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(素案)火山編 [1164KB pdfファイル]
火 山 編 火山編 火山編 第1章 計画の方針 第2章 富士山噴火降灰対策 本編は、富士山等で大規模な噴火が発生した場合、本市にも降灰による被害が発生する恐れがあるた め、富士山等の大規模噴火への対策を定めたものである。 なお、特に記載のない事項は、震災編及び大規模事故編を準用する。 第1章 火山編 計画の方針 第1章 計画の方針 第1節 計画の目的 〇 この計画は、災害対策基本法(昭和 36 年法律第 223 号)第 42 条及び日野市防災会議条例第2条の 規定に基づき、日野市防災会議が策定する計画である。 〇 市民の生命、身体及び財産を火山災害から保護することを目的とし、富士山等の降灰対策を強化する ために日野市及び防災関係機関等がとるべき方針を定める。 第2節 計画の前提 〇 平成 12 年 10 月から 12 月及び平成 13 年 4 月から 5 月に低周波地震が急増した富士山について は、国の火山噴火予知連絡会は、「地殻変動は見られないことから、ただちに噴火等活発な火山活動 に結びつくものではない」との見解を示している。 〇 仮に噴火した場合には、他の火山とは比較にならない広範かつ多大な被害や影響が生じるおそれがあ り、市域においても、降灰の被害が予想されているため、富士山降灰対策について、対策を講じる必 要がある。 〇 平成 21 年 2 月に浅間山が噴火し、東京にも降灰があったが、こうした他の火山の噴火に伴う対応に ついても本計画を準用する。 第3節 計画の修正 〇 この計画は毎年検討を加え、必要があると認めるときに修正する。 ○ 修正にあたっては、各防災機関は、関係のある事項について、計画修正案を日野市防災会議に提 出する。 661 火山編 第2章 富士山噴火降灰対策 第2章 富士山噴火降灰対策 富士山で大規模な噴火が発生した場合、噴き上げられた灰は、偏西風により東に流され本市にも降灰 する可能性がある。 第1節 富士山の現況等 1.富士山の概要 ○ 富士山は、フィリピン海プレート、北米プレート、ユーラシアプレートが接する地域に、静岡県及び 山梨県の二県にまたがって位置しており、富士火山帯に属する玄武岩質の成層火山である。 ○ 我が国に108存在する活火山の一つであり、活動度はランクB(100年活動度又は1万年活動度が高 い活火山)とされている。 ○ 標高は3,776mで我が国の最高峰であり、山体の体積は約500㎦で我が国の陸域で最大の火山である。 ○ 山腹斜面の勾配は、標高1,000m以下では10度未満と緩いが、標高が高くなるに従い傾斜は急にな り、山頂近くでは40度近くとなっている。 ○ 富士山山頂火口から日野市内(本庁舎)までの距離は、約 70 ㎞である。 2.噴火の歴史及び被害想定 (1)歴史資料上の噴火 ○ 古文書等の歴史的資料には、確かな噴火記録だけでも781年以降10回の噴火が確認されている。 ○ 1707 年の宝永噴火を最後に、これまでの約 300 年間、富士山は静かな状態が続いている。 ○ 宝永噴火は、前日から地震群発、12 月 16 日から2週間にわたって爆発的な噴火があり。江戸にも 降灰があった。 (2)噴火による被害想定 ○ 本計画では、国が設置した富士山ハザードマップ検討委員会が、平成16年6月に公表した「富士山 ハザードマップ検討委員会報告書」に示された被害想定を計画の基礎とする。 東京都は、富士山山 頂火口から距離があるため、溶岩流や火砕流などの被害を受けることはなく、広範囲な降灰に起因す る被害が想定される。 ○ なお、実際の降灰範囲は、噴火のタイプ、火口の出現位置、噴火規模、噴火の季節など様々な条件に よって変化する。 ○ 噴火の規模と想定される被害の概要は次のとおりである。 662 第2章 火山編 富士山噴火降灰対策 【噴火の規模及び想定される被害】 項目 噴火の規模等 内容 規模 宝永噴火と同程度 継続期間 16 日間 時期 ①梅雨期 被害の原因 降灰 被害の範囲 都内全域 被害の程度 八王子及び稲城市の一部 10 ㎝程度 日野市他、その他の地域 2~10 ㎝ ②その他の時期 (具体的範囲は別図のとおり。) 被害の概要 降灰に伴うもの 健康障害、建物被害、ライフライン・ 農林水産業・商工業・観光業への影響 降灰後の降雨などの伴うもの 洪水、泥流、土石流にともなう人的・ 物的被害 (3)降灰予想図(降灰の影響がおよぶ可能性が高い範囲) 出典:東京都地域防災計画 663 火山編(平成21年修正)より 火山編 第2章 富士山噴火降灰対策 第2節 基本方針 ○ 市は、気象庁からの火山災害現象に関する情報(火山噴火の長期化や土石流発生のおそれ等)を的確 に収集し、関係機関及び市民に伝達する。 ○ 火山活動が長期化した場合は、その活動状況に応じた対策を実施する。 ○ 都、国等の協力のもと、火山災害の状況に応じた適切な安全確保対策を講じる。 第3節 防災知識の普及 市(総務部防災安全課、教育部) 関係機関(日野消防署) 1.防災広報 ○ 平常時から市民、各事業所、学校の児童・生徒を対象にそれぞれに適した方法により、火山に関 する知識の普及活動を行う。 ○ 各防災機関が行う広報内容の基準は次のとおりとする。 ・噴火警報等、噴火警戒レベルについての普及啓発 ・各防災機関の火山対策 ・火山活動の異常現象時の対応措置 ・噴火時の対応措置 ・降灰等に対する農作物の措置 2.防災教育 ○ 児童・生徒や防災活動に携わる市民、事業所の防災担当者等を対象に、学校教育の場や講習会 等において防災教育を推進し、防災知識の普及啓発、実践的な防災行動力の向上に努めていく。 ○ 防火管理及び防災管理指導を通じて、事業所における火山対策や降灰対策などの防災知識の普及を 図る。 第4節 警戒及び応急活動体制 〇 富士山が噴火した場合、本市に影響を及ぼすかどうかは、噴火の規模や気象状況等により変わってく る。 ○ 状況に応じた対策活動を実施できるよう警戒時からの情報収集が非常に重要となる。 〇 降灰後の降雨による災害の危険性もあることから、気象情報も併せて収集する必要がある。 〇 富士山の噴火が確認された場合、災害活動体制は、「震災編 第3部 第1章 応急活動体制の確立」 に準じた体制を確立し、状況に応じて柔軟に対応する。 〇 各部が行う対策について、市災害対策本部が設置された場合は、各対策部が行うものとする。 664 第2章 第5節 火山編 富士山噴火降灰対策 情報収集・伝達 市(災害対策班、衛生班、環境整備班、清掃班、復旧班、まちづくり班、下水道班) 関係機関(日野消防署、日野警察署、都、その他防災関係機関) 〇 富士山の噴火が確認された場合、日野消防署、日野警察署、都及び防災関係機関との情報収集・伝達 を密に行い、降灰に備える。 ※ 情報収集・伝達については、「震災編 害編 第3部 第2章 第3部 第2章 災害情報の収集・整理及び報告」、「風水 情報の収集・伝達」に準じて行う。 ■収集する情報 ○ 火山情報に関すること 災害対策班 ○ 気象予警報に関すること 災害対策班 ○ 降灰・火山ガス等による健康・環境への 衛生班、環境整備班 影響に関すること ○ 火山灰の除去及び処理に関すること 清掃班、復旧班、まちづくり班、下水道班 1.火山(降灰)情報 〇市内の降灰の状況は、以下の経路を通じて火山監視・情報センターに集約される。 ■降灰の情報連絡 市 東京都 気象庁地震火山部 (総合防災部) 火山課火山監視・ 情報センター 関係機関 (出典:東京都地域防災計画 降灰調査項目は、以下のとおりである。 ① 降灰の有無・堆積の状況 ② 時刻・降灰の強さ ③ 構成粒子の大きさ ④ 構成粒子の種類・特徴等 ⑤ 堆積物の採取 ⑥ 写真撮影 ⑦ 降灰量・降灰の厚さ※ ⑧ 構成粒子の大きさ(詳細)※可能な場合 665 火山編) 火山編 第2章 富士山噴火降灰対策 ■降灰の強さ(火山観測指針 気象庁(1999)を一部可変) 階級 解説 1 降っているのがようやくわかる程度 2 降っているのが明確にわかり、10~20 分で地上を薄く覆う程度 3 降灰のため山は見えず、10~20 分で厚さ 1mm 以上積もる程度 都及び各県から収集した降灰の情報は、気象庁地震火山部火山課火山監視・情報センターで取りまと められ、 「富士山の火山活動解説資料」として公表される。解説資料は、市、都、関係防災機関に伝達さ れる。 2.降灰予報 〇気象庁は、平成 20 年 3 月 31 日から、降灰予報の発表業務を開始した。その基準等は以下のとおり である。 (1)発表基準 噴煙の高さが 3 千メートル以上など、一定規模以上の噴火が発生した場合。 (2)内容 噴火発生から概ね 6 時間後までに降灰が予想される地域。 (3)発表時期 第 1 報は噴火の概ね 30~40 分後。噴火の様態や継続状況等を観測して必要に応じ第 2 報を発表。 その後も噴火が継続した場合は必要に応じて発表。 666 第2章 第6節 火山編 富士山噴火降灰対策 火山災害対策活動の実施 市(全ての部・課、消防団) 関係機関(日野消防署、日野警察署、その他の関係機関) 1.市民への広報・健康相談 〇健康福祉部は、総務部及び企画部と協力して都及び関係機関から火山灰による健康への影響等に関す る情報を国や都から収集し、市民に広報する。 〇また、健康福祉部は、状況に応じ健康相談窓口を開設し、市民からの健康に関する相談を受け付ける。 〇日野消防署は、関係機関と協力し、出火防止対策、降灰による健康被害防止、噴火警戒レベルに応じ た安全情報の提供、その他必要な事項、について広報活動を実施する。 ※ 市民への広報については、「震災編 第3部 第4章 災害時の広報」に準じて行う。 2.火山灰の除去・収集及び処理 〇宅地に降った火山灰は、所有者又は管理者が対応することが原則であるが、一般の市民では対応が困 難な対策については、市が対応する。 667 火山編 第2章 富士山噴火降灰対策 (1) 除去、収集・運搬 〇敷地内の火山灰の収集は、原則として土地所有者又は管理者が行うものとする。 〇環境共生部は、宅地に降った火山灰を運搬・処分する。 〇市が管理する道路や河川に降った火山灰は、まちづくり部が除去し、収集・運搬を行う。 〇その他、宅地以外に降った火山灰の収集・運搬については、各施設管理者が行う。 〇火山灰の除去・収集に当たっては、一般廃棄物とは別に行い、灰がまきあがらないよう散水などの対 策を行うものとする。 (2)処分 〇火山灰の処分の方法については、都や関係機関に確認した上で、環境共生部が行う。 〇収集した火山灰の一時的な置き場が必要となった場合は、環境共生部は、公園等のオープンスペース を活用する他、必要に応じ、他部に応援を求める。 3.避難対策 〇降灰後の降雨により土砂災害の危険性が高くなる可能性があることから、まちづくり部及び消防団は、 急傾斜地崩壊危険箇所、その他傾面地、過去に土砂災害が発生した箇所等について、関係機関と連携・ 協力して警戒巡視等を行う。 〇市長は、土砂災害が発生する危険性が高いと判断された場合、避難準備情報、避難勧告、避難指示又 は警戒区域を設定し、防災安全課及び市長公室広報担当等が連携し、対象住民への避難勧告・指示等 を周知し、市民部が速やかに避難誘導する。 〇避難行動要支援者及び要配慮者利用施設に対して、防災安全課及び各要配慮者利用施設所管部課は、 適切な避難準備情報を速やかに伝達する。 【関係機関の役割】 関係機関 対策内容 日野消防署 ○ 避難準備情報又は避難勧告・避難指示が発令された場合は、災害の規模、風 速、風向及び気象状況、災害拡大の状況及び部隊の運用状況を勘案し、最も 安全と思われる避難方法についての情報を、市等関係機関に通報する。また、 避難路等については、安全確保に努める。 ※ 土砂災害危険箇所対策については、 「震災編 第3部 第 12章 土砂災害危険箇所等対策」に準じ て行う。 ※ 避難対策については、 「震災編 第3部 第 12 章 避難勧告・避難指示」に準じて行う。 4.応援協力・派遣要請 〇降灰による被害が発生し、人命又は財産の保護のため必要であると認めた場合は、都に対し、自衛隊 の災害派遣を要請する。 (総務部総務課) ※ 応援協力・派遣要請については、 「震災編 第3部 て行う。 668 第5章 相互協力・応援(受援)要請」に準じ 第2章 火山編 富士山噴火降灰対策 5.警備・交通規制 〇降灰による被害発生時には、さまざまな社会的混乱や交通の混乱等の発生が予想される。 〇各種の犯罪の抑止、取締り、交通秩序の維持その他公共の安全と秩序を維持し、治安維持に万全を期 する。 〇降灰時には、視界不良による衝突事故やスリップ事故等が急増することが予想されることから、適切 な交通規制を実施する。 ※ 警備については、「震災編 第3部 ※交通規制については、 「震災編 第 16 章 警備・防犯対策」に準じて行う。 第3部 第10 章 緊急輸送対策」に準じて行う。 6.救援・救護 〇降灰による被害発生後の被災者に対し救助、医療救護活動を実施する。 ※ 救援・救護については、「震災編 第3部 第6章 消防・救助・救急活動及び第7章 医療救護」 に準じて行う。 7.交通機関の応急・復旧対策 (1) 道路 (各道路管理者) 〇降灰により、道路、その他の道路施設が被害を受けた場合、道路管理者は、被害を調査し、関係機関 に周知するとともに、復旧を図る。 ※ 道路の応急・復旧対策については、 「震災編 第3部 第9章 第1節 道路・橋梁の応急、復旧対 策」に準じて行う。 (2) 鉄道(各鉄道事業者) 〇降灰により鉄軌道、踏切、その他の鉄道施設が被害を受けた場合、鉄道管理者は被害を調査し、関係 機関に周知するとともに、復旧を図る。 ※ 鉄道の応急・復旧対策については、 「震災編 第3部 第9章 第2節 鉄道の応急、復旧対策」に 準じて行う。 8.電気・通信電話施設等の応急・復旧対策 (1) 電気 (各電力事業者) 〇降灰等により被害が発生した場合は、電力事業者は速やかに応急・復旧対策の措置を講ずる。 ※ 電気の応急・復旧対策については、「震災編 第3部 第9章 第7節 電気の応急・復旧対策」に 準じて行う。 (2) 通信施設等 (各通信事業者) 〇降灰による災害が発生したとき、通信の途絶を防止するため、各種通信施設の確保、復旧等について 応急対策を実施する。 ※ 通信の応急・復旧対策については、「震災編 第3部 準じて行う。 669 第9章 第9節 通信の応急、復旧対策」に 火山編 第2章 富士山噴火降灰対策 9.農業対策 〇降灰により、農作物及び温室、ビニールハウス等の施設に被害を及ぼすおそれがある。 〇農作物に対する少量の降灰は、払い落とし、土壌の中和をはかるなど当面の対策をとる一方、降灰に 強い代替作物の選定、土壌の改良が長期的には必要となる。関係機関は次の対策を実施する。 【農業対策に関する市及び関係機関の役割分担】 機関名 対策内容 日野市 ○ 降灰予報やその他火山情報に注意し、状況に応じた指導 【産業振興課】 ○ 降灰処理対策の指導 【農業委員会事務局】 ○ 東京南農業協同組合との連絡調整 都産業労働局 ○農家及び農業団体の指導 関東農政局 ○ 降灰による農作物等の被害に対して、各種技術対策(土壌、農作物、 施設等)を指導するとともに、被害の状況を把握しながら、市及び都が 実施する資金対策、復旧対策等の助成措置を講ずる。 10.その他の応急対策活動 〇状況よりその他の応急対策活動が必要と認められる場合は、 「震災編 及び「風水害編 第3部 初動・応急・復旧計画」に準じて行う。 670 第3部 初動・応急・復旧計画」