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北海道内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布
Title Author(s) Citation Issue Date 北海道内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布 吉田, 忠; 高尾, 彰一 北海道大学農学部邦文紀要, 13(2): 81-101 1982-03-30 DOI Doc URL http://hdl.handle.net/2115/11966 Right Type bulletin Additional Information File Information 13(2)_p81-101.pdf Instructions for use Hokkaido University Collection of Scholarly and Academic Papers : HUSCAP 北海道内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布 吉田 忠・高尾彰一 (北海道大学農学部農芸化学科応用菌学講座) (昭和 5 6年 7月 2 2日受理) Distribution of Fungi in A r t i f i t i a l Culture of P h o l i o t anamekoin Hokkaido Tadashi YOSHIDA and Shoichi TAKAO (Laboratoryo fAppliedMicrobiology, Facultyo fAgriculture, HokkaidoUniversity ,Sapporo,Japan) d P 加 ho l μ I O t ω , 近年,北海道に普及しつつあるナメコ [ ρocr ω の発育条件,害作 びにその完全世代である Hy nω a F 用につき詳細に報告している。しかしこれら害菌の由 トンを記録して重要産業となつているが,その約 96%は 来,混入経路については追跡困難であるとし不明のま 鋸屑栽培による(昭和 5 4年度北海道林務部資料)。しか まである。 6)によ 一方,北海道においては,稲葉 4),目黒5),古川 1 し生産効率は低く,植菌後の発茸割合は 70%程度と 推定され,その原因の多くは害菌発生によると考えられ る研究があり,北海道内 4 4カ所のシイタケホダ場より, ている。 汚染ホダ木ならびにホダ場土嬢 8 3試料を集め, 285株の T r i c h o d e r l l l aを分離している。 ナメコの鋸屑栽培伏せこみ中に発生する雑菌として, 庄司 1) は「青かび,クモノスカピ,毛カピ,コウジカビ, ζ れらは (TODE) HARZ お よ び そ の 類 縁 1 9 6株 T .lignorum T .k o n i n g i OUDEMANS66株, T .albumPREUSS23株に分けら トリコデノレマ,およびアカバンカピ」を挙げているが,小 松 2) は,福島,岐阜両県下で、栽培中のナメコ菌糸塊上に れ,1 ' .l ignorumが最も多く分布し,次いで T .k o n i n g i 発育している害菌菌叢を分離し,G liocladiumd e l i q u e s - が多く , 1 ' . album は最も分布が少ないことを見,これ c e n s SOPP,Ce ρhaloψorium 1Ilycophilum (CORDA) らの生育温度および pH, ならびに種々の薬剤l 抵抗性を TUBAKI,Cephalo司 poriums p .,Tη choderma vi r i d e 試験し, FRES. exGRAY,P hialophora' v e r r u c o s a WEDLAR, H202 処理が最も効果的であることを示した。しかし, シイタケのホダ木栽培における害菌には, 5% R h i n o c l a d i e l l as p .,S 1 う01 ・ ' o t hη xs p .,Doratomycesm i- ナメコ人工栽培における害菌発生の実態,その害菌対策 c r o学 o r u s(SACC.)MORTONe tSMITH,1 ミ 2C c i l o m y c e s についての研究はされておらず,鋸屑栽培の普及ととも e l e g a n s(CORDA)MASONe tHUGHES,G o n i t r i c h u l l l に害菌対策は急務とされている。 macrodadium( S A C C . ) HUGHES [Gonytrichum ma- 本報告では,これら害菌対策の基礎として,まず北海 ,Graphium crocladum(SACC.)HUGHES と思われる J 道内ナメコ鋸屑栽培の代表的 2施設について,害菌の実 s p .,および Sporendonemap u r 1 うu r a s c e n s (BONORD) 態を把握し,その由来について考察する。 MASONe tHUGHESの 1 1属 1 2種 に 分 類 し た 。 こ の 実験材料および方法 うち,両県に共通して分離されたのは, Trichoderma ,Paecilomyces elegans,Doratomyces micro v i r i d e ナメコ人工栽培における害菌については,予め,栽培 ‘ ψorusお よ び 争orothrixs p .の 4種で,Trichoderma 者ならびに林産試験場指導員からの聞きとり事項を参考 v i r i d eおよび Gliocladiumd e l i q u e s c e n sがナメコ菌糸 に対して強い抗菌作用を示すことから T r i c h o d e l 川 に,主要な害菌を糸状菌に絞ることとし,下記 2施設を 3年 5月に原材料ならびに発生室などの 選んで,昭和 5 d v i r i d eが最も重要な害菌であるとした。小松 3) はまた, 汚染度を調査したうえ,害菌発生頻度が最も高いとされ Trichoderma なら る7月および 1 2月に,ナメコ菌糸塊上に繁殖した糸状 シイタケのホダ木栽培についても 8 1 8 2 北海道大学設学部邦文紀要第 13巻 第 2号 菌を分離した。 あった。また,発生室は常に激しく l 噴霧散水中であった。 1 . 採取場所 3 ) ナメコ菌糸塊上の糸状菌 富良野および小憎の 2施設を調査対象とした。 子実体発生中あるいは発生終了後の菌糸塊上に繁殖し 富良野は年間 50万袋 (100g詰め)出荷している専業 た糸状菌は,栽培者の意見を参考としながら,最も出現 会社で,購入したナメコ原菌から接種用の種菌を自家生 頻度が高いとされるものを含め,汚染カ所から直接採取 産している。ここではシナノキ材の鋸屑に米糠を約 1割 o 混 じ 水 分 を 約 60%として袋詰めした培地を, 120C, 40分間滅菌, 放冷した後, これに種菌を接種し, 22C u し,乳酸酸性とした PGA平板に塗抹,培養し, 1 )と同 法により純粋分離した。試料は,害菌発生頻度が最も高 いとされる夏 ( 7月)および冬 ( 1 2月)に,それぞれ 1 0試 に約 4カ月間培養する。ナメコ菌糸が充分繁殖した培地 料 ( 1 0平板)程度採取した。 (菌糸塊)を袋からとり出し合成樹脂製のスカシ箱に並 4 . 分離糸状菌の分類ならびに同定 ベて入れ,個々の菌糸塊間隙には,充分水を含ませた針 1 9 7 3 ), 純粋分離後の糸状菌は主として AINSWORTH7)( 葉樹材の鋸屑(滅菌せず)を詰めたうえ, 1O~150C ,湿度 GILMAN8)( 1 9 5 9 ),BARRON9)( 1 9 6 8 ),宇田川ら 10)( 1 9 7 9 ) 100%の発生室に適当間隔に積み重ね,菌糸塊から発生 などを参考として分類学的位置の検索ならびに同定を行 してくる子実体を採取,袋詰めして出荷する。 った。 小樽の場合は,新潟から,すでに 2 カ月間培養したポ 結果および考察 リエチレン袋入りの菌糸塊を移入し,袋の上部を開いて 発生室の棚上に適当間隔に並べ, 1O~150C,湿度 100% として子実体の発生を待ち,これを採取,袋詰めとして 1.分離糸状菌の分類と同定 ナメコ人工栽培各試料から得られた糸状菌は,富良野 出荷する。両所とも高い湿度を保つために,発生のほと の原材料である米糠から 1 1株 , んど全期間にわたり散水噴霧を続けている。 株,針葉樹鋸屑から 16株 , 接種室空中菌として 1株 , 2 . 糸状菌分離および培養培地 糸状菌の分離および培養にはブドー糖馬鈴薯寒天 (PGA)を用いた。 PGAは , ; t U 皮洗糠した馬鈴薯 300g を細刻し,水1s中に入れて煮沸した後,布鴻し,その 溶液に水を加えて uとし,これにプドー糖 20g,酵母 エキス 1g,寒天 15gを加えて融解,容器に分注の後 20 ポンド圧, 10分間滅菌した。 発生室空中菌として 53株 , シナノキ鋸屑から 13 また, 発生室における菌糸 塊汚染部の糸状菌として, 富良野では夏期 24株,冬期 1 8株 , 小樽では夏期 14株,冬期 17株で,合計 167株 である。 これらは分類学的位置を検索した結果, T且 b l e1に示 Table 1 . I s o l a t e d fungi froma r t i五t i a l c u l t u r eo fP h o l i o t anameko 3 . 試料および試料からの糸状菌分離計数法 1 ) 培地原材料の糸状菌 富良野において菌糸塊培養用のシナノキ鋸屑および米 糠と,菌糸塊聞に埋めこむ充填用の針葉樹鋸屑について 汚染状態を調べた。すなわち,これらの試料はその適量 (湿重約 0 . 5 g )を乳酸酸性とした PGA平板 3枚宛に散布 し , 27Cに培養後,発現した全ての菌叢から釣菌分離 0 し同培地平板に塗抹培養を繰り返して純粋分離した。 糸状菌数は 3枚の平板に現われた各菌種ごとの合計で示 した。 2 ) 空中糸状酋 接種室および発生室の汚染度調査には KOCH の落下 菌測定法を用いた。この場合,乳酸酸性とした PGA平 板 3枚宛を各室内で、 10分間開放した後, 27"C で培養し, 1 )におけると同様に純粋分離した。各菌種ごとの糸状菌 数は 3枚の平板の合計をもって示した。なお,接種室で の調査は,作業を終了し,ベンレートによる殺菌直後で Mucormucedo(LINNE)BREFELD i ¥ ; ! u c o rh i e m a l i sWEHMER み'gorhynchusexponensBURGEFF Trichodermav i r i d ePERSOONexGRAY P e n i c i l l i u mdecumbensTHOM P e n i c i l l i u mvelutinumVAN BEYMA P e n i c i l l i u ms t e c k i iZALESKI P e n i c i l l i u mr o q u e f o r t iTHOM P印 i c i l l i u l nb r e v i c olIψa c t u1lt DIERCKX P a e c i l o m y c e sv a r i o t iBAINIER G l i o c l a d i u1li roseum(LINK)THOM GraphiumaureumHEDGCOCK Dor 叫 o mycesmlcroや o r u s(SACCARDO) 乱10RTON e tSMITH Acremoniumb u t y r i(VAN BEYMA)GAMS C a l c a r i やo riumpallidumTUBAKI Chalaraparadoxa(DE SEYNES)SACCARDO Cladoψ0 門 U1 l th erbarumLINKe tFRIES A l t e r n a r i aa l t e r n a t a(FRIES)KEISSLER Fusariums p . 83 吉田・高尾: 北海道内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布 す1 4属 1 9種となった。以下に各菌種の性状を記す。 , JJFIACOI' ' l l t' l t C ι(10 (LINNE) BREFELDll) ( F i g .1 ) ¥ 1 u c o rb r c v i ρe sRIESS, f v I l l c o rp r o h f e r l l s Synonyms: l く分布する菌種とされている。 4)( Z : ! / YO'l・ ' / t i !/nch 制 se xp01wnsBURGEFFI F i g .3 ) 五 ,{ o r h y n c h u spolygoJloψo r u sPISPEK Synonym: Zy CZAPEK寒天上,ゆるい綿毛状,褐灰白色の菌叢をな SCHOSTAKOWITSCH CZAPEK寒天上,隔壁をもたない菌糸が分岐してよく す。菌叢の高さ約 1cmで裏面白色。菌糸に隔壁なく,多 発達し,灰白色,綿毛状の菌叢をつくる。菌叢は胞子嚢 数の厚膜細胞を菌糸中聞につくる。菌糸から分岐して胞 柄の形成により高さ数 cmにおよぶ。胞子嚢柄は基底菌 子嚢柄を形成し,又状または側校状に分岐する。各分校 糸および空中菌糸から立ち上がり,分岐せず,直径 30~ の先端は球形に膨らんで柱軸となり,その基部から球形 6 0 μ ,淡黄色か無色で隔壁をもたない。この頂端に隔壁 の胞子嚢を形成する。柱軸は球形で直径約 2 0 μ。胞子嚢 を通して胞子嚢を形成し,その基部から胞子嚢内に柱軸 は直径 25~55μ で灰色,薄膜,粗面を呈し,成熟すると を形成する。柱軸は球形,亜球形,ないし円筒形で直径 こわれ易い。胞子嚢内部に多数形成される胞子嚢胞子は 50~150μ ,長さ 70~180μ ,胞子 ;1警は直径 150~300μ の ほぼ球形,橋円形,時に多角形で直径 3.5~7 球形で補色,表面に細し、針状結品質を密生する。その内 滑である。 部に形成される多数の胞子嚢胞子は,惰円形,長精円形, ないし円筒形で,直径 4------5μ ,長さ 6~12μ で表面平滑, ほぼ無色。胞子嚢は成熟すると容易にこわれ,後に c o ¥ - {1,表面平 接合胞子を認めていないが,諸性質が GILMAN の記 載に一致しており,この種に相当すると考えられる。 富良野の原材料である米糠およびシナノキ鋸屑から合 l a r e t t e を残す。 接合胞子は認めていなし、が,その他の 計 5株得られた。土嬢菌として知られ,広く分布する糸 諸性質は GILMANの記載に一致し,この種に同定した。 状菌とされている。 富良野の原材料(米糠,シナノキおよび針葉樹鋸屑)か ら 3株,菌糸塊および子実体から 4株分離され,とくに “ 宜 、 ・ ichQ (l e l ' J jι uμ ・ i l l ePERSOON ex GRAyI5) ( F i g .4 ) 軟化した子実体上に多く,古い培養あるいは活力の弱っ た子実体に着生繁殖して軟化腐敗を進めるものと思われ る 。 1 50C以上でよく生育し, 10"C でも 3~10 日間で良 好な生育を示す。土壊中に広く存在し,腐生性である。 Synonyms: Trichodermal i g n o r u l l lTODEexHARZ, TrichodennatruncorumBAINIER CZAPEK寒天上,白色で薄く広がる菌叢をつくり,分 生子形成にともなって鮮緑色ないし暗緑色あるいは黄緑 2, 1 1 l i tCOl 'h imnnl 俗 WEHMERI 1 3 )( F i g .2 ) Synonyms: M llcorp a l l i d l l sNAUMOV,Mllcora l b u s PISPEK,f v I l l c o rIItl l s t e l i i n l l sPISPEK 色となる。裏面は白色である。菌糸は隔壁を有してよく 分岐し,気生菌糸より分岐直立して分生子柄を生じ,ほ ぽ直角に分岐をくり返して全体が針葉樹冠状をなす。各 CZAPEK寒天上,白色綿毛状の菌叢をつくり,胞子嚢 分岐の先端にブィアライドを形成しその下部に 2~5 個 柄の形成により菌叢の高さは約 2cmとなる。菌糸には のフィアライドを対生ないし輪生する。フィアライドの 隔壁なく,これから分岐して胞子嚢柄を単生する。胞子 多くは直径 2 , 5~3 /1,長さ 5~15μ, 時に先端の曲がっ 褒柄は分岐せず,その先端は隔壁を経て胞子嚢を形成 た棲形で無色。分岐の先端に形成されるフィアライドは し,その基部から内側に柱軸を形成する。柱軸は球形で 幾分細長い。各フィアライト‘の先に球形ないし惰円形, 直径 15~30μ で無色。!胞子嚢は直径 40~80μ で球形, あるいは円筒形のフィアロ型分生子を次々に形成して団 淡褐色。多数の胞子重要胞子を内生する。胞子嚢胞子は祐二 塊をつくる。分生子は直径 2.5~4.5μ,長さ 3~4.5μ ,緑 円形,長卵形あるいは長楕円形で,直径 2~3.5 (1,長さ 色で表面平滑で‘ある。 2.5~7.5 , 1 ( 表面平滑で無色。成熟した胞子嚢はこわれ 分離株は分生子表面が平滑である点で,宇田川らの記 易く,後に col ¥arette を残す。接合胞子を認めていな 載と異なり,また,分生子が球形,亜球形ないし卵形であ いが,諸性質は GILMANI2),宇田川ら 13) の記載すると る一群と,分生子が惰円形ないし長惰円形である一群と ころとほぼ一致しこの穫に同定した。 の少くとも二型が存存しており,それぞれ, GILMANI6) 富良野の菌糸擁に発生した子実体から 2株と,小樽の 0 記載の T .l i g n o叩 川 (TODE)HARZ,T .koningiOU- 冬期菌糸塊より 1株得られた。 1 5C以上でよく生育し, DEMANS に同定されるものである。しかし前者は, lü C でも 3~5 臼間に良好な生育を示す。 .v i r i d eとして扱われ その標準種が失われたことから T O 日本国内に広 北海道大学長学部邦文紀要第 1 3巻 第 2号 M ており,さらに, これらの区別困難とする BISByI7)に しその先端からフィアロ型分生子を連鎖状に形成し, よって T .v i r i d eに一括されることとなった経緯もあ ゆるい束状をなす。分生子は直径 2.5~3μ のほぼ球形 り,ここでは一応 T .v i r i d e としてまとめておくこと で , 表面に多数の小突起を有し,緑色で,連鎖は 30~ とした。 この種の分類学的位置については RIFAII8) な 1 0 0 μ に達する。 ども参考としてさらに検討したい。 富良野のナメコ子尖体発生室の空中からのみ 5株分離 富良野のシナノキおよび針葉樹鋸屑に多量に混入して された。 おり, 10株を分離,供試した。また,富良野,小樽両所 において子実体発生中の,とくに発生後期の菌糸塊によ Pω 仰 , く繁殖し 30株を分離,供試したが,富良野の発生室空 CZAPEK 寒天上,隔壁を有する菌糸がよく分岐発達 中からは 1株得られたにすぎない。 15C以上での生育 し灰緑色ないし青緑色どロード状,あるいはなわ状な 0 は著しく良く, lOoC でも 7日後にはほぼ良好となるが, いし綿毛状で中央部やや高い菌叢をなす。裏面は淡黄緑 分離株の約 1/3 は 3~4 日後には良好となった。 色。菌叢表面に無色の分泌水滴を生ずる。麦芽汁寒天上 小松 2) は福島,岐阜両県のナメコ鋸屑菌糸塊からの共 では灰緑色ビロード状に広がる菌叢となる。基底菌糸あ¥ .v i r i d eを挙げ,これを,ナメコ菌糸体を 通種として T るいは気生菌糸から分岐して多数の分生子柄を形成す 侵害し,子実体発生を阻害する害菌としているが分類の る。分生子柄は直径 2.5~3 /1,長さ 100~250μ で表面平 詳細については触れていない。 滑 , よく分岐して不対称の複輪生状を呈し,その先に直 径 2.5~3.5μ,長さ1O ~15μ のメトレを 3~5 本密生す rωωωl U ' l 制 n decu/l tb自附 THOM I9 • 20 ) ( F i g .5 ) る。各メトレの先端に 5~10 本のフィアライドをほぼ平 CZAPEK寒天上,隔壁を有して分岐する菌糸がよく 行に着生する。フィアライドは直径 2.5~3ρ ,長さ 7.5~ 発達し,灰緑ないし褐緑色,ピロート状の菌叢をつくる。 8 . 5 μ のボーリングピン状で,わずかに粗面を呈しその 裏面は淡緑灰色かわずかに緑色を帯びる。菌糸から分岐 先端から分生子の連鎖を生ずる。分生子は球形ないし短 した気生菌糸がゆるいロープ状をなして菌叢中心部から 楕円形,直径 2~4μ,滑面あるいはわずかに粗面。分生 形成される。気生菌糸は分岐して多数の短い分生子柄を 子の連鎖は直径 20~50μ,長さ 50~200μ のゆるい束状 形成する。分生子柄は表面平滑か細かし、粗状で,直径 となる。 2.5μ ,長さ 50~70μ, 分校せず,頂部はわずかに膨ら み,フィアライドを単輸生状に,平行して数個を密生す るo フィプライドは直径 2~2.5μ,長さ 7~9μ のボーリ ングピン状で,先端から球形ないし楕円形の分生子を連 0 15C以上で良く生育し 1 0Cでの生育は良好となる 0 のに一週間以上を要する。 富良野のナメコ人工栽培で子実体発生中の菌床からの み 2株得られた。 鎖して形成し,ゆるい束状をなす。 富良野のナメコ人工栽培用の原材料ならびに子実体発 生中の菌床から合計 6株分離されたが,原材料の米糠か Pωμc i l l 印刷 o' l uefol't iTHOM23, 2 4 )( F i g .8 ) I' Synonyms: P e n i c i l l i u mr o q u e f o r tSopp,P e n i c i l l i u m ら 1株のほか針葉樹鋸清から 4株得られ,この材料には r o q u e f o r t iTHOMv a r .初 出demanniWE- 多量に存在すると考えられる STLING,P e n i c i l l i u ma t r o v i r i d eDIERCKX,P e n i c i l l i u ma t r o v i r i d u川 P e n i c i l l i ' w / J I , v e l t t t i m U l l tVAN 2 )( BEYMA1 F i g .6 ) CZAPEK寒天上,隔壁を有する菌糸が分岐発達し,裕 SOPP, P e n i c i l l i u mv e s i c u l o s u mBAINIER,P e n i c i l l 山川 a romaticumSOPP,P e n i c i l l i ulIl g οr g o n z o l a ¥VEIDEMANN,P e n i c i l l i u m 緑色, ビロード状で,中心部が灰緑色,綿毛状となる菌 s t i l t o l lBIOURGE,P e n i c i l l i u ms u a v e o l e n s 殺をつくる。裏面帯褐色。基底菌糸あるいは長くからん BIOURGE,P e n i c i l l i u mb i o U l ・ " g e iARNA- だ気生菌糸から分岐して分生子柄を形成する。分生子柄 UDI は直径1. 5~2μ ,長さ 50~100μ ,表面平滑で分岐せず CZAPEK 寒天上,隔壁を有する菌糸がよく分岐発達 単輸生状を呈するか,一度分岐してその先にフィアライ し,陪緑色ないし'灰緑色ビロード状に薄く広がる菌叢 フィアライドは直径 2~2.5μ,長さ 9~ をつくり,裏面淡黄緑色となる。基底菌糸または気生菌 1 0 μ のボーリングピン状で, 3~10 本をほぼ平行に着生 糸から分岐して分生子柄を形成する。分生子柄は直径 ドを形成する。 吉田・高尾・ 4~6 (1,長さ 100~250 8 5 北海道内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布 (1,著しく粗面を呈し, 1~2 段に 速やかに薄く広がる貰褐ないしオリープ色の菌叢をつく 分岐して不対称,複輪生状を呈し,ゆるく散開する。メ り,分生子形成に伴い表面粉状となる。裏面は無色ない トレは直径 3~4μ ,長さ1O ~15μ ,粗面で 3~4 本が群 し淡緑色。基底菌糸層およびロープ状によじれてからま 生する。その先端に 3~7 本のフィアライドをほぼ平行 る気生菌糸からほぼ直角に分岐して短い分生子柄を形成 に群生する。ブィアライドは直径 2.5~3μ ,長さ 8~10 ρ し,その先端あるいは,さらに分岐した先端およびその の長い雲型で,表面平滑。その先端から分生子を連鎖、状 側面から,納長い虐状のフィアライドを単生または散開 に形成する。分生子は直径 3~4.5μ ,ないし 6μ の球形, 型に輪生する。各フィアライドの先端から分生子の連鎖 亜球形で表面平滑。その連鎖は 50~100 μ に達し,ゆる を生ずるが,連鎖は長く散開型をなす。分生子柄は直径 い来状となる。 2.5~3.5μ,長さ1O ~50μ で表面平滑。 ブィアライドは 富良野のナメコ人工栽培用の針葉樹鋸屑から 2株,子実 直径 3-4(1,長さ 10-20μで長形の曇形をなし基部は 体発生室の空中から 1株得られた。 太く丸く, ~良部は細長く先が襲撃曲しており,表面平滑で ある。分生子は直径1. 2~4μ,長さ 2.5~6.5μ の楕円形 PelucUliu: / ltb / '(jI J i c o /JI,}Ja c t ll : l/ l , DIERCKX25) ( F i g .9 ) で表面平滑,褐色を呈す。 土壌中に分布の広い菌であるが, TUBAKIお)によりハ e n i c i l l i u mc r a s s ulJl SOPP,Peni ι , : i l l i u川 Synonyms: P b i a l o w i e z e n s eZALESKI, P e n i c i l l i u mh a e l l i c i l l u u μ p a t r i s m e i gemi ZALESKI,P ラタケからも分離されている。 富良野のナメコ人工栽培原料であるシナノキ鋸清から 1株,針葉樹鋸屑から 2株分離された。 ZALESKI,P e n i c i l l i u ms z a f e r i ZALESKI “ (}Uocl l U ' WlIt ' / ' o s e u : /J I , ( LINK) CZAPEK寒天上,隔壁をもっ菌糸が分岐発達し,灰 緑色, THOM29, 3 0 )( F i g .1 1 ) ピロード状の菌叢をなすが,直径 2cm程度であ まり広がらない。裏面は灰黄緑ないし灰緑補色。基底菌 CZAPEK 寒天上,隔壁を有する菌糸がよく分岐発達 糸および気生菌糸から分岐して分生子柄を直立する。分 し,はじめ白色で後淡黄燈色ないし淡桃色ビロード状, 生子柄は直径 3.5μ ,長さ 100~300μ で,隔壁を有し, 中心部は帯緑色綿毛状の菌叢をなす。裏面は淡黄褐色。 幾分粗面。 2~3 回あるいはそれ以上に不規則に分岐し 基底菌糸ならびに空中菌糸から分岐して分生子柄を形成 て不対称の多輪生体をなす。分岐は直径 4~7ρ ,長さ する。分生子柄は幾分粗面で直径 4~5μ,長さ 50~200 10~15μ で,先端部分に膨らみをもち,その上にメトレ んその頂部は 2~3 段あるいはそれ以上に分岐してペニ を密に群生する。メトレは直径 3~6μ ,長さ 7~10μ で シラスを形成する。メトレは直径 3~4μ ,長さ1O ~12.5 先端膨らみ, 3~6 本を多少散開型に群生する。メトレの μ の円筒状で数本をややゆるく群生し,その先に長フラ 先に棲型のフィアライドを 3~6 本密生し,その先端か スコ型のフィアライドを着生する。フィプライドは直径 ら分生子を連鎖状に形成する。 2 , 5~3.5μ ,長さ 5~10μ でその先端からプィアロ型分生 フィアライドは直径 3~ 3.5μ,長さ 7~9μ ,時に直径 5μ に膨らむものもある。 子の短い連鎖をゆるい束状に形成する。分生子は直径 分生子は直径 3~4.5μ の球形ないし亜球形でわずかに粗 3~3.5μ ,m;:球形ないし卵形をなす。 西を呈し,ゆるくからみ合った連鎖の束をなす。 RAPER と THOM30)の記載する同種とほぼ同様であ 富良野のナメコ人工栽培用の米糠から 3株得られたほ るが, 同種記載の分生子は直径 3~4μ , 長さ 5~7μ と か , 子実体発生室の空中から 1 6株 , 子実体発生中の汚 長形であり,群生したフィアライドの頂部に分生子の粘 染菌床から 3株得られ,原材料ならびに発生室がこの菌 質塊をつくるもので,分離株の性状と幾分異なる。しか によってかなり汚染されていることを示している。 0 200C 以上での生育は良好であるが, 15 C,1 0C では u 良好な生育を示すのに 1~2 週間を要する。 し近縁の P e n i c i l l i u mに該当するものがなく,粘質塊 の形成も培養条件によって異なることもあって,この種 とした。 小松2) は福島県のナメコ菌床から Gliocladiumd e l i P((,(jc i l O1n yces v(tl'ωt iBAINIER26, 2 7 )( F i g .1 0 ) Synonym:δ子i c a r i ad i v a r i c a t a(THOM)GILMAN et ABBOTT CZAPEK寒天上,隔壁をもっ菌糸がよく分岐発達し, q u e s c e n sを分離し,これがナメコ菌糸を侵害し,子実体 発生を阻害するとしている。 富良野の原料鋸屑より 2株,子実体発生室空中より 6 株,発生中の菌床より 1 4株得られ, ナメコ人工栽培施 8 6 北海道大学長学部邦文紀要第 1 3巻 第 2号 設の各所に広く分布していると考えられる。 15~200C 。“ 菌床からも分離されている。 富良野のナメコ人工栽培発生室の空気中から 1株得ら における生育は良好である。 れた。 l ': l J h ut l M(J;tt'1 ・ m, t llιHEDGCOCK , CZAPEK 寒天上に隔壁を有する菌糸がよく分岐発達 し,白色の薄い菌叢をなす。裏而桃色。基底菌糸の~{I陥i ACI ・ ellw1l i I UJ / lb b u . t l lJ'i(VAN BEYMA) GAMS28, 3 3 )( F i g .1 3 ) および端部から直立して分生子柄を生じ,その先端から Synonyms: T i l a c h l i d i u mb u t y r iVANBEYMA, G l i o - 直接またはさらに分岐した上に出芽型分生子を単生ある mω t i xl a v i t s k i a eZHDANOVA, Cψh a l o - いは輪生する。分生子柄 lì直径 2.5μ,長さ 5~20μ で無 ψo r I ul/lkhandalenseTHIRUM., Cψh a l o - 色。分生子は倒立卵形または長い棋棒状で,直径 2~2.5 μ,長さ 5~7μ,無色。また,基底菌糸から立上がり, 、 ; p o r i u mmyco ρh ilum(CORDA)TUBAKI CZAPEK寒天上,隔壁を有する菌糸がよく分岐発達 隔壁を有する多数の分生子柄が束状の分生子柄束を形成 し,黄緑色綿毛状の菌叢をなし,後,中心部白色となる。 し,その先端部分に先細,円筒状のフィアライドを着生 裏面は緑褐色ないし陥オリープ色となる。気生菌糸ある し,その先から分生子を単生し,これが粘質塊に包まれ いはなわ状に発達した菌糸束の側面から直立して短い分 る形もある。分生子柄束は直径 30~40μ ,長さ 150~ 生子柄を生じさらに分岐してフィアライドを形成する 2 5 0 μ で,その下部は黒褐色を皇し,上部程淡色となる。 か,または菌糸の側面および頂端に直接ブィアライドを 頂部の粘質塊は直径 50~80μ ,始め無色で,後,淡褐色 着生する。フィアライドは首長で細長いフラスコ型をな となる。粘質塊中の分生子は直径1. 5~3.7μ,長さ 2.5~ 1 5 μ の長楕円形または倒卵形を呈す。 し直径 2~2.5μ ,長さ約 30μ。その先端からフィアロ 型分生子を形成し, 樹木,木材によく着生して変色の原因をなす31)。小 〆 松 2) は岐阜県のナメコ鋸屑菌床から同属菌 Gra UUIU sp を分離したが,ナメコ菌糸との対峠培養では, ナメ コ菌糸によって被覆されたとしている。 富良野のナメコ人工栽培用の針葉樹鋸屑ならびに子実 体発生室空中,小樽の子実体発生中の菌床から各 1株 , l f 占質物により集塊をなす。分生子は 直径 2 . 5 μ,長さ 5 μ の長楕円形ないし僅かに轡曲した ソーセージ型で無色。 土壌中に広く分布するほか,マメザヤタケからの分離 例があるお)。小松 2) は福島県のナメコ鋸屑栽培菌床から Cephaloそtoriummyc ψhilumを分離したが,ナメコ菌 糸に対する桔抗作用は認められなかったとしている。 富良野のナメコ人工栽培用の針葉樹鋸屑,発生室空中, 合計 3株得られた。 ならびに夏期の菌床から各 1株,小樽の夏期菌床から 5 DO' l 'atmnyc 掛 川i CI'O S P O ' l ' l l S(SACCARDO) 32) ( F i g .1 2 ) MORTONet SMITH Synonyms: S tysanus川 i c r o s p o r u sSACCARDO,Gra ・ ρhiumg ra/llinumCOOKE CZAPEK寒天上,菌糸は隔壁を有してよく分岐発達 し綿毛状,陪緑色ないし黒褐色の菌叢をなし,基底菌 0 株分離された。供試 8株はいすーれも 2 0 Cで生育良く, lO O Cでも 1 0日間以内に良好に生育する。 “ C,learisp01' i ' WlI ιpal l ; i d ' I l ; 1 1ι TUBAKI28)( F i g .1 4 ) CZAPEK寒天上,隔壁を有する菌糸がよく分岐発達 糸より直立して隔壁を有する分生子柄を束状に形成し し,白色綿毛状に広がる菌叢をなし,表面粉状となる。 分生子柄束となる。分生子柄束は黒褐色を呈し,その上 基底菌糸から長く,時にゆるくより合わさった気中菌糸 音g では分生子柄が数段に分岐した後,暗色,フラスコ型 を生じこれらからほぼ直角に分岐して分生子柄を形成 のアネロフォアをつくり,その先端からアレウロ型分生 する。分生子柄は輪生することなく,細長く,中央部や 子を短い連鎖状に着生する。分生子柄は直径 1~2 目 5 ん や膨らみ,先端部丸く膨らみをもち,多数の沈状の突起 分生子柄束は直径1O ~30μ,長さ 300~500μ に達する。 を生じて,これから出芽型分生子を塊状に形成する。ま アネロフォアは直径 2~3μ ,長さ 5~8μ。分生子は直径 た,気生菌糸あるいは分生子柄の中間側面にも 1ないし 2~3 f', 長さ 3~5μ で暗緑色,卵形ないし長卵形をな 数個の膨らみと突起を生じ,あるいは沈状に突起を密生 し表面平滑,基部は角張っていることが多い。 してこれに分生子を着生する。分生子柄は直径1.5~3.5 きのこからの分離例もあ μ,長さ 4 0μに達する。分生子は倒卵形ないし:長倒卵形 る32)。小松 2) により,福島,岐阜両県のナメコ鋸屑栽培 で直径 2~3μ,長さ 2.5~7μ。無色で表面平滑。大凡 1 土壌中に分布するとされ, 8 7 吉田・高尾: 北海道内ナメコ人工栽培における糸状繭の分lI1 f 闘の油滴を含む。 YAMAMOTO 椿により群馬県の変形菌類 S t e m o n i t i s( むらさきほこ りかび)から分離,報告された記載に一致する。 CZAPEK寒天上,隔壁を有する菌糸が分岐してよく 発達し,灰緑黒色ビロード状に広がる菌叢をなす。裏面 富良野の冬期菌床から 1株,小樽の夏および冬の菌床 から各 2株,合計 5株を分離した。 200 C における生育 黒色。基底菌糸または気中菌糸から分生子柄を直立し, その頂端に分岐しながら連鎖、する分生子を樹状に形成す 0 , 100 C では 10日以上を は良好であるが, 15C では 7日 る。分生子柄は直径 4μ 前後で,長さ 2~200μ あるい 経て良好な生育を示す。 はそれ以上のものもある。褐色を呈す。分生子は直径 4.5~6μ, Cltal 仰 'ap 酬 ' fuloXH(DESEYNES) 長さ 4.5~23μ あるいはそれ以上。連鎖、の基 SACCARD034)( F i g .1 5 ) 部に近いもの程大きな長楕円形で褐色を呈し,隔壁を有 するものもある。また,表面に多数の細粒を有す。連鎖 Synonyms:, Sρoroschisma paradoxa DE SEYNES, の先端程楕円形ないしレモン型の分生子となり,小形と Th沿 i ; た e α l μ 卸 ,v i ψ o ' p s 幻 μ z 削 spaγ ra ゐ d ' , oxa (DE SEYNE到 S ) なる。褐色でで、あるが表面は平滑に近くなる。分生子の上 H凸 白HNEL,End町 oc 仰 on i d i . ω ω U 1 川1 川 1 I I } ρr 官 μg , LACR.,必 St i l ω bo c h a l ω ar ad i 川 川 1 1101 φ p仰 ha FERD. e tWINGE,H u g h e s i e l l a印 r i c o iBAT .e t る一方の分生子の上部の突起に飯合する形で連結する。 富良野のナメコ子実体発生室の空中から 20株が得ら れ,多数分布していると考えられる。 VITAL CZAPEK寒天上,隔壁をもっ菌糸がよく分岐発達し, また,富良野の子実体発生中の菌床から 2株,小樽の 灰白色,綿毛状に広がる菌叢をつくる。裏面は幾分暗色 菌床から 1株得られたほか,富良野の接種室空中菌とし となる。基底菌糸あるいは気中菌糸から直接または 1~ て認められた唯一の糸状菌である。 150 C以上での生育 2段に分岐して短い分生子柄をほぼ直角に形成しその にくらべ 10Cでの生育は良くなかったが,低温環境で 上にフィアライドを輪生,対生,または単生する。フィ 普遍的に発育する糸状菌である。 0 アライドは基部が丸く膨らむ太腿状で,先は細長く,基 部の直径 5~10μ,細長い先端の直径は約 2.5μ,長さ Alternw l 'i aa l t ω'1Mtt向 (FRlES ) 30~100μ で無色。その先端部の内側から,隔壁によっ 3 7)( 3 6. KEISSLER F i g .1 7 ) て分割されたフィアロ型分生子を連鎖状に形成する。分 Synonyms: T orula a l t e r n a t a FRIES, A l t e r n a r i a 生子は直径 2.5~3μ,長さ 5~10μ の円筒形で,両端は t c n u i sNEES 裁断状。連鎖は長く,約 500μ に達する。連鎖の先に近 CZAPEK寒天上,隔壁を有して分岐する菌糸がよく づく程,分生子の直径は小さくなるとともに角が丸味を 発達し,黒色ビロード状,または粉状に広がる菌叢をな 帯び,先端の分生子は卵形となることもある。厚膜胞子 す。裏面黒色。基底菌糸または気中菌糸上に短い分生子 は認められないが,その他の性質はよく一致しこの種 柄をつくり,その上にポロ型,倒根棒状,倒洋梨状,あ に同定した。植物病源菌として世界的な汎種とされて るいは卵形て、縦横に数個の隔壁をもっ黒褐色の分生子を し 、 る 。 分岐しながら連鎖状に形成する。分生子は直径 9~15μ , 富良野のナメコ子実体発生中の菌床から 1株を分離し た。 20 0 C にくらべ1O ~150C での生育はかなり劣り,良 好な生育には 7~10 日闘を要する。 長さ 15~60μ で机面または滑面。時に円錘形ないし門 筒形の頚部を有する。 富良野のナメコ人工栽培用米糠から 2株,シナノキ材 の鋸屑から 1株分離された。 Cl(ulosP01・4甘'.11~ hel'ba'j可 wnLINKe t F;附lwin 川 F R I E S 3 1 . 3 5 . 3 6 )( F i g .1 6 ) Synonyms:Dcmatiu l J / φψh y l l ulIl PERSOON,De- sp ・ CZAPEK寒天上,隔壁を有して分岐する菌糸がよく matiulIl herbarulIl PERSOON,C l a d o . ' ψ0- 発達し,白色綿毛状の菌叢をつくる。菌糸の中間または r i ulJl. e p 砂hyllum PERSOON e t FRIES, 端部に j 享膜胞子を形成する。菌叢裏面は白色ないし淡桃 Cladosporiumgrami η um PERSOON e x 色を呈す。菌糸に短い分生子柄を直立して,これに,あ CORDA, C ladoや o r i u 1 l l MAN,C ladoや o r i ulIl 川 }旬 OUDE- るいはさらに分岐した分校上にフィアロ型分生子を単生 u l t i g c l l i c u l a t ml1 ないし群生する。分生子は単細胞,梨型ないしソーセー 北海道大学農学部邦文紀要第 1 3巻 第 2号 8 8 Table2 . Key t ot h es p e c i e so fi s o l a t e df u n g i n i t i n gt o -Filamentso n e c e l l e d ;a s e x u a ls p o r e su s u a l l yi n sporangia; s e xc e l l swhen present,u form r e s t i n gs p o r e s .( S u b d i v i s i o nZygomycotina). Asexuals p o r e st y p i c al 1y i n sporangia(Order. M u c o r a l e s ) . ' i aglobose,columeUapresent(FamilyMucoraceae). Sporang Rhizoidand s t o l o nn o t formed. -Sporangiophores notbranched. 「sporangia100300μindiameter; sporangiospores oblong."…......・ ・ .Mucorm ucedo Sporangial e s s than100μin diam., -S porangiosporeslongo v a l . . . . . . . . . . . . . . . M.h i 仰 t a l i s H -Sporangiophores sympodiallybranched,sporangia50-100μindiam.,sporangiospores globose,polyhedric ..…・・ ・. . . . . . . . . ・ ・...…・…… ・… . . . . . . .… ・ ・ . . み' g o r h y n c h u sexpone J /s H H H -Filaments s e p t a t e ;s e x u a lc y c l e not recognized( S u b d i v i s i o nDeuteromycotina). Conidiaborne on conidiophores;a c e r v u l e sorp y c n i d i anot formed( C l a s sHyphomycetes). -Conidiao fb l a s t o s p o r et y p e( S e r i e sB l a s t o s p o r a e ) . Iv e c o l o r e d,c o n i d i ai nc h a i n sa c r o p e t a l,longt os h o r tlemonshaped C o l o n i e s dark ol .Cladoゆ 01・ iumh e r h ω・ um -Conidia i n sympodiospore t y p e( S e r i e sSympodiosporae). Colonieswhite;c o n i d i aformedon d e n t i c u l a t e apexo rons i d ee c h i n u l a t e so f ・… . . . . . . . ・ ・-…田…………… C a l c a r i べ t o r i u1J1 p a l l i d u1lt conidiophores …・ … … … … ・.....・...… ・ H -Conidiai na l e u r i o s p o r et y p e( S e r i e sA l e u r i o s p o r a e ) . Coloniesdark c o l o r e d ; conidiophoresi n synnemata; c o n i d i a onec e l l e d . 1=~~~~1}~ ~~ 山 田 b a l l,obovate o r long e l l i p t i c a l .・……・ …・・・・・:・ Graph山 Jl aUl'e U I I I -Conidiai ns h o r tc h a i n,o v a lt olongo v a l,dark green c o l o r e d DOl'atomycesmic 問 、ψo r u s -Conidia o fp h i a l o s p o r et y p e,b a s i p e t a l l y formed from t h e apex o fp h i a l i d e s ( S e r i e sP h i a l o s p o r a e ) 目 Conidiaone c e l l e d . Conidiophoresnoti n synnemata. Conidiac a t e n u l a t e . -Colonieso fgreent u r f ; branchesi nb r u s h l i k ep e n i c i l l i . 1a t a ) ;c o n i d i aa l r n o s t P e n i c i l l ii ns i n g l ev e r t i c i l so fp h i a l i d e s(Monoverticil r n o o t h. . . . . . . .・・・・…・・・・・・・・・・ . . . . . . . . .… ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ P e n i c i l l i u md e c u l l l h e J /s round,s P e n i c i l l im o n o v e r t i c i l l a t eo rwithonebranchi nunequali n length; c o n i d i a a l lechinulated . . . ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・ . . . . . . … ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … ・ . . .P .v e l u t i ・ nUlIl globose,w P e n i c i l l io fb i v e r t i c i l l a t aasymmetrica H e e 1 = 仏 ζ C ω 山 0 山 … … ; パc∞m叫仰ω0叩凶叫n叩叫吋耐凶耐id出耐州叫i ω 一Coloniess p r e a d,dark green; brancheswithgranularw a l l ;c o n i d i ag l o b o s e, 1 し日♂一一〈也一一〈也一 smooth-walled……...・ ・-……・・ …...・ ・ . . . . . ・ ・-… . . . ・ ・ . .… … … … P .r o q uげοr t l Coloniesr e s t r i c t e d,p e n i c i l l ic o r n p a c t,2o rmoretimes i r r e g u l a r l ybranched; branchappressed, .wedge-shaped;c o n i d i aglobose t osubglobose;w a l l s s l i g h t l yroughened … … .................................... ・…田・・ .P .b r e v i c o m p a c t U1Jl H H H H -Coloniesins h a d e s .o fyellowish brown,powderys u r f a c e ;branchesand p h i a l i d e s i r r e g u l a r l yv e r t i c i l l a t e d ;p h i a l i d e slong, c u r v e d ;acuminated ・ . P a e c i l o川 v c e sv a r i o t i -Colonies : vhite;conidia brick forrnor elliptical,produced frorntaperedlong cyl i n d r i c a lph i a l i d e s .......……・・・・・・・…・・ ・・・・ ・ ・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … . . . . . . . .C halal'aparadoxa -Conidiaadheringt oformb a l lontheapexo fp h i a l i d e s spreading ,hyaline,withgreen shadesoffruitingareas; conidiophores e r e c t,branchingo p p o s i t e. . . . . . . . . . . . . : . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . 1、r ichodennav i r i d e -Colonies whitet oyellowishgreenc o l o r e d ;conidiphores simple,s h o r tt os l e n d e r . -Acremoniu1Ii b u t y r i -Colonies. p i n k i s ht ogreenishc o l o r e d ; conidiophores p e n i c i l l a t e l ybranching, a p p r e s s e d . . . .・ ・ ..............................…・・・・ ・・・・・・・…・............... G l i o c l a d i u/ll r o s e u J I I -Coloni~s Conidias e p t a t e,b o a t s h a p e d . .・・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … ・ ・ ・ ・ . . . . . . . . . . . . . . . . .F usal'iums p . . fporospore(SeriesPorosporae) -Conidiao ~olonie~ alm~st b l a c k ;c o n i d i ac a t e n u l a t e,a c r o p e t a l l y,muriformwith3-5c r o s s w a l l s, brownish-black・ ・. . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . . .・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ 田 ・ ・ ・ ・ ・ ・ … ・ ・ . . . . . . . . . . .・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ … ・ ・ . .A l t e r n a r i aa l t 凹' J /a t a 8 9 吉田・高尾: 北海道、内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布 ジ型が多く,直径 2~3ρ,長さ 4~6μ。 1~3 隔壁を有 合は夏冬各 1 0試料より得られた合計菌株数を示す。 このうち,Zygorhynchuse xponensおよび Fusa門 um して多細胞からなる船型の大分生子は,直径 3~5μ,長 さ 15~25μ で無色。 sp. は米糠およびシナノキ材の鋸屑のみに限って分離さ 富良野のナメコ人工栽培用米糠から 2株,シナノキ鋸 れており,その他の原材料や接種室,発生室の空中には }青から 1株得られた。 存在せず,富良野,小待両所における汚染菌床にも認め 各菌種への検索表を Table2 とした。 られていない。したがって,これらは,格地の滅菌が充 2 . 糸状菌の分布 分であれば発生中の菌床に影響することは考えられな い 。 P a e c i l o m y c e svaη・ " ot iはシナノキ鋸屑とともに菌 分離糸状菌各種の試料ごとの分布を Table3に示 した。 床間充填に用いる針葉樹鋸屑にも存在したが,接種室, すなわち,分離 1 6 7株について,分離源ごとに各菌種 発生室空中には認められず,汚染菌床からも分離されて の菌株数を示してある。原材料ならびに空中より採取し いない。しかしこの菌種ははらたけからの分離例もあ たものは平板 3枚より得た合計菌株数を,汚染菌床の場 り,きのこ類に寄生可能なものとして注意を要する。 Table 3 . D i s t r i b u t i o no fi s o l a t e df u n g ia s a contaminant from h o l i o t anameko a r t i f i t i a lc u l t u r eo fP Furano Sawdust Fungi . . 唱 ロ q 』 0 U J 凶 あ 語 e E dて ' コ 障 C D cπ c 注 o コ ζ ぴ 〉 人 c < : 2キ 3ホ FusariuJn s p . 2 1 1 P a e c i l o m y c e sv a r i o t i A l t e r nωi aa l t e r n a t a 叫 ョ = 司 g 品 c 門 ロ に c J H口 吋 Zygorhynchuse : c p o n e n s Otaru Air Raw m a t e r i a l Mycelial massMycelial mass . E b 5 O L t 5 戸 H D P 与4 q E a q 〉J 凸 日 ロ ぴ コ Total 相 ' ' ω E ω 判 日 ロ ・ = ぴ 7 同 = 戸 ー ' 与 司 民 ロ qJ .* * 5 3 2 3 2 1 2 3 l 3 P e n i c i l l i u11l velutinum 5 5 Doratomyces川 icmや orus 1 Peni c i l l i u mmquげa r t i MUC01 ・llIu c e d o 1 P e n i c i l l i u mdecumbcns 1 Peni c i l l i ul/t l n・ ' e v i ι : O/Il pactuIII 3 1 1 1 4 4 16 7 1 6 3 22 T r i c h o d e r l l l av i r i d e 6 4 1 7 1 2 G l i oc/adiumroseum 1 l 6 4 2 1 Acremo川 ;umbuかげ 1 1 Graphiu川 a l l r e u m 1 l 4 4 1 8 22 5 8 1 3 1 1 1 24 Mucorh i elJla l i s 1 1 1 3 P e n i c i l l i u ms t e c k i i 2 Clad ο ,や o r i ulIl herbarum 1 20 7 2 C a l c a r iモt o r i u l l lpallidum 1 Chalarap a r a d o _ l 刀 1 Total 木 神 づJ人 1 6 I 1 I53 I 24 1 8 2 2 5 1 I Totalcolonynumber offungi col !ected frorn 3p a r a l l e lp l a t e s . Totalcolonynumber o f fungi col !ected frorn 10samples of r n y c e l i a lr n a s s . Not d e t e c t e d . 十三二土 9 0 北海道大学農学部邦文紀要第 1 3巻 第 2号 A l t e r n a r i aa l t e r n a t a,P e n i c i l l i u m roquげ' or t iは , それぞれ米糠,針葉樹鋸屑に存在したほか,P e n i c i l l i ul I l み分離されたのは水分過剰の影響のように忠われる。 接種室空中に認められた唯一の糸状菌である C lado- v c l ut i n u l l l,lJo r a t o l l l , y c e s' m i c r o, ψorus とともに発生 ゆoriumh e r b a r u l l lが発生室空中にも著しく多量に存在 室の空中に存在したが,菌床を汚染するにいたっていな したにもかかわらず,菌床での汚染度は比較的小さく, い。これらの糸状菌は,原材料や発生室空中に存在しな ナメコ菌床への影響は少いものと考えられる。この菌は がら菌床には認められなかったもので,商床汚染の可能 原材料には存在せず,発生中に大量に噴霧される水に混 性は小さいと見ることができる。これに対し Mucor u c e d o, P e n i c i l l i u mdecumbens ,P .brevi-compactum 叫 は,米糠,鋸屑の原材料,発生室空中に認められると同時 に,富良野の夏期菌床の汚染菌として出現し,前 2者は 入している可能性があり,噴霧用水,器具などの清浄化 に留意する必要がある。 Mucor h i e l l l a l i s ,Penicillium s t e c k i i ,Calcali‘ψ0rium p a l l i d ul I , Chalarataradoxa の 4種は,富良 滅菌しないままで用いられる針葉樹鋸屑に由来して菌床 野,小樽両施設の菌床および子実体から分離され,広く を汚染し,P .b l・ ' c v i c olIψactum も米糠と発生室空中に 分布する汚染菌と見られるが,原材料,発生室空中など 著しく多いことが菌床汚染につながった可能性が強い。 Trichoderma v i r i d e,Clicoladium roseum,Acre1 I lo nium b u t y r i , Cra ρhium aUreUIll, Cladoψ01・i UIll には認められず,混入経路は明らかでない。これらの着 生,繁殖はナメコ発生過程の比較的後期と見られ,昆虫 などによる搬入も考えられる。 herbm ・ U 川 の 5種はシナノキ鋸屑のほか,針葉樹鋸局、に 富良野と小持では生産過程が異るものの,発生過程に 存在し,さらに発生室空中にかなり分布しており,富良 おいてはほぼ同様であり,汚染繁殖する糸状菌にもほと 野,小樽両施設の菌床を著しく汚染していることが明ら んど差はないと見てよいようである。そのうちで共通す かとなった。ことに Trichodcrma,C l i o c l a d i uJ l . , およ ' ri c 加 ho フ ゐe d r 川 av 口川 i d e と考考-えられ る最も重要な害菌は 1 A c r e l l l o n i u mは,菌床上における発生頻度が他にく る 。 Tri た c 加 h Z 叩o de 引r 川 d は富良野の発生室空中には比較的少 ' r i c h o d c n l l aは汚染菌床のほとん らべて高い。中でも ] い。小樽の発生室においても空中菌を採取したが,散水 ど全部から分離されたほどであり,緑色系の鮮明な色彩 中の調査となって正確なデーターを得るにいたらなかっ び 勾 によって菌床上での繁殖が目立ち易いとは言え,菌床汚 た 。 染頻度としては他にくらべて格段に高いことは栽培業 菌殺を見たに過ぎず,両施設とも発生室空中には少いよ 者,指導員の一致した意見であり,今回の試料採取にあ うに思われる。ただ,散水過剰の場合には,棚の上部の たっても,肉眼的な判断だけでも仕込み菌床の約 50%に 方の菌床 汚染菌床から,滴下する水に乗じて胞子等が F しかし 2室 6枚の平板に 2個の T r i c h o d e r 川d 同菌発生が認められている。この Trichodennaは,シ へと集中され,汚染を拡大する結果を招くことが考えら ナノキおよび針葉樹鋸屑材料中に比較的多く見出だされ れ,このような例が多いことから,発生期間中の水管理 ており,木材腐朽菌であるだけに,鋸屑中には常に多量 には特別の留意が必要である。 に混入していると考えなくてはならない。このため,原 材料の精選と糸状菌増殖の抑制,さらに汚染糸状菌の飛 発生室菌床上に発育する T r i c h o d e l川 d の汚染源とし ては鋸府類が考えられるが,富良野の場合は,滅菌しな 散拡大を極力防ぐなど充分な管理が必要であり,滅菌管 いままに水分を含ませて菌床聞の充填に用いる針葉樹鋸 理に配慮が必要で、ある。針葉樹鋸屑を滅菌しないままで j 白は,汚染源として最も可能性が高いと見てよく,滅菌 菌床聞の充棋に用いることは,汚染源を接種したと同様 後使用することが望ましい。 の結果をもたらすと見なければならなし、。 liocladiumは,ナメ 菌床に認められたものとして ,C また, T r i c h r d e r l l lCl はナ メコ子実体発生の後期ないし:発生終了後の菌床に著しく 多発する傾向が認められ,菌床の老化,ナメコ菌の劣化 コ菌糸に対する桔抗性を有する種を含んでおり,また, に伴い汚染頻度が高まるものと思われる。この点につい Acremoniumについては,ナメコ菌糸に対する害作用 てはさらに詳細な検討が必要である。 は不明であるが,マメザヤタケからの分離{J"1jもあること から,ともに注意すべき菌と思われる。 Acremoniu1I/ は 3年度北海道立林産試験場委託研 尚,本研究は昭和 5 究によった。 富良野,小樽両施設において,夏期の汚染菌床からのみ 分離されており,繁殖に好適であったと考えられること から,環境条件による制御の可能性が示唆される。 Craphiul I lも木材腐朽菌であるが,小樽の菌尿からの 要 約 北海道内 2カ所のナメコ人工栽培施設を対象として, 鋸屑・米糠栽培における有害糸状菌の実態を調べた。す 9 1 吉田・高尾: 北海道内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布 なわち,富良野においては,原材料として培地用米糠お の薬剤抵抗性と防除法に関する研究,北大農応用菌 よびシナノキ材鋸屑,菌床間充填用の針葉樹材鋸屑,接 学卒論, 1968 種室と子実体発生室の空気,ならびに夏冬両期に子実体 発生中の汚染菌床(各 1 0点)を,小樽においては同時期 0点)を試料とし,発生糸状 における汚染菌床(夏冬各 1 菌の分類,分布を検討した。 67株は次の 1 4属 1 9種に分類された。 分離し得た合計 1 MllcorlIlucedo(LINNE)BREFELD M.h i e m a l i sWEHMER Zygorhynchuse . x ρonensBURGEFF Trichodermav i1'i d ePERSOON exGRAY P e n i c i l l i u mdecumbensTHOM P .v e l u t i n u山 VANBEYMA P .s t e c k i iZALESKI P .1'e q l l e f o1't iTHOM P .brevi-conψactumDIERCKX 6 古川彰久 Trichodel川 alignorumの薬剤j 抵抗性 とその防除法に関する研究,北大農応用菌学卒論, 1968 .,SPARROW,F .K. andSUS7 . AINSWORTH,G.C SMAN, A. S . : The Fungi, IVA , Acadernic Press,NewYork,1973 .C.: A rnanual of soil fungi,2nd 8 . GILMAN,J e d .,Iowa State Univ. Press,Arnes,Iowa,1959 9 . BARRON, G.L . : ThegeneraofHyphornycetes f r o r ns o i l,W i l l i a r n sandWilkinsCo.,B a l t i r n o r e, 1968 1 0 . 宇田川俊一・棒 啓介ほか・ 菌類図鑑,上,下,講談 干 士 , 1978 1 1 . GILMAN,J .C.: A rnanual of s o i l fungi,2nd .4 3 .IowaStateUniv.Press,Arnes,Iowa, e d .,p 1959 Paecilomycesv a r i o t iBAINIER 1 2 . GILMAN,J . C.: Ibid,p .3 8 . 1959 G l i o c l a d i ull1 1'o s e ulIl (LINK)THOM 1 3 . 宇田川俊一・椿 G1'aphillmallreumHEDGCOCK Doratomyces叫 i cl'Oや o1'u s(SACCARDO)MORTON e t SMITH Ac1'e m o n i u l l lb u t y r i(VAN BEYMA)GAMS 啓介ほか. 菌類図鑑,上, p.292 2 9 4 . 講談社, 1978 1 4 . GILMAN,J .C.: A rnanual of soil fungi,2nd .4 5 .IowaStateUniv.P r e s s . Arnes. Iowa, e d .,p 1959 Calca1'i やoriump a l l i d ulII TUBAKI 1 5,宇田川俊一・椿 啓介ほか:菌類図鑑,下, p.11341 1 3 5 . 講談社, 1978 Cha ,Zω' aparadoxa(DE SEYNES)SACCARDO 1 6 . GILMAM,J . C.: A rnanual o fs o i l fungi,2nd Cladosporiu/Jl herbarulIl LINK e t FRIES Altel'lla r i aa l t e r n a t a(FRIES)KEISSLER Iowa,1959 1 7 . BI 路SBY ,G. R.: Trichoder 川 a VI ρ r γ i d e PERS. ex FlIs a r i u l l l sp 1分離糸状菌中,最も広汎カか込つ多量に分布したのは Tr 千 c 1 wder 川 aVI 口円 r 川 ' i d eで,菌床汚染菌として最重要と考えら れた。この菌は鋸屑類に由来し,とくに菌床聞に充填す る針葉樹鋸屑の場合には,汚染源としての可能性が高い と推測された。 引用文献 1.庄司 e d .,p .2 1 2 2 1 4 . Iowa State Univ. Press,Arnes, 当: ナメコのっくり方, p . 179-180 長山漁 村文化協会, 1 9 7 8 2 . 小松光雄: ナメコ鋸屑栽培培地から分離された数 ρ ,o c1'e a,T r a n s .Bγ'. Mycol. FR.,andnotesonHy 4 9 1 6 8 . 1939 S o c .,23,1 M.A.: A r e v i s i o no fthegenus Tricho ・ 1 8 . RIFAI, denlla,MycologicalpapersofCommon τv e a l t h ,No. 1 1 6 . 1969 Mycologicall n s t i t u t e 1 9 . 宇田川俊一・椿 講談社, 1978 啓介ほか. 菌類図鑑,下, p.1090 2 0 . RAPER,K .B . and THOM,C . T.: A r n a n u a l 。 f the P e n i c i l l i a,p .2 0 9 . The Williarns and Wilkins Co.,B a l t i r n o r e,1949 . RAPER,K. B . and THOM,C .T.: I b i d,p .2 5 0 . 21 : 種の不完全菌類について,粛軍研究所研究報告, 7 . and THOM,C .T.・ I b i d .p .2 5 2 . 2 2 . RAPER,K. B 7 8 8 9 . 1969 .1 1 1 3 2 3 . 字国川俊一・棒 啓介ほか:菌類図鑑,下, p 1 1 1 4 . 講談社, 1978 a,T1'i c h o 3 . 小松光雄; シイタケ抗菌性の Hypoc1'e dermaおよびJji i 縁菌群の研究,菌輩研究所研究報告, 1 3 :1 1 1 3 .1 9 7 6 T r i c h o d e r l l l aの抵抗性とその防除に関 4 . 稲薬紀男 I S Y 目菌学卒論, 1968 する研究,北大長 F 5 . 目黒雅男 Trichodennakoningi及びT. albulII 2 4 . RAPER,K. B . and THOM,C . T.: A rnanual 。 ftheP e n i c i l l i a,p .395-401 . TheW i l l i a r n sand Wi王 J li n s Co.,B a l t i r n o r e,1949 . and THOM,C .T.: I b i d,p .407 ー 2 5 . RAPER,K.B 410 9 2 北海道大学農学部邦文紀要第 1 3巻 第 2号 2 6 . RAPER,K.B .andTHOM,C .T . ; I b i d,p .691692 and m y c e l i a l masses o fs a w d u s t r i c e b r a nc u l t u r e t o develop f r u i tb o d i e s were t e s t e d . Sawdust o f 2 7 . 字国川俊一・棒 softwoodemployedwithouts t e r i l i z a t i o nasanem- 啓介ほか:菌類図鑑,下, p .1074- 9 7 8 1 0 7 6 . 講談社, 1 . ; Studiesonthe]apaneseHypho・ 2 8 . TUBAKI,K , mycetes( I I )Fungicolousgroup,NagaoaNo.5 1 1 4 0 .1 9 5 5 b i d( 1 )Coprophilousgroup,I b i d, 2 9 . TUBAKI,K.; I No.4,1 2 0 .1 9 5 4 3 0 . RAPER, K .B .andTHOM, C .T.; A manualo f .6 7 8 6 8 0 . The Williams and the P e n i c i l l i a,p Wilkins Co.,Baltimore,1 9 4 9 3l.佐々木酉二・吉田 忠: 木材汚染腐朽菌に対する 知見,北大農邦文紀, 8 ;7 1 7 6 .1 9 7 1 .9373 2 . 字国川俊一・椿 啓介ほか: 菌類図鑑,下, p 9 7 8 9 3 8 . 講談社, 1 I b i d,p .1 0 0 1 1 0 0 2 3 3 . 宇田川俊一・椿 啓介ほか I b i d,p .1 0 4 6 1 0 4 7 3 4 . 字国川俊一・椿 啓介ほか I b i d,p .8 6 0 8 6l . 3 5 . 宇田川俊一・椿 啓介ほか 3 6 佐々木酋二・吉田 忠: 河川汚濁に関する微生物学 的研究, 1 . 製紙工場スヲイム中の糸状菌,北大農邦 文紀, 8 ;5 9 7 0 .1 9 7 1 3 7 . 字国川俊一・椿 啓介ほか:菌類図鑑,下, p .11399 7 8 1 1 4 0 . 講談社, 1 Summary Fungalf l o r ai nt h ep r o c e s so fsawdust-ricebran h o l i o t anameko i n Hokkaido was i n c u l t u r eo fP v e s t i g a t e dt o五ndt h ef u n g iwhicha r ei n j u r i o u st o thedevelopmento f mushroom. o c a t e di nc e n t r a l Twoc i t i e s,FuranoandOtaru,l and western p a r t so fHokkaido were s e l e c t e da s i c e b r a nandsawdust samplingp l a c e s . InFurano,r o fbasswood useda srawm a t e r i a l so ft h emedium, a i ri nt h erooms f o ri n o c u l a t i o nanddevelopment, bedding s t u f fbetween m y c e l i a l massesduringt h e developmento fmashroom wasa l s oexamined. I n Otaru,developing m y c e l i a l masses were usedf o r t h ei s o l a t i o no ff u n g i I solated fungi were167strains and thesewere c l a s s i五edi n t o1 4generaand1 9s p e c i e sa sf o l l o w s ; l ¥ ; [ u c o r付 L U c e d o(LINNE)BREFELD M.h i e m a l i sWEHMER Zyg01 旬 nchuse 砂o n印 sBURGEFF Trichodermav i r i d ePERSOONexGRAY P e n i c i l l i u mdecumbensTHOM P .velutinumVANBEYMA P .s t e c k i iZALESKI P .r o q u e f o r t iTHOM P .b r e v i c o m p a c t u 叫 DIERCKX P a e c i l o m y c e sv a r i o t iBAINIER Gliocladiumroseum(LINK)THOM GraphiumaureumHEDGCOCK Doratomycesmicroや o r u s(SACCARDO) MORTON e t SMITH Acremoniu1ll b t 伐 とy r i(VANBEYMA)GAMS CalcarisporiumpallidumTUBAKI Chal a1・ap aradoxa(DESEYNES)SACCARDO Clado司 poriumh e r b a r u l l ιL rNKe tFRIES A l t e r n a r i aa l t e r n a t α(FRIES)KEISSLER Fusariums p . i r i d ewas t h emost Among them,Trichodermav widely and abundantly d i s t r i b u t e d fungus i nthe samples, e s p e c i a l l yi nt h edevelopingm y c e l i a lmass e s . Thisfungus must b ethemost i n j u r i o u sone f o rt h e mushroom development and i t sb i g g e s t sourcei s probablysawdust o fs o f t w o o d . 9 3 吉田・高尾: 北海道内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布 ι エ 二 F i g .1 . J o . l u c o rmucedo(LINNE) ¥ 0 0 μ J O.AA 」ー一ー唾ーーー-' BREFELD ' ー ー 」 Fig.2. Zygorhynchusexponens BURGEFF 9 4 北海道大学農学部邦文紀要第 1 3巻 第 2号 %おも f o 寺 普 Fig. 4. IO. . , u 」 ー ー ー ーιー ー ー ー ー 」 T : η・ ' c h o d e r m av i r i d ePERSOON exGRAY 吉田・高尾: 北海道内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布 ーヰ二 Fig. 5 . P e n i c i l l i u mdecumbensTHOM 之 A . . Fig. 6 . P e n i c i l l i u mv e l u t i n u mVAN BEYMA 9 5 9 6 北海道大学農学部邦文紀要第 1 3! 6 j ; 第 2号 F i g .7 . P e n i c i l l i u ms t e c k i iZALESKI F i g .8 . P e n i c i l l i u mr o q u e f o r t iTHOM 吉田・高尾: 北海道内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布 2 ¥O. . u 」 圃 E ・・ ー ム ー ー ー ー ー ー 副 司a E F i g .9 . P e n i c i l l i ulIl brevi-compactumDIERCKX F i g . 10. Paecilomycesv a r i o t iBAINIER 9 7 9 8 北海道大学農学部邦文紀要第 1 3巻 第 2号 ~.μ 』ー『ー-' ~ 5O~ F i g . 11 . G liocladium r o s e U/Jl ( L I N K )THOM F i g .1 2 . Doratomyces川 i c r o s ρo r u s (SACCARDO) MORTON e t SMITH 吉田・高尾: 北海道内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布 u t y r i(VAN BEYMA) GAMS Fig.13. Acremoniumb a l c a r i や 01・ iump a l l i d u1lt TUBAKI F i g .1 4 . C 9 9 1 0 0 北海道大学農学部邦文紀要第 1 3巻 第 2号 l O刈 F i g .1 5 . C h a l a r aparadoxa(DESEYNES)SACCARDO 吉田・高尾: 北海道内ナメコ人工栽培における糸状菌の分布 、 F i g . 16. Cladoρo r i ulIl herbarulIl LINKe tFRIES F i g . 17. Alternariaa l t e r n a t a(FRIES)KEISSLER 1 0 1