Comments
Description
Transcript
平成29年度 長崎大学病院 麻酔科医局案内
平成29年度 長崎大学病院 麻酔科医局案内 連絡先: 長崎大学医学部麻酔学教室医局長 村田 寛明 〒852-8501 長崎市坂本1-7-1 TEL: 095-819-7370 FAX: 095-819-7373 E-mail: [email protected] HP: www.med.nagasaki-u.ac.jp/anesthes/anesthesiology.html ※質問や面接および病院見学など随時対応していますので、いつでも気軽にご連絡下さい。 長崎大学医学部麻酔学教室紹介 教室の沿革 1964年 秦野滋を初代教授として開講 1970年 第二代教授に後藤裕就任 1992年 第三代教授に澄川耕二就任 2013年 第四代教授に原哲也就任 教室の特徴 当教室の担当している領域は、周術期患者 の全身管理、集中治療、ペインクリニック、 救急医療、緩和医療とほぼ全ての麻酔関連領域 をカバーしています。 また、それぞれの専門領域に専任スタッフが 配置されているため、高度な医療レベルが維持 されていることが特徴です。 麻酔管理 ペイン クリニック 集中治療 麻酔・ 蘇生学 救急医療 緩和医療 麻酔・蘇生学の展開 在籍医師数(学内、学外、男女比)、関連病院数(2016年4月現在) 在籍医師数:92名(男性50名、女性42名) 長崎大学内:42名 教授:原 哲也(麻酔科)、長谷敦子(救急医療教育室) 准教授:前川拓治(手術部)、山下和範(救命センター)、境徹也、村田寛明(麻酔科) 講師:北條美能留、吉富修、関野元裕 助教:麻酔科8名、手術部3名、集中治療部5名、 医員:17名(修練医4名) 関連病院:14施設、50名 長崎県:長崎市民病院(5名)、長崎原爆病院(3名)、健康保険諌早総合病院(3名)、長崎済生会病院(3名) 、 国立病院長崎医療センター(5名)、大村市立病院(1名)、佐世保市立総合病院(7名)、長崎労災病院(7名)、 佐世保共済病院(3名)、佐世保中央病院(2名)、長崎県立島原病院(1名) 佐賀県:西田病院(1名) 福岡県:北九州市立八幡病院(2名) 山口県:周南記念病院(1名) 国内留学:2名 休職:4名 長崎大学病院 手術麻酔 2015年の総手術件数は8446件で、そのうち5713件の全身麻酔、脊椎・硬膜外麻酔のすべてを麻酔科で管 理しています。当院の外科領域各科はアクティビティーが高く、小手術から高難度手術まで、未熟児・新生児 から高齢者まで、予定・緊急を問わずに幅広く対応しています。心臓大血管手術は年間300例以上で、全国 でも珍しい小開胸での僧帽弁形成手術や補助人工心臓植え込み術も行っています。臓器移植手術はそれ ぞれ年間約20例の肝移植や腎移植に加え、高い管理能力を要する肺移植も行っています。このような症例 の麻酔経験を通して、あらゆる疾患や病態に対応できる麻酔科医として成長する機会が得られます。 麻酔科医は「全身管理のスペシャリスト」という理念の基に、病態生理の理解を臨床に繋げる教育を行い、 根拠に基づいた診療を実践して、患者のみならず各診療科からの信頼や納得を目指しています。麻酔管理 に求める質は「手術が無事に終わればよい」ではなく、「周術期を通して患者が安楽にいられる」であり、マ ニュアルに盲従することなく個々の患者に合わせた最適な管理を行っています。 当教室での麻酔管理の特徴としては、曜日毎のスーパーバイザー(ライター)と2〜3名の補佐(サブライ ター)が全麻酔科管理症例の監督、指導を行っており、ライターは、症例の配分を行い、術前情報(診察所見、 検査結果、手術術式など)をもとに麻酔担当医と協議し、麻酔管理計画を立てています。また多種多様な患 者と外科系医師の要望に対応するために、外科系との積極的な術前合同カンファレンス、麻酔管理上の問 題点や外科系からの要望に関する検討会を定期的に行っています。 集中治療 長崎大学病院集中治療部はICU-A(8床)とICU-B(8床)の16床で運営しており、年間の入室患者数は1400 例を超えます。2016年6月に新ICUに移転後はICU-B が12床に増床します。ICU-A は集中治療専従医6名の ほか、麻酔科医員、臨床研修医、看護師に加え、臨床工学技士、薬剤師、医療事務員が常駐し、多種多様 な職種間の緊密な連携のもとに運営されています。一方ICU-B は各診療科による患者管理が行われ、集中 治療専従医は個別の患者管理に関しコンサルテーションを受けています。 ICU-A は集中治療専従医が主体となり治療方針を決定します。内科系、外科系を問わず臓器障害、臓器 不全を呈した重症患者を24 時間体制で診療しています。病態に応じて関連する各診療科への適切なコンサ ルトを行い、バランスのとれた質の高いチーム医療を実践しています。開心術・大血管術後、移植術後(肝、 肺)、開胸開腹手術、頭頸部腫瘍術後などの高度な侵襲手術の術後管理症例のほか、内科系診療科からの 重症症例の管理も担当しています。近年では人工心臓埋め込み手術の術前・術後管理にも関わっています。 集中治療の内容は、非侵襲的陽圧換気、侵襲的人工呼吸管理や一酸化窒素吸入療法などの呼吸管理、 循環作動薬投与下での体液バランス調整に基づく循環管理や大動脈内バルーンパンピング、経皮的心肺補 助を用いた機械的循環補助療法、持続的血液濾過透析や血漿交換などの血液浄化療法、内分泌・代謝管 理、栄養管理といった集学的治療による救命、予後改善を目指しています。また、低体温療法、敗血症性 ショック、重症急性膵炎、劇症肝炎、重症肺高血圧症などの管理に関しては、欧米や国内のガイドライン・文 献などを参考に独自のマニュアルを作成し、最新で世界標準的な集中治療を目標としています。今日、さま ざまな専門領域を擁する診療科が多数存在しているが、ICU-A では診療科の枠を超えて、重症患者に対す る病態評価にもとづき診療をおこなっています。 ペインクリニック ペインクリニック外来は2名の体制で急性痛から慢性痛まで幅広く疼痛疾患の治療にあたっています。治療 法は適切な診断をもとに、神経ブロック療法から胸腔鏡下胸部交感神経切除術、硬膜外内視鏡術まで及び ます。当院は大学病院という性質上、急性痛患者よりも慢性痛患者が多く、紹介医師との密接な連絡体制の もと、認知行動療法やリハビリテーション療法も重視しています。 緩和医療 緩和ケアとは、がんなどの悪性腫瘍などの診療を受けられている患者の苦痛をなるべく軽減し、ご家族とと もに、より豊かに生活をおくることができるように援助する治療やケアのことです。当院では、緩和ケアを提供 するために、当科からの専任医師中心にさまざまな職種のスタッフでチームを構成し、患者・家族を援助して います。年度ごとに患者数の増加が認められ、2008年度からは年間280~300名の患者数です。2015年度か ら長崎大学病院がん緩和ケアセンターが設立され、今後ますますの発展が期待できる分野です。 救急医療 2010年4月に救命救急センターが開設され、現在8名の救命センター専従医が勤務しています。当教室所 属の麻酔科医師2名は、開設前より救急専従医として長崎市の救急医療を支えてきました。2014年4月には 救急医療教育室が新設され当教室所属の長谷敦子が教授に就任しました。また、院内で発生した心肺停止 症例に対する心肺脳蘇生のために、ハリーコールシステムを基にした院内救急体制の確立し、迅速かつ確 実な救急蘇生による院内救命率の向上のみならず、救急救命士の気管挿管実習を含む病院内実習も積極 的に受け入れ、地域における救急医療体制の充実を目指しています。 後期研修・スタッフ教育 麻酔科医は「全身管理のスペシャリスト」という理念の基に、病態生理の理解を臨床に繋げる教育を行い、根 拠に基づいた診療を実践して、患者のみならず各診療科からの信頼や納得を目指しています。 “地域に生き、世界に伸びる”を合い言葉に、麻酔、集中治療、ペインクリニック、救急医療、緩和医療のいずれ かの領域で優れた臨床医であると同時に、世界に通用する研究のできる医師を育成します。 ①『麻酔科専門医』取得 2015 年度から新たな麻酔専門医研修制度が始まりました。麻酔専門医を取得するには麻酔科学会に登録され た研修プログラムに入る必要があり、長崎県では『長崎大学病院麻酔科専門医研修プログラム』が唯一のプロ グラムとなっています。 更に2019 年に専門医制度は大きく変革され、全ての専門医が学会、厚生労働省とは別の第三者機関により認 定される予定です。 1. 初期研修終了後4 年以上プログラム研修制度で指定の研修が必要。 4年のうち最低1年は責任研修施設である長崎大学病院麻酔科での研修が必須となります。それ以外の期間も 基幹研修施設や関連研修施設など認定病院での研修が義務付けられます。 責任基幹施設 長崎大学病院 基幹研修施設 長崎市立病院機構長崎みなとメディカルセンター市民病院 長崎原爆病院、済生会長崎病院、 佐世保市立総合病院、長崎労災病院、佐世保共済病院 国立病院長崎医療センター、諫早総合病院、市立大村市民病院 北九州市立八幡病院、周南記念病院、長崎県島原病院 2. 経験必要症例数が設定。(右表参照) 大学病院と関連病院での研修を組み合わせて4年間で 無理なく必要な症例数を経験できるような研修を行います。 3. 1. 2. を満たした後、新たな制度の新規認定審査を を受験。 麻酔専門医試験において特に近年は麻酔のみならず 集中治療、緩和、ペインの各分野に加え、神経ブロック など新しい技術に関する知識や手技の取得が求められます。 各分野に精通した教官が揃っているので、 必要な知識や手技を学ぶ機会に恵まれています。 経験必要症例数について 小児(6 歳未満)の麻酔 25症例 帝王切開術の麻酔 10症例 心臓血管手術の麻酔 25症例 胸部外科手術の麻酔 25症例 脳神経外科手術の麻酔 25症例 ②『サブスペシャリティー領域専門医』の取得 希望により、専門的麻酔管理(心臓麻酔、肺外科麻酔、脳外科麻酔、小児麻酔、産科麻酔など術中管理のエ キスパート)、集中治療、ペインクリニック、緩和医療のいずれかの領域で優れた臨床医となるべくそれぞれの指 導病院で、「集中治療専門医」、「ペインクリニック専門医」、「緩和医療専門医」、「心臓血管麻酔専門医」、「区域 麻酔学会認定医」、「小児麻酔学会認定医」「救急科認定医」を取得できる経験と能力を養うことが出来ます。 学会の施設認定状況 麻酔科認定病院 集中治療専門医研修施設 日本ペインクリニック学会指定研修施設 日本緩和医療学会認定研修施設 心臓血管麻酔専門医認定施設 救急科専門医施設 ③学位の取得(大学院、国内外留学など) 3〜7年目以降は、大学病院において学位取得のための研究や国内外留学を行う。大学院における研究は麻酔 学教室における研究だけでなく、基礎の教室と提携して幅広い研究が行われています。 国内外留学 これまでの海外留学先は、Massachusetts General Hospital、Emory大、Texas大、Mayo Clinicなどで主に基礎的な 研究を行い、国内留学では、それぞれの希望で救急、ペインクリニック、緩和医療、集中治療、周産期麻酔などの 施設に随時行っています。 現在教室で進められている主な研究テーマ 研究面では、新たな麻酔法、周術期管理法および疼痛管理法を開発するために、以下のグループが動物および 臨床を対象とした研究を行い、高い評価を得ています。 また、研究を遂行するためには、各個人の着想と動機を大切にすることは必要ですが、研究能力そのものがト レーニングにより養われなくてはいけません。このような観点から、研究グループは原則的に講師以上をチーフとし て、責任指導体制を確立しています。 1.循環器系の急性病態と制御に関する研究 6.凝固線溶胴体の制御に関する研究 2.呼吸器系の急性病態と制御に関する研究 7.区域麻酔に関する解剖学的研究 3.多臓器不全患者の病態と治療に関する研究 4.痛みの病態と治療に関する研究 5.臓器虚血再灌流障害の分子機序 国内外での学会参加 日本麻酔学会、日本集中治療医学会、日本ペインクリニック学会、緩和医療学会、日本心臓血管麻酔学会、日本 区域麻酔学会、蘇生学会、日本救急医学会を始め様々な学会に参加しており、海外の学会ではアメリカ麻酔学会 (ASA)やヨーロッパ麻酔学会(ESA)、IARSなどに多数の演題が採択されています。 後期臨床研修週間スケジュール(大学病院) 月曜日~金曜日 午前7時30分~午後6時:主に、周術期麻酔管理業務に携わる。 カンファレンス 月曜日 7:00〜7:20 抄読会(英文総説の抄訳)、リサーチカンファレンス 水曜日 17:30〜 他科合同の術前ケースカンファレンス 土曜日(月1回)9:00〜 術後・集中治療・ペインクリニック・緩和医療症例検討会 当直業務(希望に応じて増減可) 長崎大学病院集中治療部での日当直が月5回前後(指導医の管理下) 契約病院の当直が月5回前後 麻酔認定医を取得すれば出張麻酔有り。 夏休みについて(期間、時期など) 6月から翌年の3月までのどこかでウィークデーで5日間(前後の土日を加えれば9日間) 研修環境の整備状況 初期臨床研修は常時3~6名で、平成27年度の後期臨床研修医が4名在籍しており、シミュレータシステムの整備 (高度救急救命処置システム、挿管人形、末梢・中心静脈穿刺、ビデオ喉頭鏡など)、麻酔関連図書・雑誌・ビデオ・ DVDの充実を行い、満足のいくような研修環境を整えるよう整備しています。 女性医師の方へ(麻酔科のメリットとサポート体制) 麻酔科のメリット a)主治医制ではないため、時間外呼び出しのない勤務形態が可能 b)週3日からフルタイムまでと勤務形態の自由度が高い 麻酔科における全身管理とプライマリケア能力の習得は、幅広い診療科領域での応用が可能であり、育児期間終 了後の他分野への復帰においてもメリットの高いキャリアパスとなります。 サポート体制 女性医師のために出産後も仕事を続けられるサポートシステム(保育時間にあわせての勤務、当直免除を適用) を行っています。