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患者団体・医療専門職・製薬 業界間における 倫理的連携のため

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患者団体・医療専門職・製薬 業界間における 倫理的連携のため
2014年1月
患者団体・医療専門職・製薬
業界間における
倫理的連携のための
コンセンサス・フレームワーク
コンセンサス・フレームワークは、質の高い患者ケアを支援す
るために、患者団体、医療専門職、製薬業界間における倫理
的連携を目的として確立された。このコンセンサス・フレーム
ワークと付随する資料は、独自の指針を策定したいと願う団
体、組織、連盟にとってツールキットとなることを目的として
いる。この文書では、包括的なものを目指してはおらず、関
連団体にとって唯一の共通指針となるものでもない。参加
団体が定めた個々の指針には、各団体の詳細な責務とより
多彩かつ広範な情報や手引きを提示している。
倫理的連携のためのコンセンサス・フレームワーク
序文
複雑で急速に進化していく医療環境において、先進国も
倫理的連携のためのコンセンサス・フレームワークの特徴
途上国も急を要する健康問題に対処しようと努力する
は、
「患者を第一に考える」、
「倫理研究と技術革新を支
中、世界中の患者に最適なケアを確実に提供するために
援する」、
「独立性と倫理的行為を確保する」、および
は、協力関係にある団体すべての間での連携が不可欠で
「透明性と説明責任を促進する」という4つの包括的原
ある。
則にある。コンセンサス・フレームワークでは、個人や組
1980年代には、最初の「IFPMA(国際製薬団体連合会)
医薬品マーケティング・コード(1981年)」や「WHO(世
界保健機関)医薬品プロモーションに関する倫理基準
(1985年)」を含め、国際的な規範や指針が承認され
た。以来、行動規範や指針といった自主規制や自発的手
法を含め、適切な交流や医薬品の倫理的プロモーション
を世界的に確保するための進展があった。これらの規範
や指針では、患者団体、医療専門職および製薬業界が、
価値ある医療を提供する繋がりの中で各自の専門的役
割を認識し、それぞれの専門的独立性を維持しつつ、患
者の利益のために共に取り組む必要性を強調している。
患者の健康ニーズに応える最善の解決策を提供するに
は、患者、医療専門職、製薬業界とそれらの団体の間の
繋がりが重要であり、それぞれに患者が最も適切なケア
を受けることを保証する独自の役割と責任がある。患者
は、その介護者とともに、患者個人の健康ニーズにとっ
て最も適切な治療の選択肢について決断できるよう、ま
た、患者が自らの健康維持と医療資源の活用に責任を持
って参加できるよう、十分に説明を受け権限を与えられ
なくてはならない。この点において、医療専門職は、提供
する治療の選択肢が適切であることを保証できなければ
ならない。同様に、製薬業界には、医薬品の責任ある利
織レベルでの倫理的連携を導く助けとなるよう、すべての
協力団体が考慮すべき重要な分野を概説しており、
「フレ
ームワーク」はその「ツールとリソース」部分に記載され
ている文書に含まれている共通要素に基づいたものであ
る1。また、国際保健の継続的改善と、他の利害関係者と
も協力して、すべての患者が適切な治療を受けることを保
証するという、患者、医療専門職、製薬業界を代表する
各団体が共有する公約を包含している。本「フレームワ
ーク」の目的は、さまざまな国家、地域、世界的な規範や
指針を補完し、国レベルの患者団体、医療専門職及び製
薬業界の各団体間における類似の共同イニシアティブの
規範となることである。
現在、コンセンサス・フレームワークは、国際患者団体連
合 (IAPO)2、国際看護師協会 (ICN)3、国際製薬団体連合
会(IFPMA)4、国際薬剤師・薬学連合 (FIP)5、および世界医
師会 (WMA)6 が支援しており、患者、医療専門職、製薬
業界とそれらの団体の間での関係が倫理的かつ責任あ
る意思決定であることを保証することについて、すべての
参加団体が共通の関心を持っている。コンセンサス・フレ
ームワークは随時更新される文書であり、生命科学や医
療提供に携わるその他重要関係者に公開されており、そ
うした関係者からの支援やコメントも歓迎している。
用が促進されるよう、自社製品について正確で公正で科
学的根拠のある情報を提供する義務がある。
The Joint Framework is based on the common elements within the documents listed in the Tools & Resources section.
International Alliance of Patients’ Organizations (IAPO)
3
International Council of Nurses (ICN)
4
International Federation of Pharmaceutical Manufacturers and Associations (IFPMA)
5
International Pharmaceutical Federation (FIP)
6
World Medical Association (WMA)
1
2
2014年1月
コンセンサス・フレームワークの原則
患者を第一に考える
患者が最優先
例:
1 すべての患者に最適のケアを — 患者、医療専門職、
製薬企業の間での連携が患者の治療に関して最善の決
定がなされるよう、患者とその介護者を支援するもので
あることを保証するため、個人レベルと組織レベルの両
面でパートナーとして取り組む。
2 協力関係 — 医療に携わるすべての協力団体には、医
療へのアクセスと提供の改善のために協力する権利と責
任がある。協力関係の確立により、患者により大きな利
益提供を目指す。
独立性と倫理的行動を保
証する
交流は常に、倫理的かつ適切で専門性の高い
ものとする。
例:
5 贈答品 — 不適切な影響が及ぶ可能性がある手法や
状況では、企業は何も提供してはならない。医薬品の処
方、推薦、調剤、投与の対価として、いかなる金銭的利益
や現物での恩恵を、要求、提案、供給あるいは受け入れて
はならない。
6 スポンサーシップ — 医療専門職や患者団体を対象
としたすべてのシンポジウム、会議、学術的または専門的
な学会(いわゆる「イベント」)の目的と焦点は、学術的ま
倫理的研究と技術革新の
支援
たは教育的情報の提供であるべきであることを継続的に
提唱する。イベントの主な目的は知識の向上にあり、すべ
ての資料や内容はバランスのとれた客観的なものでなく
てはならない。すべてのイベントは、適切な場所で開催さ
協力団体は、医療の有効で適切な活用に関す
れなければならない。イベントの主な目的に付随する節
および臨床関連研究を奨励する。
してもよい。
る新しい知識の創造のために実施される臨床
例:
3 臨床研究 — ヒトを対象とするすべての研究は、正当
度ある妥当な範囲での飲食物は、イベント参加者に提供
7 協力関係 — 協力関係にある者同士の商業的取引や
職務上の関係によって、職務上の行為が不適切に影響さ
れたり、職務上の健全性を損なったり、患者への義務が
な科学的目的を有し、健康転帰の改善を目的として倫理
おろそかになるべきではない。商業的取引や関係は、職
的に実施されなくてはならず、それには参加者が研究の
務上の健全性を尊重し、透明性が保たれるべきである。
性質と目的について適切に情報提供を受けることが含ま
れる、という原則を提唱し継続的に支援する。
4 客観的な臨床結果 — 研究に対する対価が適切であ
り、臨床研究結果の客観性を損なわないことを継続的に
保証する。
倫理的連携のためのコンセンサス・フレームワーク
透明性と説明責任の促進
ツールとリソース
協力団体は、個人および集団としての活動に
◆ WMA「ヘルシンキ宣言―人間を対象とする医学研究
おける透明性と説明責任を支持する
例:
8 サービスに対する報酬— 専門家としての相談や臨床
研究など金銭的補償を必要とするすべてのサービスは、
正当な目的があり、サービス開始前に書面での契約また
は同意が事前に用意されていることを保証できるよう、
の倫理的原則」
(2013年
http://www.wma.net/en/30publications/10policies/b3/
◆ IAPO「ヘルスケア産業パートナーズ・フレームワーク」
(2012年)
http://www.patientsorganizations.org/partners
◆ FIP「手続規定—スポンサーシップに関する指針」
(2012年)(internal document)
共に取り組む。提供されたサービスに対する報酬は、そ
◆ IFPMA「IFPMAコード・オブ・プラクティス」
の提供されたサービスに見合った額を超えてはならな
(施 行:1981年、最新改訂:2012年)
い。
http://www.ifpma.org/ethics/ifpma-code-of-practice/ifpma-
code-of-practice.html
9 臨床研究における透明性 — 医薬品およびその他製
品やサービスを評価する研究の結果は、肯定的なものも
否定的なものも共に公開すべきである、という前提を継
◆ ICN「看護師のための倫理綱領」
(2012年)
http://www.icn.ch/about-icn/code-of-ethics-for-nurses/
続的に支援する。患者についての臨床研究とそれに関連
◆ WMA「医師と企業の関係に関する声明」
(2009年)
する結果については、患者のプライバシーを尊重すると
同時に、透明性が保たれるべきである 。
◆ ICN「立場表明:患者への説明責任」
(2008年)
http://www.wma.net/en/30publications/10policies/r2/
http://www.icn.ch/images/stories/documents/publications/
position_statements/E06_Informed_Patients.pdf
実施、モニタリング、
および報告の仕組み
協力団体に、独自の自主規制の規範や倫理的な連携と
交流のための原則を展開し、それらを確実に有効に実施
するよう奨励する。倫理の実践を支援し、組織および個
人の両方のレベルでの説明責任能力を確保するため、規
定水準の違反に対するモニタリングと報告のシステムを
構築すべきである。そうしたシステムには、例えば、連携
の取り決めや外部審査機構の詳細を述べた公式声明が
含まれることもあるだろう。
◆ FIP/WHO「薬局実務の発展—焦点は患者ケア」
(2006年)、第2章II-3「情報管理とエビデンスの使用」
http://www.fip.org/good_pharmacy_practice
◆ ICN「立場表明:看護師と産業界の関係」
(2006年)
http://www.icn.ch/images/stories/documents/publications/
position_statements/E09_Nurse_Industry_Relations.pdf
◆ IAPO「IAPOの価値観」
(2005年)
http://www.patientsorganizations.org/attach.pl/700/278/
IAPO7s0Organizational0Values.pdf
◆ FIP「職業基準に関する声明:薬剤師のための倫理綱
領」
(2004年)
www.fip.org/statements
◆ WHO「医薬品プロモーションの倫理基準」
(1985年)
http://archives.who.int/tbs/promo/whozip08e.pdf
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