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IQ制度導入3年目の南蛮エビ単価の動向

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IQ制度導入3年目の南蛮エビ単価の動向
資料4
IQ制度導入3年目の南蛮エビ単価の動向
1
調査の目的
IQ制度導入3年目(2015年)のデータを用いて,南蛮エビの単価の動向と,
沖合底曳とえびかご漁業との出荷競合に与える影響をまとめる.
(1)新潟市場における佐渡荷及び沖底荷の出荷量と単価の関係について
・図1-1: 南蛮エビ大銘柄単価の散布図
・表1-2: IQ制度導入前後の平均単価
・図1-3: IQ制度導入前後の平均単価のグラフ
2
図1-1: 南蛮エビ大銘柄の需要散布図(H27, 年間)
平均単価(円)
30,000
25,000
20,000
15,000
y = -11.763x + 10460
R² = 0.0255
10,000
5,000
y = -19.69x + 10648
R² = 0.2898
0
0
50
100
150
佐渡荷
200
250
線形 (佐渡荷)
沖底
300
350
線形 (沖底)
400
出荷量(kg)
3
表1-2: IQ制度導入前後の平均単価
IQ導入前
(2010年度)
IQ導入後
佐渡荷
沖底
(2013年)
IQ導入後
佐渡荷
沖底
(2014年)
IQ導入後
佐渡荷
沖底
(2015年)
佐渡荷
沖底
平均
6,711
7,866 平均
7,471
7,428 平均
7,658
9,106 平均
7,930
標準偏差
4,656
2,549 標準偏差
3,556
2,200 標準偏差
3,341
2,585 標準偏差
3,210
9,800
3,189
最大値
43,500
25,500 最大値
26,333
14,850 最大値
24,250
20,150 最大値
30,000
23,000
最小値
2,567
4,800 最小値
2,800
4,400 最小値
3,633
5,750 最小値
3,300
4,350
図1-3: IQ導入前後の佐渡荷・沖底平均単価
10,000
9,800
9,500
9,106
9,000
8,500
8,000
7,866
7,930
7,428
7,500
7,658
7,471
7,000
6,711
6,500
IQ導入前(2010年度)
IQ導入1年目(2013年)
佐渡荷平均
IQ導入2年目(2014年)
沖底平均
IQ導入3年目(2015年)
4
比較結果の要約
・ 大銘柄はIQ導入後に平均単価が上昇している
・ 佐渡荷の平均単価は,IQ導入前6,711円/箱→IQ導入後7,930円/箱に,1,219円/箱上昇
・ 沖底の平均単価も,IQ導入前7,866円/箱→IQ導入後9,800円/箱に,1,934円/箱上昇
→ 前回の推測では,平均単価の上昇がみられる理由の一つとして,
IQ制度導入により,単価の高い夏季操業が可能になったことを挙げた.
また夏季操業等に伴い,佐渡荷と沖底との競合が回避されたことで,
沖底の平均単価も上昇したと,前回推測した.
→ しかし,IQ制度を導入していない,沖底の単価上昇が著しい.
IQ制度の導入とは別に,市場の需要要因に単価上昇が影響されている可能性がある.
例えば,南蛮エビの認知度の向上や,経済状況の改善に伴う需要の増大が考えられる.
(日本の実質経済成長率は,2013年1.36 %, 2014年-0.03 %, 2015年0.47 %)
(2015年は,名目GDP成長率もプラスで推移している.)
従って,単価上昇の原因をIQ制度導入に特定するのは難しい.
5
(2)IQ導入後の佐渡荷と沖底の競合状態について
・ IQ導入3年目の佐渡荷と沖底の競合状態を調査する.
図2-1: IQ導入3年目の競合vs非競合の佐渡荷比較
図2-2: IQ導入3年目の競合vs非競合の沖底比較
表2-3: IQ導入前後の佐渡荷の競合vs非競合の平均単価
図2-4:佐渡荷の競合vs非競合の平均単価のグラフ
表2-5: IQ導入前後の沖底の競合vs非競合の平均単価
図2-6: 沖底の競合vs非競合の平均単価のグラフ
6
図2-1: IQ導入3年目の佐渡荷の競合vs非競合比較
佐渡荷 沖底と競合vs競合しない(H27,年間)
平均単価(円/箱)
30,000
25,000
20,000
15,000
10,000
y = -10.109x + 8158.7
5,000
y = -27.473x + 12504
0
出荷量(kg)
0
50
100
佐渡荷 沖底と競合
150
200
佐渡 沖底と競合しない
250
線形 (佐渡荷 沖底と競合)
300
350
400
線形 (佐渡 沖底と競合しない)
7
図2-2: IQ導入3年目の沖底の競合vs非競合比較
沖底 佐渡荷と競合vs競合しない(H27,年間)
平均単価(円/箱)
25000
23000
21000
19000
17000
15000
13000
11000
9000
y = -25.147x + 10973
R² = 0.1481
7000
5000
出荷量(kg)
0
50
沖底 佐渡荷と競合
100
150
沖底 佐渡荷と競合しない
200
250
300
線形 (沖底 佐渡荷と競合)
8
表2-3: IQ導入前後の佐渡荷の競合vs非競合の平均単価
IQ導入前
(2010年度)
IQ導入後
競合
非競合
4,650
平均
(2013年)
8,924 平均
IQ導入後
競合
非競合
5,673
(2014年)
IQ導入後
競合
8,891 平均
非競合
6,558
(2015年)
競合
8,596 平均
6,633
非競合
8,891
図2-4:佐渡荷の競合vs非競合の平均単価のグラフ
佐渡荷の競合・非競合の平均単価
9,000
8,891
8,924
8,500
8,891
8,596
8,000
7,500
7,000
6,633
6,500
6,558
6,000
5,500
5,673
5,000
4,500
4,650
4,000
IQ導入1年目(2013年)
IQ導入前(2010年度)
IQ導入2年目(2014年)
競合
IQ導入3年目(2015年)
非競合
9
表2-5: IQ導入前後の沖底の競合vs非競合の平均単価
IQ導入前
(2010年度)
平均
IQ導入後
競合
非競合
7,839
(2013年)
8,410 平均
IQ導入後
競合
非競合
7,448
(2014年)
IQ導入後
競合
6,475 平均
非競合
9,067
(2015年)
10,417 平均
競合
9,602
非競合
16,333
図2-6: 沖底の競合vs非競合の平均単価のグラフ
沖底の競合・非競合の平均単価
16,333
16,000
14,000
12,000
10,417
10,000
9,602
8,410
8,000
9,067
7,448
7,839
6,475
6,000
IQ導入前(2010年度)
IQ導入1年目(2013年)
IQ導入2年目(2014年)
競合
IQ導入3年目(2015年)
非競合
10
比較結果の要約
・ 競合を回避することにより,佐渡荷の平均単価は高くなる.
→ IQ導入により,競合を回避することで,単価を向上させ易くなるとは言える.
・ 一方で,佐渡荷については,IQ導入前後で非競合時の平均単価は変化していない.
→ IQ導入自体が,非競合時の平均単価に影響することはない.
・佐渡荷については,競合時の平均単価は若干上昇している.
・ 反対に,沖底の非競合時の平均単価は,IQ導入1年目は下落したものの,
その後大幅に上昇している.
→ 但し,2015年に,佐渡荷が操業せず沖底のみが創業したのは3日のみで,
サンプルサイズが少なすぎて,明確なことは何も言えない.
沖底のみが操業した3日は,2015/9/3(木), 2015/9/14(月), 2015/10/10 (土)で,
それぞれ単価が,10,000円/箱,16,000円/箱, 23,000円/箱である.
10/10は3連休の初日で,沖底はその年最高値を付けており,
特殊事情を念頭に置く必要がある.
11
(3)IQ導入3年目の佐渡荷の月別単価について
・ IQ導入3年目の佐渡荷の月別単価は,以下の通りである.
図3-1: 上半期の競合vs非競合の佐渡荷単価
図3-2: 下半期の競合vs非競合の佐渡荷単価
12
図3-1: 上半期の競合vs非競合の佐渡荷単価
H27,1月
平均単価(円/
箱)
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
沖底出荷
沖底なし
H27,2月
平均単価(円/
箱)
25,000
H27,3月
沖底出荷
平均単価(円/
箱)
沖底なし
35,000
沖底出荷
沖底なし
30,000
20,000
25,000
15,000
20,000
10,000
15,000
10,000
5,000
5,000
0
0
50
100
150
200
250
0
300
0
50
100
150
200
出荷量(kg)
H27,4月
平均単価(円/
箱)
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
0
50
沖底出荷
沖底なし
100
150
200
250
250
300
350
0
50
100
150
出荷量(kg)
300
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
350
400
H27,5月
平均単価(円/
箱)
0
50
100
150
200
沖底出荷
350
H27,6月
平均単価(円/箱)
沖底なし
250
300
出荷量(kg)
出荷量(kg)
200
出荷量(kg)
沖底出荷
沖底なし
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
400
0
50
100
150
200
250
300
350
出荷量(kg)
13
図3-2: 下半期の競合vs非競合の佐渡荷単価
H27,7月
平均単価(円/
箱)
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
0
平均単価(円/
箱)
沖底なし
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
50
100
H27,8月
沖底出荷
150
200
250
0
50
100
150
H27,10月
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
0
50
100
150
200
200
250
0
300
H27,9月
平均単価(円/
箱)
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
20
40
60
沖底出荷
沖底なし
80
100
出荷量(kg)
出荷量(kg)
平均単価(円/箱)
沖底なし
H27,11月
沖底出荷
平均単価(円/
箱)
沖底なし
250
出荷量(kg)
300
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
0
50
150
200
H27,12月
沖底出荷
平均単価(円/
箱)
沖底なし
20,000
18,000
16,000
14,000
12,000
10,000
8,000
6,000
4,000
2,000
0
100
120
140
出荷量(kg)
250
出荷量(kg)
300
0
50
100
150
沖底出荷
沖底なし
200
250
300
出荷量(kg)
14
結果の要約
・ 2015年より,8月後半も出漁しているが,出漁日数が増加したためか,
8月の単価は,昨年と比べて低い傾向がみられる.
・ また需要が増加する1月,2月,12月と比べても低い結果となっている.
・ 同様に,7月も沖底との競合がほとんどないにもかかわらず,出漁に数が多いせいか,
単価が低めである.
・ それ以外の月では,非競合時の平均単価が競合時よりも高くなる傾向が見てとれる.
→ 7月にやや単価が下がる傾向は例年みられる.また8月は後半も出漁したにもかかわらず,
単価が高くなっていない点については,どう対応するか今後の検討課題と思われる.
15
まとめ
(1)新潟市場における佐渡荷及び沖底荷の出荷量と単価の関係について
・ 大銘柄はIQ導入後に平均単価が上昇している
→ しかし,IQ制度を導入していない沖底の単価上昇が著しいので,
IQ制度の導入とは別に,市場の需要要因に単価上昇が影響されている可能性がある
(2)IQ導入後の佐渡荷と沖底の競合状態について
・ 競合を回避することにより,佐渡荷の平均単価は高くなる
・ IQ導入前後で非競合時の平均単価は変化していない
(3)IQ導入3年目の佐渡荷の月別単価について
・ 7月と8月の単価は,昨年と比べて低い傾向がみられる
→ 単価の維持・向上策は,今後の検討課題
16
資料5
えびかご漁業者の経営
単位:千円
項目
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
62,546
64,476
49,109
57,105
49,128
49,804
55,675
62,699
64,291
58,309
59,352
燃料費
4,756
4,726
3,233
3,656
3,626
3,512
4,084
4,604
3,985
4,093
4,034
餌代
3,613
3,760
2,878
3,504
3,929
3,569
4,743
5,636
6,534
3,439
5,403
715
690
530
588
580
555
649
777
783
631
709
3,079
3,012
2,325
2,644
2,491
2,284
2,669
2,891
2,938
2,765
2,744
1,957
2,365
1,453
1,709
1,702
1,563
1,765
1,933
1,922
1,871
1,821
5,086
4,954
3,768
4,514
3,186
3,432
4,174
4,753
4,975
4,581
4,462
27,640
27,373
25,452
26,003
25,334
24,055
24,231
25,106
25,816
26,617
25,005
租税公課
1,093
1,549
2,002
1,442
1,444
1,612
1,083
2,141
3,192
1,522
2,244
冷凍保管料
1,111
991
944
859
822
615
603
662
686
976
650
3,438
2,443
1,763
2,743
1,380
1,316
1,365
1,902
1,878
2,597
1,668
2,293
1,924
1,649
2,068
2,183
2,446
2,234
2,374
1,784
1,984
2,124
2,195
2,190
2,321
2,330
2,238
2,143
2,150
2,007
1,893
2,259
2,017
減価償却費
6,104
7,592
6,355
6,432
5,841
4,259
3,668
3,833
2,813
6,621
3,477
その他
3,250
2,876
3,065
3,756
2,878
2,875
2,912
2,816
1,974
3,237
2,510
変動費
19,206
19,507
14,187
16,615
15,514
14,915
18,084
20,594
21,137
17,380
19,173
固定費
47,124
46,938
43,551
45,633
42,120
39,321
38,246
40,841
40,036
45,813
39,695
経費計
66,330
66,445
57,738
62,248
57,634
54,236
56,330
61,435
61,173
63,193
58,868
漁業所得
-3,784
-1,969
-8,629
-5,143
-8,506
-4,432
-655
1,264
3,118
-4,884
484
その他収入
6,097
8,433
7,572
6,132
5,874
5,255
2,807
2,272
684
7,059
3,445
漁家所得
2,313
6,464
-1,057
989
-2,632
823
2,152
3,536
3,802
2,175
3,929
水揚額
変
氷代
動
費 箱代
輸送費
販売手数料
人件費
固
修繕費
定
費 消耗品費
損害保険料
※ 暦年で集計
H19~22
H24~27
1
漁業所得の推移
2
経費(固定費)の推移
モデル事業開始(H23.9)
10
30
修繕費
(
修 8
繕
費
百 ・ 6
万 減
円 価
償
4
却
費
28
人件費
人
件
26 費
(
減価償却費
)
百
万
24
円
)
2
22
0
20
H19
H20
H21
H22
H23
H24
H25
H26
H27
3
資料6
海洋生物資源の保存及び管理に関する法律(TAC 法)
に基づく漁獲管理(例)
●漁獲量を管理する魚種等の指定(第五条)
1. 条例で海域と漁獲限度量を管理する水産生物資源(魚種)を指定
(例) 海
域:「山形県と新潟県との境から新潟県と富山県の境に至る地
先海面」と「佐渡市の地先海面」
水産生物資源:ホッコクアカエビ
2. 海区委員会の意見を聴き、農林水産大臣の承認を受けて、県計画を策定
<県計画の内容>
(1) ホッコクアカエビ資源の動向
(2) ホッコクアカエビ資源の県漁獲限度量(TAC 量)
採捕の種類別、海域別、期間別の数量を定めることが可能
(3) 実施すべき施策
●漁獲量の個別割当て(第十一条)
1. 県計画に基づき採捕を行う者別に、漁獲量の限度を割当てることができる。
2. 割当てを行うときは、次の事項を勘案し、海区委員会の意見を聴いて基準を
定める。
(1) 使用する船舶の隻数または総トン数
(2) 採捕する者の採捕の状況
●漁獲限度量を超過した場合の対応
1. 県、海域毎の漁獲限度量
(第十条)
・ 知事は、漁獲限度量を超え、もしくは超えそうなときは、県の規則で期
間を定めて、採捕を行う者に対し採捕の停止その他必要な命令をすること
ができる。
(第二十三条)
・ 第十条の命令に違反した者は、3 年以下の懲役もしくは 200 万円以下の
罰金に処する。
2. 個別に割当てた漁獲量の限度
(第十一条)
・ 割り当てを受けた者は、その量を超えて採捕してはならない。
(第二十二条)
・ 第十一条の規定に違反した者は、3 年以下の懲役もしくは 200 万円以下
の罰金に処する。
新潟県ホッコクアカエビ資源の保存及び管理に関する計画(素案)
1 ホッコクアカエビ資源の動向に関する事項
(1)佐渡前浜海域
佐渡前浜海域を漁場とする赤泊地区えびかご漁業の漁獲量は、1991年に15トンの
最低値を示して以降、2008年には119トンまで増加した。2011年からは減少傾向に
転じたものの、高水準の漁獲量を維持しており資源状態は良好であると考えられる。
(2)県北部海域
県北部海域を漁場としている新潟地区の沖合底びき網漁業の漁獲量は、1997年に
39トンの最低値を示して以降、2008年以降には150トン以上に漁獲量が増加してい
るものの、2015年漁期後半の漁獲量が低調であり資源の減少が懸念される。
また県境付近の海域においては、底びき網漁業で山形県の漁業者と入会操業して
おり、資源を管理するうえで留意する必要がある。
(3)県南部海域
県南部海域を漁場とする糸魚川地区の小型底びき網漁業の漁獲量は、1991年に29
トンの最低値を示してから増加傾向であったが、2008年から漁獲量が減少している
が、漁業者数の減少によって曳網回数が減っていることに留意する必要がある。CP
UEついては近年増加している。
能生地区についても2008年に80トンだった漁獲量が2009年に51トンとなり、以降
40~50トンを推移している。
2 ホッコクアカエビ資源の県漁獲限度量に関する事項
ホッコクアカエビ資源の平成27年の管理の対象となる期間及び知事管理量は
次表のとおりである。
管理の対象となる期間
知事管理量
平成27年9月から平成28年8月
トン
ホッコクアカエビ資源の平成28年の管理の対象となる期間及び知事管理量は
次表のとおりである。
管理の対象となる期間
知事管理量
平成28年9月から平成29年8月
トン
3 ホッコクアカエビ資源の県漁獲限度量について、海域別に定める数量に関する事項
ホッコクアカエビ資源について、知事管理量を海域別に定める。
海域名
海域
佐渡前浜海域
佐渡市城ヶ鼻と新潟市信濃川河口を結んだ線および佐渡市
沢崎鼻と上越市関川河口を結んだ線で囲われた佐渡海峡内
のえびかご漁場
新潟北部海域
佐渡市城ヶ鼻と新潟市信濃川河口を結んだ線から北方の海
域
新潟西方海域
佐渡市沢崎鼻と上越市関川河口を結んだ線から西方の海域
海域別に定めるホッコクアカエビ資源の漁獲限度量は次表のとおりとする。
なお、採捕の種類別及び期間別の数量は定めない。
数
量
海域名
平成27年
平成28年
佐渡前浜海域
114.7トン
トン
新潟北部海域
トン
トン
新潟西方海域
トン
トン
4
ホッコクアカエビ資源の県漁獲限度量に関し実施すべき施策に関する事項
【佐渡前浜海域】
えびかご漁業について、前項で定めた海域別の漁獲限度量を、別に定める基準に従
い、ホッコクアカエビの採補を行うえびかご漁業者に船毎に割当てる。また、かご漁
具の網目を拡大し大型個体の選択的な漁獲に努めつつ、操業期間の制限を緩和して周
年とするとともに、当該海域で採補を行うえびかご漁業者の数を限定し安定的な漁家
経営を目指す。漁具の数については現状どおりとする。(別紙)
当該海域でえびかご漁業を除いてホッコクアカエビを目的に操業している漁業はな
い。
【その他の海域】
現状の漁獲努力量を増加させることがないよう許可隻数については現状どおりとし
て、従来の漁業規制と同様の規制に基づいて行うこととする。
ほっこくあかえびを漁獲する漁業
えびかご、ばいかご、小型底びき網(かけまわし、板びき)、ごち網、刺し網、そ
の他
【別紙】
氏 名
船 名
トン数
禁漁期間
操業区域
総かご数
網の目合
漁獲量の限度の
個別割り当て
寺尾 悟
第十二音屋丸
14
なし
佐渡前浜海域 2,100個以内
10節
29.6 トン
寺尾 和弥
第十二弥吉丸
14
なし
佐渡前浜海域 2,100個以内
10節
33.8 トン
有限会社 中川漁業
第五星丸
19
なし
佐渡前浜海域 2,250個以内
10節
38.8 トン
備考
参考資料1
ノルウェー小型エビ漁業に関する協議
東京財団
上席研究員
小松正之
2016 年 7 月 2 日
2016 年 6 月 29 日ノルウェー・Lyngen のエビ加工業者とノルウェー生鮮魚漁業協同組
合との意見交換(Bjorg Olsen LygenrekerAS 社会長、Karin Olsen LygenrekerAS 社社長、
Svein Ovein Haugland 生鮮魚漁業協同組合次長 Tor-Edgar Ripman 生鮮魚漁業協同組
合・マーケット課長と小松が会合。
)
1. Lygenreker AS 社訪問
Lygenreker AS 社はトロムソ市から北東約 70 キロ程度のフィヨルド沿いの寒村
Lenangsoyra に所在する。其処に行くには、途中約 20 分間 Brevikeidet と Svensby の間
のフィヨルドを渡るフェリーの乗船を含め案内が必要で、2 人の生鮮魚漁業協同組合の専
門家 2 人から好意的に運転し同行する栄誉を提供していただいた。
2.ノルウェーのエビ漁業
ノルウェーのエビ漁業は大型船によるものと小型漁船によるものがある。ノルウェー北
部でおこなわれるエビ漁業には大型と小型とも TAC が設定されていない。ましてや IVQ
の設定もない。南部ベルゲンなどで行われるエビ漁業は TAC の IVQ も設定されている。
北部沿岸に基地を置くエビ漁業は小型トロール漁船 20 隻が操業している。これらは全
長 10 メートル程度の漁船であり主としてトロムソ付近を中心としたフィヨルド内で操業
している。基本的には周年操業する。エビの漁業者はマダラなど IVQ を保持していない場
合が多いので、他の漁業に就業できない。北部沿岸域には南部から小型のエビトロール漁
船が 6 隻入域する。これらの漁船は小型とは言っても、北部の従来型の漁船よりははるか
に大きい 20 メートル程度あり、漁獲能力も大きい。
一方大型船は 3 隻(用確認 4 隻だったかもしれない)のトロール船で船上加工する。操
業場はスバルバール(スピッツベルゲン)島の北部と西部およびロシア国境のスムットー
フレット海域である。製品は主出向けである。
3.漁獲量の情況
現在の漁獲量は大型漁船で最近 10 年では 8200 トンから 28000 トンで、2015 年では
16275 トンであった。本年の漁獲予想もほぼ前年並みである。小型漁船の漁獲量は 4900
トンから 8400 トンである。2015 年は 6932 トンで、本年は、漁獲が思わしくない。その
理由として、南部海域から、北上操業している小型漁船の漁獲量が近年増大し、これが資
源の悪化につながっている可能性があること。また、本年は、原因不明のクラゲが発生し
ている。この影響でトロール網にクラゲが入りすぎて漁獲の妨げになっている。
(コマツよ
り原因は何か、日本近海の場合、中國海域で発生したものが北上して大型化するが、クラ
ゲや汚染物質である人口の化学物質を体内に取り込む性質がある。中国の海洋汚染ととも
にクラゲが発生したが、フィヨルド内はどうかと聞くと、フィヨルドは全くきれいである
が、サケの養殖の化学物質がフィヨルド内で影響しているかもしれないと述べた。
4.エビ漁業を取り巻く問題と課題
①国際海洋開発機構(ICES)からは、北部海域のエビの TAC を 70,000 トンに設定する
ように勧告はされているが、現在まで、TAC は設定されていない。主要な理由はロシア
と TAC を共有することが嫌なためである。ロシアが遵守するとも思えない。またこの
エビ漁業はフェロー諸島やアイスランドとも資源を共有する国際資源であることも事態
を難しくしている。
②エビ漁業のうち小型漁船による操業については、規制がないために最近、南部の海域か
ら比較的大型漁船でやってきて、大量に漁獲する。このため資源の状態が懸念され、将
来の見通しも立ちにくいので TAC や IVQ の導入が必要ではないかと思う。この点は新
潟の IQ の経験に学びたいとも思う。また、そのさいにトロール漁法は環境に良くない
との考えがあり、新潟の例に学びかご漁業を導入する試みもしたい。北部の沿岸地域で
かご漁法を実験をしているとも聞いている。
2016 年に入り漁獲が良くない。資源の悪化とクラゲの網入りが、原因ではないか。そ
れでも加工業は、漁業者に漁獲物を向上に持ってきてもらうために、最低価格を上回る
価格を支払っている。
また、マダラの小型魚の漁獲を避けるために禁漁区の設定などの規制も設けている。
漁獲証明書を最近では添付している。
③カゴ漁業の導入等に合わせ、鮮度の良い海老を生鮮で出荷して付加価値を揚げたいと思
う。現在もトロールで漁獲したものを生で販売する試みをしているが、マーケットがな
いと成功しづらい。見通しもたたない.また、この地域は交通が不便であり、輸送が問
題となる。トロール漁業の漁業者には、かごを導入することに対しての抵抗は或る。
先方より日本では、どれほどかと聞いたので、キロ 1700 円程度で、高い時には 3000
円程度までにある。これは、生鮮で活魚ではない。また、市場は東京ではなく、新潟で
あり、そこまで運搬するのに、フェリーを使う不便と不利が付いて回る。殻付きのエビ
は 2015 年では 71.49 クローネであった。(約 800 円・キロ)
④いずれにせよ、小型漁船のエビ漁業はこのままでいいわけはなく、TAC と IVQ のど乳
など将来に対策を取る必要があるが、その点でも IQ を導入した新潟の例から学べない
かとも思う。ノルウェー政府にとっては、このエビ漁業はマタラ漁業、ニシンとマサバ
の巻き網漁業に比べて小規模であり、政府の関心が向いていないと思われる。先ほどの
クラゲの対応にしても、科学的な原因と対策の解明を期待できない。本件の資源管理も
あまり期待できない。本漁業と加工場は、当地方では、最大の企業であり、経済的な貢
献からも重要である。そのためにも持続的な漁業の確立が必要である。
当 Leygenreker 社は、現会長の祖父に時代 1910 年代に設立された。長い歴史を誇り
漁業と地域に貢献してきた。現在 19 名の工員を雇っている。現在は夏休みなので 2 人
の若い女性がアルバイトで働いているが、普段は全員が年配の地元の出身者である。一
人地元民と結婚したタイ人女性がいるが地元民と同じだ。
エビのむき身の作業員である。
剥き作業は機械で行うこともできるが、そうすると、切込みが深く雑になり、商品価値
が大きく低下する。Lygenfjord のブランドは手向きに海老として有名であり高く評価さ
れている。勿論、機械のためのラインもある。
5.エビ資源・漁業と大西洋サケの養殖
エビ資源と漁業を考えるうえで重要なものは大西洋サケの養殖である。養殖のサケのイ
スケープ(生簀からの逃避)が天然のサケと高配し遺伝子のかく乱を起し、また、海ジラ
ミの繁殖により、天然の大西洋サケの資源に影響を与えている。また、シラミの防除用に
大量の化学薬品を使用しており、それがフィヨルド内に流れて、エビの資源・漁業資源に
悪影響を及ぼしている。このことがしっかり解明されない限り、サケの養殖業の拡大には
賛成をしかねる。これから、政府は、新規許可の80%を地方の為に使用できると言って
いるが、これが地方にとって重要な漁業の資源調査や環境影響調査などにも使用してほし
い。
2016.4.24
G7新潟農業大臣会合宣言(仮訳)
-世界とともに新しい時代を切り拓く-
(前文)
我々G7農業大臣は、世界の食料安全保障と栄養の更なる強化について、持続
可能な農業政策の観点から議論するため、2016 年4月 23 日及び 24 日、日本有数
の稲作地帯であり豊かな農村景観を有する新潟に集った。
2009 年のイタリアでの第1回G8農業大臣会合以降、我々は食料安全保障を国
際的課題の中で核心に位置づけることに成功した。
我々は、特に急速な都市化が進む現代において、世界の食料安全保障のために
農業分野が重要な役割を果たすことを認識する。我々は、我々の農業分野におけ
る新たな課題に対処するため、我々の行動が同様の課題に直面する他の国々の役
に立つとの期待の下、新潟の地に集った。
我々は三つの新たな課題を特定した。第一に、先進国では農業者の平均年齢が
上昇しており、新たに参入する若い農業者の不足と合わせ、将来の農業生産にと
って重要な課題となっている。農業者が地域活性化の主な担い手である地域では、
共用水路の維持、景観の保全、あるいは防災活動などのコミュニティに基づく活
動が崩壊の危機に陥っている。第二に、世界の人口増加、急速な都市化及び食の
嗜好の多様化による、安全で栄養価が高く多様な食料に対する需要の増加が、食
料供給への負荷となっており、また、そのことが都市部と農村の協働の必要性を
強調している。第三に、気候変動による異常気象が、天然資源や農業システムに
対する新たな圧力となっている。
我々は、2015 年に採択された「持続可能な開発のための 2030 アジェンダ」や
気候変動に関する「パリ協定」の実施を含め、これらの課題に対して行動を起こ
す必要がある。我々は、これらの経済、人口及び環境に関する新しい時代の課題
に直面する農業者を支援すべきである。我々はまた、将来世代のために、生物多
様性及び固有の景観の保全を含め、持続可能な農業・農村の多様な機能や、2016
年のベルリン農業大臣サミットのコミュニケで特定された都市と農村の連携を
認識し、またそれらの発揮を促すべきである。我々は、G7が、農業活動と非農
業活動の両方を支援する取組と優良事例やモデルを開発する取組によってこれ
らの課題を克服するための明確な役割を担うと信じている。この観点から、我々
は、農業のあらゆる可能性を拡げる取組と農村コミュニティの活性化、持続可能
な農業生産・生産性と食料供給能力の改善、そして農林水産業の持続可能性への
支援を行うことにコミットする。これらの課題に対処し、我々が決断した行動を
実行に移すにあたっては、G7間の国際貿易に関するコミットメントと調和した
形で行う。
1
2016.4.24
I. 農村地域の活性化と農業者所得の向上
我々は、農業のあらゆる可能性を拡げる取組と、農村コミュニティの活性化に
コミットする。我々は、力強い農業を促進し、農村コミュニティにおける適切な
サービス及びインフラを維持・強化する。我々は、以下の取組によりその実現を
目指す。
1.農業者への支援
意欲的で技術を有する先進的な農業者は、農業分野の成長のために不可欠であ
る。情報通信技術の活用、精密農業及び農業イノベーションを促進し、また自発
的かつ相互に合意可能な条件下での知識の移転、移転された知識の現場への適用
及び職業訓練を推進することにより、農業者の能力や技術の向上を支援する。ま
た、農業及び食品分野への意欲ある新規参入者を後押しするとともに、新規参入
者が成功できるビジネスモデルを特定する。
2.女性・若者の農業分野における可能性の拡大
農業及びフードシステムにおける、ジェンダー平等、女性の社会的地位の向上、
若者の参加奨励は、農村地域を変革し、あまねく拡がる発展を促す。女性・若者
の生活や収入を改善するため、農地の所有、農業経営、マーケティング及びその
他農業・食料産業関連活動における女性・若者の活躍を強化し、土地その他の資
産への平等なアクセスの改善を推進する。我々は、これらの目的や 2030 アジェ
ンダのジェンダー平等に関する目標を支持し、女性・若者の農業及びフードシス
テムにおける活躍推進のための施策に関する課題や成功事例を共有する国際フ
ォーラムを開催する。
3.フードバリューチェーン(FVC)への農業者の参加拡大
食品加工、流通、サービス分野を結合するFVCへの農業者の参加奨励のみな
らず、FVCにおける局所的、地域的、国際的な連結の構築及び促進により、農
業及び農村の所得向上が期待される。FVCにおける付加価値の農業者及び農村
地域への分配に貢献しうる農業者組織や協同組合によるものを含め、農業者が農
産物の付加価値を最大化することを支援する。我々は、FAOとOECDそれぞ
れが行うFVC及び国際的な連結に関する作業を歓迎するとともに、ERIAに
対し、農産物の高付加価値化を支援するための調査の実施を求める。
4.FVCのためのグローバルな責任ある投資と貿易
農業・食料に関するグローバルな責任ある投資は、とりわけ発展途上国におい
て、FVCの価値を向上させるために非常に重要である。我々は、農業者、食品
加工業者、小売業者がこうした投資から利益を受けることの重要性の認識を共有
する。我々は、国際的に認知された労働、社会及び環境に関する基準、原則、及
びコミットメントの実施、特に世界的に合意された「農業及びフードシステムに
2
2016.4.24
おける責任ある投資のための原則(CFS-RAI)」のさらなる活用を探求す
る。我々は、最近採択された「責任ある農業サプライチェーンのためのOECD
-FAOガイダンス」を歓迎し、企業がそれを遵守することを奨励する。我々は
また、2015 年6月の食料安全保障及び栄養に関するニューアライアンスの指導者
会議で提示された「土地に基づく責任ある農業投資に関するニューアライアンス
の分析枠組」を歓迎する。我々は、フードチェーン全体における農業の役割強化
に向けてFVCにおける農業の役割を改善するための、農業者や農村地域の企業
の資金需要に応じた適切な金融手段を開発することの重要性と、自発的かつ相互
に合意可能な形での知識移転の重要性について認識する。我々は、持続可能なF
VCを育成し、優良事例を奨励するための、政府とビジネスとの共同の責任を認
識する。我々は、全ての関連するステークホルダーを包摂的に集め、基準となる
優良事例を提示し、特に開発途上国における資金へのアクセスや農業及び農業ビ
ジネスにおける責任ある農業投資の促進に関する政策経験を交換するため、農
業・食料産業分野の投資に関するG7フォーラムを開催する。途上国における農
業・食料産業分野での雇用創出を可能にする環境、また同分野のあまねく拡がる
成長は、農村地域からの人口流出や不規則な移民の原因を緩和しうる。透明性が
あり機能的な市場を通じ、WTOコミットメントに沿った農産物・食品貿易もま
た、FVCの世界規模での促進及び農村地域の生産者への新たな機会の提供に資
する。また、貿易は食料価格の不安定性の減少に貢献し得る。
5.農村地域における資産の最適かつ持続可能な活用
持続可能な農業生産の増大及び食品産業分野の付加価値の向上は、農村地域の
資産の利用手段の確保及び効率的な利用なしには達成されない。例えば土地、土
壌、水などの天然資源の持続可能な利用は、成果の高い農業活動を行う上で欠か
せない基盤である。我々は、農村コミュニティの景観や独特の食文化を高く評価
する。我々は、我々個々の国家経済にとっての農村地域と農村コミュニティの重
要性を認識し、農村地域の農業者と非農業者の両方の所得向上に繋がる、農業生
産にとどまらない活動の多様化を推進する。我々は、VGGTに沿った合法かつ
確実な土地の所有権を保障しながら、土地、土壌、水の効率的、持続可能かつ機
能的な管理と利用のための政策を追求する。
II. 持続可能な農業生産、生産性及び食料供給力の改善
我々は、世界の消費者需要の一層の多様化及び農業者の高齢化や気候変動等の
生産サイドの課題に対応し、世界の食料安全保障及び栄養に資するため、持続可
能な形での農業生産及び生産性の改善にコミットする。我々は、以下の取組によ
りその実現を目指す。
6.研究開発と技術開発の推進
持続可能性に関する課題や人々の生活の質の改善に取り組みつつ、将来の食料
ニーズを満たすためには、研究開発、農業技術、イノベーション、ノウハウ、技
3
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術、そしてそれらの自発的かつ相互に受入可能な形での農業者への普及のための
戦略と投資が必要である。国際的な農業研究課題には、学問横断的かつ実用指向
である必要が一層増している。新しい機械・装置の現場への適用は、ブロードバ
ンド通信、情報通信技術、ビッグデータとともに、食料供給能力の増大を促進す
る可能性を有している。我々は、例えば養殖漁業飼料用昆虫等の未利用生物資源
の利用のような飼料チェーンにおける代替タンパク源の研究を含め、更なる研究
開発を推進し、国際農業研究協議グループ(CGIAR)、小麦イニシアチブ、
OECD国際共同研究プログラム(CRP)などの多国間枠組に基づく取組を促
進する。我々はまた、若手研究者の人材育成の強化に取り組む。
7.動植物疾病及び生物学的脅威との闘い
越境性動物疾病(TADs)及び病害虫は、世界の食料供給のみならず人の健
康に対しても直接的に深刻な脅威となり得る。我々は、疾病と対峙するため、動
物と人間の健康の関連性を強調した「ワンヘルス・アプローチ」にコミットする。
我々はまた、これらの脅威に対処するため、国際獣疫事務局(OIE)
、FAO、
WHO、FAO/WHO合同国際食品規格委員会(Codex委員会)、並びに
国際植物防疫条約(IPPC)を通じた国際的な協調を促進する。我々はまた、
2014 年の世界健康安全保障アジェンダ(GHSA)及びその共通目標を通じた取
組を含め、G7が各国によるWHOの措置(IHR)の実施を支援することにコ
ミットする。また、特に社会資本が未発達の国・地域において、緊急時における
感染症対策及びSPS分野での能力強化を支持する意向がある。我々は、OIE
やFAOのリーダーシップの下での牛疫の撲滅に至った取組を賞賛し、現在進行
中の撲滅後の取組を支援する。我々は、小反芻獣疫(PPR)などの主要な疾病
の撲滅に向けたOIEとFAOの取組を奨励する。我々は、動物衛生研究ネット
ワーク(STAR-IDAZ)のイニシアチブを歓迎する。
8.薬剤耐性との闘い
薬剤耐性(AMR)は、世界の保健、食料生産及び環境にとっての確認された
非常に深刻な脅威である。我々は、AMRについて、世界レベル、地域レベル、
及び国家レベルで対応することを決意した。我々は、近年採択されたAMRに関
するWHOの世界行動計画を全面的に支持する。我々は、自らの国家行動計画を
策定又は評価及び効果的に実施するとともに、他国の計画策定を支援する。我々
は、人・動物及び農業分野での抗菌剤1の慎重な使用を確保し、したがって、リ
スクアナリシスがなされない場合には動物における成長促進のための抗菌剤の
使用を段階的に廃止し、また、人用及び動物用医薬品の分野において、抗菌剤の
使用を治療目的のみとするよう努める。OIE、FAO、WHO、Codex並
びにOECDとの協力の下、他の国々に対し、AMRに関連する活動への参加を
奨励する。
1
G7 諸国における「抗菌剤」の用語の定義の相違に留意しつつ、ここでは人の健康に影響を及ぼす抗菌
剤を指す。
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9.協力枠組の構築
我々は、越境性動物疾病、生物学的脅威、AMR等、公衆衛生・動物衛生分野
における世界共通の課題に対処するため、既存のメカニズムを補完するG7獣医
当局間での技術的な情報共有のための協力枠組を構築し、ワンヘルス・アプロー
チを加速させることを決断した。我々は、日本が第一回会合の主催を表明したこ
とを歓迎する。
10. 食料の損失・廃棄の削減
G20農業大臣は、食料の損失及び廃棄が経済、環境、社会において非常に重
要な世界的問題であることを強調した。我々は、G20がFAOと国際食糧政策
研究所(IFPRI)に設立を要請した「食料の損失・廃棄の測定及び削減に関
する技術的なプラットフォーム」の立ち上げを歓迎する。我々は、G7メンバー
が、食料の損失及び廃棄を削減するための付加価値のある取組を共有するために
このプラットフォームを使用することを奨励する。食料の廃棄を防止する戦略は、
持続的な消費及び生産に関する 2030 アジェンダ目標の達成を促進する。
11.栄養に関するニーズの充足
栄養不良は、依然として大きな課題であり、継続的な取組、特に栄養不足を撲
滅する取組は重要である。食育は、生活の質を悪化させ保健分野での公的支出の
増加を必要とする肥満や生活習慣病を含む健康問題に取り組む上で重要な役割
を担う。我々は、2016 年を「国際マメ年」とする国連の宣言と、豆類が世界の栄
養改善への貢献について認識する。我々は、農業者、食品産業を含む全ての関連
するステークホルダーとの協力の下で、栄養改善や食品安全の教育を含む食育に
関する施策を発展させる。高齢人口や脆弱な人々は、特定の栄養ニーズと栄養へ
のアクセスの困難さ(例えば嚥下障害)を有する。こうした栄養ニーズを満たす
製品の開発は、新しい市場機会となり得る。
12.農業及び食料安全保障政策のための信頼性のある統計及びデータ
我々の食料供給能力をモニタリングし、世界の食料需給構造の変化を感知する
ことは、適正な農業政策の基礎である。我々は、農業市場情報システム(AMI
S)への支持を再確認するとともに、全ての国にわたる信頼性がありかつ比較可
能な統計情報の開発を促す。我々は、世界のステークホルダーによる農業と栄養
のデータの入手、アクセス及び利用を可能にする「農業と栄養のためのグローバ
ルオープンデータ(GODAN)」イニシアチブの重要性を認識する。
III. 持続可能な農林水産業の実現
我々は、農林水産業の気候変動に対する脆弱性と生物多様性保全等の正の外部経
済性を認識しつつ、農林水産業の持続可能性と農山漁村の活性化を支援することに
コミットする。我々はまた、2030 アジェンダ及びパリ協定の実施を支援することに
コミットする。我々は、以下の取組によりその実現を目指す。
5
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13.気候変動のための国際研究協力
気候変動についての成果主義で幅広い研究は世界中に利益をもたらす。我々は、
共同研究を増加させ、成果を共有し、自発的かつ相互に合意可能な形での効果的な
知識・技術の移転を促すため、グローバル・リサーチ・アライアンス(GRA)を
支援し、気候変動対応型農業に関するグローバル・アライアンス(GACSA)及
びその他の気候変動・農業に関する国際プラットフォームの重要性を認識する。
我々は、4/1000 イニシアチブやFAOの地球土壌パートナーシップの重要性を認
識しつつ、炭素の森林吸収源や農地土壌吸収源に関する知見や経験を共有する。
我々は、COP22の期間中にG7フォローアップサイドイベントを開催するこ
とにより、気候変動問題に対処するためのこれらのイニシアチブを協調した形で
フォローアップする。我々は、新品種の開発に寄与する、植物遺伝資源の適切な
保全と利用を促進する。この観点から、我々は、食料及び農業のための植物遺伝
資源に関する国際条約(ITPGR)及びその遺伝資源の取得の機会の提供及び
利益の配分に関する多数国間の制度、生物多様性条約及び名古屋議定書の持つ重
要な役割を認識する。
14.強靱なインフラ、土地及び森林
異常気象や自然災害の規模や頻度が増加しており、
「新たな常態」となっている。
我々は、気候変動や自然災害に対する強靱性を強化し、農業生産能力を維持するた
め、農業インフラの整備・更新、土地、土壌、生物多様性、水及び森林の管理を推
進する。
15.農業及び生態系
気候変動対応型農業、有機農業及び生態系を活用した農業を含む全ての形態の農
業は、持続可能であるべきであり、また、可能であれば、生物多様性や地球の生態
系の健全性に貢献するべきである。我々は、優良事例及び評価手法の共有にコミッ
トする。
16.持続可能な森林経営と違法伐採の排除
持続可能な森林経営は、持続可能な人の暮らし、価値がありカーボンニュートラ
ルな原材料の提供、気候変動の緩和と適応、生物多様性の保全、持続可能な土壌や
土地の管理、水域保護など、経済的、社会的、環境的便益を提供することにより、
持続可能な開発に貢献する。我々は、持続可能な森林経営のための重要な一歩とし
て、天然林や湿地の保全を含む森林生態系及び生態系サービスの保全及び再生、ま
た森林減少の予防のため、再生、植林、人工林の利用を含む、持続可能な森林経営
のための総合的な土地利用のアプローチを引き続き支援するとともに、特に小規模
林業者の効率性改善のため、持続可能な林業活動における確実な森林所有、訓練、
能力構築及び知識移転を引き続き推進する。我々は、森林管理の改善、違法伐採及
び関連した貿易の排除並びに合法に伐採されかつ持続可能な方法で生産された木
材の利用支援のための適切な措置をとることを決意する。
17.持続可能な漁業資源管理
海洋漁業資源の持続可能な利用と、持続可能な養殖業の実践は、食料安全保障に
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2016.4.24
貢献する。水産業を所管する大臣は、関連する地域漁業管理機関その他の国際的な
枠組みを通じた適切な資源管理を推進する。彼らは、違法・無報告・無規制(IU
U)漁業の防止に向けた措置や規制の実施を確実にするよう努めること、また、第
三国や地域又は国際的な専門機関に対して、こうした努力を強化するよう奨励する
ことをコミットする。彼らは、G7外務大臣による 2015 年の海洋安全保障に関す
る宣言において表明された支持及び 2015 年の海洋安全保障に関するG7ハイレベ
ル会合での反IUUについての勧告を歓迎する。彼らはまた、既存の漁業に関する
漁獲努力量の拡大や新たな漁業の開発、その他資源や生息環境に影響を及ぼす可能
性のある活動が、水生資源の長期的な持続可能性や海洋における生物多様性に及ぼ
す影響に関する事前の評価なしに行われることを防止するために協力することを
歓迎する。彼らは、開発途上国が海洋生態系に対する負の影響を減じるために自国
の漁業活動の評価することを支援する取組を支持する。彼らは、生物種や重要な生
息環境を保全する取組を推進する。
我々G7農業大臣は、これらの取組が自発的かつ相互に緊密な協力の下で実施さ
れることを期待する。我々はまた、FAO、OECDを含む国際機関及びG20各
国に対し、取組を進めることを求める。
我々は、2011 年に発生した東日本大震災からの復興に向けた5年間にわたる日本
の取組に注目するとともに、復興を加速するための世界中からの支援について賞賛
する。我々は、輸入規制が、科学的知見と根拠に基づくSPS合意を含むWTOル
ールと調和的であるべきことを確認する。我々は、これらのルール及び合意を尊重
することにコミットする。我々は、被災地の復興が一日も早く達成されることを期
待する。
さらに、我々は、最近熊本・大分地域で発生した地震によって被災した人々、並
びに世界中で自然災害による被害に苦しんでいる人々に対して、心からの連帯の意
を表明する。
(以上)
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