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実践的経営シミュレーション演習を核とする 統合的 ICT 活用教育
実践的経営シミュレーション演習を核とする 統合的 ICT 活用教育システムの構築 発表者 共同研究者 連絡先 1.本取組の目的と意図 これまでの大学における経営学教育は、 学究的側面に 重点が置かれ、実務との間にギャップが存在していた。 大塚 晴之・甲南大学経営学部 甲南大学経営学部全専任教員 〒658-8501 兵庫県神戸市東灘区岡本 8-9-1 TEL 078-431-4341 FAX 078-435-2441 E-mail [email protected] 得させる。本取組の目的実現のため、経営学部基幹科 目としてカリキュラムに、経営シミュレーション演習 を置いている。 経営学部教育には、知識を経営の実践に結びつける手 平成 20 年度後期および平成 21 年度前期に行った「実 法を身につけた即戦力の育成が求められており、本取 践的経営シミュレーション演習」の講義内容をを以下 組はこの要請に応えることを第一の目的としている。 に示す。 また、本取組では、経営的知識や手法的なもののみ 1・2 講義概要説明・コミュニテイサイトの使い方 の教授に偏重せず、多様な人々との交流の機会を設け 3・4 ることにより、豊かなコミュニケーション能力を持っ 5~8 YBG ゲーム(講義+ゲーム+振り返り+コミュ た人材を育成することをもう一つの目的とする。 本取り組みは、これらの目的を達成するために、 e-learning コンテンツ、ビジネスゲーム、実務講義、 コミュニティサイトを連携する教育システムを構築し 起業提案会+コミュニティサイトへの書き込み ニティサイトへの書き込み) 9~12 証券投資シミュレーション(講義+ゲーム+振 り返り+コミュニティサイトへの書き込み) 13・14 イトへの書き込み 運用するものである。 15・16 17~20 ツ、学生、教員、実務家ら多様な人間と交流する、コ ミュニティサイト、仮想マーケットにおいて企業経営 21・22 Web 上の学習コンテンツを活用して、予習から復習 実務家講義(経営コンサルタント)・討論+ コミュニティサイト書き込み 23・24 マーケットシミュレーション+コミュニティ スのゼミとバーチャルゼミを連携して運用する ICT 活用教育システムを構築している。 マーケットシミュレーション+コミュニテ ィサイトへの書き込み を模擬体験できる、経営シミュレーション・ツールか らなるプログラムを開発し、フェイス・トゥ・フェイ 実務家講義(会計)・討論+コミュニティサ イトへの書き込み 2.方法 本取組では、自学自習を促す、予習・復習コンテン 実務家講義(証券)・討論+コミュニティサ サイト書き込み 25・26 起業提案会+コミュニティサイト書き込み 27・28 まとめ までのすべての学習段階で、きめ細かい指導・支援を 実際の講義では、講義の順番が前後した部分、回数 行うことにより、学生に、経営学の知識を実践へと結 を変更した部分があるが、概ね以上の内容で講義を行 びつける手法とコミュニケーション能力を主体的に習 うことができた。 (また、今後はほかのシミュレーショ 社団法人 私立大学情報教育協会 平成21年度 教育改革IT戦略大会 ンゲームについても講義に組み込む予定である。) 4.成果および期待される効果 より具体的に、例えば、この中で、証券投資シミュ ・ビジネスゲームを運用することにより、学生に企業 レーションを用いての講義は以下のような手順で行っ 経営を疑似体験させ、理論モデルをゲーム実行する中 た。 で理解させることができた。 ① 全体講義 理論の解説とゲームの説明 ・コミュニティサイトを稼動させ、講義中に生じた疑 ② ゲーム(ステップ 1) 問や意見を学生間で共有したり、教員や実務家に対し 教室内でグループ間での 対戦ゲームを行う て質問を行ったりすることが可能となった。 ③ グループディスカッション(教室内) ・商学特論(実践的経営シミュレーション演習) (授業 ④ バーチャルミーティング(グループ内・教員のア 科目)を経営シミュレーションゲーム、実務家講義、 ドバイス) コミュニティサイトを連携させて行うことにより、専 ⑤ 事前学習コンテンツ「証券論」を用いての自習 門科目を深く理解させ、コミュニケーション能力を高 ⑥ ゲーム(ステップ2) める教育が実現できた。 ⑦ グループディスカッション ⑧ 講評と解説 ⑨ コミュニティサイトでのミーティング 実務家講義については次のような手順で講義を行っ 5.今後の課題 ICT 活用教育環境の整備については順調に進んでお り、今後の課題は、学生教育の成果を踏まえた事前学 習用コンテンツの改善と学生教育の成果を踏まえたビ た。 ① ゲームに関連する実務家による講義 ジネスゲームを利用した教育の確立である。ビジネス ② 質疑・討論 ゲームは教育のツールに過ぎないのであって、学部で ③ 事前学習コンテンツ「証券論」を用いての自習 教育すべき理論を理解させるための方便である。した ④ コミュニテイサイトを用いての質疑 がって、現実性を犠牲にしつつも理論学習を促進する ことを課題として講義運営がなされなければならない。 3.教育のために作成したコンテンツ 実際の経営とシミュレーションゲームとの橋渡しは、 取組を実現するために、本取組で平成 19 年・20 年度 実務家と教員の共同作業によって実現しなければなら に開発したコンテンツおよび開発中のコンテンツは、 ない。したがって、チームで教育する努力を怠ること 以下の通りである。 はできない。 ① 事前学習コンテンツ(専任教員全員分)平成 19 年度完成、一部 20 年度に追加) ② 証券投資シミュレーション(平成 19 年度完成、 20 年度修正) ③ 成績管理データベース(平成 19 年度完成) ④ 生産コストシミュレーション(平成 21 年度完成) ⑤ 会計シミュレーション(平成 20 年度完成) ⑥ マーケティングシミュレーション(平成 20 年度 完成) ⑦ シミュレーションマーケット(平成 21 年度完成) ⑧ コミュニテイサイトカスタマイズ(平成 20 年度 完成、21 年度修正) 社団法人 私立大学情報教育協会 平成21年度 教育改革IT戦略大会 サブシミュレーションおよびコミュニティサイトの運 用による教育の実施については、実務家と学生及び教 員とのコミュニテイサイトを通じての連携を強めると ともに、学生相互のコミュニティサイトを通じた討議 を促進しなければならない。