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システム保守・運用フェーズへの アジャイル開発手法適用の必要性
ESD21 「TPS/アジャイル開発フォーラム」 システム保守・運用フェーズへの アジャイル開発手法適用の必要性 株式会社中電シーティーアイ 技術・ビジネスソリューション事業部 ビジネスシステム部 大橋 正敬 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 00 本日の目次 1. 2. 3. 4. 電力業界を取り巻く状況と事業背景 システム継続利用への取り組み システム継続利用への取り組み アジャイル開発手法導入の取り組み アジャイル開発手法導入結果 アジャイル開発手法導入結果 4-1. STEP1の実施内容紹介および STEP1の実施内容紹介および評価 の実施内容紹介および評価 4-2. STEP2の STEP2の実施内容紹介および評価 実施内容紹介および評価 4-3. STEP3の STEP3の実施内容紹介 実施内容紹介 5. まとめ 6. おわりに All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 11 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 22 電力業界を取り巻く状況 平成23年3月11日の東日本大震災により福島第一原子力発電所の事故発 生以来,電力業界をめぐる状況は一変しました。 震災以降は,原子力政策や新エネルギー政策をはじめとする電気事業に係 る政策について見直しが議論されています。また,従来にも増して電力料金 に対して経済性が求められており,エネルギーおよび環境政策などの動向を 踏まえ,事業を運営していく必要があります。 発電のためのコストは,主に燃料費,設備関連費用(保全・減価償却費な ど),人件費,その他経費により構成されています。これら構成要素に対しコ スト削減への取り組みが行われおります。 このような状況において,情報分野においてもそのコスト削減を早期に実 現することで,電力会社に対する経済性に対し寄与する必要があります。 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 33 事業背景 想定される事業環境の変化を背景とした場合,以下のような状況になるもの と想定しています。 •保守・運用の領域が中心。 保守・運用の領域が中心。 別投資案件 •今後,電力事業環境の変化によって,保守・運用のコ 今後,電力事業環境の変化によって,保守・運用のコ 別投資案件 ストについて,更なるコスト削減が想定。 大規模開発PJ 大規模開発PJ 大規模開発PJ 大規模開発PJ 大規模開発PJ 大規模開発PJ 別投資案件 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 小規模発開発PJ 保守 保守 改良 改修 保守 保守 改良 改修 保守 保守 改良 改修 改良 改修 保守 保守 改良 改修 保守 保守 改良 改修 保守 保守 運用 運用 運用 運用 運用 運用 運用 運用 運用 運用 運用 運用 投資抑制 /先送り 電力改革に対応するための 重点投資案件の変更 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ コスト 削減 事業構造改革におけるコス ト削減の要望 44 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 55 システムの継続した利用のために システムを継続してご利用していただくには・・・ 「運用開始時のシステムを維持すればよ い」「障害時における対応を行う」だけ では,システムは老朽化し,ビックバン 開発に至ることになります。 どれだけ差が 無く対応でき るか 業務のののの高度化・・・・効率化 乖離の発生・ 増大 業務の改善 ビックバン システム保守・運用 開発 運用開始 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ システムとしても安定したサービス継続 システム保守・運営 を実現を継続しつつ,業務の改善活動な 維持 どの変化に如何にJust In Timeで対応で 障害対応 きるかが重要。 時間の経過 66 システムの継続した利用のために求められること システムを継続し,お客さまの業務を支えるためには,そのアプリケー ションのライフサイクル全般に対し,マネジメントする必要があります。 “DevOps” DevOps” “ALM” ALM” 開発 Prepare (準備) 準備) Optimize (最適化) 最適化) Application Life Cycle Operate (運用) 運用) Implement (開発・導入) 開発・導入) ビルド Plan (計画) 計画) Design (設計) 設計) 設計 開発 修正 運用管理 リリース テスト 保守・運用 運用 管理 継続的なフィードバック 開発から保守・運用を一体 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 77 ITサービス継続の方向性 保守工数 機能追加 リリース コスト 新規 システム開発 プロジェクト ・「開発」の完了後に「保守」と「運用」⇒3つの体制が独立し相互作用が少ない ・一定期間毎にビックバン開発 ⇒リスクが最大化 ・「開発」期間も「保守」「運用」が並行⇒ 2重メンテ,デグレード等が発生 システム老朽 システム老朽 化に伴う刷新 プロジェクト (機能追加で (機能追加で は対応しきれ 対応しきれ ない) ない) 経過時間 リリース リリース コスト 新規 システム開発 プロジェクト 次世代のITサービス 次世代の サービス “重点“ シフト ・「保守」「開発」「運用」が共通管理基盤を利用 ⇒ 3つの体制が相互に連携 ⇒リスクを最小化しながらシステムを最適化 ・小さな「開発」が短期間に保守の中で提供 ⇒1つ1つの改善施策の費用対効果が明確 ⇒一貫した情報システムの変化対応を提供 ・安定的な体制でのサービス提供と変化対応 継続的デリバリー 経過時間 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 88 次世代ITサービスの施策 【テーマ1 テーマ1】既存システムを活用した強みのさらなる強化 施策1:業務とITのモデル化とその活用スキル向上 施策2:既存システムの変化対応力強化の為のリファクタリングと再利用 【テーマ2 テーマ2】「保守」と「開発」を統合した新しい開発スタイルの確立 施策3:アジャイル開発 施策4: ITサービス提供基盤 【テーマ3 テーマ3】システム・リノベーション手法の確立 施策5:アプリケーション最適化を含むリノベーション手法 施策6:必要とされる技術の選定とソリューション 【テーマ4 テーマ4】プロセス・マネジメント手法の確立 施策7:継続改善を実現するためのプロセス・マネジメント手法のシステム 開発・保守への適用 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 99 アジャイルソフトウェア開発宣言 私たちは、ソフトウェア開発の実践あるいは実践を手助けをする 活動を通じて、よりよい開発方法を見つけだそうとしている。 この活動を通して、私たちは以下の価値に至った。 プロセスやツールよりも個人と対話を、 包括的なドキュメントよりも動くソフトウェアを、 契約交渉よりも顧客との協調を、 計画に従うことよりも変化への対応を、 価値とする。すなわち、左記のことがらに価値があることを 認めながらも、私たちは右記のことがらにより価値をおく。 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 1010 アジャイル開発手法適用における考慮点 ウォータースクラム+スクラムフォールへ陥らない。 ・【要件検討で時間をかけて構築に着手しない】 ・【スクラムで開発しているがデリバリーしない】 ⇒お客さまに価値が届かない これを如何に無くすかが進め方のポイントとしました。 アジャイル開発手法をEnterpriseとして適用するには,無秩序でスクラムを 実践するのではなく,計画・規律のあるアジャイル開発手法であることは必要 “ではなく,” ”として捉えま です。また,Agileは,“ す。 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 1111 アジャイル開発手法適用における考慮点 アーキテクチャーの指針と実現性確認や実施計画と予算の割り当て,それら を合意するフェーズです。 この時に「BxUF」に注意する必要があります。ウォーターフォールからアジ ャイルに移行するときは,この工程が「BxUF」となり,進まないことが見られ ます。 「 」 やりすぎない,作り込み過ぎない,実際に動くものを早く作ること。作った ものを検証するというプロセスに早く移行することは必要です。 プロジェクトの目的・方針など(=“ =“ビジョン”)を共有しない場合は,素早く =“ 着手できることになりますが,構築フェーズでのイテレーションを無駄にした り,間違った方向に進むこともあります。つまりビジョンは共有しておくこと が必要であり,そのためのインセプションデッキが重要になります。 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 1212 採用したアジャイル開発プロセス Enterprise Agile 取り入れるべきアジャイルプロセス スクラム 優先度の高い作業項 目の取出し 反復 【反復レビュー】 反復レビュー】 ステークホルダーに 対してシステムのデ モ実施。次回反復の ための資金調達およ び経験の活用 初期モデリン 初期モデリン グ,計画,体 制・組織構築 反復バック ログ 1回以上の短期反復 プロダク ション・ リリース フィードバック 機能拡張要求および障害報告 構築 移行 反復ごとに出荷可能を視野に入れたソリューションを生成する多数の反復 重要な工程:方向付 重要な工程:方向付 けフェーズ All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ プロダクショ ンの操作とサ ポート タスク 作業項目 方向付け 日時ミーテ ィング 日時 作業 初期アーキテクチャ構想 ウォーター・スクラ ウォーター・スクラ ム・フォールになら ム・フォールになら ないようにする 1回以上の 回以上の短期反復 インセプションデッキ (ビジョン共有など) ビジョン共有など) 1313 取り入れているALMプロセスの概要 システムのライフサイクル う 開発(PG 開発(PG・テスト・リリース) PG・テスト・リリース) 開発 準備 計 画 ふ り か え り ふ り か え り 計 画 要件 バックログ プ ロ ジ ェ ク ト 完 了 計 画 ふ り か え り シ ス テ ム 破 棄 リリース システム 設計 評価 要件 定義 評価 業 務 要 件 運用・保守 う 要 望 課題 不具合 ※バックログ:要件,課題,不具合等 を管理する集合体 方向付け 優先度の高いもの から実施する(JIT) RAD:繰り返し 優先度の高いもの から実施する(JIT) RAD:繰り返し 構築 ※イテレーション:計画からリリースまでのサイクル 移行 一貫した共通作業基盤 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 1414 アジャイル開発手法導入の概略スケジュール ステップ1:アジャイルの基本の型をそのまま取り入れて実践する。 合わせて,アジャイルの基盤ツールとして共通作業基盤を導入する。 ステップ2:改善のサイクルにより,アジャイル基本の型を自分たちのやり方に改良する。 (品質改善活動の導入など) ステップ3:アジャイル開発のテスト,品質の領域にツールを含めた改良に着手する。 9月 月 10月 月 11月 月 12月 月 1月 月 2月 月 3月 月 アジャイ ルの立ち 上げ 共通作業 基盤によ る計画づ くりと進 捗管理 共通作業 基盤によ るソース 管理を追 加 共通作業 基盤によ るビルド 自動化 品質改善 活動の実 施・欠陥 分析 品質改善 活動の実 施・欠陥 分析 品質改善 活動の実 施・欠陥 分析 回帰テス ト,テス ト自動化 の導入 回帰テス ト,テス ト自動化 の導入 回帰テス ト,テス ト自動化 の継続 構築1 構築4 構築12 構築14 ワーク ショップ 構築11 構築10 構築9 構築8 構築17 構築16 構築15 構築13 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 構築7 ステップ3 アジャイル展開 ・アジャイル開発 ・テスト自動化 構築6 ステップ2 ステップ2 アジャイル継続 ・アジャイル開発 ・品質改善 構築5 8月 月 構築3 7月 月 構築2 ステップ1 アジャイル導入の 評価 ・アジャイル開発 6月 月 1515 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 1616 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 1717 STEP1の実施概要 STEP1 アジャイル導入評価 アジャイルの基本の型を守る STEP2 アジャイル継続 自分たちのやり方に合わせて型を破 る STEP3 アジャイル展開 基本,自分たちのやり方を展開 2013年6月~8月 2013年10月~12月 2014年1月~3月 •アジャイルの基本の型をそのまま取 管理ツールとコミュ り入れる •アジャイルの基盤ツールとして共通 ニケーション,協業, 作業基盤を導入する •改善のサイクルによりアジャイル基 本の型を自分たちのやり方に改良す る(スキル,手法中心でツール活用 は次フェーズ) ・アジャイル品質 ・アジャイルテスト ・アジャイル要求管理 •ツールを含めた改良に着手する ・テストツール ・共通作業基盤によるストーリー 管理 3Cリズムでどこま 3Cリズムでどこま で生産性・品質面に 影響があるのか? 上流工程での品質向 上のためにリリース 関連の自動化で全体 【ゴール】 プロセスの時間短縮 •共通作業基盤の展開スキルを身に付 ける 【ゴール】 •アジャイルの基本のリズムを習得し, 【ゴール】 •自分たちのアジャイルの型を確立し, •自分たちのアジャイル開発のテスト, 自分たちだけで実践できる 品質,要求の領域にツールを含めた •セットアップされた環境で共通作業 独力で展開できる •プロジェクトの立ち上げ含め共通作 改善の着手 基盤を使いこなせる 業基盤を使いこなせる All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 1818 STEP1のアジャイル適用評価 自己診断結果について Bチーム Aチーム スキル項目 •ビジョン ビジョン •ユーザーストーリー ユーザーストーリー •反復 反復 •コラボレーション コラボレーション ポイントの変化(開始前→ ポイントの変化(開始前→完了時) 2.0→ 2.0→ 3.0 1.5→ 1.5→ 3.0 1.5→ 1.5→ 3.0 1.3→ 1.3→ 3.0 •スキル項目 スキル項目 •ビジョン ビジョン •ユーザーストーリー ユーザーストーリー •反復 反復 •コラボレーション コラボレーション ポイントの変化(開始前→ ポイントの変化(開始前→完了時) 1.8→ 1.8→3.0 1.6→ 1.6→3.0 1.4→ 1.4→2.7 1.4→ 1.4→4.2 レーダーチャート レーダーチャート 共同作業 共同作業 ビジョン ビジョン リフレクション 3.0 0.0 0.0 コラボレーション ユーザストーリ 単体テストの自 動化 リフレク ション 3.0 コラボレー ション ユーザス トーリ 反復 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 単体テスト の自動化 反復 1919 STEP1のアジャイルとウォーターフォールの比較 ウォーターフォール型開発と今回の取り組みで実施した アジャイル開発において,参加メンバーの感想を計測。 コミュニケーションや協業,意識改革の面を重点で実施 した結果,狙った項目について改善(効果)があるとの結 果でした。 また,左記レーダーチャートから見て,プログラミング やテストなどを表す「スキル」については,実施対象外 であったことからウォーターフォールと同等のままとい う結果でした。 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 要求が曖昧であったためオーナー 側の負荷が大きくなった。 オーナー側の負荷を軽減するため に要求提示段階で品質を確保する 取り組みが必要。 ⇒STEP2のテーマ 2020 STEP1のアジャイル開発手法適用における生産性評価 当初見積工数とアジャイル開発の実績工数との差異を生産性として捉えました。 実績工数 計画工数 8.10人月 開発(製造)工数 方向付け,イテレーション 計画・振り返り工数 5.50人月 1.15人月 計画 ― 実績 1.45人月 人月 実績工数 月月月月 7 計画工数 2.07人月 工数削減率 (=生産性向上率) 18% 開発(製造)工数 方向付け,イテレーション 計画・振り返り工数 計画 ― 実績 工数削減率 (=生産性向上率) 2.05人月 0.40人月 ▲0.38人月 ▲18% ※7月度は,従来からのプロジェクト管理方法と共通作業基盤での管理の2重管理を実施していたことから工数増となりました。 実績工数 8888月月月月 計画工数 6.03人月 開発(製造)工数 方向付け,イテレーション 計画・振り返り工数 計画 ― 実績 工数削減率 (=生産性向上率) 3.45人月 0.56人月 2.02人月 33% ※8月度は,共通作業基盤で一元管理としました。 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 2121 STEP1のアジャイル開発手法適用における品質評価 本番リリース後の障害件数を評価値としました。 一般的にはプログラム本数が多いほど,障害が多く発生する傾向となります。 連絡票・障害発生件数 100 250 発生件数 90 障害件数 80 障害累計件数 累積発生数量 77 81 84 84 200 70 リリースソース本数 65 60 60 150 56 50 40 42 33 30 27 25 17 16 16 10 リリース規模 による障害発 生の関連無し 34 25 25 20 51 48 9 7 7 00 16 8 15 6 2 13 9 5 3 5 54 8 5 5 6 4 5 1 32 3 1 4 2 0 4/19 4/26 5/3 5/10 5/17 5/24 5/31 6/7 6/14 6/21 6/28 7/5 7/12 7/19 7/26 8/2 8/9 11 33 100 リリースソース本数 70 75 74 80 78 50 00 0 8/16 8/23 8/30発生日付 アジャイル開発手法適用 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 2222 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 2323 STEP2の実施概要 STEP1 アジャイル導入評価 アジャイルの基本の型を守る STEP2 アジャイル継続 自分たちのやり方に合わせて型を破 る STEP3 アジャイル展開 基本,自分たちのやり方を展開 2013年6月~8月 2013年10月~12月 2014年1月~3月 •アジャイルの基本の型をそのまま取 り入れる •アジャイルの基盤ツールとして共通 作業基盤を導入する •改善のサイクルによりアジャイル基 本の型を自分たちのやり方に改良す る(スキル,手法中心でツール活用 は次フェーズ) 上流工程で品質を確 ・アジャイル品質 保するための施策を ・アジャイルテスト ・アジャイル要求管理 実施( 実施(上流工程に時 •ツールを含めた改良に着手する ・テストツール ・共通作業基盤によるストーリー 管理 間をかける) 間をかける)。 •共通作業基盤の展開スキルを身に付 ける従来の欠陥を分析し テスト自動化で有効 な部分の見極め。 【ゴール】 【ゴール】 •アジャイルの基本のリズムを習得し, 【ゴール】 •自分たちのアジャイルの型を確立し, •自分たちのアジャイル開発のテスト, 自分たちだけで実践できる 品質,要求の領域にツールを含めた •セットアップされた環境で共通作業 独力で展開できる •プロジェクトの立ち上げ含め共通作 改善の着手 基盤を使いこなせる 業基盤を使いこなせる All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 2424 STEP2の品質改善活動の定量評価 欠陥マスターを利用し,フォーマルインスペクション手法によるビューを実 施したことによる,仕様の欠陥検出結果を以下に示します。 検出欠陥数: 1.6 倍 従来のレビュー 実施人数 4名 総工数 80人・時間 検出欠陥数 26 箇所 レビュー密度 1.3 個 / 時 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ フォーマルインスペクション レビュー 4名 76人・時間 41 箇所 2.2 個 / 時 2525 STEP1とSTEP2のチーム生産性評価 アジャイル開発手法適用により チームの生産性が向上 品質改善活動 仕様の品質が高い レベルで安定 この時点を 1.0とした とした 仕様の品質のばらつきにより, 1イテレーション内での作業が未達成 (イテレーション内の手戻り作業が発生) All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 残業時間が減少し 生産性向上 2626 STEP1とSTEP2の品質評価と生産性 3カ月の平均値として比較するとアジャイル開発手法の適用後は品質が安定 生産性としてはSTEP2はアジャイル適用前の1.6倍 アジャイル適用前(3カ月) STEP1 (3カ月) STEP2 (3カ月) アジャイル適用 リリースソース本数:390 リリースソース本数:390(本) 390(本) 開発者:2(人) 生産性:180(本/人) All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ リリースソース本数:836 リリースソース本数:836(本) 836(本) 開発者:4(人) 生産性:209 生産性:209(本/人) 209(本/人) リリースソース本数:879 リリースソース本数:879(本) 879(本) 開発者:3 開発者:3(人) 生産性:293 生産性:293(本/人) 293(本/人) 2727 STEP2完了後のアジャイル開発手法に対するオーナー側の意見 <アジャイル導入時点> ・新しい取り組みを,先行してやる必要はない。 (他社の導入実績を確認したうえで取り組みたい) ・新しい取り組みにより,新たな問題が増えそう(不安) ・アジャイル開発により遅延が発生するようであれば,即時に中止したい。 ・オーナー側(情報システム部)の作業が増えそうなので取り組みたくない。 <STEP1完了時点> STEP1完了時点> ・開発・進捗状況が明確になり,合理的な進め方が可能になった。 ・確認時点での不具合が減り,品質が向上した。 ・無駄な開発が削減され,開発費用が抑制された。 ・以前よりも作業と責任範囲(仕様の責任)が広がったように感じる。 ・オーナー側と開発側の連携が密になり,いち早く価値を享受できることが実感できた。 <STEP2完了時点> STEP2完了時点> ・コミュニケーションが密になり,リリースまでの期間が短くなった。 ・アジャイル開発に対して拒絶感がなくなった。 ・作業量は増加したものの,主管部署との仕様調整の重要性が明確となった。 ・今の開発体制を維持したい(維持するために予算等の問題はある)。 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 2828 STEP2完了後のアジャイル開発手法に対する開発側の意見 <アジャイル導入時点> ・運開直後であるため,新しい運用ルールやツール導入はリスクが高い。 ・突発作業がある状況下で,新しい取り組みをすると遅延が発生する。 ・アジャイル開発は,要望が発散し作業量が増えそう。 ・アジャイル開発を取り入れたことによる失敗が怖い。 <STEP1完了時点> STEP1完了時点> ・構成管理等の負荷が下がり,作業時間(設計,PG)を十分に確保することができる。 ・短い間隔でリリースができるため,短期間で達成感が得られる。 ・以前よりも顧客要望が理解度が上がり,修正方法・箇所が明確になった。 ・顧客側が,開発側の状況をリアルタイム確認できるため,言い訳ができない。 ・お互い優先度に関して共通認識があるため,無理な要求が抑制できる。 ・アジャイル開発への不安はなくなった。 <STEP2完了時点> STEP2完了時点> ・品質に対して,結果の評価だけでなく,プロアクティブな取組みに意識が変わった。 ・アジャイル開発をすることが当たり前になった。(改善活動への拒絶感がなくなった) ・仕様レビューのやり方,考え方が大幅に変わった。 ・各々の要求の目的を考えるようになった。 ・今回のアジャイル開発に参加(経験)できたことを感謝している。 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 2929 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 3030 STEP3の実施概要 STEP1 アジャイル導入評価 アジャイルの基本の型を守る STEP2 アジャイル継続 自分たちのやり方に合わせて型を破 る STEP3 アジャイル展開 基本,自分たちのやり方を展開 2013年6月~8月 2013年10月~12月 2014年1月~3月 •アジャイルの基本の型をそのまま取 り入れる •アジャイルの基盤ツールとして共通 作業基盤を導入する •改善のサイクルによりアジャイル基 本の型を自分たちのやり方に改良す る(スキル,手法中心でツール活用 は次フェーズ) ・アジャイル品質 ・アジャイルテスト ・アジャイル要求管理 •ツールを含めた改良に着手する ・テストツール ・共通作業基盤によるストーリー 管理 •共通作業基盤の展開スキルを身に付 ける テスト自動化の仕組 みの導入による【 みの導入による【更 なる】 なる】工期短縮と品 質向上への取り組み。 【ゴール】 【ゴール】 •アジャイルの基本のリズムを習得し, 【ゴール】 •自分たちのアジャイルの型を確立し, •自分たちのアジャイル開発のテスト, 自分たちだけで実践できる 品質,要求の領域にツールを含めた •セットアップされた環境で共通作業 独力で展開できる •プロジェクトの立ち上げ含め共通作 改善の着手 基盤を使いこなせる 業基盤を使いこなせる All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 3131 自動化の概要 共通作業基盤リポジトリ 共通作業基盤リポジトリ ビルドサーバー テストサーバー テスター用端末 1.転送 リンク (変更セット) ソースコード 3.デプロイ 2. ビルド 4.テスト記録 ワークアイテム 6.テストスクリプト コピー(完成後) 11.回帰テスト実行 9. 回帰テスト実行依頼 テスト結果 10.コピー テストケース 回帰テスト用端末 5.テストケース作成 7.スクリプト紐付け 8.回帰テスト実行依頼 12.結果確認 テスター用端末 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ テストスクリプト 共用ロケーション 青字の作業がツールによ る自動化処理 3232 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 3333 アジャイル開発は,その類似した開発方法として反復開発などがあります が,決定的に異なります。 アジャイル開発は,そのリリースの速さも特徴の1つですが,共同作業・協 共同作業・ 協業・チーム力として洗練されている必要があること 業・チーム力として洗練されている必要があるこ とが最も大きな特徴だ と考えました。また,厳格に時間単位についてもマネジメントされる必要が あります。 アジャイル開発チームに属するメンバーの意識改 これらを実施するには,アジャイル開発チームに属するメンバーの意識改 革が必要 革が必 要になります。変えていくこと,チャレンジしていくことへのモチ ベーションを向上させ,それを維持し続ける必要があります。 先述の生産性及び品質の評価だけではなく,アジャイル開発に従事したメ 変革することに対し高いモチベーションを維持できている ーことが ンバーがディシプリンド・アジャイル・デリバリ 大きな効果でもあります。 アジャイル開発手法の第1弾の導入については,如何にメンバーの意識を変 えるか,変化することへの取り組みに対し抵抗をなくせるかが重要なポイン トです。 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 3434 ご覧いただきました通り,システム開発・保守・運用は,お客さまの変化 に柔軟な対応を行うことと,システム稼働の安定の両方を実現していかなけ ればなりません。また,変化対応については,如何にお客さまの希望時期に 提供できるかが重要です。 そのような状況で,システム保守・運用業務の重 ソフトウェア 要がますます高まり,それに伴い,担当者のモチ 工学 ベーションも重要な要素です。 【アプリケーション統制 アプリケーション統制】 アプリケーション統制 われわれは,システム開発・保守・ ・フレームワーク ・DB (DOA) 運用に,ソーシャル工学的要素を取り ・オブジェクト指向 入れており,そのソーシャル的な要素 プロジェクト システム ソーシャル の体系化に,アジャイル開発手法を適 開発 管理 工学 用しています。 保守 【プロジェクトの自律 プロジェクトの自律】 プロジェクトの自律 【プロジェクト内の統制 プロジェクト内の統制】 プロジェクト内の統制 運用 ・3Cリズム システムを長くご利用頂くために ・進捗管理 (調整,協同,完成) は,保守・運用プロセスにおいてア ・品質管理 ・コミュニケーション ジャイル開発手法的要素を取り込む必 ・構成管理 ・モチベーション 要があるといえます。 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 3535 All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 3636 今回,このような発表の機会を与えていただき,ありがとうございます。 また,アジャイル開発の導入において,第1段階ではありますが,成功と 言ってよい成果が得られたと思っております。 アジャイル開発については,その取り組みが始まったばかりですが,さらに 発展させることで,大きな変化が想定される電力業界においても,情報システ ム分野として貢献できるよう,邁進していきたいと思っております。 また,電力業界以外においても,本取り組み結果にご興味を持っていただけ るよう,さらに尽力していきたいと思っております。 お集まりの皆様におきまして,ご参考になれば幸いです。 ありがとうございました。 内容等についてのお問い合わせは,[email protected] [email protected] までお願いいたします。 内容等についてのお問い合わせは, All Rights Reserved, Copyright ⓒ 2014 株式会社中電シーティーアイ 3737