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リーダーシップ論の展開とリーダーシップ開発論

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リーダーシップ論の展開とリーダーシップ開発論
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リーダーシップ論の展開とリーダーシップ開発論
Advances in Leadership Theory and
Leadership Development Theory
東洋大学経営力創成研究センター 研究員 中村 久人
要旨
マネジメントにおいて最も重要なことはリーダーとしての経営者が適切なリー
ダーシップをとって組織目標を効果的に達成することである。従って、経営者の
仕事は極論すればリーダーシップであるといえよう。本稿ではこれまでのリーダ
ーシップ論の展開を概観し、初期のリーダーシップ論から現代のリーダーシップ
論までにどのような理論的展開と進歩があったのかを明確にしたうえで、新しい
リーダー育成法としての「リーダーシップ開発論」の観点から、
「リーダーは生ま
れつきではなく、育成できる」(McCall, 1988)との考え方に立脚して、リーダー
シップ「発生・発現」の中核にある要素、リーダーシップコア(能力、人間性、
一貫性から成る)について検討する。
さらに、代表的な欧米多国籍企業の経営者3人の経歴を分析し、彼らが世界的
な企業の経営者になれたのはどのような経営的手腕によるものか、彼らの経営的
手腕に共通するものは何か等についてリーダーシップ開発論の観点を絡ませなが
ら具体的に考察していく。
結論的には、リーダーである経営者の育成は、リーダーシップコアを有すると
思われる人材を選抜し、適切なタイミングで意図的に「一皮むける経験」を積ませ
ることにより開発されることになる。その意味では、経営者になるためのリーダ
ーシップ論としてはリーダーシップに関する資質論と行動論の双方の研究が必要
である。
キーワード(Keywords) :リーダーシップ開発論(Leadership Development
Theory)、リーダーシップ資質論(特性論)(Trait
Theory)、リーダーシップ行動論(Behavioral Theory)、
経営者の育成(Developing Executive) 、リーダーシッ
プコア(Leadership Core)
Abstract
This paper aims to overview various leadership theories from the early
times to the present to know how they are developed and progressed, and to
consider the leadership core consists of three factors : capability, humanity,
and consistency, from the point of leadership development theory, which views
“ the leaders are not decided by nature, but can be developed” (McCall, 1988).
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Analyzing the career of three European and American managers of MNCs,
we could verify how they could become the executives of such global
companies and what the features common to their managerial capabilities
were. We conclude that both trait theory and behavioral one are essential as
the principle of leadership to nurture managers.
1.リーダーシップの類型とその展開
リーダーシップの研究はこれまで多くの学者によって行われてきた。
本稿では、
まずリーダーシップを「組織の人間が組織目標を達成するように方向づけたり動
機づけたりする影響力あるいは影響プロセス」として定義しておこう(Greenberg
& Baron, 2000)。それらの研究は内容的に大別すれば、次の3通りに分けられよ
う。1 つ目は、リーダーシップの発揮に必要な個人的資質や能力(ある種の生得
的な特質)に関わるリーダーシップ資質論である。2 つ目は、リーダーシップを
発揮する際にリーダーが行う行動に焦点を当てたリーダーシップ行動論である。
3 つ目は、それ以降に出現した「新しいリーダーシップ論」である。
1.1 リーダーシップ資質論
リーダーシップ資質論は、優れたリーダーは何か共通の個人的資質や特性を持
っているという考え方に立脚した最も古くから行われている研究である。リーダ
ーとなる人間は一般の人とは異なる特殊で生まれながらにして持つ身体的ないし
人格的な特性を有しており、その特性ゆえに他人に影響力を行使できると考える
のである。リーダーシップ資質論の研究のポイントは、組織集団を率いることに
成功するリーダーとそうでない人との間には個人的資質や特性の違いがあること
を明らかにすることである。個人的資質についての測定では、身長、体格、外見、
健康等の身体的特性、内向性、外向性等の精神的特性、適応性、創造性等の性格
的特性、知能、知識、雄弁さ、判断力等の知的特性、活動力などの行動的特性等
が対象項目となっている(波頭、2008)
。
また、この研究は、歴史上偉大なリーダーであった人物(例えば、諸葛孔明、徳
川家康、リンカーン、ガンジー、ケネディー等)の研究(偉人理論ともいう)と、
歴史上それほど有名な人物ではないが「リーダー」と言われる人々を対象とする
2 通りがある(上田、2003)。
しかし、これらの研究では対象になった資質・特性とリーダーシップの関係は
研究者間で一貫しないか、一貫していても余り強い相関がないという結論
(Stocgdill, 1972; Mann, 1959)になっており、どれもリーダーとして成功するため
の必然的資質を発見するまでには至っていない。
さらに、この立場の研究ではいかにしてそのような資質を持つ人を探すかとい
う問題に帰着し、資質がなければそれで終わりと主張する学者が多いが(例えば、
伊丹・加護野、1989)、リーダーとしての資質や特性がない人が経営者になって
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失敗した場合のことを考えれば、あながち排除することのできない立場であり、
少数の学者(例えば、Lord 他、1986)は今日でもこの立場の研究を支持している。
1.2 リーダーシップ行動論
リーダーシップ行動論では、リーダーとして必要な行動を明らかにすることに
よって、リーダーの行動原則が明らかになり、それに則ればリーダーは教育して
育成できると考える。つまり、リーダーシップの有効性はその人がどのように行
動するかによって決まるのであり、リーダーを探すことになるリーダーシップ資
質論とは違って、リーダーは育成することが可能であるという立場をとる。
(1)古くはオハイオ州立大学の研究とミシガン大学の研究がある。前者におい
ては効果的なリーダーシップは「構造形成」と「人間配慮」の 2 つの次元から、
仕事と人間関係の両方に配慮することが重要と結論している。後者では、
「生産志
向性」と「従業員志向性」の 2 つの次元から人間関係に配慮することだけが重要
との結論に達している。また、ミシガン大学のリカート(Likert, 1961)は、リーダ
ーシップ・スタイルを専制型、温情型、相談型、参加型の 4 種類に分け、このう
ち長期的にみて最も低い生産性の組織は専制型であり、最も高い生産性の組織は
参画型であると結論づけている。彼によれば、参加型リーダーシップを特徴づけ
る根本的原則は、①指示的関係の原則、②管理の集団方式の原則、③高い業績目
標の原則に求められる。
(2)マネジリアル・グリッド論
ブレイク=ムートン(Blake & Mouton, 1978)によるこの研究では、横軸に管理
者の生産業務に関する関心度、縦軸に人間に関する関心度をとり、両軸をそれぞ
れ 9 等分に分け(9 X 9=81)、合計 81 の区画(グリッド)を管理スタイルを分析す
る枠組みとして設定している。座標軸の左下隅の(1,1)に位置するグリッドは生産
業務への関心度、人間への関心度ともに低い無関心型、同じく右下隅の(9,1)に当
たるのが生産業務だけに関心のある権威服従型、
、左上隅の(1,9)は人間だけに関
心があるカントリークラブ型、真ん中に位置する(5,5)は両方共に関心が中庸であ
る組織人間型、最後に右上隅の(9,9)は両方共に一番関心が高いチーム管理型とそ
れぞれ命名している。この 5 種類の管理スタイルのうち、最後のチーム管理型に
属する管理者がリーダーとして一番望ましいと結論づけている。
(3)PM 理論(Performance and Maintenance Theory)
この理論は大阪大学の三隅二不二(1966, 1978)が提唱した理論で、リーダーシ
ップはパーフォーマンス(目標達成能力)とメインテナンス(集団維持能力)という 2
つの能力要素で構成され、目標設定や行動計画立案などによる目標達成能力とメ
ンバー間の人間関係を良好に保ち集団のまとまりを維持する能力の大小によって
リーダーを 4 つのタイプに分類して、集団の生み出す成果を比較している。結果
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的に上記 2 つの能力がともに高いリーダーシップが最も望ましいと結論づけてい
る。
(4)リーダーシップの条件適合論
それまでのリーダーシップ論は資質論にせよ行動論にせよ、どのような状況に
置かれた集団においても普遍的に有効なリーダーシップを追求してきたが、条件
適合論では、集団の置かれた状況や集団が従事する作業の内容が変われば最適な
リーダーシップも変わってくるという考え方をとる。
この先駆けとなった研究はフィドラー(Fiedler, 1967; Fiedler, et al., 1976 )の
LPC(Least Preferred Co-worker) 質問表による研究である。この研究からの含
意は、リーダーシップへの影響が最も大きいのは、リーダーとフォロワーの関係
であることを明らかにした点である。また、両者の関係が極めて望ましい状況下
とその反対の場合には低 LPC スコアの課業志向型リーダーがより高い有効性を
発揮し、その関係が中間の状況では高 LPC スコアの人間関係志向型リーダーが
より高い有効性を発揮するというものである。つまり、リーダーシップ・スタイ
ルの有効性は普遍的に決まるものではなく、
それが条件に適合しているかどうか
によって決まるのである。
(5)状況的リーダーシップ論(SL 理論)
条件適合論の展開版である。ハーシーとブランチャード(Hersey & Blanchard,
1977)によるとリーダーシップにとって最も影響力のある状況要因はフォロワー
の成熟度(maturity)であるという。この成熟度には課業遂行に関する意思(動機)
と技能(能力)の2つの要素が関係しており、フォロワーとの関係の支援を行う人
間関係的行動と課業指示を行う課業的支持行動の 2 軸からなるマトリックスによ
って 4 つのリーダーシップ・スタイルを提示している。すなわち、両行動がとも
に低くてフォロワーの成熟度が高い場合には課業遂行に多くの責任を委譲する権
限委譲的リーダーシップが有効であり、人間関係的行動の程度は高いが課業指示
的行動の程度は普通である(フォロワーの成熟度が中程度)場合は人間関係的行動
を中心とする参加的リーダーシップや課業的支持行動と人間関係的行動の両方を
行う説得的リーダーシップが有効であり、人間関係的行動の程度が低くて課業指
示的行動の程度が高い(フォロワーの成熟度が低い)場合は課業的支持行動を中心
とする教示的リーダーシップが有効であることを明らかにしている。
1.3 新しいリーダーシップ論
(1)LMX 理論(Leader-Member Exchange Theory): ディネシュ=ライデン
(Dienesch & Liden, 1986)らにより提示されたものである。これまでの理論では
リーダーはフォロワー全員を均等に扱うことが前提になっていたが、現実にはリ
ーダーは一部のフォロワーを内輪の人間(in-group)、他を外集団(out-group)とし
て扱う点に注目している。また、VDL 理論(Vertical Dyad Linkage Theory)も
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LMX と理論的展開が類似しており、リーダーは一人ひとりのフォロワーとの間
に密度が異なる一対一の上下関係を有することを前提とする理論を展開している。
(2)経路目標理論(Path-Goal Theory):
「リーダーがフォロワーの組織目標達
成に関するモティベーションをいかに高めるかという点に焦点を当てたリーダー
シップ論である(上田、2003)」。モティベーション論の一つである期待理論
(Expectancy Theory)が基盤となっている。期待理論によれば、フォロワーのモ
ティベーションの大きさを決める基本的要素は内的報酬と外的報酬の誘発性
(valence)とそこから得られる期待である。経路目標理論におけるリーダーシップ
では、課題志向性が強い指令型、課題志向性と人間関係志向性の両方が強い達成
志向型、それらがともに中間的な参加型、人間関係志向が強い支援型の 4 つが条
件適合的に有効性を有すると考えている。
(3)リーダーシップの帰属理論(Attribution Theory):これまでのリーダーシッ
プ論では、リーダーシップを課業志向と人間関係志向の 2 次元から考える伝統的
なアプローチが多く、両方の志向に関心を持つリーダーが一般的に優れたリーダ
ーと考えられていた。しかし、帰属理論では、集団が好業績を達成したとき、た
またまリ―ダーがこのイメージに合致すれば、そのようなリーダーシップに集団
や組織の好業績を帰属させ易かっただけのことだと考える。また、その反対に集
団や組織が低業績に陥るとその原因を課業達成だけに関心を示すリーダーに帰属
させていると批判している(Pfeffer, 1977, Meindl, et al.,1987)。
(4)変革型リーダーシップ論:
変革(革新)型リーダーシップ論では、従来の組織を効率的に管理する人がリー
ダーであり、マネジャーであるとの暗黙の前提と一線を画するものである。その
ため従来の研究が想定していたリーダーシップを「交流型(取引型)リーダーシッ
プ」として位置づけ、この変革型リーダーシップと対比している。例えば、交流
型リーダーシップではフォロワーがリーダーに従うことによって得る報酬は金銭
的、物質的なものが主であるが、変革型リーダーシップではフォロワーが得る報
酬はリーダー及び組織の使命が実現できたという集団的、精神的報酬が主である
と主張する。変革型リーダーシップの特徴を示せば次の通りである(Kotter, 1996)。
① 魅力あるビジョンを作りだし、それを明確にフォロワーに伝えることがで
きる
② ビジョンを実現化する戦略を構築し、それが現実に達成できる期待をフォ
ロワーに抱かせることができる
③ フォロワーとの間に人間的ないし感情的な絆を結んで、彼らからより多く
の貢献を引き出す
④ フォロワーにとって理想の役割を演じることができる
この変革型リーダーシップはカリスマ型リーダーシップやビジョナリー・リー
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ダーシップとも相通じるものがある(上田、 2003)。
2.リーダーシップ開発論
アメリカ金融界のサブプライムローンの失敗に端を発する世界同時不況ともい
うべき今日の経済情勢下において多くの企業は従来の古いやり方での事業運営を
抜本的に改める大きな企業変革が求められている。そこで必要とされるのが「変
革型リーダーシップ論」である。決められた業務を執行するだけのマネジャーで
はなく、変革の先頭に立ちフォロワーを統率していくリーダーの資質と行動が重
視され、研究対象となる。それではそうした変革型リーダーをどのように育成す
ればよいのであろうか。それにはリーダーシップそのものを分析したり、発生の
ファクターを体系化するだけでなく、リーダーがどのようにして育ったのかを研
究し、
リーダー育成の方法を実践的に探求しようとする
「リーダーシップ開発論」
が必要になる。
学問的にも実践的にもリーダーがどのように育成されるのかについて探求した
結果分かったことは、
「成功したリーダーは、経験を通じて一皮向け大きく成長し
ている」
(波頭、2008)という事実である。この事実こそ、初期のリーダーシッ
プ資質論が見いだせなかったリーダーシップ固有の特性なのではないかと考えら
れる。つまり、リーダーの特性とは、
「経験から学ぶことができる」ということで
ある。そこで経験から学ぶことのできる能力を持つ人を見出して選抜し、適切な
経験を積ませることでリーダーを開発するという新しいリーダー育成法がこの
「リーダーシップ開発論」である(MaCall, 1988 )。
2.1 リーダーの育成とリーダーシップコア
(1)リーダーの育成
リーダーの育成には「一皮むける経験をさせる」ことが必要であることは、経
営者として成功した人々の多くが一皮むける経験を経ており、そのような経験に
よってリーダーシップを身につけることができたという実感を持っていることか
らも、この方法論の妥当性は十分に説得力のあるものと考える。
しかし、組織行動論や人材開発論などの学問的、科学的な立場からすると、そ
れが実務的に妥当性があるからといって、
「有能なリーダーを育成するためには一
皮むける経験をさせればよい」というだけでは少々乱暴である(波頭、2008)
。
一皮むける経験の中でどのようなメカニズムによってどのような資質要素が養わ
れるのか、一皮むける経験とは、どのようなタスクをこなすことなのか、一皮む
ける経験なしにリーダーシップを身につける方法は他にないのか、といった「ブ
ラックボックス的側面」の中身の解明が必要になろう。
その際、前節でもみてきたように、今日のリーダーシップ論ではリーダーの有
するリーダーシップ発生・発現の核心的ファクター(これをリーダーシップコア
と呼ぼう)をいかにフォロワーに効果的に認識させることができるかという観点
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も重要になろう。
リーダーシップコアとは一言でいえば、フォロワーがついて行くに足ると認識
する資質や行動である。リーダーシップ発生・発現を規定するファクターをマク
ロ的に捉えれば、リーダーシップコア以外にもチーム・ケミストリー(チーム編
成)
、タスク特性(ジョッブデザイン)
、組織特性(組織制度設計)等が挙げられ
るが、本稿では紙幅の都合上リーダーシップコアに絞って検討する。結論的にい
えば、リーダーシップコアは能力(capability)、人間性(humanity)、一貫性
(consistency)によって構成される(波頭、2008)
。
(2)リーダーシップコアの 3 要素
1) 能力
リーダーシップ発生・発現の核心的ファクターとしてのリーダーシップコア、
つまりフォロワーがリーダーについていこうと思うための必要不可欠な 3 要素の
1つがリーダーの能力である。
具体的には、
チームを成功に導くのに必要な能力、
組織目標の達成に必要な能力である。これには主として「意思決定力」と「行動
力(実行力)」の 2 つが考えられる。
前者は知識と論理的思考力と胆力によって形成されると考えられる。さらに、い
かに適格な意思決定をしてもフォロワーにそれを正確に説明し、理解・納得して
もらうためには「コミュニケーション力」が必要になろう。
2) 人間性
リーダーがいかに能力的に優れていてもそれだけではフォロワーはついて行こ
うという気持ちにはならない。フォロワーがこのリーダーならついて行きたい、
人間関係を深めて行きたいと思うのはリーダーの「人間性」である。この人間性
には自分のことを思いやってくれる「愛情」の側面とリーダー自身の「倫理」の側
面の 2 つがある。
3) 一貫性
一貫性とは、リーダーの思考と行動スタイルがいついかなる場合もブレないと
いうことである。これは能力面でも人間性の面でも安定していることでもある。
仕事でのパーフォーマンスや言動に一貫性がなければフォロワーからの信頼は得
られない。この一貫性には「時間的一貫性」
、
「状況的一貫性」
、
「関係的一貫性」
などが考えられる(波頭、2008)
。
以上のリーダーシップコアの構成要素について図解すれば図1のようになる。
さて次に、リーダーシップコアの 3 要素を強化・習得するための効果的な具体
策を検討してみよう。これにはまずもってフォロワーにこのリーダーはリーダー
シップコアを持っていると認識させしめることが肝要である。従って、どうすれ
ばフォロワーにこのことを認識させることができるか施策を講じる必要がある。
そのためにはリーダー自身がリーダーシップコアを「強化・習得」するだけでな
く、またそれを保有しているように「演出・表現」することも必要になろう(波頭、
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図 1 リーダーシップコアの要素
(出典)波頭亮『リーダーシップ構造論』p.91.
2008)。つまり、リーダーシップの発生・発現において、単線的に強化・習得の
施策のみでアプローチするより、演出・表現という手法も選択肢として持つこと
により、リーダー育成の可能性は大きく拡大されることになる。
さて次に、リーダーシップコアの 3 要素を強化・習得するための効果的な具体
策を検討してみよう。これにはまずもってフォロワーにこのリーダーはリーダー
シップコアを持っていると認識させしめることが肝要である。従って、どうすれ
ばフォロワーにこのことを認識させることができるか施策を講じる必要がある。
そのためにはリーダー自身がリーダーシップコアを「強化・習得」するだけでな
く、またそれを保有しているように「演出・表現」することも必要になろう(波頭、
2008)。つまり、リーダーシップの発生・発現において、単線的に強化・習得の
施策のみでアプローチするより、演出・表現という手法も選択肢として持つこと
により、リーダー育成の可能性は大きく拡大されることになる。
とは言うものの能力、人間性、一貫性の要素ごとに「強化・習得」という手段
と「演出・表現」という手法の有効性のバランスは異なることを念頭に置いてお
くことも必要である。能力は「演出・表現」のほとんど利かない要素であるが、
人間性のほうはこれが極めて有効である。また、一貫性については「演出・表現」
が有効な側面と「強化・習得」が不可欠な側面の双方を有しているといえよう。
人間の形質として変化させるのが難しいものから、性格→認知パターン→行動の
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順番になっており、性格は意図的に変えることが最も難しいが行動は意図によっ
て比較的容易に変えられる(波頭、2008)
。
1) 能力の強化
リーダーが保有すべき最も重要な能力要素はチームを目標達成へと導くための
「意思決定力」とフォロワーとの効果的な意思疎通を図れる「コミュニケーショ
ン力」である。
① 意思決定力の開発
組織目標の達成へと導く意思決定力は、フォロワーがリーダーに求める最も重
要な能力要素である。
この能力要素の有力な構成因子は
「知識」
、
「論理的思考力」
、
および「胆力」からなると考えられる。知識は主として学習と経験によって、
「論
理的思考力」は訓練の蓄積によって、
「胆力」は経験と心がけによって習得され
るものである。これらは実力として身につける以外にほとんど方法はないので、
「演出・表現」が関われる部分は皆無に等しいといえよう。
リーダーが集団を動かさなければならない状況というのは、非定常的で、しか
も前例のないような状況である。与えられた選択肢を評価し合理的な方策を選ぶ
だけの判断行為ではなく、むしろ自らリスクをとって自らの下した選択肢に賭け、
目標達成に突き進んでいく「決断」を行うのが変革的リーダーシップである。胆
力とはこのような「決断」を支える勇気と精神力である。一般的には、人として
の度量とか器といわれるものである。これは性格の変容にも似た変えることが非
常に困難なものである。この胆力を付けることが、
「一皮むける経験」と多いに
関連しており、リーダーシップの発生・発現にとって重要であるが、これを有す
る人が極めて少ないことがリーダーを育成・開発するうえでのボトルネックにな
っているといえよう。
② コミュニケーション力
コミュニケーション力が重要なのは、たとえリーダーが優れた意思決定力を持
っていたとしても、またフォロワーに対する愛情が細やかで正常な倫理観を有し
ていたとしても、それをフォロワーに伝達し、理解させることができなければリ
ーダーシップは発生・発現しないからである。リーダーシップの発生・発現をフ
ォロワーのリーダーシップコアの認識に求めれば、なおさらリーダーのコミュニ
ケーション力は重要となる。
このコミュニケーション力は 2 種類に分けられる。相手に情報を正確に理解さ
せる「情報伝達力」と相手に共感を呼び起こさせる「共感力」である。リーダー
シップコア要素として「強化・習得」しておく必要性が高いのは共感力の方であ
る。共感力はフォロワーのタイプによってコミュニケーションの内容や話法のス
タイルを使い分けると効果的である。例えば、外向的な人と内向的な人、感情型
の人と論理型の人というようにである。
2) 人間性の演出
リーダーに求められる人間性は愛情にしても倫理にしても性格や価値観に起因
するため実際に変えることは非常に難しい。しかし、フォロワーがリーダーの人
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間性を判断するのは直接的に目にするリーダーの言動である。そこで現実的な対
応策として、リーダーの性格を変えるのではなく、言動を変えるのである。つま
り、日頃の言動やコミュニケーションの演出によって愛情と倫理性の豊かな人と
してフォロワーに認識してもらえる「演出・表現」を行うのである。
3)一貫性の習得
一貫性を「強化・習得」するということは、原則的にどのような場合でも自ら
意識して判断や言動にブレがないように自己をコントロールできるようにするこ
とである。そのための具体策としては、フォロワーや周囲の人々からの自分の行
動に対する評価を収集する方法が考えられる。それによって自分が一貫性を損な
いがちな場面や状況を把握して日頃から改善の意識を持って行動することである。
しかし、現実には苦境に立たされても、不測の事態になっても状況的一貫性を貫
くには心がけだけでは難かしく、体力強化や精神力の強化を図ることも必要にな
ろう。
既述のように、リーダーシップが効果的に発生・発現するためには、リーダー
シップコアを備えたリーダーを育成するだけでなく、それが発生・発現しやすい
組織運営体制(チーム・ケミストリー、タスク特性、組織特性など)を作り上げ
ることが重要であるが、これについての検討は他日を期したい。
2.2 リーダーシップ開発論と欧米多国籍企業の経営者
リーダーシップ開発論は、リーダーがどのようにして育ったのかを研究し、リ
ーダーの育成法を実践的に探求しようとするものであり、マッコール(MaCall,
1988)の言うように「リーダーは生まれつきのものではなく、育成できる」とい
う考え方に立脚するものである。リーダーの育成には「一皮むける経験」が必要で
あり、これは「経験から学ぶ力」を有する人においてのみ可能であると考えられ
る。
本節では、ルノーと日産両社の社長兼 CEO であるカルロス・ゴーン(Carlos
Ghosn)、かつてのアセア・ブラウン・ボベリ(ABB)の CEO であったパーシー・
バーネビック(Percy Barnevik)、および 21 年間 GE の CEO を務めた名経営者ジ
ャック・ウェルチ(John Fancis Jack Welch, Jr)の3人の経歴や経営手腕・経営志
向をリーダーシップ開発論と絡ませて議論を展開してみよう。尚、この 3 名を取
り上げる理由は、
世界的に著名な多国籍企業の経営者であるという以外にはない。
まず、カルロス・ゴーンは、1954 年生まれで、ブラジル系フランス人である。
フランスで理工系グランゼコールおよびエコール・ポリテクニークを卒業。そし
てミシュランに就職し、ブラジルやアメリカの子会社で社長を務めている。その
後、ルノー副社長に転身し、45 歳で日産の最高執行責任者として来日、日産の再
生に成功した後、
2006 年にはルノーと日産両社の社長になり、
現在は両社の CEO
を務めている。
ゴーンの経営手腕や経営志向を知るうえで注目すべき事項として彼はミシュラ
ン時代に 2 つの得難い体験をしたと述べている。
「1つは、若いうちに大きな責
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任を任されそれをやり遂げたこと 」である。31 歳でブラジル・ミシュラン社長
を歴任、36 歳で、北米ミシュランの CEO に昇進している。彼はこのように若い
時から大きな仕事経験から学ぶ機会を得ており、明らかに一皮むけた経営者にな
ることができたと判断できよう。さらに、
「2つ目は、フランソワ・ミシュラン(当
時社長)が自分に全面的な権限を与えてくれたことである」と述べている。
次にルノー時代には、ベルギーのビルボールド工場の閉鎖を提案している。最
終決定したのは社長のシュバイツアーだが、実行したのは彼であった。それによ
って彼にはコストカッターの異名が付くことになった。この工場閉鎖については
ベルギー国王も事前に労働者に説明がなかったとルノーを非難し、両国間の外交
問題にも発展しかねない情勢であった。このような困難な課題に挑戦し成功した
ことはまた一皮むけると同時に、胆力も相当に鍛えられたと考えられる。
さらに、倒産寸前の日産再生においては、
「日産リバイバルプラン」の策定と実
施(工場閉鎖、人員削減等)を行い、初年度で、巨額赤字を挽回し、来日の一年
後には大幅な当期利益を実現(2000 年度)させている。彼はこうした大きなプロジ
ェクトで成功体験を得るごとに、さらに一回り大きな経営者として自信を深めた
に違いない。
パーシー・バーネビックは、1941 年生まれのスエーデン人である。兵役後、イ
エテボリ・スクール・エコノミックスを卒業し、同校修士課程では中退している。
その後、デートマ(コンサルタント会社)に入社。そして、69 年にサンドビック
(大手工作機械メーカー)に転職している。同社ではグループ監査役になり、75
年に 34 歳でサンドビック製鉄(米国子会社)の CEO に昇進している。 帰国後、
本社財務管理担当副社長になる。さらにアセアに転職し 39 歳の若さで CEO に就
任している(80 年)
。アセアではスイスのブラウン・ボベリとの合併の立役者と
なり、新会社(Asea Brown Boveri:ABB)でも CEO となる(46 歳)。
バーネビックの特筆すべき経営手腕と経営志向に関しては、アセアの CEO 時
代に社内的にはダウンサイジング(小さな本社と 30%ルール)
、ディレーヤー(短
い組織階層)
、マトリックス組織等を次々に導入する傍ら、対外的には何と言って
も BBC との合併 を 6 週間という稀にみるスピードで実現させたことである。ま
た、ABB の CEO 時代には、再びグローバルなマトリックス組織(トランスナシ
ョナル企業の代表例)を導入し、業績を飛躍的に伸ばしている。彼は、ABB はど
ういう会社かと聞かれ、
「グローバルであると同時にローカル、大規模であると同
時に小規模、
徹底的に分権化する一方で重要事項の報告と管理は集権化しており、
この 3 つのパラドックス(矛盾)を解決することで本当に強い組織になれる」と
答えている(ゴシャール=バートレット、1999、pp.11-12)。彼は 150 社を超える企
業を買収しており、特に東欧では ABB は最大の投資企業である。買収企業の大
半は 2 年以内に業績が好転している。
最後に、ジャック・ウェルチ(John Fancis Jack Welch, Jr.)は、1935 年生まれ
のアメリカ人である。マサチューセッツ大学(化学工学専攻)卒業後、イリノイ大
学大学院で博士号を取得。その後、GE に入社 (60 年)し、33 歳でプラスチック
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事業部ゼネラルマネジャーに昇進している。79 年に副会長に就任し、81 年(46
歳)から会長兼 CEO を 21 年間歴任する。01 年に CEO を退任するが、GE を世
界最強の企業に変えた名経営者といわれている。
ウェルチの注目に値する経営手腕については、例えば、RCA の買収を僅か 36
日で成し遂げたことである。彼は RCA 以外にも多くの企業買収や企業売却を手
掛け、このため「ニュートロン・ジャック」のあだ名を拝命している。ニュート
ロンとは中性子爆弾であるが、一連の買収や売却では会社を守るため多くの人員
整理を行うことから建物を壊さず人間のみを殺傷するニュートロンを発射するジ
ャックというわけである。
RCA 買収以降、新生 GE は活気づく。テレビ製造事業の売却と医療機器事業の
買収(トムソンと両事業部を交換)、その後には半導体事業、航空宇宙事業等も売
却し、撤退している。
ウェルチは「選択と集中」の戦略によって、自社を世界で N0.1 か No.2 の事業
部のみで勝負する世界で最も競争力のある企業につくり替えたのである。
彼の経営志向の特徴を挙げれば、
①勝つために全力で戦う、②現実を直視する、
③硬軟使い分けて部下のやる気を引き出す、④無理と思えるほどの高い目標を掲
げる(ストレッチ)
、⑤意欲と情熱にあふれた人材を引き上げる、などである。
最後に、3 人の経営者に共通する経営手腕や経営志向について纏めてみよう(中
村、2009)。
① 企業買収・工場閉鎖・事業部門売却とそれに続く人員整理(リストラ)に
辣腕
ゴーンにおいてはミシュラン、ルノーそして日産での工場閉鎖と人員整理、バ
ーネビックの場合は小さな本社と 150 社を越える多数の M&A によって生じた不
要人員の削減。また、ウェルチの場合も RCA の買収による人員整理、テレビ、
半導体、航空宇宙等の事業部門売却によるリストラに辣腕を振るい、業績を大幅
に伸ばしている。これらを通じて彼らはリーダーとしての胆力を鍛えて行ったこ
とが伺えよう。
② 仕事のスピードが驚異的に速い
ゴーンの場合は、
「日産リバイバルプラン」発表の 1 年後(来日 2 年目)に早くも
黒字化させ、巨額の有利子負債を半減させている。バーネビックの場合は彼の仕
事のスピードには誰も追いつけないといわれていたし、そのことはブラウン・ボ
ベリとの合併を全行程 6 週間で完了させたことからも明らかである。ウェルチの
場合も RCA の買収を僅か 36 日で実現させている。これらのことからリーダーシ
ップコアとしての意思決定力は的確であるだけでなくスピードが重要であること
が示唆されよう。
③ 若い時から大きな責任を任され嘱望されており、またそれに応えている
ゴーンの場合は 30 歳代にしてミシュランのブラジルやアメリカの子会社で社
長を歴任し、ユニロイヤルの買収も成功させている。また、ルノーではベルギー
工場の閉鎖を成功させている。さらに、45 歳になった彼は日産の企業再生を実現
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させたのである。バーネビックにおいても 34 歳でサンドビックのアメリカ子会
社の CEO になっている。さらに、39 歳でアセアの CEO になり、そこではブラ
ウン・ボベリとの合併の立役者になっている。彼が合併後の新会社 ABB の CEO
になったのは 46 歳である。3 人とも若いころから挑戦的な大きな仕事をやり遂げ、
一皮も二皮もむける経験をしてきたことが伺える。
④ 情報収集のためのコミュニケーションを重視
ゴーンはルノーに移って副社長に就任するまでの 2 ヶ月間、後に日産でも同じ
ことを行ったが、会社について、さらに人々が何を考えているか知るために、工
場や販売拠点を回って話を聴いている。
「これは問題の核心を把握する時いつも私
が採る手段である」と述べている(ゴーン他、2001, p.112)。
バーネビックも情報収集のためのコミュニケーション能力が高かったことが知
られている。実際、彼は年間 200 日も社外を飛び回り、休みのときでもファック
スや電話で絶えず本社とやり取りしていたという。彼は常に同僚の意見に率直に
耳を貸し、マトリックス組織のネットワークを利用してさまざまな情報源から情
報を収集しようとしていたのである。
ウェルチの場合も、彼自身「1にコミュニケーション、2にコミュニケーショ
ン、3、4も過剰な程のコミュニケーションだ。とにかく繰り返し社員に話しか
けよう。経営者が伝えることは、会社に今何が起きているか、そして経営者は何
をどんな理由でしようとしているのか、また社員にどんな結果を期待しているの
かである」と明言している(日経ビジネス、2008)
。まさに、リーダーシップコア
におけるコミュニケーション力の重要性が再確認し得るのである。
おわりに
本稿では、これまでのリーダーシップ論を概観し、それらの理論の中で現実の
経営者のリーダーシップに結び付ける実践的・変革的なリーダーシップ論として
「リーダーシップ開発論」を中心に、特にリーダーシップコアに焦点を当てて考
察した。
本稿で得られたインプリケーションは、リーダーシップ論には資質論と行動論
の双方が有効であるということである。リーダーシップ開発論でもリーダーにな
りうる資質のある人にリーダーシップコアが発生・発現すようリーダーを育成し
ようとするスタンスを採っているといえよう。挑戦的な大きなプロジェクトに取
り組むとしても、それから学びとる力のない人、リーダーシップコアに欠ける人
では、失敗すれば、
「一皮むける経験」どころか、以後困難を回避する性癖がつい
てしまうことになるだろう。
「リーダーは生まれつきではなく、育成できる」とは
いっても、まずは「経験から学ぶ力」を持った人材を選抜し、適切なタイミング
で意図的に適切な経験を積ませるのが現実的であろう。
本稿ではリーダーシップコアの重要な要素の1つとして意思決定能力を挙げ、
これを構成する因子として「知識」
、「論理的思考力」および「胆力」を挙げた。ち
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なみに、全人格的なマネジメント能力を形成する「場」を提供する目的で開講さ
れた「東京大学エグゼクティブ・マネジメント・プログラム」では、
「マネジメン
ト知識」以外に「さまざまな教養・知識」や「コミュニケーション技能」の修得
を目指している。確かにリーダーたるマネジャーになるには、マネジメントの知
識も含めより広範で深い知識や技能が必要となるかもしれない(横山、2009)
。た
だ、アメリカのビジネススクールにもみられるように座学だけではリーダーとし
ての「一皮むける経験」や胆力を養うことは不可能といえよう。
【注】
* 受付日:2010 年 1 月 5 日
受理日:2010 年 2 月 2 日
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