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エネルギー可視化のための統合型運用支援ツール

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エネルギー可視化のための統合型運用支援ツール
特集「環境対応技術」
エネルギー可視化のための統合型運用支援ツール
Integrated Operation Support Tool for Energy Consumption Visualization
岸田 浩一* ・ 秋森 睦郎*
Koichi Kishida
Mutsuo Akimori
省エネルギー用監視システムにおいて,個々の簡易電力計「エコパワーメータ」で測定したデータ
を統合して全体の電力使用状況が把握できる運用支援ツール「KW Watcher」を開発することによって,
無駄な電力の発見や改善前後の確認が容易になり,効果的な省エネルギー活動が可能になった。
これを活用した省エネルギー活動として,照明関連では器具の Hf 化,空調関連ではエアコンディ
ショナを水冷式から空冷インバータ式に更新,設備関連では成形機のヒータに断熱材取付けや材料乾燥
機の排熱回収等を行った結果,2007 年 10 月から 2009 年 9 月の間において,年換算で 112 万 kWh の
消費電力削減と約 1100 t の CO2 削減を達成している。
In the energy monitoring system for energy-saving, the development of the operation support tool, "KW
Watcher", has enabled the visualization of the overall power consumption by integrating the data measured
by individual simple watt-meters, thereby enabling effective energy-saving through easy identification of
wasted power and confirmation of the effect of improvement.
In-company energy-saving activities by using the developed tool achieved reduction of approx.
112 millions kWh of power consumption and 1100 tons of CO2 emissions a year from October 2007 to
September 2009 by adopting Hf-type lighting fixtures, replacing worn water-cooled air-conditioners
with air-cooled inverter type units, installing heat insulator material on the molding machine heaters and
recovering waste heat from the material dryer.
ギー活動を効果的なものにする。
1. ま え が き
2005 年の「エネルギーの使用の合理化に関する法律」
を RS-485 通 信 線 で 接 続 し, 当 社 の「Web Datalogger
単に節電を呼び掛けるだけではその効果は上がらない。エ
Unit(
」以下,DLU と記す)が蓄積したデータを LAN で各
個人の PC にダウンロードして閲覧できるようにする。
また,従来の見える化ツールである「KW Monitor」は
ネルギー消費構造がどうなっているかを見極め,消費量の
個々の「エコパワーメータ」の電力は把握できるが ,部
大きいものや非生産時に消費している電力等から重点を付
門・部署など省エネルギー活動単位にまとめて見たい場
けた省エネルギー施策を行うことが重要である。
合には,PC に集積した csv データから別途表計算ソフト
の改正により,各企業ではいかにしてエネルギーの使用量
を削減していくかが課題となっている。省エネルギー化は,
1)
省エネルギーを効果的に行うためには,まず設備が消費
ウェア等を使って求めなければならない煩雑さがあった。
するエネルギーを測定することが有効な施策を決める判断
そこで筆者らは,一つの測定ポイントに対して五つの属
材料となる。
産業用エネルギーのうち,電気エネルギーについてはそ
性(たとえば部門,部署,用途など)設定が可能で,カテ
ゴリー別に集計した電力消費量データを時系列でグラフ表
の消費量は電力計で測定できる。当社でも簡易電力計「エ
示または保存できる見える化ソフトウェア「KW Watcher」
コパワーメータ」を開発し,製造販売している。そこで,
を開発した。これにより,どの部門・部署が何の用途(た
これを自社工場内の電気設備に約 650 台設置し,各設備
とえば空調,照明,生産など)でどれだけ電力を使用して
機器の電力消費状況の見える化を行うことにより省エネル
いるかが把握できる。
* パナソニック電工竜野株式会社 Panasonic Electric Works Tatsuno Co., Ltd.
10
電力の見える化にあたり,個々の「エコパワーメータ」
パナソニック電工技報(Vol. 58 No. 3)
また,電力消費量が多い設備の絞込みが容易に行えるほ
力をよく消費しているかがわかる。また用途別で見ると,
か,生産が停止している設備やラインであるにもかかわら
固定電力とされている照明や空調の割合がわかる。図 2 に
ず本来不要な電力を消費している状況が LAN に接続して
1 日の電力使用割合を用途別集計グラフで表示した例を示
す。生産用途の電力が約 48 %,次いでコンプレッサ電力
が 24 %,空調電力が 17 %であることが確認できる。
いるすべての PC で見える化できる。
本稿では,見える化ソフトウェア「KW Watcher」の概
要とこれを使用した見える化の事例および省エネルギー化
の実施例を紹介する。
2. 「KW Watcher」による見える化の事例
「KW Watcher」を使用して電力の見える化をした事例を
その他
紹介する。ここでは,どこの電力データなのかを明確にす
16.50%
48.42%
るため,各測定ポイントに設定する五つの属性を部門,部
署,用途,設備,個別名とする。
48.42% 1:生産 [9930.53kWh]
23.61% 8:エアーコンプレッサ [4842.03kWh]
16.50% 2:空調 [3382.88kWh]
その他
23.61%
層別の効果としては,部門・部署名の登録により,それ
ぞれの電力消費量の確認や省エネルギー目標の設定ができ
る。また,電気料金の部門配賦のための参考値として利用
図 2 用途別集計グラフの例
できる。用途名の登録により,用途別に消費電力が表され,
空調,照明,生産,コンプレッサなどの省エネルギー目標
の設定ができる。設備・個別名の登録により,成形機,実
装機,工作機械などの設備分類ごとや設備機器名ごとの電
力消費量が表示できる。
このように,データを層別して表示することで重点を付
2.3 積上グラフ
積上グラフでは五つの属性のいずれかにおいて,選択時
間ごとの積上げグラフで表示される(図 3)
。集計グラフ
が年,月,日単位での集計とその割合であったのに対し,
けやすくなる。さらに,これらをグラフ表示する際の時間
このグラフはいずれかの属性における内訳を月,日,時間
間隔は 15 分,30 分,1 時間,1 日,1 月のなかから選択
ごとの推移で表示できる。
できる。
2.1 グラフ表示
見たい箇所の電力消費量が,選択時間ごとの棒グラフで
表示される。なお,複数選択した場合はすべての合算とな
る。ここでは個別設備の合算された電力消費状況が確認で
き,夜間,休日等で該当設備が停止しているにもかかわら
ず電力が消費されている様子等が確認できる。図 1 に 1 日
の電力消費量の 1 時間ごとの推移を表示した例を示す。
図 3 部門別積上グラフの例
2.4 比較グラフ
ある属性と別の属性の電力消費量が,同じ時系列で比較
できる。また,同じ属性を異なる期間で比較することもで
き,とくに月次で比較する場合は曜日を合わせることがで
きる。
たとえば,省エネルギー化実施前後の違いなどが確認で
図 1 グラフ表示の例
きる。さらに,それぞれの電力消費量などを演算し,どれ
だけ改善されたかが数値でも表示できる。
2.2 集計グラフ
図 4 は,全社電力消費量を 2009 年 12 月と 2010 年 1 月
集計グラフでは全使用(測定)電力量の内訳がパーセン
とで比較した例を示す。画面の右側に,それぞれの電力消
トで表示される。部門・部署別では,どの部門や部署が電
費量,CO2 換算値,および電気料金が両者の差とともに表
パナソニック電工技報(Vol. 58 No. 3)
11
示される。
3. 省エネルギー化の実施例
ここでは,
「KW Watcher」を使用して電力を見える化す
るためのシステム,およびこれを利用した無駄の改善事例
を紹介する。
3.1 電力の見える化システム
電力の見える化システムの概要を図 6 に示す。電力を
測定する設備や分電盤に取り付けた「エコパワーメータ」
650 台のデータは,各棟に設置している DLU に蓄積され
る。
「KW Watcher」をインストールしている PC であれば,
社内 LAN 経由でだれでも各 DLU のデータをダウンロー
図 4 比較グラフの例
ドすることができる。
これによりサーバを別途設置する必要がなくなり,導入
2.5 原単位グラフ
電力消費量を生産量で除算することにより,原単位グラ
フを表示させることができる。なお,生産量は製品の生産
コストを低減するとともに,システムの反応速度を高めて
いる。また運用においては,設備の増減による電力計の追
加や削除が容易で拡張性も高いものとなっている。
数等をカウンタからデータとして取り込める。原単位が大
きいと生産性が低下していることになり,省エネルギーお
よび TPM
* 1)
「KW Watcher」
の課題が見えてくる。図 5 はリレー生産ラ
インの一部工程の原単位を示す。これは 1 時間ごとにライ
PC
社内 LAN
ンの総電力消費量を良品数で除算して表示したものである。
C棟
A棟
B棟
図 6 社内電力監視システム概要
3.2 照明の省エネルギー
図 5 原単位グラフの例
3.2.1 省エネルギータイプへの機器更新
事務所や工場内の照明については,従来のラピッドス
タート形蛍光灯を使用している箇所は優先順位を付けて当
2.6 その他
社「W エコ」など Hf 蛍光灯に更新する。Hf 蛍光灯は従
電力消費量だけに留まらず,基本的に DLU において蓄
来品と比べて照度性能が向上しているので,必要な照度が
積しているデータは「KW Watcher」ですべて表示できる。
得られれば可能な限り設置台数を少なくする。とくに,天井
温度・湿度については,当社の無線センサ「WR10」を
使って測定し,RS-232C を介して DLU に接続することで
の高い通路では取付位置を下げて 1 灯式器具に取り替える。
一般的な蛍光灯の消費電力を表 1 に示す。
蓄積したデータを折れ線グラフで時系列表示できる。
表 1 蛍光灯の消費電力
流量については,配管に取り付けた流量計の積算パルス
数を DLU で蓄積することによって,水,ガス,エア等の
照明器具
使用量や漏れの監視とともに,修理前後の漏れ等の違いの
ラピッドスタート形蛍光灯
40
2
85
Hf蛍光灯(2灯式)
32
2
55
「Wエコ」(1灯式)
63
1
56
確認も容易にできる。
また,圧力センサ等のアナログデータも A / D 変換して
定格ランプ電力(W) 灯数(本) 消費電力(W)
DLU に蓄積することにより,圧力変化を時系列で表示さ
せることができる。
12
パナソニック電工技報(Vol. 58 No. 3)
Hf 蛍光灯および「W エコ」への取替えは 2007 ∼ 2009
年の 3 年間で 220 台となり,11.7 kWh の電力が削減でき
ている。
また中 2 階等で窓がなく,昼間でも照明を点灯させなけ
ればならない部屋には壁面に採光窓を設け,器具にはキャ
図 7 は A 棟 2 階事務所フロアにあるラピッドスタート
形 40 W 2 灯式器具 139 台をすべて「W エコ」に取り替え
ノピースイッチを取り付けることで昼間の照明電力を削減
している。
た前後の照明電力を「KW Watcher」の比較グラフで示し
ており,この図から 23 kWh /日の電力が削減できている
3.3 空調の省エネルギー
のがわかる。
3.3.1 水冷老朽エアコンディショナの更新
当社に設置している空調設備はすべてパッケージエアコ
ンディショナであり,設置後 25 年以上を経過した水冷式
や空冷式が混在している。旧型は故障も多く温度調節が困
難であるばかりでなく消費電力も大きい。とくに水冷式は
冷却能力が高いが,消費電力も大きいうえに冷却塔のファ
ンおよび冷却水の送水ポンプにも相当の電力が消費される。
2008 年初めには 16 台の水冷式が稼動していたが,2008
年 7 月までにはすべて空冷式インバータエアコンディショ
ナに更新している。
図 7 「W エコ」
取替え前後の照明電力
また,屋外照明に使用していた水銀灯(325 W)10 台は,
当社無電極ランプ「エバーライト 50(
」55 W)8 台に取り
2009 年 7 月に空冷式に更新した C 棟の水冷式エアコン
ディショナ 6 台について,2008 年 8 月と 2009 年 8 月の
電力使用状況を比較グラフで図 9 に示す。電力削減量は,
5600 kWh /月となっている。
替えることで電力削減量は 8205 kWh /年となる。
さらに,玄関ロビー等のダウンライトの蛍光灯および展
示物照明用のスポットライトのハロゲンランプ(60 W)は,
LED 照明(7 W)に置き換えることで 2510 kWh /年の電
力を削減している。
3.2.2 不要照明対策
照明電力の削減において,適正照度を確認しながら明ら
かに不要な器具はランプを取り外す。
倉庫や事務所など人が不在になることがある部屋の器具
にはキャノピースイッチ(ひもスイッチ)を取り付け,不
在時は個別に消灯できるようにする。2009 年末現在,全
図 9 水冷式と空冷式エアコンディショナの電力比較
社の照明器具にキャノピースイッチを約 700 台設置し,そ
の電力削減量は 6 万 kWh /年となっている。
図 8 は 2009 年の C 棟 2 階事務所における照明電力の
3.3.2 外気冷房
当社には一部の製造ラインに簡易クリーンルームがあり,
推移を「KW Watcher」のグラフ表示で示したものである。
室内の内圧を高めるために外気を導入している。また室内
151 台の照明器具に段階的にキャノピースイッチを取り付
け,最終的に 1000 kWh /月の電力が削減できている。
には恒温槽や組立ライン設備の発熱があるため,外気は
フィルタを通りエアコンディショナを介して室内に入れて
おり,おおむね厳冬期以外は冷房を稼動させていた。した
がって,この部署の消費電力のうち,この外気処理エアコ
ンディショナの電力が 20 ∼ 30 %を占めていた。そこでこ
の消費電力を削減するため,外気をエアコンディショナを
介さず直接室内に取り込めるバイパスを設けて中間期は外
気のみで冷房する。
図 10 はクリーンルームに設置している外気処理エアコ
ンディショナの消費電力を,外気冷房導入前の 2008 年 6
月と導入後の 2009 年 6 月を比較グラフで示したものであ
る。導入後は,エアコンディショナをほとんど稼動させず
図 8 キャノピースイッチ取付け前後の照明電力推移
に済む期間が年間 8 ヶ月となり,その間の電力削減量は
パナソニック電工技報(Vol. 58 No. 3)
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1 ヶ月当り 11600 kWh で,年間 92800 kWh となっている。
射出成形機のヒータは設備消費電力の大半を占めてお
り,また作業場の温度を上昇させて空調の負荷となる。
このヒータに断熱材を巻いて保温することで,省エネ
ルギーを図る。
(2)乾燥工程の排熱回収
射出成形用の材料(ペレット)は,事前にホッパで
80 ∼ 140 ℃で乾燥させる。このとき,ホッパから温風
が外に排出される。
この排熱を回収して温風ユニットの吸気側に戻すこと
により,省エネルギーを図る。
図 10 外気処理エアコンディショナ電力比較
3.4.2 基板実装ライン
当社は電子基板の面実装ラインを有しており,ここで消
費する電力のうち約 60 %がリフロー炉によるものである。
コンプレッサ停止タイマの取付け
このリフロー炉は断熱はされているが,装置外側の表面は
3.3.3
エアコンディショナの制御回路にタイマを取り付け,コ
50 ℃近くまで上昇している箇所がある。そこで装置上部
ンプレッサを定期的に停止させて送風のみとし,稼動率を
全体にジャケットをかぶせて断熱を行うことにより,省エ
85 %(30 分間の内 25.5 分)とする。
ネルギーを図る。
3.3.4 室温監視
室内空調において,適正な室温を維持するために室温管
3.4.3 待機電力
「KW Watcher」で,生産終了後や夜間・休日など生産設
理システムを導入すれば,相当な投資が必要となる。そこ
で筆者らは,一部の旧型エアコンディショナが稼動してい
るフロアで無線センサによる室温監視を行い,室温が設
備停止期間の消費電力を確認し,この待機電力を削減する。
(1)組立ライン
自動組立ラインの制御用 PLC は,そのシーケンスプ
定温度を超えたときにランプで知らせるユニットを作製し,
ログラムを維持するため,生産がなくても通電状態にさ
気付いた人がエアコンディショナの運転を止めるようにす
れていた。そこで,PLC のバックアップ用電池の維持管
る。
理を厳格化してプログラム消失の防止を図り,生産停止
時は通電を完全に停止する。
タイマ自動組立ラインの 2008 年 1 月と改善後の 2008
3.4 生産設備の省エネルギー
年 6 月の電力消費状況を,曜日を合わせて比較グラフで
3.4.1 成形機および周辺機
当社の使用電力量を用途別に見ると,全体の 50 ∼ 60 %
図 12 に示す。改善前はラインの停止日(図の楕円で示
(季節により空調電力が変動)が生産に供されている。また,
している部分)でも 43 ∼ 55 kWh /日の電力を消費し
部門別に見ると部品製造部が約 40 %を占めている。その
ていたが,改善後は 5 kWh /日程度に低減している。
うちの約 70 %は射出成形ラインが消費する電力である。
図 11 は全社の使用電力量における設備別の内訳であり,
成形機がもっとも多く消費しているのがわかる。
照明
5%
その他
15 %
成形機
34 %
組立工程
5%
空調
17 %
図 12 タイマ自動組立ラインの待機電力改善
コンプレッサ
24 %
3.5 原動設備の省エネルギー
図 11 全社の設備別電力消費の状況
原動設備においてもっとも電力を消費しているのは,コ
ンプレッサである。2008 年度は約 144 万 kWh /年を消費
そこで,この成形機および材料乾燥機のヒータに着目し
て以下の改善を行う。
(1)加熱筒への断熱材取付け
14
パナソニック電工技報(Vol. 58 No. 3)
しており,全社電力消費量の約 25 %を占めている。
3.5.1 コンプレッサエアの改善
(1)エア漏れの改善
エア漏れは人の耳で聞き分けることでも可能であるが,
エア漏れ検知器で発見して対策を実施する。
3.5.2 冷却水循環系の改善
射出成形機および金型温調機に使用する冷却水は,屋外
図 13 はラインや設備に取り付けたエア流量計の積算
の冷却塔から 4 台のポンプで循環させていた。冷却水の配
パルスをカウントし,
「KW Watcher」の積上グラフで表
管を見直すことによってポンプを 2 台にすることと,併せ
示したものである。エアの使用状況がわかればエア漏れ
て冷却塔ファンとポンプのモータをインバータ化すること
等が発見できる。
で,12 万 kWh /年の電力を削減している。
当社では,2008 年 8 月に工場全体で 20 %あったエア
漏れが 2009 年 12 月末には 12 %まで改善している。
4. あ と が き
省エネルギー用監視システムにおいて,個々の簡易電
力計「エコパワーメータ」で測定したデータを統合して
全体の電力使用状況が把握できる運用支援ツール「KW
Watcher」を開発することによって,無駄な電力の発見や
改善前後の確認が容易になり,効果的な省エネルギー活動
が可能になった。
これを活用した省エネルギー活動として,照明関連では
器具の Hf 化,空調関連ではエアコンディショナを水冷式
から空冷インバータ式に更新,設備関連では成形機のヒー
タに断熱材取付けや材料乾燥機の排熱回収等を行った結果,
図 13 エア使用状況表示例
2007 年 10 月 か ら 2009 年 9 月 の 間 に お い て, 年 換 算 で
112 万 kWh の消費電力削減と約 1100 t の CO2 削減を達成
した。
(2)エアブローノズルの改善
生産ラインではエアを利用して製品の異物除去や水切
しかしまだまだ課題も多く残っており,今後も引き続き
省エネルギー活動を展開していきたい。
り等を行う場合がある。当社のフープめっきラインにお
いては,製品水洗い後の水切りをエアブローで行ってい
たが,ブローノズルの開口の寸法を見直して,エア流量
を削減している。
またブローに使用するエアをコンプレッサからリング
ブロワに変更することで,2.2 万 kWh /年の電力を削減
している。
●
注
* 1)TPM:社団法人 日本プラントメンテナンス協会の登録商標
*参 考 文 献
1)児島 幸功,井戸 秀彰,倉橋 知子,岸野 孝治:機器組込タイプ小型電力計のネットワーク化,松下電工技報,Vol. 56, No. 3, p.
71-75(2008)
◆執 筆 者 紹 介
岸田 浩一
パナソニック電工竜野(株)
秋森 睦郎
パナソニック電工竜野(株)
パナソニック電工技報(Vol. 58 No. 3)
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