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大災害を経た新しい省エネ像
2011 November Vol.465 R&D R&D NEWS KANSAI ◆巻頭言 『大災害を経た新しい省エネ像』 ◆研究紹介 アンモニアを燃料とした 固体酸化物形燃料電池用電極の研究 他 ◆ミニ解説 生物電気化学について ◆社内案内 第 40 回全社技術研究発表会 総合大会を開催 11 平成 23 年 11 月 465 号 CONTENTS 11 2011 November Vol.465 巻 頭 言 『大災害を経た新しい省エネ像』‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 1 研究紹介 電力システム技術センター 地中送電グループ CV ケーブル用接続部の特性評価‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 2 電力流通事業本部 ネットワーク技術高度化進グループ 高低圧系統電圧推定技術の研究‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 4 研究開発室 電力技術研究所 構築研究室 礫質地盤における杭基礎構造物の 遠心力場模型振動実験およびシミュレーション‥‥‥‥‥‥‥‥ 6 研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター 破砕碍子のリサイクル技術に関する研究‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 8 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 商品評価研究室 小容量ヒートポンプ床暖房機器の性能評価研究‥‥‥‥‥‥‥‥ 10 研究開発室 電力技術研究所 プロジェクト研究室 100kVA 級 SiC インバータ用 SiC ダイオードのサージ電流耐量評価‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 12 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 商品開発研究室 過熱水蒸気生成装置の開発研究‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 14 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 構造と組成を制御した微粒子合成‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 16 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 アンモニアを燃料とした 固体酸化物形燃料電池用電極の研究‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 18 SAI N A K S EW 20 R&D N‥ ‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥‥ 生物電気化学について ミニ解説 社内案内 第 40 回全社技術研究発表会 総合大会を開催‥ ‥‥‥‥‥‥‥ R&D NEWS KANSAI 21 R&D NEWS KANSAI 巻 頭 言 『大災害を経た新しい省エネ像』 芝浦工業大学 工学部 建築工学科 教授 秋元 孝之 東日本大震災という未曾有の災害を経て日本 人の価値観が変わりつつある。これまで電力エ ネルギーの消費は年々増加傾向にあったが、現 代における電力依存のライフスタイルに至った 経緯はどのようなものであったか。日本の発電設 備容量の推移を見ると、2009 年時点の一般電気 事業用の発電設備容量は、合計で24,000 万 kW 強であった。このうちの20.2%を占めるのが原 子力発電である。これらの約 4,900 万 kW 分の 発電がなくなったらどうなるのかということを考 えると、単純計算では「1993 年」の発電容量がそ れに相当することになる。もちろん原子力発電に よる電力供給が滞れば、揚水による発電にも影 響を与えるのだが、そのことはここでは考慮しな いこととする。1993 年といえば、自民党の55 年 体制が崩壊し、細川内閣が発足、米国ではクリ ントン大統領が就任し、EU が発足したのもこの 年である。現在は、1993 年当時には一般的でな かったような「より快適で便利な技術」が世の中 に普及している。 家庭におけるエネルギー消費の動向に目を向 けると、1990 年代以降の近年では1人、2人と いった少人数世帯の割合が増加するとともに、 世帯当たりのエネルギー消費は減少傾向にある。 但しこれにもからくりがあって、世帯人数別のエ ネルギー消費量を探ってみると、エネルギー消 費は増加傾向にある。このエネルギー消費の増 加の要因として考えられるのが、各種家電の保 有台数の増加だ。1993 年当時と比較して格段に 保有台数が増加した家電機器としては、エアコ ン、温水洗浄便座、液晶・プラズマ TV、パソコン、 携帯電話、等が挙げられる。エアコンは1993 年 当時に世帯当り1.5台であったのが、2011年に は2.5台を超えている。家庭には特別な場合を除 いて設備していなかった温水洗浄便座も国内で は一般的なものとしての地位を確保しているし、 ネット社会における必需品となった感のあるパソ コンや携帯電話の普及には目を見張るものがあ る。技術革新や性能向上によって一台あたりの 年間電力消費量は大幅に削減されているが、家 庭における保有台数増加の勢いには及ばないと いったところであろう。業務部門のエネルギー消 費も増加の一途を辿っているが、業種別に見て みると、百貨店、スーパー、コンビニ等の小売 業の床面積が増加している。床面積あたりのエ ネルギー消費量であるエネルギー消費原単位は 微増あるいは減少しているのだが、2000 年の大 店法の規制緩和によって営業時間が長大したこ ともあって、エネルギー消費量の総量増加が顕 著である。 今夏、節電対策としてサマータイムや在宅勤 務を導入した企業も多くあった。夏期の電力需 要のピーク時間帯は昼間になだらかに続くため、 その効果に疑問を呈する意見も散見されたが、 節電意識を啓蒙するのに十分な効果があるし、 様々な努力の積み重ねが功を奏したことに異論 はあるまい。我々は史上稀にみる大災害に見舞 われるという特別な経験をし、被災地では未だ 回復することのできない甚大なダメージを受け ている。この経験は今後に生かさなくてはならな い。制限のある環境下だからこそ新しい省エネ 像、建築デザインが生まれる。我々の智恵の出 しどころである。 略 歴 1963年東京都生まれ。1986年早稲田大学理工学部建築学科卒 業。1988年同大学大学院修士課程修了。清水建設㈱を経てカリ フォルニア大学バークレー校環境計画研究所に留学。1999年 関東学院大学工学部助教授。2004年関東学院大学工学部教授。 2007年芝浦工業大学工学部教授。博士(工学)、一級建築士。 建築設備工学、建築環境工学。 2011 November No.465 1 研究紹介 電力システム技術センター 地中送電グループ CV ケーブル用接続部の特性評価 CV ケーブルが適用され始めた 1970 年代から接続部についてはテープ巻き式中間接続部やプレハブ 式終端接続部が主に採用され、現在も経年 20 ~ 30 年程度の設備が多く使用されています。今後、 さらに増加していくこれら経年設備に対して、適切な取替基準を策定するためには劣化特性の把握が 必要不可欠です。 そこで、本研究により劣化メカニズムの解明に向けた取組みを行ったので紹介します。 1.背景と目的 CV 設備の取替基準を定める ためには、ケーブル部と接続部 それぞれの寿命を評価する必要 があります。ケーブル部では水 トリーによる経年劣化が広く知 られており、診断技術の開発や 撤去品調査が進められています。 そこで今回、テープ巻き式中 間接続部やプレハブ式終端接続 部について、模擬試料を用いた 特性試験および撤去品調査によ り劣化メカニズムの解明に向け た取り組みを行いました。 2.対象設備 設備量の多い77kV 設備のう ち、高経年化が顕著な、テープ 巻き式中間接続部(TJ) 、および プレハブ式終端接続部(EB-A/G/ O)を検討対象としました。 3.テープ巻き式中間接続部の 評価 テープ巻き式接続部は、主絶 縁部を構成する絶縁テープの種 類によって第1図のように油浸 式と乾式に大別され、それぞれ 異なる劣化様相が推定されるこ とから、仕様ごとに評価を実施 しました。 a)油浸式テープ ①撤去品の絶縁テープ部を切り 出し、含有している油の量か ら相対的な変化を調査した結 果、接続箱内で垂直下方向に 油が移動している傾向が確認 されました。 (第2図) ②油を含浸した試料および含浸 しない試料による電気試験を 実施した結果、後者の方が部 分放電発生電圧および破壊電 圧とも低下しており、油の枯渇 により電気性能が低下するこ とが確認されました。 (第3図) 以上から、含浸された油が、 経年とともに移動し、相対的に 油が枯渇した部位において三角 ボイドが発生することにより、 乾式テープ 油浸式テープ 電気性能の低下につながること が判明しました。 b)乾式テープ 経年にともなう絶縁テープの 応力緩和がケーブル絶縁体との 界面圧の低下につながり、電気 性能の低下につながると推定さ れます。そこで、熱加速により 作成した劣化模擬試料の電気試 験を実施しましたが、第4図に 示すとおり経年10 年相当までの 試料では明確な性能低下の傾向 は確認されませんでした。しか し、経年10 年以降に性能低下 が顕在化する可能性も考えられ るため、別途撤去品調査にて高 経年での評価を行うこととしま した。 4.プ レ ハブ 式 終 端 接 続 部 の 評価 プレハブ式接続部は、主絶縁 部にプレモールド絶縁体(スト コン)が用いられています。ゴ 切り出し 上面 外 標準状態 (絶縁の考え方) 内 切出したブロック試料 シリコ-ンオイル 低粘度のシリコーン 油とアルコールで洗 浄乾燥した後,洗浄 前後の重量を比較 乾式テープ 油浸式テープ 油の量少ない ボイドを油で充填 経年後 推定される 欠陥発生原因 三角ボイド (空隙) 油枯れ、逃げによる 欠陥ボイドの生成 応力緩和による テープ面圧の低下 第1図 TJの劣化推定メカニズム 2 R&D NEWS KANSAI 上面 (断面図) 油の量 あまり変化なし テープ圧でボイドを潰す ミクロの 界面ボイド (空隙) 側面 油の量多い 下面 第2図 油量の調査と移動傾向 R&D NEWS KANSAI 電力システム技術センター 地中送電グループ CV ケーブル用接続部の特性評価 20 90 :破壊せず 70 (左軸) 16 65 14 部分放電 発生電圧 60 (右軸) 55 12 80 破壊電圧[kV] 18 破壊電圧 部分放電発生電圧[kV] 破壊電圧[kV] 75 18 :破壊せず 16 破壊電圧 70 14 (左軸) 60 50 12 10 部分放電発生電圧 (右軸) 40 50 10 オイル有り ム製品は製造時に添加された配 合剤が表面に析出するブルーム 現象が発生することが知られて おり、ゴム製品であるストコン の中でも、特に硫黄架橋により 製造されたストコンでは第5図 に示す硫黄系析出物が発生しま す。この析出物に起因する劣化 様相として推定される事象につ いて評価を行いました。 析出物 ストコン ケーブル 8 0 2 オイル無し 第3図 電気性能における油の影響 ストコン 第5図 析出発生例 まず、析出物の発生が、ケー ブル表面とストコンとを固着さ せ、ストコンの熱挙動を阻害す ることで、性能低下につながる と懸念されたため、析出物が認 められた撤去品に対するヒート サイクル下での面圧測定試験お よび固着力測定試験を実施しま した。その結果、ストコン圧縮 装置のスプリング力を上回る強 い固着力が確認された撤去品で も、ストコンの端部は正常に熱 挙動し、面圧も正常に保たれて いることが分かりました。 次に、析出物の誘電率の差異 部分放電発生電圧[kV] 80 4 6 模擬経年[年] 8 10 第4図 電気性能における応力緩和の影響 により電界の擾乱を引き起こす 影響について、析出物相当の誘 電率をもつ材料を挟み込んだ試 料を用いた電気試験により検証 を行いましたが、性能低下につ ながる影響はないことが確認さ れました。 さらに、析出物が認められた 経年 29 年の撤去品に対して電 気試験による残存性能を確認し たところ、破壊電圧は AC155kV であり運転電界に対しては裕度 があるものの、初期性能に比べ 低下が確認されました。その後 の解体調査から、析出物がケー ブル絶縁体とストコンの界面に 積層し、 そこに生じた起伏(凹凸) に界面が追従しきれずボイド性 の欠陥となった可能性があるこ とが分かりました。 したがって、析出物がボイド 化することで電気性能の低下に つながる可能性があると判明し ました。 5.接続部の撤去品破壊試験 テープ巻き式およびプレハブ 式接続部の経年劣化傾向を把握 するため、実系統にて30年程度 使用された接続部の破壊試験に よる残存性能確認を行い、初期 性能との比較調査を行いました。 その結果、いずれの接続部と も初期に比べて劣化傾向は確認 されたものの、その劣化速度は 緩やかであり、経年 30 年程度 でも運転電界に対して裕度のあ る性能を有していることが確認 されました。 6.まとめ 77kV CV ケーブル用接続部 について、劣化模擬試料を用い た検証試験などから劣化メカニ ズムを解明するとともに、経年 撤去品の破壊試験からその劣化 速度は極めて緩やかで、30 年程 度使用された接続部でも運転電 界に対しては裕度があることが 確認されました。 この成果を設備改修検討へ活 用するとともに、引続き撤去品 調査を継続し、寿命推定の精度 向上を図る予定です。 執筆者 執 筆 者:小森 充朗 所 属:電力システム技術センター 地中送電グループ 主な業務:地中送電技術、設備に関する研究開発に従事 2011 November No.465 3 研究紹介 電力流通事業本部 ネットワーク技術高度化進グループ 高低圧系統電圧推定技術の研究 センサ内蔵開閉器(以下、センサ開閉器)やお客さまの電気使用量を遠隔にて検針する新計量システ ム等の新たな機器・システムから得られる系統・負荷情報の活用効果を、実系統にて検証・評価し、従 来よりも、高精度に配電系統全体の電圧分布を把握できる手法を開発しましたので、以下に紹介します。 1.研究の背景 近年、太陽光発電(以下、PV) を始めとした分散型電源の普及 加速が予想されます。このよう な状況の中、配電系統において は、電圧上昇・変動の発生によ る適正電圧の逸脱が懸念される ため、電圧監視や調整を高度化 していく必要があります。一方 で、センサ開閉器や新計量シス テムの順次導入により、系統・ 負荷情報を詳細に取得できる状 況にあります。 そこで、これらの情報を最大 限活用し、当社の配電系統運用・ 管理システムである配電線自動 運用システム(以下、自動化シ ステム)の電圧推定方法を基に、 より高精度に配電系統の電圧を 推定する方法を検討しました。 2.自動化システムの電圧推定 方法 自動化システムでは、潮流計 算手法を用いて電圧推定を行っ ています。潮流計算手法は、変 電所により計測された電圧値 V 1 を起点とし、各開閉器区間内の 負荷(有効電力P 、無効電力Q ) 、 線路インピーダンスZ 、電圧の 位相角θ を基に電圧推定を行う もので、第1式を用いて、各開 閉器箇所の電圧推定値V 推定値 を 算出します。ここで、第1式に 示すi は開閉器箇所の番号で、 変電所をi =1、最も変電所に 近い電源側に設置されている開 閉器箇所をi =2とし、電源側 から負荷側に向かって順に3、4 …n(系統末端に設置されてい 4 R&D NEWS KANSAI る開閉器箇所) となります。また、 P i 、Q i については、開閉器箇所 i とi +1の間で消費される負 荷を示しています。 { Pi + Qi }× Zi n −1 V 推定値 n = V1 − ∑ i =1 3 × V 推定値 i × (cosθ i + sinθ i ) 最大時等の年間を通じた計10 日程を選定しました。 4.自動化システムによる推定 精度の評価結果 自動化システムの電圧推定方 法を用いて、センサ開閉器の設 置有無により、 推定を行いました。 センサ開閉器を設置しない場 合は、力率を一律 0.95とし、更 に開閉器区間内の負荷も固定と しています。一方で、センサ開 閉器を設置する場合は、30 分毎 の電圧、電流、力率の瞬時値を 活用することができるため、開 閉器区間内の負荷設定精度が向 上し、推定誤差は、平均13.0V 低減することが分かりました。 ⑴ 3.推定精度を評価する指標お よび系統概要 第2式に示すとおり、自動化シ ステムによる推定値V 推定値と、実 線路に設置した測定器による実 測値V 実測値との平均二乗誤差 σ rms により、推定精度を評価しました。 σ m rms 2 = { ∑ (V 推定値 j- V 実測値 j ) } /m j =1 j:実測箇所 m:実測箇所数 ⑵ また、評価系統については、 当社管内で、新計量システムの ユニット式計器が6割程度設置 されている系統Ⅰ、PV が1割程 度連系されている系統Ⅱの2つ の実系統を選定しました。系統 Ⅰおよび系統Ⅱの概要を第1図 に示します。 なお、評価日程については、 重負荷時、軽負荷時、PV 出力 ・・・ センサ開閉器 5.推定精度向上方策の検討・ 評価結果 センサ開閉器を設置する場合 において、電圧推定値が実態と 乖離しているケースが散見され たため、更なる精度向上方策を 検討しました。 ・・・ 測定箇所 ・・・ 電圧推定ルート 系統Ⅰ A4 系統全体の軒数:約1600軒 A1 A2 A5 A3 変電所からの距離:約2km 変電所 PV連系51軒 系統Ⅱ 系統全体の軒数:約1700軒 B2 PV連系50軒 B3 変電所からの距離:約2km B1 変電所 PV連系91軒 第1図 系統Ⅰおよび系統Ⅱの概要 R&D NEWS KANSAI 電力流通事業本部 ネットワーク技術高度化進グループ 高低圧系統電圧推定技術の研究 60 各計測値による潮流計算 潮流計算により算出される 電圧推定値 V推定値 残差の 算出 電圧推定値により算出される 負荷( P推定値 、 Q推定値 ) 電圧推定誤差[V] 電圧計測値および30分検針値 により算出される負荷( P、Q ) 残差の 算出 電圧推定誤差 変電所、センサ開閉器における 電圧計測値 V 50 40 (%)は、現行(センサ開閉器なし)の電圧推定誤差を100 % (%)は、現行(センサ開閉器なし)の電圧推定誤差を100% とした場合の各対策実施後の電圧推定誤差の割合を表す 46.8 (100%) 30 33.8 (72%) 20 (57%) [V] 10.6 (27%) (23%) 4.1 現行方法 現行方法 現行方法 現行方法 (センサ開閉器なし) センサ開閉器あり センサ開閉器なし (センサ開閉器あり) 残差が最小となった V推定値 、P推定値 、 Q推定値 を採用 起点変更 起点の変更 電柱単位 電柱単位に インピーダンス インピーダンス (均等負荷設定) 均等負荷設定 電柱単位に 電柱単位 新計量システム活用 新計量活用 (不均等負荷設定) 不均等負荷設定 (9%) 電柱単位に 新計量活用 状態推定手法 状態推定手法 第3図 方策実施による推定誤差の低減効果 第2図 状態推定手法の計算フロー 6.更なる推定精度向上方策の 考案・評価結果 (1)状態推定手法 前 章までの潮 流 計 算 手 法で は、変電所の計測電圧値 V 1 は、 12.6 10 0 各残差の最小化計算 (各残差の二乗和が最小となるような V推定値 、P推定値 、Q推定値 を計算) (1)潮 流計算における起点の 変更 自動化システムでは、変電所 により計測された電圧値 V 1 を起 点としていましたが、センサ開 閉器による計測電圧値の方が、 計測誤差が小さいことが分かっ たため、系統内で最も電源側に 設置されるセンサ開閉器箇所(i =2)に起点を変更し、推定を 行いました。その結果、推定誤 差は、平均 7.2V 低減することが 分かりました。 (2)線路インピーダンスの変更 自動化システムでは、 インピー ダンスを開閉器区間単位に一括 して設定していましたが、電柱 径間単位のインピーダンスに変 更し、推定を行いました。その 結果、推定誤差は、平均14.0V 低減することが分かりました。 (3)負荷の変更 自動化システムでは、負荷を 開閉器区間中央の一点に配置し ていましたが、新計量システム のユニット式計器にて取得され る30 分毎の検針値から算定し た電柱単位の負荷に変更し、推 定を行いました。その結果、推 定誤差は、平均 2.0V 低減する ことが分かりました。 誤差低減 26.6 起点として活用しますが、セン サ開閉器の電圧計測値について は、各開閉器区間内の負荷を算 出する以外に活用しておりませ んでした。 そこで、変電所やセンサ開閉 器における全ての電圧計測値V の活用により、推定精度を向上 させるべく、 「状態推定手法」を 考案し、用いることとしました。 状態推定手法は、変電所やセ ンサ開閉器等の各計測箇所にお ける「電圧計測値V 、および、 計測値V や新計量システムのユ ニット式計器の30 分検針値に よって算出される負荷P 、Q 」と 「潮流計算によって算出された 推定値V 推定値、P 推定値、Q 推定値」と の差異に対して、重み付けを加 味した二乗和J が最も小さくな るV 推定値 を求める手法です。二 乗和J の計算式を第3式に、計 算フローを第2図に示します。 m J = ∑ [W j {M j − E j }] 2 j =1 m W M E : : : : ここで、第3式に示す重み係 数W は、計測値V 、P 、Q の計 測精度を数値化したものです。 (2)状 態推定手法による評価 結果 状 態 推 定 手 法 を 用いること で、推 定 誤 差は、平 均 6.5V 低 減することが分かりました。 7.まとめと今後の予定 第3図に示すとおり、センサ 開閉器や新 計量システムのユ ニット式計器で取得されるデー タを活用し、状態推定手法を用 いることで、現行の推定方法と 比較し、推定誤差を90%程度低 減できることが分かりました。 また、低圧系統においても、30 分 毎の検 針 値を活 用すること で、同様に、低減効果があるこ とを確認しております。 今後、本研究を踏まえ、自動 化システムへの組 込みについ て、検討していく予定です。 ⑶ 電圧計測値 V、負荷 P、Q を取得できる計測箇所数 V、P、Q に対する重み係数の行列 計測箇所あたりの V、P、Q の行列 計測箇所あたりの V 推定値と、V 推定値を基に 潮流計算によって算出される P 推定値、Q 推定値の行列 執筆者 執 筆 者:南 雅弘 所 属:電力流通事業本部 ネットワーク技術高度化進グループ 主な業務:次世代配電自動化システムの構築・運用に従事 2011 November No.465 5 研究紹介 研究開発室 電力技術研究所 構築研究室 礫質地盤における杭基礎構造物の遠心力場模型振動実験およびシミュレー ション 0 20 30 礫質地盤の粒度分布は、既存 の埋立地盤を参考にしました。 入力波は、最大加速度を大規 模地震に相当する 640gal に振 幅調整した観測地震波を用いま した(第2図) 。 2.遠心力場模型振動実験 地盤の挙動は応力状態に依存 します。そのため実験では、遠 心力で圧力を加えることで実地 盤中の応力状態を再現できる遠 心力場模型振動実験を用いまし た(第1図) 。模型の縮尺は1/50 で、 模 型 地 盤 の サ イ ズ は 横 1.95m(97.5m)× 奥 行 き0.8m (40m)×高さ0.51m(25.5m)で す(括弧内は実物換算値、第2 図) 。 杭 は 外 径20mm、 厚 さ 1mm、長さ502mm のステンレ ス鋼管を用いました。上部工は フーチング部および建屋部を板 バネで連結した2階建て構造と しました。 埋立地盤 (礫質土) 3.再現解析の解析パラメータ 評価 有効応力解析は、地震時にお ける地盤内の水圧変動を考慮し て地盤応答を求める解析法で す。有効応力解析手法である FLIP は、港湾・空港をはじめ とする土木構造物の耐震性能照 査に広く利用されています。 解析パラメータの評価にあ 200 杭:2×2本 φ=20, t=1.0 上部工 支持地盤 支持地盤 (モルタル) ( モルタル 第1図 実験装置 R&D NEWS KANSAI 50(秒) (単位:mm) 345 模型地盤 6 40 第2図 入力加速度波形 7m 回転 10 qu=1000kPa) 1950 第2図 模型地盤 160 遠心力 750 500 250 0 -250 -500 -750 213 1.背景とねらい 発電所の重要構造物の多く は、礫質土の埋立地盤に杭基礎 を伴って設置されていますが、 杭基礎を設計するにあたって は、地震によって液状化した埋 立土およびその影響を受けた杭 基礎の挙動を把握することが重 要です。しかし、このような研 究はまだ少なく、液状化した礫 質地盤が杭におよぼす影響が明 確ではありません。また、砂を 対象として開発されてきた従来 の有効応力解析手法の礫質土へ の適用性についても検討する必 要があります。 そこで、礫質地盤における液 状化対策技術の評価手法の開発 を目的とし、遠心力場模型振動実 験により、地震時の礫質地盤と杭 基礎の挙動を把握するとともに、 有効応力解析手法 FLIP による再 現解析を行い、礫質地盤におけ る FLIP の適用性を評価しました。 加速度(gal) 発電所の重要構造物の多くは、礫質土の埋立地盤中に設置された杭基礎の上に建設されています。杭 基礎の設計には、地震時における礫質地盤および杭の挙動を表現可能な液状化解析手法を用いる必要 があります。しかし、これらの挙動は明確ではなく、解析手法の適用性についても検討が必要です。 そこで今回、遠心力場模型振動実験を行い、地震時における礫質地盤および杭基礎の挙動を把握しま した。また、有効応力解析手法 FLIP による再現解析を行い、解析パラメータを適切に評価することで、 礫質地盤における液状化解析に FLIP を適用することが可能となりましたのでご紹介します。 R&D NEWS KANSAI 研究開発室 電力技術研究所 構築研究室 5.まとめ 解析パラメータの評価に本手 法を用いることで、礫質地盤の 液状化解析に FLIP が適用可能 となりました。今後、具体的地 点が計画された際には、本手法 を設計に活用し、発電所土木構 造物の安全性向上に貢献できれ ばと考えています。 1.5 浅部(GL.-1.25m) 1.0 0.5 実験値 過剰間隙水圧比 解析値 0.0 0 1.5 10 20 30 40 50 (秒) 深部(GL.-15.5m) 1.0 0.5 実験値 解析値 0.0 0 10 20 30 40 50 (秒) 地盤変位(cm) 第3図 過剰間隙水圧比の時刻暦波形 15 10 5 0 -5 -10 -15 地表面(GL.0m) 実験値 0 10 20 30 解析値 40 50 (秒) 第4図 地盤変位の時刻暦波形 杭頭曲率(10 -3 /m) 5 降伏曲率 2.5 0 -2.5 降伏曲率 実験値 解析値 -5 0 10 20 30 40 50 (秒) 第5図 杭頭曲率の時刻暦波形 6 0 -10 4 降 伏 曲 率 -15 -3 降 伏 曲 率 -5 実験値 実験値 解析値 解析値 -20 -25 -5 -4 -3 -2 -1 0 1 2 3 -3 杭 曲率(10 /m) 杭頭曲率(10 /m) 4.実験および解析結果 過剰間隙水圧比は、30 秒付近 で平均的に1に達していること から、液状化していることが分 かります(第3図)。深さの違 いを見ると、浅い方が上がり方 が早くなっています。 解析値は、 過剰間隙水圧の上昇過程を精度 よく再現しています。 地表の地盤変位は、液状化し 始める18秒付近で急増していま す(第4図) 。解析値は位相のず れもなく、実験値とよく整合し ています。なお、変位等は、実 スケール換算で表示しています。 杭頭の曲率は、液状化直前に 急増した地盤変位に対応して増 加し、20 秒付近で降伏曲率を超 えています(第5図)。このと きの深度分布から、降伏してい るのは、杭頭付近のみであるこ とが分かります(第6図)。解 析値は、時刻暦、深度分布とも に、杭の塑性挙動を精度よく表 現しています。 上部工慣性力と杭頭曲率との 関係をみると、杭頭曲率が最も 大きくなるところでの解析誤差 は7%と十分に小さく、高い精 度を有していることが分かりま した(第7図)。 GL.(m) たっては、礫質土に対応したパ ラメータ評価法を新たに考案し ました。 過剰間隙水圧比 礫質地盤における杭基礎構造物の遠心力場模型振動実験およびシミュレーション 4 5 第6図 杭の曲率のスナップショット 2 0 -2 -4 実験値 解析値 -6 -3 -2 -1 0 1 2 上部工慣性力(MN/m) 3 第7図 上部工慣性力と杭頭曲率の関係 執筆者 執 筆 者:小澤 和弘 所 属:研究開発室 電力技術研究所 構築研究室 主な業務:地盤・土木構造物の耐震信頼性向上に関する‥ 研究に従事 研究に携わった人 研究開発室 電力技術研究所 構築研究室 大江 一也、吉田 次男 2011 November No.465 7 研究紹介 研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター 破砕碍子のリサイクル技術に関する研究 関西電力グループでは、循環型社会の構築に向け環境問題に先進的な取り組みを行っており、ゼロエ ミッションの達成に向けた様々な活動を展開しています。本研究においては事業活動において発生す る産業廃棄物のうち、リサイクル率の低い碍子くずのリサイクル製品としての用途拡大に向けた取組 を行っていますので、その概要を紹介します。 8 R&D NEWS KANSAI 3.破砕碍子の効率的な研磨方 法の検討 破砕碍子の研磨については、 研磨時間の短縮、仕上がり形 状および粉体等研磨による残 渣の低減等を念頭に入れ、室 内においてモデル機により、効 率的な研磨方法について実験 的に検討を行いました。試験 には、混合攪拌式研磨機と六 角回転式研磨機の2種類の研 磨機を試作し研磨能力につい て比較検討を行いました。実 験に用いた研磨機の状況を写 真2および写真3に示します。 混合攪拌式研磨機は、コンク リートの試験に用いるモルタル ミキサーを改造したもので、鋼 製の攪拌翼により破砕碍子を強 制的に攪拌・研磨する構造と なっています。また、六角回転 式研磨機については、研磨機を 回転させることにより碍子同士 の衝突により破砕面を研磨する 構造となっています。研磨時間 と破砕面の鋭利幅の関係を第1 図に、研磨後の材料の形状分類 を第2図に示します。 混合攪拌式は六角回転式に 比べ、研磨速度は速いが研磨 後の粒子形状は扁平形状、細 0.8 y = -4E-05x2 + 0.009x + 0.2337 R2 = 0.9839 0.7 0.6 鋭利幅(mm) 2.研究の概要 碍子の材質は大半のものが けい石、長石および粘土等を 主成分として焼成される磁器 製品であり各種のセラミック ス製品と同様の物理・力学特 性を有しています。このよう に碍子は強度が高く力学特性 に優れている反面、破砕した 際には刃物のように鋭い破砕 面をもって割れることが特徴 的です(写真1参照)。 本研究においては、碍子の リサイクル率を向上させるた め、破砕面の効率的な研磨方 法(エッジレス化)、研磨され た材料の力学特性に検討を実 施し、建設材料として使用さ れる砕石類の代替品としての 適用を試みることとしました。 写真1 破砕碍子と粒子形状(例) 0.5 y = -1E-19x3 - 3E-05x2 + 0.0063x + 0.2002 R2 = 0.9954 0.4 0.3 混合攪拌式 0.2 六角回転式 0.1 0 0 【全景】 【撹拌翼】 20 40 60 研磨時間(分) 80 100 第1図 研磨時間と鋭利幅の関係 写真2 混合攪拌式研磨機 立方形 異形棒鋼 扁平形 細粒・細粉 六角回転式 研磨機種類 1.研究の背景 事業活動により発生する産 業廃棄物は、金属屑や燃え殻 等色々なものがありますが、大 半のものが再利用され、リサ イクル製品として活用されて います。ただし、碍子につい ては高強度な磁器製品である ことから再利用のため破砕を 行った際鋭利な面をもって破 砕されることにより取扱上の 安全性の面からリサイクル製 品としての活用が敬遠される 傾向にあり、それが産業廃棄 物全体のリサイクル率を押し 下げる一つの要因にもなって います。 混合攪拌式 原材料 【全景】 【内部構造】 写真3 六角回転式研磨機 0% 20% 40% 60% 80% 第2図 研磨後の材料の形状分類 100% R&D NEWS KANSAI 研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター 破砕碍子のリサイクル技術に関する研究 4.破砕碍子の力学特性 (1)すりへり抵抗性 破砕した碍子を砕石類の代 替品として、道路材料等に使 用する場合所定の耐摩耗性(す り へ り 抵 抗 性 )が 要 求 さ れ ま す。本研究においては、JIS A 1211「ロサンゼルス式試験機 による粗骨材のすりへり試験 方法」に準拠し、材料のすりへ り抵抗性について調査を行い ました。試験結果を第3図に 示します。 40 35 道 路 用 砕石 規 格 値上 限 :R = 35% 破砕 碍子単 体 すり減り減量 R (% ) 30 破砕 碍子、粒調 砕石混 合 25 20 15 10 5 0 粗粒(25~15mm) 中粒(15~5mm) 細粒(5~2.5mm) 粒度 区分 第3図 すりへり試験結果 破砕碍子のすりへり減量に ついては、破砕碍子単体、砕 石との混合材とも粒度にかか わらず㈳日本道路協会等の下 層路盤材の規格値である 35% 以内であり、十分なすりへり 抵抗性を有する材料であるこ とを確認しました。 (2)粒子破砕率 破砕碍子の鋭利面を研磨に より除去した材料については、 施工時における材料の破砕に より再鋭利化することが懸念 されたため、別途実施した支 持力試験前後における材料の 粒径の変化から破砕率の評価 を行いました。試験材料は破 砕碍子単体材料および破砕碍 子と市販砕石を混合したもの の2種類を使用しました。破 砕率の試験結果を第4図に示 します。 35 碍子・粒調砕石混合 30 破砕率(%) 粒分および細粉が多く発生す る傾向にありました。研磨時 間と鋭利幅の関係については、 両試験機とも研磨時間の進行 により鋭利幅が大きくなる(角 が取れていく)という同様な傾 向を示しました。 とにより、市販の砕石類の代 替品として活用できる見通し を得ました。今後は更なる用 途拡大に向けた検討を進めて 行きたいと思います。 なお、エッジレス化した破 砕碍子については、当社グルー プ会社である㈱かんでんエル ファームより、敷石等のエク ステリア材料「リ・セラミック ス」として販売を実施していま す(写真4参照)。 25 20 碍子単体 15 10 5 碍子単体 (Dmax37.5mm) 碍子単体 (Dmax9.5mm) 混合材 碍子50 +粒調50 混合材 碍子50+粒調50 第4図 破砕率試験結果 試験の結果、破砕碍子単体 材料の破砕率は、材料の最大 粒径、粒度に関係なく 13%以 下となりましたが、破砕碍子 に砕石を混合することにより、 破砕率が増加する傾向にあり ます。これは混合された砕石 が荷重を受けて破砕し、混合 材料としての粒径が全体的に 小粒径化してくことによるも のと考えられます。 写真4 破砕碍子リサイクル製品 (リ・セラミックス) 最後に、本研究の遂行にあ たり、多大なご指導、ご協力 をいただいた近畿大学理工学 部社会環境工学科 佐野正典 教授、精力的に実験に取組ん でいただいた学生諸氏に深く 感謝の意を表します。 5.まとめ これまでリサイクル率が低 かった破砕碍子については、破 砕面のエッジレス化を行うこ 執筆者 執 筆 者:酒井 研二 所 属:研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター 主な業務:環境保全・リサイクル関係の研究に従事 研究に携わった人 研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター 奥田 英治 2011 November No.465 9 研究紹介 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 商品評価研究室 小容量ヒートポンプ床暖房機器の性能評価研究 家庭分野での省エネルギーを実現するため、ヒートポンプ技術を用いた機器の普及が期待されていま す。暖房分野におけるヒートポンプ技術であるヒートポンプ温水式床暖房は、いくつかのメーカーか ら販売され、普及が進められていますが、加熱能力が大きい製品が多く、より安価な加熱能力の小さ い製品の展開が求められています。そこで、加熱能力を抑えた供試機の温熱環境を評価し、適用の可 能性を検証したので、以下に報告します。 1.研究の背景 近年社会全体でのエネルギー 消費の削減が一つの課題となっ てきており、家庭部門において は、省エネの実現に向けてヒー トポンプ機器の普及が期待され ています。家庭部門における暖 房機器ではエアコンのほかヒー トポンプ温水式床暖房の普及が 進められていますが、ヒートポ ンプ温水式床暖房は比較的容量 が大きいものが多く、6畳から 12 畳程度の広さが主流の日本 の住宅事情を考慮した機器の展 開が求められています。 そこで、 小容量のヒートポンプ温水式床 暖房を用いて、小容量機相当の 居室における温熱環境の評価を 行ったので、以下に報告します。 2.試験設備の概要 今回試験を行った当社の巽実 験センター家庭用環境試験設備 の概要を第1図に示します。試 験ハウスの外の外気は任意の温 湿度に調整することができま す。試験ハウス内の居室は2室 あり、それぞれの広さは 20 畳、 8畳です。20 畳は温水式床暖房 の温水2系統で、8畳は1系統 で暖房を行う構成となっていま す。今回 20 畳の居室を 17 畳で 区画し評価を行いました。 3.評価方法 ヒートポンプ床暖房機の供試 機は加熱能力 3.6kW のものを 用いて評価を行いました。 (写 真 1)前 述 の 2居 室 は 17 畳 と 8畳であり、これらの居室の温 熱環境から任意の畳数における 温熱環境を推定します。加熱能 力の低減に伴い、適用畳数を 14 畳程度と想定し、14 畳にお ける床上 750mm(床に座った ときの顔の高さ相当)の平均温 度が 22℃に到達するまでの所 要時間をもとに、当該供試機が 14 畳の居室で温熱環境を満た すかを評価します。また、ヒー 写真1 加熱能力3.6kW供試機 トポンプ床暖房の投入熱量φ [W]は、第2図から第1式で 求めることができます。 4.試験結果・考察 試験ハウスの外の温度環境を 7℃および2℃としたときの居 室内の温熱環境から評価を行い ました。なお、居室の室温の初 期値は外気温と同温度とし、暖 房運転は「最強」レベル相当で の運転としました。 (1)外気7℃環境の場合 第3図に外気7℃環境にて外気 居室 温水 Tf [K] f [m3/sec] 床暖房パネル Tb[K] ヒートポンプ床暖房 第2図 床暖房の投入熱量 φ [W]=f [m3/sec]×1. 0×103[kg/m3]×4. 2×103[J/kg・K]×(Tf ‒Tb) [K] 第1図 家庭用環境試験設備 10 R&D NEWS KANSAI 第1式 投入熱量φ[W]算出式 R&D NEWS KANSAI 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 商品評価研究室 小容量ヒートポンプ床暖房機器の性能評価研究 30 6 3時間32分(推定) 20 15 10 気温 22℃ 8畳での温度 FL+750mm(平均値) 17畳での温度 FL+750mm(平均値) 14畳での温度 FL+750mm(推定値) 5 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 経過時間[時間] 6:00 7:00 4 3 2 1 0 0:00 0 0:00 暖房モードを 変更 5 2時間42分 COP 温度[℃] 25 7 4時間52分 8:00 1:00 3:00 4:00 5:00 経過時間[時間] 6:00 7:00 8:00 第4図 外気7℃環境でのCOP 第3図 外気7℃環境での室温 30 7時間26分(推定) 25 温度[℃] と同温度の室温から暖房を行った 場合の室温の推移を示します。 17畳居室では、床上750mm の 平均温度が22℃に到達するのに 4時間52分を必要とします。こ れに対し、8畳居室では2時間42 分で到達します。これらの温度 データを元に14畳における到達 時間は3時間32分と推定しまし た。これは、別途実施した5kW 機で20畳で暖房した際の3時間 52分と比較しても遜色はありま せん。 外気7℃環境でのヒートポン プ床暖房単体の COP を第4図 に示します。なお COP は第2 式にて算出します。 COP は 4か ら 3弱 で 推 移 し て お り、 同 様 な 運 転 を 行 う 5kW 機と比較しても遜色はあ りませんでした。 2:00 4時間33分 20 15 10 Temperature 22℃ 8畳での温度 FL+750mm(平均値) 17畳での温度 FL+750mm(平均値) 12畳での温度 FL+750mm(推定値) 5 0 0:00 1:00 2:00 3:00 4:00 5:00 経過時間[時間] 6:00 7:00 8:00 第5図 外気2℃環境での室温 ように7時間 26 分で到達する と推定されました。このことか ら、当該供試機は 12 畳相当が 上限畳数と考えられます。 また、外気2℃環境でのヒー トポンプ床暖房単体の COP は 4か ら 3弱 で 推 移 し て お り、 7℃環境と同様遜色はありませ んでした。 (COP)=φ/P P:システム消費電力[W] 5.まとめ 小容量 3.6kW のヒートポン プ床暖房機の温熱環境を評価 し、従来品5kW 機と遜色のな い温熱環境や単体性能が得られ ることがわかりました。この床 暖房機は、平成 23 年8月にダ イキン工業株式会社から販売さ れました。今後、ヒートポンプ 床暖房の性能向上に向けた研究 を行っていく予定です。 第2式 COP算出式 執筆者 (2)外気2℃環境の場合 同様に外気2℃環境にて外気 と同温度の室温から暖房を行っ た場合、14 畳では床上 750mm の平均温度が 22℃に到達しま せんでした。そのため 12 畳で 評価を行ったところ、第5図の 執 筆 者:山本 恵一 所 属:研究開発室 エネルギー利用技術研究所 商品評価研究室 主な業務:家庭用暖房・給湯機器の評価業務に従事 研究に携わった人 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 商品評価研究室 上野 清隆 2011 November No.465 11 研究紹介 研究開発室 電力技術研究所 プロジェクト研究室 100kVA 級 SiC インバータ用 SiC ダイオードのサージ電流耐量評価 シリコン(Si)半導体に比べて物理特性が優れたシリコンカーバイド(SiC)半導体を用いた SiC インバー タの開発に取り組み、これまでに、SiC インバータとして世界最大級の定格出力 100kVA 級 SiC インバー タの開発に成功しました。しかし、SiC インバータを実用化するには、事故時の保護、長期信頼性、お よびコストといった解決しなければならない課題があります。今回は、この3つの課題の内、事故時の 保護に関係する SiC ダイオードのサージ電流耐量について報告します。インバータ故障時に、SiC ダイ オードに大きなサージ電流が流れる場合がありますが、そのサージ電流に対する SiC ダイオードの耐 量を評価しました。開発した SiC ダイオードは、1チップあたり 1000A(2000A/cm2)以上のサージ 電流を通電しても、Si 素子の破壊温度を大幅に超える、800℃以上の高温に耐えることを実証しました。 1.研究の目的 第1図は、蓄電池を使用した 負荷平準化装置の回路図であ り、三相インバータは変圧器を 介して配電線と接続されていま す。蓄電池の直流電圧は、イン バータにより交流電圧に変換さ れ、変圧器で昇圧されます。イ ンバータの1つのアームはス イッチング素子とダイオードで 構成され、上アームと下アーム で1相分を構成します。図の赤 で示したスイッチング素子が破 壊すると、相間短絡が起こり、 大きなサージ電流が交流側から インバータに流れこみます。イ ンバータの交流側に設置した ヒューズが切れるまでは、ダイ オードにはサージ電流が流れ続 けます。したがって、ヒューズ とダイオードの適切な保護協調 を図るために、ダイオードは ヒューズが溶断するまでの時 間、サージ電流に耐えることが 要求されます。 一般に、ヒューズの溶断特性 は電流二乗時間積(I2t)で表さ れ ま す。 ま た、SiC 半 導 体 は、 Si 半導体よりも優れた物理特性 を持ち、高い耐熱性を有してい るため、大きなサージ電流に耐 えることが期待されています。 我々は、SiC ダイオードとヒュー ズとの保護協調を検討するため に、まず、SiC ダイオードのサー ジ電流試験を行い、 SiC ダイオー ドのサージ電流に対する耐量を 測定・評価することとしました。 2.SiC ダイオード素子 第2図(a)は、サージ電流試 験を行った SiC ダイオードチッ プ の 断 面 図 と 表 面 写 真 で す。 SiC ダイオードはp層とn層の 二層構造からなり、アノードか らカソードへ電流が流れます。 サ ー ジ 電 流 通 電 中 の SiC ダ イ オードの温度上昇を緩和するた めに、チップサイズを8mm 角 とし、従来の6mm 角チップよ り大型化して、SiC ダイオード のオン電圧を低減させ、通電損 失を低減しました。 SiC ダイオードを高温で使用 するため、金属パッケージを採 用しました。第2図(b)にパッ ケージの外観を示します。SiC ダイオードチップは、パッケー ジ内の、セラミック板の上に銅 板を貼り付けた絶縁用基板 (DBC 基板)上に搭載され、金 属ワイヤで端子と接続されてい ます。パッケージは 55mm 径 と、従来の 40mm 径から大型 化し、パッケージの熱容量を増 大させました。熱容量が大きく (a) SiCダイオードチップ 第1図 負荷平準化装置回路図 12 R&D NEWS KANSAI (b) 金属パッケージ 第2図 SiCダイオードチップと金属パッケージ R&D NEWS KANSAI 研究開発室 電力技術研究所 プロジェクト研究室 100kVA 級 SiC インバータ用 SiC ダイオードのサージ電流耐量評価 なると、物体の温度は上昇しに くくなります。 これにより、 サー ジ電流通電時の SiC ダイオード の温度上昇を緩和しました。 3.サージ電流試験 第3図にサージ電流試験時の 電流波形と SiC ダイオードのオ ン電圧波形を示します。サージ 電流試験では、8msec 幅の正弦 半波状のサージ電流を通電しま した。試験直前の SiC ダイオー ド の 素 子 温 度 は100 ℃ で す。 上 段 の 曲 線 は サ ー ジ 電 流 波 (ピーク電流790A、970A、 1100A) 、 下段の曲線は、これらの電流を 通電した時の SiC ダイオードの オン電圧波形を示します。オン 電圧波形には異常がなく、SiC ダイオードは 1100 Aのサージ 電流に耐えることが確認できま した。 第4図はサージ電流試験時の SiC ダイオードの素子温度を、 第3図の測定波 形 を 元 に、 シ ミュレーションで導出した結果 です。 ピーク電流が790A、 970A、 1100A の時の素子温度を示し ます。ピーク電流が 1100A の 時、素子温度は 821℃に達しま した。この温度は Si 素子の破 壊温度である 300℃から 500℃ よりはるかに高い温度です。 第5図は、サージ電流試験の 実 施 前、 お よ び ピ ー ク 電 流 1100A のサージ電流試験終了 後の SiC ダイオードの順方向電 流-電圧特性を比較した結果で す。それらの電流-電圧特性は、 室温および 200℃の場合とも、 サージ電流試験前の初期特性か らほとんど変化していないこと がわかります。 SiC ダイオードは、サージ電 流により素子温度が 800℃以上 第3図 サージ電流試験中の電流、電圧の 時間推移 (a) 室温 第4図 サージ電流試験中の素子温度の‥ 時間推移 (b) 200℃ 第5図 サージ電流試験前後の順方向電流-電圧特性 に上昇しても、 特性が変化せず、 SiC ダイオードが優れた耐熱性 を有することを実証しました。 4.結論 インバータ故障時の SiC ダイ オードとヒューズとのサージ電 流に対する保護協調を検討する ために、SiC ダイオードのサー ジ電流試験を行い、その耐量を 測定・評価した結果、SiC ダイ オードは1チップあたり1000A (2000A/cm2)以 上の大きな電 流に耐えることがわかりまし た。さらに、SiC ダイオードは、 サージ電流通電時に、Si 素子の 破壊温度よりはるかに高い温度 である 800℃以上に達した後で も特性が変化せず、優れた耐熱 性 を 有 す る こ と を 実 証 し ま した。 執筆者 執 筆 者:緒方 修二 所 属:研究開発室 電力技術研究所 プロジェクト研究室 主な業務:SiC インバータの開発に従事 研究に携わった人 研究開発室 電力技術研究所 プロジェクト研究室 浅野勝則、三柳洋一、泉徹、林利彦、中山浩二、田中篤嗣、逸見哲郎 2011 November No.465 13 研究紹介 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 商品開発研究室 過熱水蒸気生成装置の開発研究 産業分野における食品・医薬品・製紙業などの生産プロセスでは、殺菌・乾燥・加工・洗浄などで幅 広く過熱水蒸気が使用されています。この過熱水蒸気は、集中熱源である燃焼式ボイラなどから得ら れる飽和蒸気を抵抗加熱等によりさらに過熱する方法が多く、輸送配管の放熱ロスが効率を低下させ る要因となっています。そこで、電気式への熱源転換と高効率化、個別分散配置を可能にする過熱水 蒸気生成装置の開発に取り組んだので、その概要を紹介します。 1.研究の背景 産業分野での製紙・化学繊維・ 食品・飲料・医薬品など多く の生産プロセスでは、消費エ ネルギーの約6割が蒸気、熱 供給(温熱・給湯・冷熱)によ るもので、蒸気のほとんどは 飽和水蒸気を乾燥工程に利用 するもので、熱源はほとんど 燃焼式ボイラやコジェネシス テムであり、損失が大きく大 型となる集中熱源になってい るのが現状です。 水蒸気は水から容易に得ら れ比熱・潜熱(蒸発熱)が大き い、伝熱特性が良い、腐食性 がなく無害、化学的安定性が 優 れ 引 火 し な い、 安 く 輸 送・ 貯蔵が容易など熱媒体として 優れています。さらにボイラ などから得られる飽和蒸気を 抵 抗 加 熱 等 で さ ら に 200 ~ 500℃程度に加熱する過熱水蒸 気は、高い伝熱性により殺菌・ 乾燥に優れる、低酸素のため 酸化や劣化・ダイオキシン等 の発生防止も期待され、殺菌・ 乾燥・加工・洗浄などの工程 で幅広く使用されています。 本研究では、低価格化を念 頭に、商用周波電源を用いた 過熱水蒸気生成装置を開発し ました。 2.開発の概要 当社は、平成 22 年度にトク デン㈱との共同研究により、変 14 R&D NEWS KANSAI 圧器原理を利用した過熱水蒸 気生成装置の開発を実施しま した。 現在、IH(誘導加熱)方式を 用いた過熱水蒸気生成装置が 市販されており、インバータ により加熱時間が短縮される、 水から一気に過熱水蒸気を生 成できるなどの長所がありま すが、インバータを用いるた め高価格になっています。そ こで、新たな誘導加熱方式と してインバータを使用しない 低価格の装置開発に取り組み ました。 (第1図) 3.開発のポイント (1)新たな誘導加熱方式 インバータを使用しない低 価格の誘導加熱方式を構成す るために、変圧器の原理を応 用し変圧器2次コイルを加熱 用配管に用いることで、商用 周波型の過熱水蒸気生成装置 を開発しました。2次コイルは 電気的に短絡した一体形とし、 コイル全体を筒上の加熱器と して使用しています。 (第2図) 第1図 開発機の外観 第2図 変圧器の応用例 R&D NEWS KANSAI 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 商品開発研究室 過熱水蒸気生成装置の開発研究 第4図 性能試験結果 第3図 系統構成 (2)系統構成 約 10 ~ 20℃の給水を 500℃ の過熱水蒸気にするために、単 相変圧器2台を使用し、1次変 圧器で 130℃飽和蒸気を、2次 変 圧 器 で 500 ℃ 過 熱 水 蒸 気 を 生成させる構成となっていま す。印加電圧は交流三相電源 を用い、1次変圧器はスコット 結線を採用して、電源の不平 衡を抑制しています。2次変圧 器は単相変圧器を使用してい ます。 ま た、 各 変 圧 器 の 1次 コ イ ルも配管設計にして給水を循 環させ、冷却回路としての機 能を持たせるとともに、給水 を 70℃程度に予熱して効率向 上を図っています。1次変圧器 出口にはドレンセパレータを 設けてドレンを排出すると共 に、減圧弁を設けることで蒸 気流量の安定化を図っていま す。 (第3図) 4.開発機の概要 開発機の仕様は第1表の通 りで、産業用で利用範囲が多 い食品関係などの規模を考慮 して、容量を中規模である蒸 気 流 量 20kg/h と し て い ま す。 (第1表) また、開発機の性能試験を実 施し、300~500℃の温度域で過 熱水蒸気を30 分間連続生成さ せ、20kg/h 以上で効率95%以上 (最大流量:23.4kg/h at500℃) と良好な結果であることを確認 しました。 (第4図) 第1表 開発機の仕様 項目 仕様 使用圧力 MAX0.3MPa 電源容量 30kW 周波数 60Hz(商用周波) 入力電圧 三相 AC200V 蒸気出口温度 500℃ 蒸気量 20kg/h 寸法 W800×D1200×H1475 重量 600kg 5.まとめ 開発機の性能試験結果を踏 まえて、トクデン㈱にて商品 化を進めており、平成 23 年秋 以降に小容量(5kg/h)、中容 量(20kg/h)のタイプを販売開 始する予定です。また、大容 量化を念頭に、さらなる低価 格・コンパクト化を考慮した 大型機の開発研究を平成 23 年 度から実施しており、平成 24 年度の完了に向けて進めてい ます。 執筆者 執 筆 者:森本 研二 所 属:研究開発室 エネルギー利用技術研究所 ‥ 商品開発研究室 主な業務:業務産業用機器開発に従事 2011 November No.465 15 研究紹介 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 構造と組成を制御した微粒子合成 天然ガスの高度有効利用を目的としたメタン分解反応の研究において、反応に用いる触媒粒子の形 態・組成・構造が、生成物の収率や構造を決定することが明らかになりました。そこで本研究において、 種々に条件を変化させて、活性成分の分布やサイズを制御した球形の触媒粒子を合成する方法を確 立することを試みました。 1.はじめに 天然ガスの主成分であるメ タンを水素とカーボンナノ チューブに分解することは、低 炭素なエネルギー利用技術で す。このような反応に用いる 触媒では、その化学的組成だ けでなく、物理的な形状や構 造が、反応活性や生成物の構 造に影響することを過年度に 明らかにしました。そこで本 研究では、活性成分の分布や サイズを制御した球形の触媒 粒子を合成する方法を確立す ることを目的としました。組 成や構造を制御して微粒子を テーラーメイドに合成する手 法が確立できれば、触媒のみ ならず、電極材料、添加剤、医 薬系材料等、広範囲への展開 が考えられます。 2.研究の概要 文献調査などからメタン分 解反応から細径のカーボンナ ノチューブを生成させると期 待された鉄、モリブデン、マ グネシウム三元系触媒を用い てメタン分解実験を行ないま したが、当初はきわめて低活 性でした。不活性な触媒を分 析したところ、第1図のエネ ルギー分散型X線分光(EDX) による元素分布マッピングに 示すように、活性成分である 鉄の1次粒子が触媒粒子の内 部に偏在していました。そこ で合成条件を様々に変化させ 16 R&D NEWS KANSAI て同じ組成の微粒子を合成し、 触媒担体となる酸化マグネシ ウムの表面に、活性成分であ る鉄、助触媒成分であるモリ ブデンが分布するように制御 することを試み、メタン分解 反応活性を試験することとし ました。 合 成 す る の は 組 成 比 を Fe: Mo:MgO = 11:13:76(wt%) に固定した FeO-MoO3-MgO 粒 子です。メタン分解反応の触 媒は、直径1ミクロン前後の 球状粒子が適していることが わかっているので、そのよう なサイズの球状粒子を合成す るのに適した手法である噴霧 熱分解法を採用し、財団法人 ファインセラミックスセン ターに委託して合成しました。 6種 類 の FeO-MoO3-MgO 粒 子(試料名 FMM01 ~ 06)を合 成 し ま し た。Fe お よ び Mo の 原料や合成時の加熱温度は同 一ですが、Mg 原料および合成 工程における中和処理の有無 などで6通りに異なる調製法 で試料を用意しました。合成 した微粒子は、電子顕微鏡観 察やX線回折により分析し、粒 子形状や結晶構造を明らかに しました。 3.研究の成果 (1)微粒子の分析 合成し水素還元処理した微 粒子のX線回折パターンを第 2図に示します。還元後の粉 末 の 主 相 は す べ て MgO と Fe となっていました。噴霧熱分 Mo Fe 第1図 不活性であった触媒粒子の元素分布 R&D NEWS KANSAI 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 構造と組成を制御した微粒子合成 FMM03 Mo Fe 第2図 還元処理後の試料の‥ X線回折パターン 解 直 後 の 試 料 で は FeMoO4 が 観測されましたので、これが 還元処理中に分解し結晶化し て Fe となったと解釈されます。 合成工程の違いにより各試料 で Fe のピーク強度が異なり、 特 に 試 料 FMM04 で は 小 さ く なっています。これは Fe が非 晶質で分散しているためと考 え ら れ ま し た。 一 方、 試 料 FMM01 と FMM03 では、MgO のピークと比較して大きな Fe のピークが観測されました。 そこで試料 FMM03と FMM04 について、詳細な分析を行い ました。第3図が透過型電子 顕 微 鏡(TEM)お よ び EDX に よ る 分 析 結 果 で す。 試 料 FMM04 は内部が空隙となった 中空粒子でしたので、外殻部 分 を 拡 大 し て 分 析 し ま し た。 試 料 FMM03 で は、MgO を 基 質として、Mo が粒子全体に分 布している一方、Fe は粒成長 して局在化し、外殻付近に多 く存在していることが明らか に な り ま し た。 こ れ に 対 し、 試 料 FMM04 の 分 析 結 果 か ら は、Mo だけでなく Fe も高分 散して粒子全体に均一に分布 し て い る こ と が 確 認 さ れ ま した。 FMM04 200 nm Mo O K 200 nm Mo L Fe 200 nm 20 nm Mg K 200 nm Fe K 第3図 試料FMM03とFMM04の成分分布 (2)触媒性能試験 合成し水素還元した微粒子 を触媒として用いて、メタン の 分 解 反 応 実 験 を 行 な い ま した。 試 料 約 10mg を 石 英 反 応 管 内にセットし、温度 700℃で流 量 10 mℓ /min のメタンガスを 流し、水素ガス発生が一定水 準以下になるまで反応させま した。反応後に生成したカー ボンの重量を測定し、実験に 供した触媒重量との比率から 反応活性を判断したところ、試 第4図 生成したカーボンナノチューブの‥ 透過電子顕微鏡写真 料 FMM03 を用いた場合のカー ボン収率は 4.97g-C/g-cat と試 験した微粒子中で最大でした が、FMM04 では 2.55g-C/g-cat と最小の収率でした。第4図 が、試料 FMM03 を用いたメタ ン分解反応から生成した多層 カーボンナノチューブです。 以上のように、メタンを分 解して水素とカーボンナノ チューブを得る反応に高活性 の触媒として、Fe を粒成長さ せて表面に配置した微粒子を 合成することに成功しました。 執筆者 執 筆 者:矢ヶ崎 えり子 所 属:研究開発室 エネルギー利用技術研究所 主な業務:触媒、二次電池、材料関係の研究に従事 2011 November No.465 17 研究紹介 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 アンモニアを燃料とした固体酸化物形燃料電池用電極の研究 アンモニアは水素エネルギーの輸送・貯蔵媒体として近年注目されています。アンモニアから水素を 取り出すのに余分なエネルギーが必要となることがアンモニア利用の課題となっていましたが、固体 酸化物形燃料電池(SOFC)の場合アンモニアを燃料に用いて直接発電できると期待されました。ア ンモニアを燃料にすると性能が悪かったのですが、本研究で電極を改良することにより、アンモニア を燃料とした SOFC の可能性を見出しました。 1.研究のねらい 低炭素社会の構築に向け、太 陽光、風力、水力などの再生 可能エネルギーの利用拡大が 注目されていますが、大規模 な発電の場合、余剰電気エネ ルギーをどうするかという課 題があります。大型電池によ る充電も可能ですが、いった ん水素に変換し、貯蔵・輸送 して用いる方が効率的な場合 もあります。また、国外の余 剰自然エネルギーを水素に変 換して輸入、利用して再生可 能エネルギーの使用比率を高 めていくなどの手法も有効と 考えられます。 し か し、 水 素 を 貯 蔵・ 輸 送 するためには液化に大きなエ ネルギーを必要とするという 電気 熱 都市ガスを燃 料とした SOFC 問題点があります。そこで、水 素エネルギーの輸送・貯蔵媒 体として水素を含む種々の化 合物を用いる方法が提案され ています。アンモニアもその 候補の一つですが、アンモニ アを利用するためには、水素 をアンモニアに変換し、消費 地で水素として取り出す必要 があるため、エネルギー効率 が低いという問題点がありま す。そこで、アンモニアを水 素に変換せず直接用いること ができればよいのではないか と考えました。 当社と同志社大学のグルー プは、アンモニア燃料+固体 酸化物形燃料電池(SOFC)の組 み合わせが、エネルギーの効 率的利用法としてもっとも適 SOFCスタック 酸化剤ガス 空気 燃料ガス 改質器 脱硫器 都市ガス 水蒸気発生器 フィルター/ イオン交換膜 電気 熱 アンモニアを燃 SOFCスタック 酸化剤ガス (改質器) アンモニア 第1図 SOFC発電システムの概要 R&D NEWS KANSAI 空気 燃料ガス 料とした SOFC 18 水 していると考え、アンモニア を燃料とした SOFC の可能性を 検討しました。 2.アンモニア SOFC の利点 第1図に、SOFC 発電システ ムの概要を示します。炭化水 素 系 燃 料 は 通 常 600 ℃ 以 上 で 改質する必要がありますが、ア ンモニアの場合、400 ~ 500℃ 程度で改質が可能です。その ため、アンモニアを燃料とす ればより低い作動温度でシス テムを構築することができ、よ り安価な材料が使用できます。 また、アンモニアは炭素を含 まないため、燃料極上への炭 素の析出による劣化が起こり ません。さらに、改質反応に 水が不要なため、水供給系が 不要であり、SOFC システムの 安定性の向上が期待できます。 以上のことから、アンモニア を燃料として用いることで、低 コストで安定性の高い SOFC の 開発が期待できます。 3.研究の成果 過去の研究例より、アンモニ アを燃料とすると、水素を燃料 としたときに比べて発電性能が 低くなってしまうことが知られ ています。我々も実験により同 様の結果を確認しました。 第 2図 に、 従 来 燃 料 極 と 新 規燃料極を用いたときのアン モニアを燃料としたときのセ R&D NEWS KANSAI 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 アンモニアを燃料とした固体酸化物形燃料電池用電極の研究 1.2 従来燃料極 Cell voltage [V] 1.1 o 900 C o 800 C o 700 C 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0 100 200 300 400 500 600 -2 Current density [mA cm ] 1.2 Cell voltage [V] o 新規燃料極 1.1 900 C o 800 C o 700 C 1.0 0.9 0.8 0.7 0.6 0.5 0.4 0 100 200 300 400 500 600 200 o Current density / mA cm -2 900 C o 800 C o 700 C 150 NH3 50 0 20 40 60 80 100 第3図 Ni/Fe比を変化させたときの‥ 燃料極特性依存性 第 3図 に、 燃 料 極 中 の ニ ッ ケルと鉄の比率を変化させた ときの燃料極特性の変化を示 し ま す。 い ず れ の 燃 料 極 も SDC の比率は同一です。また、 縦 軸 は 燃 料 極 過 電 圧 が 0.15V のときの電流密度です。この 値が高いほど性能が高いとい うことを意味します。 第 3図 よ り、 ニ ッ ケ ル と 鉄 の両方を含むとさらに性能が 向上するということが分かり ました。また、ニッケルと鉄 の比率に最適値が存在し、ニッ ケル 40%、鉄 60%のときに最 も良好な特性が得られるとい うことを明らかにしました。 -2 鉄を用いることによりアン モニア燃料を用いた SOFC の可 能性を見出すことができまし たが、ニッケルと鉄を両方加 えることにより、さらに良好 な特性が得られるのではない かと考えました。 そこで、ニッケルと鉄の両 方 を 入 れ た 燃 料 極 を 作 製 し、 ニッケルと鉄の比率を変えて 燃料極の特性を比較しました。 ●Ni-Fe合金 ●SDC Ni content / mol% Current density [mA cm ] 第2図 従来燃料極を用いたセルと‥ 新規燃料極を用いたセルの‥ 発電特性(アンモニア燃料) O2N2、H2 100 0 電解質 ル発電特性を示します。電解 質にはランタンガレート系酸 化物、空気極には白金を用い ました。従来燃料極はニッケ ルとサマリア添加セリア(SDC) の複合体です。新規燃料極は 鉄と SDC の複合体です。 水素を燃料としたときは従 来燃料極と新規燃料極で発電 特性の差はほとんどありませ んでしたが、アンモニアを燃 料としたときには従来燃料極 の特性が大幅に低下したのに 対し、新規燃料極ではその低 下幅は低減されました。 4.考察 新規燃料極がなぜ良好な特 性を示すのかを検討しました。 第4図にその反応機構を示し 第4図 新規燃料極の反応機構 ます。アンモニアの改質反応 が主に鉄の上で起こり、引き 続き水素と酸化物イオンとの 電気化学的反応が主にニッケ ルの上で起こるという相乗効 果が考えられます。また、鉄 は焼結しやすく、ガス拡散の 抵抗を増やしますが、ニッケ ルとの混合により鉄の焼結が 抑制され、ガス拡散抵抗が低 減されたと考えられます。し かしまだ不明な点も多く、今 後さらなる解析が必要である と考えています。 5.今後の取り組み 今後は電極作製条件の最適 化によりさらに性能を向上さ せるとともに、耐久性の確認 やセル大型化にも取り組む予 定です。 執筆者 執 筆 者:吉田 洋之 所 属:研究開発室 エネルギー利用技術研究所 主な業務:中温作動 SOFC の研究開発業務に従事 連絡先 社用:97-7288 外線:050-7104-2658 研究に携わった人 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 稲垣 亨 チーフリサーチャー 2011 November No.465 19 ミニ解説 電力技術研究所 環境技術研究センター 生物電気化学について 1.はじめに 生物は、その生体内で電子の流れを利用して各 種の代謝活動を行っています。ここでは、生物由 来材料(酵素)や微生物を電極触媒として用い、 電子の授受を行う電気化学デバイスについて簡単 に紹介します。 2.生物電気化学の展開 1)バイオセンサー 酵素と電極を組み合わせた電気化学センサー で、代表的なものは、糖尿病患者の血糖値測定 器に利用されているグルコースセンサーです 1。 グルコースの酸化反応を触媒する酵素であるグ ルコースオキシダーゼ(GOD)は、酸化反応に より、グルコースから酸素などのメディエータ (電子の授受を行う化合物)に電子を受け渡し ます。そこで、電極の上に GOD を固定化して 血液を添加すると、血液中のグルコース濃度に 依存した電流が電極に流れ、グルコースを定量 することができます(第1図) 。用いる酵素や メディエータの改良が行われています。 第1図 グルコース‥ センサーの原理 2)バイオ電池 バイオセンサーと同じく、生化学反応を用い て有機物-電極間で電子の授受を行いますが、 電子のやりとりを大量に行い、発電につなげる のがバイオ電池です(第2図) 。バイオ電池の メリットとし て は、 1)常 温常圧反応な ので安全かつ 環境負荷が小 さ い。2)白 金などの高価 第2図 バイオ電池の例 な金属の代わ (電極との電子授受にメディエータ を介さないものもある) りに、微生物 20 R&D NEWS KANSAI を触媒として用いるため低コストである。と いった点があります。電極触媒の役割を酵素で 行う酵素電池と、微生物そのものを用いる微生 物電池の2種類があります。現在のところ最も 高出力を達成している酵素電池では、太陽電池 並の 10mW/cm2 の出力密度が得られており、 携 帯 用 音 楽 機 器 等 を 稼 動 さ せ る こ と が で き ます 2。 電極触媒として微生物を用いる微生物電池で は、微生物の増殖により触媒作用が再生され、 酵素電池のような酵素の失活の問題を避けるこ とができます。また、微生物の栄養源として有 機物を含む排水を連続的に供給することによ り、排水処理と発電を組み合わせることも可能 です(微生物燃料電池)3。ただ、現在のところ 酵素電池に比べて出力密度が低く、高出力化が 課題となっています。また、生物種として光合 成微生物(緑藻など)を用いた微生物太陽電池 も検討されています。これは、微生物自らが光 合成によって自らが有機物を合成し、それを原 料に発電を行うというものです。 3)電気培養 電極を用いて、微生物と電子のやり取りを 行ったり、微生物培養液の電位を制御すること で、 微生物の物質生産や増殖を制御する方法(電 気培養)が研究されています(第3図) 。これま でのところ、電気培養による水素生産、バイオ 燃料廃液処理などが報告されています 4。 第3図 電気培養の概念 1 Wilson Biosens BioElectron , 7,165(1992) 2 http://www.sony.co.jp/SonyInfo/technology/technology/ theme/bio_01.html 3 Watanabe J Biosci Bioeng , 106,528(2008) 4 生物工学会年次大会(2011) (田中 聡) R&D NEWS KANSAI 社内案内 研究開発室 研究企画グループ 第 40 回全社技術研究発表会 総合大会を開催 平成 23 年 10 月 18 日(火)、本店 40 階会議室において、約 340 名の参加者のもと、第 40 回全社 技術研究発表会 総合大会が開催されました。 以下に大会の概要と、技術研究報賞受賞論文ならびに受賞者を紹介します。 ■開会のあいさつ 大会冒頭のあいさつで八木社長は日頃の研鑽と努力に敬意と感謝の意を伝えるとともに、東日 本大震災後の経営環境の変化を踏まえ、 「電気をはじめ当社グループの商品・サービスの安全・安 定供給に万全を期すとともに、仕事のあり方全般を柔軟かつ大胆に見直すことが重要であり、こ れらの推進にはあらゆる面での技術革新が鍵となる」と述べられました。その上で、研究開発・ 技術開発を進める際の留意点を3点挙げられました。 ① 電力の安全・安定供給の確保 に向けて、設備基盤の充実・強 化を支える技術開発を着実に進 めること。 ② 持続可能な低炭素社会の実現 に向けて、CO2削減につながる 革 新 的 な 技 術 開 発 に 挑 戦 す る こと。 ③ お客さまや社会の皆さまの幅 広いニーズにお応えできるよう、 グループ総合力の強化に向けて、 マーケット・インの技術開発に 取り組むこと。 写真1 八木社長による開会のあいさつ ■技術研究報賞の授与 約600件 の 研 究 テ ー マ の 中 か ら、 八木社長より「優秀賞」5件、「優良 賞」4件、グループ会社に対する「特 別賞」2件が授与されました。 また、当日は進歩賞授与式も行わ れ、大田研究開発室長から「進歩賞」 25件が授与されました。 写真2 八木社長による優秀賞・優良賞・特別賞授与 2011 November No.465 21 社内案内 研究開発室 研究企画グループ ■優秀賞・特別賞論文の代表発表 優秀賞に選ばれた情報通信部門の「新計量システムにおける無線LAN方式高速メディア※1」と 土木建築部門の「LES法を用いた数値計算手法の表面取水設備流れ場への適用に関する研究※2」 、 ※3 および特別賞に選ばれたグループ事業部門の「CCSモニタリングシステム開発 」(株式会社 環 境総合テクノス)が代表発表を行い、活発な質疑応答が行われました。 ※1 情報通信部門とネットワーク技術部門が緊密に連携しながら、無線LANの課題を一つひ とつクリアして、長距離通信、正確な検針と開閉処理、データ等のセキュリティ確保を同 時達成できる信頼性の高い通信方法を確立しました。 ※2 最新の3次元解析手法であるLES法を直営で改良し、取水口をはじめ水力発電設備の流 れ場における渦の挙動を、短時間かつ低コストで解析する手法を確立しました。渦発生に よる設備損傷の防止に向けた高精度の水理設計を支援するツールです。 ※3 CO2の海底下貯留の実用化に向けて、沿岸海域における海水中のCO2漏洩を常時監視でき るモニタリング技術を開発したものであり、国が進めているCCSプロジェクトに適用でき るほか、海洋環境調査への応用など幅広い活躍も期待できます。 ■特別講演 京都大学 再生医科学研究所教授 田畑泰彦先生から「バイオマテリアル技術からみた先端医 療と生物医学研究」と題して、バイオマテリアル※技術がもたらす骨再生や血管再生など最先端 の再生医療についてご講演がなされました。 ※ ヒトの体に触れて用いられる材料であり、化粧品といった身近なものから医療用具や人工 臓器に至るまで幅広く適用されています。 22 R&D NEWS KANSAI R&D NEWS KANSAI 研究開発室 研究企画グループ 第 40 回全社技術研究発表会 総合大会を開催 第 40 回全社技術研究発表会 技術研究報賞受賞論文ならびに受賞者一覧 報賞 部 門 受賞論文名 所 属 氏 名 加 藤 久 晴 小野田哲也 経営改革・IT 本部 通信技術グループ 情報通信 福 田 彰 人 新計量システムにおける無線 LAN 方式高速 メディアの開発 高 崎 泰 伸 石 井 友 和 電力流通事業本部 ネットワーク技術部門 ネットワーク技術システムグループ 玉 井 一 嘉 南大阪営業所 岸和田ネットワーク技術センター 岡 本 行 平 久 末 信 幸 優秀賞(5件) 土木建築 LES 法を用いた数値計算手法の表面取水設備 流れ場への適用に関する研究 研究開発室 電力技術研究所 構築研究室 火力・環境 結晶制御超合金の強度・信頼性評価に 関する研究 研究開発室 電力技術研究所 電力基盤技術研究室 (発電) 電気利用 ヒートポンプ式浴室暖房乾燥機に関する研究 向 井 康 博 香 川 裕 之 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 商品評価研究室 水 谷 圭 一 土木建築室 土木建築エンジニアリングセンター 仲 嶋 正 訓 株式会社ケイキャット (人材活性化室附) 宮 藤 龍 二 浅 野 勝 則 三 柳 洋 一 泉 総合‥ SiC スイッチング素子用保護回路の小型化と プロジェクト 長時間動作検証 徹 林 利 彦 研究開発室 電力技術研究所 プロジェクト研究室 中 山 浩 二 緒 方 修 二 田 中 篤 嗣 逸 見 哲 郎 水力・変電 優良賞(4件) 送 電 系統運用 過渡安定度制御機能付き SVG の開発 人孔内設備監視システムの開発 保護機能の切替を可能とした ディジタル保護継電装置の開発 特別賞 (2件) NW 技 術 高低圧配電線路における効果的な耐雷対策の検討 グループ 事 業 CCS モニタリングシステム開発(CCS 対応) 電力システム技術センター 変電グループ 安 喰 誠 電力流通事業本部 工務・系統運用部門 工務グループ 新 木 依 子 研究開発室 電力技術研究所 電力基盤技術 (流通) 遠 藤 真 五 電力システム技術センター 地中送電グループ 山 本 欣 弘 京都電力所 京都電力システムセンター 寺 脇 弘 京都電力所 地中送電課 荒 木 博 司 電力システム技術センター 制御グループ 田 中 則 行 黒 田 慶 悟 大阪北電力所制御課 後 藤 崇 宏 電力流通事業本部 ネットワーク技術部門 ネットワーク技術運用グループ 北 村 時 宏 (株)環境総合テクノス 東京支店 後 藤 浩 一 藤 井 武 史 2011 November No.465 23 研究紹介 報賞 部 門 受賞論文名 所 属 氏 名 児 玉 茂 雄 特別賞(2件) 山 野 健 次 松 宮 俊 行 グループ 事 業 原子力発電所シミュレータの開発 (株)原子力エンジニアリング (NEL) 安全グループ 坂 本 進 佐 藤 英 明 水 木 宏 幸 石 川 孝 康 火力・環境 組織培養技術を用いた商品開発 研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター 保水性パネルの実証試験と実用化見通し 研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター 田 中 聡 奥 畑 博 史 羽 田 雄 一 田 村 俊 輔 変電所の送出電圧における新たな状態監視の研究 神戸電力所 尼崎電力システムセンター (水力変電) 甲 山 泰 男 岩 口 祐 二 水力変電 道頓堀変電所 変圧器冷却システム ステンレス配管腐食の原因究明 新黒部川第三発電所 2号水車 封水部漏水増大に伴う対策について 進歩賞( 断熱耐火塗装の塗布による 添架ケーブルの防災対策 件) 25 送 電 電線温度特性に及ぼす影響に関する考察 飛来物の絶縁耐力試験結果と今後の対応 Y法活用による 154kV 須原大井線の安定度検証 大阪南電力所 我孫子電力システムセンター (制御) 大阪南電力所 我孫子電力システムセンター (水力変電) 渡 辺 泰 弘 石 田 健 二 景 山 拓 弥 北陸支社 電気グループ 鷲 平 潔 北陸支社 黒部川第二発電所改良工事所 竹 内 國 彦 北陸支社 黒部川電力システムセンター 安 川 実 電力システム技術センター 水力グループ 鞍 馬 伸 吾 京都電力所 地中送電課 大 槻 充 原 田 弘 樹 京都電力システムセンター 地中送電係 藤 原 徳 道 研究開発室 技術調査グループ 藤 原 拓 真 神戸電力所 架空送電課 名 村 俊 男 大阪南電力所 架空送電課 玉 城 正 隆 我孫子電力システムセンター 架空送電係 岡 田 司 山 崎 博 幸 東海支社 電気グループ 樋 田 悟 電力流通事業本部 系統制御グループ 下 根 孝 章 研究開発室 電力技術研究所 電力基盤技術研究室 (系統) 矢 壷 修 系統運用 6kV 非接地系統における中性点不安定現象に伴う 共連れ防止対策 零相循環電流による柏木線1L 50G リレー不要動作の応動検証 和歌山電力所 電気課 小森山孝之 大阪南電力所 制御課 加 藤 宏 道 滋賀支店 滋賀電力所 電気課 真 田 彰 一 電力流通事業本部 系統制御グループ 下 根 孝 章 研究開発室 電力技術研究所 電力基盤技術研究室 (系統) 安 並 一 浩 24 R&D NEWS KANSAI R&D NEWS KANSAI 報賞 部 門 受賞論文名 新計量システム用負荷開閉ユニット (単 3 - 60A)の開発 所 属 氏 名 宮 津 亨 電力流通事業本部 ネットワーク技術部門 ネットワーク技術高度化推進グループ 織 田 俊 樹 大阪南支店 大阪南ネットワークエンジニアリングセンター 地上設置型機器メンテナンス工法の開発 NW 技 術 情報通信 高 尾 和 也 電力流通事業本部 ネットワーク技術部門 ネットワーク技術運用グループ 平 野 正 行 研究開発室 電力技術研究所 電力基盤技術研究室 (流通) コア抜きによる抜柱工法の開発 阪神営業所 三田ネットワーク技術センター 検索システムの開発研究 京都支店 京都ネットワークエンジニアリングセンター 吉 田 盛 一 谷 川 幸 範 畠 中 琢 磨 研究開発室 電力技術研究所 IT サービス研究室 池 田 利 夫 進歩賞( 件) 姫路支店情報通信グループ (現所属:情報通信センターお客さまシステムグループ) 土壌微生物を活用した樹勢回復技術の開発研究 研究開発室 電力技術研究所 環境技術研究センター 低炭素社会に寄与できる建築手法に関する研究 請 川 輝 和 京都営業所 伏見ネットワーク技術センター 小 東 浩 一 奥 田 英 治 酒 井 研 二 一 谷 匡 陛 土木建築室 建築設備エネルギーグループ 土木建築 斎 藤 英 也 荻 野 博 志 カテナリー吊架における安全率確認手法の研究 25 筒 井 順 久 南大阪営業所 岸和田ネットワーク技術センター 赤外線サーモグラフィによる 配電設備遠隔診断技術の開発 LP 碍子活線カバーの開発 西 翔 太 朗 古 賀 修 土木建築室 建築グループ 石 堂 浩 二 総務室 法務総括グループ 山 田 淳 天井放射空調を組み合わせた全館空調システムに 関する研究 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 商品評価研究室 石 黒 晃 子 高効率蒸気供給システムの開発 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 商品開発研究室 お客さま本部 商品開発グループ 電気利用 食品工場向け IH 加熱技術の開発 沼田誠一郎 西 山 忠 須崎 嘉樹 橋 本 和 男 お客さま本部 エンジニアリンググループ 奥 住 講 平 西田 康介 アンモニアを燃料に用いた SOFC 用燃料極の開発 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 総合エネルギー研究室 太陽光発電の大量普及時の出力予測に関する研究 研究開発室 エネルギー利用技術研究所 総合エネルギー研究室 総合・‥ プロジェクト 稲 垣 亨 吉 田 洋 之 磯 修 斉 藤 圭 二 和 田 英 樹 2011 November No.465 25 R&D NEWS KANSAI 梅 福 堂島川 小園小 JOY ホームセンター 名神高速道路 山幹通り タイヨー 電力技術研究所 バークレーン エネルギー利用技術研究所 マクドナルド 尼崎次屋局 東署 御堂筋 淀屋橋駅 なにわ筋 四ツ橋筋 肥後橋駅 土佐堀川 関西電力(研究開発室) 〒530-8270 大阪市北区中之島3丁目6番16号 TEL. 06-6441-8821 大阪市営地下鉄四ツ橋線「肥後橋駅」から徒歩約5分 京阪中之島線「渡辺橋駅」から徒歩約3分 聖トマス大 近松公園 大江橋 朝日新聞 大江橋駅 渡辺橋 関西電力 渡辺橋駅 線 線 京阪中之島線 アバンザ堂島 国道2号線 神戸 新幹 サントリー ビル 阪急 山陽 新 JR 北新地駅 線 御堂筋 地下鉄 福島駅 JR 東西線 駅 百合学院高 尼崎上坂部局 大阪マルビル 地下鉄四ツ橋線 阪神 駅 福島 阪神百貨店 田 線 福知山 西梅田駅 島駅 駅 梅田 田駅 園 塚口駅 阪駅 JR 大 スーパー マルハチ 東海道 本線 尼崎 駅 電力技術研究所 エネルギー利用技術研究所 〒661-0974 兵庫県尼崎市若王寺3丁目11番20号 TEL. 06-6491-0221 (電力技術研究所) TEL. 06-6491-0222 (エネルギー利用技術研究所) 阪急電鉄神戸線 「園田駅」 から徒歩約15分 JR 「尼崎駅」 より尼崎市バス 「近松公園」 から徒歩約5分 ●この度の東日本大震災により被災された方々やご家族はじめ、関係する皆さまに、心からお見舞いを申し上げ ます。 ●“R&D News Kansai”についてのお問い合わせ、 またはお気づきの点がありましたら、 下記までご連絡ください。 関西電力株式会社 研究開発室 研究推進グループ:三船 耕平 TEL.050-7104-1190 FAX.06-6441-9864 E-mail:[email protected] ●インターネット『URL〜http://www.kepco.co.jp/→ 研究開発情報→R&D News Kansai』 にて 掲載内容をご覧いただくことが出来ますのでご利用ください。 2011年11月号 No.465 2011年11月15日発行 発行所 関西電力株式会社 研究開発室 〒530-8270 大阪市北区中之島3丁目6番16号 TEL.06-6441-8821㈹ FAX.06-6441-9864 本誌に記載されている記事、 写真等の無断掲載、 複写、 転載を禁じます。 この冊子は再生紙を使用しています。