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岡山大学大学院ビジネススクール 経営者特別講義第2回

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岡山大学大学院ビジネススクール 経営者特別講義第2回
Bank of Japan, Okayama Branch
岡山大学経済学部
経済経営特殊講義
第2回
地方経済と地域金融機関
平成27年5月1日
日本銀行岡山支店長
屋 敷 利 紀
1.日本銀行岡山支店
岡山市北区丸の内1-6-1
現店舗 (昭和62年9月竣工)
大正11年4月1日、日本銀行15番目の
支店として岡山市内山下1-6-20に開設
http://www3.boj.or.jp/okayama/
旧店舗(現ルネスホール)
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
2
2. 日本銀行の概要
(1)中央銀行の役割
 中央銀行の果たす役割
 「発券銀行」、「銀行の銀行」、「政府の銀行」
① 「発券銀行」としての役割
 銀行券を独占的に供給
 銀行券は「法貨として無制限に通用する」
② 「銀行の銀行」としての役割
 銀行等民間金融機関に対し、預金・貸出を実行
 一般の企業や個人に対する銀行の関係に似ているところから「銀行
の銀行」と呼ばれる
③ 「政府の銀行」としての役割
 政府資金の出納事務を実施
 当該事務を中央銀行が行うかどうかは国によって異なる
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
3
(2)世界の中央銀行
設立年
中央銀行
国(通貨)
1668(世界最古) リクスバンク
スウェーデン(クローネ)
1694
イングランド銀行
英国(ポンド)
1882
日本銀行
日本(円)
1913
連邦準備制度
米国(ドル)
1998
欧州中央銀行
ユーロ諸国(ユーロ)
 イングランド銀行(BOE)
民間実業家の出資により設立後、1825年の恐慌を機に他の民間銀行が支払準備をBOE
に預入、BOEを中心とする決済システムが確立
1844 年の銀行条例でイングランド銀行券が強制通用力をもつ法貨としての地位を確立
 連邦準備制度(FRS)
連邦準備制度理事会(FRB)の下、民間銀行出資による12 の地区連銀が業務を遂行
 欧州中央銀行(ECB)
ECBがユーロ導入国の金融政策を一元的に決定、当該方針の下、各国の中央銀行が業
務を遂行
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
4
(3)日本銀行の目的・役割
日本銀行法
第一条 日本銀行は、我が国の中央銀行として、銀
行券を発行するとともに、通貨及び金融の調節
を行うことを目的とする。
2 日本銀行は、前項に規定するもののほか、
銀行その他の金融機関の間で行われる資金
決済の円滑の確保を図り、もって信用秩序の
維持に資することを目的とする。
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
5
(4)日本銀行の現状
 設立
1882年(明治15年)
 組織
本店・支店(32)・事務所(14)・
海外事務所(7)
職員数:約4,700名
 法的性格
認可法人
資本金1億円(政府出資55%)
※職員は 「みなし公務員」
 総裁
黒田東彦
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
6
(5)国内本支店・事務所
※ 海外事務所: ニューヨーク、ワシントン、ロンドン、パリ、フランクフルト、香港、北京
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
7
(6)日本銀行の業務概要
金融政策
「物価の安定」に向けた政策企画等
信用秩序維持政策
「金融システムの安定」に向けた施策の企画等
(考査、オフサイト・モニタリング、「最後の貸し手」 )
銀行券の発行・流通の管理、国庫・国債事務、
決済システム・市場基盤の整備、システム企画・
開発等
国際金融システム安定に向けた取組み、海外
中央銀行等との協調等
国内外の経済・金融市場の分析、日銀短観・
物価指数の作成、経済理論の研究等
記者会見、国会向け説明、広く国民に向けた
広報、金融教育等
中央銀行としての業務運営・企画
国際金融
調査・研究
情報発信・広報
組織運営に関する業務
経営企画、採用、人材育成、施設管理等
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
8
(7)銀行券の発行・流通・管理
 日本銀行はわが国唯一の「発券銀行」
 日本銀行券は、法貨(法律により強制通用力を付与された通貨)
として、無制限に通用(日銀法第46条第2項)。
 偽札を作ること、使用すること、使用の目的で人に渡すことは罰せ
られる。銀行券を受け取った後、それが偽札と知りながら使用す
ることも罰せられる。
(主な取締法規)
 通貨偽造・変造罪(刑法第148条第1項)
 偽造通貨・変造通貨の行使罪(刑法第148条第2項)
→ 無期又は3年以上の懲役
 収得後知情行使等罪(刑法第152条)
→ 額面価格の3倍以下の罰金又は科料
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
9
(8)日本銀行券の一生
※図中の計数は平成24年中または24年12月末時点で、
支払、受入及び保有高には貨幣を含む。
家計・企業など
(保有高 82.6兆円)
預入
預金引出
損傷した銀行券
の引換
国立印刷局
新札
岡山支店銀行券受払高(26年中)
払出:7,722億円 受入:4,692億円
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
金融機関
(保有高 8.7兆円)
支払 58兆円
受入 55兆円
日本銀行
鑑査・消却
1万円札で計1.24億枚
積み重ねると12.4km
(大山の7.2倍)
10
(9)政府の銀行
 国庫金の受払:約4.6億件、約2,500兆円/年
⇒ 一般会計予算の25倍
 国民年金や交通反則金の納付書には「国庫金」と記載
日本銀行は国庫金に関する事務の一部を金融機関に委託
 殆どの金融機関(郵便局を含む)の店舗は「日本銀行歳入代理店」、
「日本銀行歳入復代理店(郵便局の場合)」(店頭に掲示あり)
 日本銀行本支店だけでなく、全国殆どの金融機関(郵便局を含む)
で国庫金を納付できる
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
11
(10)通貨の種類
中央銀行通貨 日本銀行当座預金
マネタリーベース
現金通貨
日本銀行券
貨 幣
マネーストック
民間金融機関預金
預金通貨
準通貨
当座預金 普通預金
定期預金等
マネタリーベース・・・ ベースマネー、ハイパワード・マネーとも呼ばれる
マネーストック・・・・・・通貨量の残高を集計した統計。日本銀行は、M1、
M2、M3、広義流動性の4 種類を作成・公表
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
12
(11)物価の安定
 「物価の安定」とは、家計や企業等の様々な経済主
体が物価水準の変動に煩わされることなく、消費や
投資などの経済活動にかかる意思決定を行うことが
できる状況
 物価の安定は、「効率性」「公平性」の観点から経済
発展の基礎となるもの
 日本銀行は、金融政策の運営を通じて、物価の安定
に貢献
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
13
(12)金融政策の決定
政策委員会の9名の委員が、多数決により、当面の
金融政策の運営方針を決定

── 会合は毎月1~2回、通常2日間開催。必要に応じ、臨時に開催。
27年4月30日
当面の金融政策運営について
日本銀行は、本日、政策委員会・金融政策決定
会合において、次回金融政策決定会合までの
金融市場調節方針を、以下のとおりとすることを
決定した(賛成8、反対1)。
マネタリーベースが、年間約80兆円に相当する
ペースで増加するよう金融市場調節を行う。
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
14
(13)オペレーション(公開市場操作)
• 資金需要の増加(資金不足) ⇒ 金利は上昇
• 資金需要の減尐(資金余剰) ⇒ 金利は低下
金融政策
決定会合
金融市場調節方針
短期金融市場
金融市場局
オペレーション
(資金の供給/吸収)
銀行の貸出など
(金利・スタンス)
オペレーション先(金融機関)
A銀行
企業・家計の
投資・消費行動
D短資
B証券
C金庫
・・・
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
15
(14)オペレーション手段
① 資金供給のためのオペレーション
名称
期間
金利
概要
共通担保資金供給 1年以内
入札/0.1%
差入担保を裏付に資金を供給
国債買現先
1年以内
入札
国債を売戻条件付で買入
CP/社債買現先
3ヵ月以内
入札
適格CP/社債を売戻条件付で買入
外貨資金供給
3ヵ月以内
固定
ドル、カナダドル、ポンド、ユーロ、スイスフラン
国庫短期証券買入 買い切り
入札
国庫短期証券を買入
国債買入
買い切り
入札
利付国債を買入
ETF/JREIT買入
買い切り
入札
ETFはTOPIX、日経225、JPX400連動
② 資金吸収のためのオペレーション
名称
期間
金利
概要
手形売出
3ヵ月以内
入札
日銀振出手形を売却
国債売現先
6ヵ月以内
入札
国債を買戻条件付で売却
国庫短期証券売却
売り切り
入札
国庫短期証券を売却
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
16
(15)相対型金融調節手段
名称
期間
金利
概要
補完貸付制度
1日
0.3%
オペレーションによる金融調節の枠組みを補
完する目的で取引先金融機関からの申込みに
応じて差入担保の範囲内で貸付
補完当座預金制度
――
0.1%
法定準備預金を超える金融機関預金に利息を
付すもの
貸出支援基金
4年以内
0.1%
わが国経済の成長基盤強化及び貸出増加に
向けた民間金融機関の取組みを支援
補完貸付・当座預金制度により「量的・質的金融緩和」導入前の
誘導目標である無担保コールオーバーナイト物レートは双方の金
利の間(0.3~0.1%)で変動する=corridor
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
17
(16)金融システムと日本銀行


企業や家計など経済主体間における、資金やリスク(損失発生
等の可能性)の移転・配分を行うための仕組み全体
多くの金融機関や金融市場、決済システムで構成
金融機関
・ 都銀
・ 地域金融機関(地銀、第二地銀、信金)
・ 証券会社、短資会社
等
取引
決済
決済システム
日銀ネット
100兆円超/日
取引
金融市場
・ 短期金融市場 (コール、レポ市場など)
・ 証券市場 (国債、株式市場など)
・ 外国為替市場
等
取引
決済
日本銀行
決済
決済
決済
資金決済システム
証券決済システム
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
清算機関
18
(17)決済システム(資金決済の例)
実家B
学生A
仕送りの依頼
振込依頼
入金通知
D銀行
C銀行
Aの預金口座
Bの預金口座
当日中
+ 入金
- 引落し
データ送信
データ受信
全国銀行データ通信システム
計算結果通知
振替
C銀行の日本銀行
当座預金口座 -
振替
日本銀行
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
D銀行の日本銀行
当座預金口座 +
16:15
19
(18)金融システム安定に向けた日本銀行の取組み
 決済手段の提供
→ 銀行券の発行・流通・管理のほか、金融機関から預金(日
銀当座預金)を預かり、これらの預金を通して金融機関に
決済サービスを提供する
 金融機関の経営実態の把握
→ 取引先金融機関への立入り調査(考査)、調査・経営分析
(オフサイト・モニタリング)を行い、必要に応じて取引先金融
機関に対して指導・助言する
 「最後の貸し手」
→ 金融システムの安定確保のため、特別な資金供給(貸出)
を行う
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
20
(19)日本銀行の金融システム安定に向けた業務
 債権者としての与信管理
 銀行券の流通、決済システムの安定的な運行、各種オペレーション、流動性
の供給(日中当座貸越)、最後の貸し手機能(後述)、国庫金の収納・支払い
等、取引先金融機関に様々な与信を実施。
 中央銀行業務で得られた情報の活用
 中央銀行業務を通じて得られる知見や問題意識とあわせて活用することに
よって金融システムの安定確保に向けた取り組みを効果的に遂行。
 政府(金融庁、財務省)との緊密な連携
 金融庁…規制・監督当局の立場から、金融機関や金融市場等に関する法令
等の企画・立案や免許付与を含む各種行政措置や検査等を実施。
 財務省…健全な財政の確保等の観点から、金融機関の破綻処理制度や金
融危機管理に関する企画・立案の実施。
 日本銀行…上記活動を金融庁、財務省と適切に連携・協力しながら実施す
ることにより金融システムの安定確保に注力。
⇒ リーマンショック後の世界的な金融危機時にも有効に機能
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
21
(20)マクロプルーデンス
 マクロプルーデンスの重要性
 個別金融機関の抱えるリスクを把握・経営改善を促す「ミクロ・
プルーデンス」の視点だけでなく、実体経済と金融市場、金融機
関行動の相互連関も意識し、金融システムを全体として捉えて
リスクの所在を分析・評価する「マクロ・プルーデンス」が重要
 マクロプルーデンスで日本銀行が果たす役割
 日本銀行は、①金融政策運営主体として金融経済環境を幅
広く分析・評価、②金融調節や決済システムの運営等を通じて
金融市場や資金決済の動向をモニターし、これらに関する専
門的・経験的知見(マーケット・インテリジェンス)を蓄積、③金
融機関の連鎖破綻を防ぐ最後の貸し手機能を担っていること
から、マクロ・プルーデンス面で果たすべき役割は大きい。
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
22
(21)信用秩序維持を目的とした信用供与等
名称
概要
日本銀行法
根拠条文
日中当座貸越
日本銀行に差入られている共通担保を担保とする当座
貸越(期間:日中、無利息)
第33条
国債同時決済時
の日中当座貸越
国債と資金を同時に決済する際、取引先から受取る国
債を担保とする日中当座貸越(期間:日中、無利息)
第33条
補完貸付
オペレーションによる金融調節の枠組みを補完する目
的に取引先金融機関からの申込みに応じて貸付(期
間:翌日物、利息:基準貸付利率0.3%)
第33条
有担保貸付
最
後
一時貸付
の
貸
し
手
機 特融等
能
個別金融機関に対して機動的、弾力的に実行する有担 第33条
保貸付(期間:翌日物、3か月、利息0.3%)
コンピュータ・システム障害等の偶発的な事由により不
測の一時的な資金不足が生じた金融機関等に対して
資金決済の円滑確保の必要に応じて実行する無担保
貸付(期間:1か月以内、利息:政策委員会が決定)
第37条
システミック・リスクの顕在化の恐れがある場合、政府
から要請を受けて、担保を徴求しない等の特別な条件
で実行する貸付等
第38条
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
23
3. 地方経済の将来像
(1)人口問題に対する基本認識
 2008年に始まった人口減尐は、今後加速度的に進む
• 将来推計人口…2060年:8,674万人、2110年:5,000万人を切る
 人口減尐の状況は、地域によって大きく異なる
① 若年人口減尐、老年人口は増加する時期(2010~2040年)
② 老年人口が維持から微減する時期(2040~2060年)
③ 老年人口も減尐していく時期(2060年以降)
• 岡山、倉敷地区は①、その他は既に②、③へ
 人口減尐は地方から始まり、都市部へ広がる
• 大都市も、地方の人口減尐で人材流入が枯渇すればいずれ衰退
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
24
(参考)岡山県の人口推移
人
2,000,000
老年人口
1,800,000
生産年齢人口
1,600,000
年尐人口
1,400,000
1,200,000
1,000,000
800,000
600,000
400,000
200,000
0
1920 25
30
35
40
45
50
55
60
65
70
75
80
85
90
95 2000 05
10
15
20
25
30
35
40
(出所)総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来人口推計」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
25
(2)「人口減尐」が地方経済に与える影響
 人口減尐は経済に対して大きな重荷に
• 人口減尐に伴う高齢化は経済の重荷(人口オーナス)に
• 人口減尐以上に経済規模が縮小し、一人あたりの国民所得
が低下
 人口減尐で地方経済が重大な局面を迎える
• 人口減尐で地方経済が「縮小スパイラル」に陥るリスクも
• 地方では、2050年には、現在の居住地域のうち6割以上の地
域で人口が半分以下に、2割の地域では無居住化との推計
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
26
(3)東京圏への人口の集中
 東京圏には過度に人口が集中
• 東京圏には、過度に人口が集中。集積のメリットを超えて、長
時間通勤、住宅価格の高さ、など様々なひずみや弊害が発生
 生産性の高い東京圏への人口流入が続く
• 人口流入が続いているのは東京圏だけ
• 現在の転入は増加
• 今後も介護・医療の需要の拡大等に伴いさらに拡大
 東京圏への人口の集中が人口減尐に拍車
• 若い世代が、地方から尐出生率の大都市に移動することによ
り、日本全体として人口が減尐
• 大都市ほど、子育ての機会費用が高く、出生率は低い傾向
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
27
▽東京圏への一極集中
80
(万人)
▽生産性と人口増減
0.8
東京
60
流入超
0.6
流出超
転
入 0.4
超
過 0.2
数
(
総 0.0
人
口 -0.2
比
、
% -0.4
)
40
20
0
-20
-40
-60
地方圏
名古屋圏
大阪圏
東京圏
愛知
大阪
-0.6
-0.8
-80
1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 2010
年
(資料)総務省「住民基本台帳人口移動報告」
-0.3
-0.2 -0.1 0.0
0.1
0.2
0.3
0.4
労働生産性(全国からの乖離、対数)
0.5
(資料)総務省「住民基本台帳人口移動報告」、
経済産業研究所「RJIPデータベース2012」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
28
▽人口集中と生産性の関係
▽大都市圏の出生率(2011年)
①人口密度が2倍になった場合の生産性上昇
(森川[2008])
14
20 (%)
東京
12
15
10
10
5
0
サービス業平均
小売業
製造業
②産業集積度が1標準偏差上昇した場合の生産性上昇
(Dekle[2002])
0.6
0.5
0.4
0.3
0.2
0.1
0.0
人
口
(
百
万
人
)
神奈川
大阪
愛知
8
6
4
(%)
沖縄
(
有
意
性
の
棄
却
)
サービス業
金融業
卸・小売業
2
0
1.0
1.2
1.4
1.6
1.8
2.0
合計特殊出生率
製造業
(資料)国立社会保障・人口問題研究所
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
29
4. 政府の施策(まち・ひと・しごと創生)
(1)人口減尐問題への取組
人口減尐に対する国民の危機感は高まっている
• 9割近くが「人口減尐は望ましくない」と回答(14/8月世論調査)
―― 「人口減尐の歯止めに取り組むべき」との回答は7割
出生率は政策で変わり得る
• フランスやスウェーデンは、一旦出生率が低下しながら、子育て
支援やワークライフバランスの実現により、出生率を回復
人口減尐対策は時間がかかる⇒早ければ早いほど効果
• 人口減尐対策の効果が出るには長い期間を要する
• 迅速な対策により出生率が早く上昇すればするほど効果は高い
―― 回復が5年遅れると将来人口は300万人/年減尐
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
30
(2)今後の取組の基本的視点
 人口減尐に歯止めをかけ、社会システムを再構築
• 人口減尐に歯止めをかける「積極戦略」を
• 一方、一定の人口減尐を前提に、効率的・効果的な
社会システムを再構築する「調整戦略」も推進
 「国民の希望」の実現に注力
 若い世代の結婚・2人以上の子を持ちたい希望は強い
 東京在住者の4割が地方への移住を予定・今後検討の意向
 こうした国民の希望の実現に全力で取り組むべき
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
31
(3)目指すべき将来の方向
① 「活力ある日本社会」の維持のために
 人口減尐に歯止めを
• 「活力ある日本社会」を維持するため人口減尐に歯止めを
• 結婚・出産への国民の希望が実現すれば出生率は1.8程度に
 この水準は、OECD諸国の半数以上の国が実現…日本がまず
目指すべき水準
 人口減尐に歯止めがかかれば50年後の人口は1億人程度
• その後2090年頃には人口が安定
 さらに、人口構造が「若返る時期」を迎える
• 人口減尐の歯止めが実現すると、将来日本は高齢化率が年々
下がっていく「若返りの時期」を迎え、経済的に好環境へ
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
32
② 地方創生が目指す、多様な日本社会の姿
 地域資源を活かし、心豊かな生活が送れる地域社会を実現
• 地方創生で地方の人口減尐に歯止め⇒地方が先行して若返る
• 豊かな地域資源を活かし、「若い人材によるイノベーション」+
「人々が心豊かに生活を送る地域社会」の実現を目指す
 一層安全・安心な東京圏を実現
• 東京一極集中の是正は、東京圏の過密・人口集中を改善させ、
一層安全・安心な生活空間を実現
• 地方移住の希望の実現は東京一極集中の是正にも資する
• 東京圏は世界に開かれた「国際都市」としての発展を目指す
 それぞれの地域が強みを活かす「多様な日本社会」を実現
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
33
(4)活力ある社会を実現する総合戦略
① 人口減尐と地域経済の縮小の悪循環を断ち切る
• 『人口減尐が地域経済の縮小を呼び、地域経済の縮
小が人口減尐を加速させる』悪循環を断ち切る
• 地方において「まち・ひと・しごとの創生」の好循環を確
立し、地方への新たな人の流れを生み出す
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
34
② 3つの基本的視点
(イ) 東京圏における人口の過度の集中を是正
• 地方⇒東京圏の人口流入(特に若い世代)に歯止めを
• 「しごとの創生」と「ひとの創生」の好循環を実現
(ロ) 若い世代の就労・結婚・子育ての希望を実現
• 若い世代が安心して働き、希望通り結婚し、子育てができ
るような社会経済環境を実現
(ハ)地域の特性に即して地域課題を解決
• 中山間地域をはじめ地域が直面する課題を解決し、地域
において心豊かな生活を確保
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
35
▽ 岡山県を移住先として選んだ理由
▽ 東京在住者の移住希望の有無
(移住を検討する割合、%)
60
50
40
30
男性
20
女性
10
(資料)県資料(2014年度の移住相談会におけるアンケート結果)
(注)複数回答
0
10・20代
30代
40代
50代
60代
▽人材の多様性と労働生産性
80
▽ ふるさと暮らし希望地域ランキング
時
間
あ
た
り
労
働
生
産
性
(
ド
ル
)
ノルウェー
70
米国
60
50
日本
40
30
20
10
0
0.2
(資料)NPO法人ふるさと回帰支援センター
「ふるさと暮らし希望地域ランキング」(2014年)
0.4
0.6
0.8
1.0
1.2
ジェンダー・エンパワーメント指数
(男女共同参画の度合い)
(資料)山口一男(2011)「労働生産性と男女共同参画」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
36
▽ 生涯未婚率(男性)
(%)
20.14
未婚化
20.00
▽ 生涯未婚率(女性)
18.00
15.96
14.00
全国
12.00
岡山
8.00
12.57
7.25
全国
13.16
6.00
10.00
5.57
6.00
4.00
1.46
1.25
5.82
1.70
1.38
1.47
2.02
70
80
2.00
0.00
2000
05
10
1.35
32 (歳)
晩婚化
30.8
31.2
31.1
0.87
1950 年 60
70
30.9
30.7
30.1
27
27.4
26.5
26.87
80
90
2000
05
29.69
29.46
28.14
26.26
全国
岡山
24.61
24.09
23
22
70
25.11
24.65
23.60
24.03
岡山
10
28
24
25
1950年 60
28.58
晩婚化
25
全国
26.2
05
29.42
24.96
27.5
26.2
25.0
2000
30 (歳)
27
29.5
27.9
26
90
▽ 平均初婚年齢(女性)
26
28
80
29.13
30
28.7
3.00
3.18
1.27
29
30.4
29
1.87
2.24
▽ 平均初婚年齢(男性)
31
5.38
4.21
3.88
90
4.33
3.33
4.00
2.60
1.26
1950年 60
10.01
8.62
岡山
4.45
8.00
0.00
10.61
未婚化
17.77
16.00
2.00
(%)
10.00
10
22.73
1950年 60
70
80
90
2000
05
10
(資料)国立社会保障・人口問題研究所「人口問題資料集」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
37
▽ 希望結婚年齢(全国)
31
(歳)
30.4
29
28.9
28.4
28.4
28.1
26
28.1
26.5
89.1
87.0 88.3
87.0
90.0
86.3
89.4
70.0
男性
60.0
女性
男性
40.0
女性
30.0
未婚者の結婚意欲は依然として高い
20.0
結婚希望年齢は上昇
25.6
85.9
50.0
27.4
27
90.0 90.2
80.0
29.3
28
91.8 92.9
90.0
30.0
29.8
30
▽ 未婚者の結婚への意欲(全国)
(%)
100.0
10.0
0.0
25
1987 年 92
97
2002
05
1987 年 92
10
▽ 夫婦の理想子ども数と予定子ども数(全国)
2.80
理想子ども数
予定子ども数
2.70
2.61
2.9
2.67
2.62
2.8
2.64
2.60
2.53
2.48
10
(人)
理想子ども数と予定子ども数
にギャップが存在
2.73
2.72
2.6
2.42
2.40
2.30
2.5
理想子ども数
2.4
予定子ども数
2.3
2.20
2.10
05
2.7
2.56
2.50
2002
▽ 同左(岡山)
3
(人)
97
2.17
2.20
2.23
2.18
2.16
2.2
2.13
2.11
2.07
2.00
1977 年 82
87
92
97
2002
05
10
2.1
2.31
2.35
2
08 年
13
(資料)国立社会保障・人口問題研究所「第14回出生動向基本調査」、岡山県「県民意識調査」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
38
▽子どもを増やすにあたっての課題
70
子育てや教育にお金がかかりすぎる
働きながら子育てができる職場環境が無い
「子育てや教育にお金がかかり
すぎる」への回答割合(地域別)
自分または配偶者が高年齢
家が狭い
北海道
東北
北関東
首都圏
北陸
中部
近畿
中国・四国
九州・沖縄
これ以上、自分または配偶者が育児の
心理的、肉体的負担に耐えられない
保育サービスが整っていない
雇用が安定しない
妊娠・出産のときの身体的・精神的な苦痛
子どもがのびのび育つ社会環境でない
健康上の理由
配偶者の家事・育児への協力が得られない
68
71
72
68
70
70
69
73
73
0 20 40 60 80 100
特にない
(回答率、%)
自分の昇進・昇格に差し支える
その他
0
20
40
60
80
(回答率、%)
(注)調査時期:2011年11月
(資料)内閣府「都市と地方における子育て環境に関する調査」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
39
▽女性の労働力率と出生率(2010年)
▽地方大学の活性化
(合計特殊出生率)
2.0
(件数)
沖縄
700
1.8
600
島根
大学発ベンチャー設立累計(2010年時点)
500
400
1.6
鳥取
300
愛知
200
1.4
100
0
大阪
1.2
北
海
道
相関係数=0.38
東京
東
北
1.0
60
65
70
75
80
85
関
東
(
除
く
東
京
)
東
京
東
海
・
北
陸
近
畿
中
国
・
四
国
九
州
・
沖
縄
(30~44歳女性の労働力率、%)
(資料)国立社会保障・人口問題研究所
(資料)文部科学省
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
40
▽ 岡山県の転出入の推移
3,000
転
入
超
(人)
阪神淡路大震災
中国・四国地方の他県からは転入超
東日本大震災
2,000
その他
中国・四国
1,000
中京・近畿圏
0
首都圏
-1,000
-2,000
転
出
超
-3,000
三大都市圏へは転出超
-4,000
1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013
▽ 岡山県の15-24歳の都道府県別転出入超
中国・四国地方の全て
の県から転入超!!
1000
(人)
500
転
転
入
入
超
超
0
-500
-1000
三大都市圏
への転出超
-1500
-2000
転
転
出
出
超
超
沖鹿宮大熊長佐福高愛香徳山広島鳥和奈兵大京滋三愛静岐長山福石富新神東千埼群栃茨福山秋宮岩青北
縄児崎分本崎賀岡知媛川島口島根取歌良庫阪都賀重知岡阜野梨井川山潟奈京葉玉馬木城島形田城手森海
県島県県県県県県県県県県県県県県山県県府府県県県県県県県県県県県川都県県県県県県県県県県県道
県
県
県
(資料)総務省「住民台帳人口移動報告」、「国勢調査」
(注)2010年時点における5年前の常住地からの変化
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
41
▽ 岡山県の60-64歳の転出入超数
▽ 岡山県の25-29歳の転出入超数
京都府 (
大阪府
大阪府
兵庫県
鳥取県
奈良県
北海道
東京都
一転、京都・大阪
からは転入超に
神奈川県
広島県
下
宮崎県
東京都 位
島根県
広島県 都
福岡県
5
神奈川県
愛知県
(人)
道
府
県
)
-400
鳥取県
山口県
-200
0
200
400
(校)
全国第3位
1.37 1.40
1.18
1.12 1.12 1.14
1.06 1.08
定年退職を機
に帰郷する動
きを反映
下
位
5
都
道
府
県
)
(人) -500
-300
-100
100
300
全国第10位
64.0
56.8
1.60
1.20
0.80
70.0
60.0
50.0
1.40
1.00
40.0
25.3 26.7 26.8 27.0 27.1
23.4 23.6 25.1
0.60
30.0
20.0
0.40
10.0
0.20
0.0
0.00
福 奈 岐 青 秋 山 東 岡 石 京
岡 良 阜 森 田 梨 京 山 川 都
500
(人)
2.00
1.80
1.47
三大都市圏から
の転入超
▽ 人口千人当たり大学・短大生数
▽人口10万人当たり大学・短大数
1.83
(
上
位
5
都
道
府
県
)
(
Uターン就職
などを反映
(
兵庫県
上
位
5
都
道
府
県
)
転入超
転出超
転入超
転出超
岡 兵 宮 福 愛 石 大 滋 東 京
山 庫 城 岡 知 川 阪 賀 京 都
(資料)文部科学省「学校基本調査」、総務省「人口推計」、「国勢調査」
(注)2010年時点における5年前の常住地からの変化
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
42
5.地方経済の持続的発展へ
(1)一人当たり付加価値の向上
 人口減の中でも地方経済を維持・拡大
⇒ 人口が減尐しても、一人当たり付加価値が
高まれば経済規模の維持・拡大が可能
⇒ 各地方の強みを生かし、地方企業の付加価
値を高めることが必要
▽都道府県別賃金
1位
東
京
613万円
20位
岡
山
440万円
全国平均
480万円
賃金(≒一人当たり付加価値)
は東京の7割!
(資料)賃金構造基本調査(平成26年度)
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
43
(2)持続的発展の好循環を確立
地域金融機関の
関与が不可欠
地方企業の
生産性向上
地方への
人口回帰
地方の
賃金上昇
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
44
(3)地方経済の持続的発展と地域金融機関
地域金融機関における
積極的な金融仲介機能
の発揮
地域金融機関の
リスクテイク力向上
持続的な
好循環を
地域金融機関の
健全性向上
地方経済の発展
地域金融機関の
収益力向上
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
45
(4)15~25年後の岡山県
① 相対的に恵まれた岡山県
 生産年齢人口の減尐幅が小さく、生産年齢人口比率が高い
▽ 生産年齢人口の変化率が小さい
都道府県(2010-2040年)
▽ 生産年齢人口比率が高い
都道府県(2040年時点)
(全国平均からの乖離幅)
(全国平均からの乖離幅)
%P
全国第6位
13.7
%P
16.0
4.0
全国第8位
14.0
4.0
3.5
12.0
9.4
8.5 9.0
3.0
10.0
2.4
8.0
5.6
2.5
1.7 1.8
6.0
2.0
1.2 1.3
1.5
4.0
2.6
2.0 2.1
2.0
0.3 0.4
1.0
0.1 0.2
0.4 0.4
0.5
0.0
0.0
広
島
京
都
福
岡
埼
玉
岡
山
神
奈
川
東
京
愛
知
滋
賀
沖
縄
4.5
宮
城
福
岡
岡
山
大
阪
埼
玉
神
奈
川
滋
賀
沖
縄
愛
知
東
京
(資料)国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来人口推計」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
46
② 人口減尐は必至
▽ 人口増減率見通し(2010-2030年)
(%)
5
2010-2020の増減
2020-2030の増減
0
▲ 5
全国平均
▲8.9%
▲ 10
▲ 15
▲ 20
2010-2020の増減
2020-2030の増減
▲ 25
北青岩宮秋山福茨栃群埼千東神新富石福山長岐静愛三滋京大兵奈和鳥島岡広山徳香愛高福佐長熊大宮鹿沖
海
奈
歌
児
道森手城田形島城木馬玉葉京川潟山川井梨野阜岡知重賀都阪庫良山取根山島口島川媛知岡賀崎本分崎島縄
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
47
③ 非製造業のウエイトが上昇
▽ 岡山県の業種別就業者比率推移
84%
76%
100%
12%
90%
80%
18%
70%
7%
8%
60%
50%
21%
40%
30%
20%
2%
8%
16%
17%
18%
19%
20%
医療・福祉
19%
7%
8%
21%
21%
7%
8%
21%
23%
その他サービス業
24%
25%
26%
7%
8%
7%
7%
7%
7%
7%
7%
20%
20%
19%
19%
建設業
製造業
運輸・通信
公的サービス業
2%
7%
2%
6%
2%
5%
2%
5%
19%
2%
4%
2%
4%
18%
17%
16%
15%
15%
14%
5%
4%
3%
3%
2%
2%
2%
2010
2015
2020
2025
2030
2035
2040
10%
0%
14%
卸売・小売・飲食宿泊業
金融・保険業
農林水産業
総務省「国勢調査」、国立社会保障・人口問題研究所「日本の地域別将来人口推計」から試算
 非製造業の生産性向上が必要
地域金融機関の積極的な関与が不可欠!
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
48
6.地域金融機関の役割
(1)金融検査・監督、日本銀行考査の視点
① 金融庁検査と日本銀行考査
日本銀行考査
金融庁検査
法的根拠
日本銀行法(第44 条)を根拠と
した考査契約
銀行法(第25 条)等
目的・内容
最後の貸し手機能等の適切な
発揮に備えるため、業務および
財産の状況を調査し、その結果
に基づき助言等を行うこと
金融機関の業務の健全かつ適切
な運営を確保するため、法令等遵
守態勢、各種リスク管理態勢等を
検証し、問題点の指摘やそれに対
する認識を確認すること
適切な実施
を確保する
仕組み
正当な理由なく考査や情報提供
を拒絶した場合、その事実を公
表することがある(日本銀行の
当座預金取引等を解約すること
も妨げない)
検査を妨害、忌避する場合には罰
則が課されることがある
(クレディスイスファィナンシャルプ
ロダクツ銀行、UFJ銀行、日本振
興銀行等)
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
49
② 地域金融機関が抱える主なリスク
リスクの種類
リスクの内容
信用リスク
与信先(貸出先、保有有価証券の発行体、債務保証先等)の財
務状況の悪化などにより、貸出や有価証券等の資産価値か減
尐ないし消失するリスク(典型的には,貸出先の倒産により元利
金の支払いが受けられなくなるリスク)
市場リスク
金利や株価、為替レートの変動等に伴い、有価証券、外国為替
など保有している資産・負債の経済価値が変動し、損失が発生
するリスク(金利リスク、株式リスク、為替リスクなど)
流動性リスク
運用と調達の期間が一致していないため、多額の預金流出など
が生じた場合には、必要な資金を運用の見直しにより迅速に確
保できない、また通常より高金利での資金調達を余儀なくされる
といったリスク
オぺレーショナル
リスク
事務ミス、法令・規則違反、システム障害、自然災害等による業
務継続の困難化などによる損害の発生、顧客・市場からの信認
の低下などのリスク
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
50
③ 金融モニタリング方針(金融庁)
Ⅰ. 今事務年度の監督・検査の基本的な考え方(抄)
1.デフレ脱却に向けた取組みと「好循環」の実現
今後、高齢化や人口減尐等が進展する中、経済や産業が持
続的な成長を続け雇用や賃金の改善につながること、これまで
現預金等に偏っていた国民の資産が適切に運用され安定的な
資産形成が図られることで、結果として経済成長に必要なリス
クマネーが供給されることが期待される。
金融機関がこれらに貢献し、経済の成長や国民生活の安定
に寄与することが、ひいては、金融機関自身の安定的な収益に
もつながっていくような「好循環」の実現を目指す必要がある。
(資料)金融庁
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
51
Ⅱ 重点施策(抄)
2.事業性評価に基づく融資等
金融取引・企業活動の国際化や、国内では高齢化や人口減尐
が進展する中において、日本の企業や産業が活力を保ち、経済を
牽引することが重要である。地域経済においては、人手不足も見ら
れる中、企業・産業の生産性向上を図ることが重要である。
このため、グローバルな競争環境の下で事業を展開する企業や
産業が国際競争力を維持・強化するとともに、地域経済圏をベース
とした企業や産業が、必要に応じ穏やかな集約化を図りつつ効率
性や生産性を向上させ、地域における雇用や賃金の改善につなが
ることが期待される。
こうした中、金融機関は、財務データや担保・保証に必要以上に
依存することなく、借り手企業の事業の内容や成長可能性などを適
切に評価し(「事業性評価」)、融資や助言を行い、企業や産業の成
長を支援していくことが求められる。また、中小企業に対しては、引
き続き、きめ細かく対応し、円滑な資金供給等に努めることが求め
られている。
(資料)金融庁
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
52
V. 中小・地域金融機関に対する監督・検査(ポイント)
地域金融機関は、地域の経済・産業の現状と課題を適切に認識・分析
し、その結果を活用して様々なライフステージにある企業の事業の内容
や成長可能性等を適切に評価し、その評価を踏まえた解決策を検討・提
案・支援することが重要。その際特に、
①目利き能力の発揮による企業の事業性評価を重視した融資
②コンサルティング機能の発揮による持続可能な企業(特に地域経済・
産業を牽引する企業)の経営改善・生産性向上・体質強化の支援等
③継続困難な企業に対する円滑な退出への支援
を重視すべき
上記施策は、取引先企業の生産性向上/産業の新陳代謝の促進と
同時に、地域金融機関自身の安定的な収益の確保/健全性の維持・向
上につながる。地域金融機関は、地域密着型金融を、地域の利用者/経
済・社会への貢献とともに自らの財務健全性/収益性向上を図る手段と
再確認し、創意工夫を凝らした取組みを継続・強化すべき。
(資料)金融庁
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
53
地域金融機関は、主要営業基盤である地域の経済・産業の中長
期的な見通しや課題の認識、自らが短期的・中長期的に地域経済
の活性化に向けて果たしていく役割・機能や経営計画・事業計画
の目標の検証等を通じて、短期のみならず、5~10 年後を見据え
た中長期的にも持続可能性の高い経営戦略を策定・実行していく
ことが重要である。
特に、自らの主要な営業地域において、地域金融の中核的な担
い手となっている地域銀行等は、当該地域の経済の活性化に向け
た取組みを主導する役割が期待されている。
(資料)金融庁
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
54
(参考)事業性評価に関するモニタリング
【金融庁遠藤検査局長】
地方創生の観点からは、…(略)…返済に関する懸念はないと
いう判断だけでは足りない。その企業が社会・経済の構造変化の
なかで今後どう成長し、いかに生き残っていくかを、当該企業だけ
ではなく金融機関もともに考え、アドバイスしていくことが必要だ。
取引先との間でそうした議論が可能となる関係を構築し、手遅れ
にならぬよう助言できる体制を整備しているかどうかが問われるこ
とになる。
(資料)週刊金融財政事情
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
55
④ 27年度考査実施方針(日本銀行)
考査における重点ポイント(抄)
企業の活力向上支援
金融機関は、経営課題の解決に向けた債務者の取組みを継続的
に支援することを通じ、企業の活力向上に貢献していくことが期待さ
れている。
27年度の考査では、①債務者の経営実態や事業の将来性を的確
に分析し、債務者と経営課題の認識を共有しているか、②成長事業
の育成を含め、債務者の課題解決に向けた助言や提案、必要な支
援などを行っているか、を点検する。
その上で、業況が不安定な債務者については、③他の金融機関
や外部専門家等と連携するなどして、抜本的な解決に向けた働き
かけを行うとともに、④信用リスク管理面の対応を適切に実施して
いるか、を点検する。
(資料)日本銀行
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
56
(2)地域金融機関の貸出
▽業態別の国内貸出残高
6
▽地域銀行の企業向け貸出
前年比、%
4.2%
4
地域銀行
2.4%
2
1.9%
0
-2
信用金庫
-4
大手行
-6
05
06
07
08
09
10
11
12
13
14
15
年
(注)直近は15/2月
(注)直近は15/3月
(資料)日本銀行
(資料)日本銀行
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
57
(3)地域金融機関の貸出収益
▽貸出利息等からの収益
▽貸出残高
250
地域銀行
兆円
200
地域銀行
兆円
4.0
3.0
150
2.0
100
1.0
50
0
0.0
83
80
86
89
92
95
98
01
04
07
10
13 年度
83
89
92
95
98
01
04
07
10
13
年度
信用金庫
兆円
86
60
1.5
40
1.0
20
0.5
信用金庫
兆円
2.0
0.0
0
83
86
89
92
95
98
01
04
07
10
13 年度
83
86
89
92
95
98
01
04
07
10
13
年度
(注)直近は13年度。
(資料)日本銀行
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
58
(4)地域別企業収益
▽法人企業純所得・都道府県上位順累計値(2012年度)
25
20
15
10
5
兆円
5位まで
77.1%
残り37県のシェア
15.5%
10位まで
84.5%
1位
54.1%
100
23.5兆円
1992-93年度平均
(年間収益23.7兆円)
大都市集中
が顕著
その他37県
利益法人数
44.1万社
欠損法人数
55.4万社
%
80
2012年度
(年間収益23.5兆円)
60
その他37県
5.7兆円
<24.2%>
上位9県
9.0兆円
<38.1%>
その他37県
利益法人数
29.4万社
欠損法人数
75.3万社
東京
8.9兆円
<37.7%>
東京含む上位10県
利益法人数
57.5万社
欠損法人数
97.7万社
その他37県
3.6兆円
<15.5%>
上位9県
7.1兆円
<30.3%>
40
東京
12.7兆円
<54.1%>
東京含む上位10県
利益法人数
41.3万社
欠損法人数
115.8万社
0
20
0
東 大 愛 神 千 埼 兵 広 静 京 岡 新 山 福 福 茨 群 北 山 愛 岐 富 長 三 香 沖 石 滋 徳 栃 岩 長 熊 大 鹿 福 佐 山 青 宮 島 奈 宮 高 和 鳥 秋
奈
海
児
歌
京 阪 知 川 葉 玉 庫 島 岡 都 山 潟 口 岡 島 城 馬 道 梨 媛 阜 山 野 重 川 縄 川 賀 島 木 手 崎 本 分 島 井 賀 形 森 城 根 良 崎 知 山 取 田
(注)純所得は、利益計上法人の所得額から利益欠損法人の欠損額を引いた値。
(資料)国税庁「税務統計」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
59
(5)地域別企業収益・銀行貸出
▽法人企業収益・銀行貸出都道府県別上位順累計値(2012年度)
25 兆円
1位
54.1%
5位まで
77.1%
10位まで
84.5%
兆円
残り37県の収益シェア
15.5%
450
400
20
350
残り37県の貸出シェア
28.2%
71.8%
15
300
赤い線は、法人企業収益の上位県
からの累積値<左目盛>
(前頁の図表と同じ)
60.9%
250
200
10
41.2%
青い線は、銀行貸出の累積値
<右目盛>
150
100
5
50
0
0
東大愛神千埼兵広静京岡新山福福茨群北山愛岐富長三香沖石滋徳栃岩長熊大鹿福佐山青宮島奈宮高和鳥秋
奈
海
児
歌
京阪知川葉玉庫島岡都山潟口岡島城馬道梨媛阜山野重川縄川賀島木手崎本分島井賀形森城根良崎知山取田
(資料)国税庁「税務統計」、日本銀行
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
60
(6)下位37県企業収益の推移
▽同・個人企業の営業所得推移
▽その他37県法人企業純所得推移
8.0
(兆円)
4.0
7.0
3.5
6.0
3.0
5.0
2.5
4.0
2.0
3.0
1.5
2.0
1.0
1.0
0.5
0.0
0.0
89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
(兆円)
89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12
年度
年度
(資料)国税庁「税務統計」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
61
(7)地方創生に向けた金融機関の役割
 成長事業の育成・不振事業の再生
成長事業の育成
先端技術、観光、農業、
環境エネルギーなど
医療・福祉、健康関連
サービス業など
地域外・海外需要の開拓
公共部門との連携
で創出される
民間産業
公共インフラの更新・再生
高齢化社会に適合する
街づくりなど
金
転
廃
業
、
事
業
譲
渡
)
高齢化社会に対応するサービス
公共インフラ需要の創出
④融
資機
源関
のの
再役
割
配
分
(事
業
承
継
、
]
高齢化社会で
成長する産業
[
地域外・海外
需要を取り込んで
成長できる産業
不振事業の再生
経営不振企業
の再生支援
事業再生
事業承継
転廃業
事業譲渡
[金融機関の役割]
[金融機関の役割]
①ビジネスマッチング、②創業・新事業支援、③海外事業支援、⑤新たな融資手法、⑥PFI/PPP
④事業再生
「地方の発展⇔地域金融機関の発展」の好循環実現
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
62
① ビジネスマッチング、販路開拓
▽地域金融機関によるビジネスマッチング件数
50,000
件数
▽中小企業の販売範囲と収益性
49,717
販売範囲
地域銀行
100
(%)
38,850
40,000
80
営業利益ROA
3.0
(%)
2.5
2.0
60
28,925
30,000
26,965
1.5
26,823
23,729
21,462
19,542
20,000
40
1.0
信用金庫・
信用組合
13,152
5,741
487
1,431
2,802
4,458
5,934 5,802 6,023
0
7,614 7,578 7,455
0
03
04
05
0.5
11,983
8,997
10,000
20
06
07
08
09
10
11
12
13
国内・海外
国内全域
近隣都道府県
同一県内
近隣市町村
同一市町村
0.0
同
一
市
町
村
近
隣
市
町
村
同
一
県
内
近
隣
都
道
府
県
国
内
全
域
国
内
・
海
外
年度
(注)ビジネスマッチングの成約件数(商談会等において成約したものを含む)。
(資料)金融庁、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、
全国信用組合中央協会
(資料)中小企業庁「中小企業実態基本調査」、日本銀行
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
63
①ビジネスマッチング、販路開拓
▽企業(A)が販売先(B)に到達するまでに経由する平均的な企業数
企業と金融機関の顧客ネットワーク(概念図)
分析結果(平均取引経路の社数)
金融機関の関与で「約5社から約3社」へ
金融機関の顧客ネットワーク
を活用しない場合
取引先を
販売先を
模索する企業
模索
する企業
金融機関の顧客ネットワーク
を完全活用した場合
A
A
①
②
金融
機関
③
①
④
②
⑤
B
最短取引経路数: 5
B
最短取引経路数: 2
潜在的な取引先
金融機関の
顧客ネットワー
クを完全活
用した場合
金融機関
の顧客ネット
ワークを活用
しない場合
:取引関係
:最短経路
(注)ある県における実際の企業取引情報(1,500社分)を利用した実証研究
(資料)帝国データバンク
“SPECIA”、日本銀行
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
平均取引経路数
(注)ある企業が企業間取引を通じ
て他の企業に到達するまでの最
短経路の平均値
64
② 創業・新事業支援
▽創業・新事業支援融資の実績(期中実行額)
18,000
億円
件
3,000
融資金額(右軸)
16,000
地域銀行件数(左軸)
2,500
14,000
12,000
信用金庫・信用組合件数(左軸)
2,000
10,000
1,500
8,000
6,000
1,000
4,000
500
2,000
0
0
03
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13 年度
(注)2006年度以前は「創業等支援融資商品による融資」。2007年度以降は専用の融資商品の実績だけでなく、通常の融資による支援実績も含
めて計上しているため、過年度の実績とは単純に比較できない。
(資料)金融庁、全国地方銀行協会、第二地方銀行協会、全国信用金庫協会、全国信用組合中央協会
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
65
② 創業・新事業支援
▽地方銀行の企業育成ファンドへの出資
700
600
億円
658 (名目GDP対比
622
594
0.01%)
▽ベンチャーキャピタルの国際比較
0.10 対名目GDP比率、%
企業育成ファンド
0.08
500
(参考)
再生ファンド
400
300
0.06
296
270
300
0.04
200
0.02
100
0.00
0
11
12
13
年度末
(注) 企業育成ファンド:ベンチャー企業に出資するファンド
再生ファンド:過剰債務に陥った企業の立て直し等再生ビジネスに関与するファンド
(資料)全国地方銀行協会
米ススベオフ英オオカド韓日スチギイポ
国ウイルーラ国ラーナイ国本ペェリター
ェスギスン ンスダツ
イコシリラ
ー ートス ダト
ン ャアン
デ
リ
ド
ラ
ン
ア
リ
ア
(注) 集計対象はOECD加盟国のGDP上位国(2009年時点)
(資料)OECD、ベンチャーエンタープライズセンター、内閣府「国民経済計算」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
66
③ 海外事業支援
▽日系企業の海外進出状況
04年度
海外現地法人数
08年度
11年度
▽地域銀行の外貨貸出
12年度
13年度
14,996
17,658
19,250
23,351
23,927
8,464
10,712
12,089
15,234
15,874
中国
3,565
5,130
5,878
7,700
7,807
タイ
1,089
1,322
1,443
1,807
1,944
マレーシア
616
615
646
714
731
インドネシア
549
569
628
787
867
2,811
4,241
5,247
8,158
n.a
アジア
中堅・中小企業
海外店・外貨貸出残高(円ベース、右軸)
外貨インパクトローン(左軸)
海外店貸出(左軸)
(注)中堅・中小企業:資本金10億円以下の本邦企業
(資料)経済産業省「海外事業活動基本調査」
▽地域銀行の海外駐在員事務所数
08/8月
駐在員事務所計
アメリカ
ヨーロッパ(ロンドン)・ロシア
アジア
うち中国
うちシンガポール
うちタイ
57
6
1
50
43
5
1
11/8月
65
6
2
56
46
7
2
14/8月
80
5
4
71
46
12
11
(注1)直近は15/2月
(注2)外貨インパクトローン:金融機関が居住者に対して行う外貨
建て貸出
海外店貸出:一部海外店勘定の外貨インパクトローン含む
(資料)日本銀行
(資料)日本銀行
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
67
④ 事業再生・資源の再配分
▽中小企業再生支援協議会の取組状況
業種別・再生計画策定完了実績
3,000
件数
%
金融支援手法の内訳
100
3,000
90
2,500
80
937
2,000
▽地域金融機関の
経営改善支援先数
70
2,500
千件 9
90 千件
80
70
60
6
50
40
30
3
20
10
0
0
10
11
12
13 年度
経営改善支援先数
再生計画策定先数
ランクアップ先数(右軸)
件数
金融機関による条件変更
(リスケジュール)
その他
2,000
60
1,500
再生計画を策定したうち、
雇用維持を選択した企業の
割合(右軸)
50
572
1,000
491
40
30
20
500
319
0
1,500
▽DES・DDSの実績
1,000
600 億円
500
500
10
0
08
09
10
11
12
13
年度
製造業
卸売・小売業
飲食業・宿泊業・サービス業
建設業
不動産業
その他
DES
DDS
400
300
0
08
09
10
11
12
(資料)中小企業庁
13
年度
200
100
0
10
11
12
13 年度
(注)ランクアップ先数・DES:地銀・信金計
それ以外:地銀Ⅱを含む
(資料)全国地方銀行協会、第二地方銀行協
会、全国信用金庫協会
(資料)中小企業庁
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
68
④ 事業再生・資源の再配分
▽休廃業と倒産の動向
▽年齢階級別・自営業主分布 ▽事業承継が円滑に進まなかった理由
件数
35,000
経営課題として事業承継
を重視していなかった
2.7%
休廃業・解散
30,000
140
28,943
27,825
26,544
25,743
25,530
120
24,968
25,000
20,637
21,346
事業承継をする上で、
個人保証や個人財産の
担保が障害となった
3.6%
1983年の
分布
16,821
16,255
15,000 14,181
15,646
13,679
業務がひっぱくしており、
事業承継に取り組む
時間がなかった
1.8%
100
19,239
20,000
万人
80
15,480
14,091
12,99813,245
13,321
12,734
12,124
10,855
倒産
事業承継に
関して
誰にも相談
しなかった
9.9%
2013年の
分布
60
その他
3.6%
10,000
40
5,000
20
0
04
05
06
07
08
09
10
11
12
13
年
15-19
20-24
25-29
30-34
35-39
40-44
45-49
50-54
55-59
60-64
65-
0
03
歳
(注)「休廃業」:資産が負債を上回る状態での事業停止
「休廃業」「解散」:決議した段階では倒産に集計されない
(資料)東京商工リサーチ
後継者を探したが、
適当な人が見付からなかった
22.5%
将来の業績低迷が
予測され、事業承継に
消極的
55.9%
(注)非農林業について集計
(資料)総務省「労働力調査」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
(資料)中小企業庁「中小企業白書(2014版)」
69
⑤ 新たな金融手法(電子記録債権の活用、ABL等)
▽でんさい(注)の契約企業数(名寄せベース)
500
▽地域銀行におけるABLの実績
千社
6,000
400
5,000
300
4,000
3,000
(注)でんさいは、 ㈱全銀電子債権ネット
ワークが取り扱う電子記録債権
200
100
件
地銀(残高)
地銀Ⅱ(残高)
地銀(件数、右軸)
地銀Ⅱ(件数、右軸)
3,000
2,400
1,800
1,200
1,000
600
0
13/2初
/4
月末
/7
月末
/10
月末
14/1月末
/4 月末
/7 月末
11年度
12年度
13年度
(資料)日本銀行
▽でんさいの残高・発生記録請求件数
万件
5
0
10年度
(資料)㈱全銀電子債権ネットワーク
6
3,600
2,000
0
7
億円
兆円
▽中小企業の売上債権・仕入債務残高
1.8
月末残高金額(右軸)
1.6
発生記録請求件数(左軸)
1.4
125
兆円
兆円
与信超(右軸)
与信(売上債権、左軸)
受信(仕入債務、左軸)
100
60
45
1.2
4
1
3
0.8
0.6
2
0.4
1
75
30
50
15
25
0
0.2
0
0
13/2
月末
/6
/10
14/1
月末
(資料)㈱全銀電子債権ネットワーク
/2
/6
0
-15
95 96 97 98 99 00 01 02 03 04 05 06 07 08 09 10 11 12 13 年度
(資料)財務省「法人企業統計年報」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
70
⑥ PFI・PPP
▽都道府県別PFI実施方針公表件数
(注)2014年3月31日現在
括弧内は地方公共団体等の実施件数(内数)
サービス提供期間中に契約解除又は廃止した
事業及び実施方針公表以降に事業を断念し
サービスの提供に及んでいない事業は含まず
開始以来の実績:累計440件、総事業費4.3兆円
(資料)内閣府 民間資金等活用事業推進室「平成26年10月 PFIの現状について」
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
71
7. 地域金融機関の方向性
(1)地域金融機関を巡る環境変化
① 地方の人口減尐・東京圏への人口集中
 地方における・・・
(イ)資金需要の減尐
 相対的に資金需要の多い地方では競合激化利鞘
が減尐
(ロ)預金の伸び悩み/減尐
 相続による大都市への流出、高齢化による取崩し
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
72
② 公的金融の見直し
(イ) ゆうちょ銀行の完全民営化
 新規業務(認可申請中)



個人向け貸付け
損害保険募集
法人等向け貸付け
 預入限度額
(ロ) 商工中金、政投銀の民営化延期
 危機対応業務、特定投資業務(政投銀)
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
73
③ コーポレートガバナンスの強化
 法令・規則の整備
 改正会社法(27年5月施行)
 日本版スチュワードシップ・コード(26年2月確定)
 コーポレートガバナンス・コード原案(27年3月確定)

東証本則上場会社は73の規範につき「遵守か説明か」
 上場銀行は資本コストを意識した経営へ
 株主との対話、ROE重視
 政策株の保有方針
 コーポレートガバナンス強化をプラスに
収益力向上
健全性向上
リスクテイク力
向上
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
積極的な金融
仲介機能発揮
74
④ ICTの進化に伴うFintechの普及
 AIが金融ビジネスを激変させる可能性
 新規ビジネスの展開
 業務効率化、省人化
⇒ 「大規模≠効率的」の時代へ
⑤ 金融のアンバンドリング
 Fintechの普及が金融ビジネスへの参入を容易に
 商流、物流を担う主体が「金流(=金融)も」の方向へ
 現金供給、決済、ファイナンス
 地域金融機関の競争相手が拡大
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
75
(2)地域金融機関の将来に向けた戦略
① 超広域展開
 クリティカルマスを追求
⇒ 広域合併・統合
② フルライン化
 証券、リース、海外業務
⇒ 合併・統合も視野(一定の規模が必要)
③ 限定地域でのフォーカス化
 限られた地域で得意分野に経営資源を集中
⇒ 集中する分野の見極め
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
76
(3)地域金融機関に求められること
 地域金融機関が積極的な金融仲介機能を発揮
し、地方の発展に貢献し続けるには…
 現状分析等による経営環境の展望
• 競合相手は大手行や地域金融機関に限らない
 商流・物流業者、ノンバンク、公的金融
 将来を見据えた的確な経営戦略の選択
• 長期経営ビジョン
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
77
的確な経営戦略の着実な遂行
地域金融機関における
積極的な金融仲介機能
の発揮
地域金融機関の リ
スクテイク力向上
地域金融機関の
健全性向上
地方経済の発展
持続的な循環を実現
地域金融機関の
収益力向上
事業内容・成長可能性等の適切な評価と解決策
の検討・提案・支援
• 事業性評価を重視した融資
• 経営改善・生産性向上・体質強化の支援
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
等
78
 優秀かつ多様な人材の確保・育成
• 顧客のニーズを的確に捉え、経営戦略を着
実に遂行できる実行力
• 競合相手の多様化を踏まえると、地域金融
機関の常識を超える発想も必要
日本銀行岡山支店 屋敷利紀
79
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