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要旨集 - 北海道立総合研究機構

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要旨集 - 北海道立総合研究機構
平成二十七年度
平成27年度
十勝圏農業新技術セミナー ― 畑作・野菜 ―
十勝圏農業新技術セミナー
-畑作・野菜-
地
(独法
) 北海道立総合研究機構 十勝農業試験場
中札内文化創造センター
平成28年2月23日
主
催
地方独立行政法人
北海道立総合研究機構
共
催
中札内村、十勝農業改良普及センター
後
援
中札内村農業協同組合、十勝農業協同組合連合会、
北海道十勝総合振興局
十勝農業試験場
はじめに
本日はお忙しい中、平成27年度十勝圏農業新技術セミナーにご参加いただき、誠にあり
がとうございました。また、今回の中札内村での開催に当たり、中札内村関係者の皆様並
びに十勝農業改良普及センターなど関係機関の皆様には大変お世話になっておりますこと
を重ねてお礼申し上げます。
昨年は、一部で干ばつや風雨等の被害があったものの、春以降の天候は概ね良好で日照
時間が長く、農作業や作物の生育は順調に推移し、また、夏以降は気温がほぼ平年並みに
なったことから、多くの作物で良い出来秋となりました。特に小麦は、史上最高の収量と
なり、品質も良好、てんさいも多収で糖分も高く、十勝管内の農協取扱高(概算)が過去
最高の3,233億円に達しました。このことは、十勝農業のポテンシャルの大きさと技術力
の高さが示された結果であり、農業経営者の皆様や関係機関・団体の皆様のご努力の賜と
敬意を表する次第です。
一方で、気温の変化や干ばつを含め極端な雨の降り方など引き続き気象変動には注視が
必要であり、土作りを始めとする基本技術と様々な状況に対応した技術の組み立てが安定
多収のためには益々重要となります。また、農業を取り巻く昨今の状況を考えればフード
バリューチェーンにおける問題解決が経営安定化のための鍵であることも変わりません。
農業新技術セミナーは、今年度成績取りまとめを行いました十勝農試や道内の農業研究
機関等が開発した新技術を広く公表し、皆様に活用して頂くために開催するものです。
今回は、早生の小豆品種「十育164号」など病虫害に強く、高品質多収な新品種や直播
たまねぎの多収安定栽培、効果の高いてんさい西部萎黄病対策、青色申告書を使った課題
発見の手法等の新技術をご紹介するほか、十勝農業改良普及センターより「秋まき小麦の
多収要因」についての報告があります。また、会場ギャラリーには十勝地域に応用できる
技術のパネル展示をしておりますので、休憩時間や発表会終了後にご覧ください。
なお、本日ご紹介いたします成績は、今年から普及に移される成績の一部であり、また、
概要のみとなりますので、興味をお持ちになった成績の詳細や各種成績につきましては、
後日でもお気軽に十勝農試にお問い合わせください。また、成績全体は下記ホームページ
でご覧いただけますので参考にしていただければと思います。
「試験研究成果一覧」(北海道立総合研究機構農業研究本部ホームページ)
http://www.hro.or.jp/list/agricultural/center/kenkyuseika/index.html
現在、我が国は人口構造の変化の中で急速なグローバル化への対応が求められています
が、持続的農業を推進するためには、生産性や価値創造による地域ポテンシャルの更なる
向上と様々な変動要因に対する体質強化や人材育成並びに農畜産物及び加工品の需要拡大
を図って行く必要があります。北海道立総合研究機構及び十勝農業試験場といたしまして
は、今後とも地域の皆様との連携及び協働により現場の役に立つ新技術の開発、各種支援
活動を進めて参りますので、今後ともご支援ご協力を賜りますよう、お願い申し上げます。
平成28年2月23日
十勝農業試験場長
柳沢
朗
平成27年度
プ
十勝圏農業新技術セミナー
ロ
グ
ラ
ム
平成28年2月23日(火)
中札内村
開
会
挨
拶
10:00~
中札内文化創造センター
10:00
道総研十勝農業試験場長
柳沢
朗
中札内村長
田村
光義
様
1.新品種・新技術の紹介
10:15~11:30
① 病気に強く作りやすい! 早生小豆「十育164号」
② 目指せ! 抵抗性品種作付100%
ジャガイモシストセンチュウに強いでん粉原料用ばれいしょ「コナヒメ」
③ 褐斑病に強い! てん菜「KWS2K314」
④ 加工適性に優れた長球たまねぎ「北見交65号」
⑤ 「きたねばり」の安定生産と有効活用に向けて
昼
休
み
11:30~13:00
13:00~14:00
⑥ 冬のハウス管理が決め手
てん菜の西部萎黄病対策
⑦ 3月出荷に向けたポテトチップス用馬鈴しょのエチレン貯蔵法
⑧ 直播たまねぎの収量安定化のために
⑨ 青申決算書を使った所得解析で課題発見!
2.農業改良普及センターからの報告
14:00~14:20
平成27年産秋まき小麦の多収要因
3.質疑応答・意見交換
挨
拶(講評)
閉
会
十勝農業改良普及センター所長
14:20~
上舘
伸幸
様
【パネル展示】
ギャラリーにおいて研究成果をパネルで紹介します。
昼休み及び講演終了後から15:00までの時間は説明者を配置します。
【試
食】
小豆新品種「十育164号」を原料とした「きんつば」を提供します。
14:45
研究成果の要約
タイトル
病気に強く作りやすい!
早生小豆「十育164号」
要約
成熟期は「きたろまん」より早く、「サホロショウ
ズ」と同等で、子実重は「サホロショウズ」と同程度
である。落葉病、茎疫病、萎凋病抵抗性を有し、耐倒
伏性に優れる。「サホロショウズ」のすべてと「きた
ろまん」の一部に置き換えて、早生種栽培地帯を中心
に1,500haの普及を図る。
目指せ!抵抗性品種作付100%
ジャガイモシストセ ンチュウに強い
でん粉原料用ばれいしょ 「コナヒメ」
でん粉原料用で、ジャガイモシストセンチュウ抵抗性
を持つ。感受性の対照品種「コナフブキ」と比較し
て、枯ちょう期は同等の中晩生、でん粉重もほぼ同程
度で、でん粉品質はやや優れる。「コナフブキ」に置
き換えて7,000haの普及を図る。
褐斑病に強い!
てん菜「KWS2K314」
「かちまる」よりもそう根病抵抗性および褐斑病抵抗
性が大きく優り“強”である。根重がやや重い。根腐
病抵抗性が“中”でやや優る。不純物価がやや低く製
糖品質がやや優れる。「かちまる」の全てに置き換え
て10,000haの普及を図る。
加工適性に優れた長球たまねぎ
「北見交65号」
「北見交65号」は、「カロエワン」より多収で貯蔵性
に優れ、長球形質の揃いが良く、剥皮加工歩留りが高
い。「ゆめせんか」と同様に乾物率・Brixが高く、内
部品質は加工・業務用途に適する。晩生で耐抽台性は
やや劣るので、適地で栽培し、早期定植は避ける。
頁
1
3
5
7
「きたねばり」の安定生産と有効活用に向けて
「きたねばり」は既存のながいもに準じて栽培条件を
設定し、各種基本技術を遵守することで高品質生産が
可能である。とろろの褐変はいも全長に対して先端側
1/3の部位を使用することで回避できる(重量歩留ま 11
り約74%)。一次・二次加工原料として、冷凍とろろ
およびとろろの製パン副原料としての利用が高評価を
得た。
冬のハウス管理が決め手
てん菜の西部萎黄病対策
てんさいの西部萎黄病の病原ウイルスの媒介虫は道東
地域でもモモアカアブラムシであった。本病抑制に
は、発生地域にあるハウス内をモモアカアブラムシが
越冬できない環境とすること(適正管理)が最も効果 15
的であることを示した。適正管理による効果を大規模
に検証したところ、十勝管内の11調査地域すべてで本
病が低減した。
3月出荷に向けた
ポテトチップス用馬鈴しょのエチレン貯蔵法
直播たまねぎの収量安定化のために
ポテトチップス用原料の貯蔵において、従来のエチレ
ン濃度4ppm、8℃貯蔵ではチップカラーの推移から4
月以降の出荷となっていたが、貯蔵温度を高める(10
~12℃)ことにより、萌芽を抑制しチップカラーの低 13
下が小さい良好な原料を、3月初旬から出荷すること
ができる。
直播栽培の収量安定化のため、収穫球数確保の重要性
を示した。播種粒数は3,800~4,200粒/aとする。不織
布べたがけの影響は年により異なるが、地温上昇およ
び土壌水分保持による出芽および初期生育の促進が期
待できる。ハエ類の被害軽減にはA剤(未登録)の種
子処理が有効である。
9
研究成果の要約
タイトル
青申決算書を使った所得解析で課題発見!
平成28年に特に注意を要する病害虫
たまねぎの灰色腐敗病に対する
効率的防除対策
肥料ロスを防ぎ低コスト多収!
たまねぎの窒素施肥法
直播タマネギの生育を促進させる
リン酸局所施肥法
要約
頁
異なる仕訳体系の青色申告決算書を用いて、農業所得
の推移と所得変化の要因を整理する解析手法を確立し
た。大規模データから得られた所得の平均値とその寄
与度は、符号関係や値の大小を比較することで、地域 17
に共通な課題の洗い出しや地区に固有な課題の発見を
可能にする。
平成27年度に問題となった病害虫のうち、①小麦のな
まぐさ黒穂病、②ばれいしょのジャガイモシロシスト
センチュウ、③てんさいの西部萎黄病、④コナガのジ
アミド系薬剤抵抗性個体群について、次年度に特に注
意すべき病害虫として解説した。また、道内で新たに
発生した病害虫を紹介し発生を見逃さないように注意
喚起した。
たまねぎの灰色腐敗病に対する感受性は球肥大開始期
~倒伏期に高く、感染源の存在が重要な発生要因で
あった。多雨は発病増加に影響し、根切り遅れ・収穫
遅れは発病を助長することがある。本病の重要な防除
時期は球肥大開始期~倒伏期であり、白斑葉枯病との
同時防除により効率的に多発を回避できる。
基肥:分施=2:1の配分で移植後4週目頃に硝酸カル
シウムを分施することにより、多雨に伴う応急的追肥
が不要となり、様々な降水条件下で移植たまねぎの安
定生産と環境への窒素負荷低減が可能となる。本技術
をリン酸施肥削減技術と組合せると、初期生育向上で
より一層の安定生産が図られ、所得の更なる向上も期
待できる。
成分量10kg/10a以下のリン酸肥料を単肥で播種条下に
局所施肥することにより、リン酸吸収係数が1000以上
の火山性畑のTruog-P2O5 30mgから60mg/100g圃場にお
いて、直播栽培タマネギの生育を促進し生産安定に寄
与できる。
-
-
-
-
病気に強く作りやすい! 早生小豆「十育 164 号」
十勝農試 研究部 豆類グループ
北見農試 研究部 地域技術グループ
上川農試 研究部 生産環境グループ
1.背景
道東地方は、全道の小豆栽培面積のおよそ 7 割を占める主産地である。道東の山麓・沿海部では、
無霜期間が短いことから、成熟期の早い「サホロショウズ」及び「きたろまん」が栽培されている。
「サホロショウズ」(平成元年育成)は、優良品種の中で最も早生であるが、土壌病害抵抗性を持た
ないため、早生の抵抗性品種が要望されていた。「きたろまん」(平成 17 年育成)は、土壌病害抵
抗性で、「サホロショウズ」と比べやや多収であるが、成熟期が遅く、特に冷涼な道東の山麓・沿海
部において霜害を受ける危険性がある。また、温暖年には、両品種で主茎長が伸びて倒伏する事例が
あり、減収や品質・作業性の低下が問題となっている。一方、道央・道北地方では、茎疫病の発生が
多く、早生の茎疫病抵抗性品種に対する要望がある。
2.育成経過
「十育 164 号」は、十勝農試において、落葉病・茎疫病(レース 1)・萎凋病抵抗性で成熟期“早
の晩”の「きたろまん」を母、落葉病・茎疫病(レース 1、3、4)・萎凋病抵抗性で成熟期“中の早
”の「十系 971 号」を父として人工交配を行い、以降選抜・固定により育成したものである。なお、
F6 世代以降、北見農試及びオホーツク地域向け現地選抜ほ場において、オホーツク地域向けの特性に
ついて選抜及び適応性の確認を行った。F8 世代では、上川農試において茎疫病レース 3、4 抵抗性を
確認し選抜した。
3.特性の概要
「十育 164 号」は、成熟期は「サホロショウズ」と同等で、「きたろまん」より早い。倒伏程度は
両品種より小さく、子実重は「サホロショウズ」以上である。落葉病、茎疫病(レース 1、3、4)、
萎凋病に抵抗性を持ち、低温抵抗性は“中”である。子実の形及び大きさは両品種と同じ“円筒”及
び“中の大”で、種皮色は「サホロショウズ」よりやや淡く、「きたろまん」と同じ“淡赤”である。
外観品質及び加工適性は両品種と同等である。
4.普及態度
「十育 164 号」を「サホロショウズ」のすべてと、霜害の危険性が高い地域の「きたろまん」に
置き換えて普及することにより、安定栽培が可能となり、北海道における小豆の生産振興に寄与で
きる。
1)普及見込み地帯:全道の小豆栽培地帯のうち、早生種栽培地帯(Ⅰ)、早・中生種栽培地帯(Ⅱ)
及びこれに準ずる地帯
2)普及見込み面積:1,500ha
3)栽培上の注意事項:落葉病、茎疫病、萎凋病に抵抗性を持つが、栽培に当たっては適正な輪作
を守る。
質
品
重
(%)
(g)
(等級)
粒
(kg
百
(莢
(節) /株) /10a)
子実重対比
子 実 重
(cm)
着 莢 数
病
長
凋
病
茎
萎
疫
主 茎 節 数
主
茎
病
(日)
葉
(月日)
土壌病害発生程度
落
(月日)
倒 伏 程 度
成 熟 期 差
名
期
種
熟
品
成
は
期
名
た
花
Ⅱ
平均
統
ま
開
Ⅰ
平均
系
試 験 箇 所 数
地 帯 区 分
表1 普及見込み地帯の試験成績(平成25~27年)
十育 164 号
10
7.26
9.15
-2
0.3
0.0 0.0 0.0
64
12.4
51
380
105
15.7
2下
サホロショウズ
10
7.25
9.17
0
1.5
0.2 0.1 0.0
75
12.8
51
362
100
15.0
2下
きたろまん
10
7.27
9.21
4
1.3
0.1 0.0 0.0
70
12.6
47
382
106
15.7
3上
十育 164 号
11
7.22
9.08
-4
1.0
0.0 0.0 0.0
73
12.8
54
377
99
14.5
2中
きたろまん
11
7.24
9.12
0
1.7
0.0 0.0 0.0
78
13.1
51
381
100
15.1
2上
21
7.24
9.11
-2
0.7
0.0 0.0 0.0
69
12.6
52
378
106
15.1
2中
21
7.24
9.13
0
1.9
0.1 0.0 0.0
81
13.1
52
357
100
14.5
2中
21
7.25
9.16
3
1.5
0.0 0.0 0.0
74
12.8
49
381
107
15.4
2中
十育 164 号
Ⅰ・Ⅱ
サホロショウズ
平均
きたろまん
注)1. 地帯区分は道産豆類地帯別栽培指針(H6 北海道農政部)による。Ⅰ:早生種栽培地帯、Ⅱ:早・中生種栽培地帯。
2.倒伏程度及び土壌病害発生程度は、観察により 0:無、0.5:微、1:少、2:中、3:多、4:甚で評価。
3. 品質は農産物規格規定あるいはそれに準ずる検査等級(以下の表、同じ)。
4. 茎疫病多発ほ場における成績は平均から除いた。
表2 その他の特性
は
品
種
名
種皮
形
大きさ
の
十育 164 号
円筒
中の大
地色
淡赤
サホロショウズ
円筒
中の大
赤
きたろまん
円筒
中の大
淡赤
1
R
3
R
4
R
萎 凋 病
た
区 分
ま
障害抵抗性
子実の形状
かなり強
強
弱
S
S
S
弱
弱
強
R
S
S
強
強
落葉病
レース
1
R
2
S
強
中
S
S
やや強
R
S
中
*
茎疫病
区 分
名
温
統
低
系
レース
注)1.あずき品種特性分類審査基準(昭和 56 年 3 月)による。育成地での観察・調査及び特性検定試験等の成績
に基づいて分類した。ただし、* は同基準に含まれていない特性である。
2.落葉病及び茎疫病抵抗性は、各レースに対して
R:抵抗性、S:罹病性を示す。
3.低温抵抗性は開花期頃の低温による着莢障害に対する抵抗性である。
表3 「十育 164 号」の製品試作試験における評価
対照品種
製品名
生産年・生産地
サホロショウズ
きたろまん
つぶアン H27 清里町
H25 十勝農試
H26 十勝農試
蜜豆
H26 十勝農試
こしアン H25 十勝農試
つぶアン H26 芽室町
H26 芽室町
H26 芽室町
H25 十勝農試
H26 十勝農試
蜜豆
H26 十勝農試
こしアン H26 芽室町
H26 芽室町
業者名
評価
コメント
A社
E社
E社
E社
F社
B社
C社
D社
E社
E社
E社
G社
H社
○
□
□
□
△
○
○
□
□
□
□
△
□
餡の香り、味良好。
白双糖との相性は同等。
製品の品質は同等。
製品の品質は同等。
煮えムラが多かった。
風味が濃い目で美味。
加工適性は良好。
目立った優劣はない。
同じ煮え易さ。
製品の品質は同等。
製品の品質は同等。
あんことして不可はない。
それほど変わらない。
注)対照品種に比べ○(やや優る)、□(同等)、△(やや劣る)。
図.「十育 164 号」の普及見込み地帯.
:早生種栽培地帯(Ⅰ)
:早・中生種栽培地帯(Ⅱ)
目指せ!抵抗性品種作付100%
ジャガイモシストセンチュウに強い
でん粉原料用ばれいしょ「コナヒメ」
北見農試 研究部 作物育種グループ
1.背景と目的
でん粉原料用馬鈴しょは、北海道における馬鈴しょ全体の作付面積の約3割を占める重要な用途
である。現在、でん粉原料用品種のうち、主力である「コナフブキ」が8割を占めているが、ジャ
ガイモシストセンチュウ抵抗性を持たないという大きな欠点があり、抵抗性品種の普及促進は安定
生産上の最も大きな課題である。
このような状況の中、平成24年に北海道農政部において「北海道産馬鈴しょの安定供給に関する
検討会」が設置され、でん粉原料用については平成34年度にジャガイモシストセンチュウ抵抗性品
種の普及率を100%にすることが目標とされた。しかしながら、近年育成されたでん粉原料用のジャ
ガイモシストセンチュウ抵抗性品種は、多収ではあるものの枯ちょう期が遅い特性が普及の制限要
因となるため、「コナフブキ」並の枯ちょう期の品種に対する要望は高い。
2.育成経過
「コナヒメ」は、平成15年にホクレン農業総合研究所恵庭研究農場において、
「DP01」を母、
「コナフブキ」を父として人工交配を行い選抜され、平成25年より「HP07」の系統名で各試験
に供試された。平成26年7月に、品種登録出願公表された。
3.成果の概要
1)枯ちょう期は、「コナフブキ」と同等の“中晩生”である。
2)
「コナフブキ」より上いも数が多く、上いもの平均重がやや軽い。
「コナフブキ」より上いも重
がやや重く、でん粉価がやや低いが、でん粉重は「コナフブキ」並である。
3)ジャガイモシストセンチュウ抵抗性を持つ。ただし、ごくわずかなシストの形成が認められる
ことがある。
4.成果の活用面と留意点
「コナヒメ」は、
「コナフブキ」と同様に秋まき小麦の前作としての導入や、ジャガイモシストセ
ンチュウ未発生地域への普及も期待できる。このことから「コナヒメ」を「コナフブキ」に置き換
えることにより、北海道産でん粉の安定生産が可能になる。普及見込み面積は7,000haで、北海道優
良品種に認定された「コナユタカ」(平成26年)、「パールスターチ」(平成27年)とともに、ジャガ
イモシストセンチュウ感受性品種からの全面置き換えを目指す。なお、栽培上の注意事項は以下の
通り。
1)褐色心腐の発生程度が「コナフブキ」より高い“少”であるので、適切な肥培管理や十分な培
土を行う。
2)疫病抵抗性であるが、抵抗性を侵す新レース出現の恐れがあるため、「コナフブキ」に準じた
防除を行う。
表1
試験
実施
場所
全道
平均
十勝
農試
「コナヒメ」の生育および収量成績(道総研:平成25~27年、現地試験:平成26~27年)
品種名
コナヒメ
コナフブキ
コナヒメ
コナフブキ
枯ちょ
う期
(月.日)
9.23
9.24
9.13
9.19
上いも
数
(個/株)
12.8
10.1
12.9
11.1
茎長
(cm)
72
77
67
74
上いも 上いも
の平均
重
重(g) (kg/10a)
88
5,006
103
4,622
76
4,370
85
4,171
対照
比
(%)
108
100
105
100
でん粉 でん粉
価
重
(%)
(kg/10a)
19.6
934
21.1
929
19.7
819
20.7
827
対照
比
(%)
101
100
99
100
注1)上いもは、20g以上の塊茎(以下すべて同様)。
2)全道平均は、道総研2機関延べ6箇所と現地試験4町村延べ8箇所の計14箇所。
表2
「コナヒメ」の病虫害抵抗性および塊茎の特性
(道総研:平成25~27年、現地試験:平成26~27年)
病虫害抵抗性
ジャガイモ
品種名
シスト
センチュウ
コナヒメ
強
コナフブキ
弱
塊茎の生理障害
疫病
塊茎
腐敗
そうか
病
Yモザ
イク病
褐色
心腐
中心
空洞
二次
成長
強
弱
やや強
中
弱
弱
弱
強
少
微
微
微
少
少
注1)病虫害抵抗性は特性検定試験(疫病:北農研センターおよび北見農試、Yモザイク病:中央農試、
その他はすべて北見農試)の成績による。
2)塊茎の生理障害は、表1における注2に示した全試験地の結果による。
3)ジャガイモシストセンチュウ抵抗性は“強”だが、ごくわずかなシストの着生が認められることが
ある。
表3
試験
実施
場所
A
圃
場
B
圃
場
圃場試験における土壌中の線虫密度低減効果(北見農試、平成27年)
品種名
コナヒメ
コナフブキ
コナユタカ
コナヒメ
コナフブキ
コナユタカ
卵密度
(卵数/土壌1g)
植付時
収穫時
32.6
5.9
25.8
299.3
34.5
2.3
33.7
0.7
47.5
259.9
30.0
2.3
卵の
残存率
(%)
18
1,343
11
2
605
11
注1)ジャガイモシストセンチュウ抵抗性の指標品
種として、「コナフブキ(“弱”)」、「コナユ
タカ(“強”)」を供試した。
2)数値はすべて3反復の平均である。
「コナフブキ」
写真1
「コナヒメ」
塊茎の比較
褐斑病に強い!てん菜「KWS 2K314」
北見農試 研究部 地域技術グループ、十勝農試 研究部 地域技術グループ
中央農試 作物開発部 作物グループ、上川農試 研究部 地域技術グループ
北農研センター 畑作基盤研究領域、北海道てん菜協会
1.背景
平成 19 年に優良品種に認定された「かちまる」は、多収であるため、主力品種の一つとして広く
作付けされてきた。しかし、重要病害である褐斑病抵抗性が弱く、そう根病に抵抗性を持ない等、耐
病性に弱点があり、これらの病害に強い品種の導入が望まれてきた。
これらの背景から試験を行ってきた「KWS 2K314」は、そう根病抵抗性を持ち褐斑病抵抗性も“強
”まで向上している。また収量面においても、多収品種である「かちまる」より根重がやや重い。さ
らに根腐病抵抗性が「かちまる」よりやや優る“中”であり、製糖品質面でも「かちまる」よりやや
優る。以上のことから、「KWS 2K314」を「かちまる」に置き換えて普及させることで、てんさい生
産と農家所得の安定に寄与できる。
2.育成経過
ドイツの KWS 種子会社が育成し、平成 24 年に日本甜菜製糖株式会社が輸入した。平成 25 年から道
総研農試(北見農試、十勝農試、中央農試、上川農試)、北農研センター、北海道てん菜協会(ホク
レン、北海道糖業、日本甜菜製糖)で各種試験を実施し、平成 28 年に北海道の優良品種に認定され
た。
3.特性概要
1)収量性
収量全道平均では、基準品種「アマホマレ」対比で、対照品種「かちまる」と比較して、根重
は4ポイント重く、根中糖分は並で、糖量が2ポイント多い(表1)。このように根重が「かち
まる」よりやや重い傾向にある。
十勝地域の収量平均では、基準品種「アマホマレ」対比で、対照品種「かちまる」と比較して、
根重は3ポイント重く、根中糖分は並で、糖量は4ポイント多い(表2)。このように根重がや
や重く糖量もやや多い傾向にある。
2)病害抵抗性等
褐斑病抵抗性は、「かちまる」が“弱”に対して“強”、そう根病抵抗性は、「かちまる」が
無に対して“強”、根腐病抵抗性は、「かちまる」が“やや弱”に対して“中”、黒根病は、「か
ちまる」と同様の“やや強”である。全体的に「かちまる」より病害抵抗性は大きく優る。抽苔
耐性は「かちまる」と同様の“強”である(表3)。
褐斑病慣行防除圃場で調査した褐斑病発病程度(表4)は、ほとんどの調査場所で「かちまる」
より低く、「かちまる」の罹病がかなり進んだ調査場所でも低く抑えられた。このように、一般
的な防除条件下において、「KWS2K314」の抵抗性の効果が明瞭に観察された。
3)製糖品質
全道平均で不純物価が「かちまる」と比較して 15 ポイント低く、製糖品質がやや優れる(表5)。
4.普及態度
適地は北海道一円で、普及見込面積は 10,000ha である。
表 1 全道の収量 (平成 25〜27 年平均)
品種名
根重
根中糖分
糖量
「アマホマレ」対比(%)
(t/10a)
(%)
(kg/10a)
根重
根中糖分
糖量
KWS 2K314
7.95
16.70
1,328
111
95
105
アマホマレ(標準品種)
7.19
17.57
1,266
100
100
100
かちまる(対照品種)
7.72
16.80
1,298
107
96
103
注1)北見農試、十勝農試、北農研センター(平成26、27 年)および北海道てん菜協会(3か所)の延べ17 試験平均
表2 十勝地域の収量 (平成 25〜27 年平均)
品種名
根重
根中糖分
糖量
(t/10a)
(%)
(kg/10a)
「アマホマレ」対比(%)
根重
根中糖分
糖量
KWS 2K314
7.76
16.51
1,283
111
96
106
アマホマレ
6.98
17.25
1,205
100
100
100
かちまる
7.52
16.42
1,235
108
95
102
注1)十勝農試、北農研センター(平成26、27 年)および北海道てん菜協会(2 か所)の延べ11 試験平均
表3 病害抵抗性等
品種名
褐斑病
そう根病
根腐病
黒根病
抽苔耐性
KWS 2K314
強
強
中
やや強
強
かちまる
弱
無
やや弱
やや強
強
表4 「KWS 2K314」の褐斑病慣行防除圃場での褐斑病発病程度 (平成 25〜27 年平均)
試験場所
北見農試
十勝農試
北農研
日甜
北糖
ホクレン
訓子府
芽室
芽室
帯広
本別
女満別
KWS 2K314
0.1
0.2
0.3
0.2
0.7
0.1
0.3
かちまる
0.7
2.2
1.4
0.8
2.0
0.3
1.2
所在地
注1)
発病程度 0:健全〜5:成葉の大半が枯死。
表5 製糖品質(平成 25〜27 年平均)
品種名
不純物価(%)
不純物価「アマホマレ」対比(%)
KWS 2K314
4.04
106
アマホマレ
3.82
100
かちまる
4.64
121
平均
加工適性に優れた長球たまねぎ「北見交 65 号」
北見農試 研究部 地域技術グループ
株式会社 日本農林社
1.背景と目的
近年の生活スタイルの変化に伴い、たまねぎ消費量の約6割を加工・業務用が占めるようになった。
こうした需要における輸入割合は約4割にもなり、実需者の需要に対応した供給体制の構築・強化が
喫緊の課題となっていた。こうした背景をうけ、農林水産省は、輸入野菜からのシェア奪還に向け、
加工・業務用野菜への転換を推進するため、平成 25 年より加工・業務用野菜生産基盤強化事業を創
設した。北海道でも、各産地において本事業を活用した取り組みが進められている。加工・業務用と
してたまねぎに求められる特性は、用途により多様であるが、これらに着目した品種育成は遅れてい
た。そこで、①剥皮加工時の歩留まりの向上につながる長球形質であること、②ソテー等の加熱加工
において加熱時間の短縮につながる高い乾物率と Brix であることを主な目標とし、(株)日本農林社
と共同で F1 品種の育成に取り組んだ。
2.育成経過
「北見交 65 号」は、北見農試が育成した長球形質を有する細胞質雄性不稔系統「KTM9843-02-01A」
と(株)日本農林社が育成した大球で長球形質を有する花粉親系統「NO NC・S・C」との交配により得ら
れた単交配一代雑種である。平成 22 年に最初の交配を行い、平成 24 年以降に北見農試において生産
力検定試験、平成 25 年以降に地域適応性検定試験を実施してきた。
3.特性の概要(
「スーパー北もみじ」との比較)
1)草勢は同程度からやや優り、葉先枯れはやや少ない。また、生育盛期における草丈は同程度から
やや優り、生葉数および葉鞘径は同程度である(データ略)
。
2)肥大期は同程度であるが、倒伏期は 7~9 日遅く(表1)
、早晩性は「晩の晩」に相当する。
3)年次や地域により抽台株の発生が認められ(表1)
、耐抽台性はやや劣る。
4)乾腐病抵抗性は同程度であり(表1)、その他病害の発生程度も概ね同程度である(データ略)
。
5)総収量、平均一球重および加工用収量はやや優るから優る(表1)
。
「カロエワン」と比べ、平均
一球重は同程度であり、総収量および加工用収量は同程度からやや優る。
6)球品質は、硬さ、皮色および皮ムケは同程度であり、揃いはやや劣る(データ略)
。球形状は地
球型以上に縦長な長球である(図 1)
。乾物率および Brix は高い(表1)
。
「カロエワン」と比べ、
球形指数はやや高く、長球球数率は高い。
7)貯蔵性は同程度であり(表1)、
「カロエワン」より高い。
8)
「北もみじ 2000」と比べ、加工ラインによる剥皮加工歩留まりと加熱加工歩留まりは約 3 ポイン
ト向上し、加熱加工時間は約 11%短縮する(表 2)
。
9)倒伏揃期から約2週間で根切りしても、収量性を大きく損なうことはなく、乾物率等に大きな影
響を与えず、枯葉期の前進化に有効である(表 3)
。
4.普及態度
晩生系統であるが、加工・業務実需者の需要に応える特性を多く併せ持っている。加工・業務向け
の生産・供給体制の構築に寄与することをとおして、輸入たまねぎからのシェア奪還につながり、道
産たまねぎの消費拡大に貢献することが期待される。
1)普及対象地域と見込面積:北海道のたまねぎ栽培地帯 約 70ha
2)栽培上の注意事項:
(1)耐抽台性はやや劣るため、抽台の発生が懸念される地域での栽培や早期定植は避ける。
(2)収穫期の遅れが懸念される場合には、倒伏揃期から約2週間で根切りを行う。
表1 試験地における成績
乾腐病
場所
北見
農試
(育成場)
花野セ
(地適場)
現地
(8場所)
倒伏 抽台株
抵抗性
期 発生率 検定 2)
品種・
系統名
(%)
総 加工用 同左 平均 球形 4) 長球 5) 内部品質 (%)
収量 収量 3) 比 一球重 指数 4) 球数率 乾物
Brix
率
(kg/a) (kg/a)
(%)
(g)
(%)
(%)
貯蔵 6)
健全 6)
球数率
(月日)
(%)
北見交65号
8.14
0.2
6.7
ns
788
768
145
255
115
62
11.6
11.1
91.8
(%)
スーパー北もみじ
8. 7
0.0
9.9
(強 )
534
529
100
174
92
2
10.1
9.6
92.7
カロエワン
8. 9
0.2
-
744
681
129
241
111
39
10.3
9.9
61.7
北見交65号
8.14
0.0
-
841
841
107
276
116
62
10.9
10.2
93.9
スーパー北もみじ
8. 6
0.0
-
784
784
100
252
92
0
9.0
8.5
87.0
カロエワン
8. 8
0.0
-
768
764
97
269
111
41
9.4
8.9
45.7
北見交65号
8.14
0.7
-
693
684
113
249
111
55
11.1
10.6
96.2
スーパー北もみじ
8. 5
0.0
-
622
618
100
216
88
1
9.5
9.1
93.4
カロエワン
8. 7
0.5
-
698
659
106
249
106
33
9.9
9.5
70.8
注 1)北見農試(平成 24~27 年)、花・野菜技術センター・現地(平成 25~27 年)成績の平均を示す。
注 2)清水・中野(1995)の方法による。
「スーパー北もみじ」は検定上の強指標品種。ns は分散分析により有意性がないことを示す。
注 3)総収量より「小球」
、「分球(平成 24、25 年)」
、「過分球(著しい内・外分球、平成 26、27 年)」を除外したもの。
注 4)縦径/横径×100。
注 5)長球球数率は、球形指数 110 以上の割合を示す(観察による)。
注 6) 平成 24~26 年産について、10 月下旬に北見農試冷蔵庫(1℃、湿度 60%)に貯蔵し、翌年 3 月下旬に貯蔵後の状態を調査。
表2 加工適性評価(協力メーカー)
表3 「北見交 65 号」根切りによる影響
枯葉
期
総
平均
収量 一球重
変形
率
加工用 同左
収量
比
(g)
(%)
(kg/a) (%)
225
9.6
674
100
11.1
706
230
7.5
689
102
11.2
746
245
8.3
730
108
11.2
9/13
782
256
12.2
768
114
10.9
9/18
784
257
13.5
772
114
10.8
剥皮
歩留り
加熱
歩留り
加熱
時間
(%)
(%)
(分)
北見交65号
82.5
54.5
54
倒伏期~揃期
9/3
686
北もみじ2000
79.7
51.5
61
倒伏揃4日後
9/5
倒伏揃10日後
9/7
倒伏揃18日後
倒伏揃28日後
品種・
系統名
注)協力メーカーによる平成 25~27 年平均。
剥皮歩留りは、加工ラインによる天地カットと剥皮後の
歩留り。加熱歩留りおよび加熱時間は、協力メーカー基
準によるソテー加工後の歩留りと要した時間。
目標根切
処理期
(月日) (kg/a)
乾物
率
(%)
注)倒伏期~揃期に強制倒伏させ、時期に応じて根切りしたもの。
北見農試における平成 25,27 年平均(強制倒伏日:H25,8.16 H27,8.21)。
スーパー北もみじ
北見交 65 号
図1 球の外観
カロエワン
「きたねばり」の安定生産と有効活用に向けて
十勝農試 研究部 地域技術グループ
1.背景と目的
やまのいも新品種「きたねばり」は、とろろの粘りが強い特長を生かした生産・利用が期待されて
いるが、品種育成過程ではその栽培や品質に関する詳細な特性解明には限界があった。そこで「きた
ねばり」の高品質安定生産技術の検討とともに、大学や加工メーカー等の協力を得ながら品質・加工
特性を明らかにし、これを生かした製品試作に取り組むこととした。
2.試験方法
1) 「きたねばり」の高品質生産のための栽培法の確立
安定供給のため、既存ながいも「音更選抜」と比較しながら、粘りや乾物率など品質のばらつきが
少ない栽培技術を確立する。
試験項目:施肥量、栽植密度、切いもサイズ、つる切り時期
2) 新商品開発に向けた内部品質評価
収穫時期や貯蔵期間が品質に及ぼす影響を明らかにする。
試験項目:乾物率、とろろの粘度・褐変、ポリフェノール含量、その他内部成分
3) 「きたねばり」のブランド化に向けた新商品の開発
加工適性を評価し、ねばり強さなど高品質性を生かした新たな商品を検討する。
試験項目:歩留まり性、作業性、品質(粘度、色)、官能評価
3.成果の概要
1) 既存のながいもは多肥により乾物率が低下する傾向にあったが、「きたねばり」ではこの傾向
はみられなかった(表 1)。栽植密度および切いもサイズに対する反応はほぼ同様であった。
2) 「きたねばり」は一本重のばらつきが既存のながいもよりやや大きかったが、内部品質(乾物
率、とろろの粘度)のばらつきは同等であり、特定の栽培条件下で特にばらつきが大きくなるこ
とはなかった(表 1)。
3) 早期つる切りのような極端な処理区を除き、「きたねばり」の内部品質は既存ながいもを明ら
かに上回り、胴部におけるとろろの粘度目標値 130RVU を安定して上回った(表 1、2)。
4) 「きたねばり」肩部のとろろは褐変が著しく、その程度は栽培条件等で変化しなかった。
5) 「きたねばり」のいもを縦断し、30 分後の断面における変色部位と、とろろ加工時の褐変部位
は一致した。この方法によりとろろの褐変はいも全長に対し地上(首)側の概ね 2/3 の部位で生
じ、先端(尻)側 1/3 ではほとんどみられないことを明らかにした。当該部位の除去により褐変
は回避でき、その場合の重量歩留まりは約 74%と考えられた(表 3)。
6) 「きたねばり」貯蔵期間中の内部品質は、収穫翌年の秋まで大きく変動しなかった(図 1)。
7) 各種一次・二次加工を試みた結果、冷凍とろろおよび冷凍とろろのパン生地への練り込みが高
評価を得た。また、高乾物率を活かした加熱調理の評価が高かった。
8) 以上から、「きたねばり」青果生産においては、既存のながいもに準じて栽植密度および切い
もサイズを設定し、ながいもにおける各種基本技術を遵守することで、高品質生産が可能である。
とろろ加工原料としては褐変を考慮し、いも全長に対して先端側 1/3 を使用する。
4.成果の活用面と留意点
1) 「きたねばり」を導入する産地において、青果生産の際の参考とする。
2) 「きたねばり」を加工・業務原料として利用する際の参考とする。
3) 本成績における栽培試験はながいもを生産可能な圃場で実施し、品質・加工試験は同様の圃場
で得られた生産物を用いて実施したものである。
表 1 窒素施肥量が収量および内部品質に及ぼす影響 z
品種
窒素
施肥量
規格内
収量
全長(cm)
一本重(g)
粘度(RVU)x
乾物率(%) x
褐変程度w
(kg/10a)
(kg/10a) y
平均
CV
平均
CV
平均
CV
平均
CV
肩部
胴部
きたねばり
10
15
20
25
40
3,079
3,516
4,002
4,115
4,194
43
46
46
48
48
15
11
13
14
14
666
759
864
889
909
35
22
30
24
27
21.6
22.0
21.1
21.9
21.8
9.1
9.1
8.6
6.7
4.9
155
157
153
159
159
16
16
17
14
17
2.9
3.6
3.6
3.7
3.8
0.0
0.0
0.1
0.1
0.0
ながいも
10
15
20
25
40
3,555
4,117
4,383
4,538
4,351
56
62
64
66
69
11
9
9
8
9
765
885
940
978
932
22
21
18
19
20
19.0
18.4
18.1
17.2
16.7
9.7
6.9
7.4
7.7
7.4
100
93
92
90
90
17
12
16
11
14
0.0
0.0
0.0
0.1
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
0.0
3か年(2012~2014)の平均値。褐変程度は年次により調査方法が異なるため2013年のみ
の値。栽培法はすべて畝幅90cm、株間24cmの寄せ畝栽培。
y 総収量から200g未満の極小いもおよび病害による腐敗・奇形を除いた収量。
x 乾物率および粘度はいもの胴部における値。
w 0(無)~4(甚)の5段階とした。指数1以下であればとろろとして実用上問題ない程度。
z
表 2 つる切り時期が内部品質に及ぼす影響 z
きたねばり
つる切り
時期y
慣行
早期
ながいも
慣行
早期
乾物率(%)
平均
CV
24
6
20
14
21
18
5
5
粘度(RVU)
平均
CV
221
25
129
44
135
76
45
11
**
**
品種
分散分析x
つる切り時期
***
**
品種×つる切り時期
ns
ns
z 2013年産。各区で得られた標準的ないも5本の胴部を調
査。栽培条件は窒素20kg/10a、株間24cm、切いもサイズ100g
で圃場での反復はなし。
y 慣行;10/22、早期;10/2。
x ***:0.1%水準で有意、**:1%水準で有意、ns:有意性なし。
25
20
乾物率(%)
品種
N10kg/10a
N20kg/10a
N40kg/10a
15
10
5
0
貯蔵前
半年
1年
貯蔵前
きたねばり
半年
1年
音更選抜
品種・貯蔵期間
図 1 貯蔵期間が内部品質に及ぼす影響
2012 および 2013 年産の平均値。各処理 5 本を調査。
貯蔵条件: 3℃、90%RH(十勝農試保冷庫)
表 3 「きたねばり」における縦断面の変色によるとろろ褐変の判定および調製歩留まりへの影響 z
重量歩留(%)
一本重
全長
褐変程度w
無変色長y 対全長割合x
(g)
(cm)
地上側
先端側
慣行v
(cm)
(%)
無変色u
最大
1,643
73
28
46
4.0
1.0
99
87
最小
404
28
8
20
1.0
0.0
85
54
平均
967
50
17
33
3.6
0.1
95
74
SD
250
6.7
3.2
4.3
0.8
0.3
1.8
7.0
CV(%)
26
13.3
19.0
z 産地は栽培条件の異なる153本を調査した結果を示した。いもを縦断し、30分後に断面の観察により黒褐色ないし茶褐色の変色が
見られた部位(変色部位)と見られなかった部位(無変色部位)に区分した。両者の境界を「変色位置」とした。
y いも先端(尻)から変色位置までの長さ。
x 無変色長の全長に対する割合。
w 変色位置の直上(地上側)および直下(先端側)の各3cmを実際にすり下ろし、すり下ろし後2~3時間のとろろの褐変程度を観察によ
り評価した。0(無)~4(甚)の5段階。「1」以下であれば実用上問題ない程度。
v 既存のながいもにおける出荷調製を行った場合の重量歩留まり。
u 無変色長までを製品として出荷調製した場合の重量歩留まり。
値
【用語解説】
やまのいも:ながいもの他、いちょういも、つくねいもなどを含む作物名。「ながいも」は流通上、やまのいも類のうちいもの形
状が細長いものを指すことから、短根である「きたねばり」を指す場合には「やまのいも」の名称を用いている。
切いも:種苗用のいも(種いも)を切断し、実際に植え付ける大きさに分割したものを指す。
肩部・胴部・尻部:いもの部位を示す。一般的なながいもにおける調製(直径 2.5cm 未満の部位を切除)を行った場合の、地上に
近い側を肩部、中間部分を胴部、先端部分を尻部と称している。
冬のハウス管理が決め手
てん菜の西部萎黄病対策
十勝農試 研究部
北農研センター
生産環境グループ
生産環境研究領域
畑作基盤研究領域
1.背景と目的
てん菜の西部萎黄病(以下、本病)は、ビート西部萎黄ウイルス(以下、BWYV)の感染によって発病
するウイルス病で、その媒介にはアブラムシ類が関与し半永続的に伝搬されることが知られている。
本病は、1960 年代に道内の多くの地域で発生が確認されていたもののその後は少なく推移していた。
しかし 2009 年頃から再び全道的に多発傾向が続いており、てん菜の主要な減収要因となっている。
本課題は、本病の病原ウイルス BWYV とその媒介虫の生態を調査するとともに、得られた知見を活
用して本病を抑制する技術を確立することを目的として実施した。
2.試験方法
1)BWYV の診断法の確立と特性調査
2)病原ウイルスを媒介するアブラムシ種の特定
3)西部萎黄病の発症と被害の特性調査
4)越冬ハウスの適正管理による西部萎黄病の抑制効果の検討
5)十勝管内における越冬ハウス適正管理による本病防除の実証試験
3.成果の概要
1)BWYV の診断法の確立と特性調査
植物葉からの BWYV 検出手法と、媒介虫からの DNA 抽出と BWYV 検出を同時に行う手法を確立した。
また、BWYV の系統解析を行った結果、道内各地で発生する本病はすべて 1 つの株に由来すると推測
された。
2)病原ウイルスを媒介するアブラムシ種の特定
本病発病前のてん菜ほ場に発生するアブラムシと越冬ハウス内に生存するアブラムシの同定結果、
および病原ウイルス媒介能力検定試験の結果から、本病をてん菜へ伝播する媒介虫はモモアカアブ
ラムシと特定された。また、近年多発傾向にあるマメクロアブラムシは BWYV を媒介する能力がなか
った。媒介虫はハウス(用途を限定しない)等の施設内部で越冬していることが確認された一方、十
勝管内で露地越冬している根拠は得られなかったことから、媒介虫の越冬場所は施設内部の植物上
と考えられた。
3)西部萎黄病の発症と被害の特性調査
感染時期と潜伏期間の関係を調査した結果、感染時期によって潜伏期間は異なった(図 1)。感染
時期と収量の関係を調査した結果、7 月 20 日頃までに感染した場合、糖量は 30%程度減収した。
4)越冬ハウスの適正管理による西部萎黄病の抑制効果の検討
本病の抑制には、越冬ハウス内部をアブラムシ類が生存できない環境にすることが最も有効であ
った。越冬ハウスの適正管理を複数年継続実施することで、本病抑制効果はより高まった(図 2)。
5)十勝管内における越冬ハウス適正管理による本病防除の実証試験
越冬ハウス内部を適正管理した 11 地域すべてにおいて、前年よりも本病が低減した(図 3)。内部
を適正管理できなかった越冬ハウスの近隣てん菜ほ場では、殺虫剤の灌注処理と茎葉散布を実施し
た場合でも本病が多発生する事例(図 4)が管内の複数地区で確認された。本成果と平成 24 年指導参
考事項から導かれる「西部萎黄病の防除方法及び注意事項」をまとめた(表 1)。
4.成果の活用面と留意点
1)本成績の成果は、てん菜の西部萎黄病の発生地域における本病抑制に活用する。
2)本成績は、十勝管内で実施した結果に基づいてとりまとめた。
100
(日)
2013年8月
80
2014年8月
平均発生程度指数:3.2
発病ほ場率:10/10
潜
伏 60
期
間 40
2015年8月
平均発生程度指数: 0.5 平均発生程度指数: 0.1
発病ほ場率:6/27
発病ほ場率:6/10
越冬ハウス
未発病
未発病
20
ほ場別
発病状況
0
無
少
接種月
図 1 感染時期と潜伏期間
※棒線は初発日までの日数、折線は 50%
の株が発病するまでの日数を示す。
多
500m
図 2 越冬ハウス適正管理と近隣てん菜ほ場の西部萎黄病発生状況
※ は媒介虫発生を確認後、冬季に適正管理した越冬ハウスを示す。
※○は、
色が濃いほど本病の発生が多かったほ場を示す(図 2,4 共通)。
3
2015
年
の
2
本
病
発
生 1
程
地
度
域
指 0
別
数
0
1
2
3
平
の
2014年の本病発生程度指数の
均
地域別平均
図 3 越冬ハウスの適正管理前後年における
西部萎黄病発生状況(調査対象:11 地域)
※2015 年 2 月に各地域の越冬ハウスの適正
管理が指導された(図 3,4 共通)。
ほ場別発病状況
無 少
2014年8月
楕円内の中心部
の越冬ハウスは
適正管理未実施
多
500m
2015年8月
図 4 Z町Y地域の本病発生程度指数調査結果
※両年とも全戸に殺虫剤の灌注処理と茎葉散布が指導されている。
※楕円内の中心付近にある越冬ハウスは冬期間の適正管理未実施。
表 1 てん菜の西部萎黄病の防除方法及び注意事項
防除方法及び注意事項
耕種的防除
西部萎黄病を抑制するために最も効果の高い対策は、
1.各地域の越冬ハウス(用途は限定しない)の被覆を冬期間に除去すること
2.被覆を除去しない場合、積雪のある厳冬期に各地域の越冬ハウス(用途は限定しない)の中を、
①雑草及び作物残渣は枯死させるか除去すること
②栽培する作物にアブラムシ類が寄生しないよう管理すること
によって、ハウス等施設内を媒介虫となるモモアカアブラムシが越冬できない環境にすることである。
薬剤防除
西部萎黄病の媒介虫に対する薬剤防除は、
1.育苗ポット灌注を基本とする。
2.茎葉散布は、①越冬ハウスの適正管理をやむを得ず実施できなかった地区、②育苗ポット灌注を
実施しなかった苗を植え付けたほ場、③西部萎黄病の多発年が継続した場合
などに実施する補助的な防除手段である。
※本成績による結果を太字(ゴシック体)で示した。平成24年指導参考事項による結果を細字で示した。
3月出荷に向けたポテトチップス用馬鈴しょのエチレン貯蔵法
十勝農試
研究部
地域技術グループ
1.背景と目的
北海道産ポテトチップス原料用馬鈴しょの貯蔵では、チップカラーが低下しないように高温条件
で貯蔵されるため、収穫翌年の春以降萌芽による加工作業性の低下といもの減耗が問題となってい
た。2013年に芽の伸長を抑制する効果を持つエチレンを使用することにより、芽長が短く、チップ
カラーも良好な原料の長期にわたる出荷が可能になることを示した。しかし、エチレンを使用する
ことにより貯蔵開始後一時的にチップカラーが低下するため、出荷可能になるのはチップカラーが
回復する4月以降であった。このため、3月の出荷においてはエチレン使用による萌芽抑制ができ
ないため、この時期における芽長がより短くチップカラーに優れた原料供給に対して加工メーカー
からの要望が高まっている。そこで、エチレン貯蔵において、3月に出荷が可能となる貯蔵条件を
確立することを目的に試験を実施した。
2.試験方法
・供試試料:「きたひめ」「スノーデン」
・処理条件:貯蔵温度
慣行8℃
処理区 2012年産 12℃、 2013年産
エチレン濃度 慣行区・処理区とも4ppm
11℃、 2014年産 10℃
・調査項目:萌芽状態(芽長)、チップカラー(アグトロン値:ポテトチップスの色を表す指
標で値が大きい方が望ましい。40以上で原料として使用可能とした。)
3.成果の概要
1)エチレン使用時の貯蔵温度を10~12℃とすることにより、貯蔵開始後のチップカラーの低下が
抑えられ、3月初旬でもアグトロン値40を上回った(図1)。
2)エチレン使用時の貯蔵温度を10~12℃とすることにより、芽長は慣行区より長くなったが、4
月まで20㎜以下に抑えられた(図2)。
3)以上のことから、エチレン使用時の貯蔵温度を10~12℃とすることにより、芽長が短くチップ
カラーの良好なポテトチップス用原料を3月に出荷することが可能である(表1)
4.成果の活用面と留意点
1)3月出荷向けの加工用(ポテトチップス)馬鈴しょにおいて。芽長を抑制する目的でエチレン
貯蔵を行う場合に活用する。
スノーデン
50
50
45
45
アグトロン値
アグトロン値
きたひめ
40
35
10℃
30
40
35
10℃
30
8℃
25
8℃
25
12/1
1/1
2/1
3/1
4/1
5/1
12/1
月/日
1/1
2/1
3/1
4/1
5/1
月/日
図1 貯蔵温度の違いがチップカラーに及ぼす影響(2014 年産)
(図中の縦棒は標準誤差を示す。矢印は出荷期間を示す)
きたひめ
スノーデン
30
30
10℃
8℃
20
芽長(㎜)
芽長(㎜)
8℃
10
0
10℃
20
10
0
1/30
3/4
3/30
1/30
月/日
3/4
図2 貯蔵温度の違いによる芽長の推移(2014 年産)
(図中の縦棒は標準誤差を示す。
)
表1.加工用馬鈴しょの3月出荷に向けた貯蔵法
今回提案
従来
きたひめ・スノーデン等長期貯蔵に向く品種
品種
エチレン貯蔵
有
無
有※
貯蔵条件
エチレン濃度4ppm
貯蔵温度
1 0 ~1 2 ℃
貯蔵温度
6~7℃
エチレン濃度4ppm
貯蔵温度
8℃
3月のチップカラー
○
○
×
3月の芽長
○
△
○
貯蔵温度以外は2013年普及推進事項「エチレンを用いた加工用馬鈴しょの萌芽抑制による高品質貯蔵技術」
の方法に準ずる。
○:使用可能 △:問題はあるが使用可能 ×:使用不可 を示す。
※ 4月以降はチップカラーが回復し出荷可能となる。
3/30
月/日
直播たまねぎの収量安定化のために
十勝農試 研究部 地域技術グループ、生産環境グループ
北見農試 研究部 地域技術グループ
1.背景と目的
国産野菜に対する要望の高まりや畑作地帯における野菜作付け意欲向上の中、いくつかの産地にお
いてたまねぎ直播栽培が試行されている。しかし、移植栽培より生育期間が短い直播栽培では気象不
良時等に球肥大不足が起きやすいことや、移植栽培よりも生育ステージが遅れるためハエ類(タネバ
エ、タマネギバエ)による被害を受けやすいこと等が、直播栽培の定着を妨げる要因となっている。
2.試験方法
1) 直播栽培収量安定化のための株立ち数の策定
直播栽培における最適な栽植密度と現場で対応可能な畦幅と株間を明らかにする。併せて、現地に
おける栽培実態に関する情報を収集し、直播栽培技術の改善に必要な課題を明確にする。
試験項目:品種、播種粒数、べたがけ、現地実態調査
2) ハエ類被害軽減方策の検討
ハエ類の被害実態(被害株率、時期、品種間差等)を把握し、被害軽減方策について検討する。
試験項目:品種、栽植様式、薬剤処理方法
3.成果の概要
1) 春季高温干ばつ傾向であった 2014 および 2015 年の現地実態調査の結果、直播栽培は苗を定植
する移植栽培に比べ、春季の干ばつの影響が小さいと考えられた。
2) 播種機による点播では、播種速度が速いほど出芽率が低下し株間のばらつきが大きくなった。
3) 不織布べたがけによる地温上昇効果は平均地温で 2~4℃程度で、出芽は 2~4 日早まり、初期
生育は促進された(図 1)。べたがけにより倒伏期が 1 週間以上早まる場合もあったが、収量へ
の影響は判然としなかった。また、高温と干ばつが特に著しい条件では、べたがけ被覆下で高温
障害による枯死個体がみられたが、収量の低下はみられなかった。
4) 供試品種中では「オホーツク 222」がもっとも収量性が安定しており、「北もみじ 2000」がこ
れに次いだ。「ウルフ」および「パワーウルフ」は「オホーツク 222」に比べ規格外球数および
貯蔵前腐敗球がやや多く、球肥大が不十分となる事例もあったものの、熟期および収量性は使用
可能な水準であり、圃場条件によっては選択肢になりうる。
5) 一般的な播種作業幅 1.2m で播種条数を従来の 4 条から 5 条とすることにより畝幅を縮小し、
大幅な播種粒数の増加を可能とした。
6) 株立ち数が多いほど収穫球数が多く、球肥大は劣った。株立ち数 3,900 株/a で最も多収となっ
たが、平均一球重は 180g を下回った(図 2)。収量性と球肥大性のバランスを考慮した目標株立
ち数 3,400~3,900 株/a を得るために必要な播種粒数は、3,800~4,200 粒/a であった。
7) 直播たまねぎに対する主な加害種はタマネギバエであった。ダイアジノン粒剤の播種前土壌混
和処理は被害軽減に一定の効果が認められ、不安定ながら現状では唯一の対策である(図 3)。A
剤(未登録)の種子処理(裸種子に処理するコーティング資材への混和)は出芽率向上と出芽後
のタマネギバエ被害抑制の両面に効果が認められた(図 3)。
8) 以上を 2012 年指導参考事項の「たまねぎ直播栽培体系」に反映し、表 1 のとおり改訂する。
4.成果の活用面と留意点
1) たまねぎ直播栽培導入時の参考とする。
2) A 剤の種子処理は 2016 年 1 月現在未登録である。
100
900
60
40
ウルフ 有
ウルフ 無
オホーツク222 有
オホーツク222 無
20
0
5/2
5/4
5/6
5/8
5/10
300
平均一球重(g)
総収量-小球収量(kg/a)
出芽率(%)
80
600
300
2015/4/22播種。凡例の「有」「無」は不織布べたがけの有無。
図中の縦棒は標準誤差を示す。
0
2,000
4,000
6,000
y = -0.0436x + 349.19
r = -0.785***
0
0
株立ち数(株/a)
2,000
4,000
6,000
株立ち数(株/a)
図2 株立ち数と収量および球肥大との関係
「総収量-小球収量」は加工・業務用途を想定し、総収量から原料に適さない小球分を除外した値。
左図:2012~15年に実施したすべての試験例をプロット。「ウルフ」(十勝農試、音更町A)、「オホーツ
ク222」(十勝農試、北見農試、音更町B、斜里)、「北もみじ2000」(北見農試)および「パワーウル
フ」(斜里町)を含む。
右図:上記のうち、球肥大が不良で極端な低収であった2013年北見農試および2015年十勝農試なら
びに欠株が極端に多かった2015年音更町Bの「ウルフ」のデータを除外した。
15
累積被害株率(%)
100
R² = 0.3022
y = 351.9+0.07395x-0.000056(x-3235)2
0
図1 不織布べたがけによる出芽促進効果
200
10
A剤高濃度処理(79%)
5
A剤低濃度処理(66%)
ダイアジノン(49%)
無処理(50%)
0
図3 ハエ類による累積被害株率の推移(2015年、芽室)
供試品種「ウルフ」。ダイアジノンは5%粒剤、5kg/10a処理。
凡例の各処理右側の括弧内は、被害株初発直前調査日における出芽率。
表 1 たまねぎ直播栽培体系(2016 年改訂)
項目
1.品種
内容
既存品種の中では「オホーツク222」および「北もみじ2000」が安定している。他に「ウルフ」 * 「パワーウル
フ」が使用可能である。同一品種では移植栽培に比べ生育が2~3週間遅れる。
*:倒伏前から根傷みを伴う著しい葉先枯れ症状が生じ、球肥大不足となる事例があった。
2.播種期
播種は、4月中旬以降になり圃場が適正な土壌水分になった時点でできるだけ早く行い、遅くとも4月中
には終わらせることが望ましい。収量性・品質を考慮して播種限界は5月10日とする。
3.窒素施肥量
直播栽培における窒素施肥量は当面移植栽培に準じ、土壌診断に基づく施肥対応を行う。
4.播種粒数
(栽植密度)
播種粒数を移植栽培より多い3,800~4,200粒/aとする。そのためには播種作業幅1.2mに対し5条植えと
し、畝幅24cm(播種作業幅1.2m)×株間10~11cmとする。なお、4条植え(畝幅30cm)で実施する場合
にあっては、播種粒数3,800粒/aには満たないが、球肥大確保のため株間9.5cmとする。
5.播種法
播種機によるコート種子の1粒まきとする。安定な出芽には、良好な砕土、適正な播種深度(平滑鎮圧輪
使用時2cm、鼓型鎮圧輪使用時3cm)および鎮圧が重要となる。
6.べたがけ被覆
不織布によるべたがけ被覆は、降雨時のソイルクラスト軽減、土壌水分保持、地温上昇などによる、出芽
および初期生育の促進や生育の前進が期待できるため、気象や圃場の条件により実施を検討する。ただ
し、必ずしも増収効果に結びつくものではない。また、著しい高温・干ばつ条件下では高温障害による枯
死株が発生することがあるが、減収のリスクは小さい。
7.根切り時期
品種の早晩に応じて移植栽培における基準を遵守することで、必ずしも直播栽培で変形球が多くなること
はない。
8.圃場の選定
直播栽培に取り組む際には、排水対策等の栽培圃場の整備が前提になる。砂質土壌および粘質土壌に
てソイルクラストの発生が懸念される場合は、鼓型鎮圧輪を使用する。
9.ハエ対策
対策として、当面、ダイアジノン5.0%粒剤の播種前全面土壌混和処理を行う。
青申決算書を使った所得解析で課題発見!
十勝農試 研究部 生産システムグループ
1.背景と目的
青色申告決算書を活用した地域の農業所得の解析手法が確立され、十勝地域を中心に普及し
ている。そのような中、十勝地域の農民団体や農協からは、複数地区のデータを合算し、地域
に共通な課題の特定に役立つ指標値の作成が要請されてきた。このため、異なる仕訳体系の青
色申告決算書を用いた大規模データによる農業所得の解析手法を確立する。
2.試験方法
1)畑作経営に関する収益構造の解明
畑作経営を対象に基準年に対する所得変化の程度とその要因を明らかにする。分析の対象
は、十勝 7 地区 71 戸の畑作専業経営である。用いる資料は、青色申告決算書(損益計算書と
収入金額の内訳)であり、専従者給与を控除する前の差引金額を所得として検討する。検討
項目は、基準年(前年)を 100 とする各年の指数及び各構成要素の寄与度であり、十勝地域
71 戸の平均とA地区(7地区中の一つ)の解析結果を例示する。なお、営農類型は、農産収
入に占める畑作4品の割合を根拠に区分する。
2)酪農経営に関する収益構造の解明
酪農経営を対象に基準年に対する所得変化の程度とその要因を明らかにする。分析の対象
は、十勝8地区 96 戸の酪農専業経営である。用いる資料は、青色申告決算書(損益計算書と
収入金額の内訳)、補足調査票(飼養頭数、出荷乳量)であり、専従者給与を控除する前の
差引金額を所得として検討する。検討項目は、基準年(前年)を 100 とする各年の指数及び
各構成要素の寄与度であり、十勝地域 96 戸の平均とB地区(8地区中の一つ)の解析結果を
例示する。なお、営農類型は、農畜産収入に占める酪農に係る収入の割合を根拠に区分する。
3.成果の概要
1)十勝地域 7 地区の畑作専業経営 71 戸の平均所得は、基準年対比で 9.1%増加したのに対
し、A地区では所得が-0.5%減少した(図1)。これは、A地区において経費の増加分が収入
の増加分を上回ったためである(図2)。A地区において収入の増加を抑制させた要因は、
麦類、豆類、ばれいしょの収入減少である。経費は、71 戸の平均と同様に、種苗費、肥料費、
農薬衛生費を中心に増加している。
2)十勝地域 8 地区の酪農専業経営 96 戸の平均所得は、基準年対比で 15.5%増加しており、
B地区でも所得が 44.7%増加した(データ略)。 これは、96 戸の平均では収入が増加し、経費
が減少していたのに対し、B地区では収入の増加分が経費の増加分を上回ったためである。とり
わけ、収入が前年よりも大幅に増加したことが影響している。B地区において収入が増加した要
因は、生乳販売額(飼養頭数の増加、乳価の上昇)である。ただし、個体乳量は減少している。
3)青色申告決算書の大規模データから得られた所得の平均値とその寄与度は、符号関係や
値の大小を比較することで、地域に共通な課題の洗い出しや地区に固有な課題の発見を可能
にする。
4)異なる仕訳体系の青色申告決算書を用いた農業所得の解析には、決算書データの異なる
項目を網羅した全体のデータベースを作成することが必要である。データベースの作成手順
は、地区ごとのデータベースの作成(図3)、格納されたデータの検証、地区間の項目の統
一である。全体のデータベースが作成された後、大規模データの解析が可能になる。
5)平成 26 年普及推進事項「青色申告決算書を活用した地域の農業所得の解析手法」に加え
て、大規模データを対象にした所得解析を実践する上で注意すべき点を整理した(表1)。
解析の対象は、農家集団とするが、これまでの仕訳体系が同様な一地区を対象にした解析に
加えて、新たに仕訳体系が異なる複数の地区を対象にした解析が可能になった。用いる資料
は、青色申告決算書(損益計算書と収入金額の内訳)であり、異なる仕訳体系の決算書を用
いる場合は、費目の統一を図るとともに、収入金額の内訳に記載された項目を網羅させる。
データの扱いは、農家集団を対象にした平均値を基にした解析であり、対象を多数のサンプ
ルとすることで、極端な値をとる経営の影響を緩和することができる。なお、抽出するサン
プルは、継続的なものとすることが望ましい。
4.成果の活用面と留意点
1)農業関係機関が地域の農業所得に関する実態把握と実績評価を行う際に活用する。
2)大規模データを対象にしたデータベースの作成手順のマニュアルを 十勝農業試験場の ホ
ームページで公開する。
3)寄与度の算出は平成 26 年普及推進事項「青色申告決算書を活用した地域の農業所得の解
析手法」に準じる。
プラスは所得増に影響
マイナスは所得減に影響
150
経費
-6.4
-8.3
基準年度
9.1%増
基
準
年 100
2
0
1
3
年 50
度
所得の推移
(
71 戸平均では前年度より所得増
A地区では所得減
)
1
0
0
と
し
た
所
得
期中投入
-4.7
-8.1
基準年度
-0.5%減
A地区(十勝中央部)
を
十勝71戸平均
0
2009年度
図1
2010年度
2011年度
2012年度
2013年度
2014年度
所得の変化
-0.5
9.1
種苗費
-2.8
-1.6
肥料費
-1.6
-3.2
農薬衛生費
-2.2
-2.0
その他
1.9
-1.3
畑作専業経営における所得推移
収入
5.9
17.4
棚卸分
-1.7
-0.2
雑収入
-1.7
1.3
※寄 与度 は 以下 の式 が 成立
-0.5 = -6.4 + 5.9
※ 寄 与 度を 用 い る こ と で 、収 入
( 収 量 、価 格 、面 積 )、経 費( 費
目)の詳細について検討可能
( 上 段 :A 地 区 、下 段 :十 勝 71 戸 平 均 )
図2
農産収入
7.6
16.1
麦類
-1.5
-2.0
豆類
-4.8
5.0
ばれいしょ
-3.7
2.3
てんさい
9.9
3.5
その他
7.7
7.3
畑作専業経営における所得変化の要因
データの登録
平成 26 年普及推進事項「青色申告決算書を活用した
地域の農業所得の解析手法」に準じた解析も可
※自由記載欄㉖~㉙の費目は、類似した費目を統一し、
固有の費目を独立させることで、全体のデータベースに反映
図3
大規模データを対象にしたデータベースの入力例
注)図中の数値は偽製値である。
表1
大規模データを対象にした所得解析を実践する上での留意点
項目
原則
留意点
・公表時は、秘密保護の観点から3戸以上
農家集団
・地区ごとの解析に加えて、複数の地区を対象にした解析
・ただし、個々の経営を対象にした解析も可能
解析の対象
・農産収入に占める畑作4品の収入が8割以上を畑作専業経営
営農類型の設定
・個体販売を含む酪農の収入が8割以上を酪農専業経営
・専業経営以外の区分は、地域間の実情に応じて設定
用いる資料
青色申告決算書
損益計算書(1頁)
収入金額の内訳(2頁)
・異なる仕訳体系の決算書を用いる場合は費目の統一を図る
・収入金額の内訳の項目を網羅させる
・データ抽出の際、代表性に配慮(地区の悉皆、規模分布等を踏まえた標本抽出)
・多数のサンプルを対象とすることにより、極端な値をとる経営の影響を緩和
データの扱い
平均値を基にした解析
・継続的なサンプルとすることが望ましい
・地域間での合意を前提に、指数に加えて平均額及び標準偏差の併記も可
・所得推移と作況を照合し、解析対象に固有な減収の有無を把握
基準年の設定
任意に設定可
・前年度、2008年度及び2012年度(政策支援の会計処理を開始した)が候補
注)下線は、本成績において平成 26 年普及推進事項「青色申告決算書を活用した地域の農業所得の解析手法」に
新たに加筆・修正した点である。
平成27年産「秋まき小麦」の多収要因について
十勝農業改良普及センター
1.背景と目的
平成23年に「ホクシン」から転換した「きたほなみ」は、期待した収量が得られない年が続いてい
たが、平成27年産においては過去最高の大豊作となり、品種本来の能力が発揮された。この多収に至
った気象と生育経過の特徴および生産者の栽培方法の変遷を解析し、今後の栽培方法に資する。
2.調査内容
1)小麦の生育および気象経過、病害虫の発生状況、収量構成要素、生産実績など
2)栽培技術(播種量、播種時期、播種精度、起生期以降の施肥方法)および根張りの状況など
3.気象と生育経過の特徴
1)秋まき小麦の生育及び作業については全般に平年より早まった(表1)。
2)平成27年は土壌凍結が浅く、株の凍上による欠株の発生等の被害は例年より軽微であった。
3)起生期追肥直後に適度な降雨があり、その後、5月まで高温多照となったことから、起生期~
幼穂形成期の窒素吸収及び幼穂形成期前後の生育量が確保された(図1)。
4)出穂から開花期が好天で受精条件が良好であった。登熟期間(出穂期~成熟期)の日照時間及び
日射量は近年では最も多く、また気温が低かったことから、登熟日数は平年45日に対し48日と3日
長くなった(表1・図1)。
5)赤さび病、うどんこ病、赤かび病などの発生は極めて少なかった。
6)小麦の根が発達し、土壌窒素が十分吸収されたとともに、6月中旬~7月中旬の少雨の影響が
最小限に抑えられた(生産者の日常の土づくりの努力が、最高に実を結んだ)。
4.栽培技術(取り組み)に関する成果
1)平成27年産のは種は、平成26年産の穂数不足を踏まえ、適期は種が励行され、例年以上に短期間
には種作業が行われ、近年では適期は種率が最も高かった 。
2)は種量についての認識が浸透し、は種量の適正化が進んできた(図3)。
3)は種機に応じたは種床づくり、適正なは種深度等についての意識の高まりと技術の浸透が見ら
れ、出芽率・出芽揃ともに良好であった。
4)起生期の追肥や凍上害軽減のための鎮圧作業などが融雪後、早期に実施された。
5)茎数コントロールのための起生期~幼穂形成期の追肥、粒重及び蛋白の向上を図るための後期
窒素追肥などの施用割合が高まった(図4)。
6)本年の多収の要因は、良好な気象条件に加えて、生産者の品種特性に対する理解がすすみ、特性
に応じた栽培技術が普及してきたことが大きい。
5.今後の対応
1)昨年多発傾向であった縞萎縮病について、発生拡大防止と被害軽減対策について整理する。
2)根張りを良くする要因について、調査事例を蓄積する。
3)平成27年産は、1穂粒数の増加等により総粒数が増加し、近年にない良好な登熟条件下で得られ
た多収であった(図2)。気象条件によっては歩留まりが低下した可能性もあり、引き続き品種特
性に応じた栽培法(は種期・は種量・施肥法等)について、関係機関、試験研究機関と連携しなが
ら推進していく。
表1 平成27年産 秋まき小麦の生育状況・農作業状況
H27年
平年差
出芽期 起生期 幼形期 出穂期 成熟期
10月1日 4月4日 5月1日 6月2日 7月20日
早1
早3
早5
早8
早5
は種始 は種期 は種終 収穫始 収穫期 収穫終
9月19日 9月23日 9月30日 7月23日 7月28日 8月1日
早1
早2
早2
早4
早3
早3
登熟期間
登熟期間
図 1 平成27年度の気象経過(帯広アメダス)
300
H26
H25
H27
H24
は種粒数(粒/㎡)
241
250
200
210
207
168
164
157
適正目安
150
100
H 22 H 23 H 24 H 25 H 26 H 27
図 2 ㎡当たり粒数と歩留まりの関係(十勝本所)
図3 は種粒数の推移(B市)
平 成 28 年
試験研究成果の全課題名リスト
[ 普 及 奨 励 9 ・普 及 推 進 8 ・指 導 参 考 3 1 ・研 究 参 考 3 ]
◎普及奨励事項
1
(9課題:すべて優良品種)
対象作物等
「 新 品 種 候 補 名 」 担 当 場 お よ び グ ル ー プ (G)名 等
水 稲 新 品 種 候 補 「 空 育 181 号 」
中央農試 水田農業 G
道南農試 地域技術 G
2
あ ず き 新 品 種 候 補 「 十 育 164 号 」
3
4
5
6
十勝農試 豆類 G
北見農試 地域技術 G
上川農試 地域技術 G
ば れ い し ょ 新 品 種 候 補 「 HP07 」
北 見 農 試 作 物 育 種 G・ 生 産 環 境 G
中央農試 予察診断 G
十勝農試 地域技術 G
上川農試 地域技術 G
北農研 畑作研究領域
北海道種馬鈴しょ協議会
て ん さ い 新 品 種 候 補「 KWS 2K314 」 北 見 農 試 地 域 技 術 G
十勝農試 地域技術 G
中央農試 作物 G
上川農試 地域技術 G
北農研 畑作研究領域
北海道てん菜協会
い ち ご 新 品 種 候 補 「 空 知 35 号 」
花 ・野 菜 セ 花 き 野 菜 G・ 生 産 環 境 G
8
とうもろこし新品種候補
「 北 交 88 号 」
とうもろこし(サイレージ用)
「 P8025 ( X80A397 )」
シ ロ ク ロ ー バ 「 AberPearl 」
9
シ ロ ク ロ ー バ 「 GC158 」
7
北農研 酪農研究領域
北見農試 作物育種 G
北農研 酪農研究領域
北農研 酪農研究領域
根釧農試 飼料環境 G
畜試 飼料環境 G
北農研 酪農研究領域
根釧農試 飼料環境 G
畜試 飼料環境 G
畜試 飼料環境 G
天北支場 地域技術 G
北見農試 作物育種 G
天北支場 地域技術 G
北見農試 作物育種 G
◎普及推進事項
Ⅰ.優良品種候補
1 たまねぎ新品種候補
「 北 見 交 65 号 」
Ⅱ.推進技術
-畜産部会-
1 黒毛和種および交雑種去勢牛の
育成・肥育一貫飼養における牧
草・とうもろこしサイレージ給
与技術
2 牧 草 サ イ レ ー ジ の TDN 推 定 に お
ける過小評価要因の解明と推定
式の改良
3 牧草サイレージの揮発性塩基態
窒素含量推定方法
4 地下茎型イネ科草種に対応した
チモシー採草地の植生改善技術
と地域における植生改善推進方
法
-農業環境部会-
1 移植たまねぎ安定生産のための
窒素分施技術
-病虫部会-
1 てんさいの西部萎黄病の発生生
態と媒介虫の越冬抑制による病
害低減技術
-生産システム部会-
1 仕訳が異なる青色申告決算書に
対応した農業所得の解析手法
北見農試 地域技術 G
(株)日本農林社
畜 試 肉 牛 G・ 技 術 支 援 G
根釧農試 乳牛 G
畜試 飼料環境 G
畜試 飼料環境 G ・技術支援 G
畜試 飼料環境 G
根釧農試 地域技術 G
根釧農試 飼料環境 G
天北支場 地域技術 G
北見農試 生産環境 G
中央農試 栽培環境 G
十勝農試 生産環境 G
北農研 生産環境研究領域
十勝農試 生産システム G
◎指導参考事項
Ⅰ.作物開発部会
1 りんごの品種特性
2
りんご雪害回避のための整枝法
Ⅱ.花・野菜部会
1 たまねぎ直播栽培における収量
安定化方策
2 や ま の い も 新 品 種「 き た ね ば り 」
の特性と活用方策
中央農試 作物 G
中央農試 作物 G
十勝農試
北見農試
十勝農試
東京農大
地 域 技 術 G・ 生 産 環 境 G
地域技術 G
地域技術 G
生物産業学部
3
赤肉メロン「北かれん」の高品
質栽培技術
花 ・野 菜 セ 花 き 野 菜 G
4
メロンのハウス抑制作型におけ
るペーパーポット苗直接定植技術
原環センター 農業研究科
5
切り花ダリアの新しい切り前と
品質保持技術
花 ・野 菜 セ 花 き 野 菜 G
Ⅲ.畜産部会
1 初産次高泌乳牛における一乳期
一 群 飼 養 の TDN 給 与 水 準
2
北農研 酪農研究領域
豚および鶏に対するとうもろこ
し子実主体サイレージの飼料特
性
3 北海地鶏Ⅱ種鶏の自然交配法に
よる安定的な素雛生産
4 高繁殖能力初産母豚における授
乳期飼料の栄養水準
5 酪農場における牛白血病ウイル
ス伝播のリスク要因と防止対策
畜試 中小家畜 G
6
畜試 家畜衛生 G
SPF 豚 農 場 に お け る 豚 サ ー コ ウ イ
ルス 2 型ワクチン接種方法とそ
の効果
7 採卵成績予測による黒毛和種受
精卵ドナー牛選定技術
8 オーチャードグラス、ペレニア
ルライグラス混播導入によるリ
ードカナリーグラス草地の改善
効果
9 飼料用とうもろこしにおける畦
上被覆マルチ栽培の特徴
Ⅳ.農業環境部会
1 草地造成・更新時におけるリン
酸 施 肥 量 の 新 し い 算 出 法( 補 遺 )
2
3
早春まき施設野菜収穫後の土壌
残存および残渣由来窒素推定に
よる施肥対応
エチレンを用いた加工用馬鈴し
ょの萌芽抑制による高品質貯蔵
技術(補遺)
(株)大学農園
畜試 中小家畜 G
畜試 中小家畜 G
畜試 家畜衛生 G
畜試 生物工学 G
天北支場 地域技術 G
根釧農試 飼料環境 G
根釧農試 飼料環境 G
道南農試 生産環境 G
十勝農試 地域技術 G
天北支場 地域技術 G
4
高窒素成分肥料の利用による水
稲側条施肥の省力化
5 火山性土壌における直播タマネ
ギの生育を促進させるリン酸の
播種条下局所施用技術
6 露地春まきねぎに対する被覆尿
素肥料「セラコートR」の施用
効果
Ⅴ.病虫部会
1 平 成 27 年 度 の 発 生 に か ん が み 注
意すべき病害虫
2
Microdochium nivale に よ る 秋 ま き 小
麦の赤かび病と葉枯症の防除対
策
3 ジャガイモシストセンチュウ発
生ほ場における密度推定のため
の省力的な土壌サンプリング法
4 ネグサレセンチュウおよびネコ
ブセンチュウの簡易診断技術
5 たまねぎの灰色腐敗病に対する
多発回避のための効率的防除対
策
6 アスパラガスのツマグロアオカ
スミカメに対する総合防除対策
7 施設栽培ほうれんそうにおける
ホウレンソウケナガコナダニの
生態を利用した被害低減対策
Ⅵ.生産システム部会
1 子実用とうもろこしの田畑輪換
圃(泥炭土)における機械収穫
・栽培の実証及び経済性評価
2 北海道の田畑輪換における水稲
乾田直播栽培の前年整地体系に
よる作業分散
中央農試 水田農業 G
北農研 大規模畑作研究領域
花 ・野 菜 セ 生 産 環 境 G
中 央 農 試 予 察 診 断 G・ ク リ ー ン 病 害 虫 G
上川農試 生産環境 G
道南農試 生産環境 G
十勝農試 生産環境 G
北見農試 生産環境 G
花 ・野 菜 セ 生 産 環 境 G
北農研
北海道 技術普及課・病害虫防除所
北見農試 生産環境 G
十勝農試 生産環境 G
北見農試 生産環境 G
北農研 大規模畑作研究領域
北見農試 生産環境 G
花 ・野 菜 セ 生 産 環 境 G
花 ・野 菜 セ 生 産 環 境 G
中央農試 クリーン病害虫 G
上川農試 生産環境 G
中 央 農 試 生 産 シ ス テ ム G・ 環 境 保 全 G
・農産品質 G
北農研 大規模畑作研究領域
◎研究参考事項
Ⅰ.畜産部会
1 チモシーの地下茎型イネ科雑草
に対する競合力の選抜方法
Ⅱ.生産システム部会
1 農業の多面的機能を評価できる
仮想評価法(CVM)
2 経済・雇用・環境の影響評価が
可能な市町村産業連関分析手法
北見農試 作物育種 G
畜試 飼料環境 G
十勝農試 生産システム G
十勝農試 生産システム G
技術に関する問い合わせ
道総研
十勝農業試験場
(TEL) 0155-62-2431
(FAX) 0155-62-0680
電子メール
[email protected]
ホームページ
http://www.hro.or.jp/list/agricultural/research/tokachi/
(各グループへの直通ダイヤル
豆類グループ
:9807
生産システムグループ:9836
生産環境グループ :9829
技術普及室
0155-62の後に)
地域技術グループ
:9805
:9804
平成 27 年度 十勝圏農業新技術セミナー
-畑作・野菜-
平成 28 年 2 月印刷・発行
編集・発行
082-0071
道総研
十勝農業試験場
北海道河西郡芽室町新生南 9 線 2 番地
電話
0155-62-2431
FAX
0155-62-0680
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