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記者会見
清家社会保障制度改革国民会議会長
第2回社会保障制度改革国民会議後記者会見要旨
(平成24年12月7日(金)19:00~19:27
於:中央合同庁舎第4号館共用108会議室)
1.発言要旨
先ほど官邸にて開催されました第2回目の社会保障制度改革国民会議について御報告を
いたします。
本日の国民会議には、15 名の委員のうち 14 名の方が御出席されました。今回、前回御
都合により御欠席で、初めての御出席となりました権丈委員、そして増田委員のお二人か
ら御挨拶をいただきました後に、芝官房副長官から冒頭の御挨拶をいただいたところでご
ざいます。
その後、医療、介護、年金、少子化対策の社会保障4分野について、厚生労働省の関係
審議会の部会長をされている4人の委員の先生方から、それぞれの分野におけるこれまで
の取組状況、そして今後の課題等を御報告いただいた上で、それぞれについて議論を行っ
て、私どもで問題意識を共有したところでございます。
議論における主な論点、主な御意見として、次のようなことがあったかと思います。
まず最初に、お隣にいらっしゃいます遠藤先生から、医療保険部会で議論されている医
療の問題について御説明がございまして、それに対して、まず宮武委員が、今後、市町村
の国保等は極めて零細な保険者が続出するということが考えられるので、地域保険のあり
方と並行して、この医療の問題を考える必要があるといった問題意識。
宮本委員からは、今回、検討する項目について、子ども・子育てと年金の分野について
は、3党合意に基づいて前の国会で法律なども成立して、お金の使い道に、ある程度、輪
郭が見えてきているのに対して、医療・介護の問題は、何もまだ具体的な法律等が成立し
ていない、何が行われるのかが明確でないだけに、国民が注目しているので、しっかりと
ここで議論をする必要があるのではないかという御議論。
大島委員からは、お医者様という御専門の立場で、やはり高齢者医療と、急性期の疾病
に対処するための従来追求してきた医療というのは基本的に違うという視点で物を考える
べきだという御意見。
増田委員からは、人口が減ってくる中で、限られた財源と人材で医療を支えるというこ
とがだんだん難しくなってくるような自治体等も出てくるのではないか。そういう中で、
知恵を絞って、それをどう維持していくかということが大切であるといった御意見があり
ました。
次に、山崎委員から介護の問題について御説明をいただきまして、それについて幾つか
意見が出たわけでございますが、まず駒村委員あるいは西沢委員などから、いわゆる総報
酬割の問題について問題提起がされたところでございます。
榊原委員からは、特に高齢者の方々の暮らしの質がよりよくなるために、医療と介護を
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どう連携させるかといった視点が大切だということが提起されました。
その上で山崎委員からは、さまざまな問題を考える際に、低所得者対策が一つのキーワ
ードになるのではないか。特に、そもそも低所得者対策を考える際の低所得者というもの
はどのように定義されるのかといった問題意識を提示されたところです。
それから、神野委員から年金の問題について御説明があったわけですが、この御説明に
つきましては、冒頭、宮武委員あるいは権丈委員などからも、今回、受給資格期間を法律
で短縮したわけでございますけれども、これについて若干疑問があるという議論が出てま
いりました。
神野委員は、この年金の問題については、大きな新年金制度を考えるといった、いわゆ
るビジョン型の改革と問題解決型の改革と2種類あるわけですけれども、この年金部会に
おいては、基本的には問題解決型の改革について議論をしてきたということで御説明がご
ざいました。
その中で、この問題解決型の改革として残された課題として、例えばマクロ経済スライ
ドの検討であるとか、標準報酬上限の見直し、支給開始年齢の引上げですとか、あるいは
高所得者の年金額の調整といったことがまだ残された課題としてあるわけですけれども、
それについて西沢委員からは、それぞれ一つ一つを考えるというよりは、どれかを大きく
進めればどれかは余り進めなくてもいいとかというような形で、それらはセットで考える
べきではないかという御意見もございました。
そうした御意見を受けまして、再度、神野委員から、やはり財政の論理と社会保障の論
理をどのように整合的なものにしていくかということが課題であるというまとめがござい
ました。
最後に、大日向委員から少子化対策のことに関して御説明がございまして、これにつき
ましては各委員から、今回決まりました対策をまずしっかりとやることが大切だというエ
ールといいますか、意見がございました。恐らく我々の会議の役割としても、もちろん、
新たにさまざま、こうした少子化対策について必要な議論を加えていくということもござ
いますけれども、同時に今回、3党合意のもとで成ったこの少子化対策をしっかりと進め
るということについて、会議としても応援をしていくということも大切ではないかといっ
た御意見であったかと思ってございます。
このような議論をいたしまして、非常に充実した議論、皆様方もごらんいただいていた
と思いますけれども、我々、問題意識を共有するという意味で今回お話を伺ったわけです
が、その中でもいろいろ熱のこもった議論が出てまいりました。
最後に、藤本内閣府副大臣から、本日の議論により、医療、介護、年金、少子化対策、
それぞれの分野の部会において、どのような課題や論点が議論されてきたかについて、そ
の問題意識を共有できたので、今後、さらに議論を深めていただきたいというお話がござ
いました。また加えて、国民会議における議論の内容については、今後、3党協議の場に
もフィードバックしていきたいという御発言がございました。
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第3回目の会議の議題や日程については、今後、事務局とも調整していきたいと思って
おります。
私のほうからは以上でございます。
2.質疑応答
○記者
遠藤先生のほうだったと思うのですけれども、診療報酬について国民会議で議論
することはあり得るという話だったのですが、それは議論するということなのでしょうか。
○遠藤会長代理
こういうことだったと思います。つまり、確か宮本先生でしたか、要す
るに機能強化ということをうたっているわけですけれども、それについて法律も何も手当
てをしていない。年金等については法律を通した。一体、医療のほうはどうなるのか。こ
ういう話だったので、これはもちろん、法律改正を伴うような方向で何か機能強化のもの
を考えるということも当然あり得る話です。
その議論も行われることは当然だと思うのですけれども、一方で、例えばある部分の機
能を強化する、特にお金の面でこれを言っているわけですから、それは診療報酬というこ
とも考えられる。これは法律改正を伴わないわけです。そうすると診療報酬の改定は、御
案内のとおり、偶数年に中医協で最終的には決定するわけですけれども、その前に医療部
会と医療保険部会で基本方針を考えるというわけですが、もしかしたら、その基本方針を
考える、さらにその上部として、当会議が少し長期的な視点で何がしかの方向性を考える
ということはあり得るのではないか。そういうレベルの話を申し上げたということでござ
います。
今回の機能強化とは関係ありませんけれども、過去、急性期の病院を救うということで、
そちらのほうにかなり厚く財源をシフトしたということが平成 20 年改定、平成 22 年改定
はあったということを申し上げまして、同じようなこともやろうと思えば可能なのだとい
うニュアンスで申し上げたということで、何ら、ここで決めるということを合意されたと
いうことではないということでございます。
○記者
今の話ですけれども、長期的なビジョンというのは具体的にどれぐらいのイメー
ジを想定していらっしゃっておっしゃったのでしょうか。
○遠藤会長代理
それにつきましても、それも検討課題だと思います。今回の増税に伴っ
てというレベルの話なのか、それも含めて、もう少し長期の人口構成の変化等々を見なが
らということも含めた、それもまた、恐らく今後議論していく範疇の中に入る話だと思っ
ております。
以上でございます。今のところ、私の中には何かアイデアがあるわけではありません。
○記者
遠藤先生と清家会長に伺いたいのですが、遠藤先生が機能分化のところで、今、
厚生労働省で法律を準備しているものを一回こちらで報告をいただいて、了承と言ったか、
了解と言ったか、ちょっと失念しましたが、それが得られれば国会に提出できるというこ
とではないかというお考えを示されたと思うのですが、そのニュアンスを遠藤先生から伺
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いたいのと、会としては、清家会長はどう考えていらっしゃるか。
あと、前回の会議で、岡田副総理からだと思いますが、各分野に分かれて分科会で議論
することもあり得るみたいな御指摘があったと思うのですが、今日の議論を踏まえて、現
時点でどのようにお考えか。
○遠藤会長代理
私が申し上げましたのは、これは医療提供体制の機能分化の話なので、
これをやる場合には法律改正を必要とします。医療法あるいは保助看法とか、その辺の改
正を必要とするということだと思いますけれども、この国民会議でこういうことをやって
いるのだということを御報告しているわけでありますから、当然、その範囲の中で何がし
かの法律改正を行おうというのであれば、そういうことをやろうとしている、意見がまと
まったということを国民会議で報告をするのは当然ではないかなという私の解釈でありま
して、いや、そういうルールになっていないというのかもしれませんけれども、私はそう
いう認識をしたということで、余りそこは深く考えてはいなかった。ただ、ここで御報告
をした以上は、やはり皆さんに最終的にまとまったことは御報告をするのが適切な態度な
のではないかなと思ったわけであります。
○清家会長
私も基本的に同じでございます。
両面あると思います。今日の御議論の中でも、この機能分化の必要性を強く示唆される
ような御発言が随分あったわけでございますから、遠藤先生の御説明にあったような、部
会での機能分化の議論あるいは結論も我々は当然参照しながら議論を進めていくというこ
とが一面でございます。
もう一面は、もちろん、最終的にこれを法律にどのように落とし込んでいくかというの
は、今度はそれぞれの、例えば厚生労働省の各部会においてなされる御議論に負うところ
も多いかと思いますので、そういう面で、遠藤委員が今回、この機能分化について国民会
議に御説明をいただいたということは、我々は当然、それを参考にしながら議論を進める
ということですし、また、我々のこの議論を踏まえられて、政府におかれて具体的な制度
の改革等を進められる際には、部会の中で再度議論されるということもあるかと思います。
あるいはこれまでの議論の中で決められたことをそのままスイッチを押していくといいま
すか、そういうことになるのかもしれませんが、そういうやりとりが多分あるのだろうと
思います。
それから分科会は、前回も申しましたように、今後も議論を進めていく中で、分科会と
いいますか、必要があればワーキンググループのようなもの、あるいは研究会のようなも
の、分科会ということになりますと、そこで物事を決めるというものになると思いますけ
れども、あくまでも私どもは、この国民会議の中で最終的に結論を得ていくということで
ございますから、その結論を得る上で必要な議論を煮詰めるために、例えばワーキンググ
ループとか研究会を設けることはあるかもしれません。いずれにしても、それはこれから
議論をしていく中で、必要があればそのようなものを設けていくというのが私の理解であ
ります。
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遠藤会長代理からも、もしありましたら。
○遠藤会長代理
○記者
私も全く、清家会長と同じ考えを持っております。
1点お伺いしたいのですが、今日の4部会長が出された資料で、今後の方向性で
あるとか、主な論点であるとか、今後の課題であるとかという、いろいろ論点が出されて
いましたが、そこに書かれているものは、つまり国民会議でこれから議題として俎上に上
がるものだと理解してよろしいのでしょうか。
○清家会長
国民会議でこれから議論するかどうかということは、これはもう一回、前回
もお話ししたことですけれども、まず我々は、基本的には、改革推進法に規定された改革
の基本方針に基づき、3党協議で示された検討項目を議論するわけです。その検討項目の
中に、もちろん、今日、御説明に挙がったようなことも含まれているわけですが、今日、
御説明をいただいたのは、そこで検討項目になっていることをこれからここで検討すると
いう趣旨ではむしろなくて、まずはここで検討すべしと言われている年金、医療、介護、
そして少子化対策の問題について、まず厚生労働省のそれぞれの部会において、どんなこ
とが議論され、そして、どんなことが課題になっているかということについて、我々で、
まさに先ほど言いましたように、情報と意識を共有しておきましょうというのが目的でご
ざいます。
もちろん、その中で情報を共有するということは、どういうことが課題になっているか、
あるいは検討項目になっているかということを、我々、共通に認識いたしましたので、そ
ういう中から今後、我々の討議する課題が出てくるということは十分考えられますし、も
ちろん、今回出てこなかった、お話になかったことも幅広く検討していくということはあ
り得ると思います。また逆に、今回出てきた検討項目は全て必ず、この国民会議で検討す
るかというと、必ずしもそれはそうでもないかもしれないということで、あくまでも厚生
労働省のそれぞれの部会において、今、議論され、あるいは問題意識を持っておられるこ
とは何かについて、我々、まずしっかりと認識を共有したということです。ですから、そ
れ以上でもそれ以下でもないということでございます。
○記者
今日の話は税と保険料のすみ分けの話かなと思って聞いたのですけれども、税と
保険料のすみ分けについては、前回、岡田副総理からも保険料のような顔をして税的に使
われている部分があるという指摘もあったのですが、年金と医療と介護のそれぞれでどの
程度まで保険料を使うかとか税を使うかということについては、随分マターにおいてばら
つきがある感じがしているのですけれども、ここである程度、税と保険料のすみ分けにつ
いて、黄金律みたいな哲学が出て、それで制度横断的な設計につながっていくのだと期待
してもよろしいでしょうかというのが1つです。
○清家会長
御承知のとおり、この改革推進法の基本的な考え方の中に4つの考え方があ
るわけですけれども、その1つに「年金、医療及び介護においては、社会保険制度を基本
とし、国及び地方公共団体の負担は、社会保険料に係る国民の負担の適正化に充てること
を基本とすること」という基本方針がございます。ですから私どもは、この基本的な考え
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方に基づいて社会保障制度のあり方を考えてまいりますので、そういう意味では、社会保
険と税ということで言えば、まず制度としての基本は社会保険制度であるという、この基
本的考え方の中で議論していくことになると思います。
その中で、今、言われたように、例えば年金も社会保険料で賄われている部分と公費で
賄われている部分、それから、医療・介護についても同じような、すみ分けとおっしゃい
ましたけれども、費用負担の区分がございますので、それらについて、もちろん、我々は
議論するわけですが、そのとき、何か黄金律のようなものが出てくるかどうかというのは、
出てくればそれはそれでとてもいいのかもしれませんけれども、今のところ、前もって何
か黄金律を出そうとか、そういうことを考えているわけではございません。
ただ、もちろん、これからの議論になるわけですが、恐らく、今、年金、医療、介護と
言いましたけれども、もう一つ、子育て支援といいますか、少子化対策があるのですが、
それぞれの中で、恐らく制度として、社会保険制度の枠組みの中で相当改革が進められる
部分と、かなり税財源を投入しながら改革を進めていかなければいけない部分というのは、
やはり分野によって違うと思うのです。ですから、例えば年金、医療、介護、いわゆる3
経費を見ても、その中での保険と税金のすみ分けのありようというのは一様ではないと私
は理解しております。
○記者
山崎先生から遺族年金が非課税であることについての指摘が出て、前提としては、
今回の話では低所得者の保険料負担の話があるからそういう話が出たのだと理解している
のですけれども、山崎先生が出されたのは介護保険の例でしたが、国民健康保険料である
とか後期高齢者医療制度の保険料でも、遺族年金が非課税であることというのは大きく影
響しているのですけれども、私自身はこの会議でそうした保険料の賦課ベースの話までさ
れるという認識がなかったのですが、これもこの会議での検討課題の一つと理解していい
のでしょうか。
○清家会長
遺族年金の話は、恐らく山崎先生は例として出されたものだとは思いますが、
むしろ山崎先生の問題意識は、例えば所得というものを基準にいろいろな政策を考えると
きに、所得と収入は違うわけです。つまり、所得といった場合には課税ベースの話ですか
ら、お話しになったように、例えば年金控除だとか基礎控除だとか、そういうものを差し
引いたものが所得になるので、そういうもので例えば低所得者対策を考えることをどう考
えるかという問題提起だったと思います。
その中で、非課税になっている年金収入等もあるので、低所得ということをどう考える
か。つまり、特に低所得者対策を考える際に、当たり前ですけれども、その際の所得の定
義は何かということで、これは今のところは課税の対象となるような所得という形で測ら
れているので、それは収入とは違う。同じ収入でも、課税対象になっている収入と非課税
になっている収入によって、一人一人、いわゆる所得は違ってくるので、その辺をどう考
えるかということが必要ではないかという問題提起をされたと私は理解しております。具
体的に、その際、どういう政策が望ましいとかということまでの意見の開陳ではなかった
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のではないかなと理解しております。
○記者
その賦課ベースの話だったと思うのですけれども、それも今後、ここでの課題に
なってくるという理解でよろしいのでしょうか。
○清家会長
私どもは、そういう低所得者対策とかという議論をする際に、例えば賦課ベ
ースはどうあるべきかということも、特に制限を設けずに幅広く議論はしたいとは思って
おります。
ただ、最終的な結論の中でそれが明示的に取り上げられるかどうかは、今の段階では何
とも申し上げられませんが、もちろん、それについての議論を排除するものではございま
せん。
(以上)
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