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PUSTEKLIM - 日本水フォーラム
インドネシアにおける水質汚濁・衛生問題 改善の取り組みと新たなパートナーシップ に期待すること 2013年10月31日 APEX 田中直 インドネシアの川・運河 コミュニティの衛生環境 インドネシアの水質汚濁にかかわる状況 ○下水道普及率:人口の2.13%(12都市)、約7000万人がオープン・トイレット (Pokja AMPL, 2010) ○都市部ではセプティック・タンク(腐敗槽、主にトイレ排水を処理)が普及し ているが、処理水の水質は不良で、地下水汚染をもたらしている。また、 セプティック・タンクは整備・保守が悪く、スラッジも河川に直接投棄され ている場合が多い。生活雑排水は多くが未処理放出。 ○2008年の調査では、インドネシアの主要河川の37地点(33河川)のうち、19地 点が重度の汚染、9地点が中程度から重度の汚染、5地点が中程度の汚染を 受けている(KNLH,2008) ○衛生環境が不良であることによる経済損失:63億ドル/年(2006年、1億2 千万件/年疾病、50,000人/年の乳幼児死亡、水質汚濁による水処理費 用増大、水産業被害等、WSP/World Bank, 2008) 政府のモニタリン グ能力の不足 適正な技術 の不足 水質汚濁 政府の統制管理 能力の不足 資金・人材の 不足 住民の環境保全 意識の不足 排水処理適正技術センター (PUSTEKLIM) インドネシア政府 JICA PUSTEKLIM 大学 YDD APEX 大学(日本) (インドネシア) 民間企業 (インドネシア) 民間企業 (日本) PUSTEKLIM (排水処理適正技術センター) インドネシアで一般的な処理プロセス 嫌気性処理 原水 処理水 (例:嫌気性バッフルリアクター) 電力消費ゼロ~少、処理水質不十分 先進国で一般的な処理プロセス 好気性処理 (例:活性汚泥法) 原水 処理水 後処理 前処理 電力消費大、処理水質良好 PUSTEKLIMで推奨するシステム 嫌気性処理 原水 好気性 処理 前処理 処理水 後処理 エネルギー消費少、処理水質良好 ヤシの繊維を用いた回転円板 立体格子状接触体回転円板 種々の好気性処理プロセスのBOD容積負荷 活性汚泥法 接触酸化法 コンパクト化 低コスト化 従来型回転円板 立体格子状接触体回転円板 0 0.5 1 1.5 2 [kgBOD/m3・day] 2.5 3 3.5 推奨システムの適用~実証例(1) 染色排水処理(ジョクジャカルタ) ※下の他、凝集処理も実施 嫌気性処理(嫌気性フィルター) 好気性処理(回転円板) 推奨システムの適用~実証例(2) 食品(豆腐)排水処理(クラテン県) ※UASB: Upflow Anaerobic Sludge Blanket(上昇流嫌気性汚泥床) 嫌気性処理(UASB) 好気性処理(回転円板) 推奨システムの適用~実証(3) 病院排水処理(パラカン県) ※実験・分析室排水は別に処理 嫌気性処理(嫌気性フィルター) 好気性処理(回転円板) 病院排水処理プラントの例 (ゲスティ・ワルヨ病院、パラカン県) 能力: 150 m3/day Anaerobic Filter Equalization Tank Influent Chlorine Effluent Sedimentation Tank RBC 1.2mφ×2.7m 原水/処理水のBODの推移 BOD(ppm) Trend of BOD Hospital(Parakan) 350 300 250 200 150 100 50 0 Influen Anae.IN Anae.OUT RBC OUT Efluen 103 110 117 124 131 138 145 159 167 171 Operation Day 初期投資額の比較 1400 ( 1 0 0 0 Y e n / k g B O D / d a y 1200 I n v e s t m e n t 1000 800 600 400 ) 200 0 Food(J) Laundry(J) Food(P) Hospital(P) Leather(P) 生活排水処理~衛生設備の選択 都 市 化 ・ 人 口 密 集 度 Decentralized SIMPLIFIED OFF SITE Treatment Centralized OFFTreatment SITE Treatment Treatment JOHKASOU etc SEPTIC TANK Improved Toilet 経済の発展度合い Source: 3rd World Water Forum インドネシア・ジョクジャカルタ市 クリチャック地区とウィノゴ川 クリチャック地区 クリチャック地区のプロフィール 住所 ジョクジャカルタ特別州ジョクジャカルタ市テガルレジョ郡 クリチャック地区クリチャック・キドゥルRW 8 RT34 面積 5,500 m2 人口 260 人 人口密度 473 人/ha 地域の状況 -ジョクジャカルタ市北西部のウィノゴ川沿いに位 置し、土地は川に向かって傾斜している。 -住民は概して低所得 -50%の家にトイレがなく、トイレのない家庭では川 で用を足している -井戸水の分析結果では、すべての井戸から大腸 菌が検出された。 住民参加型システムの形成 住民の手でつくられた衛生マップ クリチャック地区の排水処理設備レイアウト 排水処理施設設置場所: 元は鶏小屋であった Bak Sedimentasi/ Ekualisasi Tangki Sedimentasi 1150 Anaerobik Filter (1) 3,500 RBC 2200 Anaerobik Filter (2) 1000 1400 3,500 800 管渠工事 クリチャック地区のコミュニティ排水処理設備 回転円板 全 景 クリチャックにおけるCODのトレンド CODのトレンド(クリチャック地区) 2500 COD [ppm] 2000 1500 inlet sed.out anae. out RBC out 1000 500 0 33 40 47 55 61 76 Operation Days 82 89 96 105 排水処理設備建設費の比較 排水処理施設建設費の比較 30,000 25,000 建設費 [千円] 20,000 建設費(PUS) 建設費(日) 15,000 10,000 5,000 0 Kricak Sukunan(1unit) 協力:積水アクアシステム社 インドネシアにおける他のプラント(嫌気性処理)の 建設費との比較 1,200 1,000 1000 Rp./Jiwa 800 PUSTEKLIM perpipaan 600 IPAL Total 400 200 0 Kricak Sukunan Blitar Sleman Tabanan コミュニティ排水処理システムの広域的普及促進活動 テガール市、プカロンガン市、スラカルタ市、タバナン県等の各都市域にモ デルシステムを設置しつつ、それを足場に広域的普及をはかっている。 テガール プカロンガン ジャカルタ スマ ラン スラバヤ タバナン バンドゥン デンパ サール ジョクジャカルタ スラカルタ (ソロ) (JICA草の根技術協力事業パートナー型(2011.10~2015.9) ランドゥンサリ(プカロンガン市) パスカン・ベロダン(タバナン県) カラングワル(ジョクジャカルタ市) スレロック(テガール市) 衛生不良による経済損失(1) 7000 6000 106 US$ 5000 4000 3000 2000 1000 0 インドネシア フィリピン ベトナム カンボジア ラオス WSP 2008 衛生不良による経済損失(2) 60000 50000 106 US$ 40000 30000 20000 10000 0 インド インドネシア バングラデシュ WSP 2008 新たなパートナーシップ に期待すること 現地に適合的な技術への理解 現地の住民・市民・経営者・政策担当者等の 立場の尊重 NGOの立場の尊重と理解 新たなパートナーシップ に期待すること(2) 現地に適合的 な技術の開発 企業 生産体制・営業・保守体 制の構築と運営 NGO 現地側住民等のファシリ テート 現地NGO、政府との連携