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Title 英語イントネーション体系についての考察 Author(s) 澤村, 香代子

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Title 英語イントネーション体系についての考察 Author(s) 澤村, 香代子
\n
Title
Author(s)
Citation
英語イントネーション体系についての考察
澤村, 香代子, Sawamura, Kayoko
神奈川大学大学院言語と文化論集, 10: 1-32
Date
2003-12
Type
Departmental Bulletin Paper
Rights
publisher
KANAGAWA University Repository
英語イントネーション体系についての考察
I
英語イントネーション体系についての考察
津村香代子
1
. 序論
イントネーシヨンが発話において果たす役割は重要なもので,言葉以上
のことを伝える働きがあり,話者はイントネーションを駆使して開き手に
よりわかりやすく情報を伝えることができる。多くの研究者がその役割に
1
9
9
6)による理論は
ついての体系付けを試みているが,その中でも Tench(
明確で,わかりやすく,しかも綴密なものである。
本論文では,他の研究者による英語のイントネーション(以下:イント
ネーション)の体系付けと Tench(
1
9
9
6
)のイントネーション体系を紹介し,
Tench(
1
9
9
6
)の理論と他の理論との違いを述べる。さらに Tench(
1
9
9
6
)の
イントネーション体系の有効性をいくつかの発話を分析することにより検
証していく。本論文がこれからのイントネーション研究になんらかの貢献
があればと考えている。
2
. 先行文献研究
ここでは,イントネーションについて歴史的観点から考察する。主に
1
9
0
0年代の研究について考察していくわけであるが,研究の傾向にも変化
がでできているため, 1
9
0
0年代を 3つの時代に分けて考察していこうと思
う
。 1
9
0
0年から 1
9
5
0年まで, 1
9
5
0年から 1
9
6
5年まで,そして 1
9
6
5年か
2
言語と文化論集 N
o
.J
O
ら現在までの研究について考察していく。
2
.1 1900年から 1950年
イギリス英語のイントネーション研究は S
w
e
e
t(
1
9
0
6
)に始まるといって
よい。彼は平坦 (
l
e
v
e
l
),上昇(r
i
s
i
n
g
),下降(らH
i
n
g
)
の 3つの音調を基本の音
e
l
lなど考えをまとめている時(m
e
d
i
t
a
t
i
o
n)に使われ,
調とし,平坦調は w
上昇調は A
r
e)仰 r
e
a
ゆ?などの質問(q
u
e
s
t
i
o
n),確信のない陳述( d
o
u
b
t
f
u
l
h
e
s
i
t
a
t
i
n
gs
t
a
t
e
m
e
n
t
s)の時にあらわれ,下降調は y
e
s
,Iamなどの返答
(
a
n
s
w
e
r
s),命令(command
),独断的な主張(d
o
g
m
a
t
i
ca
s
s
e
r
t
i
o
n
s
)などに使わ
れる音調であるとしている。これに複合音調として下降上昇調(compound
),上昇下降調(compoundf
a
l
l
i
n
g
)を挙げている。下降上昇調は t
a
k
e
r
i
s
i
n
g
)の発話の時に用いられ,上昇下降調は o
hfや o
h
c
a
r
e
!など,警告(warning
r
e
a
l
l
y!などの皮肉(s
a
r
c
a
s
m)を含んでいる時などに用いられるとしている。
これらの音調に加えて,さらにピッチ(k
e
y
)についての言及をしている。高
(
h
i
g
h
),中(m
i
d
d
l
e),低 (
l
o
w
)のピッチの高さを設定し,それぞれのピッチ
の特徴について述べている。中のピッチは無標で特別な意味をもたないも
ので,高のピッチは活動的な(e
n
e
r
g
e
t
i
c
),喜びに満ちた (
j
o
y
f
u
l)感情を表し,
a
d
n
e
s
s
)やまじめな(s
o
l
e
m
n
i
t
y
)態度を示すとされてい
低のピッチは悲しみ(s
る
。
ArmstrongandWard(
1
9
3
1)は,発話を非強調丈(UnemphaticS
e
n
t
e
n
c
e
s
)
と強調文(EmphaticS
e
n
t
e
n
c
e
s
)の 2つに大きく分け,それぞれの中で Tune
I(上昇調) ,TuneI
I (下降調)と音調を分けている。これらの音調を非強
調文の時と,強調丈の時とに分けて使われる状況の違いを挙げている。
P
i
k
e(
1
9
4
5
)は,英語のイントネーションは本来備わっている意味(l
e
x
i
c
a
l
meaning
)に重ね合わせるものであるとして,話者の態度(a
t
t
i
t
u
d
e
)に注目
している。そして,この態度について音調パターンごとにかなり細かい意
味付けを行っている。
英語イントネーション体系についての考察
3
2.2 1950年から 1965年
この時期における代表的なイントネーション研究は Kingdon(
1
9
5
8)によ
t
a
t
i
ct
o
n
e
s
)と動的
るものであろう。 Kingdonは音調に関して,静的音調(s
i
n
e
t
i
ct
o
n
e
s
)に分けた。静的音調とは平坦調,動的音調とは,上昇調,
音調(k
下降調,下降上昇調の 3つである。ピッチに関しては動的,静的それぞれ
o
r
m
a
l
)の音調として捉え,さ
高,低 2つのタイプに分けた。これを普通(n
らに強調(e
m
p
h
a
t
i
c
)の音調を設けてある。平坦調も同様に普通の音調と,
強調の音調がある。 強調の音調は核音節におけるピッチの変動が極端に大
きかったり,小さかったりするものである。強調の音調は話者の心的態度
や,特別な状況を示す時に使用されるとしている。
上記のような音調を基本に, Kingdonはさらに文単位でイントネーショ
ンを説明している。質問(q
u
e
s
t
i
o
n
s
),陳述(s
t
a
t
e
m
e
n
t
s
),命令(i
m
p
e
r
a
t
i
v
e
s
)
,
挨拶(s
a
l
u
t
a
t
i
o
n
s
),謝罪(a
p
o
l
o
g
i
e
s
),感嘆いx
c
l
a
m
a
t
i
o
n
s
)の 6つの文タイプ
についてそれぞれ,いろいろな状況を設定し,状況ごとにイントネーショ
ンがどのように現われているのか,詳しく記述している。品調に関しては,
普通,文強勢(s
e
n
t
e
n
c
es
t
r
e
s
s
)を受ける品詞,文強勢を受けない品詞を説明
している。
S
c
h
u
b
i
g
e
r(
1
9
5
8
)は心的態度に重点をおいた研究をしている。文タイプご
a
s
i
cP
a
t
t
e
r
n
s
)と特別な含みを伴ったパターン(P
a
t
t
e
r
n
s
とに基本パターン(B
)とに分け,特別な含みを伴ったパターンのほう
w
i
t
hS
p
e
c
i
f
i
cC
o
n
n
o
t
a
t
i
o
n
s
が心的態度を示すとして例文を挙げ,心的態度を明記している。
2.3 1965年から現在まで
O’
ConnorandA
r
n
o
l
d(
1
9
7
3)では, Kingdonの後を受け継いで,イシト
ネーションについてより深いところまで考察を進めている。音調を低落下
型(TheLowDrop),高落下型(TheHighDrop),離陸型(TheT
a
k
e
O
f
f
)
,
低バウンド型(TheLowBounc
巴),スイッチパック型(TheS
w
i
t
c
h
b
a
c
l
.
<
),幅
4
言語と文化論集 No.10
跳ぴ型(TheLongJump
),高バウンド型(TheHighB
o
u
n
c
e
),ジャックナイ
a
c
k
k
n
i
f
e),高飛び込み型(TheHighDive),テラス型(The
フ型(TheJ
T
e
r
r
a
c
e
)の 1
0種類に分けて各音調それぞれについて文タイプごとに考察し
心的態度を明示するという段階を踏んでいる。
a
l
l
i
d
a
y(
1
9
6
7)は,当時,イントネーションを文法的枠組
これに対し, H
みで心的態度を記述するものが多かった中で,イントネーションが文法的
意味に直接関わるものとして捉えている。 H
a
l
l
i
d
a
yのこのイントネーショ
ン研究はまったく新じいアプローチであった。イントネーションは時制や,
数,法と同様に文法的な働きをするもので,発話の文法的意味を変えるも
a
l
l
i
d
a
yはイントネーションには,文法的意
のであるということである。 H
味をなす t
o
n
a
l
i
t
y(音調群の境界の設定) ,t
o
n
i
c
i
t
y(核音節の選択) ,t
o
n
e
(音調の選択)の 3つの働きがあるとしている。この 3つの働きは互いに独
立したもので,それぞれの文法的役割を果たしているということである。
9
0
0年代に始まった。 1
9
0
0年
このようにイントネーション研究は主に 1
9
5
0年までの研究は現象を記述する研究であったといってよい。その
から 1
記述をもとに後の研究者は体系付けることを試みてきた。体系付けには文
タイプごとに音調と心的態度を記述するという方法がとられている。しか
しより詳しい研究が進むにつれ,音調の種類も増え,心的態度も研究者に
よってさまざまな種類が挙げられ,明確な意味の対立を見いだすことは難
a
l
l
i
d
a
yはイント
しく,より複雑なものとなっていった。そのような中でH
ネーションについてより言語学的な研究を提案したのである。 T
o
n
a
l
i
t
y
,
t
o
n
i
c
i
t
y
,t
o
n
e
sの 3つが発話の意味を変えるというもので,明確な意味の
対立があり,新たなイントネーションの働きの発見であったといってよい。
1
9
9
0
,1
9
9
6
)によってさらに発展されていく。
この発見は Tench(
3
.P
a
u
lTenchのイントネーションE
里5
命
ここでは, Tench(
1
9
9
6
)の理論について詳しく説明していく。
英語イントネーシヨン体系についての考察 5
3
.1 イントネーションの機能
Tench(
1
9
9
6
)は 6つの分野を挙げてイントネーションの機能を説明して
r
g
a
n
i
z
a
t
i
o
no
fi
n
f
o
r
m
a
t
i
o
n
),意思伝達機能の実現
いる。情報の組織化(Theo
(
T
h
er
e
a
l
i
z
a
t
i
o
nofc
o
m
m
u
n
i
c
a
t
i
v
ef
u
n
c
t
i
o
n
s
),態度の表示(Thee
x
p
r
e
s
s
i
o
no
f
a
t
t
i
t
u
d
e),統語構造(S
y
n
t
a
c
t
i
cs
t
r
u
c
t
u
r
e
),テキスト構造(T
e
x
t
u
a
ls
t
r
u
c
t
u
r
e
)
,
発話スタイ jレの特定化(Thei
d
e
n
t
i
f
i
c
a
t
i
o
no
fs
p
e
e
c
hs
t
y
l
e
s)の 6つである。本
章において紹介されている発話例はすべて Tench(
1
9
9
6)からの抜粋であ
る
。
3
.1
.1 情報の組織化(Theo
r
g
a
n
i
z
a
t
i
o
no
fi
n
f
o
r
m
a
t
i
o
n
)
話者は聞き手に情報を伝える際にイントネーションを駆使している。ま
ずt
o
n
a
l
i
t
y (以下:トナリテイ)によって Iつのイントネーション単位の中
に 1つの情報を含めて情報の単位をつくり, t
o
n
i
c
i
t
y (以下:トニシティ)
によって特に伝えたい,大切な情報に焦点を置き, t
o
n
e
s (以下:トーンズ)
によって情報をより詳しいものとする。
次のような自然な発話において話者がどのように情報を処理していくか
を見ていくことにする。(+はポーズを表している)
Ir
e
g
r
e
t+ p
u
t
t
i
n
gt
h
ep
e
o
p
l
巴o
u
to
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h
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u
to
ft
h
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i
d
eandc
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n
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r
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s
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l
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ewaryouknow
Edinburghyouknow++Idon
a
丘
町t
h
e++warwhent
h
e
ys
t
a
r
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e
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m
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l
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ymoreo
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sandh
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sb
u
t.
.
.
(
T
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n
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,1
9
9
6
,p
.
5
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nBrown,C
u
r
r
i
eandK
e
n
w
o
r
t
h
y
,1
9
8
0
)
まず主要な話題が述べられている。(下線は核音調を示している)
a
:Ir
e
g
r
e
t+p
u
t
t
i
n
gt
h
e民 卑ko
u
to
ft
h
eo
u
to
ft
h
eSouthS
i
d
eandc
e
n
t
r
a
l
言語と文化論集 No.10
6
Edinburgh
聞き手に次に言うことを信用してもらえるようにアピールするように b
を言う。
b:you包 盟
続けようとするが,新しい考えが浮かんだので発話を Id
o
n
'
tt
h
i
n
んまで言
って止める。
c
:++Idon’
tt
h
i
n
k
新しく思いついたことを言う。この場合前に言ったことについてより詳
しく言おうとしている。
d
:++especiallya丘町 the笠呈Eyouknow
前に言ったことを繰り返しながら,次に伝えることの言い方を考え,言
e
d
e
v
e
l
o
p
m
e
n
tの前のポーズは話者がこの言葉に決定
い方を見つけて言う。 r
するのが困難だったことがうかがえる。
e:a
丘
町t
h
e++warwhent
h
e
ys
t
a
r
t
e
dt
h
e++r
e
d
e
v
e
l
o
p
m
e
n
t
r
e
d
e
v
e
l
o
p
m
e
n
tという言葉が浮かんだものの,次の言葉が見つからず,続
けて言うことを止める。
f
:andthe
g
:++w
e
l
lt
h
ea
u
t
h
o
r
i
t
ymoreo
rl
e
s
s!
!
!
M
ki
t
r
e
d
e
v
e
l
o
p
m
e
n
tの続きではなく次の新しい発話が続く。
h
:thateverybodywast
og
oou
盟主
聞き手によく聞いてもらえるようにまたアピー J
レする。
1
:y
ou主盟笠
新しいポイントに移る。
j
:++thega此
n
sandh
,
Q
且悶
このように話者は考えながら発話する。そのため,発話の途中でしばし
ばポーズをとって言い方を考えたり,時には言いかけて止めたりするので
ある。ポーズではトナリテイがかかわっている。
上の例で見てきたのは発話の進め方におけるイントネーションの役割で
あったが,もう 1つ重要なことがある。話者がどのような内容を伝えたか
英語イントネーシヨン体系についての考察
7
ということである。話者がこの一連の発話においてどのようなことを言い
たかったのか,またどのようなことを強調したかったのかということであ
る。これにはトニシティがかかわっている。しばしば言われるものとして,
新情報,旧情報というものがある。旧情報は話者も聞き手も知っているこ
となので,普通,核が置かれることはない。新情報は聞き手の知らないこ
となので,核が置かれやすい。これに関してはトニシティのところで詳し
e
o
p
l
eは他の S
o
u
t
hS
i
d
eや c
e
n
t
r
a
lE
d
i
n
b
u
r
g
h
く述べることにする。発話 aの p
よりも際立っているということがわかる。核のあとの際立たない語は話者
が旧情報とみなしている事柄で,すでに話題にされたということが予想さ
a
rは際立つている,つまり核であるが,発話
れる。発話 dの w
E のほうは
旧情報になるので際立たない。トニシティによって話者が伝えたい情報の
中心が表される。開き手がどこを特に注意して聞けばよいのかということ
が情報の新旧を表すことによってわかるようになっている。
3
.1.2 意思伝達機能の実現(Ther
e
a
l
i
z
a
t
i
o
no
fc
o
m
m
u
n
i
c
a
t
i
v
ef
u
n
c
t
i
o
n
)
意思伝達機能というのは,話者と聞き手とのやりとりにおける機能であ
る。話者が聞き手に何かを述べているのか,訊ねているのか,命令してい
るのか,懇願しているのか,挨拶をしているのか,感謝しているのかなど
という話者の意思を聞き手に伝えるということにイントネーションがかか
わっている。この機能では特にトーンズがかかわってくる。情報の組織化
が「何が言われているのか」ということに答えるものであり,意思伝達機
能の実現は「なぜそう言われているのかj ということに答えるものである。
次の発話を見てみる。下線部は核音節を示し,(\)は下降調を,(/)は上昇
調を示す。
(
3
.
l
a
) Qohn’
sg
o
i
n
go
u
t
)
,'
-~n’t h
e
(
3
.
l
b
) Gohn
’
sg
o
i
n
go
u
t
)
,/
民n’
the
8
言語と文化論集 No.10
(
3
.
l
a
)の発話において,話者は J
o
h
n
'
sg
o
i
n
go
u
tということを確信して発話
しているということになり,(3
.
l
b)の発話ならば話者は j
o
h
n
'
sg
o
i
n
go
u
tとい
うことに関して,確信をもたないで発話 Lているということになる。
Tench(
1
9
9
6
)によれば,主要な情報を含んだ下降調は話者が確信している
ことや話者の意思表示などを表し,話者主体の音調となる。発話の内容が
話者の中で処理されているような場合に使われる音調である。上昇調は話
者が確信していないことや,聞き手に尋ねたり,聞き手に決定してもらっ
たりなどの聞き手主体の音調としている。結果を聞き手にゆだねている音
調である。次の発話例は話者主体,開き手主体の典型的な例である。
(
3
.
2
a
)S
h
u
tt
h
e\盟旦dow
(
3
.
2
b
)S
h
u
tt
h
e/ 主 包dow
(
3
.
2
a
)のように下降調の場合には話者主体であり,「窓を閉めなさい」と
いった命令の発話になるが,(3
.
2
b)の上昇調の場合には聞き手主体で「窓
.
2
a
)よりは丁寧な発話にな
を閉めてくれませんか」という意味になり,(3
る。このように語順は同じでも音調の違いで,聞き手にまったく違った印
象を与えることになる。
3
.1.3 態度の表示(Thee
x
p
r
e
s
s
i
o
no
fa
t
t
i
t
u
d
e
)
態度の表示はいままでイントネーションの機能の中でも特に広く研究さ
れてきた分野で心的態度機能と呼ばれてきたものである。これがイントネ
ーションの働きの中でいちばん重要であるとされてきたのである。話者と
聞き手のやりとりにおいて,心的態度というのはいちばん知覚されやすい
ことの lつであると言える。「何を言ったか」ではなく,「どう言ったかJ
ということに自が向けら れている。話者が怒っているのか,やさしく言っ
l
ているのか,丁寧に言っているのかといったようなことを示す働きである。
「言い方の問題だ」などと言われるのはこの心的態度のことである。そのた
英語イントネーシヨン体系についての考察
9
め,この分野は以前から広く研究されてきたのである。しばしば,心的態
度機能は文法機能と一緒に考えられることが多いが,文法機能とは切り離
して考える必要がある。
3
.1.4 統語構造( S
y
n
t
a
c
t
i
cs
t
r
u
c
t
u
r
e
)
統語構造の働きはあるイントネーションが意味を特定する統語的パター
ンがあるということである。関係代名詞の発話においてはイントネーショ
ンのトナリテイによって制限,非制限の区別をつける。
(
3
.
3
a
) Myb
r
o
t
h
e
rwhol
i
v
e
si
nNaimbi.
.
whol
i
v
e
si
nNaimbi.
.
(
3
.
3
b
) Myi
l
l
:
Q
.
t
h
e
rI
これが,書かれたものであるならば,非制限用法の場合 whoの前にカン
マが置かれるが,発話の場合はイントネーションのトナリテイがその役割
.
3
a
)は“ナイロピに住んでいる兄弟が…”と
を果たしているのである。( 3
いう発話になり,(3
.
3
b)は“私の兄弟ですが,ナイロピに住んでいるんで
すけど…”という発話になる。
3
.1
.5 テキスト構造(T
e
x
t
u
a
ls
t
r
u
c
t
u
r
e
)
イントネーションは単位ごとに働くだけではない。いくつものイントネ
ーション単位(i
n
t
o
n
a
t
i
o
nu
n
i
t
s
)からなる長い発話においても働く。一連の
発話においてイントネーションは発話の始まり,終わり,話題の転換など
のサインを出している。
普通 1つのイントネーション単位の中に 1つの情報が含まれる。このイ
ントネーション単位を完結単位(c
o
m
p
l
e
t
eu
n
i
t
)という。しかし,自然な発
話では話者は考えながら話をするため,言いかけて止める放棄単位
(
a
b
a
n
d
o
n
e
du
n
i
t
)も含まれることがある。この放棄単位はイントネーション
1
0
言語と文化論集 No.IO
単位の中に情報が含まれないものである。自然な発話はこのような完結単
位や放棄単位から成る。このような一見バラバラな発話は話題や,文法の
働き,イントネーションによって結び付けられている。
3
.1.6 発話スタイルの特定化(Thei
d
e
n
t
i
f
i
c
a
t
i
o
no
fspeechs
t
y
l
e
s
)
発話にはいろいろなジャンルがある。そのさまざまなジャンルの中で話
者は常に同じ話し方をするのではなく,その場の環境によって話し方を変
えている。テンポやリズム,声の大きさやイントネーションが発話のスタ
イルによって変わる。ある言語行為に伴って感じられる音の響きは一般的
に韻律構成(p
r
o
s
o
d
i
cc
o
m
p
o
s
i
t
i
o
n
)として知られている。ニュース,砕けた
会話,演説,朗読といったものはそれぞれイントネーションに特徴がある。
発話を聞いているだけで,話されている状況がわかるのはそのためである。
イントネーションはいろいろなジャンルの発話の韻律構成を特定する主要
な要素となっている。
3.2 イントネーションの構造
イントネーシヨンの構造は音調群(t
o
n
e
u
n
i
t
,t
o
n
e
g
r
o
u
p)の単位で説明さ
れる。音調群とは前頭部(p
r
e
h
e
a
d
),頭部(h
e
a
d
),核(t
o
n
i
c
,n
u
c
l
e
u
s
),尾部
(
t
a
i
l)から成る。前頭部は発話の最初の無強勢音節をいう。頭部は発話の最
初に位置する強勢音節のことをいう。核は強勢音節とともに,音調の変化
が起こる音節のことをいう。尾部は核に続く音節のことをいう。前頭部,
尾部は発話によってはないこともある。もし,核音節のみの発話の場合,
その音節は最初の強勢音節でもある為,頭部でもあり,核でもある。
Tench(
1
9
9
6
)では,発話におけるイントネーションの構造を次のような
発話例をもとに説明している。下線部は核音節を示し,(|)は強勢を示し,
(|)は音調群の境界を示す。
英語イントネーション体系についての考察
I
I
1.A I
dogi
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丘k旦d
2. I
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h
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y
4. I~ I
これらを音調群の表にまとめると以下のようになる。(4は音調群が 3つ
になる為,“y
e
s”を 4-1とし,“t
h
e
ya
r
e”を 4-2とし,“a
r
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n’
tt
h
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,
,
を 4 3と
戸
した。)
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.
1
4
)
3.3 トナリティ、 トニシティ、 トーンズ
Tench(
1
9
9
6
)は H
a
l
l
i
d
a
y(
1
9
6
7
)の概念であるトナリティ,
トニシティ,
トーンズを用いてイントネーションを説明している。トナリテイは音調群
の境界を設定するはたらきがある。設定された音調は話者の伝えたい情報
の単位と一致する。トニシティは,発話中のある音節に核を置くことによ
って情報の焦点を決定するという働きがある。トーンズは,音調群の中で,
音調を変化させることによって,与えられた情報をより詳しいものにする
働きがある。これらの 3つは話者によって設定され,設定の仕方によって
は同じ文でも意味が変わるとしている。
「
一
1
2
言語と文化論集 N
o
.I
O
3
.3
.1 トナリティ
Tench(
1
9
9
6
)は音調群のことをイントネーション単位(i
n
t
o
n
a
t
i
o
nu
n
i
t
)
と
呼んでいる。以下ではイントネーション単位と呼ぶことにする。一連の発
話において, トナリテイはイントネーション単位と情報の単位を一致させ
ることによって情報の処理をする。イントネーション単位は話者によって
決定される。同じ内容を同じ語で発話しでも話者によってイントネーショ
1
9
9
6
)はイントネーション単位の
ン単位の数は異なることが多い。 Tench(
l
a
u
s
e)と一致するとしている。一致しているものを
多くは文レベルの節( c
ニュートラルトナリテイ( n
e
u
t
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lt
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n
a
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y
)とし,一致しないものをマーク
arkedt
o
n
a
l
i
t
y
)と呼んでいる。
トトナリテイ(m
マ}クトトナリテイは, lつのイントネーション単位の中に 2つ(また
はそれ以上)の節が存在していたり, 1つの節の中に, 2つ(またはそれ以
上)のイントネーション単位が存在していたりするものである。次の 2つ
の 17~ /,)~マークトトナリテイである。
(
3
.
4
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この場合, t
h
i
sm
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n
i
n
gはあとで思いついた付け足しの発話であり, 1つ
の節なのに 2つのイントネーション単位になったものである。意味は「町
へ行くんだよ,今朝ね」といった感じになるだろう。
(
3
.
5
) Hed
i
d
. Is
a
wi
t
.
この場合は, Hed
i
dが旧情報として速く,一気に発話されていて, 2つ
t
.が新情報となる。話者は前に話題になった「彼はやった」
めの節の Isawi
ということではなく,「わたしは見たんだ」ということを伝えたかったので
ある。そのために, 1つのイントネーション単位の中に 2つの節が含まれ
たわけである。マークトトナリテイは節とイントネーション単位が一致し
英語イントネーション体系についての考察
1
3
ないが,イントネーション単位と情報の単位が一致するということは変わ
らない。
また,発話の環境が様々であるようにイントネーション単位の区切り方
1
9
9
6
)によると,ニュースでは 1分間に 70
も様々であるといえる。 Tench(
∼
8
0のイントネーション単位が記録されているという。これはキャスター
が限られた時間でできるだけ多くの情報を伝えようとするため,情報の単
位と一致しているイントネーション単位が多くなっているのである。それ
に対して,リラックスした状況では,イントネーション単位は 1分間に約
25ということである。
次の 2つはトナリテイによって発話の意味が変わる例である。
(
3
.
6
a
) Id
i
d
n’
t盟旦!< I
b
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ehe包 ldme
(
3
.
6
b
) Id
i
d
n
’
tcomeb
e
c
a
u
s
eh
e辺ldme
この場合, トナリテイによってどこまでを否定しているのか,否定の領
域を決定している例である。(3
.
6
a
)は「彼が私にそう言ったので私は来な
かった」となり,話者は行かなかったことになるが,( 3
.
6
b)の場合には
「彼が私にそう言ったから来たわけではないj となり,話者は行ったことに
なる。このようにトナリティによって意味が変わるのである。
3.3.2 トニシティ
トニシティは,発話中のある音節に核を置くことによって情報の焦点を
決定するという働きがある。多くの発話の場合,核の置かれる場所はだい
たいイントネーション単位内の最後のレキシカ jレアイテム iであるとされて
いる。この場合のレキシカルアイテムは意味的に重要なものを指し, 1語
とは限らず,複合語のように 2語以上からなるものも含まれる。レキシカ
r
a
m
m
a
t
i
c
a
li
t
e
m
)iというも
ルアイテムに対ーして,グラマテイカ jレアイテム(g
のがある。このグラマテイカルアイテムというのは文の構造上,重要なア
1
4
言語と文化論集 No.10
イテムを指す。代名詞,冠詞,前置調,助動詞などがそうである。 Tench
(
1
9
9
0)によるニュースのデータでは発話の 88パーセントがイントネーショ
ン単位の最後のレキシカルアイテムに核が置かれるという結果が出ている。
このようなトニシティのパターンをニュートラルトニシティ( n
e
u
t
r
a
l
)という。ニュートラルトニシティはごく普通の発話であるといえ
t
o
n
i
c
i
t
y
る。発話において,重要な情報は最後に言われるのが普通であるとされて
いる。また新情報は旧情報よりも比較的あとに置かれるということが言わ
れている。上記の Tenchのデータを見ても分かるように多くの発話がニュ
ートラルトニシティなのである。これに対し,イントネーション単位の最
後のレキシカルアイテムに核が置かれないものをマークトトニシティ
(
m
a
r
k
e
dt
o
n
i
c
i
t
y
)と呼んでいる。(3
.
7
b
)から(3
.
7
e
)までの発話はマークトト
ニシティである。
(
3
.
7
a
) Canyoub
r
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p
p
l
ei
nnYQ?
(
3
.
7
b
) Canyoub
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p
p
l
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(
3
.
7
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) Canyou』盟主 ana
r
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kana
p
p
l
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(
3
.
7
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) Can担且 b
)♀担 youb
r
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kana
p
p
l
ei
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(
3
.
7
e
まず,(3
.
7
a
)は C
anが高いピッチで y
o
ub
r
e
a
ka
na
p
p
んi
nでだんだん下が
っていく。そして twoで上昇する。この twoは核であり,前で挙げたよう
.
7
b)は a
p
p
l
eに核が置かれている。この場合 t
w
oは旧情報
な特徴を持つ。(3
であると考えられる。もうすでに何かを 2つに割るということは話題にな
っており,新しい情報の焦点は何を割るかということに置かれている。
(
3
.
7
c
)は割るという動作を強調している発話となる。他の動作ではなく,割
るということを言いたいためにここに核が置かれている。( 3
.
7
d
)は y
o
uに
核を置くことによって,他の誰かと区別している。(3
.
7
e
)はリンゴを 2つに
割れるかどうかの能力について訊いているために Canに核が置かれてい
る。核の置かれる場所が変わると情報の焦点、も変わる。同じ語順の発話で
英語イントネーション体系についての考察 1
5
も,どこに核を置くかによって違う意味を持った発話になる。
(
3
.
S
a
)血盟主 John
(
3
.
8
b
)S
h
o
o
t]Q
』
これは,
トニシティによって意味が変わる例である。情報の焦点を
Shoot に置く( 3
.
8
a)の場合,意味は「撃て,ジョン」となるが,焦点を
Johnに置く(3
.
8
b
)の場合には「ジョンを撃て」となる。
3.3.3 トーンズ
トーンズは,音調群の中で音調を変化させることによって,与えられた
情報をより詳しくする働きがある。 Tench(
1
9
9
6
)はトーンズを第一次音調
(
p
r
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a
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yt
o
n
e
s
)と第二次音調(s
e
c
o
n
d
a
r
yt
o
n
e
s)に分けている。第一次音調は
核における基本的な音調のことで,下降調,上昇調,下降上昇調などの音
調の種類をいう。それに対して第二次音調は第一次音調よりも細かく,下
降や上昇の度合いや,核以外の前頭部,頭部などを含んでいる。本論文で
はトーンズに関しては第一次音調の現象のみを扱うこととする。トーンズ
は,情報の観点から,また意思伝達の観点からではその音調がどのような性
質のものなのかということが変わってくる。情報の観点からでは,下降調は
主情報(m司o
r
),上昇調は発話の途中の場合に未完 (
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l
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t
e
),発話の最後
),下降上昇調はテーマを目立たせる(themeh
i
g
h
l
i
g
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e
d
)
では副情報(minor
ということと,話者が含み(i
m
p
l
i
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a
t
i
o
n)を持っているということを示すと
t
a
t
u
s)と呼んでいる。
されている。これを Tenchは,情報のステータス(s
以下の例は音調によって意味が変わる例である。( v)は下降上昇調を示す。
(
3
.
9
a
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6
言語と文化論集 No.10
(
3
.
9
a
)は情報の観点から主情報であり,「彼らはどんな学生も許可しない」
となり,( 3.9b)は下降上昇調が現われているため,含みとなり,意味は
「彼らはどんな学生も認めないわけではないj となる。
意思伝達においては下降調と上昇調の 2つの音調によって話者と聞き手
の関係性を表しているとしている。話者は陳述しているのか,質問してい
るのか,命令しているのか,依頼しているのかといったようなことである。
話者と聞き手の関係性において,下降調と上昇調の 2つの音調によってか
なりの部分が説明されうるというのが Tench(
1
9
9
6)の考えである。まず,
下降調を話者と聞き手の関係性においてドミナンス(dominance)とし,上
昇調をデファランス(de長r
e
n
c
e
)とする。ドミナンスは広い意味で,自分が
知っていること,自分主体ということであり,デファランスは自分の知ら
ないこと,相手依存,相手を思いやる気持ちということである。
(
3
.2
a
) Shutt
h
e'
−
笠
血 dow
(
3
.
2
b
) Shutt
h
e/盟旦dow
(
3
.2
a)の場合には下降調を伴っているため,
ドミナンスであり,意味は
「窓を閉めなさい」となる。(3.2b)は上昇調を伴っているため,デファラン
スであり,「窓、を閉めてくれませんか」といった意味になる。
4
. Tenchの理論の検証
本章では,上に述べた Tenchの理論をもとに実際の発話を分析し,それ
ぞれの現象を Tenchの理論によって説明しきれるのかどうかを発話分析す
ることによって検証する。ここでは物語の朗読,インタピュー,ニュース
の 3つのジャンルを分析した。すべてイギリス英語である。分析はトナリ
テイ, トニシティ, トーンズを考慮、に入れ,イントネーション単位の境界
を見つけ,核音調の生ずる情報の焦点を発見し,音調の種類を下降調,上
英語イントネーション体系についての考察
1
7
昇調,下降上昇調のうちどれであるかを聞き取る。その結果が Tench
(
1
9
9
6)の理論で説明しきれるのかどうかを検証する。下線は核音調,(|)
はイントネーション単位の境界,(\)は下降調,(/)は上昇調を,(\/)
は下降上昇調を示している。
4
.1 物語の朗読
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2,下降上昇調は 5であった。
り,そのうち下降調は 5
イントネーション単位はかなり細かく分かれており,話者は一つひとつ
の情報を丁寧に伝えようとしているという意図がうかがえた。ニュートラ
ルトナリテイはほとんどなく,文法的には 1つの文がいくつにも分かれ,
情報の単位として存在している。イントネーション単位を分けるという,
2
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トナリテイの働きによって情報が細かく処理されているのである。また 3
2
や3
6においては関係代名詞の制限,非制限という文法的な区別もしている。
ここには明確な意味の違いが存在している。
トニシティの観点、では,まずマークトトニシティである。この朗読では,
2
7と 2
8において,また, 3
2と 3
6において対照のマークトトニシティがあ
る
。 2
7と 2
8の対照は内容をわかりやすく伝えようとしたものと考えられ
るが, 3
2と 3
6の対照は話者が特に強調しているところであると思われる。
3
2も 3
6もニュートラルトニシティでもよさそうなところである。しかし,
話者はあえて g
o
o
dと M ヴに焦点を置いているのである。 3
6は 3
2での情報
e
t
e
rが本当にいたずら好きなウサギであるというこ
の焦点から考えても, P
とがうかがえるところである。 3
7もマークトトニシティである。ここも明
確な意味の違いが現れている。ニュートラルトニシティならば g
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tに核が置かれている。焦点を
が置かれるところであるが,ここは s
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tにすることによって,「畑に飛んでいった」という意味が付け加え
られている。 5
4もマークトトニシティとなっている。ここは最後のレキシ
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カルアイテムが旧情報となるため,ずれたものと思われる。 6
に核が置かれたマークトトニシティである。ここは「本当に怖かった」と
いうことを強調したいためにここに焦点が当てられたものと考えられる。
8もマークトトニシティ
ここも意味が明確に変わっているところである。 6
である。ここは最後のレキシカルアイテムが旧情報となっているため,焦
点がずれたものである。
トーンズに関しては,下降調が圧倒的に多く,上昇調,下降上昇調と続
く。下降上昇調は単にイントネーション単位をつなげる働きをするだけで
なく,話者が何か含みを持って話しているところである。この朗読では 5
つ現れている。まず 7において下降上昇調が現れている。 5
, 6の列挙に続
くならば 7も上昇調でもよさそうなところである。 7においては次のイン
e
t
e
rが登場することからも含みを
トネーション単位で物語の主人公である P
持った下降上昇調が使用されているところである。 1
4に関しでも同様のこ
4も「行ってもいいけれど…」といった意味になる。ここが
とが言える。 1
英語イントネーシヨン体系についての考察
2
1
下降調であるならば, 「行ってもいいわよ」となってしまう。 ここは 1
6で
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nという発話がくることからも,下降上
昇調であるべきところである。このように,音調の違いによって,意味の
違いがもたらされるのである。 2
1は 1
4とまったく同様である。ここも含
3は話の流れが変わる部分である。ここではテーマを目
みを持っている。 4
立たせる働きとして捉えられる。 ここからテーマが変わるということを示
しているのだと考えられる。 53についてもここがテーマとなって,次の発
話に続いていく。これらの下降上昇調が現れる部分は上昇調でもよさそう
に思えるが,内容と照らし合わせるとやはり下降上昇調のほうがよいとい
うことがわかる。 Tenchの理論と合致していると見てよいだろう。
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4あり,そのうち下降謂が 5
1,上昇調が 1
6,下降上昇調が 4であった。
トナリテイに関しては,核音調を持たないイントネーシヨン単位につい
1である。 7
4のイントネーション単位の
て触れておく。核音調の合計は 7
うち, 3つは核音調を持たない単位であった。 3
6はインタピュアが発話の
0
,6
1はインタピュアによる
途中に質問したために途切れたものである。 6
もので,言い方が定まらず,いろいろと言い方を変えた結果,核を持たな
い単位が出来上がったものと考えられる。従って,ここの部分は意味を持
たない,内容には影響を及ぼさない発話であると考えられる。インタビュ
ーもイントネーション単位の多い発話となっている。特に,インタピュー
されているほうの発話はかなり細かくイントネーション単位が分かれてい
る。話者が聞かれたことに対して,わかりやすく答えようとしていること
がうかがえる。
トニシティに関しては,多くがニュートラルトニシティであった。マー
クトトニシティの場合,やはり,その部分を強調したいために焦点が移っ
ているものと考えられる。 7もそうで,「本当に小さがった j ということを
強調したかったためにここに焦点が置かれているのである。 y
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く場合にはやはり,「小さかった」ということにのみ焦点がおかれ,意味が
変わってしまう。 8のf
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eに関しては年齢を対照させたものであると考え
られる。 1
9は h
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dに核が生じている,マークトトニシティである。ここで
の ねdの意味は「所有していたJということではなく「所有することにな
英語イントネーション体系についての考察 2
5
った」ということなのでここではそれが強調されたものと思われる。「ホテ
ルを所有していた」と「所有することになった」というのとでははっきり
意味が異なる。 23は s
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と考えられる。 41 もニュートラルで核が置かれるべき b
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eに核が置かれているものと考えられる。 4
9もマークトトニシ
るため, c
ティであるが,ここも β~gure が旧情報として扱われているものと考えられ
る
。 57 も向精i
である。 66 もマークトトニシティとなっているカ1 ここは
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aが新情報となっているのである。以上がマークトトニシティであるが,
旧情報であるのに核が置かれているところがある。 56の r
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ここは,話者が特に強調したかったところだと思われる。とにかく「立派
にJということを強調しているのである。このようにどこを強調して言う
かということが発話の意味に影響してくる。
トーンズに関しては,インタピュアの発話は 37の発話以外,すべて下降
e
sか n
oで答
調であった。下降調はドミナンスの発話で,話者は聞き手に y
えてもらいたいのではなく,聞いていることに対して意見を言ってもらい
たいのである。デファランスの投げかけの発話ではなく,「意見を言ってく
ださい」というある種,命令的な発話となっている。それに対して, 37は
上昇調を{半っている。これはインタピュアがインタビューを受けているほ
うがまだ話の途中であるのに割って入ったところである。ここでのインタ
ピ、ユアはデファランスの音調を使用することにより「質問しでもいいです
か」といった意味を込めたものと思われる。ただ「何年前ですか」と訊ね
るのとは意味が異なる。下降上昇調は 4つであった。そのうち, 1
8は次の
イントネーション単位の問にポーズがあり,言い方も変わってしまったた
9はテーマを目立たせるものと捉えられる。
め,放棄単位と考えられる。 4
53 も同様である。また 7
1 もテーマを目立たせるものであると捉えられる。
下降上昇調に関しては以上であるが,このインタピューの中にはまだデフ
アランスの発話が存在している。 52は文法的には陳述丈であるのに,上昇
調を伴っている。この部分は銀行の支店長の発話を再現しているのである
が,デファランスの発話にすることにより,「お金は貸せませんよ j という
言語と文化論集 No.1
0
2
6
投げかけの発話となっているのである。下降調であれば「お金を貸せませ
ん」となり,意味が変わってしまう。このように不自然と恩われる音調も
Tenchの理論を用いると説明がつく。
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以上が,ニュースに関する分析結果である。イントネーション単位は 5
7
あり,そのうち下降調が 4
3,上昇調が 4,下降上昇調が 1
0であった。
トナリテイに関しては,短い時間で多くのイントネーション単位が確認
された。短い時間で多くの情報を伝えている。特にイントネーション単位
が細かくなっているところは,内容的に見ても,かなり強調されるべきと
7から 2
1 まではイントネーション単位が細かく,最後の
ころであった。 1
単位は 1語のイントネーション単位となっている。情報を細かく分けるこ
5
,3
6に関しでも同様のことがいえ
とによって,強調しているのである。 3
6は i
sp
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rという 2語から成るイントネーシヨン単位であるが, p
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る
。 3
ということを強調しているものと思われる。 39 から 46 も同様である。 2~苦
から成るイントネーション単位が 2つある。情報の単位を細かくすること
により,わかりやすく伝えようとしているのである。
トニシティに関しては,ほとんどがニュートラルトニシティであった。
意味に関わる箇所は見あたらなかった。
トーンズに関しては,下降上昇調の数が上昇調の数を上回っていた。こ
れは意思伝達ということがニュースには存在していないためだと思われる。
ニュースは一方通行の発話であるために話者と聞き手のやりとりは成立し
ないのである。まず,上昇調であるが, 3
4で現れている。前の 3
3の発話
4の発話が副情報であると考えられる。上昇調で終わっている
が主情報で 3
のは不自然であるが,副情報であると考えると,内容とも一致し,説明が
英語イントネーション体系についての考察
2
9
つく。 4
9の上昇調についても 3
4と同様のことがいえる。 3
9と 5
4の発話は
未完の情報を示していると考えてよさそうである。下降上昇調はすべてテ
ーマを目立たせる働きをしていると理解できる。ニュースでは,普通,含
みは存在しないものである。
このように,ニュースはすべて情報のステータスの観点から音調を捉え
ることができる。情報の処理をし,情報のランク付けをしているのである。
ニュースは情報のステータスの点で, Tenchの理論と合致していた。
5
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*~e.6.
ロ日間
先行文献研究では英語のイントネーションについて歴史的に見てきた。
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tがイントネーションの働きに注目したのが始まりである。初期の頃
は音調の分析が盛んであり,その後体系付けを試みるようになった。多く
の研究者がイントネーションと文法の関係に注目し,文単位でイントネー
ションを体系付けようと試みてきた。その体系付けは次第に,イントネー
シヨンの機能の 1つである,心的態度にばかり重点を置いたものへと変化
していった。心的態度機能がイントネーションの働きのすべてであるよう
な研究が多くなっていったのである。しかし,心的態度というのは,かな
り微妙な面を持っており,研究者によって体系付けはさまざまであった。
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yは言語学的なイントネーション研究をし
こうした状況の中で, H
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の 3つを提案したのである。この画期的な提案が Tenchに受け継がれ,さ
らに発展した。 Tenchの体系付けが他の研究者と決定的に違うところは,
イントネーションが明確に意味に関わる,文法的意味に関わるものである
ということを示した点である。これまでの研究は心的態度などの微妙な面
ばかりにとらわれており,文法的な意味に関わるという働きについては目
が向けられていなかったのである。また情報の組織化,意思伝達機能の実
現などは Tenchが初めてイントネーションの機能として提案したものであ
3
0
言語と文化論集 N
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る。情報のステータスとして主要な音調のランク付けをしたり,話者と聞
き手との関係性におけるドミナンス,デファランスという機能を提案した
りした。基本的な音調を,意味との関わりにおいて一般化したということ
は注目すべきことである。
今回の研究,分析においては Tenchのトナリテイ, トニシティ, トーン
ズ(トーンズに関しては,第二次音調は考慮に入れない)の理論で,発話の
現象がほぼ説明できた。この理論は,かなり有力であるということがわか
った。もっと多くのジャンルの分析をすればさらにこの理論が有効である
ということが証明されていくことであろう。情報の組織化,意思伝達機能
の実現という新しい機能は明確なものであり,また,重要な機能であると
いえる。イントネーションが文法的な意味を変える機能を持っているとい
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, Tench以外の研究者は触れていないが,
うことには,これまで H
今後のイントネーション研究はこのような理論を基礎として発展してゆく
のではないかと予想される。この理論は,イントネーションが明確に意味
を規定するという観点から体系付けられており,決して感覚的なものでは
ないのである。
今回の研究では, Tenchの理論のうち,第一次音調まではその理論が有
効であるということがわかった。しかし,まだ心的態度機能については課
題が残されている。 Tenchもこの心的態度については,第二次音調のとこ
ろで議論してはいるが,体系付けには至っていない。この心的態度につい
ては,いろいろな観点から考察する必要があり,まだまだ発展途上の分野
であるといえる。
英語イントネーション体系についての考察
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目について y
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m)目、「文法項目」に含めている。しかし、 y白 t
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等はグラマテイカルアイテムに含めることにする。そのため、本論文では語柔項目と
いう訳語を使わずに、カタカナ表記を使用することとする。
i ここでは、上記のように、
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砂川均/刷物制宝グラマテイカルアイテムに含
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)と区別するためにカタカナ表記を
まれるため、一般的な文法項目(g
使用している。
参考文献
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