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「CSR としてのダイバーシティを考える」<検討メモ
2013. 2.18. 企業行動研究部会 勝田和行 「CSR としてのダイバーシティを考える」<検討メモ> (Ver.1) -日本企業におけるダイバーシティ推進の課題と今後の方向- 1.問題意識 【CSR(企業の社会的責任)の視点から】 ①日本企業における「ダイバーシティ(多様性の受容)」の現状は ・「女性活用」中心、それさえ進んでいないのではないか ②進んでいないのはなぜか、どうすればいいのか ・日本は、なぜ“モノカルチャーの強い男性中心社会”なのか ・企業の男性中心の文化、組織構造は変えられるのか ③グローバル化の中でのダイバーシティの課題とあるべき方向は ・CSR の重要項目ではないか、これからどう進めていけばよいのか 2.日本企業のダイバーシティの現状と課題 (1)日本(企業)のダイバーシティの実態 ①日本の現状…GEM 指数(98/135)、女性管理職・取締役比率等 …男女の賃金格差、雇用形態格差は未だ解消せず ②ダイバーシティ推進の先進企業における取り組み ・東洋経済「ダイバーシティ経営大賞」受賞企業に見る現状 ~日産自動車、P&G、日本 IBM、第一生命、資生堂、大和証券 G 等 ③海外でダイバーシティに関わる問題があった日本企業の事例 (2)CSR の視点からみた課題(問題点) ①「ダイバーシティ」=「女性活用」にとどまっている? ・国連・先進国等の動きの後追いになっているのではないか …男女雇用機会均等法、男女共同参画社会基本法等政府施策の先導 ・世界の潮流に後れをとっているとの認識はあるのか …「国際化」⇒「グローバル化」の中で意識改革は進まず ~欧米のグローバル企業は、ダイバーシティを進めつつある ②「経営戦略」としての「ダイバーシティ・マネジメント」の限界 ・少子・高齢化の中での「女性活用」=労働力補完にとどまっている ・“ウーマノミクス”も同様の発想ではないのか ③ダイバーシティ推進への明確なスタンス(考え方、哲学)が希薄 ・女子差別撤廃条約、ISO26000 への応答 ⇔ CSR としての取組み 1 (3)なぜ前記のような問題がみられるのか(⇒問題克服への道筋を探る) ①日本における「多様性」理解は不十分 ・「差別」撤廃に向けた歴史 →「多様性」理解にはつながらず ・「極東の島国」「辺境」である日本の限界ではないか ・外国人労働者・移民の受け入れは、コンセンサスがないのでは ②日本(企業)の「男性中心」文化は変えられるのか、変わるのか ・旧憲法、旧民法時代から大きく変わらず → 転換しつつある? ・「ものづくり」文化も、「男性中心」→ 転換せざるをえない ③ダイバーシティが、一部のグローバル企業の関心事にとどまっている ④諸外国(人)から尊敬される日本(人)の「強み」を生かす方向か 3.日本企業におけるダイバーシティ推進の考え方と方向 (1)ダイバーシティの「価値・意義」の確認と共有 ①世界への「責務(Responsibility)」としての理解・認識 ・国連、ILO 等の取組みへの応答、真のグローバル化への対応 ・日本企業における「CSR の重要課題」としての位置づけ …「経営戦略」と同時にグローバルな「社会的責任(CSR)」を果たす ②「経営理念」実現に向けた企業活動を支える「考え方(哲学)」の確立 ・「価値共有型」経営倫理を実践していく前提として …ステークホルダーたる多様な従業員の「共感」を呼び、訴えるもの (制度、仕組み)を創りあげられるかが問われる ③日本型経営の良さを生かしたダイバーシティ文化を創れないか …良い意味での「和」「武士道精神」を発揮できる組織風土づくり ~大震災、反日暴動から立ち直った企業などに学ぶ (2)ダイバーシティ推進の今後の方向 ①ダイバーシティを「共有すべき価値」とする企業文化・組織風土づくり ・日本社会全体、企業における「意識改革(特に男性)」の具体化 ・ジェンダー平等、ワークライフバランスなどがキーワード ②「攻めの CSR」への「真のダイバーシティ」の組込み ・ダイバーシティ推進を、経営理念実現・倫理徹底の重要施策とする ・価値共有の中で女性、高齢者、外国人との協働を図る ⇒ グローバルな「和」の創生、日本型“グローカル”経営へ ・「意思決定ボード」への女性・外国人の登用、そのための人材育成 ・ここでも、「経営トップの育成」「リーダーシップ」が問われる 以上 2 「CSR としてのダイバーシティを考える」<参考文献> (Ver.1) [書籍] ・リクルート HC ソリューショングループ『実践ダイバーシティ・マネジメント』2008 英治出版 ・熊沢 誠『女性労働と企業社会』2000 岩波書店(岩波新書) ・鹿嶋 敬『男女共同参画の時代』2003 岩波書店(岩波新書) ・竹信三恵子『女性を活用する国、しない国』2010 岩波書店(岩波ブックレット) ・大久保幸夫『日本の雇用 本当は何が問題なのか』 2009 講談社(講談社現代新書) ・笠松・和田編著『21 世紀の倫理』2004 八千代出版 ・石崎他『グローバル世界と倫理』2008 ナカニシヤ出版 ・山脇直司『公共哲学とは何か』2004 筑摩書房(ちくま新書) ・A.センプリーニ(三浦他訳)『多文化主義とは何か』2003 白水社(文庫クセジュ) ・笹森建美『武士道とキリスト教』2013 新潮社(新潮文庫) [論文・報告書等] ・内閣府『平成 24 年版男女共同参画白書』2013 ・経済同友会「グローバル時代の CSR」2011 ・経済同友会「 〈意思決定ボード〉のダイバーシティに向けた経営者の行動宣言」2012 ・みずほ情報総研(事務局)「ダイバーシティと女性活躍の推進」2012 ・東京大学社会科学研究所「従業員の仕事と介護の両立のために企業に求められる取 り組み(提言)」2012 ・杉田あけみ「戦略的 CSR とディーセント・ワークを促進させるダイバーシティ・マ ネジメント」2006 昭和女子大学大学院生活機構研究科紀要 Vol.15* ・谷口真美「ダイバシティ研究とその変遷」(?) 国際ビジネス研究第 1 巻第 2 号* ・野畑眞理子「CSR としてのマネジング・ダイバシティ」(?) TSURU UNIVERSITY* ※上記は、あくまでも現段階で筆者が参照した主な文献 女性労働・ジェンダー平等やグローバル経営、正義、公共哲学等については数多 くの文献があるが、ダイバーシティを経営倫理、CSR と関連づけたものは、必ず しも多くないように思われる ※論文・報告書等はいずれもインターネットで検索できるもの *印は、NII-Electronic Library Service のオープンア・クセスによる 以上 3