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リコールに関する我が国の状況について

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リコールに関する我が国の状況について
資料3−1
リコールに関する我が国の状況について
Ⅰ 回収に関する法制度上の一般原則
−消費者基本法第11条関係
国は、国民の消費生活における安全を確保するため、商品及び役務
ついての必要な基準の整備及び確保、安全を害するおそれがある商品
の事業者による回収の促進、安全を害するおそれがある商品及び役務
に関する情報の収集及び提供等必要な施策を講ずるものとする
列挙事項
①安全を害するおそれのある商品の事業者による回収
②安全を害するおそれのある商品・役務に関する情報の収集・提供
1
Ⅱ 製品別にみた回収に関する法制度の概要
2
1.消費生活用製品
:
−消費生活用製品安全法(昭和48年6月6日法律第31号、
最終改正:平成18年法104(未施行))
事業者の責務(改正第38条関係)
製造・輸入業者の回収責務
消費生活用製品の製造又は輸入の事業を行う者は、その製造又は輸入に係る消費生活用製品について製品事故が生じた場合には、当該製品事故が
防止するための措置をとるよう努めなければならない(第1項)
販売事業者が自主回収に協力する義務
消費生活用製品の販売の事業を行う者は、製造又は輸入の事業を行う者がとろうとする第38条第1号の回収その他の危害の発生及び拡大を防止する
ための措置に協力するよう努めなければならない(第2項)
販売事業者が危害防止命令(第39条第1項)による回収に協力する義務
消費生活用製品の販売の事業を行う者は、製造又は輸入の事業を行う者が39条(危害防止命令)の規定による命令を受けてとる措置に協力しなけれ
ばならない(第3項)
危害防止命令
【改正第32条】
主務大臣は、次の各号に掲げる事由により一般消費者の生命又は身体について危害が発生するおそれがあると認める場合において、当該危害の発生及び拡
大を防止するため特に必要があると認めるときは、当該各号に規定する者に対し、販売した当該特定製品の回収を図ることその他当該特定製品による一般消費
者の生命又は身体に対する危害の発生及び拡大を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる
一 特定製品の製造、輸入又は販売の事業を行う者が第四条第一項の規定に違反して特定製品を販売したこと
二 届出事業者がその届出に係る型式の特定製品で技術基準に適合しないものを製造し、輸入し、又は販売したこと(第十一条第一項ただし書の規定の適用
を受けて製造し、又は輸入した場合を除く)
【改正第39条第1項】
主務大臣は、消費生活用製品の欠陥により、重大事故が生じた場合その他一般消費者の生命又は身体について重大な危害が発生し、又は発生する急迫した
危険がある場合において、当該危険の発生及び拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、第32条の規定又は政令で定める他の法律の規定にもとづ
き、必要な措置をとるべきことを命ずることができる場合を除き、必要な限度において、当該消費生活用製品の製造又は輸入の事業を行う者に対し、その製造又
は輸入に係る当該消費生活用製品の回収を図ることその他当該消費生活用製品による一般消費者の生命又は身体に対する重大な危害の発生及び拡大を防止
するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる
3
2.電気用品
−電気用品安全法(昭和36年11月16日法律第234号、
最終改正:平成17年7月26日法87)
改善命令(第11条関係)
経済産業大臣は、届出事業者(第3条所定)が第8条第1項の規定に違反していると認める場合
には、届出事業者に対し、電気用品の製造、輸入又は検査の方法その他の業務の方法の改善
に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる
危険等防止命令(第42条の5関係)
経済産業大臣は、次の各号に掲げる事由により危険又は障害が発生するおそれがあると認める
場合において、当該危険又は障害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、当該
各号に規定する者に対し、販売した当該電気用品の回収を図ることその他当該電気用品による
危険及び障害の拡大を防止するために必要な措置をとるべきことを命ずることができる
1号:電気用品の製造、輸入又は販売の事業を行う者が27条第1項の規定に違反して電気用品を販売した
こと
2号:届出事業者がその届出に係る型式の電気用品で技術基準に適合しないものを製造し、輸入し、又は販
売したこと(第8条第1項ただし書きの適用を受けて製造又は輸入した場合を除く。)
4
3.ガス用品
−ガス事業法(昭和29年3月31日法律第51号、
最終改正:平成18年6月2日法律第50号)
改善命令(第39条の13関係)
経済産業大臣は、届出事業者が39条の10第1項の規定に違反していると認める場合には、届出事業者に対し、
ガス用品の製造、輸入又は検査の方法その他の業務の方法の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずるこ
とができる
災害防止命令(第39条の18関係)
経済産業大臣は、次の各号に掲げる事由により一般消費者等の生命・身体についてガスによる災害が発生する
おそれがあると認める場合において、当該災害の拡大を防止するため特に必要があると認めるときは、当該各号
に規定する者に対し、その販売又は製造した当該ガス用品の回収を図ることその他当該ガス用品による一般消費
者等の生命又は身体についての災害を防止するため必要な措置をとるべきことを命ずることができる
•
•
1号:ガス用品の製造・輸入・販売事業者が第39条の3第1項の規定に違反してガス用品を販売したこと
2号:届出事業者が届出に係る型式のガス用品で第39条の10第1項の経済産業省令で定める技術上の基
準に適合しないものを製造し、輸入し、又は販売したこと(同項ただし書きの適用を受けて製造し、又は輸入し
た場合を除く。)
5
4.液化石油ガス器具
− 液化石油ガスの保安の確保及び取引の適正化に関する法律
(昭和42年12月28日法律第149号、最終改正:平成18年6月2日法50)
改善命令(第49条関係)
経済産業大臣は、届出事業者が第四十六条第一項の規定に違反していると認める場合には、
届出事業者に対し、液化石油ガス器具等の製造、輸入又は検査の方法その他の業務の方法
の改善に関し必要な措置をとるべきことを命ずることができる
災害防止命令(第65条関係)
経済産業大臣は、次の各号に掲げる事由により一般消費者等の生命又は身体について液化
石油ガスによる災害が発生するおそれがあると認める場合において、当該災害の拡大を防止
するため特に必要があると認めるときは、当該各号に規定する者に対し、その販売し、又は製
造した当該液化石油ガス器具等の回収を図ることその他当該液化石油ガス器具等による一般
消費者等の生命又は身体についての災害の拡大を防止するため必要な措置をとるべきことを
命ずることができる
1号 液化石油ガス器具等の製造、輸入又は販売の事業を行う者が第39条第1項の規定に違反して
液化石油ガス器具等を販売したこと
2号 届出事業者がその届出に係る型式の液化石油ガス器具等で第四十六条第一項の経済産業省
令で定める技術上の基準に適合しないものを製造し、輸入し、又は販売したこと(第四十六条第
一項ただし書の規定の適用を受けて製造し、又は輸入した場合を除く)
6
5.家庭用品
−有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律
(昭和49年9月26日政令第334号、最終改正:平成16年3月17日政令40)
事業者の責務(第3条関係)
家庭用品の製造又は輸入の事業を行なう者は、その製造又は輸入に係る家庭用品に含有される物質の
人の健康に与える影響をはあくし、当該物質により人の健康に係る被害が生ずることのないようにしなけ
ればならない
回収命令等(第6条関係)
<厚生労働省令において基準が定められている家庭用品の回収>
厚生労働大臣又は都道府県知事は、第四条第一項又は第二項の規定により基準が定められた家庭用品の
製造、輸入又は販売の事業を行う者がその基準に適合しない家庭用品を販売し、又は授与したことにより人
の健康に係る被害が生ずるおそれがあると認める場合において、当該被害の発生を防止するため特に必要
があると認めるときは、その者に対し、当該家庭用品の回収を図ることその他当該被害の発生を防止するた
めに必要な措置をとるべきことを命ずることができる
<厚生労働省令において基準が定められていない家庭用品の回収>
厚生労働大臣又は都道府県知事は、家庭用品によるものと認められる人の健康に係る重大な被害が生じた
場合において、当該被害の態様等からみて当該家庭用品に当該被害と関連を有すると認められる人の健康
に係る被害を生ずるおそれがある物質が含まれている疑いがあるときは、当該被害の拡大を防止するため
必要な限度において、当該家庭用品の製造又は輸入の事業を行なう者に対し、当該家庭用品の回収を図る
ことその他当該被害の拡大を防止するために必要な応急の措置をとるべきことを命ずることができる
7
6.自動車
−道路運送車両法(昭和26年6月1日法律第185号、
平成18年6月2日法律第50号一部改正)
(1)リコールの勧告・命令(第63条の2関係)
基準不適合自動車を製作し、又は輸入した自動車製作者等に対し、当該基準不適合自
動車を保安基準に適合させるために必要な改善措置を講ずべきことを勧告することがで
きる(第1項)
基準不適合特定後付装置を製作し、又は輸入した装置製作者等に対し、当該装置を保安
基準に適合させるため必要な改善措置を講ずべきことを勧告することができる(第2項)
国土交通大臣は、自動車製作者等に対して、一定の場合に、改善措置を命令することが
できる(第5項)
8
(2)リコールの届出・変更指示・実施状況報告・技術的検証
−道路運送車両法63条の3関係
自動車製作者等は、改善措置を講じようとするときは、あらかじめ、国土交通大臣に、保安基準不適合
の状況・原因や、改善措置の内容について届出義務を負う(第1項、第2項)
届け出に係る改善措置の内容について、国土交通大臣は一定の場合に変更を指示することができる
(第3項)
リコール届出事業者は、改善措置の実施状況について国土交通大臣に対して報告義務を負う(第4項)
国土交通大臣は、1項及び2項の勧告を行おうとする場合において、一定の場合に技術的な検証を独立
行政法人交通安全環境研究所に行わせる(第5項)
交通安全環境研究所は、前項の技術的検証の結果を遅滞なく国土交通大臣に通知しなければならない
(第6項)
9
(3)独立行政法人交通安全環境研究所
−リコール技術検証部
•
道路運送車両法の一部改正(第164国会)にもとづいて設置
•
自動車の設計・製造に関する専門家を技術検証官として採用し、道路運送車両法にもとづ
く技術的な検証を行う
•
技術的な検証は、
– 部品の耐久性に原因がある場合に、自動車製作者等の説明が実情と合致するかどう
かを確認するため、実際の部品を用いた耐久試験
– 自動車ユーザーからの不具合情報と自動車製作者等の説明に齟齬が生じている場合
の再現実験
– 自動車製作者等から提出された改善措置でもって不具合情報を全て改善することが
できるかどうかを確認する試験
等
を内容とする
•
これらを総合的に検証して、不具合の原因を大臣に通知する
10
(4)リコールに係る不正行為再発防止策の概要
1.不具合情報収集の強化
(1)情報収集の強化
①不具合情報ホットラインの活用
ユーザーから、電話やホームページを通じて、自ら所有する自動車の不具合情報について提供を受けている。
この不具合情報ホットラインをユーザーにPRするため、17年度以降新聞広告、ラジオCM等広報活動を実施。
②自動車メーカーから重大な不具合情報の報告
自動車メーカーから安全上重要な情報について、四半期毎に報告を求めることとした
③運送事業者からの車両故障発生状況報告の充実
自動車事故報告規則を17年1月に改正し、運送事業者からの事故報告対象として、重要部品の破損・脱落事故
に加えて、車両故障により運行ができなくなった事故についても対象とすることとした
(2)車両不具合事故に係る情報収集の強化
警察から車両の不具合に原因があると思われる事故情報の提供、運輸局、支局の専門官及び必要に応じてリコール
調査員を派遣し実況見分への立会等事故情報収集の強化(16年9月から実施)
2.欠陥車関連業務監査の強化
(1)監査体制の充実
疑義あるメーカーに対して集中的な監査を実施
(2)販社に対する重点的な立入検査の実施
自動車販売会社に対する立入検査を重点的に実施
3.技術的検証体制の強化
(1)技術的検証体制の整備
高度な経験・知識を有する専門家によるリコール調査員室を(独)交通安全環境研究所に設置し、専門性、透明性のあ
る実証的なリコール案件の調査、技術的検証体制を整備(16年11月)
(2)技術的検証業務の法定化
道路運送車両法及び独立行政法人交通安全環境研究所法において技術的検証業務に係る規定を整備(第164回国会
にて成立 18年5月施行)
11
(5)道路運送車両法等の一部を改正する法律(第164国会において成立)
−道路運送車両法・独立行政法人交通安全環境研究所法の一部改正
リコール制度の充実に関する改正内容:リコール隠し等の不正行為が再発しないように、独立行政法人交通安全環境研究所
の業務に、自動車の欠陥の原因を実車試験などにより検証する業務を位置づけるなど、リコールの内容を詳細に分析する体
制をつくる
国
技術的な検証の指示
(独)交通安全環境研究所
書類・報告・情報
及び検証結果を
基に分析・判断
結果の通知
研究所テストコース等にて実車等を
用いた技術的な検証を行う
国による
立入検査時、
調査を行う
報告徴収・
立入検査
(監督の強化)
自動車メーカー
情報提供
(情報収集体制の強化)
自動車ユーザー
12
7.医薬品・医療機器
−薬事法(昭和35年8月10日法律第145号、
最終改正:平成18年6月21日法律第84号)
(1)回収等危害の防止措置
1.回収命令(薬事法70条)−厚生労働大臣・都道府県知事は、製造販売の承認を取り消された医
薬品・医療療機器又は不良な原料・材料について、廃棄・回収その他公衆衛生上の危険発生防止措置
の命令権限をもつ
–
–
–
参考)70条回収命令の案件
○国による回収命令:
平成14年度2件、平成16年度1件
○都道府県による回収命令:平成13年度2件、平成14年度1件
2.製造販売業者等の回収等の義務(77条の4①)−医薬品、医薬部外品・化粧品・医療機器の
製造販売業者等は、製品の使用によって保健衛生上の危害が発生、拡大するおそれがあることを知っ
たときは、廃棄・回収・販売停止・情報提供その他の危害防止措置を講じる義務を負う
3.副作用等の報告義務(77条の4の2)−医薬品等の副作用等に関する一定の事項を知ったとき
は、製造販売事業者等は、厚生労働大臣に対し報告する義務を負う
4.回収(自主回収を含む)の報告義務(77条の4の3)−医薬品等の製造販売業者等は、医薬
品等の回収(70条の場合の回収を除く)に着手したときは、厚生労働大臣に対してその旨を報告する義
務を負う
参考 回収着手報告制度の経緯
–
–
–
平成6年度 回収報告制度のスタート
平成9年度 回収報告制度の法制化(薬事法)
平成12年度 回収事例のクラス分類及びインターネット上での公開開始
13
(2)「医薬品等の回収について」
−(平成12年3月8日各都道府県知事あて厚生省医薬安全局長通知)
医薬品等の回収に関する監視指導要領
•
回収の定義
• 製造販売業者等がその製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医
療品等を引き取ること、又は「改修」することをいう。ただし、「在庫処理」
及び「現品交換」を除く。また、製造販売業者等が新製品の販売に当たり、
品質、有効性及び安全性に問題のない旧製品を置き換える行為を除く
• 「改修」とは、製造販売業者等がその製造販売をし、製造をし、又は承認
を受けた医療機器を物理的に他の場所に移動することなく、修理、改良、
調整、廃棄又は監視(患者のモニタリングを含む)を行うことをいう
回収着手報告
回収終了報告
医薬品等の回収情報の提供方法に関する要領
情報提供に関する基本的考え方(クラス分類・・健康への危険性の程度)
インターネットによる情報提供(医薬品医療機器総合機構HP;厚生労働省HP)
14
① 製品危険度のクラス付け
•
分類・・「健康被害の発生又はそのおそれの程度」による
クラスⅠ
その製品の使用等が、重篤な健康被害又は死亡の原因となり得る状況
クラスⅡ
その製品の使用等が、一時的な若しくは医学的に治癒可能な健康被害の原因となる可能性
があるか又は重篤な健康被害のおそれはまず考えられない状況をいう
クラスⅢ
その製品の使用等が、健康被害の原因となるとはまず考えられない状況
15
② インターネットによる情報提供
−掲載事項
•
•
•
•
•
•
•
•
資料作成年月日、種別、クラス分類
一般名及び販売名
対象ロット、数量及び出荷時期
製造業者名等名称
回収理由
危惧される具体的な健康被害
回収開始年月日
効能・効果又は用途等
•
•
その他
担当者名及び連絡先
簡潔にわかりやすく
出荷先の把握状況
16
(3)回収にあたっての基本的考え方−平成12年医薬安全局長通知
有効性及び安全性の観点からの判断
①何らかの不良により医薬品等の安全性に問題がある場合
・安全性に問題がない場合であっても有効性の問題等により期待される効果が得られない場合
・また、製造販売業者等がその製造販売をし、製造をし、又は承認を受けた医薬品等の不良に
関して有効性・安全性に問題がないと明確に説明できない場合
②薬事法又は承認事項に違反する場合
不良範囲の特定に関する判断
①医薬品等に何らかの不良が生じ、業者が不良についてロット又は製品全体に及ぶものではないと
明確に説明できない場合
②当初はロット又は製品全体に不良が及ばないと考えられたが、実際複数施設において不良が生じ
た場合(不良の発生率との関係を考慮のうえ、原則として回収)
③大型医療機器、埋め込み型の医療機器等(=ロットを構成しないもの)については、同種 他製品に
同様の不良がある場合(=ロットに不良ありとみなす)
混入した異物の種類と製品の性質からの判断
①医薬品の場合、製剤の種類(無菌製剤・非無菌製剤)及び混入した異物の種類(ガラス片等の内
在的異物、木片などの外来性異物、毛髪、虫等の生体由来物)を勘案して判断すること。無菌製剤
については、原則的に無菌性保証が確実かどうかを重要な判断基準とし、外来性異物・生体性異
物が混入した場合は回収。非無菌性製剤については、生体由来物混入の場合に回収
② 医療機器のうち、ディスポーザブル製品については、①を準用
17
8.食品
(1)食品安全基本法第1条関係
(平成15年5月23日法律第48号、平成15年7月1日施行、
最終改正:平成18年6月2日法律第50号)
この法律は、科学技術の発展、国際化の進展その他の国民の食生活を取り巻く環境の変化に適確に対
応することの緊要性にかんがみ、食品の安全性の確保に関し、基本理念を定め、並びに国、地方公共
団体及び食品関連事業者の責務並びに消費者の役割を明らかにするとともに、施策の策定に係る基本
的な方針を定めることにより、食品の安全性の確保に関する施策を総合的に推進することを目的とする
政府全体の食の安全への取り組み
政府全体の食の安全への取り組み
リスク評価
(食品健康影響評価)
食品安全委員会
(平成15年7月1日設立)
諮問
勧告等
リスク・コミュニケーション
リスク管理
厚生労働省、農林水産省等
*関係者相互間の情報
及び交換の促進
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(2)食品安全基本法第11条
− 食品健康影響評価を実施する場合、実施しない場合
食品の安全性の確保に関する施策の策定にあたっては、・・・・当該食品が摂取
されることにより人の健康に及ぼす影響についての評価(「食品健康影響評価」)
が施策ごとに行われなければならない(第11条第1項)
食品健康影響評価を行う必要のない例外的な場合:
1号:施策の内容からみて食品健康影響評価を行うことが明らかに必要でないとき
2号:人の健康に及ぼす悪影響の内容及び程度が明らかであるとき
3号:人の健康に悪影響が及ぶことを防止し、又は抑制するため緊急を要する場合で、
あらかじめ食品健康影響評価を行ういとまがないとき(第11条第1項1号∼3号)
第11条第1項第3号に掲げる場合においては、事後において、遅滞なく、食品健
康影響評価が行われなければならない(第11条第2項)
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(3)食品安全基本法第14条関係
− 緊急事態への対処等に関する体制の整備等
食品の安全性の確保に関する施策の策定にあたっては、食品を摂取することに
より人の健康に係る重大な被害が生ずることを防止するため、当該被害が生じ、
又は生じるおそれがある緊急の事態への対処及び当該事態の発生の防止に関
する体制の整備その他の必要な措置が講じられなければならない
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(4)食品衛生法
(昭和22年12月24日法律第233号、最終改正:平成18年6月7日法律第53号)
食品衛生法等の一部を改正する法律(平成15年5月30日公布)
三つの視点に基づく見直し
①国民の健康の保護のための予防的観点に立ったより積極的な対応
②事業者による自主管理の促進
③農畜産物の生産段階の規制との連携
見直しの全体像
○目的規定の見直し(→次のページ)
○国・地方公共団体及び食品等事業者の責務の明確化
○国民等からの意見聴取(リスク・コミュニケーション)
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(5)食品衛生法の目的の改正(第1条関係)
−食品衛生法等の一部を改正する法律(平成15年5月30日公布)
改正前
改正前
この法律は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を
この法律は、飲食に起因する衛生上の危害の発生を
防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを
防止し、公衆衛生の向上及び増進に寄与することを
目的とする
目的とする
*食品の安全性を確保する
ことにより国民の健康の
保護を図ることを明記
改正後
改正後
この法律は、食品の安全性の確保のために公衆衛生
この法律は、食品の安全性の確保のために公衆衛生
の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、
の見地から必要な規制その他の措置を講ずることにより、
飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって
飲食に起因する衛生上の危害の発生を防止し、もって
国民の健康の保護を図ることを目的とする
国民の健康の保護を図ることを目的とする
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(6)食品衛生法
−食品等事業者の責務と、回収命令
食品等事業者の責務(第3条関係)
必要措置を講ずる努力義務:
食品等事業者は、採取・製造・輸入・貯蔵・運搬・販売・不特定多数者へ授与・営業上使用する食品・添
加物・器具・容器包装について、自己責任において安全性を確保するため、販売食品等の安全性に関す
る知識・技術の習得、販売食品等原材料の安全性確保、販売食品等の自主検査の実施その他の必要
措置を講ずる努力義務を負う(第1項参照)
情報提供・廃棄等の努力義務:
食品等事業者は、販売食品等に起因する食品衛生上の危害発生防止のため、必要な情報に関する記録
を国・都道府県に提供する、危害の原因となった販売食品等の廃棄その他の必要措置を適確かつ迅速
に講ずるよう努力義務を負う(第3項参照)
回収命令−不衛生食品等の廃棄等危害除去措置の命令(第54条関係)
厚生労働大臣及び都道府県知事は、営業者が第6条(不衛生食品の販売禁止)等の規定に違反した場
合、営業者もしくは当該官吏吏員にその食品・添加物、器具もしくは容器包装を廃棄させ、又はその他営
業者に対し食品衛生上の危害を除去するために必要な措置を命ずることができる
23
(7)輸入食品の監視体制の強化
食品衛生法の平成15年改正内容
輸入時検査を取り巻く環境
・食品の輸入件数の増加
・中国産冷凍ほうれんそう等、規格・基準
に違反する輸入食品等の相次ぐ発生
1.命令検査の対象食品等の政令指定の
廃止
(第26条第1項から第3項関係)
2.輸入食品監視指導計画の策定・
公表
(第23条、第30条関係)
3.厚生労働大臣による輸入業者に対する
営業禁停止処分規定の創設
(第55条第2項関係)
4.指定検査機関の登録制への移行
命令検査の実施機関について、 民間の
参入を可能とする
(第31条 から第47条関係)
5.モニタリング検査のアウトソーシング
(第28条第4項関係)
24
Ⅲ 自主回収の指針
25
1.企業のリコール対策に関する消費者関連専門家会議(ACAP)調査
−2006年11月(ACAP会員企業約500社を対象にウェブ上で実施、全回答数252社)
本調査のリコール(製品・商品回収、無償修理等)は、「新聞、ホームページなどで消費者に知らせたもの」 または、
「関係官庁に改善事項等を届け出たもの」に限定されている。回収方法には「店頭での回収」も含まれている。
(1)過去1年間にリコールを実施したことのある企業は33%
(2)回収対象数が一番多かった製品は「食品・飲料」
33%
(3)リコールを実施した理由で最も多かったのは「法令違反」、
次に、「発煙・発火・爆発の恐れ」、「健康被害の恐れ」
(4)明文化の有無にかかわらず、リコール実施の判断基準が
ある企業は77.7%
77.7%
26
(5)リコール実施経験の有無に関わらず、7割以上の企業がリコー
ル実施に備えて判断基準づくりなどの整備をしている
(6)リコール実施の最終的な判断を誰がするのかについては、
「トップの判断」が最も多い
72.6%
(7)リコールに関するリスク対策として、企業は、「マニュアル作成」
「対策委員会」「保険」「訓練」等を整備
27
2. リコールの意思決定(リコール判断)
−意思決定にあたっての最重要要素
(財団法人製品安全協会「リコール・ハンドブック」から)
•
1.人への危害又はその可能性があるか
人への危害発生可能性は、重篤度に応じてクラスA∼Cに3分類される
クラスA:死亡又は重大な人への危害発生の可能性がある。
クラスB:中度又は軽度な人への危害発生の可能性がある。
死亡又は重大な人への危害発生の可能性は考えられない。
クラスC:人への危害発生の可能性は考えられない
•
2.拡大可能性があるか
同様の事故が発生する可能性がある場合(明らかに単品不良と断定できない場合)は、拡大可能性
があると判断する。
拡大可能性の3分類
①同型番製品での拡大可能性
同一型番の製品での同様事故発生の可能性がある場合
②別型番製品での拡大可能性
事故の原因が、他の型番の製品にも使用されている共通部品や共通材料に起因する場合、または共通の
設計や共通の工程に起因する場合→同様の事故が自社内別型番製品でも発生する可能性がある。
③他社の製品を含んだ拡大可能性:
事故の原因が、他社も使用する共用部品や共用材料に起因する場合、または共通の設計や共通の工程で製
造した中間部品等に起因する場合→同様の事故が複数の事業者間でも発生する可能性がある
28
3)最適対応は何か
•
•
•
事故拡大防止のための迅速かつ適確な対応はリコールだけではない→暫定対応を含むリコール以外の対応
①使用方法等に関する注意喚起
②原因が究明されるまでの製造、流通または販売停止等の暫定対応
•
•
①、②の場合、対策本部の設置、プランの策定、情報提供等の対応を実施するべき。
①、②の場合であっても、必要に応じてリコールの実施を検討するべき。
4)リコールと欠陥
−リコール実施の判断と「欠陥」(製造物責任法第2条2項)
・・・「疑わしきは消費者の利益に!」
•
事故の発生が、一見使用者の誤使用や不注意による(警告表示等の注意事項に違背して使用した場合も含む)と思え
る場合であっても、同様の事故が発生するときには、結果的に誤使用や不注意ではなく、製品の欠陥と判断されることが
ある、ということに留意する必要がある。
•
リコールを実施するか否かの判断時においては、事故等が製品の欠陥によるものかを明確にすることよりも、事故の拡大
防止を図るための最適な対応を検討すべきである。
•
「欠陥かどうか」は、リコールを実施するか否かを判断するにあたっての必須の判断要素ではなく、また、リコールを実施し
たからといって必ずしも製品に欠陥があることにはならない。
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3.リコール通知の方法
−「リコール・ハンドブック」を参考として
・ 情報提供対象者を特定できる場合
1)ダイレクトメール
2)電話、FAX
3)Eメール
4)流通・販売業者を通じての連絡(なお、特定に時間を要する等、注意喚起が必要な場合がある)
・ 情報提供対象者を特定できない場合
1)新聞社告
2)雑誌、リビング誌、折り込みチラシ
3)総合カタログ(例:通信販売用カタログ、総合卸売業者によるカタログ)
4)自社のホームページ
5)公的機関におけるパブリック・スペース(消費者センター・保健所・自治体の掲示板や広報誌、公的
機関のHP(*(独)国民生活センターHPについては後掲)
6)民間のパブリック・スペース
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4.社会的責務としての製品回収等
−「製品安全自主行動計画策定のためのガイドライン」(製品安全自主行動指針)
(平成19年3月2日経済産業省)
•
製造事業者・輸入事業者に係る自主行動指針−製品回収等の取り組み:
①製品回収対応マニュアルを作成し、速やかで実効性のある製品回収実施体制を整備すること。
②重大製品事故が発生する等の事態に至った場合、消費者の安全を確保し企業としての社会的責務を果たす観点から、
速やかに製品回収等の対応をとること
③消費者に対して製品の正しい使い方を啓発、周知するとともに、製品の誤使用に関する情報の提供や、国等が主催
する啓発活動への積極的な参画等を通じ、製品安全文化の定着に貢献すること
④製品回収等の緊急時において、資金的に十分に対応できないおそれがある場合には、保険への加入を検討する等に
より、体制を整備すること、など
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販売事業者に係る自主行動指針−製品回収等の取り組み
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重大製品事故が発生する等の事態に至った場合、消費者の安全を確保し企業としての社会的責任を果たす観点
から、製造事業者、輸入事業者が行う製品回収に協力すること。また、その際、購入者が分かる場合には、製造事
業者、輸入事業者と協力して直接製品回収をすることや個人情報保護に配慮しつつ製造事業者、輸入事業者に購
入者を伝えること等により、製品回収が円滑に行われるよう積極的に対応すること、など
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6.販売事業者における個人情報の取扱い
−個人情報保護法の観点からの整理
個人情報取扱事業者は、個人情報を取り扱うに当たっては、その利用の目的を
できるかぎり特定しなければならない(法第15条①関係)
個人情報取扱事業者は、原則として、あらかじめ本人の同意を得ないで、利用目
的の達成に必要な範囲を超えて、個人情報を取り扱ってはならない(法第16条
①関係)。ただし、1)法令に基づく場合、2)人の生命、身体又は財産の保護に必
要な場合等はその例外とされている(法第16条③関係)
(例):人の生命、身体又は財産の保護に必要な場合(法第16条③第2号関係)
– 製造・輸入事業者が製品事故を生じた製品について危害の発生及び拡大を
防止するための措置をとる場合(例:改正消費生活用製品安全法第38条
①)で、製造・輸入事業者から製品の使用者に緊急に連絡する必要がある場
合に、販売事業者が製造・輸入事業者に対して購入者に係る情報を提供す
る場合(例:改正消費生活用製品安全法第38条②)
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