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ポスター発表 - 第33回日本歯科医学教育学会総会および学術大会
ポスター発表 【ポスター発表】 発表日時:7月4日 (金)9:30∼18:20、7月5日 (土)9:00∼15:30 討論時間:7月4日 (金)奇数番号 17:20∼18:20 7月5日 (土)偶数番号および学生セッション 14:30∼15:30 22会議室 P-001∼P-030 21会議室 P-031∼P-072 11会議室 P-073∼P-125 P-001 東京歯科大学における学部学生のための海外研修制度Elective studyについて ○佐藤 憂子1,2、山本 仁2,3,4、阿部 伸一2,5、河田 英司4,6、井出 吉信7 2 3 4 東京歯科大学 教養科目、 東京歯科大学 国際交流部、 東京歯科大学 組織・発生学講座、 東京歯科大学 歯科医学教育開発センター、 5 6 7 東京歯科大学 解剖学講座、 東京歯科大学 歯科理工学講座、 東京歯科大学 学長 1 Elective Study for undergraduate school students in Tokyo Dental College ○Yuko SATO1,2, Hitoshi YAMAMOTO2,3,4, Shinichi ABE2,5, Eiji KAWADA4,6, Yoshinobu IDE7 1 Liberal Arts, Tokyo Dental College, 2Office of International Exchange, Tokyo Dental College , 3Department of Histology and Developmental Biology, Tokyo Dental College, 4Dental Education Development Center, Tokyo Dental College, 5Department of Anatomy, Tokyo Dental College, 6Department of Dental Material Science, Tokyo Dental College, 7Dean, Tokyo Dental College 【目的】東京歯科大学では世界の歯科大学の状況を体感し、海外歯 学部学生との交流を図る目的で学業が優秀な学生の中から選抜さ れたメンバーを海外で研修させるElective studyを2011年度から実 施している。Elective studyに参加できるのは各学年2名(2013年度 1年次から3年次のみ各学年4名) であり、参加申請ができるのは前年 度の総合成績が上位35位以内の学生で、希望者はElective study 選考委員会で選抜される。 この3年間のElective studyの実施状 況を紹介するとともに、2013年度1年次から3年次の参加学生に対 して帰国後に実施したアンケート結果について報告する。 【 方法】 2011年度から2013年度までのElective studyの参加希望者(総数、 Elective study帰国後のア 学年別) の推移について調べるとともに、 【 結果と考察】研修先は1年次から3年次 ンケートの解析を行った。 が3年連続で台北医科大学、4年次から6年次は2011年度がテキ サス大学、2012年度がアルバータ大学、2013年度がコロンビア大 いずれも研修期間はほぼ1週間である。Elective study 学だった。 参加申請学生の総数は2011年度が49名、2012年度が34名、2013 年次が52名だったが、すべての年度において1年次の申請学生数 が他の学年より多かった。 これは入試ガイダンス等でElective studyに関する説明がされており、 Elective studyの存在が入学志 望の一因となっていることを示していると思われた。帰国後のアン ケートではElective studyに自分が設定した目標は「台北医科大学 の学生と積極的に交流する事」が最も多く、 それに対する各学生の 自己評価による達成率は60−100%と参加した学生によって異なっ ており、達成率を低く評価した学生は英語能力の不足を原因に挙 げるものが多かった。 ポスター 発 表 P-002 歯科学生を対象とした国際交流に関する調査 ○竹原 祥子1、森尾 郁子2、川口 陽子3、荒木 孝二4、田上 順次5 1 2 3 4 東京医科歯科大学国際交流センター、 東京医科歯科大学歯学教育開発学分野、 東京医科歯科大学健康推進歯学分野、 東京医科歯科大 5 学歯学教育システム評価学分野、 東京医科歯科大学う蝕制御学分野 Survey on International Exchange among Dental Students ○Sachiko TAKEHARA1, Ikuko MORIO2, Yoko KAWAGUCHI3, Kouji ARAKI4, Junji TAGAMI5 International Exchange Center, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan, 2Dental Education Development, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan , 3Oral Health Promotion, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan, 4Educational System in Dentistry, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan , 5Cariology and Operative Dentistry, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan 1 【目的】本研究は、歯科学生の国際交流に関する意識調査を行 い、将来国際的に活躍する歯科医療人を育成するための教育に 役立てることを目的としている。 【 方法】2013年に、歯科学生1∼6 年生(合計332名) を対象に自記式の質問票調査を実施した。 【結 果】質問票調査に参加したのは、 全体の94%にあたる312名(男性 169名、女性143名) であった。 1. 「外国人の友人がいる」 と答えた 学生の割合は、1年生68%、2年生50%、3年生39%、4年生62%、5 年生64%、6年生53%で、全体では56%であった。友人としては、 「海外在住の外国人(58%)」、 「本学留学生(43%)」、 「留学生以 外の日本在住の外国人(27%)」、 「学外の留学生(14%)」が挙げ られていた。 2. 英語力の自己評価は、 「外国人の友人がいる学生」 は「いない学生」に比べて、読む・書く ・話す・聴く能力が有意に高 かった。 3. 大学の授業以外での英語学習の有無を質問したとこ ろ、 「外国人の友人がいる学生」175名のうち59名(34%)が、 「いな い学生」137名のうち16名(12%)が英語学習をしていると回答し た。 「外国人の友人がいる学生」の方が、授業以外で英語学習し ている者の割合が多かったが、2群間に有意差は認められなかっ た。 4. 「将来留学したい」 と回答した割合は、全体で82% (256名) であった。 「外国人の友人がいる学生」では91%、 「いない学生」で は70%であり、 2群間に有意差が認められた。 【考察】 「外国人の友 人がいる学生」は「いない学生」 と比べて、 自分の英語力を有意に 高く評価し、留学を希望する割合が有意に高かった。 「外国人の 友人がいる学生」は、 日常のコミュニケーションに英語を使うことに よって、英語力に自信を持ち、留学にも前向きであると考えられた。 国際交流などを通じて外国人の友人をつくることが、学生の英語 力への自信と留学意欲につながると考えられた。 91 P-003 九州歯科大学における初年次教育プログラム「基礎教育セミナー」の学修効果 ○福泉 隆喜、平川 要、吉野 賢一、中原 孝洋、粟野 秀慈、遠藤 眞美、鬼塚 千絵、村岡 宏祐、中道 郁夫、向坊 太郎、 瀬田 祐司、西田 郁子、永松 有紀、鯨 吉夫、永松 浩、秋房 住郎、井上 博雅、久保田 浩三、園木 一男、千綿 かおる、 辻澤 利行、引地 尚子、日髙 勝美、金久 弥生、高橋 由希子、北村 知昭、細川 隆司 九州歯科大学 基礎教育セミナー担当 The educational effects of "Basic education seminar" in Kyushu Dental University ○Takaki FUKUIZUMI, Kaname HIRAKAWA, Kenichi TOSHINO, Takahiro NAKAHARA, Shuji AWANO, Mami ENDOU, Chie ONIZUKA, Kousuke MURAOKA, Ikuo NAKAMICHI, Tarou MUKAIBOU, Yuji SETA, Ikuko NISHITA, Yuki NAGAMATSU, Yoshio KUJIRA, Hiroshi NAGAMATSU, Sumio AKIFUSA, Hiromasa INOUE, Kouzou KUBOTA, Kazuo SONOKI, Kaoru CHIWATA, Toshiyuki TSUJISAWA, Hisako HIKIJI, Katsumi HIDAKA, Yayoi KANEHISA, Yukiko TAKAHASHI, Chiaki KITAMURA, RYUJI HOSOKAWA The Staff of Basic Education Seminar, Kyushu Dental University, Kitakyushu, Japan 【目的】近年、大学新入生においては、 「大学での学び」への適応 が課題とされ、 初年次教育の重要性が指摘されている。 九州歯科 大学においても、 大学での学修および人格的な成長に必要な「考 える力」 と 「主張する力」 を学ぶ場として、歯学科及び口腔保健学 科とも、 平成25年度から通年で「基礎教育セミナー」 を開講した。 こ の基礎教育セミナーの学修効果を検討するため、 スチューデントス キル、 スタディースキル等の推移を検討した。 【 方法】平成25年4月 入学の九州歯科大学1年次生を対象として、 基礎教育セミナー受 講前後のクリティカルシンキングのスキルを、 「態度編」及び「実力 編」に分けて自記式質問紙によってスコア化した。同様に、受講前 後のロジカルライティングの総合スキルをスコア化した。受講前後の 両者のスコアの推移を比較し、基礎教育セミナーの学修効果を判 定した。 また、教員及び学生にアンケートを行い、受講前後の印象 等を調査した。 【結果・考察】 クリティカルシンキングについては、 ほと んどの領域においてスコアが有意に上昇していたが、 「議論を正 確に把握する」力については、 有意な変化が認められなかった。 ロ ジカルライティングについても、 総合スキルのスコアが有意に上昇し ていた。教員及び学生アンケートの結果からは、 学生より教員の満 足度が有意に高い項目がいくつかあるため、 学生の満足度を向上 させる取組の必要性が示唆された。 【まとめ】基礎教育セミナーの 受講によって、 クリティカルシンキングとロジカルライティングのスキル を向上できることが示唆された。 ただし、運用面における改善の必 要性も示唆された。 P-004 日本歯科大学新潟生命歯学部の初年時教育―第2報「プロフェッション」による学生の意識変化― ○秋山 麻美1、藤井 一維1、鶴谷 綾子2、織田 隆昭3、平 賢久4、長谷川 優5 1 2 3 4 日本歯科大学 新潟病院 歯科麻酔・全身管理科、 日本歯科大学 新潟病院 総合診療科、 日本歯科大学 新潟病院 歯科放射線科、 5 日本歯科大学新潟病院 総合診療科、 日本歯科大学 新潟生命歯学部 歯科矯正学講座 First Year Education of the Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata Part 2 The awareness of students by the presentation sessions ○Asami AKIYAMA1, Kazuyuki FUJII1, Ayako TSURUGAYA2, Takaaki ODA3, Yoshihisa TAIRA4, Yuh HASWGAWA5 Dental Anesthesia and General Health Manegement,The Nippon Dental University Niigata Hospital, 2Comprehensive Dental Care, The Nippon Dental University Niigata Hospital, 3Department of Oral and Maxillofacial Radiology, The Nippon Dental University Niigata Hospital, 4Comprehensive Dental Care, The Nippon Dental University Niigata Hospital, 5Department of Orthodontics 1 【目的】本学新潟生命歯学部では、H23年度から第1学年の後期 20%、 15%。 その他が8%、 9%であった。 「現在は将来の目標が定ま に「プロフェッション」 と称し、様々な歯科医師が「生き様」について りましたか」には、 定まったが21%、 26%。何となく見えてきたが72%、 の講義を行い、 講義の翌週にスモールグループディスカッション (以 57%。 わからないが7%、16%であった。 また、 「プロフェッションの授 下SGD) を行っている。今回、授業の最後に行ったアンケートにつ 業で、将来の目標に変化はありましたか」は変わらないが明確に いて調査したので若干の考察を加え報告する。 【 方法】第一学年 なったが19%、30%。大きく変わったが11%、13%。少し変わったが の「プロフェッション」に出席した平成23年度の51名および平成25 11%、13%。変わらないが明確になったが55%、51%、変化なしが 年度の 80名に対し全講義およびSGD終了後に「入学の動機につ 15%、1%であった。 「プロフェッションの授業全般を通して感じたこ いて」 「現在、 将来の目標は定まりましたか」 「将来の目標に変化は と」は、歯科医師にも様々な道があると答えた学生が多い結果と ありましたか」の3項目についてアンケート調査を行った。 また、 最後 なった。 本学では、 モチベーション向上を目的にアーリーエクス に「プロフェッションの授業全般を通して感じたこと」について自由 ポージャーとして前期から病院体験実習を行っているが、 これに加 記載で回答を求めた。 【 結果と考察】 「入学の動機について」は、 え、本授業で行う講義およびSGDによる学生間の意見交換が意 歯科医師になりたいと考えていた学生は48%、 54%。医学部を目指 識や将来目標の設定に寄与していることが明らかとなった。 していたが仕方なく変更したが24%、23%。 なんとなく入ったが 92 P-005 第1学年歯科医院見学実習の事前・事後教育における発見的学習方略の展開 ○山崎 晴美1、三澤 麻衣子1、上原 任1、尾崎 哲則1、桑田 文幸2、中島 一郎1 2 日本大学 歯学部 医療人間科学分野、 日本大学 歯学部 基礎自然科学分野 1 Application of Discovery Learning Strategies to Early Exposure Education ○Haruyoshi YAMAZAKI1, Maiko MISAWA1, Tamotsu UEHARA1, Tetsunori OZAKI1, Fumiyuki KUWATA2, Ichiro NAKAJIMA1 Department of Community Dentistry, Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan, 2Department of Basic Science, Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan 1 【目的】本学では、2000年度より医療人教育を目的に、第1学年の している。 ノートの取り方、 小グループでの討議、 プレゼンの作成・発 夏期休暇中にearly exposureとして歯科医院見学実習を実施し 表等を通じて、 テーマ設定、 情報の収集と整理、 問題点の発見、 課 ており、見学の前後には、学習目標を明確にするために事前事後 題解決といった、大学の授業活動に求められる学習方略を、演習 学習を行っている。実習前学習では、学生は講義を通じて歯科医 を通じて身につけていくものである。 院見学に必要となる事項を学ぶとともに、事前訪問に備えて見学 【方法】2013年では、歯科医院見学実習の事前事後学習や歯科 テーマの設定、KJ法による小グループ討議、 エントリーシートの作 医院での見学を、各自が解決すべき問題としてとらえ、 『 学修の技 成などの準備を進め、実習先歯科医院への事前訪問(採用面接) 法』 で習得した学習技法の応用を意識するよう方向付け、学生の を行い、 見学実習への準備を進めていく。実習後学習ではKJ法に 反応を観察した。 より見学成果の共有化を行い、 また、 歯科医院からのフィードバック 【結果】従来の事前事後教育では、学生は医療人教育の教育内 シート返却など、学生参加の活動を柱として実施してきた。一方、 容と、発見的学習方略の、二つの不慣れな側面に同時に取り組ま 本学では、 2013年度より本実習事前教育と並行した時期に第1学 ねばならなかった。本年度は学習方略を既に体験しており、 学習方 年前期教科『学修の技法』 を開始している。 これは、 「初年次から 略に対する抵抗は少ないようである。 メタ認知形成に伴う問題解 学士課程の移行に求められる各授業に共通した基本的な各学修 決プロセスの習熟と、 医療人教育の課題内容への関心をともに高 技法を修得する。 さらに医療人育成の前提となる社会人としての めたように思われる。 学びの在り方について各演習を通じて理解を深める」 ことを目的と ポスター 発 表 P-006 早期見学実習の一環として実施した外来エスコート実習の追跡評価 ○吉田 登志子1、山中 玲子2、鈴木 康司3、河野 隆幸3、白井 肇3、鳥井 康弘3、窪木 拓男4 1 2 3 岡山大学 医療教育統合開発センター (歯学教育部門) 、 岡山大学病院 中央診療施設 医療支援歯科治療部、 岡山大学病院 総合歯 4 科、 岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 インプラント再生補綴学分野 A longitudinal Evaluation of an Outpatient Escort Program as Early Clinical Exposure ○Toshiko YOSHIDA1, Reiko YAMANAKA2, Koji SUZUKI3, Takayuki KONO3, Hajime SHIRAI3, Yasuhiro TORII3, Takuo KUBOKI4 Center for the Development of Medical and Health Care Education (Dental Education), Okayama University, Okayama, Japan, 2Division of Hospital Dentistry, Central Clinical Department, Okayama University Hospital, Okayama, Japan, 3Comprehensive Dental Clinic, Okayama University Hospital, Okayama, Japan, 4Department of Oral Rehabilitation and Regenerative Medicine, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences, Okayama, Japan 1 【目的】医療系大学においては、 習学の早い段階から全人的医療 教育やコミュニケーション教育を目標として患者に付き添う実習が 導入されている。岡山大学歯学部では、 1年生を対象に早期見学 実習の一環としたエスコート実習を実施し、実習終了後にその評 価を行い、高い評価を得てきた。今回その追跡評価を行うべく、臨 床実習終了後において学生が1年次でのエスコート実習をどのよ うに捉えているのかを検討したので報告する。 【 方法】平成17年ま たは18年度に1年次生としてエスコート実習を受講し、 平成22年ま たは23年度に臨床実習を終了した6年次生104名を対象に、 アン ケートを実施した。完答した82名(女子46名、男子36名) の回答を 分析対象とし、有意義性に対する見解がエスコート実習直後と臨 床実習終了時でどのように変化したかを検討した。 【結果および考 察】臨床実習終了時において、 1年次に受講したエスコート実習に 対する有意義性への評価は、実習直後と比較して有意に低い値 を示した。 エスコート実習が有意義であったという理由として、 受診 患者の気持ちが理解できたことや医療者と患者とのコミュニケー ションや信頼関係の重要性が認識できたなどの実習直後と同様 の理由が挙げられていた。一方、付添をする時間が短かった、医 療者としての意識や知識がない状態での実習は重要性があまり 感じられない、 臨床系の授業が始まる頃の方が良い、 などという理 由が見受けられた。以上より、 臨床実習終了後の評価は実習直後 と比較して低下しており、 エスコート実習をより効果的にするために は複数回の実習の実施や専門的知識を学ぶ高学年に実施する などの改善方法が示唆された。 93 P-007 3年次患者付添実習時の雑談内容の分析 ○大沢 聖子1、内田 貴之1,2、多田 充裕1,2、青木 伸一郎1,2、岡本 康裕1,2、梶本 真澄1、伊藤 孝訓1,2 1 2 日本大学 松戸歯学部 歯科総合診療学講座、 日本大学 松戸歯学部 口腔科学研究所 Analysis of the chat contents between dental students and patients on an outpatient escort program for third ○Seiko OSAWA1, Takashi UCHIDA1,2, Mitsuhiro OHTA1,2, Shinichiro AOKI1,2, Yasuhiro OKAMOTO1,2, Masumi KAJIMOTO1, Takanori ITO1,2 1 Department of Oral Diagnosis, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Matsudo, Japan, 2Research Institute of Oral Science, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Matsudo, Japan 【 目的 】医 療 は 患 者と医 療 者 が 協 働 する時 代とい わ れ 、 “Relationship-centered care” という概念が提示されている。学生 が患者の視点からみた診療システムや患者の心情を知り、医療者 スタッフの態度等を見学することは、患者−医療者関係について深 く考え、 自らの行動指針を整理、決定する手助けとなると考えられ る。本学では、 平成24年度より3年次後学期に患者付添実習を行っ ているが、学生が患者とどのようなコミュニケーションをとっているの かは明らかになっていない。 そこで、患者付添実習において学生と 患者が交わした雑談内容を検討することで、特徴が明らかになっ たので報告する。 【 方法】対象は平成25年3年次生95名である。3 年次「医療行動科学6(患者付添実習)」では付添実習に先立ち、 病院システムの説明、 対人関係教育、 付添想定ロールプレイのシナ リオ作成や発表を行った。付添実習は平成26年1月に、本学付属 病院において保存科、 補綴科、 歯周科、 総合歯科の再診患者の来 院から全ての診療・手続き終了時まで付き添った。具体的には患者 に自己紹介を行って本実習の趣旨を説明して同意を得た後、一緒 に付き添い、待ち時間は患者に配慮したコミュニケーションを行っ た。付添実習終了後は、 13班に別れてKJ法で患者と交わした雑談 内容を検討した。 さらに提出された各班のKJ法の成果物から、雑 談内容を質的・量的に分析した。 【 結果と考察】学生側からは、通 院方法、住所、職業等の患者に関する質問が66で最も多かった。 患者側からは、 インプラント、 ブラッシング等の歯科医療に関する質 問が45で最も多かった。 さらに趣味等の世間話が37、歯学部が何 年制か、全国の歯科大学数などの歯学部に関する質問が36、父 母の職業等の学生個人に関する質問が35と続いた。本実習に対 する質問、感想等は27で、患者が歯科医療、歯学部に関心をもち、 本実習に対して興味を示していることが示唆された。 P-008 チーム基盤型学習(TBL)の評価 ―学生アンケート調査による− ○宇野 光乗1、松井 孝介1、野々垣 龍吾1、横山 貴紀1、岡 俊男1、石神 元1、倉知 正和2 1 2 朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科補綴学分野、 朝日大学歯学部歯科医学教育推進センター Questionnaire survey for evaluation of team-based learning (TBL) ○Mitsunori UNO1, Kosuke MATSUI1, Ryugo NONOGAKI1, Takanori YOKOYAMA1, Toshio OKA1, Hajime ISHIGAMI1, Masakazu KURACHI2 1 Department of Prosthodontics, Division of Oral Functional Science and Rehabilitation, Asahi University School of Dentistry, Gifu, Japan, 2 Dental Education Promotion Center, Asahi University School of Dentistry, Gifu, Japan 【目的】Team-based-learning(TBL)は、 教室内でのアクティブラー ニングの1手法として歯学教育にも導入されてきている。今回は試 験的に固定性義歯学の講義時間にTBLを導入し、 授業終了後に 実施したアンケート調査の結果を報告する。 【方法】学習者は本学 歯学部4年生とし、 90分授業を4回実施した。学習過程は、 (1)各授 業の1週前に学内ホームページ(Moodle)に掲載した教員作成の 予習資料を自宅で予習 (2)各授業の冒頭に個人準備確認テスト (IRAT;多肢選択式問題)を実施 (3)IRATと同一問題をグループ 内討議後に解答(GRAT)(4)教員による正答発表、 それに対して 予習資料の内容、 テストの選択肢などについての異論のアピール (5)理解不足と思われる箇所をフィードバック (解説) 、 とした。以上の TBLの学習過程は、最初の授業開始前に学生に十分説明し、 同 意の下に行った。 なお、 アンケート調査(質問10項目を4カテゴリー 94 で回答) は無記名で4回目の授業終了時に実施した。 【 結果と考 察】 アンケート結果から、 「はい」 「どちらかといえばそう思う」 を含め ると、 「 予習を積極的に行った」者は僅少(19%) であったものの、 「予習、 復習の重要性がよく理解できた」は66%であった。 さらに、 自 己評価で60%の者が「グループ内討論に積極的に参加した」 と回 答したのに対して、 84%の者が「グループメンバーの学習意欲に個 人差が大きかった」 と回答したことを考え合わせると、学生の学習 意欲に格差が大きいことをうかがわせた。一方、 TBL(能動的)の学 習法は、従来の「講義形式(受動的) より楽しかった」が61%を、 「講義形式より授業内容がよく理解できた」 と回答した者が60%で あったことは、TBLの有用性を示唆したものと推察した。今後、学 習過程(1)∼(5)を検証して、 より学習を促進できるTBLを探求した いと考えている。 P-009 歯学部初年次教育におけるPBLテュートリアルの5年間の実践とその評価 ○田地 豪、平田 伊佐雄、本山 直世、久恒 順三、藤田 正、渡邉 峰朗、土井 充、二川 浩樹、小川 哲次、 内田 隆 広島大学 歯学部 教務・入試ワーキンググループ 教養ゼミサブワーキンググループ Practice and Evaluation of PBL tutorial for first-year dental students over five years ○Tsuyoshi TAJI, Isao HIRATA, Naoyo MOTOYAMA, Junzou HISATSUNE, Tadashi FUJITA, Mineo WATANABE, Mitsuru DOI, Hiroki NIKAWA, Tetsuji OGAWA, Takashi UCHIDA Introductory seminar sub working group, Education and Admission working group, Faculty of Dentistry, Hiroshima University, Hiroshima, Japan 【目的】 我々は、歯学部初年次前期に開講している 「教養ゼミ」 の授業を平成21年度からPBL(Problem Based Learning)テュー トリアルの形態に転換し、 問題解決能力や自己主導型学習能力の 修得を目指した学科横断的授業を行っている。本授業では、本学 歯学部1年生93名(歯学科53名、 口腔健康科学科40名) を2学科 混成の13グループに分け、各グループで3つの課題に対して討論 を深め、問題解決型学習の基礎から実践を経験させている。今 回、5年間の実践結果とその評価について報告し、本授業への PBLテュートリアル教育の貢献を明らかにしたい。 【 方法】 平成 21年から平成25年まで「教養ゼミ」の授業を受講した1年生486名 を対象とし、授業の最終回に実施した授業評価(24項目について の 4段階評価、 自由記述) を用いて、 評価の割合や5年間の変化を 検討した。評価項目は、 「学習の進め方」に関するもの12項目、 「学 習環境」に関するもの7項目、 「課題」に関するもの5項目とし、 それ ぞれ「強く同意する」、 「同意する」、 「同意しない」、 「全く同意しな い」の4段階評価を行った。 【 結果および考察】 全24項目のうち 21∼22項目において、 80%以上の学生が肯定的に評価していた。 学生は、概ねPBLを理解しており、 グループ討論にも参加している 様子が認められた。一方、 「学習環境」に関する2項目 (リソースの 活用に関する項目) において評価が低かった。学生は、情報収集 にあたり図書館などよりもインターネットを活用することが多いことが わかった。 ただし、 毎年の授業評価・改善により、 WebCTの活用に ついての評価は向上していた。本研究の結果、 初年次に行ってい るPBLテュートリアル教育は本授業に貢献していることが示唆され た。今後とも継続的に点検評価しながら授業の改善に努めたい。 ポスター 発 表 P-010 生物学リメディアル教育受講者と免除者間での成績の比較 −第一学年後期配当の遺伝学関連教科において− ○酒井 秀嗣、佐藤 恵 日本大学 歯学部 生物学教室 A comparison of remedial education students and those exempted with regard to second semester freshman coursework in genetics ○Hidetsugu SAKAI, Megumi SATO Department of Biology, Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan 【目的】 日本大学歯学部では、 新入生を対象に入学直後に理解度 試験を行い、物理学、化学、生物学のリメディアル教育の受講者と 免除者の振り分けを行っている。第1学年の化学および生物学関 連の科目では、前期配当科目ではリメディアル受講者と免除者で 成績に差が認められたが、後期配当科目では差が解消あるいは 縮小することが分かった。 そこで、授業期間中での差の減少を調 査してみた。 【 方法】後期配当科目 『遺伝のしくみ』の初回授業時 に専門用語の理解度について調査を行い、 またその結果と最終 成績との比較を行った。 まず、授業初日に成績評価とは無関係で あることを表明して、 遺伝学関連の45の用語について各々、 1. 全く 知らない、 2. 言葉だけは知っている、 3. だいたい意味を知っている、 4. 内容を説明できる、 の4段階で回答を得た。 これらの用語の内訳 は、 A:高校の教科書に記載されているもの36、 B :受験勉強の応用 で出てくる可能性のあるもの4、 C :高度な専門用語5である。 この回 答結果をリメディアル受講者と免除者とで比較した。 また、個人の 回答結果を点数化したもの、および学期末の成績の解析を行っ た。 【 結果と考察】上記A・B2項目の用語については、 リメディアル 教育受講者と免除者で理解度に大きな違いが認められた(p< 0.001)。 しかし、高度な専門用語ではほとんど理解者が無く、両群 間での差は認められなかった。 これは、 授業開始時では、 用語の知 識に関する限りにおいて、 リメディアル免除者が圧倒的に知識を有 していたことを示している。個人の回答結果を数値化した値で検 定しても同様の結果であった。一方、最終成績を比較してみると、 免除者の平均点の方が有意に高いが年度初めの理解度試験の ように明確に二分されるようなことはなく、 その差は縮小していた。 こ れらの結果から、 リメディアル教育と連携した授業運営の重要性 が示唆された。 95 P-011 「医療史」におけるICTの活用に関する研究 1.学生のタブレット端末の利用状況について ○三澤 麻衣子1、上原 任1、山崎 晴美1、尾崎 哲則1、越川 憲明2、山岡 大3、中島 一郎1 2 3 日本大学 歯学部 医療人間科学分野、 日本大学 歯学部 薬理学講座、 日本大学 歯学部 基礎自然科学分野 物理 1 A Study of practical use of ICT in "medical history" 1. The student's situation of utilize tablet computer ○Maiko MISAWA1, Tamotsu UEHARA1, Haruyoshi YAMAZAKI1, Tetsunori OZAKI1, Noriaki KOSHIKAWA2, Masaru YAMAOKA3, Ichiro NAKAJIMA1 1 Department of Community Dentistry, Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan, 2Department of Pharmacology, Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan, 3Department of Physics, Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan 【目的】平成25年度第1学年後期「医療史」の一部授業において、 は7%であった。授業資料の提供は、 タブレット端末がよいとする学 学生のタブレット端末で授業スライドのダウンロードを可能とした。 こ 生が65.2%であり、 これまでの授業で実践されてきたプリント配布な の取組みが学生にどのように受け入れられ、教育効果があったの どよりも評価が高かった。理由として、 「資料の管理のしやすさ」 を か、 質問紙を用いて調査し、 検討を行った。 回答する学生が37.4%と多かった。授業中にタブレット端末を用い 【方法】後期「医療史」の授業のうち13コマの授業で授業スライド て本教科と関係ないことをした経験がある学生は46.1%であった。 を学生のタブレット端末(iPad) にダウンロード可能とした。本教科の 【結論】 タブレット端末で99.1%の学生がダウンロードし、 支持されて 最終日に無記名の質問紙を用いて調査を行った。回収された質 いたことから、学生にとって身近な学習ツールとなりうることが示唆 問紙については基本統計量を算出し、 検討した。 された。 しかし、 授業スライドを事前にサイトにアップするだけでは自 【成績】 タブレット端末で授業スライドがダウンロード可能な場合、 主的な予習・復習に直結しない。学生の学習意欲が高い状態で 93.0%の学生がタブレット端末を授業に持参した。学生がデータを 使用すべきであり、 スライドにあわせて行動目標となる課題が必要 ダウンロードするのは「授業当日の授業が始まる前」55.7%、 「授業 であることが示唆された。 前日まで」26.1%であった。 また、 「授業前日までに目を通した」学生 P-012 動物解剖実習に対する学生の意識調査 ○佐藤 恵、酒井 秀嗣 日本大学 歯学部 生物学教室 Student attitudes towards a laboratory animal anatomy practicum ○Megumi SATO, Hidetsugu SAKAI Department of Biology, Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan 【目的】 日本大学歯学部で第一学年後期に配置している生物学実 習では、 できる限り生きた材料を用いて学生に生命現象を学ばせる とともに、生命の尊厳についても考える機会を与えている。そのた め、実験動物を用いる上での心構えや関連法規についても事前に 講義を行うと共に、 マウスおよびウシガエルの解剖においてはハンド リングの訓練も兼ねて、各自に麻酔注射も行わせている。一方、野 外で野生生物と接する機会が激減したためか、生きた動物を気持 ち悪いと言う学生が多くなってきた。 そこで、生きた生物を教材にし ていることをどのように感じているかを調査した。 【 方法】比較解剖 実習のガイダンスを行う前に、実験で動物を扱った経験、実習に対 する経験などをアンケート調査した。 また、 2回の実習後に実習の感 想等を調査した。最初の調査用紙に記載してある固有の番号を控 えさせ、 2回目の回答用紙にその番号を記載させた。 これによって 個人は特定できないが、 同一学生の回答用紙を対応できるようにし 96 た。 【 結果と考察】調査には全出席学生133名が回答した。 しかし、 番号間違えなどがあって、対応可能な有効回答は90組であった。 学校の授業で動物解剖の経験者は半数で、対象の約半数はウシ の眼球などであった。 また、本実習での解剖を 「気が進まない」、 あ るいは「嫌だ」 と答えた者は約半数で、 解剖の経験の有無とは無関 係であった。 一方、実習後の調査で、動物の命を感じたと答えた 学生は93%に上り、生きた動物を材料にすることに肯定的な回答も 82%を占めた。 また、大半の学生が実習に供せられた動物を可哀 想と回答したが、 ウシガエルとマウスとでは違いが認められた。 以 上のように、 ほとんどの学生は生きた動物を材料にした解剖実習に 意義を見出し、生命についても考える機会を持ったが、実習後の試 験は教員の期待を満足させるものではなかった。動物の犠牲に対 し、 十分な実効を伴う方策が必要と言える。 P-013 長期留学生に対する歯内療法学実習と講義に関する意識調査 ○北島 佳代子1、新井 恭子1、横須賀 孝史2、佐藤 友則2、松田 浩一郎2、北野 芳枝1、朝比奈 壮郎1、五十嵐 勝1 2 日本歯科大学 新潟生命歯学部 歯科保存学第1講座、 日本歯科大学 新潟病院 総合診療科 1 A questionnaire survey concerning impression of endodontic laboratory and lecture to long-term exchange students ○Kayoko KITAJIMA1, Kyoko ARAI1, Takashi YOKOSUKA2, Tomonori SATO2, Kohichiro MATSUDA 2, Yoshie KITANO1, Takeo ASAHINA 1, Masaru IGARASHI1 1 Department of Endodontics, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, Niigata, Japan, 2Comprehensive Dental Care, The Nippon Dental University Niigata Hospital, Niigata, Japan 【緒言】本学の2012・2013年度姉妹校交換留学制度では、 台湾か ら1年間の長期受け入れが行われた。本学では歯内療法学講義 を第3学年で、 臨床基礎実習を第4学年で行うのに対し、 台湾では 第4学年で講義と基礎実習を行うため、講義未履修で本学の歯 内療法学実習を開始し、翌年に講義を受講することとなった。 カリ キュラムの異なる交換学生教育の問題点抽出を目的に、 プログラ ム終了後に留学生へのアンケート調査を行ったので報告する。 【対象と方法】対象は、台湾からの第4学年留学生3名である。本 学倫理委員会の研究倫理審査承認を受け、 本人の同意を得て実 施した。 アンケートはVAS評価ならびに自由記述式の回答とした。 質問は基礎実習と講義に分け、 それぞれの理解度、学習効率化 への対策、 プレテスト・ポストテストの評価、授業支援システムの利 用度、 カリキュラムへの感想等である。 【結果と考察】実習の理解度は、 開始直後は低かったが経時的に 上昇した。実習対策として実習書や教科書、 インターネット利用で の予習・復習、 日本人友人への質問等を挙げ、 事前資料配布等の 授業支援システムの利用度は100%であった。 プレテストは困難で あったが、 有効性は100%であった。実習後に開始した講義では理 解度が上昇し、 10か月後には60∼90%に達した。授業でのポストテ ストは困難であったが、 有効性は80%、 授業支援システムの利用は 40∼80%であった。講義前に実習を履修するカリキュラムとなった 点については、初めの実習内容の理解が困難であり、講義を先に 受けた方がわかりやすいと感じたが、 逆に講義が理解しやすくなっ たとの前向きな意見もあった。本留学生は極めて勉強熱心で、語 学力の向上も顕著であり、友人との関係も上手に築き、 プレテスト ・ ポストテストや授業支援システムを有効活用したことにより、実習と 講義の双方に効果的に働き、 本学での学習効果が高まったと考え られる。 ポスター 発 表 P-014 松本歯科大学1年生の入門歯科医学実習について ○谷内 秀寿1、岡藤 範正1,2、黒岩 昭弘1,3、藤井 健男2、増田 裕次4、長谷川 博雅5 2 3 4 松本歯科大学 入門歯科医学、 松本歯科大学病院 総合診療室、 松本歯科大学 歯科補綴学講座、 松本歯科大学 総合歯科医学研 5 究所 顎口腔機能制御学部門、 松本歯科大学 口腔病理学講座 1 Lab for Introduction to Dentistry for freshmen of Matsumoto Dental University ○Hidetoshi TANIUCHI1, Norimasa OKAFUJI 1,2, Akihiro KUROIWA 1,3, Takeo FUJII2, Yuji MASUDA4, Hiromasa HASEGAWA 5 Dental Science and Practice, Matsumoto Dental University, Shiojiri, Japan, 2Department of Oral Science, Matsumoto Dental University Hospital, Shiojiri, Japan, 3Department of Prothodontics, Matsumoto Dental University, Shiojiri, Japan, 4Division of Maxillofacial biology, Institute for Oral Science, Matsumoto Dental University, Shiojiri, Japan, 5Department of Oral Pathology, Matsumoto Dental University, Shiojiri, Japan 1 【緒言】教育内容の改善、効率化は常に検討されるべき課題であ り、 本学においては2005年度から専門基礎教育の動機付けとして 1年生に入門歯科医学実習という通年授業を取り入れてきた。 そ の中で、 我々は全部床義歯の製作を担当し、 今年度で10年の節目 を迎える。 そこで、本学会に発表し関係各位のご批判を戴き飛躍 を図る必要があると考えた。 【方法・内容】全部床義歯製作実習 は、 前期15回(1回90分・2コマ授業) で実施し、 咬合器装着から重 合・研磨までを体験させる。義歯の製作には無歯顎模型にニッシン NC-N4を、 人工歯は松風エース総歯514を用いることにした。学生 の製作は上顎全部床義歯とし、下顎は石膏模型を用いることにし た。 そのため、歯槽頂間線の法則に則り人工歯排列を行い蝋義 歯作成後、 複印象で親模型を製作し複製することで、 下顎模型を 量産し学生配布することにした。実習工程は 1.咬合の印記 2. 咬合器装着 3.人工歯排列 4.歯肉形成 5.埋没・重合 6.研 磨 7.完成・提出である。2013年度からは実習を総括するために 筆記試験を行うことにした。【結果・総括】2013年度の授業評価ア ンケート結果によると 「授業を理解するよう努力していましたか」 と いう問いに、7割の学生が「そう思う」 と答えるなどいずれの項目も 高い評価であった。授業評価の結果からも1年生がこの実習に真 摯に取り組んでいることが窺われる。以上から、 1年生がこの実習 を受講し歯科補綴の概要を知り、実習に取り組む姿勢を学ぶこと は、将来受講する専門教育・専門基礎実習への刷り込み効果が 期待できる。 また、学生が補綴的知識を得て手技的適応性を知る ことが動機付けとなり、歯学に臨む積極性の向上につながることも 考えられる。 そして、 学生生活の早い段階で学習法や技能習得に 対する具体的な対策をとれることが、 より高い技術の習得を可能に すると考える。 97 P-015 九州歯科大学におけるクラウド型クリッカ「Clica(クリカ)」の教員評価 ○中原 孝洋1、北村 知昭2、西野 宇信2、平田-土屋 志津2、冨永 和宏3、吉岡 泉4、國領 真也4、細川 隆司5、西原 達次6、 小林 建太郎7、谷岡 正行8 1 2 3 4 5 九州歯科大学総合教育学分野、 九州歯科大学口腔保存治療学分野、 九州歯科大学顎顔面外科学分野、 九州歯科大学口腔内科学分野、 6 7 8 口腔再建リハビリテーション学分野、 九州歯科大学感染分子生物学分野、 株式会社デジタル・ナレッジ、 株式会社ニッシン Evaluation of cloud-type audience response system "Clica" in Kyushu Dental University ○Takahiro NAKAHARA1, Chiaki KITAMURA2, Takanobu NISHINO2, Shizu HIRATA-TSUCHIYA2, Kazuhiro TOMINAGA3, Izumi YOSHIOKA4, Shin-ya KOKURYO4, Ryuji HOSOKAWA5, Tatsuji NISHIHARA6, Kentaro KOBAYASHI7, Masayuki TANIOKA8 1 Department of General Education, Kyushu Dental University, Fukuoka, Japan, 2Department of Endodontics and Restorative Dentistry, Kyushu Dental University, Fukuoka, Japan, 3Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Kyushu Dental University, Fukuoka, Japan, 4 Department of Oral Medicine, Kyushu Dental University, Fukuoka, Japan, 5Department of Oral Reconstruction and Rehabilitation, Kyushu Dental University, Fukuoka, Japan, 6Department of Infections and Molecular Biology, Kyushu Dental University, Fukuoka, Japan, 7DigitalKnowledge Co.,Ltd., 8NISSIN DENTAL PRODUCTS INC. 【目的】九州歯科大学では、診断の重要性を鑑み、臨床推論に関 の有用性、 Clicaの継続使用希望、 またClica利用を学内で推進す する演習を増加させているところである。効果的な学びとするた べきかについてアンケートを実施した。 め、一部の演習はクラウド型クリッカシステムを用いて双方向型で 【結果】授業準備に関する時間や負荷については、通常と同等 実施している。他に、情報リテラシ教育においても、同様の形態を か、 やや高めであった。授業進行の苦労は、 平均すると通常と同等 取っている。今回、同システム運用2年目になることから、授業にお とされた。有用性については肯定的であり、 利用を推進した方が良 ける効果や使用感について教員による評価を行った。 いとの回答が得られた。一方、教材の準備や機器の使用につい 【材料及び方法】使用しているデジタル・ナレッジ社製「Clica(クリ て、 標準化を望む声が寄せられた。 カ)」は、Webブラウザで動作する。既に、ユーザの操作感につい 【考察】大学教育においては、 学生参加型の授業が期待されてお て、 タブレット端末及びデスクトップPCの差異を調査し、平成25年 り、 Active Learningや協同学習、 TBL(Team Based Learning) 度は、 後者を標準的に使用することにした。 などがトピックになっている。Clicaは、 ミニTBLのような要素を持っ 利用した科目は1、3、4、5年次生の計5科目で、情報系、保存治療 ており、今回、様々な科目で活用できることが実証された。 また、授 系、 口腔外科系に及んだ。 システムを利用した教員は8名であり、 同 業での効果や使用感についても高評価であり、広く教員に受け入 一の教員が複数科目で利用したものもある。教員に対しては、 準備 れられるものと考えられる。今回の結果を参考に、Clicaの利用率 時間、準備の負荷、授業進行の苦労、学生ならびに教員にとって 向上を目指し、 マニュアルの整備やFDを進めていくところである。 P-016 保存修復学実習シミュレーションテストに関する学生へのアンケート調査 ○鈴木 雅也1、鹿又 真一2、平 賢久2、加藤 千景1、関 秀明2、海老原 隆2、新海 航一1 2 日本歯科大学 新潟生命歯学部 歯科保存学第2講座、 日本歯科大学 新潟病院 総合診療科 1 Questionnaire Survey on the Simulation Test in Operative Dentistry Practical Training for the 4th Dental Students ○Masaya SUZUKI1, Shinichi KANOMATA2, Yoshihisa TAIRA2, Chikage KATO1, Hideaki SEKI2, Takashi EBIHARA2, Koichi SHINKAI1 Department of Operative Dentistry, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, Niigata, Japan, 2Comprehensive Dental Care, The Nippon Dental University Niigata Hospital, Niigata, Japan 1 【目的】本学部の保存修復学基礎実習では、 最終回にコンポジット 12. 仕上げ研磨に用いた切削器具は適切に選択できたか、13. 拡 レジン (CR)修復を課題としたシミュレーションテストを行っている。 大鏡を使用したか、 14. 拡大鏡はCR修復に有効だと思うかの14項 そこで今回、 学生を対象にシミュレーションテストに関するアンケート 目とした。 なお、課題となる歯種は毎年変更している。 【 結果と考 調査を行ったので報告する。 【 対象と方法】平成23年度:91名、平 察】各項目で最も多かった回答は、1. ちょうどよい(63%)、2. 普通 成24年度:71名、平成25年度:64名の第4学年の学生を対象とし (55%) 、3. はい (89%) 、4. 仕上げ研磨(41%) 、5. 接着処理(54%) 、 て、 シミュレーションテスト終了後にアンケート調査を行った。 アン 6. 仕上げ研磨(45%)、7. はい(38%)、8. 普通(42%)、9. はい やや軟らかい (41%)、11. はい (85%)、12. はい (80%)、 ケートの内容は、1. テストの時間、2. 課題の難易度、3. シミュレーショ (92%)、10. はい (72%) 、 14. はい (68%) であった。成果を出せなかった項目 ンテストは病院実習に向けて役立ったと思うか、 4. 難しかったテスト 13. で仕上げ研磨が多かったのは、修復物の完成度に直結するから 項目、5. 実習成果を出せたテスト項目、6. 実習成果を出せなかった であると推察された。成果を出せた項目には接着処理を最も多く テスト項目、7. 総合的にみて実習成果を出せたと思うか、8. 修復物 たしかに処理手順は単純であるが、 学生が本当に正 の自己評価、9. 齲蝕人工歯の齲蝕部位は確認しやすかったか、 挙げている。 10. スチールバーによる齲蝕部位の切削感は健全部位と比較して しく行っているかの評価はしていない。接着はCR修復物にとって 今後は評価方法の検討が必要である。 どうか、11. 窩洞形成に用いた切削器具は適切に選択できたか、 重要な項目であるため、 98 P-017 東京医科歯科大学での歯内治療臨床予備実習における反転授業の導入―第2報:学生によるアンケート結果― ○和達 礼子1、河村 隼1、海老原 新1、須田 英明1、木下 淳博2 1 2 東京医科歯科大学(TMDU)大学院医歯学総合研究科 機能再構築学講座 歯髄生物学分野、 東京医科歯科大学(TMDU) 図書館情報 メディア機構 教育メディア開発部 Introduction of flip teaching to endodontic pre-clinical classes-Part II: Results of a questionnaire survey○Reiko WADACHI1, Jun KAWAMURA1, Arata EBIHARA1, Hideaki SUDA1, Atsuhiro KINOSHITA2 1 Department of Pulp Biology and Endodontics, Division of Oral Health Sciences, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University (TMDU), Tokyo, Japan, 2Department of Educational Media Development, Institute for Library and Media Information Technology, Tokyo Medical and Dental University (TMDU) 【目的】 当分野では、 歯学部歯学科5年生を対象とした臨床予備実習にお いて、 平成25年度にWebClassを活用したいわゆる反転授業を試 みた。本研究では、学生へのアンケート調査結果からその評価を 行った。 【方法】 学生には、事前にWebClass上でビデオ教材を閲覧するよう指示 を与え、実習当日は実習内容の説明を行わず直ちに実習を行っ た。 アンケート調査は、 臨床予備実習終了後にWebClass上におい て選択式および自由記述式により行った。 【結果】 7割以上の学生は授業前に毎回教材を閲覧しており、教材の長さ は特に問題ないと回答していた。半数以上が大学外からパーソナ ルコンピューターを使用しており、 半数近くはすでにタブレット端末を 所持していた。教材の内容に対しては「特に問題ない」 「音声が必 要」 「字幕だけではわからないところがあった」がほぼ同数であっ た。全員が「ビデオ教材による予習は実習の理解に効果的」 と回 答していた。 しかし、 7割近くの学生は「予習すれば問題なく実習を 行えた」 と回答している一方で、2割は実習前のビデオ視聴および 解説を希望していた。 【結果】 今回の調査結果から、 学生は反転授業を効果的と捉えていること が示された。 ただし、 ビデオ教材の字幕や音声による解説の充実、 実習当日のビデオ視聴や教員による補足説明に関しては、 今後検 討が必要である。 【結論】 WebClassを活用した反転授業は実習の理解の助けとなった。 P-018 全部床義歯模型実習サイトでの、PCと携帯端末による学習状況の比較 ○昆 はるか、小林 博、渡邉 清志、櫻井 直樹、佐藤 直子 新潟大学大学院医歯学総合研究科 包括歯科補綴学分野 Comparison of their learning activity between PC users and mobile devices users using the e-learning system on the preclinical complete denture course ○Haruka KON, Hiroshi KOBAYASHI, Kiyoshi WATANABE, Naoki SAKURAI, Naoko SATO Division of Comprehensive Prosthodontics, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Japan 【目的】全部床義歯模型実習において、 平成24年度より、 学習機会 週間を対象に、 アクティブログを調査した。 【結果】学生が実習サイ を増やす目的で携帯端末から予習用映像が視聴できるシステムを トにアクセスした目的は、 小テストの受験、 宿題の提出、 映像の視聴 構築した。学生のアンケート結果から、 映像が長すぎるなどの問題 であった。実習前日と実習当日の早朝は、実習内容を確認するた があるものの、本システムに対しては概ね肯定的な意見が得られ めの予習用映像へのアクセスが多かった。PCのみ利用する学生 た1)。 しかし携帯端末から学習できる環境が、学生の学習状況に (29人) と比較し、携帯端末を利用する学生(14人) は、実習サイト どのような影響を与えたか、 この調査からは不明であった。本研究 へのアクセス数が多いことが予想されたが、実習サイトにアクセス では、全部床義歯模型実習時の学生のアクティブログを調査し、 する頻度は同じ程度であった。 これは実習サイトを通じて小テスト PCと携帯端末で学習状況に違いがあるかを調べた。 【方法】調査 を課していたため、 アクセスする手段に関わらず実習サイトに強制 対象は、平成25年度に全部床義歯模型実習に参加した4年生43 的にアクセスする必要が生じたことが関連していると考えられた。 名とした。 これらの学生に対し、 実習前日までにe-learning システム 【参考文献】1) 昆はるか、 その他。E-learningシステムによる映像 上の小テストを課し、予習用映像を実習前に視聴するよう指示し 配信を取り入れた全部床義歯基礎実習の試みーアンケートによる た。実習最終日に、 これらの学生に対し、映像へのアクセス方法な 評価ー。 日本歯科医学教育学会誌suppl 89、 2013。 どについてアンケートを行った。更に、 これらの学生が本実習サイト にどのようにアクセスしているかを調べるため、実習最終日までの1 99 P-019 東京医科歯科大学での歯内治療臨床予備実習における反転授業の導入―第1報:システムならびに効果― ○河村 隼1、和達 礼子1、海老原 新1、須田 英明1、木下 淳博2 1 2 東京医科歯科大学(TMDU)大学院医歯学総合研究科 機能再構築学講座 歯髄生物学分野、 東京医科歯科大学(TMDU) 図書館情 報メディア機構 教育メディア開発部 Introduction of flip teaching to endodontic pre-clinical classes-Part I: the introduction of the system○Jun KAWAMURA1, Reiko WADACHI1, Arata EBIHARA1, Hideaki SUDA1, Atsuhiro KINOSHITA2 1 Department of Pulp Biology and Endodontics, Division of Oral Health Sciences, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University (TMDU), Tokyo, Japan, 2Department of Educational Media Development, Institute for Library and Media Information Technology, Tokyo Medical and Dental University (TMDU), Tokyo, Japan 【諸言】 実習内容の説明を行わず直ちに実習を行った。 ビデオの内容は口 東京医科歯科大学では、歯学部歯学科5年生を対象に10月から 腔外診査、 打診、 根尖部圧痛の診査、 歯髄生活診、 う窩の電気抵 11月にかけて臨床予備実習を行っている。 これはその後の臨床実 抗値測定などの歯内疾患の術前診査、および前歯・大臼歯のラ 習の前準備として各教科が約9時間を使い、 臨床実習に必要な知 バーダム装着、 簡易細菌検査であり、 約16分間を必要とする。 識・技 能の確 認を行うものである。本 学では平 成 1 6 年 度より 【結果】 e-learningを教育に導入しており、 当分野では平成25年度の臨床 実習では質問の確認を行った後に直ちに外来実習を行うことがで 予備実習においてWebClassを活用したいわゆる反転授業を試 きた。 みた。 【考察】 【方法】 反転授業により学生が自分のペースで予習し、疑問点が明確とな 当分野における臨床予備実習は、 以下の通りである。 り、 より効率的な実習になったと考えられる。 また、問題意識を各自 Part 1: 歯内疾患の診査方法の説明(講義) が持つこと、参加意識を高めることに対しても有効であると考えら Part 2: 歯内疾患の診断の相互実習、 ラバーダム相互実習、細 れる。 菌培養実習 (外来) 【結論】 Part 3: 歯内疾患の診断、 応急処置(講義) WebClassの活用により、 より効率的な授業形態が期待できると考 反 転 授 業は、P a r t 2で行った。すなわち、学 生には事 前に えられた。 WebClass上でビデオ教材を閲覧するよう指示を与え、 実習当日は P-020 歯内療法学実習のアンケート調査―アナログエックス線画像とデジタルエックス線画像の比較― ○山崎 孝子1、北村 和夫1、石井 隆資1、岩田 洋2、小倉 陽子3、勝海 一郎3 1 2 3 日本歯科大学 附属病院 総合診療科、 日本歯科大学 附属病院 歯科生命放射線・口腔病理診断科、 日本歯科大学 生命歯学部 歯 科保存学講座 A questionnaire survey on pre-clinical endodontic practice training - Comparison of analog radiographic image with digital radiographic image ○Takako YAMAZAKI1, Kazuo KITAMURA1, Takashi ISHII1, Hiroshi IWATA2, Yoko OGURA3, Ichiroh KATSUUMI3 1 Division of General Dentistry, The Nippon Dental University Hospital, Tokyo, Japan, 2Oral Diagnosis, Oral Radiolgy of The Nippon Dental University Hospital, Tokyo, Japan, 3Department of Endodontics, The Nippon Dental University, Tokyo, Japan 【目的】 日本歯科大学生命歯学部では第4学年を対象に歯内療 法学実習を行っている。 日本歯科大学附属病院では平成22年10 月からエックス線画像のデジタル化を開始した。 それに伴い本実習 でもエックス線画像のデジタル化を検討し、平成25年10月より実施 した。昨年度の学生は前期実習においてアナログエックス線画像 を用い、後期実習はデジタルエックス線画像を用いて行った。 そこ で今回、 われわれは画像処理法を含めたアナログエックス線画像 とデジタルエックス線画像の両方を体験した学生に対してアンケー ト調査を実施し、 若干の知見を得たので報告する。 【方法】本実習 は前期12回、後期12回施行した。 アンケートは後期にデジタルエッ クス線画像を用いた実習を体験した後に第4学年115名に対して 実施した。 アンケート項目は、 1. フィルムについて、 フィルム処理の操 作性、 フィルム処理の時間、 画質、 フィルムの管理、 2. イメージングプ レートについて、 画像処理の操作性、 画像処理の時間、 画質、 画像 100 の管理の8項目について、4段階で評価した。 また、 3. フィルムとイ メージングプレートどちらが良いと思うか。 その理由。 4. その他(撮 影方法、操作法 等) について自由記載とした。 【 結果および考 察】115名中108名から回答が得られ、 回収率は94%であった。操 作性は71%の学生がフィルムは「複雑」 としたのに対し、 イメージン グプレートは79%の学生が「簡単」 とした。処理時間は71%の学生 がフィルムは「長い」 としたのに対し、 イメージングプレートは88%の 学生が「短い」 とした。画質は「良い」 とした学生がイメージングプ レートは100%に対し、 フィルムでは56%であった。管理は59%の学 生がフィルムは「煩雑」 としたのに対し、 イメージングプレートは97% の学生が「簡単」 とした。 イメージングプレートが良いと答えた学生 が87%であった。 また、 フィルムは操作が煩雑で、 白衣や周囲が汚 れるという意見が多かった。 P-021 歯の解剖学実習でのiPadの活用について ○網干 博文1、山崎 洋介2、磯川 桂太郎2 1 2 日本大学 歯学部 法医学講座、 日本大学 歯学部 解剖学第II講座 The application of iPad to dental anatomy practice ○Hirofumi ABOSHI1, Yosuke YAMAZAKI2, Keitaro ISOKAWA2 Department of Legal Medicine, Nihon University, School of Dentistry, Tokyo, Japan, 2Department of Anatomy, Nihon University, School of Dentistry, Tokyo, Japan 1 【背景と目的】本学部では受講に際してのiPad利活用を押し進めて 的に併用した。歯の解剖学に特化した特徴的な取り組みとして、歯 いる。iPadは学生が用意し、MDM(Mobile Device Management) 型彫刻の手順を3次元モデルで再現したバーチャルステップ模型 導入等は行わず、各自が欲するコンテンツ同様に教材を「いつでも ( i B o o k s 形 式 )や、マイクロC T 画 像から歯の形 態を学ぶ実習 傍らに」おくことをコンセプトとしている。 タブレット端末のニーズ拡大に (OsiriX使用) などを行った。 これら教材は、紙媒体では表現・供給で ともない、教科内容に特化したデジタルコンテンツの開発と質的向上 きない視認性やデータ量を有するコンテンツである。出席調査や双 は急務となっている。今回演者らは、歯の解剖学実習において、 これ 方向授業のためのクリッカー機能を有したアプリも独自開発し、講義・ まで提供し難かったタイプの情報を盛り込んだ複数のデジタル教材 実習で積極的に用いた。 これら複数ツールを活用した講義・実習は、 を開発するとともに、 その学習効果や有用性について検討を加えた。 学生の評判もよく、 モチベーション向上にも寄与しいていることが、 ア 【結果と考察】講義資料や実習書などはデジタル化教材として、学部 ンケート結果から窺い知れた。 また、基本的ICT環境としての端末 で整備したWiFiインフラと大学が提供しているNU-AppsG(Google (iPad) とメール環境を学生全員が持ったことによる情報伝達の即時 Apps相当) のメールシステムやクラウド環境にて配付した。 しかし一 性と確実性は、学生からの圧倒的な支持を得ていることがアンケート 方で、教育効果の観点から、必要に応じて紙媒体での配付も部分 で明らかとなった。 P-022 歯科理工学研究会に所属する学生における学年の違いによる印象材の取り扱い技術 ○大山 豪1、林 香菜子1、秋山 俊吾1、藤野 一隆1、篠田 健太1、山田 憲二1、鈴木 智之1、原 新子1、平野 萌香1、宮坂 平2、 青柳 有祐2、青木 春美2 1 2 日本歯科大学 生命歯学部 歯科理工学研究会、 日本歯科大学 生命歯学部 歯科理工学講座 Relationship between proficiency in impression materials handling and the grade of students belonging to the dental materials study group ○Go OYAMA1, Kanako HAYASHI1, Syungo AKIYAMA1, Kazutaka FUJINO1, Kazutaka SHINODA1, Kenji YAMADA1, Tomoyuki SUZUKI1, Shinko HARA1, Moeka HIRANO1, Taira MIYASAKA2, Yusuke AOYAGI2, Harumi AOKI2 1 Study Group of Dental Materials Science, School of Life Dentistry at Tokyo, The Nippon Dental University, 2Department of Dental Materials Science, School of Life Dentistry at Tokyo, The Nippon Dental University 本学で歯科材料を取り扱う実習として、第3学年前期に歯科材料 技術工学(理工学)実習が行われ、第4学年で臨床科目系実習を 経て、第5学年において臨床実習が行われている。 このような段階 的に行われる実習は、歯科材料の取り扱いに習熟して行く上で重 要である。 この間の歯科材料の取り扱い技術の習得は、 アンケート 等により実習の有用性を確かめることはできるが、 技術力の実情は よく把握されていない。 そこで今回我々は、学年の違いによって歯 科材料の取扱い技術に差が認められるかどうか調べるため、 頻用 されているアルジネート印象材を用い、作製した印象の物性を調 べて、 その取り扱い技術を評価した。 【対象と方法】本学歯科理工 学研究会所属の学部生9名(1年生3名、 3年生3名、 5年生3名) を 対象とした。 アルジネート印象材(アローマファインプラスノーマル セット、 ジーシー) を用い、 練和水の温度ならびに混水比を変化させ て各学年135個の試料を作製した。JIS T6505に準拠した方法で、 各試料の弾性ひずみ、 永久ひずみを計測した。得られた測定値を 統計解析し、学年による差が認められるか否か評価した。 【結果と 考察】弾性ひずみ、 永久ひずみともに測定値が最も大きかったのは 1年生で、 3年生ではわずかに小さく、 5年生では最も小さかったが、 これらの測定値はメーカーの表示値と大きな差は認められなかっ た。 また、 いずれの学年でも練和水量が多くなると弾性ひずみ、永 久ひずみともに大きくなる傾向が確かめられた。歯科材料の取り扱 いは学年により大きな差が認められると予想したが、 今回は歯科理 工学研究会に所属しており理工学に興味を持っている学生が対 象であること、多数の試料を作製したことによりそれぞれの練和技 術が熟練したことなどから、 学年による差が小さかったものと考えら れる。 101 P-023 小児歯科臨床前実習における説明・指導系実習への電子ポートフォリオの活用 ○浅里 仁1、小野 陽子1、杉山 智美1、馬谷原 光織2、片岡 竜太2、井上 美津子1 2 昭和大学 歯学部 小児成育歯科学講座、 昭和大学 歯学部 スペシャルニーズ口腔医学講座 歯学教育学部門 1 Use of electronic portfolios for guidance and explanation training in pediatric dentistry pre-clinical training ○Jin ASARI1, Yohko ONO1, Tomomi SUGIYAMA1, Mitsuori MAYAHARA2, Ryuta KATAOKA2, Mitsuko INOUE1 Department of Pediatric Dentistry, School of Dentistry, Showa University, 2Department of Special Needs Dentistry, Division of Dental Education, School of Dentistry, Showa University 1 【目的】 本学では小児歯科臨床前実習において、 平成25年度よ り自学・自習の促進のための学生自身の振り返りを目的として電子 ポートフォリオを実施している。今回は、 学生が電子ポートフォリオを 活用して説明・指導系実習をどのように学んだかについて検討し たので報告する。 【対象と研究方法】 平成25年の歯学部4年生106名を対象とし た。説明・指導系実習は可撤保隙装置の説明、 クラウンループの説 明、 保護者へのブラッシング指導(IIA期、 IIC期) の4項目について 学生相互で行った。 その様子をビデオカメラで撮影し、 動画を電子 ポートフォリオに提出してもらい、 さらに各人が書き出し (1回目) を行 い提出した。 その後、教員によるフィードバック講義を行い、各人が 書き出しの修正(2回目) を行い電子ポートフォリオに提出してもらっ た。今回は1回目と2回目の書き出しの記録を分析した。 【結果・考察】 講義後の書き出しの総文字数は、 ほぼ全ての学生 で講義前よりも増加していた。変更内容の内訳として、 修正文字数 および追加文字数は約1/3の学生で200文字以内であったが、 2/3の学生は200文字以上、 最大1000文字の修正を行っていた。 学生は自分の実習ビデオを見て振り返りを行い、 適切な説明・指導 に関する追加講義により、 どのような点が自分に不足しているかを 見直し、 具体的な修正内容を書き出すことができていた。従来の説 明・指導実習では、 指導者による評価が主体であり、 個々の学生に フィードバックを行うことが困難だった。 また、事前学習が困難なた め、学生から受け入れられにくい実習範囲のひとつであった。 しか し、今回のように実習の場をビデオに記録し学生自身に振り返させ ることにより、個々の学生へのフィードバックが可能となった。 また、 実際に自分の実習を映像で見るという体験は、 実習への興味につ ながり、 さらなる実習の充実が期待できるのではないかと考える。 P-024 時刻同時性に優れたOSCEタイマーの開発 ○山岡 大1、山崎 洋介2、江島 堅一郎3、宮崎 洋一4、磯川 桂太郎2 2 3 4 日本大学 歯学部 基礎自然科学分野、 日本大学 歯学部 解剖学第II講座、 日本大学 歯学部 歯科放射線学講座、 日本大学 歯学 部 数理情報学 1 Development of an OSCE timer with accurate time synchronization ○Masaru YAMAOKA1, Yosuke YAMAZAKI2, Ken-ichiro EJIMA3, Yoichi MIYAZAKI4, Keitaro ISOKAWA2 1 Department of Physics, Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan, 2Department of Anatomy, Nihon University School of Dentistry, 3Department of Oral and Maxillofacial Radiology, Nihon University School of Dentistry, 4Department of Applied mathematics and informatics, Nihon University School of Dentistry 【目的】演者らは、客観的臨床能力試験(OSCE) の進行のアナウ ST-PCにタイマー表示用のHTMLと計時用のJavascriptプログラ ンスおよび時刻表示を自動化したwebブラウザで動作するOSCE ムがダウンロード・実行されたのち、 引き続き試験開始時刻が送信 用のタイマーシステム (以下、OSCEタイマー) を開発し、本学会で される。 それ以後、 ST-PCはサーバー機から250ミリ秒ごとに送信さ 報告した。開発したOSCEタイマーは、 計時時間の誤差および各ス れるサーバー機の現在時刻を受信し、 それを元にタイマープログラ テーションのパソコン (以下ST-PC)へのセットアップが煩雑となる ムが動作するように設計した。 【 結果および考察】開発したOSCE 問題点があった。 そこでこれら問題点を解決するため、 サーバーサ タイマーでは、 サーバー機と各ST-PCの通信にかかる数ミリ∼数十 イドで動作する一元的なタイマープログラムによって、各ST-PC上 ミリ秒程度の誤差でタイマー表示を行うことができる。 そこでOSCE のwebブラウザに対してサーバー機の現在時刻を送信して表示さ タイマーを本学で実施のOSCEで運用した結果、 試験会場内の50 せるOSCEタイマーを新たに開発し、 それを本学のOSCEで運用し 台超のST-PCのタイマー表示で狂いはなく、進行に乱れはなかっ て良好な結果を得たので報告する。 【 方法】OSCEタイマーは、 た。 また、 ST-PCへのセットアップがwebブラウザでサーバー機に接 サーバー機と複数台のST-PCで構成し、 サーバー機のみにサー 続するのみであるため、 従来のOSCEタイマーと比較してセットアッ バーサイドJavascriptの仕組みを用いて作成したプログラムをイン プの煩雑さが解消された。 このことから、本報告のOSCEタイマー ストールして動作させた。作成したプログラムでは、ST-PCがweb はタイマーの正確性のみならず、 管理運用の点からも優れていると ブラウザでサーバー機に接続してwebsocket通信が確立すると、 考えられた。 102 P-025 歯科用実体顕微鏡を用いた髄腔および根管観察の歯内療法基礎実習への導入 ○金子 友厚1、前田 健康2、興地 隆史1 1 新潟大学大学院医歯学総合研究科 口腔健康科学講座 う蝕学分野、 2 新潟大学大学院医歯学総合研究科 摂食環境制御学講座 口腔解剖学 Introduction of Dental Operating Microscope to Preclinical Practice of Endodontics: Microscopic Observation of the Pulp Chamber and Root Canals ○Tomoatsu KANEKO1, Takeyasu MAEDA2, Takashi OKIJI1 1 Division of Cariology, Operative Dentistry and Endodontics, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Niigata, Japan, 2Division of Oral Anatomy, Department of Oral Biological Science, Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Niigata, Japan 【目的】本学では歯学部4年対象の歯内療法学基礎実習におい て、髄腔観察に計2回の歯科用実体顕微鏡実習を行っており、教 育効果がみられることを第32回本学会で報告した。今回、前述の 顕微鏡実習に、根管充填材除去における観察を加えた計3回の 実習を行い、 教育効果を考察した。 【方法】本学歯学部4年生42名 を対象とした。 顕微鏡実習1回目:歯科用実体顕微鏡の使用法 についての講義後、 大臼歯の髄腔開拡を行い、 髄腔内のスケッチ を黒鉛筆にて行った後、顕微鏡を用いて髄腔を観察し、赤鉛筆で 加筆した。顕微鏡実習2回目:再度、顕微鏡についての講義後、顕 微鏡実習1回目の歯に根管形成を行い、 形成終了後の髄腔を、 顕 微鏡を用いて観察し、 スケッチした。 1、2回目の実習終了後、観 察技術の向上のためスケッチについて形成的フィードバックを行っ た。顕微鏡実習3回目:再度、顕微鏡の講義後、実習1、 2回目で用 いた歯に対して根管充填材の除去を行い、除去後の根管を観察 した。 有用性および難易度等に関するアンケート調査は、 各回の 顕微鏡実習終了時、 全ての実習終了時の、 計4回実施した。 【結果】 スケッチは、二回目の実習において、 より鮮明に描写される 傾向がみられた。 アンケートでは、 一回目の実習では顕微鏡操作は 易しいとの回答は78%であったが、二回、三回目では93%、95%が 前回よりも観察がさらに容易になったと回答した。実習内容に興味 を持った学生は3回の実習を通して90%以上であり、 三回目が98% と最も高値であった。計3回の実習を通した結果では、全ての学生 が「歯内療法に顕微鏡は必要である」、 「将来に役立つ実習と思 う」、 「歯内療法に今後も顕微鏡を使用したい」 と回答した。 【考察】 以上の結果から、 本実習の導入は根管形成法の理解と臨床応用 へのモチベーションの向上に有益であると推察された。顕微鏡実 習を3回行うことで、本実習により高い教育効果がみられることが 示唆された。 P-026 学生相互実習後のアンケート調査結果について−概形印象採得について5年間の調査結果− ○五味 治徳、新谷 明一、波多野 泰夫、新谷 明喜 日本歯科大学 生命歯学部 歯科補綴学第2講座 Questionnaire survey after Student’ s Mutual Training ○Harunori GOMI, Akikazu SHINYA, Yasuo HATANO, Akiyoshi SHINYA Department of Crown and Bridge, School of Life Dentistry at Tokyo, The Nippon Dental University, Tokyo, Japan 〔目 的〕概形印象採得は、 歯科医師として当然行わなければなら ない検査、診断、治療の一工程であり、2006年度から施行されて いる客観的臨床能力試験(OSCE) の補綴系課題としても採用さ れている。 また、安全で正確な印象採得は不可欠であるが、技能 だけでなく、患者さんの気持ちを理解するためにも学生相互実習 は必要と考えられる。我々は、 平成21年度から24年度の4年間のア ンケート調査結果を昨年度本学会学術大会にて報告した。今回 は、 同様に25年度生命歯学部4年生に実施した概形印象採得の 相互実習後の調査結果について報告する。 〔 方 法〕 アンケート 対象は日本歯科大学生命歯学部4年生とした。 アンケート調査に 先立ち概形印象採得(アルジネート単一印象) の相互実習を行っ た。実習終了後に、受けて (患者側) の立場から本実習以前に印 象採得を経験したことの有無、 および以前の体験、 今回との比較、 初めての印象採得の経験が想像と比較した感想などのアンケート を行った。得られた結果を平成21年度から24年度のそれと比較し た。 また25年度では、再印象になった理由または失敗の理由につ いての項目を追加した。 〔結果と考察〕本実習以前の印象採得経 験の有無では、経験なしが21年度から24年度でそれぞれ22.5%、 26.6%、28.0%、19.1%であったのに対し25年度は24.1%であった。 昨年度の報告と同様に、 経験ありと回答した学生に対する以前の 体験と今回との比較については、 苦しかったまたはどちらともいえな いとの回答が多く、 楽なものであったと答えた学生は少なかった。 ま た、初めての印象採得の経験が想像と比較した感想では、楽なも のと回答した学生が明らかに少なく、 苦しかったまたはどちらともい えないと感じた学生が多数であった。本実習の有益度では、 5年間 ともに有益でないと回答した学生はいなかった。本実習の感想に ついての記述式回答では気づきを感じた意見が多く、 相互実習の 有益性が示唆された。 103 P-027 部分床義歯補綴学実習におけるオンデマンド方式による実技動画を用いた教育効果の検討 ○坂元 麻衣子1、秋山 仁志1、石田 鉄光1、平賀 泰1、三代 冬彦2、岡山 浩美1、岡田 威一郎1、佐藤 奈保子1、川名 弘剛1、 干川 摂1、内山 恵理1、北 梢1、清水 慈子1、岩本 圭輔1、羽村 章3 1 2 3 日本歯科大学附属病院総合診療科、 日本歯科大学附属病院歯科麻酔・全身管理科、 日本歯科大学生命歯学部高齢者歯科学 Evaluation of educational effects of removable partial denture of prosthodontics clinical practice by video-on-demand system ○Maiko SAKAMOTO1, Hitoshi AKIYAMA1, Kanemitsu ISHIDA1, Yasushi HIRAGA1, Fuyuhiko MISHIRO2, Hiromi OKAYAMA1, Iichiro OKADA1, Naoko SATO1, Hirotaka KAWANA1, Setsu HOSHIKAWA1, Eri UCHIYAMA1, Kozue KITA1, Yasuko SHIMIZU1, Keisuke IWAMOTO1, Akira HAMURA3 1 General Dentistry, The Nippon Dental University Hospital at Tokyo, Japan , 2Dental Anesthesia, The Nippon Dental University Hospital at Tokyo, Japan, 3Geriatric Dentistry, School of Life Dentistry at Tokyo, The Nippon Dental University 【目的】 日本歯科大学生命歯学部では、臨床実習室の全面的な改修工 事を行い、 平成25年度後学期実習から、 学生の実習台を新しくす るとともに、 ネットワーク接続によりサーバーに保存されているデータ を学生の実習台のモニターで、 オンデマンド方式にて視聴すること ができるシステムを構築した。今回、平成25年度部分床義歯補綴 学実習において、本システムを用いたオンデマンド方式による実習 指導方法について報告を行う。 【方法】 第4学年を対象に部分床義歯補綴学実習を実施した。実習内容 の説明にあたり、担当責任者が実技動画を介在して実習実技の 説明を行った。 さらに実習中に、随時、学生の実習台のモニター で、 オンデマンド方式により、 実技動画の再生が行えるように対応し た。実習は、 4班に大別し、指導教員1名につき4∼6名の学生グ ループを担当した。12回目の最終実習時に実習全般に関するアン ケート調査を実施した。 【結果と考察】 平成25年度後期実習は、指導内容の整合性をはかるために、班 ごとで行う指導教員による実習デモをなくし、 オンデマンド方式に て、学生の実習台のモニターで実技動画の再生を可能にして実 施した。 アンケート調査から 「動画によりその日の実習内容を理解 できなかった」 と回答した者は0名、 「ほぼ理解できた」 と回答した 者が69名、 「理解できた」 と回答した者が47名であった。 また「実習 インストラクターによるデモを行った方がよい」 と回答した者は27名、 「動画があるため、 実習インストラクターによるデモは行わなくてもよ い」 と回答した者は89名であった。今回の結果から、新たに取り入 れたオンデマンド方式による実技動画を用いた実習指導は、教育 効果が高いことが示唆された。今後は、本システムを有効に活用 し、 より充実した実習環境を整備していきたいと考えている。 P-028 人体解剖学実習におけるグループダイナミックス評価の検討 その3 ○野中 直子1、中島 功1、片岡 竜太2、中村 雅典1 2 昭和大学 歯学部 口腔解剖学講座、 昭和大学 歯学部 スペシャルニーズ口腔医学講座 1 The examination of the group dynamics evaluation in the anatomical practice ○Naoko NONAKA1, Koh NAKAJIMA1, Ryuta KATAOKA2, Masanori NAKAMURA1 Department of Oral Anatomy and Developmental Biology, Showa University School of Dentistry, 2Department of Special Needs Dentistry Division of Dental Education 1 昭和大学はチーム医療人としての優れた歯科医師の養成を目指 し、 医・歯・薬・保健医療の4学部合同のProblem Based Learning を中心としたグループ学習を1年次より行っている。 この学習プロセ スを通し、 学部教育の中でグループダイナミックスの経験がどのくら い反映されているかについて、 第31、 32回の日本歯科医学教育学 会で発表した。口腔解剖学講座では、歯学部2年生に解剖学の 講義と実習を行っており、 4月に骨学実習、 5月から7月に人体解剖 実習を講義と平行して行っている。平成25年度の人体解剖実習 では、 105名の学生を5名のグループにわけ21班に編成し、 解剖学 の知識の習得向上をはかる目的で、 7月の実習終了までの期間に 中間試験を3回行った。本報告では、定期試験を含めた4回の試 験結果の推移をグループ毎にまとめ、 グループ内での成績の変遷 について検討を行い、平成23年度、24年度の結果とともに検討し た。 グループ内の個人成績の変遷は、 A:グループ全員が同様の軌 104 跡を示すもの、 B :グループ内で成績が向上するものまたは低下す るものと二極化するもの、 C :グループ内の各個人で全く影響されな いものと、大きく3つのパターンに分類された。平成23年度はAのグ ループ全員が同様の軌跡を示すものが最も多かった。平成24年 度、25年度はBのグループ内で成績が二極化する傾向が多く、二 極化の中にはグループのひとりが突出して好成績を収めるものも あった。平成24年度からは、解剖学での電子ポートフォリオの積極 的な活用ならびに学習内容についてのe-learning systemを充実 させ、 学生がいつでもそれらを使用し勉強できる体制を取り入れて きたが、 自己学習をする学生としない学生にわかれたため二極化 の傾 向が多くなったと思われる。電 子ポートフォリオならびに e-learning systemの活用を全学生に促すことで、 この効果がグ ループダイナミックスに反映されるかについて検討していきたい。 P-029 地域・離島歯科医療実習の充実に向けたカリキュラム開発の取組み ○田口 則宏1、小松澤 均1、南 弘之1、河野 博史2、志野 久美子2、吉田 礼子2、松本 祐子2、岩下 洋一朗3、中山 歩2 1 2 3 鹿児島大学 歯学部 地域・離島歯科医療実習実施部会、 鹿児島大学 医学部・歯学部附属病院 歯科総合診療部、 鹿児島大学 大学 院医歯学総合研究科 歯科医学教育実践学分野 Curriculum development for dental practices on rural area and remote islands ○Norihiro TAGUCHI1, Hitoshi KOMATSUZAWA1, Hiroyuki MINAMI1, Hiroshi KONO2, Kumiko SHINO2, Reiko YOSHIDA2, Yuko MATSUMOTO2, Yoichiro IWASHITA3, Ayumi NAKAYAMA2 1 Committee for clinical practices in rural area and remote islands, Kagoshima University Faculty of Dentistry, Kagoshima, Japan, 2 General Dental Practices, Kagoshima University Medical and Dental Hospital, 3Department of Dental Education, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences 【目的】 鹿児島県および鹿児島県歯科医師会は、無歯科医の 案を行い、 平成26年4月よりこれらの実習の一部を実施することとし 離島に対して1984年より共同して定期的に巡回歯科診療を行っ た。 【 結果】 問題点は、各々の立場から多く寄せられたが、特に ており、本学歯学部はこの診療隊に学生を同行させ、離島医療の 住民の方からは「限られた機会なので、 しっかりした体制で診療を 最前線を体験させる実習を行ってきた。 しかしながら、本学の一つ してほしい」 といった要望が多かった。 また、実習を実施する上で のミッションである地域志向の医療者を育成するという観点からみ 不可欠な経済的問題(学生の交通費負担) や、 学生全員を実習さ ると、本実習のカリキュラムにもいくつかの問題点が指摘されてい せることができないというキャパシティの問題などが明らかとなっ た。 そこで今回、 これらの問題点の洗い出しと、 より効果的な教育カ た。 これらの問題点をふまえ、平成26年3月に、従前の「離島歯科 リキュラムの開発を行い、 実際に一部の実習を試行したので、 その 診療同行実習」の管理のみを行っていた学部組織を 「地域・離島 概要について報告する。 【方法】 実習における問題点は平成25 歯科医療実習」に枠組みを広げ、学部教育全体を見渡しながら 年度後半に、現地の住民、鹿児島県歯科医師会、本学歯学部教 機動的に活動できる組織に改革を行った。 その中で、学生全員に 員、 学部6年生から聞き取りを行った。 カリキュラム立案に際しては、 対してこれらの実習が提供できるユニットを複数作成した。現時点 まず学部の実習管理組織の見直しから着手し、 より効果的、機動 ではこれらの効果は明らかでないが、平成26年4月以降開始され 的に活動できる体制を検討した。 その後この組織により、 現状の問 る実習を通じて我々の活動の検証を行っていく予定である。 題点を克服しうる新たな地域・離島歯科医療実習のカリキュラム立 P-030 高齢者交流学習後の歯学部学生の高齢者イメージの変化 ○薮内 さつき、中江 弘美、日野出 大輔、伊賀 弘起、尾崎 和美、白山 靖彦、松山 美和、柳沢 志津子、吉岡 昌美、星野 由美、藤原 奈津美、渡辺 朱理、河野 文昭、吉本 勝彦 徳島大学 大学院ヘルスバイオサイエンス研究部 Alternation of image of the elderly in students of faculty of dentistry after the collaborative learning with aged people ○Satsuki YABUUTHI, Hiromi NAKAE, Daisuke HINODE, Hiroki IGA, Kazumi OZAKI, Yasuhiko SHIRAYAMA, Miwa MATSUYAMA, Shizuko YANAGISAWA, Masami YOSHIOKA, Yumi HOSHINO, Natsumi FUJIWARA, Akari WATANABE, Fumiaki KAWANO, Katsuhiko YOSHIMOTO Institute of Health Biosciences, The University of Tokushima Graduate School, Tokushima, Japan 【目的】徳島大学歯学部では、2008年より地域高齢者との交流を 主体とする地域育成型歯学教育の取り組みを継続して行ってい る。福祉教育や看護教育において、高齢者との接触は、肯定的な 高齢者イメージの形成に影響していることが示唆され、実習や実 践の重要性が説かれている。今回、高齢者理解を深める教育方 法を検討する手がかりとして、高齢者交流学習を体験した学生の 高齢者イメージの変化を明らかにすることを目的とした。 【方法】高 齢者交流学習において、 2013年10月より養護老人ホームに入所中 の高齢者との交流を毎週3時間(計7回)体験した歯学部女子学 生23名に対して、交流学習前後にアンケート調査を実施した。調 査内容は、高齢者との関わり体験の有無、高齢者に対するイメー ジ10項目、 自由記載とした。高齢者に対するイメージは、近藤らの 尺度項目を改定したSD法によるアンケートを用いて調査した。学生 の高齢者イメージの比較には、 Wilcoxon の符号付順位和検定を 用いた。 【結果】交流学習前後で高齢者に対するイメージが、 否定 的から肯定的に変化した項目で、有意な差が認められたものは、 「不潔/清潔」 (p < 0.05) 「頑固/素直」 (p < 0.01) の2項目であっ た。 また、肯定的なイメージが否定的に変化した項目は認められな かった。 【考察】学生は一人の高齢者と継続的な交流を行うことか ら、 高齢者のライフヒストリーや人生観を知り、 「長い人生を生きてき た人」 としての高齢者を理解していくと思われる。 自由記載欄には 自分の意志を持つ多様な高齢者の姿を感じたという言葉が多く見 られた。 このような経験が、高齢者に対して持っていた「不潔・頑 固」などの否定的なイメージを肯定的なイメージへと変化させたの ではないかと考えられた。 【結論】高齢者交流学習は、 学生の高齢 者イメージを肯定的な方向に意識変化させるとともに、高齢者理 解を深めることが示唆された。 105 P-031 臨床歯科薬理学講義にスマートフォンを用いた情報リテラシー教育の試み ○天野 均、大浦 清 大阪歯科大学 歯学部 薬理学講座 A trial of information literacy for clinical dental pharmacology by using smart devices ○Hitoshi AMANO, Kiyoshi OOURA Department of Pharmacology, Osaka dental university, Hirakata, Japan 卒前の歯学部学生にEBMに基づく臨床歯科薬理学を学ぶため 処方箋を完成させた。後半の3時間では、鎮痛薬および抗菌薬の には、 情報リテラシー能力は必要不可欠である。今回我々は、 卒前 副作用、相互作用を復習後、厚生労働省の重篤副作用疾患マ の学部学生が最新の鎮痛薬と抗菌薬に関する情報(ニーズ) を認 ニュアル等の関連サイトを紹介し、 副作用を起こす薬物と疾患名を 識し、 その中の自らが必要とする情報を決定し、効果的かつ能率 対合させる表を作成した。 (結果)事前の準備として、 スマートフォ 的に見つけることを到達目標とした。 しかしながら、院内をノート型 ンを持参するという連絡がなくとも、 従来の携帯電話1名、 PC持参1 パソコン (PC)を常時持ち歩くことは無理がある。 そこで、 ほぼ同等 名を除き、 ほぼ全員が持参していた。PDFファイルのダウンロードに の能力を持つスマートフォンまたはタブレットを用いた学習方法を試 時間のかかる機種や検索途中で電源不足になった各1ケースを してみた。 (方法)臨床実習中の歯学部5年生に臨床歯科薬理学 除き、 学生は時間内に効率よく必要な情報を調べ上げた。 アンケー の6時間分の講義を行った。最初の3時間分では、健康成人に対 ト結果も大変好評だった。 (考察) スマートフォン・タブレットを用いた する抜歯前後の標準処方箋を記載するために必要な添付文書 情報リテラシー教育は、大掛かりな施設も不要で、OSの違いや接 や処方箋の記載例に関するサイトを講義中に紹介し、各自ブック 続トラブル・持参忘れ等の様々な欠点があるPC等に比べ、今後 マークすることを勧めた。学生は紹介サイトの内容を理解しながら、 益々発展していく可能性が示唆された。 P-032 全国の研修歯科医のう蝕予防とフッ化物応用の知識の普及について ○長谷 晃広1、相田 潤1、伊藤 奏1、小山 史穂子1、松山 祐輔1、三浦 宏子2、小坂 健1 1 2 東北大学大学院 歯学研究科 国際歯科保健学分野、 国立保健医療科学院 地域医療システム研究分野 The knowledge about caries prevention and fluoride among dental residents in Japan ○Akihiro HASE1, Jun AIDA1, Kanade ITO1, Shihoko KOYAMA1, Yusuke MATSUYAMA1, Hiroko MIURA2, Ken OSAKA1 1 Department of International and Community Oral Health, Tohoku University Graduate School1 of Dentistry, Sendai, Japan, 2Area on Community Healthcare, National Institute of Public Health, Saitama, Japan 【背景】多くの疫学研究にて、 フッ化物応用のう蝕予防効果が報 告されてきているところであるが、 歯科医師のフッ化物応用に対す る意識調査についての報告は少ない。 そこで本研究では、 近年の 教育を反映していると考えられる研修歯科医を対象とした調査を 行い、 フッ化物応用に対する知識や認識の実態把握を行った。 【方法】2012年12月から2013年3月に、 全国の228研修施設の研修 歯科医2,323名に対して自記式調査票を郵送し回収し、1,511名 (65.0%) から有効回答を得た。本研究では、効果が証明されてい るう蝕予防方法に関する知識および、 水道水フロリデーションに対 する認識についての調査項目の分析を行った。 【結果】効果的なう 蝕予防方法として「フッ化物応用」 と回答した者は996名(65.9%) であった。 また、 フロリデーションについて賛成が800名(52.9%) 、 反 106 対が169名(11.2%) 、分からないと回答した者が528名(34.9%) で あった。 カイ二乗検定の結果、 フロリデーションに対する賛否は、 う 蝕予防法についての知識を有することと有意に関連していた (p< 0.001)。 フロリデーション賛成の理由としては「効果がある」 「海外 でも使用されている」 「エビデンスがある」が多かった。一方、反対 の理由は「副作用の問題」 「選択の権利の侵害」 「ブラッシングや 歯磨剤で良い」が多かった。 【結論】本研究より、 フッ化物応用の効 果については7割弱の研修歯科医が認識するにとどまっていたこ と、 効果的なう蝕予防に関する知識を有することとフロリデーション に対する認識が有意な関連していたことが明らかになった。 う蝕予 防を継続的に推進するためには、 予防歯科教育をさらに推進する 必要があると考えられた。 P-033 日本大学歯学部2年次テュートリアル教育の受講生にみられた短時間の総括講義実施による自己評価の改善効果 ○桑田 文幸1、三枝 禎2、鈴木 直人1、田中 一1、酒井 秀嗣1 2 日本大学 歯学部 、 日本大学松戸歯学部 1 Short lecture improves student self evaluation of basic life science seminar ○Fumiyuki KUWATA1, Tadashi SAIGUSA2, Naoto SUZUKI1, Hajime TANAKA1, Hidetsugu SAKAI1 1 Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan, 2Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Chiba, Japan 【目的】本学部では生命科学を身につけるため、2年次テュートリア とした。 【 結果】能動的学習姿勢を問う 「グループの課題の決定に ル教育として生体基礎演習を行っている。受講生の学修の自己評 進んで参加したか」 「自分が調べた事柄を他のメンバーに説明し 価は、演習後にアンケートを行い集計してきた。平成25年度は、受 たか」 「発表原稿や視覚材料の作成に進んで参加したか」、理解 講生の生命科学の基礎の習得に役立てるため1年次の学習項目 への取組みを問う 「グループの発表の全体の流れを説明できる を振り返る約1時間の総括講義をクラス全体に行った後に、 約23時 か」では、 それぞれa∼dの回答率にはクラス間で目立った差が認 間の小グループでのテュートリアル教育を行った。 しかし、 この講義 められなかった。一方、 「「基礎生命科学」で判らなかった事柄を が受講生の自己評価に及ぼす効果は明らかでない。 そこで本研 補うことができたか」はaまたはb(強くそう思う∼そう思う)への回答 究では、 総括講義の実施が受講生の演習に臨む姿勢と理解への 率が総括講義を実施したクラスで増加した。 【 結論】以上の結果 取組みにそれぞれ及ぼす効果についてアンケート回答を指標とし から、短時間の総括講義をあらかじめ実施することは本演習の受 て解析した。 【 方法】総括講義を実施しないクラス (平成20∼24年 講生の能動的姿勢には目立った影響を及ぼさないが、 テュートリア 度の2年生、各約120名) と実施したクラス (平成25年度の2年生、 ル教育を通じた生命科学の理解を促進する可能性が示された。 約160名) のアンケート回答を自己評価の指標とした。 アンケートは 質問項目ごとにa∼d(強くそう思う∼全くそうは思わない) の4段階 で 回 答させ た 。a ∼ d の 回 答 率 は 質 問 項目ごとに 集 計し、 Mann-Whitney's U testを用いて比較した。有意水準はp<0.05 P-034 生命歯学部1年生PBLテュートリアル教育履修前後の情報リテラシーに関する調査 ○青木 春美、田中 とも子、富永 徳子、沼部 幸博、松野 智宣、千葉 忠成、柴田 千晶、横澤 茂、大津 光寛、仲谷 寛、石 田 鉄光、滑川 初枝、鈴木 淳子、荘司 洋文、中西 生美 日本歯科大学 生命歯学部 教育開発委員会 PBLテュートリアル部会 Questionnaire survey on information literacy of before and after PBL tutorials conducted with first-year dental student ○Harumi AOKI, Tomoko TANAKA, Noriko TOMINAGA, Yukihiro NUMABE, Tomonori MATSUNO, Tadashige CHIBA, Chiaki SHIBATA, Shigeru YOKOZAWA, Mitsuhiro OHTSU, Hiroshi NAKAYA, Kanemitsu ISHIDA, Hatsue NAMEKAWA, Atsuko SUZUKI, Hirofumi SHOJI, Ikumi NAKANISHI Division of PBL Tutorials, Education Development Committee, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo, Tokyo, Japan 【目的】 本学では、 平成17年度より第1学年前期にPBLテュートリ アル教育を行っている。 自己学習する際に、最近はインターネットな どを利用することから大量の情報から正しい情報を選択し、適切 に内容をまとめる能力が必要であるとされている。PBLテュートリア ル教育では、 このような能力を育てていくことも目的となっている。 そ こで、PBLテュートリアル教育履修前後に情報リテラシーについて のアンケートを行い、両者の結果を比較検討した。 【 方法】 PBL テュートリアル教育開始前に入学前の6か月間と終了後に入学後 の6か月間の情報リテラシーに関するアンケートを2回行った。回答 結果はSPSS Ver.17を用いて統計解析を行った。 【 結果および考 察】 履修者124名からアンケートを回収した (回収率96.1%)。 『1. 本学入学前(入学後) の最近6か月で、図書館を何回ぐらい利用 しましたか?』の問いに対し、入学後に利用回数が増加した人は 57%、 同様の人は27%、 減少した人は16%であった。 また、 『2. 図書 館の主な利用目的は何ですか? (複数回答可)』 の問いに対し、入 学前後とも 「試験勉強」が最も多かった。 「読書」は35人から17人 に半減した一方で、 「学習に関する調査」が入学前の21人から入 学後の67人に3倍に増加した。 『3. 何かを調べたいときにどのような 方法で調べますか? (複数回答可)』の問いに対し、 「図書館の蔵 書」が47人から89人に増加した。 「インターネット検索」は111人で 横ばいであったが、 「教科書・参考書・成書など」は、入学前の7人 に対し、 ほぼ全員の123人に激増していた。PBLテュートリアル教育 を経験することにより、図書館の利用回数が増加し、図書館の蔵 書を用いた調べ物をすることが増えるとともに、 インターネット、教科 書や参考書などを利用する機会が増加した。 このことから能動学 習が行われていることが明らかとなった。 107 P-035 無線LANを活用したeラーニングによる組織学実習に対する学生の評価 ○畠山 雄次、北河 憲雄、稲井 哲一朗、沢 禎彦 福岡歯科大学 生体構造学講座 機能構造学分野 Evaluation of the student for histology training through e-learning by utilizing a wireless LAN ○Yuji HATAKEYAMA, Norio KITAGAWA, Tetsuichiro INAI, Yoshihiko SAWA Section of Functional Structure, Department of Morphological Biology, Fukuoka Dental College, Fukuoka, Japan 【目的】無線LANは現在多くの大学で導入されているが、 そのメ リットとして、有線LANに接続したパーソナルコンピューターより設 備および専有面積の点において簡便である、 異なる場所において も利用可能という時間的および空間的自由度が高い、 などが挙げ られる。今回、我々は全学的な無線LAN導入にあたり、無線LAN を利用したeラーニングを用いて発生組織学の実習を展開したの で報告する。 【 方法】福岡歯科大学2年生(111名) を対象に、顕 微鏡観察、 スケッチおよびeラーニングを併用した発生組織学の実 習を行った。用いたeラーニングの教材は、実習で用いる顕微鏡標 本を写真として多用し、教員が作成した。 また、毎回の実習終了 後、知識定着確認問題集を無線LANによるeラーニングにより学 生が自習した。実習の最終回は情報処理室において有線LANに よるeラーニングを用いた試験を行った。 これらの内容の実習終了 後、記名式アンケート調査を行った。 【 結果】実施したアンケートに 対して109名(98. 2%) から回答を得た。 1. 「プリントだけの実習と 比べてどう思うか」の質問に対して、 「非常に良い」 41名(37. 6%)、 「よい」 51名(46. 8%)、 「変わらない」 14名(12. 8%)、 「悪 い」 「非常に悪い」 3名(2. 8%) であった。 2. 「非常に良い」 「よい」 と 回答した理由については「理解しやすい」 38名(41. 3%)、 「見や すい」 37名(40. 2%) (7名(7. 6%) の両方回答あり)が挙げられ た。 3. 「悪い」 「非常に悪い」 と回答した理由については、 「不便だ」 「複雑だ」 「アクセスが難しい」が各1名であった。 【 考察】無線 LANによるeラーニングを用いた組織学実習は実習内容を理解す る上で有用であると考えられるが、 一方で、 操作方法などの周知を 徹底する必要があることが示唆された。 P-036 ICTを活用した講義の導入とその課題 ○豊下 祥史1、佐々木 みづほ1、川西 克弥1、河野 舞1、會田 英紀1、片岡 竜太2、越野 寿1 1 2 北海道医療大学 歯学部 咬合再建補綴学分野、 昭和大学 歯学部 スペシャルニーズ口腔医学講座 歯学教育学部門 Introduction and Problems of Information and Communication Technology at Lectures ○Yoshifumi TOYOSHITA1, Mizuho SASAKI1, Katsuya KAWANISHI1, Mai KONO1, Hideki AITA1, Ryuta KATAOKA2, Hisashi KOSHINO1 1 Department of Oral Rehabilitation, Health Sciences University of Hokkaido School of Dentistry, Ishikari-Tobetsu, Japan, 2Department of Special Needs Dentistry, Division of Dental Education, School of Dentistry, Showa University, Tokyo, Japan 【目的】本学第5学年の学生に対し、 これまではスライドを中心とし て行ってきた高齢者歯科学の講義をICTの活用を取り入れた講 義へ変更した。本研究の目的はICTを活用した講義について行っ た学生のアンケートを分析し、 今後の教育指導に役立てることであ る。 【方法】第5学年を対象に2回にわたりICTを利用した高齢者歯 科学(高齢者の特徴および高齢者の疾患と死因について)の講 義を行った。講義に用いた教材は「大学間連携共同教育推進事 業・ITを活用した超高齢社会の到来に対応できる歯科医師の養 成」で製作されたMoodleによるe-learning システムである。講義 終了後、 ICTの活用状況と授業に関するアンケートを実施し、 回答 の得られた47名を分析対象とした。 【結果と考察】本学の第5学年 に大学生活におけるICTの活用についてアンケートを行ったとこ ろ、 メールやラインといったツールは日常的に利用しているものの、 学習への利用では活用が不十分であることが明らかとなった。各 108 回の講義終了後に授業内容やパソコン操作に関わるアンケートを 行った。初回の講義では回答の入力やパソコン操作で戸惑った学 生が多かったが、 2回目の講義ではかなりの改善が認められた。本 講義への感想については、 高齢者に関する動画が好評であった。 写真や文章で表現しきれない部分を映像によって伝えることは有 効であるが、 動画の利用はファイルサイズや圧縮方法の問題から、 パソコンやネットワークの環境の整備が不可欠である。 また、本講 義に対する不満については、 約半数の学生がパソコンのトラブルを 挙げた。全ての学生が最後まで教材のコンテンツを終了できたもの の、講義途中のわずかなトラブルも学生の心理的負担は大きいも のと考えられる。今後は「学生に早期からICTに触れる機会をふや し、慣れさせること」および「ICTを活用するための環境の拡充を 図ること」に重点をおき、 さらなる教育環境の改善を図っていく予定 ある。 P-037 大学間連携「ITを活用した超高齢社会の到来に対応できる歯科医師の養成」2.口腔乾燥症に関する教育 ○熊谷 章子1、小林 琢也1、城 茂治1、安彦 善裕2、長澤 敏行2、吉田 光希2、越野 寿2、美島 健二3、佐藤 裕二3、鎌谷 宇 明3、片岡 嗣雄3、弘中 祥司3、片岡 竜太3 1 2 3 岩手医科大学 歯学部、 北海道医療大学 歯学部、 昭和大学 歯学部 Training of capable dentists for ultra-aged society with ICT: Collaborative Education Part 2. Education of xerostomia ○Akiko KUMAGAI1, Takuya KOBAYASHI1, Shigeharu JYO1, Yoshihiro ABIKO2, Toshiyuki NAGASAWA2, Kouki YOSHIDA2, Hisashi KOSHINO2, Kenji MISHIMA3, Yuji SATOU3, Takaaki KAMATANI3, Hideo KATAOKA3, Shoji HIRONAKA3, Ryuta KATAOKA3 1 School of Dentistry, Iwate Medical University, 2School of Dentistry, Health Sciences University of Hokkaido, 3School of Dentistry, Showa University 平成24年度から始まった、 文科省大学間連携共同教育推進事 ラーニング操作、 リソース講義との組み合わせについてを問い、 そ 業「ITを活用した超高齢社会で活躍できる歯科医師の養成」で の他、 自由記載による意見も集計した。 その結果、 リソース講義によ は、北海道、北東北、関東の3大学と地域医療教育を担当する関 る視覚的情報と、PCを利用した設問解答操作を並行して行うこと 連歯科医師会が協働して行っている。基礎疾患を有する患者の で、今までに学習した基礎医学と全身疾患と口腔内の臨床的病 口腔を診ることができ、歯科治療を安全に行える歯科医師を養成 態について関連づけることができた、 という意見を持った学生がい することを目的とし、 5年計画で3年生から5年生を主な対象として、 た反面、正答でも文字入力の違いで不正解となり、 その煩雑さを e-ラーニングやVP(仮想患者) を中心としたIT教材を3連携大学と 訴えた学生も多く存在した。e-ラーニングならではの不都合が浮き 関連歯科医師会で作成している。平成25年度は、 各大学の3年生 彫りになったため、有益な特性を生かすための解答方法を可能に を対象にe-ラーニングを活用して、 テーマの1つである 「口腔乾燥 するための見直しが必要であり、講師側もPC操作についてのト 症」に関した授業を実施した。今回われわれは、 その授業内容、 授 レーニングを要すると思われる。 業終了後に行った学生対象のアンケート結果、 次年度に向けて検 平成26年度では、 各大学の4年生を対象に「コミュニケーション・ 討した改良点について報告する。 臨床推論能力の養成」 を目指して、e-ラーニングに加えて、VPシス アンケート内容は、 授業内容の理解、 興味や関心、 自分のレベル テムを活用した授業の準備をしている。 その現時点での準備状況 との合致、 e-ラーニングの設問の解答操作、 解答時間、 PC操作、 eも合わせて報告する。 P-038 神奈川歯科大学の教育改革-5.神奈川歯科大学におけるe-learning の導入について○窪田 光慶、菅谷 彰、花岡 孝治、湯山 徳行、林田 丞太、木村 幸司、櫻井 孝、平田 幸夫、佐藤 貞雄 神奈川歯科大学 総合教育部 Educational reforms in Kanagawa Dental University 5.Introduction of the e-learning system ○Mitsuyoshi KUBOTA, Akira SUGAYA, Koji HANAOKA, Noriyuki YUYAMA, Jota HAYASHIDA, Koji KIMURA, Takashi SAKURAI, Yukio HIRATA, Sadao SATO Division of curriculum development, Kanagawa Dental University, Yokosuka, Japan 【目的】 神奈川歯科大学歯学部では、平成25年度より5学期制を 導入し、講義と実習を1か月半の期間で行う集中講義・実習形式と した。 これに伴いすべての授業・実習を録画し、学生の復習や授業 の欠席時の補完学修をサポートするe-learningシステムを導入、 構 築してきたのでその概要を報告する。 【 方法】 パワーポイントなど を音声と同時に録画できるLight Quicker(Medic Quest社) を導 入し、 原則全授業の録画を依頼した。録画後、 指定したe-learning 室での自己学習、補完教育のために視聴できる環境を整えた。実 習および一部講義はビデオにて撮影を行った。録画した授業は、 講 義内容の経過時間、見出し項目、内容を記載した目次を作成し、公 開した。学生による視聴は、7月より開始した。 e-learning使用状 況の推移紹介の調査および教員のアンケート調査(H25年9月20 日) を行った。 【 結果および考察】 アンケート結果より、授業録画シ ステムは、教員の約70%が使用しているが、30%が使用していない と回答。録画授業の教育効果は、教員の77%が有効、22%が有効 でないと回答した。 また85%の教員が補完教育、 追加履修に使用し たいと回答が見られた。 自由記載では、学生の自己学修以外に教 員評価、授業連携、授業改善に役立つなどの意見がみられた。 e-learning使用状況の推移状況は、 まだ学生への周知が徹底さ れていないため、 学年による使用頻度の差がみられた。 また視聴頻 度は月ごとに増加傾向が見られた。 録画授業の活用は、欠席時 の補完教育の利用、 自分のペースで授業を受講できるなど学生に とっておおむね好評であった。 また学生の5、 6年生が低学年の講 義を視聴するなど学年を超えた視聴も増加している。今後は、 テー マごとにまとめた視聴覚資料などを作成して学生の理解度を高め る工夫を行っていく予定である。 109 P-039 大学間連携「ITを活用した超高齢社会の到来に対応できる歯科医師の養成」4.チーム医療教育(回復期) ○北川 昇1、丸岡 靖史1、マイヤース 三恵1、弘中 祥司1、美島 健二1、片岡 竜太1、豊下 祥史2、越野 寿2、須和部 京介3、 城 茂治3 1 2 3 昭和大学 歯学部、 北海道医療大学 歯学部、 岩手医科大学 歯学部 Training of capable dentists for ultra-aged society with ICT: Collaborative Education Part 4. Education of team medical care (convalescent) ○Noboru KITAGAWA1, Yasubumi MARUOKA1, Mie MYERS1, Shoji HIRONAKA1, Kenji MISHIMA1, Ryuta KATAOKA1, Yoshifumi TOYOSHITA 2, Hisashi KOSHINO2, Kyosuke SUWABE3, Shigeharu JYO3 1 School of Dentistry, Showa University, 2School of Dentistry, Health Sciences University of Hokkaido, 3School of Dentistry, Iwate Medical University 「ITを活用した超高齢社会で活躍できる歯科医師の養成」が文 科省大学間連携共同教育推進事業に採択され3年目を迎えた。 その間、北海道、北東北、関東の3大学と地域歯科医師会の先生 方と連携し、 4回のワークショップを開催した。本事業は4つのワーク グループに分かれ、3年生から5年生を主な対象とした講義用のコ ンテンツの構築を行っている。 平成25年度は、 2大学において学部3年生を対象にe-ラーニング による教育を実施した。 これは、 「全身と口腔の関連についての基 礎知識の修得」 を目指している。昭和大学においては、 「全身がわ かる歯科医師がなぜ必要か?」、 「脳梗塞を発症した患者から、医 療の仕組みを学ぶ」、 「口腔乾燥症と疾患」、 「口腔診察・検査実 習と疾患」の各コンテンツで10回の授業を行った。今回、 授業実施 後にアンケート調査を実施したのでその結果について報告する。 ま た、学部4年生を対象に「コミュニケーション・臨床推論能力の養 成」を目指して、e-ラーニングに加えて、VP(仮想患者) システムを 活用した授業の準備を行っている。 ここでは、 急性期から慢性期に移行した患者を想定したシナリオを 考え、VPを使用してSPの負担や経費を抑え、 より効率的な授業を 目指している。 ステークホルダーである地域歯科医師の先生方か ら、 より日常で遭遇する可能性が高い患者の状態を考慮したシナリ オの作成を模索している。 これらの進捗状況についても報告する。 P-040 大学間連携「ITを活用した超高齢社会の到来に対応できる歯科医師の養成」3.チーム医療教育(急性期) ○弘中 祥司1、勝部 直人1、石川 健太郎1、内海 明美1、片岡 竜太1、美島 健二1、藤村 朗2、城 茂治2、豊下 祥史3、 入江 一元3、越野 寿3 1 2 3 昭和大学 歯学部、 岩手医科大学 歯学部、 北海道医療大学 歯学部 Training of capable dentists for ultra-aged society with ICT: Collaborative Education Part 3. Education of team medical care (acute phase) ○Shoji HIRONAKA1, Naoto KATSUBE1, Kentarou ISHIKAWA1, Akemi UTSUMI1, Ryuta KATAOKA1, Kenji MISHIMA1, Akira FUJIMURA2, Shigeharu JYO2, Yoshifumi TOYOSHITA 3, Kazuharu IRIE3, Hisashi KOSHINO3 1 School of Dentistry, Showa University, 2School of Dentistry, Iwate Medical University, 3School of Dentistry, Health Sciences University of Hokkaido 「ITを活用した超高齢社会で活躍できる歯科医師の養成」が 文科省大学間連携共同教育推進事業に採択され3年目を迎え た。 その間、北海道、北東北、関東の3大学と地域歯科医師会の 先生方と連携し、4回のワークショップを開催している。本事業は4 つのワークグループに分かれ、3年生から5年生を主な対象とした 講義用のコンテンツの構築を行っている。 平成25年度は、 2大学において学部3年生を対象にe-ラーニング による教育を実施した。 これは、 「全身と口腔の関連についての基 礎知識の修得」 を目指している。昭和大学においては、 「全身がわ かる歯科医師がなぜ必要か?」、 「脳梗塞を発症した患者から、医 療の仕組みを学ぶ」、 「口腔乾燥症と疾患」、 「口腔診察・検査実 110 習と疾患」の各コンテンツで10回の授業を行った。今回、 授業実施 後にアンケート調査を実施したのでその結果について報告する。 ま た、学部4年生を対象に「コミュニケーション・臨床推論能力の養 成」を目指して、e-ラーニングに加えて、VP(仮想患者) システムを 活用した授業の準備を行っている。 ここでは、 発症から急性期に移 行した患者を想定したシナリオを考え、e-ラーニングやVPを使用し て、 より効率的な授業を目指している。 ステークホルダーである地域 歯科医師の先生方から、 退院時に遭遇する可能性が高い患者の 状態を考慮したシナリオの作成を模索している。 これらの進捗状況 についても報告する。 P-041 薬理学実習における医歯学シミュレーション教育システムの応用と評価 ○高橋 真理子1、田村 幸彦1、青木 和広1、須永 昌代2、木下 淳博2、大谷 啓一1 2 東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科 硬組織薬理学分野、 東京医科歯科大学 図書館情報メディア機構 教育メディア開 発部 1 Application and evaluation of computer-assisted education system on simulation for student practice of undergraduate dental course in Pharmacology ○Mariko TAKAHASHI1, Yukihiko TAMURA1, Kazuhiro AOKI1, Masayo SUNAGA2, Atsuhiro KINOSHITA2, Keiichi OHYA1 1 Pharmacology, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan, 2Department of Educational Media Development, Institute for Library and Media Information Technology, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan 目的:薬理学は薬物と生体との相互作用や機序を学ぶ学問であ 説ビデオによって実習背景を学んだ後にシミュレーション教材を実 り、座学だけで理解することは困難である。理解を深めるために動 施するように構成した。 物を用いて生体反応を観察する実習を行うが、 その時間数には限 結果・考察:教材実施後の学生へのアンケートでは、 ほとんどの学 りがあり、 さらに動物福祉への対応も考慮する必要がある。 そこで、 生が実習内容と目的を理解できたと評価し、効果的に実習を体験 東京医科歯科大学で開発・展開されている医歯学シミュレーション させることができたと考えられる。 さらに今回、 実習手技に関する基 教育システムを応用して薬理学実習用教材を開発し、本学歯学 礎的な手法を学ぶ目的で、皮下注射方法、腹腔内注射方法、注 部歯学科4年次薬理学実習にとりいれている。今回その有用性と 射筒・注射針の取り扱い方法などの新規シミュレーション教材を作 学生からの評価について検討し、 さらに新規シミュレーション教材 成したので紹介する。医歯学シミュレーション教育システムは臨床 について紹介する。 への応用が目的として開発されてきたが、 これまでの我々の実績か 方法:シミュレーション教材に変更した実習は、手技が難しく結果に ら判断すると、薬理学など基礎科目への教材作成に活用できるこ ばらつきが生じやすいもの、 また、 カエルに与える苦痛が大きいと思 とが明らかになった。 このシステムの特徴はコンピュータの専門家 われる4課題である。 シミュレーション教材はSCORMに対応した ではなくても簡単な操作で独自に教材作成できる点である。今後、 e-learningシステム (WebClass) にアップロードして実施した。 さら 動物実験代替法をはじめとする様々な医歯薬学分野での応用が に、 より実習の臨場感を持たせるため、 薬物・実習に関する5分ほど 可能と思われる。 の解説ビデオを作成し、WebClassに併せて掲載した。教材は、解 P-042 3D立体視が可能な歯の解剖学教材の開発 ○山崎 洋介1、高詰 佳史2、網干 博文3、磯川 桂太郎1 1 2 3 日本大学 歯学部 解剖学第II講座、 株式会社メタ・コーポレーション・ジャパン、 日本大学 歯学部 法医学講座 Development of digital learning tools with stereoscopic display for tooth morphology ○Yosuke YAMAZAKI1, Yoshifumi TAKATSUME2, Hirofumi ABOSHI3, Keitaro ISOKAWA1 Department of Anatomy, Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan, 2META Corporation Japan Ltd., Tokyo, Japan, 3 Department of Legal Medicine, Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan 1 【背景と目的】教科書の写真や図では、 歯の形態を立体視し、 その 行った。 これをiPadアプリ 「Medical KOS」によりオーサリングされ 3次元的情報を正確に把握することは不可能である。例えば、大 た状態で閲覧した。 【結果と考察】右側上下顎の中側切歯、 犬歯、 臼歯の咬合面観の写真では、各咬頭の高さのわずかな違いを見 第一第二小臼歯、 第一大臼歯の計12歯種をデジタルデータとして 分けることは難しい。頬舌側面観の写真を確認してはじめて、 遠心 アーカイブした。iPad上で歯の画像が表示され、 それが指のフリッ の咬頭に比較して、近心の咬頭がより高位にあることがわかる。 こ ク操作にて、任意の方向から閲覧できる。Medical KOSの機能と のように、 初学者が歯の複雑な解剖学的構造を、 写真や図だけで して、 ピンチイン、 アウトによる拡大縮小に加え、 ステレオ立体視によ 理解するのには困難が伴う。 だからこそ、紙上の平面的な歯の情 る観察が可能である。iPadの液晶画面でのアナグリフ方式(赤青 報を、模型や歯型彫刻など3次元的に認知・体感できるものを通し メガネ)用および裸眼立体視(平行法、交差法)用の表示に加え、 て、立体的な理解・知識とするための実習が行われている。そこ 外部映像出力を介することで3Dテレビで立体視ができる。立体視 で、 被写体を立体的に観ることが可能なステレオ写真を利用し、 歯 を行うことで、 咬合面の溝や小窩の深さ、 歯冠・歯根表面の細かな の形態の記録に用いるとともに、 それを元にしたデジタル学習教材 凹凸などを容易に確認できた。 これらはリアルな視覚表現であるば を作成した。 【方法】 ヒト抜去歯のデジタルカメラ撮影にあたっては、 かりでなく、 2次元的な写真からでは判断出来ない形態の情報をも 視差を考慮し、左眼用写真と右眼用写真からなるステレオ写真を 含むことから、 歯の解剖学教育に有用であると考えられた。 取得した。水平30度、 垂直45度刻みで歯の全周のステレオ撮影を 111 取組の概要 P-043 大学間連携「ITを活用した超高齢社会の到来に対応できる歯科医師の養成」1. ○片岡 竜太1、美島 健二1、弘中 祥司1、佐藤 裕二1、飯島 毅彦1、菅沼 岳史1、須田 玲子1、北川 昇1、丸岡 靖史1、勝部 直人1、 馬谷原 光織1、井上 美津子1、馬場 一美1、マイヤース 三恵1、鎌谷 宇明1、宮崎 隆1、城 茂治2、近藤 尚知2、小林 琢也2、 熊谷 章子2、野田 守2、藤村 朗2、須和部 京介2 、三浦 廣行2、越野 寿3、入江 一元3、豊下 祥史3、草野 薫3、吉田 光希3、 長澤 敏行3、安彦 善裕3、斎藤 隆史3、乾 さやか4 1 昭和大学 歯学部、2岩手医科大学 歯学部、3北海道医療大学 歯学部、4IT を活用した教育センター事務局 Training of capable dentists for ultra-aged society with ICT: Collaborative Education Part 1.Outline of the project ○Ryuta KATAOKA1, Kenji MISHIMA1, Syoji HIRONAKA1, Yuji SATO1, Takehiko IIJIMA1, Takeshi SUGANUMA1, Reiko SUDA1, Noboru KITAGAWA1, Yasubumi MARUOKA1, Naoto KATSUBE1, Mitsuori MAYAHARA1, Mitsuko INOUE1, Kazuyoshi BABA1, Mie MYERS1, Takaaki KAMATANI1, Takashi MIYAZAKI1,Shigeharu JO2, Hisatomo KONDO2, Takuya KOBAYASHI2, Akiko KUMAGAI2, Mamoru NODA2, Akira FUJIMURA2, Kyosuke SUWABE2, Hiroyuki MIURA2, Hisashi KOSHINO3, Kazuharu IRIE3, Yoshifumi TOYOSHITA3, Kaoru KUSANO3, Koki YOSHIDA3, Toshiyuki NAGASAWA3, Yoshihiro ABIKO3, Takashi SAITO3, Sayaka INUI4 1 School of Dentistry, Showa University, 2School of Dentistry, Iwate Medical University, 3School of Dentistry, Health Sciences University of Hokkaido, 4Executive office, Educational center using IT 超高齢社会の到来に備えて全身と関連づけて口腔を診ることが でき、基礎疾患を有する患者の歯科治療を安全に行える歯科医師 を養成するために、連携体制をとってきた北海道、北東北、関東の3 大学と地域医療教育を担当する関連歯科医師会が協働して行う 「ITを活用した超高齢社会の到来に対応できる歯科医師の養成」 が文科省大学間連携共同教育推進事業に採択された。5年計画 で3年生から5年生を主な対象としてe-ラーニングやVP(仮想患者) を中心としたIT教材を3連携大学と関連歯科医師会で連携して作 成し、 それぞれの大学の授業で実施している。 また学生が関連歯 科医師会の協力の下、歯科医院で実習を行う歯科医院体験実習 必修化にも取り組んでいる。 本取組では第1段階として、各大学の3年生を対象に「全身と口 腔の関連についての基礎知識の修得」を目指して、e-ラーニングを 活用して、 「口腔乾燥症」 「急性期と回復期のチーム医療」 「基礎疾 患を有する患者の歯科治療」 をテーマとした授業を実施している。 第2段階は、各大学の4年生を対象に「コミュニケーション・臨床推 論能力の養成」を目指して、e-ラーニングに加えて、VP(仮想患者) システムを活用した授業の準備をしている。第3段階は、第1、 2段階 で修得した知識や能力を活用して、 「臨床における実践」 を5年次に 実施する予定である。 取組2年目の時点での取組の紹介とアンケート結果などによる現 時点における全般的な評価を報告する。 P-044 大阪歯科大学における【歯科と東洋医学】教育の新シラバス ○方 一如、諏訪 文彦、鎌田 愛子、益野 一哉、王 宝禮、山本 一世、西川 泰央、森田 章介、田中 昭男、 川添 堯彬 大阪歯科大学 歯科東洋医学室 New syllabus about Dentistry and Oriental Medicine in Osaka Dental University ○Yi-ru FANG, Fumihiko SUWA, Aiko KAMATA, Kazuya MASUNO, Hourei OH, Kazuyo YAMAMOTO, Yasuo NISHIKAWA, Syousuke MORITA, Akio TANAKA, Takayoshi KAWAZOE Osaka Dental University 目的】平成16年から歯科と東洋医学を開講し、 平成25年まで開講 10周年を迎えた。歯科と東洋医学の受講生、選択と必須を含めこ れまで延べ1000名を超えている。議義の目的は東洋医学の知織を 体得し、歯科医学に応用できる基本能力を身につけることである。 学生の学習意欲向上に、平成25年度は新たにシラバス中に東洋 医学臨床編を加え、臨床経験豊富な歯科医師を招聘して、歯科 臨床への鍼灸、漢方薬応用の議義を行った。 この議義が学習意 欲向上に、 有効であるかを調査したので報告する。 【方法】英保武 志、久保茂正の一般開業歯科医師(どちらも日本歯科東洋医学 会認定医、専門医、指導医)から、 日常歯科臨床でどのように鍼 灸、漢方薬を応用し、活かしているか学生達は講義を受けた。英 保は漢方薬を中心に、 東洋医学の診断の一方法である舌診の紹 介や、 症状別漢方薬処方の勘どころなどを講義した。久保は鍼灸 を中心に、ペインコントロールや抗腫脹効果、 また動画による鍼鎮 112 痛下での抜歯の実際や、一般大衆薬の中にどうして漢方薬や生 薬が含まれているかを講義した。講義後、 アンケートおよび感想を 書かせた。 【 結果】受講者は動画などの映像で確認できる東洋医 学の即効性を目のあたりにして、驚きと興奮に包まれていた。 アン ケート結果は満足108名(85%)普通19名(15%)不満0名(0%) と なった。感想文では実際に歯科診療で東洋医学が取り入れられ ていることを聞いて、東洋医学について興味を持ち、奥深いと感じ ました。東洋医学が想像以上に歯学、医学に関係していると知っ て驚いた。歯科医師の方が実際に行っている方法を詳しく知るこ とができ、 東洋医学が現代医療にどれだけ重要な役割を担ってい るかを知れた。 など、開業歯科医師による議義が歯科と東洋医学 の学習の必要性を認識させ、学習意欲向上の対策に有効である ことが認められた。 P-045 神奈川歯科大学の教育改革 −GPA評価制度の導入による教育効果− ○菅谷 彰、湯山 徳行、花岡 孝治、窪田 光慶、林田 丞太、木村 幸司、櫻井 孝、平田 幸夫、佐藤 貞雄 神奈川歯科大学 総合教育部 Educational Reforms in Kanagawa Dental University - Educational Effects by Inducing the GPA Assessment System ○Akira SUGAYA, Noriyuki YUYAMA, Koji HANAOKA, Mitsuyoshi KUBOTA, Jota HAYASHIDA, Koji KIMURA, Takashi SAKURAI, Yukio HIRATA, Sadao SATO Division of curriculum development, Kanagawa Dental University, Yokosuka, Japan 学士課程教育の構築に向け大学に期待される 「質の保障」 とは、 パラダイム転換すなわち教育パラダイムから学習パラダイムへの転 換であると考えられる。学習パラダイムすなわち学生の主体的学習 が生じるには、 その学習内容の良否はもちろん、 その評価が厳格、 適正であることが前提であることは言うまでもない。本学では平成 24年度まで、 各科目を100点満点で評価し、 その平均をもって学生 の総合評価としてきた。 しかしながらこの評価法は、実際行われた 講義や実習の量、 すなわち単位を加味したものではなく、 単なる科 目間の平均値での評価方法であった。Grade Point Average (GPA)は、単位の意味が学修パフォーマンスに反映されて実質化 されているといった側面を有する一方、 レターグレードを元に算出さ れる場合が多く、 詳細な成績分析には不向きな点が指摘されてい た。今回、演者らは、従来使用されていたGPAに、 より詳細な評価 機能を加味したFunctional GPAを、 25年度の1年から4年生まで の評価に応用した。GPAの算出方法は100点満点の評価から50 点を減じ、 さらに10で除した値に単位数を乗じ、 その値をすべての 科目ごとに加算した値を総単位数で除した値として算出した。 その 結果、各学年におけるGPAと単純に単位を加味せずに科目GPを 平均した結果(平均GP) とを比較すると、1年生=GPA:3.08、平均 GP:2.89、 2年生=GPA:2.42、 平均GP:2.54、 3年生=GPA:2.63、 平均 GP:2.66、 4年生=GPA:2.87、 平均GP:2.79、 とその差は0.03∼0.19で あった。個々の学生の値では平均値の違いを大きく上回る学生も 散見された。学習評価は学生の学修のための動機付けにも深くか かわる因子であり、 その厳格性、適正は常に認識すべきものであ る。今回の結果から、24年度までの評価方法による結果との差異 に関する分析と、昨年度から実施した5学期制度による影響に関 する詳細な検討が必要と考えられる。 ユニット試験を用いた授業評価の試みP-046 神奈川歯科大学における教育改革-6. ○平田 幸夫、菅谷 彰、花岡 孝治、湯山 徳行、林田 丞太、 木村 幸司、櫻井 孝、窪田 光慶、佐藤 貞雄 神奈川歯科大学 総合教育部 Educational Reforms in Kanagawa Dental University-6. The trial of the educational assessment by unit examination ○Yukio HIRATA, Akira SUGAYA, Koji HANAOKA, Noriyuki YUYAMA, Jota HAYASHIDA, Koji KIMURA, Takashi SAKURAI, Mitsuyoshi KUBOTA, Sadao SATO Division of curriculum development, Kanagawa Dental University, Yokosuka, Japan 目的;本学で行われている教育改革の中で、授業の体系化に伴う 教育力の強化のために推進されるPDCAに欠かせないのが授業 評価である。適切に授業評価を実施するためには、多くの大学で 行われている従来からの学生によるアンケート形式の授業方法な らびに環境改善型の授業評価に加えて、教育力に焦点を当てた アウトカム型の授業評価が必要であるといえる。 そのため、本学独 自で試みた試験による成績評価を基盤とした授業評価を報告す る。方法;科目をモジュール (従来の講座担当型科目とは違い体系 化されたプログラム中の学修単位のことを意味する。) と呼び、 成績 はモジュール内を構成するユニット (モジュール内の機能的な学修 単位で、教育内容が多い時などはさらに小ユニットで構成する。) で行うユニット試験(モジュールの評価の20%に相当し、 各ユニット で授業評価のために授業時間毎に行う試験) と能動的学修に課 すアクティビティ (モジュール評価の30%に相当し、能動的学修の 活動度で、 事前テスト、 授業態度、 実習態度、 実習評価、 レポート評 価、口頭試問などの評価)そして総括的なモジュール試験(モ ジュール評価の50%に相当し、一般の定期試験の位置付) とから 総合的に評価される。評価配分は順に20%、 30%、 50%の配分で、 100点満点としている。 この配分の中で、 教育力に焦点を当てた授 業評価に用いられるのはユニット試験の部分で、該当するモ ジュール (科目)内の到達目標と評価基準を事前に明示した上で、 授業を行う教員とは分離した組織が達成目標に応じて問題作成 を行い、 その試験結果から授業評価を行う。具体的な授業評価 は、学内の専門教員組織(総合教育部)が当たるが、 それを実行 した場合にどの程度達成できたかを客観的に評価するシステムを 構築して、 さらに改善していくといったPDCAを回転させることが重 要となる。 113 P-047 機能系基礎歯科学科目の講義・演習・実習統合型授業の3年間の総括 ○平塚 浩一1、伊藤 孝訓2、葛西 一貴3、河相 安彦4、渋谷 鑛5 2 3 4 日本大学 松戸歯学部 生化学・分子生物学講座、 日本大学 松戸歯学部 歯科総合診療学、 日本大学 松戸歯学部 歯科矯正学、 日本 5 大学 松戸歯学部 有床義歯補綴学、 日本大学 松戸歯学部 歯科麻酔学講座 1 Generalization of a lecture, exercise, and practice - unified class for functional basic odontology for three years ○Koichi HIRATSUKA1, Takanori ITO2, Kazutaka KASAI3, Yasuhiko KAWAI4, Koh SHIBUTANI5 Department of Biochemistry & Molecular biology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 2Department of Oral Diagnostics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 3Department of Orthodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 4 Department of Removable Prosthodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 5Department of Anesthesiology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo 1 【緒言】機能系基礎歯科学科目での講義・演習・実習統合型授業 「学力中」 1/4、 「学力低」 1/4の割合であった。新規履修者は「生 が、学生の基礎的な知識の習得や学習意欲に与える効果につい 化学」が難解との認識が有意に高かった。CT はどの学力グルー て、 学生アンケートと成績から検討した。 【対象及び方法】 日本大学 プからも 「負担だが実施すべき」 との回答であった。予習実行率 松戸歯学部2年次生を対象に、 学科目 「生化学」の講義・演習・実 は、 「 新規履修者」 より 「再履修者」で、 また、 より高い「学力」のグ 習統合型授業を2011∼2013年度の3年間にわたり実施した。授業 ループで有意に高い結果となった。本授業プログラム実施後、 「生 は前期水曜日9時∼16時でおこない、午前と午後に1つずつの講 化学」総括的評価試験での成績不良者の割合は大幅に減少し、 義ブロック (講義+演習) を設定した。最後にチェックテスト (以下 「学年末総合試験」での「生化学」の2012年度平均得点率は CT) をおこない、成績不良者は口頭試問を義務とした。本授業プ 2010 年度に対して15.4%上昇した (他7科目平均で6.1%減少)。 ま ログラムの分析は、学生アンケートと自由記載コメント、 および学生 た、学生コメントから、授業に対するモチベーションや積極的な行 成績によりおこなった。 【 結果及び考察】予習、演習、CT、 口頭試 動が随所に確認できた。本プログラムは基礎的知識の習得の向上 問、 それぞれの支持率は51%、89%、81%、77%であり、 プログラム のみならず、 学生の意欲の向上にも大きく寄与していることが予想 全体の支持率は76% (不支持4%) であった。CTと総括的評価試 された。 験との正答率には相関が認められ、学年全体で「学力高」 1/2、 P-048 神奈川歯科大学におけるTBLのチーム編成と学習効果の関係 ○渕田 慎也1、山本 龍生1、槻木 恵一2、平田 幸夫1 2 神奈川歯科大学 大学院歯学研究科 社会歯科学講座、 神奈川歯科大学 大学院歯学研究科 口腔科学講座 1 Association between educational effect and team formation in TBL at Kanagawa Dental University ○Shinya FUCHIDA1, Tatsuo YAMAMOTO1, Keiichi TSUKINOKI2, Yukio HIRATA1 1 Department of Dental Sociology, Kanagawa Dental University Graduate School of Dentistry, Yokosuka, Japan, 2Department of Oral Science, Kanagawa Dental University Graduate School of Dentistry, Yokosuka, Japan 【目的】 行程終了後にピア評価と事後アンケート調査を行い、 150人から回 神奈川歯科大学歯学部における社会系歯科医学教育において、 答を得た (回答率96.2%)。 それらの結果を、学習効果とTBL必須 平成23年度よりチーム基盤型学習 (TBL :team-based learning) 4原則の観点から多変量解析により分析した。 を導入した。本研究では、学生の学習効果を高めるため、準備確 【結果・考察】 認テスト (RAT) やアンケート調査の結果から、 TBLの活用に必要 RATの 平 均 得 点 率 はIRATが 5 4 . 4±1 5 . 7 % 、 GRATが とされる適切な1)グループ、2)責任性、3)フィードバック、4)学習課題 82.1±12.5%であった。 また、 学習効果に満足していると回答した学 (必須4原則) に着目し、 学生の学習効果に関連する要因を検討し 生は76.7%、 通常の講義型学習より学習効果があると思うと回答し たので報告する。 た学生は76.6%であった。多重ロジスティック回帰分析の結果、 グ 【方法】 ループに不満を持っていた学生では満足していた学生に比べて、 平成24・25年度の本学歯学部3学年に在籍する全ての学生(156 学習効果に満足していないと回答した学生が有意に多かった 人) に対して、社会歯科学の授業時間を用いてTBLを実施した。 (p=0.002)。社会系歯科医学教育におけるTBL必須4原則の評 事前学習の後、 個人準備確認テスト (IRAT) とグループ準備確認 価過程の中で、 グループの適切な編成・管理が学習効果に大きく テスト (GRAT) を行った。 そして教員によるフィードバックの後、応 寄与することが示唆された。今後は、 グループの編成・管理の方略 用課題として新聞記事を応用した学習課題を提示し、 グループ毎 が求められる。 に解答を作成・発表させた。 その際、 当初に事前アンケート調査、 全 114 P-049 視知覚認知パターンが学習成果に与える影響 ○田中 聖至1、松田 貴絵1、小野 幸絵2、小松崎 明2、関本 恒夫1 1 2 日本歯科大学 新潟生命歯学部 小児歯科学講座、 日本歯科大学新潟生命歯学部衛生学講座 Effect of visual perception cognitive pattern on the learning outcomes ○Satoshi TANAKA1, Kie MATSUDA1, Sachie ONO2, Akira KOMATSUZAKI2, Tsuneo SEKIMOTO1 1 Department of Pediatric Dentistry, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, Niigata, Japan, 2Department of Preventive and Community Dentistry, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, Niigata, Japan 【目的】今回我々は視覚素材に対する視知覚認知パターンを解析 し、歯科医学教育における学習成果にどのような影響を与えてい るか調査した。 【 方法】平成25年度歯科大学5年生55名(男性41 名、女性14名) を対象とした。3項目の異常所見(上顎逆生過剰 歯、保隙装置、修復物) を含むパノラマエックス線写真(Hellman 歯齢IIIA、先天欠如なし)観察時の眼球運動を眼球運動測定装 置で測定した。眼球運動測定終了後、 自由記述式のテストを行 い、異常所見、Hellmanの歯齢判定および先天欠如の有無の正 答率を判定した。 テスト結果に性差があるかχ2検定を行った。 また 同様に、 視知覚認知パターンが異なるか検討した。 【結果】上顎正 中過剰歯を認知した学生は、男女ともに0名であった。保隙装置を 認知した学生は、男女ともに100%であった。修復物を認知した学 生は、 男性10名(24.4%) 、 女性2名(14.3%) 、 全体12名(21.8%) で あった。先天欠如を判別した学生は男性3名(7.3%)、女性6名 (42.9%)、全体9名(16.4%) であった。Hellmanの歯齢を判別した 学生は、男性2名(4.9%)、女性2名(14.3%)、全体4名(7.3%) で あった。先天欠如の判別において、男女差が認められた(p> 0.01)。各項目間では、 保隙装置の認知度が高く、 上顎正中過剰埋 伏歯の認知度は低かった。正答率の高い学生の視知覚認知パ ターンは、時計回りの情報探索パターンを示し、停留点はパノラマ エックス線写真全体に分布する傾向にあった。正答率の低い学生 は、 反時計回りの情報探索パターンを示し、 停留点は、 一部に集中 する傾向にあった。 P-050 歯科学生における子ども虐待の症例判断と対応に関する調査 ○都築 民幸、岩原 香織 日本歯科大学 生命歯学部 歯科法医学講座 Questionnaire survey concerning recognition and correspondence of child abuse cases in undergraduate dental student ○Tamiyuki TSUZUKI, Kaori IWAHARA Department of Forensic Dentistry, The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo, Japan 【目的】 演者らは、 歯科医療従事者を目指す学生の虐待に関す る意識について、 調査を行ってきた。今回、 虐待の認識と対応に関 して、 具体的な虐待事例を提示することの有用性について調査を 行った。 【方法】 本学生命歯学部第5学年学生の講義前後に調査を 行った。第1回目の講義開始時、 事例を提示し、 1. 虐待の有無の判 断、 2. 判断の理由、 3. 必要な対応、 4. 歯科医師免許取得後の虐待 への関わりの意志について回答させた。第1回目の講義では、 虐 待の総論と医学的所見について講義を行い、 第2回目の講義で は、 虐待の発見と支援について講義を行った。第2回目の講義終 了時、 同一事例を提示し、 同じ質問に回答させた。 なお、 対象学生 は、 第2学年時に歯科法医学の講義を履修しており、 臨床実習を 約6か月間行っている。 また、 講義に際して、 提示した事例の説明 は行っていない。 【結果と考察】 対象学生121名中、 プレアンケート、 ポストアンケー ト両方の回答者は100名(回答率82.6%) であった。 事例判断については、 提示した3例ともプレアンケートに比べポ ストアンケートで明確に判断しており、 事例を提示することの有用 性が示された。対応についても、 ポストアンケートにおいてはより明 確になり、 児を護るための対策が述べられていた。 歯科医師免許取得後の虐待への関わりについては、 不明とし た学生が減少し、 関わりたいとした学生が増加した。 【まとめ】 演者らは、 過去に行った調査から、 虐待と歯科との関わ りについては少なからず認識しているものの、 歯科医師としてどの ように関与すべきか、 十分に理解していないという結果を得てい る。今回の結果から、 具体的な事例を提示し考えさせることで、 虐 待の早期発見と対応策の策定に有用で、 学生の意欲を伸ばし、 歯 科医療従事者としての倫理観の形成に寄与することが示された。 115 P-051 神奈川歯科大学の歯学教育改革-5学期制導入とカリキュラム○湯山 徳行、菅谷 彰、花岡 孝治、窪田 光慶、林田 丞太、木村 幸司、櫻井 孝、平田 幸夫、佐藤 貞雄 神奈川歯科大学 総合教育部 Educational Reforms in Kanagawa Dental University-1.Curriculum development with five semesters○Noriyuki YUYAMA, Akira SUGAYA, Koji HANAOKA, Mitsuyoshi KUBOTA, Jota HAYASHIDA, Koji KIMURA, Takashi SAKURAI, Yukio HIRATA, Sadao SATO Division of curriculum development, Kanagawa Dental University, Yokosuka, Japan 平成20年、 中央教育審議会大学分科会の「学士課程教育の構 築に向けて-大学に期待される取組」の答申で、従来からの教育 体制から、 学位授与に到る教育課程プログラムへの転換が求めら れている。本学でも、平成22年度から歯学教育課程を見直し、平 成25年度より従来の前後期の2学期制を廃止して5学期制を導入 し、 同時に体系的なカリキュラムの構築を行った。 それに伴い、 カリ キュラム・授業のプランニングを行う総合教育部を創設し、講座中 心の教育課程を見直した。5学期制に移行するに伴い、学修時間 の確保と体系的なカリキュラムの構築は、大学設置基準の35週を 考慮して、1学期を7週間に区切ったStage(ステージ) に区分し、1 週間で、1、2コマの授業でなく短期集中型の時間割とカリキュラム の編成を行った。従来の科目ではなく、 レベルからシステムへ、 基礎 から臨床へ、 教養−基礎(常態) −病態−診断−治療と融合させて 編成し、学生が確実に修得できるようにした。各ステージに、主要 科目と関連科目を配置し、 学生の学修時間の確保を配慮して2∼4 のモジュール (科目) を設置し、 シラバスの内容も事前学修の指示 などを記載し、能動的学修の向かうように配慮した。 カリキュラムに おける各ステージ内のモジュール開講時期に対しては、72%の教 員が適切と答え、学生評価も高かった。 また、各学年のモジュール 評価もステージを経過するごとに高くなり、年度末の最終評価も良 好となり、前年度より進級率が高くなった。学生の学修態度も事前 学修・事前テストやユニット試験などの活用により、 講義に集中する 傾向がみられた。 また、講義1日4コマの集中講義になっているが、 午前・午後の授業形式をIT授業など、工夫することにより学修効 果がよくなっていた。 しかし、 改革初年度のため、 学生・教員に戸惑 いもあり、 さらに教育FD・WSの必要性が重要である。 教育支援職員による新たな教育管理の取り組みP-052 神奈川歯科大学の歯学教育改革-3. ○林田 丞太、菅谷 彰、花岡 孝治、櫻井 孝、湯山 徳行、窪田 光慶、木村 幸司、平田 幸夫、佐藤 貞雄 神奈川歯科大学 総合教育部 Educational reformes in Kanagawa Dental Univercity-3. Approaching to the New educational management with supporting staff○Jota HAYASHIDA, Akira SUGAYA, Koji HANAOKA, Takashi SAKURAI, Noriyuki YUYAMA, Mitsuyoshi KUBOTA, Koji KIMURA, Yukio HIRATA, Sadao SATO Division of curriculum development, Kanagawa Dental University, Yokosuka, Japan 18歳人口の減少と大学の増加により大学進学率が50%を超え るというユニバーサル化がすすんでいる。 また、一方で、高等学校 による教育の質保証に関する機能が十分に果たされていないとい う現状がある。 この状況においては、 いわゆるエリートが選抜に基 づき入学し学修していた時代とは異なる対応が求められる。 その ひとつが教育システムの客観化である。具体的には、従来教員が 行っていた教室管理を教員以外の第三者が行う取り組みである。 これは、TAと呼ばれる大学院生等の学生補助員を用いるシステ ムとも異なり、教育支援職員を採用し、教室管理を行うものである。 本稿では、神奈川歯科大学で現在行なっている教育改革のうち、 専属の教育支援職員の導入の紹介を兼ね、 その教育効果との関 係について考察を行うものである。 ここでいう教室管理とは、 出欠 席の管理、各種試験結果等の成績データ管理、講義録画、録画 116 データの管理、 講義担当者等の確認、 欠席学生情報等のチュータ ー、教学部への即日連絡など幅広い内容をいう。 これらの業務を、 教員ではない専門スタッフが行うことにより、全学共通の同一基準 による公平で客観的なデータ蓄積が可能となる。教員が講義の傍 らに行う教室管理とは異なり、学生との丁寧なコミュニケーションに 基づく教室管理であるため、 学生も納得した上での客観的管理が 可能となった。 さらに、 この客観的データはその後、教学IRへと反 映することで長期的には学修成果の向上につながるものと考えら れる。他方、問題点もいくつか挙げられるが、教育効果という観点 にたつと多くの優れた結果がもたらされた。今後は、更なる教育の 質保証の確保に向け、教職協同へ向けた研修等の発展的課題 を見いだすことができた。 P-053 広島大学歯学部歯学科における早期臨床体験実習(Early Clinical Exposure)の導入 ○神田 拓1、高 明善2、藤田 剛7、武田 克浩3、田地 豪4、津賀 一弘5、兼松 隆6、二川 浩樹4、栗原 英見3,7、菅井 基行8 2 3 4 広島大学病院 顎・口腔外科、 広島大学病院矯正歯科、 広島大学大学院医歯薬保健学研究院歯周病態学、 広島大学大学院医歯薬保健学 5 6 研究院口腔生物工学、 広島大学大学院医歯薬学総合研究科先端歯科補綴学、 広島大学大学院医歯薬保健学研究院細胞分子薬理学、 7 8 広島大学病院歯周診療科、 広島大学大学院医歯薬保健学研究院細菌学 1 Introduction of Early Clinical Exposure in Hiroshima Univ. Dept. Faculty of Dentistry. ○Taku KANDA1, Myonson KOH2, Fujita TSUYOSHI7, Katsuhiro TAKEDA3, Tsuyoshi TAJI4, Kazuhiro TSUGA5, Takashi KANEMATSU6, Hiroki NIKAWA4, Hidemi KURIHARA3,7, Motoyuki SUGAI8 1 Clinic of Oral and Maxillofacial Surgery, Hiroshima University Hospital, Hiroshima, Japan, 2Clinic of Orthodontics, Hiroshima University Hospital, Hiroshima, Japan, 3Department of Periodontal Medicine, Institute of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan, 4Department of Oral Biology and Engineering, Institute of Biomedical and Health Sciences Hiroshima University, Hiroshima, Japan, 5Department of Advanced Prosthodontics, Institute of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan, 6Department of Dental Pharmacology, Institute of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan, 7Clinic of Periodontal Medicine, Hiroshima University Hospital, Hiroshima, Japan, 8Department of Bacteriology, Institute of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan 早期臨床体験実習(Early Clinical Exposure)とは医療系大学低 学年の学生が、実際の診療・介護・福祉等の実務を見学あるいは 体験することにより、社会人・医療人としての人格形成、将来像構 築の一助とし、 これから学ぶ医・歯学知識の必要性を認識すること を目的とした体験実習である。本実習受講時は十分な医・歯学的 知識を持っていないため、本質的目的は専門的な知識や手技の 修得ではなく、医療現場で各学生が個別に感じたこと、実体験し たことを通して、 「将来医療者になる過程において何をなすべきか 」 を自覚することにある。 広島大学歯学部では、国際的リサーチ マインドを備えた全人的医療人の育成をめざし、国際歯学コース の開設、 英語・日本語併用講義の導入など教育カリキュラムの改革 を継続的に実施している。 その一環として平成24年度より早期臨 床体験実習 (Early Clinical Exposure) を導入した。本カリキュラ ムでは、以下の5つの実習を柱として実施した。1)受付、診断室か ら診療室、手術室、入院棟を見学する “患者動線院内見学” 2)診 療見学を行う “チェアーサイド実習” 3)歯学科6年生を担当医役、 歯 学科2年生が患者役となる “患者体験実習” 4)本学各講座教員か らさまざまな臨床、 教育、 留学、 研究経験などをインタービューする “ 講座配属チュートリアル” 5)一連の早期臨床体験実習の概要を同 学年同士で共有し討論を行う “ワールドカフェワークショップ” 今回、 われわれは早期臨床体験実習の実施概要、教員・歯学科 学生対象に実施したアンケート結果および今後の課題等について 報告する。 P-054 歯学部学生に対する一次救命処置における客観的評価の有効性の検討 −日本救急医学会修了認定BLSコース− ○名知 ひかる1,4、櫻井 学1、後藤 隆志1、智原 栄一1、飯沼 光生2、吉田 隆一3 1 2 朝日大学 歯学部 総合医科学講座 麻酔学分野、 朝日大学 歯学部 口腔構造機能発育学講座 小児歯科学分野、 3 4 朝日大学 歯学部 口腔機能修復学講座 歯科保存学分野、 NPO法人岐阜救急災害医療研究開発機構 Assessment of the effectiveness of objective evaluation in BLS for dental school students -Japanese Association for Acute Medicine BLS course○Hikaru NACHI1,4, Satoru SAKURAI1, Takashi GOTO1, Eiichi CHIHARA1, Mitsuo IINUMA2, Takakazu YOSHIDA3 1 Department of Anesthesiology, Division of General Medicine, Asahi University School of Dentistry, Gifu, Japan, 2Department of Pediatric Dentistry, Division of Oral Structure, Function and Development, Asahi University School of Dentistry, Gifu, Japan, 3Departmento of endodontics, Division of Oral Functional Science and Rehabilitation, Asahi University School of Dentistry, Gifu, Japan, 4Gifu Emergency and Disaster Medicine Research Organization 【諸言】歯科医にとって一次救命処置(BLS) の習得は必須であ り、OSCEにもBLSが取り入れられる方向にある。 しかし、現実では 充分に習熟していない評価者の主観評価に頼ることになる。現 在、我々は臨床実習直前の学生に対して日本救急医学会認定 BLSコースを行っている。 そこで今回、指導経験豊富な学会認定 インストラクターと学生との評価を比較し評価に差があるか観察し た。 また、 同時にレサシアンQCPR(以下レサシアン)により、客観評価 を行い主観評価と比較した。 【対象と方法】本学の4学年生120名 を対象に、 日本救急医学会認定BLSコースを12回に分けて行っ た。主観評価は評価表を用い、胸骨圧迫の深さ、速さ、 リコイル、手 の位置、 フェイスマスクでの人工呼吸、AEDの使用、 バックバルブ マスクでの人工呼吸が適切か不適切かを評価し、胸骨圧迫の中 断時間を測定した。 インストラクターと学生(受講者が交代して)で 主観評価を行い、 レサシアンにより成功率や所要時間を客観評価 した。 【結果】主観では各項目でインストラクターと学生間で差はな かった。 しかし主観と客観の比較では胸骨圧迫の深さ、 リコイル、 胸骨圧迫の中断時間で差が認められた。深さとリコイルは成功率 75%未満を不適切とした客観では各々19名、58名であったが主観 ではインストラクター学生共に各々4名、5名のみを不適切と評価し た。 また、胸骨圧迫の中断時間は客観で9秒、 インストラクター7秒、 学生6秒と有意な差が認められ、 中断時間が10秒以内ではないと 評価したのは客観で17名であるのに対し、主観ではインストラク ター4名学生2名であった。 【考察】評価票による主観評価では経 験による差はないが、不適切と判断しない傾向があり、特にリコイ ルと胸骨圧迫中断時間は主観評価が困難であった。BLSにおい て主観評価は手順や確認項目などの評価には有効だが、手技の 評価には適さないと考えられる。 117 P-055 部分床義歯補綴学の臨床実習へのWebClassの利用 −第2報 アンケートの結果− ○和達 重郎、若林 則幸 東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科 口腔機能再構築学講座 部分床義歯補綴学分野 A use of the WebClass intranet system in clinical-training course for the removable prosthodontics. -Report two, Feedback from students○Juro WADACHI, Noriyuki WAKABAYASHI Removable Partial Prosthodontics,Oral Health Sciences, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University 諸言 本学ではe-LearningのシステムがWebClassへと変わり、 生のうち39名がアンケートに参加した。 そのうち、すべての設問に アンケートの集計やポートフォリオの提出などが簡単に行えるように 対して返答した者は29名であった。 コバルトクロムの鋳造による義 なった。本分野では歯学科の教育でe-Learningのシステムを広く 歯メタルフレームの製作を自ら行った学生は26名であった。 ケース 活用してきたが、WebClassにおいても当初より6年次臨床実習の 進行の難易度に関する質問に対して簡単だと答えたものはなく、 一部である部分床義歯試験ケースの臨床教育で活用を試みた。 ほとんどの学生が大変であったと回答した。 またE-Learningシス 今回WebClassの活用方法について学生からの評価をまとめたの テムについては、役に立ったと答えた学生が28名で、 あまり役に立 で報告する。方法 H25年度の部分床義歯試験ケースの実習に たなかったと答えた学生は1名であった。多くの学生は術前教授診 関するアンケートを、実習を行った全学生60名を対象として行った の日程調整や進行に関する連絡事項についてWebClassを活用 。実施については事前に電子メールで全員に通知し、 回答は任意 していたが、 アンケートへの参加も含めて、 それ以外の用途を目的 とした。参考資料として、 術前教授診に関する連絡、 マニュアル、 技 としたアクセス数は多くなかった。結論 WebClassの多様な機能 工に関する動画、 術後のレポートのひな形などを掲載した。結果 に対する学生の活用度は十分とは言えなかったが、 利用した者か 最も多くアクセスされたのは術前教授診に関する連絡で一人平均 らのコンテンツの評価は十分であり、 今後はコンテンツの充実を図り 3.2回のアクセスがあった。技工に関する動画へのアクセスは少なく ながら、 より積極的に利用できる方法について考慮する必要があ 、 用意した3つの動画への平均アクセス回数は13回であった。全学 ると思われた。 P-056 本学歯学部における「学生による臨床実習評価」13年間のデータ分析 ○根岸 淳1、飯田 俊二1、飯塚 正2、兼平 孝2、佐藤 嘉晃2、長谷部 晃2、岡田 和樹2、北村 哲也2、鈴木 邦明2、井上 哲1、 八若 保孝2 1 2 北海道大学病院 口腔総合治療部、 北海道大学大学院 歯学研究科・歯学部 FD委員会 13-Year Analysis of "Student Evaluation of Undergraduate Clinical Training Program" in the School of Dental Medicine ○Jun NEGISHI1, Shunji IIDA1, Tadashi IIZUKA2, Takashi KANEHIRA2, Yoshiaki SATO2, Akira HASEBE2, Kazuki OKADA2, Tetsuya KITAMURA2, Kuniaki SUZUKI2, Satoshi INOUE1, Yasutaka YAWAKA2 1 Division of General Dentistry, Hokkaido University Hospital, Sapporo, Japan, 2FD Committee of Hokkaido University Graduate School of Dental Medicine/ School of Dental Medicine, Sapporo, Japan 目的 北海道大学歯学部FD委員会では、平成13年度より臨床実習終 了後の6年次学生を対象として 「学生による臨床実習評価」 を実施 し、 その有効性や総合評価へ影響を与える因子について報告し てきた。今回我々は、調査開始以来13年にわたる本評価の結果を 解析したので報告する。 方法 平成13年度∼25年度に臨床実習を行った本学歯学部6年次学生 を対象として、実習終了直後に専門分野ごとに実施した27項目に わたるアンケート調査(各項目4点満点) の結果を用い、各評価項目 の評価点平均値の変化、総合評価との相関が高い評価項目、 およ び総合評価の変化と関連する評価項目について解析した。 結果と考察 すべての評価項目において、評価点平均値は最初の3−4年は上 118 昇したが、平成18年ごろより変動幅が小さくなり、3点台前半で安 定する傾向を示した。総合評価との相関が高かった評価項目は 「 診断にいたる適切な思考能力が身に付いた」、 「患者を通して自ら 積極的に学ぶ姿勢が身に付いた」 「公平かつ正確な評価が行わ れた」 の3項目であり、 この傾向は最近強くなっていると考えられた。 総合評価が前年より20%以上低下した分野では、指導医の態度、 minimum requirementsの設定や達成するための機会、課題に 対する時間配分、症例数に関する項目で共通して評価点が大きく 下降していた。 これらの結果より、本学の臨床実習は学生より概ね 良い評価を与えられてきたと思われる。 また、臨床実習の成果を実 感でき、適切な成績評価を受けられることが、高い総合評価につな がると考えられる。学生が患者と接する機会を十分確保できず、教 員側から示された目標と乖離が生じると総合評価が下降すること も示唆された。 P-057 日本歯科大学新潟病院における臨床実習での医療安全教育 ○水谷 太尊1、阿部 祐三1、山口 晃1、関本 恒夫2、鹿又 真一1、渥美 陽二郎1 1 2 日本歯科大学新潟病院、 日本歯科大学新潟生命歯学部 Medical Safety Education for Dental Trainee Students in the Nippon Dental University Niigata Hospital ○Masutaka MIZUTANI1, Yuzo ABE1, Akira YAMAGUCHI1, Tsuneo SEKIMOTO2, Shinichi KANOMATA1, Yojiro ATSUMI1 The Nippon Dental University, Niigata Hospital, Niigata, Japan, 2The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Niigata, Niigata, Japan 1 【緒言】臨床実習では学生が行う医療行為により患者に対する過 誤や事故、針刺しなどの自損事故の危険性がともなう。 1人の医療 者として医療職員と同様にリスクマネージメントが必要となっている 。学生は日々の臨床の中で事故回避の方法や対応を教員から指 導を受けている。今回我々は臨床実習生に対して医療安全に対す るアンケート調査を実施した。 アンケート調査の結果とともに臨床実 習での医療安全教育についての概要を報告する。 【 対象と方法】 平成25年度臨床実習生87名に対して実習終了直後に医療安全 に関するアンケート調査を実施した。 アンケート調査は、臨床実習 でのインシデント (ヒヤリ ・ハット) 、 院内感染対策、 医療安全WSにつ いて質問した。 【 結果と考察】 アンケート調査結果は、 自身の医療 行為に不安を感じたのは78%、 同級生が行っている医療行為を見 て不安を感じたのが88%であった。治療中に事故には至らなかっ たが危険(ヒヤリ ・ハット) を感じたのが35%であった。歯科医療事 故で多いとされる誤飲・誤嚥について23%が、針・器具刺し事故に ついては32%が危険を感じたと回答している。医療安全の学習方 法として医療安全WSでの危険予知トレーニング (KYT) が有効だ と回答したのは73%、KYTによりリスクマネージメントが理解できた と回答したのは88%、 KYTを行う時期については臨床実習前がよ いと回答したのは54%であった。 日本歯科大学新潟病院の臨床実 習では医療職員同様に年2回の医療安全講習会と院内感染防 止対策講習会への参加が学生に課されている。 またリスクマネー ジメント部会主催医療安全WSや院内感染防止対策委員会月例 会にも臨床実習生が参加している。医療におけるリスクマネージメ ントは診療技能の一つであり医療安全教育は臨床基礎実習、臨 床実習、 さらには臨床研修、 生涯学習と継続して行われるべきもの である。 P-058 Comprehensive Care の理念に基づいた歯科臨床教育改革∼臨床実習後の臨床能力評価試験∼ ○工藤 義之1、岡田 伸男1、熊谷 啓二1、千田 弥栄子1、浅野 明子1、野田 守1、城 茂治4、永井 成美3、三浦 廣行2 2 岩手医科大学 歯学部 歯科保存学講座 う蝕治療学分野、 岩手医科大学 歯学部 口腔保健育成学講座 歯科矯正学分野、 3 4 ハーバード大学、 岩手医科大学歯学部 顎顔面再建学講座 歯科麻酔学分野 1 Dental clinical education based on the concept of Comprehensive Care ~ Clinical Examination after Clinical Practice ~ ○Yoshiyuki KUDO1, Nobuo OKADA1, Keiji KUMAGAI1, Yaeko CHIDA1, Akiko ASANO1, Mamoru NODA1, Shigeharu JOH4, Shigemi NAGAI3, Hiroyuki MIURA2 1 Department of Operative Dentistry and Endodontics, Iwate Medical University, Morioka, Japan, 2Department of Orthodontics, Developmental Oral Health and Maxillofacial Surgery, Iwate Medical University, 3Harvard School of Dental Medicine, 4Reconstructive Oral and Maxillofacial Surgery, Dental Anesthesiology, Iwate Medical University 確かな臨床能力を備えた歯科医師養成のために診療参加型 臨床実習への改善・充実が求められている。岩手医科大学では 平成23年から米国ハーバード大学歯学部と教育改革のための共 同プロジェクトを実施し、 Comprehensive Care の概念を導入した 学生診療室(CCC) を新設した。CCCでは学生診療への同意が 得られた患者に対して臨床実習生が自ら一口腔単位での診療を 行っている。 診療参加型臨床実習を行うにあたり共用試験OSCEにて必要とさ れる臨床能力を評価して登院させている。一方、 診療参加型臨床 実習後の臨床能力についての評価も重要と考えられ、 本学では臨 床実習を担当する各科で臨床実習後の評価を行っている。実施 項目、実施方法、実施時期については各科に委ねられている。今 回は保存修復、歯内療法を担当するう蝕治療学分野で原則自験 患者の治療を対象として行った臨床能力評価試験について報告 する。臨床実習評価試験を行った項目は、 ラバーダム防湿、 浸潤麻 酔、成形修復(コンポジットレジンまたは従来型グラスアイオノマー 修復) 、 根管治療(抜随、 感染根管治療、 根管貼薬のいずれか) と した。評価方法は観察記録とチェックシートで行った。臨床実習期 間後半の平成25年12月から3月の間に試験を実施した。 実施率は、 ラバーダム防湿88%、 浸潤麻酔88%、 成形修復84%、 根管治療88%であった。原則自験症例で試験を行ったが、 成形修 復、根管治療では症例に恵まれずシミュレーターに顎模型を装着 して行ったのがそれぞれ15%と13%であった。平均点数が低い評 価項目は、 ラバーダム防湿「術野の消毒」、 浸潤麻酔「刺入点の消 毒」であった。 今回の結果をもとに評価点数の低い項目については基礎実習 にフィードバックし改善を図る必要がある。 また自験症例での観察 記録シミュレーターを用いてのOSCEなど、課題ごとに適切な評価 法を選択する必要があると思われた。 119 P-059 日本歯科大学新潟病院における第5学年臨床実習の自験調査結果について ―第2報― ○小澤 誠1、阿部 祐三2、野田 つかさ2、水橋 亮2、新井 恭子3、関 秀明2、海老原 隆2、山口 晃4 1 2 3 日本歯科大学 新潟生命歯学部 歯科補綴学第2講座、 日本歯科大学新潟病院 総合診療科、 日本歯科大学 新潟生命歯学部 歯科 4 保存学第1講座、 日本歯科大学新潟病院 口腔外科 Questionnaire survey on practice cases of clinical training for the fifth grade dental students of The Nippon Dental Univ. at Niigata; Part II ○Makoto OZAWA1, Yuzo ABE2, Tsukasa NODA2, Ryo MIZUHASHI2, Kyoko ARAI3, Hideaki SEKI2, Takashi EBIHARA2, Akira YAMAGUCHI4 1 Department of Crown and Bridge Prosthodontics, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, Niigata, Japan, 2 Comprehensive Dental Care, The Nippon Dental University Niigata Hospital, 3Department of Endodontics, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, 4Oral and Maxillofacial Surgery, The Nippon Dental University Niigata Hospital 【目的】 日本歯科大学新潟病院における第5学年の臨床実習では、平成 22年度より見学主体の実習内容から診療参加型実習へとカリキ ュラムを改編し、 「平成22年度改訂版歯学教育モデル・コア・カリキ ュラム」 を基準として歯科医療行為を経験する自験に加え、 その評 価方法となる臨床テストケースを平成24年度より行っている。 これ には技能的に容易な自験や到達困難な自験が存在し、比較的容 易な自験に関しては多く行われる傾向にある。 このことが臨床テス トケースの成績に少なからず関与していると考え昨年度の本学術 大会で報告を行った。 そこで前回に続き平成25年度の自験のケー ス数・内容と臨床テストケースとの相互関係について検討した。 容および臨床テストケースの成績を集計し、 これらの関連性につい て検討を行った。 【結果および考察】 自験ケース数では、歯周治療に関するケースが多く、 バイタルサイ ンの測定などの口腔外で行う処置についても多くみられた。口腔 内で行う処置では、根管洗浄・根管貼薬などが多かった。支台歯 形成など切削を必要とする項目は少なかった。 これらのことから、 学生が実地しやすい歯周組織検査、医療面接の記録や口腔外 で行うことが可能な説明指導系は、積極的に学生に行わせること が可能であることから、 自験ケース数の集中がみられた。一方、支 台歯形成などの不可逆的処置はケース数が少なかった。 また、 自 【方法】 験ケース数と臨床テストケースの平均点の関係では相関関係はな 対象は平成25年5月∼平成26年2月に臨床実習を行った第5学 かった。 しかしながら、支台歯形成などの不可逆的処置や多数歯 年87人とした。 自験項目を歯学教育モデル・コア・カリキュラムに則り 欠損症例における咬合採得といった自験ケース数が少ない項目で 作成し、 総合診療科に8ヵ月間在籍して行う自験ケース数とその内 は臨床テストケースの得点が低くなる傾向があった。 P-060 歯学部臨床実習に関する国民の意識調査 −全国データと東京23区データの比較− ○大山 篤1、須永 昌代2、木下 淳博2、俣木 志朗3、荒木 孝二4 1 2 3 神戸製鋼所 東京本社 健康管理センター、 東京医科歯科大学 図書館情報メディア機構、 東京医科歯科大学 大学院 医歯学総合研究科、 4 東京医科歯科大学 医歯学教育システム研究センター The survey on people's attitudes toward clinical training for dental students -A comparative analysis of nationwide and Tokyo 23 words data○Atsushi OHYAMA1, Masayo SUNAGA2, Atsuhiro KINOSHITA2, Shiro MATAKI3, Kouji ARAKI4 1 Health Administration Center,Tokyo Head Office, Kobe Steel, Ltd., 2Institute for Library and Media Information Technology, Tokyo Medical and Dental University, 3Graduate School, Tokyo Medical and Dental University, 4Center for Education Research in Medicine and Dentistry, Tokyo Medical and Dental University 【目的】 私たちは以前の本学会において、東京23区在住のWeb Web調査では、 登録モニタにメールで調査への回答を依頼し、 回答 調査会社の登録モニタを対象とした歯学部学生の臨床実習に関 に同意した登録モニタはメールに記載されたリンクから調査票にア する意識調査の結果を報告した。東京23区内は歯科大学および歯 クセスして回答した。 学部附属病院の数が多いため、区内在住の患者も比較的アクセス 【結果】 歯学部学生の臨床実習に関する意識調査では、臨床実 しやすく、大学病院における歯学部学生の臨床実習について知る 習に関する知識や協力度に関するいずれの項目でも、全国データ 機会も多いと考えられる。 そのため、全国的に見た歯学部臨床実習 の方が東京23区のデータよりも1-3%程度低い結果であった。全国 の認知度は、東京23区内における認知度よりも低い可能性がある。 の登録モニタの620名うち、 大学病院で臨床実習を行っていることを 本研究ではWeb調査会社の全国の登録モニタを対象に歯学部臨 知っていたのは64.2% (東京23区では66.3%) であり、共用試験の存 床実習に関する意識調査を実施し、東京23区在住の登録モニタの 在を知っていたのは17.4% (同19.7%) であった。 また、臨床実習への データと比較・検討することを目的とした。 協力に前向きな回答は26.6% (同27.6%) であり、 共用試験実施評価 【方法】 本研究では2012年1月19-20日にかけて、歯学部学生の 機構のサイトで共用試験の概要を閲覧した後に同じ質問をすると、 臨床実習に関するWeb調査を実施した。調査対象は全国および東 36.9% (同39.4%) に上昇していた。 京23区内在住のWeb調査会社の登録モニタ各620名であった。 120 P-061 東京医科歯科大学包括臨床実習における初診時鑑別診断の妥当性 ○礪波 健一1、則武 加奈子1、梅森 幸1、山田 梓1、岩城 麻衣子1、大原 里子1、秀島 雅之2、鶴田 潤3、新田 浩4、小田 茂1、 木下 淳博5、俣木 志朗4、荒木 孝二6 1 2 3 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 歯科総合診療部、 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 快眠歯科外来、 東京医科歯科大学 4 5 東京医科歯科大学 大学院 歯科医療行動科学、 東京医科歯科大学 図書館情報メディア機構 教育メ 医歯学融合教育支援センター、 6 ディア開発、 東京医科歯科大学 医歯学教育システム研究センター Validity of differential diagnosis in the first examination in comprehensive clinical training in Tokyo Medical and Dental University ○Ken-ichi TONAMI1, Kanako NORITAKE1, Sachi UMEMORI1, Azusa YAMADA1, Maiko IWAKI1, Satoko OHARA1, Masayuki HIDESHIMA2, Jun TSURUTA3, Hiroshi NITTA4, Shigeru ODA1, Atsuhiro KINOSHITA5, Shiro MATAKI4, Kouji ARAKI6 1 Oral Diagnosis and General Dentistry, Dental Hospital, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan, 2Dental Sleep Clinic, 3Center for Interprofessional education, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan, 4Behavioral Dentistry, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan, 5Department of Educational Media Development, Institute for Library and Media Information Technology, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan, 6Center for Education Research in Medicine and Dentistry, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan 東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科総合診療部では、歯学 科5-6年次学生に対し包括臨床実習のカリキュラムのひとつとして、 本学歯学部附属病院を受診した患者に対する初診実習を担当し ている。本実習では、医療面接および口腔内診査にて患者から収 集した情報より鑑別診断リストを学生に考えさせ、教員とディスカッ ションすることを行っている。本研究は、得られた鑑別診断リストの 妥当性を評価することを目的として、実習後に患者が治療をうける 専門外来にて決定された診断名が鑑別診断リストの中に含まれる か否かを検証した。平成24年12月4日から平成25年2月7日の期間 に本学歯科総合診療部で初診実習を行った55名の学生が最初 に初診担当した患者を対象とし、 その実習記録用紙に記載された 鑑別診断リストを抽出した。 さらに、初診から1年以上経過した後 に、該当する患者の当該症状を専門外来で治療を受けた際の電 子カルテ上の診断名を検索し、比較・分析を行った。 その結果、分 析対象55例のうち36例(65.5%) については、治療時につけられた 診断名が初診実習時に学生によって作成された鑑別診断リストに 含まれるものであったが、残りの19例(34.5%) は鑑別診断リスト以 外の診断名がつけられていた。 この19例の内訳をみると、抜歯の C4と慢性根尖性歯周炎のように治療方針は変化しないが、診断 名が異なるものが7例、慢性根尖性歯周炎から歯根破折のように、 専門外来での精査の結果診断名が異なるものとなったのが6例、 義歯不適からMTのように診療方針の変更により診断名が異なる ものとなったのが3例、診断名が異なった経緯が不明なものが3例 あった。以上の結果より、本実習の鑑別診断リストの指導において 、同一の病態に対する診療方針の多様性や、診断を決定するた めの精査方法をディスカッションすることで、 さらに妥当性の高い鑑 別診断リストを作成でき、教育効果の向上が期待できることが示唆 された。 P-062 臨床実習生を対象とした訪問歯科診療実習に関するアンケート調査 −実習参加後の調査結果について− ○鶴谷 綾子1,3、白野 美和2、石井 瑞樹1、吉岡 裕雄2、赤泊 圭太2、平 賢久1、高橋 靖之3、小林 英三郎4、 両角 祐子5、 海老原 隆1、藤井 一維3、黒川 裕臣1、山口 晃4、関本 恒夫6、中原 泉7 1 2 3 日本歯科大学新潟病院 総合診療科、 日本歯科大学新潟病院 訪問歯科口腔ケア科、 日本歯科大学新潟病院 歯科麻酔・全身管理科、 4 5 6 日本歯科大学新潟病院 口腔外科、 日本歯科大学新潟生命歯学部 歯周病学講座、 日本歯科大学新潟生命歯学部 小児歯科学講座、 7 日本歯科大学 A questionnaire survey on home dental care training for Clinical practice student -The results of an investigation after training participation○Ayako TSURUGAYA1,3, Miwa SHIRONO2, Mizuki ISHII1, Hiroo YOSHIOKA2, Keita AKADOMARI2, Yoshihisa TAIRA1, Yasuyuki TAKAHASHI3, Eizaburo KOBAYASHI4, Yuko MOROZUMI 5, Takashi EBIHARA1, Kazuyuki FUJII3, Hiroomi KUROKAWA1, Akira YAMAGUCHI4, Tsuneo SEKIMOTO6, Sen NAKAHARA7 1 Comprehensive Dental Care,The Nippon Dental University Niigata Hospital, 2Domiciliary Dental care,The Nippon Dental University Niigata Hospital, 3Dental Anesthesia and General Health, The Nippon Dental University Niigata Hospital, 4Oral & Maxillofacial Surgery, The Nippon Dental University Niigata Hospital, 5Department of Periodontology, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, 6Department of Pediatric, The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, 7The Nippon Dental University 歯科医学教育において訪問歯科診療の包括的な教育の重要 性が増している今日、本学では、従前から積極的にこの分野の教 育に取り組み、在宅医療に対応できる歯科医師の育成を行ってき た。特に、 第5学年臨床実習において訪問歯科診療実習を必修化 し、 これまでに診療参加型実習への変更や評価方法の修正等を 行い、 更なる充実を図ってきた。 昨年の本学会では、 カリキュラム 変更に伴って診療参加型へ移行した訪問歯科診療実習に臨ん だ臨床実習生を対象とした意識調査の結果を報告した。 そこで実 習への関心の高さが示されたことから、 アンケートの質問項目の再 検討を行い、 実習に対するイメージや参加への意識、 参加後の感 想に加えて、実習の意義・目的・内容に対する理解度なども含めた 項目を設定し、 実習参加後に実施した。 調査対象は、 平成25年 度の第5学年の臨床実習生である。質問項目は 【1】a,訪問歯科診 療の重要性をどう考えているか、b,診療の範囲や関心度、 などの 訪問歯科診療のイメージ・意識に関するもの。 【2】a,実習参加時に 見学した処置内容、b,患者さんとのコミュニケーション、 などの実習 内容や実地の自己評価に関するもの。 【 3】a,実習を通じて何を学 ぶべきと感じたか、b,歯科衛生士の役割、 などの実習生の視点で 捉える訪問歯科診療の在り方や重要性に関するもの。 とし、 大きく3 つに分類した。今回は、 訪問歯科診療の意義や目的についての実 習生の理解度や患者さんとのコミュニケーションにおける自己評価 など、新たな項目を加えた。平成26年度からは実習参加前の臨床 実習生の意識調査も行う予定である。今後も継続して同様な調査 を実施し、訪問歯科診療実習をより有意義なものとするための重 要な資料を得たいと考えており、 その第一段階として興味ある結 果を得たので報告する。 121 P-063 臨床実習に参加する歯学生は障がいがある患者の歯科診療をどのように受けとめたか -H24年度と25年度の比較○船津 敬弘1、馬谷原 光織2、浅川 剛吉1、嘉手納 未季1、山下 一恵1、片岡 竜太2 1 昭和大学 歯学部 スペシャルニーズ口腔医学講座 障害者歯科学部門、 2 昭和大学 歯学部 スペシャルニーズ口腔医学講座 歯学教育学部門 The response of dentistry students who participated in clinical training to the dental practice of patients with disabilities in 2012 and 2013 ○Takahiro FUNATSU1, Mitsuori MAYAHARA2, Takeyoshi ASAKAWA1, Miki KADENA1, Kazue YAMASHITA1, Ryuta KATAOKA2 Department of Special Needs Dentistry, Division of Dentistry for persons with disabilities, School of Dentistry, Showa University, Tokyo, Japan, 2Department of Special Needs Dentistry, Division of Dental Education, School of Dentistry, Showa University, Tokyo, Japan 1 【目的】障がい者歯科に対する社会的ニーズは歯科口腔保健法 の制定も背景に年々高まっている。本学歯学部のコンピテンシーに も障がい者に対する対応が規定されており、 当科の臨床実習の必 要性も高まっていると考えられ、 H25年度は「障がい者やその家族 に配慮した診療時の介助」の習得向上を主眼として実習時間を9 時間延長させ21時間とした。実習時間の延長や内容の増加により 学生の反応にどのような違いがあるかH25、 24年度のアンケート結 果を比較検討した。 【 対象と方法】本学5年生の臨床実習は3日間 の実習(1グループ3名)と半日間の症例検討会(4グループ12名)で 構成される。1日目に基本講習と抑制体験下の口腔清掃実習、 2、 3 日目は診療補助実習、 4日目は症例検討会をおこなった。研究対象 は実習に参加し同意を得た70名と91名(H24、25年度) である。 ア ンケートは多肢選択式でシラバスの学習目標達成度を中心とした 10項目に、 「とてもそう思う」∼「まったくそう思わない」 までの5段階 で回答をもとめた。 【結果と考察】 アンケートは対象全学生が提出し た。実習への理解や学習目標到達についてH25年度は90%以上 が理解できたと回答した。障がい者の行動調整や治療計画立案 ができたとの回答はH24年度が67%なのに対し、25年度では84% であった。障がい者の歯科診療に対する知識の習得は24年度で 60%であったが25年度で85%と大幅に上昇し、 本学のコンピテンシ ーがほぼ到達できたと考えられた。一方、24年度、25年度ともに殆 どの回答者が「今後、 障がい者の歯科診療に関してさらに学ぶ必 要があると思う」 としており、 本実習が障がい者歯科診療に対する 意識付けに貴重な機会だと考えられた。 さらに実践的な歯科的対 応の習得が可能になるよう今後実習内容の改変等を検討してい きたい。 【 結論】平成25年度障がい者歯科臨床実習の実習時間 延長は、学生に学習目標に挙げた知識を習得するために効果的 であった。 P-064 5年生の病理組織診断臨床実習についてのプレおよびポストアンケート調査 ○岡田 康男1、柬理 頼亮1、山口 晃2、関本 恒夫1 2 日本歯科大学 新潟生命歯学部、 日本歯科大学 新潟病院 1 Pre- and post-questionnaire survey on effectiveness of histopathological practice for the fifth-grade clinical students ○Yasuo OKADA1, Yoriaki KANRI1, Akira YAMAGUCHI2, Tsuneo SEKIMOTO1 The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, Niigata, Japan, 2The Nippon Dental University Niigata Hospital, Niigata, Japan 1 【目的】5年生臨床実習において病理組織診断実習を平成23年度 から行っている。実習は組織の切り出し、4症例のプレパラート観察 による病理組織学的診断・所見の記載、 口頭試問からなる。昨年の 調査結果をもとにテーブルを大きめの物に変え、典型例のプレパラ ートを厳選し実習に供するように改善した。今回はその評価、昨年 度との比較および今後の更なる改善を目的として調査を行った。 【方法】対象は平成25年度5年生87名。調査は実習前後に自己記 述式無記名で行った。 プレアンケートでは22項目、 ポストアンケートで は28項目で、 「強くそう思う (5)」 「そう思う (4)」 「どちらともいえない ( 3)」 「そう思わない (2)」 「全くそう思わない (1)」の5段階とした。 【結果と考察】4段階以上の肯定的、好意的回答は、 プレでは「多く の疾患について学習したい」が81.6%で昨年より8%増え、 「3年の 実習書、実習時配布プリントを見直したい」が73.6%で昨年同様高 かった。 「疾患の病理組織学的特徴を理解している」が8.1%、 「病 122 理組織所見を記載できる」 と 「プレパラートを観察した時に疾患名 が言える」は12.6%で低かったが、 ポストでは「プレパラートを観察し 特徴的所見をとらえられた」58.6%、 「病理組織所見を記載できた」 59.8%、 「プレパラートを観察した時に疾患名を挙げられた」51.7% で昨年より8.3%以上高かった。 また、 プレで「病理の実習はどちらか と言えば得意だ」が11.5%や「病理の実習はどちらかと言えば苦手 だ」が41.4%で苦手意識を認めたが、昨年より改善され、 ポストでは 「積極的にこの実習に取り組めた」、 「期待していた内容を学習でき た」が82.8%、 「総合的に判断してこの実習に満足した」が89.7%で 昨年より12%以上高く、5年生が臨床実習に積極的に取り組んだこ とが考えられた。 会員外協力者:大窪泰弘、 大野淳也、 森出美智子、 長谷川仁 P-065 クラウンブリッジ補綴学のグループワーク実習に対するアンケート評価 ○加藤 智也、野露 浩正、猪野 照夫、岩瀬 直樹、藤澤 政紀 明海大学歯学部 機能保存回復学講座 歯科補綴学分野 Evaluation of the questionnaires for objective assessment to Crown-Bridge clinical training work group study ○Tomoya KATO, Hiromasa NORO, Teruo INO, Naoki IWASE, Masanori FUJISAWA Division of Fixed Prosthodontics, Department of Restorative & Biomaterials Sciencns, Meikai University School of Dentistry, Saitama, Japan 年生のうち85名を対象として無記名のアンケート調査を実施した。 明海大学では5年時に、 クラウンブリッジ補綴学における臨床実習 アンケートでは、グループワークの6課 題について、0∼1 0の (9月∼翌年3月) の一環としてグループワークによる課題を実施して Numeric Rating Scaleにて評価する5項目の設問を設定した。 ま いる。 グループワークの課題はCAD操作、歯冠色の測色、歯面研 た6つの課題を 「教員主導の課題」 と 「学生主導の課題」に分け、 磨、 印象採得、 咬合器の調節、 治療計画である。 設問ごとに解析した。 そのうちCAD操作、 歯冠色の測色、 咬合器の調節については、 指 と 「学生主導の課題」 を比較した結果、 「主体 導医が学生に講義、 デモを行い、指導のもとに学生が実習を行う 「教員主導の課題」 と 「事前に予習を行うことができたか」の 形態であり 「教員主導の課題」 といえる。歯面研磨、印象採得は、 的に行うことができたか」 設問において、 「学生主導の課題」が「教員主導の課題」に比べ 指導医の指導後に学生間で相互に実習を行い、 治療計画は指導 有意に高い値を示した (p<0.01 Mann-Whitney’ s U-test) 医がテーマ症例を与え学生がグループ間で治療計画を立案し発 今後この調査結果をもとに、学習意欲向上に寄与するデータとし 表するといった「学生主導の課題」 となっている。 今回、 臨床実習内のグループワークにおいて、 平成25年度の本学5 て臨床実習に反映させたいと考える。 P-066 大阪歯科大学における学生短期海外研修の概要 ○方 一如、山本 一世、岡崎 定司、藤原 眞一、松本 尚之、有田 憲司、藤田 淳一、益野 一哉、清水谷 公成、田中 昭男、 諏訪 文彦、川添 堯彬 大阪歯科大学 歯科東洋医学室 Summary of Short Term Student Exchange at Osaka Dental University ○Yi-ru FANG, Kazuyo YAMAMOTO, Jyoji OKAZAKI, Shinichi FUJIWARA, Naoyuki MATSUMOTO, Kenji ARITA, Junichi FUJITA, Kazuya MASUNO, Kimishige SHIMIZUTANI, Akio TANAKA, Fumihiko SUWA, Takayoshi KAWAZOE Osaka dental University 【目的】大阪歯科大学は創立100周年の2011年までに世界各国14 いる。 【 結果と考察】平成8年から平成25年までの本学学生派遣 大学と学術交流協定を調印し、 うち6校(シドニー大学歯学部、 コ 総数は170名、 海外学生受入総数は68名であった。派遣学生のレ ロンビア大学歯学部、上海交通大学、北京大学、南方医科大学、 ポートでもっとも多くみられた意見は、海外の学生たちの将来意識 台北医学大学口腔医学院) と双方で学生短期海外研修を実施し の高さや、充実した臨床実習に直に触れることで、学業に対する ている。 その目的は海外の歯学教育に触れ、異文化理解を深め、 取り組み方や自身の将来の歯科医師像について、 さらに具体的に さらに将来、臨床・研究・教育に携わる上で、海外を視野に入れた 考えるきっかけになったというものであった。実際に海外の大学を 今後の展望を考慮する一助とすることである。今回、 研修に参加し 訪問して臨床見学や特別講義を受講し、 世界の歯科事情に触れ た学生のレポートをもとに海外研修をどのように感じでいるか調査 ることで、 学生はグローバルな目を持つ第一歩を踏み出すことがで を行った。 【 方法】本学における派遣学生の選考方法は、一次審 きるようである。 また海外からの学生は訪問見学の機会を通じて、 査が学業成績、二次審査が英語力である (面接)、対象学年は2 日本の高度な歯科医療、研究および教育に様々な角度から触れ、 ∼5年生で、一方海外からの受入学生は3∼5年生である。本学 さらに日本の伝統的文化を見学・体験できたことに満足していた。 の派遣学生に対しては研修後に報告会を開催し、 引率教員と派 今後はこれらのレポートをもとに、海外研修における課題の発見と 遣学生にはレポートを提出させている。 また海外からの受入学生に 解決に努めつつ、 さらに充実した研修内容を構築してゆきたいと は研修終了時に修了証を発行し、帰国後にレポート提出を求めて 考えている。 123 P-067 日本歯科大学第4学年合同ワークショップ−富士見・浜浦フェスタの成果− ○小林 さくら子、沼部 幸博、藤井 一維、宮坂 平、菊池 憲一郎、波多野 泰夫、南雲 保、小川 智久、山城 三喜子、 小松崎 明、長田 敬五、佐藤 利英、二宮 一智、関本 恒夫、羽村 章、中原 泉 日本歯科大学 The Nippon Dental University Forth Grade Special Work Shop - The Fruit of the Fujimi and Hamaura Festa - ○Sakurako KOBAYASHI, Yukihiro NUMABE, Kazuyuki FUJII, Taira MIYASAKA, Kenichiro KIKUCHI, Yasuo HATANO, Tamotsu NAGUMO, Tomohisa OGAWA, Mikiko YAMASHIRO, Akira KOMATSUZAKI, Keigo OSADA, Toshihide SATOU, Kazunori NINOMIYA, Tsuneo SEKIMOTO, Akira HAMURA, Sen NAKAHARA The Nippon Dental University 【緒言】本学では学生ワークショップ(Work Shop;以下WSと略す) 考える」 をテーマにグループ討議・発表を行った。 【 結果】年度毎に を実施し、 各学年に必要とされるモチベーションの向上に役立てて 集計した結果、 多くのグループで「伝統がある」 「卒業生が多い」 こ いる。第4学年は、 6年間の教育課程の約半分を修了し、 さらなる とが両学部の「良いところ、共通点」 として挙げられた。 また、 「望ま モチベーションの継続と向上が必要とされることから、本学の特色 れる歯科医師像」では「技術・知識の両方を習得していること」 と も活かして生命歯学部、新潟生命歯学部合同でWSを行ってい 「高いコミュニケーション能力を習得していること」が挙げられ、 プロ る。両学部の学生間で抽出された意見や提案は残り3年間の学 フェッショナリズムを強く意識していることが明らかになった。 【考察・ 生生活の指標となり得ること、 また学生相互の理解が深まることか 結論】両学部の共通テーマを提示し討論することで、 到達目標、 日 ら、本WSの有用性が認められたので報告する。 【 方法】平成24、 常の学習意欲および仲間意識の向上へと導いている。 その結果、 25年度4月に第4学年に対し「望まれる歯科医師像とは―日本歯 本WSはモチベーションの維持・向上など行動変容に大きな効果を 科大学の特色をいかして―」 をテーマとした2日間のWSを行った。 もたらすこととなり、 その有用性が示唆された。 また、学生WSは積 1グループの人数は8∼10名とし、 20グループに分別した。 はじめの 極的に討論に参加することが求められる形式であり、 自己表現能 セッションでは「東京校、新潟校の良いところ、共通点を考える」 を 力やコミュニケーション能力の研鑽を高める契機となることから、 今 テーマに互いの強みを模索しながら両学部の親睦を深め、次の 後も継続して実施していく予定である。 セッションでは各自で将来像を思い描き、 「望まれる歯科医師像を P-068 「チーム医療入門」後の歯学科学生の多職種連携に対する意識の質的分析 ○鶴田 潤1,2、山口 久美子1,2、高田 和生1,2 1 2 東京医科歯科大学 医歯学融合教育支援センター、 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 先駆的医療人材育成分野 Qualitative Study for Dental Students' perspective on IPW after a program "Introduction for Team Approach to Health Care" ○Jun TSURUTA1,2, Kumiko YAMAGUCHI1,2, Kazuki TAKADA11,2 Center for Interprofessional Education, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan, 2Department of Professional Development in Health Sciences, Graduate School of Medical and Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan 1 【目的】近年、我が国の超高齢社会における社会的ニーズの一つ として、医療における多職種連携が求められている。東京医科歯 科大学では、 医歯学融合教育の実施を踏まえ、 医学部医学科、 保 健衛生学科看護学専攻・検査技術学専攻、歯学部歯学科、 口腔 保健学科口腔保健衛生学専攻の最終学年を対象に、症例を用 い恊働学習を行う 「チーム医療入門」 を2012年度、 2013年度に実 施した。本研究の目的は、 2013年度「チーム医療入門」に参加した 歯学科学生の受講後の意識を調査・分析し、 コース改善に利用す ることである。 【方法】2013年度チーム医療入門に参加した全学生 対象実施のポストアンケートの自由記載部分(全人的医療のため 各職種(医師・看護師・検査技師・歯科医師・歯科衛生士)が果たす べき役割と連携について) で得られた歯学科学生64名のコメント に対し、 Steps for Coding and Theorization (SCAT)を一部改 変した方法を用い、質的分析を行った。 【 結果】記載内容の分析 124 から、 「チーム医療入門」受講により、 「各職種の視点・知識・アプロ ーチ法の違い」、 「各職種の役割」、 や「専門領域の限界」、 「各職 種間の連携の重要性」の理解により、 医療における多職種連携の 必要性が、 学生に認識されたと考えた。 また、 「専門的知識の相互 補完の重要性」、 「情報共有のためのコミュニケーションの重要性 」、 「相互理解・尊重の重要性」の理解により、 良好な多職種連携を 推進するための要因が、学生により認識されたと考えた。 【 考察】 チーム医療入門の到達目標として、 1)医療現場で働く様々な職種 の仕事内容・技術能力・視点を理解する。 2)医療現場で働く様々 な職種のメンバーを尊重する姿勢を有する。 (他2つ)が掲げられ ている。本結果より、 「チーム医療入門」の実施により、 歯学科学生 は、 到達目標に関する基本的な姿勢を体得し、 卒後の実現場にお ける多職種連携活動への一歩を踏み出すきっかけを得たと考えら れる。 P-069 歯学部学生の生活および学習習慣と学業成績との関連性 ○住友 伸一郎1、2、倉知 正和1、磯崎 篤則3、永原 國央4、吉田 隆一5、飯沼 光生6 2 3 朝日大学歯科医学教育推進センター、 朝日大学歯学部口腔病態医療学講座口腔外科学分野、 朝日大学歯学部口腔感染医療学講座社会口 4 5 6 腔保健学分野、 朝日大学歯学部口腔病態医療学講座インプラント学分野、 朝日大学歯学部口腔機能修復学講座歯科保存学分野、 朝日大学 歯学部口腔構造機能発育学講座小児歯科学分野 1 Association with the living study habit and the academic achievement of the dental student ○Shinichiro SUMITOMO1,2, Masakazu KURACHI1, Atsunori ISOZAKI3, Kuniteru NAGAHARA4, Takakazu YOSHIDA5, Mitsuo IINUMA6 Dental Education Promotion Center, Asahi University School of Dentistry, 2Departmento of Oral and Maxillofacial Surgery, Division of Oral Pathogenesis and Disease Control, Asahi University School of Dentistry, 3Department of Community Oral Hearth, Division of Oral Infections and Hearth Science, Asahi University School of Dentistry, 4Department of Oral Implantology, Division of Oral Pathogenesis and Disease Control, Asahi University School of Dentistry, 5Department of Endodontics, Division of Functional Science and Rehabilitation, Asahi University School of Dentistry, 6Department of Pediatric Dentistry, Division of Oral Structure, Function and Development, Asahi University School of Dentistry 1 学業成績は学生個々の生活習慣や学習習慣(質、 量) に依存する と考えられ、 学生の日常の生活習慣や学習時間を把握することは 重要である。本研究は、 アンケート調査によって得た個々の学生の 生活および学習習慣(特に時間) と学業成績との関連性を検討し た。本学2013年度4学年124名を対象に、 授業時間中にe-ラーニン グシステムを用いたアンケート調査を実施した。 アンケート内容は、 生活習慣では日常における起床・就寝時間、 朝食の有無、 趣味・娯 楽、 ソーシャルネットワークサービス (SNS) に費やす時間を、 学習習 慣では、 授業以外の学習時間を回答させた。学業成績は定期試 験の得点率とした。生活習慣のアンケート結果から、 起床時間は8 ∼8時30分が最多の44名(36.1%) で、 8時を境にその前後で、 ほぼ 半数ずつであった。朝食は、 「毎日食べる」 と 「食べることが多い」 を合計すると、 48.3%を占めた。就寝時間は深夜0∼2時が67.2%で あった。TV視聴時間は、 「1時間以内」が36.1%で、 「3時間以上」 の者も10.7%存在した。 ゲームは「行っていない」が25.4%で、 「1時 間以内」が38.6%であった。SNSの参加者は82.1%で、 1日のアクセ ス時間は「30分以内」が46.3%と最多で、 発信数は「なし」が最多 の29.3%であった。学習時間では、 「1∼2時間」が最多の27.9%で あったが、 「全くしていない」者も11.5%存在した。定期試験におけ る得点率は平均66.9、 標準偏差10.5であった。生活習慣と定期試 験結果との関連を分析した結果、 有意な相関がみられたのは、 起 床時間、 朝食の有無そして学習時間の3項目であった。起床時間 では、 「8時前」 と回答した者は「8時以降」に比較して、 また朝食を 「毎日食べる」 と回答した者は「食べない」者に比較して、 いずれも 成績が良いことが示された。一方、 学習時間を 「3時間以上」 と回 答した者の得点率が低いという意外な結果も認められた。 P-070 連携機能を活用した歯学教育高度化プログラム ∼平成25年度の取組み実績∼ ○石田 陽子1、佐々木 啓一2、菅井 基行3、前田 健康1 2 3 新潟大学 大学院 医歯学総合研究科、 東北大学 大学院 歯学研究科、 広島大学 大学院 医歯薬保健学研究院 1 Achievements of dental education advancement program by linkage of Niigata, Tohoku and Hiroshima Universities in 2013 ○Yoko ISHIDA-OKUMURA1, Keiichi SASAKI2, Motoyuki SUGAI3, Takeyasu MAEDA1 1 Niigata University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Niigata, Japan, 2Tohoku University Graduate School of Dentistry, Miyagi, Japan, 3Hiroshima University Graduate School of Biomedical and Health Sciences, Hiroshima, Japan 新潟大、東北大、広島大の各歯学部は、 「連携機能を活用とした 歯学教育高度化プログラム」 (平成24年度文部科学省事業 大学 間連携共同教育推進事業) を推進している。本共同教育事業は3 大学歯学部の特色ある教育資源を提供し合い、特色ある歯学教 育の補完により歯学部教育の高度化を目指すことを目的としてい る。平成25年度は各大学の特色ある講義の提供による共同教育 パイロット講義の実施、事業実施のための共通認識の情勢を目指 した共同FDの開催、 卒業時の臨床能力担保を目指した客観的技 能評価方法の開発を行ったのでその取組状況並びに成果につい て報告する。共同講義事業では「先端歯科医療概論」 として、超 高齢者社会における歯科医の役割、 嚥下機能のメカニズムとその 障害(以上、新潟大提供)、 イノベイティブ・ディバイス開発への道、 大規模災害と個人識別(以上、 東北大提供) 、 デジタルデンティスト リーとバイオデンティストリー教育、 Effects of globalization on education in dentistry(以上、 広島大提供) を開講した。講義実 施後、学生アンケート行ったところ、 「有意義」、 「刺激になる」、 「視 野が広がる」など、肯定的な意見が多数寄せられた。共同FD事 業では学習成果の評価方法をテーマとしてFD講演会を開催し、 教育評価に関する最近の動向に関する教員能力開発を行った。 客観的技能能力の評価方法の開発では、 ルーブリックを活用した 技能評価シートを作成し、一口腔の治療を目指した総合模型を用 いたトライアル技能試験を3大学で実施した (被験者78名)。本技 能試験の学生アンケートでは臨床技能評価が可能であるとの評 価を得た。 また、国際化教育を図るため、3大学共同申請による留 学生交流支援制度(JASSO)に応募し、平成26年度短期派遣事 業として採択された。 125 P-071 Comprehensive Care の理念に基づいた歯科臨床教育改革∼学生視点からの新教育システムの現状∼ ○水川 卓磨1、佐々木 大輔1、大川 義人1、小林 琢也1、田邉 憲昌1、金村 清孝1、浅野 明子1、玉田 泰嗣1、岡田 伸男1、 野村 太郎1、高橋 徳明1、伊藤 茂樹1、佐藤 和朗1、永井 成美2、三浦 廣行1 1 2 岩手医科大学 歯学部、 ハーバード大学歯学部 Dental clinical education based on the concept of Comprehensive Care ~Undergraduate progurams by Case Presentation ○Takuma MIZUKAWA1, Daisuke SASAKI1, Yoshito OKAWA1, Takuya KOBAYASHI1, Norimasa TANABE1, Kiyotaka KANEMURA1, Akiko ASANO1, Yasushi TAMADA1, Nobuo OKADA1, Taro NOMURA1, Noriaki TAKAHASHI1, Shigeki ITO1, Kazuro SATOH1, Shigemi NAGAI2, Hiroyuki MIURA1 1 School of dentistry, Iwate Medical University, Iwate, Japan, 2Harvard School of Medicine, Boston, America 岩手医科大学歯学部ではH23年度より米国ハーバード大学歯学 部および医学部で実施されている教育システムのConceptである Multidisciplinary Comprehensive Careを基に、 本学に合わせ た新しい教育システムを導入した。本学の臨床実習では、診療参 加型臨床実習で学生が包括診療を行うためのComprehensive Care Clinic(CCC) を開設した。 また学生が包括的診療を円滑に 実施するための知識、技能を修得できるよう、教育システムにおい ても改善を行った。 3学年から4学年を通して行われる臨床教育で は、 歯科臨床の流れに沿った講義や実習になるように、 科目の垣根 を取り払ったコース制のカリキュラムへと変更した。 さらに臨床教育 開始と同時に学生1人ずつに模擬患者を配当し、授業を通して一 口腔単位での治療計画を立案させることにより問題解決能力を養 成している。 4学年修了時には学会発表形式で模擬患者での Case Presentationを行い、 5学年で始まる診療参加型臨床実習 の 基 盤 を 作 って い る 。5学 年 で は 担 当 患 者 で の C a s e Presentationを行っている。 このような臨床カリキュラム変更を行っ たが、 新教育システムの現状および今後の課題と問題点を抽出す ることを目的として学生に対するアンケートを行っている。教育シス テムの改革から3年が経過した現在のアンケートの結果、 「自ら課 題を見つけて勉強出来た」 「歯科医師になるモチベーションが上 がった」等の項目評価が高く、長期的には生涯教育を必要とする 歯科医師の養成に貢献出来る教育システムであることが示唆され た。一方、 臨床教育では、 「過密なカリキュラム」、 診療参加型臨床 実習では、 「配当患者により症例の難易度に差があり過ぎる」等の 問題点も抽出することができたことより、現状と今後の課題につい て報告する。 P-072 文部科学省大学間連携共同教育推進事業による大学間連携教育の試み ○唐木 純一1、花谷 智哉2、角舘 直樹1、中原 孝洋3、福泉 隆喜3、西原 達次4 1 2 3 4 九州歯科大学 北九州地区大学連携教育研究センター、 歯周病学分野、 総合教育学分野、 感染分子生物学分野 An inter-university collaborative education between medicine, dentistry and technology ○Junichi KARAKI1, Tomoya HANATANI2, Naoki KAKUDATE1, Takahiro NAKAHARA3, Takaki FUKUIZUMI3, Tatsuji NISHIHARA4 1 Educatrion Cooperation Center, Kyushu Dental University, Kitakyushu, Japan, 2Periodontology, 3General Education, 4Infection and Molecular Biology 九州歯科大学においては健康増進の視点から高齢労働者を支 援する人材を育成する目的で、平成24年9月より文部科学省大学 間連携共同教育推進事業「地域連携による 『ものづくり』継承支援 福祉、 工学・技 人材育成協働プロジェクト」 を実施している。医療、 術分野の各専門有資格者等の学習背景の補完・拡充のために、 北九州地区大学連携教育研究センターを設置し、 連携大学間 (北九州市立大学、九州工業大学、九州歯科大学、産業医科大学) のみならず、 ステークホルダー (福岡県、北九州市、北九州商工会 議所) との連携・共同教育体制を構築して、地域のニーズに適合 した学際的職業人を養成している。本プロジェクトでは平成26年 度の4大学間の単位互換の開始に先駆け、平成25年度に4大学 間連携特別講演会を開催した。4大学の教員が持ち回りで講演を 担当し、1講演90分、全10回のスケジュールで4大学において開催 126 した。対象は主に大学院生及び学部学生とし、 その教育評価とし て受講者に対して5段階評価による9項目からなる受講者満足度 調査を実施した。全10回の特別講演会における延べ参加人数は 379名で、 そのうち学生の参加人数が延べ238名、教員の参加人 数が延べ99名であった。 アンケートによる満足度調査の結果では、 9項目全てにおいて概ね4前後の良好な評価であった。特に、 「今 回のように、専門領域外の先生の講義を受講することは役に立つ と思いますか」 という項目で4.15±0.75、 「他大学との連携による講 義は領域を超えた理解または相互作用に結びつくと思いますか」 という項目で4.17±0.73と、高い満足度が得られた。 このように、学生 を対象として学際的な講義を行うことによって、専門領域の垣根を 超えた相互理解につながり、視野を広げることができる可能性が 示唆された。 P-073 歯科衛生士国家試験に向けた学習における携帯端末を用いたeラーニングシステムの活用と評価 ○大塚 紘未1、近藤 圭子2、須永 昌代3、遠藤 圭子1、小城 賢一4、品田 佳世子1、木下 淳博3 1 2 3 東京医科歯科大学大学院 口腔疾患予防学分野、 東京医科歯科大学大学院 生涯口腔保健衛生学分野、 東京医科歯科大学 図書館情報 4 メディア機構 教育メディア開発部、 株式会社デンタルアロー Evaluation of e-learning system by using cellular phone in studying for the National Board Examination of Dental Hygienists ○Hiromi OTSUKA1, Keiko KONDO2, Masayo SUNAGA3, Keiko ENDO1, Kenichi KOSHIRO4, Kayoko SHINADA1, Atsuhiro KINOSHITA3 1 Section of Preventive Oral Health Care Sciences, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan , 2Section of Lifetime Oral Health Care Sciences, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan, 3Department of Educational Media Development, Institute for Library and Media Information Technology, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan, 4 Dental Arrow Inc. Hokkaido, Japan 【目的】 近年、ICTを活用した教育が発展し、今後も益々の進展 が予想される。学生の国家試験対策は従来冊子型問題集の利 用が中心となっていたが、手軽さや利便性からは最適な方法とは 言えない。本研究の目的は、普及率の高い携帯端末を用いた教 材を歯科衛生士国家試験へ向けた学習に活用し、学生からの評 価を検討することである。 【方法】 口腔保健学科4年生(H24年 度26名、H25年度26名) を対象に、携帯端末を用いた国家試験対 策用eラーニング教材(国試対策net;デンタルアロー製:以下「本 教材」) を自由に利用させた。研究に同意した学生に対して、本教 材利用前、国家試験終了後(合否発表前) に質問票調査を実施 し、本教材について評価した。 【結果と考察】 利用前26名、26名 (H24、H25の順(以下同様))、利用後24名、25名の学生より回答 を得た。本教材を利用した者は19名(79%)、14名(56%)、総利用 時間は6分∼3,099分(中央値655分)、1回の平均利用時間は20.7 分であった。本教材を利用した学生からは、国家試験受験対策と して有効(100%、100%)、 いつでも手軽に利用できる (94%、100%) 、パソコンでの利用よりも良い (88%、79%)、早期から受験対策に 取りかかれる (78%、86%) との回答が得られた。利用場所に関す る回答(複数回答可) では、 バスや電車内での利用(16名、13名) が最も多かった。 これらより、本教材は学習に取りかかりやすく、移 動中の短時間に手軽に学習するという新しい学習方法として有効 であることが示唆された。 しかし、 「冊子よりもよい」 と回答した学生 が44%、57%であったことから、現段階では冊子による過去問題集 に取って換わるものとは言えないが、学習方法の選択肢が増えた と考えられる。 (国試対策netは、共同演者である小城賢一が代表 を務める会社から無償提供された。) P-074 歯科衛生士養成教育における学生の就学実態からみた学生支援に関する検討 −就学状況と学生支援の現状− ○吉田 隆1、有泉 祐吾2、日下 和代3、田中 宣子4、鈴木 幸江5、土田 智子6、本間 和代7、久本 たき子8、畠中 能子9、 中村 真理子10、和食 沙紀11、升井 一朗12、市川 順子13、高阪 利美14、野村 慶雄15、石川 隆義8 1 埼玉県立大学 保健医療福祉学部 健康開発学科 口腔保健科学専攻、2静岡県立大学短期大学部 歯科衛生学科、3千葉県立保健医療大学 健康科学部 歯科衛生学科、4鶴見大学短期大学部 歯科衛生科、5神奈川歯科大学短期大学部 歯科衛生学科、6日本歯科大学新潟短期大学 歯科衛生学科、7明倫短期大学 歯科衛生士学科、8大垣女子短期大学 歯科衛生科、9関西女子短期大学 歯科衛生学科、10元 吉備国際大学短 期大学部 保健科 デンタルビューティー専攻、11高知学園短期大学 医療衛生学科 歯科衛生専攻、12福岡医療短期大学 歯科衛生学科、13日 本歯科大学東京短期大学 歯科衛生学科、14愛知学院大学短期大学部 歯科衛生学科、15神戸常盤大学短期大学部 口腔保健学科 Student Support and Enrollment Conditions: An investigation into Dental Hygienist Training Programs ○Takashi YOSHIDA1, Yugo ARIIZUMI2, Kazuyo KUSAKA3, Nobuko TANAKA4, Yukie SUZUKI5, Tomoko TSUCHIDA6, Kazuyo HONMA7, Takiko HISAMOTO8, Yoshiko HATANAKA9, Mariko NAKAMURA10, Saki WAJIKI11, Ichiro MASUI12, Junko ICHIKAWA13, Toshimi KOUSAKA14, Yoshio NOMURA15, Takayoshi ISHIKAWA8 1 Division of Oral Health Sciences, Department of Health Sciences, Saitama Prefectural University School of Health and Social Services, Saitama, Japan, 2Department of Dental Hygiene, University of Shizuoka, Junior College, Shizuoka, Japan, 3Department of Dental Hygiene, Faculty of Health Sciences, Chiba Prefectural University Of Health Sciences, Chiba, Japan, 4Department of Dental Hygiene, Tsurumi Junior College, Kanagawa, Japan, 5Department of Dental Hygine, Kanagawa Dental University Junior College, Kanagawa, Japan, 6Department of Dental Hygine, The Nippon Dental University College at Niigata, Niigata, Japan, 7Department of Dental Hygiene and Welfare, Meirin College, Niigata, Japan, 8Department of Dental Hygiene, Ogaki Women's College, Gifu, Japan, 9Department of Dental Hygiene, Kansai Women's College, Osaka, Japan, 10Kibi International University Junior College, Okayama, Japan, 11Department of Health Sciences,Kochi Gakuen College, Kochi, Japan, 12Department of Dental Hygiene, Fukuoka College of Health Sciences, Fukuoka, Japan, 13Department of Dental Hygine, The Nippon Dental University College at Tokyo, Tokyo, Japan, 14 Department of Dental Hygiene, Aichi-Gakuin Junior College, Aichi, Japan, 15Depertment of Oral Health, Kobe Tokiwa Junior College, Hyogo, Japan 【目 的】我が国は少子化とともに、大学全入時代を迎えた。 しかしその一 方で、入学後の休・退学生も多いといわれている。医療職養成教育でも同 様な傾向がみられるが、歯科衛生士養成教育においてはその根拠となる 全国的調査や対応・対策の検討は行なわれていない。そこで本研究で は、大学課程歯科衛生士養成機関の学生就学実態からみた学生支援 に関する検討を企図した。特に今回は、休・退学の現状とその支援状況 について調査を実施した。 【方 法】全国大学歯科衛生士教育協議会に加盟している短期大学13校 と大学2校の計15校に対し、 アンケート調査を行った。 アンケート内容は、各 校の履修制度等の基礎データと、平成21∼24年度の学生の休学、退学 者数とその理由、各校が実施している就学支援対策等についてである。 【結果および考察】年度当初学生数に対する休学者数の各校平均比率* は、調査年度や学年で大きな差違は認めなかった。休学の理由も、成績 不良による単位不足によるものが多かった。一方退学者数の各校平均比 この比率は学年の進行とともに減 率*は、第1学年での退学割合が高く、 少する傾向にあった。 また退学の理由は、進路変更によるものが多数を占 めていた。 これら休・退学生への対応・対策として、各校全てで学生・保 護者への情報提供といった対応がとられており、ついでメンタル面に対す る保健センター等の活用や成績不振者、授業多欠席者に対する個別学 習相談などといった措置が行われていた。なお今回4年制大学2校が調 査対象に含められていたが、学生数も少数であり、他の養成機関と同一 条件下で比較できない部分があった。今後4年制大学の調査数を増や し、検討を加える必要がある。 * 各校平均比率:各校の休・退学者比率を年度・学年ごとに平均した値 127 P-075 歯学教育におけるメディカルアロマセラピー−精油の経鼻吸収に関する実習− ○筒井 紀子1、宮崎 晶子1、三富 純子1、佐藤 治美1、土田 智子1、原田 志保1、菊地 ひとみ1、煤賀 美緒1、中村 直樹1、 浅沼 直樹1、小菅 直樹1、前田 信吾2 1 2 日本歯科大学 新潟短期大学 歯科衛生学科、 神奈川歯科大学 大学院 口腔科学講座 Medical aromatherapy in dental education-Training about the nose absorption of essential oils○Noriko TSUTSUI1, Akiko MIYAZAKI1, Junko MITOMI1, Harumi SATO1, Tomoko TSUCHIDA1, Shiho HARADA1, Hitomi KIKUCHI1, Mio SUSUGA1, Naoki NAKAMURA1, Naoki ASANUMA1, Naoki KOSUGE1, Shingo MAEDA2 1 The Nippon Dental University College at Niigata, Department of Dental Hygiene, 2Department of Oral Science, Kanagawa Dental University, Graduate school of Dentistry 【目的】現在、 アロマセラピーは補完・代替医療の1つとして位置付け られている。芳香療法は、鼻から吸い込まれた精油の香り成分が嗅 神経を介し、本能、情動を司る大脳辺縁系や自律神経、 ホルモンを 調整する視床下部に伝わり、本態性の精神的疾患等に有用である と言われている。 歯科医療において患者と対面した時、言葉や目の動き等の表情の 変化から心理的内面をとらえ、 口腔内観察、 バイタルサインの確認等 においてヒトの五感の内「診る・聴く ・嗅ぐ・触れる」 を活用して診察す る。診察にあたる医療者の五感は重要であり、 それを活かすには心 身共に健康でなければならない。 アロマセラピーは、医療スタッフ自身 のストレスコーピング及び芳香療法により患者と医療スタッフ共に「心 にゆとりができる環境づくり」 としての利用方法が期待できる。 今回はメディカルアロマセラピーの社会的認知向上の為、精油の経 鼻吸収の作用機序について解説し、芳香療法の体験実習を紹介す る。 また、実習後の学生の感想文から今後の実習の在り方について も考察する。 【方法】対象は本学平成25年度3年生59名、実習の担当はアロマ・ア ドバイザーの歯科衛生士教員1名。1. アロマセラピーの基礎知識を 講義、2. 芳香療法を体験するルームコロンの作製、3. 実習の感想文 を記載。感想文は内容を判別する為、26項目のカテゴリに分けて分 析した。 【結果】 カテゴリ 「知識」では、実習前はアロマセラピーが医療で活用 できる事を知らない学生が多く、実習後はメディカルアロマセラピーに ついて知識を深める事ができ、 アロマセラピーのイメージが「美容」か ら 「医療」に変わった学生が多かった。 【考察】歯科医療においても患者と医療者の信頼関係を築く事が治 療の基本であり、一人一人の心身を様々な角度から見つめて治療 にあたる必要がある。今後は西洋医学では及ばない領域に補完・代 替医療を加えた「統合医療」の考えを組み込む事が望まれる。 P-076 大阪歯科大学歯科衛生士専門学校と歯科技工士専門学校における禁煙教育 ○前岨 亜優子1、益野 一哉3、頭山 高子1、末瀬 一彦2、王 宝禮3 1 2 3 大阪歯科大学歯科衛生士専門学校、 大阪歯科大学歯科審美学室、 大阪歯科大学歯科医学教育開発室 Education for non-smoking among dental hygiene and technology students at Osaka Dental University ○Ayuko MAESOMA1, Kazuya MASUNO3, Takako TOHYAMA1, Kazuhiko SUESE2, Paoli WANG3 Osaka Dental College School of Dental Hygiene, 2Department of Esthetic Dentistry, 3Department of Innovation in Dental Education, Osaka Dental University 1 【目的】喫煙が歯科疾患に悪影響を及ぼすことは周知の事実であ るが、依然日本国民全体に浸透しているとは言えない。歯科医療 従事者には国民に禁煙の重要性について伝える禁煙教育能力 求められている。 そこで今回、 禁煙教育の効果について大阪歯科 大学歯科衛生士専門学校と歯科技工士専門学校の生徒を通し て検討した。 【 方法】大阪歯科大学歯科衛生士専門学校と歯科 技工士専門学校の1年生を対象に禁煙教育を行った。 その講義 前後に同じアンケート調査を行った。主な質問調査項目は年齢、 性 別、現在の喫煙状況、喫煙経験、禁煙できない理由、家族の喫煙 歴、 喫煙の体への影響、 副流煙の影響、 喫煙が惹起する疾患、 喫 煙が体に及ぼすメカニズム、禁煙方法を知っているかである。 【結 果】 「たばこが引き起こす病気が答えられるか」の質問で答えられ る疾患の数を 「0」、 「1」、 「2」、 「3以上」の4段階のスコアーで集計 した。質問に対するスコアーが禁煙教育講義前は135であったが 128 講義後には171に上がった。 「たばこが引き起こす病気のメカニズ ムを答えられるか」の質問に答えられる内容度によって上記と同じ スコアーで集計した。質問に対するスコアーが禁煙教育講義前は 38であったが講義後には100に上がった。 また禁煙の方法を知っ ている人数は、講義前は50人であったが講義後は57人に増加し た。 【考察】禁煙教育の受講前後で明らかに禁煙に対する知識が 向上した。 まず病気を予防するためには疾病の内容を知る必要が ある。今回の試みから明らかに禁煙教育を通じて禁煙に対する知 識が向上することがわかった。生徒達はいずれ歯科衛生士あるい は歯科技工士として一人でも多くの国民を禁煙から守らなければ ならない。 そのためにまず自分達が禁煙教育を受けて歯科疾患と 喫煙の関係を理解することが、将来国民への良質な禁煙教育に 結び付くと考えられる。 P-077 医科疾患患者に対する周術期から在宅歯科医療までを含めた口腔機能管理に関する歯科衛生士教育の現状 ○平田 創一郎1、尾崎 哲則2、平木 圭佑1、酒寄 孝治1、野々峠 美枝2、眞木 吉信1 1 2 東京歯科大学 社会歯科学研究室、 日本大学 歯学部 医療人間科学分野 The present status of dental hygienist undergraduate education about the preoperative management and home care of oral health and function ○Soichiro HIRATA1, Tetsunori OZAKI2, Keisuke HIRAKI1, Takaharu SAKAYORI1, Miki NONOTOU2, Yoshinobu MAKI1 1 Department of Social Dentistry, Tokyo Dental College, Tokyo, Japan, 2Department of Community Dentistry, Nihon University School of Dentistry, Tokyo, Japan 【目的】医科疾患患者に対する周術期から在宅歯科医療までを含 めた口腔機能管理に関し、医科歯科の連携等について、保険点数 等で既に評価されている。 これらの歯科医療を担う人材として、歯 科衛生士の重要性は増してきていることから、歯科衛生士の養成 課程において、 これらの教育が卒前にどの程度行われているかを 把握することを目的とした。 【対象・方法】平成25年度に歯科衛生士 養成を行っている153校を対象として、 1.医科疾患の手術患者の 周術期における歯科的管理、 2.退院時共同指導(カンファレンス)、 3.在宅歯科医療に関する講義・実習の実施の有無と、実施してい る場合の学年と科目名、実習の内容を自記式アンケートにて調査を 行った。 【結果】129校から回答を得た。有効回答率は84.3% (3年制 83.4%、 4年制100%) であった。実施率は1.周術期に関する講義 40.3% (75.0%:カッコ内は4年制)、実習18.6% (87.5%)、 2.退院時カ ンファに関する講義14.7% (37.5%)、実習5.4% (25.0%)、在宅歯科 医療に関する講義90.7% (100%)、実習62.0% (100%) であった。実 施学年は1.周術期に関する講義科目は2年生、実習科目は2, 3年 生、退院時カンファに関する講義科目は2年生、実習科目は3年生、 3.在宅歯科医療に関する講義科目は2年生、実習は2, 3年生で多 かった。 【考察】在宅歯科医療に関しては、歯科衛生士教育におい て重要視されていることがうかがえた。一方、周術期口腔機能管理 が保険導入されたのが2012年、退院時共同指導は2010年であっ たが、歯科衛生士教育においては先に導入された後者の方が実 施率は低いことが明らかとなった。 また、周術期口腔機能管理に関 しても、いまだ半数に満たない状況であった。 4年制での実施率は いずれも3年制より高いものの同じ傾向であることから、退院時カン ファ教育への取組みの必要性が示唆された。 P-078 レイヤー型画像評価アプリケーションと粘土を使った暫間被覆冠製作実習の教育効果 ○木暮 ミカ 明倫短期大学 Educational effect of the Temporary crown Works Training used Modeling Clay and Layer Type Image Evaluation Application ○Mika KOGURE Department of Dental Hygiene, Meirin College, Niigata, Japan 【目的】 【 方法 】 暫間被覆冠製作は、最終補綴装置であるクラウンやブリッジが装着さ 全顎歯列模型内の下顎右側第一大臼歯について、石粉粘土を用 れるまでの間、顎口腔系の形態および機能保全を目的に、チェアサイ いて暫間被覆冠製作を行った。製作時間は20分とした。従来通りの ドで歯科衛生士により製作されることが多い手技である。本学では歯 手順で製作した作品「sample1」 と、 レイヤー型画像評価アプリケー 科衛生士学科第2学年および3学年の 「歯科診療補助実習」 にて暫 ションを使って歯列の形態的な連続性を考慮して製作した作品 間被覆冠製作実習として履修している。 しかし従来、既製冠法・混和 「sample2」 を、咬合面方向から撮影し、Photoshop(Adobe社) を用 法ともに製作手順の習得が主で、作品の形態および機能的な評価は いて輪郭線を検出した。得られた画像データとマスター模型の画像 殆どされていない。 また、チェアサイドでいかに短時間に正確な歯冠 データを重ね合わせ、B。C。L(Buccal cusp line)、F。L(Fossa line) 、 形態を賦形するかも暫間被覆冠製作実習では評価すべき要素であ 中央窩の位置について、各特徴点での曲率や面積の見本からの数 る。そこで今回、即時重合レジンではなく、可逆性のモデリングクレイ 値の平均のずれの割合を表す量で評価した。 (石粉粘土) と、歯列の連続性を考慮した評価方法を実装したレイ 【 結果および考察 】 ヤー型画像評価アプリケーションを利用した方法を考案し、 その教育 結果をt-検定で分析したところ、Sample1よりもSample2の方が有意 効果を検証したので報告する。 に見本模型の数値に近づいた(p<0。01)。 【 対象 】 今後は即時重合レジンへの応用と、マージンの適合性や適正なカン 2013年4月から本学歯科衛生士学科に入学した1学年の学生20名。 トゥアーの賦形についての評価方法を考案し、検証していく。 129 P-079 本学1年生に実施した「コミュニケーション概論」について第4報 3年間の実施状況とその評価 ○鈴木 恵1、茂原 宏美2、小倉 千幸1、池田 亜紀子1、須田 真理1、関口 洋子1、市川 順子1、野村 正子1、 合場 千佳子1、 池田 利恵1、内川 喜盛3、岡田 智雄3、大津 光寛3、大澤 銀子3、北原 和樹4、佐藤 勉1、小口 春久5 1 2 3 日本歯科大学 東京短期大学 歯科衛生学科、 日本歯科大学 東京短期大学 歯科技工学科、 日本歯科大学附属病院、 4 5 日本歯科大学生命歯学部、 日本歯科大学 東京短期大学 The practice of lecture introduction to communication 4 . The evaluation on implementation status for there years ○Megumi SUZUKI1, Hiromi SHIGEHARA2, Chisachi OGURA1, Akiko IKEDA1, Mari SUDA1, Yoko SEKIGUCHI1, Junko ICHIKAWA1, Masako NOMURA1, Chikako AIBA1, Rie IKADA1, Yoshimori UCHIKAWA3, Tomoo OKADA3, Mitsuhiro OTSU3, Ginko OSAWA3, Kazuki KITAHARA4, Tsutomu SATO1, Haruhisa OGUCHI5 1 The Nippon Dental University College at Tokyo Department of Dental Hygiene, 2The Nippon Dental University College at Tokyo Department of Dental Technician, 3Nippon Dental University Hospital, Tokyo, Japan, 4The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Tokyo, Japan, 5The Nippon Dental University College at Tokyo 【目的】 安全で良質な医療を提供する上で、患者と医療従事者 「グループ討議」について1回80分の授業を計8回実施している。す および医療従事者間の適切なコミュニケーションは極めて重要で べての授業終了後、学生を対象に本授業に関するアンケートを実 ある。 さらに患者に対する医療従事者の態度や患者への配慮は、 施した。 アンケートの内容は、気付き度、興味、意義などであり選択 患者の満足度に大きな影響を与える。 そこで本学では、医療人とし 式と自由記載方式で回答してもらい、 その結果を集計後、 本授業の て必要な基本的コミュニケーション能力を修得する目的で第1学年 効果と問題点について検討した。 【結果・考察】 歯科技工学科の 後学期に「コミュニケーション学」を実施しており、平成25年度で3 アンケート結果では、本授業の意義・興味について「高い」 と回答し 年を経過した。授業方法と内容については、授業終了時に学生を ている学生が年々増加し、87%の学生が今後に活かせると答えて 対象に実施しているアンケート調査の結果などを基に毎年改善し、 いた。歯科衛生学科のアンケート結果では、 「医療人になる上で役 充実を図っている。今回、授業内容の更なる向上を目的として3年 立つもの」 として、 コミュニケーションスキルと答えている学生が経年 間実施したコミュニケーション学を振り返り、 その概要と学生のアン 的に増え、 相手の話しを聴く姿勢・態度が大切だと答え、 患者さんと ケートの分析結果について報告する。 【 方法】 本授業は、第1学 の接し方を学んだようだった。本授業は学生の満足度は上がってき 年後学期に歯科技工学科、歯科衛生学科学生を対象に「ヒュー たが、今後さらなる内容の充実を図って、 より良質な学生教育を行 マンズリレーションズ」、 「接遇・マナー」、 「コミュニケーションスキル」、 っていきたい。 P-080 歯科衛生専門学校を対象とした障害者に関する社会福祉についての意識調査 ○梅澤 幸司1、後藤田 宏也2、水野 貴誠1、野本 たかと1、牧村 英樹3、平塚 浩一4、和田 由紀子5、岡元 明菜5、移川 明美5、 角田 恭子5、竹蓋 道子5、加藤 仁夫5,6、三枝 禎7、河相 安彦8、伊藤 孝訓9、葛西 一貴10、河野 善治5,11、渋谷 鑛12、牧村 正治13 1 日本大学松戸歯学部障害者歯科学講座、2日本大学松戸歯学部公衆予防歯科学講座、3日本大学松戸歯学部再生歯科治療学講座、4日本大学 松戸歯学部生化学・分子生物学講座、5日本大学松戸歯学部附属歯科衛生専門学校、6日本大学松戸歯学部口腔インプラント学講座、7日本大学松 戸歯学部薬理学講座、8日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座、9日本大学松戸歯学部歯科総合診療学講座、10日本大学松戸歯学部歯科矯 正学講座、11日本大学松戸歯学部社会歯科学(歯科医療管理学)講座、12日本大学松戸歯学部歯科麻酔学講座、13日本大学松戸歯学部社会歯科 学(歯科医学教育学)講座 A study of the awareness of dental hygiene students about the social welfare concerning persons with special needs ○Koji UMEZAWA1, Hiroya GOTOUDA 2, Takanari MIZUNO1, Takato NOMOTO1, Hideki MAKIMURA3, Koichi HIRATSUKA4, Yukiko WADA5, Akina OKAMOTO5, Akemi UTSUSHIKAWA5, Kyoko SUMITA5, Michiko TAKEFUTA5, Takao KATO5,6, Tadashi SAIGUSA7, Yasuhiko KAWAI8, Takanori ITO9, Kazutaka KASAI 10, Yoshiharu KOUNO5,11, Koh SHIBUTANI12, Masaharu MAKIMURA13 1 Department of Special Needs Dentistry, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Chiba, Japan, 2Department of Preventive and Public Oral Health, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Chiba, Japan, 3Department of Renascent Dentistry, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Chiba, Japan, 4Department of Biochemistry and Molecular Biology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Chiba, Japan, 5Dental Hygiene School, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Chiba, Japan, 6Department of Oral Implamtology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 7Department of Pharmacology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 8Department of Removable Prosthodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 9Department of Oral Diagnosis, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 10Department of Orthodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 11Department of Social Dentistry (Dental Practice Administration), Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 12Department of Anesthesiology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 13Department of Social Dentistry(Dental Education), Nihon University School of Dentistry at Matsudo 【目的】歯科衛生士の障害者歯科学教育を推進するには、教育の実施、教育 評価、並びに評価に基づくフィードバックが重要であるが、対象とする学生の 特質を把握することによって、効果的あるいは合理的な教育手段を見出すこと ができると考えられている。本研究は、歯科衛生士学生教育のさらなる向上を 目的とし、歯科衛生士学生が障害者に対してどのような意識を持っているのか を把握するために行った。 【方法】平成25年度の本学部附属歯科衛生専門学 校の1年次生、 2年次生および3年次生を対象に無記名で質問票調査を行っ た。調査は平成26年3月に実施し、質問票は内閣府が実施した「障害者に関 する世論調査」を基に一部改変及び追加した質問票を用いた。 【結果および 考察】 「共生社会」に基づく環境づくりについて「賛同+どちらかと言えば賛同」 の回答は1、 2、 3年生の順で76.0%、94.3%、100%であり、高率であった。障害 者に対する理解を深めるための行事や催しへの参加意向について「ぜひ参 130 加したい+機会があれば参加したい」の回答は学年順に54.0%、71.4%、66.7% であった。障害者権利条約の周知度については「条約の内容も含めて知って いる+条約ができたことは聞いたことがある」の回答は学年順に14.0%、 31.4%、50.0%であった。障害者歯科に対する興味について「ある+どちらかと いえばある」の回答は学年順に44.0%、50.0%、50.0%であった。本学部附属歯 科衛生士専門学校の学生の障害者福祉に対しての意識や姿勢は学年を経 るに伴い、高くなり良好な傾向を認めた。 これらは障害者歯科学の受講後の2 年次生での意識や姿勢の向上と3年次生で受講する高齢者歯科学や口腔 機能発達学においてスペシャルニーズのある人に関する歯科教育を実施して いる効果が表れているものと推察された。今後は1年次生において障害者福 祉ならびに地域や社会の問題に着目させる機会を設けることが重要であると 考えられた。 P-081 双方向性コンピュータシミュレーション教材による学習の効果について ○竹廻 祐希1、三浦 佳子1、須永 昌代2、上原 沙友里1、佐川 かおり1、宮 わかな1、鈴木 聖一3、森山 啓司3、木下 淳博2 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 歯科衛生保健部、2東京医科歯科大学 図書館情報メディア機構 教育メディア開発部、 3 東京医科歯科大学大学院 医歯学総合研究科 顎顔面矯正学分野 1 Effects of learning with interactive computer simulation material ○Yuki TAKEMAWARI1, Yoshiko MIURA1, Masayo SUNAGA2, Sayuri UEHARA1, Kaori SAGAWA1, Wakana MIYA1, Shoichi SUZUKI3, Keiji MORIYAMA3, Atsuhiro KINOSHITA2 1 Department of Dental Hygiene, University Hospital of Dentistry Tokyo Medical and Dental University, 2Department of Educational Media Development Tokyo Medical and Dental University, 3Section of Maxillofacial Orthognathics, Graduate School of Medical and Dental Sciences Tokyo Medical and Dental University [目的]矯正歯科勤務の歯科衛生士にとって、口腔筋機能療法 (MFT) の指導に関する知識、技術は重要である。MFTには多く のトレーニングがあり、複雑な動作も含まれるため、短期間に理解 することは難しい。 そこで、患者指導を疑似体験できる双方向性コ ンピュータシミュレーション教材を開発し、開発した双方向性の教 材と、従来型の紙媒体と動画による一方向性の教材の効果を比 較、検討した。 [方法] MFT「” カッ !” スワロー (寝て)」 を説明する動画を作成し、 そ の動画を用いて、双方向性のシミュレーション教材(以下S教材) と、紙媒体を組み合わせた一方向性の動画教材(以下M教材) を 作成した。矯正歯科外来に勤務歴がない東京医科歯科大学歯 学部附属病院歯科衛生士10名を対象に、無作為にS教材学習群 (S群)5名とM教材学習群(M群)5名に分けて学習させ、直後に 小テスト、 アンケートを実施した。教材での学習と小テストは、制限 時間を設けず実施させ、 それぞれ時間を測定した。 [結果] S群とM群の結果を比較したところ、教材学習時間はS群 607秒(中央値) (最小値∼最大値:400∼820秒、以下同様)、M 群118秒(106∼254秒) でS群が有意に長かった (p<0.01)。小テ ストの得点は、S群65点(32∼85点)、M群25点(15∼75点) でS群 が有意に高かった (p<0.05)。小テストの解答時間、 アンケート (学 習内容のイメージのしやすさ・理解のしやすさ・記憶の残りやすさ・ 興味) の回答では有意差は認められなかった。 [考察・結論] 双方向性の教材の方が、時間をかけて学習でき、学 習効果が高いことが示唆された。紙媒体と動画による一方向性の 教材では、一回読んで視聴しただけで理解したつもりになり、短時 間で学習を終了したと思われるが、双方向性の教材では、積極的 に意思決定しながら学習できたため、飽きることなく長い時間学習 でき、記憶に残りやすかったと思われる。 P-082 口腔ケアシミュレータを応用したリカレント教育の試み −学生実習との比較− ○星野 由美1、溝部 潤子2、中道 敦子2、渡辺 朱理1、藤原 奈津美1、尾崎 和美1、日野出 大輔1、伊賀 弘起1、岩城 重次3、 菅 武雄4 1 3 徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 口腔保健学講座、2神戸常盤大学短期大学部口腔保健学科、 株式会社 ニッシン、 4 鶴見大学歯学部高齢者歯科学講座 The trial of the recurrent education using the oral care simulator - Comparison with dental hygienist students training ○Yumi HOSHINO1, Junko MIZOBE2, Atsuko NAKAMICHI2, Akari WATANABE1, Natsumi FUJIWARA1, Kazumi OZAKI1, Daisuke HINODE1, Hiroki IGA1, Shigetsugu IWAKI3, Takeo SUGA4 1 Department of Hygiene and Oral Health Science, Institute of Health Biosciences, The University of Tokushima graduate School, Tokushima, Japan, 2Department of Oral Health, Kobe Tokiwa Junior College, 3Nissin Dental Products Inc., 4Department of Geriatric Dentistry, Tsurumi University School of Dental Medicine, Yokohama, Japan 【目的】 7ヶ月で、 ケアの講習受講歴は、平均4.5±6.6回であり、 シミュレータ 口腔のケアを業務とする歯科衛生士を対象に、 ケア技術修得の教 を用いた研修に参加した者はいなかった。 ワークシートの内容の比 材として開発した 「口腔ケアシミュレータ (Manabot:株式会社ニッ 較では、DH 群および学生群ともケアによるリスクについて確認でき シン)」 を用いてリカレント研修を実施した。 これまでも歯科衛生士学 ていた。動揺歯、小帯や粘膜への配慮など口腔内への注意不足 生に同様の教育方法を実施してきたが、今回、両者の実習中の であったのはDH群5.9%に対し、学生群は93.3%であった。 ケアの ワークシートおよび質問紙票の結果を用いて、実践経験と教育方 手順では、 ケア終了後の患者の体位変換において、両群ともに補 法の観点からその効果と課題について検討することを目的とした。 助者の患者観察が不十分になるものがそれぞれ60%、66%であ 【方法】 り、学生群の73%はその際の挿管チューブ保持が不十分になって リカレント研修会を受講した歯科衛生士 (DH群) 18名が 「人工呼 いた。対象者の経験に関わらず、教育効果があったと思われる内 吸器装着患者への口腔のケア実習」 で記録したワークシートの記 容はケアによるリスクの認識であり、DH群は、 ケアの手技およびリス 述内容および研修会終了後の質問紙票から抽出した結果を学生 クの評価から、安全なケアの方法について再認識できていた。 (学生群) 15名の結果と比較し、教育方法の効果と課題について 【結論】 検討した。 口腔ケアシミュレータを応用したリカレント研修によりケアを業務とし 【結果および考察】 て行っている歯科衛生士の技術の確認およびリスクの明確化と認 研修後のワークシートの回収率は94.4%、質問紙調査は50%で 識の強化ができた。 あった。研修会参加者の臨床経験年数は、平均10年11ヶ月±13年 131 P-083 災害時対応研修における歯科衛生士スタッフ教育の取り組みについて ○片瀬 希美、坂口 由季、中西 桃子、葛西 美樹、上原 沙友里、竹廻 祐希、清水 雅美、三浦 佳子、足達 淑子 東京医科歯科大学 歯学部附属病院 歯科衛生保健部 Disaster response training initiatives for dental hygienist educational staff ○Nozomi KATASE, Yuki SAKAGUCHI, Toko NAKANISHI, Miki KASAI, Sayuri UEHARA, Yuki TAKEMAWARI, Masami SHIMIZU, Yoshiko MIURA, Toshiko ADACHI Department of Dental Hygiene, Tokyo Medical and Dental University/University Hospital of Dentistry, Tokyo, Japan 目的:東京医科歯科大学歯学部附属病院歯科衛生保健部では、 歯科衛生士スタッフ教育の一環として、院内における医療安全、 感染対策に対する知識を深め、医療従事者としての意識を高める ため、教育委員会による独自の研修会を開催している。災害時の 行動は定期的に訓練することで、具体的な対応が共有され、災害 発生時に迅速な対応ができると言われている。2010年より災害時 の病院職員としての行動の習得を目的とし、研修を行っているので 紹介する。対象と方法:歯科衛生保健部職員32名を対象に、地 震・火災時の対応について、2010年6月に診療室内からの一次避 難、10月にレスキューキャリーマットの使用方法の研修を行った。 2012年7月に、同月末の歯学部附属病院全職員対象の災害対策 研修を踏まえ、震度6強を想定したシナリオを作成し、診療室から 避難場所までの避難訓練を実施した。2013年7月に、実地訓練を 録画したビデオを活用した研修を行った。2014年1月に、重傷者の 搬送や火災の発生を想定した実地訓練を実施した。各研修会終 了後にアンケートによる評価を実施した。結果:実践形式の研修に より、災害時の対応を共通認識することができた。 また研修を評価 し、実地訓練のビデオを活用しフィードバックすることで、改善点等 が発見できた。 さらに実践研修内容を見直し、研修を重ねること で、災害時の医療職としての意識の向上に役立った。考察:災害 が発生したことを想定した実践研修を経験することで、 スタッフが 発生から避難までの行動を理解できたと考えられた。繰り返し実践 研修を実施することにより、災害時に迅速で適切な対応ができるよ うになると考えられた。結論:防災をテーマに関連性をもたせた研 修会を繰り返し実施することで、歯科衛生士スタッフの理解が深め られ、災害時の行動が十分に習得できたと考えられた。実際に災 害が発生した際に、歯科衛生士が主体性をもって行動できること に期待したい。 P-084 出身大学によって幼児への歯磨剤の使用の推奨は異なるのか。 ○小山 史穂子1、相田 潤1、長谷 晃広1、松山 祐輔1、伊藤 奏1、三浦 宏子2、小坂 健1 2 東北大学大学院 歯学研究科 国際歯科保健学分野、 国立保健医療科学院 地域医療システム研究分野 1 Do recommendations of the use of fluoride toothpaste to infant by residents differ by their universities? ○Shihoko KOYAMA1, Jun AIDA1, Akihiro HASE1, Yusuke MATSUYAMA1, Kanade ITO1, Hiroko MIURA2, Ken OSAKA1 1 Department of International and Community Oral Health, Sendai, Japan, 2Area on Community Healthcare, National Institute of Public Health, Saitama, Japan 【背景】平成24年4月に母子手帳の改正が厚生労働省により行わ れた。歯科においては 「1歳6ヶ月の頃」、 「3歳の頃」 の保護者の記 録に 「歯にフッ化物の塗布やフッ素入り歯磨きを使用しています か」 という質問項目が加わり、幼児への歯磨剤使用が推奨されて いる。母子手帳の内容と整合する教育が全国の歯科大学におい て行われているか、歯学教育を履修して間もない研修歯科医(以 下:研修医) が幼児への歯磨剤使用を推奨しているかは明らかに なっていない。 【目的】本研究は研修医を対象に、出身大学によっ て幼児への歯磨剤使用を推奨するか否かに差異があるのかを調 べた。 【 方法】全国の歯科医師臨床研修施設228施設の研修医 2,323名に対し、 自記式調査票を郵送し回収した。説明変数を出身 大学とし、 目的変数は 「二歳の男児の患者さんに対して、 あなたが 推奨する歯磨剤の量はどれになりますか。 (歯磨剤は使わない、小 児用歯ブラシのヘッドの1/3まで・豆粒大、小児用歯ブラシのヘッド 132 の1/3∼2/3まで、小児用歯ブラシのヘッドの2/3以上の4つから1 つ選択)」 という設問の回答を、 「歯磨剤使用を推奨」 と 「歯磨剤未 使用を推奨」の2カテゴリに分けて、単純集計し、単変量ロジス ティック解析を行った。 【結果】1,533名から有効回答を得た (回収 率66.0%)。 「歯磨剤使用を推奨」 した人が48.9%であった。 出身大 学別の解析では 「歯磨剤使用を推奨」する人の割合が最も多い 大学で73.8%に対して、最も少ない大学で24.4%であり、統計学的 有意差が認められた。 【結論】今回、歯学教育を受けて間もない研 修医を対象に幼児への歯磨剤使用の推奨について調べたが、 出 身大学により大きく左右されていることがわかった。 ブラッシングは 重要だが、歯磨剤を利用することでさらに効果が高まるというエビ デンスが示されている。科学的根拠を考慮した効果的な口腔衛生 学教育のあり方について検討する必要がある。 P-085 Audience Response System(クリッカー)の活用による「歯科放射線学」における参加型講義 −第2報− ○此内 浩信1、浅海 淳一1,2,3、柳 文修2,3、久富 美紀2、村上 純2、畦坪 輝寿1,3、藤田 麻里子3 2 岡山大学大学院 医歯薬学総合研究科 歯科放射線学分野、 岡山大学病院 歯科放射線・口腔診断科、3岡山大学病院 歯科総合診断室 1 Participatory lecture in the division of Oral and Maxillofacial Radiology using the Audience Response System called Clicker -Part 2○Hironobu KONOUCHI1, Jun-ichi ASAUMI1,2,3, Yoshinobu YANAGI2,3, Miki HISATOMI2, Jun MURAKAMI2, Teruhisa UNETSUBO1,3, Mariko FUJITA3 1 Department of Oral and Maxillofacial Radiology, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Pharmaceutical Sciences, Okayama, Japan, 2Department of Oral Diagnosis and Dentomaxillofacial Radiology, Okayama University Hospital of Medicine and Dentistry, Okayama, Japan, 3Preliminary Examination Room, Okayama University Hospital of Medicine and Dentistry, Okayama, Japan 【目的】Audience Response Systemは講演や講義において講 行った。 その後、学生アンケートを実施し、問題点が改善できたか 演者の質問やアンケートにリモコンを通して聴衆者がリアルタイム 考察した。 【方法】対象は平成24年度4年生52名、平成25年度4年 に答えることができる双方向式システムでクリッカーと呼ばれてい 生55名であった。各学年とも全講義の前半を通常講義と後半を参 る。我々は平成24年度歯科放射線学講義で内容の要点を問題 加型講義とした。全講義後に2つの講義の比較を匿名のアンケート 形式にして、 クリッカーで解答させる参加型講義を行った。 その後、 として実施した。 【結果と考察】平成25年度のアンケート結果は1)、 学生アンケートを実施し、 その内容をまとめ報告した。 その結果は 3)、 4) で否定的意見は大きく減少した。 2)の結果は変化がなく、 「学習意欲が向上した」、 「理解しやすかった」、 「集中力が持続し 「前回の講義の復習」、 「項目のまとめ時」、 「当日の講義の復習」時 た」、等の肯定的意見が大多数であったが、少数ながら講義の運 に問題の出題を希望する意見が多く、項目の導入時は低かった。 用に対する問題がそこで浮きあがった。主な問題点として1) 「問 しかし、学生の基礎知識や理解度をリアルタイムに把握して解説 題の回答時間が適切ではない」 2) 「問題を出すタイミングが適切 の深さを変化させることに利用するため、学生の希望とは別に各 でない」 3) 「問題数が適切でない」 4) 「小テストとして成績に加算 項目での出題が必要である。今回は講義内容を改善した結果、参 してほしい」等が挙げられた。 そこで我々はアンケートを基に講義 加型講義が学生の学習意欲、理解度、集中力の持続の向上に対 内容を改善し、平成25年度歯科放射線学講義を参加型講義で してさらに有用となったと考えられた。 P-086 大阪歯科大学におけるポートフォリオを用いた2年次から3年次の自己評価 ○益野 一哉1、藤原 眞一2、川合 進二郎3、辻林 徹4、西川 哲成5、王 宝禮1 1 3 大阪歯科大学 歯科医学教育開発室、2大阪歯科大学 化学教室、 大阪歯科大学 生物学教室、4大阪歯科大学 物理学教室、5大阪歯科 大学 口腔病理学講座 Self-evaluation with portfolios of 2nd and 3rd year students at Osaka Dental University ○Kazuya MASUNO1, Shinichi FUJIWARA2, Shinjiro KAWAI3, Toru TSUJIBAYASHI4, Tetsunari NISHIKAWA5, Hourei OH1 Department of Inovation in Dental Education, Osaka Dental University, Osaka, Japan, 2Department of Chemistry, Osaka Dental University, Osaka, Japan, 3Department of Biology, Osaka Dental University, Osaka, Japan, 4Department of Physiology, Osaka Dental University, Osaka, Japan, 5Department of Oral Pathology, Osaka Dental University, Osaka, Japan 1 【目的】大阪歯科大学では学生自身が1年を振り返り、次年度の改 果」 が最も低下しており、 「(5)疑問の解決度」 と 「(6)資料の理解度」 善策を考える機会をもうけている。 その一助として入学時から毎年 の減少が最も少なかった。項目を比較をすると 「(8)試験結果」 の自 継続して学生がパーソナル・ポートフォリオを作成している。今回は 己評価が最も高く、 「 (5)疑問の解決度」 の自己評価が最も低かっ どうすれば講義をうまく生かせるかを探るために2年次から3年次 た。 また留年生はすべての項目で現役生よりも数値が低かった。最 の学業に対する自己評価の変化をポートフォリオを用いて調べた。 も差が大きかったのが「(8)試験結果」 で、 「(7)記憶度」 の差が最も 【方法】対象は2012年度の2年生106名と2013年度の3年生140 少なかった。 【考察】各項目の低下は1年次よりも2年次の方がより 名で、各学年で留年生を含んでいる。 それぞれ学期がはじまる4月 講義が専門的になり内容自体が難しくなっているためだと思われ 初旬に質問に答えてもらった。項目は学習順序に(1)講義の集中 る。 また専門科目になると理解だけでなく記憶しなければならない 度、(2)講義の理解度、(3)重要箇所の把握度、(4)資料の整理度、 項目が増え、記憶すべき事柄を選別して関連する事項を含めて普 (5)疑問の解決度、(6)資料の理解度、(7)記憶度、(8)試験結果の8 段の学習の中で小まめにチェックさせる時間をあらかじめ確保して 項目で、 それぞれ5段階で自己評価してもらった。 【結果】 2年生か おく必要があると思われる。留年生は各項目で現役生に追いつけ ら3年生になって8項目すべての数値が下がっている。 「(8)試験結 るような具体策をたてる必要があることもわかった。 133 オーディエンス・レスポンス・システムによる出席管理について− P-087 神奈川歯科大学の歯学教育改革−4. ○花岡 孝治、窪田 光慶、菅谷 彰、湯山 徳行、林田 丞太、木村 幸司、櫻井 孝、平田 幸夫、佐藤 貞雄 神奈川歯科大学 総合教育部 Educational Reforms in Kanagawa Dental University -4. Attendance management using Audience Response System (ADS)- ○Koji HANAOKA, Mitsuyoshi KUBOTA, Akira SUGAYA, Noriyuki YUYAMA, Jota HAYASHIDA, Koji KIMURA, Takashi SAKURAI, Yukio HIRATA, Sadao SATO Division of Curriculum Development, Kanagawa Dental University, Yokosuka, Japan 平成25年度から本格的に始まった本学の教育改革は、 「教える 態を比較すると共に、 開始から半年後に行った出席管理に関する だけの教育パラダイム」から 「学生が自ら学ぶ教育パラダイム」へ アンケート調査を行った。 その結果、 導入後に、 3、4年生の1コマ当 の転換を目指している。 自ら学ぶ学生を育てるアクティブラーニング たりの平均欠席率の有意の低下が認められ、 本システムの有効性 への一歩として、5ステージ制教育体系の構築をめざすと共に、 出 が確認された。 また、 アンケート調査で「出欠席の取得は授業時間 欠管理、 学生の評価法、 学修環境の整備などあらゆる方向からア に悪影響を与えるか」の質問に対し「ない」が75.5%以上を占め、 プローチを行っている。 これまで出欠管理は授業を担当する教員 次年度以降の新出欠席管理システムの継続についても約80%が が紙ベースで行っていたが、 出欠席の厳格さや遅刻の取り扱いに 「問題ない」 との回答が得られた。教育支援職員が出欠席を取得 教員間でバラツキが生じあいまいさが残る状態であった。 そこで、 することは、 教員の負担軽減にもつながり教員は講義に集中できる これらの問題点を解消するため、総合教育部に配属された教育 利点があり、教員にも良好に認識されていることが示された。 クリッ 支援職員が各授業に赴き、 クリッカーと呼ばれるオーディエンス・レ カーの使用に関して、教室外からの不正使用や、同一学生による スポンス・システム(Socratec Nano : ICBrains)を使って出欠を確 複数のクリッカーの使用等の問題点には、抜き打ち調査を実施し 認するという方法に改めた。本法の有効性を検証するために、 確認を行ったが、1∼4年で1件の不正も確認できなかった。今後、 ARS導入前(平成24年度) と導入後の (平成25年度) の出欠席状 授業中の中抜けに対し何らかの処置が必要であると考えられた。 P-088 歯科衛生士専門学校生における食育に関する意識調査 ○松根 健介1、後藤田 宏也2、下坂 典立3、大沢 聖子4、牧村 英樹5、平塚 浩一6、和田 由紀子7、岡元 明菜7、移川 明美7、角田 恭子7、竹 蓋 道子7、加藤 仁夫7,8、三枝 禎9、河相 安彦10、伊藤 孝訓4、葛西 一貴11、河野 善治1,7、渋谷 鑛3、牧村 正治12 日本大学松戸歯学部社会歯科学(歯科医療管理学)講座、2日本大学松戸歯学部公衆予防歯科学講座、3日本大学松戸歯学部歯科麻酔学講座、4日本大学松戸歯学部歯 科総合診療学講座、5日本大学松戸歯学部再生歯科治療学講座、6日本大学松戸歯学部生化学・分子生物学講座、7日本大学松戸歯学部附属歯科衛生専門学校、 8 日本大学松戸歯学部口腔インプラント学講座、9日本大学松戸歯学部薬理学講座、10日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座、11日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座、 12 日本大学松戸歯学部社会歯科学(歯科医学教育学)講座 1 A study of the awareness of dental hygiene students about food education ○Kensuke MATSUNE1, Hiroya GOTOUDA2, Michiharu SHIMOSAKA3, Seiko OOSAWA4, Hideki MAKIMURA5, Koichi HIRATSUKA6, Yukiko WADA7, Akina OKAMOTO7, Akemi UTSUSHIKAWA7, Kyoko SUMITA7, Michiko TAKEFUTA7, Takao KATO7,8, Tadashi SAIGUSA9, Yasuhiko KAWAI10, Takanori ITO4, Kazutaka KASAI11, Yoshiharu KOUNO1,7, Koh SHIBUTANI3, Masaharu MAKIMURA12 1 Department ofSocial Dentistry (Dental Practice Administration), Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Matsudo, Chiba, Japan, 2Department of Preventive and Public Oral Health, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Matsudo, Chiba, Japan, 3Department of Anesthesiology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Matsudo, Chiba, Japan, 4Department of Oral Diagnosis, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Matsudo, Chiba, Japan, 5Department of Renascent Dentistry, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Matsudo, Chiba, Japan, 6Department of Biochemistry and Molecular Biology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Matsudo, Chiba, Japan, 7Dental Hygiene School, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Matsudo, Chiba, Japan, 8 Department of Oral Implamtology Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Matsudo, Chiba, Japan, 9Department of Pharmacology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Chiba, Japan, 10Department of Removable Prosthodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Chiba, Japan, 11Department of Orthodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Chiba, Japan, 12Department of Social Dentistry(Dental Education), Nihon University School of Dentistry at Matsudo, Chiba, Japan, 【目的】食を通じた子どもの健全な育成のために食育基本法が施 行されるとともに、 食育推進基本計画が進められている。家庭や学 校、地域を通じて食生活に関する適切な知識や判断力を身につ ける食育が推進され、平成23年には第2次食育推進基本計画が 策定された。 そのようななかで将来、医療専門職の歯科衛生士と して食育を含めた栄養・保健指導がますます重要となりつつある。 歯科衛生士学生における食に関する意識や実態を把握し、今後 の教育の指針とすることを目的として本調査を行った。 【 方法】平 成25年度の日本大学松戸歯学部附属歯科衛生専門学校の1年 次生を対象に無記名で質問票調査を行った。調査内容は、松戸 市が実施した食育に関する市民アンケート調査を基に一部改変し た食育に関する意識・関心、健康に関する意識などに関する項目 134 である。 【結果および考察】 「食育」 という言葉やその意味を知って いるが半数を超えていたが、 「食育」に関心があるが半数以下で あった。 「メタボリックシンドロームの意味を正確に理解している」が 9割以上であった。 また「現在の生活に満足している」 と 「現在の食 生活に満足している」が、 いずれも9割以上であった。歯科衛生学 教育コア・カリキュラムにおいて到達目標として食品と栄養に関して 健康づくりのための食生活指針や食育の推進、食生活指導に関 して食育基本法と食生活指針の修得の重要性について掲げられ ている。本調査から現在の食生活に満足しているが、 食育の意味 の理解度や関心度が低い学生も認められ、今後は食育に関わる 教科や実習で知識、意識および関心度がさらに向上するような教 育の必要性が示唆された。 P-089 統合型病態模型を用いた臨床シミュレーション実習の試み ○竹内 裕尚1,2、天雲 太一1,2、庄司 茂3、笹崎 弘己4、奥山 弥生5、白石 成2,6、佐々木 啓一2、島内 英俊3 1 2 3 東北大学大学院 歯学研究科 歯学イノベーションリエゾンセンター、 東北大学大学院 口腔システム補綴学分野、 東北大学病院 歯内歯周 4 5 6 治療学分野、 東北大学病院 保存修復学分野、 東北大学大学院 咬合機能再建学分野、 東北大学 東北メディカル・メガバンク機構 地域医療 支援部門 地域口腔健康科学分野 Simulated Clinical Training Using Integrated Dental Training Model "Attempts of Tohoku University Faculty of Dentistry" ○Yasuhisa TAKEUCHI1,2, Taichi TENKUMO1,2, Sigeru SHOJI3, Hiromi SASAZAKI4, Yayoi OKUYAMA5, Naru SHIRAISHI2,6, Keiichi SASAKI2, Hidetoshi SHIMAUCHI3 1 Division of Liaison Center for Innovative Dentistry, Tohoku university Graduate School of Dentistry, Sendai, Japan, 2Division of Advanced Prosthetic Dentistry, Tohoku University Graduate School of Dentistry, Sendai, Japan, 3Clinical Division of Periodontology and Endodontology, Tohoku University Hospital, Sendai, Japan, 4Clinical Division of Operative Dentistry, Tohoku University Hospital, Sendai, Japan, 5Division of Fixed Prosthodontics Tohoku University, Graduate School of Dentistry, Sendai, Japan, 6Tohoku Medical Megabank Organization, Tohoku University, Sendai Japan 【目的】従来、 臨床系歯学科目の教育においては、 それぞれの専門 領域に特化した病態模型を用いた基礎実習が行われてきた。 しか し実際の歯科医療現場でみる患者の口腔の病態は複合化してお り、 一口腔を一単位として捉えた治療計画の立案と、 それに基づい た包括的な治療が必要である。 そこで東北大学歯学部では、多 様な病態を具備した統合型病態模型を用い、 口腔単位での治療 計画立案と、一連の治療の流れを理解することが可能な臨床シミ ュレーション実習を導入した。 【 方法】本実習は、東北大学歯学部 に在籍する5年生53名を対象に、 臨床シミュレーション実習として病 院 実 習 が 始まる直 前 の 2 か 月間 に 実 施した 。病 態 模 型( N16-NI.P.22、株式会社NISSIN、京都) は学生1人に1組用意し、 その模型の病態に則して設定した模擬患者シナリオとレントゲン写 真、歯周ポケット表、 口腔内写真を作成し、学生に配布した。実習 の説明に90分×1回と実習に90分×2回×8週間の16回、計17回の 授業枠を用いた。課題は、保存系がインレー形成、CR充填、根管 治療、 歯石除去、 補綴系がテンポラリーブリッジ製作、 レストシート形 成、個人トレー製作まで一連の流れとした。各課題の評価は、項目 別に達成基準を設けた評価表を作成して行った。 【 結果と考察】 東北大学歯学部では初めて1つの病態模型を用いて保存系・補 綴系の実習を行った。学生アンケートでは、 これまでに習得した知 識や技能を整理し、 それらの一連の治療における意義や位置づ けを理解できたと好評であった。 また本模型は学生全員が同じ模 型を用いるため、基本的な臨床指導教材として適していると思わ れる。評価方法については、評価者間における得点差の大きい項 目があったため、評価項目や達成基準の改良および、事前の評価 者間における入念な摺り合わせが必要であると考えられた。本研 究は連携機能を活用した歯学教育高度化プログラム (MEXT、 H24年度採択) の助成を受けて行われた。 P-090 3年生基礎実習におけるクラウンブリッジ補綴学とインプラント補綴治療学との統合−第1報− ○星 憲幸、木本 克彦 神奈川歯科大学大学院 歯学研究科 咀嚼機能制御補綴学口座 Integration of the implant prosthetics and crown bridge prosthetics in basic practice. (1) ○Noriyuki HOSHI, Katsuhiko KIMOTO Department of Proshtodontics and Oral Rehabilitation, Graduate School, Kanagawa Dental University, Kanagawa, Japan 【目的】現在、補綴治療においてもインプラントを用いる機会が多く なり、歯科医師国家試験においても頻出されてきている。 しかし一 方で、 インプラント治療に対しての国民の不安感は根強く、 これから の歯科医師にはインプラントを用いた補綴治療への習熟が必要と なってきている。 そのため、 本学では昨年度よりクラウンブリッジ補綴 学にインプラントを用いた補綴治療を取り入れ一元化した教育に 取り組み始めたので報告する。 【方法】神奈川歯科大学の3年生( 62名、 男性: 44名、 女性: 18名) において、 クラウンを計7回、 ブリッジ は計3回、 そしてインプラントは計2回で講義による学習とリンクさせ つつ行った。実習前には自己学習するように指示し、 実習開始時に は学習状況を確認する簡単な試験を行った後に、 配布資料と共に スライドや動画にて説明を行い、各インストラクターのデモを併用し た。実習中は班ごとの実習内容の確認を行い、 学習のポイントを掴 めるような指導を行い、 実習の最後には確認の口頭試問を行い常 に理解度を高めるようにした。実習への評価としては、 講義理解度 確認試験、実習アクティビティおよび学生からのアンケート (5点満 点での12項目の科目評価) を用いた。 【成績】 インプラントのアクティ ビティの結果は、 クラウンおよびブリッジのそれとほぼ同じであった。 また欠損補綴としてブリッジとインプラントの各データをクラウンのデ ータと比べてみると、新しく入った範囲が有るにも関らず、 どの項目 でも同じような高い水準を保っていた。 また、 アンケートからの結果 でもほとんどの項目で科目評価は4点以上と高水準であった。 【結 論】新しく欠損補綴にインプラントを組み込んで実習を行ったが、 学 生の学習意欲は高く、 また理解度も十分に得られ、学生の受け入 れも良好であった。今後は、 更なる改良を加えつつ、 歯科医師国家 試験にむけての基礎学習としての評価を行う予定である 135 P-091 歯科診断シミュレーションソフトの開発 ○天雲 太一1、竹内 裕尚1、島内 英俊2、佐々木 啓一3 2 3 東北大学大学院歯学研究科 歯学イノベーションリエゾンセンター、 東北大学大学院歯学研究科 歯内歯周治療学分野、 東北大学大学院 歯学研究科 口腔システム補綴学分野 1 Development of Simulation soft for Dental Diagnosis ○Taichi TENKUMO1, Yasuhisa TAKEUCHI1, Hidetoshi SHIMAUCHI2, Keiichi SASAKI3 Division of liaison center for innovative dentistry Tohoku University Graduate School of Dentistry, Sendai, Japan, 2Division of Periodontology and Endodontology Tohoku University Graduate School of Dentistry, Sendai, Japan, 3Division of Periodontology and Endodontology Tohoku University Graduate School of Dentistry, Sendai, Japan 1 我が国の歯科医学教育施設を取り巻く環境は、急速な高齢化の において必要と思われる診査項目を任意に選択して必要な情報 進行や疾病構造の変化、国民の医療への期待の変化、 さらには を取得することができ、 それらの情報を基に問題点の抽出・診断か 歯科医療機関数の著しい増加などにより大きく変化した。特に国 ら治療計画の立案という一連の歯科診察・診断の過程をシミュレ 立大学歯学部の多くは病院統合により特定機能病院化されたた ーション学習していく。 今回は、 この歯科診断シミュレーションソフ め、高次歯科医療を必要とする患者がほとんどを占め、卒前臨床 トの概要を紹介するとともに、東北大学大学院歯学研究科口腔シ 実習に適した患者の確保が難しくなっている。臨床参加型実習を ステム補綴学教室に在籍する研修医から教員までの歯科医師10 補完し、 基本的診断能力や技術を育成していくためには、 臨床シミ 名の協力を得て、本ソフトの作動性や使用感、学生の診断能力、 ュレーション実習の積極的活用が求められる。我々は、 卒前臨床実 治療計画立案能力の向上につながるかについてアンケート調査を 習の充実と診断能力の涵養を目的とした歯科診断シミュレーション 行ったので、 その結果について報告する。 なお、本研究は新潟大 ソフトを開発したので報告する。 本ソフトは、実際の患者の口腔 学・東北大学・広島大学による 「連携機能を活用した歯学教育高 内写真、 ポケット診査、 レントゲン写真データ、 問診項目、 歯ごとの診 度化プログラム (文部科学省大学間連携共同教育推進事業、平 査項目、顎関節所見、咀嚼筋所見、顔貌所見、患者キャラクター、 成24年度採択)」によって行われた。 治療計画フォーマットから構成される。学習者は、 本ソフトの画面上 P-092 ビデオによる振り返りを用いた医療コミュニケーショントレーニング−3年間の概要と振り返り− ○吉田 礼子1、松本 祐子1、志野 久美子1、岩下 洋一朗2、河野 博史1、中山 歩1、田口 則宏1,2 1 2 鹿児島大学医学部・歯学部附属病院歯科総合診療部、 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科歯科医学教育実践学分野 Health Communication Training using Reflection by the Video ○Reiko YOSHIDA1, Yuko MATSUMOTO1, Kumiko SHINO1, Yoichiro IWASHITA2, Hiroshi KONO1, Ayumi NAKAYAMA1, Norihiro TAGUCHI1,2 1 General Dental Practices, Kagoshima University Medical and Dental Hospital, 2Department of Dental Education, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences 【目的】鹿児島大学医学部・歯学部附属病院歯科医師臨床研修 では、医療コミュニケーション教育として、 ワークショップ、 トレーニン グ、初診対応研修などを実施している。医療コミュニケーショントレ ーニングは、 平成23年度からビデオによる振り返りを用いた個別トレ ーニングへと研修方法を変更した。本発表では、 この3年間の実践 経過を振り返り報告する。 【方法】平成22年度以前の医療コミュニ ーショントレーニングは、 7∼8名のグループセッションで、 研修歯科医 がひとりずつ模擬患者に対して医療面接を行い、 指導歯科医と他 の研修歯科医全員でフィードバックを行う形式であった。 トレーニン グは概ね有益であったとの評価を得ていたが、 大勢の前で医療面 接を実施しフィードバックを受けることに対して、 相当のストレスを感 じるなどの意見もあった。 平成23年度からは、個別にビデオを用 いて振り返りを促すトレーニングに変更し、 研修歯科医、 模擬患者、 136 ファシリテータ各1名が参加し、 1回目ロールプレイ→フィードバック →2回目ロールプレイ→フィードバックの流れで実施した。 トレーニン グ中のフィードバック記録および事後アンケートを資料として検証し た。 【結果】 ビデオによる振り返りを用いた個別医療コミュニケーショ ントレーニングは、実際の診療場面に即し、 ビデオにより振り返りが 具体的にできることから概ね肯定的な評価を得、研修歯科医には コミュニケーションのプロセスや患者の心理社会的な背景に関す る気づきがみられた。 また、 自己を客観視することはストレスであり、 その必要性を認識しつつも、 抵抗感や孤独感をもつものもみられた。 今後は、 気づきを実践に応用していくために、 継続的なトレーニング の設計、 Debriefingの活用、 評価方法の検討など改善していく必 要がある。 P-093 臨床研修施設(歯科診療所)における研修歯科医の分布状況 ○杉戸 博記1、平田 創一郎2、酒寄 孝治2、新田 浩3、大渡 凡人4、高橋 一輝4、俣木 志朗3 2 3 東京歯科大学 口腔健康臨床科学講座、 東京歯科大学 社会歯科学研究室、 東京医科歯科大学(TMDU)大学院 医歯学総合研究科 4 歯科医療行動科学分野、 東京医科歯科大学(TMDU)大学院 医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野 1 Distribution of postgraduate dental trainees at dental clinics ○Hiroki SUGITO1, Soichiro HIRATA2, Takaharu SAKAYORI2, Hiroshi NITTA3, Tsuneto OOWATARI4, Kazuki TAKAHASHI4, Shiro MATAKI3 1 Department of Clinical Oral Health Science, Tokyo Dental College, Tokyo, Japan, 2Department of Social Dentistry, Tokyo Dental College, Tokyo, Japan, 3Behavioral Dentistry, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University (TMDU), Tokyo, Japan, 4Gerodontology, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University (TMDU), Tokyo, Japan 平成18年度に必修化された歯科医師臨床研修により、新規参入 いた。 また、研修中断例は、H24で21例、H25で10例と減少してい 歯科医師である研修歯科医の分布がどのように変化したかを把 たが、本来であれば研修中断例とされるような10事例(出向先で 握することは歯科医師の地域偏在及び需給を検討する上で重要 ある協力型臨床研修施設の途中変更) が研修中断事例とは回答 である。研修歯科医の全国的な在籍分布状況について、平成24 されなかった。傾向として、研修歯科医数の都道府県格差はやや 年度(H24)及び平成25年度(H25) に研修歯科医の募集が行わ 縮小したものの、都市部への集中傾向は変わらず認められた。一 れたすべての研修プログラムを対象に調査を行った結果、 臨床研 方、歯科診療所の研修プログラムで研修を行った研修歯科医数 修を行っている1年目の研修歯科医の総数は、2,382名(H24)及び は増加しているものの、 協力型臨床研修施設への出向者も含めて 2,378名(H25) であった。 月平均の都道府県ごとの研修歯科医数は、 実際に歯科診療所で臨床研修を受けた研修歯科医数は全体の 東京都がH24及びH25ともに最大であり、最少はH24が島根県、 約3割弱であり、H24及びH25を比較してほとんど増加はしていな H25が鳥取県で年間を通じて研修歯科医の在籍はなかった。歯 いことが明らかとなった。 これらの傾向が継続していくか否かにつ 科診療所で研修を行った研修歯科医数をみると、1年を通じて研 いては、今後も注視する必要があることが示唆された。本研究は、 修歯科医のいない県は、H24及びH25ともに4県であったが、H25 厚生労働科学研究費補助金 地域医療基盤開発推進研究事業 では歯科大学・歯学部を有する都道府県のうち長崎県が含まれて (H24−医療−指定−045) の一環として行った。 P-094 日本歯科大学附属病院群内マッチングシステムによる過去8年間の研修歯科医の在籍型出向状況について ○秋山 仁志1、三代 冬彦1、岡田 智雄1、横澤 茂1、北村 和夫1、小川 智久1、中原 由絵1、宇塚 聡1、鈴木 淳子1、町田 麗 子1、山下 憲昭1、羽村 章2 1 2 日本歯科大学附属病院、 日本歯科大学生命歯学部 Situation of trainee dentsists by matching system within educational facility group of clinical training course in Nippon Dental University Hospital ○Hitoshi AKIYAMA1, Fuyuhiko MISHIRO1, Tomoo OKADA1, Shigeru YOKOZAWA1, Kazuo KITAMURA1, Tomohisa OGAWA1, Yue NAKAHARA1, Satoshi UZUKA1, Atsuko SUZUKI1, Reiko MACHIDA1, Noriaki YAMASHITA1, Akira HAMURA2 1 The Nippon Dental University Hospital at Tokyo, Japan, 2School of Life Dentistry at Tokyo, The Nippon Dental University 【目的】 日本歯科大学附属病院では、 平成18年度から複合型臨床研修群 方式で臨床研修を実施しており、研修歯科医と協力型臨床研修 施設との組合せ決定に際して、歯科マッチング用コンピューターシ ステムを利用し、新たに構築した群内マッチングシステムを用いて 配属を決定している。今回、 日本歯科大学附属病院臨床研修群の 群内マッチングシステムによる配属決定状況について報告する。 【方法】 日本歯科大学附属病院歯科医師臨床研修において、 管理型長期 プログラム、協力型長期プログラム、協力型複数プログラムの3つの 研修プログラムで構成される平成18年度から平成25年度までの臨 床研修施設群の協力型臨床研修施設数、 群内マッチングシステム による協力型臨床研修施設と研修歯科医のマッチング状況につい て調査した。 【結果と考察】 日本歯科大学附属病院臨床研修施設群は平成18年度から平成 25年度まで、 それぞれ110施設、120施設、127施設、139施設、139 施設、140施設、140施設、141施設で構成した。群内マッチングシス テムに参加した施設は、 平成18年度から平成25年度まで、 それぞれ 108施設、110施設、109施設、112施設、119施設、114施設、112施 設、 111施設であり、 実際に研修歯科医の在籍型出向があった施設 は、 それぞれ96施設(130名)、91施設(115名)、74施設(97名)、87 施設(120名)、80施設(103名)、86施設(111名)、86施設(109名)、 85施設(110名) であった。平成18年度から平成25年度までに日本 歯科大学附属病院協力型臨床研修施設指定取消を行った施設 は33施設であった。 日本歯科大学附属病院では4月時の研修プロ グラム説明会で協力型臨床研修施設の研修プログラムを研修歯 科医に説明する機会を設け、 その後、 ゲール・シャープレイのアルゴ リズムを用いてアンマッチ者をださない群内マッチングシステムにて 配属決定を行っており、充実した歯科医師臨床研修が行えるよう に対応している。 137 P-095 歯の脱臼用実習模型の新規開発 ○楊 秀慶1、内川 喜盛1、秋山 仁志2、苅部 洋行3、羽村 章4、溝江 良宏5 1 2 3 4 日本歯科大学 附属病院 小児歯科、 日本歯科大学 附属病院 総合診療科、 日本歯科大学 生命歯学部 小児歯科学講座、 日本歯 5 科大学 生命歯学部 高齢者歯科学講座、 株式会社ニッシン Development of a novel practice model for dental luxation injuries ○Hidenori YOH1, Yoshimori UCHIKAWA1, Hitoshi AKIYAMA2, Hiroyuki KARIBE3, Akira HAMURA4, Yoshihiro MIZOE5 The division of Pediatric dentistry, The Nippon Dental University hospital, Tokyo, Japan, 2The Department of General Dentistry, The Nippon Dental University hospital, Tokyo, Japan, 3The Department of Pediatric Dentistry, The Nippon Dental University, Life Dentistry, Tokyo, Japan, 4The Department of Geriatric Dentistry, The Nippon Dental University, Life Dentistry, Tokyo, Japan, 5Nissin Dental Products Inc. 1 【目的】 日本小児歯科学会の報告では、歯の外傷のうち乳歯の約 「状態を説明できる」は順に67%、13%、60%で、 「対応法を説明で 65%、永久歯の約50%に脱臼がみられ、初期対応が予後に大きく きる」は順に55%、8%、47%であった。 また「歯の外傷の模型実習 影響するとしているが、適切な実習模型が存在しないため、本邦 が必要」は80%で「必要と思う場合の実習時期」については学生 の小児歯科領域では歯の外傷に対する充分な講義・実習が実施 時(53%) 、 研修医時(43%) の順に多かったが、 各項目で臨床研修 されていない。 そこで臨床研修歯科医に対して歯の外傷に関する 年度間に有意差はなかった。 【まとめ】研修医は側方脱臼に対す 認識を調査し、実習模型開発の意義を確認したうえで、新規に模 る状態及び対応法に関する知識が、完全脱臼、埋入に比べ有意 型を開発したので報告する。 【 方法】調査は、 日本歯科大学附属 に低く、外傷に関する模型実習は必要と認識していた事から、実 病院臨床研修歯科医(以後研修医:平成23年度;91名、24年度; 習用模型を開発する意義があると思われた。側方脱臼の整復に 106名) を対象とし、 各年度の臨床研修オリエンテーション期間中に は状態に関する知識が必須であるが、新規開発模型は、歯の側 無記名方式でアンケートを行った。調査項目は、歯の「完全脱臼」 方脱臼直後の歯槽歯肉、 変位した歯、 歯槽骨を再現し、 側方脱臼 「側方脱臼」 「埋入(迷入)」について、 「状態」及び「具体的な対 した歯の位置が可変するように設計した。本模型は整復・固定の 応法」を説明できるか、 「卒前教育における歯の外傷実習の有 実習だけでなく患者説明用としても有用と思われるので、 今後はそ 無」、 「歯の外傷の模型実習の必要性」 と 「必要と思う場合の実習 の有効性について調査する必要がある。 時期」等とした。 【結果】歯の「完全脱臼」、 「側方脱臼」、 「埋入」の P-096 コンピュータを利用したシェードテイキングに関するトレーニングプログラムの開発(第2報) ○伊吹 禎一、寳田 貫、角 義久、王丸 寛美、津田 緩子、冨川 和哉、浅田 徹之介、樋口 勝規 九州大学病院 口腔総合診療科 Innovation of the training program of shade-taking by use of computer system. Part 2 ○Teiichi IBUKI, Tohru TAKARADA, Yoshihisa SUMI, Tomomi OHMARU, Hiroko TSUDA, Kazuya TOMIKAWA, Tetsunosuke ASADA, Yoshinori HIGUCHI Division of General Dentistry, Kyushu University Hospital, Fukuoka, Japan 【目的】歯のシェードテイキングについて、当科の研修歯科医を対 /C4/D4のDentin色のうち2色を比較選択する問題。対象は、 象に、平成24年度よりPC上でトレーニングプログラム (以下TP) を 平成25年度当科配属の18名で、平成26年1月∼2月に6回の実習 利用した実習を行っている (第32回本学会にて発表)。 その結果、 を行った。使用感や使用効果の確認のため、 アンケートとテスト (筆 色相の比較が困難で、 シェードに関する知識の定着に改善の余 記、 シェードタブを使用した実技) をトレーニング期間の前後に行っ 地があることが判明した。今回はTPに修正を加え、実習を行った た。 【 結論】平成24年度に比べ、明度と彩度は平均点が低下した ので報告する。 【方法】以前のTPは、 色の3属性に注目して画像を が (各々8.0→7.8、9.1→8.7) 、色相IIは微増(4.2→4.5) したが有意 比較し、 明度、 彩度、 色相(各コース10問) の順に展開し、 色相コー 差はなかった。新設コースの平均点は知識コースが5.9、色相Iが スは課題のシェードタブ (VITA Classical) と同じ色相のものをA 7.1だった。 トレーニング前後のテストの正答率は、筆記(平均12% ∼D系統の4つのサンプル画像から選択するものだった。修正版は →67%) および実技(平均40%→53%) とも有意に上昇した。TPを 以下の2コース (各10問) を加え、 全体を5コースとした。 1)色やシェ 修正し、 色や歯のシェードに関する知識は改善した。実際のシェー ードに関するコース:基本的知識の選択肢問題 2)色相コース: ドガイドの色識別能も改善したと推測されるが、 トレーニングの実施 以前のコースをIIとし、 より基礎的な色相コースIとして追加し、 時期や回数などの検討が必要と思われる。 VITA VMK MasterのShade Indicatorから抽出したA4/B4 138 P-097 大阪歯科大学附属病院複合型臨床研修プログラムで実施したホームルームの意義−6年間の問題事例の調査− ○小出 武1、松本 尚之2、岡崎 定司3、田中 昌博4、森田 章介5、覚道 健治6 1 2 3 4 大阪歯科大学附属病院 総合診療・診断科、 大阪歯科大学歯科矯正学講座、 大阪歯科大学欠損歯列補綴咬合学講座、 大阪歯科大学有 5 6 歯補綴咬合学講座、 大阪歯科大学口腔外科学第一講座、 大阪歯科大学口腔外科学第二講座 The meaning of the home room performed on a postgraduate clinical training program of ODU hospital -the investigation of problem cases for 6 years○Takeshi KOIDE1, Naoyuki MATSUMOTO2, Joji OKAZAKI3, Masahiro TANAKA4, Shosuke MORITA5, Kenji KAKUDO6 The Department of Interdisciplinarnary Dentistry & Oral Diagnosis, 2The Department of Orthodontics, Osaka Dental University, Osaka, Japan, 3The Department of Removable Prosthodontics and Occlusion, Osaka Dental University, Osaka, Japan, 4The Department of Fixed Prosthodontics and Occlusion, Osaka Dental University, Osaka, Japan, 5The First Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Osaka Dental University, Osaka, Japan, 6The Second Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Osaka Dental University 1 【目的】平成18年度の歯科医師臨床研修の必修化にともない、単 独方式による研修プログラムに加えて、協力型施設との複合方式 の研修プログラムを開始した。管理型施設と協力型施設との連携 の強化および研修歯科医のメンタルヘルスケアの一環としてホー ムルームを開催し、研修歯科医のストレス要因などを把握し、研修 不調を未然に防ぐよう努めている。今回は、平成20年度から平成 25年度までの6年間にホームルームで実施したアンケート調査結果 のうち、 とくに中断に関する項目を中心に報告する。 平成20年度 【方法】本プログラムで研修を行った研修歯科医数は、 70名、 平成21年度82名、 平成22年度98名、 平成23年度88名、 平成 24年度74名、平成25年度84名であった。 ホームルームは、5か月に およぶ協力型施設での研修中、 月に一度の割り合いで開催し、研 修歯科医全員を管理型施設に呼び戻し、面談およびアンケートに より、研修状況や研修歯科医自身の悩みなどを調査した。中断に 関する質問は、 平成20年度から平成22年度は、 最終回のアンケー ト調査でのみ行った。平成23年度からは質問する回数を増やし、 ホームルームの全期間を通じて行った。 【結果】 『 中断を考えたことがありますか』 に対し、 『ある』、 『 ややあ る』 と答えたものは、平成20年度11名、平成21年度11名、平成22 年度10名であった。質問回数を増やした平成23年度以降は、平 成23年度22名、 平成24年度18名、 平成25年度16名とそれぞれ増 加した。 ホームルームの意義に関するアンケート調査では肯定的な 意見が多かった。 【考察】平成23年度以降、 中断に関する質問をホームルーム開催 毎に実施したことで、協力型施設での研修開始直後から、 ほぼ1 か月毎に研修時の問題点を把握することができた。 このため、 研修 歯科医のストレスを早期に発見するとともに、 その経過を見守ること が可能となり、 いくつかの問題事例で研修不調を未然に防ぐこと ができた。 P-098 歯科医師卒後臨床研修修了時のアンケート結果の分析 ○飯田 俊二1、根岸 淳1、飯塚 正2、兼平 孝2、佐藤 嘉晃2、長谷部 晃2、岡田 和樹2、北村 哲也2、鈴木 邦明2、八若 保孝2、井上 哲1 北海道大学病院 口腔総合治療部、2北海道大学大学院 歯学研究科・歯学部 FD委員会 1 Questionnaire survey on clinical training for dental residents at the time of training completion ○Shunji IIDA1, Jun NEGISHI1, Tadashi IIZUKA2, Takashi KANEHIRA2, Yoshiaki SATO2, Akira HASEBE2, Kazuki OKADA2, Tetsuya KITAMURA2, Kuniaki SUZUKI2, Yasutaka YAWAKA2, Satoshi INOUE1 1 Division of General Dentistry, Hokkaido University Hospital, Sapporo, Japan, 2FD Committee of Hokkaido University Graduate School of Dental Medicine / School of Dental Medicine, Sapporo, Japan 目的 歯科医師卒後臨床研修が必修化されてから8年が経過した。研 修プログラムの問題点も各研修施設で明らかになってきており、 プ ログラムの再検討を行っている施設も少なくないと考えられる。研 修プログラムの改善を考える時、実際にその施設で研修を受けた 研修医の生の声は重要であり、検討・再編後の研修プログラムに 可能な限り反映していくことが必要である。今回我々は、1年間の 臨床研修を修了した研修医に対し行ったアンケート調査の結果に ついて報告する。 方法 北海道大学病院平成25年度歯科研修医53名に対し、研修が終 了する平成26年3月にアンケートを行った。本アンケートでは、修了 後の進路、研修プログラム、施設・設備、研修を終えての感想等に 関する設問を16問設定し回答させた。結果について集計し分析を 行った。 また、 当院では研修必修化前の平成16年に同様のアンケ ートを行っており、 その結果との比較も試みた。 結果と考察 研修医53名中43名(単独型23名、 複合型20名) から回答を得、 回 収率は81.1%だった。回答の集計結果より、研修プログラムの目標 設定は適切と考えられた。 1年間の研修期間については半数以上 が「やや短い」 「短い」 としており、 研修内容では総合診療をさらに 充実すべきとした者が多かった。 「もう一度研修を受けるとしたら単 独型、複合型のどちらを選ぶか」 という設問に対しては、複合型の 90.0%、単独型の47.8%の研修医が「複合型」 と回答した。多くの 研修医が一年間の研修を通じ、研修協力施設で多く体験できる 高頻度治療や、地域医療の研修の必要性を感じ取ったのではな いかと考えられた。今回のデータを平成16年のものと比較すると、 指導医の態度や研修成果についての指導に関する設問で回答 の傾向に大きな変化があり、必修化前と比べて指導医の臨床研 修への取り組みが改善されていることが示唆された。 139 P-099 日本歯科大学新潟病院歯科医師臨床研修における歯科訪問診療研修プログラムの概要 ○吉岡 裕雄1、白野 美和1、赤泊 圭太1、黒川 裕臣2、二宮 一智2,3、宇野 清博2、山口 晃3、浅沼 直樹4 2 3 4 日本歯科学新潟病院訪問歯科口腔ケア科、 日本歯科大学新潟病院総合診療科、 日本歯科大学新潟病院口腔外科診療科、 日本歯科大学新 潟短期大学 1 Overview of dental visits practice training program in Nippon Dental University Niigata Hospital Dental Clinical Training ○Hiroo YOSHIOKA1, Miwa SHIRONO1, Keita AKADOMARI1, Hiroomi KUROKAWA2, Kazunori NINOMIYA2,3, Kiyohiro UNO2, Akira YAMAGUCHI3, Naoki ASANUMA4 1 The Nippon Dental University Niigata Hospital Home Dental Care Team, 2The Nippon Dental University Niigata Hospital General department, 3The Nippon Dental University Niigata Hospital Oral and Maxilfacial Surgery, 4The Nippon Dental University Niigata Hospital College at Niigata 目的:当病院では1987年に寝たきり患者の歯科医療ニーズに答える ため、在宅歯科往診ケアチームを発足し先駆的に訪問診療に取り 組んできた。近年、 セルフ口腔ケアの出来ない要介護高齢者の残 存歯数が増加しているため歯科的トラブルが増加している。 また、 要介護者の口腔ケアによる誤嚥性肺炎予防の有用性が示され、 歯科訪問診療は歯科治療だけでなく摂食・嚥下障害や肺炎ハイリ スク症例の管理などより高い専門性が求めている。 そのため、在宅 医療・介護の概念をもった歯科医師の養成が求められることとなっ た。 活動内容:当病院は歯科教育機関として歯科医師臨床研修医・ 第5学年病院実習生・歯科衛生士臨床実習生では、歯科訪問診 療に関する臨床実習を必修化している。今年度からは歯科衛生 士専攻科を設立し訪問診療に特化した歯科衛生士の育成に力を 入れている。歯科医師臨床研修医においては計8日間チーム員と して同行し、 施設・在宅における歯科訪問診療に参画している。指 導歯科医の指導の下で診療補助、 バイタル測定、 口腔ケア、歯科 治療、 口腔管理計画を実地させている。特にADLや認知症、 全身 疾患の評価は訪問診療で重要な項目となるため、聞き取りや看護 記録の読み取りなどは必ず実地させている。各研修日で任意の1 症例を選択し患者情報、治療方針、既往歴・内服薬、患者の主た る疾患の基本的な病態や訪問歯科診療における注意点などを訪 問診療研修ケースレポートとしてまとめ提出させている。評価は、 要 介護者の理解や実施した歯科治療、 訪問診療における保険制度 の理解など14項目とケースレポートに関して指導歯科医が4段階 で評価する。 結語:我々の施設は全国に先駆けて歯科訪問診療の研修プログ ラムを作成し実施してきた。訪問診療は在宅での歯科治療である と多くの研修医がイメージを持っているが、 誤嚥性肺炎予防を目的 とした口腔ケアや、 介護における口腔管理の概念をもたせることが できている。 P-100 鶴見大学歯学部附属病院における臨床研修について ○山口 博康、岩瀬 弘和、高瀬 英世、矢作 保澄、鴨志田 義功 鶴見大学歯学部附属病院総合歯科2 About the Postgraduate clinical training at Tsurumi University School of Dental Medicine hospital ○Hiroyasu YAMAGUCHI, Hirokazu IWASE, Hideyo TAKASE, Hozumi YAHAGI, Yoshinori KAMOSHIDA Department of General Dentistry Clinical Education, Tsurumi University School of Dental Medicine 平成24年度鶴見大学歯学部附属病院総合歯科2の研修は以下 の4つのプログラムを行った。 プログラム1:総合歯科単独型12名(総 合歯科12ヶ月) プログラム2:高齢者歯科単独型3名(高齢者歯 科12ヶ月) プログラム3:一般複合型 総合歯科6ヶ月、 協力型施 設6ヶ月79名 プログラム4:病院口腔外科複合型(総合歯科6ヶ月 、病院口腔外科6ヶ月13名 出身大学は鶴見大学105名 他大 学出身者が2名計107名である。前期59名、 後期56名が管理型プ ログラム大学病院にて研修を行った。新患の配当は1年間で2018 名が配当され、研修医一人平均:36.7名であった。管理型の研修 医の治療頻度として:プログラム3、4における総合歯科2の診療日 数は約115日であり1∼3名で研修医は診療日には平均2.3名の診 療を行った。 またメンテナンスは30%が含まれていた。 また、注意点 140 として研修医担当の有病者率が40%であり、臨床上注意が必要 である。 そのため、 全身疾患に対する問診、 対診など情報収集をし ている。他に初診科 口腔外科病棟 小児歯科 放射線科 高齢者歯科 障害者 インプラント外来、 受付急患担当で約30日 地域医療研修(老人ホーム) はプログラムAで12日、国際BLSライ センス取得研修は全員受講1日、 インプラント講習会2日間コースを ほぼ全員が受講した。本臨床研修ではまた有病者の割合が高い ため、 事前のリスク状況の把握、 また、 自験する上で研修医の診療 内容の理解、 実際の診療について事前治療シミュレーションをして 確認している。研修医には初めて経験する症例も多く、模型実習 のスキルラボ、 ビデオなどの視覚教材が有効と思われる。今後これ らの教育効果についても報告する予定である。 P-101 Kinect for Windows の歯科医学教育学への応用の検討 第二報 医療面接評価への応用 ○岩下 洋一朗1、河野 博史2、志野 久美子2、中山 歩2、松本 祐子2、吉田 礼子2、田口 則宏1,2 2 1 鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 歯科医学教育実践学分野、 鹿児島大学医学部・歯学部附属病院 歯科総合診療部 Application to Dental Education of Kinect for Windows. 2. Face Tracking at medical interview ○Yoichiro IWASHITA1, Hiroshi KONO2, Kumiko SHINO2, Ayumi NAKAYAMA2, Yuko MATSUMOTO2, Reiko YOSHIDA2, Norihiro TAGUCHI1,2 1 Department of Dental Education, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima, Japan, 2General Dental Practices, Kagoshima University Medical and Dental Hospital Kinect for Windowsセンサーは、 カラーカメラ、 赤外線カメラなど のセンサーアレイから構成され、 これを用いて物体のセンサーから の距離を取得し、 これを解析することにより人体の各部位の三次 元位置情報を取得し、人体の様々な情報をリアルタイムで得ること ができる安価なシステムである。代表的なものは骨格情報(人体の 各関節相当部の位置) 、 深度情報で、 さらに顔面の表情を解析す るソフトウエアも開発されている。装置のみ購入すれば、 ソフトウエ アはフリーで、 プログラムの基本能力があれば比較的簡単に測定 システムを開発でき、今後医療者教育分野への広い応用が期待 できる。歯科医学教育分野への応用の第二報として、 顔面表情解 析ソフトウエアを利用して医療面接中の研修歯科医の表情の計 測を試みた。医療面接時、歯科医師は患者に対する表情を常に 意識する必要があると考えられる。 そこで、顔面の形状を三次元 データとして抽出可能なKinectセンサーを用いて医療面接時の 顔面表情の経時的変化を測定し、 これを用いて診療姿勢トレーニ ングシステムを開発することを目的として、 基礎的検討を行った。対 象を研修歯科医とし、臨床研修OSCEでの医療面接課題におい て、研 修 歯 科 医の顔 面 形 状の三 次 元 的 位 置をK i n e c t f o r Windowsにより測定、顔面の位置、回転角度、及び表情パラメー タ情報を抽出し、 記録した。椅子に座り患者に向かっている状態を 顔面の角度から抽出し、 その状態での顔面の回転角度と表情パ ラメータを抽出した。 その結果、 研修歯科医が患者に向かっている 時の表情パラメータの経時的変化を測定することが出来た。 P-102 日本歯科大学新潟病院における臨床研修歯科医に対するチームSTEPPSを用いた医療安全教育 ○佐藤 友則1、宇野 清博1、二宮 一智1、黒川 裕臣1、山口 晃1、樋口 敦子2、関本 恒夫3 1 2 3 日本歯科大学 新潟病院、 立川綜合病院看護部、 日本歯科大学新潟生命歯学部 Medical Safety Education Using Team STEPPS for the Trainee Dentists in The Nippon Dental University Niigata Hospital ○Tomonori SATOH1, Kiyohiro UNO1, Kazunori NINOMIYA 1, Hiroomi KUROKAWA1, Akira YAMAGUCHI1, Atsuko HIGUCHI2, Tsuneo SEKIMOTO3 1 The Nippon Dental University Niigata Hospital, Niigata, Japan, 2Tatikawa Medical Center Nursing department, Nagaoka, Japan, 3The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Niigata, Niigata, Japan 【緒言】卒直後の臨床研修において歯科医療を安全に提供できる 討議、 全体発表を行い、 受講後、 アンケートを実施した。 ことは、研修目標の一つとして考えられている。 日本歯科大学新潟 【結果と考察】全体を通し、 積極的に参加する姿勢が見られ、 受講 病院では臨床研修歯科医の医療安全教育の一つとして、 チーム 後のアンケートで研修期間の振り返りを行い、 相互に関連しチーム 医療の重要性を深く学ぶことを目的としたチームSTEPPS(Team パフォーマンスの向上に影響するとされる4つのコンピテンシーにつ Strategies and Tools to Enhance Performance and Patient いて評価したところ、 「コミュニケーション」 「相互支援」の自己評価 Safety) を用いた講習を行った。 そこで今回行った講義と演習を紹 が高く 「リーダーシップ」 「状況モニター」の自己評価が低い傾向が 介し、受講後に行ったアンケート調査から興味ある知見が得られ わかった。 たので報告する。 また演習を通じ学んだ事や今後に影響を与える点では、 チーム医 【対象と方法】対象は日本歯科大学新潟病院の平成25年度臨床 療の重要性、SBARといったコミュニケーションツールの積極的導 研修歯科医22名、参加を希望した専門研修歯科医(卒後2年目 入などと回答する者が多く見られた。今回チームSTEPPSを用い 歯科医師) 2名、合計24名で、平成26年1月、外部より講師を招聘 た医療安全教育を行ったが、卒後間もない医療従事者がチーム し講義と演習を行った。講義ではチームSTEPPSの概要について を意識し、良いパフォーマンスと患者安全を高めるツールとして大 学習し、演習では参加者を4グループに分け、課題事例を用い、 変有意義なものとなり、安全な医療の提供に繋がるものとして考え Web of Life(人生の網) やチームの鎖など相互支援による演習、 られた。 141 P-103 平成18年度から平成24年度までの大阪歯科大学附属病院歯科医師臨床研修単独型プログラムの診療実績 ○北野 忠則、小川 文也、大井 治正、菊池 優子、紺井 拡隆、前田 照太 大阪歯科大学 臨床研修教育科 Status of Comprehensive Dentistry for Postgraduate Clinical Trainee at Osaka Dental University Hospital in 2006-2012 ○Tadanori KITANO, Fumiya OGAWA, Harumasa OI, Yuko KIKUCHI, Hirotaka KON'I, Teruta MAEDA Department of Postgraduate Clnical Training, Osaka Dental University, Osaka, Japan 【緒言】大阪歯科大学附属病院における単独型臨床研修は、平 成9年度より努力義務として始まった臨床研修を基盤とし、 平成18 年度の臨床研修必須化に伴いその募集研修医数を約1/3にして 新たに発足した。研修は平成9年度より本附属病院で実施されて きた総合診療方式を採用した。本附属病院単独型研修プログラム を達成するためには、 どのような診療がどの程度必要なのか検討 しなければならず、 そのためには、 現状の診療状況を把握すること が重要となる。 そこで、必修化された平成18年度から平成24年度 の7年分の診療実績を記述したので報告する。 【方法】患者ごとに 診療内容を処置行為別に作成した集計表に記載させ、 その集計 表を基にデーターベースを構築し診療実績を記述した。 【結果】研 修医数は、 平成18年度から平成24年度まで、 各年度ともに概ね30 数名であった。本研修で担当した患者数は、1年間約1000名、診 療回数は約7200回であった。 【 考察】処置別の集計では、歯周基 P-104 本治療の頻度が非常に高く、歯周基本検査回数は年間750回を越 えておりその後除石行為へと進むため、担当した患者のほとんどに 歯周基本治療を実施したことになる。次いで高頻度のものはCR充 填による歯冠修復で年間430歯を超えており、 インレーおよびFMC による歯冠修復を合わせたよりも多くなった。歯内治療については、 抜髄と感染根管治療を併せて年間約185歯を治療し、 その内訳は、 感染根管治療が抜髄の約1.2倍であった。口腔外科に関する治療 では、 ほとんどが抜歯であり年間約325歯そのうちおよそ25%が普通 抜歯であった。欠損補綴に関しては、年間総義歯25床、局部床義 歯120床前後、 ブリッジ30装置であった。本附属病院における研修 医診療日数は年間約215日、 1日の診療回数は約30数回であり、 研 修医は1日に一度必ず診療したことになる。臨床研修としては、妥 当な診療実績ではないかと考えている。 2013年度朝日大学臨床研修歯科医のメンタルヘルスに関するアンケート調査 ○横山 貴紀1、吉田 隆一1、岡 俊男1、北後 光信1、大橋 静江1、田邊 俊一郎1、山田 尚子1、長谷川 信乃1、近藤 亜子1、瀧 谷 佳晃1、松岡 正登1、安田 順一1、羽田 詩子1、松原 誠1、瀧田 史子1、都尾 元宣1、住友 伸一郎2、倉知 正和2 1 2 朝日大学 歯学部 附属病院 臨床研修委員会、 朝日大学歯科医学教育推進センター Questionnaire of the Mental health for New Dental Residents at Asahi University Hospital ○Takanori YOKOYAMA1, Takakazu YOSHIDA1, Toshio OKA1, Mitsunobu KITAGO1, Shizue OHASHI1, Toshiichirou TANABE1, Naoko YAMADA1, Sinobu HASEGAWA1, Tsuguko KONDO1, Yoshiaki TAKITANI1, Masato MATSUOKA1, Junichi YASUDA1, Utako HATA1, Makoto MATSUBARA1, Humiko TAKITA1, Motonobu MIYAO1,Shinichiro SUMITOMO2, Masakazu KURACHI2 1 Committee of Postgraduate Dental Training Program, Asahi University Hospital, Gifu, Japan, 2Center for Advancement of Dental Education, Asahi University School of Dentistry, Gifu, Japan の回答が多かった。 ストレスを感じ始めた時期やストレスが強くなっ 【緒言】歯科医師臨床研修制度が必修化され8年が経過し、 その てきた時期は研修開始から3∼4か月後が最多であり、協力型施 間、3例の研修の中断事例を経験した。 しかし、 ここ数年、 中断事例 設への出向直後に、単独型でもほぼ同時期にストレスを経験する はないが、 体調不良を訴えしばしば欠勤し、 抑うつ状態や適応障害 ストレスの原因は、指導方針の厳しさよ と判断され研修を行えない研修歯科医が増加傾向を示している。 ことが多いことがわかった。 このような研修歯科医に対し、早期メンタル面の回復と研修の継続 りも自分の甘さや技量のなさなどをストレス因と回答している者が 研修 多かった。 また、 多くの研修歯科医が自ら謝罪、 友達や親への相談 を目指し、施設の迅速かつ適正な対応が望まれている。今回、 歯科医のメンタルヘルスを把握する目的でアンケート調査を実施し で対応し、 ストレスを解決できたと回答しているものの、解決できず 【 方法】2013年度朝日大学臨床研修歯科医68名に対しアンケ た。 に我慢したり、施設を辞めたくなってさらに過度のストレスを感じた ート調査を実施した。調査時期は研修終了直前の3月に実施した。 者も存在した。 【結論】今回のアンケート調査では、 極めて早期にス アンケート内容は、 強いストレスの有無、 時期、 原因、 対応の有無、 問 トレスを経験する研修歯科医も散見され、研修開始の4月期、 出向 題解決策等について無記名で回答させた。 【 結果と考察】研修歯 開始の7月期には指導歯科医のまめな声かけ、 定期的に面談を実 科医68名の内、有効回答は58名から得られた。 その内33名が『研 施する、気軽な相談窓口を設置するなどメンタル面でのケアの充 修期間中に強いストレスを感じた』 と回答した。 ストレスを感じた対 実が必要と思われた。 象としては、担当指導歯科医が最多で、次いで他の指導歯科医と 142 P-105 臨床研修歯科医師を対象とした職業性ストレスに関する検討 ○後藤田 宏也1、葛西 一貴2、五関 たけみ2、黒木 俊一3、牧村 英樹4、長濱 文雄4、平山 聡司5、河相 安彦6、伊藤 孝訓7、 川良 美佐雄3、和田 守康4、那須 郁夫1、渋谷 鑛8、牧村 正治9 1 2 3 4 日本大学 松戸歯学部 公衆予防歯科学講座、 日本大学松戸歯学部 歯科矯正学講座、 日本大学松戸歯学部 顎口腔機能治療学講座、 5 6 7 日本大学松戸歯学部 再生歯科治療学講座、 日本大学松戸歯学部 保存修復学講座、 日本大学松戸歯学部 有床義歯補綴学、 日本大学 8 9 松戸歯学部 歯科総合診療学講座、 日本大学松戸歯学部 歯科麻酔学講座、 日本大学松戸歯学部 社会歯科学(歯科医学教育学)講座 Evaluation of occupational stress for trainee dentists ○Hiroya GOTOUDA1, Kazutaka KASAI2, Takemi GOSEKI2, Toshikazu KUROKI3, Hideki MAKIMURA4, Fumio NAGAHAMA4, Satoshi HIRAYAMA5, Yasuhiko KAWAI6, Takanori ITO7, Misao KAWARA3, Moriyasu WADA4, Ikuo NASU1, Koh SHIBUTANI8, Masaharu MAKIMURA9 1 Department of Preventive and Public Oral Health, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 2Department of Orthodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 3Department of Oral Function and Rehabilitation, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 4 Department of Renascent Dentistry, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 5Department of Operative Dentistry, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 6Department of Removable Prosthodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 7Department of Oral Diagnosis, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 8Department of Anesthesiology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 9 Department of Social Dentistry(Dental Education), Nihon University School of Dentistry at Matsudo 【目的】歯科医師臨床研修制度の必修化に伴い、労働者としての 研修歯科医の身分・処遇が改善され、 臨床研修に専念できる職場 環境の研修体制が整備されたが、 研修期間中の研修歯科医のメ ンタルヘルスに起因する臨床研修の中断事例や未修了事例が報 告されている。労働者がストレスに遭遇した際に選択する対処行 動は、職業性ストレス要因から健康問題が発生する過程に大きく 影響することも報告されている。本研究では研修歯科医のメンタル ヘルスの環境整備の検討するために精神健康状態の把握を行うこ とを目的して、職業性ストレスの調査・分析を行ったので報告する。 【方法】平成24年度日本大学松戸歯学部付属病院の管理型単 独プログラムの研修歯科医を対象として調査を行った。調査は、 厚 生労働者で開発された職業性ストレス簡易調査票(ストレスの原 因と考えられる因子、 ストレスによっておこる心身の反応およびスト レス反応に影響を与える他の因子:ストレス緩和因子、 計57項目) を 用いた。 【結果および考察】男性では自覚的な身体的負担のリスク が高く、 女性では心理的な仕事の負担と自覚的な身体的負担のリ スクが高かった。 ストレス評価において仕事の量的負担の平均は「 やや高い」、仕事のコントロールの平均は「普通」、上司の支援の 平均は「普通∼やや高い」、 同僚の支援の平均は「やや高い∼高 い」の判定であった。仕事のストレス判定図(標準のリスクを100と する)から評価した男性と女性のそれぞれの量―コントロールリスク は111、113、職場の支援リスクは85、74、総合した健康リスクは94、 83であった。 ストレスが原因と考えられる因子によるリスクが若干高 いが、 ストレス緩和因子によるリスクが低く、総合した健康リスクが 低い結果が得られ、仕事の量的負担とコントロール不足が原因と 考えられるストレスを上司や同僚などの職場の支援によりストレスを 緩和していることが示唆された。 P-106 徳島大学病院歯科医師臨床研修の実績からみたDEBUTの評価項目の検討 ○木村 智子1、安陪 晋2、岡 謙次2、篠原 千尋1、菅原 千恵子1、河野 文昭1,2 1 2 徳島大学大学院 ヘルスバイオサイエンス研究部 総合診療歯科学分野、 徳島大学病院 総合歯科診療部 Examination of evaluation items in DEBUT by Tokushima University Hospital dental clinical training records ○Tomoko KIMURA1, Susumu ABE2, Kenji OKA2, Chihiro SHINOHARA1, Chieko SUGAWARA1, Fumiaki KAWANO1,2 Department of Comprehensive Dentistry, Institute of Health Biosciences, The University of Tokushima Graduate School, Tokushima, Japan, 2Tokushima University Hospital Department of Oral Care and Clinical Education, Tokushima, Japan 1 【目的】徳島大学病院歯科医師臨床研修プログラムでは、研修評 価にオンライン歯科臨床研修評価システム (DEBUT) を採用して おり、修了要件の一つとしている。DEBUTは厚生労働省が示した 到達目標を基に、 臨床研修の評価を正確かつ効率よく行うものと位 置づけられている。 しかし、歯科医師臨床研修制度が必修化され てから9年目となる今日までその項目に見直しは加えられていない。 そこで、今回我々は現在の評価項目が徳島大学病院の臨床研 修の現状に見合ったものであるか調査するため、過去のDEBUT 入力状況について集計し分析を行ったので報告する。 【方法】平成18年度から平成24年度までに徳島大学病院で臨床 研修を行った研修歯科医267名を対象に「修得」 または「体験」 と 自己評価したDEBUT件数の一人当たりの平均値を項目毎に算出 し、 比較検討を行った。 【結果と考察】各項目のDEBUT総数を比較したところ、 「問診」 「 口腔内の診察」 「インフォームドコンセント」 「診療録」 「口腔外の診 察」 「滅菌法、消毒法」等、診療に不可欠である項目が多く選択さ れており、一人当たり年間平均100件以上であった。 また、基本的 検査法のうち、 「エックス線検査」 「齲蝕検査」など歯牙や歯周組 織に関連する検査を多く経験している一方で、 「尿検査」 「末梢神 経機能検査」 「核医学検査」等の検査項目は、一人当たり年間平 均1.2件以下となっており研修歯科医が研修期間中にほとんど経 験していないことが示された。後者は、 一般歯科を中心に行う研修 では実施が難しい検査であり、到達目標と関連が少ないことから 検討する余地がある。 以上のことより、現在の研修体系に即したDEBUTの項目に見 直す必要があると考えられる。管理型研修施設と協力型研修施 設ではカリキュラムが異なるため、各々のカリキュラムに表示される 項目を見直すことで、研修歯科医、指導歯科医ともに的確な評価 が可能となることが予想される。 143 P-107 省察的学習者から省察的実践家への第一歩 西 裕美1、○大林 泰二1、岡田 貢2、津賀 一弘3、小原 勝1、田口 則宏4、小川 哲次1 1 2 3 4 広島大学病院 口腔総合診療科、 広島大学病院 障害者歯科、 広島大学大学院医歯薬保健学研究院 先端歯科補綴学講座、 鹿児島大学 大学院医歯学総合研究科 歯科医学教育実践学分野 First Step for a Reflective Practitioner from Reflective Learner Hiromi NISHI1, ○Taiji OBAYASHI1, Mitsugi OKADA2, Kazuhiro TSUGA3, Masaru OHARA1, Norihiro TAGUCHI4, Tetsuji OGAWA1 1 Department of Advanced General Dentistry, Hiroshima University Hospital, Hiroshima, Japan, 2Department of Oral Health and Development Special Care Dentistry, Hiroshima University Hospital, Hirshima, Japan, 3Department of Advanced Prosthodontics, Institute of Biomedical and Health Sciences Hiroshima, Japan, 4Department of Dental Education, Kagoshima University Graduate School of Medical and Dental Sciences, Kagoshima, Japan 【目的】研修歯科医は医療プロフェッショナルとして、 それまでの省 察的学習者から省察的実践家への道を歩み始めることになる。我 々は、 学士課程教育並びに臨床研修において、 医療プロフェッショ ナルに必須の能力である省察力を高めるために、 Reflectionに基 づくポートフォリオ基盤型学習をすすめており、その指標として Learning Style Inventories (LSI:Honey & Mumford )を用い ている。 これらのreflectionとLSIの関係についてはすでに本学会 総会・学術大会(第27回、 第28回、 第29回、 第30回)に報告している。 今回は、臨床研修のアウトカムの1つである省察能力の獲得状況 について、平成19年から平成25年までの研修歯科医へのLSI並 びにポートフォリオ及び「歯科医師の誓い」 を用いて検討を行った。 【方法】対象は、平成19年度から平成25年度までの広島大学病 院研修歯科医322人(男171人、 女151人) とした。LSI(40項目、 ス コア80) の調査は臨床研修開始時(4月初旬) と研修修了時(3月 末) に実施した。得られたLSIにおける4つのカテゴリー (活動派、 熟考派、 理論派、 実践派) ごとに、 研修開始時と修了時における平 均スコアを比較した。 また、 SEA(Significant Event Analysis)や 研修修了時の「歯科医師の誓い」などのポートフォリオを用いて、 reflectionの深さやプロセスについて解析した。【結果と考察】全 平均スコアでは、reflectionの指標である熟考派スコア (開始 12.5±3.88、修了13.6±3.74) と理論派スコア (開始13.3±3.75、 修了 14.5±3.70) が上昇し、 管理型並びに単独型プログラムのいずれに おいても同様の結果を示した。 これらのLSIの結果とポートフォリオ の分析結果を通じて、 1年間の臨床研修によって研修歯科医が着 実に省察力を培っていることが示された。 P-108 歯科医師臨床研修修了者を対象とした調査研究 −臨床研修の満足度に関する検討− ○新田 浩1、平田 創一郎2、杉戸 博記3、大渡 凡人4、高橋 一輝4、渕田 慎也5、俣木 志朗1 1 2 3 東京医科歯科大学(TMDU)大学院 医歯学総合研究科 歯科医療行動科学分野、 東京歯科大学 社会歯科学研究室、 東京歯科大学 4 5 口腔健康臨床科学講座、 東京医科歯科大学(TMDU)大学院 医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野、 神奈川歯科大学大学院 歯学研 究科 社会歯科学講座 Questionnaire survey of postgraduate dental trainee who completed their program: Degree of the satisfaction with their postgraduate clinical training ○Hiroshi NITTA1, Soichiro HIRATA2, Hiroki SUGITO3, Tsuneto OHWATARI4, Kazuki TAKAHASHI4, Shinya FUCHIDA5, Shiro MATAKI1 1 Behavioral Dentistry, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University (TMDU), Tokyo, Japan, 2Department of Social Dentistry, Tokyo Dental College, Tokyo, Japan, 3Department of Clinical Oral Health Science, Tokyo Dental College, Tokyo, Japan, 4Gerodontology, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University (TMDU), Tokyo, Japan, 5Department of Dental Sociology, Kanagawa Dental University Graduate School of Dentistry, Yokosuka, Japan 平成22年度と23年度に歯科医師臨床研修を修了した研修歯科 医に臨床研修および進路に関する調査を行った。 それぞれ平成 22年度 2,115人、平成23年度 2,176人の歯科医師臨床研修修了 者から回答を得た。本報告では臨床研修の満足度(臨床研修全 体、研修体制等、参加した研修プログラム、研修処遇・待遇) に関 する質問について集計し、平成22年度と23年度の比較、および、 平成23年度のアンケート結果を用いて、研修機関、研修プログラム の属性間の比較を行った。 その結果、平成22年度、23年度の臨床 研修全体としての満足度はそれぞれ、 「 満足していない」2.5%、 3.5%、 「やや満足していない」8.8%、9.3%、 「どちらでもない」13.1%、 14.6%、 「やや満足している」41.6%、41.1%、 「満足している」34.0%、 31.5%であり、平成22年度、23年度間に差は認められなかった。同 様に、研修体制等、参加した臨床研修プログラム、処遇・待遇の満 足度についても平成22年度と23年度間で差は認められなかった。 144 平成23年度のアンケート結果から、臨床研修全体としての満足度 は、 1. 「歯科診療所」、 2. 「病院歯科」、 3. 「歯科大学病院」 と 「医 科大学病院」 の順に高い傾向を示した。単独型と複合型との比較 では 「医科大学病院」 と 「病院歯科」 では単独型プログラムの満足 度が複合型より有意に高かった。単独型プログラムでは1. 「歯科 診療所」、 2. 「病院歯科」、 3. 「歯科大学病院」 と 「医科大学病院」 の順に、複合型プログラムでは1. 「歯科診療所」、 2. 「歯科大学病 院」、 3. 「医科大学病院」、 4. 「病院歯科」 の順に満足度が高い傾 向を示した。本研究により、今後の歯科医師臨床研修制度におけ るより効果の高いプログラム及び運用等の改善を図るための基礎 資料を収集することができた。本研究は、厚生労働科学研究費補 助金 地域医療基盤開発推進研究事業(H24−医療−指定−045 ) の一環として行われた。 P-109 臨床研修医のインシデント・アクシデント報告について 山本 英雄、○鈴木 絵里、岩瀬 弘和、湯浅 茂平、小野寺 進二、山口 博康 鶴見大学 歯学部 附属病院 総合歯科2 About a Resident's incident accident report Hideo YAMAMOTO, ○Eri SUZUKI, Hirokazu IWASE, Mohei YUASA, Shinji ONODERA, Hiroyasu YAMAGUCHI Department of General Dentistry and Clinical Education, Tsurumi University School of Dental Medicine, Yokohama, Japan 本学での卒後臨床研修はAコース:1年を通じて鶴見大学歯学 部附属病院総合歯科2での診療に従事。Bコース:協力型歯科医 院、 本学総合歯科2に6か月ごとに従事。Cコース:総合病院歯科口 腔外科、本学総合歯科2に6か月ごとに従事、 の3コースよりなって いる。臨床研修歯科医は歯科医師免許を取得しているといえども、 臨床経験が浅いためインシデント・アクシデントを発生する可能性 が高い。歯科医師臨床研修では基本的な診療能力を身につけ、 医療安全にも配慮した治療ができることが重要である。1年間の歯 科医師臨床研修では個人の習熟状況が研修医によって異なるた め、 インシデント ・アクシデントの発生状況を分析し、傾向を知ってお くことも指導者側の責務と考えられる。1年間のインシデント・アクシ デントの分析により発生を未然に防止することが可能になると思わ れる。 そこで平成24年度本学総合歯科2において生じたインシ デント、 アクシデントについて、 即時報告書をもとに、 発生状況、 事象 について検討したので報告する。結果は、 即時報告書の提出は56 件で、 研修医43件、 臨床助手・専科生8件、 指導医5件であった。即 時報告書はアクシデント、 インシデント、 クレーム、 その他に分類され ており、 それぞれ、33件、11件、6件、6件であった。事象としては皮 膚・粘膜の損傷、気腫が19件と最も多く、 ついでX線写真の撮影、 問診不足、 説明不足が6件であった。 本院では研修医の即時報 告書が多いことからも研修医のインシデント、 アクシデントの発生時 期などを調査することが重要と考えられる。 P-110 歯科医師臨床研修修了者を対象とした調査研究−全身管理およびチーム医療を目的とした研修に関する検討− ○大渡 凡人1、高橋 一輝1、平田 創一郎2、杉戸 博記3、渕田 慎也 4、新田 浩5、俣木 志朗5 1 2 3 東京医科歯科大学(TMDU)大学院 医歯学総合研究科 高齢者歯科学分野、 東京歯科大学 社会歯科学研究室、 東京歯科大学 口 4 5 腔健康臨床科学講座、 神奈川歯科大学大学院 歯学研究科 社会歯科学講座、 東京医科歯科大学(TMDU)大学院 医歯学総合研究科 歯科医療行動科学分野 Questionnaire survey of postgraduate dental trainee who completed their program: Trainee experience of medically ill patient and team medical care ○Ohwatari TSUNETO1, Kazuki TAKAHASHI1, Soichiro HIRATA2, Hiroki SUGITO3, Shinya FUCHIDA4, Hiroshi NITTA5, Shiro MATAKI5 1 Gerodontology, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University (TMDU), Tokyo, Japan , 2Department of Social Dentistry, Tokyo Dental College, Tokyo, Japan, 3Department of Clinical Oral Health Science, Tokyo Dental College, Tokyo, Japan, 4Department of Dental Sociology, Kanagawa Dental University Graduate School o f Dentistry, Yokosuka, Japan, 5Behavioral Dentistry, Graduate School, Tokyo Medical and Dental University (TMDU), Tokyo, Japan 緒言: 我が国は2007年に超高齢社会となったが、高齢化率は今後もさら に上昇することが予測されている。 この変化に対応するため、歯科 医師臨床研修においても全身管理研修、 ならびに在宅歯科診療、 チーム医療に対応するための研修が行われている。本研究では その実態を明らかにすることを目的として、平成22年度(H22)、平成 23年度(H23)臨床歯科研修修了者を対象に厚生労働省が行った 調査結果を解析した。 方法: H22:2115人およびH23:2176人から得られた調査結果のうち、本 研究目的に該当する質問への回答について、年度、研修機関属 性(単独型=1、複合型=2)、 ならびに施設群(歯科大学=「歯」、医 科大学病院=「医」、歯科診療所=「診」)による比較検討を行った。 結果: 全身管理ならびに在宅歯科診療に関する研修では見学(H22、 H23=87.0%、87.4%)が最も多く、ついで治療への参加であった。 チーム医療では口腔ケア(53.8%、53.9%)、摂食嚥下の順であった。 歯科以外の連携職種では看護師が最も多く(50.1%、49.9%)、 つい で医師であった。 しかし、年度では明かな変化を認めなかった。一 方、研修機関属性において2は1に比べて見学(H22:1、2=91.7%、 83.7%、H23:92.1%、84.2%)ならびに治療による研修において有意 に低かった。 チーム医療への参加、連携職種においても2は1に比 べて有意に少なかった.施設群では 「医」 は 「診」、 「歯」 に比べて入 院 治 療 ( H 2 2「 : 歯 」、 「 医 」、 「 診 」= 2 0 . 0 % 、8 9 . 8 % 、4 1 . 9 % 、 H23:20.9%、92.6%、26.4%)、入院ケアなど多くの選択肢において 有意に高かった。 チーム医療への参加、連携職種においても 「医」 は 「診」、 「歯」 に比べて有意に多かった。 結語: 全身管理、在宅歯科診療およびチーム医療に関する研修では研 修機関属性ならびに施設群による差が大きいことが示された。 な お、本研究は厚生労働科学研究費補助金(H24-医療-指定-045) の一環として行われた。 145 P-111 歯科教育用患者ロボットシミュレーションシステムSIMROIDを用いた矯正用ブラケット装着実習 ○宮下 渉1、宇塚 聡1、内田 裕子1、岩崎 由香利1、片岡 彩乃1、小森 成1、原 節宏1、秋山 仁志1、三代 冬彦1、羽村 章2 1 2 日本歯科大学 附属病院、 日本歯科大学 生命歯学部 Application of dental educational simlation system "SIMROID" to training of orthodontic bracket placement ○Wataru MIYASHITA1, Satoshi UZUKA1, Yuko UCHIDA1, Yukari IWASAKI1, Ayano KATAOKA1, Akira KOMORI1, Setsuhiro HARA1, Hitoshi AKIYAMA1, Fuyuhiko MISHIRO1, Akira HAMURA2 1 The Nippon Dental University Hospital, Tokyo, Japan, 2The Nippon Dental University School of Life Dentistry at Tokyo 【目的】本学においては、臨床実習のさらなる充実を目指して臨床 実習室の改装を行うとともに新たに歯科教育用患者ロボットシミュ レーションシステムS IMROID 3台と専用のパーテーションルーム (SIMROID実習室) を臨床実習室内に設置した。今回、 それらの 実習環境の評価とSIMROIDの矯正歯科治療に対する応用を目 的として、卒後研修プログラム矯正歯科研修コースの在籍者を対 象としたブラケット装着実習を行ったため報告する。 【方法】卒後研 修プログラム矯正歯科研修コース在籍者(1年目 :5名、2年目 :3名、 計8名) を対象とし、 SIMROIDを用いた矯正用ブラケット装着実習 を行った。 ブラケットの装着は、 叢生模型の上顎歯列の14歯に対し て行い、実習中のSIMROIDの動作ならびに反応は音声認識機 能としてマニュアル操作は行わずに実習を進めた。 なお、 実習指導 者ならびにSIMROID操作者は、SIMROID実習室の外側よりマ ジックミラー越しに、 もしくはモニタ画面越しに実習の様子を観察し、 実習者に過度な緊張感を与えないよう配慮した。実習終了後は、 実習者にアンケートへの回答を依頼するとともに、模型を取り外し、 3名の指導医によりブラケット位置の評価がなされた。 【結果】 アンケ ートに対する回答においては、従来のファントム実習に対する優位 性やSIMROIDを用いた教育の有益性について高い評価が得ら れた。 また、粘膜素材の硬さや揺らぎ動作の大きさによりブラケット の装着がやり辛かったとの意見が多数あった。一方、 指導医による ブラケット位置の採点結果においては、 すべての項目で1年目よりも 2年目の実習者の点数が高く、 「歯冠長軸に対するブラケットの角 度」 と 「概略評定」においては有意差が認められた。 【 考察および 結論】SIMROIDを用いたブラケット装着実習を行ったところ、 SIMROID実習の意義ならびに矯正歯科治療分野への有効性が 確認された。 P-112 インプラント手術におけるドリリング中の力覚の定量化とその教育方法について ○高野 直樹1、木下 英明2、矢島 安朝3、井出 吉信2、阿部 伸一2 1 2 3 慶應義塾大学 理工学部 機械工学科、 東京歯科大学 解剖学講座、 東京歯科大学 口腔インプラント学講座 On the quantification of drilling force sensing during implant surgery and its education ○Naoki TAKANO1, Hideaki KINOSHITA2, Yasutomo YAJIMA3, Yoshinobu IDE2, Sinichi ABE2 Department of Mechanical Engineering, Keio University, Kanagawa, Japan, 2Department of Anatomy, Tokyo Dental College, Tokyo, Japan, 3Department of Oral and Maxillofacial Implantology, Tokyo Dental College, Tokyo, Japan 1 【目的】 インプラント手術におけるドリリング行為は非可逆的処置で あるため十分な訓練と知識が必要となる。 ドリリング時の抵抗値に 関する報告は過去にあるが、 術者の手指に感じる切削抵抗を定量 化するのは非常に困難である。現在慶應義塾大学理工学部と東 京歯科大学解剖学講座および口腔インプラント学講座では力覚体 感型インプラント手術シミュレーターの共同開発を進めている。今回 自家開発のシミュレーターを用いて、 ドリリング中の力覚の定量化と その教育方法について検討した。 【 対象ならびに方法】下顎臼歯 部をマイクロCTにて撮影し、骨梁構造を含んだ三次元有限要素 モデルを作製した。 シミュレーター上でドリリング時の反力を再現す るにあたり、 信頼性の確保の為に新鮮屍体を用いて計測した反力 値をソフト上で対応させた。 インプラント手術の経験のある歯科医 師6名にシミュレーターを使用してもらい、 3つのモデル間のドリリン 146 グ時の力覚の違いについての評価を行った。 【 結果および考察】 上部皮質骨から海綿骨領域に入る瞬間の骨質の差をシミュレータ ー上で表現できた。今回の3つのモデルは海綿骨領域に入った付 近をドリリングするのに必要な荷重は2∼3Nであった。 その後、 2つ のモデルではドリリングに必要な荷重は1Nに低下するほど軟らか い骨質であった。最も軟らかいモデルではハンドピースの重さだけ でもドリリングが進行する。熟練医から、実際の患者にも多くあるタ イプとのアンケート結果が得られた。 6名ともモデル間の骨質の差を 正しく感じることができた。最も硬いモデルを各自の臨床経験と比 較して頂いたアンケート結果では、症例が少ない場合には軟らか いと感じ、症例数の増加と硬さの基準値の変化には相関性が見 出せた。以上の結果をふまえ、 症例が少ない歯科医師でも本シミュ レーターを用いて擬似体験を積むことで、 ドリリングの力覚の経験 値を蓄積することが可能であると考えられる。 P-113 歯科医師を対象とした医療メディエーションワークショップの概要 ○岡田 智雄1、大澤 銀子1、仲谷 寛1、内川 喜盛2、俣木 志朗3 1 2 3 日本歯科大学附属病院 総合診療科、 日本歯科大学附属病院 小児歯科、 東京医科歯科大学 歯学部 口腔総合診断学講座 The outline of medical mediation workshops for dentists ○Tomoo OKADA1, Ginko OSAWA1, Hiroshi NAKAYA1, Yoshimori UCHIKAWA2, Shiro MATAKI3 1 General Dentistry, Nippon Dental University Hospital, Tokyo, Japan, 2Pediatric Dentistry, Nippon Dental University Hospital, Tokyo, Japan, 3Department of Oral Diagnosis, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan 【目的】医療メディエーションとは、患者と医療者の対話を促進する は医療を行う上で重要だと思いますか」 「医療メディエーションは日 ことを通して、関係再構築をはかる対話モデルであり、専門技法と 常診療・教育等にも役立てることができると思いますか」 では全員 倫理性が必要とされる。今回、医療メディエーション技法取得を目 が 「思う」 に回答した。 しかし、 「患者もしくはその家族等とのコンフリ 的に、歯科医師を対象とした医療メディエーションワークショップを クトにご自分で対応できると思いますか」の回答では 「思う」7名、 実施したので、 その概要について報告する。 【方法】対象:歯科医 「どちらとも言えない」2名、 「思わない」3名であり、短時間の研修に 師12名。 ファシリテーター:日本医療メディエーター協会トレーナー よる技能取得の困難性を示した。 また、 「行政処分を受けた医師・ 依田明久氏 内容:講義: 「医療メディエーション概略」、 「 傾聴」、 歯科医師の再教育団体研修におけるテーマとして医療メディエー 「ロールプレイ前解説」ワーク:傾聴ワーク、 ロールプレイ1・2、質 ションが適切と思うか」 では 「思う」が9名「どちらとも言えない」が3 疑、 プレ・ポストテスト、 プレ・ポストアンケート。 【結果と考察】 アンケー 名であった。研修後の感想では、 ロールプレイの設定について多 トの結果より参加者12名中、 「患者またはその家族とのコンフリクト 数の意見があり、今後歯科医師を対象とした医療メディエーション の対応をすることがある」 で 「ある」 との回答は11名であり、 ほぼ全 ワークショップを実施していくために、 より歯科医療の実態に即した 員が実務にてコンフリクトの体験があった。 「医療メディエーション シナリオ作成の重要性が示唆された。 P-114 NPO法人日本歯科放射線学会生涯学習教育講座 通信教育レポートの結果とアンケートとの比較 ○関谷 恵子1、金田 隆1,2、浅海 淳一2、奥村 泰彦2、佐野 司2、清水谷 公成2、小豆島 正典2、田口 明2、 内藤 宗孝2、 中山 英二2、本田 和也2、森本 泰宏2、代居 敬2、有地 榮一郎3 1 2 日本大学松戸歯学部放射線学講座、 NPO法人日本歯科放射線学会教育委員会歯科医師生涯学習研修担当委員会、 3 NPO法人日本歯科放射線学会理事長 Comparative study of the questionnaire with the report of the lifelong learning on the Japanese Society for Oral and Maxillofacial Radiology ○Keiko SEKIYA1, Takashi KANEDA1,2, Junichi ASAUMI2, Yasuhiko OKUMURA2, Tsukasa SANO2, Kimishige SHIMIZUTANI2, Masanori SHOZUSHIMA2, Akira TAGUCHI2, Munetaka NAITO2, Eiji NAKAYAMA2, Kazuhuya HONDA2, Yasuhiro MORIMOTO2, Takashi YOSUE2, Eiichiro ARIJI3 1 Department of Radiology, School of Dentistry at Matsudo, Nihon University, Matsudo, Japan, 2Committee of lifelong learning course on Education in the Japanese Society for Oral Maxillofacial Radiology (Non Profitable Organization), 3Executive Director of the Japanese Society for Oral Maxillofacial Radiology [目的] 日本歯科放射線学会では一般開業医への実習を主体とし た歯科医師生涯学習研修会を平成19年より実施し、 それに並行 して優良医へ通信制による生涯学習教育講座も実施している。 そ れはパノラマエックス線所見作成で、同時にアンケートも実施して いる。本演題の目的は通信教育による生涯学習教育講座の読影 レポートの結果とアンケート結果を比較し報告することである。 [対 象と方法]対象は日本歯科放射線学会優良医のうち平成25年度 に実施された読影レポートおよびアンケートを提出した188名であ る。読影レポートは2症例を実施し、生涯学習研修担当委員の2名 の点数を平均した。 アンケートは所見作成症例の難易度について 問い、 またレポート作成について大変だった点とためになった点を 尋ねた。難易度は5段階の評価に設定した。読影レポートの得点と 難易度について比較し、相関はSpearman’s correlationを用い て関係を評価した。 [結果]読影レポートの結果はレポート1で10点 満点中、平均8.7点で最高10点、最低6点であり、 レポート2でも平均 8.7点で最高10点、最低6点であった。 レポートの合計得点の結果 は20点満点で、平均17.4点であり最高20点、最低13点であった。 難易度の結果はレポート1で平均2.7であり、 レポート2では平均3.1 であった。読影レポートの得点と難易度を比較したところ、相関は みられなかった。 アンケート結果でレポート作成の大変だった点は、 「所見の書き方」 が最も多く、次いで 「読影」 であった。 また、 レポート 作成でためになった点は、知識の再確認や勉強してためになった 等の意見が多かった。 [結論]通信教育による読影レポートの結果 とその評価を示し、 あわせてアンケート結果を報告した。優良医で ある歯科開業医からは通信教育により非常に勉強になった等の 好意的な意見が多数よせられた。今後も学会を主体とした歯科医 師生涯学習研修として通信教育を継続していく必要性が示唆さ れた。 147 P-115 岡山大学病院で臨床研修を行った女性歯科医師の現況について−第一報− ○塩津 範子1、桑山 香織1、河野 隆幸1、大塚 恵理2、武田 宏明1、鈴木 康司1、吉田 登志子3、白井 肇1、 鳥井 康弘1 1 2 岡山大学病院 総合歯科、 岡山大学大学院医歯薬学総合研究科 社会環境生命科学専攻 総合歯科学分野、 3 岡山大学 医療教育統合開発センター (歯学教育部門) Current status of female dentists completed the course of post graduate clinical training at Okayama University Hospital -Part 1○Noriko SHIOTSU1, Kaori KUWAYAMA1, Takayuki KONO1, Eri OHTSUKA2, Hiraoki TAKETA1, Koji SUZUKI1, Toshiko YOSHIDA3, Hajime SHIRAI1, Yasuhiro TORII1 1 Comprehensive Dental Clinic, Okayama University Hospital, Okayama, Japan, 2Department of Comprehensive Dentistry, Division of Social and Environmental Sciences, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry and Phar, 3Center for the Development of Medical and Health Care Education (Dental Education), Okayama University, Okayama, Japan 【諸言】厚生労働省が行った平成24年医師・歯科医師・薬剤師調 査によると、歯科医師全体に占める女性歯科医師の割合は21.7% であるが、29歳以下では42.1%で、女性歯科医師が今後の歯科 医療の大きな担い手になることは間違いない。 しかしながら、女性 の一生には様々なライフイベントがあるため、歯科医師として一生 涯働くことは困難な場合が多いと予測される。今回、岡山大学病 院で臨床研修を行った女性歯科医師を対象に、女性歯科医師の キャリア形成やライフプランに影響を与える要因を検討する目的で アンケート調査を行ったので、 その第一報として、 アンケート調査の 概要と研修修了後の現況について報告する。 【方法】平成18年度 から平成24年度に岡山大学病院で歯科医師臨床研修を行った 女性歯科医師188人を対象として、 インターネットを用いたアンケー ト調査を行った。 なお、本研究は岡山大学病院倫理委員会の承認 を受けて実施した。 【結果と考察】 アンケートの有効回答者は114人 (平均年齢30.1歳) で回答率は60.6%だった。回答者中、既婚者は 55.8%、有子率は33.6%であった。現在の就労率は79.6%で、就労 している女性歯科医師の勤務形態は41.1%が常勤であった。就労 者の勤務場所は、診療所が56.7%、病院(大学病院を含む)が 43.3%であった。非常勤の理由は、大学院生であるためや、雇用条 件や家庭の事情であった。既婚者の有子率を勤務形態別に見る と、常勤者は29.4%、非常勤者は44.0%、そして非就労者では 85.7%であった。 また、全体の休職経験者は38.1%で、 その67.4% が出産・育児が理由としていた。以上のことから、 出産や育児に伴 う歯科医師としてのキャリアの中断が、女性歯科医師の最初の大 きな問題であることが示された。 P-116 共用試験歯学系OSCEの8年間にわたる基礎的研究 ○片桐 瑞希、仁田 善雄、関本 恒夫、俣木 志朗、江藤 一洋、歯学系OSCE合同委員会 医療系大学間共用試験実施評価機構 A study on OSCE in the Dental Nationwide Common Achievement Test for eight years ○Mizuki KATAGIRI, Yoshio NITTA, Tsuneo SEKIMOTO, Shirou MATAKI, Kazuhiro ETO, Goudouiinkai SHIGAKUKEI OSCE Common Achievement Tests Organization, Tokyo, Japan 【目的】臨床実習開始前の到達度評価である共用試験歯学系 OSCEの正式実施開始後8年間にわたる成績について、基礎的 解析を行った。 【方法】公平性、信頼性、妥当性の検討のため、課 題セット間の難易度差、級内相関、G係数、総得点と系統別得点 の相関、OSCEとCBTの得点間の相関を求めた。総得点、概略評 定、系統別得点の年次推移についても解析した。受験者数は、 2006年度2,602名∼2013年度2,356名であった。 【結果】総得点の 分布は2006年の分布が異なる傾向にあったが、他の年度はほぼ 一定の分布を示した。年度別平均値は正式実施開始当初の2年 間を除き、一定の値となっていた(84点台)。概略評定も同様に 2006年を除き、4.5台であり、平均−2SD値は3.7∼3.8とほぼ一定の 値を示した。系統別得点は3年移動平均で検討した。有意な増加 傾向がみられたのは初診時医療面接であった。公平性・信頼性・ 妥当性の検討では、課題セット間の難易度指標の標準偏差は、各 148 年ともほぼ1であり、難易度差は小さかった。信頼性の指標の級内 相関は評価者の一致が悪い項目がほぼ10%未満であり、良好な 結果であった。G係数は0.5∼0.7であった。約8割の学生が80点以 上の得点であり天井効果の影響が考えられた。総得点と系統別 得点には0.4∼0.6の相関がみられた。CBTとOSCE(概略評定) に は、0.3∼0.37と弱い相関が見られ、OSCEがCBTとは異なる能力 を測定していると考えられた。 【まとめ】全体的には得点の平均値、 分布は安定しており、公平性、信頼性、妥当性の指標がほぼ妥当 なレベルに達しており、適正な試験が実施できていると考える。本 調査を実施するにあたり、(社)医療系大学間共用試験実施評価 機構に参加している全29歯科大学・歯学部、共用試験歯学系 OSCE実施小委員会、同事後評価解析小委員会の各委員にご 協力をいただきました。心より感謝の意を表します。 P-117 2013年度卒前教育での口腔インプラント実習に対するアンケート調査 ○田村 暢章、竹島 浩、龍田 恒康、田草川 徹、森 一将、嶋田 淳 明海大学 歯学部 病態診断治療学講座 口腔顎顔面外科学分野1 Questionnaire study of Oral Implant training for undergraduate student in 2013 ○Nobuaki TAMURA, Hiroshi TAKESHIMA, Tsuneyasu TATSUTA, Toru TAKUSAGAWA, Kazumasa MORI, Jun SHIMADA First Department of Oral and Maxillofacial Surgery, Diagnostic and Theraputic Sciences, Meikai University School of Dentistry 【目的】 当科において1996年より始められた歯学部学生の卒前イン プラント教育に対して、 これまでに過去4年間のインプラント実習に 関するアンケート調査を報告してきた。今回はこれまでの埋入実習 とともにCT画像シミュレーション実習を追加し、実習前後での理解 度や意識の変化を評価し、今後の実習の質の向上のためにアン ケート調査を実施したので、その概要と結果について報告する。 【方法】2013年度に本学5学年での口腔インプラント実習を行った 学生104名(男性72名、女性32名) を対象とし、実習前・後にアン ケートを実施し、集計を行い評価した。 【結果】実習前にインプラント 治療に興味があると回答した学生は50名(48.1%)であったのに対 し、実習後には66名(63.4%)へと増加しており、 また歯科医師免許 取 得 後インプラント治 療を導 入したいと回答した学 生も5 5 名 (52.9%)から65名(62.5%)へと増加していた。 また患者さんの立場と してインプラント治療をしたいと考える学生も78名(75%)から85名 (81.7%)と増加し、 その際に術前のCTシミュレーションについても絶 対必要だと考える学生数も増加傾向にあった。 さらに卒前でのイン プラント実習や臨床見学は絶対に必要だと回答した学生も実習前 と比較して実習後で増加していた。 【考察】 インプラント治療による さまざまな合併症が叫ばれる中で、今後患者への安全で安心な治 療を提供するうえで、CTによる画像診断・解析を含めた学生実習 は必要である。今回、実習前にインプラント治療をほとんど理解して いない学生が多数を占めていたが(91名: 87.5%)、本実習を通じて 理解を深めることで、今後の学習意欲と将来の臨床導入に対する 期待を獲得することができ教育効果があったと考えられた。 P-118 鶴見大学歯学部臨床実習における患者アンケート調査 ○三浦 英司1、坂本 富則2、中村 善治3、長野 孝俊4、山崎 泰志5、新保 秀仁1、重田 優子3、小川 匠3、大久保 力廣1、小林 馨6 1 鶴見大学 歯学部 有床義歯補綴学講座、2鶴見大学 歯学部 保存修復学講座、3鶴見大学 歯学部 クラウンブリッジ補綴学講座、4鶴見大学 歯学部 歯周病学講座、5鶴見大学 歯学部 歯内療法学講座、6鶴見大学 歯学部 口腔顎顔面放射線・画像診断学講座 Questionnaire survey for patients of dental clinical training in Tsurumi University ○Eiji MIURA1, Tominori SAKAMOTO2, Yoshiharu NAKAMURA3, Takatoshi NAGANO4, Yasushi YAMAZAKI5, Hidemasa SHIMPO1, Yuko SHIGETA3, Takumi OGAWA3, Chikahiro OKUBO1, Kaoru KOBAYASHI6 1 Department of Removable Prithodontics, Tsurumi University school of dental medicine, Kanagawa, Japan, 2Department of Operative dentistry, Tsurumi University school of dental medicine, Kanagawa, Japan, 3Department of Fixed Prithodontics, Tsurumi University school of dental medicine, Kanagawa, Japan, 4Department of Periodontology, Tsurumi University school of dental medicine, Kanagawa, Japan, 5Department of Endodontics, Tsurumi University school of dental medicine, Kanagawa, Japan, 6Department of Oral Radiology, Tsurumi University school of dental medicine, Kanagawa, Japan 鶴見大学歯学部では歯学部創立以来、約40年間にわたり診療 参加型の臨床実習を行っている。臨床実習は5年次4月から9週間 の臨床予備実習、 それに続く1年間の各科実習と総合歯科1から 構成されている。各科実習は口腔外科、麻酔科、小児歯科、矯正 科などの専門科で実習を行うものであり、総合歯科1は指導教員 のもとで学生が患者を担当し、診査、診断、治療計画の立案をした 後、保存、補綴診療を行うものである。 総合歯科1で治療を受ける患者には、担当する学生が共用試 験を合格しており、教員の指導下で実際に治療を行うことについ て承諾を得ている。 しかし、患者の中には歯科医師の資格を持た ない学生に診療されることに、不安や不満を抱いているものは少な くないと思われる。 そこで患者のマイナス要因を減らすとともに、学 生の意識や技能の向上、臨床実習システムの改善を図る目的でア ンケート調査を行ったので報告する。 アンケート調査は、臨床実習終了直前の5月に総合歯科1に来 院した患者を対象として無記名で行った。調査項目は、年齢、性 別、総合歯科1への通院歴、学生の態度、言葉遣い、 身だしなみ、 治療内容説明の有無、説明のわかりやすさ、治療時の不安、不 快、治療時間、治療回数、治療技術、指導医の態度などである。 アンケートに回答した患者は220名、男女比1:2で、70歳代が約 40%を占めた。 また、総合歯科1での治療が4年目という患者が約 30%おり通院歴の中では最も多かった。評価項目においては、概ね 好意的な評価が多かった。 149 P-119 医・歯・薬・保健医療学部による学部連携病棟実習での学び ○榎田 めぐみ1、鈴木 久義1、片岡 竜太2、馬谷原 光織2、今福 輪太郎3、小倉 浩4、刑部 慶太郎4、松木 恵里1、木内 祐二5、 高木 康6、倉田 知光4、下司 映一1 2 5 1 昭和大学 保健医療学部 看護学科、 昭和大学 歯学部、3岐阜大学 医学教育開発研究センター、4昭和大学 富士吉田教育部、 昭和 大学 薬学部、6昭和大学 医学部 Learning in multidiscipline hospital practicum type education ○Megumi ENOKIDA1, Hisayoshi SUZUKI1, Ryuta KATAOKA2, Mitsuori MAYAHARA2, Rintaro IMAFYKU3, Hiroshi OGURA4, Keitaro OSAKABE4, Eri MATSUKI1, Yuji KIUCHI5, Yasushi TAKAGI6, Norimitsu KURATA4, Eiichi GESHI1 1 Department of Nursing, School of Nursing and Rehabilitation, Showa University, Yokohama, Kanagawa, Japan, 2School of Dentistry, Showa University, Tokyo, Japan, 3Medical Education Development Center, Gifu University, Gifu, Japan, 4Faculty of Arts and Sciences at Fujiyoshida, Showa University, Yamanashi, Japan, 5School of Pharmacy, Showa University, Tokyo, Japan, 6School of Medicine, Showa University, Tokyo, Japan 【目的】昭和大学ではチーム医療に貢献できる医療人養成を目的 ランの立案》、一部提案、実施するという過程をたどっていた。実習 に、体系的、段階的な学部連携教育を導入している。 チーム医療 中における 《他学部生の活動の見学》 は、 それぞれの学部の専門 教育の仕上げである学部連携病棟実習は、医・歯・薬学部5年 的な役割を相互に理解し合うだけでなく、各学部の実習では気づ 生、保健医療学部(看護、作業 療法学科4年生、理学療法学科3 けない幅広い視点を養うものとなっていた。 チーム医療の実践を促 年生) を対象とした必修科目であり、4学部合同チーム (4∼6人程 すものとして重要となるのは、 《チーム医療に必要なコミュニケー 度、約120チーム) で1週間同じ患者を担当し患者の問題をチーム ション》 であり、 チーム内での情報共有、傾聴する姿勢がそれに含 で討議しながら解決することを目指した実習である。本研究では、 まれていた。他学部の状況の理解と配慮、共に取り組む姿勢を含 その教育効果を明らかにすることを目的とする。 む 《協働/チームワーク》 も同様であった。 この学習過程を経験した 【方法】実習終了後に学生が提出したポートフォリオの記述内容に 学生は、多角的に患者にかかわれたという感覚を持ち、多職種連 ついて質的分析を行い、 カテゴリー関連図を作成、本文ではカテ 携の必要性の再認識できる充実した実習として本実習を位置づ ゴリーを 《 》 で示した。 けていた。 【結果・考察】本実習におけるチーム医療の実践は、 チームでプロ 【結語】本実習はチーム医療に貢献できる医療人養成に寄与する ブレムマップを作成するという作業を通して 《患者の全体像の把 ものと考える。 握》 をすることから始まり、 《患者の退院後を見据えた治療・ケアプ P-120 共用試験CBT問題作成が教員の教育活動と意識に与える影響について ○後藤田 宏也1、葛西 一貴2、西村 均3、平塚 浩一4、平山 聡司5、金田 隆6、齋藤 孝親7、松島 潔8、河相 安彦9、 那須 郁夫 1、渋谷 鑛10、牧村 正治11 1 3 4 日本大学松戸歯学部公衆予防歯科学講座、2日本大学松戸歯学部歯科矯正学講座、 日本大学松戸歯学部口腔外科学講座、 日本大学松戸 5 日本大学松戸歯学部保存修復学講座、6日本大学松戸歯学部放射線学講座、7日本大学松戸歯学部社会歯 歯学部生化学・分子生物学講座、 科学(医療情報学)講座、8日本大学松戸歯学部歯内療法学講座、9日本大学松戸歯学部有床義歯補綴学講座、10日本大学松戸歯学部歯科麻 11 酔学講座、 日本大学松戸歯学部社会歯科学(歯科医学教育学)講座 Effect of preparation of CBT questions on educational activities and consciousness ○Hiroya GOTOUDA 1 , Kazutaka KASAI 2 , Hitoshi NISHIMURA 3 , Koichi HIRATSUKA 4 , Satoshi HIRAYAMA 5 , Takashi KANEDA 6 , Takachika SAITO 7 , Kiyoshi MATSUSHIMA8, Yasuhiko KAWAI9, Ikuo NASU1, Koh SHIBUTANI10, Masaharu MAKIMURA11 1 Nihon University School of Preventive and Public Oral Health, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 2Department of Orthodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 3Department of Oral surgery, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 4Department of Biochemistry and molecular biology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 5Department of Operative Dentistry, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 6Department of Radiology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 7Department of Social dentistry (Medical informatics), Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 8Department of Endodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 9Department of Removable Prosthodontics, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 10Department of Anesthesiology, Nihon University School of Dentistry at Matsudo, 11Department of Social Dentistry(Dental Education),Nihon University School of Dentistry at Matsudo 【目的】共用試験CBTの実施の準備および運営は参加大学教職 員が責任者となって行われ、試験問題は毎年、大学から公募によ り作成される。各大学では学内研修会、 ブラッシュアップのための 委員会の設置など教員の教育能力向上の取り組みが実施されて いる。今回、CBT問題作成作業が教育に対する意識や教育活動 への効果と影響について検討を加えた。 【方法】平成25年度のCB T問題作成責任者を対象に無記名のアンケート調査(CBT問題作 成や教育活動に関する選択式および自由記載、 中山らの報告参 考)を実施した。 【 結果および考察】問題作成開始時期は4月が 76%と最も多かった。CBT作問作業を通じて歯科教育モデル・コ ア・カリキュラム理解が深まった(深まった+少し深まった)、教育の重 要性が理解できた(理解できた+おおむね理解できた)、教育に対 する意識の向上に効果があった(効果があった+おおむね効果が あった)がそれぞれ75%以上であった。共用試験0SCEへの関与は 150 86%が関与し、関与内容(複数回答)は当日(前日)に参加・準備が 67%と最も多く、評価者が52%、0SCE準備教育に参加が29%で あった。 また自由記載として、 「問題作成の要点の理解と他の学年 の問題作成にも応用できた」、 「シラバス作成や講義時などにモデ ル・コア・カリキュラムを過不足なく利用できた」、 「診断、診査をする うえで基礎的なエビデンスを考え、基礎と臨床のつながりを考えや すくなった」、 「教員全体の意識と問題レベルの向上が期待できる」 などの肯定的な意見がある一方で、 「視覚素材用の写真の撮影 に時間を費やし診療に影響を与えている」、 「期間は限定だが、 か なりのエフォートが要求され、他の業務への遂行に支障がある」 な どの回答もみられた。CBT問題作成は教育活動への効果や意識 の向上に寄与していることが示唆されたが、教員の負担増なども 否めず、問題作成体制の改善も今後の課題と考えられた。 P-121 医・歯・薬・保健医療学部連携PBLチュートリアルにおける教育効果−臨床前専門教育における比較− 鈴木 久義1、○片岡 竜太2、馬谷原 光織2、今福 輪太郎6、小倉 浩5、松木 恵里1、榎田 めぐみ1、刑部 慶太郎5、高宮 有介3、 高木 康3、木内 祐二4、下司 映一1、田中 一正5、倉田 知光5 1 6 昭和大学 保健医療学部、2昭和大学 歯学部、3昭和大学 医学部、4昭和大学 薬学部、5昭和大学 富士吉田教育部、 岐阜大学 医学 教育開発研究センター Effectiveness of the inter-disciplinary PBL tutorial: A comparison of PBL for 3rd and 4th year students as preclinical education Hisayoshi SUZUKI1, ○Ryuta KATAOKA2, Mitsuori MAYAHARA2, Rintaro IMAFUKU6, Hiroshi OGURA5, Eri MATSUKI1, Megumi ENOKIDA1, Keitaro OSAKABE5, Yusuke TAKAMIYA3, Yasushi TAKAGI3, Yuji KIUCHI4, Eiichi GESHI1, Kazumasa TANAKA5, Norimitsu KURATA5 1 School of Nursing and Rehabilitation Sciences, Showa University Yokohama, Japan, 2School of Dentistry, Showa University Tokyo, Japan, 3 School of Medicine, Showa University Tokyo, Japan, 4School of Pharmacy, Showa University Tokyo, Japan, 5Faculty of Arts and Sciences at Fujiyoshida, Showa University Yamanashi, Japan, 6Medical Education Development Center, Gifu University, Gifu, Japan 【目的】 本研究の目的は、本学において必修科目として開講され ている 「臨床シナリオ・学部連携PBL(3年次)」 と 「病棟実習シミュ レーション・学部連携PBL(4年次)」 を通じて、学生にもたらされた経 年的な変化について、質問紙の解析を通して検討することであ る。 【対象及び方法】 対象は2012年度に医学部、歯学部、薬学部、 保健医療学部の3年(保健医療学部は2年)に所属する学生539名 及び2013年度に各学部4年(保健医療学部は3年)に所属する学 生562名であった。対象学生は留年者を除いて同一学生集団で あり、各PBL実施後に自記式・5件法の質問紙への回答を求め、 各質問紙に共通する計16項目について多変量解析を適用して解 析を行った。 【結果及び考察】 探索的因子分析(最尤法、promax解) の因 子数決定基準に平行分析を適用したところ、臨床シナリオPBLで は4因子構造が、病棟実習シミュレーションPBLでは5因子構造が 確認された。 さらに、 その経年的な変化を検討すると、1)チーム医療やその担い 手に対する 「興味・関心」、 「好感」、 「重要性」 に関して、3年生は全 体に未分化であるが、4年生はより分化度が高い、2)第1因子から、 3年生はPBLという学習形態と他学部生との関与を通じて、 より表 面的な学習への満足を表明している傾向があるのに対して、4年 生はチーム医療=協働作業であるとの認識と理解の度合いがより 高いことが判明した。 これらの所見には、学年進行によって、各学部における専門内 容の学習進捗度が高まったことに加えて、1)PBLという学習形態に 関する習熟度がより高まったこと、2)4年生では単にシナリオという だけではなく、模擬カルテを採用した現実的な教材になっているこ と、 が影響していると考えられた。 P-122 岡山大学医学部1年次生に対する歯学部早期体験実習の試み ○縄稚 久美子1、吉田 登志子2、曽我 賢彦3、村田 尚道4、仲野 道代5、大原 直也6、鳥井 康弘7、窪木 拓男1 岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 インプラント再生補綴学分野、2岡山大学医療教育統合開発センター (歯学教育部門)、3岡山大 学病院 中央診療施設 医療支援歯科治療部、4岡山大学病院スペシャルニーズ歯科センター、5岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 6 7 岡山大学 大学院 医歯薬学総合研究科 口腔微生物学分野、 岡山大学病院 総合歯科 小児歯科学分野、 1 The trial of education for 1st-year undergraduate medical students in Okayama University Dental School ○Kumiko NAWACHI1, Toshiko YOSHIDA2, Yoshihiko SOGA3, Naomichi MURATA4, Michiyo NAKANO5, Naoya OHARA6, Yasuhiro TORII7, Takuo KUBOKI1 1 Department of Oral Rehabilitation and Regenerative Medicine, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry, and Pharmaceutical Sciences, Okayama, Japan, 2Center for the Development of Medical and Health Care Education (Dental Education), Okayama University, 3Division of Hospital Dentistry, Central Clinical Department, Okayama University Hospital, 4Okayama University Hospital, Center for the Special Needs Dentistry, 5Department of Pediatric Dentistry, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry, and Pharmaceutical Sciences, Okayama, Japan, 6Department of Oral Microbiology, Okayama University Graduate School of Medicine, Dentistry, and Pharmaceutical Sciences, Okayama, Japan, 7Comprehensive Dental Clinic, Okayama University Hospital 岡山大学は医歯連携が容易な環境にあるが、医学部卒前教育に 歯学に関する教育がなく、医学生において早期に他職種との連携 など、様々な角度からの臨床アプローチを学び、幅広い興味をもっ て学習していく必要がある。 医学部1年次生において早期体験 実習というプログラムが入学直後の超早期に医療の現場を体験し 医療従事者の役割を理解し人命の尊さと医師の責務を実感する 目標で、平成23年度から開始したがその中の一部を岡山大学歯 学部が担当することになったので報告する。 この実習は、院内 体験実習、学外病院見学、看護体験実習の3つの実習で構成さ れ、 その中の院内体験実習においては、11名程度の学生が10グ ループに分かれて手術室、歯学部、薬剤部、栄養部などの10部署 の医療現場の見学を行う。 歯学部見学実習については総論オ リエンテーションのあと、医歯連携の窓口となりやすい周術期歯科 医療、摂食・嚥下リハビリテーションの担当歯科医師からの連携の 実際について講義をうけ、歯科診療室内の実際の患者見学や歯 科材料を手に触れる機会をもうける等の実習を行った。この早期 体験実習は、平成23年度からの3年間で342名(平成23年度:114 名、平成24年度:115名、平成25年度:113名) の学生が履修した。 実習終了時、全学生に歯学部院内体験実習に関するアンケー ト調査を行ったところ、337名の回答があった。 “この実習は期待に 沿うものでしたか” という質問に “そう思う” と答えたものが152名、 “どちらかと言えばそう思う” と答えたものが147名、88.7% (299名) の学生が期待に添うものであったと回答した。 また、 “この実習は有 意義でしたか” という質問に “そう思う” と答えたものが202名、 “どちらかと言えばそう思う” と答えたものが114名、93.8% (316名) の学生がこの実習を有意義であったと回答した。今後はさらに、実 習内容を充実させていく予定である。 151 P-123 航空業界のCrew Resource Managementを応用した歯科医療のリスクマネージメント ○吉川 文広1、河野 龍太郎2、足達 淑子3、板谷 篤泰4、片瀬 希美3、花田 隆造5、中村 全宏6、飯島 毅彦7、深山 治久1 東京医科歯科大学 大学院医歯学総合研究科 麻酔・生体管理学分野、2自治医科大学 メディカルシミュレーションセンター、3東京医科歯科大 学 歯学部附属病院 歯科衛生保健部、4いたや歯科クリニック、5相生会臨床薬理センター 墨田病院、6東京都立東部療育センター、 7 昭和大学 歯学部 歯科麻酔科学部門 1 Risk management of dental practices that utilizes Crew Resource Management of airline industries ○Fumihiro YOSHIKAWA 1 , Ryutaro KAWANO 2 , Toshiko ADACHI 3 , Tokuyasu ITAYA 4 , Nozomi KATASE 3 , Ryuzo HANADA 5 , Zenkou NAKAMURA6, Takehiko IIJIMA7, Haruhisa FUKAYAMA1 1 Department of Anesthesiology and Clinical Physiology, Graduate School of Medicaland Dental Sciences, Tokyo Medical and Dental University, Tokyo, Japan , 2Medical Simulation Center, Jichi Medical University, 3Department of Dental Hygiene, University Hospital of Dentistry, Tokyo Medical and Dental University , 4Itaya dental clinic, 5Clinical Pharmacology Center, Sumida Hospital, 6Tokyo Metropolitan Tobu Medical Center for Persons with Developmental/Multiple Disabilities, 7Department of Perioperative Medicine, Division of Anesthesiology, School of Dentistry, Showa University これまでの私たちの研 究で、航 空 業 界のC r e w R e s o u r c e Management (CRM)が歯科医療に応用できる可能性を検証し た1)。今回は、CRMを応用した歯科医療のリスクマネージメント教 育Dental Staffers Resource Management (DSRM)を考案し、 歯科医療従事者向けのワークショップを企画し、 その評価を行っ た。本報告では、DSRMの教育効果と各プログラムの評価と今後 の歯科診療に応用できるかをアンケート調査によって検討すること を目的とした。対象は、東京医科歯科大学歯学附属病院に勤務 する歯科衛生士20名で、DSRMの講義、個人ワーク、 グループ討 論などのワークショップを行った。受講前に、 ヒューマンエラーや環 境のマネージメントなどDSRMの内容に関するプレテストを行い、 受講後にも同じ内容のポストテストを行いDSRMの教育効果を評 価した。 また、各プログラムの感想と今後の歯科診療に応用するこ との可能性について調査した。10の問題からなるプレテストとポスト P-124 テストは、DSRMを受講することで、5問は正解数を増やしたが、他 の5題では正解数に違いを認めなかった。 さらに、歯科医院で起こ るヒューマンエラーや人間関係をテーマにしたビデオや環境のマ ネージメントなどの8つのプログラムと今後の歯科診療に応用する ことの可能性およびDSRM関連に関するアンケート調査では、す べて中等度以上の回答を得た。 ビデオを用いた講義は、受講生の 評価が高かったが、 プレテストとポストテストの問題は再検討を要 し、DSRM前後のテスト結果とアンケート調査からワークショップの 良い点と改善点が抽出された。新たに考案した歯科医療のリスク マネージメント教育は、受講者よりすべての調査項目で中等度以 上の評価を受け、歯科医療のリスクマネージメントと安全性を向上 させる教育手段の一つになることが示唆された。 1)吉川文広ら。 航空業界のCrew Resource Managementを歯科医療に応用 する可能性。 日歯教誌 2013;29:253‐259。 日本歯科大学新潟生命歯学部で職場体験学習を行った中学生の意識調査 ○長谷川 優1、秋山 麻美2、織田 隆昭2、加藤 千景1、神谷 素代2、手塚 里奈1、永沼 佳納2、川上 未有希1、山口 晃2、 関本 恒夫1 1 日本歯科大学 新潟生命歯学部、2日本歯科大学新潟病院 Consciousness survey of junior high school students who participated in business internship program at the Nippon Dental University ○Yuh HASEGAWA1, Asami AKIYAMA2, Takaaki ODA2, Chikage KATOH1, Motoyo KAMIYA2, Rina TEZUKA1, Kano NAGANUMA2, Miyuki KAWAKAMI1, Akira YAMAGUCHI2, Tsuneo SEKIMOTO1 1 The Nippon Dental University, School of Life Dentistry at Niigata, 2The Nippon Dental University Niigata Hospital [諸言] 日本歯科大学新潟生命歯学部(以下、本学)は、新潟市 れるものだ」 が最多(男子31.48%、女子35.71%) であった。職場体 内の中学2年生を対象とした職場体験学習に参画している。本学 験学習をするうえで必要なこと (プレ)、職場体験学習を通じて気 で職場体験学習を行った生徒に対し、職場体験学習の前後に実 付いたこと (ポスト) は、男子女子とも 「責任や真心をもって、仕事を 施した意識調査の結果を比較検討した。本研究の目的は、職場体 することが大切だ」が最多であった(プレ:男子25.93%、女子 験学習の場として医療機関を選択した生徒の、職場体験学習前 33.93%、 ポスト:男子33.93%、女子35.71%)。将来の職業に対する 後における意識変化を明らかにすることである。[方法] 平成23 考えは、プレでは男子で「 他 人のためになる職 業に就きたい 年度から25年度にかけて職場体験学習で本学を訪れた8校83名 (37.04%)」、女子で 「やりがいのある職業に就きたい (44.64%)」 が (男子27名、女子56名) に対してプレアンケート(以下、 プレ) とポスト 各々最多であった。一方、 ポストでは男子で 「やりがいのある職業 アンケート(以下、 ポスト)を実施し、職場体験学習前後の意識変化 に就きたい (33.04%)」、女子で 「他人のためになる職業に就きたい を調査した。 アンケートは、新潟市キャリア・スタート・ウィーク実行委 (55.36%)」 が最多であった。[考察および結論]将来の職業に対す 員会の 『「社会で働くこと」 に関する意識調査』 をもとに作成した。 る考えにプレ、 ポストともに男女差を認めた。本学での職場体験学 [結果]医療従事者の仕事に対する印象は、 プレでは男子女子とも 習を通じて、男子生徒は自身の仕事としてのやりがいを、女子生徒 「仕事は責任のあるものだ」 が最多(男子37.04%、女子33.04%) で は他の人への貢献を見出したといえる。 あったのに対し、 ポストでは男子女子とも 「仕事はやりがいを感じら 152 P-125 2011−2013年度の東京歯科大学市民公開講座と市民参加型教育団体(P-Com)登録者について ○山本 仁1,2、村上 聡3、平田 創一郎1,4、杉原 直樹1,5、高橋 俊之1,6、望月 隆二1,7、河田 英司1,8、井出 吉信9 3 1 東京歯科大学 歯科医学教育開発センター、2東京歯科大学 組織・発生学講座、 東京歯科大学 臨床検査病理学講座、4東京歯科大学 5 7 社会歯科学研究室、 東京歯科大学 衛生学講座、6東京歯科大学 千葉病院 総合歯科診療科、 東京歯科大学 物理学研究室、 8 東京歯科大学 歯科理工学講座、9東京歯科大学 学長 Relationship between participants of open lectures and application for Patient Community at Tokyo Dental College in 2011-2013 ○Hitoshi YAMAMOTO 1,2 , Satoshi MURAKAMI 3 , Soichiro HIRATA 1,4 , Naoki SUGIHARA 1,5 , Toshiyuki TAKAHASHI 1,6 , Ryuji MOCHIZUKI1,7, Eiji KAWADA1,8, Yoshinobu IDE9 1 Dental Education Development Center, Tokyo Dental College, Tokyo, Japan, 2Department of Histology and Developmental Biology, Tokyo Dental College, 3Department of Clinical Pathophysiology, Tokyo Dental College, 4Department of Social Dentistry, Tokyo Dental College, 5Department of Epidemiology and Public Health, Tokyo Dental College, 6Division of General Dentistry, Tokyo Dental College Chiba Hospital, 7Laboratory of Physics, Tokyo Dental College, 8Department of Dental Materials Science, Tokyo Dental College, 9Dean, Tokyo Dental College 【目的】2009年度に文部科学省から 「個々のニーズに応えられる歯 1.市民公開講座のべ参加人数、 2.年度別参加人数、 3.年度別 科医師養成∼高い倫理観とコミュニケーション能力に基づく総合 P-Com新規登録者数、 4.年度別参加人数からみたP-Com新規 診療計画立案能力の向上∼」 (「大学教育・学生支援推進事業」 登録者の割合を調べた。 【結果と考察】 1.市民公開講座のべ参 【テーマA】 「大学教育推進プログラム」)が採択された。 この取組 加者数は2011年度が200名、2012年度が188名、2013年度が157 の 一 つ の 柱 は 市 民 参 加 型 教 育 団 体としての「 P a t i e n t 名だった。 2.年度別参加者は2011年度が79名、2012年度が91 Community(P-Com) の設立」 である。P-Com登録には学生教育 名、2013年度が81名だった。 3.P-Com登録者は2011年度が9名、 におけるP-Comの意義を理解していただく必要がある。 そのため 2012年度が7名、2013年度が3名だった。 4.年度別参加人数から 歯科医療や歯科教育に興味のある方々を集め最新の歯科医療 みたP-Com新規登録者の割合は2011年度が11.4%、2012年度が 情報とP-Comに関する案内を提供する場として2010年度より市民 7.7%、2013年度が3.7%だった。 この3年間で年度別参加人数に大 公開講座を開催している。 このうち市民公開講座の開催回数が 幅な変化はないが、 のべ参加人数や新規登録者の割合は大幅に 同じである2011−2013年度の3年間について市民公開講座参加 減少しており、P-Com新規登録人数を増やすためには市民公開 者の状況を報告するとともに、今後の市民公開講座の在り方につ 講座内容を見直し、新たな市民公開講座参加者を掘り起こす必 いて考察した。 【方法】2011-2013年度の市民公開講座について 要が示唆された。 153 学生セッション 7月5日 (土) 14:30∼15:30 P会場(2階サブホワイエ) S-a∼S-h 演題ごとに発表5分、質疑応答2分の発表を行っていただきます。 S-a プロフェッショナリズム教育の方略に関するワークショップ −学生の視点から− ○近藤 きりこ1、友岡 祥子1、鬼塚 千絵2、永松 浩2、大住 伴子3、角舘 直樹4、木尾 哲朗2 1 2 4 九州歯科大学 歯学部学生、 総合診療学分野、3口腔応用薬理学、 北九州地区大学連携教育研究センター Workshop on strategies of Professionalism education -From student point of view○Kiriko KONDOU1, Shoko TOMOOKA1, Chie ONIZUKA2, Hiroshi NAGAMATSU2, Tomoko OHSUMI3, Naoki KAKUDATE4, Tetsuro KONOO2 1 Faculty of Dentistry, Kyushu Dental University, Kitakyushu, Japan, 2 Division of Comprehensive Dentistry, Kyushu Dental University, Kitakyushu, Japan, 3Division of Applied Pharmacology, 4Educational Cooperation Center, Kyushu Dental University 【目的】 プロフェッショナリズムは歯科医療人にとって必要不可欠な 討を行った。 【 結果と考察】全員が参加の前後で“自身が受ける ものであり、近年このプロフェッショナル教育のあり方について議論 教育” に対する考え方に変化があったと回答した。 また、教員との がなされている。我々は平成26年2月に行ったワークショップ 「歯科 関係では普段接することができない先生方と意見を交わせること 医療人育成におけるプロフェッショナリズム教育の方略を考える」 で貴重な時間を過ごすことができ、勉強になったと考える学生が多 に参加した学生に質問票調査を実施し、 その結果について検討 く、大変良い経験となったという意見が多かった。 さらに内面の変 を加えたので報告する。 【方法】 ワークショップに参加した歯学科学 化としては、教員の熱心な学ぶ姿勢を目にして感銘を受けた、 “教 生6名(4年次生4名、5年次生2名) に記名式の質問票調査を実施 育のありかた” を学生自らが考えるべきだと気づいた、今後周りの した。質問項目は、 1)参加前後で教育に対する考えに変化があっ 学生達が今回の様な機会を得るためにはどうすれば良いかを考 たか、 2)参加して良かったことは何か、 3)参加して良くなかったこ えた等、学生の情意領域を高めていることがうかがわれた。 また自 とは何か、 4) どんな気づきがあったか、 5)参加していない学生に 由回答として、 また来年もあるなら参加したいとの声が多く、今回の 伝えたいことはあるか・またそれは何か、 6)参加して自分の中の変 参加を学生は前向きに捉えていることが分かった。以上のことか 化はあったか・またそれは何か、等の7項目とした。回答形式は箇 ら、 ワークショップに学生が参加するという取り組みは、参加した学 条書きによる自由記述とし、回答結果をカテゴリー別に分類し、検 生にとって有意義であると考えられる。 S-b 昭和大学歯学部3、5、6年生がブリティッシュコロンビア大学で学んだことについて 学生セッション ○道家 碧1、大原 千明1、藤井 みなみ1、小林 理香1、片岡 竜太2 1 昭和大学 歯学部、2昭和大学 歯学部 スペシャルニーズ口腔医学講座 歯学教育学部門 What we have learnt in UBC as 3,5,6year dental students in Showa University ○Midori DOUKE1, Chiaki OHARA1, Minami FUJII1, Rika KOBAYASHI1, Ryuta KATAOKA2 School of Dentistry, Showa University, 2Department of Special Needs Dentistry, School of Dentistry, Showa University 1 今春、昭和大学歯学部3、5、6年生の4人がブリティッシュコロンビア 大学(UBC)歯学部へ交換留学し、3、5年生の2名は同時期に2週 間、6年生の2名は臨床研修として4週間滞在した。本学の異なる 学年の学生がほぼ同時期にUBCという同じ場所で学ぶため、 そ れぞれの見地から何を感じ、何を学んだのかについて意見交換や 比較を行える良い機会となった。3、5年生は今回が初留学となる が、臨床に出る前のそれぞれの学年の見地から、purePBL方式 の学習システムや講義、臨床見学を通して学んだこと、感じたこと について発表する。6年生は2年前に春期休暇を利用したUBCへ の留学経験をもつが、前回は臨床実習前であったため、現地の臨 床実習前の1、2年生とともにPBLや講義などに参加した。今回の 留学では前回共に学んだ現地の学生も臨床実習を行っているた め、互いに臨床を知る立場になったうえで再会した彼らとの交流、 意見交換をすることもできた。臨床実習を終えて訪れる今回では 前回と何がどう変わって眼に映ったか、UBCでの臨床や地域連携 など前回あまり見ることのなかった臨床の現場を見学し、学んだこ とや感じたことについて発表する。 157 S-c 歯学生による小学校での国際交流−広島大学歯学部歯学科学生と留学生が参画する小学校での国際交流活動− ○加藤 みなみ1、岡本 華奈1、Karina Erda Saninggar1、Nadia Kinanthi1、Nguyen Thi Dung1、岡 広子2、高田 隆2 広島大学 歯学部 歯学科、2広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 1 The activity in a primary school by dental students -An extracurricular activity with HUD regular program students and international undergraduates○Minami KATO1, Kana OKAMOTO1, Karina ERDA SANINGGAR1, Nadia KINANTHI1, Nguyen THI DUNG 1, Hiroko OKA2, Takashi TAKATA2 1 School of Dentistry, Hiroshima University, Hiroshima, Japan, 2Institute of Biomedical & Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan 広島大学歯学部では、 グローバル化対応能力育成のため平成23 年度より海外協定校からの外国人特別聴講学生が所属する国 際歯学コースを開始し、正規生と外国人留学生が同じクラスでとも に歯学専門教育を学ぶ教育体制となった。学内での授業の共有 だけではなく、課外活動も含めて教育期間の全体において両者が 相互理解を深め、 グローバルな感覚を培うことが歯学部の目標の 一つとして掲げられている。 この背景の下、平成24年度から、本学 歯学部に在籍する正規生および外国人留学生の有志が参画し て広島市内の小学校3クラスにおいての児童と 「食事や口腔保健 を織り交ぜた国際交流会」 を実施している。 これまでの2年間で1 クラスあたり2回 (計6回) の英語を介した交流会を行った。 1回目は 主に児童と学生双方から文化紹介、 2回目は口腔保健の内容を 含んだグループワークを通した交流である。平成25年度末現在、 S-d 正規生延べ8名、外国人特別聴講生延べ22名が参加している。 本交流会の開始にあたり、我々学生は参画する歯学部学生の目 標として (1)留学生と正規生が日本語―英語−その他言語を用い てコミュニケーションを図る、 (2)他国の地理・文化に関する知識を 修得する、 (3) 日本の口腔衛生・医療の状況と他国との相違を理 解する、 (4)現在の日本の小学生が自国(学生の出身国) に抱く印 象を知る、 (5) 日本の小学生と行う口腔保健に関する活動を自分 たちで考え実施する、の5つを設定し交流会を実施してきた。今 回、交流会開始時より継続して交流会に参画している正規生2 名、留学生3名を対象とした交流会の自己評価、 および参加後帰 国し1年が経過した短期交流プログラム学生6名を対象とした フィードバック調査を行った。本発表では、今までの活動を報告す るとともに今後の活動の在り方について考察を述べる。 国際歯学コース母校の歯学生たちはどう考えているか-アイルランガ大学歯学部学生に対する意識調査- ○瀧川 友佳子1、加藤 みなみ1、丹治 知之1、Ketut Suardita2、岡 広子2、高田 隆2 1 2 広島大学 歯学部 歯学科、 広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 Views of dental students in the home countries of International Dental Course students-Survey for dental students in Airlangga University, Indonesia○Yukako TAKIGAWA1, Minami KATO1, Tomoyuki TANJI1, Suardita KETUT2, Hiroko OKA2, Takashi TAKATA2 1 School of Dentistry, Hiroshima University, Hiroshima, Japan, 2Institute of Biomedical & Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan 広島大学歯学部では、毎年海外協定校との間で、学部学生の受 け入れおよび派遣プログラムを実施している。Dual linguistic educationシステムでの教育が本格的に開始された平成24年から は、学期期間を通して正規生と3∼9名程度の外国人特別聴講学 生が同じ授業を受講している。我々のクラスには国際歯学コース や半年間の短期受入れプログラム留学生が在籍し、 ともに歯学教 育プログラムを学んできた。 また、 同年度から受入れ留学生の母校 の一つであるアイルランガ大学(インドネシア)への派遣プログラムも 実施されている。 そこで今回、今までともに学んできたクラスメートの 母国の歯学教育や臨床現場だけではなく、来日していないインドネ シアの同世代の歯学生の価値観にも興味があり、平成25年度プロ グラムへの応募と同時に本調査を企画した。本調査は、 「自国が抱 える歯科問題への意識」 「歯学教育に対する満足度」 「国際経験 や英語力」 「口腔衛生習慣」等に関するインドネシアの歯学部学生 158 の現状を知り、今回の派遣プログラム内で学ぶ内容や日本でともに 学ぶ学生の背景をより深く理解することを目的とした。調査はアイル ランガ大学歯学部1年生を対象とし、我々が関心を持っている 「イ ンドネシアが抱える歯科の問題」 「歯学教育に対する満足度」 「国 際経験」 「歯学生の口腔衛生習慣」 「将来のキャリア」 に関して記 述回答部分を含む質問紙を作成して実施した。 日本で作成した質 問紙は現地で配布し、 プログラム最終日に160枚の回答紙を回収 した。本調査の実施に際し、現地アイルランガ大学の現地教員をは じめ特に国際歯学コース学生、短期国際交流プログラム学生、過 去に大学院や研究交流で来学した教職員および広島大学国際 歯科医学連携開発学研究室の協力を受けた。本発表では、調査 結果を報告するとともに、 当事者としての経験を踏まえて今後の相 互交流に関して考察を加える。 S-e 広島大学歯学部における平成25年度学部学生海外派遣プログラム ○岡本 華奈1、岡 広子2、高田 隆2、菅井 基行2 1 広島大学 歯学部 歯学科、2広島大学大学院 医歯薬保健学研究院 Hiroshima University Short-term International Study Program "Overview of Dental Sciences" 2013 for mutual exchanges ○Kana OKAMOTO1, Hiroko OKA2, Takashi TAKATA2, Motoyuki SUGAI2 School of Dentistry, Hiroshima University, Hiroshima, Japan, 2Institute of Biomedical & Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan 1 広島大学歯学部は、急速に変化する国際社会において生命科学 に基づいた歯科医学・医療を担うことのできる人材の育成を目指 している。 その中で歯学部学生のグローバル人材としての育成を 使命の一つとしている。 この理念の下、本学歯学部では、平成18 年度より海外姉妹校と連携して、毎年本学歯学部への外国人学 生受入れと海外への本学正規生派遣を行ってきた。平成24年度 からは本学と受入れ/派遣の相互交流を行っている姉妹校を主な 派遣先に、 「 歯学概論演習(1単位)」 として、異なる背景をもつ学 生との交流を通したネットワークの形成と、 日本の口腔衛生・医療 の状況や歯学教育との相違の理解を基本目的とした正規生の派 遣プログラムが実施されている。平成25年度は同演習のプログラ ムとして、Dual linguistic education system導入学年に学生を 受け入れてきたアイルランガ大学(インドネシア)、 ホーチミン市医科 薬科大学(ベトナム) の各歯学部と台北医学大学口腔医学院 S-f (台湾) (10日間)、 および過去に学生を受け入れたブリティッシュコ ロンビア大学(UBC)歯学部(カナダ) (1ヶ月間) に計16名の学部学 生を派遣した。学生発表者は日本での臨床科目実習開始前に UBCでのプログラムに参加した。 このプログラムはinternational visitorとして、参加者が各自現地の授業や実習を選択し参加、見 学するものである。特に印象に残ったのは、現地で初年次学生か らおこなわれる徹底した衛生管理の教育と、授業や病院実習に対 する現地学生の取組み方である。 また、英語圏でのプログラム参 加を通して、英語がコミュニケーションのツールであり人と人を結び つける役割をもつということに気づいた。今回のプログラム参加は、 大学のカリキュラムや文化の違いを理解し、 自分自身や日本での取 組みを改めて見直す機会となった。UBCでの培った知識や経験を 役立て工夫しながら、 これから始まる実習や授業を進めていきたい と思う。 双方向的岡山大学国際交流演習 (ODAPUSプログラム) に参加して ○菅藤 綾乃、王 碩、実藤 和典、松田 明莉、大原 直也、宮脇 卓也、浅海 淳一、窪木 拓男 岡山大学歯学部歯学科 Beginning of interactive Okayama Dental Study-Abroad Program for Undergraduate Students (ODAPUA) ○Ayano KANTO, Shuo WANG, Kazunori JITSUFUJI, Akari MATSUDA, Naoya OHARA, Takuya MIYAWAKI, Jun-ichi ASAUMI, Takuo KUBOKI Okayama University Dental School 過去2年間に本学会で紹介したように、岡山大学歯学部では、平 成 1 3 年 度 から国 際 交 流 プログラムとして 短 期 留 学 制 度 (ODAPUS: Okayama Dental Stay-Abroad Program for Undergraduate Students) が行われている。本発表者にも平成 24年度に同プログラムを利用して海外の大学歯学部に聴講生とし て参加した者が含まれている。今回その交流の一環として海外か ら学生を迎える機会を得た。ODAPUSに参加した学生を中心に 双方向的な交流を深めることができたので、 その詳細を報告した い。平成26年1月から2月にかけて特別聴講学生としてサンパウロ 大学リベイランプレト歯学部学生7名を2か月間、および台北医学 大学学生2名を1か月間、岡山大学歯学部に迎えた。 サンパウロ大 学の7名は3年生2人、4年生3人および5年生2人で、台北医学大 学の2人は5年生であった。彼らは、最初の1か月間は、主として 我々4年生の臨床系の講義・基礎実習に参加した。授業は、 ほとん どが日本語であったため、ODAPUSに参加した4年次の学生ボラ ンティアを中心に解説等を行った。担当教員によれば、後半の1か 月は午前中に臨床見学および手術見学、午後はボランティア教員 による英語の講義が組まれたとのことであった。 また、 サンパウロ大 学の4年生以上の5人は、彼らがサンパウロ大学で行った研究に 関して15分間のプレゼンテーションを行った。留学生たちは、 日本 語教室への参加、初詣、観光なども積極的に行った。観光には、時 おり、我々4年生の学生および教員も同行し、 日本文化の紹介に努 めた。今後、今回のような双方向的な交流を進めることにより、 日本 をよく知ってもらい、 いろいろな国の歯学部の現状をODAPUS参 加者以外の学生とも共有することによって、卒業後もお互いがス ムーズに行き来できるシステムが進むことを願っている。 159 S-g 研修歯科医師の歯科訪問診療の実施意向と基本的知識の関連 ○吉江 佑介1、相田 潤2、松山 祐輔2、伊藤 奏2、小山 史穂子2、長谷 晃広2、三浦 宏子3、小坂 健2 東北大学 歯学部、2東北大学大学院 歯学研究科 国際歯科保健学分野、3国立保健医療科学院 地域医療システム研究分野 1 Association between preference of home-visit dental care and knowledge related gerodontology among dental residents ○Yusuke YOSHIE1, Jun AIDA2, Yusuke MATSUYAMA2, Kanade ITO2, Shihoko KOYAMA2, Akihiro HASE2, Hiroko MIURA3, Ken OSAKA2 1 School of Dentistry, Tohoku University, Sendai, Japan, 2Department of International and Community Oral Health, Tohoku University Graduate School, Sendai, Japan, 3Area on Community Healthcare, National Institute of Public Health, Saitama, Japan 【背景】多くの高齢者が歯科訪問診療のニーズを有しているが、 実際に携わる歯科医師が不足している。 これには、卒業直後の歯 科医師の歯科訪問診療に関する基本的知識や情報の不足が関 連している可能性がある。 【目的】専門分野の教育が充実してい れば、歯科訪問診療の実施意向が増えるかどうかを、横断研究か ら明らかにすること。 【方法】2012年12月から2013年3月に、全国の 研修歯科医師2,323名に自記式調査票を郵送し回収した。摂食嚥 下、在宅歯科、並びに比較対象として予防歯科、小児歯科の基本 的知識を問う問題に正答するかと、 同分野を将来重点的に取り組 む分野(以下:志望分野) とするかとの関連を検討した。 【 結果】 1,456名(62.7%)より有効回答を得た。 χ2検定の結果、摂食嚥下機 能評価を知っている者では、志望分野として摂食嚥下を有意に多 く選択していた (p=0.002)。同様に、在宅療養支援歯科診療所を S-h 知っている者では、志望分野として在宅歯科を有意に多く選択し ていた(p=0.011)。多変量ロジスティック回帰分析の結果、 「性 別」、 「国公立・私立」、 「親の開業」 について調整後も同様に有意 な関連性を示していた (摂食嚥下:OR=2.1、95%CI; 1.3-3.4、在宅 歯科:OR=1.3、95%CI; 1.1-1.7)。予防歯科と小児歯科について は、各々の基本的知識と志望分野との間に有意な関連は見られな かった。 【結論】比較的新しい分野と考えられる摂食嚥下と在宅歯 科の基本的知識を有する研修歯科医は、 そうでない者に比べ、 そ れぞれの分野を有意に多く志望していた。一方、教育の歴史が長 い予防歯科と小児歯科については、 このような関連は認められな かった。 これらのことから、歯科訪問診療分野には未だ教育の余 地が存在し、教育により志望する歯科医師が増加する可能性が 示唆された。 スーパーサイエンスハイスクールにおける歯科疫学教育の取り組み ○南 瑠美1、石澤 碧1、大串 香織1、大谷 佳鈴1、久松 萌子1、宮本 ゆきの1、坂本 友明1、大庭 昌史1、河田 武1、 角舘 直樹2、花谷 智哉2、唐木 純一2、福泉 隆喜2,3、西原 達次4 1 2 明治学園中学高等学校、 九州歯科大学 北九州地区大学連携教育研究センター、3九州歯科大学 総合教育学分野社会歯科学研究室、 4 九州歯科大学 感染分子生物学分野 An oral epidemiology education for the students in the super science high school ○Rumi MINAMI1, Midori ISHIZAWA1, Kaori OGUSHI1, Karin OTANI1, Moeko HISAMATSU1, Yukino MIYAMOTO1, Tomoaki SAKAMOTO1, Masashi OBA1, Takeshi KAWADA1, Naoki KAKUDATE2, Tomoya HANATANI2, Junichi KARAKI2, Takaki FUKUIZUMI2,3, Tatsuji NISHIHARA4 1 Meiji Gakuen Junior and Senior High school, Kitakyushu, Japan, 2Educational Cooperation Center, Kyushu Dental University, Kitakyushu, Japan, 3Laboratory of Social Dentistry, Division of General Education, Kyushu Dental University, Kitakyushu, Japan, 4Division of Infections and Molecular Biology, Kyushu Dental University, Kitakyushu, Japan 文部科学省では、将来の国際的な科学技術関係人材を育成する ため、先進的な理数教育を実施する高等学校等を 「スーパーサイ エンスハイスクール (SSH)」 として指定し、学習指導要領によらない カリキュラムの開発・実践や課題研究の推進、観察・実験等を通じ た体験的・問題解決的な学習等を平成14年度より支援している。 九州歯科大学では、高大連携の一環として、文部科学省からSSH に指定されている明治学園中学高等学校において、SSH科目とし て 「歯科疫学実習」 を提供している。平成25年度は、本科目を選択 した高校1年生6名に対して全20回の授業を実施した。疫学は、 「人間の集団において健康事象の頻度と分布を明らかにし、 また健 康事象にかかわる要因を明らかにすることで、疾患の予防や健康 160 増進に役立てる学問」 とされており、 その学習によりロジカルシンキン グおよびクリティカルシンキング能力を育成することができると考えら れる。授業は、 「疫学研究デザイン」 と 「医療統計学」 の2つを中心と した講義と実習から構成され、実際に学生自身のリサーチクエス チョンに基づいて研究デザインを立案し、 データ解析まで行ってい る。 データ解析においては、九州歯科大学が北九州市の2企業の 工場労働者を対象として実施した疫学調査のデータベースを用 いている。 なお、本疫学調査を実施するに先立ち、実際に受講者 が作成した質問項目を調査票に組み込んでいる。 このように、生徒 が実際の研究に参加し、 データ解析を行うという経験を通して、問 題発見能力および問題解決能力が向上すると考えられる。 国際学会研究発表奨励賞受賞者ポスター発表 P会場(2階サブホワイエ) IP-01∼IP-02 ※国際学会研究発表奨励賞受賞者ポスターは7月4日 (金)、7月5日 (土) の 2日間掲示されます。 IP-01 Effects of Web learning on understanding level of international students with a short-term exchange program at HUD ○Hiroko Oka1, Ketut Suardita1, Takashi Takata1, 2 1 Department of International Collaboration Development for Dentistry, Institute of Biomedical & Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan 2 Chief, Steering Committee Related to International Collaboration Development for Dentistry, Faculty of Dentistry, Hiroshima University, Hiroshima, Japan Introduction: International exchange programs are effective approaches to develop global collaboration in education and researches. Also, they make good opportunities to learn each other with participants. On the other hands, sometimes students have focused mainly on social activities and lost the academic purpose during the programs. To manage this problem, we have tried to conduct international exchange programs together with Web learning system since 2011. In this paper, we describe the development and implementation of the international exchange programs in Hiroshima University Faculty of Dentistry (HUD) with Web learning. Materials and Methods: We checked conditions for exact access from each country with pilot courses in 2011 and 2012. Then, in 2013, we had provided a special Web learning system for a 10-days international exchange program in Hiroshima from 1 month before to 1month after the program. 14 undergraduates from 6 Asian countries joined the program. We gave them a schedule, a consent sheet, an evaluation standard by the Web learning system and e-mails. We have IP-02 also uploaded assignments submitted by the students continuously onto the Web system during the program period. To measure the students’understanding for our requests, we cariculated the score for the assignments separately from their own learning outcomes. Results & Discussion There was a positive correlation (P<0.01) between the score and working time with the Web course. GPA, grade did not affect the score. Interestingly, high scored students had continued to learn with the Web system after the program. Conclusion: To provide learning places on Web system is effective for deeper learning with a short-term exchange program. There is a possibility to corroborate international undergraduate exchange programs with Web learning. Acknowledgement: We’d like to thank Dr. T Sumiya and Dr. Y Akimoto for their support to build the Web learning system with international members. Keywords: international exchange programs, undergraduate, web learning The Assessment of the Academic Performance of International Dental Course Program Students at Faculty of Dentistry Hiroshima University ○Ketut Suardita1, Hiroko Oka1, Takashi Takata1, 2 1 Department of International Collaboration Development for Dentistry, Institute of Biomedical & Health Sciences, Hiroshima University, Hiroshima, Japan 2 Chief, Steering Committee Related to International Collaboration Development for Dentistry, Faculty of Dentistry, Hiroshima University, Hiroshima, Japan 163 国際学会研究発表奨励賞 curriculum of their mother schools may become an essential factor affecting their academic performance, but it does not play a crucial role on the academic achievement. High GPA they obtained before they joined the program had significant effect on achieving excellent academic achievement. Almost all of IDC students still had difficulties, especially in language. Although their lecturers used Japanese-English language, the students only understood 75% (maximum) of the lecturers’explanation. Therefore, preparation before the lectures and review after the lectures also become an important factor to obtain excellent academic achievement. Conclusion: It may be concluded that IDC students had difficulties, especially in language. However, they still could solve the problem by doing preparation and review. High GPA they obtained before they joined IDC program may become only one of essential factors affecting their academic success. Keywords: academic performance, international dental course, GPA. 受賞者ポスター発表 Introduction: Since 2011, Faculty of Dentistry Hiroshima University has started a four-year International Dental Course (IDC) program, collaborating with Asian dental schools, in which a Japanese-English dual linguistic education system was developed. After two years, we need to evaluate our program to improve the program. Therefore, the aim of this study is to assess the academic performance of IDC students, and also to identify factors possibly affecting their academic performance. Materials and Methods: The academic performance of this study was measured by using the students’grade point average (GPA) in the first and second years of their study. We also examined the academic preparation including curriculum and GPA of the students before they joined IDC program. Next, we made a questionnaire to provide information about students’problems and how they solved the problems. Results & Discussion Almost all of IDC students had a good/excellent GPA; they even became the top 10 students in their class. The