政業務支援
○公共土木・農林水産施設(公共土木施設(道路・河川・港湾・砂防・下水道)・農林水産
施設(農地・農業用施設・漁港・治山・林道)の災害査定・復旧工事)
○まちづくり・建築(府県有・市町村有施設(高等学校等)の復旧工事、公営住宅整備支
援、復興まちづくり計画策定支援、まちづくりにかかる用地取得業務)
○環境(震災廃棄物処理等業務)
○保健・福祉・医療(保健活動支援、生活保護相談、孤児の養育環境調査支援、被災者
等の心のケア、仮設診療所の設置、被災者の保健活動計画策定支援)
○教育(教育活動支援)
72
第 6 号議案
(4)救助・救急及び消火活動の実施
救助・救急及び消火活動に関する応援・受援活動は、基本的に消防、警察、自衛隊、海上保安
庁の枠組みにより実施される。
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、住民の生命・身体の安全を守るため、
人命救助・救急、大規模火災に関する情報を収集し、広域実動機関の求めに応じ、必要な支援を
行う。
(5)医療活動の実施
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、災害発生時の急性期から慢性期にわた
り、被災地において必要な医療サービスを迅速かつ安定的に提供できるよう、被災地にDMAT
(災害派遣医療チーム)や医療支援チームを派遣するとともに、ドクターヘリ等を活用し、患者
の搬送を行う。
(6)広域避難の実施
大規模広域災害の場合、市町村の大半が壊滅的な被害を受け、避難所となる施設も被災し、避
難者の生活環境が不十分な状態で長期化する可能性がある。このような場合は、市町村域や府県
域を越える広域避難を実施して、早期に避難者の生活環境を整える必要がある。
また、高潮災害や主要水系の洪水氾濫の影響を受けやすい海抜ゼロメートル地帯など、大規模
な風水害の発生により避難が必要になる可能性の高い地域については、予測情報に基づき、事前
に広域避難を行う場合も考えられる。
事前避難を含め、広域避難の必要性が認められる場合は、広域連合は、構成団体、連携県と連
携し、広域避難の受入調整を実施する。構成団体・連携県は、市町村と連携し、広域避難の実施
及び受入れを行うとともに、広域避難者(自主避難者を含む。
)の所在、状況を把握し、情報提
供、生活支援等を行う。
(7)避難所の運営
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災市町村が開設する避難所や避難所
外に避難する被災者の生活を支援するため、被災市町村が行う避難者対策を支援する。
73
第 6 号議案
<被災者の生活状況の変化と必要な対応>
生活の状況
前
期
避
難
所
期
・
被
災
直
後
の
一
時
的
な
生
活
空
間
安
定
期
仮
設
住
宅
期
必要な対応
1 食料・物資
1 食料・物資
・道路の途絶や電気、ガス、水道など ・救援物資調達・救援ルートの確保
ライフラインの寸断、膨大な被災者 2 避難所の居住環境
の発生などにより、食料、水、生活 ・冷暖房機器などの整備、福祉避難所の確保、
必需品が不足
企業の研修施設・保養施設などの活用、広
2 避難所の居住環境
域避難受入
・暑さ・寒さへの対応ができない
・仮設トイレ、仮設風呂の応援、周辺施設の
・トイレ、風呂が利用できない
風呂の開放
・多数の避難者で混雑、プライバシー
※男女のニーズの違い等男女双方の視点に
の確保が困難
配慮(特に女性専用の物干し場、更衣室、
3 医療・健康
授乳室など女性や子育て家庭のニーズに
・食生活の偏り、劣悪な環境による感
配慮)
染症懸念、治療中断
3 医療・健康
・ストレスによる精神的不調
・医師による診察
4 避難所の運営
・保健師等による健康相談、家庭訪問
・被災市町村職員が対応
・管理栄養士による食生活のチェック
・避難住民の自主運営の必要性
・歯科衛生士等による口腔ケア支援
※在宅避難、指定されていない場所 ・薬剤師による服薬指導、お薬相談
での避難の存在に留意
・食生活、居住環境の衛生環境の改善
・心のケアチームによる地域精神医療の補
完、心のケア相談
4 避難所の運営
・応援職員等による支援、ボランティアによ
る支援
・女性の参画の推進
1 食料・物資
1 食料・物資
・炊き出し、仕出し弁当、食料の多品 ・ボランティアなどによる支援
目化、個炊、一般的な支援物資の充 ・栄養士による栄養相談の実施
足
2 避難所の居住環境
・物的ニーズの多様化(シャワー、殺 ・バリアフリー化、間仕切の設置
虫剤、季節衣料等)
※男女のニーズの違い等男女双方の視点に
2 避難所の居住環境
配慮
・プライバシーの向上(間仕切り、更 ・害虫駆除等の衛生管理対策
衣ルームなど)
3 避難所の運営
・悪臭・はえ・蚊の発生
・避難者の自主運営へ働きかけ
3 避難所の運営
・女性の参画の推進
・応援職員やボランティアに依存
4 医療・健康
・昼間の避難者の減→運営への支障
・医師による診察
4 医療・健康
・保健師等による健康相談、二次健康問題発
・生活不活発病等二次的な健康問題発
生予防のための健康教育、家庭訪問の実施
生
・歯科衛生士等による口腔ケア支援
・ストレスによる精神的不調
・薬剤師による服薬指導、お薬相談
・予防接種や健診など通常業務再開
・心のケアチームによる被災者及び支援者の
メンタルヘルスに関する支援
5 その他
・避難所パトロール
・災害廃棄物の早期撤去
1 応急仮設住宅の運営
1 応急仮設住宅の運営
・多数の単身高齢世帯
・コミュニティに配慮した住戸配置、地域型
仮設住宅の設置、集落ごとの集団入居、ふ
・見知らぬ隣人が多い
2 生活の自立
れあいセンターの設置
※女性をはじめとする生活者の意見を反映
・食事の供給がなくなる
できるよう配慮
・家庭用品を用意する必要がある
2 健康不安への対応
3 健康の不安
・保健師等による健康相談強化、生活支援ア
・身近な相談相手の不在
ドバイザー、民生委員・児童委員、健康ア
・生活環境の変化による新たなストレ
ドバイザー、ボランティア等による支援、
ス
心のケアチームによる被災者及び支援者
のメンタルヘルスに関する支援
広域連合
の対応
○救援物資
の供給調
整
○応援職員
の派遣調
整
○広域避難
の調整
○ボランテ
ィアの活
動促進
○仮設住宅
のコミュニティ
づくりへ
の専門家
派遣調整
74
第 6 号議案
(8)帰宅困難者の支援
広域連合及び構成団体は、大規模広域災害時に交通が途絶し帰宅困難者が発生した場合は、連携県、
市町村等と連携し、協定事業者のコンビニエンスストアや外食店等において災害時帰宅支援ステーシ
ョンを設置して、水道水やトイレや交通情報を提供するなどの徒歩帰宅支援を行う。
<帰宅困難者への対応>
想定される
外出者の行動
発災
1時間後
24 時間後
72 時間後
○ ターミナル駅周辺や繁華街等で多くの人が滞留
○ 安全な場所を求めて移動
○ 被害状況の確認・家族の安否確認
○ 徒歩帰宅の準備(情報入手、飲料水等の調達)
○ 帰宅
必要な対策
○ 駅構内等の情報提供・落ち着いた対応の呼びかけ
○ 滞留者を安全な場所へ誘導
○ 災害用伝言ダイヤル等の運用開始
○ 災害時帰宅支援ステーション協定事業者に支援依頼
○ 徒歩帰宅が困難な者、観光客の誘導・一時受入要請
(9)生活物資の供給
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災地における食料や生活必需品等の需要
を的確に把握し、備蓄物資や、関係機関・団体間のネットワーク等を活用して調達した救援物資を被
災者まで迅速に供給する。
<災害時期ごとに必要とされる救援物資>
時期
緊急対応期
(概ね 3 日間)
応急対応期
(避難所期)
必要とされる物資例
α化米、レトルト食品、毛布、ブルーシート、仮設トイレ、飲料水、乳幼児用粉ミルク、アレルギー
食、介護食、水分補給ゼリー、流動食、ほ乳瓶、ほ乳瓶消毒剤、ほ乳瓶消毒容器、紙お
むつ(大人用・子供用)、おしりナップ、生理用品、パーティション、消毒薬 等
炊き出し用食材、大鍋、アレルギー食、介護食、水分補給ゼリー、流動食、下着、マット、洗
面用具、トイレ清掃道具、ベビーカー、医薬品、マスク、本、漫画、化粧水、乳液 等
(季節に応じて)防寒着、夏物衣料、ストーブ、扇風機、蚊取り線香、殺虫剤、網戸等
(10)給水
給水に関する応援・受援活動は、基本的に公益社団法人日本水道協会の相互応援の枠組みにより実
施される。
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災地における断水状況や給水の充足状況
に関する情報を収集し、公益社団法人日本水道協会地方支部等の求めに応じ、必要な支援を行う。
(11)被災者の健康対策の実施
① 保健・福祉
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災者が健康で自立した生活を送ることが
できるよう被災者の健康相談等を行う保健師や看護師の派遣等の応援・受援活動を行う。
なお、派遣調整については、厚生労働省により行われる。
③
健康
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災者自らが健康を回復・維持増進し、健
康な食生活が送れるよう、栄養的に配慮された支援食の提供や炊き出しの実施体制の確保、食料や
75
第 6 号議案
特殊食品の確保・分配、栄養指導等に当たる要員(管理栄養士)の派遣などの応援・受援活動を
行う。
なお、派遣調整については、厚生労働省により行われる。
(12)被災者の心のケアの実施
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、災害により新たに精神的不調をきたし
た者を早期発見し、重症化を防ぐとともに、PTSD(心的外傷後ストレス障害)を含む精神的
不調に対する予防を行う。また、被災以前より精神科医療を受けている者への支援を行い、災害
時における精神科救護所の設置及び精神障害者に対する保健・医療サービスの確保を行うことに
より、停止している地域精神科医療の機能を補完する。
(13)生活衛生対策の実施
① し尿処理
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、避難所の生活環境を確保し、衛生状態
を保持するために仮設トイレ等の供給や汲み取り車の派遣等の応援・受援活動を行う。
② 入浴の確保
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災地における被災者の良好な衛生状
態を保持するため、入浴の確保に係わる物資または職員による応援・受援活動を行う。
(14)防疫対策の実施
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災地における感染症のまん延を防止
するため、被災者の健康観察や啓発を行う保健師の派遣や消毒薬の供給等の応援・受援活動を
行う。また、害虫駆除のため、殺虫剤の入手等が円滑に行われるよう応援・受援活動を行う。
(15)遺体の葬送
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、災害による犠牲者の遺体の処置・葬送
が、遺族の意思に鑑み、迅速・的確に行われるよう、葬祭用品の調達、広域火葬の実施等に関す
る応援・受援活動を行う。
(16)被災建築物等の危険度判定
被災した建築物の倒壊や宅地の崩落から生ずる二次災害を防止し、住民の安全の確保を図るた
め、被災建築物応急危険度判定士や被災宅地危険度判定士の派遣が必要である。前者は近畿被災
建築物応急危険度判定協議会、後者は国土交通省により派遣調整が行われる。
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、情報収集に当たり、被災府県等の求め
に応じ、必要な支援を行う。
(17)応急仮設住宅の整備・確保
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村、その他関係団体等と連携し、応急仮設住宅の迅速
な確保に係る職員等の派遣、建設用地の貸与等、住宅を失った被災者の住生活を早期に確保する
ために必要な応援・受援活動を行う。
76
第 6 号議案
(18)社会基盤施設の緊急対策及び復旧
① 公共土木施設等
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、河川、道路等の公共土木施設等を早期
に復旧するとともに被害の拡大及び二次災害を防止するため、施設等の緊急点検及び復旧に必要
な資機材の供給や職員の派遣等の応援・受援活動を行う。
広域連合は、構成団体の要請に基づき、災害復旧に必要な資機材の供給や職員の派遣等に係る
広域調整を行う。
② 水道
水道の復旧に関する応援・受援活動は、基本的に公益社団法人日本水道協会の相互応援の枠組
みにより実施される。
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災地における水道の復旧に関する情
報を収集し、公益社団法人日本水道協会地方支部等の求めに応じ、必要な支援を行う。
③ 下水道
下水道の復旧に関する応援・受援活動は、基本的に「下水道事業における災害時支援に関する
ルール(公益社団法人日本下水道協会)」及び「下水道事業災害時近畿ブロック支援に関する申
し合わせ」により実施される。
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災地における下水道の復旧に関する
情報を収集し、下水道事業災害時近畿ブロック対策本部の求めに応じ、必要な支援を行う。
④ 電気・ガス・通信
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災者の生活確保を図るため、停電、
ガス停止及び電話不通に関する情報を収集するとともに、電気、ガス及び通信事業者へ迅速な復
旧を要請する。
(19)災害廃棄物の処理
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、災害により大量に発生し、復旧・復興
を阻害する廃棄物を早期に処理するため、処理計画策定に係る応援要員の派遣や廃棄物の受入れ
等の応援・受援活動を行う。
77
第 6 号議案
<災害廃棄物の処理の支援>
被災地の状況
発
災
時
一
時
撤
去
・
仮
置
中
間
処
理
最
終
処
分
必要な対応
広域連合による支援
・倒壊等家屋・建物の発生
・自動車、重機等大型廃棄物
の発生
・汚泥の堆積、浮遊物の流入
・港湾海底への廃棄物の沈殿
・がれき・解体廃棄物等の仮置
き場への搬入
・処分量の把握と処分体制の確立
○府県域を越えた災害を想
・運搬・輸送道路の確保(道路上のがれき
定して、災害廃棄物(が
等撤去)
れき等)処理計画の検討
・運搬業者等の確保
・撤去・処分方法:仮置き
・作業用重機の手配
場、最終処分地の確保
(市町村内、府県内、域
・倒壊家屋等建築物の解体・撤去(仮置き
内調整の仕組み)
場への移動)
・輸送手段の想定
・解体撤去に伴う健康対策(アスベスト、
・活用方法の検討:土木
粉じん等)
資 材( 地盤 嵩 上 げ 、防
・不燃物・可燃物・リサイクル資源の分別
潮堤整備 など) への 活
(コンクリートガラ、木くず、土砂等)
用等
・廃棄物運搬車両による交通 ・交通渋滞対策の検討(道路使用制限等)
渋滞
・運搬手段の確保
・個人所有物の処分と保存の ・個人所有物の一時保管
区分
・集合住宅の解体・補修の調整
・廃棄物処理にかかる環境保 ・汚泥のしゅんせつ
全 (大気、水質等)
・可燃ゴミの焼却(市町村処理施設、民間
処理施設の確保・調整)
・リサイクルの実施
・木くずのチップ化、埋立用材・建築資材
等へのリサイクル(民間業者の確保等)
・有害物質(産業廃棄物)処理 ・民間業者の確保
・最終処分場への輸送、処分
・広域での最終処分場の調整・確保
・海上、鉄道等輸送手段の確保
(20)被災者の生活支援
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災者の生活の安定化と被災地の速やかな
復興を図るため、次のような被災者の生活支援を行う。
① 災害弔慰金、災害障害見舞金の支給及び災害援護資金の支給
被災府県・市町村が災害弔慰金、災害障害見舞金の支給業務及び災害援護資金の貸付業務を円滑に
行う上で必要な要員の派遣等の応援・受援活動を行う。
② 義援金の募集・配分
被災府県・市町村が義援金の募集・配分業務を円滑に行う上で必要な要員の派遣等の応援・受援活
動を行う。
③ 被災者生活再建支援金の支給
被災府県・市町村が被災者生活再建支援金の支給業務を円滑に行う上で必要な要員の派遣等の応
援・受援活動を行う。
④ 相談窓口の開設
被災府県・市町村が被災者相談窓口業務を円滑に行う上で必要な要員の派遣等の応援・受援活動を
行う。
(21)被災市町村事務全般の支援
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、家屋被害調査、罹災証明の発行、市町村税
78
第 6 号議案
の減免事務等、災害により生じた膨大な市町村事務及び職員の死傷等により担い手を失った市町
村事務の処理を補完するため、各種事務処理要員(市町村職員)の派遣等の応援・受援活動を行
う。
(22)学校の教育機能の回復
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、学校教育活動の早期回復を図り、児童・
生徒の精神的な負担を軽減するため、応援教職員や、教育復旧の経験者・専門家、心のケアの専
門家等を派遣する応援・受援活動を行う。
(23)文化財の緊急保全
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災文化財を緊急に保全するとともに、
損壊建物の撤去等に伴う貴重な建造物等の不動産文化財及び美術工芸品等の動産文化財の廃
棄・散逸を防止するため、直接の被災や保存・展示施設の倒壊又は倒壊のおそれ等により緊急に
保全措置を必要とする文化財の応急措置を行う専門家等の派遣及び文化財の一時保管等の応
援・受援活動を行う。
(24)災害ボランティアの活動促進
広域連合及び構成団体は、連携県、市町村等と連携し、被災地の迅速な復旧・復興に資するた
め、NGO・NPOを含む災害ボランティアを積極的に受け入れるとともに、それらの活動を促
進するため、必要な支援を行う。
被災府県が複数にわたる場合は、被災地全体にボランティアが支援に入ることができるよう、
広域連合は、ボランティアに対する統一的なメッセージの発信を行うほか、被災府県の災害ボラ
ンティアセンター間の情報共有を促す。また、被災府県の災害ボランティアセンターの後方支援
となるインフォメーションセンターを応援府県と連携して設置し、ボランティアに対する情報提
供を行う。
79
第 6 号議案
<変化するボランティアニーズへの対応>
応 急対
応期
( 避 難
所期)
復 旧・
復興期
( 仮 設
住 宅
期)
ボランティアニーズ
被災府県・市町村
広域連合・応援府県
○被災者の生活支援
・救援物資の仕分け、配
布
・炊き出し
・泥のかきだし、清掃
・がれき撤去
・家具・荷物の搬出
・避難所運営支援
○災害ボランティアセンターの運
営支援
など
【被災府県】
○被災地のボランティアニーズの把握
○(必要に応じ)被災市町村へ応援
職員を派遣し、情報収集
○災害ボランティアセンターの設置・運営
○府県内市町村災害ボランティアセンターの
設置要請及び運営支援
○災害ボランティアの呼びかけを広域連
合・応援府県へ要請
○災害ボランティアの募集にかかる広
報、ボランティアバスの運行等の支援
○ボランティア用資機材の需給調整
【被災市町村】
○被災地のボランティアニーズの把握
○災害ボランティアセンターの設置・運営
○府県内外からボランティア受入表明
○災害ボランティアの受入れ(ボランティア
のコーディネート、災害従事車両証明書
の発行等)
○ボランティア用資機材の提供
【被災府県・被災市町村】
○傾聴ボランティアや慰問活動等避難者
の精神的支援ができるボランティアを
被災者のもとに派遣
○仮設住宅のコミュニティづくり
の経験があるボランティアを派遣
○高齢者の見守りを行うスタッフの派
遣
【応援府県】
○ボランティア活動支援
○被災地のボランティア受
入業務支援
○被災者の精神的支援
・傾聴ボランティア
・お茶会、話し相手
・芸術文化を生かした支
援(趣味活動、演奏・
合唱などの慰問活動)
○仮設住宅のコミュニテ
ィづくり支援
○高齢者の見守り
など
【広域連合・応援府県】
○不足する傾聴ボランティアや
慰問活動等避難者の精神
的支援ができるボランティア
を広域的に派遣調整
○仮設住宅のコミュニティ
づくりの経験があるボラン
ティアを広域的に派遣調整
○高齢者の見守りを行うスタ
ッフのための研修講師等の
派遣調整
80
第 6 号議案
【参考】広域連合による風水害への対応事例
1
平成 23 年台風第 12 号
(1)初動対応
9/2∼ 情報収集体制
9/5
情報収集のため、大阪府が職員1名を和歌山県へ派遣
9/6
支援ニーズ把握のため、広域防災局(兵庫県)が職員 2 名を和歌山県へ、大阪府が職員
2 名を奈良県へ派遣。また、兵庫県が消防防災ヘリを三重県へ派遣(物資運搬用)
9/7
京都府から奈良県へ情報収集職員2名を派遣
(2)物的支援の実施
・構成府県から和歌山県(市町村を含む)に対し飲料水等の物資支援
(3)ボランティア等派遣
・各府県から 940 名派遣、和歌山県・市町村のボランティアセンター支援に 171 名派遣
(4)人的支援の実施
・家屋被害調査実地研修を行うため、兵庫県職員 2 名を和歌山県へ派遣
・災害救助法の適用を受けた市町職員の研修のため兵庫県職員 1 名を派遣
・岩手県に派遣されていた和歌山県土木職員の代替要員を派遣(大阪府 3 名、兵庫県 2 名、京都
府 1 名)
・公共土木施設等復旧支援にかかる職員を和歌山県へ 19 名、同県田辺市へ 10 名、奈良県へ8名
派遣
(5)受援の調整
・九州地方知事会に要請し、公共土木施設復旧を支援する職員 10 名を和歌山県に派遣
2
平成 25 年台風第 18 号
(1)初動対応
9/16∼ 災害対策準備室による情報連絡体制の構築
9/17∼ 大雨特別警報発令 3 府県に職員を派遣して支援ニーズを把握
9/21∼
被災市町等のボランティア窓口の広報、家屋被害認定等必要な応援に係る調整体制の
確立
(2)人的支援の実施
・構成団体・連携県と調整し、河川・治山・林道等の公共施設復旧に係る応援職員を派遣(13 名:
滋賀県4名・京都府9名、11 月1日から1年間)
(3)国への緊急提案
・災害復旧の迅速化としなやかで復元力の強い国土と安全・安心な地域をつくりあげていく必要
性を踏まえて 8 項目を提案
81
第 6 号議案
<災害対応オペレーションマップ>
№
1
応援・受援の分野
被災市町村
○ 被害状況の府県への連絡、公表
○ ニーズの把握、府県への連絡
①情報の収集・共 ○ 対応状況の府県への連絡、公表
有及び公表
分野共通
②輸送経路・手段
の確保
被災府県
○ 気象情報の市町村への連絡
○ 被害状況の国、広域連合への連
絡、公表
○ ニーズの把握、広域連合への連絡
○ 対応状況の広域連合への連絡、公
表
○ 市町村内の輸送経路の確保(道路 ○ 府県内の輸送経路の確保(道路管
管理者への道路啓開要請等)
理者への道路啓開要請等)
○ 輸送手段の確保(事業者等への協 ○ 輸送手段の確保(事業者等への協
力要請)
力要請)
○ 燃料の確保(府県への燃料確保要 ○ 燃料の確保(国への燃料確保要請
請等)
等)
○ 必要な応援要員の把握
○ 応援要員の派遣要請【府県へ】
○ 業務の割当て
③応援要員の派遣 ○ 執務スペース(必要に応じて宿舎等)
の確保・提供
○ 救助・救急活動、消火活動の実施
○ 応援要請【府県へ】
○ 広域実動機関の受入れ
2 救助・救急及び消火活動の実施
医療活動の実
施
○ 情報収集
○ 府県間調整(不足の場合は応援協
定ブロック、全国知事会に応援要請)
○ 応援実績の取りまとめ、公表
○ 情報収集
<主に急性期(概
ね48時間以内)の
対応>
○ DMATの出動要請【①管内DMAT指 ○ 基地病院、応援府県との管内ドクター
定医療機関へ、②厚生労働省
ヘリの運航調整
(DMAT事務局)へ】
○ 運航要請【協定事業者へ】
○ ドクターヘリの出動要請【基地病院へ】
○ 自衛隊(救護班・医療搬送)の派遣
要請【自衛隊へ】
○ 医療搬送拠点(SCU)の設置
○ DMAT、ドクターヘリ、自衛隊救護班・ヘ
リの受入れ
○ 医療搬送の実施
○ 必要な医療支援の把握
○ 医療支援の要請【府県へ】
○ 受入体制の構築
○ 医療救護所等の設置
<主に急性期以降 ○ 医療支援チームの受入れ
の対応>
○ 薬剤・医療資機材の調達
○ 地元医療機関等への引継ぎ
○ 必要な医療支援の把握
○ 情報収集
○ 医療支援の要請【①広域連合(カウン ○ 府県間調整(不足の場合は応援協
ターパート方式:幹事府県)、②厚生労
定ブロック、全国知事会に応援要請)
○ 医療支援チームの縮小に向けた調整
働省、③自衛隊へ】
○ 受入体制の構築
○ 薬剤・医療資機材の調達
○ 地元医療機関等への引継ぎ調整
―
3
○ 必要な応援要員の把握
○ 応援要員の派遣要請【広域連合(カ
ウンターパート方式:幹事府県)へ】
○ 業務の割当て
○ 執務スペース(必要に応じて宿舎等)
の確保・提供
○ 救助・救急活動の実施
○ 応援要請【他市町村、消防庁(緊急
消防援助隊)、警察庁(警察災害派
遣隊)、自衛隊、海上保安庁へ】
○ 広域実動機関の受入れ
広域連合
○ 被害状況の取りまとめ、構成団体・
連携県への連絡
○ ニーズの把握、構成団体・連携県へ
の連絡
○ 対応状況・応援実施状況の取りまと
め、公表
○ 府県間調整(事業者等への要請が
集中する場合など輸送手段や燃料
の配分調整が必要な場合)
4 避難指示等の発令及び避難誘導
○ 避難指示等の発令
○ 災害放送の要請
○ 気象情報の活用
○ 避難誘導にかかる協力要請
○ 住民避難の状況報告
○ 市町村外避難の必要性判断
○ 広域一時滞在の協議【①府県内他
市町村へ、②府県へ】
広域避難の実施
○ 自主避難者を含め広域避難者の所
5 ※「避難指示等の発令及び避難誘
在・状況把握
導」「避難所の運営」も参照。
○ 自主避難者を含め広域避難者への
情報提供、生活支援
○ 避難所の確保・開設
避難所の運営
○ 避難所運営要員の確保
※「生活物資の供給」「健康対策の ○ 避難所の運営
6
実施」「生活衛生対策の実施」「防
疫対策の実施」も参照。
7 帰宅困難者の支援
○ 被災地の状況把握
○ 気象情報の提供
○ 避難指示等の代行
○ 災害放送の要請
○ 避難誘導への協力
○ 情報収集
○ 府県外避難の必要性判断
○ 広域一時滞在の協議【広域連合(カ
ウンターパート方式:幹事府県)へ】
○ 広域避難者の輸送
○ 自主避難者を含め広域避難者の所
在・状況把握
○ 自主避難者を含め広域避難者への
情報提供、生活支援
○ 避難所の確保
○ 避難所運営要員の確保
○ 避難所の運営支援
○ 府県間調整(受入避難所の確保、
広域避難者の輸送・生活支援)(不
足の場合は応援協定ブロック、全国
知事会に応援要請)
○ 受入実績の公表
○ 府県間調整(不足の場合は応援協
定ブロック、全国知事会に応援要請)
○ 避難所の運営支援
○ メッセージの発出
○ メッセージの発出
○ 情報収集
○ 交通情報・支援情報の発出
○ 交通情報・支援情報の発出
○ 協定事業者との連絡調整
○ 一時滞留施設の確保
○ 一時滞留施設の確保
○ 帰宅支援ステーションの開設要請【①協 ○ 帰宅支援ステーションの開設要請【協定
事業者へ】
定事業者へ、②府県へ】
○ 代替交通手段の確保(事業者等へ ○ 代替交通手段の確保(事業者等へ
の協力要請)
の協力要請)
○ ホテル・旅館業者等への協力要請
○ ホテル・旅館業者等への協力要請
82
第 6 号議案
応援府県
応援市町村
○ 気象情報の市町村への連絡
○ ニーズの把握、府県への連絡
○ 被害状況の市町村への連絡
○ 応援実施状況の府県への報告
○ ニーズの把握、市町村への連絡
○ 応援実施状況の広域連合への報告
国・国出先機関
〔気象庁、管区気象台〕
○ 気象情報の府県への連絡
〔内閣府・消防庁〕
○ 被害状況の取りまとめ、公表
○ 被災府県までの輸送経路の確保
○ 輸送手段の確保
○ 燃料の確保
○ 輸送の実施
○ 被災府県までの輸送経路の確保
○ 輸送手段の確保
○ 燃料の確保
○ 輸送の実施
○ 情報収集
○ 応援要員の確保
○ 宿泊場所及び移動手段の確保
○ 応援要員の派遣
○ 応援実績の報告
○ 情報収集
○ 応援要員の確保
○ 宿泊場所及び移動手段の確保
○ 応援要員の派遣
○ 応援実績の報告
〔警察庁、管区警察局〕
○ 交通規制の広域調整
〔国土交通省、地方整備局〕
○ 輸送経路の確保
〔国土交通省、地方運輸局、神戸運
輸監理部、地方航空局〕
○ 輸送手段の確保
〔海上保安庁〕
○ 緊急輸送活動の実施
〔自衛隊〕
○ 輸送支援等の実施
〔資源エネルギー庁、経済産業局〕
○ 燃料の確保
―
○ 緊急消防援助隊の出動要請の連絡 ○ 緊急消防援助隊の出動
○ 情報収集
〔緊急消防援助隊(消防庁)〕
○ 救助・救急活動、消火活動の実施
〔警察災害派遣隊(警察庁)〕
○ 救助・救急活動の実施
〔自衛隊〕
○ 救助・救急活動の実施
〔海上保安庁〕
○ 救助・救急活動の実施
○ DMATの出動要請【管内DMAT指定 〔広域医療機関等〕
〔厚生労働省(DMAT事務局)〕
○ DMATの出動(DMAT指定医療機 ○ DMATの出動要請(都道府県へ)
医療機関へ】
○ ドクターヘリの運航調整(基地病院、広
○ 医療搬送拠点(SCU)の設置
関)
○ ドクターヘリの出動(基地病院)
○ 搬送手段の確保
域連合と)
○ 医療搬送拠点(SCU)の設置
○ 搬送患者の受入れ(災害拠点病院 ○ 広域医療搬送の実施
○ 搬送患者の受入調整・受入れ
〔自衛隊〕
等)
○ 救護班の派遣
○ 情報収集
○ 医療支援(応援要員)の確保
○ 現地支援本部への職員派遣
○ 宿泊施設及び交通手段の確保
○ 医療支援チームの派遣
○ 医療支援チームの縮小に向けた調整
―
〔応援医療機関等〕
○ 情報収集
○ 医療支援(応援要員)の確保
○ 宿泊施設及び交通手段の確保
○ 医療支援チームの派遣
―
〔厚生労働省(DMAT事務局)〕
○ 搬送手段の確保
○ 広域医療搬送の実施
〔自衛隊〕
○ 救護班の派遣
○ 医療搬送の実施
〔気象庁、管区気象台〕
○ 気象情報の連絡
○ 受入避難所の確保
○ 広域避難者の受入れ
○ 広域避難者の輸送支援
○ 広域避難者の生活支援
○ 自主避難者を含め広域避難者の所
在・状況把握
○ 受入実績の報告
○ 受入避難所の確保
〔総務省〕
○ 広域避難者の受入れ
○ 全国避難者情報システムの運用
○ 広域避難者の生活支援
○ 自主避難者を含め広域避難者の所
在・状況把握
○ 受入実績の報告
○ 避難所運営要員の派遣
○ 避難所の運営支援(広域避難者を
受け入れた場合)
○ 避難所運営要員の派遣
○ 避難所の運営(広域避難者を受け
入れた場合)
○ 情報収集
○ 情報収集
〔厚生労働省〕
○ 避難所運営への助言
関係広域機関等
〔報道機関〕
○ 報道の実施
〔応援協定ブロック〕
○ 情報収集
〔全国知事会〕
○ 情報収集
―
〔応援協定ブロック〕
○ 応援要員の派遣
〔全国知事会〕
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県からの応援要員の派遣
―
〔協定事業者〕
○ 予備機活用によるドクターヘリの運航
〔応援協定ブロック〕
○ 応援要員の派遣
〔全国知事会〕
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県からの応援要員の派遣
〔関係団体(日本医師会、日本看護
協会、日本薬剤師会、日本歯科医
師会、日本赤十字社等)〕
○ 医療支援の実施
〔放送事業者(日本放送協会等)〕
○ 災害放送の実施
〔応援協定ブロック〕
○ 広域避難者の受入れ
〔全国知事会〕
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県での広域避難者の受入
れ
〔応援協定ブロック〕
○ 応援要員の派遣
〔全国知事会〕
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県からの応援要員の派遣
〔国土交通省、地方運輸局、神戸運
〔協定事業者(コンビニエンスストア等)〕
輸監理部〕
○ 帰宅支援ステーションの開設(水道水、
○ 代替輸送の調整
トイレ、道路情報等の提供)
〔鉄道事業者〕
○ 代替輸送の手配
83
第 6 号議案
応援・受援の分野
№
8 生活物資の供給
9 給水
①保健・福祉
10
被災者の健康
対策の実施
②栄養
11 被災者の心のケアの実施
12
被災府県
○ 必要な物資の把握
○ 備蓄物資の配布
○ 物資の要請【①協定事業者、②管
内市町村、③広域連合(カウンターパー
ト方式:幹事府県)へ】
○ 物資集積・配送拠点の開設・運営
○ 物資集積・配送拠点の場所・運営要
員に係る支援要請【①協定事業者、
②広域連合(カウンターパート方式:幹事
府県)へ】
○ 物資の中継
○ 避難所等への物資配送
○ 避難所等の物資到着状況の確認
○ 給水量の把握
○ 情報収集
○ 給水車の要請【日本水道協会府県 ○ 給水車の要請【日本水道協会府県
支部へ】
支部へ】
○ 応急給水拠点の設置
○ 取水の協力要請【国土交通省、農
林水産省へ】
○ 給水車の受入れ
○ 給水状況の確認
○ 情報収集
○ 必要な物資の把握
○ 情報収集
○ 物資の要請【広域連合(カウンターパート ○ 物資に係る府県間調整(不足の場
方式:幹事府県)へ】
合は応援協定ブロック、全国知事会
○ 必要な応援要員の把握
に応援要請)
○ 応援要員(保健師、看護師)の派遣 ○ 応援実績の取りまとめ、公表
要請【厚生労働省へ】
○ 業務の割当て
○ 保健活動の実施
○ 必要な物資の把握
○ 物資の要請【府県へ】
○ 必要な応援要員の把握
○ 応援要員(管理栄養士)の派遣要請
【府県へ】
○ 業務の割当て
○ 食生活改善活動の実施
○ 必要な物資の把握
○ 情報収集
○ 物資の要請
○ 物資に係る府県間調整(不足の場
○ 必要な応援要員の把握
合は応援協定ブロック、全国知事会
○ 応援要員の派遣要請【厚生労働省
に応援要請)
○ 応援実績の取りまとめ、公表
へ】
○ 業務の割当て
○ 食生活改善活動の実施
○ 被害状況の把握
○ 必要な心のケアチーム数、活動方針の
調整
○ 心のケアチームの派遣要請【府県へ】
○ 活動拠点の開設・運営
○ 心のケアチームの受入れ
○ 活動状況の把握
○ 被害状況の把握
○ 必要な心のケアチーム数、活動方針の
調整
○ 心のケアチームの派遣要請【①広域連
合(カウンターパート方式:幹事府県)、
②厚生労働省へ】
○ 活動拠点の開設・運営
○ 心のケアチームの受入れ
○ 活動状況の把握
○ 仮設トイレの必要数等の把握
○ 仮設トイレの確保
○ 応援要請【①広域連合(カウンターパート
方式:幹事府県)、②環境省へ】
①し尿処理
②入浴の確保
○ 入浴可能施設の把握
○ 入浴施設の開放要請【事業者へ】
○ 仮設風呂の設置要請【府県へ】
○ 自衛隊入浴所の開設要請【府県へ】
○ 入浴支援及び入浴施設の運営
○ 入浴施設の使用状況の確認
13 防疫対策の実施
広域連合
○ 情報収集
○ 府県間調整(物資の調達、物資集
積・配送拠点の場所・運営要員)(不
足の場合は応援協定ブロック、全国
知事会に応援要請)
○ 応援実績の取りまとめ、公表
○ 必要な物資の把握
○ 物資の要請【府県へ】
○ 必要な応援要員の把握
○ 応援要員(保健師、看護師)の派遣
要請【府県へ】
○ 業務の割当て
○ 保健活動の実施
○ 仮設トイレの必要数等の把握
○ 仮設トイレの設置・管理
○ 応援要請【府県へ】
生活衛生対策
の実施
14 遺体の葬送
被災市町村
○ 必要な物資の把握
○ 備蓄物資の配布
○ 物資の要請【①協定事業者、②他
市町村、③府県へ】
○ 物資集積・配送拠点の開設・運営
○ 物資の受取り
○ 避難所等への物資配送
○ 避難所等の物資到着状況の確認
○ 情報収集
○ 府県間調整(不足の場合は応援協
定ブロック、全国知事会に応援要請)
○ 応援実績の取りまとめ、公表
○ 情報収集
○ 府県間調整(不足の場合は応援協
定ブロック、全国知事会に応援要請)
○ 応援実績の取りまとめ、公表
○ 入浴可能施設の把握
○ 情報収集
○ 入浴施設の開放要請【事業者へ】 ○ 府県間調整(不足の場合は応援協
定ブロック、全国知事会に応援要請)
○ 仮設風呂の設置要請【①広域連合
(カウンターパート方式:幹事府県)、② ○ 応援実績の取りまとめ、公表
厚生労働省へ】
○ 入浴所の開設要請【自衛隊へ】
○ 旅客船の入浴施設の開放要請【協
定事業者へ】
○ 入浴施設の運営支援
○ 入浴施設の使用状況の確認
○ 防疫活動(衛生指導、消毒、害虫駆 ○ 防疫活動の支援
○ 応援要請【①府県ペストコントロール協
除等)の実施
○ 応援要請【①府県、②府県ペストコント
会、②広域連合(カウンターパート方式:
幹事府県)、③厚生労働省、④自衛
ロール協会へ】
○ 応援の受入れ
隊へ】
○ 応援の受入れ支援
○ 必要な物資の把握及び火葬場受入 ○ 必要な物資の把握及び火葬場受入
体制の把握
体制の把握
○ 遺体の処置に必要な物資の要請
○ 遺体の処置に必要な物資の要請
【広域連合(カウンターパート方式:幹事
【府県へ】
府県)へ】
○ 広域火葬の要請【府県へ】
○ 安置所の運営
○ 広域火葬の要請【広域連合(カウンター
パート方式:幹事府県)へ】
○ 遺体の搬送
○ 安置所の運営支援
○ 遺体の搬送支援
○ 情報収集
○ 府県間調整(不足の場合は応援協
定ブロック、全国知事会に応援要請)
○ 応援実績の取りまとめ、公表
○ 情報収集
○ 府県間調整(不足の場合は応援協
定ブロック、全国知事会に応援要請)
○ 応援実績の取りまとめ、公表
84
第 6 号議案
応援府県
○ 情報収集
○ 物資の調達
○ 物資集積・配送拠点の開設・運営
○ 物資の輸送
○ 物資の中継
○ 応援実績の報告
応援市町村
○ 情報収集
○ 物資の調達
○ 物資の輸送
○ 応援実績の報告
国・国出先機関
〔厚生労働省〕
○ 医薬品等の確保
〔農林水産省、地方農政局〕
○ 政府所有米穀等の確保
〔経済産業省、経済産業局〕
○ 生活必需品の確保
〔総務省、地方総合通信局〕
○ 通信機器の確保
〔資源エネルギー庁、経済産業局〕
○ 燃料の確保
〔国土交通省、地方運輸局、神戸運
輸監理部〕
○ 物資集積・配送拠点の場所の確保
〔厚生労働省〕
○ 被害状況の公表
○ 関係機関・団体への協力要請
〔自衛隊〕
○ 給水活動の実施
〔海上保安庁〕
○ 給水活動の実施
〔国土交通省、地方整備局〕
○ 河川等からの取水への協力
〔農林水産省、地方農政局〕
○ 河川等からの取水への協力
関係広域機関等
〔応援協定ブロック〕
○ 物資の調達、輸送
〔全国知事会〕
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県での物資の調達、輸送
○ 情報収集
○ 情報収集
○ 給水車等の手配
○ 給水車の派遣
○ 情報収集
○ 物資の調達、輸送
○ 応援要員の確保
○ 派遣チームの編成
○ 宿泊場所、移動手段の確保
○ 応援要員(保健師、看護師)の派遣
○ 応援実績の報告
○ 情報収集
〔厚生労働省〕
○ 物資の調達、輸送
○ 都道府県への応援(保健師、看護
○ 応援要員の確保
師の派遣)の割当て
○ 派遣チームの編成
○ 宿泊場所、移動手段の確保
○ 応援要員(保健師、看護師)の派遣
○ 応援実績の報告
○ 情報収集
○ 物資の調達、輸送
○ 応援要員の確保
○ 宿泊場所・移動手段の確保
○ 応援要員の派遣
応援実績の報告
○ 情報収集
○ 物資の調達、輸送
○ 応援要員の確保
○ 宿泊場所・移動手段の確保
○ 応援要員の派遣
○ 応援実績の報告
〔厚生労働省〕
〔日本栄養士会〕
○ 都道府県への応援(管理栄養士の ○ 応援要員の確保
派遣)の割当て
○ 応援要員の派遣要請【日本栄養士
会へ】
○ 情報収集
○ 心のケアチームの人員確保
○ 心のケアチームの派遣
○ 応援実績の報告
○ 情報収集
〔厚生労働省〕
〔応援協定ブロック〕
○ 都道県への応援(心のケアチームの派 ○ 応援要員の派遣
〔全国知事会〕
遣)の割当て
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県からの応援要員の派遣
○ 情報収集
○ 仮設トイレの提供
○ 応援実績の報告
○ 情報収集
○ 仮設トイレの提供
○ 応援実績の報告
〔環境省、地方環境事務所〕
○ 被害・復旧情報の公表
○ 関係機関・団体への協力要請
○ し尿処理に係る支援の実施
○ 情報収集
○ 必要な資機材の提供
○ 応援実績の報告
○ 情報収集
○ 必要な資機材の提供
○ 応援実績の報告
〔厚生労働省〕
〔応援協定ブロック〕
○ 関係機関・団体への協力要請
○ 応援要員の派遣、資機材の提供
〔国土交通省、地方運輸局、神戸運
〔全国知事会〕
○ 応援要員の派遣、資機材の提供
輸監理部〕
○ 旅客船の入浴施設の開放要請
〔自衛隊〕
○ 仮設風呂の設置
○ 情報収集
○ 応援要員の派遣、物資等の提供
○ 応援実績の報告
○ 情報収集
○ 応援要員の派遣、物資等の提供
○ 応援実績の報告
○ 情報収集
○ 物資等の提供、広域火葬の調整
○ 応援実績の報告
○ 情報収集
○ 物資等の提供、火葬の調整
○ 火葬の実施
○ 応援実績の報告
〔厚生労働省〕
〔日本ペストコントロール協会〕
○ 応援要員の派遣、物資等の提供に ○ 防疫活動の支援
係る関係機関・団体への協力要請
〔応援協定ブロック〕
〔自衛隊〕
○ 応援要員の派遣、物資等の提供
○ 防疫活動の支援
〔全国知事会〕
○ 応援要員の派遣、物資等の提供
〔厚生労働省〕
〔NPO法人日本環境斎苑協会、葬
祭事業協同組合連合会〕
○ 遺体の処置に必要な物資の確保、
遺体の搬送等に係る関係機関・団 ○ 物資等の提供に係る会員事業者へ
の協力要請
体への協力要請
〔地方ブロック霊柩自動車協会〕
○ 遺体の搬送
〔日本遺体衛生保全協会〕
○ 遺体の処理
〔日本DMORT研究会〕
○ 遺体安置所での遺族のケア支援
〔応援協定ブロック〕
○ 物資の提供
〔(社)日本水道協会府県支部〕
○ 府県内水道事業者との調整
○ 給水車等の手配、派遣
〔(社)日本水道協会地方支部〕
○ 府県間調整
○ 給水車等の手配
〔(社)日本水道協会〕
○ 地方ブロック間調整
○ 給水車等の手配
―
〔応援協定ブロック〕
○ 応援要員の派遣、仮設トイレの提供
〔全国知事会〕
○ 応援要員の派遣、仮設トイレの提供
85
第 6 号議案
№
応援・受援の分野
被災市町村
○ 危険度判定の実施
○ 応援判定士の派遣要請【府県へ】
○ 応援判定士の受入れ
被災府県
広域連合
○ 危険度判定の実施支援
○ 情報収集
○ 応援判定士の派遣要請【近畿被災 ○ 応援実績の取りまとめ、公表
建築物応急危険度判定協議会へ】
○ 応援判定士の受入調整
○ 危険度判定の実施
○ 応援判定士の派遣要請【府県へ】
○ 応援判定士の受入れ
○ 情報収集
○ 応援実績の取りまとめ、公表
(建築物)
被災建築物等
15
の危険度判定
(宅地)
16 応急仮設住宅の整備・確保
○ 危険度判定の実施支援
○ 応援判定士の派遣要請【国土交通
省へ】
○ 応援判定士の受入調整
○ 必要戸数の調査、府県への連絡
○ 必要戸数の確定、広域連合等への
○ 既存空き住宅及び応急仮設住宅建
連絡
設可能用地の調査、府県への連絡 ○ 既存空き住宅の提供及び応急仮設
○ 入居者の募集
住宅の建設に係る協力要請【宅建
業協会、プレハブ建築協会等へ】
○ 入居事務の実施
○ 既存空き住宅の提供
○ 既存空き住宅の提供
○ 応急仮設住宅の供与・維持管理
○ 建設用地の選定
○ 配置計画、仕様等の確定
○ 応急仮設住宅建設指示(発注)
○ 進捗管理・検査、市町村への引継ぎ
○ 応援要員の派遣要請【広域連合(カ
ウンターパート方式:幹事府県)へ】
○ 他府県での既存空き住宅提供の要
請【広域連合(カウンターパート方式:幹
事府県)へ】
○ 他府県での応急仮設住宅建設の要
請【広域連合(カウンターパート方式:幹
事府県)へ】
○ 要員・資機材の確保
○ 要員・資機材の応援要請【府県へ】
○ 緊急対策(施設の利用規制、緊急
点検・情報収集、障害物の除去、道
路・航路の啓開、施設の利用可否
情報等の周知)
○ 応急復旧(施設の応急復旧工事)
○ 復旧(施設の復旧工事)
○ 情報収集
○ 応援要員の派遣調整(不足の場合
は応援協定ブロック、全国知事会に
応援要請)
○ 既存空き住宅提供戸数の調整・割
当て(不足の場合は応援協定ブロッ
ク、全国知事会に応援要請)
○ 応急仮設住宅建設戸数の調整・割
当て
○ 要員・資機材の確保
○ 要員・資機材の確保に係る府県間
○ 要員・資機材の応援要請【広域連合
調整(不足の場合は応援協定ブロッ
(カウンターパート方式:幹事府県)へ】
ク、全国知事会に応援要請)
○ 緊急対策(施設の利用規制、緊急 ○ 施設管理者への早期復旧要請【道
点検・情報収集、障害物の除去、道
路:国土交通省、高速道路管理者、
路・航路の啓開、施設の利用可否
鉄道:国土交通省、鉄道事業者、空
情報等の周知)
港:国土交通省、民間空港等管理
○ 応急復旧(施設の応急復旧工事)
者へ】
○ 復旧(施設の復旧工事)
①全般
②水道
社会基盤施設
17 の緊急対策及
び復旧
③下水道
④電気・ガス・通信
○ 被害状況の把握、府県への連絡
○ 要員・資機材の応援要請【日本水道
協会府県支部へ】
○ 復旧体制の整備
○ 要員・資機材の受入れ
○ 復旧
○ 管理施設(公共下水道)の被害状況
の把握、府県への連絡
○ 要員・資機材の確保
○ 要員・資機材の応援要請【府県へ】
○ 緊急対策
○ 応急復旧
○ 復旧
○ 被害・復旧状況の取りまとめ、国へ
の報告
○ 要員・資機材の応援要請【日本水道
協会府県支部へ】
○ 要員・資機材の受入調整
○ 要員・資機材の中継
○ 管理施設(流域下水道)の被害状況
の把握
○ 要員・資機材の確保
○ 下水道事業災害時近畿ブロック対策
本部の設置、構成府県市への応援
要請、国土交通省への連絡
○ 緊急対策
○ 応急復旧
○ 復旧
○ 事業者との連携による被害状況の ○ 事業者との連携による被害状況の
把握
把握
○ 被災地ニーズの事業者への伝達
○ 被災地ニーズの事業者への伝達
○ 優先的復旧箇所の把握、事業者へ ○ 優先的復旧箇所の把握、事業者へ
の復旧要請
の復旧要請
○ 事業者への道路通行可否情報の提 ○ 事業者への道路通行可否情報の提
供
供
○ 情報収集
○ 情報収集
○ 府県、事業者との連携による被害状
況の把握
○ 事業者、総務省(通信)、経済産業
省(電気・ガス)への早期復旧要請
86
第 6 号議案
応援府県
○ 情報収集
○ 応援判定士の派遣
○ 応援実績の報告
応援市町村
○ 情報収集
○ 応援判定士の派遣
○ 応援実績の報告
国・国出先機関
〔国土交通省、地方整備局〕
○ 他ブロック、都市再生機構等との調整
○ 情報収集
○ 応援判定士の派遣
○ 応援実績の報告
○ 情報収集
○ 応援判定士の派遣
○ 応援実績の報告
〔国土交通省、地方整備局〕
○ 都道府県、都市再生機構等との調
整
○ 応援要員の派遣
○ 応援要員の派遣
〔国土交通省、地方整備局〕
○ 既存空き住宅の提供
○ 応急仮設住宅の供与・維持管理
○ 応援要員の派遣調整
○ 建設用地の選定
○ 既存空き住宅及び応急仮設住宅建 ○ 関係団体・事業者への協力要請
設可能用地の調査、府県への連絡 ○ 応急仮設住宅の仕様、単価等に係
○ 配置計画、仕様等の確定
る内閣府、財務省との調整
○ 応急仮設住宅建設指示(発注)
○ 進捗管理・検査、市町村への引継ぎ
〔国土交通省、経済産業省、環境
省、各地方支分部局〕
○ 応急仮設住宅建設資機材の提供に
係る関係団体・事業者との調整
〔林野庁、森林管理局〕
○ 国有林からの木材供給、関係団体
への木材供給要請
○ 応援要員の派遣、資機材の提供
○ 応援要員の派遣、資機材の提供
〔国土交通省、地方整備局〕
○ 国管理施設の啓開・復旧
○ 災害対策現地情報連絡員(リエゾ
ン)、緊急災害対策派遣隊(TECFORCE)の派遣
〔国土交通省、地方運輸局〕
○ 鉄道の復旧要請【鉄道事業者へ】
〔国土交通省、地方航空局〕
○ 国管理施設の復旧
〔農林水産省、地方農政局〕
○ 水土里災害派遣隊の派遣
〔水産庁〕
○ 漁港の復旧に係る応援要員の派遣
調整
〔林野庁、森林管理局〕
○ 治山施設・林業用施設の復旧に係
る応援要員の派遣調整
〔海上保安庁〕
○ 港内の航行制限、航路標識の復
旧、水深調査等
○ 情報収集
○ 応援要員の派遣
○ 資機材の提供
○ 情報収集
○ 応援要員の派遣
○ 資機材の提供
〔厚生労働省〕
○ 被害・復旧状況の公表
○ 関係機関・団体への協力要請
○ 要員・資機材の確保
○ 要員・資機材の確保
○ 被害状況の把握
○ 被害状況の把握
関係広域機関等
〔近畿被災建築物応急危険度判定
協議会〕
○ 構成団体との調整
○ 応援判定士の派遣要請【国土交通
省、地方整備局へ】
〔他ブロック都道県〕
○ 応援判定士の派遣
〔都市再生機構、建築関係団体〕
○ 応援判定士の派遣
〔都道府県〕
○ 応援判定士の派遣
〔都市再生機構、宅地関係団体〕
○ 応援判定士の派遣
〔宅建業協会他不動産事業者、都
市再生機構等〕
○ 提供可能な既存空き住宅の調査
○ 既存空き住宅を応急仮設住宅として
借上げ提供
〔プレハブ建築協会等〕
○ 応急仮設住宅建設体制の整備
○ 事業者の選定、建設準備の依頼
○ 建設用地に関する助言
○ 配置計画案の作成
○ 詳細設計、建設工事の実施
〔都市再生機構等〕
○ 応援要員の派遣
〔応援協定ブロック〕
○ 応援要員の派遣
○ 既存空き住宅の提供
〔全国知事会〕
○ 応援要員の派遣
○ 既存空き住宅の提供
〔応援協定ブロック〕
○ 応援要員の派遣、資機材の提供
〔全国知事会〕
○ 応援要員の派遣、資機材の提供
〔高速道路管理者〕
○ 高速道路の啓開・復旧
〔鉄道事業者〕
○ 管理施設の復旧
〔民間空港等管理者〕
○ 管理施設の復旧
〔(社)日本水道協会府県支部〕
○ 要員・資機材の府県内調整
〔(社)日本水道協会地方支部〕
○ 要員・資機材の地方ブロック内調整
〔(社)日本水道協会〕
○ 要員・資機材の全国調整
〔国土交通省、地方整備局〕
〔下水道事業災害時各ブロック支援本
○ 対策本部への参画
部(災害時支援全国代表者連絡会
○ 災害支援が円滑・迅速に実施できる ○ 議)〕
よう総合調整
要員の派遣、資機材の提供
〔経済産業省、産業保安監督部〕
○ 災害の程度、施設の重要度等を勘
案し、特に必要な場合に事業者に
応急対策を依頼
〔総務省、総合通信局〕
○ 災害の程度、施設の重要度等を勘
案し、特に必要な場合に事業者に
応急対策を依頼
〔電気事業者〕
○ 施設の被害状況の把握、早期復旧
○ 他の電気事業者への応援要請
〔都市ガス事業者〕
○ 施設の被害状況の把握、早期復旧
○ 他のガス事業者への応援要請
〔近畿LPガス連合会、(一社)全国LP
ガス協会〕
○ 施設の被害状況の把握、早期復旧
○ 他ブロックのガス協会への応援要請
〔電気通信事業者〕
○ 施設の被害状況の把握、早期復旧
○ 災害用伝言ダイヤルの提供(NTT)、イ
ンターネットや携帯電話による災害用伝
言板サービスの提供
○ 他の電気通信事業者への応援要請
87
第 6 号議案
№
応援・受援の分野
18 災害廃棄物の処理
19
被災者の生活
支援
被災市町村
被災府県
広域連合
○ 災害廃棄物の状況把握
○ 災害廃棄物の状況把握
○ 情報収集
○ 災害廃棄物処理(撤去、収集、分
○ 災害廃棄物処理(撤去、収集、分
○ 府県間調整(不足の場合は応援協
別、処分)に係る応援要請【府県へ】
別、処分)に係る応援要請【広域連
定ブロック、全国知事会に応援要請)
合(カウンターパート方式:幹事府県)へ】
○ 対象者の調査
○ 住民への広報
○ 申込書の交付、被災者・遺族からの
①災害弔慰金、災
申し出等の対応
害障害見舞金の支 ○ 審査委員会の設置、書類の審査
給及び災害援護資 ○ 給付金の給付
金の貸付
○ 貸付金の貸付(不承認)決定通知書
の交付
○ 応援要員の派遣要請【府県へ】
○ 対象者の把握
○ 府県間調整(不足の場合は応援協
定ブロック、全国知事会に応援要請)
○ Q&Aの作成、助言
○ 厚生労働省への疑義照会
○ 応援要員の派遣
○ 応援要員の派遣要請【広域連合(カ
ウンターパート方式:幹事府県)へ】
○ 義援金の募集・受付
○ 義援金の配分基準の決定
○ 義捐金の配分
②義援金の募集・ ○ 応援要員の派遣要請【府県へ】
配分
○ 義援金の募集・受付
○ 府県間調整
○ 義援金の配分基準の決定
○ 義援金の配分
○ 応援要員の確保、派遣
○ 応援要員の派遣要請【広域連合(カ
ウンターパート方式の場合:幹事府県)
へ】
○ 住宅被害状況等の把握、府県への
連絡
○ 住民への広報
○ 応援要員の派遣要請【府県へ】
③被災者生活再建 ○ 応援要員の受入れ
支援金の支給
○ 申請書の受理、送付
○ 住宅被害状況等の把握、取りまとめ ○ 府県間調整(不足の場合は応援協
○ 被災者生活再建支援法の適用、内
定ブロック、全国知事会に応援要請)
閣府への報告
○ 応援要員の確保、派遣
○ 応援要員の派遣要請【広域連合(カ
ウンターパート方式:幹事府県)へ】
○ 申請書の受理(審査)、送付
○ 内閣府への疑義照会
④相談窓口の開設
20 被災市町村事務全般の支援
○ 相談窓口の設置
○ 応援要員の派遣要請【府県へ】
○ 応援要員の受入れ
○ 災害関連事務(家屋被害調査、罹 ○ 災害関連事務等の支援
○ 府県間調整(不足の場合は応援協
災証明の発行、市町村税の減免、 ○ 応援要員の派遣調整【広域連合(カ
定ブロック、全国知事会に応援要請)
○ 応援実績の取りまとめ、公表
各種給付金事務、応急仮設住宅入
ウンターパート方式:幹事府県)へ】
居事務、住宅応急修理受付など)等 ○ 応援要員の受入れ支援
○ の実施
○ 応援要員の派遣要請【府県へ】
応援要員の受入れ
○ 学校のニーズ・要望の把握
○ 応援教職員の派遣要請【府県へ】
教職員を派遣する ○ 応援教職員の受入準備
場合
○ 応援教職員の受入れ
21
学校の教育機
能の回復
○ 相談窓口の設置
○ 府県間調整(不足の場合は応援協
○ 相談窓口の把握・取りまとめ
定ブロック、全国知事会に応援要請)
○ 被災者ニーズの把握・取りまとめ
○ 応援要員の派遣要請【広域連合(カ
ウンターパート方式:幹事府県)へ】
○ 応援要員の受入調整、受入れ
○ 学校のニーズ・要望の把握・集約
○ 府県間調整
○ 応援教職員の派遣要請【広域連合
(カウンターパート方式:幹事府県)へ】
○ 応援教職員の受入れ
○ 学校のニーズ・要望の把握
○ 学校のニーズ・要望の把握・集約
○ 府県間調整(不足の場合は応援協
○ スクールカウンセラー等の派遣要請【府県 ○ スクールカウンセラー数等の派遣要請【広
定ブロック、全国知事会に応援要請)
域連合(カウンターパート方式:幹事府
スクールカウンセラー、ス ○ へ】
県)へ】
クールソーシャルワーカー ○ スクールカウンセラー等の受入準備
○ スクールカウンセラー等の受入れ
スクールカウンセラー等の受入れ
を派遣する場合
22 文化財の緊急保全
23 災害ボランティアの活動促進
○ 文化財の緊急保全活動の実施
○ 応援要員の派遣要請
○ 応援要員の受入れ
○ 文化財の一時保管要請
○ 文化財の搬送
○ 文化財の緊急保全活動の実施
○ 府県間調整
○ 応援要員の派遣要請【広域連合(カ ○ 指導・助言等の要請
ウンターパート方式:幹事府県)へ】
○ 応援実績の取りまとめ及び公表
○ 応援要員の受入れ
○ 文化財の一時保管要請【広域連合
(カウンターパート方式:幹事府県)へ】
○ 文化財の搬送
○ 社会福祉協議会との連携による市 ○ 社会福祉協議会との連携による府 ○ 情報収集
○ ボランティア活動の呼びかけ・メッセージ
県災害ボランティアセンターの設置
町村災害ボランティアセンターの設置
○ ボランティアニーズの把握
○ ボランティアニーズの把握
の発出
○ 災害ボランティアの受入表明、募集
○ 災害ボランティアの受入表明、募集
○ ボランティアコーディネーター等災害ボランティ
○ 災害ボランティア用資機材の確保
○ ボランティア活動の呼びかけ
アセンターの運営要員の派遣に係る府
○ 災害派遣等従事車両証明書の発行 ○ ボランティアバスの運行支援
県間調整
○ ボランティアコーディネーター等災害ボランティ ○ 災害ボランティア用資機材の確保
○ ボランティアインフォメーションセンターの設置・
○ 災害派遣等従事車両証明書の発行
運営
アセンターの運営要員の派遣要請
○ ボランティアコーディネーター等災害ボランティ ○ 応援実績の取りまとめ、公表
アセンターの運営要員の派遣要請【広
域連合(カウンターパート方式:幹事府
県)へ】
88
第 6 号議案
応援府県
○ 情報収集
○ 要員の派遣、資機材の提供
○ 廃棄物の受入調整
○ 応援実績の報告
応援市町村
○ 情報収集
○ 要員の派遣、資機材の提供
○ 廃棄物の受入れ
○ 応援実績の報告
国・国出先機関
〔環境省、地方環境事務所〕
○ 災害廃棄物の処理に係る支援
関係広域機関等
〔応援協定ブロック〕
○ 要員の派遣、資機材の提供
○ 廃棄物の受入調整
〔全国知事会〕
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県における要員の派遣、
資機材の提供、廃棄物の受入調整
○ 応援要員の派遣
○ 応援要員の派遣
〔厚生労働省〕
○ 疑義照会への回答
〔応援協定ブロック〕
○ 応援要員の派遣
〔全国知事会〕
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県からの応援要員の派遣
○ 応援要員の派遣
○ 応援要員の派遣
○ 応援要員の派遣
○ 応援要員の派遣
○ 応援要員の派遣
○ 応援要員の派遣
○ 応援要員の派遣調整
○ 応援実績の報告
○ 応援要員の派遣
○ 応援実績の報告
―
〔内閣府〕
○ 疑義照会への回答
―
〔総務省〕
○ 全国市長会、全国町村会との応援
要員の確保に係る調整
○ 応援教職員の派遣調整
○ 応援教職員(市町村立学校)の選
〔文部科学省〕
定・決定
○ 応援教職員(府県立学校)の選定・
○ 学校の教育機能の回復に係る助
○ 応援教職員(市町村立学校)の派遣
決定
言・支援
○ 応援教職員(府県立学校)の派遣
○ スクールカウンセラー等の派遣調整(府県
臨床心理士会への派遣可能なスクー
ルカウンセラーの照会、府県社会福祉士
会等の協力を得てスクールソーシャルワー
カーの派遣調整)
○ スクールカウンセラー等の派遣
○ 応援要員の派遣
○ 文化財の一時保管施設の確保
○ 文化財の搬入・一時保管
○ 応援実績の報告
―
○ 応援要員の派遣
○ 文化財の一時保管施設の確保
○ 文化財の搬入・一時保管
○ 応援実績の報告
○ 情報収集
○ 情報収集
○ ボランティア活動の呼びかけ
○ ボランティア活動の呼びかけ
○ ボランティアバスの運行支援
○ ボランティアバスの運行支援
○ ボランティアコーディネーター等災害ボランティ ○ ボランティアコーディネーター等災害ボランティ
アセンターの運営要員の派遣
アセンターの運営要員の派遣
○ 応援実績の報告
○ 応援実績の報告
―
〔文化庁〕
○ 指導・助言
―
―
〔被災者生活再建支援法人((財)都
道府県会館)〕
○ 支給申請書の審査
○ 支援金の支給
〔応援協定ブロック〕
○ 応援要員の派遣
〔全国知事会〕
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県からの応援要員の派遣
〔応援協定ブロック〕
○ 応援要員の派遣
〔全国知事会〕
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県からの応援要員の派遣
〔応援協定ブロック〕
○ 応援要員の派遣
〔全国知事会〕
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県からの応援要員の派遣
〔全国市長会、全国町村会〕
○ 市町村への応援要員の派遣要請
―
〔臨床心理士会〕
○ 派遣可能なスクールカウンセラーの決定
〔応援協定ブロック〕
○ 応援要員の派遣
○ 文化財の一時保管
〔全国知事会〕
○ 都道県への応援の割当て
○ 応援都道県からの応援要員の派遣
○ 文化財の一時保管
―
89
第 6 号議案
【附属資料】近年の主な風水害から見えてきた課題
(1)平成 16 年台風第 23 号
平成 16 年台風第 23 号による兵庫県、京都府を中心とした豪雨災害では、広範囲に激しい降雨が
あり、豊岡市で円山川の破堤により広範な浸水被害が発生するなど、円山川、由良川等の流域全体
にわたり連鎖的に災害が発生した。上下流が連携し、ハード・ソフトを組み合わせて総合的な治水
対策を行っていく必要があることが改めて提起された。
(1-1)災害の状況
① 自然的状況
・ これまで経験したことのない規模の降雨量、潮位、波高等が各地で観測された。自然の外力
は施設の防災能力を超える可能性が常にあることを踏まえた備えが必要であることが明ら
かとなった。
・ 流域全体にわたり連鎖的かつ広範囲な災害が発生した。風による人工林の倒木、山の崩土、
ため池の決壊、河川の破堤、田畑への土砂流入など、森、山、川、海にわたって連鎖的かつ
広範囲な災害が発生した。大量の風倒木が発生し、流木が橋梁でせき止められて河道が閉塞
し、河川が越水、溢水し、浸水被害が広範囲に発生した。
・ 局所的な集中豪雨が頻発し、流域面積が比較的小さい中小河川がその影響を受けて、河川の
氾濫や、土砂災害が多く発生した。中小河川でも警戒避難体制の確立が必要であることが明
らかとなった。
・ 破堤が多発し、破堤した場所では、急激に大量の氾濫が起こるため、市街地の人命・財産を
失う大きな被害となるばかりでなく、堆積した泥や、電化製品などの廃棄物処理などの事後
対応も被災者の大きな負担となった。
・ 急激な河川水位の上昇により、本川の逆流などが発生し、支川が越水、溢水した。また、内
水排除ができなかった。
・ 排水機場(ポンプ場)が浸水し、機能不全に陥り、浸水被害が拡大した。
・ 高速道路などの主要な道路が、道路沿いの渓流からの土砂流出によって通行止めとなり、救
援や物資輸送の支障となったり、集落の孤立をまねいたりした。
② 社会的状況
・ 急激な水位上昇のため、市町村等の行政機関や住民が危険を把握することが困難であった。
・ 避難勧告発令の遅れに加え、避難指示などがあっても避難しない住民が多かった。
・ 災害時要援護者の被災が目立った。
・ 地域コミュニティの衰退、水防団員の減少・高齢化などにより、地域の災害時の共助体制が
脆弱になってきている。
・ 近年、災害危険区域(洪水による水害、土砂災害、高潮災害の発生するおそれがある区域)
内や地下空間の開発が進み、被害が発生した箇所がある。
・ 一部の避難所が水害を十分想定せずに指定されており、床上浸水した場所があった。
(1-2)主な課題
①
府県の災害対策本部体制、関係機関との連携
90
第 6 号議案
・ 市町村が十分に機能しない場合も想定し、府県から市町村災害対策本部に連絡員などを派遣
し、情報収集・調整にあたる仕組みを整備すべきである。
・ 市町村から府県への的確な情報伝達がなされるよう、平時からの研修・訓練等を通じて、市
町村の各部局にまで各府県の防災情報システムの活用を徹底させるべきである。
・ 府県の災害対策拠点が中核拠点機能を十二分に果たせるよう、対応スペースの拡充をはじめ
必要な見直しを行うべきである。
② 災害情報の伝達、要援護者の避難誘導
・ 市町村は、避難準備情報や避難勧告などを発令する基準を明確にするとともに、国、府県が
気象台と連携して河川水位情報、水位予測、土砂災害警戒情報などを的確に提供し、市町村
の意思決定を支援すべきである。
・ 府県及び市町村は、住民に危険性を周知するため、河川の水位や画像等をホームページ等で
公開するとともに、住民への伝達を徹底するため、同報無線の整備をはじめ地域メディアと
の連携、その他ローテク、ハイテクを駆使して伝達手段を多重化すべきである。
・ 府県及び市町村は、災害時要援護者の避難誘導について、同意方式や手上げ方式による地域
での共助の体制づくりを基本に、市町村による避難支援プランの作成など、きめ細かな支援
体制の構築に努めるべきである。
・ 市町村は、本人同意が得られない場合には、支援が難しい場合があることを十分説明した上
で、支援チームなどによる補完システムを準備するよう努めるべきである。
③ 住民への情報提供
・ 住民の防災意識の向上を図り、災害時に住民がより的確に行動できるようにするため、自然
災害の危険度や避難に必要な情報を住民にわかりやすく、また、容易に入手できる形で提供
する必要がある(ホームページでの CG ハザードマップの公開等)
。
④ 災害ボランティア活動の支援体制
・ 府県社会福祉協議会は、NPO、市町村社会福祉協議会、企業等との連絡会議を設置するなど
により、平時から関係団体間の連携を図っておくべきである。
・ 共助の精神に立って募金などによる資金調達の仕組みづくりに努めるほか、ボランタリー基
金による支援などにより安定的な財源の確保を図るべきである。
⑤ 総合的な治水対策
・ 府県及び市町村は、従来の縦割り行政を排し、流域全体を視野に入れた総合的な治水対策を
推進すべきである。
・ 府県及び市町村は、土地利用にあたって相当の安全確保対策が必要となる区域などについ
て、災害対策の観点からの土地利用の誘導・規制を図るべきである。
・ 府県は、減災対策などを総合的に推進するため、ハード・ソフト両対策について基本的な計
画を定め、推進すべきである。
【補足】平成 16 年夏から秋にかけての集中豪雨について
風水害では、時間をずらして局所的な災害が継続して発生する場合がある。先に起こった災害の
対応をしながら次の災害対応に当たらざるを得ないことになるため、災害対応に係る人員・資機材
の再配置、広域での応援・受援調整を円滑に行う必要がある。
台風第 23 号により大きな被害が生じた平成 16 年は、近年の中でも、集中豪雨が継続的に発生
91
第 6 号議案
したという意味でも特に顕著な年であった。以下にその概要を示す。
平成 16 年夏から秋にかけて、太平洋高気圧の強い張り出しと日本近海の海水温の高い状況に起
因する梅雨前線の活発な活動と台風の断続的な襲来により、全国各地で風水害が発生し、関西圏域
にも大きな被害が生じた。関西圏域に被害をもたらした台風等による集中豪雨とその被害状況は下
表のとおりである。
<平成 16 年夏から秋にかけての継続的な集中豪雨による被害状況>
名称
主な
被害発生日
台風第6号
福井豪雨
6/20∼21
7/17∼18
台風第10号,第11号 7/30∼8/4
台風第16号
8/28∼30
台風第18号
9/4∼7
台風第21号
9/25∼29
台風第23号
10/19∼20
人的被害(単位:人)
死者
0
4
2
4
0
10
49
行方不明者
重傷
2
1
0
0
0
1
0
7
4
2
8
29
5
54
住家被害(単位:棟)
軽傷
40
15
5
75
126
11
153
全壊
1
66
9
8
1
57
801
半壊
3
135
17
46
26
478
7,551
一部破損 床上浸水 床下浸水
87
229
22
2,491
1,189
131
4,175
3
4,052
14
453
57
3,144
6,580
<平成 16 年夏から秋にかけて断続的に襲来した台風の進路>
<平成 16 年の気象等の特徴>
○気象の特徴
・勢力の強い台風が多数(過去最多)上陸。
・梅雨前線による短時間集中豪雨、台風による豪雨で広範囲に風水害が発生。
・台風第 23 号では複数の主要水系で計画高水位を突破。
○風水害被害の特徴
・中小河川において越水、破堤被害が多く発生。
・過去最多の土砂災害が発生。
・広範囲の沿岸で高潮災害、異常潮位が発生。
・死者・行方不明者の約 6 割が 65 歳以上の高齢者。
○防災対応の特徴
・多くの市町村が避難勧告・指示を発令(全国約 640 市町村が約 160 万人以上に発令)。
15
9,675
122
1,443
356
7,241
18,928
92
第 6 号議案
(2)平成 21 年台風第 9 号
平成 21 年台風第 9 号による兵庫県佐用町を中心とした豪雨災害では、激しい降雨と浸水のある
中で、指定された避難先(立退き先)への避難の途中で被災したと考えられる事例が発生した。避
難といえば、市町村が指定した避難先に移動するものであるとの固定化したイメージによって引き
起こされたものとの課題が提起された。
① 行政の初動体制の整備
・ 災害対応の拠点となる施設が浸水しないような配慮や浸水した場合の代替施設の確保など、
バックアップ体制の充実が必要である。
・ 客観的基準で自動的に警戒本部を設置する手法を確立するなど、全庁的な危機管理体制をよ
り早く立ち上げていく必要がある。
② 二次災害・再度災害防止のための復旧・復興の推進
<山の適正管理や土砂・流木対策の充実>
・ 河川改修に加え、土砂・流木の流出による被害拡大を防止することが重要である。間伐の徹
底や人工林の整備などの山の適正管理による防災機能の強化と、荒廃林地の下流での治山ダ
ム等の重点整備により、谷筋毎の土砂災害対策を行う必要がある。
<中上流部の河川改修と被害軽減対策の推進>
・ 河川改修に際しては、河床掘削や河川拡幅等による流下能力の確保を図るほか、上下流バラ
ンスに配慮した中上流部の段階的な改修や、改修後も氾濫のおそれがある地域における府県
又は市町村による輪中堤・二線堤等の浸水被害軽減のための対応が必要である。
③ 市町(水防管理団体)への情報提供の充実
<水位情報、雨量情報等を欠測させない工夫>
・ 水没や故障等により水位情報や雨量情報等の災害対応上必要なデータの欠測が生じないよ
う、機器類等の設置場所の再点検や、日頃から整備・点検を行う必要がある。
<河川監視カメラ等画像情報の充実>
・ 市町村や住民が危険情報を迅速かつ的確につかむことができる、監視カメラなどを用いた画
像情報の提供がこれまで以上に必要である。
<上流域における予測情報等の市町への発信>
・ 上流の降雨状況や水位上昇速度などに基づく予測情報を、フェニックス防災システム等によ
り、適切なタイミングとより高い精度で市町村に発信していく必要がある。
④ 住民等への情報提供の充実
<携帯電話のメール機能の活用>
・ 携帯電話のメール機能を利用した避難情報や気象情報などの配信は、緊急情報の発信には非
常に有効であるので、その普及を更に進める必要がある。
<多様なメディアを通じた地域の危険情報の提供>
・ 地域住民に情報を迅速かつ的確に伝えるため、ケーブルテレビや地域 FM 放送、エリアメー
ルなど多様なメディアを通じた危険情報の提供が必要である。
<リアルタイムでの河川の画像情報の提供>
・ 地域住民に危険情報を迅速かつ的確に提供するため、Web カメラ等による河川状況の映像
93
第 6 号議案
をインターネットやケーブルテレビ等で提供する必要がある。
<自動車移動者、観光客などの来訪者等への危険情報の提供>
・ 地域住民だけでなく、自動車移動者や観光客などの来訪者等に対し、ラジオやエリアメール
などの活用を通じて迅速かつ的確に災害情報を提供する必要がある。
<安全な避難のためのサイレン・半鐘の活用強化>
・ 住民に危険が迫っていることを知らせるサイレンや半鐘が誰にでも理解できるよう、単純で
避難の時のみに使われる警報音を作成し、住民に周知徹底する必要がある。
<観測情報等が提供されていない地域への危険情報の伝達>
・ 観測情報等の提供状況を点検し、情報の種類や伝達方法を工夫して、情報提供の空白地帯を
解消する必要がある。
⑤ 土砂災害に関する情報提供の充実
<警戒避難体制整備のための土砂災害警戒区域の指定>
・ 市町村の警戒避難体制の整備を促進するため、土砂災害警戒区域の指定をさらに進める必要
がある。
<市町村に対する避難勧告等の判断のためのきめ細かな土砂災害危険度情報の発信>
・ 土砂災害警戒情報は市町村単位で発表されているが、市町村が緊急時に避難勧告等を発令す
るためには、より時間やエリアを絞り込んだ補足情報の発信が必要である。
<危険度レベル別土砂災害危険度情報の発信>
・ 土砂災害警戒情報については、市町村や住民が危険度を容易に理解し適切な避難に結びつけ
ることができるように危険度情報をレベル分けして発信する必要がある。
⑥ 関係機関相互の連携強化
<気象台、府県、市町村間の会話型システムの構築>
・ 防災関係機関、特に気象台との関係では、情報共有と適切な助言等の受け取りが素早くでき
る気象情報の伝達に関する会話型システムの構築が必要である。
<通行規制時等における行政と高速道路管理者等との連携による車両誘導の実施>
・ 高速道路の通行止めに際しては、道路管理者、警察等の関係団体との迅速かつ綿密な情報共
有を通じて、より危険度の低い道路への誘導を実施する必要がある。
<緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)の活用促進>
・ 被害情報の収集・分析や応急復旧工事等を迅速に進めるため、豊富な資機材や人材を有して
いる緊急災害対策派遣隊(TEC-FORCE)を積極的に活用していく必要がある。
<防災情報システムの活用マニュアルの作成>
・ 府県が整備している防災情報システムの有効活用を進めるため、市町村や防災関係機関の職
員の実践的活用の習熟に役立つ活用マニュアルを作成する必要がある。
<類似の環境やハザードを有した市町間での情報共有・連携の促進>
・ 市町村の災害対応能力を高めるため、類似のハザードなどを有する市町村をグルーピング
し、情報共有や相互の助言などが密接に行われる体制づくりが必要である。
<消防団による広域応援体制の整備>
・ 消防力が不足する市町村において、現在の消防本部による広域応援に加え、消防団による広
域応援が円滑に実施できるような環境を予め整備しておく必要がある。
94
第 6 号議案
⑦ 被災市町村への支援体制の充実
<広域支援の仕組みの構築>
・ 対応力が著しく低下した被災市町村に対し、災害対応の知識や経験を有する府県、市町村の
職員等を派遣し、被災市町村を広域応援する仕組みを構築する必要がある。
<家屋被害認定士を早期に派遣する仕組みの構築>
・ り災証明発行のための被害調査が迅速に行えるよう、府県レベルで育成した家屋被害認定士
などをより迅速に派遣できるしくみの構築が必要である。
<ボランティアの需給調整システムの充実>
・ 災害ボランティアの需給バランスを図るため、現地ニーズの把握と情報発信等により被災者
ニーズとボランティアをマッチングさせるシステムを充実する必要がある。
⑧ 避難勧告等の発令判断基準の策定・見直しの徹底
・ 避難勧告や避難指示等の発令判断基準を未作成の市町村に対して早急に策定するよう指導
する必要がある。また、策定済の市町村においても内容を再点検し、避難すべき区域の事前
設定など、基準を充実するよう求めていく必要がある。
・ 府県は、その基準策定や充実に当たっての助言・支援を積極的に行う必要がある。
⑨ ハザードマップの活用による安全な避難方法の周知
<ハザードマップの充実と啓発活動の推進>
・ 地域の防災力を高めるため、ハザードマップの平易化と記載内容の充実を図るとともに住民
に対する啓発活動を行うといった市町村の取り組みを支援する必要がある。
<地域におけるハザードマップづくりの促進>
・ 自治会等において災害時に状況に応じた対応ができるよう、作図システムを構築し、周知を
図るなど、地域(集落)ごとでのハザードマップづくりを支援・促進する必要がある。
<浸水域として示されていない地域における浸水可能性の注意喚起>
・ ハザードマップで浸水域として表示されない地域でも、状況によっては浸水する可能性があ
ることを住民に対し注意喚起するよう市町村に働きかける必要がある。
⑩ 安全に避難するための情報提供
<避難行動をイメージできる情報伝達>
・ 緊急時にとるべき避難行動を具体的にイメージできるような情報伝達の言い回しを市町村
に求める必要がある。
<現況の危険度合いを示す情報の提供>
・ 風雨の状況が急変し、市町村の避難勧告等を待ってからの避難では遅いこともあるので、住
民が自ら適切な行動を判断できる情報提供を市町村に求める必要がある。
⑪ 避難所・避難路の点検の徹底
<安全な避難所・避難経路の設定・見直し>
・ 府県は、安全な避難所・避難経路の設定・見直しについて市町村に適切な助言等を行う必要
がある。併せて、社会福祉施設や公営住宅など公的施設の風水害に対する安全性も再点検す
る必要がある。
95
第 6 号議案
<夜間における避難路の安全対策の実施>
・ 夜間の避難もあり得ることから、日頃から避難経路の確認を行い、避難訓練を徹底するとと
もに、照明や安全施設の確保など夜間における避難路の安全対策を実施するよう、市町村に
対して適切な助言等を行う必要がある。
<福祉避難所の確保>
・ 一般の避難所での生活が困難な災害時要援護者に対応するため、要援護者に十分な支援を提
供できる福祉避難所を事前に指定しておくよう市町村に求める必要がある。
⑫ 災害時要援護者支援体制の整備促進
<避難準備情報の発表の徹底>
・ 災害時要援護者が安全に避難できるように、市町村に対し、時間的余裕を持って避難準備情
報を住民や自主防災組織などに発表するよう指導する必要がある。
<災害時要援護者に配慮した情報伝達手段の確保>
・ 災害時要援護者に確実に情報が伝わる伝達手段を事前に準備するなど、災害時要援護者に配
慮した情報伝達手段の確保を市町村に求めていく必要がある。
⑬ 孤立可能性集落等での備えの充実
・ 孤立可能性のある集落等での通信手段やヘリコプター離発着場適地の確保など、事前の備え
を十分に行うよう求めていく必要がある。
・ 災害時には医療や福祉などの社会的サービスが過疎地などで中断することが懸念されるこ
とから、これらの地域での社会的サービスの継続確保に配慮する必要がある。
⑭ 住民一人ひとりの防災力向上を目指した支援の充実
<自助・共助意識の喚起>
・ 被害の軽減には、住民自ら事前に備え、災害時には自ら状況を判断して適切な行動を選択す
ることが重要なことから、自助意識・共助意識の喚起が必要である。
<住民に対する危険情報の意味や地域の災害履歴等の普及啓発>
・ 災害の経験や教訓、言い伝えを継承することや、最近の災害の特徴、土砂災害警戒情報等の
内容について住民に理解してもらえるよう普及啓発活動を行う必要がある。
<風水害に関する防災教育の充実>
・ 小中高生に対して、水害のメカニズムや気象関連情報、避難勧告等の発令の仕組みなど風水
害に関する防災教育を積極的に行う必要がある。
<住民による地域の安全・危険情報の把握のための支援>
・ ハザードマップ等を通じた住民自らによる地域の安全・危険情報の把握などの取組につい
て、専門家を派遣するなど、府県・市町村は積極的に支援する必要がある。
⑮ 地域の防災力向上を目指した支援の充実
<地域において状況に応じた対応ができるような情報の提供>
・ 地域で状況に応じた対応ができるように、府県・市町村は、判断に必要な情報を自治会や自
主防災組織、社会福祉団体等に直接提供できるようにする必要がある。
<消防団の団員の確保と活動の充実強化>
・ 消防団(水防団)員の確保を図るとともに、自主防災組織への指導・支援や地域コミュ二テ
ィ活動への幅広い参画など、活動の充実強化を図る必要がある。
96
第 6 号議案
(3)平成 23 年台風第 12 号
平成 23 年台風第 12 号では、経験のない記録的な豪雨の中、住民や市町村防災担当者が災害の
イメージを持つことができなかったことや、避難指示・勧告等の発令基準を策定していなかったり、
策定していても発令判断のための数値基準や発令手順が具体的でなかったため、事前の避難が困難
であった。また、比較的安全と思われていた場所、災害常襲地以外の場所でも災害が発生し、安全
な避難先が少ない中山間地域における土砂災害に対する避難の難しさが課題となった。
① 気象台から地方公共団体への情報提供
・ 気象台から提供される警報、土砂災害警戒情報等の情報やメッシュ形式(例:土砂災害警戒判
定メッシュ情報:5km メッシュ)の情報は広い範囲の危険度を示すものであり、市町村長が地
域に避難勧告等を発表する上で必要とする情報の細かさとの間にギャップがある。
・ 豪雨の中、土砂災害警戒情報等を累次発表したものの、その後多数発生した深層崩壊等の大規
模崩壊については、効果的に警戒を呼びかけることはできなかった。
・ 気象台からのホットラインによる連絡体制の整備や、緊急時に気象、洪水、土砂災害等の各分
野の専門家の助言を得られる体制の整備が必要である。
・ より具体的に緊急性が伝わるメッセージ等の提供方法を検討する必要がある。
・ 解析雨量や流域雨量指数、土壌雨量指数等の面的なデータの受け手側の理解を深めるための、
送り手側も含めた努力が必要である。
② 市町村から住民への情報提供
・ 土砂災害は危険が迫っていることが目に見えず、経験のない住民も多いため、行政が避難を呼
びかけ、消防団員や警察、消防等から声かけをしても、住民はなかなか避難しない。
・ 土砂災害警戒情報やメッシュ情報だけで住民を避難させることは難しい。
・ 住民の多くが経験したことのある「○○災害に匹敵する雨量となるおそれ」といった表現を用
いるなど、危険性が具体的に伝わるメッセージの出し方を決めておく必要がある。
・ 豪雨時や夜間等避難行動が危険な場合の避難の呼びかけ方を決めておく必要がある。
・ 地域における自然災害のリスク、危険を回避する手段としてどのようなものがあるか、行政が
発表する避難勧告・指示等の意味などについて、住民と認識を共有する必要がある。
③ 避難場所の確保
・ 土砂災害警戒区域や浸水想定区域に含まれている避難場所があった。避難した先で土砂災害に
遭う可能性もある。特に中山間地域では安全な避難場所、避難経路の確保が難しい。
④ 避難指示・勧告等の発令判断
・ 避難指示・勧告等の発令基準を策定していない市町村があった。策定済みの市町村でも、発令
判断のための数値基準や発令手順等が具体的でなかったことから、避難指示等が発令されなか
ったり、避難に危険を伴う夜間に発令されたりするなどの例があった。
・ 想定を超える洪水により従来の浸水想定区域を越える範囲の浸水被害が発生した。比較的安全
であると思われていた場所、災害常襲地域以外の場所でも大きな被害が生じた。経験を上回る
洪水や大規模な土砂災害に対する予測や事前の避難は困難である。
・ 土砂災害、特に深層崩壊のような大規模土砂災害の発生場所、時間の予測は困難である。土砂
災害に対するピンポイントの避難勧告、避難指示の判断は非常に難しい。
97
第 6 号議案
・ 避難勧告等のマニュアルが、必ずしもその通りに運用されていない。雨量等だけでなく、ダム
の放流量、地域からの情報、職員の巡視で得られた情報を元に対応を判断している。
・ 夜間や大雨の中を移動すると増水や土砂災害に巻き込まれる可能性がある。避難場所、避難経
路の安全性や、避難所の開設等も考慮する必要があり、避難勧告等の実施判断は難しい。
・ 豪雨時や夜間等避難行動が危険な場合の避難勧告・指示の考え方と、避難の呼びかけ方を事前
によく考えておく必要がある。
・ 後から考えると、1日前なら地区外への安全な避難が可能だった。
⑤ 地方公共団体の災害対応体制
・ 被害状況の把握に時間を要した。行政が公表する被害情報が現状を反映していなかった。
・ 災害対策本部を設置し対応に当たったが、庁内連携や情報共有が十分ではなく、長期間の災害
対応に応じられる職員の配置となっていなかった。
・ 災害対策本部会議での決定事項が伝わらないなど、災対本部内の情報共有に課題があった。
・ 救援物資担当など特に重要な業務を担う班は、当該業務を担当する部署の執務室ではなく、災
害対策本部の事務スペース内で業務を行うようにすべきである。
・ 孤立集落対策、被災地への職員派遣、大臣等の被災地調査対応、災害派遣等従事車両証明書発
行等、従来の応急対応マニュアルに記載がなく準備が整っていなかった業務が発生した。
・ 活動スペースが十分ではなかったことから、新たなスペースを確保する必要が生じた。
・ 支所・行政局等が被災した場合の災害対応体制の確保が十分ではなかった。
・ 市町村の災害対策本部では少人数の体制で対処せざるをえなかった。
・ 支所・行政局等が被災した場合の災害対応体制について予め検討する必要がある。
⑥ 通信
・ 停電、浸水等により、固定電話、携帯電話、消防無線が使用不能となった。イリジウム衛星電
話は途切れがちで通信状況が不安定だった。代替の通信手段の充実が必要である。
・ 水位計、雨量計、CCTV カメラなどの各種観測機器が機能しなければ状況把握が全く不可能にな
るので、想定外も想定して観測機器の設置や代替手段の確保を行う必要がある。
⑦ 道路
・ 降雨、土砂災害等により、道路網が寸断され、避難・支援のための移動が不可能になった。
・ 内陸部の国道・県道の多くが急峻な山間部を通るため、河川の氾濫や土砂崩れによって各地で
通行止めが発生し、救助・救援活動に支障を来たした。山間部の道路の復旧には時間を要し、
通行止めの長期化は住民生活に大きな影響を与えた。
・ 紀伊半島南部は、海沿いを走る国道 42 号が寸断された場合、多数の孤立地域が発生し、救助・
救援活動に多大な影響を与えるおそれがある。
・ 雨量により道路の通行規制がかかると、通行が危険になるので地区外へ移動できなくなる。
⑧ その他
・ ため池の多くが江戸時代に築造され、老朽化が進んでいる。今後、大雨の際は、ため池の決壊
により下流域で二次被害が発生することが懸念される。
・ 深層崩壊はこれまでの土砂災害と異なり、新しい現象であるため、機構解明、発生基準や被害
想定範囲等につき、調査・研究面が求められている。
98
99
第 7 号議案
第 7 号議案
関西防災・減災プラン感染症対策編(新型インフルエンザ等)を定める件
「関西防災・減災プラン感染症対策編(新型インフルエンザ等)
」を次のとおり定めることに
ついて、関西広域連合行政に係る基本的な計画の議決等に関する条例(平成 24 年関西広域連合
条例第1号)第3条の規定により、議決を求める。
平成 26 年6月 28 日提出
関西広域連合長 井 戸 敏 三
「関西防災・減災プラン感染症対策編(新型インフルエンザ等)
」を次のように定める。
Ⅰ.はじめに
1
新型インフルエンザ等対策特別措置法の制定
新型インフルエンザは、毎年流行を繰り返してきたインフルエンザウイルスとウイルスの抗原性
が大きく異なる新型のウイルスが出現することにより、およそ 10 年から 40 年の周期で発生して
いる。ほとんどの人が新型のウイルスに対する免疫を獲得していないため、世界的な大流行(パン
デミック)となり、大きな健康被害とこれに伴う社会的影響をもたらすことが懸念されている。
また、未知の感染症である新感染症の中でその感染力の強さから新型インフルエンザと同様に社
会的影響が大きいものが発生する可能性がある。
これらが発生した場合には、国家の危機管理として対応する必要がある。
新型インフルエンザ等対策特別措置法(平成 24 年法律第 31 号。以下「特措法」という。)は、
病原性が高い新型インフルエンザや同様に危険性のある新感染症が発生した場合に、国民の生命及
び健康を保護し、国民生活及び経済に及ぼす影響が最小となるようにすることを目的に、国、地方
公共団体、指定公共機関、事業者等の責務、新型インフルエンザ等の発生時における措置及び新型
インフルエンザ等緊急事態措置(以下「緊急事態措置」という。)等の特別の措置を定めたものであ
り、感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(平成 10 年法律第 114 号。以下「感
染症法」という。)等と相まって、国全体としての万全の態勢を整備し、新型インフルエンザ等対
策の強化を図るものである。
2
取組の経緯
平成 17 年(2005 年)に、国が、WHO世界インフルエンザ事前対策計画(2005 年 5 月)に準
じて、「新型インフルエンザ対策行動計画」を策定して以来、関西圏域においても各府県の行動計
画の策定が行われ、平成 20 年(2008 年)には感染症法の改正により水際対策など新型インフルエ
ンザ対策の強化が行われたことに伴い、翌 21 年(2009 年)以降、国の行動計画に連動して改定が
行われた。
平成 21 年(2009 年)には、メキシコで確認された新型インフルエンザ(A/H1N1)が世界的大流
行となったが、我が国では関西圏域が初の発生地となった。発生後1年余で全国で約2千万人が
100
第 7 号議案
り患したが、死亡率は諸外国と比較して低い水準にとどまった。このときの対策実施に対する検証
では、発生した新型インフルエンザが実際には病原性が低かったが、行動計画が病原性の高い鳥イ
ンフルエンザ(H5N1)を念頭に置いたものであり、病原性に応じた柔軟な対応に課題があった
ことや、地方との関係と事前準備、感染症危機管理に関わる体制の強化、法整備の必要性等が指摘
された。
関西広域連合(以下「広域連合」という。)は、こうした検証作業が終わった平成 22 年 12 月に
発足した。広域連合では、連合規約において、「感染症のまん延その他自然災害以外の緊急事態に
係る構成団体間の連携及び調整に関する事務」(第 4 条第 1 項第 2 号)を広域連合が処理する広域
防災事務に位置づけ、前回の教訓も踏まえて、新型インフルエンザ等の感染症対策に、危機管理と
して取り組むこととした。
3
関西防災・減災プラン感染症対策編(新型インフルエンザ等)の策定
広域連合では、大規模広域災害に対し、広域連合及び構成団体が取るべき対応方針やその手順を
定めるため、関西防災・減災プランを分野別に策定することとしているが、感染症対策についても、
平成 25 年 6 月に、特措法に基づき政府行動計画が策定されたのを機に、関西広域防災計画策定委
員会及び感染症(新型インフルエンザ等)対策専門部会の審議を経て、構成団体・連携県の行動計
画と整合性を図りつつ、
「関西防災・減災プラン感染症対策編(新型インフルエンザ等)」
(以下「本
プラン」という。
)を策定することとした。
特措法及び感染症法上、新型インフルエンザ等対策の実施主体として中心的な役割を担うのは、
各構成府県・連携県である。本プランは、構成府県・連携県が行う対策のうち、関西圏域において
統一的に取り組むべき対策や府県をまたがる対策、発生時に構成団体・連携県から要請を受けた対
策等を行ううえで必要な広域的な調整について、広域連合が、構成団体・連携県及び市町村、国、
関係機関と連携して実施するための指針を示すものである。
本プランの対象とする感染症は、以下のとおりである。次の感染症は、国民の大部分が免疫を獲
得していないこと等から、全国的かつ急速にまん延し、かつ、国民の生命及び健康に重大な影響を
与えるおそれがあり、また、国民生活及び国民経済の安定を著しく阻害する可能性が高いことから、
特措法の対象疾病とされたため、本プランでもこれらを対象とする。
<対象とする感染症>
新型インフルエンザ等(特措法第2条)
① 新型インフルエンザ等感染症(感染症法第6条第7項)
ア 新型インフルエンザ
イ 再興型インフルエンザ
② 新感染症(感染症法第6条第9項)のうち全国的かつ急速なまん延のおそれのあるも
の
新型インフルエンザ
(感染症法第6条第7項第1号)
新型インフルエンザ等感染症
(感染症法第6条第7項)
新型インフルエンザ等
再興型インフルエンザ
(特措法第2条第1号)
(感染症法第6条第7項第2号)
新感染症
全国的かつ急速なまん延のおそれのあるものに限定
(特措法第2条第1項第1号において限定)
(感染症法第6条第9項)
101
第 7 号議案
Ⅱ.新型インフルエンザ等対策の実施に関する基本的な方針
1
対策の目的及び基本的な戦略
新型インフルエンザ等が発生すれば、長期的には、府県民の多くがり患するものであるが、何ら
の対策を行わなければ患者が短期間に激増したり、重症化したりして、医療提供のキャパシティを
超えてしまうおそれがある。このため、国及び構成団体・連携県においては、新型インフルエンザ
等対策を危機管理に関わる重要な課題と位置付け、次の2点を主たる目的として、取り組むことと
している。
広域連合においては、このことを踏まえ、国、構成団体・連携県、市町村、関係機関と連携して、
広域調整事務に取り組む。
(1)感染拡大を可能な限り抑制し、国民の生命及び健康を保護する。
① 感染拡大を抑えて、流行のピークを遅らせ、医療体制の整備やワクチン製造のための時間を確
保する。
② 流行のピーク時の患者数等をなるべく少なくして医療体制への負荷を軽減するとともに、医療
体制の強化を図ることで、患者数等が医療提供のキャパシティを超えないようにすることによ
り、必要な患者が適切な医療を受けられるようにする。
③ 適切な医療の提供により、重症者数や死亡者数を減らす。
(2)国民生活及び国民経済に及ぼす影響が最小となるようにする。
① 地域での感染対策等により、欠勤者の数を減らす。
② 事業継続計画の作成・実施等により、医療の提供の業務又は国民生活及び国民経済の安定に寄
与する業務の維持に努める。
<対策の効果 概念図>
患
者
数
等
ピークを
① 遅らせる
対策なし
対策あり
③
②
ピーク時の患者数等を
小さくする
医療体制
の強化
医療提供の
キャパシティ
国民生活及び国民経済に及ぼす
影響が最小となるようにする
時間
102
第 7 号議案
2
対策の基本的考え方
新型インフルエンザ等対策は、発生の段階や状況の変化に応じて柔軟に対応していく必要がある
ことを念頭に置かなければならない。過去のインフルエンザのパンデミックの経験等を踏まえる
と、一つの対策に偏重して準備を行うことは、大きなリスクを背負うことになりかねない。
府県民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれがある新型インフルエンザ等への対
策は、不要不急の外出の自粛要請、施設の使用制限等の要請、各事業者における業務縮小等による
接触機会の抑制など医療対応以外の感染対策と、ワクチンや抗インフルエンザウイルス薬等を含め
た医療対応を組み合わせて総合的に行うことが必要である。
特に、医療対応以外の感染対策については、社会全体で取り組むことにより効果が期待されるも
のであり、全ての事業者が自発的に職場における感染予防に取り組むことはもちろん、感染拡大を
防止する観点から、継続する重要業務を絞り込むなどの対策を実施することについて積極的に検討
することが重要である。
事業者の従業員のり患等により、一定期間、事業者のサービス提供水準が相当程度低下する可能
性を許容すべきことを府県民に呼びかけることも必要である。
また、新型インフルエンザ等のまん延による医療体制の限界や社会的混乱を回避するためには、
国、構成団体・連携県、市町村、指定(地方)公共機関による対策だけでは限界があり、事業者や
府県民一人一人が、感染予防や感染拡大防止のための適切な行動や備蓄などの準備を行うことが必
要である。新型インフルエンザ等対策は、日頃からの手洗いなど、季節性インフルエンザに対する
対策が基本となる。特に、治療薬やワクチンが無い可能性が高い SARS のような新感染症が発生し
た場合、公衆衛生対策がより重要である。
こうしたことを踏まえ、構成団体・連携県においては、特措法に基づき、行動計画を策定し、実
際に新型インフルエンザ等が発生した際には、当該新型インフルエンザ等の病原性や感染力に応じ
た対策を行動計画の中から選択し、実施することとしている。
広域連合は、関西圏域において、より水準の高い効果的な対策が迅速に実施されるよう、本プラ
ンに基づき構成団体・連携県等との広域調整を実施する。
3
対策の留意点
構成団体・連携県は、新型インフルエンザ等発生前及び発生時には、特措法その他の法令、政府
行動計画及び構成団体・連携県の行動計画(以下「府県市行動計画」という。)に基づき、国、市
町村、指定(地方)公共機関と相互に連携・協力し、 基本的人権の尊重、②危機管理としての特
措法の性格、③関係機関相互の連携・協力の確保、④記録の作成・保存に留意して、その対策の的
確かつ迅速な実施に万全を期すものとされている。
広域連合においても、本プランに基づき、構成団体・連携県、国、市町村、指定(地方)公共機
関と緊密な連携を図りつつ、関西圏域における対策に係る広域調整の的確かつ迅速な実施に万全を
期す。この場合において、上記に加え、次の点にも留意する。
①
新型インフルエンザ等対策は、府県の果たすべき役割が大きい。一方で、府県民は通勤、通学
等で日常的に府県域を越えて生活しており、府県民の利便性や対策の整合性等の観点から、広域
調整が求められることが想定される。広域連合は、府県の事務と重複したり、府県知事の権限を
103
第 7 号議案
損なったりしない限りにおいて、広域調整役としての役割を果たす必要がある。
②
広域連合は、未発生段階から情報の共有を図るなど連携に努めるとともに、構成団体・連携県
において患者が発生した場合には、発生団体の支援ニーズの把握に努め、応援の要請等に応じて
速やかに構成団体・連携県と連携して、広域調整を行う。
③
新型インフルエンザ等感染症は、地震等の自然災害と異なり、応援職員への感染や応援職員を
通じた感染の拡大というリスクが伴うため、自然災害のような応援が難しいことが想定される。
このため、広域連合は、構成団体・連携県と緊密に連携し、応援の可否、必要性、効果等をより
慎重に判断して、広域調整に当たるものとする。
(参考) 地震災害と新型インフルエンザ等の相違
項
目
被害の対象
地理的な影響範囲
地震災害
新型インフルエンザ等
○主として、施設・設備等、社会イ
○主として、人に対する被害が大
ンフラへの被害が大きい
○被害が地域的・局所的
想定が可能
○主に兆候がなく突発する
○被害量は事後の制御不可能
災害発生と被害制御
○被害が国内全域、全世界的とな
る
○過去の事例等からある程度の影響
被害の期間
きい
○長期化すると考えられるが、不
確実性が高く影響予測が困難
○海外で発生した場合、国内発生
までの間、準備が可能
○被害量は感染防止策により左右
される
104
第 7 号議案
4
被害の想定
(1)新型インフルエンザ等発生時の被害想定
政府行動計画の策定に際しては、現時点における科学的知見や過去に世界で大流行したインフ
ルエンザのデータを参考に、米国疾病予防管理センターの推計モデルを用いて、医療機関受診患
者数等の推計が行われた。これを、関西圏域の人口で按分すると、下表の通りとなる。
実際に新型インフルエンザ等が発生した場合、その病原性や感染力等によって想定を超える事
態も、下回る事態もあり得るということを念頭に置いて対策を検討することが重要である。
なお、政府行動計画においては、①この想定には医療等による介入の効果が一切考慮されてい
ないこと、②被害想定については現時点で科学的知見が十分ではなく、今後必要に応じて見直さ
れること、③未知の新感染症については、被害想定を行うことは困難であり、本想定を参考に、
空気感染対策も念頭に置いた対策が必要であること等が示されており、留意する必要がある。
被害想定
項
目
①り患割合
②外来受診患者数
全国の想定
国民の 25%がり患
関西の想定
同
左
約 1,300 万∼2,500 万人
約 253 万∼487 万人
③入院患者数
約 53 万∼200 万人
約 10 万∼39 万人
④死亡者数
約 17 万∼64 万人
約3万∼12 万人
約 10.1 万∼39.9 万人
約2万∼7.8 万人
⑤1日当たり最大入院患者数
(注)②の上限値 2,500 万人をもとに、アジアインフルエンザを中等度(致死率 0.53%)
、
スペインインフルエンザを重度(致死率 2.0%)として推計
(2)新型インフルエンザ等発生時の社会への影響
新型インフルエンザ等による社会への影響の想定には多くの議論があるが、以下のような影響
が一つの例として想定される。
府県民の25%が、流行期間(約8週間)にピークを作りながら順次り患する。り患者は1週間
①
から10日間程度り患し、欠勤。り患した従業員の大部分は、一定の欠勤期間後、治癒し(免疫を
得て)、職場に復帰する。
②
ピーク時(約2週間)に従業員が発症して欠勤する割合は、多く見積もって5%程度と考えら
れるが、従業員自身のり患のほか、むしろ家族の世話、看護等(学校・保育施設等の臨時休業や、
一部の福祉サービスの縮小、家庭での療養などによる)のため、出勤が困難となる者、不安によ
り出勤しない者がいることを見込み、ピーク時(約2週間)には従業員の最大40%程度が欠勤す
るケースが想定される。
5
発生段階の設定
新型インフルエンザ等対策は、感染の段階に応じて採るべき対応が異なることから、事前の準備
を進め、状況の変化に即応した意思決定を迅速に行うことができるよう、あらかじめ発生の段階を
設け、各段階において想定される状況に応じた対応方針を定めておく必要がある。
本プランでは、政府行動計画及び府県行動計画との整合を図る観点から、未発生、海外での発生、
関西圏域内での発生、関西圏域内でのまん延、小康状態の5段階とした。広域連合は、本プランで
105
第 7 号議案
定める広域調整事務をこの段階に応じて実施することとする。
なお、段階の期間は極めて短期間となる可能性があり、また、必ずしも、段階どおりに進行する
とは限らないこと、さらには、緊急事態宣言がされた場合には、対策の内容も変化するということ
に留意が必要である。
<発生段階>
発生段階
状
態
政府行動計画の発生段階
未発生期
新型インフルエンザ等が発生していない状態
未発生期
海外発生期
海外で新型インフルエンザ等が発生した状態
海外発生期
(関西圏域内
未発生期)
国内のいずれかの都道府県で新型インフルエンザ等
の患者が発生しているが、関西圏域内では発生していな
(国内のいずれかの都道
い状態
府県で、新型インフルエン
関西圏域内のいずれかの構成府県・連携県で、新型イ
ザ等の患者が発生してい
ンフルエンザ等の患者が発生しているが、全ての患者の
るが、全ての患者の接触歴
接触歴を疫学調査で追える状態。
が疫学調査で追える状態)
〈各構成府県・連携県の発生段階〉次のいずれか。
関西圏域内
発生早期
国内発生早期
国内感染期
・府県内未発生期(当該府県で新型インフル
(国内のいずれかの都道
エンザ等の患者が発生していない状態)
府県で、新型インフルエン
・府県内発生早期(当該府県で新型インフル
ザ等の患者の接触歴が疫
エンザ等の患者が発生しているが、全ての
学調査で追えなくなった
患者の接触歴を疫学調査で追える状態)
状態)
関西圏域内のいずれかの構成府県・連携県で、新型イ
ンフルエンザ等の患者の接触歴が疫学調査で追えなく
なった状態。
〈各構成府県・連携県の発生段階〉次のいずれか。
・府県内未発生期(当該府県で新型インフル
関西圏域内
感染期
エンザ等の患者が発生していない状態)
・府県内発生早期(当該府県で新型インフル
エンザ等の患者が発生しているが、全ての
患者の接触歴を疫学調査で追える状態)
・府県内感染期(当該府県で新型インフル
エンザ等の患者の接触歴が疫学調査で追え
なくなった状態)
小康期
新型インフルエンザ等の患者の発生が減少し、低い水準
でとどまっている状態
小康期
106
第 7 号議案
関西圏域における発生段階
関
西
圏
域
内
の
患
者
数
時間
体制整備
関西圏域内
発生遅延
未発生期
海外発生期
海外での新型インフル
エンザの発生
被害の軽減
感染拡大抑制
関西圏域内
発生早期
関西圏域内での
初の患者の発生
関西圏域内感染期
関西圏域内のいずれかの府県におい
て初めて患者の接触歴が疫学調査で
追えなくなった時点が目安
見直し・準備
小康期
再燃期
患者の発生が低い
水準でとどまる
構成府県・連携県における発生段階
A県
府県発生早期
府県感染期
B県
C県
府県未発生期
D県
6
対策実施主体の役割
(1)国
①
国は、新型インフルエンザ等が発生したときは、自ら新型インフルエンザ等対策を的確かつ迅
速に実施し、地方公共団体及び指定(地方)公共機関が実施する新型インフルエンザ等対策を的
確かつ迅速に支援することにより、国全体として万全の態勢を整備する責務を有する。
②
国は、新型インフルエンザ等及びこれに係るワクチンその他の医薬品の調査・研究の推進に努
めるとともに、WHO(世界保健機関)その他の国際機関及びアジア諸国その他の諸外国との国
際的な連携を確保し、新型インフルエンザ等に関する調査及び研究に係る国際協力の推進に努め
る。
③
新型インフルエンザ等の発生前は、「新型インフルエンザ等対策閣僚会議」及び閣僚会議を補
佐する「新型インフルエンザ等及び鳥インフルエンザ等に関する関係省庁対策会議」(以下「関
係省庁対策会議」という。
)の枠組を通じ、政府一体となった取組を総合的に推進する。
④
国は、新型インフルエンザ等の発生時には、政府対策本部の下で特措法第 18 条の規定により
基本的対処方針を決定し、対策を強力に推進する。その際、国は、医学・公衆衛生等の専門家を
中心とした学識経験者の意見を聴きつつ、対策を進める。
(2)構成府県・連携県
構成府県・連携県は、特措法及び感染症法に基づく措置の実施主体として中心的な役割を担っ
ており、基本的対処方針に基づき、地域の医療体制の確保や感染拡大の抑制に関し、的確な判断
が求められ、以下の事項等に取り組む。
107
第 7 号議案
①
新型インフルエンザ等発生前は、政府行動計画、ガイドライン等を踏まえ、地域医療体制の確
保、まん延防止等の対策に関し、地域の実情に応じた行動計画等を作成するなど事前の準備を進
める。
②
新型インフルエンザ等の発生時には、府県対策本部を設置し、基本的対処方針等を踏まえ、府
県内の状況に応じて判断を行い、府県行動計画等に基づき、全庁をあげて対策を実施するととも
に、的確に府県庁の業務継続を図る。
③
府県内に緊急事態宣言が発出されたときは、国や市町村と連携し、必要に応じて、緊急事態措
置を適切に講じる。
④
国、市町村、他府県及び指定地方公共機関等と緊密な連携を図るとともに、特に関西圏域での
広域的な対応が必要な場合には広域連合を通じた調整を行う。
(3)市町村
市町村は、住民に最も近い行政単位であり、地域住民に対するワクチンの接種や住民の生活支
援、新型インフルエンザ等発生時の要援護者(家族が同居していない又は近くにいないため、介
護ヘルパー等の介護や介助がなければ日常生活ができない独居高齢者や障がい者等)への支援に
関し、基本的対処方針に基づき、的確に対策を実施することが求められる。対策の実施に当たっ
ては、府県や近隣の市町村と緊密な連携を図る。
なお、保健所を設置する市については、感染症法においては、地域医療体制の確保やまん延防
止に関し、府県に準じた役割を果たすことが求められ、府県と地域における医療体制の確保等に
関する協議を行い、発生前から連携を図っておく。
(4)広域連合
広域連合は、構成団体・連携県が実施する対策を補完し、関西圏全体としてより水準の高い効
果的な対策が実施できるよう、以下の事項について、府県域を越えた広域調整を行う。
【情報の共有・発信】
①
構成団体・連携県との連絡体制の整備
新型インフルエンザ等の発生状況や対策の実施状況等の情報収集・共有を図るため、構成団
体・連携県との連絡体制を構築する。
②
統一的な情報発信及び報道機関等への情報提供の調整
関西府県民に対して効果的に情報提供及び注意喚起を行うため、構成団体・連携県の情報提供
との整合性に配慮しつつ、その発信力を活かして統一メッセージを出す等の情報発信を行うほ
か、報道機関等への情報提供を行う際の個人情報の取り扱いに関する基準や情報の提供方法・内
容等について共通化を図るための広域調整を行う。
③
風評被害の抑止
風評被害の防止や風評被害からの早期回復を進めるため、正確な情報を発信するとともに、誤
った情報は関西圏域で一致して直ちに打ち消す情報発信を行う。
108
第 7 号議案
【対策の広域的実施に係る調整】
④
新型インフルエンザ等対策に係る研修や広域的な訓練の実施
構成団体・連携県の対策対応能力の向上と連携体制の強化を図るため、新型インフルエンザ等
の発生を想定した研修や広域訓練を実施する。
⑤
まん延防止にかかる社会的対策実施の広域調整
効果的なまん延防止のため、構成府県・連携県が、公共交通機関等への感染対策の要請、住民
に対する外出の自粛の要請や施設の使用制限等の要請・指示等の社会的対策を適時適切に実施で
きるよう必要な広域調整を行う。
また、住民・事業者の理解を得て実効性のある対策が実施できるように、必要に応じて、構成
府県・連携県が行う要請等の内容の統一を図るなどの広域調整を行う。
⑥
住民接種の広域実施への対応
他府県の病院・施設への長期入院・入所者、里帰り分娩の妊産婦及び同伴の小児等に対する住
民接種について、構成団体・連携県と連携して、関西圏域において広域接種が円滑に実施できる
よう努める。
⑦
医薬品・医療資器材の広域融通調整
構成団体・連携県の医薬品・医療資器材の保有状況等について情報収集・共有を行い、患者の
発生状況を踏まえ、必要に応じて広域融通に係る調整を行う。
⑧
患者搬送車の広域提供の調整
関西圏域内発生初期において、構成団体・連携県が保有する患者搬送車の広域提供に係る調整
を行う。
⑨
指定(地方)公共機関等に関する調整
事業者の事業継続等のために一元的な要請・支援を行うことが求められるとき、緊急事態宣言
時に広域的な緊急物資の運送等を円滑に行うため一元的な要請・指示を行うことが求められると
きなどに、必要な広域調整を行う。
⑩
広域火葬の調整
構成団体・連携県及び火葬場管理者である市町村と連携し、平素から火葬場の点検や火葬能力
等の情報収集及び共有を行うとともに、火葬場の火葬能力を超える死者の発生に際して円滑に広
域火葬を実施するための調整を行う。
(5)医療機関
新型インフルエンザ等による健康被害を最小限にとどめる観点から、医療機関は、新型インフ
ルエンザ等の発生前から、地域医療体制の確保のため、新型インフルエンザ等患者を診療するた
めの院内感染対策や必要となる医療資器材の確保等を推進することが求められる。また、新型イ
ンフルエンザ等の発生時においても医療提供を確保するため、新型インフルエンザ等患者の診療
体制を含めた、診療継続計画の策定及び地域における医療連携体制の整備を進めることが重要で
ある。
109
第 7 号議案
医療機関は、診療継続計画に基づき、地域の医療機関が連携して発生状況に応じて、新型イン
フルエンザ等患者の診療体制の強化を含め、医療を提供するよう努める。
(6)指定(地方)公共機関
指定(地方)公共機関は、新型インフルエンザ等が発生したときは、特措法に基づき、新型イ
ンフルエンザ等対策を実施する責務を有する。
(7)登録事業者
特措法第 28 条に規定する特定接種の対象となる医療の提供の業務又は府県民生活及び府県民
経済の安定に寄与する業務を行う事業者については、新型インフルエンザ等の発生時においても
最低限の府県民生活を維持する観点から、それぞれの社会的使命を果たすことができるよう、新
型インフルエンザ等の発生前から、職場における感染対策の実施や重要業務の事業継続などの準
備を積極的に行うことが重要である。
新型インフルエンザ等の発生時には、その活動を継続するよう努める。
(8)一般の事業者
事業者については、新型インフルエンザ等の発生時に備えて、職場における感染対策を行うこ
とが求められる。
府県民の生命及び健康に著しく重大な被害を与えるおそれのある新型インフルエンザ等の発
生時には、感染防止の観点から、一部の事業を縮小することが望まれる。特に多数の者が集まる
事業を行う者については、感染防止のための措置の徹底が求められる。
(9)府県民
新型インフルエンザ等の発生前から、新型インフルエンザ等に関する情報や発生時にとるべき
行動などその対策に関する知識を得るとともに、季節性インフルエンザにおいても行っている、
マスク着用・咳エチケット・手洗い・うがい等の個人レベルでの感染対策を実践するよう努める。
また、発生時に備えて、個人レベルにおいても食料品、生活必需品等の備蓄を行うよう努める。
新型インフルエンザ等の発生時には、発生の状況や予防接種など実施されている対策等につい
ての情報を得て、感染拡大を抑えるための個人レベルでの対策を実施するよう努める。
110
第 7 号議案
Ⅲ
新型インフルエンザ等対策の内容
政府行動計画及び府県市行動計画は、新型インフルエンザ等対策を、①実施体制、②サーベイラン
ス・情報収集、③情報提供・共有、④予防・まん延防止、⑤医療、⑥国民生活及び国民経済の安定の
確保という6項目に分けて、発生段階を横断する留意点と発生段階ごとの対策をまとめている。
広域連合の対策は、構成団体・連携県の対策との密接な連携が必要なものばかりである。このため、
本プランにおいては、まず、6項目の対策について、構成団体・連携県の対策の概要を記述し、それ
に対応する広域連合の対策を記述する。次に、発生段階ごとの対策について、国や市町村の対策もあ
わせて一覧的に、
「オペレーションマップ」として示すこととする。
1
6項目の対策
(1)実施体制
〔構成団体・連携県の対策の概要〕
ア
未発生段階において府県市行動計画等の作成、指定地方公共機関の指定等を行い、発生に備え
る。
イ
海外発生期となった場合は、政府対策本部の設置にあわせ、条例に基づき府県対策本部を設置
する。
ウ
他の府県市の応援が必要な場合には、
「近畿ブロック相互応援協定」または本プランに基づき、
広域連合または他の府県市に応援を求める。
エ
小康期において、政府対策本部が廃止された時は、速やかに府県対策本部を廃止する。なお、
市対策本部は、緊急事態解除宣言がされた時に、速やかに廃止する。
【緊急事態宣言がされている場合の措置】
関西圏域において、緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、必要に応
じ、特措法に基づき以下の対策を行う。
・ 構成政令市は、緊急事態宣言がなされた場合、速やかに市対策本部を設置する。
・ 構成府県は、市町村が緊急事態措置を行うことができなくなったときは、その措置を代
行する。
・ 自ら緊急事態措置を行うことができなくなったときは、他の地方公共団体に応援を求め
る。
・ 小康期において、対策の合理性が認められなくなった場合には、緊急事態措置を縮小も
しくは中止する。
〔広域連合が実施する対策〕
①
防災・減災プラン等の作成
構成団体・連携県の各府県市行動計画との整合性を確保し、本プランを策定し、必要に応じて
見直すほか、対策を具体的に実施するための要領等を作成する。
111
第 7 号議案
②
準備体制・警戒体制の確立
新型インフルエンザの場合には、動物インフルエンザから変異することがあること、動物イン
フルエンザの感染患者が発生した場合でも社会的影響が大きいことから、海外での動物インフル
エンザ発生の初めから、構成団体及び連携県と連携し、段階的に体制を整える。
ア
新型インフルエンザ等対策準備室の設置
海外において、新たに動物から人に感染することとなったインフルエンザや限定的に人から
人への感染を引き起こしているインフルエンザが発生したときは、必要に応じて、広域連合に
新型インフルエンザ等対策準備室を設置して、情報収集及び連絡調整を開始する。
イ
新型インフルエンザ等警戒本部の設置
海外において新型インフルエンザ等が発生した疑いがあり、国において関係省庁対策会議又
は新型インフルエンザ等対策閣僚会議が開催され、政府の初動の対処方針について協議・決定
がなされたときは、広域連合に新型インフルエンザ等警戒本部を設置し、情報収集及び連絡調
整を強化するとともに、広域調整の実施に向けた準備を開始する。
③
関係機関・団体等との連携強化
新型インフルエンザ等の発生・まん延に備え、広域連合は、構成団体・連携県、保健所設置
市や市町村、広域連合の他分野局のほか、相互応援協定を締結している広域ブロック等、国、広
域実動機関等とともに、指定(地方)公共機関、登録事業者等との連携強化を図る。
ア
構成団体・連携県、保健所設置市・市町村との連携
新型インフルエンザ等対策の実施に必要な広域調整を行うため、対策の措置の実施主体とし
て中心的な役割を担う構成府県をはじめ構成政令市と密接に連携する。なお、連携県について
は、「近畿圏危機発生時の相互応援に関する基本協定」等により構成府県で発生・まん延した
場合と同様の応援・受援体制を整備するため、同様に連携を図る。
また、構成政令市以外の保健所設置市についても、地域医療体制の確保やまん延防止に関し、
府県に準じた役割を果たすことが求められるため、構成府県・連携県を通じて連携を図る。
さらに、市町村についても、予防接種や火葬の実施主体として、広域連携に重要な役割を果
たすことが求められるため、構成府県・連携県を通じて連携を図る。
イ
広域連合他分野局との連携
広域防災局は、新型インフルエンザ等発生時に備えて又は発生・まん延時において、広域医
療、広域産業や広域観光等に関わる次のような対策を迅速かつ的確に実施できるよう、広域連
合の他分野局との連携体制を整える。
・医療確保にかかる広域連携体制の構築
・風評被害対策、発生地への集客促進
・広域周遊中の観光客被害情報収集・発信 など
ウ
他の広域ブロック等との連携
相互応援協定を締結している九都県市や九州地方知事会等との他の広域ブロックのほか、全
国知事会を通じて全国都道府県と連携し、新型インフルエンザ等が発生・まん延した場合の応
援体制を整備する。
112
第 7 号議案
エ
国等との連携
関係省庁等との緊密な連携のもと、迅速に発生・まん延の防止の対応が実施できる体制を構
築する。
(ア) 中央省庁等との連携
新型インフルエンザ等発生時に国や政府対策本部と連携して、関西圏域を超えて必要とな
る救援物資や要員の派遣等の支援要請が迅速かつ的確に実施できるよう情報連絡体制を整
備する。
また、必要に応じて制度運用の改善や財源の確保等について国に提案する。
(イ) 広域実動機関との連携
新型インフルエンザ等発生時に迅速な対応を行うため、消防、警察、自衛隊及び海上保安
庁の部隊等の派遣要請が迅速かつ的確に実施できるよう情報連絡体制を整備するとともに、
平素から緊密な連携を図る。
(ウ) 政府現地対策本部との連携
関西圏域内で新型インフルエンザ等が発生し、国が、関西府県に新型インフルエンザ等現
地対策本部を設置したときは、職員を派遣し、密接に連携する。
オ
指定(地方)公共機関、登録事業者との連携
府県をまたがった公共交通機関等に適切な感染対策を講じるよう要請するときや、緊急事態
宣言時に広域的な緊急物資の運送等を円滑に行うため一元的な要請・指示を行うことが求めら
れるときなどに備えて、情報連絡体制を整備する。
113
第 7 号議案
新型インフルエンザ等対応にかかる
広域連合と関係機関・団体等との関係図
厚生労働省
広 域 連 合
国立感染症研究所
(広域防災局)
広域実動機関
(消防、警察、自衛隊
海上保安庁)
(広域調整・情報共有) 広域連合
(本部・他分野局)
広域ブロック
(九都県市、
九州地方知事会他)
検 疫 所
構成団体・連携県(発生府県)
指定(地方)行政機関
(医薬品・医療機器販売
事業者運送事業者等)
保健所
地方衛生研究所
全国知事会
全国都道府県
(協 力)
保健所設置市
医師会・医療機関
小学・中学・高等学校
④
保健所
地方衛生研究所
市 町 村
情報収集員の派遣
関西圏域内で新型インフルエンザ等が発生した場合には、必要に応じ情報収集員を発生府県に派
遣し、被害状況、支援ニーズ等、応援に必要な情報を収集するよう努める。
また、事態の状況を勘案し、必要に応じて発生府県の近隣の構成団体又は連携県に情報収集員の
派遣を要請する。
⑤
応援・受援の実施
「近畿ブロック相互応援協定」または本プランに基づき、応援の求めがあったときは、構成団体・
連携県の感染レベル等を勘案し、派遣職員や応援資器材の割当等、応援・受援の調整を行う。
⑥
新型インフルエンザ等対策本部の設置
次のいずれかに該当し、被害が甚大で広域連合の組織をあげた広域応援が必要と判断される場合
には、広域連合長を本部長、副広域連合長、広域防災担当委員、同副担当委員及び広域医療担当委
員を副本部長、構成団体の長を本部員とする新型インフルエンザ等対策本部(以下「対策本部」と
いう。
)を兵庫県災害対策センターに設置し、支援対応にあたる。
・ 政府対策本部が設置されたとき
・ 都道府県対策本部が設置されたとき
・ 関西圏域内の府県を区域とする緊急事態宣言が発せられたとき
114
第 7 号議案
ア
対策本部会議の開催
(ア) 対策本部を設置した場合には、速やかに本部会議を開催し、新型インフルエンザ等対策に
係る広域調整について協議する。
(イ) 本部長は、感染症(新型インフルエンザ等)対策専門部会及び兵庫県新型インフルエンザ
等対策有識者会議の有識者等の専門的意見を聴取する。このほか、必要に応じて、連携県、
消防、警察、自衛隊、海上保安本部及び指定(地方)行政機関、指定(地方)公共機関にオブ
ザーバーとしての参加を求めるとともに、医療機関、医師会、検疫所等にアドバイザーと
して参加を求め助言を得る。
(ウ) 本部員が、自府県の対応等のため、一堂に会することができない場合はWEB会議システ
ム等を活用し本部会議を開催する。
イ
対策本部事務局
(ア) 対策本部に、その事務を処理させるため、対策本部事務局を置く。対策本部事務局は、広
域防災局が担う。
(イ) 構成団体及び連携県は、連絡員として対策本部事務局に関係職員を派遣する。
ただし、自府県の対応が必要で派遣が困難な場合はこの限りでない。
関西広域連合の新型インフルエンザ等対策本部組織
オブザーバー
連携県、消防、警察、自衛隊、海上保安本部
関西広域連合対策本部
(広域連合委員会)
指定(地方)公共機関
(医薬品・医療機器販売事業者、運送事業者等)
アドバイザー
医療機関、医師会
副本部長
(副広域連合長、広域防災担当委員、
同副担当委員、広域医療担当委員)
検疫所
事務局
(広域防災局)
本部員
(各府県知事、政令市長)
総括班(本部事務局の総括)
情報収集班(情報の収集)
調整支援班(支援物資の調整)
広報班(報道機関への情報提供) 等
※ 発生状況に応じて編成
各構成府県市対策本部
本部長
(広域連合長)
指定(地方)行政機関
115
第 7 号議案
関西広域連合の新型インフルエンザ等への対応体制
区 分 新型インフルエンザ等対策準備室
本部長 室長:広域防災局長
等
次長:広域医療局長
広域防災局次長等
新型インフルエンザ等警戒本部
新型インフルエンザ等対策本部
本部長:広域防災局長
本部長:連合長
副本部長:広域医療局長
副本部長:副連合長、広域防災担当
広域防災局次長等
委員、同副担当委員、
広域医療担当委員
構成員
広域防災局及び広域医療局関係課長 広域防災局及び広域医療局関係課長
構成団体の長
同各府県担当課長
設置基
準
○ 海外で動物から人感染患者が
○ 海外で新型インフルエンザ等が発生 次のいずれかに該当し、広域連合の
発生したとき
した疑いがあるとき
○ 海外で人から人への感染が認
○ 海外で人から人への連続感染が認め れる場合
められるとき(濃厚接触者間の
限定的感染)
られるとき
組織を挙げた広域応援が必要と判断さ
○ 政府対策本部が設置されたとき
○ 政府の初動対処方針が決定されたと ○ 都道府県対策本部が設置されたとき
き
○ 関西圏内の府県を区域とする緊急事
態宣言が発せられたとき
主な業
務
○ 新型インフルエンザ等(動物
○ 新型インフルエンザ等(動物インフ ○ 新型インフルエンザ等(動物インフ
インフルエンザ含む)対策に係
ルエンザ含む)対策に係る情報収集
る情報収集及び連絡調整
ルエンザ含む)対策に係る情報収集
及び連絡調整
及び連絡調整
○ 応援・受援の初動準備
○ 応援・受援など対策実施に伴う広域
○ 情報収集員の派遣
調整(情報提供、風評被害対策、外
出自粛・施設使用制限の統一的要請
など)
⑦
対策本部の廃止
関西圏域内で緊急事態解除宣言がされ、または政府対策本部ないし府県対策本部が廃止されるな
ど、広域連合の組織をあげた広域応援の必要がなくなったと判断される場合には、広域連合対策本
部を廃止する。
⑧
新型インフルエンザ等対策に係る研修や広域的な訓練の実施
構成団体・連携県の感染症対策対応能力の向上と連携体制の強化を図るため、構成団体・連携県
とともに、新型インフルエンザ等の発生を想定した研修や広域訓練を実施する。
《参考:緊急事態宣言》
・ 国は、国内で発生した新型インフルエンザ等の状況により、基本的対処方針等諮問委員会の意見
を聴き、緊急事態宣言を行い、国会に報告する。
緊急事態宣言は、新型インフルエンザ等緊急事態措置を講じなければ、医療提供の限界を超えて
しまい、国民の生命・健康を保護できず、社会混乱を招くおそれが生じる事態であることを示すも
のである。
・ 緊急事態宣言においては、緊急事態措置を実施すべき期間、区域を公示する。期間については、
政府対策本部長が基本的対処方針等諮問委員会の意見を聴いて決定する。
また、区域については、広域的な行政単位である都道府県の区域を基に、発生区域の存在する都
道府県及び隣接県を指定する。ただし、人の流れ等を踏まえ柔軟な区域設定にも留意する。全国的
な人の交流基点となっている区域で発生している場合には、流行状況等も勘案し早い段階で日本全
域を指定することも考慮する。
116
第 7 号議案
<広域調整の実施に向けた手順>
新型インフルエンザ等発生時には、発生状況の把握、応援の要・不要、支援ニーズなどを迅速・
的確に判断し、支援行動に移す必要がある。広域連合では、海外で動物から人への感染患者が発生
したときから準備体制を確立するとともに、警戒体制の確立、情報収集員の派遣、応援・受援体制
の確立と、発生の状況等に対応して段階的な対応体制を整備する。
準備体制の確立
【新型インフルエンザ等対策準備室設置】
・海外で動物から人への感染患者が発生したとき
・海外で人から人への感染が認められるとき
(濃厚接触者間の限定的感染)
構
成
団
体
・
連
携
県
間
で
情
報
共
有
・厚生労働省発表、各種メディアからの情報収集
・発生の状況や府県対策体制状況等を確認
警戒体制の確立
【新型インフルエンザ等警戒本部設置】
・海外で新型インフルエンザ等が発生した疑いがあるとき
・海外で人から人への連続感染が認められるとき
・政府の初動対処方針が決定されたとき
情報収集員の派遣
【広域防災局、構成団体・連携県等】
応援・受援体制の確立
応援体制の確立
・発生府県からの応援要請があった場合
・その他被害が甚大で広域応援が必要と判断される場合
新型インフルエンザ等対策(支援)本部の設置
【事務局:広域防災局】
次のいずれかに該当し、広域連合の組織をあげた広域応援が
必要と判断される場合
・政府対策本部が設置されたとき
・都道府県対策本部が設置されたとき
・関西圏内の府県を区域とする緊急事態宣言が発せられたとき
政府現地対策本部が設置された場合、職員を派遣
構成団体及び連携県の応援・受援体制の確立
・応援体制(応援府県)、受援体制(受援府県)を確立
・対策(支援)本部へ連絡要員を派遣
117
第 7 号議案
(2)サーベイランス・情報収集
〔構成団体・連携県の対策の概要〕
ア
未発生期には、新型インフルエンザ等に関する国内外の情報の収集を行うとともに、季節性イ
ンフルエンザに対する次のサーベイランスを実施するとともに、国が実施する、インフルエンザ
ウイルスに対する抗体の保有状況の調査等に協力する。
区
分
患者発生サーベイランス
(定点サーベイランス)
ウイルスサーベイランス
入院サーベイランス
学校サーベイランス
イ
内
容
インフルエンザに関して、指定届出機関から患者発生の動向調査
を行い、流行状況について把握する。
指定届出機関中の医療機関において、ウイルス株の性状(亜型や
薬剤耐性等)を調査し、流行しているウイルスの性状について把
握する。
インフルエンザによる入院患者及び死亡者数の発生動向を調査
し、重症化の状況を把握する。
学校等におけるインフルエンザ様症状による欠席者の状況(学
級・学年閉鎖、休校等)を調査し、インフルエンザの感染拡大を
早期に探知する。
海外発生期には、府県内における新型インフルエンザ等患者の全数把握を開始するとともに、
学校等でのインフルエンザの集団発生の把握を強化する。また、国が行う患者の臨床情報の収集
に協力する。
ウ
府県内感染期には、患者の全数把握は中止するとともに、学校等における集団発生の把握の強
化を、通常のサーベイランスに戻す。
エ
小康期には、通常のサーベイランスを継続するとともに、再流行を早期に探知するため、学校
等でのインフルエンザの集団発生の把握を強化する。
〔広域連合が実施する対策〕
構成団体・連携県のサーベイランス情報や国から提供される発生状況に関する情報を、構成団
体・連携県と共有する。
(3)情報提供・共有
〔情報提供・共有の目的〕
国、都道府県、市町村、医療機関、事業者、個人の各々が、新型インフルエンザ等が危機管理上
の重要な課題という認識を共有し、適切な行動をとるため、対策の全ての段階及び分野において各
主体間でのコミュニケーションが重要であるとされている。
〔構成団体・連携県の対策の概要〕
①
情報提供体制
構成団体・連携県は、広報チームを設置し、次の事柄に留意して情報を発信する。
・情報を集約し、わかりやすく一元的に発信
・個人レベル、学校、職場、集客施設等での感染対策の普及
・発生状況をできる限りリアルタイムで発信
118
第 7 号議案
・患者等の人権に対する配慮
・医療体制の周知
・学校の休業や施設の使用制限などの社会活動に関する情報の発信
・第二波発生の可能性等に関する情報発信
②
情報共有
構成団体・連携県間で情報の共有を図るとともに、国が設置するインターネット等を活用した
問い合わせ窓口での情報について、リアルタイムかつ双方向の情報共有を行う。
③
コールセンター等
ア
未発生期には、住民からの一般的な問い合わせに対応できるコールセンター等の設置の準備
を行い、海外発生期には、その設置と適切な情報提供を行う。
イ
府県内発生早期には、その体制を充実・強化するとともに、市町村に対し、コールセンター
等の体制の充実・強化を要請する。また、コールセンター等に寄せられた情報の整理、評価を
行い、以後の情報提供に反映する。
ウ
小康期には、その体制を縮小する。
〔広域連合が実施する対策〕
①
情報発信
ア
構成団体・連携県の広報チームと連携し、情報を共有する。共有した情報については、「広
域防災ポータルサイト」等を活用して、関西一円の新型インフルエンザ等に関する情報として
提供する。
イ
関西府県民に対し、効果的な情報提供と注意喚起を行うため、構成団体・連携県が発信する
情報との整合を図りつつ統一メッセージを発信する。
ウ
構成団体・連携県が情報発信を行う際に、個人情報の取扱いや情報の提供方法等に関し、共
通化を図ることが望ましい事項について広域調整を行う。
【緊急事態宣言がされている場合の措置】
構成団体・連携県と連携して、関西圏域のどの地域でどのような緊急事態措置がとられてい
るかを把握し、府県民に適切に広報する。
②
報道機関等への情報提供の調整
新型インフルエンザ等の発生状況、対策の実施状況等については、患者等の人権にも配慮した
わかりやすい情報提供を行う必要がある。このため、報道機関等へ情報提供を行う場合には、個
人情報の取り扱いに関する基準を設けることや情報の提供方法・内容等について共通化を図るこ
とが望ましいことから、構成団体・連携県の広報担当者と連携して、必要な広域調整を行う。
③
風評被害の抑止
風評被害を防止するため、府県民の誤解や混乱、過剰反応を招かないよう、報道機関と連携し、
発生地の正確な地理情報とともに感染症の正しい情報を発信する。また、誤った情報が出た場合
には、構成団体・連携県と連携して、関西で一致してこれを速やかに打ち消す情報発信を行う。
119
第 7 号議案
④
コールセンター等情報の集約
ア
関西圏域での統一した相談対応に資するため、構成団体・連携県の協力を得て、各団体のコ
ールセンター等に寄せられる問い合わせなどの情報を集約して共有を図る。
イ
小康期には、構成団体・連携県の情報提供のあり方に係る評価・見直しの状況を集約して共
有を図る。
(4)予防・まん延防止
〔対策の目的・概要〕
①
予防・まん延防止の目的等
・ 流行のピークをできるだけ遅らせることで体制の整備を図るための時間を確保する。
また、流行のピーク時の受診患者数等を減少させ、入院患者数を最小限にとどめ、医療体制が
対応可能な範囲内に収める。
・ まん延防止対策には、個人の行動を制限する面や、対策そのものが社会・経済活動に影響を与
える面もあることを踏まえ、対策の効果と影響を総合的に勘案し、新型インフルエンザ等の病原
性・感染力等に関する情報や発生状況の変化に応じて、実施する対策の決定や実施している対策
の縮小・中止を行う。
②
新型インフルエンザ等の予防接種の概要
・ 新型インフルエンザ等の予防接種は、①個人の発症や重症化を防ぐことにより、患者数や重症
者数を抑制し、医療体制が対応可能な範囲に収まること、②それによって社会・経済活動への影
響を最小限にとどめることを目的に実施される。
・ 予防接種のうち特定接種は、特措法 28 条に基づき行われるもので、予め厚生労働省に登録され
た事業者のうち医療の提供や国民生活・国民経済の安定に寄与する業務に従事する者、及び新型
インフルエンザ等対策に従事する国家公務員又は地方公務員がその対象となる。対象者の範囲や
総数、接種順位は、発生時の状況を勘案し、政府の基本的対処方針で決定される。
・ 予防接種のうち住民接種は、一般住民に対する予防接種であり、政府行動計画において、接種
対象者を4つの群(医学的ハイリスク者、小児、成人・若年者、高齢者)に分類し、発生状況や
病原性等の情報を踏まえて接種順位が決定される。
・ 住民接種は、緊急事態宣言が行われている場合には予防接種法 6 条 1 項(臨時の予防接種)に
基づき実施され(特措法 46 条)
、宣言が行われていない場合は予防接種法 6 条 3 項(新臨時接種)
に基づく予防接種として実施される。
120
第 7 号議案
〔構成団体・連携県の対策の概要〕
①
水際対策
ア
国の感染症危険情報に基づき、海外への渡航者に対し、新型インフルエンザ等の発生状況等
の情報提供・注意喚起を行う。
イ
検疫所からの情報を活用し、新型インフルエンザ等発生地域からの帰国者に対し、健康観察
と異常時の連絡について要請する。
②
感染が疑われる者及び患者への対応
府県内発生早期には、感染症法に基づき、患者への対応(治療・入院措置等)や患者の同居者
等の濃厚接触者への対応(外出自粛の要請、健康観察等)などの措置を行う。なお、府県内感染
期に至ったときはこれらの措置を中止する。
③
まん延防止にかかる社会的対策
府県内発生早期には、以下の個人対策・職場対策を実施する。
ア
住民、事業所、福祉施設等に対し、マスク着用・咳エチケット・手洗い・うがい、人混みを
避けること、時差出勤の実施等の基本的な感染対策等を勧奨する。また、事業所に対し、当該
感染症の症状が認められた従業員の健康管理・受診の勧奨を要請する。事業者に対し、職場に
おける感染対策の徹底を要請する。
イ
学校・保育施設等における感染対策の実施に資する目安を示すとともに、学校保健安全法(昭
和33年法律第56号)に基づく臨時休業(学級閉鎖・学年閉鎖・休校)を適切に行うよう学校
の設置者に要請する。
ウ
公共交通機関等に対し、利用者へのマスク着用の励行の呼びかけなど適切な感染対策を講じ
るよう要請する。
エ
病院、高齢者施設等の基礎疾患を有する者が集まる施設や多数の者が居住する施設等におけ
る感染対策を強化するよう要請する。
【緊急事態宣言がされている場合の措置】
府県域において緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、国の基本的対処方
針に基づき、必要に応じ、以下の措置を講じる。
ア
特措法第45条第1項に基づき、住民に対し、期間と区域を定めて、生活の維持に必要な
場合を除きみだりに外出しないことや基本的な感染対策の徹底を要請する。
イ
特措法第45条第2項に基づき、学校、保育所等に対し、期間を定めて、施設の使用制限
(臨時休業や入学試験の延期等)の要請を行う。要請に応じない学校、保育所等に対し、
新型インフルエンザ等のまん延を防止し、府県民の生命・健康の保護、府県民生活・府県
民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、特措法第45条第3項に
基づき、指示を行う。
要請・指示を行った際には、その施設名を公表する。
ウ
特措法第24条第9項に基づき、学校、保育所等以外の施設について、職場を含め感染対
策の徹底の要請を行う。上記の要請に応じず、公衆衛生上の問題が生じていると判断され
121
第 7 号議案
た施設(特措法施行令第11条に定める施設に限る。)に対し、特措法第45条第2項の規定
に基づき、施設の使用制限又は基本的な感染対策の徹底の要請を行う。特措法第45条第2
項の要請に応じず、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、府県民の生命・健康の保護、
府県民生活・府県民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、特措
法第45条第3項に基づき、指示を行う。
特措法第45条の規定に基づき、要請・指示を行った際には、その施設名を公表する。
④
予防接種
ア
特定接種
(ア) 未発生期から接種体制の構築を図るとともに、登録事業者の選定・登録、接種場所の確保・
委託事務、接種対象者との連絡調整、ワクチンの流通管理等について国に協力する。
(イ) 海外発生期には、国の基本的対処方針を踏まえ、国と連携して、地方公務員である当該団体
内の対象者に対して、集団的な接種を行うことを基本として、本人の同意を得て接種を実施す
る。
イ
住民接種
(ア) 海外発生期には、構成府県・連携県は、集団的な接種を行うことを基本として、事前に市町
村行動計画において定めた接種体制に基づき、具体的な接種体制の構築の準備を進めるよう、
市町村に対し要請する。
(イ) 他府県の病院・施設への長期入院・入所者、里帰り分娩の妊産婦及びその同伴の小児等につ
いて、国において広域接種の体制が整備された場合には、市町村、医師会、医療機関等と密接
に連携して、円滑に実施できるよう努める。
(ウ) ワクチンの種類、有効性・安全性、接種対象者や接種順位、接種体制といった具体的な情報
について、市町村、関係機関等に対し積極的に情報提供を行う。
〔広域連合が実施する対策〕
①
水際対策
海外発生期において、空港等における停留の実施等効果的な水際対策が行われるよう、検疫所
と密接に連携する。
②
まん延防止にかかる社会的対策
ア
病原体が不明の場合には病原性の高い新型インフルエンザ等への対応で臨むという危機管
理の原則を踏まえつつ、発生した感染症の特性に応じて直ちに柔軟な対応ができるようにする
ことを基本に、効果的なまん延防止を図るためには、初動の社会的対策をいかに早くためらわ
ずに実施するかが重要となる。
このため、構成府県・連携県が以下のような社会的対策を適時適切に実施できるよう、必要
に応じて広域調整を行う。
(緊急事態宣言がされている場合の措置を含む。以下同じ。
)
(ア) 府県域を越えて運行する公共交通機関等への感染対策の要請
122
第 7 号議案
(イ) 住民に対する外出自粛の要請
(ウ) 学校、保育所等に対する施設の使用制限等の要請・指示
(エ) 学校、保育所等以外の施設の使用制限やイベントの開催自粛等の要請・指示
イ
通勤・通学、買い物、レジャー等、日常的に府県域を越えて住民が移動することを前提に、
構成団体・連携県が社会的対策を実施しようとする場合に、要請等をより実効的に行うため、
必要に応じて要請等の内容の統一を図るなどの広域調整を行う。
ウ
保育所、福祉関係事業所に対する臨時休業等の要請等に当たっては、どうしても子供や要介
護者を預けなければならない利用者のために代替措置を確保することが重要であるため、構成
団体・連携県が当該措置を適切に講じるよう、必要に応じて広域調整を行う。
③
予防接種
ア
特定接種
複数府県に事業所を設置している事業者等での接種が効率的に実施できるよう、必要に応じ
て、構成団体・連携県を通じて事業者への働きかけを行う。
イ
住民接種
(ア) 他府県の病院・施設への長期入院・入所者、里帰り分娩の妊産婦及びその同伴の小児等につ
いて、国において広域接種の体制が整備された場合には、構成団体・連携県と連携して、関西
圏域内において円滑に実施できるよう努める。
(イ) 住民接種の広域接種に伴うワクチンの偏在に対応して、構成団体・連携県と連携し、必要に
応じて、関西圏域内での広域的な融通調整を行う。
(5)医療
〔医療の目的等〕
・ 新型インフルエンザ等による健康被害を最小限にとどめる。
・ 健康被害を最小限にとどめることにより、社会・経済活動への影響を最小限にとどめる。
・ 地域の医療資源(医療従事者、病床数等)には制約があることから、大規模なまん延に備え、
効率的・効果的に医療を提供できる体制を事前に計画しておく。
・ 医療機関や医療従事者への具体的支援についての十分な検討や情報収集が必要である。
〔構成団体・連携県の対策の概要〕
①
発生前における医療体制の整備
ア
地域医療体制の整備
未発生期から、二次医療圏等の圏域を単位とし、地域の実情に応じた医療体制の整備を推進
する。
イ
府県内感染期に備えた医療の確保
未発生期には、府県内感染期に備えて、以下の医療の確保に取り組む。
(ア) 全ての医療機関に対する診療継続計画作成の要請及び作成支援
123
第 7 号議案
(イ) 指定(地方)公共機関を含む感染症指定医療機関等のほか、指定(地方)公共機関である医
療機関(独立行政法人国立病院機構の病院、日本赤十字病院、独立行政法人労働者健康福祉
機構の病院等)又は公的医療機関等(大学附属病院、公立病院、社会福祉法人恩賜財団済生
会の病院等)で入院患者を優先的に受け入れる体制の整備
(ウ) 入院治療が必要な新型インフルエンザ等患者が増加した場合の医療機関における使用可能
な病床数(定員超過入院を含む。)等の把握及び臨時の医療施設等での医療提供の検討
(エ) 新型インフルエンザ等の初診患者の診療を原則として行わないこととする医療機関の設定
の検討
(オ) 社会福祉施設等の入所施設における、集団感染が発生した場合の医療提供の方法の検討
ウ
医療資器材の整備
未発生期には、医療資器材(個人防護具、人工呼吸器、陰圧装置等)をあらかじめ備蓄・整
備するとともに、協力医療機関において必要となる医療資器材を整備するよう要請する。
エ
検査体制の整備
(ア) 未発生期には、地方衛生研究所における新型インフルエンザ等に対するPCR検査等を実施
する体制を整備する。
(イ) 各地方衛生研究所の検査処理可能件数を超える場合等に備えて、関西圏域内の地方衛生研究
所間の連携を図る。
関西圏域の地方衛生研究所
団体名
福井県
三重県
滋賀県
京都府
京都市
大阪府
大阪市
堺市
東大阪市
兵庫県
神戸市
姫路市
尼崎市
奈良県
和歌山県
和歌山市
鳥取県
徳島県
機関名称
福井県衛生環境研究センター
三重県保健環境研究所
滋賀県衛生科学センター
京都府保健環境研究所
京都市衛生環境研究所
大阪府立公衆衛生研究所
大阪市立環境科学研究所
堺市衛生研究所
東大阪市環境衛生検査センター
所在地
福井市原目町39番4号
四日市市桜町3684-11
大津市御殿浜13番45号
京都市伏見区村上町395番地
京都市中京区壬生東高田町1番地2
大阪市東成区中道1丁目3番69号
大阪市天王寺区東上町8番34号
堺市堺区甲斐町東3丁2番8号
東大阪市西岩田3-3-2
兵庫県立健康生活科学研究所健康科学研究センター 神戸市兵庫区荒田町2丁目1番29号
神戸市環境保健研究所
神戸市中央区港島中町4丁目6番地
姫路市環境衛生研究所
姫路市坂田町3番地
尼崎市立衛生研究所
尼崎市南塚口町4丁目4番8号
奈良県保健研究センター
桜井市粟殿1000番地
和歌山県環境衛生研究センター
和歌山市砂山南3丁目3番45号
和歌山市衛生研究所
和歌山市松江東3丁目2番67号
鳥取県衛生環境研究所
東伯郡湯梨浜町南谷526-1
徳島県立保健製薬環境センター
徳島市新蔵町3丁目80
124
第 7 号議案
オ
抗インフルエンザウイルス薬の備蓄及び流通体制の整備
未発生期には、抗インフルエンザウイルス薬を計画的・安定的に備蓄する(国備蓄分をあわ
せ、府県民の 45%に相当する量を目標とする)とともに、発生時に円滑に供給できるよう流
通体制の整備に努める。
②
発生時における医療体制の維持・確保
ア
新型インフルエンザ等の症例定義
海外発生期に、国が新型インフルエンザ等の症例定義を明確にしたときは、関係機関に周知
する。
イ
医療体制の整備
(ア) 海外発生期には、以下の医療体制を整備する。
a 協力医療機関に対する、帰国者・接触者外来の設置と診療の要請
b 帰国者・接触者外来を有しない医療機関における院内感染対策を講じた上での診療体制の
整備
c
医療機関等で新型インフルエンザ等の患者又は疑似症患者と判断された場合の保健所へ
の連絡の要請
d 帰国者・接触者相談センターの設置と、同センター等を通じ、発生国からの帰国者で発熱・
呼吸器症状等を有する者に帰国者・接触者外来を受診するよう周知
(イ) 府県内発生早期で、患者等が増加してきた段階においては、帰国者・接触者外来を指定して
の診療体制から一般の医療機関でも診療する体制に移行する。
(ウ) 小康期には、発生前の通常の医療体制に戻す。
【緊急事態宣言がされている場合の措置】
府県内感染期には、医療機関が不足した場合、定員超過入院や臨時の医療施設の設置により医
療を提供する。臨時の医療施設は、流行がピークを越えた後、状況に応じて順次閉鎖する。
ウ
患者への対応等
(ア) 府県内発生早期には、以下の対策を行う。
a 新型インフルエンザ等と診断された者の感染症法に基づく入院措置(病原性が低いことが
判明しない限り実施する)
b 地方衛生研究所におけるPCR検査等の確定検査(患者数が増加した段階は、重症者等に
限定)
c 新型インフルエンザ等患者の同居者等の濃厚接触者及び医療従事者又は救急隊員等に対
する抗インフルエンザウイルス薬の予防投与及び有症時の対応の指導
(イ) 府県内感染期には、以下の対策を行う。
a 帰国者・接触者外来、帰国者・接触者相談センター及び感染症法に基づく患者の入院措置
の中止、一般の医療機関における新型インフルエンザ等患者の診療の要請
125
第 7 号議案
b 重症患者以外は在宅療養を要請することの周知
c ファクシミリ等による処方箋の送付についての国対応方針の周知
d 医療機関の診療継続の調整
エ
検査体制の整備
海外発生期には、地方衛生研究所において、新型インフルエンザ等に対するPCR等の検査
を実施するための体制を速やかに整備する。また、各地方衛生研究所の検査処理可能件数を超
える場合等に備えて、府県を超えた地域衛生研究所間の連携による検査体制の整備に努める。
オ
医療関係者に対する要請・指示、補償
(ア) 新型インフルエンザ等の患者等に対する医療の提供を行うため必要があると認めるときは、
医師、看護師等その他の政令で定める医療関係者に対し、知事は医療を行うよう要請等をす
ることができる。
(イ) 要請等に応じて患者等に対する医療を行う医療関係者に対して、国と連携して、政令で定め
る基準に従い、その実費を弁償する。また、医療の提供の要請等に応じた医療関係者が、損
害を被った場合には、政令で定めるところにより、その者又はその者の遺族若しくは被扶養
者に対して補償をする。
カ
抗インフルエンザウイルス薬の備蓄及び流通体制の整備
(ア) 海外発生期には、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量の把握を行う。また、医療機関に対
し、府県が備蓄した抗インフルエンザウイルス薬を活用して、患者の同居者、医療従事者等
に、必要に応じて、予防投与を行うよう要請する。
(イ) 府県内発生早期には、府県内感染期に備え、引き続き医療機関に対し抗インフルエンザウイ
ルス薬を適切に使用するよう要請する。
(ウ) 府県内感染期には、抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量の把握を行うとともに、府県内の
抗インフルエンザウイルス薬の流通状況を調査し、患者の発生状況を踏まえ、抗インフルエ
ンザウイルス薬が必要な地域に供給されているかどうかを確認する。なお、必要であれば国
備蓄分の配分を要請する。
(エ) 小康期には、通常の医療体制に戻すとともに、第二波の流行に備え、抗インフルエンザウイ
ルス薬の備蓄を行う。
キ
患者の搬送・移送体制の確立
海外発生期には、患者発生に備えて、消防機関と情報共有を図り、患者の搬送・移送に関す
る協力・連携体制の徹底を図るとともに、救急隊員に抗インフルエンザウイルス薬を予防投与
できるよう準備を行う。
〔広域連合が実施する対策〕
①
医薬品・医療資器材の広域融通調整
ア 未発生期から、医療資器材について、構成団体・連携県の保有状況を把握し、整備を促すと
ともに、発生時に地域的な不足が生じた場合に広域的な融通調整を行う。
126
第 7 号議案
イ 未発生期から、抗インフルエンザウイルス薬について、構成団体・連携県の備蓄状況を把握
し、発生時に地域的な不足が生じた場合に広域的な融通調整を行う。
(医療資器材)
品 目
単位
サージカルマスク
枚
マスク(N95)
枚
フェイスシールド
個
ゴーグル
個
プラスチック手袋
双
ガウン(防護服)
着
キャップ(帽子)
枚
個人防護具セット
セット
手指消毒剤
本,L
フィットテストキット
個
体温計
本
自動血圧計
個
人工呼吸器
台
患者移送用陰圧装置(車椅子型)
台
患者移送用陰圧装置(ベッド型)
台
陰圧エアーテント
張
発熱外来用テント
張
簡易ベッド
台
納体袋
枚
※個人防護具セット(防護服、マスク(N95)、キャップ、
フェイスシールド、プラスチック手袋、シューズカバー等)
②
患者の搬送・移送体制の確立
ア
海外発生期には、感染期における重症者に対する高度医療を確保するため、広域的な救急搬
送が一般救急と同様に実施されるよう、関係機関との意識の共有を図る。
イ 関西圏域内発生早期の近隣府県間等において、構成団体・連携県の保有する患者搬送車を提
供する体制の構築に努める。
《参考:市町村、指定公共機関の役割》
・ 市町村は、感染期において患者や医療機関等から要請があった場合には在宅で療養する患者へ
の支援(見回り、食事の提供及び医療機関への移送)や、自宅で死亡した者に対する対応を行う。
・ 医療機関及び医薬品又は医療機器の製造販売業者等である指定公共機関は、緊急事態宣言がさ
れた際には、業務計画で定めるところにより、事業を確保するための必要な措置を講じる。
(6)府県民生活及び府県民経済の安定の確保
〔対策の必要性〕
① 事業者の事業の継続
127
第 7 号議案
新型インフルエンザは、国民の25%がり患し、各地域での流行が8週間程度続くとされている。
患者の増加やその看護のために、国民生活と国民経済の大幅な縮小と停滞を招くおそれがある。
このため、この影響を最小限にとどめることができるよう、事業者が事前に準備し、事業が継続
できるようにしておくことが必要である。また、国、都道府県、市町村はそのための支援を行う
とともに、事業者に対し必要な要請を行う。
②
広域火葬の必要性
新型インフルエンザが発生すれば、関西圏域で最大 12 万人が死亡すると想定されている。短
期間に多くの死亡者が発生すれば、通常の火葬能力では処理が困難な場合が生じることが予想さ
れる。遺体安置場所の確保、衛生の確保、遺族の心情等を考慮すると、遺体の長期間の保管はで
きないため、火葬能力を広域的に求める必要がある。
〔構成団体・連携県の対策の概要〕
①
事業者への対応
ア
未発生期には、指定地方公共機関に対して、新型インフルエンザ等の発生に備え、十分な事
前の準備を行うよう求めるとともに、業務計画等の策定を支援する。
イ 海外発生期には、事業者に対し、従業員の健康管理を徹底するとともに、職場における感染
対策を実施するための準備を行うよう要請する。
ウ
府県内発生早期には、事業者に対し、従業員の健康管理を徹底するとともに職場における感
染対策を開始するよう要請する。
②
物資供給の要請等
未発生期には、発生時における医薬品、食料品等の緊急物資の流通や運送の確保のため、製造・
販売、運送を行う指定(地方)公共機関等に対し、緊急物資の流通や運送等の事業継続のため体
制の整備を要請する。
③
府県民・事業者への呼びかけ
府県内発生早期及び府県内感染期には、府県民に対し、食料品、生活必需品等の購入に当たっ
ての消費者としての適切な行動を呼びかけるとともに、事業者に対しても、食料品、生活関連物
資等の価格が高騰しないよう、また、買占め及び売惜しみが生じないよう要請する。
④
広域火葬の体制構築等
ア 未発生期には、国及び市町村と連携し、火葬場の火葬能力及び一時的に遺体を安置できる施
設等についての把握・検討を行い、火葬又は埋葬を円滑に行うための体制を整備するとともに、
広域火葬の実施に備えて、広域火葬計画の策定に努める。
イ 海外発生期には、広域火葬計画に基づき、庁内に広域火葬の実施組織を設け、管内市町村の
応援要請を取りまとめ、火葬場割り振り等の体制を整えるよう努める。
ウ 市町村に対し、火葬場の火葬能力の限界を超える事態が起こった場合に備え、火葬能力の増
強を図るため通常使用されていない火葬場の点検等を行うとともに、一時的に遺体を安置でき
る施設等を確保するよう準備を行うことを要請する。
128
第 7 号議案
【緊急事態宣言がされている場合の措置】
府県域において緊急事態宣言がされている場合には、上記の対策に加え、必要に応じ、以下
の対策を行う。
①
サービス水準に係る府県民への呼びかけ
府県内発生早期には、事業者のサービス提供水準に係る状況の把握を開始し、府県民に対
し、まん延した段階において、サービス提供水準が相当程度低下する可能性を許容すべきこ
とを呼びかける。
②
緊急物資の運送等
ア
府県内発生早期には、緊急の必要がある場合には、運送事業者である指定地方公共機関
に対し、食料品等の緊急物資の輸送を要請し、医薬品等販売業者である指定地方公共機関
に対し、医薬品又は医療機器の配送を要請する。
イ 当該指定地方公共機関が、正当な理由がないにもかかわらず、上記の要請に応じないと
きは、必要に応じ、輸送又は配送を指示する。
③
物資の売渡しの要請等
ア
府県内感染期には、対策の実施に必要な物資の確保に当たっては、あらかじめ所有者に
対し物資の売渡しの要請の同意を得ることを基本とする。なお、新型インフルエンザ等緊
急事態により当該物資等が使用不能となっている場合や当該物資が既に他の都道府県に
よる収用の対象となっている場合などの正当な理由がないにもかかわらず、当該所有者等
が応じないときは、必要に応じ、物資を収用する。
イ 特定物資の確保のため緊急の必要がある場合には、必要に応じ、事業者に対し特定物資
の保管を命じる。
④
生活関連物資等の価格の安定等
ア
府県内発生早期には、生活関連物資等の価格が高騰しないよう、また、買占め及び売惜
しみが生じないよう、調査・監視をするとともに、必要に応じ、関係事業者団体等に対し
て供給の確保や便乗値上げの防止等の要請を行う。また、必要に応じ、府県民からの相談
窓口・情報収集窓口の充実を図る。
イ
府県内感染期には、アに加え、生活関連物資等の価格の高騰又は供給不足が生じ、又は
生じるおそれがあるときは、生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関
する法律(昭和 48 年法律第 48 号)、国民生活安定緊急措置法(昭和 48 年法律第 121 号)、
物価統制令(昭和 21 年勅令第 118 号)その他法令等で定めるところにより、適切な措置
を講じる。
⑤
業務の再開
小康期には、事業者に対し、縮小もしくは中止していた業務を再開しても差し支えない
旨周知する。また、指定地方公共機関に対し、これまでの被害状況等の確認を要請すると
ともに、流行の第二波に備え、事業を継続していくことができるよう支援を行う。
129
第 7 号議案
〔広域連合が実施する対策〕
①
指定(地方)公共機関等に関する調整
構成府県・連携県が、府県をまたがった指定(地方)公共機関や事業者に対して、次のような
要請等を行う場合において、一元的な要請等を行うことが求められるときは、必要な広域調整を
行う。
ア
未発生期における、指定地方公共機関に対する事前の準備の要請及び業務計画等の策定の支
援
イ
未発生期における、製造・販売、運送を行う事業者である指定(地方)公共機関等に対する
緊急物資の流通や運送等の事業継続のため体制の整備の要請
ウ 海外発生期における、事業者に対する感染対策実施の準備の要請
エ
関西圏域内発生早期における、事業者に対する感染対策開始の要請
【緊急事態宣言がされている場合の措置】
関西圏域内発生早期及び関西圏域内感染期において、構成府県・連携県が、特措法に基づき
次の要請等を行う場合に、要請の相手方が府県をまたがっており、統一した取扱いが求められ
るときは、要請等に当たり広域調整を行う。
ア 緊急物資の運送等の要請
イ 物資の売渡しの要請等
ウ 生活関連物資等の価格の安定等の要請(供給の確保、便乗値上げの防止)
②
府県民・事業者への統一的な情報発信
関西圏域内発生早期及び関西圏域内感染期に、府県民に対し、食料品、生活必需品等の購入に
当たっての消費者としての適切な行動を呼びかける際に、または事業者に対して、食料品、生活
関連物資等の価格が高騰しないよう、もしくは買占め及び売惜しみが生じないよう要請する際
に、構成団体・連携県の情報提供との整合性に配慮しつつ、その発信力を活かして統一メッセー
ジを出す等の情報発信を行うほか、必要な広域調整を行う。
【緊急事態宣言がされている場合の措置】
関西圏域内発生早期及び関西圏域内感染期に、事業者のサービス水準が相当程度低下する可
能性を許容すべきことを府県民に呼びかけを行う際、府県民の不安を和らげ、冷静な判断・行
動を促すため、関西府県民全てを対象とした一斉の呼びかけを行う。
③
広域火葬の調整
ア 未発生期には、構成府県・連携県及び火葬の実施主体である市町村と連携し、広域火葬の対
応が可能な火葬場と火葬能力などの情報を収集・共有するとともに、広域火葬の実施体制構築
の準備を進める。
イ 海外発生期には、広域火葬の実施に備えて、構成団体・連携県から、火葬場及び遺体安置施
設等の整備状況にかかる情報を収集し、構成団体・連携県間で共有する。
130
第 7 号議案
ウ 市町村は、遺体からの感染を防御するため一定の基準に基づく遺体処理方法の導入、遺体の
保存資機材(ドライアイス、非透過性納体袋等)、搬送手段(遺体搬送車両の緊急通行車両と
しての取り扱い)の確保を図るよう努める。
【緊急事態宣言がされている場合の措置】
関西圏域内感染期には、国の定める埋葬・火葬の手続きの特例に基づき、必要に応じて、広
域火葬を以下により実施する。
ア 構成府県・連携県は、市町村に対し、火葬場の経営者に可能な限り火葬炉を稼働させる
よう要請するとともに、死亡者が増加し、火葬能力の限界を超えることが明らかになった
場合には、一時的に遺体を安置する施設等を直ちに確保するよう要請する。
イ
広域連合は、構成府県・連携県を通じて、広域火葬が可能な火葬場とその火葬能力につ
いての情報を速やかに収集・共有する。
ウ 構成府県・連携県は、管内市町村だけでは対応が困難な場合には、広域火葬計画に基づ
き、他の構成府県・連携県に対して、広域火葬の実施を要請するとともに、広域連合にそ
の旨を連絡する。
エ
ウの要請を受けた構成府県・連携県は、管内市町村に対して、広域火葬の対応が可能な
火葬場とその火葬能力について確認の上、要請府県に対して、その結果を通知する。
オ
要請府県は、エの通知を踏まえ、火葬場の割振りを行い、要請市町村に通知する。要請
市町村は、これに基づいて遺体の搬送の手配等を実施する。
カ
広域連合は、要請を受けた構成府県・連携県が応援・協力を承諾できないなどの逼迫時
において、複数構成府県・連携県間での応援・協力の調整を行う。
【広域火葬の実施フロー】
広域連合
応援・協力の調整
火葬場情報の収集・共有
要請府県
応援・協力の要請
実施組織
応援・協力の承諾
(対策本部等)
応援・協力
の要請
協力府県
応援・協力
可否の確認
火葬場割振り
要請市町村
相談窓口
応援・協力
の承諾
協力市町村
火葬実施方法等
の詳細調整
広域火葬の実施
131
第 7 号議案
《参考:指定地方公共機関、登録事業者の役割》
海外発生期には、その業務計画を踏まえ、国及び府県と連携し、事業継続に向けた準備を行う。
【緊急事態宣言がされている場合の措置】
関西圏域において、緊急事態宣言がされている場合には、必要に応じ、以下の対策を行う。
ア
関西圏域内発生早期には、指定地方公共機関は、業務計画で定めるところにより、その業務
を適切に実施するため、必要な措置を開始する。登録事業者は、医療の提供並びに府県民生活
及び府県民経済の安定に寄与する業務の継続的な実施に向けた取組を行う。
イ
関西圏域内感染期には、指定地方公共機関及び特定接種の実施状況に応じ登録事業者は、事
業の継続を行う。
132
第 7 号議案
2
発生段階における対策(オペレーションマップ)
このオペレーションマップは、国、構成府県・連携県、広域連合及び市町村が相互に連携しながら
実施すべき新型インフルエンザ等対策を発生段階ごとに示したものである。
未発生期
状態
(1) 新型インフルエンザ等が発生していない状態
(2) 海外において、鳥類等の動物のインフルエンザウイルスが人に感染する例が散発的に発生している
が、人から人への持続的な感染はみられていない状況
目的
(1) 発生に備えて体制の整備を行う。
(2) 関西圏域内発生の早期確認に努める。
対策の考え方
(1) 新型インフルエンザ等は、いつ発生するか分からないことから、平素から警戒を怠らず、本プラン等を
踏まえ、国、構成団体・連携県、関係団体等との連携を図り、対応体制の構築や訓練の実施、事前の
準備を推進する。
(2) 新型インフルエンザ等が発生した場合の対策等に関し、府県民全体での認識共有を図るため、構成
団体・連携県と連携して継続的な情報提供を行う。
対策
実施体制
国
○行動計画等の作成
○情報交換及び連携体制の確認
○訓練の実施(特第12条)
サーベイランス・ ○情報収集
情報収集
○通常のサーベイランス
情報提供・共有
○感染症や公衆衛生に関する情報提供・
共有の体制整備
○個人、地域、職場対策の周知
○緊急事態時における感染症対策の理解促進
○衛生資器材等の供給体制の整備
予防・まん延の
○水際対策の連携強化
防止
○ワクチンの研究開発、確保、供給体制の整備
○特定接種の事業者の登録
○住民接種の接種体制の構築
○地域医療体制の整備
・医療体制確保マニュアル等の提供
○国内感染期に備えた医療確保
○医療資器材の備蓄・整備
医療
○検査体制の整備
・迅速診断キットの開発等
○医療機関等への情報提供体制の整備
○抗インフルエンザウイルス薬の備蓄
(国民の45%)
国民生活及び
経済の安定の
確保
○指定公共機関の指定及び登録事業者の登録
○緊急物資の流通・運送等の事業継続
体制整備の要請
○物資及び資材の備蓄等(特第10条)
広域連合
○関西防災・減災プラン(感染症対策編・
新型インフルエンザ等)等の作成
○体制の整備及び関係機関・団体等の連携強化
○研修、広域的訓練の実施
○サーベイランス情報の構成団体・連携県との共有
○ポータルサイト等による情報提供
○府県民に対する情報提供・注意喚起の
統一メッセージの発信
○特定接種の事業者登録の協力・調整
○住民接種の広域接種への対応
○医薬品・医療資器材の保有状況の情報共有
○指定(地方)公共機関等に対する一元的な
要請等の広域調整
○広域火葬の体制構築等
動物インフルエンザ患者発生時
実施体制
○対策会議又は閣僚会議の開催
○対策準備室の設置
情報収集他
○情報の集約・共有・分析
予防・まん延の ○感染症危険情報の発出
防止
○水際対策の開始
新型インフルエンザ等が発生した疑いがある時
○情報収集及び連絡調整の開始
実施体制
○対策会議又は閣僚会議の開催
情報収集他
○情報の集約・共有・分析
○警戒本部の設置
○情報収集及び連絡調整の強化
(情報収集員の派遣)
予防・まん延の ○感染症危険情報の発出
防止
○水際対策の開始
133
第 7 号議案
未発生期
対策
実施体制
構成府県・連携県
○行動計画等の作成
○体制の整備及び関係機関・団体等の
連携強化
○研修、広域的訓練の実施
市町村
○行動計画等の作成
○体制の整備及び関係機関・団体等
の連携強化
サーベイランス・ ○情報収集
情報収集
○通常のサーベイランス
情報提供・共有
○感染症や公衆衛生に関する情報提供・
共有の体制整備
○個人、地域、職場対策の周知
予防・まん延の ○緊急事態時における感染症対策の理解促進
防止
○特定接種の事業者の登録
○住民接種の接種体制の構築
○感染症や公衆衛生に関する情報提供・共有の
体制整備
○個人、地域、職場対策の周知
○特定接種の事業者の登録
○住民接種の接種体制の構築
医療
○地域医療体制の整備
○府県内感染期に備えた医療確保
○医薬品・医療資器材等の備蓄・整備
○検査体制の整備(PCR等の検査体制整備)
○抗インフルエンザウイルス薬の備蓄
(国民の45%)及び流通体制の整備
○医療資器材等の備蓄・整備
国民生活及び
経済の安定の
確保
○指定地方公共機関の指定及び業務計画等
の策定支援
○物資供給の要請等
○広域火葬の体制構築等
○物資及び資材の備蓄等(特第10条)
○広域火葬の体制構築等
○物資及び資材の備蓄等(特第10条)
動物インフルエンザ患者発生時
新型インフルエンザ等が発生した疑いがある時
134
第 7 号議案
海外発生期(関西圏域内未発生期)
状態
(1) 海外で新型インフルエンザ等が発生、もしくは、国内のいずれかの都道県で新型インフルエンザ等が
発生した状態
(2) 関西圏域内では新型インフルエンザ等の患者は発生していない状態
(3) 海外においては、発生国・地域が限定的な場合、流行が複数の国・地域に拡大している場合等、
様々な状況
目的
(1) 新型インフルエンザ等の侵入をできるだけ遅らせ、関西圏域内発生の遅延と早期発見に努める。
(2) 関西圏域内の発生に備えて体制の整備を行う。
対策の考え方
(1) 新たに発生した新型インフルエンザ等の病原性や感染力等について十分な情報がない可能性が
高いが、その場合は、病原性・感染力等が高い場合にも対応できるよう、強力な措置をとる。
(2) 対策の判断に役立てるため、国際的な連携の下で、海外での発生状況、新型インフルエンザ等の
特徴等に関する積極的な情報収集を行う。
(3) 関西圏域内発生した場合には早期に発見できるよう関西圏域内のサーベイランス・情報収集体制を
強化する。
(4) 海外での発生状況について注意喚起するとともに、関西圏域内発生に備え、圏域内発生した場合
の対策について的確な情報提供を行い、市町村、医療機関、事業者及び府県民に準備を促す。
(5) 医療機関等への情報提供、検査体制の整備、診療体制の確立、府県民生活及び府県民経済の
安定のための準備、プレパンデミックワクチンの接種等、関西圏域内発生に備えた体制整備を急ぐ。
対策
実施体制
国
○政府対策本部の設置(特第15条)
○基本的対処方針の決定
広域連合
○対策準備室、警戒本部又は対策本部の設置
○国際的な連携による情報収集
サーベイランス・ ○サーベイランス体制の強化
・患者の全数把握開始(感第12条)
情報収集
・学校等の集団発生の把握強化
○サーベイランス情報の構成団体・連携県との共有
○海外での発生状況情報提供
情報提供・共有
○コールセンターの設置
○ポータルサイト等による情報提供
○府県民に対する情報提供・注意喚起の
統一メッセージの発信
○コールセンターにおける情報の共有
○感染症危険情報の発出
○水際対策の実施(検疫の強化)
・特定検疫港等の指定
予防・まん延の ・停留施設の使用(特第29条)
防止
・航空機等の運行制限の要請(特第30条)
○ワクチンの確保
○特定接種の準備・開始(特第28条)
○住民接種の準備
○停留等の円滑な実施のための検疫所との連携
○特定接種の円滑な実施のための構成団体・連携
県を通じた事業者への働きかけ
医療
○国内発生に備えた医療体制整備
○帰国者・接触者外来等の設置要請
○PCR等の検査体制の確立
○抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量の把握
○医薬品・医療資器材の保有状況の情報共有
○患者の搬送・移送体制の確立
国民生活及び
経済の安定の
確保
○職場における感染対策の準備要請
○指定公共機関等の事業継続に向けた準備要請
○指定(地方)公共機関等に対する一元的な
要請等の広域調整
○府県民・事業者への統一的な情報発信
○広域火葬の体制構築等
135
第 7 号議案
海外発生期(関西圏域内未発生期)
対策
実施体制
構成府県・連携県
市町村
○対策本部の設置(特第22条)
○対策の協議
○サーベイランス体制の強化
サーベイランス・
・患者の全数把握開始(感第12条)
情報収集
・学校等の集団発生の把握強化
情報提供・共有
○海外での発生状況情報提供
○コールセンターの設置
○感染症危険情報の発出
○患者・濃厚接触者の健康診断受診の
勧告・実施(感第17条)
予防・まん延の
○就業制限(感第18条)
防止
○入院の勧告・措置(感第19条)
○特定接種の準備・開始(特第28条)
○情報提供
医療
○帰国者・接触者外来の整備
○帰国者・接触者相談センターの設置
○院内感染対策を講じた診療体制の整備
○PCR等の検査体制の確立
○抗インフルエンザウイルス薬の備蓄量の把握
○患者の搬送・移送体制の確立
国民生活及び
経済の安定の
確保
○指定公共機関等の事業継続に向けた準備要請
○広域火葬の体制構築等
○海外での発生状況情報提供
○コールセンターの設置
○特定接種の準備・開始
○住民接種体制の準備
○広域火葬の体制構築等
136
第 7 号議案
関西圏域内発生早期
状態
関西圏域内で新型インフルエンザ等の患者が発生しているが、全ての患者の接触歴を疫学調査で追うこ
とができる状態。
目的
(1) 関西圏域内での感染拡大をできる限り抑える。
(2) 患者に適切な医療を提供する。
(3) 感染拡大に備えた体制の整備を行う。
対策の考え方
(1) 感染拡大を止めることは困難であるが、流行のピークを遅らせるため、引き続き感染拡大防止策等を
行う。
(2) 政府対策本部が、関西圏域内に対し緊急事態宣言を発出した場合は、積極的な感染拡大防止策等
をとる。
(3) 個人一人ひとりがとるべき行動について十分な理解を得るため、医療体制や感染拡大防止策に
ついて、府県民に対し、積極的な情報提供を行う。
(4) 国内での患者数が少なく、症状や治療に関する臨床情報が限られている可能性が高いため、海外で
の情報収集に加えて、関西圏域内での情報をできるだけ集約し、医療機関等に提供する。
(5) 新型インフルエンザ等の患者以外にも、発熱・呼吸器症状等を有する多数の者が医療機関を受診
することが予想されるため、増大する医療需要への対応を行うとともに、医療機関での院内感染対策
を実施する。
(6) 圏域内感染期への移行に備えて、医療体制の確保、府県民生活及び府県民経済の安定のための
準備等、感染拡大に備えた体制の整備を急ぐ。
(7) 住民接種を早期に開始できるよう準備を急ぎ、体制が整った場合はできるだけ速やかに実施する。
対策
実施体制
国
○基本的対処方針の変更
○政府現地対策本部の設置
広域連合
○対策本部での協議
○情報収集員の派遣
○政府現地対策本部との連携
○サーベイランスの強化(患者の全数把握、
サーベイランス・
学校等の集団発生の把握)
情報収集
○患者の臨床情報把握
○サーベイランス情報の構成団体・連携県との共有
○国民への情報発信の強化
情報提供・共有 ○地方公共団体との情報共有の強化
○コールセンター等の充実・強化
○ポータルサイト等による情報提供
○府県民に対する情報提供・注意喚起の
統一メッセージの発信
○コールセンターにおける情報の共有
○報道機関等への情報提供の調整
○風評被害の抑止
○水際対策の継続
予防・まん延の ○住民接種の準備(接種順位の決定)
防止
○住民・事業者・学校等への感染対策の
協力要請(特第24条9項)
○構成団体・連携県が行う要請内容の統一などの
広域調整
○住民接種の広域接種の円滑実施
(ワクチンの広域融通調整)
医療
○診断・治療に資する情報等の医療機関への
提供
○抗インフルエンザウイルス薬の適正な流通指導
○医薬品・医療資器材の広域融通調整
○近隣府県間等の患者搬送車の提供調整
国民生活及び
経済の安定の
確保
○全国事業者に対し感染対策の要請
○消費者としての適切な行動の呼びかけ
○事業者に買占め・売惜しみが生じないよう要請
○指定(地方)公共機関等に対する一元的な
要請等の広域調整
○府県民・事業者への統一的な情報発信
緊急事態宣言時(特第32条)
実施体制
○緊急事態宣言(特第32条)
※期間・区域を公示
情報提供・共有
○関西圏域内の緊急事態措置の広報
予防・まん延の
○住民接種の対象者・期間の決定(特第46条)
防止
○外出自粛、施設使用制限等の広域調整
国民生活及び
経済の安定の
確保
○サービス水準に係る国民への呼びかけ
○緊急物資の運送を要請(特第54条)
○生活関連物資等の価格の安定等の要請
(特第59条)
○サービス水準に係る府県民への呼びかけ
○緊急物資の運送要請等の広域調整
137
第 7 号議案
関西圏域内発生早期
対策
実施体制
構成府県・連携県
市町村
○対策本部での協議
○政府現地対策本部との連携
○サーベイランスの強化(患者の全数把握、
サーベイランス・
学校等の集団発生の把握)
情報収集
○患者の臨床情報把握
情報提供・共有
○府県民への情報発信の強化
○コールセンター等の体制充実・強化
○患者へ入院の勧告・措置(感第19条)
○濃厚接触者へ外出自粛要請・健康観察等
予防・まん延の
(感第44条の3)
防止
○住民・事業者・学校等への感染対策の
協力要請(特第24条9項)
医療
○帰国者・接触者外来における医療提供の継続
○帰国者・接触者相談センターにおける
相談体制の継続
○患者等の増加に応じた一般の医療機関でも
診療する体制への移行
○PCR検査等の確定検査
○抗インフルエンザウイルス薬の適正な使用要請
国民生活及び
経済の安定の
確保
○事業者に対し感染対策の要請
○消費者としての適切な行動の呼びかけ
○事業者に買占め・売惜しみが生じないよう要請
○市町村民への情報発信の強化
○コールセンター等の体制充実・強化
○住民接種の準備・開始
○事業者に対し感染対策の要請
○消費者としての適切な行動の呼びかけ
○事業者に買占め・売惜しみが生じないよう要請
緊急事態宣言時(特第32条)
実施体制
○市町村対策本部の設置(特第36条)
情報提供・共有
○不要不急の外出自粛等の要請
(特第45条第1項)
○学校、保育所等の施設の使用制限の
要請(特第45条第2項)、指示(同3項)
予防・まん延の
及び施設名の公表
防止
○学校、保育所等以外の施設への協力
要請(特第24条9項)、使用制限等の
要請(特第45条2項)、指示(同3項)
及び施設名の公表
国民生活及び
経済の安定の
確保
○サービス水準に係る府県民への呼びかけ
○緊急物資の運送の要請(特第54条)
○生活関連物資等の価格の安定等の要請
(特第59条)
○臨時の予防接種の実施(特第46条)
○生活関連物資等の価格の安定等の要請
(特第59条)
138
第 7 号議案
関西圏域内感染期
状態
(1) 関西圏域内で新型インフルエンザ等の患者の接触歴が疫学調査で追うことができなくなった状態。
(2) 感染拡大からまん延、患者の減少に至る時期を含む。
目的
(1) 医療体制を維持する。
(2) 健康被害を最小限に抑える。
(3) 府県民生活・府県民経済への影響を最小限に抑える。
対策の考え方
(1) 感染拡大を止めることは困難であり、対策の主眼を、早期の積極的な感染拡大防止策から被害軽減
に切り替える。
(2) 地域ごとに発生の状況は異なり、実施すべき対策が異なることから、府県において必要な対策の
判断を行う。
(3) 状況に応じた医療体制や感染対策、ワクチン接種、社会・経済活動の状況等について周知し、個人
一人ひとりがとるべき行動について分かりやすく説明するため、積極的な情報提供を行う。
(4) 流行のピーク時の入院患者や重症者数をなるべく抑えて医療体制への負荷を軽減する。
(5) 医療体制の維持に全力を尽くし、必要な患者が適切な医療を受けられるようにし健康被害を最小限
にとどめる。
(6) 欠勤者の拡大が予測されるが、府県民生活・府県民経済の影響を最小限に抑えるため必要なライフ
ライン等の事業活動を継続する。また、その他の社会活動をできる限り継続する。
(7) 受診患者数を減少させ、入院患者数や重症者数を抑え、医療体制への負荷を軽減するため、住民
接種を早期に開始できるよう準備を急ぎ、体制が整った場合は、できるだけ速やかに実施する。
(8) 状況の進展に応じて、必要性の低下した対策を縮小もしくは中止する。
対策
実施体制
国
○国内感染の拡大に伴う基本的対処方針の変更
広域連合
○圏域内感染の拡大に伴う対策の変更
○患者の全数把握
地域未発生期・地域発生早期の地域は、実施。
地域感染期の地域は、中止し、通常サーベイ
サーベイランス・ ランスを継続。
○サーベイランス情報の構成団体・連携県との共有
○学校等の集団発生の把握は通常サーベイランス
情報収集
に戻す
○入院患者、死亡者の発生動向を調査、重症化の
状況を把握
○国民への情報発信の強化
情報提供・共有 ○地方公共団体との情報共有の強化
○コールセンター等の継続
○ポータルサイト等による情報提供
○府県民に対する情報提供・注意喚起の
統一メッセージの発信
○コールセンターにおける情報の共有
○報道機関等への情報提供の調整
○風評被害の抑止
○住民・事業者・学校等への感染対策の
予防・まん延の
協力要請(特第24条9項)
防止
○特定接種の継続
○構成団体・連携県が行う要請内容の統一などの
広域調整
○住民接種の広域接種の円滑実施
(ワクチンの広域融通調整)
医療
国民生活及び
経済の安定の
確保
○備蓄している抗インフルエンザ薬の使用
○医療従事者に対する従事要請及び補償
○ファクシミリによる処方せん送付について
対応方針
○全国事業者に対し感染対策の要請
○消費者としての適切な行動の呼びかけ
○事業者に買占め・売惜しみが生じないよう要請
○医薬品・医療資器材の広域融通調整
○指定(地方)公共機関等に対する一元的な
要請等の広域調整
○府県民・事業者への統一的な情報発信
139
第 7 号議案
関西圏域内感染期
対策
実施体制
構成府県・連携県
○府県内感染の拡大に伴う対策の変更
市町村
○市町村内感染の拡大に伴う対策の変更
○患者の全数把握の中止等
サーベイランス・
○学校等の集団発生の把握は通常サーベイランス
情報収集
に戻す。
情報提供・共有
○府県民への情報発信の強化
○コールセンター等の継続
○住民・事業者・学校等への感染対策の
協力要請(特第24条9項)
予防・まん延の
○濃厚接触者へ外出自粛要請・健康観察等の
防止
中止
○住民接種の継続
医療
○帰国者・接触者外来、帰国者・接触者
相談センター及び患者の入院措置の中止
○一般の医療機関における診療体制へ移行
○重症患者の入院治療、それ以外の患者の
在宅療養へ移行
○ファクシミリ処方体制の活用
○備蓄している抗インフルエンザ薬の使用
国民生活及び
経済の安定の
確保
○事業者に対し感染対策の要請
○消費者としての適切な行動の呼びかけ
○事業者に買占め・売惜しみが生じないよう要請
○市町村民への情報発信の強化
○コールセンター等の継続
○住民接種の継続
○在宅療養患者への支援
○事業者に対し感染対策の要請
○消費者としての適切な行動の呼びかけ
○事業者に買占め・売惜しみが生じないよう要請
140
第 7 号議案
関西圏域内感染期
対策
緊急事態宣言時(特第32条)
国
広域連合
実施体制
情報提供・共有
○関西圏域の緊急事態措置の広報
予防・まん延の
○住民接種の継続
防止
○外出自粛、施設使用制限等の広域調整
医療
国民生活及び
経済の安定の
確保
○サービス水準に係る国民への呼びかけ
○緊急物資の運送の要請(特第54条)
○埋葬・火葬の特例等(特第56条)
○生活関連物資等の価格の安定等の要請
(特第59条)
○患者の権利利益の保全(特第57条)
○新型インフルエンザ等緊急事態に
関する融資(特第60条)
○サービス水準に係る府県民への呼びかけ
○緊急物資の運送要請等の広域調整
○広域火葬の実施調整
141
第 7 号議案
関西圏域内感染期
対策
構成府県・連携県
緊急事態宣言時(特第32条)
実施体制
○緊急事態措置の代行・応援
(特第38条、39条)
市町村
○緊急事態措置の応援
(特第39条)
情報提供・共有
○不要不急の外出自粛等の要請
(特第45条第1項)
○学校、保育所等の施設の使用制限の
要請(特第45条第2項)、指示(同3項)
及び施設名の公表
予防・まん延の
○学校、保育所等以外の施設への協力
防止
要請(特第24条9項)、使用制限等の
要請(特第45条2項)、指示(同3項)
及び施設名の公表
※患者数増加に伴い医療体制の負荷が
過大となる特別な場合
○医療等の確保要請
医療
○臨時の医療施設の設置及び土地等の使用
(特第48条第1・2項、第49条)
国民生活及び
経済の安定の
確保
○サービス水準に係る府県民への呼びかけ
○緊急物資の運送の要請(特第54条)
○物資の売渡しの要請等(特第55条)
○生活関連物資等の価格の安定等の要請
(特第59条)
○広域火葬の実施等
○住民接種の継続
○生活関連物資等の価格の安定等の要請
(特第59条)
○要援護者への生活支援
○広域火葬の実施等
142
第 7 号議案
小康期
状態
(1) 新型インフルエンザ等の患者の発生が減少し、低い水準でとどまっている状態
(2) 大流行はいったん終息している状況
目的
府県民生活及び府県民経済の回復を図り、流行の第二波に備える。
対策の考え方
(1) 第二波の流行に備えるため、第一波に関する対策の評価を行うとともに、資器材、医薬品の調達
等、第一波による医療体制及び社会・経済活動への影響から早急に回復を図る。
(2) 第一波の終息及び第二波発生の可能性やそれに備える必要性について府県民に情報提供する。
(3) 情報収集の継続により、第二波の発生の早期探知に努める。
(4) 第二波の流行による影響を軽減するため、住民接種を進める。
対策
実施体制
国
○基本的対処方針の変更
○緊急事態解除宣言
○政府対策本部の廃止(特第21条)
広域連合
○対策の見直し
○対策本部の廃止
※広域連合の組織をあげた広域応援の必要が
なくなったとき
○各国の対応に係る情報収集
サーベイランス・ ○通常のサーベイランス継続
○引き続き学校等における集団発生状況の
情報収集
把握強化
○サーベイランス情報の構成団体・連携県との共有
○コールセンター等に寄せられた問い合わせの
取りまとめ
情報提供・共有
○情報提供の在り方の見直し
○コールセンター等の体制縮小
○府県民に対する情報提供・注意喚起の
統一メッセージの発信
○コールセンターにおける情報の共有
○情報共有体制の見直し
予防・まん延の
○第二波に備えた住民に対する予防接種の継続
防止
医療
○第二波に備えた抗インフルエンザ薬の備蓄
国民生活及び
経済の安定の
確保
○消費者としての適切な行動の呼びかけ
○事業者に買占め・売惜しみが生じないよう要請
○指定(地方)公共機関等に対する一元的な
要請等の広域調整
○府県民・事業者への統一的な情報発信
緊急事態宣言時(特第32条)
情報提供・共有
予防・まん延の
○予防接種の継続
防止
国民生活及び
経済の安定の
確保
○関西圏域の緊急事態措置縮小・中止の広報
○全国の事業者に業務の再開周知
○緊急事態措置の縮小・中止
○新型インフルエンザ等緊急事態に関する融資
(注)段階はあくまで目安として、必要な対策を柔軟に選択し、実施する。 特:新型インフルエンザ等対策特別措置法
感:感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律
143
第 7 号議案
小康期
対策
実施体制
構成府県・連携県
○対策の見直し
○対策本部の廃止(特第25条)
※政府対策本部の廃止時
市町村
○対策の見直し
○対策本部の廃止(特第37条)
※緊急事態解除宣言時
○通常のサーベイランス継続
サーベイランス・
○引き続き学校等における集団発生状況の
情報収集
把握強化
○コールセンター等に寄せられた問い合わせの
取りまとめ
情報提供・共有
○情報提供の在り方の見直し
○コールセンター等の体制縮小
○コールセンター等に寄せられた問い合わせの
取りまとめ
○情報提供の在り方の見直し
○コールセンター等の体制縮小
予防・まん延の
防止
○第二波に備えた住民に対する予防接種の継続
医療
○通常の医療体制に戻す。
○第二波に備えた抗インフルエンザ薬の備蓄
国民生活及び
経済の安定の
確保
○消費者としての適切な行動の呼びかけ
○事業者に買占め・売惜しみが生じないよう要請
○消費者としての適切な行動の呼びかけ
○事業者に買占め・売惜しみが生じないよう要請
緊急事態宣言時(特第32条)
情報提供・共有
予防・まん延の
防止
国民生活及び
経済の安定の
確保
○予防接種の継続
○事業者に業務の再開周知
○指定地方公共機関への事業継続への支援
○緊急事態措置の縮小・中止
○緊急事態措置の縮小・中止
144
145
第 8 号議案
第 8 号議案
関西防災・減災プラン感染症対策編(鳥インフルエンザ・口蹄疫等)を定める件
「関西防災・減災プラン感染症対策編(鳥インフルエンザ・口蹄疫等)
」を次のとおり定める
ことについて、関西広域連合行政に係る基本的な計画の議決等に関する条例(平成 24 年関西広
域連合条例第1号)第3条の規定により、議決を求める。
平成 26 年6月 28 日提出
関西広域連合長 井 戸 敏 三
「関西防災・減災プラン感染症対策編(鳥インフルエンザ・口蹄疫等)
」を次のように定める。
Ⅰ
1
総論
プランの目的
家畜伝染病予防法(昭和 26 年法律第 166 号。以下「家伝法」という。
)では、都道府県知事、家
畜防疫員及び市町村長は、特定家畜伝染病防疫指針(以下「指針」という。)に基づき、家伝法の
規定による高病原性鳥インフルエンザ、低病原性鳥インフルエンザ及び口蹄疫等の特定家畜伝染病
(以下「鳥インフルエンザ等」という。)の発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずるも
のとされている。
このため、鳥インフルエンザ等の発生・まん延時の対応策の中心となる防疫措置については、主
に発生府県が行うこととなるが、発生府県が指針に沿って防疫措置を円滑に実施するためには、防
疫措置に伴う様々な関連業務・付随業務について構成府県・連携県が積極的に応援・受援を行う必
要がある。
本プランは、鳥インフルエンザ等の発生・まん延から、関西の畜産業を守り、経済への影響を軽
減するため、関西広域連合(以下「広域連合」という。)が、構成団体・連携県及び市町村、国、
関係機関と連携して、関西圏域(広域連合の構成府県及び連携県の区域をいう。以下同じ。)にお
ける応援・受援に必要な広域調整を実施するための方針を取りまとめるものである。
なお、防疫措置の内容や手順については、指針に詳細に定められているため、本プランでは広域
連合が担う役割と関係する事項を中心に記載する。
2
関西圏域の畜産業の概要
全国の平成24年度農業産出額(8兆6,104億円)に占める関西圏域のシェアは、9.3%(8,045億円)
であり、畜産部門に占める関西圏域のシェアは、全国(2兆6,531億円)の6.4%(1,711億円)であ
る。
146
第 8 号議案
農業産出額に占める関西圏域の割合
農業全体
畜産部門
関西圏域
9.3%
関西圏域
6.4%
北海道
12.2%
東北
15.4%
北海道
20.4%
関東
22.8%
東北
14.1%
九州
20.3%
関東
17.7%
その他
19.9%
九州
25.9%
その他
15.4%
関西圏域の畜産部門における畜種別算出額の構成は、鶏44.9%(768億円)
、乳用牛23.5%(402
億円)
、肉用牛20.2%(346億円)
、豚10.7%(183億円)、その他畜産物0.6%(11億円)となってい
る。
関西圏域の畜産部門における畜種別算出額の構成割合
鶏
44.9%
うち鶏卵
25.0%
乳用牛
23.5%
肉用牛
20.2%
豚
10.7%
その他畜産物
0.6%
部門別に農業産出額を見ると、畜産部門のシェアは全国の 30.8%に対し、関西圏域は 21.3%と
なっており、全国に比べて畜産部門のウエイトは低い。
また、関西圏域においては、兵庫県、三重県、徳島県、和歌山県で圏域農業産出額の58.7%を占
めており、畜産部門においては、兵庫県、三重県で圏域全体の47.6%と約半分を占めている。
農 業 産 出 額
順位 都道府県名
1位 北 海 道
2位 茨 城
3位 千 葉
4位 鹿 児 島
5位 熊 本
21位 兵 庫
29位 三 重
30位 徳 島
31位 和 歌 山
37位 京 都
40位 鳥 取
41位 滋 賀
44位 福 井
45位 奈 良
46位 大 阪
関 西 計
全 国 計
産出額
(億円)
10,536
4,281
4,153
4,054
3,245
1,522
1,122
1,054
1,022
718
684
665
477
437
344
8,045
86,104
全 国
構成比
(%)
12.2
5.0
4.8
4.7
3.8
1.8
1.3
1.2
1.2
0.8
0.8
0.8
0.6
0.5
0.4
9.3
100.0
畜 産 部 門 産 出 額
農業産出額
関 西
産出額
に占める
構成比 順位 都道府県名
(億円)
割合(%)
(%)
1位 北 海 道
−
5,417
51.4
2位 鹿 児 島
−
2,347
57.9
3位 宮 崎
−
1,662
54.7
4位 岩 手
−
1,334
53.9
5位 茨 城
−
1,075
25.1
13位 兵 庫
18.9
470
30.9
24位 三 重
13.9
345
30.7
32位 徳 島
13.1
267
25.3
33位 鳥 取
12.7
207
30.3
37位 京 都
8.9
138
19.2
38位 滋 賀
8.5
107
16.1
43位 奈 良
8.3
58
13.3
44位 和 歌 山
5.9
56
5.5
45位 福 井
5.4
42
8.8
46位 大 阪
4.3
21
6.1
関 西 計
100.0
1,711
21.3
全 国 計
−
26,531
30.8
(資料:平成 25 年 12 月 農林水産統計「平成 24 年
より)
全 国
構成比
(%)
20.4
8.8
6.3
5.0
4.1
1.8
1.3
1.0
0.8
0.5
0.4
0.2
0.2
0.2
0.1
6.4
100.0
関 西
構成比
(%)
−
−
−
−
−
27.5
20.2
15.6
12.1
8.1
6.3
3.4
3.3
2.5
1.2
100.0
−
農業産出額及び生産農業所得(都道府県別)
」
147
第 8 号議案
3
関西圏域の特定家畜伝染病の発生状況
関西圏域でも、平成 16 年2月に国内で 79 年ぶりとなる高病原性鳥インフルエンザの発生が見ら
れた。以降、散発的に本病が発生しているものの、防疫措置が功を奏し、管内におけるまん延は、
その都度阻止されてきた。
なお、関西圏域では口蹄疫は発生していない。
その他、平成 15 年1月に和歌山県、平成 16 年9月に奈良県で牛海綿状脳症がそれぞれ1頭発生
している。
○高病原性鳥インフルエンザの発生状況
発生年月日
平成 16 年2月 29 日
発
生 地
処 分 状 況
京都府船井郡丹波町
採卵鶏
約 22 万羽
※疫学関連として兵庫県多可郡八千代町
(現多可町)で約7千羽を自衛殺処分。
4
平成 16 年3月 5日
京都府船井郡丹波町
肉用鶏
約 1万羽
平成 23 年2月 15 日
和歌山県紀の川市
採卵鶏
約 12 万羽
平成 23 年2月 17 日
三重県南牟婁郡紀宝町
肉用鶏
約 7 万羽
平成 23 年2月 27 日
三重県度会郡南伊勢町
採卵鶏
約 26 万羽
平成 23 年2月 28 日
奈良県五條市
採卵鶏
約 10 万羽
関西圏域における家畜防疫体制
国は、府県、独立行政法人農業・食品産業技術総合研究機構動物衛生研究所(以下「動物衛生研
究所」という。)等と連携し、国内の家畜防疫に関する企画、調整、指導等を実施するとともに、
動物検疫所を設置し、国際機関とも連携して輸出入検疫を実施している。
構成府県・連携県は、家畜防疫の第一線の機関として家畜保健衛生所を設置し、防疫対策を実施
している。
関西圏域における家畜防疫体制
OIE等の国際機関
動物検疫所
輸出入検疫
関西空港支所、神戸支所、中部空港支所
農林水産省
動物衛生研究所
家畜伝染病の病性鑑定
家畜保健衛生所(30か所)
構成府県・連携県
(2府8県)
【関西圏域の家畜飼養状況】
乳用牛 1,059戸
54,630頭
肉用牛 2,808戸 160,120頭
養 豚 232戸 296,290頭
家畜伝染病の病性鑑定
生 産 者
採卵鶏 345戸 15,954千羽
ブロイラー 308戸 10,628千羽
(資料:平成25年11月 農林水産統計「畜産統計(平成25年2月1日現在)」より)
148
第 8 号議案
家畜伝染病予防法に基づく発生予防及びまん延防止対策の概要
<未発生時>
<発生時>
発生予防対策
まん延防止対策
発生国・地域
国
(農林水産省)
STOP
連携
都道府県
(家畜保健衛生所)
都道府県
(家畜保健衛生所)
防疫指針の作成等
市町村
・農場での飼養衛生管理が適正に行わ
れるよう指導・助言、勧告、命令
・補完的に提供する埋却地の準備
・特定症状を呈している家畜を発見
した旨の届出
・患畜等を発見した旨の届出
・発生農場周辺の通行の制限・遮断
・家畜等の移動の制限、と畜場の事業の停止等
・消毒ポイントを通行する車両の消毒
・家畜等の所在した畜舎等の消毒、当該畜舎等
における消毒設備の設置、当該設備による消毒
・患畜等のと殺、殺処分の命令
・患畜等の死体・汚染物品の消却・埋却
・指定家畜の予防的処分(口蹄疫のみ)
疫
学
調
査
チ
ム
の
派
遣
)
・動物、畜産物等の輸出入検疫
・入国者に対する質問、携帯品の
検査。消毒
患畜の早期の発見・通報
まん延防止措置
ー
国(動物検疫所)による
水際措置の徹底
都道府県が防疫指針等に
基づき行う措置に協力
財人
政的
支支
援援
(
発生時に備えた準備
国
(農林水産省)
防疫方針の決定・改定
(緊急防疫指針の策定)
財政支援(消毒費用等)
人的支援(専門家、緊急支援
チーム等の派遣)
発 生 農 場
農場での飼養衛生管理の徹底
・飼養衛生管理基準の遵守
・畜舎等における消毒設備の設置、当該
設備による消毒
・患畜等の焼却・埋却が必要となる場合
に備えた土地の確保
・家畜の飼養衛生管理状況の定期報告
・患畜等の早期の発見・通報の徹底
国の財政支援
家畜の所有者
・患畜等に係る手当金及び特別手当金(口蹄疫、高病
原性鳥インフルエンザ等のみ)の交付
・必要な防疫措置を講じなかった者に対する手当金及
び特別手当金の減額
・指定家畜に係る補償金、飼料費等の費用の交付
・家畜の死体・汚染物品の焼却・埋却の費用の負担
・移動制限による出荷制限に伴う経済的損失の補填
〔出所)農林水産省
5
関西圏域での鳥インフルエンザ等の広域対応の経緯
近畿ブロック知事会構成2府8県では、平成 22 年4月に宮崎県で発生した口蹄疫の急速な感染
拡大を踏まえ、府県を越えた広域的な対策を講じるため、同年6月に近畿農政局及び岡山県をオブ
ザーバーとして「近畿ブロック等口蹄疫対策協議会」を開催し、①家畜防疫員の相互派遣と防疫資
材の融通を内容とする防疫対策の強化、②早期通報体制の確立、③農家情報の共有化、④交通拠点
における消毒対応の4項目について合意し、広域での連携、協力体制を構築した。
同年 12 月には、鳥インフルエンザにも対応するため、同様の枠組みで「近畿ブロック等高病原
性鳥インフルエンザ協議会」を設置し、同協議会の事務局は、関西広域連合の広域防災局(兵庫県)
が担うことが決定された。
また、平成 24 年 10 月には口蹄疫対策における家畜防疫員の相互派遣と防疫資材の融通のルール
を鳥インフルエンザ対策にも適用するため、「近畿ブロック等鳥インフルエンザ・口蹄疫等対策協
議会」に改編した。
本プランでは、広域連合は、このような協議会における広域での連携・協力の枠組みを継承して、
鳥インフルエンザ等の発生・まん延に対応することとする。
149
第 8 号議案
鳥インフルエンザ・口蹄疫等対策の連携体制
関西広域連合
(2府4県4政令市)
近畿ブロック等鳥インフルエンザ・
口蹄疫等対策協議会(2府8県)
(注 3)
<連携県>
福井県
三重県
奈良県
鳥取県
(注 2)
<構成府県>
滋賀県
京都府
大阪府
兵庫県
和歌山県
徳島県
<構成政令市>
京都市
大阪市
堺市
神戸市
(注 1)
関西広域連合+連携県
(2府8県4政令市)
近畿農政局
(注 1)関西広域連合規約第 15 条第 8 項に基づき、広域連合と密接な連携を図ることが必要と認
める団体で、その長と協議の上、広域連合長が指定する。現在、福井県、三重県、奈良県
が連携県になっている。
(注 2)鳥取県は広域連合の構成団体であるが、広域防災事務に参加していない。しかし、密接
な連携を図ることが必要であるため、関西防災・減災プランにおいて、連携県と位置づけ
ている。
(注 3)本協議会の構成団体(2 府 8 県)は、近畿ブロック知事会の構成団体と同じ。また、本
協議会には農林水産省近畿農政局及び岡山県がオブザーバーとして参加している。
※広域連合の構成政令市の位置づけ
政令市の役割については、家伝法上特に定めがなく、一般市町村と同様に、国の指針に沿って
府県が行う防疫措置に協力することとなっていることから、本計画では、構成政令市が行う事務
については、一般市町村と同様に必要に応じて記載する。
なお、以下では、構成政令市を含める場合は「構成団体」、含めない場合は「構成府県」とし
て使い分ける。
6
対策の役割分担
防疫措置に伴う様々な関連業務・付随業務も含めた鳥インフルエンザ等の対応策における国、構
成府県及び連携県、市町村、広域連合の主な役割は、以下の通りである。
(1)国の主な役割
・指針の作成、公表(家伝法第 3 条の 2 第 1 項)
・府県、市町村が実施する防疫措置に関する情報提供、助言、援助(同条第 4 項、第 5 項)
(指針)
・病性の判定(必要に応じて詳細な検査や試験を実施)
150
第 8 号議案
・報道機関への発生の公表(指針)
・発生府県への連絡調整要員、専門家チーム、疫学調査チームの派遣(指針)
・発生府県への防疫資材の譲与・貸与(指針)
(2)近畿農政局の主な役割
・発生初期段階に派遣する家畜防疫員の登録・派遣要請の伝達
・発生初期段階に融通する防疫資材の登録・融通調整
・風評被害対策
(3)構成府県・連携県の主な役割
・異常家畜発見等の届出の受理及び検査の実施(家伝法第 4 条、同第 5 条)
・家畜の所有者に対する指導・助言(同法第 12 条の 5)
・患畜等の届出の受理、届出があった旨の公示、関係府県・市町村への通報、農林水産省への
報告(同法第 13 条)
・報道機関への発生の公表(指針)
・発生農場での防疫措置
・と殺の指示(同法第 16 条)
・死体の焼却等の指示(同法第 21 条)
・消毒等の指示・命令(同法第 23 条、第 25 条、第 26 条等)
・通行の制限又は遮断(同法第 10 条第 3 項、第 15 条)
・家畜等の移動の制限(同法第 32 条)
・消毒ポイントの設置(同法第 28 条の 2)
・ウイルスの浸潤状況の確認(指針)
・風評被害対策
(4)市町村の主な役割
・通行の制限又は遮断(同法第 10 条第 3 項、第 15 条)
・府県の行う発生時に備えた準備や具体的な防疫措置に協力(指針)
(5)広域連合の主な役割
・構成府県・連携県及び近畿農政局間での早期通報体制等の確立
・初動防疫に必要な農家情報等の収集・共有
・広域防疫訓練の実施
・関西圏域内での家畜防疫員の初動派遣制度の運用
・家畜防疫員以外の必要な人員の派遣や防疫資材等の融通に関する調整(農林水産
省・近畿農政局の行うものを除く)
・通行の制限、家畜等の移動の制限、消毒ポイントの設置等に係る情報共有
・広域伝播防止のための交通拠点における消毒徹底の依頼
・風評被害対策
151
第 8 号議案
家畜防疫対策のフロー
府県モニタリング(鳥インフルエンザのみ)
・定点モニタリング(1家保3農場・毎月1回)
対象結果の動物衛生課への報告
・強化モニタリング(原則10月∼5月)
疑
い
事
例
発
生
時
異常家畜の発見及び検査の実施
異常家きん等の届出及び検査結果の
動物衛生課への報告
・家畜の所有者等からの通報
・家畜防疫員による農場での検査及び
検査材料の採取
家畜保健衛生所による病性鑑定
動物衛生研究所への検体送付
動物衛生研究所の病性鑑定
病
性
確
定
・
本
部
設
置
病性の判定
(患畜又は疑似患畜と判定された場合)
府県対策本部設置
(発生農場での防疫措置)
農林水産省対策本部設置
家畜防疫員、自衛隊派遣要請に
係る動物衛生課との協議
(発生農場周辺での防疫措置)
と殺(法第16条)
発生農場周辺の通行の制限(法第15条)
(24時間以内)
(72時間以内)
移動・搬出制限区域の設定(法第32条)
※防疫措置の完了後10日経過後の清浄性
確認検査により全て陰性確認後に解除
ま
ん
延
防
止
対
策
消毒ポイントの設置(法第28条の2)
発生農場から概ね半径1㎞以内
移動・搬出制限区域の境界その他
ウイルスの浸潤状況の確認
※判定日から少なくとも21日間遡った期間を
対象、疫学関連家畜の移動禁止、観察
死体の処理(法第21条)
(72時間以内)
移動制限区域内の周辺農場への調査
(原則として判定後24時間以内)
汚染物品の処理(法第23条)
畜舎等の消毒(法第25条)
(1週間間隔で3回以上)
7
風評被害対策(住民の不安解消)
対象とする家畜伝染病及び留意点
家伝法第3条の2では、特に総合的に発生の予防及びまん延の防止のための措置を講ずる必要が
ある家畜伝染病を農林水産省令で定め、特定家畜伝染病として他の家畜伝染病と区別している。
152
第 8 号議案
(特定家畜伝染病)
①
牛疫
②
牛肺疫
③
口蹄疫
④
牛海綿状脳症(法第 2 条第 1 項の表 15 の項に掲げる伝達性海綿状脳症のうち牛に係
るものをいう。
)
⑤
豚コレラ
⑥
アフリカ豚コレラ
⑦
高病原性鳥インフルエンザ
⑧
低病原性鳥インフルエンザ
なかでも、特に、高病原性鳥インフルエンザ及び口蹄疫は、国際連合食糧農業機関(FAO)等
の国際機関が「国境を越えてまん延し、発生国の経済、貿易及び食料の安全保障に関わる重要性を
持ち、その防疫には多国間の協力が必要となる疾病」と定義する「越境性動物疾病」の代表例に位
置づけられている。
そこで、本計画では、高病原性鳥インフルエンザ、口蹄疫、さらには高病原性に変異することも
あり、発生時には高病原性鳥インフルエンザとほぼ同様の防疫措置が必要とされる低病原性鳥イン
フルエンザを対象に対策を策定するとともに、牛海綿状脳症を除く他の特定家畜伝染病について
は、本計画を準用することとする。
(1)鳥インフルエンザについて
<高病原性鳥インフルエンザ>
高病原性鳥インフルエンザウイルスは、その伝播力の強さ及び高致死性から、ひとたびまん延
すれば、
① 養鶏産業に及ぼす影響が甚大であるほか、
② (国民への)鶏肉・鶏卵の安定供給を脅かし、
③ 国際的にも、高病原性鳥インフルエンザの非清浄国として信用を失うおそれがある。
<低病原性鳥インフルエンザ>
低病原性鳥インフルエンザウイルスは、高病原性鳥インフルエンザウイルスと同様に伝播力が
強いものの、ほとんど臨床症状を示さず、発見が遅れるおそれがあり、また、海外では、高病原
性鳥インフルエンザウイルスに変異した事例も確認されている。
高病原性鳥インフルエンザ及び低病原性鳥インフルエンザについては、現在、我が国の近隣諸
国において継続的に発生しており、これらの近隣諸国から、渡り鳥が飛来してウイルスを持ち込
む可能性があるほか、人や物を介した侵入も考えられることから、今後も我が国に侵入する可能
性は高い。さらに、海外では、これらの鳥インフルエンザウイルスの感染による人の死亡事例も
報告されており、公衆衛生の観点からも、本ウイルスのまん延防止は重要である。
153
第 8 号議案
このため、常に国内にウイルスが侵入する可能性があるとの前提に立ち、家きんの所有者又は
管理者と行政(国、府県及び市町村)及び関係団体とが緊密に連携し、実効性のある防疫体制を
構築する必要がある。
(2)口蹄疫について
口蹄疫においても、伝播力が強いことから、ひとたびまん延すれば、
① 長期にわたり、畜産業の生産性を低下させ、
② 国民への畜産物の安定供給を脅かし、
③ 地域社会・地域経済に深刻な打撃を与え、
④ 国際的にも、口蹄疫の非清浄国として信用を失うおそれがある。
現在、近隣諸国においては、口蹄疫が続発しており、国際的な人・物の往来が増加しているこ
とから、今後も国内に口蹄疫が侵入する可能性は高い。
このため、旅行者等の協力を得て水際検疫を徹底するとともに、常に国内に口蹄疫が侵入する
可能性があるという前提に立ち、家畜(牛、水牛、鹿、めん羊、山羊、豚及びいのししをいう。)
の所有者又は管理者と行政及び関係団体とが緊密に連携し、実効性のある防疫体制を構築する必
要がある。
154
第 8 号議案
′「特定家畜伝染病」の概要(平成 26 年1月現在)
名称(対象家畜)
症状等
高病原性鳥インフルエン ・高病原性鳥インフルエンザウ
ザ
イルス(H5 または H7 亜型)
(鶏、あひる、うずら、七
による伝染病。
面鳥、きじ、だちょう、ほ ・沈うつ、鶏冠、脚部の出血、
ろほろ鳥)
顔面浮腫等を示すものや症
状なく死亡するものがある。
高致死率。
低病原性鳥インフルエン ・低病原性鳥インフルエンザウ
ザ
イルス(H5 または H7 亜型)
(鶏、あひる、うずら、七
による伝染病。
面鳥、きじ、だちょう、ほ ・高病原性鳥インフルエンザと
ろほろ鳥)
同様に伝播力が強いがほと
んど臨床症状を示さない。
口蹄疫
・口蹄疫ウイルスによる伝染
(牛、水牛、鹿、めん羊、
病。
山羊、豚、いのしし)
・発熱、流涎、口腔内・蹄部等
に水疱等を示す。
発生状況
【国内】
・最終発生:2011 年 3 月(千葉県)
。
・2010 年(平成 22 年)11 月∼翌年 3 月に
かけて島根、宮崎、奈良、和歌山等 9 県
24 養鶏農場で 183 万羽の発生。
【海外】
・韓国、中国、台湾、東南アジア、オース
トラリア、メキシコ等で発生。
【国内】
・最終発生:2009 年 2∼3 月(愛知県)
。
・7 ウズラ農場で約 160 万羽の発生。
【海外】
・中国、台湾、アメリカ、イタリア、オラ
ンダ、ドイツ等で発生。
【国内】
・最終発生:2010 年 4∼7月(宮崎県)
。
・292 戸約 21 万頭の発生。
【海外】
・中国、ロシア、モンゴル、台湾、アフリ
カ、南米等で発生。
牛疫
・牛疫ウイルスによる伝染病。 【国内】
(牛、水牛、鹿、めん羊、 ・激しい下痢の後、起立不能な ・最終発生:1924 年
山羊、豚、いのしし)
どを起こす。高致死率。
【海外】
・FAO(国際連合食糧農業機関)及び OIE(国
際獣疫事務局)により撲滅キャンペーン
が進められた結果、2011 年 5 月に開催さ
れた第 79 回 OIE 総会において撲滅が宣言
された。
牛肺疫
・牛肺疫マイコプラズマによる 【国内】
(牛、水牛、鹿)
伝染病。
・最終発生:1940 年
・発熱、呼吸器症状を示す。高 【海外】
致死率。
・アフリカを中心に発生が継続。
豚コレラ
・豚コレラウイルスによる伝染 【国内】
(豚、いのしし)
病。
・最終発生:1992 年
・典型的な症状がなく、発熱、 【海外】
食欲不振等に始まり、結膜 ・韓国、中国、東南アジア、南米等で発生。
炎、呼吸障害、麻痺、痙攣等 ・北米、オーストラリア、スウェーデン等
を示す。高致死率。
及び日本(平成 19 年 4 月)では清浄化を達
成。
アフリカ豚コレラ
・アフリカ豚コレラウイルスに 【国内】
(豚、いのしし)
よる伝染病。
・未発生。
・発熱や全身の出血性病変を特 【海外】
徴とする。高致死率。
・アフリカで常在的に、ロシア、グルジア、
アルメニア等で発生。
155
第 8 号議案
8
想定される被害
本プランの前提として想定する特定家畜伝染病の発生・まん延による被害の規模については、参
照すべき予測値等が得られず、また、独自に予測等を行うのは困難であるため、高病原性鳥インフ
ルエンザ及び口蹄疫の過去の発生・まん延例を参考とする。
(1)高病原性鳥インフルエンザ
平成 23 年に宮崎県で発生した高病原性鳥インフルエンザの被害状況を宮崎県の発表に基づい
て示す。
① 鶏の処分羽数
平成 23 年に宮崎県内の2市6町において、肉用鶏 595,551 羽、採卵鶏 399,400 羽、種鶏 17,254
羽のあわせて 1,012,205 羽が殺処分された。
(発生件数と処分羽数)
経 営 区 分
発生件数
農場数
処分羽数
肉 用 鶏
10
13
595,551
採 卵 鶏
1
8
399,400
種
鶏
2
2
17,254
計
13
23
1,012,205
合
② 宮崎県経済への影響
発生農場の直接的損失以外にも、鶏や卵の移動制限に伴う売り上げの減少や出荷遅延の影響、
移動制限区域内の食鳥処理施設等が稼働できなくなるなどの関連施設への影響等により、約 102
億円という甚大な被害が出た。
(発生に伴う被害状況)
内
容
損 失 額
発生農場の直接的被害
約
移動制限に伴う生産物売り上げ減少、生産費等の影響額
約 26 億円
関連施設(食鳥処理場等)
約 58 億円
防疫措置や消毒ポイント等の設置経費(最大 75 箇所)
約 11 億円
合
計
③ 防疫措置に係る動員状況(延べ従事者数)
国等(他県獣医師を含む)
約 2,000 人
自衛隊
約 3,500 人
警察官
約 7,000 人
県職員
約 9,000 人
市町村職員
約 5,000 人
団体(JA 等)
約 3,500 人
合
計
約 30,000 人
7 億円
約102 億円
156
第 8 号議案
(2)口蹄疫
平成 22 年に宮崎県で発生した口蹄疫の被害状況を宮崎県の記録(※)に基づき示す。
(※)宮崎県「平成 22 年に宮崎県で発生した口蹄疫に関する防疫と再生・復興の記録
“忘れないそして前へ”
」
(平成 24 年 11 月)
① 家畜の処分頭数
宮崎県内5市6町において、牛 69,454 頭(宮崎県内飼養頭数の約 22%)、豚 227,949 頭(宮崎
県内飼養頭数の約 25%)
、その他(いのしし、鹿等)405 頭のあわせて 297,808 頭が殺処分された。
(発生件数と処分頭数)
経 営 区 分
発生件数
処 分 動 物
処分頭数 ※
牛
196
牛
69,454
豚
94
豚
227,949
その他
2
(山羊、水牛・豚)
合
計
その他
(いのしし、鹿、山羊、水牛等)
292
405
297,808
※処分頭数には、ワクチン処分畜を含む。
② 宮崎県経済への影響
約2か月半にわたり発生が続いた上、感染エリアが徐々に拡大したことや、防疫措置のために
非常事態を宣言し、県民に不要不急の外出を控えるように呼びかけたこと等から、畜産業をはじ
め、食肉加工業等の畜産関連産業、さらには観光や商工業など、宮崎県内の経済のあらゆる分野
に甚大な影響を与えた。
畜産業及び畜産関連業への影響
約 1,400 億円
その他の産業への影響
合
ア
約 950 億円
計
約 2,350 億円
畜産業及び畜産関連業への影響(約 1,400 億円)
(ア) 畜産出荷額等への影響
単年度
今後5年間
出荷額の減少見込
275 億円
825 億円
生産誘発額の影響
160 億円
478 億円
435 億円
1,303 億円
合
計
【条件設定】
・経営再開後5年程度で段階的に回復すると設定
・飼養頭数に対する処分頭数の割合で畜産出荷額を按分
・推計には、繁殖雌牛や乳用牛、母豚等の家畜資産の損失その他の被害は含まないため、
実際の被害額はこれより大きくなる。
157
第 8 号議案
(イ) 食肉加工業の生産等への影響
牛
肉
47.6 億円
豚
肉
41.4 億円
合
計
89.0 億円
【条件設定】
・操業停止となった期間(1か月∼4か月)について推計
・各食肉加工事業者の年間生産額を操業停止期間で按分
イ
その他の産業への影響(約 950 億円)
【条件設定】
・商工団体が行ったアンケート調査結果を基にしている。
・業種は、イベント自粛等経済活動の落ち込みによる影響が考えられる卸・小売業、飲食
業、宿泊業、対個人サービス業、運輸業とし、製造業は除外した。
・それぞれの業種の年間生産額を影響があったと考えられる期間(発生から非常事態宣言
解除までの3か月)で按分している。
③ 防疫措置に係る動員状況(延べ従事者数)
国職員(独法含む)
約 14,500 人
自衛隊員
約 18,500 人
県内外警察官
約 38,000 人
他都道府県職員
約
JA等団体職員
約 16,500 人
市町村職員
約 18,000 人
宮崎県職員
約 48,000 人
合
計
5,000 人
約 158,500 人
158
第 8 号議案
9
関西圏域の飼養状況
【偶蹄類家畜の飼養密度】
(頭/k ㎡)
徳島県中央部が 100 頭/k ㎡を超え圏域で最も飼養密度が高く、鳥取県中部・西部、兵庫県淡路
島、三重県中勢地方で、40 頭/k ㎡を超えている。
(凡例)
頭/
1 ∼ 10
11 ∼ 20
21 ∼ 30
31 ∼ 40
40 ∼
(参考)
宮崎県児湯郡
342
※兵庫県畜産課作成(平成 24 年度現在)
159
第 8 号議案
【鶏の飼養密度】
(羽/k ㎡)
徳島県中央部が 5,000 羽/k ㎡を超え圏域で最も飼養密度が高く、鳥取県中部、三重県北勢地方
で、2,000 羽/k ㎡を超えている。
(凡例)
羽/
1 ∼
500
501 ∼ 1,000
1,000 ∼ 1,500
1,501 ∼ 2,000
2,001 ∼
(参考)
宮崎県児湯郡
9,876
※兵庫県畜産課作成(平成 24 年度現在)
160
第 8 号議案
Ⅱ
発生・まん延への備え
1
関係機関・団体等との連携
広域連合は、鳥インフルエンザ等の発生・まん延に備え、広域連合他分野局、構成府県・連携県、
広域ブロック、全国知事会・全国都道府県、農林水産省、国出先機関、広域実動機関、動物衛生研
究所、道路・港湾・空港管理者、生産者団体等が連携して対処するための体制整備を行う。
鳥インフルエンザ等対応にかかる
広域連合と関係機関・団体等との関係図
農林水産省
広 域 連 合
動物検疫所
(広域防災局)
国出先機関
(地方農政局等)
(鳥インフルエンザ等対策の 情報共有・広域調整) 広域連合
(本部・他分野局)
構成府県・連携県
広域実動機関
(消防、警察、自衛隊)
発生府県
家畜保健衛生所
広域ブロック
(九都県市、
九州地方知事会他)
動物衛生研究所
(協 力)
全国知事会
全国都道府県
市 町 村
生産者団体
獣医師会
道路・港湾・空港管理者
(1)構成府県・連携県との連携
広域連合は、
「近畿圏危機発生時の相互応援に関する基本協定」等により、福井県、三重県、
奈良県、鳥取県で鳥インフルエンザ等が発生・まん延した場合にも、広域連合構成団体で発生・
まん延した場合と同様の応援・受援体制を整備する。
① 鳥インフルエンザ等防疫マニュアル等との整合性の確保
広域連合は、本プランの実効性の確保を図るため、構成府県及び連携県の鳥インフルエンザ等
防疫マニュアル等との整合性を確保する。
② 対応状況の情報共有
広域連合は、国内において鳥インフルエンザ等の発生が疑われるときは、当該府県及び構成府
県・連携県の対応状況に関する情報を収集し、構成府県・連携県間で共有する。
(2)広域連合他分野局との連携
広域防災局は、鳥インフルエンザ等発生時に、広域観光・文化振興局が行う風評被害対策や終
161
第 8 号議案
息後の発生地への集客促進など他の分野局の取り組みと連携して発生地の応急対策を行う体制
を整える。
(3)他の広域ブロック等との連携
広域連合は、相互応援協定を締結している九都県市や九州地方知事会等との他の広域ブロック
のほか、全国知事会を通じて全国都道府県と連携し、鳥インフルエンザ等が発生・まん延した場
合の応援体制を整備する。
(4)国等との連携
広域連合は、指針等に基づき構成府県・連携県が行うものを除き、関係省庁等との緊密な連携
のもと、迅速に発生・まん延防止の対応が実施できる体制を構築する。
① 中央省庁等との連携
広域連合は、鳥インフルエンザ等発生時に国と連携して、関西圏域を越えて必要となる防疫資
材や要員の派遣等の支援要請が迅速かつ的確に実施できるよう情報連絡体制を整備する。
また、必要に応じて制度運用の改善や財源の確保等について国に提案する。
② 広域実動機関との連携
広域連合は、消防、警察等の派遣要請が迅速かつ的確に実施できるよう情報連絡体制を整備す
るとともに、平素から緊密な連携を図る。
(5)道路管理者等との連携
広域連合は、通行の制限、家畜等の移動の制限及び消毒ポイントの設置が迅速かつ的確に実施
できるよう道路管理者及び港湾・空港管理者と情報連絡体制を整備するとともに、平素から緊密
な連携を図る。
(6)関係機関・団体との連携
構成府県・連携県は、家伝法及び指針に基づき、発生時には、市町村、警察、自衛隊に加え、
獣医師会、生産者団体等の協力が必要となることを踏まえ、これら関係機関及び関係団体との連
絡窓口を明確化し、家畜の飼養状況等の情報共有等を行い、連携体制を整備する。
広域連合は、発生・まん延時に、防疫措置が迅速かつ的確に実施できるよう構成府県・連携県
とともに獣医師会、生産者団体等と情報連絡体制を整備する。
2
早期通報体制等の整備
広域連合は、鳥インフルエンザ等の発生時に備え、早期通報とその後の連絡調整を円滑に実施す
るため、農林水産省消費・安全局動物衛生課(以下「動物衛生課」という。)等の関係機関の協力
を得て、休日・夜間であっても確実に連絡できるよう緊急連絡先名簿を作成し、共有するとともに、
毎年度この情報を更新する。
また、連絡体制は構成府県等の畜産主務課と防災主務課で多重化を図る。
162
第 8 号議案
【早期通報体制】
農林水産省
(動物衛生課)
近畿農政局
広域連合
発生府県
【発生時連絡体制】
構成府県等
農林水産省
(畜産主務課)
(動物衛生課)
構成府県等
広域連合
(防災主務課)
当該農場
所在市町村
近畿農政局
発生府県
構成府県等
(畜産主務課)
構成府県等
(防災主務課)
家畜所有者
隣接府県
管内市町村
関係機関
隣接府県
関係機関
関係団体
3
初動防疫に必要な農家情報の収集・共有
①
構成府県・連携県は、家伝法及び指針に基づき、家畜の所有者ごとに、発生した場合の初動防
疫に必要な情報(農場の所在地、畜種、飼養頭羽数、焼埋却地等の確保状況等)を把握する。
② 構成府県・連携県は、府県境における鳥インフルエンザ等の発生・まん延に備え、移動制限等
の必要な防疫措置を迅速に実施できるように、農林水産省の「家畜防疫マップシステム」を活用
して、想定される搬出制限区域の農家情報や飼育規模、飼料や畜産関連資材の搬送ルート等の情
報を共有する。
また、広域連合は、構成府県・連携県の隣接府県境の対策について情報共有を図るため、定期
的に担当者会議を開催するとともに、必要な情報を構成府県・連携県間で共有する。
4
初動防疫に必要な人員等の確保準備
構成府県・連携県は、発生時に円滑かつ迅速に初動防疫対応を実施することができるよう、家畜
防疫員の派遣及び防疫資材の融通について、以下のとおり準備を行う。
(1)家畜防疫員のリストアップ
構成府県・連携県は、家伝法及び指針に基づき、家畜の所有者に対する指導及び発生時の円滑
な初動対応に必要な家畜防疫員の確保に努める。常勤の家畜防疫員を確保した上で、一時的又は
緊急に必要な場合は非常勤の家畜防疫員の確保が行えるよう、獣医師会等と協議してリストアッ
プを行う。
また、他の都道府県で発生した場合に応援で派遣する家畜防疫員のリストアップを行う。
(2)家畜防疫員及び防疫資材に関する情報共有
広域連合は、関西圏域における発生初期の迅速な初動防疫に資する家畜防疫員の派遣と防疫資
材の融通を行うため、構成府県・連携県、近畿農政局と連携して、家畜防疫員及び防疫資材に関
する情報共有を行う。
163
第 8 号議案
① 家畜防疫員
構成府県・連携県は、関西圏域における鳥インフルエンザ等の発生時に派遣可能な家畜防疫員の人
数を近畿農政局に登録し、毎年度この情報を更新する(表1)。
近畿農政局は、取りまとめた情報を構成府県・連携県及び広域連合と共有する。
表1 家畜防疫員派遣可能人数及び派遣可能府県数(平成 25 年度登録)
発生府県
三
重
滋
賀
京
都
大
阪
兵
庫
奈
良
和
歌
山
鳥
取
徳
島
派遣
可能
府県数
○
−
−
○
○
○
○
○
○
7
−
−
○
○
−
−
○
○
5
−
○
○
○
○
○
○
6
−
−
−
○
○
○
3
−
−
−
○
○
5
○
○
−
−
5
−
○
○
5
○
○
6
○
8
派遣府県
派遣
可能
人数
福
井
2
三
重
2
○
滋
賀
2
−
−
京
都
2
−
−
−
大
阪
1
○
○
○
−
兵
庫
2
○
○
○
−
−
奈
良
1
○
−
○
−
−
○
和歌山
2
○
−
○
○
−
○
−
鳥
取
2
○
○
○
○
○
−
○
○
徳
島
2
○
○
○
○
○
−
○
○
福
井
○
8
摘要:○印は発生府県にとって家畜防疫員の受入が可能な府県、又は派遣府県にとって家畜防疫員の
派遣が可能な府県を示す。
(発生府県の隣接府県は自府県の対応に専念する必要があるため、家
畜防疫員の派遣は不可としている。
)
② 防疫資材
構成府県・連携県は、鳥インフルエンザ等の発生時に必要となる防疫資材の備蓄状況を近畿農政局
に報告し、毎年度この情報を更新する(表2)。
近畿農政局は、自ら備蓄する分も含めて備蓄状況を取りまとめ、この情報を構成府県・連携県及び
広域連合と共有するとともに、他の農政局(北陸、東海、中四国)にも提供する。
164
第 8 号議案
表2 備蓄状況の情報共有を行う防疫資材の一覧
品目名
5
単位
品目名
単位
防疫服
着
動力噴霧機
台
マスク
枚
石灰散布機
台
ゴーグル
個
ヘルメット
個
薄手ゴム手袋(インナー用)
双
炭酸ガス
本
厚手ゴム手袋(アウター用)
双
ペール(ゴミ箱)
個
長靴
足
下着(上下セット)
着
消毒薬(消石灰)
袋
軍手
消毒薬(炭酸ソーダ)
袋
サンダル
足
フレキシブルコンテナバッグ
枚
雨合羽上下セット
着
ブルーシート
枚
鎮痛剤(豚)
本
焼却用ペール缶
個
鶏焼却用段ボール
枚
ドライホーン
個
保定ロープ(玉)
玉
2%セラクタール注射液
本
車両消毒マット
電殺機
台
パコマ(殺ウイルス・殺菌消毒剤)
ダース
セット
家畜の所有者に対する指導・助言
構成府県・連携県は、家伝法及び指針に基づき、家畜の所有者の防疫に対する意識を高め、家伝
法第 12 条の3第1項の規定に基づく飼養衛生管理基準を確実に遵守させるため、定期的に農場へ
の立入検査及び研修会を行う。
特に、大規模所有者に対しては、担当獣医師から飼養衛生管理の状況を定期的に報告させるなど、
十分な指導を行うとともに、飼養衛生管理基準を遵守していない家畜の所有者に対しては指導・助
言等を行う。
6
家畜伝染病の発生状況等の周知
構成府県・連携県は、家伝法及び指針に基づき、国から提供を受けた海外における最新の発生状
況や環境省が実施する渡り鳥の飛来状況調査、野鳥の検査等の結果の情報について、平素から、家
畜の所有者及び関係団体に周知する。
7
畜産関係者への海外渡航に関する指導
構成府県・連携県は、畜産関係者に対して、鳥インフルエンザ等の発生地域への渡航を可能な限
り自粛するよう要請するとともに、仮に渡航する場合には、以下の点に留意するよう指導するもの
とする。
(1)渡航に当たっての留意事項
①
農場やと畜場などの畜産関連施設に立ち入らないこと。
②
肉製品等を日本に持ち帰らないこと。
③
畜産関連施設に立ち入った場合は、帰国の際に、到着した港湾・空港の動物検疫カウンター
に立ち寄り、家畜防疫官の指導を受けること。
165
第 8 号議案
(2)帰国後の留意事項
①
飼養衛生管理基準に基づき、帰国後1週間、必要がある場合を除き、衛生管理区域(家畜伝
染病予防法施行規則第 21 条の2第1号に規定する衛生管理区域をいう。以下同じ。
)に立ち入
らないこと。
②
海外で使用した衣服及び靴を衛生管理区域に持ち込まないこととし、やむを得ず持ち込む場
合には、事前に洗浄、消毒その他の措置を講じること。
特に、外国人労働者、海外研修生を受け入れている農場に対しては、上記内容を周知、指導
すること。
8
家畜の所有者の焼埋却地の事前確保が十分でない場合の対応
構成府県・連携県は、以下のとおり対応する指針のとおり次の措置を講ずる。
①
家畜の所有者に対し、利用可能な土地に関する情報等を提供する。
②
市町村、関係機関及び関係団体と連携し、地域ごとに、利用可能な公有地を具体的に決定する。
なお、知事は、家伝法第 21 条第7項の規定に基づき、特に必要があると認めるときは、農林水
産大臣及び市町村長に対し、協力を求める。
③
焼却施設又は化製処理施設(以下「処理施設」という。)が利用可能な場合には、処理施設を
リストアップし、あらかじめ発生時の利用について処理施設又は処理施設の所在地を管轄する地
方公共団体と調整する。
④
公有地又は処理施設への移動方法及び移動ルートを決める。また、必要に応じ、地域住民へ説
明を行う。
9
広域防疫訓練及び安全研修の実施
広域連合は、構成府県・連携県と連携し、鳥インフルエンザ等対応能力の向上を図るため、広域
防疫訓練を実施する。
また、防疫作業中の事故防止のため、広域連合は、構成府県・連携県と連携して、派遣要員を対
象とした防疫作業にかかる安全研修を実施するよう努める。
166
第 8 号議案
Ⅲ
1
発生・まん延時の対応
段階的な対応体制の整備
鳥インフルエンザ等発生時には、発生状況の把握、応援の要・不要、支援ニーズなどを迅速・的確
に判断し、支援行動に移す必要がある。広域連合では、国内で鳥インフルエンザ等の発生が疑われる
ときから準備体制を確立するとともに、発生後は警戒体制の確立、情報収集員の派遣、応援・受援体
制の確立と、被害の状況等に応じて段階的な対応体制を整備する。
<初動対応手順>
準備体制の確立
・国内で異常家畜が発生し、鳥インフルエンザ等の発生が疑われるとき
構
成
府
県
・
連
携
県
間
で
情
報
共
有
・動物衛生課、各種メディアからの情報収集
・動物衛生研究所からの情報収集
・都道府県の対策体制状況等を確認
発 生
警戒体制の確立
【鳥インフルエンザ等警戒本部設置】
・国内で鳥インフルエンザ等が発生したとき
・農林水産省対策本部が設置されたとき
・都道府県対策本部が設置されたとき
情報収集員の派遣
・甚大な被害が推測され情報収集が困難な場合
応援・受援体制の確立
応援体制の確立
・発生府県からの応援要請があった場合
・その他被害が甚大で広域応援が必要と判断される場合
鳥インフルエンザ等対策本部の設置
【事務局:広域防災局】
・広域連合の組織をあげた広域応援が必要と判断される場合
構成府県及び連携県の応援・受援体制の確立
・応援体制(応援府県)、受援体制(受援府県)を確立
・対策本部へ連絡要員を派遣
167
第 8 号議案
関西広域連合の鳥インフルエンザ等への対応体制
区 分
鳥インフルエンザ等警戒本部
本部長等 本部長
:広域防災局長
副本部長:広域防災局次長、
同局防災計画参事
構成員
広域防災局関係課長
設置基準 ○ 国内で鳥インフルエンザ等が発生したとき
○ 農林水産省対策本部が設置されたとき
鳥インフルエンザ等対策本部
本部長 :広域連合長
副本部長:副広域連合長、広域防災担当委員、
同副担当委員
構成団体の長
○ 広域連合の組織をあげた広域応援が
必要と判断される場合
○ 都道府県対策本部が設置されたとき
主な業務 ○ 鳥インフルエンザ等対策に係る情報共有
○ 鳥インフルエンザ等対策に係る情報共有
○ 応援・受援の初動に向けた準備の開始
○ 人員派遣・防疫資機材の融通調整
○ 風評被害対策実施に係る広域調整
○ 風評被害対策実施に係る広域調整
○ 報道機関への情報提供の調整
(1)準備体制の確立
国内で異常家畜が発生し、鳥インフルエンザ等の発生が疑われるときは、情報収集及び連絡調
整を開始する。
(2)警戒体制の確立
国内で鳥インフルエンザ等が発生したとき、または鳥インフルエンザ等の発生により農林水産
省対策本部、都道府県対策本部が設置されたときは、広域防災局の各府県担当課長も構成員とす
る鳥インフルエンザ等警戒本部を設置し、情報収集及び連絡調整を強化するとともに、応援・受
援の初動に向けた準備を開始する。
(3)情報収集員の派遣
広域連合は、関西圏域内で鳥インフルエンザ等が発生し、甚大な被害が推測され情報収集が困
難な場合に、速やかに情報収集員を発生府県に派遣し、被害状況、支援ニーズ等、応援に必要な
情報を収集する。
広域連合は、事態の状況を勘案し、必要に応じて発生府県の近隣の構成府県又は連携県に情報
収集員の派遣を要請する。
(4)応援・受援体制の確立
広域連合、構成府県及び連携県は、広域応援が必要と判断される場合は、次のとおり体制を確
立し、広域応援を実施する。
① 応援体制の確立
広域連合は、発生府県から応援要請があった場合、その他被害が甚大で広域応援が必要と判断
される場合には、応援調整に必要な人員を確保し、構成府県及び連携県と連絡を取り合い、応援・
受援の調整を行う。
② 広域連合対策本部の設置
広域連合は、被害が甚大で広域連合の組織をあげた広域応援が必要と判断される場合には、広
域連合長を本部長、副広域連合長、広域防災担当委員、同副担当委員を副本部長、各構成団体の
長を本部員とする鳥インフルエンザ等対策本部(以下「広域連合対策本部」という。)を兵庫県
災害対策センターに設置し、支援対応にあたる。
168
第 8 号議案
ア
広域連合対策本部の目的と所掌範囲
広域連合対策本部は、構成府県・連携県が国の防疫方針に即して防疫措置を円滑に実行する
上で必要となる関連業務・付随業務の応援・受援について、広域連合が、構成団体・連携県及
び市町村、国、関係機関と連携して広域調整を実施するために設置するものである。
広域連合対策本部は、この所掌範囲において調整役を担うものとし、農林水産省対策本部及
び都道府県対策本部との事務の重複や指揮命令系統が混乱することのないよう留意する。
イ
本部会議の開催
・広域連合は、広域連合対策本部を設置した場合には速やかに本部会議を開催し、関西圏域
内外の発生に関する情報を収集し、発生・まん延時の対応を的確かつ迅速に実施するため
の方針を決定する。
・本部長は、必要に応じ、連携県及び近畿農政局、広域実動機関等にオブザーバーとして参
加を求めるとともに、学識経験者等にアドバイザーとして参加を求め、助言を得る。
・本部員が、自府県の対応等のため、一堂に会することができない場合はWEB会議システ
ム等を活用し本部会議を開催する。
ウ
広域連合対策本部事務局
・広域連合対策本部に、その事務を処理させるため、広域連合対策本部事務局を置く。
・広域連合対策本部事務局は、広域防災局が担う。
・構成府県及び連携県は、連絡員として広域連合対策本部事務局に関係職員を派遣する。た
だし、自府県の対応が必要で派遣が困難な場合はこの限りでない。
関西広域連合の鳥インフルエンザ等対策本部組織
オブザーバー
連携県、近畿農政局
広域連合対策本部
消防、警察、自衛隊
道路・港湾・空港管理者
アドバイザー
学識経験者
獣医師会、動物検疫所
副本部長
(副広域連合長、広域防災担当委員
同副担当委員)
近畿ブロック等鳥インフルエンザ・口蹄疫等対策協議会
本部員
(各構成団体の長)
事務局
(広域防災局)
総括班(本部事務局の総括)
情報収集班(情報の収集)
調整支援班(派遣人員、支援物資の調整)
広報班(報道機関への情報提供) 等
※ 発生状況に応じて編成
各構成府県対策本部
本部長
(広域連合長)
169
第 8 号議案
2
異常家畜の発見及び検査の実施
(1)発生府県の対応
①
鳥インフルエンザ等の発生府県(畜産主務課)は、家畜の所有者又は獣医師から家畜に異常
が発生した旨の届出又はそのおそれがある旨の通報があった場合は、指針に基づき、速やかに
動物衛生課へ報告する。
※家畜の「異常」の定義については、特定家畜伝染病ごとの指針を参照のこと。
②
発生府県は、届出・通報を受け次第、直ちに現地農場に家畜防疫員を派遣し、異常家畜等の
検査を行い、その結果を動物衛生課に報告するとともに、制限区域の設定等の防疫措置につい
て協議し、措置が必要と考えられる場合は、直ちにその準備を開始する。
(準備する防疫措置の例)
・家畜のと殺に当たる人員及び資材の確保
・患畜又は疑似患畜の死体の埋却又は処理施設の確保
・消毒ポイントの設置場所の検討 等
③
発生府県は、発生農場の所在地を管轄する市町村に連絡するほか、必要と見込まれる通行制
限や制限区域の設定に関係する市町村、隣接府県にも連絡するとともに、近畿農政局及び広域
連合へ連絡する。情報提供にあたっては、その取扱いに十分注意する。
④
発生府県及び動物衛生課から連絡を受けた近畿農政局は、発生府県及び動物衛生課に確認の
上、その内容を速やかにその他の構成府県・連携県(畜産主務課)に連絡する。また、広域連
合は、発生府県に確認の上、情報の取扱いに十分注意して、その内容を速やかにその他の構成
府県・連携県(防災主務課)に連絡する。
⑤
情報提供を受けた構成府県・連携県(畜産主務課)は、発生府県と接する府県境周辺地域の
畜産農家の確認を行い、移動制限等の必要な防疫措置に迅速に対応できるよう準備を進めると
ともに、発生府県への家畜防疫員の派遣、防疫資材の融通等に円滑に対応できるよう準備を行
う。
(2)広域連合の対応
①
広域連合は、国内で家畜に異常が発生し、鳥インフルエンザ等の発生が疑われる場合は、近
畿農政局を通じて動物衛生課に情報提供を求めるとともに、各種メディア、動物衛生研究所、
動物検疫所からの情報収集を行うほか、都道府県の対策体制状況の確認を行う。また、これら
の情報につき、構成府県・連携県間で共有する。
②
広域連合は、構成府県と連携して、病性が判定するまでの間、想定される移動制限区域内か
らの家畜移動の見合わせを要請するなどの予防措置が行われるよう、調整を行う。
3
病性の判定
動物衛生課は、発生府県ないしは動物衛生研究所が行った遺伝子検査等の検査結果により病性判
定を行い、家畜が患畜又は疑似患畜(患畜が確認された農場で飼養されている家畜)に当たるか否
かを判定するとともに、その結果を発生府県(畜産主務課)に通知する。
170
第 8 号議案
4
病性判定時の措置(患畜又は疑似患畜と判定された場合)
(1)情報連絡
①
発生府県は、動物衛生課から家畜が患畜又は疑似患畜であると判定する旨の連絡を受けた場
合は、この旨を指針に基づき、家畜所有者、管内市町村、隣接府県、獣医師会、生産者団体等
に連絡すると同時に、近畿農政局及び広域連合へ連絡する。
②
連絡を受けた近畿農政局は、発生府県に確認の上、その内容を速やかにその他の構成府県・
連携県(畜産主務課)に連絡する。また、広域連合は、発生府県に確認の上、その内容を速や
かにその他の構成府県・連携県(防災主務課)に連絡する。
(2)体制整備
① 構成府県・連携県対策本部の設置
動物衛生課から家畜が患畜又は疑似患畜であると判定する旨の連絡を受けた構成府県・連携県
は、指針に基づき、円滑・的確な防疫対応を行うため、速やかに構成府県・連携県対策本部を設
置する。
② 広域連合対策本部等の設置
ア
広域連合は、国内で鳥インフルエンザ等が発生したとき、農林水産省対策本部が設置された
とき、又は都道府県対策本部が設置されたときは、警戒本部を設置する。
イ 広域連合は、被害が甚大で広域連合の組織をあげた広域応援が必要と判断される場合は、広
域連合対策本部を設置する。
(3)報道機関への公表
発生府県は、家畜が患畜又は疑似患畜であると判定したときは、指針に基づき、動物衛生課と
協議の上、農林水産省と同時に報道機関への公表を行う。
5
防疫措置に必要な人員の派遣
(1)基本的な考え方
①
発生府県は、指針に基づき、疫学調査、発生農場におけると殺等の防疫措置等に必要な人員
に関する計画を立て、関係機関及び関係団体の協力を得て、必要な人員を確保する。
②
発生府県は、発生農場における防疫措置、周辺農場の調査等を行うため、必要な人員を自ら
確保することが困難な場合は、動物衛生課と協議の上、農林水産省の職員や他の都道府県から
の家畜防疫員の派遣要請を行い、それでも困難な場合には、動物衛生課と協議の上、自衛隊へ
の派遣要請を行う。
(2)関西圏域内での家畜防疫員の派遣
関西圏域では、発生初期の迅速な初動防疫に資するため、近畿ブロック等口蹄疫対策協議会が
取り交わした合意事項を継承し、初動に不足する家畜防疫員の派遣を行う。
① 派遣の手順
発生府県は、事前に登録された派遣可能人数の範囲(P18表1参照)で、構成府県・連携県(発
生府県の隣接府県を除く。)から、以下の手順により、家畜防疫員の派遣を受けることができる。
171
第 8 号議案
ア
鳥インフルエンザ等が発生した場合、発生府県は派遣を求める家畜防疫員の人数等を近畿農
政局に連絡する。
イ
近畿農政局は、事前に登録された派遣可能府県(P18表1参照)に連絡するとともに、その
結果を発生府県及び広域連合に伝達する。
ウ
発生府県は、イで確保した家畜防疫員の人員、派遣期間、作業内容について、直ちに動物衛
生課に報告する。
エ
発生府県は、イのほか人員を必要とする場合は、動物衛生課と協議する。
② 業務内容
派遣される家畜防疫員の主な業務は以下のとおりとする。
ア
発生農場における殺処分等の防疫措置
イ
ウイルスの浸潤状況の確認
・ 臨床検査
・ ウイルス分離検査及び血清抗体検査用抗体の採取
(3)家畜防疫員以外の人員の派遣
①
防疫の現場では、発生農場等における動物の保定、畜舎等の消毒、糞尿の処理等、家畜防疫
員だけではまかない切れない多様な業務がある。
このため、構成府県・連携県は、家畜防疫員の防疫業務を円滑に推進するため、これら様々
な関連業務・付随業務に従事する家畜防疫員以外の人員の派遣を行う(動物衛生課及び近畿農
政局が行うものは除く)
。
②
広域連合は、発生府県から家畜防疫員以外の人員の派遣要請があったときは、構成府県・連
携県等と連携し、速やかに派遣可能な人員の人数等について調整の上、その結果を発生府県に
連絡する。
6
防疫資材等の融通調整
(1)基本的な考え方
発生府県は、防疫資材が不足する場合は、構成府県・連携県、国が備蓄する防疫資材の融通を
受けることができる。
(2)関西圏域内での防疫資材の融通
関西圏域では、発生初期の迅速な初動防疫に資するため、初期に不足する防疫資材を近畿農政
局に登録しておき(P19 表2参照)、以下の手順により、構成府県・連携県が速やかに発生府県
に融通することにより、早期終息を目指す。
①
鳥インフルエンザ等が発生した場合、発生府県は必要とする防疫資材の名称、数量、配送先
を近畿農政局に連絡する。
②
近畿農政局は、備蓄状況を勘案し、防疫資材の融通について構成府県・連携県及び動物検疫
所と調整の上、その結果を発生府県へ連絡する。
③
防疫資材は、各府県から直接発生府県に搬送する。搬送の具体的な手配は、各府県と発生府
県が調整して行う。
④
近畿農政局は、調整結果を関係する他の農政局(北陸、東海、中四国)へ連絡する。
172
第 8 号議案
⑤
発生府県は、鳥インフルエンザ等の終息後、融通を受けた防疫資材を速やかに返却する。
(3)広域連合の対応
広域連合は、近畿農政局と密接に連携して(2)の防疫資材の円滑な融通に努めるとともに、そ
の他の物資の融通について、広域応援の必要がある場合は、構成府県・連携県と連携し、速やか
に融通可能な数量等について調整を行い、その結果を発生府県に連絡する。
7
発生農場での防疫措置
発生農場での防疫措置は、指針に基づき、発生府県が主体となって行い、管内市町村はこれに協
力する。構成府県・連携県及び近畿農政局は、発生府県の要請により、必要な事項について支援を
行う。
・と殺(同法第 16 条)
・死体の処理(同法第 21 条)
・汚染物品の処理(同法第 23 条)
・畜舎等の消毒 (同法第 25 条) 等
8
通行の制限
(1)発生府県の対応
発生府県は、指針に基づき、関係する市町村と連携し、患畜又は疑似患畜の判定後速やかに管
轄の警察署、関係自治体の協力を得て、発生農場周辺の通行の制限又は遮断(以下「通行制限」
という。
)を行う。
発生府県は、通行制限を行った場合は、その内容を広域連合及び関係する周辺府県に連絡する。
(2)広域連合の対応
連絡を受けた広域連合は、通行制限に関する情報を構成府県・連携県及び近畿農政局に提供し、
情報共有を行う。
9
家畜等の移動の制限
(1)発生府県の対応
① 制限区域の設定と区域内での制限
発生府県は、指針に基づき、患畜又は疑似患畜の判定後、動物衛生課と協議の上、速やかに、
卵や生乳等の生産物を含む家畜等の移動を禁止する区域(以下「移動制限区域」という。)及び
卵や生乳等の生産物を含む家畜等の当該区域からの搬出を禁止する区域(以下「搬出制限区域」
という。
)を設定し、市町村と連携して当該区域での制限を実施する。
発生府県は、移動制限区域及び搬出制限区域を設定した場合は、その内容を広域連合及び関係
する周辺府県に連絡する。
② 家畜等の所有者への連絡
発生府県は、指針に基づき、移動制限区域及び搬出制限区域を設定した場合は、速やかに当該
区域内の家畜の所有者に対し、発生農場の所在地と制限区域を設定した旨を連絡する。
173
第 8 号議案
(2)広域連合の対応
連絡を受けた広域連合は、移動制限区域及び搬出制限区域の設定に関する情報を構成府県・連
携県及び近畿農政局に提供し、情報共有を行う。
高病原性鳥インフルエンザ
区 分
原 則
区域
発生農場を
中心とした
半径3㎞
(1㎞)以内
移動制限
区 域
家畜集
合施設
の開催
等の制
限
区域
搬出制限
区 域
通報が遅れた
場合
発生農場を
中心とした
半径10㎞
(5㎞)以内
※1
食鳥処理場で
発生した場合
・食鳥処理場を
中心とした半径
1㎞以内
・当該家きんの
出荷元の農場を
中心とした左の
区域内
次の事業の実施、催物の開催等の停止
・食鳥処理場(食肉加工場を除く)
・GPセンター
・ふ卵場
・品評会等の家きんを集合させる催物
発生農場を
中心とした
半径10㎞(5
㎞)以内の移
動制限区域に
外接する区域
移動制限区域
の外縁から
10km(5㎞)
以内
口
当該家きんの出
荷元の農場を中
心とした左の区
域内
家畜集
合施設
品評会等の家きんを集合させる催物の
の開催
開催を禁止
等の制
限
原 則
発生農場を
中心とした
半径10㎞以内
蹄
疫
通報が遅れた
場合
発生農場を
中心とした
半径10㎞超
家畜市場又は
と畜場で発生
した場合
・家畜市場又は
と畜場を中心と
した半径1㎞以
内
・当該家畜の出
荷元の農場を中
心とした左の区
域内
次の事業の実施、催物の開催等の停止
・と畜場(食肉加工場を除く)
・家畜市場、家畜共進会等の家畜を
集合させる催物
・放牧
発生農場を
中心とした
半径20㎞以内
の移動制限区
域に外接する
区域
当該家畜の出荷
移動制限区域
元の農場を中心
の外縁から
とした左の区域
10㎞以内
内
次の催物の開催等の停止
・家畜市場、家畜共進会等の家畜を
集合させる催物
・放牧
(注)鳥インフルエンザの( )内は低病原性の場合
※1 通報が遅れた場合において、感染拡大がより広範囲に及んでいると考えられる場合は、10km(5㎞)を
越えて設定する。
10
消毒ポイントの設置
(1)発生府県の対応
発生府県は、指針に基づき、患畜又は疑似患畜の判定後速やかに、市町村、管轄の警察署、道
路管理者等の協力を得て、発生農場周辺の感染拡大を防止すること並びに移動制限区域の外側及
び搬出制限区域の外側への感染拡大を防止することに重点を置き、消毒ポイントを設置する。
消毒ポイントの設置に当たっては、車両等による病原体の拡散防止が徹底できるよう、畜産関
係車両や防疫作業関係車両のみならず、必要に応じて一般車両も効率的かつ確実に消毒されるよ
う、消毒設備の構造等を工夫する。
また、特に畜産関係車両と防疫作業関係車両については、消毒ポイントを必ず通行するよう指
導し、運転手や車両内部を含め、徹底した消毒を行う。
発生府県は、消毒ポイントを設置した場合は、その内容を広域連合及び関係する周辺府県に連
絡する。
174
第 8 号議案
(2)構成府県・連携県の対応
消毒ポイントの設置を要する範囲が複数府県にまたがる場合は、発生府県と隣接する構成府
県・連携県は発生府県等からの連絡後速やかに、管内市町村、管轄の警察署、道路管理者等の協
力を得て、感染拡大防止の観点から、消毒ポイントを設置する。
また、構成府県・連携県は広域な伝播を防ぐため、発生府県内の消毒ポイントに加え、必要に
応じて、港湾(フェリー乗り場等)、空港等の交通拠点について、国と連携し、消毒ポイントを
運営する。
また、構成府県・連携県は、消毒ポイントを設置した場合は、その内容を広域連合及び関係す
る周辺府県に連絡する。
(3)広域連合の対応
広域連合は、広域伝播を防ぐため発生状況に応じ、国と連携し、駅、港湾(フェリー乗り場等)、
空港等の交通拠点における靴底消毒並びに港湾での車両消毒の徹底を施設管理者に依頼する。
また、消毒ポイントの設置に関する情報を構成府県・連携県に提供し、情報共有を行う。
11
ウイルスの浸潤状況の確認
発生府県等は、鳥インフルエンザ等のウイルスの浸潤状況を確認するため、以下の調査及び検査
を行う。
(1)疫学調査
発生府県は、患畜又は疑似患畜の判定後、速やかに病性判定日から指針に定める一定期間を遡
った期間を対象として、発生農場における家畜、人及び車両の出入りに関する疫学情報を収集し、
ウイルスに感染したおそれのある家畜に関する調査を実施し、極力短期間で完了させる。
調査対象が他の構成府県内にある場合は、当該府県も同様に調査を行う。
(2)制限区域内の周辺農場の検査
① 発生状況確認検査
発生府県は、患畜又は疑似患畜の判定後、原則として 24 時間以内に疾病ごとに定められた範
囲の農場に立ち入り、臨床検査を行うとともに、ウイルス分離検査及び血清抗体検査を実施する。
特定家畜伝染病ごとの指針により調査を要する範囲に含まれる発生府県以外の構成府県・連携
県も同様に検査を行う。
② 清浄性確認検査
発生府県は、制限区域内における清浄性を確認するため、移動制限区域内の全ての発生農場の
防疫措置の完了後 10 日が経過した後に①と同様の検査を行う。
特定家畜伝染病ごとの指針により調査を要する範囲に含まれる発生府県以外の構成府県・連携
県も同様に検査を行う。
12
風評被害対策
鶏肉、鶏卵等の畜産物を食することで鳥インフルエンザ等に感染するという誤った風評により、
過去の例からも、畜産物の学校給食からの排除や買い控えによる消費低迷の傾向が想定される。特
に、流通段階で排除されれば、消費者の選択に関わらず排除され影響が大きい。
175
第 8 号議案
このため、広域連合は構成府県・連携県及び近畿農政局と連携し、流通業界向けの対策に重点を
置きつつ、正確な情報発信により、次の風評被害対策を実施する。
なお、その際は、住民の不安解消のため、畜産物の安全性のPRだけでなく、講じてきた防疫措
置等の内容についてもPRするよう留意する。
(1)正確かつ効果的な情報発信
広域連合は、構成団体・連携県と連携して、風評被害の防止や風評被害からの早期回復を進め
るため、正確な情報を発信するとともに、誤った情報は関西圏域で一致して直ちに打ち消す情報
発信を行う。
(2)流通事業者、消費者、公的機関・学校への働きかけ等
① 畜産物流通業界等向けの適正取引の要請
ア
構成府県・連携県は、近畿農政局(地域センターを含む。以下同じ。)と連携し、小売や卸
等の流通業者、食品事業者及び給食事業者等に対して、科学的根拠に基づかない理由等により、
関連畜産物や発生府県の農産物等を取り扱わないことがないよう適正取引に努めるよう呼び
かけるものとする。
イ
構成府県・連携県は、近畿農政局と連携し、流通業者等が呼びかけに反して、科学的根拠に
基づかない理由等により、関連畜産物や発生府県の農産物等を取り扱わない等の不適切な対応
が確認された場合には、当該事業者等に対し、早急に是正するよう必要な指導・要請を行う。
ウ
広域連合は、構成府県・連携県が、府県をまたがった流通業者等に対して要請等を行う場合
において、一元的な要請等を行うことが求められるときは、必要な広域調整を行う。
② 公的機関や学校給食での畜産物の利用促進
ア
構成府県・連携県は、安全とされた畜産物については、公的機関で率先して利用するよう、
国機関、独立行政法人、市町村その他関係機関に協力を依頼する。
イ
構成府県・連携県は、学校給食で畜産物の利用を見合わせている事例が認められた場合には、
教育委員会を通じて早急に是正するよう働きかける。
③ 啓発資材による広報
広域連合及び構成府県・連携県は、消費者が不安から、根拠なく買い控えに動くことのないよ
う、啓発資材を活用して、畜産物の安全性と防疫措置等の取り組みについてPRを行う。
ア
チラシの配布
(ア) 保護者向けチラシ (児童、生徒等を通じて配布)
(イ) 消費者向けチラシ (量販店や公共機関等で配布)
イ
ステッカー、ポスターの配布・掲示
(ア) 消費者向けステッカー (畜産物等販売店で配布・貼付)
(イ) 消費者向けポスター
(量販店、公的機関に貼付)
(3)畜産物消費拡大イベントの開催
広域連合は、構成府県・連携県や各地域でのイベントの開催に合わせて、畜産物の消費拡大の
ためのイベントを実施する。なお、イベント開催に当たっては、次の点に留意する。
176
第 8 号議案
ア
移動制限解除までの期間に地域で予定されているイベントに参加、または共催して、PR(チ
ラシ等の配布、畜産物の試食会等)する。
イ
イベント開催に当たっては、可能な限り市町村、関係団体の協力を得て取り組む。
(4)風評被害調査
構成府県・連携県は、鳥インフルエンザ等の発生を起因とする風評被害を把握するため、近畿
農政局(地域センターを含む)と連携を図り、小売店等において関連する畜産物の販売価格、販
売動向、仕入れ動向等に係る調査を実施する。
構成府県・連携県は、風評被害調査の結果を広域連合に連絡する。広域連合は、風評被害調査
の結果を取りまとめ、構成府県・連携県及び近畿農政局に情報提供を行う。
177
第 8 号議案
<対応の流れ>
対応段階
国(農林水産省)
異常家畜の発見及び
検査の実施
(LPAIにおいてはモニタリ
ング検査の実施)
−
病性の判定
・病性の判定
(必要に応じて詳細な検査や試験を実施)
・農林水産省対策本部の設置
・報道機関への公表(発生府県と同時)
病性判定時の措置
・発生府県へ連絡調整要員や専門家チームの派遣
(患畜又は疑似患畜と
・発生府県へ緊急支援チーム(動物検疫所等から)
判定された場合)
の派遣
防疫措置に必要な人員等
・発生府県への防疫資材の譲与・貸与
の調整
・他府県の家畜防疫員の派遣調整
・他府県の防疫資材の融通調整
発
生
農
場
で
の
防
疫
措
置
広域連合
・情報収集・連絡調整の開始
・広域連合から発生府県以外の府県へ連絡
−
・広域連合警戒本部、対策本部の設置
・広域連合から発生府県以外の府県へ連絡
・家畜防疫員以外の派遣調整
・防疫資材等の融通調整
と殺
(法第16条)
−
−
死体の処理
(法第21条)
−
−
汚染物品の処理
(法第23条)
−
−
畜舎等の消毒
(法第25条)
−
−
通行の制限
(法第15条)
−
・通行制限に関する情報共有
制限区域の設定
(法第32条)
−
・移動・搬出制限に関する情報共有
消毒ポイントの設置
(法第28条の2)
−
・消毒ポイント設置に関する情報共有
・交通拠点における消毒の徹底依頼
ウイルスの浸潤状況の
確認
・発生府県へ疫学調査チームを派遣
風評被害対策
(住民の不安解消)
・積極的な情報発信
・各種相談窓口の設置
・消費拡大イベントの開催
・風評被害調査の実施
・事業者等に対する指導・要請
−
・住民の不安解消及び風評被害対策の実施
178
第 8 号議案
発生府県
・家畜の異常の届出・通報(HPAI)
・モニタリング検査陽性の通報(LPAI)
(家畜所有者又は獣医師→畜産主務課)
・家畜防疫員の現地農場への派遣
・簡易検査、遺伝子検査の実施
・農林水産省への報告
・防災部局その他関係部局への連絡
・管轄の市町村、広域連合等への連絡
−
・当該家畜所有者、府県内市町村、隣接府県、
獣医師会、生産者団体等への連絡
・府県対策本部の設置
・報道機関への公表(農林水産省と同時)
・防疫措置に必要な人員及び資材の確保(自衛隊への
災害派遣要請を含む。)
発生府県以外の構成府県・連携県
・防疫措置及び発生府県への協力の準備
−
・情報の収集・共有
・防疫措置に必要な人員の派遣、資材の融通
※家畜防疫員の派遣は発生府県の隣接府県を除く
・家畜防疫員によると殺の指示
→家畜所有者によると殺
−
・家畜防疫員による死体の焼却・埋却の指示
→家畜所有者による死体の焼却・埋却
−
・家畜防疫員による卵、生乳、排せつ物、敷料、飼料等の
焼却・埋却・消毒の指示
→汚染物品所有者による焼却・埋却・消毒
−
・家畜防疫員による畜舎等の消毒の指示
→畜舎等所有者による消毒
−
・知事による発生農場周辺の通行の制限
※市町村長も知事と同じ権限を有する。
・通行制限に関する情報共有
(主に隣接府県)
・発生農場周辺の通行制限への協力
・移動制限区域の設定
・搬出制限区域の設定
・移動・搬出制限に関する情報共有
・移動制限区域の設定への協力
・搬出制限区域の設定への協力
(主に隣接府県)
・移動制限区域の設定又は設定への協力
・搬出制限区域の設定又は設定への協力
・発生農場周辺(概ね半径1㎞以内)、移動制限
区域及び搬出制限区域の境界等での消毒ポイントの設置
・消毒ポイント設置に関する情報共有
・消毒ポイントの設置への協力
(主に隣接府県)
・消毒ポイントの設置又は設置への協力
(発生農場において)
・疫学調査の実施
(移動制限区域内の周辺農場において)
・発生状況確認検査の実施
・清浄性確認検査の実施
・病原体の浸潤状況の確認への協力
(主に隣接府県)
・病原体の浸潤状況の確認及び確認への協力
・積極的な情報発信
・各種相談窓口の設置
・消費拡大イベントの開催
・風評被害調査の実施
・事業者等に対する指導・要請
・住民の不安解消及び風評被害対策の実施
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