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Twinkle:Tokyo Women`s Medical University

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Twinkle:Tokyo Women`s Medical University
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最近の口唇-顎-口蓋裂の形成外科
高井, 宏
東京女子医科大学雑誌, 37(10):615-631, 1967
http://hdl.handle.net/10470/14935
Twinkle:Tokyo Women's Medical University - Information & Knowledge Database.
http://ir.twmu.ac.jp/dspace/
1
(東女医大誌 第37巻 第10号頁615−631昭和42年10月)
〔山
回〕
最近の口唇一顎一口蓋裂の形成外科
東京女子医科大学口腔外科学教室(主任
講師 高
タカ
ホ寸瀬正宏佳教授)
宏
井
ヰ
ヒロシ
ぐ受付 昭和42年8月7日)
Reeent Plastic and Reconstructive Procedures of
Cgefts lip, Alveolus and Pa]ate.
Hirosh量TAKA亙
Department of Oral Surgery (Director Prof. Masao MURASE)
Tokyo Women’s Medical Colleg’e
Recently’, plastic and reconstructive surgery in the oro−maxillo−facial field has advanced so rapidly.
About fifteen years age, the purpose of the treatment for clefts lip, alveolus and palate which constitutes
the main part of plastic surgery in this field, has been restricted only to morpholo.crical closure of cleft
margln.
Nowadays, specialists of the cleft plastics indicate that the most impertant point of the treatment
for this deformity includes not only anatomical reconstruction, but also acquisitions of nomal phonetic
and masticative functions, post operative growth of maxilla and the others.
To achieve this difficult purposes, operative pi”ocedures which include the modified methods have
been reported in numbers of more than one hundred by many specialists.
Th e author classified these operative procedures and discussed on the future tx’ends of the treatment
for patients with this deformity.
この事は先賢先哲のたゆまぬ研鑛によるもので
1・はじめに
第2次大戦後,外科学は麻酔,化学療法などの
あり,その努力のあとは,本症に対する手術法の
進歩開発によって大ぎな発展をとげた.
みでも変法を加えれば100種になんなんとする事
この事は口腔外科領域も同様であり,特に口唇一
により明らかである.
顎一口蓋裂形成術において著しい.
このうち,現在使用されているものを中心に約
少なくとも15∼20年前には,本奇形の手術は極
50種の手術法を分類し,最:後に本症治療の動向に
端にいえぽ,いかにすれぽ破裂部を閉鎖し得るか
ついて述べたい.
II.口唇裂の形成法
という程度であった.
ところが現在では,形態的にはcosmeticな問
現在の口唇裂形成手術は,前述の如く単に破裂
題にまで,また機能的には正常例の百分率が云々
部の閉鎖だけではなく,形態的には解剖学的形態
されるまでになっている....
を,機能的にはpoutingその他口唇機能全体を
一 615
2
イ)直線法はMirault(1857)によって始めら
いかに回復するか,更に手術後の顎の発育度を問
題にしている.すなわち第一次手術の時に,破裂
れ,v・Langenbeck, Veau (Fig.1−a),さらに
側鼻翼基部の健側への移動や,その他の鼻形成も
Rose−Thompson(Fig・1−b)らによって改良された
同時に施行したり, 口唇一顎裂の時には鼻腔底歯
歴史的方法であるが,平平収縮により患側口唇が
槽部形成手術を行なったり,最近は更に顎裂部へ
骨移植を行なったりしている.また歯科矯正的な
種々の装置も併用したりしている.
さて,手術時期に関しては,口唇裂単独の場合
Ca) Veau’s Methoa
と顎一口蓋裂を合併している時では若干差異を生
(ζつ
ずるし,また患者の全身状態や手術方法,矯正装
置を利用している時にはその効果により左右され
る.すなわち口唇裂手術単独か,顎一口蓋裂があ
っても骨移植を伴なわない歯槽形成の時には生後
(b)Rose−Th。叩3・n・s Meth。己
3ヵ月,体重6kgを標準とし,顎裂部への骨移植
夢娘
を行なう時には6ヵ月前後に手術されている.
以上の如く,口唇裂に他の破裂が合併している
時や,その他にも鼻形成を行なうかどうかによっ
て手術の範囲が違って来るが,口唇部皮切は単独
(rつ(♪め
(e} Brovn’s Meth6G
の場合と同様であるので,本項ではまず口唇部皮
Fig. 1
切法のみについて述べる.
挙上され,Cupid’s bowの形成も充分できないの
まず口唇裂手術は生後初めて行なう第一次手術
で,現在では軽度の不完全口唇裂のみに使用され
と,成長後に行なわれる修正すなわち第二次手術
ているのみで殆ど使用されていない.またこの方
とに分け得,また第一次手術は片側口唇裂手術と
法と類似のBrown法(Fig.1−c)は破裂側に三
両側口唇裂手術とに分類される(表1).
角弁を作製する方法であるが,一般には完全裂で
表1.口唇裂の形成法
A)一次手術法
1)片側口唇裂手術法
は充分な口唇高径を得る事が困難で,矢張り不完
全口唇裂のみに使用されている.
ロ)方形弁法
イ)直線法
Le Mesurier法(Fig・2−a)によって代表され
n)方形弁法
ハ)三角弁法
る本法によれぽ縫合線が,zigzagになるので搬痕
=)Rotation and Advancement弁法
収縮時の患側口唇挙上が僅かしか起こらず,搬痕
ホ)Z−plasty法
1)両側口唇裂手術法
もそれほど目立たず,また術式によってはCupid’s
イ)直線法
ロ)方形弁法
bowも形成が可能である.しかしながら本法では
ハ)亜三角弁法
=)Replacement弁法
組織切除量が多いために緊張した上唇となり,ま
た患側ロ唇の過剰発育による口唇非対称が生じ易
:B)二次(修正)手術法
1)上唇内にて処置法
1)下唇を移植する方法
い.これを改,良したのがWang法(Fig・2−b)で,
後述するRandalやMarcksらのLand marksを
イ)有滑弁法
ロ)遊離弁法
利用し,方形弁垂直部をPhiltrum Columnに一
致させ,またCupid’s bowもより自然に形成さ
A)一次手術法
1)片側口唇裂手術法
れる.また組織切除量も,Le Mesurier法より少
616 一
3
乏爽
Yk’
(O A, )
m
(.O A, )
(の Teロni80n・9 ム∫6th。己
(a) neMesurier’s Methed
茅鞄
21戦ユ,
(0偽
RandalVs Method
(b)
(b) Vangis’ Method
2陀
((つ
A
二£’
e
ヒニ璽
(c) rrauner’s Method
(・c} Eagedorn’s Method
芸拠
(
6. )
暫
(d) Skoog‘s }(etl]od
(己)
Steffensenr9
胚e七ho己
Fig. 3
Fig. 2
くするために同興野でz−plastyを行ない,更に
ないので広い破裂の場合でも上唇緊張はより少な
い.この群に属する手術法は,Hagedon nach
その部へ患側からAavancement flapを挿入する
方法があり,特に大ぎな破裂には好適と考えられ
Schuchardt(Fig.2−c), Steffensen法(Fig.2−d)
るが,手技が複雑になりすぎるきらいがある.
二)Rotation and Advancement弁法
等がある.
本法はMillard法(Fig・4−a)によって代表
ハ)三角弁法
されるもので,特に最近この方法の使用頻度が高
本法は現在頻用されているものの一つであり,
代表的なものはTennison(Fig・3−a)あるいは
まりつつある.二の方法は設計も簡単であるし,
Randa11法(Fig・3−b)である.この方法は,
方形弁や三角弁法の如く破裂正中側への患側弁挿
正中破裂側の補助切開創へ三角弁を挿入する方法
入を上唇上方約ヲ3の部位で行なうのでなく,上唇
で,方形弁挿入時より無理がない.皮膚切除量も
下方約1んの部位で行なうもので,切除組織は極め
て少なく,Cupid’s bowや, Philtrum dimpleは
少ないので破裂の生き『な症例でも容易で,かつ緊
保存され,更に上唇下方の縫合をPhiltrum Co−
張した上唇となる事も少ない.Cupid’s bowも保
lumnと一致させるので,癩痕は目立ち方も僅か
であある.また鼻翼部も上唇上方の緊張によっ
存され,poutingも自然に近いものが得られる.
しかし方形弁法と比較して健側と患側の上唇高径
て,兎唇外鼻特有の患側鼻翼基部の後下側方への
流れや鼻尖部の傾斜も相当度に改善される.しか
し,破裂が広く患側上顎骨が後方に位置するよう
な症例では,口唇赤縁と口唇皮膚との境界が縫合
部で不連続不明瞭となりゃすい.またColumella
の下部に搬痕による凹みを作りやすく,広い破裂
め時には三角弁法の方が適用し易い.この方法に
を一致される事がやや困難である.この群に属す
る方法にはZ−plastyを併用し,延長と同時に鼻翼
部の正中方向への牽引を考えたTrauner法(Fig・
3−c)やSkoo9法(Fig・3−d)Marcks法等の方
按がある.このSkoo9の方法は,上下に三角弁
を作るものと破裂正中側の切除部を可及的に少な
617
4
((!つ
)
手術法とがあるが,本項では前者のみについて述
『塞}
べる.しかしながら本症の場合は,Premaxillaの
位置あるいはその発育度,Prolabiumの発育度な
どにより,一期手術法よりも,片側口唇裂手術法
(a) Millard’a Method
を利用する四品手術の方が一般的には望ましい.
£yaj
イ)直線法
本法は,破裂縁縫合が直線的で,いわゆる並列
出汁合法ともいわれるものであり・,上唇正中部の
全部または一部をPr・labiumの組織で作るもの
(b) Me,yer’s Method
茅避
である.Veau法(Fig・5−a)によれば両側にお
(〆つGb)
ける破裂外側組織とPr・labiumとに発育差を生
じ,内部に陥凹を生じたり,上唇高径が充分得ら
ン競 父.
(c> Wunderer’s Method
(ぐつ
賦
(ぐつ⊆>5)
(a) Veau「8 ゐfeむhod
op£2gt.
(d) Veau’s Method vith Z−plasty
Fig. 4
属するものにMeyer法(Fig・4−b)があるが,こ
(’b) Spina’s Method
れは上唇上方はMillard法と同様であるが,上
唇下方に方形弁を挿入する方法である.本法は破
壷.
裂正中側が特に発育不全の場合に適用されるが,
不完全口唇裂の狭い症例への応用はある意味では
Millard.法の利点を無くするものではなかろう
(c) Hagedern’s ts(ethod
か.
Fig. 5
ホ)Z−plasty法(Fig.4−c)
Wunderer法は三角弁法より発展した方法であ
れなかったりする事が多い.
るが,それのように,上唇下方約1/3に三角弁を設
この原法を改良したのがSpina法(Fig・5−b>
定しないので,患側上唇全体に大きな三角弁を作
であり,組織切除を可及的に少なくなくし,正中・
り,Z−plastyの手法により破裂正中側の補助切開
部で左右破裂外側口唇赤縁部を交叉させ,その上
創へ挿入して修復する:方法である,この方法は破
にProlabiumを被蓋iさせる方法である.この方
裂の程度によって補助切開の傾斜を変化させると
法でも,症例によってはある程度の成績を収め
の事である.
得るが,Premaxillaの位置によっては, tightな:
次にWunderer法とは逆方向にZ−Plastyを行
上唇しか得られず,また上唇高径も充分でないの
なうVeau mit Z−Plastik法(Fig・4−d)がある.
が普通である.また本法に属するものは現在殆ん
正)両側口唇裂手民法
ど使用されていない.
両側口唇裂に対しては,左右同時に行なう手術
ロ)方形弁法
法と片側口唇裂手術法を利用して1側ずつ行なう
一 618 一
本法では正中部ロ唇赤縁は左右の破裂外側部P:
5
唇回縁のみで形成するもののうち,同部を方形弁
延長,あるいは赤縁部の厚径不足,また広く低い
にする手術法で,Hagedorn法(Fig.5−c)がこ
特有の外鼻などが,多期に分けて手術する時より
れに当る.
強く現われる.またPremaxillaが突出したよう
ハ)亜三角弁法
な症例では,鋤骨の襖状切除による後退が必要と
本法も(二)と同様で,正中部赤縁は破裂外側
なり,この事により上顎発育は著しく障害されて
の赤縁で補綴する方法であり,患側口唇下部を正
反対咬合を招くので,現在では片側口唇裂手術法
中側に向って鋭角として縫合するもので,Tomp−
による多期手術が行なわれている.
son法(Fig・6−a), Brown法(Fig.6−b)がこれ
B)二次(修正)手術法
既に乳幼児の時に閉鎖手術を受けた患者が,そ
に当る.
の後の三二収縮や破裂部の非対称性発育,または
Columellaの発育不全等により,修正手術の必
要性を生ずる事がしばしばある.これらの修正手
術法は,上唇内のみにて処置する方法と,下唇を
くa) Tordpson’s Method
移植する方法に分ける事ができ,さらに移植法は
有茎弁法と遊離弁法とに細別される.
1)上唇内にて処置する方法
この内には,V−Y PIasty(Fig・7−a), Z−plasty
(Fig・7−b),あるいは口唇赤縁弁を上方へslide
くb) Bro”n’s Method
するAdvancement法など,形成外科手術の基本
的で簡単な方法もしぼしば使用される.また縫合
風13
(のLind・mann,s N・恥d
Fig. 6
(a) V−Vplasty・
以上(ロ)と(ハ)は切除組織も多く,上唇部
σつ.鎌ゆ
はtightとなり易く,また成長に伴なって上唇高
(ζつ。\〉)
A
径が延長し,それに反しColumellaは低く,よい
Poutも得られないのが普通である.
(b). Z−plasty
二)R.eplacement弁法
本法はProlabiumの発育が悪く,破裂幅の広
い時に利用される方法で,ProlabiumはColumella
の方向へSlideされ,上唇は鼻翼側方よりの皮脂
によって形成せられる.Lindemann法(Fig・6−c)
がこれに当る.本法も上唇は極度にtightとな
驚_釜
(♂つ「””N,)
り,赤縁下も狭く,かっ厚味に乏しい上に鼻翼側
:ll,il};
方に療痕を生じ“広い鼻”となり易い欠点があ
る.
以上の如く両側口唇裂を一期に形成する時に
は,上唇部の強度の緊張や発育に伴なう高径の過
一 619 一
(d) Brauer’s .lfethod.
Fig. 7
6
部搬痕による口唇挙上にはBrauer法(Fig・7−d)
のように方形弁法がしばしぼ使用されるが,一般
(ζつCh)
(♂つ。))
には組織切除量あるいは療痕の状態などにより,
三角弁法よりも方形弁法が適用し易い事が多い.
両側兎唇による広く低い鼻の時にはTrauner
法(Fig・8−a)の如く左右口唇裂部療痕をZ−plasty
(a) Abbe−Estlander’s Methed
;を利用してColumella下部へ移動させ,両側鼻翼
(P..C−5)
Q(つ。))
S
(a) Trauner’s Nethod
C¥!i95;’
,,一
(b>C・脚ガ・M・七h・d
廷ζ)
Fig. 9
へ移植するAbbe−Estlander法(Fig.9−a)と,上
(b)
唇Philtrum部にY字形切開を加えそこへM型の
下唇弁を移植するCannon法(Fig・9−b)に分け
られる.またこの方法にはPhiltrumの皮膚を
Columellaへslideさせる変法もある。これら
の方法は特に上唇がt三ghtで赤縁の直径が薄く
Profileが著しい受け口の時に極めて良好な結果
Leヨ【er電8 }{ethod
(<露か)
B
が得られる.
(e) Pfeifer’s Method
ただし移植後から切断までは,局所の安静を厳
Fig. 8
重に保たせる必要があり,その期間もSchuchardt
を正中へ牽引する方法Rs, Lexer法(Fig・8−b)
の如く4週間以上の長期にわたらせている所もあ
の如くProlabium部にあたる上唇を上方へslide
るが,私達は3週聞後に切離している.
させ,Columellaを延長し欠損部を左右より縫縮
ロ)遊離弁法
して鼻翼を正中へ牽引するいわゆるV−YPIasty
などしぼしぼ行なわれる.またPfeifer法の如く
この方法はAbbe−Estlander法の如き皮弁を下
唇より完全に切離して上唇へ非有茎性に移植する
療痕をColumeilaへslideさせる:方法もある.
方法で,この方法によれぽ手技は簡単で有茎弁切
E)下唇を移植する方法
断手術も要せず,患者の拘束期間は短かくてすむ
イ)有茎弁法
が,切除された皮弁は強い収縮を示すので相当大
これは口唇組織全部を移植する場合と口唇赤縁
きなものを採取しなけれぽならず,また脱落の危
のみを移植する場合に大別される.後者は上唇皮
険性もあるのでほとんど利用されていない.本邦
膚や高径に異常はなく,赤平のみが欠損している
では数例の報告があるにすぎない.
時に行なわれるもので,下唇赤縁のReplacement
III・顎・口蓋裂の形成法
弁法により上唇へ移植されるものである.またこ
1766年,歯科医Le Morrierが軟口蓋の破裂
のような症例の時,稀に舌粘膜のReplacement
縁を焼灼した後に縫合して閉鎖に成功した.それ
弁を利用される事がある.
以来,多くの人々によって術式の改良がなされ,
次に尊老には三角形の下唇弁を上唇療思切両部
今では破裂の閉鎖に困難を感ずる事は殆どなく,
一 620
7
表2.顎・口蓋裂の形成法
A)一期手術法
1)双脚弁法
9)単脚弁法
1ン榎
f ;
ズソ 関・、
イ)単純法
ロ)口蓋弁後方移動法
・・)鼻粘膜延長,口蓋弁後方移動法
=)鼻粘膜・n蓋弁後方移動法
紅)複式単脚弁法
イ)いわゆるPharyngeal且ap operation
ロ)鼻中隔粘膜弁法
B)多期手術法「
1)軟口蓋部形成法および第一次に軟口蓋を
ノ
k
ii /VVV
(a) v.Langenbeck−Ernst’s Method
o(もQ
轟.瀧
8ktr.
閉鎖する方法
イ)Schweckendiek法およびSiaughter法
盈
ロ)鼻粘膜・口蓋弁後方移動法.
1)硬口蓋部形成法および第一次に硬口蓋を
閉鎖する方法
“’%,
亀
曳
’
1
イ)骨移植をともなわない法
i)単層法
ii)複層法
・)骨移植をともなう法
皿)歯槽部鼻腔底形成法
イ)骨移植をともなわない法
{b) Veau’s MethDti
Fig. 10
i)目蓋弁法
WassmundおよびSchucherdtによっても若干改
ii)口唇粘膜弁法
iii)鼻中隔粘膜弁法
ロ)骨移植をともなう法
i)鼻中隔粘膜弁法
iD口腔前庭,口唇粘膜弁法。
良されているが,顎裂のある時にはRestlochを
作る場合が時としてあり,またVelopharyngeal
distanceも充分に狭くし得ないことがあるe
iii)口蓋弁法
E)単脚弁法
iv)Premaxilla粘膜弁法
現在,最も頻用されているものである.
イ)単純法
問題の焦点は機能回復,すなわち発音の正常化と
本法は口蓋弁を特に人為的に後方へ移動させる
手術後の顎および付近の組織の発育障害の防止に
集中している.それゆえ歴史的な方法は除外し,
手段をとらない方法で,Veau原法(Fig・10−b)な
現在使用されている方法を中心に分類してみた.
どがこれに当る、この方法は,軟口蓋筋肉の損傷
が少なく,発音良好といわれているが,Velopha−
まず顎口蓋裂手術は大きく一期手術法,無期手
術法,さらに二次的な修正追加手術とに分けられ
ryngeal distanceが差程狭くはならないので,普
る.
通は最近のpush back法より好結果が得られな
い.また_般にv.Langenbeck−Ernst−Veau法と
A)一期手術法
いわれている方法は,Veauの原法と双脚弁法で
本法は破裂を一期に閉鎖する方法で,目蓋裂の
あるv.Langenbeck−Ernst法との折衷的改良法で
みの時には,現在最も多く利用されているもので
あるが,此手下すぐれた成績が得られている.
ある.
Pt)口蓋弁後方移動法
1)双脚弁法
Veau法を改良したTrauner法(Fi9・11−a),
Die艶nbachのBrUckenlappenを改良した方法
それと類似の森本法,あるいは永井法などがしぼ
で,現在でもv・Langenbeck−Ernst法(Fig.10−a)
しば使用されるが,比較的容易にVelopharyn−
として使用されている.また本法はAxhausen,
geal distanceを狭くする事ができ,発音も良好で
621
8
穐
鐸ら
S ifiR
ジ
tVe
亀 、、
:
1
ti
唱
膨
IZax( ’1 (k
Yzli,
竃
葛
豊
(a) VeauhTrauneris Methoa
Fujino’s Metltod
覇
Fig. 12
誘織
写
へ
曳
蘂蕊
{
冗・、
t/’
t塾」
“e−e
tw/b17
(b) Wardil!’s Methedi
Fig. 11
である.さらにRestl・chを作る事を予防し, pu−
sh backを容易にできるように改良されたのが
Wardillの4 fiap operation(Fig. l l−b)である.
fL
以上の方法は日常広く使用されているが,push
e
backを充分に行なうためには,口蓋弁のみなら
ず,国側粘膜も広く剥離しなけれぽならない.
馬i三1日rd世8
ハ)鼻粘膜延長,口蓋弁後方移動法
Fig. 13
本法は藤野ら(Fig・12)によって開発された方
Metho己
小
NOrl
法で,口蓋側はv・1・angenbeck−ErnsレVeau法に
口蓋裂に使用され,第二法は完全ロ蓋裂に適用さ
準拠するが,push backをより容易に,より大き
れ軟口蓋部と硬口蓋部とに分けて手術する多期手
くするために鼻口粘膜にZ・Plastyを行なう方法
術法になるので後述する。
であり,また口蓋骨に小孔を作り,これを利用し
次に本法とDorrance法との差異は,:本法は
て骨面に密着固定させている.
One stageに行なう事, Free skin graftingでは
この方法では,Velopharyngeal distanceは必要
なく,口蓋動脈のArterialry island Hapにより鼻
側の粘膜欠損部を補填する事である.
なだけ狭まくすることができ,また口蓋の療痕形
皿)複式四脚弁法
成も少なくないので,発音は良好である.
二)鼻粘膜・口蓋弁後方移動法
本法は口腔粘膜のみではなく咽喉後壁あるいは鼻
本法はMillardがDorranceのpush back oP−
中隔などにも煙弾弁を作製する方法で,いわゆる
erat・onから発展させた方法で,第一法(Fig.13)
Pharyngeal fiap operationといわれるものと,鼻
と第二法(Fig・20)とがある.第一法は,不完全
中隔粘膜弁法とがある.
622
9
イ)いわゆるPharyngeal flap operation.
嚥轟
本法はConwayやHonig(Fig.14)によって
報告された方法で,One stageに軟口蓋欠損の一
部をPharyngeal flapによって補充して,破裂閉
鎖と同時にPharyngeal flap operationを行なう
叢
4談
方法である。現在ではMulti stageに行なうこの
方が多い.
”
属’
翼翼
pt{
eptg
,’ “s
’鬼
1ノ
、りs
虞紮
こ
話
)
ズ唾・IA
fgei
Widmaier’s Methed l o.1
百
Fig. 15
fpax
位により次の三つに大別される.
1)軟口蓋形成法および第一次に軟口蓋を閉鎖
する方法
イ)Schweckendiek法およびSlaughter法
一法は生後4ヵ月あるいは12ヵ月以前に軟口蓋
Honig’s Methed
Fig. 14
を閉鎖し,その後,口唇裂形成術を行ない,上顎
ロ)鼻中隔粘膜弁法
骨発育,発音状態などを観察し,永久歯出駅後に
本法はWidmaier(Fig・15)によって行なわれ
硬口蓋部閉鎖を行なう方法である.
.た方法で,まず第一一一一・段階として鼻中隔粘膜と患側
またSlaughter法は,生後18ヵ月前後に軟口蓋
鼻側壁粘膜による硬口蓋閉鎖を行ない,ひきつづ
形成を行ない,その後適時に硬口蓋閉鎖と口唇裂
いて軟口蓋部は左右よりのRotation flapにより
形成を行なうものである.
閉鎖する.その時,鼻側粘膜は藤野やSchuchardt
この方法では,必ずしも全軟口蓋を閉鎖せず,
の行なっているようなZ−plastyあるいはZigzag−
かつ側方減張切開,Hamulusの破折なども行なわ
Plastyによる延長を行なう、またrotateしたた
めに生じた臼歯部粘膜欠損は口腔前庭よりRep1−
ない.その後,顎の発育状態をみて硬口蓋閉鎖を
行なうのであるが,それまでの問はMcNei1の
acement fiapによって補充する方法も行なって
装置を使用して顎や口蓋の発育促進を計っている
いる.
人もある.
B)二期手術法
ロ)鼻粘膜・口蓋弁後方移動法
この群に属する方法は,ある一部を除いては
Dorranceのpush back method(Fig.16)が
顎一口蓋裂すなわち完全口蓋裂の時に利用される
これに当る.
ものであり,手術部位および第一次に閉鎖する部
623 一
10
の境界部にあたる破裂縁を切開し,上方を基部と
ノ
tt
する鼻中隔粘膜弁を作り,これの遊離端を患側の
、
破裂縁に沿ってつくられた切開創へ縫合固定する
I
グ,.
、・、鴨
方法であるが,現在は本手術法単独では殆んど使
用されていない.
mi(” w/・
F..硬
/’一
づ鯨噛
ii)複層法
鼻中隔粘膜と破裂側の鼻腔側壁粘膜との複層に
よる形成法で本法を利用したものにWidmaier第
麟驚
2法(Fig・18)とMiliard第2法(Fig.19)が
ある.
扉魏
順( (か
Oorrance’s Methed
Fig. 16
本法は第一次に口蓋弁を作製し,その剥離面に
墓鵠
F「ee skin graftin9を行ない,再び口蓋に圧接し
て縫合しgraftの生業を待つ。その後,再び口蓋
弁を剥離して硬軟口蓋境界部で鼻腔粘膜を完全
に横切開し軟口蓋を一魂として後方にpushす
菰
醒
1隻
t
B
る.この時,前に移植して生着した皮膚が鼻腔粘
cl
nvR
B
B B
膜の一部となる.
皿)硬口蓋部形成法および第一次に硬口蓋を閉
鎖する方法
W工dロしaier「s
イ)骨移植をともなわない方法
i)単層法
Method
No。2
Fig. 18
Widma三er第2法は第1法より広い破裂の時に
鼻中隔粘膜の単層による形成法でCampbell−
Pichler法(Fi9・!7)がこれに当る.鼻中隔と口蓋
使用するもので,ee 1法の硬口蓋閉鎖法と同様に.
鼻中隔の上部に横切開をくわえて破裂縁を基部と
《冤訟も
する粘膜弁を作り,これにより口蓋側を補填す
る.
また鼻腔側は破裂側の破裂縁やや歯列よりに破
裂縁と平行に切開を加え,それを鼻腔側壁まで斜
t
離を加え,それを中隔部に縫合して鼻腔側粘膜と
するものである.このように口蓋部形成を行なっ
てから時期をみて,ag一一法の如く軟口蓋を閉鎖す
.Campbell−pichler,s
るが,臼歯部内側に生じた粘膜欠損部には,口腔
帆ethoξ【
前庭粘膜を有牛皮弁としてreplaceして補填す
Fig. 17
一 624 一
11
蔦
;tl SN;
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)1
》慧織ノ
ず
ハ
製》
A
7
面一ひ\
鱗ミ
“sa.
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旨 #
Schmid−Widmaier’s Methea.
Mil工ar己電s Metho己 No72
Fig. 20
Fig. 19
その後適当な時期tlL・一一期手術の方法によって口蓋
る.
裂閉鎖が行なわれる.
次にMillard第2法は第1法が不完全口蓋裂
を対象としていたのに対し,完全口蓋裂に適用す
イ)骨移植をともなわない方法
る方法である.
この方法は口腔側をどこに由来する弁により,
この方法も硬口蓋部閉鎖はWidmaier法と同様
被蓋するかによって,3種に分類できる.すなわ
な術式による.また軟口蓋部閉鎖には第1法と同
ち口蓋弁によるVeau法(Fig・21−a),口腔前
庭粘膜のReplacement flapによるTrauner法
じくArterialy island fiapによって鼻腔粘膜欠損
(Fig.21−b),および破裂側鼻腔側壁弁により鼻腔
部を補う.
ロ)骨移植をともなう方法
底を,鼻中隔粘膜弁により口腔側を補なうWas−
一般にprimare Osteoplastik der Kieferspalte
smund法(Fig.21−c)である.
といわれているのは,歯槽部への移植が主で,口
ロ)骨移植をともなう方法
蓋まで移植するのは,現在ではSchmid−Widmaier
顎裂部の骨移植に使用する骨は自家肋骨が主で
あるが,JohansenらやNordinは経回を,また
法(Fig・ 20)のみである.
本法は前こ述べた Widmaier第2法の口蓋部形
Schmidは腸骨をも使用しており,また多くの症
成法に準じ, 鼻腔側粘膜弁と口腔側粘膜弁の間
例は口唇形成術と同時に生後6ヵ月前後で行なわ
に,前方は歯槽部より,後方は硬口蓋の中央付近
れている.つぎに本法の大きな利点は上顎骨の発
にまで骨を移植する方法で,,口腔粘膜縫合が緊
育不全を予防できる事,すなわち手術後の急激な
張のため不能の時は,破裂側に口蓋弁を作製す
狭窄を防ぎ,歯列窒を正常化して発音・咀噛機能
る.
不全を予防する.また破裂側鼻翼基部は,健側よ
皿)歯槽部鼻腔底形成法
りも後下方側に位置:するが,この部を移植骨によ
この方法は単独で行なう事は稀で,一般には口
り挙上できるので鼻形成上からも左右対称性を得
るのに非常に有利である.
唇裂形成時に同時に行なわれるのが普通であり,
625 一
12
灘酒,.馬
鞭幽
し
さ
・7
し
礫彦 潔冒
”rLIU 、一
纏譲騰竈
輔 翻
{c) Wassmund’s Method (b) Trauner’s Method (a) Veau’s lfetliod
Fig. 21
本法は,広い破裂にも適用でき,かっ後部の縫
合を必要とせず移植床も完全なものを作り易いの
乞
で広く利用されている.また前述のWidmaier法
を利用し歯槽部のみに骨移植する場合もある.
ii)口腔前庭,口唇粘膜弁法
本法は破裂の狭い時に有利な方法で,骨移植を
ともなわない時のTrauner法と同様の方法によ
徐:
り形成された鼻腔底と口腔前庭粘膜酒間に骨を移
〉
Stellmaeh’e Methgd
Fig. 22
本法は口腔側を補填する主たる粘膜弁により四
つに分け得る.
i)鼻中隔粘膜弁法
代表的な方法にStellmach法(Fig・22)があ
る.本法は鼻中隔粘膜を,前方を基部としたコ字
形に切開して粘膜弁を作り,これを謙転して,口
蓋粘膜と縫合し,袋状の骨移植床を形成する.ま
た一部に粘膜不足部を生じた時はロ腔前庭粘膜に
切開を加えて前方へ伸展しそれによって補う.
一 626 一
Trauner−S8cmid,S. Meわ駈げ己
Fig. 23
13
回するもので,Trauner−Schmid法(Fig・23)とい
われている.この場合も自腔側の被覆を口腔前庭
粘膜弁のみではなく,普通ならば切除してしまう
し
破裂縁の過剰な赤平皮膚を切除せずにReplace−
ment且apのようにして骨移植部口腔側をおうよ
うにすると比較的楽に縫合できる.
iii)口蓋弁法(Fig・24)
Schuchardt法がこれに当り,本法は骨移植を
ともなわないVeau−Axhausenの歯槽部形成法と
ほぼ同様の方法で,口蓋粘膜弁は左右口蓋に作製
愈
Pfeiferis Method
Fig. 25
ua.一
./・
Schuchardt’s Method
Fig. 24
t,新らしく縫合形成された鼻腔底との間に骨を
移植する.このために移植床の口腔側は口蓋弁に
よって被覆される部が多い.もちろん(ii)法の
如く口唇裂縁部皮膚や口腔前庭粘膜も利用する.
またこの方法によれば,口蓋部への移植も可能で
Oberniedermayer’s Method’
ある.
Fig. 26
iv)Premaxilla粘膜弁法
本法は(iii)法と類似しているが, Premaxilla
あるいはそれに当る部分の粘膜により口腔側を補
を一期に手術する方法で,Premaxillaの粘膜を
積極的に利用する.また本法はPremaxillaを鋤
骨部分切除により後方へpush L,切除した骨に
う方法で,Pfeifer法(Fig・25)がこれに当る.
よってPremaxilla一顎間橋を作っている. Pfeifer
この方法は破裂が狭い時に有利である.Obernie−
は切除した鋤骨に肋骨を加えて移植した4例を経.
dermayer法(Fig・26)は両側性口唇七一口蓋裂
験し良結果を得,鋤骨の処置について問題を提起.
一 627 一
14
表3.下顎骨の外科的後方移動法
している.
1)下顎枝離断法
「v・修正追加手術
イ)水平離断法
顎一口蓋裂の手術は時期,術式を選んで行なっ
n)垂直離断法
ハ)逆L型離断法
てもいろいろな理由によって修正追加手術を必要
丑)下顎体部離断法
イ)斜面離断法
ロ)階段型離断法
皿)下顎正中部切除法
とすることがある.たとえぽVelopharyngeal di−
stanceが充分得られなかったために発語が不明
瞭であったり,Rest夏ochを生じたり,上顎発育不
全をきたしたり,また強度の兎唇外鼻があったり
することがある.Distanceが長い時には・各種の軟
弧tSc
’f/
口蓋延長術を行なったり,PharyngoPlasty(Fi9・
27)を施行する.本法は大別するとPadgettの
如く上方に基部を有する弁を作る時と,Sch6n−
湧
1”Ktt
born−Rosentha1の如く下方を基部とする方法,あ
.
るいは軟口蓋と縫合せずにPassvant隆起を高め
る方法とがある.
一
Fig.28下顎正中部離断切除
共が考案した方法で,主としてPr・genieの時に
使用しているが,下顎前突度が中等度,下顎歯列
弩が方形で,臼歯部においても下顎が上顎より大
きい,下顎角部が側方へ突出しているような症例
を適応症としている.本法は下顎前歯部を上方が
狭く,下が広い梯形に切除し,臼歯部の上下咬合
関係を正常化し,かっ下顎角部を内側へ変位せし
めるもので,下顎正中部は約10mm後退させること
Padgett’s Methed Schb’nborn−Raeenthai’s Method
が可能である.またこの術式では下唇麻痺はほと
Fig. 27
んど生じないか,または部的分一時的なものであ
次にRestlochの閉鎖には口蓋や咽頭のLocal
り,皮切ももちろん口腔内より行ない得,手術野
£apによる場合と,大きさによってはTubed Pe一
も広く完全に明視でき,下顎角も任意に内側へ変
・dicle flapによって口腔外より補填する方法があ
位できるので,顔全体のPr・po亡ionも著しく改善
る.また上顎発育不全が特に著明な時には下顎切
できる.また下顎の捻転による関節障害もこの程
離後方移動法を行なうこともあるが,本法は適応
度ではほとんど起こらず,適応症を選べば秀れて
・症の選択が難しい.すなわちこのような場合には
た結果が得られるよい:方法と考えている,
下顎の発育はおおむね正常であり,また上顎の発
次に口唇顎一口蓋裂のある時には必然的に患側
鼻翼基部の後下側方への変位,鼻尖の患側への傾
斜と低位,扁平で大きな鼻孔などの特徴を有する
育不全は前歯部に異常に強く開口状態で,かっ臼
−歯部では左右幅が不足のために強度の不正咬合の
兎唇外鼻を表わす.
塒がときどきある.
それゆえ,口唇裂,口蓋裂手術にひきつづき本
形成手術が必要となって来る.しかし本手術のう
ち鼻尖軟骨を剥離i露出させる術式のものは,一般
には鼻尖軟骨の発育が充分に行なわれてから施行
このような症例では,下顎を外科的に後方へ移
:.動させても若干Profileは改善されるだろうが,
機能的回復は困難なこととが多い.また私は下顎
一骨の外科的後方移動には表3のような分類をして
すべきであり,あまり早期に行なうのは望しくな
いといわれている.なお本形成手術を表4の如く
tttいる.このうち,正中部切除法とは(Fig・28)私
628 一
15
いかによい手術を行なっても,本治療を怠った時
表4.兎唇外鼻の形成法
tax発音の正常化率が低い事は既に指摘されてい
る事であり,将来は国家によって学校が経営され
A)鼻軟骨処置を含まぬ法
1)Columella延長法
皿)鼻孔部修正法
II)鼻翼部修正法
B)鼻軟骨処置を含む法
1)鼻尖軟骨内角切離法
皿)鼻尖軟骨外脚切離法
皿)鼻尖軟骨鼻尖部切離法
るべきであろう。
さて終りに,本手術のコツは,全く簡単な事で
はあるが,“丁寧に,たとえ時問がかかっても丁
寧に”手術することではなかろうか.
C)移植法
1)鼻翼部への軟骨移植法
最後にこの機会をお与え下さった学会長,座長および
学会関係各位,また終始懇篤な御指導を賜わった村瀬教
1)鼻尖,鼻背部への骨,軟骨等移植法
授,Schuchardt教授, SpieBl教授およびDr. Dr. Pfei−
分類してみた.
fer,ならびに御協力を頂いた教室員諸兄に深甚なる謝意
V.おわりに
を表します.
さて,口唇一二一口蓋裂治療は,現時点ではもう
既に口腔外科医あるいは成形外科医のみによっ
て治療できる段階ではなく,チームを作ってこれ
に当らなければならないようになってきている.
文
献
1) Abbe, B.: Med Rec 53 477 (1898)
2) Axhausen, G.: Technik und Ergebnisse
すなわち,手術担当,術前後の患畜管理担当,歯
der Spaltplastiken. Carl Hanser MUnchen
科矯正担当およびSpeech Therapistにより,各部
(1952)
3) Berg, E.M.: Transact 3rd lnt Cong Plast
分の専門的知識を充分に出し合い,協力しながら
Surg. 232 Excepta Medica Foundation Am−
sterdam (1963)
4) Brauer, R.O.: Plast Reconst Surg 11 4
(1953)
治療を行なうのである.本学においても,このよ
うな態勢による治療が望ましい事はもちろんで,
そのようになるように努力している.
5) Brown, J.B.: Surg Gynec Obstet May 70/
(1928)
また手術法に関しては,現在わが国では,Pri−
6) Brown, J.B., F. Mcdowell :
mare Oste・plastikは試験的に行なわれている状態
Surg Gynec
Obstet 80 12 (1945)
であるが,ドイツのKiefer Klinikでは顎一口蓋裂
7) Cannon, B., J.E. Murray:
Plast Reconst
Surg 11 6 (1953)
のRoutineな手術法になっており,その成績も各
国で次第に認められっっある.本法も将来は更に
研究され発展するであろうし,一方Schwecken−
8) Conway, H.: Plast Reconst
(1951)
9) Dorrance,
AnnG.M.:
Surg 82
Surg 7 3
208 (1925)
ユ0)Dorrance, G.M., J。w. Bransfield :Ann
Surg 117 1 (1943)
diekやSlaughter法の如き軟口蓋より閉鎖する方
法も,もっと深く研究されることであろう.
11) Flanagan, W.S.: Plast Reconst Surg 17
次に鼻形成も手術方法,時期はもっと改良され
376 (1956)
るものと推定される.次に歯科的矯正の問題であ
12)藤野博・田代・倉田:形成外科69(1963)
るが,SchuchardtらはPrimare Osteoplastikを
14) Gelbke, H.: Widerherstellende und plas−
13)藤野 博:口外誌 12 1(1966)
行なった患児にはその必要性を認めなかったと報
告しているが,矯正が歯列窓を改善する手段とし
て優れている事は多くの人々により実証されてい
る事でもあり,もっと積極的に利用すべきであち
tische Chirurgie. Bd 3 Georg Thieme Stut−
tgart (1964)
15) Geofgrade, N. C., K. L. Pickrell, G. W.
Qur’nn: Cleft Palate J 1 41 (1964)
16) Gilles, H., R. Millard: The Princtples
and Art of Plastic Surgery lst ed Little,
う.また,Speech Therapyも非常に重要な部門
Brown and Company Boston (1957)
である事は論をまたず,本治療の仕方によっては
17) Glanz, S.: Plast Reconst Surg 24:1 (1959)
手術術式の優劣による差を越える場合すらある.
18).後藤敏郎:兎唇一口蓋裂の治療金原書店(1966>
一 629
16
19)服部孝範・杉幽・滝:口外誌8305(1962)
42) Pfeifer, G.: in Schuchardt: Treat Patient
20) Honig, C.A.: in Schuchardt: Treatment
Cleft Lip Alv Pal.154 Georg Thieme Stut−
tgart (1966)
of Patients with Clefts of Lip, Alveolus and
Palate. 207 Georg Thieme Stuttgart (1966)
43) Pfeifer, G.: the.sarne 65
21) Johansen, B., A. Ohlson: Langenbeck
44) Randa11, P.: Plast Reconst Surg 23 331
Arch Klin Chir, 295 876 (1960)
(1959)
22) JQhansen, B.: in Schuchardt: Treat Patient
45)Schmid, E.: La皿genbeck Arch KIIin Chir
Cleft Lip Alv Pal. 53 Georg Thieme Stuttgart
295 868 (1960)
46) Schuchardt, K.: Die Operation am Gesi−
(1966).
23) Joss, G., L.M. Rouillard: Brit J Plast
chtsteil des Kopfes in Bier−Braun−KUmmel:
Surg 15 349 (10J62)
Chir Operationslehre Bd 2 499 J.A. Barth
Leizig (1954)
24) LeMesurier, A.B.: Plast Reconst Surg 4
.47) S¢huchardt, K., G. Pfeifer: Langenbeck
.1 (1942)
25> LeMesurier, A.B.: Surg Gynec Obstet 95
Arch Klin Chir 295 881 (1960)
48) Schuchardt, K.: Dtsch Zahn Mund Kie−
ユ7 (1952).
26) Lemesurier, A.B.: Plast Reconst Surg 16
ferheilk 37 /85 (1962)
49) Schuchardt, K.’: Treat Patient Cleft Lip
422 (1955)’
27) Lexer: in’ Schuchardt: Die Zahn一,Mund−
Alv Pal. Georg Thieme Stuttgart (1966)
50) Schweckendiek, H.: Klin Wsch 34 823
und Kieferheilkunde. Bd 3 813 Urban und
Schwarzenberg MUnchen (!959)
(1956)
51) Schweckeniek, H.: Fortsch Kiefer Gesi−
28) Lindemann, A., O. Lorenz: Zur chirur−
chtschir. Bd 1 73 Georg Thieme I Stuttgart
gischen plastischen Deckung der Weichteil−
(1955)
defekte des Gesichtes. Urban und Scewarzen−
52) Schwecndiek, H.: Fortsch Kiefer Gesichts−
berg MUnchen (1949)
29) Marcks, K.M., A.E Trevaskis, A. Da
chir. Bd 4 167 Georg Thieme Stuttgart (1958)
53) Skoog, T. t Amer J Surg 95 223 (!958)
Costa: Plast Reconst Surg 12 392 (r953)
54) Skoog, T.: Fortsch Kiefer Gesichtschir. Bd
30) Matthews, D., W. Grossmann: Transact
3rd. lnt Cong Plast Surg. 239 Excepta
Medica Foundation Amsterdam (1963)
5. 266 (1959)
55) Skoog, T.; in Schuchardt: Treat Patient
Cleft Lip Alv Pal. 35 Georg Thieme
31) McNeil, C.K.: Oral and Facial Deformity..
Pitman Publishing Corporation New york
Stuttgart (1966)
56) Slaughter, W. B., S. Pruzansky: Plast
(1957)
Recons亡Surg 13 34ユ(ユ954)
32) Meyer, R.: in Schuchardt: Treat Patient
57) Spina, V.: Transact 3rd lnt Cong Plast
Cleft Lip Alv Pal. 43 Georg Thieme Stutt
Surg. 314 Excepta Medica Foundation Am−
gart(ユ966)
sterdam (1963)
33) Millard, D.R.: Plast Reconst Surg 25 595
58) Steffensen, W.H.: Plast Reconst Surg ’ll :
(1960)
1(工953)
34) mallard, D.R.: Surg Gynec Obstet 116
59) Stellmach, R.: Langenbeck Arch Klin Chir
297 (1963)
292 : 865 (1959)
35)M{皿ard, D.R.=Plast Reconst Surg 3326
60) Stellmach, R.’: Fortsch Kiefer Orthopadie
(1964)
16 : 247 (1955)
36) Millard, D.R.: in Schuchardt: Treat Pa−
tient Cleft Lip Alv ?al. 93 Georg Thieme
61)高橋庄二郎=歯科学報6680(1966)
Stuttgart (1966)
62) Tennisen, C.W.: Plast Reconst Surg 9 115
37)森本正紀=日本医事新報(1561)126(1954)
38)永井 厳:手術 15 179(1961)
(1952)
63) Trauner, R.: Fortsch Kiefer Gesichtschir.
39) Nordin, E., B. Johansen: Fortlsch Kiefer
Bdユ16 Georg Thieme Stuttgart(1955)
Gesichtschir Bd 1 168 Georg Thieme Stut−
64) Trauner, R., F. Wirth : Z Laryng Rhinol
36 21 (1957)
tgart (1955)
65) Trauner, R.: Fortsch Kiefer Gesichtschir.
40)大森清一・丹下・福田。添田・伊藤:形成外
Bd 5293 Georg Thieme Stuttgart(ユ959)
科5 100(1962).
41) Pfeifer, G., K. Schuchardt: Transact 3rd
66) Trusler, H.M., Tli. B. Bauer, 」.M. Ton−
Int Cong Plast Surg. 282 Excepta Medica
dra: Plast Reconst Surg 16 3 (1955)
67) Veau, V.: Proceed Royal Soc Med 20,
Foundation Amsterdam (1963)
一 630 一
17
72) Widmaier, W.: ・ Der Chirurg 32 333 (1961)
Sect Suicg 156 (1927)
68) Veaus V.: Der Chirurg 8 1 (1936)
73)Widmaier, W.: in Schuchardt: Treat
69)Wang, M.K凪.3 Plast Reconst Surg 30
Patient Cleft Lip Alv Pal.59 Georg Thieme
329 (1962)
Stuttgart (1966)
70)ward叫W・E・M..:.Brit J surg 25117
74) Wunderer, S.: Langenbeck Arch Klin Chir
(1939)
295 866 (1960)
75) Wunderer, S.; Transact 3rd Int Cong’ Plast
71)Was5飢腿職d, MりiS!l. Kirschne琴 :Opera一.
tionslehre. Bd 3 Teil 1 Verlag von Ju}ius
Surg. 346 Exeepta Medica Foundation Am−
Springer Berlin(ユ935)
sterdam (1963)
一 631 一
Fly UP