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治験に関する規制調和と日本発の 革新的な医療機器開発を進めるために

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治験に関する規制調和と日本発の 革新的な医療機器開発を進めるために
日本
米国
欧州(EU)
医薬品
ICH
ICH
ICH
医療機器※
ICH
ICH
ISO
※欧州で採用されているISO-GCP(ISO14155)は,ICH-GCPとの整合性を向上させるため,2011 年に改正された。
日本・米国は,改正された ISO-GCP は,自国の GCPと同等の内容であり,ISO-GCPに基づき実施された臨床試験成
績は申請資料として受入可能と認め,米国は 2012 年 3 月 Federal Register(連邦官報)に掲載,日本も 2013 年 2
月にGCP 運用ガイダンスに明記。
GCPには,主にICH(日米 EU 医薬品規制調和国際会議)とISO(国際標準化機構)の定め
た2 種類の国際基準がある。
(他にWHOも定めている)
日本が ISO-GCPではなくICH-GCPを採用している理由
▲
医薬品と医療機器に共通の GCP(ICH-GCP)を採用することは,治験実施医療機関にお
ける教育・研修や,必要な手順書等の整備において,効率的
▲
医薬品と医療機器を組合せて臨床試験が実施される場合も多く,共通のGCP
(ICH-GCP)
に基づいて実施することが合理的
図 4 日米欧の臨床試験の実施の基準(GCP)
3 医療機器の治験が必要になる場合とは
医療機器の審査では,臨床的な有効性および安全性が,既存の医療機器との
同等性,性能試験,動物試験等の非臨床試験成績,既存の文献等のみによって
は評価できない場合に臨床試験の実施が必要となり,臨床試験成績に関する資
料の提出が求められる(図 5 )。これは,以前は,リスクの高い一定の医療機器
を臨床試験成績が必要なものとしてリスト化して示されていたものを,2008
年に通知を改正して,GHTF(医療機器規制整合化会議)で作成されたガイダン
ス文書 GHTF/SG5/N2の「臨床評価」の考え方を導入し,一律,臨床試験成績
が必要とするのではなく,柔軟に取り扱う方針としたものである(GHTF につ
いては,第 7 章で紹介する)
。なお,治験を実施する場合の必要な症例数は,
1999年の医薬審第1043号通知では,原則として 2 施設で各30症例以上とさ
れていたが,2005年に廃止され,有効性,安全性を証明するに足りる統計学
的に評価可能な症例数とされた(だが,これが都市伝説化して,今でも「医療
機器治験は 2 施設60症例」と信じている人がたまにいる)。
医療機器の治験件数は医薬品と比べて少ないが(図 6 ),その背景には,リ
スクの低い一般医療機器(クラスⅠ,原則届出のみ)や管理医療機器(クラス
4
なぜ日本の GCP はローカルな J-GCP と呼ばれてきたのか?
序
章
(1)医療機器の臨床的な有効性及び安全性が性能試験,動物試験等の非臨床試験成績又は既
存の文献等のみによっては評価できない場合に臨床試験の実施が必要となり,臨床試験成績
に関する資料の提出が求められるものであること。
(2)臨床試験の試験成績に関する資料の要否については,個々の医療機器の特性,既存の医療
機器との同等性,非臨床試験の試験成績等により総合的に判断されることから,その判断には
必要に応じ,独立行政法人医薬品医療機器総合機構の臨床評価相談又は申請前相談を活用さ
れたいこと。
なお,その性能,構造等が既存の医療機器と明らかに異なる医療機器(新医療機器)に該当
するものについては,原則として臨床試験の試験成績に関する資料の提出が必要であること。
(3)別途,通知等において臨床試験の試験成績に関する資料の取扱いが明記されている場合に
はそれを参照すること。
臨床試験を実施する場合の症例数は,臨床試験の目的や主要評価項目等を踏まえ,当該医
療機器の有効性,安全性の評価に適切な症例数とすること。希少疾病用医療機器等,適応疾
患の症例自体が少ない等の事情がある場合には,事情を勘案して妥当な治験計画をたて,評
価可能で実施可能な症例数を検討すること。
なお,比較対照をおく場合にあっては統計学的に症例数を設定する必要があることに留意す
ること。
「医療機器に関する臨床試験データの必要な範囲等について」
(平成 20 年 8 月 4 日付け薬食機発第 0804001 号)
図 5 臨床試験の試験成績に関する資料の必要な範囲等
632
534
500
560
524
508
499
556
医薬機器
689
700
600
医薬品
治験届出数︵初回+ 回︶
N
800
400
300
200
100
26
22
21
17
34
35
29
43
0
2005
2006
2007
届出内訳(年度) 2005
2008
2009
2010
2011
2012
(年度)
2006
2007
2008
2009
2010
2011
2012
医薬品(初回) 112
112
129
128
129
159
165
132
医薬品(N 回) 422
387
379
396
431
473
524
424
医療機器(初回)
20
19
15
19
27
29
25
32
医療機器(N 回)
2
7
2
2
7
6
4
11
(Source:医薬品医療機器総合機構 業務報告)
図 6 医薬品及び医療機器の治験届出数
5
第
7
章
治験に関する規制調和と日本発の
革新的な医療機器開発を進めるために
治験に関する医療機器規制の国際調和,国際共同治験の推進に向けた取組み
と,次世代医療機器開発・審査の効率化に向けたガイダンス作成について紹介
する。
1 GHTF の活動と臨床評価に関するガイダンス文書
GHTF(医療機器規制国際整合化会議,Global Harmonization Task Force)は,
医療機器規制を国際調和させることにより,患者安全の増進と,安全性,有効
性及び臨床的意義の高い医療技術へのアクセスの向上を図ることを目的とし
て,1992年に活動を開始した EU(欧州連合),米国,カナダ,日本,オース
。
トラリアの規制当局と産業界代表から構成される国際会議である(図 7 - 1 )
GHTF では,常設の 5 つの SG(スタディ・グループ)と臨時に設置される
創設メンバー
(Founding Members)
日本,米国,EU,
カナダ,オーストラリア
連携団体(Liaison Bodies)
AHWP, ISO, IEC
運営委員会
・UDI・グローバルモデル
・ソフトウェアなど
(Steering Committee; SC)
第 1 研究班
第 2 研究班
第 3 研究班
第 5 研究班
(Study Group1)
(Study Group2)
(Study Group3)
(Study Group5)
市販前規制
市販後監視
品質システム
臨床評価
IVD
Subgroup
第 4 研究班
(Study Group4)
QMS 査察
図 7 - 1 医療機器規制国際整合化会議(GHTF)の構成
61
AHWG(アド・ホック・ワーキング・グループ)において,これまでに合計約
40種類のガイダンス文書を公表してきた。GHTF のガイダンス文書は,参加
国の規制への取り込みが義務づけられているわけではないが,これまでに多
くのガイダンス文書が,GHTF 参加国のみならず,AHWP(アジア医療機器規
制整合化会議)などを通じて新興国・途上国も含めた各国の規制に取り込ま
れている。なお,2012年末に GHTF は活動を終え,ガイダンス文書は,規制
当局主導により,ブラジル・中国(2013年から参加)を加えて2011年に発足
した IMDRF(国際医療機器規制当局フォーラム,International Medical Device
Regulators Forum)に引き継がれている(図 7 - 2 )。
GHTF では,2004年に,医療機器の臨床評価に関する各国の規制要件の調
和を目的とした SG5が創設され,GCP(ISO14155)そのものを検討する ISO
TC194と覚書を締結して役割分担を明確にし,2012年までに臨床評価に関す
る合計 8 つのガイダンス文書を公表してきた(図 7 - 3 )。以下,その概略を紹
介する。詳細については,IMDRF の Website からガイダンス本文がダウンロー
ド可能である。
管理レベル
(Management Level)
公式オブザーバー
(Official Observer)
WHO(世界保健機関)
管理委員会
(Management Committee; MC)
管理委員会メンバー国(MC Member)
日本,米国,EU,カナダ,オーストラリア
ブラジル,中国(,ロシア)
運営レベル
・運営手順作成
連携団体(Affiliate Organization)
AHWP(アジア医療機器規制整合会議)
APEC LSIF RHSC(APEC 規制調和運営委員会)
ISO(国際標準化機構)
,IEC(国際電気標準会議)
(Operational Level)
利害関係者(Other Stakeholder)
産業界,アカデミア,医療の専門家,消費者・患者団体
作業班
作業班
作業班
作業班
(Working Group)
(Working Group)
(Working Group)
(Working Group)
NCAR
UDI
(規制当局間措置情報交換)
(固有機器識別)
査察機関の要件・
規制当局による監督
市販前申請
資料整合化
認知基準リスト
単体医療機器ソフトウェア
(今後追加)
図 7 - 2 国際医療機器規制当局フォーラム(IMDRF)の構成
62
(今後追加)
資料 3
薬事法施行規則 治験届関係規定 読み替え表
読み替え前
読み替え後
(薬物に係る治験の計画の届出)
第二百六十九条 治験(薬物を対象とする
ものに限る。以下この条から第二百七十三
条までにおいて同じ。
)の依頼をしようと
する者又は自ら治験を実施しようとする者
は,あらかじめ,治験の計画に関し,次の
事項を厚生労働大臣に届け出なければなら
ない。
一 治験の対象とされる薬物(以下「被験
薬」という。
)の成分及び分量
(機械器具等に係る治験の計画の届出)
第二百六十九条 治験(機械器具等を対象
とするものに限る。以下同じ。
)の依頼を
しようとする者又は自ら治験を実施しよう
とする者は,あらかじめ,治験の計画に関
し,次の事項を厚生労働大臣に届け出なけ
ればならない。
二 被験薬の製造方法
三 被験薬の予定される効能又は効果
四 被験薬の予定される用法及び用量
五 治験の目的,内容及び期間
六 治験を行う医療機関の名称及び所在地
七 医療機関において治験を行うことの適
否その他の治験に関する調査審議を行う
委員会の設置者の名称及び所在地
八 治験を行う医療機関ごとの治験に係
る業務を統括する医師又は歯科医師(以
下この条において「治験責任医師」とい
う。)の氏名及び職名
九 治験責任医師の指導の下に治験に係る
業務を分担する医師又は歯科医師がある
場合にあつては,その氏名
十 治験を行う医療機関ごとの予定してい
る被験薬及び被験薬と比較する目的で用
いられる医薬品又は薬物その他の物質を
交付し,又は入手した数量
十一 治験を行う医療機関ごとの予定して
いる被験者数
十二 被験薬を有償で譲渡する場合はその
理由
90
一 治 験 の 対 象 と さ れ る 被 験 機 器( 第
二百七十四条の二第一項に規定する「被
験機器」をいう。
)の構造及び原理
二 被験機器の製造方法
三 被験機器の予定される効能又は効果
四 被験機器の予定される操作方法又は使
用方法
五 治験の目的,内容及び期間
六 治験を行う医療機関の名称及び所在地
七 医療機関において治験を行うことの適
否その他の治験に関する調査審議を行う
委員会の設置者の名称及び所在地
八 治験を行う医療機関ごとの治験に係
る業務を統括する医師又は歯科医師(以
下この条において「治験責任医師」とい
う。)の氏名及び職名
九 治験責任医師の指導の下に治験に係る
業務を分担する医師又は歯科医師がある
場合にあつては,その氏名
十 治験を行う医療機関ごとの予定してい
る被験機器及び被験機器と比較する目的
で用いられる医療機器又は機械器具等そ
の他の物質を交付し,又は入手した数量
十一 治験を行う医療機関ごとの予定して
いる被験者数
十二 被験機器を有償で譲渡する場合はそ
の理由
薬事法施行規則 治験届関係規定 読み替え表
十四 治験実施計画書の解釈その他の治験
の細目について調整する業務を医師又は
歯科医師に委嘱する場合にあつては,そ
の氏名及び職名
十五 治験実施計画書の解釈その他の治験
の細目について調整する業務を複数の医
師又は歯科医師で構成される委員会に委
嘱する場合にあつては,これを構成する
医師又は歯科医師の氏名及び職名
十六 治験の依頼をしようとする者が治験
の依頼及び管理に係る業務の一部を委託
する場合又は自ら治験を実施しようとす
る者が治験の準備及び管理に係る業務の
一部を委託する場合にあつては,当該業
務を受託する者の氏名,住所及び当該委
託する業務の範囲
十七 実施医療機関又は自ら治験を実施し
ようとする者が治験の実施に係る業務の
一部を委託する場合にあつては,当該業
務を受託する者の氏名,住所及び当該委
託する業務の範囲
十八 自ら治験を実施しようとする者にあ
つては,治験の費用に関する事項
十九 自ら治験を実施しようとする者にあ
つては,治験薬を提供する者の氏名又は
名称及び住所
2 前項の届出には,被験薬の毒性,薬
理作用等に関する試験成績の概要その他
必要な資料を添付しなければならない。
十三 治験の依頼をしようとする者が本邦
内に住所を有しない場合にあつては,被
験機器による保健衛生上の危害の発生又
は拡大の防止に必要な措置を採らせるた
め,治験の依頼をしようとする者に代わ
つて治験の依頼を行うことができる者で
あつて本邦内に住所を有する者(外国法
人で本邦内に事務所を有するものの当該
事務所の代表者を含む。)のうちから選
任した者(第二百七十五条において準用
する次条及び第二百七十一条において
「治験国内管理人」という。)の氏名及び
住所
十四 治験実施計画書の解釈その他の治験
の細目について調整する業務を医師又は
歯科医師に委嘱する場合にあつては,そ
の氏名及び職名
十五 治験実施計画書の解釈その他の治験
の細目について調整する業務を複数の医
師又は歯科医師で構成される委員会に委
嘱する場合にあつては,これを構成する
医師又は歯科医師の氏名及び職名
十六 治験の依頼をしようとする者が治験
の依頼及び管理に係る業務の一部を委託
する場合又は自ら治験を実施しようとす
る者が治験の準備及び管理に係る業務の
一部を委託する場合にあつては,当該業
務を受託する者の氏名,住所及び当該委
託する業務の範囲
十七 実施医療機関又は自ら治験を実施し
ようとする者が治験の実施に係る業務の
一部を委託する場合にあつては,当該業
務を受託する者の氏名,住所及び当該委
託する業務の範囲
十八 自ら治験を実施しようとする者にあ
つては,治験の費用に関する事項
十九 自ら治験を実施しようとする者にあ
つては,治験機器を提供する者の氏名又
は名称及び住所
2 前項の届出には,被験機器の安全性,
性能等に関する試験成績の概要その他必
要な資料を添付しなければならない。
91
資料
十三 治験の依頼をしようとする者が本邦
内に住所を有しない場合にあつては,被
験薬による保健衛生上の危害の発生又は
拡大の防止に必要な措置を採らせるた
め,治験の依頼をしようとする者に代わ
つて治験の依頼を行うことができる者で
あつて本邦内に住所を有する者(外国法
人で本邦内に事務所を有するものの当該
事務所の代表者を含む。)のうちから選
任した者(次条及び第二百七十一条にお
いて「治験国内管理人」という。)の氏名
及び住所
3
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