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只見ブナ林ガイドブック

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只見ブナ林ガイドブック
目 次
はじめに
1 只見のブナ林の概要
⑴ 只見町の自然環境 … …………………………………………………………………………
1
⑵ 只見のブナ林の特徴 … ………………………………………………………………………
1
⑶ ブナ林の役割(生態学的機能)………………………………………………………………
2
⑷ ブナ(林)の利用(ブナ林と人との関り)… ………………………………………………
3
⑸ ユネスコエコパーク推薦地としての只見 … ………………………………………………
5
⑹ 只見町ブナセンター(ただみ・ブナと川のミュージアム)………………………………
6
⑺ 只見町の地図 … ………………………………………………………………………………
7
2 “只見のブナ林”で学ぶことの意義
⑴ 福島県の森林環境学習 … ……………………………………………………………………
9
⑵ 福島県の自然環境学習 … …………………………………………………………………… 11
⑶ “只見ブナ林”をフィールドにした自然環境学習 ………………………………………… 14
3 学習の展開例と配慮事項
⑴ 学習を実施する前に、準備や調整しておきたいこと … ………………………………… 15
⑵ コース設定例 … ……………………………………………………………………………… 15
⑶ “只見ブナ林”自然環境学習指導計画例 …………………………………………………… 17
⑷ 事前学習の展開例 … ………………………………………………………………………… 17
⑸ 行程の詳細と留意事項 … …………………………………………………………………… 19
⑹ 事後学習の展開例 … ………………………………………………………………………… 21
4 企画立案の留意点と指導事項
⑴ ガイド(案内人)の活用 ……………………………………………………………………… 23
⑵ フィールドのルールやマナーの確認 … …………………………………………………… 24
⑶ 持ち物や装備の確認 … ……………………………………………………………………… 25
⑷ 天候に注意しましょう … …………………………………………………………………… 26
⑸ 緊急時の対応の確認 … ……………………………………………………………………… 26
⑹ 助成制度の活用 … …………………………………………………………………………… 28
5 地域の学習素材を活用するために
⑴ 只見町・尾瀬地域の学習素材 … …………………………………………………………… 29
⑵ 「“只見ブナ林”自然環境学習」と「学習素材(只見町)
」の組合せ事例 ………………… 31
─ 01 ─
─ 02 ─
は じ め に
日本ユネスコ国内委員会は、平成25年9月4日に只見町が提出していた只見ユネスコエコ
パーク(仮称)の登録申請を審議し、他の2地域(志賀高原、南アルプス)と共に国内推薦が
決定され、9月30日には文部科学省からユネスコ本部に対し正式な推薦書が提出されました
(平成25年6月頃正式決定見込み)
。
ユネスコエコパークは、
“人と自然の共生を実現する地域”を登録する国際的制度です。只見
ユネスコエコパークは豪雪が創り出す雪食地形やモザイク植生をはじめとした豊かな自然環境
とそれらを拠り所にしてきた住民の伝統的な文化・生活が存在し、まさに、人と自然の共生を
体現する地域です。こうした姿を持続可能な社会を担う多くの子供達に触れてもらうため、只
見ユネスコエコパークの自然環境を代表するブナ林をフィールドにした自然環境学習を展開す
る際の「学校関係者向け手引書」として本書を刊行しました。
只見ブナ林のすばらしさを紹介しながら、学校が知りたい内容、学校に知っておいてほしい
内容を具体的に示すとともに、各学校の実態に応じて活用できる学習展開例や配慮事項を記載
しました。
多くの学校の方々が本書を手にされ、教育活動充実のためにご活用くださることを願ってお
ります。
(※)
本書でいう「只見ブナ林」とは、只見町内の「恵みの森」、
「癒しの森」、
「あがりこの森」
、
「要害山」
など、ブナ林の散策ができる場所のことであり、地名のことではありません。
恵みの森のブナ林と沢
─ 03 ─
第 1 章
ブナ林の概要
1−⑴ 只見町の自然環境
只見町は福島県の西端に位置し、越後山
地を挟んで新潟県に接しています。尾瀬地
域を水源とする只見川、伊南川流域に広が
り、面積の90%以上が山林原野によって
占められています。浅草岳、会津朝日岳、
丸山岳などを主峰とし、1,000m前後の山
が連なり、その中を数多くの中小河川が流
下しています。山深く、地形が急峻である
ところから、人の手が容易に及ばず、広大
で原生的な自然環境が存在しています(写
真1)。
只見地域は、日本有数の多雪地帯で、最
写真1 只見川、伊南川流域に広がる広大な
原生的な自然環境
大積雪深は平地でも2mを越え、奥山では5mにも達します。多発する雪崩は、山肌を削り取
り、雪崩に浸食された独特の雪食地形を形成し、複雑で急峻な山岳地形と特徴ある地形を生み
出します。その代表的なパターンが次のようなものです。痩せ尾根には、馬のたてがみのよう
に列状に連なるキタゴヨウ、ネズコの針葉樹林が、雪崩により岩盤が露出した急峻な中間斜面
には、ミヤマナラやマルバマンサクを中心
とするわい性低木林が、斜面下部の土壌の
深い緩斜面にはブナ林が、そして河川に隣
接する谷底氾濫原には、トチノキ、サワグ
ルミなどからなる渓畔林が成立します(写
真2)
。このようなモザイク状の多様な植
生は、それを基盤背景とした様々な動植物
に生育、採餌、営巣、繁殖の環境を提供し、
それらの種を育み、地域的な生物多様性の
維持に寄与しています。中でも、比較的面
写真2 多雪環境によって形成された複雑な地形構
造の上に成立するモザイク植生
積が広く、成熟した森林を形成するブナ林
の役割は大きいものとなっています。
1−⑵ 只見のブナ林の特徴
只見地域は冷温帯に位置することから、その植生要素としてブナ林が成立します(写真3)
。
日本海側の多雪地帯にあることから、そこに発達するブナ林は、日本海側のブナ-チシマザサ
群集に属します。しかし、標高が比較的低いことなどから林床にチシマザサの優占は見られず、
ユキツバキが群生します。これは冬季の積雪に守られ、常緑であるユキツバキが寒冷な気象条
─ 1 ─
件でも生き残れる結果です。その他、ヒ
メアオキ、ヒメモチ、エゾユズリハ、ハ
イイヌツゲなど常緑低木が分布していま
す。また、冬芽が地上部にあるチマキザ
サ、チシマザサも分布しますが、これら
のササ類も、また、雪に守られ生育が可
能となっています。只見町のブナ林も、
他の日本海側のブナ林同様、ブナの優占
度が高く、林冠層(※森林において、樹
冠が互いに接し、平面的に連なっている
部分)はほぼブナによって占められてい
ますが、ホオノキが多いのも特徴です。
写真3 只見の森林植生を代表するブナ天然林
階層構造が発達しており、亜高木層にはコシアブラやカエデ類が介在しますが、ここもブナが
優占しています。また、低木層では、ユキツバキのほか、アブラチャン、オオカメノキ、オオ
バクロモジなどが見られます。林床植生は、水分環境によって異なり、湿潤な立地では、シラ
ネワラビやヤマイヌワラビなどのシダ型、適潤な立地ではササ型、乾性な立地はツツジ型とな
りオオイワウチワやアクシバなどが見られます。枯立木や腐朽木では、ヤシャビシャクやフガ
クスズムシなどの希少な着生植物も見られます。 只見地域のブナ林は、その単純な種構成にもかかわらず、階層的な多様性を持ち、さらに景
観的広がりを持つことで、森林生態系として
の多様性を維持しています。このブナ林が、
様々な野生動植物の生息場所を提供すること
により、地域的な生物多様性を維持している
と言えます。森林生態系の頂点に立つ希少種、
絶滅危惧種とされるイヌワシ、クマタカなど
の猛禽類やツキノワグマも数多く生息してい
ます
(写真4)
。このような只見地域における
アンブレラ種 ※ の存在は、それらの種を支え
る生物相、生息場所の存在を示すもので、こ
写真4 森林生態系の頂点に立つアンブレラ種で
あり絶滅危惧種でもあるクマタカ
の地域の自然生態系の健全性と豊かさの証明
でもあります。
※ 生育のために広い面積の生息地を必要とし、生態系ピラミッドの頂点に立つ消費者で、その種を保護・保
全することで結果的に傘(アンブレラ)で覆うように、生態系ピラミッドの下位の動植物を広域な面積で
保護・保全できるという概念。
1−⑶ ブナ林の役割(生態学的機能)
冷温帯を代表する成熟した天然林は、ブナ林です。その特徴となるものは、まず林分の林冠
層が老齢な大径木によって構成されることです。また、枯立木、倒木も多数存在することも特
徴の一つです。こうした林は老齢林と呼ばれ、生態系としての健全性と安定性、生物多様性を
─ 2 ─
持ち合わせていると言われます。
森林生態系は、鉱物、水、空気などの無機的
要素と多様な動植物など生物が物質循環や食物
網を通じて有機的に結びついているもので、様
々な生態学的機能(サービス)を生み出します。
まず、挙げられるのは、樹木による光合成によ
る有機物と酸素の生成、そして、バイオマス生
産物(生物の死骸)の固定・蓄積、それに連な
る物質循環や土壌形成であり、基礎サービスと
呼ばれます。次に、この生態系の基礎生産を背
景に、木材、食料、様々な有用物質などを生産、
提供する供給サービスがあります。また、水土
保全、洪水調整、気候緩和、あるいは訪花昆虫
による花粉媒介など生態系の調整的なサービス
も提供します。一方、宗教的な信仰や祭事の場
ともなり、地域の伝統文化を育むなど文化サー
ビスも提供します(図1)。こうした生態系サー
ビスにより地域の社会経済的な発展が図られて
図1 森林の生態系サービスを示す模式図
おり、人々は、深くブナ林に依存して生活してきたことがうかがえます。こうしたブナ林に育
まれた生活文化は、暖温帯地域の照葉樹林に依存する稲作中心の文化と対比して、ブナ帯文化
と呼ばれます。
1−⑷ ブナ(林)の利用(ブナ林と人との関り)
ブナは、只見地域において、最も豊富な資源量を誇っていました。ブナは、材が硬い、腐り
易い、曲がりやすいなどの材質的な特性から用材などとしては利用されず、木とも言えないな
どとして橅とも書かれます。しかし、燃料としては重要な資源であり、人家近くのブナ林から
利用が始まり、やがて資源的枯渇から河川沿いに奥山での伐採利用が進んで行きました。ブナ
天然林の伐採後は、基本的にブナの二次林
が形成されます
(写真5)
。こうしたブナ二
次林は、薪炭林として短い伐期で繰り返し
伐採利用されますが、その結果、ブナの優
占度は低下し、次第にミズナラの二次林へ
と推移します。ミズナラも薪炭材としてよ
り利用価値があるため、この二次林もブナ
同様、短い伐期で伐採利用されます。そし
て、ミズナラ林も、より萌芽性の高いコナ
ラ二次林へと変化していきます。このよう
写真5 ブナ天然林の伐採後に成立したブナ二次林
(梁取学びの森) ─ 3 ─
な森林の利用履歴が、集落周辺からブナを
追いやり、ミズナラ・コナラ林が支配的に
なる背景です。ちなみに、放牧などが盛んに行われ
た布沢、梁取地区では、草地維持のため行われた火
入れの結果、シラカンバなどの優占する二次林へと
変化しています。
只見地域では、自家用炭として、盛んにブナの製
炭が行われきました。その製炭法が“かじご焼き”
と呼ばれるものです(写真6)。かじご焼きは、かじ
焼きとも呼ばれ、伏せ焼きの一種で、製炭法として
は原始的な炭焼き法です。1m四方、深さ1~1.5m
ほどの穴を掘り、その中にブナをはじめ広葉樹の細
い幹枝を入れ、火をつけます。十分に火が回ったら、
ユキツバキの枝、葉を乗せ、焼いて細かな灰をつく
り、その上に濡れたむしろを掛け、土を乗せて蒸し
焼きにします。このような“かじご焼き”の材料と
して、直径が5~10cmの小径木が使われます。こ
写真6 かじご焼きの再現光景
の生産のために、特殊な施業が生み出されました。 (蒲生区真奈川) 地際で5年~7年程度の短かな周期で伐採を繰り返
し、そこから発生する萌芽幹を利用するものです。この利用の結果、多数の地上茎を持つ巨大
化したブナの株を見ることが出来ます。一方、こうしたがじご焼きの材料と薪材生産を同時に
行う利用法も只見には存在します。かじご焼きの材
を生産するため萌芽更新は、株の維持のため“立て
木”と呼ばれる幹を1本残して伐採します。この立
て木が大きくなると、地上2~3mの位置で晩冬か
ら早春にかけ幹を雪上伐採し、薪材として運び出し
ます。この春木伐り(台伐り)とその後に発生する
複数の萌芽幹を繰り返し利用する中で、
いわゆる
“あ
がりこ”が形成されます
(写真7)
。只見では、地際
でかじご焼きの材を、春木伐りで薪材を生産する利
用法が行われており、只見独特のブナの“あがりこ
型”樹形を見ることが出来ます。
只見地域の住民は、歴史的に見て、ブナ林に強く
依存して生きてきました。それは、燃料であったり、
山菜・キノコ類の採取であったり、農耕具や日曜生
写真7 台伐り萌芽により形成された
ブナのあがりこ
活に使う道具類も、そこから得られた材料をもとに
作られています。さらにブナ林は、狩猟の場であり、
ブナ林内を流れる渓流は、イワナ釣りが行われてき
ました。こうしたブナ林とのかかわりは、この地域に独特の文化を生み出し、その祭事の場と
しても重要な役割を果たしてきました。一方、過度の利用は、生態系を破壊し、資源の減少に
つながることも深く理解しており、持続可能な利用が図られてきたことも事実です。
─ 4 ─
1−⑸ ユネスコエコパーク推薦地としての只見
ユネスコ(国連教育科学文化機関)は、近年の人間
活動が自然環境を大きく損ない、環境汚染や気候変動
を引き起こし、野生生物ばかりか人類の生存までも脅
かしているとの認識から、1970年に人間と自然環
境・野生生物との共生を図るための国際的な調査協力
事業である「MAB計画(人間と生物圏計画)
」を立ち
上げました。その後、この事業を具体的に実践するモ
デル地域として Biosphere Reserve(BR:生物圏
保存地域)の制度を設けました。日本ユネスコ国内委
員会では、ユネスコエコパークと呼んでいます。
ユネスコエコパークの主要な目的は、⑴BR内の生
物多様性の保護・保全、⑵BR内の自然環境や天然資
源の持続可能な利活用を図る中での地域の社会経済的
発展、⑶ ⑴および⑵を達成するための調査・研究、お
写真8 第六次只見町振興計画書
よび教育、訓練を通じた人材育成です。また、ユネス
コエコパークの域内は、これら事業を同時に調和の取れた形で実現するため、土地利用区分が
導入されています。すなわち、守るべき貴重な自然環境がまとまって残り、野生動植物の重要
な生息、生育場所となっている地区は、核心地域として、厳正に保護・保全し、この核心地域
を人為的な影響から保護する緩衝地域、そして住民の生活や産業活動の場となる移行地域に区
分し、その区分に従った土地利用を図ることで、ユネスコエコパークの目的を実現しようとす
るものです。登録に伴う新たな法制度は設けることなく、既存の法律、規則などで、自然環境
および野生生物の保護・保全が図られます。只見町は、2004年に町振興計画の中で「ブナと
生きる、雪と暮らす町-奥会津只見の挑戦、真の地域価値観の創造」を謳い上げました(写真
8)。また、日本の自然
の中心地として「自然首
都・只見」を宣言し、振
興計画と「自然首都・只
見」宣言を具体化する枠
組みとして「ユネスコエ
コパーク」を戦略的に採
用し、この登録を目指し
てきました。
只見ユネスコエコパー
クは、只見町全域および
檜枝岐村の一部を含む総
面積78,032haで、核心
地域(3,557ha)
、緩衝
図2 只見ユネスコエコパーク推薦地とそのゾーニングを示す図
─ 5 ─
地域A(8,380ha)
、緩
衝地域B(42,953ha)
、移行地域(23,142ha)により構成されます(図2)
。
只見町は、ブナ林をはじめとした豊かな、そして貴重な自然環境、生物多様性を保護・保全
し、次世代へと引き継ぐと共に、そこに育まれた資源を持続可能な形で利活用を図り、地域の
社会経済的発展に結びつけることを目指しています。
只見ユネスコエコパークの登録をブナと雪に代表される只見町特有の厳しい自然環境と資源、
それをより所とする固有の伝統的生活・文化が高く評価されたととらえ、それらを誇りとし、
継承・発展させると共に、進行する過疎・高齢化の中でも、堅固な地域社会を維持する決意で
あり、過疎・高齢化に苦しむ全国の山間地域の地域振興・活性化のモデルを提案したいと考え
ています。
1−⑹ 只見町ブナセンター(ただみ・ブナと川のミュージアム)
只見町ブナセンターは、ブナ林も含め
た只見地域の広大で原生的な自然環境を
保護・保全し、次世代に引き継ぐととも
に、調査・研究を進め、成果を広く公表
する目的を持って設置されました。付属
博物館である「ただみ・ブナと川のミュ
ージアム」では、これまでの学術調査研
究で得られた資料を整理、展示、只見地
域の自然環境を紹介、
解説しています(写
真9)。
また、こうした只見地域の自然環境を
背景に、そこから得られる資源を活用し、
写真9 ただみ・ブナと川のミュージアムの展示室
生活してきた地域住民の生活、伝統、文化なども、町民から寄贈された民具などを展示し、紹
介しています。只見町ブナセンターは、只見地域の自然環境やそこに生息する野生生物、そし
て、それらを背景に育まれた生活や伝統文化の一端を知ることの出来る施設であり、実際の自
然環境に踏み込む“入り口”となっています(写真10)
。
写真10 只見町ブナセンターと背後の浅草岳
─ 6 ─
1−⑺ 只見町の地図
─ 7 ─
─ 8 ─
第 2 章
“ 只見 のブナ林 ”で学ぶことの意義
2−⑴ 福島県の森林環境学習
福島県は全国第4位となる973千haの広大な森林を有しており、その面積は県土の約7割
を占めています。森林は水や空気を生み出す命の源であり、山地災害の防止や快適な生活環境
の保全、木材等林産物の供給などを通じて、私たちの生活と深く結びついてきました。また、
地球温暖化の防止や多様な生物の保全、癒やしの場などとしても注目されています。
しかし、森林の維持管理を担ってきた農山村の過疎化、林業生産活動の停滞、生活様式の変
化などから、手入れがなされず放置される森林が増え、森林の持つ公益的な機能を将来にわた
って確保することが難しくなってきました。
福島県の豊かな森林を県民共有の財産として守り育て、健全な状態で未来へと引き継ぐため
には、私たち一人一人が、森林のもたらす様々な恵みにより日常生活が支えられていることを
も り
理解し、森林づくりの重要性と果たすべき役割について考え、行動することが大切です。そこ
も り
で福島県では、
「県民一人一人が参画する新たな森林づくり」を進めることとしました。
取組の一環として、平成17年には県民参画のための基本理念
(合い言葉)となる「森林文化
のくに・ふくしま県民憲章」を制定しました。制定に当たっては、夏休みに標語を公募するな
ど策定段階から県民参画で行っています。また、平成18年度からは森林環境税を導入し、
「森
林環境の保全」と「森林を全ての県民で守り育てる意識の醸成」を基本目標に、
『豊かな森林文
化のくに・ふくしまの創造』を目指して様々な取組を進めています。
中でも森林環境学習は、県民参画の動機付けやきっかけづくりとして、重要な取組の一つと
なっています。特に子供たちにとって、県内の森林や林業、木材産業等について学習し、体験
することは、
ふるさと福島県の自然や産業、
暮らしや文化を知るよい機会になるものと考えます。
福島県以外にも森林環境学習に取り組んでいる自治体は多いと思いますが、福島県では、小
中高校等を対象とした出前教室の開催や緑化募金を活用したファミリー緑の教室への支援、緑
の少年団活動への支援などで森林環境学習に取り組んできました。また、森林とのふれあいを
通して、森林の役割や重要性を広く県民に伝えるボランティア「もりの案内人」の認定を通じ
指導者の育成も行っています。森林環境税導入後はこれらに加え、市町村が行う森林環境学習
の支援や県有施設における森林環境学習の実施等にも取り組んでいます。
只見町は世界有数のブナ林を持ち、また、暮らしの中で様々な森林文化を育んできた土地で
もあります。今後とも森林環境学習のフィールドとして、多くの児童生徒が只見のブナ林を訪
も
り
れ、森林文化や森林を守り育てる心が未来へとつながっていくことを期待します。
(参考)森林文化のくに・ふくしま県民憲章
(本文)わたしたちは、
1 森林を敬い、あらゆるいのちを尊びます。
2 森林にふれあい、心豊かに生きます。
3 森林の恵みに感謝し、活かします。
4 森林を守り育て、未来につなぎます。
─ 9 ─
(参考)森林環境学習の推進(イメージ)
森林ボランティア
技術知識の向上
森林への理解、
もりの案内人等指導ボランティア
を図る研修会
参画意識の醸成
参加
参加
森林環境学習
森林環境学習
(生涯学習)
(学校教育との連携)
森林環境学習の場としての森林整備
県民が参画する
森林づくり
参加
県 民
児童生徒、父兄、教職員
森林環境学習指導者研修会(只見町内)
ブナ林での森林環境学習(只見町内)
─ 10 ─
2−⑵ 福島県の自然環境学習
自然環境学習や自然体験活動の推進は、学校教育において重視されている分野です。
福島県教育委員会では、平成25年度
『学校教育指導の重点』の「環境教育」において、ねら
いを「身近な環境について理解を深め、環境に対する責任と役割を自覚し、環境保全活動等に
参加する態度及び環境問題解決のための実践力を育成する。
」と設定しています。そして指導内
容に「地域の自然を大切にする心情や態度を育てるため、学校の実態に応じて地域の様々な自
然を意識させる工夫をしたり、地域の自然環境等の教材化を図ったりする」と明記しています。
福島県以外の教育委員会においても環境教育についての取組があることと思います。
南会津は自然環境に恵まれた地域です。その中で“只見”は、日本有数の豪雪地帯故に、雪
食地形などの特徴的な地形や動植物の多様性が見られます。
“只見”は、越後三山只見国定公園に指定、そして林野庁の奥会津森林生態系保護地域に設定
され、ユネスコエコパークへの国内推薦(平成25年9月30日)も受けています。
また、ブナ林をはじめとした、自然環境の重要性について学習するために適した、優れた天
然の素材がたくさんあります。その優れた素材に直接触れることにより、普段の生活では得ら
れない経験と感動を得ることが期待できます。
特に只見には、4万〜5万haともいわれる広大な面積にわたり、ブナを含む落葉広葉樹の天
然林が広がっており、このブナ林は様々な生き物を育み、保水性に優れ、土砂災害を防ぐなど
環境を保全し、山菜など多くの恵みを与えてくれています。
(参考図書:只見おもしろ学ガイド
ブック、只見町2013.3)
私たちは、
「
“只見ブナ林”から学ぶ」
、
「
“只見ブナ林”について学ぶ」
、
「
“只見ブナ林の保護”
のために学ぶ」という視点から“只見ブナ林”をフィールドにした学習の大切さを提案します。
この提案が、地域の自然を大切にする心情や態度の育成に資することはもちろん、福島県の
子どもたちにとって郷土を愛し、郷土を誇る意識に結びついて欲しいと願っています。
ブナ林で営巣するアカショウビン
─ 11 ─
福島県の自然環境学習のフレーム
○福島県環境行動計画(H26.2 福島県)
<環境教育の主なねらい>
-生きる力の育成-
○環境に対する興味・関心と
豊かな感受性の育成
○環境に関する見方や考え方
の育成
○環境に働きかける実践力の
育成
○環境保全の意欲の増進及び環境教育の推進
について(H17.1 環境省・文部科学省)
○環境保全の意欲の増進及び環境教育の推進
に関する法律(H15.10)
○福島県環境基本計画(H25.3)
○福島県地球温暖化対策推進計画(H25.3)
<福島県の環境教育の全体目標>
○環境への理解を深め、環境を大切にする心情をもった児童生徒の育成
○環境に主体的に関わり、環境保全やよりよい環境づくりのために行動する実践的
な力を身に付けた児童生徒の育成
<福島県環境教育推進の方向>
森林や川など自然環境の学習
【自然環境学習】
地球温暖化防止の取組み
【温暖化防止学習・実践】
<福島県の自然環境学習の目標>
(豊かな自然の保全と継承)
森林や水環境などに触れる体験学習を通して、本県の豊かな自然の価値についての
認識を高めるとともに、環境を大切にする心と環境の保全のために主体的に行動する
実践的な能力と態度を育成する。
発達段階に応じた目標
その大きさ、美しさ、
不思議さなどに気づくようにする。
幼稚園 自然に触れて生活し、
小学校 自然の観察、動植物の飼育・栽培などの活動や遠足等の地域の自然に触れる
低学年 体験を通して、自然のすばらしさや生命の大切さを感じ取るようにする。
小学校 動植物の調査・飼育・栽培などの活動、理科の学習、遠足や自然教室、総合
中学年 的な学習の時間等で地域の自然とかかわり合う体験活動を通し、自然や動植
物を大切にする心情やよりよい環境をつくろうとする態度を育てる。
小学校 自然環境の調査や飼育・栽培などの活動、社会や理科の学習、自然教室や宿
高学年 泊学習、総合的な学習の時間等での、森林や川などで様々な自然の姿に触れ
る活動を通して、自然の偉大さを知り、自然に対する畏敬の念をもち、より
よい環境をつくろうとする態度を育てる。
中学校 森林環境にかかわる事象に直面するなど自然環境の観察や自然環境保全など
の活動を通して、自然との共生の大切さを実感させ、自然環境を保全しよう
とする態度を養う。
高 等 森林環境を含めた地球環境について、調査・研究等の体験活動を通して総合
学 校 的に思考・判断し、環境保全のために主体的に働きかける能力と態度を養う。
─ 12 ─
<福島県自然環境学習の視点と内容>
○「環境から学ぶ」
豊かな自然の中での様々な体験を通して、自然環境を大切にする心情を育てる。
○「環境について学ぶ」
国土の保全や水資源の涵養のための森林資源の働き、生物と周囲の環境とのかか
わり、森林の果たす役割、生物多様性と共生、生態系のつり合い、生命の尊重、環
境と人間、自然環境の保全などについて各教科等の学習の中で理解を深める。
○「環境のために学ぶ」
校庭の樹木調べ、身近な環境の調査、水質環境調査、森林整備活動などを通して、
環境保全のために具体的に実践する態度を育てる。
<育成する能力と態度>
○森林や川などの自然環境にかかわり、環境を思いやったり、よりよくしようとした
りする。
(関心・意欲・態度)
→環境に対する自覚、社会的態度
○森林や川などの自然環境の働きについて考え、その環境を保全する手だてを立てて
行うことができる。
(思考・判断・表現)
→問題解決能力、情報処理能力、コミュニケーション能力、
主体的に考え判断する力
○多様な生物相互の関連や自然界のつり合いについて総合的に理解し、自然環境を保
全することの重要性が分かる。
(知識・理解・技能)
→数理的能力、環境を評価する能力
「“只見ブナ林”をフィールドにした自然環境学習」の提案
田子倉湖・ブナの新緑
─ 13 ─
2−⑶ “只見ブナ林”をフィールドにした自然環境学習
只見町には町の面積の9割を占
める林野があり、日本有数の豪雪
地帯であるがゆえの良質な水資源
など、豊かな自然に恵まれた、福
島県の象徴としての“只見”
・越後三山只見国定公園指定
対象地域
只 見
(昭和48年5月15日)
・奥会津森林生態系保護地域の
設定(平成19年4月)
・ユネスコエコパーク国内推薦
独特の景観とともに、貴重な生
(平成25年9月30日)
態系(生物多様性)を有する「自
然の宝庫」としての“只見”
<自然環境学習“只見”の視点>
「“只見ブナ林”から学ぶ」
、
「“只見ブナ林”について学ぶ」
、
「“只見ブナ林の保護”のために学ぶ」
○「
“只見ブナ林”から学ぶ」
只見ブナ林を訪問し、五感(身体で感じる全て)を用い観察し、発見する。
只見ブナ林を訪れ、その場で体験的に学ぶ。
○「“只見ブナ林”について学ぶ」
現在ある只見ブナ林の姿は、神秘と偶然が創りだす「自然のはたらき」に
より作られている。この「はたらき」を、自然の特色、そこに生息する植物
や動物、風景、気候などの視点から、学ぶことにより、只見ブナ林に対する
理解を豊かにする。
○「
“只見ブナ林の保護”のために学ぶ」
只見には、ブナの木だけではなく、水辺林が発達しており、絶滅危惧種も
多く生息している。また、豪雪地帯ゆえの雪食地形という雪崩で侵食された
特異な山容もある。只見ブナ林について学ぶことにより、これらの自然を守
り未来へ引き継ぐために、学習者一人一人が、実践できることを考える。
─ 14 ─
第 3 章
学習の展開例と配慮事項
○はじめに
ここでは、只見町で宿泊を伴う自然環境学習を実施する際の展開事例を示します。
想定は、「中学2年生40名」で、宿泊場所は「只見町青少年旅行村いこいの森」です。
この想定のもと、事前学習から事後学習までの一連の指導計画を例示し、配慮事項を明記し
ました。各学校における計画作成時には、この展開例を参考に、実態に合わせた計画を作成し
てください。
只見ブナ林自然環境学習実施計画
(事例)
3−⑴ 学習を実施する前に、準備や調整しておきたいこと
ア 学習のねらいの設定と、全体実施計画や指導計画の作成
イ 訪問先(只見町)の事前研究(教材研究)
*事前に足を運び下見調査を行うと、学習計画が立てやすいです。
ウ 宿泊先やガイド、訪問先との日程調整・打ち合わせ
*実施計画作成時、ガイドや宿泊先との事前打ち合わせをすることが大切です。
*只見町にある「只見町観光まちづくり協会」では、現地での自然体験活動や宿泊施設
の紹介等をしています。ぜひご相談ください。
(連絡先:只見町観光まちづくり協会 TEL 0241-82-5250)
エ 保護者への実施内容の通知と、子どもの参加承諾確認
オ 子どもの健康状態や持病・アレルギー等の把握
カ 森の案内人への依頼、交通機関の利用、各種助成制度活用の場合は、申請書等の準備手
続き
*見学施設、森の案内人、バスの乗降・待機については、只見町観光まちづくり協会へ
お問い合わせください。
3−⑵ コース設定例
活動内容・場所により、コースはいろいろ設定できます。今回は、
ブナ林(恵みの森)
と博物
館施設(ただみ・ブナと川のミュージアム)等を中心としたコースをとりあげます。
只見町のブナの天然林は、保護のためコースが整備されないところが大半で教育旅行には適
していません。このため、ある程度人の手が加わっていても、ある程度ブナ林を理解できるコ
ースを選定しています。
このほか、癒しの森、あがりこの森等もあります。児童・生徒の実態と見学の目的にあった
行程を設定してください。
─ 15 ─
<ただみ・ブナと川のミュージアム~恵みの森
(1泊2日)
>
第 1 日 目
11:00
11:30
13:00 学校・出発 → 只見町青少年旅行村いこいの森 → 昼食(弁当) → ブナと川のミュージアム
(弁当は持参又は手配)
15:30 16:00~18:30 19:00 22:00
→ 旅行村 → 旅行村で野外炊飯・夕食 →(バス移動)→ 入浴は只見保養センター → 就寝
(夕食、
宿泊) (ひとっぷろまち湯)
第 2 日 目
8:15
9:00~9:15
9:30~
11:00~12:00
14:30~14:45
旅行村発 → 森の分校ふざわ(休憩)→ 恵みの森散策 昼食(弁当)→ 森の分校(休憩)→
→ 学校・帰着
※旅行村には、食事のできる施設はありませんので、あらかじめ弁当を手配してください。
※コース概略は、7、8ページのイラストマップをご覧ください。
恵みの森(下ノ滝)
─ 16 ─
3−⑶ “只見ブナ林”自然環境学習指導計画例
ア 事前学習内容例
「“只見ブナ林”自然環境学習にむけて~ガイダンス学習」
「学習コースと“只見ブナ林”のルールを学ぶ」
「只見町へ出発する前に」
イ 自然環境学習(1泊2日)例
参加生徒40名、宿泊地:只見町青少年旅行村
ウ 事後学習例
「“只見ブナ林”自然環境学習を振り返って」
「発表会に向けた準備をしよう」
「“只見ブナ林”自然環境学習成果発表会」
3−⑷ 事前学習の展開例
ア 只見ブナ林自然環境学習にむけて~ガイダンス学習
○教師の働きかけ ●指導上の留意事項
学 習 内 容
教 師 の 働 き か け ・ 留 意 事 項
○“只見ブナ林”の
○インターネットやビジュアル資料を活用し、只見町の概要を理解
概要を理解する。
させ、興味・関心を高めさせる。
●生徒が概要把握の中で得た只見に対する課題意識を以後の授業展
開に結びつけたい。例えば学習目標(個人研究課題)の設定に役
立てる。
○“只見ブナ林”自
然環境学習の概要
を理解する。
○只見町への訪問計画を告げ、学習のねらいを告げる。
●事前学習から事後学習までの一連の計画を示し、今後の学習の見
通しを持たせる。
●最後のまとめの時には、
個人(班)が設定した個人研究課題の「学
習発表会」を開催し、学びの成果を発信することを伝える。
○“只見ブナ林”自
○行動班編制を行い、班の行動目標や約束事を設定する。
然環境学習に向け
●1班(5〜8名)に1名のガイド配置が理想である。
ての行動班編成を
●行動班内に役割を設け、生徒一人一人の参加意欲を高める。
「リー
行う。
ダー」や「健康観察係」は、必ず設定したい役割である。
●生徒の体力を考慮した行動班編成に配慮する。
イ 学習コースと“只見ブナ林”のルールを学ぶ
○教師の働きかけ ●指導上の留意事項
学 習 内 容
○当日の行動コース
を理解する。
教 師 の 働 き か け ・ 留 意 事 項
○只見町の地図を用い、当日の行動コースを説明する。
●地図を使って、およその移動時間を把握する。
●読図を行い、コース上のポイントを確認し、只見町の理解を深め
させる。
(コース上の地名、地形、トイレ、給水所、宿泊先)
─ 17 ─
○ブナ林でのルール
やマナーを学ぶ。
○ブナ林のルール、トレッキングや宿泊のマナーを説明する。
●ゲスト・ティーチャーとしてガイドの活用を考えたい。
●ガイドとは、事前打ち合わせを必ず行う。
(打ち合わせ内容については、第4章を参照)
●ガイドへのあいさつや聞く態度について、しっかりと指導を行う。
●持参物や装備については、家庭で早めに準備がしやすいように、
事前に一覧表を作成し、配布する。
ウ ブナ林へ出発する前に
○教師の働きかけ ●指導上の留意事項
学 習 内 容
教 師 の 働 き か け ・ 留 意 事 項
○学習目標を設定す
○個人(行動班)ごとに、ブナ林での学習目標(個人研究課題)を
る。
設定させる。
●事後学習で、学習目標(個人研究課題)に対するまとめと発表を
することを念頭に置き、課題を設定させる。
○ブナ林での事故対
応について理解す
る。
○ブナ林で起こりうるトラブルを説明し、本番での心構えを持たせ
る。 *ケガ・病気 *天候悪化 *危険生物
●発生時は、教師への速やかな報告と指示を仰ぐことを基本として
指導する。
○ブナ林での基本的
な学習の仕方を確
認する。
○五感を使って観察し、ガイドの説明をよく聞き、記録(メモ)を
取ることを理解させる。
●行程や約束事・学びの成果の記録欄などを盛り込んだ、
「学習のし
おり」を作成し活用したい。
事前学習を進めるにあたっては、上述の「学習内容」を参考にしていただき、学校の実態に
合わせて構想願います。
生徒の実態や学校の目的を踏まえて、より良い事前学習を展開してください。
も
り
森林の分校ふざわ
─ 18 ─
3−⑸ 行程の詳細と留意事項
ここでは、コースの詳細とその留意事項について説明します。
第1日目の行程
時 刻
8:00
11:00
11:30
13:00
〈到着〉
〈出発〉
15:00
15:15
15:30
19:00
21:00
22:00
行 程 と 留 意 事 項
〈学校〉
●健康観察・持ち物確認を行う。
●1泊2日であることや交通の便が悪く、医療施設が少ないことを念頭に、健
康確認を行う。
(無理はさせない。
)
〈只見町青少年旅行村いこいの森〉
到着のあいさつ(入村式)
〈只見町青少年旅行村いこいの森〉
●昼食(弁当)
●荷物の整理、行動班ごとに行動
〈ただみ・ブナと川のミュージアム(只見町ブナセンター)
〉
●移動はバス。運転手さんへのあいさつ。
●施設の方々への感謝の気持ちをもち、行動・挨拶する。
〈ただみ・ブナと川のミュージアム〉
●センターの方々へあいさつ
●事前に打ち合わせをすることにより、多様な活動を提供できる。
○施設見学 ○展示物の鑑賞 ○指導員による自然観察の講話 (連絡先:ただみ・ブナと川のミュージアム TEL0241-72-8355)
●センターの方へあいさつ
●バスで移動
〈只見町青少年旅行村いこいの森(宿泊準備)
〉
●荷物を移動、宿泊の準備をする。
●宿泊については事前に打ち合わせをしておく。
○宿泊予定日・人数(児童・生徒数、引率者数、男女比等)
)
○宿泊(教員はバンガロー・コテージ、児童生徒は古民家等が選択可能)
○部屋割り ○食事の時間(夕食、朝食)
○食物アレルギー ○ 2 日目の弁当の注文の有無、入浴等
〈野外炊飯〉
●班ごとに行動する。使用する場所・物を確認する。
●分担された作業を班ごとに行う。
●やけどに注意する。
●食事のメニューについては、旅行村と打ち合わせる。
(連絡先:只見町青少年旅行村・いこいの森 TEL0241-82-2432)
●準備ができた班より夕食
●片付け(最初よりもきれいにして返す努力を ! )
●学校担当者の確認をもらい、片付け終了となる。
〈入浴〉
●入浴施設まで、バスで移動する。
●忘れ物が無いようにする
●入浴を済ませる。※人数が多い場合、一度に入浴することができません。
〈翌日の打ち合わせ〉
●全体指導・連絡(宿泊場所でのスケジュール、変更箇所・宿泊マナー)
●個人(行動班)ごとに設定した、学習目標の自己評価を行わせる。
●一日の反省を、
「学習のしおり」に記入させる。
●体調が優れない生徒がいる場合は連絡する。
〈就寝〉
●疲れている友達もいるので騒がないように注意する。
─ 19 ─
第2日目の行程
時 刻
行 程 と 留 意 事 項
6:00 〈起床〉
●早めに起きても騒がないよう指導する。
〈宿泊所での行動事例〉
6:00
6:30
7:00
●起床・荷物整理
●トイレは混み合うので、時間を見て済ませる。
●朝食準備
●メニューについては事前に打ち合わせ。
●朝食
●片付け
〉
8:00 〈玄関集合・全体指導(日程確認、健康観察、持ち物の確認)
●靴ずれ等に対しては、早めに対処する。
●宿泊所へ感謝のあいさつ。
8:15 〈宿泊所出発〉
●トイレ最終確認
●行動班ごとに出発する。
●施設の方々への感謝の気持ちを込めたあいさつをする。
9:00 〈森林の分校ふざわ〉
●トイレ休憩
●トイレの数は限りがあるので注意する。
9:30 〈恵みの森〉
●到着した行動班から出発
9:30 〈恵みの森入口〉
●到着した行動班(※この簡易トイレ以降、トイレはないので注意する。
)
〉
9:45 〈木の化石(入口から約500m)
〉
10:00 〈下ノ滝(入口から約900m)
●生徒の疲労の様子を観察する。
11:00 〈中ノ滝(入口から約2km)
〉
到着
●確認後昼食
12:00
出発 ●昼食開始(ゴミは持ち帰る)
14:15 〈恵みの森発〉
●生徒の疲労の様子を観察する。
●バスへ分乗、運転手へあいさつを忘れない。
14:30 〈森林の分校ふざわ〉
出発 ●トイレ休憩
14:45 ●トイレの数は限りがあるので注意する。
到着 ●施設の方々への感謝の気持ちを込めたあいさつをする。
18:00 〈学校〉
●事後学習に向けての、感想や記録をまとめておくことを指示。
●最終確認
※弁当は、森林の分校ふざわにあらかじめ注文しておき、当日受け取ります。
─ 20 ─
3−⑹ 事後学習の展開例
ア 只見自然環境学習を振り返って
○教師の働きかけ ●指導上の留意事項
学 習 内 容
○“只見ブナ林”自
然環境学習の感想
を発表し合う。
○学習の自己評価を
行う。
教 師 の 働 き か け ・ 留 意 事 項
○“只見ブナ林”で発見したこと、驚いたこと等を発表し合う。
●只見町で、体験し学んだことを、相互の発表を通して教室で共有
することにより、
事後学習への意識を高める。
○“只見ブナ林”自然環境学習のねらいや約束事に対しての自己評
価を行う。
●ねらいに即し、教師が作成した「自己評価シート」等を、生徒に
記入させたい。
○自己の学習課題に
対してのまとめの
方法を考える。
○生徒が事前学習の時に設定した学習目標(個人研究課題)につい
てのまとめを行う。
●まとめたものは、事後学習の最後に発表することを告げ、作業の
目安を持たせる。
●自己の学びの成果を、
どのような形で表現するかを検討する。
イ 発表会に向けた準備をしよう
○教師の働きかけ ●指導上の留意事項
学 習 内 容
○発表内容の構成を
考える。
教 師 の 働 き か け ・ 留 意 事 項
○学習成果の発表に向けた準備作業を行う。
●発表会に向け、発表のポイントを吟味させる。
*疑問点(課題意識)は何だったのか。
*分かったことは何だったのか。
*聴衆に伝えたいこと(訴えたいこと・発信したいこと)は、何
なのか。
○発表会の全体の構
成を考える。
○発表会に向けた役割分担や時間配分等を考える。
●お世話になった森の案内人等にもお礼状を送付したい。
ウ “只見ブナ林”自然環境学習成果発表会
○教師の働きかけ ●指導上の留意事項
学 習 内 容
○学習成果を発表会
形式で報告する。
教 師 の 働 き か け ・ 留 意 事 項
○学びの成果を発表しよう。
●与えられた時間の中で、ポイントを押さえ発表させる。
●できれば“只見ブナ林”保護の視点を加え、発表させたい。
事後学習を進めるにあたっては、上述の「学習内容」を学校の実態に合わせて、学ばせたい
ものです。
生徒の実態や学校の教育目標を踏まえて、より良い事後学習を展開してください。
─ 21 ─
恵みの森の散策コース案内図
─ 22 ─
第 4 章
計画立案の留意点と指導事項
○はじめに
自然環境学習の実施に際し、学校が第一に配慮しなくてはならないのは、
“児童生徒の安心安
全をどのように確保するか”という点です。
この視点を大切にし、学校に理解して欲しい内容を下記の項目で説明します。
1 ガイド(案内人)を活用しましょう
2 フィールドのルールやマナーを確認しましょう
3 持ち物や装備の確認をしましょう
4 緊急時の対応を確認しましょう
5 各種の助成制度を活用しましょう
4−⑴ ガイド(案内人)の活用
自然環境学習を効果的に、かつ、安全に実施するためには、ガイド(案内人)の活用は欠か
せません。
ア ガイド活用の利点
○専門的な立場から解説をしてもらうことにより、学習を充実させることができます。
○天候や危険情報、突発的な事故により計画変更が生じた場合等に、専門的・経験的な立
場から助言を得ることができます。
○教師とガイドが協力することで、児童一人一人に目が届くようになります。
■注意してください■
ガイドを活用すると、学習は豊かになります。しかし、全てをガイドに任せ
きりにすることはできません。ガイドの「できること」と「できないこと」を
しっかりと確認して、活用していくことが成功の秘訣です。
場面場面での最終判断は学校が行い、その責任は学校が負うことは言うまで
もありません。
イ ガイドとの打合せで確認したい内容
○企画した自然環境学習の全体計画案
○当該学校の児童生徒の実態、生徒指導の方針、ルール
○事前学習の内容
○学習本番での教師とガイドの役割分担、連絡体制、リスク対応マニュアルの確認
○現地活動スケジュール等と必要ガイド数、児童生徒の班編成
○児童生徒の持ち物、服装及び引率に必要な装備
○交通機関、宿泊先の予約
ウ 只見町の自然ガイド
「只見町観光まちづくり協会」にお気軽にお問い合わせください。行程の相談やガイド
手配の他、道路情報等もお伝えしています。
(一般社団法人只見町観光まちづくり協会
URL:http://www.tadami-net.com)
─ 23 ─
4−⑵ フィールドのルールやマナーの確認
ア 自然に入る心構え
自然と接するときは、人間が自然環境に対して「おじゃまします」という謙虚な気持ちで
行動するよう指導しましょう。
イ 大切な植物を守るために
○植物を踏み荒さない。
ブナ林を始めとした自然には、貴重な生き物が数多く共生しています。
自然に入る時は、決められた道を通り、植物を踏み荒らさないよう注意しましょう。
○植物等の採取はできません。
只見町の森林は、その多くの地域が「国定公園」と「森林生態系保護地域」に指定され
ており、許可なく植物を採ることなどは禁止されています。また、山菜やきのこなどは
地元の人しか採取することができません。
○他地城から植物を持ち込まない。
外国や他地域の植物が移入すると、生態系が変わるおそれがあります。一度変わってし
まった生態系を戻すのは困難です。
ウ 動物に接するときは
○野生動物には近づかない、餌を与えない
小型のものでも野生動物に近づくのは危険です。怪我だけでなく、
感染症などの恐れもあ
ります。また、
人から餌をもらうことに慣れた野生動物は自分で餌をとることをやめてし
まうだけでなく、野生動物が餌を求めて人間の住居や田畑を荒らす被害も増えています。
また、只見町にはツキノワグマが生息しており、野外活動におけるクマとの遭遇は十分
考えられることです。熊鈴を使い、まずはクマに自分たちの存在を知らせることが大切
です。出没情報を只見町役場などに問い合わせておくことをお勧めします。
○観察したら、 もといた場所に戻す。
魚や昆虫などの観察が終わったら、必ずもといた場所に戻しましょう。
○ペットを持ち込まない。
只見町には存在しない動物の伝染病が持ち込まれる恐れがあります。また、野生化した
ペットにより地域の希少な動物が食べられる被害が後を絶ちません。只見町には天然記
念物に指定されている貴重な動物が生息しています。ペットを自然の中に持ち込んでは
いけません。
○他地域から動物を持ち込まない。
近年、田子倉湖に持ち込まれたブラックバスなどの外国の魚が、在来の魚に被害を与え
ていることが問題になっています。外国や他地域の動物が只見町の自然の中に入ると、
在来の動物の命や生息場所が奪われ、生態系が変わってしまうおそれがあります。他地
域の動物を持ち込んではいけません。
エ ゴミは必ず持ち帰ろう
生ゴミを捨てると野生動物が餌付いてしまいます。また、ビニール袋などの自然に分解さ
れないゴミは環境や生態系に被害を与えます。ゴミは必ず持ち帰りましょう。
オ トイレは森に入る前にすまそう
ブナの森にはトイレがありません。トレッキングの時間を考えて、トイレは事前にすませ
ましょう。ただし、いざというときは我慢させずに森でして土に埋め、ティッシュペーパ
ーは持ち帰ってください。
─ 24 ─
4−⑶ 持ち物や装備の確認
ア 基本的な服装
指 導 ポ イ ン ト
上 着 授業で使用している運動着(ジャージ)でよいでしょう。長袖・長ズボン
が基本です。
下 着 汗をかいても速乾性のある、ポリエステルやナイロン素材のものがおすす
めです。
運 動 靴 トレッキング用のシューズが望ましいですが、児童生徒は日頃から使い慣
れている運動靴で十分です。恵みの森など沢を歩くときは、
長靴が必要です。
帽子・手袋 熱中症や日射病、切り傷、草木かぶれ等から身体を守る上で必要です。帽
子はツバがあるものが望ましいです。手袋は軍手でも十分対応できます。
イ 基本的な持ち物・装備
○児童生徒編
指 導 ポ イ ン ト
①バックパック ショルダーに調節機能があり、身体にフィットするものを選びましょう。
(散策用)
雨が降ったときのために、内側に大きめのビニール袋を入れておくか、
ザックカバーを準備するとよいでしょう。
②弁当 おにぎり等の片手でも食べられるものを準備させましょう。弁当の空箱
は持ち帰りになります。小さくまとめられる工夫がポイントです。
③水筒 携行に便利な 500ml のペットボトルがおすすめです。恵みの森や癒し
の森は1本、要害山は2本あるとよいでしょう。更に、教員は水を1本
準備しておくと、ケガをしたときに傷口を洗えるので便利です。
④行動食(おやつ)
山や沢歩きを意識し、高カロリーなあめ玉やチョコレートが望ましいで
す。休憩時に少しずつ摂取させるような指導が大切です。包み紙等の始
末も忘れないようにしましょう。
⑤雨具 登山専用の上下セパレートタイプのレインウエアが望ましいですが、市
販の雨ガッパ(できれば上下セパレートタイプ)でも対応できます。寒
いときの防寒着にもなるので、必ず準備させましょう。
⑥折りたたみ傘 移動中のちょっとした雨には折りたたみ傘が便利です。しかし、フィー
ルドでは転倒すると危険なのでレインウエアがよいでしょう。
⑦着替え 野外では雨や汗、川などで衣類が濡れますので必ず着替えを用意しまし
ょう。
また、気候の寒暖の変化に合わせ、長袖・半袖のTシャツを上手に使い
分けましょう。虫さされや草木かぶれの予防のためには、長袖の着用が
望ましいです。靴下は厚手のものを着用し、濡れたら履き替えられるよ
うに数枚準備させましょう。
⑧防寒着 フリースや薄手のセーターがあると安心です。さらに寒い場合は、レイ
ンウエアを風よけに着用して体温を保つように指導しましょう。
⑨ビニール袋 ビニール袋は、ごみの持ち帰りに使うだけでなく様々な用途に使えるの
で、数枚準備させましょう。また、バックパックの中に入る大きなビニ
ール袋(家庭用ゴミ袋45L程度)も1枚準備させると、ザックカバーの
代わりになります。
─ 25 ─
⑩常備薬 児童生徒は、疲労の蓄積により予想外の時に持病が発症することがあり
ます。児童生徒の健康状態や持病を事前に確実に把握しましょう。
⑪筆記用具 各学校独自に「学習のしおり」を準備すると思います。こまめに記録を
取ることは、学習を深めるとともに振り返りのときに役立ちます。
⑫手ぬぐい・タオル 汗拭きや緊急時の三角巾代わりに利用できます。
⑬ティッシュ 様々な用途に使用できます。使用したあとは、必ず持ち帰るよう指導し
ましょう。
⑭虫除けスプレー 手がベタつかないスプレータイプのものが便利です。
⑮常備薬 虫さされ用軟膏、持病のある児童生徒は処方薬、蜂毒アレルギーのある
生徒用にエピネフリン自己注射キットなど
○学校・教師編
児童生徒の安全・安心を守るために必要なものを準備する。
□救急医薬品 □簡易トイレ(エチケット袋)
□懐中電灯 □地図
□布製のガムテープ(雨具等の修理用)
□トランシーバー
□大きめのビニール袋(数枚あると水濡れ厳禁な物の保護に使えます。
)
□携帯ラジオ □ウェットティッシュ
□熊鈴・クマ撃退スプレー(出没情報などを確認して判断してください。
)
□拡声器 □ホイッスル
4−⑷ 天候に注意しましょう
○森林での野外活動は6月~10月。11月~5月は積雪があります。
○6月は、雪解け水による河川の増水に注意。
○7月は、秋雨前線が北上して豪雨になることがあります。
○夏の午後は雷雨に注意。山間地のため局所的に発生します。
○秋は日没が早く、山影で午後4時ころに暗くなります。冷え込みも厳しいので終了時間を
早めに設定します。
○10 月末から降雪の心配があります。
4−⑸ 緊急時の対応の確認
ア 事前の対応
○緊急時の対応についてシュミレーションし、役割分担や連絡先などを記載した対応マニ
ュアルを携行しましょう。
○引率者とガイドで、緊急時の対応について話し合っておくことが大切です
○「恵みの森」は携帯電話が通じません。最寄りの通話エリアは駐車場から車で10分ほ
ど移動した最終集落です。トランシーバーや伝令など引率者同士の連絡手段を確認して
おきましょう。
イ 悪天時の対応
天候悪化の状況によって、①一時的に避難した後で行動を続ける、②行動を中止して引
き返す、③安全を確保して状況が改善してから引き返す、などの判断をします。
─ 26 ─
ウ けが・急病の対応
≪けが・急病などの事故発生≫
↓
<状 況 判 断>
○応急処置をして行動を続ける → ①
○引率者と共に自力で下山して病院へ搬送する → ②
○自力で下山ができない → ③
↓
①事故者は周囲に迷惑をかけたくないために無理をします。引率者は配慮しながら経過
を観察します。
②事故者に応急処置をして無理のないよう下山させます。あわせて朝日診療所に救急外
来の連絡を入れておきます。携帯電話圏外の「恵みの森」では、先に通報者を下山さ
せて連絡を入れます。通報や付き添いなどの行動は、ガイドと引率者などが2人1組
で行動すると安心です。ほかの生徒も行動を中止することが望ましいが、状況によっ
て継続する場合は、ガイドや引率者が減ったことを踏まえて慎重に行動します。
③110番通報して救助要請をおこないます。携帯電話圏外の「恵みの森」では、通報者
を下山させて救助要請をおこないます。その時に、事故者の様態や時間経過、場所な
どをメモしておき正確に伝えます。事故者を安全な場所に退避させて、救急処置をお
こないます。ほかの生徒は行動を中止して下山させます。引率者やガイドが複数いな
いと、いざという時に対応できません。
※救急処置については、救命講習を受けておきましょう。
※救助要請を行った場合は、警察の指示に従ってください。警察は消防団員などを招集して救助を
おこない、状況によって防災ヘリコプターなどで総合病院へ搬送します。山岳救助については、
日当や経費などを支払う必要があります。
エ 確認しておきたい連絡先
■医療機関
医 療 機 関 名
住所・電話番号
只見町国民健康保険
南会津郡只見町長浜字
朝日診療所
久保田31
診 療 科・診 察 日
○内科、歯科
電話0241-84-2221
福島県立南会津病院
南会津郡南会津町永田
○内科、
小児科、
外科、
整形外科、
眼科等
(車で約1時間)
字風下14-1
(その他の開設科はHP参照)
電話0241-62-7111
○月~金、救急外来受付
■緊急連絡先
南会津警察署只見駐在所 南会津郡只見町只見字沖1413-1 電話0241-82-2249
只見町役場 南会津郡只見町只見字雨堤1039 電話0241-82-5050(代)
─ 27 ─
■学習企画関係
<観光案内、宿泊・ガイド・旅行の手配に関すること>
名 称
一般社団法人
只見町観光
まちづくり協会
只見町青少年旅行村
いこいの森
只見町深沢温泉
季の郷 湯ら里
森林の分校ふざわ
所在地、電話番号
南会津郡只見町只見字上ノ原
1828(JR只見駅内)
電話0241-82-5250
南会津郡只見町只見字向山2832
電話0241-82-2432
南会津郡只見町大字長浜字上平50
電話0241-84-2888
南会津郡只見町布沢字大久保544
電話0241-71-9511
湖畔レストラン・
南会津郡只見町大字田子倉
田子倉レークビュー 電話0241-82-2700
ホームページ
http://www.tadami-net.com
http://www2.ocn.ne.jp/
~tadami/kikoimor.htm
http://www.yurari.co.jp/
http://www.fuzawa.jp/kou/
http://www.tadami.gr.jp/
kankou/morinobunkou.htm
http://www.tagokura.
ecnet.jp/index.html
<只見の自然環境学習に関すること>
機 関 名
只見町総合政策課
所在地、電話番号
南会津郡只見町只見字雨堤1039
電話0241-82-5220
南会津郡只見町只見字雨堤1039
只見町商工観光課
電話0241-82-5240
只見町ブナセンター
南会津郡只見町大字只見字町下2590
(ただみ・ブナと川のミュージアム) 電話0241-72-8355
福島県南会津地方振興局
南会津郡南会津町田島字根小屋甲4277-1
県民環境部 (南会津合同庁舎内)電話0241-62-2062
4−⑹ 助成制度の活用
備 考
ユネスコエコパーク
ブナ林関係
観光情報関係
http://www.
tadami-buna.jp
本冊子関係
≪福島県からの補助≫
○「ふくしまっ子移動教室体験活動応援補助事業」
県内の幼稚園・保育所(認可外保育施設を含む、以下同じ)及び小学校、中学校、特別
支援学校(幼稚部・小学部・中学部)の幼児・児童生徒、引率者等を対象としています。
【小・中学校、特別支援学校(小学部・中学部)
】に対しては、教育課程に位置付けられ
ている教科、総合的な学習、特別活動(学校行事等)などをよりよい環境のもとで行うた
めの宿泊(30泊まで)を伴う体験活動に限り、宿泊費と活動費・交通費を補助します。
※活動及び宿泊場所は県内とし、学校の住所を置く市町村外とします。
【幼稚園・保育所、特別支援学校幼稚部】に対しては、年間計画に位置付けられている行
事などを、よりよい環境のもとで行うための日帰り、及び、宿泊(7泊まで)を伴う体験
活動について、宿泊費と活動費・交通費を補助します。
※活動及び宿泊場所は県内とします。
○宿泊費:1人当たり1泊 5,000円が上限
○体験活動費・交通費:活動日数に1人当たり 2,000円を乗じた額が上限
※平成26年度の補助内容については、以下にお問い合わせください。
お問い合わせ:【小・中学校、特別支援学校(小学部・中学部)
】の事業について
福島県教育庁義務教育課 TEL 024-521-8160
【幼稚園・保育所、特別支援学校幼稚部】の事業について
福島県教育庁社会教育課 TEL 024-522-3090
─ 28 ─
第 5 章
地域の学習素材を活用するために
5−⑴ 只見町・尾瀬地域の学習素材
ここでは、只見町で実施可能な活動事例を紹介します。
なお、ここに記載してある金額や内容は、平成25年度のものですので、実施の際には事前に
確認をお願いします。
〈只見町〉
癒しの森
平坦なブナの森を軽装備で歩けるコース
です。小中学生の自然観察などに活用さ
れています。また、雨天時の代替えコー
スとしても利用されています。
ガイド1名:5,000円
(半日)
、
10,000
円
(1日)ガイドは参加者10名ごとに1
名必要。他に手配料、消費税、保険料要。
要害山登山 標高705m
戦国時代の山城「水久保城」があった山
で、四方の見晴らしが良く、山頂にブナ
林があります。植生が豊かで、春は多く
の種類の花が見られます。
ガイド1名:5,000円(半日)、10,000
円(1日)ガイドは参加者10名ごとに1
名必要。他に手配料、消費税、保険料要。
田子倉湖遊覧船
国内3位の貯水量を誇る田子倉湖は、深
い山々に囲まれ、野生動物や淡水魚の宝
庫です。美しい自然を湖上遊覧で楽しめ
ます。
費用:大人900円、子ども450円。15
名以上で団体割引あり。所要時間30分。
定員50名。
田子倉ダム見学
J-POWER只見展示館で水力発電の仕組
みを学んだ後、田子倉発電所に移動して
職員の説明を受けながら施設内を見学し
ます。
所要時間:1時間30分〜2時間
団体のみ受付。無料。
─ 29 ─
餅つき(青少年旅行村、森林の分校ふざわ)
昔ながらの臼と杵で餅つきに挑戦します。できたて
の餅をつゆ・あんこ・納豆などにあえていただきます。
1時間30分。旅行村:1セット10名7,000円(別
途入村料1名400円)
、ふざわ:1名1,300円で10
名以上。
そば打ち体験
そば打ち名人から打ち方を習い、できたてのそば
を味わいます。町内の3施設で体験できます。
1セット3〜4人前:3,300円。
他に手配料、消費税要。
つる細工づくり
冬の手仕事として只見町に伝わるつる細工。地域
の保存会などから習います。
所要時間:1時間30分〜2時間30分 かご編み
:1名1,500円〜 ストラップ:1名500円〜
8名より催行。他に手配料、消費税、会場費要。
農村生活体験(農家民泊)
簡易宿所登録をしている農家に分宿して、家族の
人たちと交流しながら、農作業や田舎暮らしを体
験します。食事は一緒に作ります。
宿泊費:1泊2食 6,000円〜 体験料(半日)
:
2,000円〜 他に手配料、消費税、保険料要。
〈尾瀬地域(檜枝岐村)
〉
ミニ尾瀬公園散策
尾瀬の季節を一足早く、気軽に体験できる尾瀬
の「水先案内人」です。四季折々の草花を見る
ことができます。
催行人数:20名以上 所要時間:60分
費用:大人500円、小人200円(中学生以下)
尾瀬沼トレッキング
国立公園特別保護地区、特別天然記念物、ラム
サール条約湿地に指定された尾瀬は、自然の恵
みや生物多様性の重要性について学習するのに
優れた天然の素材。普段の生活では得られない
体験・感動が得られます。
─ 30 ─
5−⑵ 「
“只見ブナ林”自然環境学習」と「学習素材(只見町)
」の組合せ事例
ここでは、ブナ林での学習と只見町の学習素材を組み合わせたモデル事例を紹介します。
なお、ここに記載してある金額は、平成25年度の額を参考にしてあります。実施の際には個
別に確認されるか、または旅行代理店に見積を依頼してください。
また、福島県の助成制度「ふくしまっ子移動教室体験活動応援補助事業」
(福島県内の学校を
対象)を活用した想定での記述となっています。助成制度については、第4章⑹を参照してく
ださい。
<“只見ブナ林”自然環境学習 モデルコース1>
[コース概要]1泊2日
1日目 田子倉湖 ~ ただみ・ブナと川のミュージアム ~ 季の郷 湯ら里(宿泊)
2日目 恵みの森沢歩き ~ 森林の分校ふざわ
[設定]参加者:福島市の小学校、人数:40人+引率者5人、時期6月~10月
日 程
第 1 日 目
8:00
学校
出発
11:30〜12:00
バス
約3時間
(南会津町経由
磐梯河東IC)
第 2 日 目
8:00
季の里湯ら里
田子倉湖遊覧船
ブルーレイク
乗船
12:15〜13:15
湖畔レストラン
田子倉レークビュー
昼食
13:30〜15:30
バス
15分
ただみ・ブナと川のミュージアム
(只見ブナセンター)
見学と学習
出発
バス
40分
季の里湯ら里
夕食・宿泊
※1周30分、
定員50名
8:40〜12:20
バス
40分
16:10〜
12:40〜13:40
A班 恵みの森3時間+森林の分校ふざわ
バス
20分
B班 森林の分校ふざわ+恵みの森3時間
※小学校低学年や雨天時は「癒しの森」
※恵みの森への道は狭く、
大型・中型バスは不可。
マイクロバス1台を手配して時間差で送迎する。
凡例 バス 徒歩
16:40
バス
約3時間
森林の分校ふざわ
昼食
(
南会津町経由
磐梯河東IC
)
学校
帰着
※公共交通機関の時刻は、毎月変わりますので、計画策定時にご確認下さい。
[経費見込み
(目安)
]
(税別)
金 額
内 容
(福島〜只見)
200,000円
助成金対象 交 通 費・ 138,650円〜 バス借上料
高速道路料金 ※1
12,400円
経 費 体験学習費
50,000円〜
マイクロバス代 ※2
22,500円
田子倉湖遊覧船 ※3
ただみ・ブナと川の
7,250円
ミュージアム入館料 ※4
26,500円
恵みの森ガイド料 ※5
(補助額 180,000円)
※6
宿 泊 費
97,500円
宿泊代
(湯ら里)※7
322,500円
(補助額 225,000円)
※8
小 計
236,150円〜
助成金対象 食 料 費
90,000円
昼食代
(田子倉レークビュー)※9 45,000円
外 経 費
45,000円
昼食代
(森林の分校)※10
合
計
326,150円〜
─ 31 ─
※1 福島西IC~会津坂下IC:所要時間約70分、会津坂下IC~只見町:所要時間約90分。途中、
磐梯山PA及び尾瀬街道三島宿(国道252号沿い)でトイレ休憩。
※2 森の分校ふざわ~恵みの森間は、中型・大型バス通行不可能のため小型バスが必要。
※3 30分周遊コース、大人900円、子ども450円。15名以上で団体割引あり
※4 20名以上の団体割引額で算出。
※5 10名ごとに1名必要。ガイド料5,000円/人×5班、他に手配料5%、消費税、保険料(任意申し
込み)が必要。
※6 補助額は1活動日・1人あたり2,000円。交通費と体験活動費の合計額に適用。
※7 1泊2食、小中学生7,000円~、引率者8,500円~、夕食なしは2,000円引き。
※8 補助上限額5,000円(1人1泊あたり)
※9 昼食代1,000円~2,000円/人。和座敷50人、テーブル席もあり
※10 森林の分校ふざわ1,000~1,500円/人×45人
<“只見ブナ林”自然環境学習 モデルコース2>
[コース概要]2泊3日
~ 季の郷 湯ら里(宿泊)
1日目 ただみ・ブナと川のミュージアム
(只見ブナセンター)
体験学習 ~ 青少年旅行村・古民家(宿泊)
2日目 癒しの森 ~ 森林の分校ふざわ、
3日目 J-POWER 只見展示館 ~ 田子倉発電所 ~ 田子倉湖遊覧
[設定]参加者:首都圏の小学校、人数:40人+引率者5人、時期6月~10月
日 程
第 1 日 目
11:16
12:45 12:56
13:04 13:10
東京駅
浦佐駅
小出駅
只見駅
乗換
到着
第 2 日 目
8:00
出発
季の里
湯ら里
朝食
(車内で弁当昼食) 乗換
JR新幹線Maxとき
JR上越線・
越後湯沢線
8:25
〜11:30
バス
25分
JR
只見線
12:00
〜13:00
癒しの森(散策3時間)
バス
20分
ガイド同行
14:35
〜16:30
14:28
バス
5分
森林の分校ふざわ
つる細工
昼食
体験
第 3 日 目
バス
青少年旅行村 10分
いこいの森
朝食
J-POWER
只見展示館
見学
バス
5分
田子倉
発電所
見学
バス
40分
季の里
湯ら里
宿泊
15:40
バス
40分
青少年旅行村いこいの森
飯盒炊飯・古民家に宿泊
※教員はコテージ、
バンガローに宿泊。
9:45
〜11:00
9:00
〜9:40
ただみ・ブナと川のミュージアム
(只見ブナセンター)
見学と学習
13:00
〜15:00
※雨天時は旅行村内散策、
木工体験等
8:30
16:40〜
11:05
11:45
〜11:45 〜12:15
徒歩
5分
14:02
バス
田子倉湖 湖畔レストラン 1時間30分 会津
遊覧船 田子倉レーク
田島駅
ビュー 昼食
乗船
出発
※1周30分、
定員50名
15:02 15:05
鬼怒川
温泉駅
乗換
会津鉄道快速
AIZUマウント
エクスプレス号
17:18
新宿駅
到着
特急
スペーシア
きぬがわ
凡例 バス 徒歩 電車
※公共交通機関の時刻は、毎月変わりますので、計画策定時にご確認下さい。
─ 32 ─
[経費見込み
(目安)
]
(税別)
金 額
交 通 費・
863,000円
体験学習費
内 容
電車賃
(東京~只見)
※1
200,000円
電車賃
(会津田島~新宿)※1
170,000円
バス借上料
(只見~南会津)
280,000円
ただみ・ブナと川のミュージアム入館料 ※2
宿 泊 費
食 料 費
合 計
362,500円
135,000円
7,250円
癒しの森ガイド料 ※3
26,250円
つる細工体験 ※4
71,500円
只見町青少年旅行村入村料 ※5
18,000円
いこいの森飯盒炊飯体験 ※6
67,500円
田子倉湖遊覧船 ※7
22,500円
宿泊代
(湯ら里)※8
322,500円
宿泊代
(古民家等)※9
40,000円
昼食代
(新幹線内駅弁)※10
45,000円
昼食代
(森林の分校ふざわ)※11
45,000円
昼食代
(田子倉レークビュー)※12
45,000円
1,360,500円
※1 団体割引適用の場合です。
※2 20名以上の団体割引額で算出。
※3 10名ごとに1名必要。ガイド料5,000円/人×5班、他に手配料5%、消費税、保険料(任意申し
込み)が必要。
※4 1,500円(かご作り)/人×45人、所要時間2~2.5時間。最少8名から最大50名まで。森林の分校
ふざわの部屋を借りて実施(施設使用料は3時間で4,000円)。
※5 旅行村入村料400円/人・日×45人
※6 1,500円/人×45人。必要に応じてバーベキューセット、キャンプ用燃料等の手配。
※7 30分周遊コース、大人900円、子ども450円。15名以上で団体割引あり
※8 湯ら里1泊2食、小中学生7,000円~、引率者8,500円~、夕食なしは2,000円引き。
※9 児童は古民家(28,000円/棟)、教職員はコテージ(12,000円/棟)等に宿泊。宿泊施設にシャワ
ー施設(300円/3分間)あり。なお、約2.2km離れた只見町保養センター(ひとっぷろ まち湯)
を利用する場合は、大人500円、小中学生200円。
※10 駅弁代1,000円程度/人×45人
※11 森の分校ふざわで昼食。1,000~1,500円/人
※12 昼食代1,000~2,000円/人。和座敷50名、テーブル席もあり
─ 33 ─
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