...

繊維産地シーズ調査研究分析事業報告書 - 独立行政法人 中小企業基盤

by user

on
Category: Documents
24

views

Report

Comments

Transcript

繊維産地シーズ調査研究分析事業報告書 - 独立行政法人 中小企業基盤
繊維産地シーズ調査研究分析事業報告書
―― 産地活性化の萌芽(シーズ)を探る ――
シーズ(Seeds) …タネ、種子。
この報告書では産地に蓄積された開発、生産、販売面における
技術、ノウハウ、ナレッジ等の各種経営資源をいう
平成 14 年度
中小企業総合事業団
繊維ファッション情報センター
はじめに
中小企業総合事業団繊維ファッション情報センターでは、情報調査事業において繊維ファッション
産業の活性化に資するための調査、分析、情報提供等を実施しております。
同事業は、平成 14 年度事業として①繊維製品に関する消費者行動分析調査②繊維産業グローバル
展開調査研究分析③繊維産地シーズ調査研究分析④全国繊維産地概況調査の各 4 テーマについて調
査研究を実施いたしました。
本報告書は上記 4 テーマのうち、
「繊維産地シーズ調査研究分析」について、次のワーキンググルー
プ(WG)を設置して検討し、結果をまとめたものです。
WG 委員名
所
属
役
経営経済学部
職
〇平井
東幸
嘉悦大学
教授
新保
善正
科学技術振興事業団・研究成果活用プラザ石川
科学コーディネーター
森
幸夫
(株)今治リソースセンター
専務取締役
小野
圭造
倉敷ファッションセンター(株)
専務取締役
丸山
武勇
(株)大阪繊維リソースセンター
代表取締役常務
辻村信太郎
(株)浜松ファッション・コミュニティセンター
専務取締役
黒口
宜弘
(株)繊維リソースいしかわ
常務取締役
角田
公雄
国際ファッションセンター(株)
常務取締役
〇座長
わが国の繊維産地が中国等東南アジアからの低コスト製品の輸入増加等に伴い、国内繊維市場での
競争激化及び国際競争力の低下など厳しい状況下にある中で、各産地には優れた素材、加工技術を
有し、高付加価値商品の開発等に意欲的に取組んでいる企業・企業グループが存在しています。
本調査分析報告書は、各産地に存在する特徴ある産地シーズの状況を繊維リソースセンター6 社の
協力を得て調査したものです。産地を越えて連携し、シーズを利用することによる、新しい分野で
の高付価値商品の開発及びその将来性と、新たなビジネスのためのネットワーク創りを推進する具
体的な方策を整理するとともに、今後の繊維産地のあり方を提言いたしました。
関係各位におかれましては、本報告書をご活用いただければ幸いに存じます。
平成 15 年 3 月
中小企業総合事業団
繊維ファッション情報センター
―――目
次―――
Ⅰ. 本調査研究の目的と方法
1
1. 本調査研究の目的
2. 本調査研究の方法
Ⅱ. 現状認識と課題・方向性の提示
2
1. 現状認識と問題抽出
2. 課題・方向性の提示
Ⅲ. シーズを活用した産地間連携と輸出推進の事例
5
1. 技術シーズを活用した商品開発事例
2. 輸出推進マーケティング事例
3. 事例から学ぶべきポイント
Ⅳ. 主要産地における競争力回復の萌芽(産地シーズ)事例
9
1. パターンA(ワタ・糸段階の開発)
2. パターンB(織物・編物段階の開発)
3. パターンC(染色・加工段階の開発)
4. パターンD(二次製品段階の開発)
5. パターンE(新しいマーケティング手法の開発)
6. 紹介シーズの問題点・課題
Ⅴ. 今後の新しい繊維産業への提言
12
1.事例から浮かび上がる新しいビジネスのあり方
2.国内外に発信できる高付加価値商品の開発・販売のための理念・要件
3.具体的ビジネスモデルの提唱
Ⅵ. 産地シーズ調査報告書
15
1. ㈱今治繊維リソースセンター
15
2. 倉敷ファッションセンター㈱
24
3. ㈱大阪繊維リソースセンター
32
4. ㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
46
5. ㈱繊維リソースいしかわ
58
6. 国際ファッションセンター㈱
73
巻末資料 「産地シーズ調査」お問い合せ先名簿
85
Ⅰ. 本調査研究の目的と方法
1. 本調査研究の目的
平成 13 年度、中小企業総合事業団・繊維ファッション情報センターは、産地活性化事業の一部と
して、コラボレーションの実態とその可能性を調査研究した。今回はこれを更に推し進め、わが国
繊維産業の競争力回復・産地活性化という事業の推進力として具体的に何があるのか、具体的に企
業名・グループ名入りでそれを探った。プレ・リサーチ(予備調査)では、「産地シーズ」は確か
に多く存在するものの、前記事業を推進するにはいささか力不足であることも判明した。従って本
報告書の目的は、これら「産地シーズ」の内容を明らかにする一方で、いかなる形に発展すればそ
の役割を果たせるかについても提言することである。併せてシーズを活用しようと考えておられる
産地の企業・団体等がアプローチしやすいように、巻末に問い合わせ先名簿を添付した。本報告書
はこのように、関係者が具体的に行動を起こす際の手引き書としての色合いも濃くしたので、幅広
い活用を期待する。
2. 本調査研究の方法
本報告書は、繊維リソースセンター連絡協議会メンバーである全国 6 法人、───(株)今治繊維
リソースセンター、倉敷ファッションセンター(株)、(株)大阪繊維リソースセンター、(株)浜
松ファッション・コミュニティセンター、(株)繊維リソースいしかわ、国際ファッションセンタ
ー(株)のスタッフが調査員となって、それぞれの管轄エリア中心に各産地に赴き、
「産地シーズ」
内容を詳らかに調査したものをベースに、WG メンバーや委託シンクタンク等関係者が分析・研究
を重ねて作成したものである。報告書に掲載した事例はたまたま 64 件だが、これらが産地におけ
るシーズの全てでないことは言うまでもない。フィールド・サーベイ(聞き取り調査)過程でも、
更に深く広く「取組み」が進んでいるものの、取組当事者の都合により掲載できなかった事例は少
なくなかった。この点は、第Ⅲ章で紹介する「シーズを活用した産地間連携と輸出推進の事例」で
も同様である。
繊維リソースセンター連絡協議会メンバー
法人名
㈱今治繊維リソースセンター
倉敷ファッションセンター㈱
㈱大阪繊維リソースセンター
住
所
〒794-0033
愛媛県今治市東門町5-14-3
〒711-8555
岡山県倉敷市児島駅前1-46
〒595-0025
大阪府泉大津市旭町22-45
代表取締役社長
近藤 寛司
河合 正照
真銅 孝三
㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
〒432-8036
静岡県浜松市東伊場2-7-2
白尾 喜一
㈱繊維リソースいしかわ
〒920-8203
石川県金沢市鞍目2-20
鈴木 賢二
国際ファッションセンター㈱
〒130-0015
東京都墨田区横網1-6-1
小久保 久
1
Ⅱ. 現状認識と課題・方向性の提示
1. 現状認識と問題抽出
――始めに、わが国繊維産業の抱える問題点を以下抽出してみた。
・問題点は以下 3 点に集約される。
①量的規模縮小に未だ歯止めがかかっていないこと。
②産地集積が急速に崩壊しつつあること。
③技術開発基盤も崩壊の危機に瀕していること。
・問題点発生の主たる理由は以下の通りである。
①輸入の急増と生産の海外シフト
②繊維製造企業の後継者難と従業員の高齢化
③国内消費の長期低迷と低価格志向
④各段階・分野の高コスト体質
⑤国内流通業界の著しい変化
⑥金融機関の信用機能低下
・以上に関連して、最重要認識事項として以下 4 点を取り上げたい。
①輸入の急増
②国内生産の減少
③輸出の低迷
④世界貿易構造の変化
以下、その状況をもう少し詳しく考察する。
1)輸入の急増
①85 年プラザ合意後の急激な円高を契機に産業構造の地殻的変動が惹起した。
・85 年∼01 年の間、 輸
入
466 千トン→1,717 千トンへ 3.7 倍に増大。
国内生産
1,983 千トン→
輸
631 千トン→ 434 千トンへ 68.7%に減少。
出
輸入浸透率
994 千トンへ 50.1%に減少。
25.6%(全繊維)、47.3%(綿製品)
→75.4%(全繊維)、93.9%(綿製品)へ。
(出所:経済産業省「繊維需給表」)
②輸入急増下で海外生産にシフトする大きな流れと、国内生産で頑張る小さな流れに分かれる。
・アジア近隣諸国からの輸入問題は、日本企業が設立した生産拠点からの輸入が多く占めるな
ど、日本の“国内問題”の側面も持ち合わせている。
2)国内生産の減少
①繊維企業の転・廃業、倒産等の多発で、雇用問題を始め地域経済に大きなインパクトをもたら
した。
②量的規模縮小で開発基盤にも危機が忍び寄ってきた。
2
③中国始めアジア近隣諸国の生産・物流基盤の整備と品質向上で日本と海外の格差縮小。内外の
棲み分けができたかに見えるのも束の間、たちまち追いつかれる状況が続いている。
3)輸出の低迷
①わが国の繊維輸入対繊維輸出のアンバランスが極めて顕著である。
・量的比較・・・
1,717 :
434=4:1(千トン、2001 年)
・金額的比較・・ 24,624 : 7,296=3.4:1(百万ドル、2001 年)
cf. 米国
80,122:22,122=3.5 対 1(百万ドル、2000 年)
イタリア 14,539:25,753=1 対 1.8( ──同上──
)
ドイツ
29,714:19,296=1.5 対 1(
──同上──
)
フランス 18,487:12,513=1.5 対 1(
──同上──
)
②輸出の長期低迷には以下の理由が考えられる。
・市場を海外に求めない業界体質
・脆弱な価格競争力
・輸出先国の高関税
・ブランド発信力の欠如
・輸出牽引車の欠如(かつては総合商社が牽引、主力商品が存在)
4)世界貿易構造の変化
①中国のWTO加盟とクオータの部分的撤廃(Agreement of Textile and Clothing)
・中国、世界の工場から世界の市場へ
・2005 年クオータの全面的撤廃で世界の貿易戦争、更に激化
②FTA、地域経済統合の急進展
2. 課題・方向性の提示
1)わが国にチャンス到来との認識必要
①当面、世界は価格戦争が激化しよう。
②同時に、非価格競争力(品質、デザイン、ブランド、機能、QR等)が問われる時代へ移行し
つつある。
2)わが国の強み・弱みの再点検
①強み(主に非価格競争力)
・テキスタイル開発・加工技術力
・原糸開発・加工技術力
・品質・納期管理力
・物流網の整備
②弱み
・脆弱なコスト競争力
3
・脆弱な情報・ブランド発信力
・分断された製造工程と長い流通経路及び曖昧なリスク分担
・商品企画・傾向の同時性・同質性
3)強みの強化と弱みの克服
①強みの再認識と更なる強化
・産地間の連携事例に学ぶ
第Ⅲ章で述べるように、産地間連携により、個々の小さな強み(特に川上・川中段階の開発・
加工技術力)がより大きな強みとなる。
・産地のシーズの発掘と連携への模索
第Ⅳ章で述べるように、産地に埋もれるシ−ズ(競争力回復の萌芽)を発掘し、産地間連携
に発展させることが必要。
②弱みの克服(前記 2)−②に対応)
・複数企業による生産・物流面を中心とした共同化追求
・産地ブランド、企業オリジナルブランドの構築
・水平/垂直連携、グル−プ化の推進とSCM構築
・自主企画、直販等の推進・強化
・人材の育成
4)市場を世界に
───輸出志向の薦め
①輸出のメリット
・商品企画力の向上
・海外市場傾向の把握
・決済、デリバリー面でのメリット
・知名度のアップと効果の日本市場への逆輸入
②輸出の問題点・課題
・各種リスクの克服(為替、カントリーリスク等)
・販売ルートの設定(代理店、輸出商等)
4
Ⅲ. シーズを活用した産地間連携と輸出推進の事例
1. 技術シーズを活用した商品開発事例
繊維産地には第Ⅳ章で述べるように、生産・加工技術力───技術シーズを磨き、新素材・新製品
開発に挑戦する動きが少なくない。しかしこれらは特定の企業内・産地内の動きにとどまっている
ケースが多い。ところが以下に紹介する事例は、企業・産地の枠を越えて連携の輪が広がっている。
わが国繊維産業の競争力回復と産地活性化の原動力になる可能性を秘めており、その動向が大いに
注目される。
1)(株)イトイテキスタイル(大阪)
同社は毛織物メーカーであるが、海外商品との競合や国内消費低迷等、環境の厳しい時こそ、勝
ち残りのチャンスと、商品開発意欲の旺盛な同社の糸井社長が海外商品との差別化を目指し、数
年前から和紙を原料とした糸・織物の開発に取り組み、海外でも少なからず関心を持たれるよう
になった。和紙としての利点(吸水性、保温性の高さ等)はあるものの、更なる付加価値化を目
指し、折からの健康志向の流れから神戸女子大学木村教授との連携により、大部分が日本で採れ
る「くま笹」の抗菌性、防臭性に目をつけ、これを和紙に漉き込み、糸、織物、ニット地の開発
に取りかかった。
生産連携先として和紙段階では製紙とスリットは愛媛の川之江の製紙企業に、撚糸は愛知県の撚
糸業者に依頼、製織は自社で、編立ては山形・東京の産地と、地元大阪産地以外の技術・特質を
生かし製品に仕上げている。現在、ハンカチ、スリッパ、靴下、タオル、シーツなどを製品化し
て直接百貨店等へ販売をし、健康に適した差別化商品として市場に浸透しつつある。
平成 15 年初頭には、広く業界に呼びかけ「ササ和紙研究会」を立ち上げた。
産地・業種を問わない連携、或いは産地を越えた新しい連携が生まれようとしている。
2)新日本テックス(株)(石川)と木下織物工場(大阪)
新日本テックス㈱は麻で漉いた美濃和紙を 1mm 巾にカットした後、撚りを 300 回ほどかけて作
った糸「カミール」を開発した。この糸の特徴である「吸湿性」「高染色性」に目をつけたのが
大阪の小巾綿織物企業木下織物工場である。同社は和紙の適度のシャリ感とコシを生かしゆかた
用の織物への転用を考え、新日本テックスと連携を取りながら綿糸との併用により、染上げによ
る縮みを克服し、ゆかたに適した糸番手の開発も行う等、和紙の特性を生かしたゆかた地を開発
した。
日本の独特の商品であるゆかたも中国を中心とする輸入生地・製品の急増で、これまでゆかた地
の白生地生産・販売を事業の柱としていた大阪小巾綿織物企業も大変な苦境に陥っている。しか
し今回の連携で木下織物工場は、差別化商品としてゆかた製品まで手がけるなど、提案型企業へ
変身し消費者に更に一歩近づきたいと考えている。日本ならではの差別化商品として業界から大
いに注目を集めているが、今後の課題である価格面の合理化にも取組んでいる。
糸という原料に近い川上段階の企業と、やや消費市場に近い川中段階の製織業者の連携により、
新分野が拡大できた例であり、前項の例と同じく産地を越えた繊維異業種の取組みによる商品開
発といえる。
5
3)ザ・京都グル−プ(京都)
一社一芸の加工技術力を持った企業が産地を越えてグループを結成し、差別化高付加価値商品を
開発している例である。刺繍、家具インテリア、染加工(いずれも京都)、製織(兵庫・京都)、
編(福島)、縫製(大阪)等、従来は下請的地位にあった企業が立ち上がった。産地シーズ事例
にある株式会社エミュラクサイ(京都)、京都起毛株式会社(京都)もこの商品開発グループを
構成する連携メンバーの一員である。京都府を主な拠点に活動するグループであり、ジャパンク
リエーションにも常時出展するなど、注目度の高い商品開発を行っている。
中でも綿素材によるパーマネントプリーツ商品は、福島で綿の編み立てを行い、京都でプリーツ
加工、更に編地を解いてパーマネント状の糸を西脇(兵庫)で製織した後、大阪で縫製をし、ス
カート、ブラウスなど多様なプリーツ製品に仕上げている。
また同じ京都府内ではあるが、異業種産地連携メンバーとして家具インテリアメーカーが参加し
ている。同社は木を極薄にスライスし、更に 1mm から 2mm 巾の糸状にスリットする。織物メー
カーがこれを布状とした後、短冊にカットし織上げをして、一味違った木目調に再現したものを
同社は、ベストなどの衣料向け以外にもカバンの材料として活用している。容易にマネの出来な
い商品として評価も高く、シャネル(パリ)からのサンプル引合いがあり、輸出への期待も大き
く膨らむ。
2. 輸出推進マーケティング事例
一方、産地企業が上述のシ−ズを活かして、輸出に取り組むケースも散見される。市場を海外に求
める動きは、守勢一辺倒に立たされているわが国繊維産業・産地に、新しい方向性と進路を示唆す
るものとして注目に値する。以下はその事例紹介である。
1)佐藤繊維(株)(山形)
同社は 70 年近い社歴を持ち、羊毛の紡績からスタートした会社である。現在は糸だけでなく、
20 台の自社仕様の編機を使い、独創性のある編地づくりにも注力している。
糸はニット向け定番糸からファンシーヤーンの生産にシフトし、最近では綿糸や和紙糸を芯に、
ウール、わたを巻いた糸、または 4 回撚糸のウール糸により軽さ、保温性、柔らかさ、ファンシ
ー性などの特性をもつ糸を開発し、同社の セールスポイントとしている。
二次製品にも力を入れ、2000 年より糸の特性を活かした商品を自社企画・自社ブランドとして立
ち上げ、ニューヨークの「FEMM 展」「コーテリー展」などに出展、現在米国の専門店との取引
も始まっている。商品としてはセーター、カーディガン、マフラー、帽子などを展開している。
自社の高度な紡績技術を駆使した糸を開発し、更にはそれを用い自社企画による二次製品まで手
がけ、日本で専門店等に販売すると共に米国向けを主とした輸出にも実績をあげている例である。
6
2)(株)イトイテキスタイル(大阪)
前項でも取り上げた企業である。和紙を原材料とする織物、更には「くま笹」を漉き込んだ和紙
からの製品等で注目されているが、経営者の優れた開発能力によりいくつかの商品で輸出に実績
をあげている。日本よりむしろ欧米で知られている企業といっても良いだろう。
数年前、ウール、綿、シルク、ポリエステル使いの二重織(製造特許取得済)を「RV CLOTH」
と名づけ、リバーシブル服地を開発、これが同社の輸出商品の第一号となった。その後の開発例
として、「ECUME」(エクメ)というブランド名で輸出実績をあげているウォッシャブル・レー
ヨンベルベットがある。同社独自のノウハウにより生機を生産、京都の加工場で仕上げている。
また「SILKY POWDER」(シルキーパウダー)の商標名で輸出しているのが、ウール織物にシル
クプロテイン加工を施したもので、風合いが良く艶のある商品として好評である。
いずれもヨーロッパ、アメリカ、中国、韓国などのアパレルメーカーに対して輸出している。和
紙による織物でもジョルジオ・アルマーニ(伊)への輸出実績があり、他にポール・スチュアー
ト(米)、バレンシアーガ(仏)など有名ブランド・メゾンからの評価も高い。特に 2002 年 9 月、
テキスタイル展としては最も権威のあるプルミエール・ビジョン展(仏)が初めて日本メーカー
に門戸を開き、数少ない出展企業の一つとして選ばれ注目された。
経営者の飽くなき開発意欲と長年積み重ねられた技術シーズが、差別化高付加価値商品として実
を結び世界に認められた例である。
3)マウントフジトレ−ディング(山梨)
富士吉田産地のフナクボテキスタイル(船久保国義社長)など織物メーカー同業者 11 社が輸出
振興を目的にグループを結成、独特なマーケティング手法で実績をあげつつある例である。同産
地は撚糸、糸染、製織、仕上げと一貫体制が整っており、従来から繁忙期にスペースを融通しあ
うなど企業間連携がよく、短納期をセールスポイントとし、この厳しい状況下で健闘している。
キュプラ/シルク、ポリエステル/レーヨン、ポリエステル/シルクなど長繊維複合先染織物の
婦人服地が得意である。同時にネクタイ生産でも有数の産地であるが、昨今の輸入急増で産地と
して危機感をつのらせ、バック、ストールなどへの分野開拓を進めると共に輸出への関心も高ま
ってきた。
そのような中で、服地、インテリア、服飾雑貨用途の織物メーカー11 社が輸出を目的とした「マ
ウントフジトレーディング」を設立したのである。イタリアのプラトー市の有力インパナトーレ
と共同でショールームを同市に開設し、まず婦人服地輸出に取組んでいる。
国内向け商品の輸出転用だけでなく、海外を意識した商品開発に注力している。
グループ連携・短納期体制を活かし、イタリア繊維産地を支えているインパナトーレを活用した
輸出マーケティング例である。
7
3. 事例から学ぶべきポイント
「商品開発事例」「輸出推進事例」に共通する点は、以下 4 点に集約できよう。
①素材面や技術面で、個々の産地・企業の持つ伝統・強みといった無形の経営資産を活かした
開発であること。
②他の産地・企業の伝統・強みを組み合わせ、補完し合って相乗効果を発揮していること。
③「健康」「環境」といったコンセプトを多かれ少なかれ取り入れると共に、機能面での差別
化も打ち出していること。
④日本でしか作れない商品に仕立てあげていること。
8
Ⅳ. 主要産地における競争力回復の萌芽(産地シーズ)事例
以下に紹介する産地シーズ 64 事例は、詳細を巻末資料に添付したように、各地の繊維リソースセン
ターの調査員が抽出した“国際競争力回復の萌芽”である。先に述べたように産地間連携にもってゆ
くことが課題としてあるが、本章では 5 つのパタ−ンに分類してみた。
パターンA:ワタ・糸段階の新商品・新技術の開発
パターンB:織物・編物段階の新商品・新技術の開発
パターンC:染色・加工段階の新商品・新技術の開発
パターンD:二次製品段階の新商品・新技術の開発
パターンE:新しいマーケティング手法(展示会開催、ブランド構築、製品志向、販路開拓、小売
進出、各種コラボレーション、各種提携、共同会社設立等)の開発
<合計 64 件>
1. パターンA(ワタ・糸段階の開発)
報告者№
大阪 1
大阪 7
石川 9
石川 10
石川 11
石川 13
石川 14
浜松 1
浜松 2
パターン
A
A,(B)
A
切り口
健康
尾州
健康、環境
A,(E)
環境
(糸加工)
環境
(製糸技術)
製糸技術
A,(B)
特殊糸開発
A
A
環境
(特殊糸開発)
環境
A
撚糸技術
A,(D)
産地
泉州
石川
石川
石川
福井
福井
三河
浜松
案件名/展開アイテム
課題/今後の展開案など
・マイナスイオン 練り込み素材
・服地、肌着、靴下等
・笹和紙の糸・織物
・ハンカチ、スカーフ、靴下等
・改良した生分解性繊維
・衣料用生地
・生分解性プラスティック繊維
・グループ外部との連携による分野・販路開拓
・品質表示の統一基準の作成や認定マークの設定必要
・更なる品質改良、商品開発
・他社・他業種とのコラボ による生産・販売体制組織化
・ニッチ 市場、ボディタオル、土木分野等用途拡大
・衣料から非衣料へ、アジアが真似の出来ない素材を
・ニーズに最適な素材開発研究を重ね本格的実用化へ
・特殊加工糸開発とQD
・カーテン類
・炭素繊維強化複合材料
・開繊糸、開繊織物等
・越前和紙使用の糸、織編物
・靴下、腹巻き、生理用品
・生分解性繊維
・産業資材
・RT撚糸技術の開発
・超高級シルク 靴下等
・難燃無漂白、防菌、防臭等ニーズ に対応した原糸開発
・航空機・自動車関連への展開
・コンソーシアム結成して、新分野開拓
・蚊帳、子供用肌着等の商品化
・工程のコストダウンを図りたい
・生分解性プラスチックの物性制御の研究
・コスト削減面での行政支援
・複合糸など新しい糸作り
・準備・整理工程における技術の発掘・活用
パターンA(ワタ・糸段階の開発)…9件
2.パターンB(織物・編物段階の開発)
報告者№
倉敷 5
大阪 3
大阪 11
大阪 12
大阪 13
浜松 3
浜松 4
浜松 5
国際 3
国際 9
国際 10
パターン
切り口
B
特殊織物
B
糸差別化
B
織布技術
B
織布技術
B
素材差別化
B
織布技術
B
織布技術
B
織布技術
B,(C,E) 素材差別化
B,(C,D) 伝統技術
B,(D,E) 伝統技術
産地
岡山
泉州
泉州
泉州
泉州
浜松
浜松
尾州
東京
東京
東京
案件名/展開アイテム
・4軸織機、4軸織物
・産業資材、スポーツ等
・ペーパーヤーン織物
・大手アパレルのベターゾーンへの提案
・高密度・二重織り等
・婦人服地等
・織物製スクリーン ブラインド 等
・和紙繊維入り浴衣地
課題/今後の展開案など
・特殊分野、一般分野での商品開発
・機能性・快適性高め広く二次製品での用途開発
・商品展開(冬用素材)
・浜松との連携で染色加工上がり生地まで手掛けたい
・健康シ−ツ、枕、床ずれ防止マット等展開分野開拓
・衣類以外にバッグ、小物、寝装品にも展開したい。
・シーズのDB化や権利保護・対価の在り方を検討したい。
・特殊でユニークな技術との出会いの場づくり
・カラミふっくら織り等
・タオル、綿織物等
・パナマコール
・コーデュロイ
・ハイブリッド構造織物
・毛織物
・国産100%シルクニット
・各種ニット製品
・伝統織りでのストール、マフラー等製品類
・安定した技術を持つ染色加工業者との取組
・川崎市「ものづくり共和国」とのコラボによるPR
・他の織物業者への相談・指導
・開発段階での公設試験場同士の技術交流
・2003年2 月本格的デビュー予定
・都立産業技術研究所にケアラベルで助言仰ぐ
・自分で価格決定して、消費者への直販を
・柞蚕糸用いた服地等
・都立産業技術研究所の指導得ながら更なる商品開発
パターンB(織物・編物段階の開発)…11件
9
3. パターンC(染色・加工段階の開発)
報告者№
今治 1
今治 2
今治 3
今治 4
今治 5
倉敷 2
倉敷 3
倉敷 4
大阪 4
大阪 5
大阪 6
大阪 9
大阪 10
石川 2
石川 4
石川 12
浜松 6
浜松 7
浜松 8
浜松 9
浜松 10
国際 2
パターン
切り口
C
健康
C
糸加工
C
健康
C
健康
C
プリント技術
C
C
システム
(ハード)
機能アップ
(環境)
染色加工
(織物差別化)
織物後加工
C
織物後加工
C
刺繍技術
C
環境、健康
C
C
C,(E)
今治
今治
C
C
健康
C
C
染色加工
(差別化)
健康
C
リサイクル
C
染色加工
C
染色加工
(デザイン)
染色加工
(デザイン)
染色加工
(織物)
C
今治
今治
生産技術
(短納期対応)
健康
C
産地
今治
岡山
岡山
岡山
泉州
京都
京都
京都
大阪
富山
富山
石川
浜松
三河
浜松
浜松
浜松
桐生
案件名/展開アイテム
・抗菌性綿織物
・タオル類
・形態安定化処理
・靴下、タオル類
・樫備長炭プリント加工
・タオル類
・いやし波動タオル
・タオル類
・再現性よいカラー模様
・タオル類
・織物検反システム
・各種織物
・ノンハロゲン系による難燃化
・各種産業繊維資材
・インジゴ染料による染色
・Tシャツ、スボン等
・曇り止め加工等
・タオル、衣料用生地等
・バースト加工
・起毛素材、婦人服地等
・伸縮可能な刺繍技術等
・生分解性高機能素材
・衣料品
・短納期・小ロット プリント加工
・ハンカチ、衣料、インテリア 等
・シルクアミノ酸加工
・婦人インナー素材等
・竹炭等のマイクロカプセル加工
・靴下、パンスト等
・手作り風の染色加工
・衣料、寝装、インテリア
・緑茶カテキンの固定化法
・ハンカチ、ひざかけ等
・不織布活性化炭シート
・壁材
・絞り塩縮加工
・天然繊維の織物
・絵柄自由のウォッシュアウト
・衣料用生地
・完全耐久性皺加工
・衣料用生地
・シルク を用いた加工
・各種糸、織物
課題/今後の展開案など
・寝具、ベビー用品、肌着への用途拡大
・介護、医療分野での商品開発で6RCの情報交換を
・特殊糸を使ったタオル製品やアパレル等への展開
・椅子張り、カーシート、リハビリ衣料品への展開
・Tシャツ等の縫製品へのプリント加工
・6RCでの広報活動の場設定
・タオル以外の分野での展開
・蛍光増白剤を使わない工場との共同開発
・パイルを持つ織物、ニットへの活用
・6RCでの展示会開催等
・まず、地域織物メーカーに普及
・学会、展示会等を通じて認知度高揚・全国展開
・シリコン系、ホウ素系のを用いた難燃剤の開発
・合繊を含めた各種複合繊維への染色が可能となった
・染色加工領域の拡大
・需要開拓、新商品開発
・用途開発
・受託加工だけでなく、製品化・直接販売に挑戦
・「ザ・京都」始め企業グループ通じて製品提案
・地方の刺繍業者等との連携で商品開発推進
・刺繍による付加価値を認めてくれる顧客の開拓
・住宅資材、農業資材等への展開
・医療用素材の開発
・賃加工にとどまらず、半製品や生地売りに挑戦
・別注製品受注に積極取組
・ストッキング、フィットネスユニフォーム、介護衣料等への展開
・一般肌着、介護用品、資材用品への拡大
・無地、プリントの従来テキスタイルのビンテージ繊意化
・更なる機能アップと本格販売へ
・フィックス法は、ワーキング、ユニフォーム、ファッション等への展開
・架橋法は低コスト・安全性を更に研究
・全日本リサイクル 工業協同組合等を通じ事業化予定
・リスク負担を含めて、ウール等への展開
・プロジェクト・リーダーの育成等RCとして支援研究
・他産地とのコラボ 拡大し、ALL JAPANに持っていたい
・技術そのものの根幹には触れないで欲しい
・量産を考えるなら「けば」の輸入必要
・医療関連商品にも用途展開研究
パターンC(染色加工段階の開発)…22件
4. パターンD(二次製品段階の開発)
報告者№
大阪 8
石川 1
石川 3
石川 6
石川 8
国際 1
国際 4
国際 5
国際 6
国際 7
パターン
切り口
D
健康
D
D
機能アップ
(軽量化等)
健康
D
環境
D
環境
D,(E)
健康
D,(E)
健康・環境
D
健康
D,(E)
環境
D,(E)
製品差別化
産地
大阪
石川
石川
石川
石川
東京
東京
東京
桐生
太田
案件名/展開アイテム
課題/今後の展開案など
・健康研究会
・Tシャツ、介護製品
・炭素繊維による小型電力貯蔵装置
・消費者ニーズの更なる吸い上げ、商品開発
・衣料品以外の企業とのコラボによる販売戦略構築
・更なる試作・実験を経て、用途拡大・全国販売へ
・脱臭力強い和紙炭
・インテリア用品、空気清浄フィルター等用途開発
・生分解性繊維の椅子張
・各種インテリア製品
・生分解性繊維の資材
・網、植上ネット 等々
・ほつれ難いサポーター等
・各種サポーター類
・究極のベビーウエア
・肌着、ワンピース等
・ユニバーサルファッション
・ワンピース、カーディガン等
・生分解性植生マット
・植生マット類
・ホールガーメント
・各種ニット製品
・プロジェクトチーム による本格的な商品開発
・張り替え可能なデザインを設計し、需要喚起
・公設試験機関との連携強化で効率的な技術開発等
・ニーズに最適な素材・製品提案
・異業種交流で商品開発促進を
・社会貢献に観点から、整形外科用商品の開発等
・明確なブランド戦略要確立
・カラーバリエーションや用途の拡大
・更なる商品開発、販路開拓
・公的機関等との連携、サイト立ち上げ等
・公共事業での実績拡大し広く普及させたい
・有限会社設立を予定
・今より「半歩先」を目指して商品開発を
パターンD(二次製品段階の開発)…10件
10
5. パターンE(新しいマーケティング手法の開発)
報告者№
今治 6
今治 7
今治 8
倉敷 1
倉敷 6
倉敷 7
大阪 2
石川 5
石川 7
浜松 11
国際 8
国際 11
パターン
切り口
E
デザイン
E
生産技術
E
織布技術
E
用途開発
E
デザイン
E
健康
E
デザイン
E
マーケティング
E
マーケティング
E
輸出
E
販売手法
E,(A)
輸出
(糸差別化)
産地
案件名/展開アイテム
・デザイナー クラブいまばり
今治
・タオル等
・インクジェットでの小ロット対応
今治
・タオル、小物、別珍等
・6人コラボ による輸出
今治
・アパレル、インテリア用生地
・綿帆布の用途開発
岡山
・かばん類、ジーンズ
・デザイン画を元に商品開発
岡山
・各種アパレル製品
・機能性重視の介護衣料
岡山
・日被連国産エコマークの推進も
・デザインのデジタルベース 化等
京都
・生地、アパレル、水着等
新潟 ・産地直営の小売店
(五泉) ・各種横編みニット製品
新潟 ・産地企業の販売会社
(見附) ・レディスニット製品
・対中国ビジネスチーム
浜松
課題/今後の展開案など
・6RCがコーディネーターとなってデザイナー交流・研修
・6RCが素材販売等で仲介役のシステムを
・他産地からのプリント柄試作受注
・共同出資会社や展示会出展への行政援助
・RCによるグループ化促進
・広く生活関連二次製品への展開
・そのための継続的企画力、ブランド戦略構築必要
・デザイン画、素材、縫製等の情報をデジタル化し、活用の場
を広げる仕組みを研究
・各産地との交流で必要生地(情報)の収集・調達
・「和」のデザインをアパレルの「洋」向けに展開
・データのアレンジ、デジタル化を更に進める
・産地企業の輸出入のお手伝い
・素材訴求を含めて更なる差別化・高級化
・多品種・小ロット・短サイクルシステム構築
・素材訴求により差別化、産地ブランド、直営店展開へ
・生地から製品まで展開計画。メンバーの主体的取組カギ
・HMC,情報交流等で支援。
・ネット通販
・石鹸等用途拡大
富士吉田
・各種オーガニックコットン製品等
・異業種連携で産地商品のの発信の仕掛け準備中
・独特のニット糸開発。ニット製品は輸出取組 ・ローテクの見直しと、よりオリジナリティある糸、製品開発
山形
・前売りに一層注力し収益の向上を
パターンE(新しいマーケティング手法の開発)…12件
6. 紹介シーズの問題点・課題
1)産地間連携の不足・欠如
既に述べたように、紹介した 64 事例は総じて特定の企業内、或いは産地内活動にとどまってお
り、産地を跨がった動きに至っていない。その理由として以下の事項が考えられる。
①出来れば広げたいと思っているが、その方法がよく分からない。
②特定の企業内で自己完結的にやれるので、外部に頼ることがあるとすれば、せいぜい拡販のた
めの協力程度のものである。
③特定のグループ内で活動しており、外に広げることはグループ設立の趣旨に反したり、メンバ
ーが多くなりすぎて当初の狙いや効果が減少することを危惧する。
2)技術レベルや効果の更なる検証・実証が必要
①技術的観点からの考評
各シーズは技術的な観点から一層の工夫の余地はないか、或いは類似案件・先行事例がないか
等々、シーズの事業化拡大に向かって、調査や検証が必要と思われる。本プロジェクトのワー
キンググループの委員である新保善正氏のコメントを該当調査報告書に添付した。
②品質表示の基準統一等
「健康」を切り口にしたシーズが多いが、例えばマイナスイオンの効果をうたった商品の品質
表示の統一基準や認定マークの設定が必要との意見も提示された。今後の課題として検討した
い。
11
3)コストアップと資金不足
シーズ開発を更に進め、事業を軌道に乗せるネックとしてコストアップや資金不足を訴える案件
も少なくない。対応策を次章で考察したい。
Ⅴ. 今後の新しい繊維産業への提言
1. 事例から浮かび上がる新しいビジネスのあり方
1)点から線へ、線から面へ
これからのわが国繊維産業の方向性の第 1 は、非価格競争力強化を通じて、世界の中で一定のシ
ェアと存在感を堅持・拡大することであろう。その原動力は本報告書に取り上げた幾つかのシー
ズに見い出せるが、多くが特定の企業内・産地内に埋もれており大きな広がりを持たない。これ
ら経営資源、即ち開発・生産・販売等における技術、ノウハウ、ナレッジを企業外・産地外に広
げ、産地間連携にもって行けば、事業が点から線に、線から面に発展しよう。連携の輪が広がれ
ば、シーズ自体の深耕とより大きな経済効果が期待できると同時に、わが国繊維産業の競争力回
復と産地活性化が現実のものとなる。
2)自主性の涵養・強化
自主性とは、例えば自主企画の推進、オリジナルブランドの構築、直販等新しい販路の開拓を指
す。事例から浮かび上がる新しいビジネスのあり方の第 2 は、紛れもなく商品企画、製法、マー
ケティング等の面で個々の企業の自主性・独自色を涵養・強化することであろう。大量生産・大
量消費を背景に大企業の傘の下での下請生産というこれまでの産業構造が崩壊し、グローバル化
の加速、デフレ経済進行と相まって先行きが極めて不透明なビジネス環境が続く今ほど、個々の
企業の独自性、自主性が求められる時期はない。
3)輸出の推進
連携の輪を広げ自主性を強化することが、競争力回復と産地活性化につながると述べたが、今後
ますます激化する世界の繊維貿易戦争で、わが国が勝ち残るにはこれだけでは十分とはいえない。
重要なことは、世界市場で日本の潜在力や競争力を検証し、開花させ強化することである。中国
のWTO加盟、クオータ撤廃、地域経済統合の進展といった地殻変動が起こり、価格競争の激化
はもとより非価格競争も広がりつつある今こそ、わが国の出番到来・チャンス到来である。輸出
を通じて市場を世界に広げる戦略は、これからのわが国の第 3 の方向性でありビジネスのあり方
といえよう。
2. 国内外に発信できる高付加価値商品の開発・販売のための理念・要件
基本的な考え方は上記の通りだが、これをより具体的に進め、非価格競争力の強化と国内外に発信
できる高付加価値商品の開発・販売には以下のような方策が必要と思われる。
12
1)情報公開・発信
シーズを産地間連携に持っていくためには、まずなによりもシーズの内容、開発者名、展開商品
等を他の企業・産地に知って貰わねばならない。当該企業・グループのサイト立ち上げ、産地組
合やリソースセンターのホームペ−ジ・機関紙活用は言うに及ばず、業界紙にアピ−ルする努力
も欠かせない。
2)交流・連携の促進
シーズを広げるには、開発者自ら積極的に他企業・他産地と交流・連携を進めることが大前提と
なる。産地間連携、産学官連携、海外との交流・連携等様々な形態があるが、開発者企業・グル
ープ単独でこれを進めるのは難しい面もあり、リソースセンターや産地組合、その他公的機関の
助言・支援が望まれる。
3)企画・開発の深耕
シーズの技術水準を引き上げ、用途開発・多品目展開を推進するには、上述の通り他産地企業や
大学、技術・試験研究所等の公設機関との連携を進めることが肝要である。
4)新しいマーケティングの展開
シーズをより大きなビジネスに育て上げるには、以下のマーケティング展開にチャレンジしてみ
たい。
①展示会、商談会、マッチング斡旋会、商品コンテスト等への積極的参加
②有力小売業とのタイアップ
③産地ブランド戦略の構築
④キャンペーン展開(業種組合連合会が展開する全国キャンペーンに乗る等)
⑤消費者への直販
5)公的機関や行政の支援について
シーズの拡大や事業化は民間の自助努力が大前提だが、コストアップや資金不足に悩む有望プロ
ジェクトやモデルケースの円滑な推進に、6 リソースセンターによる支援や行政の資金的補助が
極めて有効な場合もある。
3. 具体的ビジネスモデルの提唱
以上の方策を具体的に推進するのはシーズ開発者自身だが、個々の企業が上述の連携・交流を推進
するのに必要な知識や、マーケティングを実践するノウハウを充分持ち合わせているとは限らない。
各地のリソースセンターや組合等の公的機関がこれを助言・支援することが望まれるが、更に一歩
踏み込んでモデルケースを作り、産地間連携に依る商品開発や輸出を試験的に進めてみてはいかが
であろうか。
13
1)モデルケースの設定
モデルケースを以下の 2 分野で作ってみてはどうか。
①商品企画開発(技術シーズ)での連携モデルケース(2∼3 件)
②輸出対応での連携モデルケース(1∼2 件)
2)モデルケースの展開条件
モデルケースは原則として本報告書で取り上げた 64 シーズから選別・設定するが、その展開に
当たっては以下の条件を備えたい。
①産地間連携の実現
連携を組むメンバーは当然、産地を跨がった企業(または学・官)であること。
②原料から製品まで
分野は原料から製品まで、一気通貫的・垂直連携の形が望ましい。
③発表会・展示会等の開催
出来た製品は、より多くのパ−トナー募集や販売を目的に、発表会・展示会等の場で公表・P
Rすること。
④独自ブランドの構築
先述の各種マーケティングの中でも、特に連携グル−プの独自ブランド構築を試みたい。
⑤6 リソースセンターや行政の協力・支援
本モデルケースの推進、とりわけ初期段階において 6 リソースセンターが企画開発面やマ−ケ
ティング面で協力するとともに、行政の資金的支援の導入を積極的に働きかけるよう要望した
い。
3)将来展望
───終わりに
既に述べた通り、産地間連携がわが国繊維産業の競争力回復と産地活性化の起爆剤になることが
期待されるわけだが、この目的をより効率的に達成する一つの手法として、例えば関係パートナ
ーによる共同出資会社の設立がある。但し、これは飽くまで一つの選択肢に過ぎず、連携メンバ
ーによるグループ活動のままであっても一向に差し支えない。
要はこうした取組みの推進が、これまでのように中国を中心とするアジア近隣諸国の商品と棲み
分けるだけでなく、繊維先進国である欧米品と棲み分けるための有力な方策となること、そして
世界の繊維産業の中で、わが国が一定の量的規模と存在感を堅持・拡大できる確かな手段になる
ことを確信してやまない。
14
Ⅵ. 産地シーズ調査報告書
1. (株)今治繊維リソースセンター
報告者
№
パターン
切り口
案件名/展開アイテム
今治RC
1
C
健康
・抗菌性綿織物
・タオル類
・寝具、ベビー用品、肌着への用途拡大
・介護、医療分野での商品開発で6RCの情報交換を
2
C
糸加工
・形態安定化処理
・靴下、タオル類
・特殊糸を使ったタオル製品やアパレル等への展開
・椅子張り、カーシート、リハビリ衣料品への展開
3
C
健康
・樫備長炭プリント加工
・タオル類
・Tシャツ等の縫製品へのプリント加工
・6RCでの広報活動の場設定
4
C
健康
・いやし波動タオル
・タオル類
・タオル以外の分野での展開
・蛍光増白剤を使わない工場との共同開発
5
C
プリント技術
・再現性よいカラー模様
・タオル類
・パイルを持つ織物、ニットへの活用
・6RCでの展示会開催等
6
E
デザイン
・デザイナー クラブいまばり
・タオル等
・6RCがコーディネーターとなってデザイナー交流・研修
7
E
生産技術
・インクジェットでの小ロット対応
・タオル、小物、別珍等
・6RCが素材販売等で仲介役のシステムを
・他産地からのプリント柄試作受注
8
E
織布技術
・6人コラボ による輸出
・アパレル、インテリア用生地
・共同出資会社や展示会出展への行政援助
・RCによるグループ化促進
15
課題/今後の展開案など
(今治 1)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地の(株)ヒサオー
②パターン
: C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:天然性抗菌剤を用い抗菌性綿織物及び綿織物の抗菌加工方法の開発
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
今治産地の(株)ヒサオーは、平成 8 年に皮膚障害や環境汚染の全くない天然抗菌剤を使用して、
綿織物の長期に亘る抗菌性の持続を可能にする加工技術を開発した。同社は、今治産地の特産品
であるミカンの果皮に含まれる D-リモネンという抗菌成分に着目。愛媛県青果農業協同組合連合
会の協力を得て、色素や不純物を取り除いた無色透明のオレンジオイル WHE を入手し、それを
多孔性マイクロカプセルの中にとじこめ、少しずつ発散させる「オレンジオイル 800-RO」を作
り、カプセルの回りを樹脂で包み、タオルに付着しやすい方法を開発した。
抗菌効果等については、96 年全国繊維好評技術協会の「技術振興賞」を受賞するなど高い評価
を得ている。
また、愛媛県繊維産業試験場との共同研究により抗菌防臭加工のタオル製品「愛のよかん」の
商品化に成功し、産地の特色を生かした商品開発が話題を呼び、地元周辺での土産物店や松山空
港売店などで販売されている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1) 天然抗菌剤を活用したバスタオル、フェイスタオルなどの水回り品のみでなく、タオルシ
ーツ、介助マット、パジャマ、ワンタッチローブ、マクラカバーなど介護、医療分野とか、
ベビー用品、肌着などの商品開発も考えられる。
(2) その際には、タオル生地以外の素材を活用することも求められるため、6 リソースセンタ
ーにおける介護、医療分野などの商品開発に関する情報交換をすることは有益ではない
か。
報告者名:木村忠司
所属: (株)今治繊維リソースセンター
16
報告月日 14 年 10 月 15 日
(今治 2)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地の大和染工(株)
②パターン
: C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:特殊糸の形態安定化処理とその特殊糸を用いた繊維製品の開発
④シーズの活用者:今治産地のタオル製造業者他
⑤展開商品と取組内容:
綿やレーヨン等のセルロース系繊維と水溶性ビニロン等とを複合紡糸し、生地にした後、水溶性ビニロ
ン等を溶かしさることにより得られる中空糸などの特殊糸の場合、精錬・染色加工中に、中空部分形成用の
水溶性ビニロン等を溶解除去するため、その段階で、中空部分が潰れて繊維の腰が損なわれ、せっかくの特
性が、最終製品に至るまでに十分に維持できないという問題がある。
また、これらの崇高糸は、繰り返し洗濯に弱く、数回の洗濯でその特性が大きく失われるという問題も
あった。
そのため、今治産地の大和染工(株)は、セルロース系の中空糸を染色前段階でチーズ状の糸に対して熱加
工することで、崇高性や柔軟性、速乾性といった特性が長期にわたってそこなわれることのない、優れた特
殊糸の形態安定化処理方法を開発した。現在、靴下を中心にタオルやサマーセーター用の特殊糸の形態安定
化処理を提供している。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)
タスラン(長繊維(フィラメント)の束に強く空気を吹き付け、各繊維に小さなループを作る)糸
に形態安定化処理をすることで、ボリューム感が長期にわたって損なわれない特殊糸を提案してお
り、この特殊糸を使ったタオル製品やアパレル、雑貨などの商品開発を研究中である。
(2) また、マイナスイオンが発生する薬剤を使った染色整理加工技術を活用して、椅子に張る布やカー
シートへの加工、壁紙の接着剤に応用することによりホルムアルデヒドを除去する加工、老人向け
リハビリ用の衣料品への加工などを研究しており、タオル製品以外の新分野進出にも積極的に取組
んでいる。
⑦備考
綿加工で完全防縮は不可能と言われてきたが、近年木材の加工法を利用する過熱蒸気超高圧法での防縮
法がある。
報告者名:木村忠司
所属: (株)今治繊維リソースセンター
17
報告月日 14 年 10 月 15 日
(今治 3)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地の(株)国分繊維工業
②パターン
: C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:樫備長炭プリント加工の開発
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
(株)国分繊維工業は 2002 年、樫備長炭を使った顔料プリント「樫備長炭加工」の開発に成功し
た。消臭効果、抗菌防臭効果、遠赤外線効果、マイナスイオンによるリラックス効果などに特徴
があり、耐洗濯性も問題ない。備長炭練りこみの糸などに比べてコストが安くなることも特徴の
一つだ。
マイナスイオン効果などを訴求する備長炭使いの商品が注目されているが、練りこみの糸など
では価格が高くなる。
「その問題を解決するため、染めの段階などでできないか」と模索したのが
開発のスタート。開発当初は、染め段階で備長炭の効果を付与する方向で進めたが、ムラになる
などの問題が生じたため、顔料プリントでの開発を進めることとした。備長炭の粒子と顔料のカ
ラーの粒子とでは大きさが大きく違うということから、洗えばすぐに落ちてしまうなどの問題に
も様々な工夫により克服し、樫備長炭プリント加工によるバスタオル、フェイスタオルなどの商
品化に成功した。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1) 現在、炭を素材とした商品はシャンプー・石鹸から食べ物に至るまで多数商品化がされて
いる。カラーはグレーのみでなく多色対応も可能であり、タオル製品の樫備長炭プリント
加工以外にも、T シャツなどの縫製品へのプリント加工も考えられる。
(2) (株)国分繊維工業は、ピースでのプリント加工であれば他産地からの委託加工を受けたい
とも考えており、6 リソースセンターにおける広報活動の場があれば、積極的な利用を希
望している。
報告者名:木村忠司
所属: (株)今治繊維リソースセンター
18
報告月日 14 年 10 月 15 日
(今治 4)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地の宇野タオル(株)
②パターン
: C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:調和のとれた良い水に波動水を使った加工方法による「いやしの波動タオル」を
開発
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
今治産地の宇野タオル(株)は、人と自然にやさしい「いやしの波動タオル」を開発し、タオル生地を使っ
た各種製品の製造販売を行っている。
波動タオルとは、タオルの生産工程において一切の蛍光増白剤を使わない無蛍光で安全なものとし、仕
上げ加工においては、柔軟剤を使用していない水を霧状に強く吹き付け、時間をかけて糸の中の糊を抜く
「ミスト加工」という特殊加工を施している。また、最終段階の水洗いの際に、特殊セラミックや形態波
動入りのプレートを入れ、調和の取れた良い水にして、その中に「いやしの波動水」を入れることで、吸
水性の良い、優しい肌触りの「いやしの波動タオル」が開発された。生活者の評価としては、使い心地が
良く、特に赤ちゃんやアトピー性皮膚炎など、お肌の弱い方々に喜ばれている。
現在、糸加工の段階でも波動水加工を実施することで、更に効果がアップしている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
宇野タオル(株)は、タオル製品以外の織物などの加工においても波動水を使った加工を行うことで、自然
に調和した良い物が市場に広がることを期待しており、同社と同じ考えを共有し、生産工程において一切
の蛍光増白剤を使わないことのできる工場を保有する企業との共同開発(波動水加工の繊維製品)を希望
している。
⑦備考
波動という言葉が先走りして波動処理の理論は完全解明はなされていない。
金属イオンが出ることで水質は変化するがこれが良い水かどうかは判定できる装置は現在は無い。
報告者名:木村忠司
所属: (株)今治繊維リソースセンター
19
報告月日 14 年 10 月 15 日
(今治 5)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地の(株)河上工芸所
②パターン
: C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:パイルを有するタオルに捺染手段によりカラー模様を形成する加工方法
④シーズの活用者:近藤繊維工業(株)、花椿テリー(株)ほか
⑤展開商品と取組内容:
今治産地の(株)河上工芸所は、パイルを有するタオルに特色インクを用い、かつ、網掛けによ
り濃淡をつける捺染手段によって、再現性の良いカラー模様を形成する加工方法を開発した。
例えば、赤色、青色、黄色、それぞれのドットのインクを混在させ、各々の割合を制御するこ
とで紫色系を表現しようとした場合、インクのドットはパイルによって正確に目的位置に付き難
く、柄ズレが起きる。したがって、どうしても、ぼけた感じの表現になり再現性が悪い。
そのため、パイルを有るタオルにカラー模様を形成しようとした場合、原画像をカラースキャ
ナによって特色分解し、この特色分解により得た色に対応する特色インクを用い、かつ、網掛け
により濃淡をつけることによって色が綺麗いで再現性の良いカラー模様を形成することが可能と
なった。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
インクジェット方式に勝るとも劣らない再現性の良いカラー模様で、且つ大量生産可能な捺染
加工方法であり、パイルを有する織物やニット製品など凹凸の有る生地に捺染する手段として活
用できると考える。このシーズの幅広い活用を図るには再現性の良さを他産地にPRする必要が
あり、6 リソースセンターにおける展示会等を利用した広報手段を検討してはどうか。
⑦備考
取り組み内容で、特色インキは特殊インキにされたらどうですか。
特色分解は色分解にされたらどうですか。
報告者名:木村忠司
所属: (株)今治繊維リソースセンター
20
報告月日 14 年 10 月 15 日
(今治 6)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:デザイナーズクラブいまばり
②パターン
: E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:今治産地のデザイン関連企業グループによる情報交換と産地間交流
④シーズの活用者:今治産地のタオル製造業者
⑤展開商品と取組内容:
今治産地の紋匠デザイン協同組合のメンバーを中心に、デザイナーとデザイン関連企業 31 人
が集まり 97 年 4 月に任意グループの「デザイナーズクラブいまばり」を発足させた。活動目的
は、若手デザイナーの養成とレベルアップを図るとともに、関連企業などとの交流を進め、広く
情報交換を行い、また他産地のデザイナーとの交流により産地の活性化を図っていくことを目的
としている。
同クラブは、
業界団体が進めている産地オリジナル商品の開発及び各種催しへの協力並びに今
治市が進めているファッションタウン構想によるマップの制作などの様々な事業に参加するほ
か、独自の商品開発や京都のデザイナーとの「京都&いまばりジョイントタオル展」を開催する
など、活発な取り組みを行っている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
産地間のデザイナーの交流によりレベルアップを図ることは重要であると考えており、6 リソ
ースセンターがデザイナー等の産地間交流並びにデザイン研修等を進めていくためのコーディ
ネート役になることを検討してはどうか。
報告者名:木村忠司
所属: (株)今治繊維リソースセンター
21
報告月日 14 年 10 月 15 日
(今治 7)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:新居田物産(株)
②パターン
:E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:インクジェットプリント機 4 台を使った小ロットの受注対応
④シーズの活用者:新居田物産(株)及び産地内の製織メーカー
⑤展開商品と取組内容:
今治産地の新居田物産(株)は、通常はサンプル作りに使われるインクジェットプリント機を 4
台導入し、美術館や駅、ペットショップ等の売店で販売する各種多様なプリント柄のタオルハン
カチを小ロット対応で生産販売しており、その販路は徐々に拡大している。また、一般消費者向
けにも、あなたの選んだ写真を印刷してオリジナルタオルを作る「フォトプリントタオル」をホ
ームページなどで提案している。
更には、商品開発する際に、プリント企画の場合だとプリントの型代などの開発コストが高く
なることや、プレゼンテーションにも日数を要するため、今治産地の他社からプリント企画の試
作品作りの依頼も受けている。
商品開発においては、プリント柄のタオルハンカチだけでなく、プリント柄によるバックなど
の小物類の開発も手がけており、素材もタオル生地だけでなく、別珍コールテンや絹織物を使っ
た商品開発を行っている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1) タオル生地以外の素材(織物やニット生地)を使って商品開発する際に、小ロットで仕入
れることが難しいのが現状である。そのため、6 リソースセンターが素材販売の仲介役を
するシステムの検討を希望する。
(2) また、綿や絹、麻などの反物素材であれば、他産地からプリント柄の試作開発の依頼を受
けることも可能である。
報告者名:木村忠司
所属: (株)今治繊維リソースセンター
22
報告月日 14 年 10 月 15 日
(今治 8)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:今治産地のテキスタイルデザイナー(織師)の上脇大智、吉原史朗、染師の山本
敏明、竹田圭吾、エンジニアの問谷清、紋匠の諏訪文久の 6 人
②パターン
:E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:6 人のクリエーターのコラボレーションによる海外市場の開拓
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
今治タオル産地の製織メーカーである(株)上脇の代表者上脇大智がプロジェクトリーダーとな
り、今治産地の製織 2 社、染色 2 社、紋匠デザイン 1 社、機械 1 社の気の合う仲間が共同出資を
して(有)菱花を設立した。
同社は、
「手業」つまり「技能職の“技”そのもの」が、わが国の重要な輸出品になっていくこ
とを目指しており、2004 年の独・フランクフルトで開催されるハイムテキスタイル展に出展する
計画だ。
そのため、先ずは平成 12 年からジャパン・クリエーションに出展し、優れたジャカード織技術
のレベルアップを図ってきたが、14 年はハイムテキスタイル・ジャパンに出展し、2004 年のハ
イムテキスタイル展への効果的な出展のための準備が着々と進んでいる。
提案していく商品としては、ジャカード織でそれも多重織ガーゼ織物の技術を生かした、アパ
レル・インテリア用生地を開発している。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1) 今治産地の機能を存続させるためには、製織、染色整理加工などの関連企業のグループ
化・協業化が求められているが、合併などの形態は当面難しい問題があるので、株式の持
ち合いや共同出資による新たな会社の設立という形態でのグループ化等が現実的ではな
いかと考えている。そのため、共同出資会社設立や商品開発並びに展示会等へ出展する際
の資金援助を行政が支援できるようなシステムを検討することができないか。
(2) リソースセンターが実施する、集積活性化事業の新商品開発を活用して、グループ化の促
進策を検討したい。
報告者名:木村忠司
所属: (株)今治繊維リソースセンター
23
報告月日 14 年 10 月 15 日
2. 倉敷ファッションセンター(株)
報告者
№
パターン
倉敷FC
1
E
用途開発
切り口
・綿帆布の用途開発
・かばん類、ジーンズ
案件名/展開アイテム
・広く生活関連二次製品への展開
・そのための継続的企画力、ブランド戦略構築必要
2
C
システム
(ハード)
・織物検反システム
・各種織物
・まず、地域織物メーカーに普及
・学会、展示会等を通じて認知度高揚・全国展開
3
C
機能アップ
(環境)
・ノンハロゲン系による難燃化
・各種産業繊維資材
・シリコン系、ホウ素系のを用いた難燃剤の開発
4
C
染色加工
・インジゴ染料による染色
(織物差別化) ・Tシャツ、スボン等
・合繊を含めた各種複合繊維への染色が可能となった
・染色加工領域の拡大
5
B
特殊織物
・4軸織機、4軸織物
・産業資材、スポーツ等
・特殊分野、一般分野での商品開発
・機能性・快適性高め広く二次製品での用途開発
6
E
デザイン
・デザイン画を元に商品開発
・各種アパレル製品
・デザイン画、素材、縫製等の情報をデジタル化し、活用
の場を広げる仕組みを研究
7
E
健康
・機能性重視の介護衣料
・日被連国産エコマークの推進も
・各産地との交流で必要生地(情報)の収集・調達
24
課題/今後の展開案など
(倉敷 1)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:丸進工業株式会社
②パターン
:E型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:綿帆布の生活関連分野への用途開発(「はんぷ屋」事業部の開設)
④シーズの活用者:丸進工業株式会社
⑤展開商品と取組内容:
同社は昭和 8 年の創業以来、各種織物製造を続け、現在では 60 台の自動織機で帆布、厚織物といった広幅織
物を製造している。糸から織物まで自社工場にて一貫生産を行うためQCRおよび品質管理にすぐれ、規格もの
やリピートものを得意とする。素材としては綿を中心として麻、アクリル、エステルその他複合糸等の撚り糸が
中心である。
同社の位置する倉敷市曽原地域は全国的にも数少ない「帆布」の産地として国産帆布の約 70%を生産してい
る。もともとは古代エジプトにおいて、名前の通り船の帆として使われたのがはじまりといわれており、明治に
なって鉄道貨物のシート、テントなどの産業資材、また職人の道具袋、牛乳配達袋、学生かばんなどの生活資材
としても大量に使用されていた。しかし近代になって生活様式の変化によりその需要は大きく減少し、トラック
の幌など産業資材としての少量の需要が大半を占めている状況であった。
しかし、高付加価値商品の必要性から、帆布の特徴である伝統的な製法で織られており丈夫で生地がへたらな
い、また化学繊維に比べると重くてかさばるが綿そのものの自然のぬくもりがある、そして環境にやさしい等を
活かした生活関連商品の企画提案型事業を行う目的で「はんぷ屋」事業部の開設を行った。
既に同社製品は国内有名ブランドのかばん他、ナショナルブランドのトートバッグなどのかばん類、スニーカ
ー、ジーンズ・ジャケットなどの衣料品類でも二次製品化されている。現在は自社ブランド「はんぷ屋」でのオ
リジナル商品の企画提案、製造販売を試行錯誤しており、「千趣会」などの通販カタログ上での「手作りキット」
的商品提案等の実績がある。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
今後、帆布の持つ独特の風合いを生かした各種生活関連二次製品の企画製造販売を行っていきたい。価格面、
数量面からも海外品との競合は考えにくく、ニッチな分野での用途開発、販路開拓に力を入れていきたい。その
為にはまず企画提案を「毎シーズン継続して」行える企画力を持つことが必要不可欠であり、売り先の他に染色
や加工、縫製との取り組みも積極的に行っている。また、販売方法に関してもブランド育成と共に最適な方法を
模索していく必要がある。
報告者名:川東正武
所属:倉敷ファッションセンター株式会社 報告月日:平成 14 年 10 月 30 日
25
(倉敷 2)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者:岡山県工業技術センター、堀江染工(株)、(株)英田エンジニアリング
で構成する共同研究体
②パターン
:C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:高速画像処理による織物検反システム
④シーズの活用者:織布業、染色業、アパレル業
⑤展開商品と取組内容:
織物表面の検査(検反)は、現在でも大部分は目視による検査が行われている。本共同体では、高速で高度な
情報処理技術により、織物表面の傷・汚れ等の検査を画像処理を用いて自動化するシステムを開発するものであ
る。
従来、自動検反システムの実用化において、最大の問題となっていたのは処理の高速化である。本プロジェク
トで用いる方法は、織布のテクスチャ情報をノイズとみなしてウェーブレット変換により選択的に除去すること
で傷や汚れ等の検査を行う方法である。
このように、独自の技術シーズに基づき、それを可能な限り汎用部品を用いて並列に処理することにより、コ
ストを増大させることなく目視に近い検査速度を実現するものである。
本システムは、価格を抑えるためハード的には汎用品で構成するが、処理アルゴリズムは独自の高速で高精度
な手法を開発する。これにより、本製品は数百万円の価格を想定しており、ほとんど実績のない従来品の数千万
円の機器とは比較にならないと言える。
従来、目視に頼っていた検査工程の自動化が低コストで実現可能となれば、生産効率が向上し繊維織物業界に
与える経済的効果は非常に大きなものとなる。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
事業化に関して、システムの製作は参加機関の㈱英田エンジニアリングが主として担当し、堀江染工(株)で
実用化を図りながら進めていく予定。
当技術の普及については、まず、地域織物関連メーカーに普及活動を行いながら、全国展開を図ってゆく。ま
た、業界対象のアパレル研究会(会員 30 社)、繊維機械学会等での発表、あるいは、展示会への出展等を行い、
業界内での認知度の向上を図る。
⑦備考
検反機の自動化は過去から多くの研究、市販などもされたが精度とスピードの相関関係があり完全に成功した
例は無い。特に画像処理方法によって欠点をどう捉えるかにより差が出る。
報告者名:川東正武
所属:倉敷ファッションセンター株式会社
26
報告月日:平成 14 年 10 月 30 日
(倉敷 3)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:岡山県工業技術センター
②パターン
:C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:紙、織物、フィルムの難燃化に対して、ノンハロゲン系の新規な難燃剤を用いて
難燃性を向上させる技術を開発した。
④シーズの活用者:産業資材関連企業
⑤展開商品と取組内容:
現在においては、紙、織物、フィルムなどの産業資材製品の難燃化に対しては、一部ハロゲン化さ
れた燐酸系、燐酸系、燐系が無機系難燃剤(水酸化アルミニウムなど)と共に用いられている。しか
し、燐資源の枯渇や環境への問題から今後使用が変化する可能性もある。その中で、将来期待できる
難燃剤としてシリコン系やホウ素系の難燃剤への期待がある。これらの難燃化へのメカニズムは、燃
焼時に難燃剤がガラス化して火炎から可燃物を遮断するなどの効用があるとされている。
現在、産業資材製品において難燃化の性能試験が実施されている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
現在では、有機系難燃剤(燐酸系、燐系)、無機系難燃剤(水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウ
ム)が使用されているが、今後シリコン系を用いた難燃化技術も増えるものと推察される。現在、難
燃シリコンが開発されているが、性能的には十分とは言えず、当分は燐酸系・無機系を中心にシリコ
ン系、ホウ素系を用いた難燃剤の開発が進展すると思われる。
⑦備考
非ハロゲン化は環境問題から派生したが、リン・硫黄・シリコン系とて安全性からは疑問がある。
また無機系を繊維に固定する方法が大切になる。
報告者名:川東正武
所属:倉敷ファッションセンター株式会社
27
報告月日:平成 14 年 10 月 30 日
(倉敷 4)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:岡山県工業技術センター
②パターン
: C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:インジゴ染料による染色技術
・ 綿製品の染色技術
・ ポリエステル製品の染色技術(特許取得済み)
④シーズの活用者:繊維染色加工業
⑤展開商品と取組内容:
(1)インジゴ染料による綿繊維の染色技術
ジーンズや“かすり”の染色に使用されるインジゴ染料は、藍染めとして古くから使用され
ているが、複雑な染色工程が必要なため工業スケールでの製品染色が困難であった。そこで、
染色雰囲気を窒素置換することによって、製品を一度の操作で染色できる技術を確立した。本
技術を利用して、県内企業 4 社では、注文生産の高付加価値型 T シャツやズボンなどを製造し
ている。
(2)ポリエステル製品のインジゴ染色技術
染色温度 100℃以上が必要とされるポリエステル素材を、インジゴ染料で染色することは、
これまで不可能であった。そこで染料溶液に添加するアルカリと還元剤の配合比について検討
を行い、世界にさきがけてポリエステル繊維のインジゴ染料による染色技術を確立した。現在
県内企業において開発した技術を利用した製品化の試みが行われている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・ポリエステルのみならず各種合成繊維のインジゴ染料による染色技術を確立している。今後繊維
の複合化はますます進むことが予想される。これら複合素材をインジゴ染料で染色することによ
りこれまでにない感性と風合いを有する製品の創出が可能となり、地域繊維染色加工業の活性化
につながるものと考えられる。
・セルロース系素材に限られているジーンズの経糸として、様々な素材が適応可能となり、幅広い
年代層に受け入れられる新製品を開発することができる。
報告者名:川東正武
所属:倉敷ファッションセンター株式会社
28
報告月日:平成 14 年 10 月 30 日
(倉敷 5)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:岡山県工業技術センター、明大株式会社で構成する共同研究体
②パターン
:B 型(織物・編物段階の開発)
③シーズの内容
:世界初の四軸織機及び四軸織物の開発
④シーズの活用者:明大株式会社
⑤展開商品と取組内容:
同社は昭和38年の創業以来、特殊織物の開発・生産を続け、産業資材として不可欠なベルトスリングや広幅
特殊織物のリーディングメーカーである。さらに、多品種少量生産による高付加価値商品の開発として、世界初
の四軸織物を織機から設計開発することに成功し、国内だけにとどまらず世界中に、そして産業資材分野だけに
とどまらず、スポーツ・レジャー分野への応用など広がりが期待されている。
さて、四軸織物とは、タテ軸とヨコ軸の二軸で構成される通常の織物に対して、その二軸(+)に斜めの糸を
二本交差(×)させた織物である。その特徴は単位面積当りの糸密度が高いため非常に強力で、特筆すべきは「引
っ張り」に対する強度が「あらゆる方向に対して」高いことである。
現在は、NASAでの使用に向けての研究中であることに代表される航空宇宙産業をはじめ、モータースポー
ツ車両内装への採用など特殊繊維(カーボン繊維・ガラス繊維など)で作られる四軸織物の特殊分野での需要は
広がっている。今後は、グラスファイバー等リサイクル不可能な産業資材に代わって環境に優しく(ポリエステ
ルを使用した場合)、そして4重に重ねて生産されていたものを1重で同等の強度を持たせられる為それによっ
て総合的には材料費や人件費の軽減が可能な革命的産業資材として建築土木・自動車など多くの分野で注目され
ている。同様にスポーツ・レジャー等生活分野においても、より軽量で破れにくいテントなどの用具や衣類、女
性用下着、護身服などあらゆる一般用途での需要が期待されている。
今後の課題は織機の改良による生産効率向上である。現在平成15年内を目処に新機の完成を予定しており、
供給量の増大に期待している。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
今までの織物の考えを覆したこの四軸織物の市場は特殊分野のみならず産業資材分野・スポーツ・レジャー分
野において実現可能性の高い具体的なものとして存在しており、生産性の向上・各用途への活用の為の商品開発
等を積極的に行いながら、世界の織物業界に革命を起こしスタンダード(定番)として市場に普及させたい。そ
して、国内各織物業者との協力により各々の特色を活かした商品展開を行い、国内織物製造業を代表する高付加
価値商品として定着させたいと考えている。
報告者名:川東正武
所属:倉敷ファッションセンター株式会社
29
報告月日:平成 14 年 10 月 30 日
(倉敷 6)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:倉敷ファッションフロンティア実行委員会
②パターン
:E型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:ファッションデザインコンテストに応募されたデザイン画を活用した新商品開発
④シーズの活用者:アパレル関連企業
⑤展開商品と取組内容:
現在、上記実行委員会(倉敷市・倉敷ファッションセンター㈱)ではアパレル関連企業各社のデザ
イナー養成事業としてファッションデザインコンテストを行っているが、コンテストによって集めら
れた各種資源の有効活用に関する取り組みを行っている。
まず、織布・染色加工・アパレル他繊維関連各種企業がデザイン画を制作したデザイナーと共同し
実際のモノ作りを行い、出来た作品をファッションショー形式で発表し、百貨店バイヤー等への紹介
を行っている。また、制作を行った企業側はデザイナーのリクルートに活用し、実績をあげている。
また今年度より、デザイナーを中心とし、企業側でもこれまで取引の無かった企業同士が協力しな
がら作品制作することにより、新たな関係の構築にも役立っている。今回の事例としては学生服メー
カーとデニム素材メーカー、ジーンズ洗い加工業者という組み合わせで行われ、お互いモノ作りに対
する全く違った面からの意見を聞くことが出来、非常に参考になっている。
デザイン画等のコンテスト資源は実事業では活用が困難であると考えられがちであるが、
「今」を反
映した商品アイデアの宝庫であると同時に「将来」を担う人材の宝庫であると考えている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
2002 年度は約 9,000 点集まったデザイン画及びその素材、加工、縫製などの各ポイントについての
アイデア、解説等の情報をデジタル化し配布することによって、より多くの企業にデザインアイデア
収集、新人デザイナー発掘他の目的で活用可能な仕組みを構築する予定である。
報告者名:川東正武
所属:倉敷ファッションセンター株式会社
30
報告月日:平成 14 年 10 月 30 日
(倉敷 7)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:岡山県アパレル工業組合
②パターン
:E型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:国内生産対応型機能性重視介護衣料の新商品開発及び販路開拓
④シーズの活用者:アパレル関連企業
⑤展開商品と取組内容:
現在倉敷産地アパレル企業においては介護関連衣料の製造販売が増加している。その多くは介護を
行う側の衣料であり、福祉施設等のスタッフ用ユニフォームという立場のものである。今後は介護さ
れる側の衣料として着脱が容易であり、床ずれしにくい等消費者の意見を十分取り入れた商品開発を
行うと同時に、事業所向けの一括納入のみでなく個別の顧客にも対応した販路開拓を行っている。
具体的な商品開発にあたっては、大手紡績・合繊メーカーよりサンプル収集を行うほかジャパンク
リエーションなど素材見本市でのサンプル収集を行っているが、必要とする機能に対応したより機能
的で付加価値が高い生地素材を求めている。
また、参加メーカーはいずれも介護する側の商品展開を行っており、既存の販路を活用しながらよ
りユーザーの声を取り入れやすい、そして個別ユーザーのニーズに合わせたオーダーメイドに対応で
きるシステムを開発している。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
今後国内他産地との産地交流の中で必要な生地素材情報の収集等を行い、純国産品としての高付加
価値商品を開発、日本被服工業組合連合会「日被連国産エコマーク」の推進も行っていきたい。
報告者名:川東正武
所属:倉敷ファッションセンター株式会社
31
報告月日:平成 14 年 10 月 30 日
3. (株)大阪繊維リソースセンター
報告者
№
パターン
切り口
案件名/展開アイテム
課題/今後の展開案など
大阪RC
1
A
健康
・マイナスイオン 練り込み素材
・服地、肌着、靴下等
・グループ外部との連携による分野・販路開拓
・品質表示の統一基準の作成や認定マークの設定必要
2
E
デザイン
・デザインのデジタルベース 化等
・生地、アパレル、水着等
・「和」のデザインをアパレルの「洋」向けに展開
・データのアレンジ、デジタル化を更に進める
3
B
糸差別化
・ペーパーヤーン織物
・大手アパレルのベターゾーンへの提案
・商品展開(冬用素材)
4
C
織物後加工
・曇り止め加工等
・タオル、衣料用生地等
・需要開拓、新商品開発
・用途開発
5
C
織物後加工
・バースト加工
・起毛素材、婦人服地等
・受託加工だけでなく、製品化・直接販売に挑戦
・「ザ・京都」始め企業グループ通じて製品提案
6
C
刺繍技術
・伸縮可能な刺繍技術等
・地方の刺繍業者等との連携で商品開発推進
・刺繍による付加価値を認めてくれる顧客の開拓
7
A,(B)
健康、環境
・笹和紙の糸・織物
・ハンカチ、スカーフ、靴下等
・更なる品質改良、商品開発
・他社・他業種とのコラボ による生産・販売体制組織化
8
D
健康
・健康研究会
・Tシャツ、介護製品
・消費者ニーズの更なる吸い上げ、商品開発
・衣料品以外の企業とのコラボによる販売戦略構築
9
C
環境、健康
・生分解性高機能素材
・衣料品
・住宅資材、農業資材等への展開
・医療用素材の開発
10
C,(E)
11
生産技術
・短納期・小ロット プリント加工
(短納期対応) ・ハンカチ、衣料、インテリア 等
・賃加工にとどまらず、半製品や生地売りに挑戦
・別注製品受注に積極取組
B
織布技術
・高密度・二重織り等
・婦人服地等
・浜松との連携で染色加工上がり生地まで手掛けたい
12
B
織布技術
・織物製スクリーン ブラインド 等
・健康シ−ツ、枕、床ずれ防止マット等展開分野開拓
13
B
素材差別化
・和紙繊維入り浴衣地
・衣類以外にバッグ、小物、寝装品にも展開したい。
・シーズのDB化や権利保護・対価の在り方を検討したい。
32
(大阪 1)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者:自然エネルギー応用研究所(愛知県一宮市 佐々木所長)
担当連絡先
②パターン
野村産業株式会社
野村専務
TEL
0586-45-6891
:A 型(ワタ・糸段階の開発)
自然天然鉱石(電気石)6 種類をブレンド・微細粉末にし、ポリエステル、
③シーズの内容 : レーヨンに練り込み、静置状態でも常時マイナスイオンを発生する新繊維原糸
を開発。
④シーズの活用者:CPEマイナスイオン開発グループ(尾州の紡績、毛織業等 8 社)
⑤展開商品と取組内容:
・森林浴、滝、噴水の周辺で精神的、肉体的に癒されるのはマイナスイオンによるものと考えられている。
・マイナスイオンは血行促進、空気清浄、消臭、抗菌、静電防止効果等があると言われている。
・本開発の従来の加工品との大きな違いとしては、
①静置状態で約 2,000 個/cm のマイナスイオンが常時発生している。
3
(トルマリンは刺激(振動・摩擦等)を与え続けないと発生しない。)
②練り込みのため、洗濯耐久性に対し、半永久的である。
・グループ各社は、それぞれの得意分野で服地、肌着、靴下、ひざ掛け、敷パット等、新商品を開発中。変
った使途としては、某かつらメーカーが髪を植え込むネットに採用し、血行促進から育毛に良いかつらを
開発。同じ目的で帽子の裏地にも展開。
・更に新素材として、ナイロンへの練り込みやポリエステル、レーヨンのフィラメントの開発とウールのワ
タ段階で含有処理する事を試験中である。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・この素材を使用した新商品としては、健康、癒し志向の時流に合致し、非常に多分野での活用が考えられ、
グループ 8 社の販路だけではフォローしきれないため、新分野・事業については、外部との連携が必要で
ある。
・マイナスイオンについては「健康によい」
「リラックス」
「ストレス解消」等各社各様のコピーで宣伝され
ているが、一時のブームに終わらないためにも測定方法、品質表示の統一基準が作成され、認知した商品
には認定マークを付けるなどの対応により、機能商品としての育成が望まれる。
(2002 年 2 月に「日本機能性イオン協会」が発足している)
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
33
報告月日 14 年 10 月 15 日
(大阪 2)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者: 株式会社谷口染型工房(京都府京都市
連絡先
②パターン
谷口社長)
075-392-7815
: E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容 :
テキスタイルプリントデザインのデジタルべース化とインターネットによる
開発連携
④シーズの活用者:染工場、テキスタイルコンバーター、アパレル
⑤展開商品と取組内容:
・インターネットを利用して、型、デザインの提案、修正、確認のやりとりをアパレルデザイナ
ーと直接行っている。元来、着物の染型を作成していたが、自社でデザインを提案することに
よって、商品の幅が広がり、他の染工所のチームと差別化することが出来る。
・現在、当社の型工房では、デジタル化を進めることにより図案作りなど染色に関わる業種間の
垣根を低くしている。
・悪い市況の中、ビジネスの効率化を上げるため、型作成のリスクを軽減するためにインクジェ
ット出力による見本作りを進めている染工場も出現している。
・市場ニーズの多品種、小ロット化にも染工所及びアパレルデザイナーと連携してフレキシブル
に対応している。
・ジャパンクリエーション 2001(2000 年 12 月
東京国際展示場)に、
“クロス・ザ・ポイント”
(京都市染織デジタルアーカイブ研究会ブース内有志グループ、代表谷口社長)としてデジタ
ルデザインを出展し、ミズノのデザイナーの目にとまり、和の柄を競泳水着のスピードに採用
された実績がある。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・デジタルデザインのデータベースを階層的に整理して、京都特有の和のデザインデータをア
パレル製品向けの洋のデータに展開を考えている。
・データをアレンジすることによって新しいデザインの創出を進めたい。
・デジタル化を進めなければ、今後のプリント業界での生き残りは困難と感じている。
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
34
報告月日 14 年 10 月 15 日
(大阪 3)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者: 辰巳織布株式会社(大阪府岸和田市
連絡先
②パターン
辰巳社長)
0724-27-4801
: B 型(織物・編物段階の開発)
③シーズの内容 : 細番手によるペーパーヤーン織物の開発
④シーズの活用者:辰巳織布株式会社
⑤展開商品と取組内容:
・王子製紙が開発したペーパーヤーンを共同で織物分野の開発をエアージェット(従来はレピア)
で進めている。
・ペーパーヤーンは、紙と麻の特性をもち、非常に軽く、従来のものと比べると比重が 1/3 であ
り、マニラ麻を原料としているので、燃やしてもダイオキシンが発生せず、生分解も可能である。
・多年生植物で成長が早く、自然界での循環もよく、環境にやさしい。また、吸汗性もよく、夏用
衣料用だけではなく、空気を含んでいるので、軽く、保温性も高い。
・従来のペーパーヤーンによる織物開発は、糸の太さが 8∼9 番手(綿糸番手換算)迄であり、織
り、加工しても靴下やパンツなど製品用途が限られていた。
・今回のペーパーヤーンの細番手の開発は、撚糸、染色加工業者等と共同で、シャツやブラウスな
どにも可能な 20∼30 番手以上の細い糸の開発を行っている。
・現状、織りあがりがどうしても硬くなるため、加工段階での柔軟性の促進及び物性面の安定など、
まだ、課題は残っているが細番手の開発を序々に整えつつある。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・衣料用として、紙の特性である軽くて、吸水性も良いので、空気を含むと保温性も高まる。
夏用のみではなく、冬用の素材としても、商品展開が可能と考えている。
・大量生産ができないため、大手アパレルのブランドのベターゾーンに提案したい希望をもって
いる。
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
35
報告月日 14 年 10 月 15 日
(大阪 4)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者: ダイワタオル協同組合(大阪府泉佐野市
東専務理事)
担当連絡先
②パターン
漆谷課長
TEL 0724-66-0660
: C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容 : 曇り止め加工等各種機能性加工方法
④シーズの活用者:
泉佐野警察署
⑤展開商品と取組内容:
・特殊セラミックスとシリコン成分をブレンドした溶液を、後加工により、タオル表面に付着させ、
(防曇効果)
くもり止めタオル「スキッとタオル」を開発した。
・
「スキッとタオル」は、車の窓ガラスや風呂場、洗面所などの鏡の“曇り”を取り除ける機能性タオルである。
泉佐野警察と共同開発を行い、交通安全協会を発注窓口として販売している。
カー用品店などで既に約 100 万枚を販売した実績がある。
・インターネットによるアメリカ向けの販売も考えており、現在、許可等の申請を行っている。
他にも下記のような特長のある加工技術も確立している。
1)
「涼感加工」
・ハッカの成分とキシリトールをカプセル化したコート剤を付着させ、体温温度を下げる。
2)
「UVカット加工」
・紫外線の遮蔽と抗菌効果を有す、特に成分中のユキノシタは皮膚障害のDNA修復効果等。
3)
「天然色素染色加工」
・コーヒー染、ココア染、緑茶染、紅茶染等飲料用として作られた製品から抽出した色素により染色
した天然カラー。
4)
「食用色素染色加工」
・食品衛生法に基づいて、食品添加物に指定されている「食用色素」を染料に用いている。
5)各種「抗菌防臭加工」等
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・警察署との連携による「スキッとタオル」の他、旅館組合との「防炎タオル」など新しい需要に対する商
品開発と販路開拓を行っている。
・消費者のタオルに対して望むものは、第一に吸水性や柔らかさ等タオル本来の良さの追求も大事であるが、
新しい需要の開拓を積極的に推進することも肝要である。
・上記機能加工品については、メディア等を利用し、消費者に広く周知したい。
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
36
報告月日 14 年 10 月 15 日
(大阪 5)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者: 京都起毛株式会社(京都府京都市
田村専務)
連絡先 TEL 075-313-6801
②パターン
: C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容 : 「バースト加工」起毛素材の表面を焼いて柄を作成
④シーズの活用者:
問屋、アパレル
⑤展開商品と取組内容:
・起毛素材に型を置き、柄の部分を焼いて、自由自在に凹凸感及び陰影をつくる。エンボス加工
と違い独特な柄表現と風合いが可能。
・オパール加工などとは違って、柄の部分が薬品の影響により変色や透けないのが特長である。
・加工依頼の綿布は中国生産品が多く、定番的な商品は、コスト的に厳しく、従来通りの起毛だ
けでは競争力がない。
・輸入品が増加しているが、商品の決め手となる風合や感性・イメージは、中国や東南アジアで
は任せられず、製品の品質管理は、国内で行った方が良い。
・加工に付加価値をつければ国内商品は、残っていけると考えている。
・現在、
「バースト加工」については、スカート、ワンピースの婦人服SPA型アパレルに直接、
提案している。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・受託加工のみでなく製品化して、直接、販売できる仕組みを考えたいが、1 社では、リスク面
など難しい問題が残されている。
・製品提案については、発案から開発を経て販売まで共同で行っている有志グループ「ザ・京都」
に参画しており、更に積極的に推進したいと考えている。
・今後も、現在の市場にない加工方法の開発を続け、海外に提案し、認められ、日本に持ってき
た方が評価を得るのは早いと考えている。
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
37
報告月日 14 年 10 月 15 日
(大阪 6)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者: 株式会社エミュ・ラクサイ(京都府京都市
坂本社長)
連絡先 TEL 075-462-8260
②パターン
: C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容 : 伸縮が可能な刺繍技術及び刺繍によるピンタック
④シーズの活用者:問屋、アパレル、専門店チェーン店
⑤展開商品と取組内容:
・ストレッチ性のある素材に合わせて伸縮が可能な刺繍技術を開発。
・コストも従来と変わらず、円や曲線、バイヤスなどの柄も自由に行え、コード刺繍でも可能であ
り、刺繍糸も選ばない。
・販売開拓についても、積極的に行っており、直接、アパレルにアプローチすることにより、市場
ニーズを自ら把握して、それに基づいてサンプルを作成している。
・縫製業では表現できない刺繍によるピンタック加工を行なっており、内外で評価を得ている。
オートクチュールのアパレルにもパーツ加工で提案している。
・レーザーカット刺繍については、今年 2002 年、ヨーロッパのユーロステッチマガジン社主催の
グランドユーロステッチ刺繍コンテストにおいて 1998 年に続いてグランプリを受賞した。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・商品開発については、独自の技術のみで進めることは考えておらず、むしろ地方の技術のあると
ころと連携した方がよいと考えており、地方ではまだまだ一社一芸の特長ある技術をもっている
ところが多いと感じている。
・販売戦略については、刺繍、プリント、染めなどによる付加価値の重要性を認めてくれる得意先
の開拓が重要と考えている。
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
38
報告月日 14 年 10 月 15 日
(大阪 7)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者:株式会社イトイテキスタイル(大阪市岸和田市
担当連絡先
②パターン
糸井社長)
糸井取締役
TEL0724-45-8800
: A型(ワタ・糸段階の開発)、B型(織物・編物段階の開発)
③シーズの内容 : 笹和紙糸、織物の開発
④シーズの活用者:イトイテキスタイル株式会社
⑤展開商品と取組内容:
・天然の「くま笹」をすき込んだ和紙を糸にして布に織り上げている。和紙のすぐれた吸水性、保温性とく
ま笹の自然の抗菌防臭作用の活用で、アトピーや敏感肌の人にも効用があり、気になるにおいを防ぐこと
が可能。
(開発まで 5 年経過)
・
「ささ和紙」を利用してハンカチ、スカーフ、スリッパ、靴下、タオル、シーツなどを製品化して、直接、
有名百貨店との取引を行っており、売場での反応もよく、リピータも増えている。
・インターネットの販売も手掛け、より消費者の近いところで生産者自らニーズ情報を入手しながら、積極
的にアプローチしている。
・特に需要の多い靴下(水虫が治ったという例がある。)においては、1 年半で 3 万足の生産を行った実績
がある。
*ささ和紙の特徴
・綿の 2.5∼3 倍のすぐれた吸水性を持ち、汗をかいてもべとつきがなくさらっとしている。また、断熱性
があるので、夏に涼しく冬は暖かい。
天然原料から生まれているので、敏感肌に最適で、紫外線を 95%以上カットする。
くま笹の抗菌防臭作用で菌の増殖を抑え、においを防ぐ。
・商品開発には、産地を越えて連携関係を構築しながら進めている。
原糸の開発では製紙は四国の川之江、撚糸は尾州で行い、製品化には織は自社、編は山形、東京などそれ
ぞれ特長のある技術力の高い企業と開発の連携を行っている。
・横編ニット製品に関しては、東京ニット産地のニッター4 社からなるグループ「TINK」にニット用の
ささ和紙を供給し、同グループが商品化している。今秋冬物より、専門店販路による自社オリジナルブラ
ンド商品及びOEM 商品の店頭実売が始まっている。
・ささ和紙以外に「ダブルフェース」(毛、綿、麻、合繊各種の二重織物)、シルキ・パウダー」(毛織物にシ
ルクフィプロインパウダーをコーディングしたもの)、「ウォシャブル・ベルベット」(洗うと一層ベロア
調の風合いの良さが出てくる織物)、「FSヤーン」(ポリエステル・フィラメントとウールを精紡交撚し
た糸)等のテキスタイルは世界に通じるオリジナル商品。
欧米の有名ブランドとの輸出実績があり、輸出比率は 30%位。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・いやしやエコロジー商品として一般商品まで広げ、品質改善・新商品開発を推進する。
・
「くま笹」は中国の一部を除いて日本でしか採取できないので、その利点を生かして、国内において生産、
国内外に流通、消費のしくみの確立を目指している。
・特に生産においては、加工縫製を含めて、一気通貫のしくみを構築することが今後は重要と考えており、
他社や他業種とのコラボレーションで開発・生産・販売体制を組織化して商品の幅を広げたい。
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
39
報告月日 14 年 10 月 15 日
(大阪 8)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者: 大阪編物産地の「健康研究会」(大阪府大阪市)
構成メンバーはアオキニット㈱、山田晒染工業㈱、㈱ヨシエイ
担当連絡先
②パターン
アオキニット㈱
青木社長
TEL 06-6923-1278
: D 型(二次製品段階の開発)
③シーズの内容 : 3 社のコラボレーションによる糸から製品まで一貫した商品開発及び販売
④シーズの活用者:
大阪編物産地の「健康研究会」
構成メンバーはアオキニット㈱、山田晒染工業㈱、㈱ヨシエイ
⑤展開商品と取組内容:
・天然素材を使用し、健康をサポートしたり、促進させる働きのある機能を付加した有効成分を
マイクロカプセル化し、生地に付着加工したニットを中心に健康衣料を展開している。
具体的には、*羅布麻、*よもぎ、マイナスイオン、ビタミン等をマイクロカプセル付着加工
したTシャツ、介護製品などを生産販売している。
・既製商品以外にも、カラー、デザイン等ニーズを取り入れた開発・生産を考えている。
現在、問屋、アパレルに健康衣料商品を納入しており、特にマイナスイオンについての関連商
品は反響が大きい。
* 羅布麻
・中国中部から北西部にかけて郡生する野生植物。お茶の原料とされてきた。
羅布麻は身に付けるだけで、血圧の安定を助ける、呼吸器系疾患の緩和、鎮痛、
精神安定作用、風邪の予防及び免疫機能を高める効果があると言われている。
* よもぎ
・抗アレルギー、抗アトピーなどかゆみ止めに効果があるようです。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・消費者モニターを募集して、製品試着(無料進呈)の使用感、感想を収集して、オリジナルの
ホームページを立ち上げ「健康研究会」「モニター体験記」を掲載している。
・あくまでも、消費者ニーズのすいあげを目的としており、基本的には消費者に直接販売ではな
く、商品特性を生かした売場に投入したいと考えている。
・衣料品という切り口だけの売場ではなく、健康グッズと衣料以外の企業と一緒にコラボレーシ
ョンした販売戦略を目指している。
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
40
報告月日 14 年 10 月 15 日
(大阪 9)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者: 京都市染織試験場(京都市) 担当
色染部
北尾研究担当課長
TEL 075-441-3165
②パターン
: C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容 :
生分解性繊維を用いた環境調和型の高機能素材の開発、及び無水染色加工技術
の開発
④シーズの活用者:
⑤展開商品と取組内容:
・ 自然環境下で完全分解するポリ乳酸系樹脂に天然の機能成分を組み込むことにより、自然と
人に優しい繊維を作り出す基礎技術を開発。
機能付加技術として
1)溶解力を有する液体と気体の両方の性質を持つ超臨界二酸化炭素流体の特性を活用して
様々な機能成分を繊維の中に含浸させる方法。
2)機能成分をマイクロスフィアーやマイクロカプセルの超微小粒子に閉じ込め、これをポ
リ乳酸系樹脂に溶融ブレンドして紡糸する方法。
以上二つの方法を開発。この技術は機能成分を完全に繊維の中に含浸又は練り込んでいるた
め、従来の後加工により成分を繊維に付着させる方法に比べ効果が永続する特徴がある。
・ 超臨界二酸化炭素流体に染料を溶解させポリ乳酸繊維を染色する無水染色基礎技術の開発。
従来の染色方法で必要とした大量の水と乾燥のための熱が不要で、未染着染料の回収もほぼ
100%可能であるため、排水負荷の少ない環境調和型染色が可能となる。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・ この技術を利用することにより、自然環境との調和、健康、癒し志向に合致した素材の開発
が可能であり、単に衣料用のみならず、住宅資材、農業資材への展開が可能となる。
・ 薬物を含浸した超微小粒子を生分解繊維に練り込み、薬理効果を持つ医療用途に向けた機能
素材の開発も可能となる。
⑦備考
超臨界二酸化炭素は無水染色は可能であるが、混合された不要染料の利用は可能なのか、最終的
には黒としか利用できない。色合わせは可能なのか、生産にはまだハードルがある。
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
41
報告月日 14 年 10 月 15 日
(大阪 10)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者: 松尾捺染株式会社(大阪府東大阪市
松尾社長)
連絡先 TEL 06-6782-6281
②パターン
: C 型(染色・加工段階の開発)、E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:
短納期・小ロットによるプリント加工
④シーズの活用者:問屋、アパレル
⑤展開商品と取組内容:
・ハンカチのプリントの業界トップで、ライセンスブランド、キティやスヌーピーのキャラクターの
柄の多くを手がけている。最近、消費者ニーズの変化、海外からのハンカチの輸入増などに対応す
るため、衣料用、インテリア用生地の染色プリントに力を入れている。
・ハンカチの色柄は、非常に繊細なため、そこで培われた染色技術が生地の伸縮や表面効果のある衣
料品用テキスタイルのプリント技術にも役立っている。また、コンピュータによる生産進捗管理を
コンピュータによる徹底、把握している。
・他社では不可能な写真分解の多色ずりや、生地幅の大小に限らず、受注を受けている。従って、染
型についても全ての大きさに対応している。(型代は発注先負担)
・20mの染め上げも行っており、小ロット含め短納期にも力を入れている。
短納期に対応する理由の一つに、期近の発注及びサンプル発注の方が市場ニーズに即応したロング
ランの追加発注や本生産に繋がるケースが多いからである。
・企画室を配備してオリジナルデザインにも力を入れており、型やインクジェットのデータ作りの他
に、オリジナルプリントのTシャツ、トレーナーなどのインターネット販売も手がけている。直接、
消費者ニーズの声を聞くことは、重要であると認識している。
・基本的な考え方の一つに国内生産体制をしっかりすることが大事と考えている。
中国や東南アジアには、ライセンスブランドのようなセンシブルな仕事は、現状では困難であるか
らである。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・現在、リスクの問題もあり、賃加工のみで営業しているが、将来は半製品や生地売りまで手がける
ことを考えている。
・大手アパレルから、キャラクター商品の生産を委託された場合、縫製等については、中国で行って
いるケースもある。在庫リスクを持たない別注製品には積極的に対応したい。
・衣料品分野への進出を高め、ファッション商品を手がけていきたい。
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
42
報告月日 14 年 10 月 15 日
(大阪 11)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者: 竹田織物株式会社
(大阪府貝塚市 竹田社長)
連絡先
②パターン
0724-46-0400
: B 型(織物・編物段階の開発)
③シーズの内容 : 高密度、二重織などによる高付加価値短繊維織物の開発
④シーズの活用者: アパレルメーカー
⑤展開商品と取組内容:
・定番的量産品の生産が大宗の大阪泉州織物産地にあって、高級な高密度、二重織り、強撚ボイ
ルなど高付加価値織物を中心に展開している。
・織機は総べて広幅(AJL76 台、190cm以上)で、用途は婦人アウター(コート、ジャケッ
トなど)向け。
・高密度織物として、使用番手・打ち込みは、40s 240×180、60s 224×208、80s 300×300、
100s 300×300 までを生産している。
近年はストレッチ、コンパクトヤーン使いも多くなっている。
・この様な織物では、総糸本数が非常に多く、サイジングが特に難しいが、当社の技術者の高度
な専門知識により改造を加え、こなしている。
(最大 18,312 本/セットまで可)
同水準の製織技術を有する機屋は全国でも 2∼3 軒と言われている。
・高密度超強撚ガスボイル
用、総本数 15,000 本までのサイジングが雨天関係なしにできる。
・一年前にオートドローイング設備(ストブリー)を導入し、自家サイジングと相俟って原糸投
入から初反上げが 3 日で可能となった。
・取引形態は生機での産元、加工問屋への販売だが、総べての品番を得意先のモノポリーとし、
同一品を複数社に販売することはしていない。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・現在は、生機での販売をしているが、浜松地区の染工場と連携を進め、染め上げ品での販売を
構築していきたい。手始めに 2002 年 12 月のジャパンクリエーションに初出展する。
・当社が企画開発した三重織綿織物は、ラルフローレンに提示したところ即、採用が決定したと
のこと。(産元、テキスタイル問屋経由)
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
43
報告月日 14 年 10 月 18 日
(大阪 12)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者: 朝田毛織
②パターン
(大阪府泉大津市
朝田社長)連絡先 TEL.09017147367
: B 型(織物・編物段階の開発)
各種特殊織物の企画開発
③シーズの内容 :
Ⅰ.織物製スクリーンブラインド
Ⅱ.難燃性高密度三重織物
Ⅲ.印刷機のプリントローラー清掃用ロール織物
④シーズの活用者: インテリア、リビング、繊維資材、機能資材 etc
⑤展開商品と取組内容:
・当社は小規模(レピア織機 8 台、シャトル織機 8 台
主たる生産品目
シルク毛布)ながら、
技術力に富み、社長自身が研究熱心で高難度の織物や特異な織物を開発し続けている。
・技術、企画力を買われ難しい織物の設計、試織のみを依頼されるケースもある。
・各種特殊織物を開発・試作しているが、少人数の為マーケティング力が弱く適確な販路開拓
(用途展開)が出来ていない。
・具体例として
Ⅰ.織物製スクリーンブラインド
・三層構造の織物で中間部分を開閉することのできるブラインドとして試作した。
・中間部が筒状なので、ここにパイプや棒を通し健康シーツ、枕、床ずれ防止マットなどが
出来るのではないかと思う。
Ⅱ.難燃性高密度三重織物
・耐熱繊維であるPBO繊維ZYLON(東洋紡)、ケブラー(帝人)を使用し、三重織で高密度と超
強度の織物を開発した。
・ブラウン管など高熱製造物を掴み移動させる部分の素材として従来の石綿の代替用として開発され
た。
・アイスピックも通さない強度があり、重量物運搬ベルト、研磨布などに、用途の展開が考えられる。
Ⅲ.印刷機のプリントローラー清掃用ロール織物
・筒状織物の特長を活かしローラーにかぶせて印刷機の湿気補給用ローラーに採用されている。(縫い
目がないので、凸凹がない。)
・糸種の変更により厚みの調整が可能であり、絶縁剤やフィルターなど機械部品としての
用途に展開出来る。
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
44
報告月日 14 年 10 月 28 日
(大阪 13)
「産地シーズ調査報告書」
① シーズの開発者: 木下織物工場 (大阪府岸和田市
連絡先
②パターン
木下代表)
0724-45-2468
: B 型(織物・編物段階の開発)
③シーズの内容 : 和紙繊維入り浴衣地の開発
④シーズの活用者: 問屋、アパレルメーカー
⑤展開商品と取組内容:
・石川産地の新日本テックス(株)は、2001 年 10 月、ニット用の和紙繊維「カミール」を
開発し、地元展示会に出展するなど注目を集めた。
・大阪泉州織物産地の小幅織物業者木下織物工場は、ゆかたや手拭用の白木綿を中心に生産
しているが、ゆかた生地にこの糸の使用を考えついた。
・当初、開発時は、横糸に「カミール」を利用した試作を重ねたが、番手が太く、染め上げ
ると非常に縮みが大きく良い結果が出なかった。何度も試行錯誤を重ねつつ、経糸をコー
ド織りにし、その中の 1 本に和紙糸を入れることを試みたところ、縮み率が少なくなり、
また、麻などの複合織物も可能となった。
・染色についても、従来のものに比べて、染色性が良く、鮮やかで、和紙の特性である吸湿
性に優れている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1) 紙素材の活用は浴衣など衣類だけでなく、バッグ・小物やシーツ・枕カバー等寝装品も考え
られる。シーズの広範囲な活用・展開を図るべく、6 リソースセンターは率先して、こうした
シーズのデータベース化を図ってはどうか。
(2) 同時に、シーズ開発者の知的財産権の保護のあり方や、活用者が開発者に対して何らかの対
価を支払うシステムを考案してはどうか。
報告者名:新美 清康
所属: (株)大阪繊維リソースセンター
45
報告月日 14 年 11 月 22 日
4. (株)浜松ファッション・コミュニティセンター
報告者
№
パターン
切り口
案件名/展開アイテム
浜松FCC
1
A
環境
・生分解性繊維
・産業資材
・生分解性プラスチックの物性制御の研究
・コスト削減面での行政支援
2
A
撚糸技術
・RT撚糸技術の開発
・超高級シルク 靴下等
・複合糸など新しい糸作り
・準備・整理工程における技術の発掘・活用
3
B
織布技術
・カラミふっくら織り等
・タオル、綿織物等
・特殊でユニークな技術との出会いの場づくり
4
B
織布技術
・パナマコール
・コーデュロイ
・安定した技術を持つ染色加工業者との取組
・川崎市「ものづくり共和国」とのコラボによるPR
5
B
織布技術
・ハイブリッド構造織物
・毛織物
・他の織物業者への相談・指導
・開発段階での公設試験場同士の技術交流
6
C
健康
・緑茶カテキンの固定化法
・ハンカチ、ひざかけ等
・フィックス法は、ワーキング、ユニフォーム、ファッション等への展開
・架橋法は低コスト・安全性を更に研究
7
C
リサイクル
・不織布活性化炭シート
・壁材
・全日本リサイクル 工業協同組合等を通じ事業化予定
8
C
染色加工
・絞り塩縮加工
・天然繊維の織物
・リスク負担を含めて、ウール等への展開
・プロジェクト・リーダーの育成等RCとして支援研究
9
C
染色加工
(デザイン)
・絵柄自由のウォッシュアウト
・衣料用生地
・他産地とのコラボ 拡大し、ALL JAPANに持っていたい
10
C
染色加工
(デザイン)
・完全耐久性皺加工
・衣料用生地
・技術そのものの根幹には触れないで欲しい
11
E
輸出
・対中国ビジネスチーム
・生地から製品まで展開計画。メンバーの主体的取組カギ
・HMC,情報交流等で支援。
46
課題/今後の展開案など
(浜松 1)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:愛知県産業技術研究所
三河繊維技術センター
②パターン
:A 型(ワタ・糸段階の開発)
③シーズの内容
:ポリマーブレンドによる産業資材用生分解性繊維の開発
④シーズの活用者:三河産地の TBR(株)、昭和綱業(株)
⑤展開商品と取組内容:
土木・建設分野、農業分野における資材として、合成繊維が多用されているが、これらはほとんど自然環境
下では分解しないため、使用後の廃棄処分などが問題となっている。愛知県産業技術研究所三河繊維技術セン
ターでは、平成 6 年より生分解性繊維の紡糸技術に関する研究に取り組み、異なる性質の生分解性プラスチッ
クを、相溶化剤を用いて、均一にブレンドすることにより生分解性繊維の紡糸技術を確立し、強力、柔軟性、
耐候性に優れた資材用生分解性繊維を開発した。
この成果を活用して、平成 12 年度にはTBR(株)と共同研究を行い、生分解性プラスチックを用いて、
異型断面繊維を紡糸し、新しい生分解性ひも状接触材を開発した。開発した生分解性ひも状接触材は、河川や
池の浄化などで実用化が期待できる。
また、平成 13 年度には昭和綱業(株)と共同研究を行い、ポリ乳酸とポリブチレンサクシネートの 2 種類
の生分解性プラスチックをブレンドしたモノフィラメントやテープヤーンを紡糸し、この繊維を使用してハウ
ス栽培に使用する誘引紐や長芋ネットなどの農業用資材を開発した。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)平成 14 年度からは、土木、農業分野では、生分解性樹脂の微生物増殖機能とその微生物が持つ化学物質
分解力、あるいは光触媒分解力などを利用して、土壌や水中に存在するトリクロロエチレンや窒素化合
物などの有害汚染物質を吸着・除去する生分解性環境浄化繊維の開発・研究に取り組んでいる。また、
今後は、生分解性プラスチックの物性制御に関する研究についても取り組んでいきたい。
(2)環境に優しく、画期的な開発だが、コスト面の問題(従来の 2 倍以上)で実用化には時間がかかりそう
だ。行政等の積極的指導が望まれる。
⑦備考
生分解性繊維については福井、石川など各公設試験場で研究開発がなされている。
新しい発想があれば相談したらいかがでしょうか。
報告者名:藤田
報告月日
晶子
所属:㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
14 年 10 月 15 日
47
(浜松 2)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:鈴日呂撚糸有限会社
②パターン
:A 型(ワタ・糸段階の開発)
③シーズの内容
:甘撚り撚糸における撚りの変動が少ない撚糸技術の開発
④シーズの活用者:ニットメーカー、アパレル
⑤展開商品と取組内容:
鈴日呂撚糸有限会社は、ボイルなどに代表される強燃・追燃を得意とする会社である。
糸の素材は、天然素材では綿 100%を中心にアクリル綿混紡、麻、ウール、化繊物では、レーヨン糸(スパ
ン)
、エステル、ナイロン(複合糸)などが中心で、商社を経由した販売先はニットメーカーやアパレルであ
る。
一般的に「撚糸」は、単純に言えば、素材と撚りの方向の組み合せだが、研究熱心な同社は、最終製品と向
き合い、意識することで、微妙な機械の調整で仕上がりの風合いを巧みに調節し、同社でなければできない撚
糸技術を確立している。
大手靴下メーカーが販売している、超高級靴下は 30 年来のヒット商品で、熱心なファンもついており、高
いクオリティが要求される。
安価な商品においてはクレーム対象にならないのだが、編んだ時に表面に出る「虎目調」という筋を撚糸技
術によって解消できないか、という要請があり、機械の改良により、撚りの変動をなくし、それを解消するこ
とに成功した。
さらに、撚糸後工程として、自動糸蒸器による撚り止めを行うことにより、編み工程でより編みやすく、ま
た色を一定にするなど撚糸専業者ならではの丁寧で高品質なものづくりを行っている。
このような技術と姿勢を持った当社を信頼する販売先からは、「ここで撚った糸でなければダメ」といった
太鼓判も押されている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)様々な複合糸を作るための設備を有しており、今後は例えば、テンセルとカポックのような比重の違う
素材の複合糸など、撚糸専業者のもっている独自のノウハウを駆使した糸作りをしていきたい。(同社
談)
(2)当繊維産地の分業構造の中で、通常スポットが当たらない準備・整理工程においては、専業者ならでは
の長く培ってきた数値化できない、微妙でアナログな技術ノウハウが蓄積しており、それらが商品に付
加価値を与え、日本の高品質織物技術の底辺を支えている。
日本のテキスタイルの差別化を担う一翼として、こうした技術も様々な方法で発掘・顕在化し、活用
する方法の模索が必要ではないだろうか。
⑦備考
撚糸工程の良否が製品の品位に大きく貢献する。特に均一な撚数にすることが苦労のタネ。コンピュータを
上手に利用することで撚り数管理が可能です。
報告者名:藤田
晶子
所属:㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
報告月日 14 年 10 月 15 日
48
(浜松 3)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:静岡濾布有限会社
②パターン
:B 型(織物・編物段階の開発)
③シーズの内容
:
「カラミふっくら織」、「遠州カラミ縮れ織」の開発
④シーズの活用者:同上(自社製品化・販売)
⑤展開商品と取組内容:
日本有数のカラミの産地「村櫛」にある静岡濾布有限会社は、もともと魚網工場であり、豆腐等食品用の濾
過布や、餅ふかしの蒸篭に敷く布等産業資材用、日用雑貨用織物を製造してきた。
その餅ふかしの布をタオル代わりに使った人からの声にヒントを得て、カラミ織りの浴用タオルを開発、商
品化したところ、自然で使用感もよく、マッサージ効果もあると好評を得て、卸会社を通じて全国販売、人気
商品となった。
これに改良を重ね、平成 5 年には、タテ糸にボリュームを持たせた「ふっくら織りタオル」
(「浴用タオルの
製造方法」として実用新案取得)を開発。粗く織るため、ボリュームはあるが従来商品より軽いことが受けた。
平成 6 年には、(社)静岡県繊維協会の「遠州繊維産地における円滑化計画」に参加し、糸の加工からマーケ
ットインまでを学び、新たにファッション衣料分野へも進出していった。
この事業への参加が大きな契機となり、消費者ニーズに即したオリジナル商品の開発に力を注いでいった。
また、カラミ織りの技術を応用した新たなパイル織り「遠州からみ縮れ織り」(特許取得)を開発する。
従来のパイル織りは、タテ糸をたるませて織るのだが、ヨコ糸に縮む糸と縮まない糸を同時に織り、熱処理
を加えると縮む糸につられて縮まない糸がループ状のパイルになる。
さらに、ヨコ糸に四国川之江産の特殊和紙(特許取得)を使った「和紙のタオル」を開発し、商品化したと
ころ、耐久性の高さと使用感の良さに加え、素材の珍しさも起因して、大ヒット商品となった。
現在、百貨店や観光地等で販売すると同時に、「和紙のタオル屋さん」としてネット販売も行ない、浜名湖
を代表する名産品に成長した。また、新しい浴用タオル分野の開発が評価され、第 42 回全国推奨観光土産品
審査会において日本商工会議所会頭賞をはじめ数々の賞に輝いている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
2003 春夏用素材開発のため、YAB-YUM のパトリックライアンを同工場に連れて行く機会があり、様々な
カラミとその生産現場をみせたが「タオルの耳が可愛い」と言ってなかなか離れようとしなかった。また、小
林幸子の紅白歌合戦の衣装を手がけたきっかけも、工場の片隅にあったズタ袋の生地みたいなカラミ織を関係
者がハサミでちょっと失敬してきたことから始まっている。機屋の自社企画・自社販売を促すためには、特に
こうした出会いの場ときっかけをどれだけ創出できるかが、リソースセンターの大切な役目のひとつだと思っ
ている。
報告者名:藤田
報告月日
晶子
所属:㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
14 年 10 月 15 日
49
(浜松 4)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:静岡県コールテン剪毛工業組合
②パターン
:B 型(織物・編物段階の開発)
③シーズの内容
:透けるコーデュロイ「パナマコール」の開発
④シーズの活用者:アパレル、インテリア、小売
⑤展開商品と取組内容:
別珍・コーデュロイの産地としては国内きっての産地である磐田郡福田町には産地独特の工程である剪毛業
(コールテンの場合は通常カッチングという)が集積している。
10 年程前より、現浜松工業技術センターの指導協力のもと、カッチング技術の向上を目的として、パイル
をカットするためのより高性能な刃材を研究開発し、融解ハイス、粉末ハイス、さらに焼結合金(超硬)の刃
材が誕生してきたことで、それまでできなかった綿以外の合繊を含めた様々な素材やより薄い素材のカッチン
グを可能にした。
最大のネックであった刃材の改良によって、秋冬物というイメージが強いコーデュロイの春夏応用への展開
が可能となり、平成 13 年度頃より本格的にオールシーズン対応素材への転換の試みが図られてきたが、メン
バーの中心である有限会社ホシノの星野秀次氏は、産地の織布業者である有限会社遠州ネットのカラミ織物に
出会ったことが開発のきっかけとなった。
コーデュロイの特徴である畝の部分をチェックやストライプ調に配しそれ以外の部分を紋紗織で表現する
ため、織の段階で水溶性ビニロン糸を使用し、織った後、パナマ組織の部分の水溶性ビニロンを溶解させると
いう手法で、バリエーションのある薄手パナマコーデュロイを開発した。
商標名は「Fコール」となる予定で、コーデュロイ部分の形や幅、大きさが自由に設計できるため、デザイ
ンに応じた商品を作ることができるものである。
技術の複合と発想の転換によって、コーデュロイという素材の巾を広げた取り組みである。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1) 物性等の問題点を改良しながら、服飾、インテリア用織物として商品化していきたいとのことである。
(2)見本反、本番共に安定した染色加工が従来の取引先では困難であるため、安定した技術のある加工業
者と取り組みたいとしている。
(3)コールテンの一工程であるカッチング業界から出た初めての商品開発であり、極めて珍しい例である。
星野氏は、
「自分で育て作ったものを直接お客さんに買ってもらいたい。」という意見で、今後、従来
とは違うルート作りを目指しているため、川崎市の「ものづくり共和国」などで知り合った人たちと
のコラボレーションで展示会や PR 活動をしていきたいとの考えである。
報告者名:藤田
報告月日
晶子
所属:㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
平成 14 年 10 月 15 日
50
(浜松 5)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:愛知産業技術研究所
尾張繊維技術センター
②パターン
:B 型(織物・編物段階の開発)
③シーズの内容
:高機能ハイブリッド構造織物の開発
(風通しが良く、肌の透けない快適な夏服地の開発)
④シーズの活用者:織物業者
⑤展開商品と取組内容:
ウール織物を得意とする尾州産地では、これまで画期的な夏向け衣料用素材はあまりなかった。一般的に、
夏物には、平織や模紗織などの織物が多く用いられるが、平織は薄くて比較的下着や肌が透けない反面、通気
性があまりよくない。一方、模紗織は糸が寄り合って大きな隙間を作るため通気性は良いものの、下着や肌が
透けてしまうという欠点があった。
そこで、尾張繊維技術センターでは、平成 12 年度より通気性があっても肌の透けない快適な夏向け織物の
開発を進め、防寒用冬物コート地などに多用されている 2 枚の織物を重ねたような二重織の構造に注目した。
密度の粗い 2 枚の織物の表側と裏側の糸が重ならない構造にし、ちょうど大和塀のような構造にし、通気性
はあっても遮蔽性に優れた織物の開発に成功した。
また、細番手の糸を使用することで、2 枚重ねた構造でも厚さ、重さは通常のものとかわらず、衣料目的に
は無視できない軽量化にも配慮した。
さらに、表側に毛・ポリエステル糸、裏側に吸汗性のよい糸を使用することで速乾性を持たせるなど、ファ
ッション性と機能性を同時に表現することが可能である。この場合、毛・ポリエステル糸を使用した平織物に
比べ、通気性の良さは 2 倍、汗が乾く速さは約 2 倍である。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)同センターの完全オリジナル開発品であり、衣料用の織物を製織している普通のドビー織機で織ること
が可能なので、要望があれば織物業者等へ技術相談・指導を行って普及に努めたいとのこと。
(2)或る意味、サイジング工程を持たないウール産地ならではの発想とも思える。
ただ、日本のテキスタイルの発展を考えた場合、他県同士のこうした公設試験場の技術交流、
それも、開発段階からの情報公開と交流がより活発になれば、より効率的になる。
高島産地の撚糸業では当たり前のことが、浜松産地ではできないというような現象が各地に存在すると
いわれている。妙な縄張り意識を払拭するための地方行政間の連携も必要だ。
閉ざされた産地間競争から開かれた企業間競争を推進することがリソースセンターの役割のひとつであ
ろう。
報告者名:藤田
報告月日
晶子
所属:㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
14 年 10 月 15 日
51
(浜松 6)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:静岡県浜松工業技術センター
②パターン
:C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:緑茶カテキンの新しい固定化法の開発(特許登録済)
④シーズの活用者:日本形染株式会社、株式会社ライズステップ
ほか
⑤展開商品と取組内容:
緑茶カテキンには、抗菌、抗臭(アンモニア、酢酸、トリメチルアミン)、加齢臭消臭、紫外線遮蔽、抗
酸化(漂白後は消失)などの効果あり、繊維への固定化法については従来より研究開発が進められてきた。
従来の緑茶カテキンのセルロース系繊維への固定化法は、茶ポリフェノールを染色に応用した「茶染め」
が古くから知られており、綿に対しては金属媒染法により黄色、茶、グレーなどに染められている。同セン
ターが新たに開発した固定化法及び後処理方法は、安全な反応染料やスレン染料を用いて無地染めあるいは
捺染を行った後に、機能加工として茶カテキン処理及び後処理を行うもので、発色が自由であること、工場
での生産性及びコスト面で優れていることが特徴である。
この加工は、反応染料で染色した後にセルロース反応型フィックス剤で固着させ、さらに pHを適正条件
に調整して茶カテキンを固定化させる「フィックス剤法」(イオン結合法)と、スレン染料で染色した後に
ポリカルボン酸(特許)を用いてパッド・ドライ・ベーク法により茶カテキンを固定化させる「BTCA 架橋
法」(共有結合法)2 種類を開発した。さらに、日光や洗濯による茶カテキン固定化繊維の変褪色を抑制す
るため、過酢酸を用いた温和な酸化漂白を行うことで、染料には影響を与えることなく茶色の概観はかなり
白く変化させることができるものである。この場合、漂白剤の機能のうち、抗酸化能は失われるが、抗菌性
はむしろ向上し、消臭性や紫外線遮断性などは保持される。
この 2 種類の加工方法のうち、
「フィックス法」については、ハンカチ、ひざかけ、コースター、ガーゼ
シーツ、ガーゼケット等がすでに商品化されている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1) 特に、フィックス法は、生産性、コストともに優れており今後とも様々な分野への応用が可能な加工
技術であり、今後は、ワーキング、ユニフォームへの応用をはじめ、上記漂白方法(特許登録済)に
より、ファッション衣料分野への展開も可能なものである。
(2) 架橋法については、低コスト且つ新しく安全な架橋剤を応用した固定化法をさらに研究していきた
い。(同センター談)
報告者名:藤田
晶子
所属:㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
報告月日 14 年 10 月 15 日
52
(浜松 7)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:愛知県産業技術研究所
三河繊維技術センター
②パターン
:C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:繊維くずを利用した不織布活性炭シート
④シーズの活用者:建築資材業者
⑤展開商品と取組内容:
愛知県の製織工程で出る廃棄物のほとんどが革新織機から出る捨て耳で処理方法やコスト面で問
題になっていること、また、同センターが同県の岡崎市に集積している反毛(はんもう)技術の利
用に注目したことがきっかけで開発された。
炭化処理は、酸素の乏しい状態で高温にして炭にすることをいうが、焼却処分で問題になってい
るダイオキシンが発生せず、炭素を固定し地球温暖化の原因ともなる二酸化炭素の排出も抑制され、
さらに、生成物は土壌改良剤や水浄化剤などへリユースできるなど多くのメリットを持っている。
そこで、捨て耳などの繊維廃棄物を不織布に加工して、炭化・賦活処理を行い、高い吸着性(備
長炭の 4~5 倍)を持つ「不織布活性炭シート」を開発した。
特徴としては、①比表面積が 1000 ㎡/g 以上もあるため、タバコ臭やホルムアルデヒドなどの有
毒ガスを除去できること、②吸着速度が速いため、短時間で脱臭できること、③シート状であるた
め成形加工しやすいこと、④難燃性であること、⑤導電性であること、⑥原料等のコストが安いこ
とがあげられ、繊維廃棄物の安価なリサイクルに寄与できることである。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
現在、シックハウス対策の壁材として成形加工しやすいシート型の活性炭にはフェノール系樹脂
などによる製品があるが、この製品はその 1/3 以下の価格に抑えられる見込みで、今後、全日本
リサイクル工業協同組合等を通じ事業化を図る予定。
⑦備考
セルロース系繊維は無酸素状態で炭化ができる。炭化温度は高温の方が脱臭作用が大きく、綿は
製造条件によっては水素保持材として利用可能である。
報告者名:藤田
報告月日
晶子
所属:㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
14 年 10 月 15 日
53
(浜松 8)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:原野染工株式会社
②パターン
:C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:絞り塩縮加工(特許第 2808092 号)の開発
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
原野染工株式会社は、綿・麻・絹といった天然繊維を絞り塩縮加工する事により、凹凸が永久
に変わらず保持できる、絞り塩縮加工(特許第 2808092 号)の開発に成功した。
同社は、主に着分染め、試験染め、小ロット染めを得意とする染色工場であり、その前身は、注染浴衣の
産地である浜松を背景とした小巾織物の染色工場である。
90 年代前半ごろまでは、注染用下地の無地染めや絞り染め、籠染めなど小幅織物の染色と同時に、反染
めや製品染色機、広幅織物の染色等を並行して行っており、また、水酸化ナトリウムに浸漬処理することで、
生地に凹凸又はシワ効果が現れる塩縮加工も得意としていた。
この塩縮加工を小幅に使われる絞り加工に施したらどうか、という同社ならではのアイディアから「絞り
塩縮加工」が生まれ、平成 9 年に特許を取得した。
これは、糸等により所望箇所を絞った生地に塩縮加工を施すと、絞った部分には溶液が浸透しないため、
変化が生じず、逆に絞らなかった部分は溶液の作用により収縮が生じ、その結果、絞った部分と絞らなかっ
た部分に織り密度の違いが生まれる。これにより、絞った部分の凹凸が半永久的に維持され、表面変化が高
いため、商品としての付加価値が高い。
既にこの加工を有名デザイナーの三宅一生や畠山巧が用いるなど、同社の技術に注目が集まっている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)
「絞り」の下準備等コスト高及びリスクをどの工程で負うかの問題で製品化に繋がるケースが極めて少な
い。折角の技術であり、活用方法を考えていきたい。
(2)綿、麻、絹素材を中心に扱っているが、下晒状態で持ち込めば、ウールの染色が可能であることから、
今後はウールなど他産地とのコラボレーションも考えられる。
(3)同社のような小ロット対応の染工場の需要は今後も大きいと思われるが、産地においては工程が細分化
されている。しかし、利用者としては下準備から加工上がり(フィニッシュ)まで「窓口が一つ」とい
うのが理想であり、リスクヘッジ等現実化は困難だが、今後も「All
Japan」を全産地とした、業務
提携等が必須で、長期的なビジョンでネットワーク構築に向けての支援が必要ではないか。
⑦備考
塩縮加工は古くから行われている加工である。薬剤の配合、処理温度など作業性には難点があったが絞りを
利用して他にない商品になった。しかし絞りのみではなく、他の加工法を併用すると付加価値が付く可能性が
ある。
報告者名:藤田
晶子
所属:㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
報告月日 14 年 10 月 15 日
54
(浜松 9)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:大和染工株式会社
②パターン
:C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:スレン染料と顔料を併用し複雑な絵柄を自由に表現できるウォッシュアウト
④シーズの活用者:アパレル・問屋全般
⑤展開商品と取組内容:
加工場としていち早くジャパンクリエーションなどに参加し、積極的な姿勢と商品開発力に取り組む姿勢が
近年益々高い評価を得ている同社は、プリント加工場と無地染加工場としての二面を有しているマルチ染工場
である。
もともと、堅牢度の高いスレン染料を利用した「スレン抜染」には定評のあった同社だが、顔料を併用する
ことで、複雑な絵柄を自由に表現できるウォッシュアウト加工(商標:リアウト―S)を開発した。
この加工は、スレンプリントの上に顔料をのせ、さらにのせた顔料を任意にとばすことで、従来のプリント
技術で必須事項であった「型あわせ」を無意味化し、複雑な絵柄を自由に表現できるウォッシュアウト加工と
して専門家の間で話題になっている。
一見単純なことではあるが、従来は顔料を洗うと、機械の中に顔料が固着してしまうことで実用化の妨げと
なっていたものを、顔料をとめるバインダ(薬剤)の改良に着目し、最高のスレン抜染技術と組み合わせるこ
とで、同社が独自に開発にこぎつけたものである。
着用するほど着易くなるヴィンテージ感覚が楽しめることで、特にファッション衣料分野での可能性の拡が
りを感じさせる新加工技術といえよう。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
様々なデザイナーやアパレル担当者、ファッション専門学校の学生等がひっきりなしに訪れる同社は、ある
意味産地のリーディング企業である。そうした様々な来訪者への応対とそこから生まれる雑多な情報交流が同
社の開発意欲と技術水準をさらに押し上げているというのが正直な感想である。
もともと浜松の染色加工場は、その生産規模からいっても産地への依存率は 20∼25%と低く、また、テキ
スタイルの最終工程であることからアパレル等の担当者が立会いに訪れる機会の多いことで様々な情報が行
き交い、自ずと開放的な部分がある。
そうしたノウハウも見逃せないところで、他産地とのコラボレーションについても将来性が感じられ、産地
の垣根を越えた「ALL
報告者名:藤田
JAPAN」化には欠かせない存在である。
晶子
所属:㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
報告月日 14 年 10 月 15 日
55
(浜松 10)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:日本形染株式会社
②パターン
:C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:コットンへの完全耐久性皺加工
④シーズの活用者:アパレル・問屋全般
⑤展開商品と取組内容:
日本形染株式会社は、明治 33 年(西暦 1900 年)創業の、当産地では最も歴史あるプリント及び無地染
めの加工場であり、日本の綿プリント加工業の先駆者として古くから業界をリードしてきた企業である。
長年蓄積された技術力で、近年においても、レーヨンのドレープ性、エステルの弾力性を綿で表現する「シ
ルエス」、モチーフと地紋柄の組み合わせにより特殊な柄表現を可能にした「スーパーマーブル」、プリント
にウォッシュアウト調ムラ加工を施した「セリサイト」等の独創性溢れる数多くの多様な加工を業界に送り
出してきた。
なかでも、コットンでは同社が初めて実現させた「完全耐久性皺加工」ミラクルウェーブは、絶対に皺が
取れないと同社自慢の商品で、設備の特殊改良と薬剤の改良によって、従来の皺加工と違い、皺の形をどの
ようにでも任意に創れる特殊皺加工として脚光を浴びている。
また、従来、皺加工にはグレオキザール系樹脂などの樹脂をセルロースの OH 基と強制的に結合させる
方法がとられていたが、これについても、同社独自の設備と技術により、樹脂を一切使用しないで耐久性を
保持することに成功し、ソフトで軽い風合いとともにさわやかなエコロジー製品としても注目されている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
染色加工の分野は技術開発のサイクルが極めて短く、特に、中規模以上の加工場はこの傾向が顕著である。
日本のテキスタイルの生命線とも言われているこの分野の技術については、素材ごとに極めて複雑な加工技術
が多岐にわたり存在しているし、また、加工場によって微妙に違いがある。特に、天然繊維系の加工場は素材
自身が千差万別な生き物であることから、データ化できない各工場ごとの「くせ」「あじ」が勝負であり、そ
れがむしろ重要な競争力の源になっている。
いずれにしても、どの企業が、どのようなことができるかを中心に記述するにとどめ、技術そのものの根幹
については触れないで欲しいとの意見があった。
⑦備考
綿加工で完全防縮は不可能と言われていたが、近年木材の加工法を利用する過熱蒸気、超高圧法での防縮法
がある。
報告者名:藤田
晶子
所属:㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
報告月日 14 年 10 月 15 日
56
(浜松 11)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:浜松産地の産元業、染色加工業等 13 事業所で構成する「FUJIYAMA」中国ビジ
ネスチーム
②パターン
:E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:上海を拠点とした新しい商取引機能を持ったシステム(組織)の構築
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
浜松産地の産元 7 社、染色会社 5 社、織布 1 団体から成る 13 の有志事業所は、平成 14 年 8 月、
「FUJIYAMA
中国ビジネスチーム」(村松利平
村松産業㈱代表)を結成した。
これは、従来の大手商社 100%依存型の海外取引から脱却し、新たな販売システムを構築していくための
試みで、元来、「産地のためのエージェントを発掘し、協同で雇用してビジネスに当たっていこう」という
発想から生まれたもので、社団法人静岡県繊維協会の海外戦略調査事業がそのもとになっており、中国の
WTO 加盟を契機とした最近の上海を中心とする華東地区の消費市場としての将来性が、中国進出が最初と
なったことの大きな要因になっている。
平成 14 年度においてコーディネート活動支援事業の採択を受けて本格始動に至った本件は、
長年富士紡績に在籍し、テキスタイルはもちろん海外輸出業務にも精通する㈱エイティック社長の寺井昭
雄氏を全体のまとめ役として、上海地区にも進出し、すでに中国や韓国とのビジネスを手がけ、現地事情に
も明るい齋藤章氏(㈱ポストアップ社長、㈱コム会長)等 4 名のコーディネータによって具体的なシステム
構築に向けて動き出している。
また、中国で最も困難な決済条件をクリアしていくため、社長が中国常州市出身で、すでに日本との貿易
(輸入)実績のある華商系の会社である如来産業㈱とタイアップし、対中国国内市場での独占販売権を付与
することで、当面、同社負担でのショールームオープンにもこぎつけた。
中国縫製での対欧米への再輸出、日本への再輸出については従来のルートもあるためそれを尊重すること
については、多少の混乱はあっても、同社の縫製工場を極力紹介していくことで大筋の了解を得ている。
ショールームの運営は、如来産業㈱の現地法人である漂陽如昌服飾有限公司が担当し、齋藤氏が中心とな
ってこれをフォロー、現地エージェントの教育も行っていくが、初めての試みなので、
実際にビジネスになっていくには少なくとも 3 年以上の期間が必要であり、参加者のリスクはかなりな
ものになるが、それを覚悟でやろうとする意気込みが感じられる。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1) チームでやろうという場合は、何事においてもコンセンサスを得る努力が大変であるが、各社の主体
的取り組みの程度が今後の成否の鍵を握っている。
(2) 中国富裕層への販売を視野に入れた現地中国法人との協力関係の維持・発展が重要な要素である。
(共
存・共栄)
(3) 上海との間の情報交換はメールでのやりとりが主体であるが、産地各社の PC 普及と使いこなしが不
十分であり、13 社の情報共有も含めドラスチックな革新が必要である。
(4) 現在は HFC が調整役として入り、特に情報交流、データ更新面を支援しているが、3 年程度の助走
期間での公的支援策が必要である。
報告者名:藤田晶子
報告月日
所属:㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
平成 14 年 10 月 15 日
57
5. (株)繊維リソースいしかわ
報告者
№
パターン
石川RC
1
D
機能アップ
(軽量化等)
・炭素繊維による小型電力貯蔵装置
・更なる試作・実験を経て、用途拡大・全国販売へ
2
C
健康
・シルクアミノ酸加工
・婦人インナー素材等
・ストッキング、フィットネスユニフォーム、介護衣料等への展開
3
D
健康
・脱臭力強い和紙炭
・インテリア用品、空気清浄フィルター等用途開発
4
C
健康
・竹炭等のマイクロカプセル加工
・靴下、パンスト等
・一般肌着、介護用品、資材用品への拡大
5
E
マーケティング
・産地直営の小売店
・各種横編みニット製品
・産地企業の輸出入のお手伝い
・素材訴求を含めて更なる差別化・高級化
6
D
環境
・生分解性繊維の椅子張
・各種インテリア製品
・プロジェクトチーム による本格的な商品開発
・張り替え可能なデザインを設計し、需要喚起
7
E
マーケティング
・産地企業の販売会社
・レディスニット製品
・多品種・小ロット・短サイクルシステム構築
・素材訴求により差別化、産地ブランド、直営店展開へ
8
D
環境
・生分解性繊維の資材
・網、植上ネット 等々
・公設試験機関との連携強化で効率的な技術開発等
・ニーズに最適な素材・製品提案
9
A
環境
(糸加工)
・改良した生分解性繊維
・衣料用生地
・ニッチ 市場、ボディタオル、土木分野等用途拡大
・衣料から非衣料へ、アジアが真似の出来ない素材を
10
A
環境
(製糸技術)
・生分解性プラスティック繊維
・ニーズに最適な素材開発研究を重ね本格的実用化へ
11
A,(E)
製糸技術
・特殊加工糸開発とQD
・カーテン類
・難燃無漂白、防菌、防臭等ニーズ に対応した原糸開発
12
C
染色加工
(差別化)
・手作り風の染色加工
・衣料、寝装、インテリア
・無地、プリントの従来テキスタイルのビンテージ繊意化
・更なる機能アップと本格販売へ
A,(B)
特殊糸開発
・炭素繊維強化複合材料
・開繊糸、開繊織物等
・航空機・自動車関連への展開
・コンソーシアム結成して、新分野開拓
A,(D)
環境
・越前和紙使用の糸、織編物
(特殊糸開発) ・靴下、腹巻き、生理用品
13
14
切り口
案件名/展開アイテム
58
課題/今後の展開案など
・蚊帳、子供用肌着等の商品化
・工程のコストダウンを図りたい
(石川 1)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:㈱一ノ宮織物
②パターン
:D 型(二次製品段階の開発)
③シーズの内容
:炭素繊維織物を使った小型電力貯蔵装置の開発
④シーズの活用者:
⑤展開商品と取組内容:
フライホイール方式小型貯電、蓄電装置に炭素繊維らせん織物を使ってフライホイールを使用する
ことで軽量、高効率化、量産化を図る。すでに毎分 3 万回転を達成しており、貯蔵された内から 1K
WHの電力を取り出す予定。
従来は電力貯蔵フライホイールには金属性のものを使っていたが、高速に耐えられないことと省ス
ペース化がはかれないことが問題となっており、炭素繊維らせん織物素材はそれにくらべ高速回転が
可能であり、非接触軸受けと組み合わせることにより効率的な電力貯蓄がはかられ、長期間のメンテ
ナンスフリーが可能となる。
また、蓄電池のように有害な廃棄物が出ない等、環境にやさしい面も持つ。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
更なる試作、実証実験を経た後、非常時用の貯蔵電源、瞬間電圧低下、電圧安定化用途として全国
販売する計画。
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ
59
報告月日 平成 14 年 10 月 15 日
(石川 2)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:(協)富山県ニット工業センター 染色センター
②パターン
:C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:竹炭、竹酢液マイクロカプセル加工
④シーズの活用者:染色業者、衣料加工業者
⑤展開商品と取組内容:
・紳士、婦人用抗菌防臭靴下
・婦人用パンスト
・テンセル、シルク混紡糸による 5 本指靴下に竹炭、竹酢液加工
【竹炭加工】
孟宗竹を高温でセラミック状の炭に焼いて粉砕し、粒径 10 ミクロン以下に微粉子化した活性微粉炭と、竹を
炭に焼く時に蒸留液として採れる竹酢液を微多孔タイプのマイクロカプセルにする。この 2 つを同時に靴下やパ
ンストなどの繊維製品に加工することにより、強力な消臭効果と生体適合性に優れた人体にやさしい性質を得る
ことができる。
(竹炭)
活性炭化した竹炭は、多孔質のためアンモニアやその他有害ガス等を効率良く分解し続ける性質があ
り、消臭吸湿等の吸着性に優れている。
(竹酢液)
孟宗竹に含まれる様々な成分が蒸留凝縮しており、虫除け、アトピーや水虫のかゆみ止め、花粉症、
魚臭の吸着などの効果がある。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
アンダーシャツ、インナー等の開発ならびに展開(一般肌着、スポーツ)
介護用品への適用(消臭オムツ、インナー)
資材用品への適用(消臭防虫畳、クロス)
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ
60
報告月日 平成 14 年 10 月 15 日
(石川 3)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:新日本テックス㈱
②パターン
:D 型(二次製品段階の開発)
③シーズの内容
:脱臭力の強い和紙炭の開発
④シーズの活用者:
⑤展開商品と取組内容:
科学技術振興事業団研究成果活用プラザ石川と共同で和紙を原料とした布を焼成した「布状の炭」を開発した。
これは、麻で漉かれた美濃和紙を 1mm巾にカットし 300 回ほどの撚りをかけて作った和紙糸「カミール」(こ
れは同社がすでに商品化)を織ってつくった布を高温で炭化したものです。
(特徴)
炭化を行った結果、カルボキシ性基やフェノールOH基がたくさん残っており、これらはすべて酸性を示す
のでアルカリ性の成分のアンモニアなどを驚くほどよく吸着する。そのほかホルムアルデヒド、トリメ
チルアミンなどの悪臭物質の脱臭効果は同プラザの測定試験で実証済み。
元来炭は遠赤外線の放射効率に優れており、動植物の成長に大きく影響を与えるところから育成光線とも呼
ばれており、関節や筋肉の痛む所に和紙炭をあてて寝ると症状が改善されるのではないかと期待されて
いる。
表面積が大きく空気の流通に優れるため、微細な和紙炭繊維でも刺激による電圧を与えることにより驚異的
なマイナスイオンを発生することが確認されている。
布状のため、折り曲げることや洗濯が出来、好きな大きさに切ることもできる。
従来の炭化物に比べ軽量化できる。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
開発者は介護用品のほか、インテリア用品、空気清浄用フィルター、消臭剤、服飾製品など幅広い用途での商
品展開を想定している。
⑦備考
セルロース系繊維は無酸素状態で炭化できる。炭化温度は高温の方が脱臭作用が大きく、綿は製造条件によっ
ては水素保持材として利用可能である。
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ
61
報告月日 平成 14 年 10 月 15 日
(石川 4)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:(協)富山県ニット工業センター
②パターン
:C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:シルクアミノ酸加工
染色センター
④シーズの活用者:染色業者
⑤展開商品と取組内容:
婦人インナー素材の開発と展開
シルクは人の皮膚と同様のアミノ酸組成を有し、そのポリペプチドは皮膚との適合性に優れ、
しかも無刺激。したがって絹糸は外科領域では縫合糸として使用されている。さらに皮膚の皮
脂成分を脱脂する作用が極めて少なく、滑らかで皮膚に対して非常に優れた感触を与える。そ
の表皮上に適度の油(皮脂)と水分があればアミノ酸が溶け出し皮膚に作用して、常に弾力性
を保つ性質がある。
また、シルクアミノ酸を構成するポリペプチドは優れた保湿作用により皮膚上皮層に対し保
湿作用をもたらし、経皮吸収を助ける効果があるので、皮膚や毛髪の損傷部の早期回復(再生)
用として化粧品などで多用されている。
そこで、着るサプリメント効果を狙って、シルクアミノ酸の働きを損なわない保湿機能を保
持したまま、繊維上に加工するバインダーの開発に成功。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
ストッキング、靴下等
フィットネスユニフォーム等への展開
介護用衣料への展開
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ
62
報告月日 平成 14 年 10 月 15 日
(石川 5)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者
:有限会社ファイブスプリングス
(五泉ニット工業協同組合員8社で平成14年4月1日設立、4,000万円)
②パターン
:E型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容:東京・広尾の「メーカーズニット五つの泉」において横編ニットのベスト、プル
オーバー、カーディガンをそれぞれレディース(60%)、メンズ(40%)で、ベー
シック、デザイン、カシミヤの三カテゴリー。
④シーズの活用者:東京・広尾の直営店、今後百貨店、専門店、
ファッションビルへの出店を思考中
展開商品と取組
:
(1)東京・渋谷・広尾にセーターショップ(五つの泉)を9月1日オープン
(2)上代価格は、ベーシックラインでベスト5、900円、プルオーバー6,900円、カーディガン7,900円、デザ
イン物はベーシックより3,000円ずつ高く、カシミヤ物はそれぞれ5,000∼7,000円高い
(3)サイズはM、L型(婦人物は1、2号)の2サイズ
(4)年代は、男性38歳、女性35歳(新保守主義のライフスタイルで、グッドなテイスト持つ年代をメインタ
ーゲット)
(取り組み)
産地の編物業者との連携 強化(出資 8 企業の壁を超えて技術、ノウハウを共有して共同生産する)
イタリアから直接原糸を輸入し、トータルコストの圧縮、高級・差別化対応をはかる
ハイクオリティ、ロープライスによるバリュー(価格)の実現
工場直営による店舗展開の実現
素材調達から生産、通通に至るトータルコストを最大限圧縮
⑦今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
<産地ブランドの発信に向けて>
産地のためになる仕事をする(産地業者の輸出入の仕事を手伝いする)
中国で作れない、より機能性を折り込んだ、撚糸技術を駆使した複合素材やより複雑な意匠撚糸素材の開発を
イタリア素材を使用することで、より高級・差別化をはかる
より一層顧客ニーズに応えられるショップを目指し、精進研鑽を重ねる
報告者:
下倉
正光
所属:(株)繊維リソースいしかわ
63
報告月日
平成14年10月31日
(石川 6)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:㈱繊維リソースいしかわ
②パターン
:D 型(二次製品段階の開発)
③シーズの内容
:生分解性繊維を使用した椅子張生地
④シーズの活用者:県内繊維関連企業及びインテリア業者
⑤展開商品と取組内容:
地元石川県工業試験場等が開発した生分解性プラスチック繊維はこれまで、農林水産、土木資材と
して活用されてきた。
しかしこれに顔料で着色、ソフトな風合いを出すための糸加工を施すことによりインテリア用品と
しての使用を可能にした。
そこで㈱繊維リソースいしかわでは県内繊維事業者 8 社でプロジェクトチームを編成、椅子張生地
を制作することとし、産地商品としての独自性をもたせるため、太さの異なる複数の原糸を複合して
テキスタイル化を行った。
これはナイロンやポリエステルといった従来の合成繊維の強伸度や加工性を有しながら環境へのや
さしさを併せ持つ生地となっている。
そしてインテリア業者をプロジェクトチームに取り込むことにより、より市場に近い情報を得ると
ともにニーズを取り込んだ商品開発が出来たと考えている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
一層の風合い、デザイン性、堅牢度を追求することにより、プロジェクトに参加した企業グループ
での椅子やソファー用生地の本格的な商品化を進めていく考えである。
そして、椅子やソファーの本体を張り替え可能なデザインに設計することにより、中国や東南アジ
アの真似の出来ない産地の独自性を追求した環境対応型新商品としてビジネス展開する計画である。
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ
64
報告月日 平成 14 年 10 月 31 日
(石川 7)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者
:ファクトリーブランド会社「レダム」(見附ニット工業協同組合員8社で設立
した小売店向け産地販売会社
②パターン
、平成14年2月設立、資本金1千万円)
:E型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:35才以上の女性で「ミセスと呼ばれたくない」大人の女性を対象とした、国内
の同レベルのアパレルブランドの上代価格の25∼30%程の値ごろ感のニット
コーディネート商品
④シーズの活用者:直営店、百貨店、専門店、また、チェーン店へのOEMも予定
⑤ 展開商品と取組:
(1)サイズは38、40、42の三サイズ(ニットブランドでは少ない)
(2)商品構成(横編ニット60∼70%、丸編カットソー20∼30%、布帛10%)
(3)素材はリニアピュの糸を中心に、高級獣毛など
(4)平均価格は、コート(39,000∼43,000円)、ジャケット(33,000∼49,000円)、ボトム(13,000∼33,000
円)
、カーディガン(23,000∼29,000円)、セーター16,000∼26,000円)
、カットソー(12,000∼19,000
円)
(取組):
情報機能を重視し、東京・青山に企画・開発、ショールームをもった営業所を開設、また、7月からJ
R京都・百貨店において販売開始、一方、テレショップチャンネル活用では95%以上の販売成果を得て
いる。
⑥ 今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
<産地発「多品種小ロット短サイクルシステム」構築に向けて>
先染めファッション衣料の産地として、売れ筋対応のための多品種小ロット短サイクルシステム(一
週間対応)を構築、特に、中国で作れない、より機能性を折り込んだ、撚糸技術を駆使した複合素材
の開発、より複雑な意匠撚糸素材の開発を通し、産地ブランドを確立する。
今後、都市での直営店展開を目指す。
報告者:
下倉
正光
所属:
(株)繊維リソースいしかわ
65
報告月日
平成14年10月31日
(石川 8)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:石川県工業試験場
②パターン
: D 型(二次製品段階の開発)
③シーズの内容
:生分解性繊維を活用した環境保全資材
④シーズの活用者:農林水産業者ならびに土木業者
⑤展開商品と取組内容:
水産資材(えび・かに籠、刺し網など)
・えび、かに籠
海中に籠を設置しかにを捕獲するかに漁では操業中に籠が海底に引っかかり、やむなく放棄する場合があ
る。これは人間が回収しない限り半永久的に海中でかにを捕獲しつづけることとなり、漁場の荒廃を招くこ
とになる。生分解性繊維を使えば半年で破網、それを防ぐことができる。試験操業による漁獲性能において
ポリエチレン繊維製のものと差は無く、作業性も問題ない。
・刺し網
刺し網使用期間は一年と短いため廃棄処理が悩みの種であり、また流出魚網による海洋生物への絡まりや
ゴーストフィッシングの問題も生じている。従来のナイロンモノフィラメントと漁獲性能比較をしても遜色
はなかった。また、いかに網の存在に気づかれないかという視認性評価に優れやはりナイロンモノフィラメ
ントと比較しても違いは無かった。そのため十分有効な水産資材として利用できる。
土木、農業資材(植生ネット、つるもの用ネット等)
・植生ネット
従来の植生ネットは草が生えれば不要であるにもかかわらずいつまでも残るため草刈り機の刃が引っか
かったり子供がつまづくといった問題が起きているがこれを使用することにより雑草が生えて法面が安定
するころに消失分解する。
・つるもの用ネット
また、スイカなどの栽培用ネットを試作、これをつるとともに植えれば 2∼3 か月で水と二酸化炭素に分
解され手間をかけずにつるを堆肥として再利用できる。従来はポリエチレン製が主流となっていたが焼却に
よる環境への影響や費用負担が回避される。
その他(生ごみ用コンポスト袋、ロープ、ろ過材、人工産卵藻等)
フラットヤーン製の袋は生ごみに多量に含まれる水分を繊維の隙間から排出でき堆肥化用途にも最適であ
る。また、水質浄化用機器の付帯設備として作られているろ過材は汚れたあとは回収して埋め立てあるいは焼
却処理する必要がある。これを容易に廃棄できる微生物分解タイプの濾過材開発を行った。これは即、人工産
卵藻にも応用でき、同様に回収の省力化が図られる。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
今後は一層、公設試験機関連携による効率的な技術開発と実際のフィールドでのデータ収集、提供をとおして、
ニーズに応じた最適な繊維を提案することにより、名実ともにエコ産地石川をアピールしていく所存である。
⑦備考
生分解性繊維については、福井、愛知など各公設試験場で研究開発がなされている。
新しい発想があれば相談したらいかがでしょう。
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ
66
報告月日 平成 14 年 10 月 31 日
(石川 9)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:石川県工業試験場
②パターン
:A 型(ワタ・糸段階の開発)
③シーズの内容
: 独自の風合いを持った生分解性繊維
④シーズの活用者:繊維関連企業
⑤展開商品と取組内容:
ポリ乳酸等を原料とする生分解性繊維は、従来着色は後染め加工のため、インテリア関係など、日
光にさらされやすい用途では色褪せなどの問題が懸念される。また、インテリア用厚布に使われる太
い原糸は縮れ加工が困難であることから平面的な仕上がりとなることが課題となっていた。
このため、石川県工業試験場ではフッ素樹脂加工大手の中興化成工業㈱と共同でポリ乳酸樹脂を延
ばして繊維とする工程で着色し、また特殊な装置で縮れをつける製造技術を確立した。
これは澱粉から製造されたポリ乳酸繊維樹脂を溶融し、ノズル(小さな穴)から押し出して冷却・
延伸する工程で顔料を混入して原糸着色を行うとともに、ちぢれ(けん縮)形状をつけるものである。
この方法によって従来品と異なり、製品化した際に色褪せが少なく独特なソフトな風合いを持たせ
ることが可能になる。
なお、ポリ乳酸繊維は廃棄後、土中や水中の微生物によって分解されるが日常的な使用では通常の
繊維と遜色ない耐久性を持つことが確認されている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
原糸を供給する中興化成工業㈱では大量生産ではなく、小ロット多品種のニッチ市場を開拓する考
えを持っている。
原糸着色やちぢれ(けん縮)が可能になったことから色落ちが起こらず、またソフトな風合いとな
るためボディタオルへの活用なども期待できる。また土木分野では法面の補強などにも活用できる。
このようなことから、衣料から非衣料への転換を図る国内繊維企業に対しても、中国や東南アジア
に真似の出来ない環境対応型新技術を提供していく所存である。
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ
67
報告月日 平成 14 年 10 月 31 日
(石川 10)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:石川県工業試験場
②パターン
:A 型(ワタ・糸段階の開発)
③シーズの内容
:生分解性プラスチックの繊維化(熱可塑性・酵素分解型)
④シーズの活用者:農、林、水産、土木、建設業者等
⑤展開商品と取組内容:
合成繊維はその優れた性能と耐久性によって急速にわれわれの生活に浸透したが、近年の環境保全に対する意
識の高まりとともにその廃棄物は他のプラスチック製品と同様に大きな課題となっている。これらの繊維材料に
は使用中は合成繊維同様の性能を発揮するが廃棄後は速やかに分解されるという性質が求められつつある。この
要望にこたえる手段として生分解性プラスチックを繊維化する方法を検討した。
はじめに検討した微生物産生ポリエステル(バイオポール)は繊維化が難しく、作られた繊維もその強度が低
いことが大きな課題であった。そこで同場では紡糸と延伸の各工程を再検討し、独自の方法ではより高強度な繊
維を試作出来ることを見出した。
また、「ビオノーレ」の商品名で市販された昭和高分子㈱のポリブチレンサクシネートに着目し、繊維化を検
討した。
この他、カーギル社、島津製作所が市販を開始したポリ乳酸や、一部の生分解性プラスチックについても逐次
検討を行った。
このようにして、蓄積した各種生分解性プラスチックの繊維化技術に関する知見をもとに民間企業を指導した
結果、企業設備でマルチフィラメント、モノフィラメント、フラットヤーンなどを大量生産することが可能とな
った。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
ニーズに応じて最適な性質の繊維を的確に提案出来るよう実際のフィールドでのデータの収集、検討を重ねる
ことによって、本格的な実用化を目指して、今後検討を重ねていく。
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ
68
報告月日 平成 14 年 10 月 31 日
(石川 11)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:㈱ 山越
②パターン
:A 型(ワタ・糸段階の開発)
、E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:各種特殊加工糸の開発とクイックデリバリー対応
④シーズの活用者:織物業者
⑤展開商品と取組内容:
同社は独自の開発技術で各種の特殊加工糸を開発し業績を上げている。
特に最近注目される技術は、カーテンの緯糸を細デニール化(300D/288F)することでカーテン
地がソフトになり、ドレープ性が良くなることである。
この技術によりセミダルの糸以外にも暗幕カーテン用の黒原着糸をも細デニール化することがで
き、この商品は過当競争に陥っているカーテン分野においての付加価値商品として確実に需要が伸び
ている。
また、中国からの輸入品との競合を避けるため、中級品の付加価値品を作るための特殊加工糸をリ
ーズナブルな価格で販売を行っている。
そして、常時 50 品種以上の在庫を持つことにより、織物業者のオーダーにただちに対応できる体
制をとっていることが大きな特長といえる。
また、試験糸の製作も専用機械で生産するため、打合せ後最長 1 週間以内に出荷できる体制をとっ
ており織物業者の商品企画力の向上とクイックデリバリー対応をも可能にしている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
難撚無漂白、防菌、防臭等、環境対応、機能対応のための原糸を後加工でなく、練り込むことで原
糸から開発・生産・販売を産地間連携のもといろんな分野へ展開する計画。
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ
69
報告月日 平成 14 年 10 月 31 日
(石川 12)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:小松精練㈱
②パターン
:C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:ビンテージ繊意の展開:手作り風の質感を追求した特殊染色加工
④シーズの活用者:国内外のアパレルメーカー
⑤展開商品と取組内容:
この開発に当たっては同社が糸・織編物メーカー、製品染めメーカーとのコラボレーションツールとして開発
し好評を得た超小型全自動マルチタレント染色加工機「染料役者」を改良し、大型化高度化した技術の連携に負う
所が大きい。
「染料役者」という先進のハードウエアと半世紀の歴史に培われた「小松精練ネオアルチザン」の匠のソフトウ
エア、鮮度の高いテキスタイル造りの意志(繊意)を高度に融合させた円熟味ある秀逸な高感度テキスタイルが
ビンテージ繊意である。これの最大のコンセプトは消費者の視点にたった商品作りである。
【その商品特長】
合、化繊でもなく綿でもない感触を持つユニークなテキスタイル
天日干し風のナチュラルでリラックス感のある表情
ふくらみ感とエアリーな風合い
コンパクト(程よい締まり)且つ新ドライ感
【その用途】
一般衣料(アウター、インナーウエア)
各種スポーツウエア
各種ユニフォーム
寝装、寝具、インテリア全般
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
無地及びプリントの従来テキスタイルのビンテージ繊意化
ビンテージ繊意テキスタイルを用いた高度な機能技術の付与販売
2002 年秋冬向けとして国内外同時に本格販売展開
OEMおよびコンバーティングによる展開
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ
70
報告月日 平成 14 年 10 月 31 日
(石川 13)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発
:福井県工業技術センター
②パターン
:A 型(ワタ・糸段階の開発)、B 型(織物・編物段階の開発)
③シーズの内容
:強化繊維束の開繊技術を応用した炭素繊維強化複合材料の開発
④シーズの活用者:福井県内 8 企業、福井県外 1 企業に特許実施許諾(H14 年度)
⑤展開商品と取組内容
福井県工業技術センターでは、強化繊維束の開繊加工技術および開繊糸製織技術を開発(特許取得)、炭素繊維
の開繊糸、開繊プリプレグ、開繊織物を提案し、国内外で注目を集め、福井県内 8 企業、福井県外 1 企業に特許
実施許諾を行っている。
開繊加工技術は、空気を利用して従来にはない幅広さ、薄さの開繊糸を得るものであり、極めて薄くボイド(空
隙)のない繊維強化複合材料の開発が可能である。
テクテキスタイル分野での国際産地間交流を推進するため、平成 13 年 4 月、フランスの繊維・被服研究所と繊維
産業資材分野での技術交流協定を調印、繊維強化複合材料での共同研究や、テクテキスタイル分野での技術交流
を進めている。
また、平成 14 年度からは、新たな先進的複合材料分野の開拓と実用化をめざして、経済産業省の提案公募型技
術開発事業「地域新生コンソーシアム研究開発事業」において、研究テーマ「開繊技術を応用したボイドレス MAP
(Multi Axial & Ply)シートの開発」(管理法人(財)福井県産業支援センター)に取り組んでいる。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
・航空機・自動車関連への展開
本技術を用いてターボファンエンジン静翼等の航空機エンジン部材をはじめとする航空機構造部材や車
両用ボディ部材等への展開を図る。
・特許実施企業グループによるコンソーシアムを構築し、それぞれの企業の得意分野製品を発展させ、国際
展示会等に共同で取り組み、新規分野を開拓する。
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ報告月日
71
平成 14 年 11 月 21 日
(石川 14)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:ケイテー・ニット㈱
②パターン
: A 型(ワタ・糸段階の開発)・D 型(二次製品段階の開発)
③シーズの内容
:環境と健康に配慮した「越の和紙」を使った織編物
④シーズの活用者:ケイテー・ニット㈱
⑤展開商品と取組内容:
安価な中国製品の増加に危機感を募らせていた中、伝統的な原料と長年培った技術でのものづくり
は海外製品の影響を受けずかつ文化発信にも繋がると考えていた。
そして北陸地方の風土の栽培に適した素材、福井県の伝統産業である越前和紙をシート状にし、ミ
リ単位で細かく切り紙縒りのように撚って糸にし、平滑性を得るため、糸の均一化を図るとともに強
度の保持、解除性等を付加することにより、織編を可能にした。
【特徴】
吸湿、吸水、吸汗性にすぐれ、発散性、拡散性、絶縁性、通気性、分解性といった機能があると
ともに非常に軽量である。
外観や風合いは麻に似ているがチクチクせずしわの程度は麻より少ない。
焼却時のダイオキシン等の有害物質の発生は皆無。
【展開商品】
男性用靴下(足軽)
糸に備長炭を練り込んだ腹巻き(新洗組)
生理用品(フィールド)
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
蚊帳、子供用肌着、脱臭剤などの商品化により、商品力の強化を図りたい。現在は価格の高さがネ
ックとなっている。紙漉き、糸撚り工程のコストダウンを図ることにより、婦人紳士衣料としての展
開を検討している。
報告者名:下倉正光
所属:㈱繊維リソースいしかわ
72
報告月日 平成 14 年 11 月 21 日
6. 国際ファッションセンター(株)
報告者
№
パターン
国際FC
1
D,(E)
2
C
3
切り口
案件名/展開アイテム
課題/今後の展開案など
健康
・ほつれ難いサポーター等
・各種サポーター類
・異業種交流で商品開発促進を
・社会貢献に観点から、整形外科用商品の開発等
染色加工
(織物)
・シルク を用いた加工
・各種糸、織物
・量産を考えるなら「けば」の輸入必要
・医療関連商品にも用途展開研究
・国産100%シルクニット
・各種ニット製品
・2003年2 月本格的デビュー予定
・都立産業技術研究所にケアラベルで助言仰ぐ
健康・環境
・究極のベビーウエア
・肌着、ワンピース等
・明確なブランド戦略要確立
・カラーバリエーションや用途の拡大
B,(C,E) 素材差別化
4
D,(E)
5
D
健康
・ユニバーサルファッション
・ワンピース、カーディガン等
・更なる商品開発、販路開拓
・公的機関等との連携、サイト立ち上げ等
6
D,(E)
環境
・生分解性植生マット
・植生マット類
・公共事業での実績拡大し広く普及させたい
・有限会社設立を予定
7
D,(E)
製品差別化
・ホールガーメント
・各種ニット製品
・今より「半歩先」を目指して商品開発を
8
E
販売手法
・ネット通販
・各種オーガニックコットン製品等
・石鹸等用途拡大
・異業種連携で産地商品のの発信の仕掛け準備中
9
B,(C,D) 伝統技術
・伝統織りでのストール、マフラー等製品類
・自分で価格決定して、消費者への直販を
10
B,(D,E) 伝統技術
・柞蚕糸用いた服地等
・都立産業技術研究所の指導得ながら更なる商品開発
・独特のニット糸開発。ニット製品は輸出取組
・ローテクの見直しと、よりオリジナリティある糸、製品開発
・前売りに一層注力し収益の向上を
11
E,(A)
輸出
(糸差別化)
73
(国際 1)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:(株)松崎マトリクステクノ
②パターン
:D 型(二次製品段階の開発)
、E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:医療用サポーター、ほつれにくい編組織のタイツ状のサポーター(実用新案申請
中)などを開発、ドラッグストアやエステティックサロン等に卸しているほか、
インターネットのホームページ上でも販売している。また、社会貢献活動として
オーダーメイドのサポーターの開発・製造・販売にも取り組んでいる。
④シーズの活用者:(株)松崎マトリクステクノ
⑤展開商品と取組内容:
同社は元々は編機の製造メーカー出身。現在もサポーターだけでなく大手繊維機器メーカー向けにノッターや
オートストライパーの製造も行っており、その強みを生かし、自社で生産するサポーター向けの製造機は一切販
売は行わず全て自社で使用しているため、生産効率が良く、同業他社と差別化されたオリジナル性の高いサポー
ターの企画・開発・生産が行える体制となっている。
例えば、エステティックサロン向けの高級なタイツ状サポーターは、縫製で仕上げたのではゴムが縫い目から
抜け出てしまうので、ほつれにくい編み組織(実用新案申請中)を開発した。
整形外科用商品としては、患者さん一人一人の症状・体型に合わせペインコントロールが可能となるオーダー
メイドのサポーターや、外反母趾対策のサポーターなどを開発、月 1 回工場のある町内でガレージセールを行っ
たり、インターネットのホームページ上で直接エンドユーザーに販売、商品開発の参考となるような意見を吸い
上げている。
また、現在は東京都立産業技術研究所、文化女子大学との東京都産学公連携コーディネート事業として進めて
いる衣服圧の研究等をサポーターの開発に生かせないかを検討中である。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)異業種の団体の役員を引き受けたり、異業種交流を積極的に行うことで、商品開発の新しいアイデア
を取り入れていきたい。
(2)今後もっとエンドユーザーの顧客を増やしていきたい。
(3)社会貢献という観点からの商品開発を推進したい。いわゆる簡易サポーターではなく、整形外科用商品の
開発の強化。
報告者名: 萬福有子
所属:国際ファッションセンター(株)報告月日 14 年 9 月 13 日
74
(国際 2)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:群馬県繊維工業試験場、(株)アート、ミツミ・テニー(株)
②パターン
:C 型(染色・加工段階の開発)
③シーズの内容
:シルクの粉末及び溶液を用いた環境調和型仕上げ加工技術(特許を 4 件申請中)
を開発し、ポリエステル、綿等にシルクの機能性を付与するとともに、酸性染料
による染色を可能とした。
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
中小企業庁中小企業技術開発産官学連携促進事業、地域ものづくり対策事業(平成 12 年度より本年まで継続)
として群馬県繊維工業試験場が研究・開発した、シルクを製糸する過程で出るいわゆる「農家けば」
「工場けば」
「きびそ」と呼ばれる廃棄物を高温の水で煮沸することにより、セリシン、フィブロインを効率良く抽出する方
法を応用し、(株)アートがポリエステル織物を、ミツミ・テニー(株)が綿及びセルロース系の糸及び織物を
酸性染料で染色加工することに成功している。
従来の抽出法の欠点として、セリシンの場合の石鹸法、アルカリ法、酵素法では、中和・脱塩作業が大変であ
ったりコストが高いこと、フィブロインの場合の加水分解法では、作業工程が煩雑であること、などがあった。
水を使用すればこれらの問題はクリアできる。実験の結果、セリシンの場合、130℃、フォブロインの場合は、
実用的には 140℃が望ましいことがわかった。保存性を考慮し、溶液ではなく更にそれを粉末にしてしまうとい
う方法もある。
染色工程でその溶液もしくは粉末を混ぜてやることで、繊維の表面にしっかりとセリシン、フィブロインが付
着し、繊維にシルクライクな性質を加えることができた。分散性染料で染めているポリエステルが、絹と同じよ
うに酸性染料で染色できるようになったほか、手触りが柔らかくなる、吸湿性、制電性が出てくるなど、機能面
での明らかな変化が認められた。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)農家けば、工場けば、きびそなどの安定供給が最大の課題。現状では量が少なすぎるため、もしこの
加工法で量産を考えるなら海外からけばを輸入する必要がある。
(2)ポリエステルに上記の加工を施した生地については、インナー、ブラウス用途で拡販を進めたいと考
えている。
(3)綿については、アレルギーのある人向けの素材、あるいはインテリア関係で床ずれ防止のシーツ用途
などとして訴求できるのではないか。
報告者名:萬福有子
所属: 国際ファッションセンター(株) 報告月日 14 年 10 月 9 日
75
(国際 3)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:樋口繊維工業(株)、小野莫大小工業(株)、大同経編(株)、中半産業(株)
②パターン
:B 型(織物・編物段階の開発)、C 型(染色・加工段階の開発)
、
E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:正絹、絹紡糸、ハイブリッド糸のシルクニット(丸編製品、横編製品)をグルー
プで開発し、「シルクファクトリー」(商標登録出願中)のオリジナルブランドで
販売する。
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
従来のシルク製品は材質が良くない海外製品が多かったが、高級感があってしっかりしたシルク製品を開発・
販売することを目的として、東京ニット産地の有力ニットメーカー3 社(丸編ニットメーカー2 社、横編ニット
メーカー1 社)及び丸編生地編み立て業者 1 社が、経済産業省及び東京都の平成 14 年度地場産業活性化補助金
を得てグループ「シルククラブ」を結成し、国産シルク 100%・正絹・先染のシルクニットの開発を開始した。
中心となる商品は、従来はコストの問題で開発が難しかった正絹のカットソー、横編ニットと、絹紡糸、ハイ
ブリッド糸使いのニット。1×1 の天竺、ミラノリブ、テレコの生地で、色は黒、茶、グレーなどの定番カラー
と、パステル調とし、色むらが出やすい点を逆手に取りボーダーの生地も生産している。横編ニットでは、杢糸、
ブークレー調の糸などを使用。デザインは定番的なものとファッション性の高いものの両方を出していく。
2 次製品はレディス中心だが、一部メンズも製造する。
オリジナルブランドでの販売を進めるため、「シルクファクトリー」のブランド名を商標登録出願中である。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)12月のジャパンクリエーションに出展した後、本格的なデビュー展を2月に国際ファッションセンタ
ービル内で開催する予定。販路はアパレルと小売業両方を考えている。
(2)シルクは取り扱いが難しい商品なので、東京都立産業技術研究所墨田庁舎に対し、ケアラベルについ
て指導・助言してもらえるよう働きかけている。
報告者名:萬福有子
所属: 国際ファッションセンター(株) 報告月日 14 年 9 月 12 日
76
(国際 4)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:㈱小倉メリヤス製造所、㈱ナラハラニット、マツマル㈱、㈱シラカワ
②パターン
:D 型(二次製品段階の開発)
、E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:ベビー服メーカー3 社と服飾資材卸 1 社が合同で安全性に配慮した「究極のベビ
ーウェア」作りを行い、ベビー服の分野では日本で初めて「エコテックス規格 100」
を取得、「エコベビー」(商標登録済)のブランド名で販売を行っている。
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
これまでアパレルメーカー向けのベビー服のOEM生産を行っていた丸編ニットメーカー3 社と服飾資材メー
カー1 社が、消費者(特にお母さん達)の「安全なベビー服が欲しい」というニーズに応えること、海外生産品
との差別化を図り、国産のオリジナルブランドを消費者に直接販売することを目的としてグループを結成、平成
13 年度、14 年度の地場産業活性化補助金を活用し、「エコ・ベビー」のブランドを立ち上げた。
同ブランドでは国が実施している安全基準より遥かに高い基準を採用し、繊維製品の安全性に関する国際基準
「エコテックス規格 100」をベビー服の分野では日本で初めて取得した。
化学的な面の安全性に加えて、縫製メーカーらしく、例えば縫い代を肌に当たる側ではなく表に出すなどの工
夫を随所に凝らしている。デザインはデザイナーのクライ・ムキさんに委託している。
昨年 12 月に「エコ・プロダクツ展」に出展、同時に育児雑誌 2 誌への広告の掲載及びインターネットのホー
ムページ開設を行い、通販、ネット販売をスタートした。
通販とネット販売のみでは売り上げ的に満足のいく成果が上がらなかったため、今秋より戦略を転換、百貨店、
子供服チェーン専門店への卸も開始した。今後、病院関係へのパンフ配布も行う。
現在、有限会社から株式会社への変更手続きを進めているところである。
肌着 1,800 円、ロンパース 4,800 円、2 ウェイカバーオール 5,900 円、ワンピース 6,900 円、ハーフパンツ 2,300
円、スカート 3,900 円など。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)売り上げの拡大のためには明確なブランド戦略を立案することが必要な時期に来ているのでは。
(2)これまで安全性に強くこだわっていたため、極力単色でと思っていたが、消費者、店舗からの要望が
あるため、今後はカラーバリエーションを充実させていきたい。
(3)新生児用だけでなくもっと大きいサイズのものや、お母さん用のアイテムを増やしていきたい。
報告者名:萬福有子
所属:国際ファッションセンター(株)報告月日 14 年 10 月 2 日
77
(国際 5)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:テルタ(株)、三山(株)、
(有)阿部刺繍、光セーター加工所
②パターン
:D 型(二次製品段階の開発)
、E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:横編ニットメーカーを中心とする 4 社のグループが、脊椎湾曲の高齢者女性向け
ボディをマネキンメーカーのサポートを得て開発、それを元に、横編ニット製品
を開発、専門店販路でバイオーダーでの販売を開始している。
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
商品開発のきっかけは、(株)テルタの社長、常務の母が、90 歳代の年齢で大きく脊椎湾曲しており、「着て
いく服がないため姪の結婚式に出られない」という出来事だった。布帛よりも融通性に富むニットならば、パタ
ーン、編み方の工夫によりこの問題を解決できるのではないかと考え、平成 12 年から参加している特定非営利
法人ユニバーサルファッション協会(UNIFA)で知り合ったマネキンメーカー・(株)アップルに相談し、
平成 13 年 3 月より超高齢女性のボディの開発に着手、同年 9 月にボディを完成させた。更に、早稲田大学理工
学部経営システム工学科棟近研究室による「試作サンプル」のモニター試着アンケート調査及び同結果の解析(同
調査は東京都産学公連携コーディネート事業として行われた)を実施し、本企画の成果を確認した。
その後、同年 11 月に初の展示会を開催、着脱のしやすさ、着心地の良さなどの機能と、体型的弱点を補完し、
着た時に美しく見え、女性のお洒落心を満足させるファッション性を両立させた商品を発表した。特に、シルエ
ットを美しくするため、肩の部分には実際の体型よりはややふくらみを持たせたパターンとなっている。
ウール、カシミアなど肌に優しい高級素材を用い、在庫リスクを避けるためバイオーダーで注文があってから
2∼3 週間で納品できる体制を取っている。販路は専門店。
なお、上記 4 社によるグループ「インディオンディ」は平成 13 年度、14 年度の地場産業活性化補助金を得て
活動している。
参考上代は、ワンピース、カーディガン、ストールの 3 点セットで 5∼7 万円。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)今秋の展示会に向けて、過敏肌の方向けの海島綿使いの商品や、車いすの方向けの商品など、アイテ
ムを広げていきたい。
(2)消費者のニーズともの作りのノウハウとを情報としてうまく組み合わせる仕組みを作っていきたい。
国際ファッションセンター(株)、UNIFA、東京都立産業技術研究所など公共的な機関を通じた
情報収集の方法も研究している。
(3)販路を拡大するため、貸衣装屋へのアプローチを検討中。
(4)1社、1グループでホームページを作成し通販を行っても成果はほとんど期待できないので、UNIF
Aに対して、推奨商品を紹介・販売するサイトの立ち上げを提案したいと考えている。
報告者名:萬福有子
所属:国際ファッションセンター(株)報告月日 14 年 10 月 2 日
78
(国際 6)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:古河産業、佐藤(株)、福希(株)、(有)ケミープランニング
②パターン
:D 型(二次製品段階の開発)
、E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容 :繊維産地に蓄積された二重織などの織物技術のノウハウを土木資材開発に生かし、
劣化速度の異なる生分解性繊維による環境に優しい植生マット(特許申請中)を製
品化し、群馬県内に施工事例を広げつつある。
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
平成 13 年の春に、土木資材・施工業者の古河産業が、ポリエステルなど強度はあっても生分解し
ない材料ではなく、約 10 年で土に還り、更に草だけでなく木を植えることができる植生マットを開
発できないかということを糸商の佐藤(株)に相談したのがきっかけ。佐藤(株)が織物メーカーの
福希(株)と服飾資材問屋の(株)ケミープランニングに声をかけ、4 社で D 型(二次製品段階の開
発)NG研究会(今春桐生グリーンマット研究会に名称変更)を結成し、開発に着手した。
クラレのとうもろこしから出来たポリ乳酸の生分解性繊維「プラスターチ」を用いて別注の原着糸
を開発、桐生産地で撚りをかけ、これとPVA系もしくは土質によっては麻との交織で二重織物を織
り、75.6 平米でカットして製品化した。全て土に還る原料であるため環境に優しく、しかも原糸の種
類によって分解の速度が異なるため、草だけでなく木の成長にあわせて布目が変化する。
研究を開始してから 9 か月で商品化に成功、栃木県小俣、群馬県勢多東、同尾瀬などを始め、平成
14 年 9 月までで約 4,000 平米の施工実績を挙げている。
上記の研究・開発は平成 13 年度北関東産官学研究会共同研究として、群馬大学名誉教授の大澤善
次郎氏と群馬県繊維工業試験場の工学博士・上石洋一氏の協力により進められたものである。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)群馬県内での公共事業での施工実績をより拡大し、いずれは他のエリアへも普及させていき
たい。
(2)平成14年11月には有限会社化を計画、各社の本業とは別にベンチャー企業としての位置付け
を明確にする予定。
報告者名:萬福有子
所属:国際ファッションセンター(株)報告月日 14 年 10 月 9 日
79
(国際 7)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:(株)イノウエ
②パターン
:D 型(二次製品段階の開発)
、E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容 :
(株)島精機製作所のホールガーメント機の導入にいち早く取り組み、同社と二人
三脚でホールガーメントの機械及びニット製品を育てていった。同業者 6 社とゆ
るやかなグループを結成し量産に対応できる体制を構築している。海外への輸出
も始めている。
④シーズの活用者:(株)イノウエ及び同業のニットメーカー6 社
⑤展開商品と取組内容:
(株)イノウエは 1989 年創業の横編ニットメーカー。社長の井上隆氏は「歴史がないため、他社がやってい
ない新しいもの、独創的なものを手掛けるしかない」と考え、(株)島精機製作所のホールガーメント機「SW
G―V」を 1999 年に導入した。
日本国内でホールガーメント機を本格的に導入する企業が少ない時期から取り組みを始めたため、編機の完成
度アップや編物設計のノウハウの習得など、当初は苦労が多かったが、島精機と一緒になって既存の編機では編
めない新しい商品の開発を進めていった。
縫製の手間が省け、編機自体が動くスピードが速いことを活かし、婦人服SPAブランド向けの商品の受注が
多く入るようになった。価格的にも海外生産品に負けないローコスト生産が可能となっている。今はレディスヤ
ングの他、ミセス、メンズも手掛けている。サンプル約 1,000 点を常備、うち 300 点程をアパレル、商社に貸し
出す程人気がある。
イノウエの仕事量が増えるに従って、同社が仕事を出している同業者 6 社もホールガーメント機を購入、無縫
製のコラボレーション・グループが自然に出来上がっていった。現在このグループ全体の保有台数は 80 台(5
G∼12G)で、日本国内にある島精機のホールガーメント機の全台数の約 3 分の 1 を占める。
今年から端境期に商社経由で、アメリカ、カナダ、イタリア、イギリス、台湾、香港への輸出も開始した。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
常に今より「半歩先」(進みすぎてもいけないので)を目指し、新しい商品開発を進めていきたい。
報告者名:萬福有子
所属:国際ファッションセンター(株)報告月日 14 年 10 月 22 日
80
(国際 8)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:(株)前田源商店
②パターン
:E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:オーガニックコットン及び草木染の生地及び 2 次製品を早い時期から楽天市場で
ネット通販し、地元のホテルなどへの卸、自社の来訪者への直接販売なども含め、
消費者への直接販売を強化している。2 次製品については、浜松、西脇、今治、
岸和田など他産地と連携、品揃えのバリエーションを広げている。
④シーズの活用者:(株)前田源商店
⑤展開商品と取組内容:
(株)前田源商店は富士吉田産地の産元商社。13∼4 年前から草木染めを手掛け、10 年前からオーガニックコ
ットンを従来型の問屋ルートで販売していたが、売り上げが伸び悩んでいた。
直接消費者に販売することを目指し、3 年前からインターネット通販の楽天市場に出店、草木染め及びオーガ
ニックコットンの生地、オーガニックコットンの 2 次製品(カジュアルアウター、インナー、ベビー服、ベビー
用品、ホームファッション用品など)を販売している。このほか地元のホテルや自社本社などでの対面販売も行
っている。自社で手掛けている生地はもちろんのことそれ以外の商品も、原糸は輸入品だがそれ以降の工程は日
本全国の産地で作っている国産品である。
ホームページのアクセス数を上げるための様々な工夫を行っており、トップページには富士山の写真を毎朝写
して載せ換えている。人気商品のランキングを掲載したり、ページ上段と下段に写真入りの商品ページへのリン
クが貼ってあるなど、見やすく買いやすいホームページである。顧客に安心感を与えるため受注から発送までの
間に 3 回メール配信を行っている。また、環境重視の考えから梱包には再利用のダンボールを使用している。ウ
ェブマスターは取締役営業部長の前田一郎氏。
現在同社のホームページはアクセス件数月 3 万、メールマガジンの発行部数 1 万部の人気サイトに成長した。
顧客は 20 代後半から 40 代が多く、約 4 割がリピーターとなっている。昨年度のネット通販の年商は 1,000 万円
を超えている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)顧客から要望の多い石鹸などの関連アイテムを充実させていきたい。
(2)地元の異業種企業と連携し、富士吉田産地の優れた商品を発信していく仕掛けを準備中。
報告者名:萬福有子
所属:国際ファッションセンター(株)報告月日 14 年 10 月 23 日
81
(国際 9)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:(有)澤井織物工場
②パターン
:B 型(織物・編物段階の開発)、C 型(染色・加工段階の開発)
、
D 型(二次製品段階の開発)
③シーズの内容
:和装向けの生地を手掛けることにより培われた技術と感性を、ストールの制作活
動に生かし、高級素材プラス伝統的な織りプラスニードルパンチ、高級素材プラ
スハンドメイド仕上げ、異素材の織り、などの手法で高感度の個性的な商品を生
み出している。
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
同社は和装の着尺や帯地からスタートした会社だが、13∼4 年前から広幅織物の生産も開始、現在では和装関
連と生地よりも 2 次製品のストール中心の売り上げ構成(全体の約 80%)に完全に転換した。
生産設備は手織機 8 台、広幅機 3 台、小幅機 5 台の計 16 台で、全てシャトル織機である。手織りで一貫生産
を行ってきた強みを生かし、素材の選定、織り方、後加工、の全ての工程、もしくは 2 つか 1 つの工程で工夫を
こらし、その複合的な組み合わせの妙により最低でも上代 1 万円以上のレベルのマフラーをアパレル、商社等に
企画・提案している。提案商品の 6∼7 割が採用されるという高い確率を誇る。ジャパンクリエーションや八王
子ファッション協議会主催の展示会に出展して新規販路開拓を進めているほか、間接的には輸出も行っている。
例えば、①シルクの楊柳のストールを同社脇を流れる秋川に流して縮みを入れたもの(自然の冷たい水で冷却
するとあまり斜行していないまっすぐな筋が入る)、②カシミアシルクの絣織や、シルクの透かし織にニードル
パンチを施したストール、③革を細くカットしたテープを織ったストール、④シルクの二重織の中に、ランダム
にカットしたラミーの綿を織り込んだストール、⑤カシミアをX織したストールを、人間の手で起毛したもの、
などである。
企画は全て、専務取締役の澤井伸氏が手掛けている。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
将来的には、自分で価格を決定して直接消費者に販売する方法も検討していきたい。
報告者名:萬福有子
所属: 国際ファッションセンター(株) 報告月日 14 年 10 月 29 日
82
(国際 10)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:八王子ファッション協議会
②パターン
:B 型(織物・編物段階の開発)、D 型(二次製品段階の開発)、
E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:シルクの柞蚕糸を用いた新しい服地、ストールなどの開発を、公設繊維試験場の
技術指導員の協力を得ながら、産地企業及び異業種企業などからなる産業及び地
域振興グループの有志が行い、展示会で発表・拡販する(本事例は現在進行中)
。
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
八王子産地の繊維ファッション関連企業(糸商、織物メーカー、染色業、整理加工業、ニットメーカー、小売
業など)と、地域の異業種企業、東京都内のデザイナー、プレス、アパレル、専門学校等の関係者によって 11
年前に結成された八王子ファッション協議会(会員数約 110 社)の有志が、東京都立産業技術研究所テキスタイ
ル技術グループ素材技術主任研究員・原秀樹氏の指導の下、シルクの柞蚕糸の研究及び新しいものづくりを進め
ている。
柞蚕糸は家蚕糸と比べ生体親和性、静菌性、吸脂性、紫外線遮蔽性などが強く、なおかつコスト的にも野蚕糸
の中では 1 キロ当たり約 4,600 円と最も値ごろなため、前述の特性やシルク特有の軽さを生かせば、「誰にでも
着易く、人に優しい服を目指す」、というユニバーサルファッションの精神にも合致した商品開発が進められる
のではないかということで研究が始まった。ユニバーサルファッション=高齢者、身体障害者向け、という狭義
の定義には基づかず、ノンエージの女性をターゲットとした服地、ストールなどを手掛ける。原料の糸は中国か
らの輸入品を使用し、現在、レギュラーの家蚕糸よりもやや太い 35 中の柞蚕糸を使った試作品作りが進んでい
る。
試作品は平成 15 年 2 月 18 日、19 日に開催する同協議会の展示会で発表する。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
現在も東京都立産業技術研究所八王子分室で柞蚕糸の研究を続けており、この糸の特性を生かして、なるべく
多様な分野で商品開発を進めていきたい。
報告者名:萬福有子
所属: 国際ファッションセンター(株) 報告月日 14 年 10 月 30 日
83
(国際 11)
「産地シーズ調査報告書」
①シーズの開発者:佐藤繊維(株)
②パターン
:A 型(ワタ・糸段階の開発)
、E 型(新しいマーケティング手法の開発)
③シーズの内容
:自社で精紡から撚糸までの工程を一貫して行い、横編ニット向けのオリジナル性
の高い糸の開発を進め、この糸を他産地のニットメーカーに積極的に販売してい
る。また、自社で社内デザイナーによるニットの 2 次製品のオリジナルブランド
を立ち上げ、ニューヨーク及び日本国内の展示会に出展、専門店向けの直販にも
取り組んでいる。
④シーズの活用者:同上
⑤展開商品と取組内容:
佐藤繊維(株)は昭和初期に羊毛の紡績からスタートした会社。現在は編み立てまで行っており、梳毛紡績設
備約 1 万錘、編機 20 台には全て自社で改造を施し、オリジナル性の高いものづくりに力を入れている。
紡績については、3 年前より定番的な商品からファンシーヤーンや絣などにシフト、昨年から新潟、福島産地
で、今年からは東京で展示会を開催し産地企業への糸の販売を開始した。今秋には、来秋冬向け商品として、綿
の周りにウール綿(わた)を巻いた糸、和紙の周りにウール綿(わた)を巻いた糸、高級ウールを 4 回撚糸し、
ぬめり感と軽さの双方を追求した糸などを打ち出している。
また、2 次製品については専務取締役の佐藤正樹氏がヤーン&ファブリックデザインを、佐藤専務の妻の今日
子さんがアパレルデザイン及びスタイリングを担当し、1 年半前から「M&キョーコ」のブランド名でニューヨ
ークの「FEMME展」に出展している。今年 9 月にはニューヨークでは最高級レベルの「コーテリー展」に出
展、また「M&キョーコ」よりエッジの効いた個性的デザインを打ち出した新ブランド「マサキ&キョーコ」を
「ワークショップ・ニューヨーク展」に初出展した。
国内ではIFFに出展、関西地区はセールスレップネットワーク、関東は自社の営業による販売も行い、販路
の拡大を進めている。現在日本及びアメリカの約 200 店舗と取り引きがある。
アイテムはセーター、カーディガン、スカート、ワンピース、マフラー、ケープ、帽子、バッグなど。下代は、
両ブランド共セーターで約 15,000 円前後。
⑥今後の展開のアイデア等(開発者の希望も含む)
(1)ローテクなものづくりの方法を見直し、よりオリジナル性の高い糸、2次製品の開発を進めていきた
い。
(2)これまで以上に前売りに近い分野に力を入れ、利益の取れる企業体質への変革を図りたい。
報告者名:萬福有子
所属: 国際ファッションセンター(株) 報告月日 14 年 10 月 21 日
84
巻末資料
「産地シーズ調査」お問い合わせ先名簿
<今治>
事
業
所
名
住
所
〒794-0832
愛媛県今治市八町西4-1-61
〒794-0813
愛媛県今治市衣干町4丁目2番25号
〒799-1527
愛媛県今治市長沢甲1番地
〒799-1511
愛媛県今治市上徳乙54-6
〒794-0064
愛媛県今治市小泉5丁目3-31
1 (株)ヒサオー
2 大和染工(株)
3 (株)国分繊維工業
4 宇野タオル(株)
5 (株)河上工芸所
6 デザイナーズクラブいまばり
〒794-0042
愛媛県今治市旭町2丁目3-21
〒799-2205
7 新居田物産(株)
愛媛県越智郡大西町宮脇甲1381
〒794-0026
8 6人のクリエーターのコラボレーション
愛媛県今治市別宮町9-5-41
〒794-0033
(株)今治繊維リソースセンター
愛媛県今治市東門町5-14-3
電話番号
担当者名
越智 宏
(取締役副社長)
青野茂則
(代表取締役社長)
桧垣 敦
(代表取締役)
宇野健二
(代表取締役)
三宅弘夫
(代表取締役)
0898 (23) 2121
0898 (22) 6180
0898 (48) 6570
0898 (48) 2186
0898 (23) 6483
0898 (32) 3211
加賀城夕子
新居田初男
(代表取締役)
(株)トーメンインダックス
今治出張所 問谷 清
0898 (53) 2149
0898 (32) 4828
0898 (23) 8700
木村忠司
<倉敷>
事
業
所
名
住
所
電話番号
〒710-0146
岡山県倉敷市曽原439
〒701-1296
2 岡山県工業技術センター
岡山県岡山市芳賀5301番地
〒701-1296
3 岡山県工業技術センター
岡山県岡山市芳賀5301番地
〒701-1296
4 岡山県工業技術センター
岡山県岡山市芳賀5301番地
〒710-0146
5 明大㈱
岡山県倉敷市曽原484番地の1
〒711-8555
6 倉敷ファッションセンター㈱
岡山県倉敷市児島駅前1-46
〒711-0921
7 岡山県アパレル工業組合
岡山県倉敷市児島駅前1-46
〒711-8555
倉敷ファッションセンター㈱
岡山県倉敷市児島駅前1-46
1 丸進工業㈱
086(485)1211
086(286)9600
086(286)9600
086(286)9600
086(485)1355
086(474)6800
086(473)3411
086(474)6800
85
担当者名
武鑓篤志
(代表取締役)
柄川尚慶
(次長)
光石一太
(製品開発部産業資材研究室)
前田進悟
(製品開発部繊維加工研究室)
小河原通弘
(代表取締役)
川東正武
(課長)
本山俊明
(専務理事)
川東正武
<大阪>
事
業
所
名
住
所
電話番号
〒491-0931
0586(45)6891
愛知県一宮市大和町馬引字乾出39
〒615-8282 075(392)7815
2 株式会社谷口染型工房
京都府京都市西京区松尾大利町20-84
〒596-0827 0724(27)4801
3 辰巳織布株式会社
大阪府岸和田市上松町273
〒598-0035
0724(66)0660
4 ダイワタオル協同組合
大阪府泉佐野市南樫井733
〒600-8861
075(313)6801
5 京都起毛株式会社
京都府京都市下京区七条御所ノ内北町63
〒616-8094
075(462)8260
6 株式会社エミュ・ラクサイ
京都府京都市右京区御室小松野町12
〒596-0101
0724(45)8800
7 株式会社イトイテキスタイル
大阪府岸和田市包近町358-1
〒535-0005
06(6923)1278
8 アオキニット株式会社
大阪市旭区赤川2-6-16
〒602-0898
075(441)3165
9 京都市染織試験場
京都府京都市上京区鳥丸通上立売上ル
〒577-0062
06(6782)6281
10 松尾捺染株式会社
大阪府東大阪森河内東1-9-8
〒597-001
0724(46)0400
11 竹田織物株式会社
大阪府貝塚市三ケ山897番地
〒595-0024
090 (1714) 7367
12 朝田毛織株式会社
大阪府泉大津市池浦町2-5-25
〒596-0101
0724(45)2468
13 木下織物工場
大阪府岸和田市包近町650-2
〒595-0025
㈱大阪繊維リソースセンター
0725(31)4405
大阪府泉大津市旭町22-45
1 野村産業株式会社
担当者名
野村弘
(専務取締役)
谷口尚之
(代表取締役社長)
辰巳雅美
(代表取締役社長)
漆谷勝
(総務課 課長)
田村浩章
(専務取締役)
坂本進
(代表取締役)
糸井利典
(取締役)
青木宏司
(代表取締役)
北尾好隆
(色染部 研究担当課長)
松尾治
(代表取締役)
竹田源隆
(代表取締役)
朝田信一
(代表)
木下宗計
(代表)
新美清康
<浜松>
事
業
所
名
1 愛知県産業技術研究所 三河繊維技術センター
2 鈴日呂撚糸有限会社
3 静岡濾布有限会社
住
所
〒443-0013
愛知県蒲郡市大塚町伊賀久保109
〒431-1425
静岡県引佐郡三ヶ日町上尾奈565-1
〒431-1207
静岡県浜松市村櫛町3294
電話番号
0533 (59) 7146
053 (524) 0319
053 (489) 2331
担当者名
西村 美郎
(主任研究員)
鈴木 将之
(事務取締役)
松下 滿彦
(代表取締役)
4 有限会社ホシノ
〒437-1204
静岡県磐田郡福田町中島35
0538 (58) 1503
星野 秀次郎
(代表取締役)
5 愛知県産業技術研究所 尾張繊維技術センター
〒491-0931
愛知県一宮市大和町馬引宮浦35
0586 (45) 7871
古田 正明
(開発技術室 主任研究員)
6 静岡県浜松工業技術センター
〒431-2103
静岡県浜松市新都田1-3-3
053 (428) 4150
前嶋 義夫
(地域産業技術部 研究主幹)
7 愛知県産業技術研究所 三河繊維技術センター
8 原野染工株式会社
9 大和染工株式会社
10 日本形染株式会社
11 株式会社浜松ファッション・コミュニティセンター
㈱浜松ファッション・コミュニティセンター
〒443-0013
愛知県蒲郡市大塚町伊賀久保109
〒435-0053
静岡県浜松市上新屋町32
〒430-0806
静岡県浜松市木戸町2-3
〒430-0913
静岡県浜松市船越町26-1
〒432-8036
静岡県浜松市東伊場2-7-1
〒432-8036
静岡県浜松市東伊場2-7-2
86
0533 (59) 7146
053 (461) 2344
053 (461) 2121
053 (464) 2131
053 (456) 7322
54 (456) 7322
島上 祐樹
(技師)
原野 敏
(代表取締役社長)
太田 策司
(営業部商品開発課 課長)
江間 克弥
(営業・技術開発部 取締役部長)
藤田 晶子
(事業課 課長)
藤田 晶子
(事業課 課長)
<石川>
事
業
所
名
住
所
電話番号
担当者名
076 (221) 3436
出村達太郎
(社長)
2 (協)富山県ニット工業センター 富山県小矢部市福上396
0766 (68) 2508
米田孝志
(染色センター所長)
3 新日本テックス㈱
0767 (72) 3272
木村武司
(社長)
4 (協)富山県ニット工業センター 富山県小矢部市福上396
0766 (68) 2508
米田孝志
(染色センター所長)
5 (有)ファイブスプリングス
新潟県五泉市吉沢1-1-10
0250 (42) 2167
太刀川渉
(営業部長)
6 ㈱繊維リソースいしかわ
石川県金沢市鞍月2-20
076 (268) 8115
下倉正光
(情報部長)
7 ㈱レダム
新潟県見附市学校町2-7-9
0258 (61) 0980
栗原正治
(総務担当)
8 石川県工業試験場
石川県金沢市鞍月2-1
076 (267) 8083
山本孝
(繊維部主任研究員)
9 石川県工業試験場
石川県金沢市鞍月2-1
076 (267) 8083
山本孝
(繊維部主任研究員)
10 石川県工業試験場
石川県金沢市鞍月2-1
076 (267) 8083
山本孝
(繊維部主任研究員)
11 山越㈱
石川県河北郡高松町高松
076 (281) 8110
山中友希
(社長)
12 小松精練㈱
石川県能美郡根上町浜町ヌ167
0761 (55) 1111
宮本睦子
(商品企画室長)
13 福井県工業技術センター
福井県福井市川合鷲塚町61字北稲田10
0776 (55) 0664
吉田徳寧<のりやす>
(企画支援室室長)
14 ケイテーニット㈱
福井県勝山市旭町1-5-35
0779 (87) 1211
荒井孝
(社長)
㈱繊維リソースいしかわ
石川県金沢市鞍月2-20
076 (268) 8115
下倉正光
1 ㈱一ノ宮織物
石川県金沢市武蔵町3−1
石川県鹿島郡鹿西町能登部下
<国際>
事
業
所
名
住
所
〒173-0023
1 (株)松崎マトリクステクノ
東京都板橋区大山町38番5号
〒376-0011
2 群馬県繊維工業試験場
群馬県桐生市相生町5丁目46-1
〒130-0011
3 樋口繊維工業(株)
東京都墨田区石原1-2-10
〒130-0011
4 (株)小倉メリヤス製造所
東京都墨田区石原3-12-9
〒130-0023
5 テルタ(株)
東京都墨田区立川3-15-1
〒376-0011
6 群馬県繊維工業試験場
群馬県桐生市相生町5丁目46-1
〒373-0862
7 (株)イノウエ
群馬県太田市末広町567-8
〒403-0004
8 (株)前田源商店
山梨県富士吉田市下吉田1503-4
〒991-0053
9 佐藤繊維(株)
山形県寒河江市元町1丁目19-1
〒192-0002
10 (有)澤井織物工場
東京都八王子市高月町1181
〒193-0832東京都八王子市散田町1-5-3
11 八王子ファッション協議会 事務局
ニットプラン工業(株)内
〒130-0015
国際ファッションセンター㈱
東京都墨田区横網1-6-1
87
電話番号
03(3955)9321
0277(52)9950
03(3622)1211
03(3622)5082
03(3634)4611
0277(52)9950
0276(38)5731
0555(23)2231
0237(86)3136
0426(91)1032
担当者名
松崎則子
(取締役開発担当)
上石洋一
(加工技術グループ)
樋口哲雄
(代表取締役社長)
小倉和男
(代表取締役)
照田収三
(常務取締役)
上石洋一
(加工技術グループ)
井上隆
(代表取締役)
前田一郎
(取締役営業部長)
佐藤正樹
(専務取締役)
澤井伸
(専務取締役)
0426(61)1860
茂木伸浩
03(5610)5800
萬福有子
平成 14 年度
繊維産地シーズ調査研究分析事業報告書
平成 15 年 3 月
発行
〒105-8453
東京都港区虎ノ門 3-5-1 虎ノ門 37 森ビル
中小企業総合事業団 繊維ファッション情報センター
電 話 03-5470-1181
F A X 03-5470-1183
Fly UP